JP2011515493A - 抗原受容体により誘導されるNF−κBの活性化の阻害剤 - Google Patents
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Abstract
抗原受容体媒介性NF−κB活性化の選択的阻害薬を同定する方法、並びにそれら阻害剤の1つ又は複数を有する組成物、及びそれら阻害剤の使用方法を提供する。
【選択図】図2
【選択図】図2
Description
本出願は、2008年3月27日にJohn
C. Reedらにより出願された「INHIBITORS OF antigen receptor-induced
NF-κB activation」と題する米国特許仮出願第61/040,069号の優先権を主張するものであり、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
C. Reedらにより出願された「INHIBITORS OF antigen receptor-induced
NF-κB activation」と題する米国特許仮出願第61/040,069号の優先権を主張するものであり、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、少なくとも部分的には、アメリカ合衆国政府からの助成金(国立衛生研究所(NIH)助成金1X01 MH077633−01)により支援された。合衆国政府は、本発明に関する特定の権利を有する。
本発明は、医薬品の分野に関し、具体的には抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する化合物、それらを同定するためのハイスループットアッセイ、及びそれらの使用方法の分野に関する。
転写因子である核因子カッパB(NF−κB)ファミリーのメンバーは、宿主防御、免疫応答、炎症、及び癌を含む多くの生理学的及び病理学的プロセスの制御に重大な役割を果たしている。哺乳動物では、NF−κB活性化に結びつく経路が少なくとも9つ解明されており、それらには以下が含まれる:(i)NF−κB−アルファ(IκB−a)の阻害剤の分解及びp65−50NF−κBヘテロ二量体の放出を伴う、腫瘍壊死因子(TNF)及び多くのTNFファミリーサイトカイン受容体により誘導される「古典的」経路;(ii)NF−κBファミリーメンバーRelBの好ましいヘテロ二量体化パートナーであるp52を産生するp100 NF−κB2タンパク質分解プロセシングを伴う、選択されたTNFファミリー受容体(例えば、CD40、リンホトキシン−β受容体、BAFF受容体)により活性化される「代替」経路;(iii)TIRドメイン含有アダプター及びIRAKファミリープロテインキナーゼを伴う、NF−κB誘導用のトール様受容体経路;(iv)ウイルスに対する宿主防御に重要な、Helicard/Mda5、RIG−1、及びミトコンドリアタンパク質MAVSを伴う、外来性RNAにより活性化される経路;(v) p53の標的であるPIDDを伴うDNA損傷経路;(vi)微生物由来分子に応答し、多量体化してNF−κB活性化タンパク質複合体を形成するサイトゾルタンパク質であるNLR/NODファミリータンパク質;(vii)TAB/TAK複合体に結合してNF−κB活性化を刺激するX連鎖アポトーシスタンパク質阻害剤(XIAP)を含む、アポトーシスタンパク質(IAP)の阻害剤;(viii)カスパーゼ動員ドメイン含有膜結合型グアニル酸キナーゼタンパク質1(CARMA1、Bimp3)、Bcl−10、及びMALT(パラカスパーゼ)、カスパーゼ8、並びに他のタンパク質を含む相互作用タンパク質のカスケードを伴う、TRAF2及びTRAF6との相互作用によるNF−κB活性化並びにB細胞及びT細胞抗原受容体により誘導される経路を駆動する、cIAP2及び粘膜関連リンパ組織1(MALT1)の部分で構成される腫瘍形成性融合タンパク質。これら9つのNF−κB活性化経路が収束するコア事象は、IKK−α、IKK−β、及び骨格タンパク質IKK−γ/NEMOの複合体で典型的に構成されるκBキナーゼ(IKK)の阻害剤の活性化である。「代替的」NF−κB経路以外の全てでは、IKK活性化は結果としてIκB−αのリン酸化をもたらし、このタンパク質をユビキチン化及びプロテアソーム依存性破壊の標的とし、したがってp65/p50 NF−IκBヘテロ二量体が細胞質ゾルのIκB−αから放出され、それらが核内に移行して種々の標的遺伝子の転写を開始することが可能になる。
抗原受容体により活性化されるNF−κB経路は、後天性(先天性に対して)免疫に重要であり、Tリンパ球及びBリンパ球活性化、増殖、生存、及びエフェクター機能に寄与する。リンパ球におけるNF−κB活性化の調節異常は、自己免疫、慢性炎症、及びリンパ性悪性疾患の発症に寄与する場合がある。抗原受容体関連NF−κB活性化経路には、CARMAファミリータンパク質、Bcl−10、MALT(パラカスパーゼ)、TRAF6、Ubc13、及びカスパーゼ8を最低限含むアダプター及びシグナル伝達タンパク質のカスケードが伴う。この複合体の形成は、CARMAタンパク質のPKC媒介性リン酸化により開始される。T細胞及びB細胞では、この経路は、それぞれプロテインキナーゼC(PKC)シータ及びPKCベータにより開始され、恐らくはIKK−γの63位リジン結合ポリユビキチン化を伴う機序によるIKK活性化に最終的には結びつく。したがって、NF−κB活性化の該抗原受容体経路は、プロテインキナーゼ、すなわちそれぞれPKC及びIKKの活性化により開始及び終結する。PKCで活性化されるNF−κB活性化機序には、c−FLIPとヘテロ二量体を形成し、c−FLIPのタンパク質分解プロセシングを誘導することが明らかであるカスパーゼ8も寄与している。IKKは、創薬に有望な論理的標的であるが、IKKの化学阻害は、既知のNF−κB活性化経路を全て抑制し、したがって先天性免疫を妨害せず同時にリンパ球応答を阻害するのに必要な選択性が欠如しており、したがって高い感染リスクを伴う広範な免疫抑制を引き起こす。
本明細書で開示されるのは、式I又は式IIの化合物
又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグであり、式中、
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが0〜10の整数である化合物、
及びそれを含む医薬組成物である。
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが0〜10の整数である化合物、
及びそれを含む医薬組成物である。
本明細書では、抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する化合物を同定する方法であって、(a)NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるレポーター遺伝子で形質移入した細胞を含む水溶液を準備すること;(b)この溶液に試験化合物を添加すること;(c)この溶液にNF−κBを誘導する刺激を加えること;及び(d)該試験化合物が該刺激に対する細胞応答を低減するかどうかを決定することを含む方法も開示される。幾つかの実施形態では、該試験化合物は、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物である。
加えて、本明細書では、細胞の抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する方法であって、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物と該細胞を接触させることを含む方法が開示される。幾つかの実施形態では、該細胞は、そのような阻害を必要性とする対象体内にある。
さらに、本明細書では、対象体の抗原受容体媒介性NF−κB活性化に関連する疾患を治療する方法であって、その必要性のある対象体を同定することと、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物を対象体に投与又は対象体と接触させることとを含む方法が開示される。
本発明は、抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する化学化合物を同定するための化学生物学的戦略を提供する。本明細書には、他のNF−κB活性化経路を阻止せずにPKCとIKKとの間のNF−κB活性化経路を阻害する2−アミノベンズイミダゾール化合物も記載されている。したがって、これら化合物は、PKCで開始される及び抗原受容体で開始されるNF−κB誘導経路を調査するための唯一の研究ツールを提供する。本化合物は、自己免疫及び幾つかのタイプのリンパ性悪性疾患に有用な経路選択的薬物でもある。
定義
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、その酸性塩又は塩基性塩を作製することにより修飾されている開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機塩又は有機酸塩、及びカルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、従来の無毒性塩、又は例えば無毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の無毒性塩には、以下のものが含まれる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸など無機酸に由来するもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、及びイセチオン酸などの有機酸から調製される塩。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、その酸性塩又は塩基性塩を作製することにより修飾されている開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機塩又は有機酸塩、及びカルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、従来の無毒性塩、又は例えば無毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の無毒性塩には、以下のものが含まれる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸など無機酸に由来するもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、及びイセチオン酸などの有機酸から調製される塩。
本発明に有用な化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法により合成することができる。一般的に、そのような塩は、水中で又は有機溶媒中で又はその2つの混合液中で、遊離酸形態又は遊離塩基形態のこれら化合物を、化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることにより調製することができ、一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒質が好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed.,
Mack Publishing Company, Easton, PA, p. 1418 (1985)に見出されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
Mack Publishing Company, Easton, PA, p. 1418 (1985)に見出されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、又は他の問題を起こさずにヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であるか、又は合併症が合理的なリスク/ベネフィット比と釣合っている化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を指すために使用される。
本明細書で開示される化合物の一方のジアステレオマーは、他方のジアステレオマーと比較して優れた活性を示す場合がある。必要に応じて、ラセミ物質の分離は、キラルカラムを使用したHPLCにより、又はカンフォン酸クロリド(camphonic
chloride)などの分割剤を使用する分割より達成することができる。式I又は式IIのキラル化合物は、キラル触媒又はキラルリガンドを使用して直接合成することもできる。
chloride)などの分割剤を使用する分割より達成することができる。式I又は式IIのキラル化合物は、キラル触媒又はキラルリガンドを使用して直接合成することもできる。
「治療上有効量」は、例えば、宿主の疾患又は障害を治療又は予防するか、又は疾患若しくは障害の症状を治療するための、本発明に有用な化合物の量又は特許請求した化合物の組合せの量を含むことを目的としている。化合物の組合せは、相乗効果的組合せが好ましい。相乗作用は、併用して投与した際の化合物の効果が、単一の作用剤として単独で投与した際の化合物の相加効果より大きい場合に生じる。一般的に、相乗効果は、最適濃度以下の化合物で最も明白に実証される。相乗作用は、個々の成分と比較して化合物の組合せの細胞毒性がより低く、活性が高く、又は他の幾つかの有益な効果があるという点で見つかる。
本明細書で使用される場合、「治療している」又は「治療する」は、(i)病理学的状態が生じるのを防止すること(例えば、予防);(ii)病理学的状態を阻害すること又はその進行を停止させること;(iii)病理学的状態を緩和すること;及び/又は病理学的状態に関連する症状を軽減させることを含む。
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、本発明の方法により治療される生物を指す。そのような生物には、ヒトなどの哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。本発明の状況では、「対象体」という用語は、一般的に、癌の治療(例えば、本発明の化合物及び随意に1つ又は複数の抗癌剤の投与)を摂取することになる個体又は摂取した固体を指す。
「安定した化合物」及び「安定した構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度への単離及び有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分なほど堅牢な化合物を指すことが意図されている。安定した化合物のみが本発明により企図される。
「置換された」とは、「置換された」を使用した表現で指定された原子の1つ又は複数の水素が、指定された原子の通常の原子価が超過しておらず、置換の結果として安定した化合物がもたらされる場合に、指定された基(複数可)から選ばれたものと交換されることを指すことを目的としている。好適な指定された基には以下のものが含まれる:例えば、アルキル、アルケニル、アルキリデニル(alkylidenyl)、アルケニリデニル(alkenylidenyl)、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。置換基が、ケト(つまり、=O)又はチオキソ(つまり、=S)基である場合、その原子の2つの水素が置換される。
「中断された」とは、「中断された」を使用した表現で指定された2つ以上の隣接する炭素原子及びそれらに結合している水素原子(例えば、メチル(CH3)、メチレン(CH2)、又はメチン(CH))の間に、指定された原子の各々の通常の原子価が超過しておらず、中断の結果として安定した化合物がもたらされる場合に、指定された基(複数可)から選択されたものが挿入されることを指すことを目的としている。そのような好適な指定された基には、例えば、非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)−)、イミン(C=NH)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)が含まれる。
ラジカル、置換基、及び範囲に関して下記に列挙されている具体的な及び好ましい値は例示のためだけであり、それらは、ラジカル及び置換基に関する他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を除外しない。
「アルキル」は、第一級、第二級、第三級、又は環式の炭素原子を含有するC1〜C18炭化水素を指す。例としては、メチル(Me、−CH3)、エチル(Et、−CH2CH3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH2CH2CH3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH2CH2CH2CH3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH3)3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH2CH3)、3−ペンチル(−CH(CH2CH3)2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH2CH3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH3)CH(CH3)2)、3−メチル−1−ブチル(−CH2CH2CH(CH3)2)、2−メチル−1−ブチル(−CH2CH(CH3)CH2CH3)、1−ヘキシル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ヘキシル(−CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3−ヘキシル(−CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH3)2CH2CH2CH3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH3)(CH2CH3)2)、2−メチル−3ペンチル(−CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH3)C(CH3)3)である。
該アルキルは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。該アルキルは、随意に、1つ又は複数の非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)で中断することができる。加えて、該アルキルは、随意に、少なくとも部分的に不飽和であってもよく、それによりアルケニルを提供する。
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、つまり炭素−炭素、sp2二重結合を有する第一級、第二級、第三級、又は環式の炭素原子を含有するC2〜C18炭化水素を指す。例には、エチレン又はビニル(−CH=CH2)、アリル(−CH2CH=CH2)、シクロペンテニル(−C5H7)、及び5−ヘキセニル(−CH2CH2CH2CH2CH=CH2)が含まれるが、これらに限定されない。
該アルケニルは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。加えて、該アルケニルは、随意に、1つ又は複数の非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)で中断することができる。
「アルキリデニル」は、第一級、第二級、第三級、又は環式の炭素原子を含有するC1〜C18炭化水素を指す。例としては、メチリデニル(=CH2)、エチリデニル(=CHCH3)、1−プロピリデニル(=CHCH2CH3)、2−プロピリデニル(=C(CH3)2)、1−ブチリデニル(=CHCH2CH2CH3)、2−メチル−1−プロピリデニル(=CHCH(CH3)2)、2−ブチリデニル(=C(CH3)CH2CH3)、1−ペンチル(=CHCH2CH2CH2CH3)、2−ペンチリデニル(=C(CH3)CH2CH2CH3)、3−ペンチリデニル(=C(CH2CH3)2)、3−メチル−2−ブチリデニル(=C(CH3)CH(CH3)2)、3−メチル−1−ブチリデニル(=CHCH2CH(CH3)2)、2−メチル−1−ブチリデニル(=CHCH(CH3)CH2CH3)、1−ヘキシリデニル(=CHCH2CH2CH2CH2CH3)、2−ヘキシリデニル(=C(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3−ヘキシリデニル(=C(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、3−メチル−2−ペンチリデニル(=C(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4−メチル−2−ペンチリデニル(=C(CH3)CH2CH(CH3)2)、2−メチル−3−ペンチリデニル(=C(CH2CH3)CH(CH3)2)、及び3,3−ジメチル−2−ブチリデニル(=C(CH3)C(CH3)3)である。
該アルキリデニルは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。加えて、該アルキリデニルは、随意に、1つ又は複数の非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)で中断することができる。
「アルケニリデニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、つまり炭素−炭素、sp2二重結合を有する第一級、第二級、第三級、又は環式の炭素原子を含有するC2〜C2炭化水素を指す。例には、アリリデニリル(allylidenyl)(=CHCH(CH2)及び5−ヘキセニリデニル(5-hexenylidenyl)(=CHCH2CH2CH2CH=CH2)が含まれるが、これらに限定されない。
該アルケニリデニルは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。加えて、該アルケニリデニルは、随意に、1つ又は複数の非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)で中断することができる。
「アルキレン」は、炭素原子が1〜18個の飽和した分岐鎖状又は直鎖状又は環式の炭化水素ラジカルを指し、親アルカンの同一又は異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することにより誘導された2つの一価ラジカル中心を有する。典型的なアルキレンラジカルには、メチレン(−CH2−)1,2−エチル(−CH2CH2−)、1,3−プロピル(−CH2CH2CH2−)、及び1,4−ブチル(−CH2CH2CH2CH2−)などが含まれるが、これらに限定されない。
該アルキレンは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。加えて、該アルキレンは、随意に、1つ又は複数の非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)で中断することができる。さらに、該アルキレンは、随意に、少なくとも部分的に不飽和であってもよく、それによりアルケニレンを提供する。
「アルケニレン」は、炭素原子が2〜18個の不飽和の分岐鎖状又は直鎖状又は環式の炭化水素ラジカルを指し、親アルケンの同一又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することにより誘導された2つの一価ラジカル中心を有する。典型的なアルケニレンラジカルには、1,2−エチレン(−CH=CH−)が含まれるが、これに限定されない。
該アルケニレンは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。加えて、該アルケニレンは、随意に、1つ又は複数の非過酸化物オキシ(−O−)、チオ(−S−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、スルホニル(SO)、又はスルホキシド(SO2)で中断することができる。
「アルコキシ」という用語は、アルキル−O−基を指し、アルキルは本明細書で定義されている。好ましいアルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、及び1,2−ジメチルブトキシなどが含まれる。
該アルコキシは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルキリデニル、アルケニリデニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及びCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。
「アリール」という用語は、単環(例えば、フェニル)又は多重縮合(融合)環を有する、炭素原子が6〜20個の不飽和芳香族炭素環基を指し、そこでは、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、又はアントリル)である。好ましいアリールには、フェニル及びナフチルなどが含まれる。
該アリールは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及びCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。
「シクロアルキル」という用語は、単環式の環又は多重縮合環を有する、炭素原子が3〜20個の環式アルキル基を指す。そのようなシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロオクチルなどの単環式構造、又はアダマンタニルなどの多重環式構造が含まれる。
該シクロアルキルは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及びCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。
該シクロアルキルは、随意に、少なくとも部分的に不飽和であってもよく、それによりシクロアルケニルを提供する。
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。同様に、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
「ハロアルキル」は、本明細書で定義されている1〜4個のハロ基で置換された本明細書で定義されているアルキルを指し、ハロ基は同一でもよく又は異なっていてもよい。代表的なハロアルキル基には、例として、トリフルオロメチル、3−フルオロドデシル、12,12,12−トリフルオロドデシル、2−ブロモオクチル、及び3−ブロモ−6−クロロヘプチルなどが含まれる。
「へテロアリール」という用語は、本明細書では、1、2、又は3個の芳香族環を含有し、芳香族環に少なくとも1個の窒素、酸素、又は硫黄原子を含有する単環式、二環式、又は三環式の環系と定義され、例えば、1つ又は複数の及び特に1〜3個の、ハロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、及びアルキルスルホニルのような置換基で置換されていてもよく又は置換されていなくともよい。へテロアリール基の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、4nH−カルバゾリル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、β−カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンナオリニル(cinnaolinyl)、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル(imidizolyl)、インダゾリル、インドリシニル(indolisinyl)、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、ナフト[2,3−b]、オキサゾリル、ペリミジニル(perimidinyl)、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル(phenarsazinyl)、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアンスレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びキサンテニル。1つの実施形態では、「へテロアリール」という用語は、炭素原子、並びに非過酸化物酸素、硫黄、及びN(Z)の群から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する5又は6個の環原子を含有する単環式芳香族環を指し、ここで、Zは存在しないか又はH、O、アルキル、フェニル、若しくはベンジルである。別の実施形態では、へテロアリールは、特にベンズ誘導体、又はプロピレン若しくはテトラメチレンジラジカルをそれに融合させることにより誘導されたものから誘導された、環原子が約8〜10個のオルト融合二環式ヘテロ環を指す。
該ヘテロアリールは、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及びCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。
「ヘテロ環」という用語は、酸素、窒素、及び硫黄の群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、アルキル又はC(=O)ORbで随意に置換された飽和又は部分的に不飽和の環系を指し、ここでRbは水素又はアルキルである。典型的には、ヘテロ環は、酸素、窒素、及び硫黄の群から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含有する単環式、二環式、又は三環式の基である。ヘテロ環基は、その環に結合されたオキソ基(=O)を含有することもできる。ヘテロ環基の非限定的な例には、以下のものが含まれる:1,3−ジヒドロベンゾフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,4−ジチアン、2H−ピラン、2−ピラゾリン、4H−ピラン、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、モルホリン、ピペラジニル、ピペリジン、ピペリジル、ピラゾリジン、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジン、及びチオモルホリン。
該ヘテロ環は、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及びCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。
窒素ヘテロ環及びへテロアリールの例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、及びテトラヒドロフラニルなど、並びにN−アルコキシ−含窒素ヘテロ環。本発明の1つの具体的な実施形態では、該窒素ヘテロ環は、3−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−ピラジノ[3,2,1−jk]カルバゾール−3−イウムヨウ化物であり得る。
別のクラスのヘテロ環は、式[−(CH2−)aA−]の1つ又は複数の反復単位を有する特定のクラスのヘテロ環式化合物を指す「クラウン化合物」として知られており、ここでaは2以上であり、Aは個別の出現の各々において、O、N、S、又はPであり得る。クラウン化合物の例には、単なる例として、[−(CH2)3−NH−]3及び[−(CH2)2−O)4−((CH2)2−NH)2]などが含まれる。典型的には、そのようなクラウン化合物は、4〜10個のヘテロ原子及び8〜40個の炭素原子を有し得る。
「アルカノイル」という用語は、Rが上記で定義したアルキル基であるC(=O)Rを指す。
「アシルオキシ」という用語は、Rが上記で定義したアルキル基である−O−C(=O)Rを指す。アシルオキシ基の例には、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、及びペンタノイルオキシが含まれるが、これらに限定されない。上記で定義した任意のアルキル基を使用して、アシルオキシ基を形成することができる。
「アルコキシカルボニル」という用語は、Rが上記で定義したアルキル基であるC(=O)ORを指す。
「アミノ」という用語は−NH2を指し、「アルキルアミノ」という用語は−NR2を指し、ここで少なくとも1つのRはアルキルであり、第2のRはアルキル又は水素である。「アシルアミノ」という用語は、Rがアルキル又はアリールであるRC(=O)Nを指す。
「イミノ」という用語は、−C=NHを指す。
「ニトロ」という用語は、−NO2を指す。
「トリフルオロメチル」という用語は、−CF3を指す。
「トリフルオロメトキシ」という用語は、−OCF3を指す。
「シアノ」という用語は、−CNを指す。
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語は、−OHを指す。
「オキシ」という用語は、−O−を指す。
「チオ」という用語は、−S−を指す。
「チオキソ」という用語は、(=S)を指す。
「ケト」という用語は、(=O)を指す。
本明細書で使用される場合、「核酸塩基」は、平面状であり、芳香族であり、ヘテロ環である窒素含有塩基を指す。それらは、典型的には、プリン又はピリミジンのいずれか一方の誘導体である。好適な核酸塩基には、例えば、プリン、ピリミジン、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、及びチミンが含まれる。
核酸塩基は、随意に以下のもので置換することができる:1つ又は複数のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、NRxRy、及び/又はCOORx、式中各Rx及びRyは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、へテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、又はヒドロキシである。
1つ又は複数の置換基を含有する上記の基のいずれかに関して、そのような基は、立体的に非実用的な及び/又は合成的に実現不可能ないかなる置換又は置換パターンを含有しないことが当然理解される。加えて、本発明の化合物には、これら化合物の置換から生じる立体化学的異性体が全て含まれる。
本明細書に記載の化合物内の選択された置換基は、ある再帰度で存在する。この状況では、「再帰的置換基」とは、置換基が、それ自体の別の出現を繰り返してもよいことを意味する。そのような置換基の再帰的性質のため、理論的には、任意の所与の特許請求の範囲には、再帰的置換基が多数存在する場合がある。医薬品化学分野の当業者であれば、そのような置換基の総数が、目的化合物の所望の特性により合理的に制限されることを理解している。そのような特性には、限定ではなく例として、分子量、溶解度、又はlogPなどの物理的特性、目的の標的に対する活性などの応用特性、及び合成のしやすさなどの実際的な特性が含まれる。
再帰的置換基は、本発明の目的とする態様である。医学及び有機化学分野の当業者であれば、そのような置換基の多用途性を理解している。その総数は、上記で示したように、再帰的置換基が本発明の特許請求の範囲に存在する度合いに決定されるだろう。
本明細書に記載の化合物は、親化合物、親化合物のプロドラッグ、又は親化合物の活性代謝物として投与することができる。
「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが哺乳動物対象体に投与されると、本発明の活性親薬物又は他の方剤若しくは化合物をin vivoで放出する共有結合された任意の物質を含むことを目的としている。本発明の化合物のプロドラッグは、日常的な操作またはin vivoのいずれかで親化合物に修飾が切断されるように、該化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグには、プロドラッグが哺乳動物対象体に投与されると、切断されて遊離カルボニル、カルボン酸、ヒドロキシ、又はアミノ基を形成する任意の基に、カルボニル、カルボン酸、ヒドロキシ、又はアミノ基が結合されている本発明の化合物が含まれる。プロドラッグの例には、本発明の化合物にあるアルコール及びアミン官能基のアセテート、ホルメート、及びベンゾアート誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
「代謝産物」は、本発明のそのような活性親薬物又は他の方剤若しくは化合物が哺乳動物対象体に投与されると、本発明の活性親薬物又は他の方剤若しくは化合物と生細胞がin vivoで相互作用する生化学的プロセスに起因する任意の物質を指す。代謝産物には、任意の代謝経路に由来する産物又は中間体が含まれる。
「代謝経路」は、ある化合物を別の化合物に変換し、細胞機能に中間体及びエネルギーを提供する一連の酵素媒介性反応を指す。該代謝経路は、直線的であってもよく又は循環的であってもよい。
上記の教示に照らして、本発明には多数の改変及び変異が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、本明細書中の具体的な記載とは異なるように実施することができることが理解されるべきである。
本発明の化合物
したがって、1つの態様では、本明細書で開示されるのは、式I又は式IIの化合物
又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグであり、式中、
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数であり、例えば、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。
したがって、1つの態様では、本明細書で開示されるのは、式I又は式IIの化合物
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数であり、例えば、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。
幾つかの実施形態では、R1は、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R1は水素である。
幾つかの実施形態では、R2及びR3は、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R2及びR3は水素である。
幾つかの実施形態では、R9a及びR9bは、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R9a及びR9bは水素である。
幾つかの実施形態では、R4は、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、式中、R20は、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、及びフェニルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R4は、−OH、−OCH3、及び−OPh(フェノキシ)からなる群から選択される。これらの実施形態の特定の形態では、R4は−OHである。
幾つかの実施形態では、R5〜R8は、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R5及びR8は水素である。これらの実施形態の幾つかでは、R6及びR7はメチルである。
幾つかの実施形態では、R10及びR14は、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R10及びR14は水素である。
幾つかの実施形態では、R11及びR13は、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される。これらの実施形態の幾つかでは、R11及びR13は、t−ブチルである。
幾つかの実施形態では、R12は、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択され、式中、R20は、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、及びフェニルからなる群から選択される。これらの実施形態の特定の形態では、R20は水素である。幾つかの実施形態では、R12は、−OHである。
幾つかの実施形態では、nは、1〜5の整数であり、例えば、1、2、3、4、又は5である。これらの実施形態の幾つかでは、nは2であるが、他の実施形態では、nは3である。
別の態様では、本明細書で開示されるのは、CID−2858522として指定されている化合物又はその薬学的に許容される塩である。
CID−2858522
本発明の化合物は、周知の有機合成化学技術を使用して合成することができる。下記のスキーム1及び2は、本明細書で開示される化合物の幾つかの合成に使用される合成経路を示す。さらなる合成手順は、下記の実施例セクションに記載されている。
スキーム1
スキーム2
スキーム1
幾つかの実施形態では、スキーム1の最終ステップの環状アミンを非環状アルキルアミンに置換すると、2つの異なる産物:非環状ベンズイミダゾール類似体及び三環式ベンズイミダゾイミダゾール類似体が得られる。したがって、幾つかの実施形態では、式Iの化合物を酸性条件下で環化するか、又は加熱すると、式IIの化合物を形成することができる。そのような環化反応の一例は、下記のスキーム3に示されている。式Iの特定の化合物を生理学的条件下で環化して、式IIの類似体化合物を形成することができる。
スキーム3
スキーム3
本発明の化合物は、医薬組成物として製剤化し、選択した投与経路、つまり、経口、又は静脈内、筋肉内、局所的、若しくは皮下経路による非経口に適した様々な形態でヒト患者などの哺乳動物宿主に投与することができる。
本化合物は、例えば、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体などの薬学的に許容される媒体と組み合わせて、経口で全身投与してもよい。本化合物は、硬又は軟シェルゼラチンカプセルに封入してもよく、圧縮して錠剤にしてもよく、又は患者食の食品に直接組み入れてもよい。経口投与の場合、活性化合物を1つ又は複数の賦形剤と混合してもよく、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、及びウエハーなどの形態で使用することができる。そのような組成物及び調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。該組成物及び調製物のパーセントは当然変動する場合があり、便利には、所与の単位剤形の重量の約2〜約60%であってもよい。そのような有用組成物中の活性化合物の量は、有効用量レベルが取得される量である。
錠剤、トローチ剤、丸剤、及びカプセル剤などは、下記のものを含有することもできる:トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、及びアルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;及びスクロース、フルクトース、ラクトース、又はアスパルテームなどの甘味料、又はペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはチェリー香料などの香料を添加してもよい。単位剤形がカプセルである場合、上記のタイプの物質に加えて、植物油又はポリエチレングリコールなどの液体担体を含有していてもよい。他の種々の物質が、コーティングとして、又は別様に固形単位剤形の物理的形態を改変するために存在してもよい。例えば、錠剤、丸剤、又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラック、又は糖などでコーティングされていてもよい。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味料としてスクロース又はフルクトース、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、染料、並びにチェリー又はオレンジ香料などの香料を含有してもよい。当然、任意の単位剤形の調製に使用されるあらゆる物質は、薬学的に許容されており、使用される量では実質的に無毒性であるべきである。加えて、該活性化合物は、徐放性製剤及びデバイスに導入されてもよい。
該活性化合物は、点滴又は注射により静脈内又は腹腔内に投与することもできる。該活性化合物又はその塩の溶液は、水で調製することができ、随意に無毒性の界面活性剤と混合することができる。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びそれらの混合物、並びに油中でも調製することができる。通常の保管及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
注射又は点滴に好適な医薬剤形には、随意にリポソームに封入されている無菌の注射可能な又は点滴可能な液剤又は分散剤の即時調製に適している、活性成分を含む無菌水溶性液剤若しくは分散剤又は無菌散剤が含まれてもよい。全ての場合で、最終剤形は、製造及び保管条件下で無菌であり、液状であり、及び安定しているべきである。該液体担体又は媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、無毒性グリセリルエステル、及びそれらの好適な混合物を含む溶媒又は液体分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成により、分散剤の場合は必要な粒径の維持により、又は界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌及び抗真菌物質、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールなどによりもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、緩衝剤、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいだろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に使用することによりもたらすことができる。
無菌注射剤は、必要量の活性化合物を上記で列挙した他の種々成分と共に適切な溶媒に取込み、必要に応じてその後ろ過滅菌をすることにより調製される。無菌注射剤を調製するための無菌散剤の場合、好ましい調製法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、これらの技術により、以前に無菌ろ過した溶液に存在する活性成分+任意の追加的な所望の成分の粉末がもたらされる。
局所投与の場合、本化合物は、つまり本化合物が液体である場合は、純粋な形態で適用してもよい。しかしながら、一般的には、固形であってもよく又は液体であってもよい皮膚科的に許容される担体と併用して、本化合物を組成物又は製剤として皮膚に投与することが望ましいだろう。
有用な固形担体には、タルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、及びアルミナなどの微粉化固形物が含まれる。有用な液体担体には、随意に無毒性界面活性剤を用いて本化合物を有効なレベルに溶解又は分散することができる水、アルコール、若しくはグリコール、又は水−アルコール/グリコール混合液が含まれる。芳香剤及び追加的抗菌剤などのアジュバントを添加して、所与の使用に関する特性を至適化することができる。その結果生じる液体組成物は、吸収性パッドから適用してもよく、絆創膏及び他の包帯を含浸するために使用してもよく、又はポンプ型噴霧器若しくはエアゾール噴霧器を使用して患部にスプレーしてもよい。
合成高分子、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、変性セルロース、又は変性無機物質などの増粘剤を液体担体と共に使用して、使用者の皮膚に直接塗布するための塗布可能なペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、及び石鹸などを形成することができる。
本発明の化合物の有用な用量は、本化合物のin vitro活性及び動物モデルでのin vivo活性を比較することにより決定することができる。マウス及び他の動物での有効量をヒトに外挿するための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,938,949号の明細書を参照されたい。
一般的に、ローション剤などの液体組成物中の本発明の化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%だろう。ゲル剤又は散剤などの半固形又は固形組成物中の濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%だろう。
本化合物又はその活性塩若しくは誘導体の、単独使用又は他の化合物との併用使用に必要な量は、選択した特定の塩だけでなく、投与経路、治療する状態の性質、並びに患者の年齢及び状態に応じても変動し、最終的には主治医又は臨床医の判断によるだろう。
しかしながら、一般的に、好適な用量は、1日当たり体重1Kg当たり約0.5〜約100mg、例えば、1日当たり受容個体の体重1Kg当たり3〜約50mgなどの1日当たり体重1Kg当たり約10〜約75mgの範囲、好ましくは6〜90mg/kg/日の範囲、最も好ましくは15〜60mg/kg/日の範囲であってもよい。
本化合物は、例えば、1単位剤形当たり5〜1000mg、便利には10〜750mg、最も便利には50〜500mgの活性成分を含有する単位剤形で便利に投与することができる。
該活性成分は、約0.5〜約75μM、好ましくは約1〜50μM、最も好ましくは約2〜約30μMの活性化合物のピーク血漿中濃度を達成するように投与してもよい。これは、例えば、随意に生理食塩水中の0.05〜5%の該活性成分溶液の静脈注射により達成されてもよく、又は約1〜100mgの該活性成分を含有するボーラスとして経口投与されてもよい。望ましい血中レベルは、約0.01〜5.0mg/kg/時間を提供する持続点滴、又は約0.4〜15mg/kgの該活性成分(複数可)を含有する間欠点滴により維持することができる。
所望の用量は、単回用量で、又は適切な間隔で投与される分割用量で、例えば1日当たり2、3、又は4回以上のサブ用量として、便利に提供することができる。サブ用量自体が、例えば、吸入器からの複数回吸入又は目の中への複数回滴下投与などの、大まかに間隔をおいた多数の別々の投与にさらに分割されてもよい。
使用方法
別の態様では、抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する化合物を同定する方法であって、(a)NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるレポーター遺伝子で形質移入した細胞を含む水溶液を準備すること;(b)この溶液に試験化合物を添加すること;(c)この溶液にNF−κBを誘導する刺激を加えること;及び(d)該試験化合物が該刺激に対する細胞応答を低減するかどうかを決定することを含む方法が本明細書で開示される。幾つかの実施形態では、該試験化合物は、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物である。これらの実施形態の特定の形態では、該試験化合物はCID−2858522である。幾つかの実施形態では、該レポーター遺伝子は、NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子である。他の実施形態では、該試験化合物は、該刺激に対する応答を50%を超えて低減する。
別の態様では、抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する化合物を同定する方法であって、(a)NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるレポーター遺伝子で形質移入した細胞を含む水溶液を準備すること;(b)この溶液に試験化合物を添加すること;(c)この溶液にNF−κBを誘導する刺激を加えること;及び(d)該試験化合物が該刺激に対する細胞応答を低減するかどうかを決定することを含む方法が本明細書で開示される。幾つかの実施形態では、該試験化合物は、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物である。これらの実施形態の特定の形態では、該試験化合物はCID−2858522である。幾つかの実施形態では、該レポーター遺伝子は、NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子である。他の実施形態では、該試験化合物は、該刺激に対する応答を50%を超えて低減する。
別の態様では、細胞の抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する方法であって、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物と該細胞を接触させることを含む方法が、本明細書で開示される。これらの実施形態の特定の形態では、式Iの化合物はCID−2858522である。幾つかの実施形態では、該接触はin vivoであるが、他の実施形態では、該接触はin vitroである。
別の態様では、対象体の抗原受容体媒介性NF−κB活性化を選択的に阻害する方法であって、その必要性のある対象体を同定することと、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物を該対象体に投与又は該対象体と接触させることとを含む方法が、本明細書で開示される。これらの実施形態の同定の形態では、式Iの化合物はCID−2858522である。幾つかの実施形態では、該対象体は哺乳動物である。これらの実施形態の特定の形態では、該対象体はヒトである。
別の態様では、対象体の抗原受容体媒介性NF−κB活性化に関連する疾患を治療する方法であって、その必要性のある対象体を同定することと、本明細書に記載の式I又は式IIの化合物を該対象体に投与又は該対象体と接触させることとを含む方法が、本明細書で開示される。これらの実施形態の特定の形態では、式Iの化合物はCID−2858522である。幾つかの実施形態では、該対象体は哺乳動物である。これらの実施形態の特定の形態では、該対象体はヒトである。
化合物ライブラリースクリーニング
化合物ライブラリースクリーニングの戦略には、ホルボールエステル(ホルボールミリスチン酸アセテート[PMA])及びCa2+−イオノフォであるアイオノマイシンを使用して、抗原受容体経路の開始事象を模倣するPKC活性化を達成することが必要であった。便宜上、本発明者らは、siRNA媒介性遺伝子抑制及びドミナントネガティブ突然変異体の形質移入により、PMA/イオノマイシン誘導性NF−κB活性化が、CARMA1、Bcl−10、及びMALTに依存することが以前に示されているHEK293上皮細胞を使用した。HEK293細胞を、NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子で安定的に形質移入し、PMA/イオノマイシン及びTNFを含む種々のNF−κB誘導性刺激に対するこの組み込まれたプロモーターの応答性を確認した。これらの細胞を使用して、良好なアッセイ性能特性(Z’>0.5)を有する、96ウエル及び384ウエルプレートに基づくハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイを確立した(PubChem AID=1384)。本発明者らは、最初に、5μMの平均濃度の53,280個の化学化合物をスクリーニングし、そのうち519個の一次ヒットを取得した(50%阻害のカットオフに基づく)。これらのうち、248個を反復試験で確認した(図1)。
化合物ライブラリースクリーニングの戦略には、ホルボールエステル(ホルボールミリスチン酸アセテート[PMA])及びCa2+−イオノフォであるアイオノマイシンを使用して、抗原受容体経路の開始事象を模倣するPKC活性化を達成することが必要であった。便宜上、本発明者らは、siRNA媒介性遺伝子抑制及びドミナントネガティブ突然変異体の形質移入により、PMA/イオノマイシン誘導性NF−κB活性化が、CARMA1、Bcl−10、及びMALTに依存することが以前に示されているHEK293上皮細胞を使用した。HEK293細胞を、NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子で安定的に形質移入し、PMA/イオノマイシン及びTNFを含む種々のNF−κB誘導性刺激に対するこの組み込まれたプロモーターの応答性を確認した。これらの細胞を使用して、良好なアッセイ性能特性(Z’>0.5)を有する、96ウエル及び384ウエルプレートに基づくハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイを確立した(PubChem AID=1384)。本発明者らは、最初に、5μMの平均濃度の53,280個の化学化合物をスクリーニングし、そのうち519個の一次ヒットを取得した(50%阻害のカットオフに基づく)。これらのうち、248個を反復試験で確認した(図1)。
図1は、一次アッセイ並びに用量−応答実験の結果を示す。IC50が3μM未満である有効なヒットを、カウンタースクリーニングでさらに特徴付けて経路選択性を評価した。NIHライブラリーからの最も強力な化合物は、内因性のNF−κB誘導可能な遺伝子がコードするIL−8を測定した二次アッセイで抑制的でなかった。その後、本発明者らはバーナム医学研究所(Burnham Institute for Medical
Research)からの53,280個の化合物をスクリーニングした。519個の化合物のうち248個を、同じ一次スクリーニングアッセイを使用して再確認した。これら化合物を、カウンタースクリーニングを使用してさらに試験して、経路選択的阻害剤を同定した。11個の化合物が、ホルボールエステルにより活性化されるがTNFでは活性化されないNF−κBを選択的に阻害すると考えられた。これら11個の活性合物から、NF−κBレポーター遺伝子アッセイを使用して、及びNF−κB誘導性サイトカインIL−8の分泌を測定するアッセイも使用して、0.1μM未満の細胞効力(IC50)でPMA/イオノマイシン活性化NF−κB経路を選択的に阻害する1つのヒットが同定された。このヒットは、ジャーカットT細胞系でIL−2産生も部分的に抑制するが、CD40、CD4、NOD1、NOD2過剰発現誘導性NF−κBを阻害しなかった。CID−2858522は,in vitroキナーゼアッセイではIKK及びPKCを阻害せず、CID−2858522が抗原受容体経路に特異的であることを示した。
Research)からの53,280個の化合物をスクリーニングした。519個の化合物のうち248個を、同じ一次スクリーニングアッセイを使用して再確認した。これら化合物を、カウンタースクリーニングを使用してさらに試験して、経路選択的阻害剤を同定した。11個の化合物が、ホルボールエステルにより活性化されるがTNFでは活性化されないNF−κBを選択的に阻害すると考えられた。これら11個の活性合物から、NF−κBレポーター遺伝子アッセイを使用して、及びNF−κB誘導性サイトカインIL−8の分泌を測定するアッセイも使用して、0.1μM未満の細胞効力(IC50)でPMA/イオノマイシン活性化NF−κB経路を選択的に阻害する1つのヒットが同定された。このヒットは、ジャーカットT細胞系でIL−2産生も部分的に抑制するが、CD40、CD4、NOD1、NOD2過剰発現誘導性NF−κBを阻害しなかった。CID−2858522は,in vitroキナーゼアッセイではIKK及びPKCを阻害せず、CID−2858522が抗原受容体経路に特異的であることを示した。
レポーター遺伝子のTNFα誘導性活性化を阻害する化合物のカウンタースクリーニングにより202個の化合物を除外し、HEK293リポーター細胞系の細胞毒性試験により、2個の追加的化合物を差し引いて、46個の候補が残った。これらの化学薬品の新しい在庫品を注文し、そのうち11個がPMA誘導性NF−κBレポーター遺伝子活性の抑制を示した。最後に、HEK293リポーター細胞系でインターロイキン8(IL−8)のPMA誘導性分泌を測定した、したがって内因性NF−κB標的遺伝子を検討した直交性アッセイで、これら11個の候補を試験し、唯一の候補化合物CID−2858522が残った。(CID−17450324又はChemBridge−5653914)、2−アミノベンズイミドゾール(2-aminobenzimidzole)(図1、図2A)。CID−2858522は、別のPKC活性化因子であるホルボールジブトリエート(phorbol dibutryate)(PDBu)で誘導したNF−κB活性化も、NF−κBレポーター遺伝子アッセイを使用して、及びNF−κB誘導性サイトカインIL−8の分泌を測定するアッセイを使用して、0.1μM以下の細胞効力(IC50)で阻害した(図2E)。同じHEK293レポーター遺伝子細胞系を384ウエルプレート形式の一次HTSアッセイで使用して、及び化合物を特徴付けるための同様の追跡試験戦略を使用して、NIHにより提供された61,609個のライブラリーから追加的な化合物を獲得する試みは(PubChem AID586及びAID465)、その結果として所望の基準を満たした化合物をもたらさなかった。
ヒットの特異性を特徴付けるため、CID−2858522を他の8つのNF−κB経路でも試験した。CID−2858522は、CD40、CD4、NOD1、NOD2、XIAP/TAB、IAP2/MALT1の過剰発現で誘導したNF−κB活性化、又はドキソルビシン(PIDDの誘導因子、p53−誘導可能デスドメイン)若しくはレチノイン酸(RIG−1の誘導因子)のいずれかで誘導したNF−κB活性化を阻害せず、CID−2858522が抗原受容体経路に特異的であることを確認した。その後、CID−2858522の活性及び特異性をさらに確認するために、本発明者らは、種々の刺激で刺激した他の細胞系で該化合物を試験した。CID−2858522は、ジャーカットT細胞系でのIL−2産生(図4)、及び抗IgMで誘導したマウスB細胞脾細胞の増殖(図5)も部分的に阻害したが、リポポリサッカリド(LPS)で誘導したNF−κB(IL−6分泌をTHP.1細胞培養で測定した)、抗リンホトキシンβ受容体で誘導したNF−κB(NF−κBルシフェラーゼをヒーラ細胞で測定した)、γ−Tri−DAPで誘導したNF−κB(IL−8分泌をMCF−7細胞培養で測定した)、及びMDPで誘導したNF−κB(IL−6をTHP.1細胞培養で測定した)を阻害しなかった(データ非表示)。
HEK293−NF−κB−lucリポーター細胞系を使用して、250個を超えるCID−2858522の類似体を試験することにより、堅牢な構造活性相関性(SAR)が示され、この試験では、化合物構造内の種々の部分を調査し、その結果として、活性を全く失ったか又は著しく活性を低減させた200個を超える構造的に関連した類似体、およそ同程度の活性を有する10個の類似体がもたらされたが、明白に優れた活性を有する類似体はなかった(データは他所で公開する)。
CID−2858522は、ホルボールエステル刺激性NF−κB活性を強力に及び選択的に阻害する。化合物CID−2858522は、2−アミノベンズイミダゾールである(図2A)。代表的なデータは図2に示されており、CID−2858522の活性が、ライブラリースクリーニングからの別の化合物であるCID−2998237(図2A)及びPKC阻害剤ビスインドリルマレイミドIと対比されている。一次スクリーニングで使用したHEK293細胞系では、CID−2858522は、濃度依存的様式でNF−κBレポーター遺伝子活性を抑制し、IC50は約70nMであり、最大阻害は0.25〜0.5μMで達成された(図2B)。対照的に、この化合物は、4μMの高濃度でもTNF誘導性NF−κBレポーター遺伝子活性を阻害せず、したがってPMA/イオノマイシンで活性化されたNF−κB経路に対する選択性が示された(図2B)。細胞生存率アッセイにより、CID−2858522が8μM以下の濃度ではHEK293細胞に対して毒性がないこと、及び精製ルシフェラーゼを使用したin vitro酵素アッセイで測定されたほどルシフェラーゼ活性を抑制しなかったことが示され(非表示)、NF−κB阻害活性に関するこれらの瑣末な説明を除外した。さらに、CID−2858522は、エピゾームプラスミドからのNF−κBルシフェラーゼレポーター遺伝子活性を測定した一過性形質移入アッセイにおいて、PMA/イオノマイシン誘導性NF−κBレポーター遺伝子活性も強力に阻害し(非表示)、したがって測定した活性に対する染色体統合部位の影響は除外された。類似の結果が別の「ヒット」化合物CID−2998237で取得されたが、この化合物は、PMA/イオノマイシン誘導性レポーター遺伝子活性の抑制がそれほど強力でなく、TNF誘導性NF−κB活性のある程度の阻害を示した(図2C)。
一次スクリーニングに使用したHEK293遺伝子操作細胞系でのPMA/イオノマイシン刺激性NF−κBレポーター遺伝子活性の直交性アッセイは、真陽性化合物と偽陽性化合物を区別する重要なアッセイであることが判明し、ルシフェラーゼに基づくレポーター遺伝子に排他的に依存しないことが重要であることが示された。図2Dでは、CID−2858522と偽陽性化合物CID−2998237が比較されており、CID−2858522がPMA/イオノマイシン刺激性IL−8産生を濃度依存的様式で抑制し、IC50は0.1μM未満であり、最大抑制は約1μMで達成されたが、CID−2998237は、4μMの高濃度でもIL−8産生に最小限の影響しか及ぼさなかったことを示している。ライブラリースクリーニングからの幾つかの化合物が、PMA/イオノマイシンにより誘導されるがTNFでは誘導されないNF−κBレポーター遺伝子活性の抑制に関して同様の特徴を示したが(スクリーニングした53,280個の総化合物のうち、n=18)、CID−2858522のみが、PMA/イオノマイシン誘導性IL−8分泌を抑制した。
ホルボールジブトリエート(PDB)をPMAに置換した際に、同様の結果がCID−2858522について取得され(図2E)、したがってこの観察は代替的PKC活性化ホルボールエステルにまで拡張された。PDB誘導性NF−κBレポーター遺伝子活性及びHEK293細胞によるPDB誘導性IL−8産生の抑制に関するIC50値は、それぞれ約70nM及び約100nMであった。
CID−2858522は、核内NF−κBファミリータンパク質が、NF−κB結合部位を有するオリゴヌクレオチドを提示するビーズで捕獲され、p65Rel−Aが特異的抗体を使用して検出されるイムノアッセイで測定したところ、PMA/イオノマイシン刺激性NF−κB DNA結合活性も抑制した(図2F)。抑制は、0.1μMの最低濃度でも明白であり、約1μMで最大だった。しかしながら、CID−2858522は、本明細書で対照として使用したPKC阻害剤ビスインドリルマレイミドIと比較して、PMA/イオノマイシン誘導性p65−RelA DNA結合活性を部分的に阻害したにすぎなかった。PMA/イオノマイシン駆動性NF−κBレポーター遺伝子活性及びIL−8産生のより完全な抑制と比較すると、この観察は、p65−RelAに加えてNF−κBファミリーの追加的メンバーのPMA/イオノマイシン誘導性活性化が、HEK293細胞ではCID−2858522により阻害され、これら他のNF−κBファミリーメンバーが、測定された総NF−κBレポーター遺伝子活性及びIL−8遺伝子活性に寄付する可能性があることを示唆している。CID−2858522は、TNFで誘導したp65−DNA結合活性を阻止せず(データ非表示)、したがって経路選択性を示した。
CID−2858522は、他のNF−κB経路を阻害しない。NF−κBは少なくとも9つの既知経路により活性化され得るため、本発明者らは、次に、プラスミドでの適切なサイトカイン形質移入による刺激、又は各NF−κB活性化経路を開始させる種々の作用剤による刺激のいずれかにより、HEK293細胞のこれらの経路の各々を誘発させた(図3)。CID−2858522の活性を、NF−κB活性化経路を全て阻止するというIKK化学阻害剤の能力に依存して、対照としてのIKK阻害剤BMS−345541と比較した。第1に、本発明者らは、CD4の細胞外ドメインがTLR4の膜貫通及び細胞質ドメインと融合されたCD4−TLR4融合タンパク質での形質移入によりTLR経路を刺激し、それにより抗CD4抗体(天然リガンドであるリポポリサッカリド[LPS]ではなく)を使用して、TLR4を活性化する。TLR4は、堅牢なNF−κBレポーター遺伝子活性を誘導し(50倍を超える増加)、該活性は、IKK阻害剤BMS−345541により抑制されたが、CID−2858522及びPKC阻害剤ビスインドリルマレイミドIでは抑制されなかった。第2に、「代替的」NF−κB経路を、HEK293細胞内でCD40を過剰発現することにより刺激した。CD40誘導性NF−κBレポーター遺伝子活性は、IKK阻害剤により強力に抑制されたが、CID−2858522又はPKC阻害剤では抑制されなかった。第3に、本発明者らは、HEK293NF−κB−luc細胞でNOD1(NLRC1)又はNOD2(NLRC2)を過剰発現することにより、NLR依存性NF−κB経路を刺激した。NOD1及びNOD2は、NF−κBルシフェラーゼレポーター遺伝子活性の6〜7倍の増加を誘導し、該活性は、IKK阻害剤により阻害されたが、CID−2858522では阻害されなかった。第4に、NF−κB活性化のIAP開始経路を、cIAP2/MALT腫瘍性タンパク質又はXIAP+TABのいずれかをコードするプラスミドで293−NF−κB−ルシフェラーゼ細胞を形質移入することにより誘導した。IKK阻害剤は、これらのIAP駆動性経路を効果的に抑制したが、CID−288522は抑制しなかった。第5に、HEK293−NF−κB−luc細胞をドキソルビシンで刺激することにより、NF−κB活性化のDNA損傷誘導可能経路を誘発し、これにより、NF−κB活性の約12倍の増加がこれら細胞で誘導された。この場合もまた、IKK阻害剤は、NF−κB活性を抑制したが、CID−2858522は抑制しなかった。最後に、レチノイン酸(RA)誘導可能経路を、オールトランス型レチノイン酸で細胞を処理することにより誘導した。RAは、HEK293細胞でNF−κB活性のあまり大きくない約3倍増加を誘導し、該活性は、IKK阻害剤により著しく抑制されたが、CID−2858522では抑制されなかった。したがって、TNFで活性化した「古典的」NF−κB経路がCID−2858522により阻害されないことを示すデータ(図2)と一緒にすると、これらのデータは、本発明者らの化合物が、PKC活性化因子により開始されるNF−κB経路を特異的に抑制することを示す。
CID−2858522は、ジャーカットT細胞によるTCR刺激性IL−2産生を部分的に抑制する。T細胞では、抗原受容体は、NF−κB、NF−AT、及びAP−1含む、IL−2遺伝子プロモーターに収束する幾つかのシグナル伝達経路を刺激する。リンパ球のTCR開始性のNF−κB駆動性事象に対するCID−2858522の効果を評価するために、本発明者らは、IL−2遺伝子発現に結びつくTCRシグナル伝達を研究するためのモデルとして広範に利用されているジャーカットT−白血病細胞を使用した。これらの実験の場合、ジャーカット細胞を、CID−2858522、IKK阻害剤、又はPKC阻害剤の存在下又は非存在下で、抗CD3(TCR複合体を活性化するため)及び抗CD28(共刺激剤)又はPMA/イオノマイシンのいずれかで刺激し、次いで培養液上清中のIL−2産生を24時間後に測定した。抗CD3/CD28及びPMA/イオノマイシンは両方とも、ジャーカットT細胞によるIL−2産生の著しい増加を刺激し、CD3/CD28はPMA/イオノマイシンよりも強力だった(図4A)。IKK阻害剤は、PMA/イオノマイシン誘導性IL−2産生を部分的に抑制し、抗CD3/CD28誘導性IL−2産生を10μM以下の濃度で本質的に完全に抑制した(約90%抑制)(図4B)。PKC阻害剤は、CD3/CD28又はPMA/イオノマイシンのいずれかで刺激したジャーカット細胞で、IL−2産生を0.5μM未満の濃度で80〜90%抑制した(図4C)。対照的に、CID−2858522は、CD3/CD28及びPMA/イオノマイシンで刺激したジャーカット細胞によるIL−2産生を、10μM未満の濃度でおよそ半分(IC50)に抑制した(図4D)。CID−2858522、IKK阻害剤、又はPKC阻害剤によるジャーカット細胞でのIL−2産生の抑制は、細胞毒性によるものではなかった(図4E)。
CID−2858522は、CD3/CD28で刺激したジャーカットT細胞によるIL−2産生のその抑制とは対照的に、TLR4アゴニストLPSで刺激したTHP.1単球によるIL−6産生、NOD1アゴニストγ−TriDAPで刺激したMCF7乳癌細胞でのIL−8産生、又は抗リンホトキシンβで誘導したヒーラ細胞でのNF−κBルシフェラーゼ活性を抑制せず(図1に要約されているように)、これらの全てに他のNF−κB活性化経路が関与している。したがって、CID−2858522は、遺伝子形質移入に依存するのではなく、幾つかのNF−κB活性化経路の内因性構成要素を誘発する際の経路選択性も示した。
CID−2858522は、抗IgMで誘導したマウス初代B細胞増殖を阻害する。NF−κBは、抗原受容体駆動性リンパ球増殖に役割を果たす。したがって、本発明者らは、3Hチミジン取込みを測定することにより、抗CD3/CD28又は抗IgM抗体で誘導したマウスリンパ球(B細胞及びT細胞の両方)の増殖に対するCID−2858522の効果を試験した。抗CD3/CD28及び抗IgMは、マウスリンパ球培養におけるDNA合成の約80倍及び約8倍の増加をそれぞれ著しく誘導した(図5A)。IKK及びPKC阻害剤は、濃度依存的様式でリンパ球増殖を抑制し、B細胞(抗IgM)(IKK阻害剤のIC50は約2μM;PKC阻害剤の場合、約0.2μM)を、T細胞(抗CD3/CD28)より強力に阻害した(IKK阻害剤の場合、IC50は約4μM;PKC阻害剤の場合、約1.5μM)(図5B、C)。対照的に、CID−2858288は、濃度依存的様式で抗IgM−誘導性リンパ球増殖を阻害し、IC50は約2μMであったが、抗CD3/CD28に対しては最小限の効果を示し、CID−2858288のNF−κB抑制機序は、T細胞よりB細胞でより優れていることが示唆された。しかしながら、CD3/CD28は抗IgMより強力な増殖応答を刺激するため、本発明者らは、この観察については定性的ではない定量的な説明を除外することができない。
リンパ球の抗原受容体シグナル伝達に対するCID−2858522の効果をさらに評価するため、本発明者らは、末梢血リンパ球の90%超が腫瘍性B細胞である慢性リンパ球白血病(CLL)の患者に由来するB細胞を使用した。ビオチン化抗IgM(ストレプトアビジンを使用して架橋されている)による刺激は、その結果としてNF−κBの内因性標的であるTRAF1の発現をもたらした(図5E)。抗IgMで刺激したCLL B細胞の培養にCID−285252を添加することにより、刺激の24時間後に測定した3つの事例のうち3例で、TRAF1誘導が阻害された(図5E)。NF−κBでは制御されないアクチン及びTRAF6のレベルは、いかなる変化も示さず、したがって選択性が示され、等しいタンパク質負荷が確認された。対照として、CLL B細胞を、HEK293細胞のPMA/イオノマイシン誘導性NF−κBルシフェラーゼ活性化又はIL−8産生を阻害しない、構造的に関連しているが不活性である2−アミノベンズイミダゾール類似体MLS−0292123でも処理し、MLS−0292123がTRAF1発現を阻害しなかったことが示された(図5E、5F)。陽性対照として、CLL B細胞を、PKC阻害剤ビスインドリルマレイミドIでも処理し、これはTRAF1発現も阻害した。抗IgMで刺激したTRAF1発現に対するCID−2858522の効果は、ATPレベルの測定により確認したところ、分析した期間中は細胞毒性によるものではなかった。TRAF1発現を使用したNF−κB活性化の間接証拠に加えて、CID−2858522は、抗IgMで誘導したヒトCLL B細胞のp65−DNA結合活性に対して直接的抑制も示したが、その不活性類似体MLS−0292123は抑制しなかった(図5E)。したがって、CID−2858522は、B細胞抗原受容体により刺激されるNF−κB活性化を阻害する。
CID−2858522は、強力なプロテインキナーゼ阻害剤ではない。プロテインキナーゼは、NF−κB活性化に重大な役割を果たす。PKCは、PMA/イオノマイシン並びにT及びB細胞抗原受容体により活性化されるNF−κB経路の近位キナーゼであるが、IKKは、これら及び他のNF−κB経路の末端セグメントで機能する遠位キナーゼである。したがって、本発明者らは、CID−2858522が、これらキナーゼファミリーのメンバーを阻害するかどうかをin vitroキナーゼアッセイで試験した。これらの実験の場合、本発明者らは、PKCベータ及びPKCシータ(TCR/BCRシグナル伝達に関与するPKCファミリー)、並びにIKKベータ(IKK複合体の構成要素)を試験した(図6)。8μMまでの濃度では、CID−2858522はこれらキナーゼを抑制しなかったが、既知のPKC及びIKK阻害剤並びに広域性キナーゼ阻害剤スタウロスポリン(STS)は、強力な阻害を示した。したがって、CID−2858522は、PKCベータ、PKCシータ、又はIKKベータを直接阻害しない。従来のin vitroキナーゼアッセイによるこれら3つのキナーゼの評価に加えて、目的のヒトキナーゼが固有な標識(Ambit)に融合されている活性部位依存的競合結合アッセイであるハイスループットスクリーニング法、KINOMEscan(商標)を使用して、キノームスクリーニングを実施した。固定化された活性部位特異的リガンドに結合したキナーゼの量を、試験化合物の存在下及び非存在下で測定する。CID−2858522は、調査した353のプロテインキナーゼのうち3つのプロテインキナーゼ:Raf(57%阻害)、TLK1(70%阻害)、及びJAK2(53%阻害)のみを10μMで50%を超えて抑制したが、これらはいずれも明らかにNF−κB制御に関与していない。したがって、CID−2858522は、以前にNF−κB制御に関連していると考えられているプロテインキナーゼをどれも阻害しない。
抗原受容体活性化NF−κB経路におけるCID−2858522の作用部位のマッピング。これらキナーゼのスクリーニングに基づいて、本発明者らは、CID−2858522がPKCとIKKとの間のどこかに作用して、CARMAファミリータンパク質、Bcl−10、MALT、TRAF6(Ubc13に結合して、IKKγ/NEMOの63位リジン結合ポリユビキチン化を誘導する)、IKKγ、及びカスパーゼ8を誘導することが知られている抗原受容体シグナル伝達に関与するNF−κB経路を阻害すると推定した。NF−κBを活性化のこれら考え得る抗原受容体経路の標的に対するCID−2858522の効果を特徴付けるために、本発明者らは、まずCarma1のPMA誘導性リン酸化をリン酸特異抗体イムノブロッティングにより評価したところ、CBM複合体の形成を開始させるこの分子的事象に対するCID−2858522の効果は見出されなかった(図7A)。次に、本発明者らは、共免疫沈降(共IP)実験を実施し、形質移入したHEK293細胞のCARMA1又はCARMA3のいずれかとBcl−10、MALT、TRAF6、IKKγ、及びカスパーゼ8との相互作用を、PMAによる刺激前後で評価した。PMAは、CARMA1又はCARMA3とこれらタンパク質の各々との結合を誘導又は増加させ、それは、PKC阻害剤ビスインドリルマレイミドIで阻害されたが、CID−2858522では阻害されなかった(図7B〜E)。CID−2858522は、細胞又は溶解産物の双方で、PMA/イオノマイシンで誘導したCARMA/MALT1/Bcl−10(CMB)複合体の形成を妨害しなかった。
カスパーゼ8は、抗原受容体媒介性NF−κB活性化に本質的な役割を果たす。MALT1がカスパーゼ8と相互作用し、抗原受容体活性化の際にこのプロテアーゼを活性化することが最近報告された。本発明者らは、特異的カスパーゼ8阻害剤であるz−ITED−fmk、又はカスパーゼ8siRNAが、PMA/Ionにより誘導されるNF−κBルシフェラーゼ活性化を著しく阻害することができるため、HEK293細胞でも、カスパーゼ8活性化がNF−κB活性化に必要だったことを確認した。その後、本発明者らは、この時点でCID−2858522がこの経路に影響を与えるかどうかを調べた。PMAは、Flag−MALT1及びカスパーゼ8を過剰発現するHEK293細胞で、MALT1−カスパーゼ8相互作用を著しく誘導した。この相互作用は、PKC阻害剤により阻害されたが、CID−2858522では阻害されなかった。カスパーゼ8 p43/41プロセシング中間体が、PMA/Ion処理後にHEK293細胞で産生された。しかしながら、それは、PKC阻害剤により阻害されたが、CID−2858522では阻害されなかった(データ非表示)。その後、本発明者らは、抗原受容体媒介性NF−κB活性化に必要であると最近になって示されたカスパーゼ8媒介性の事象であるc−FLIPのPMA誘導性タンパク質分解プロセシングに対するCID−2858522の効果を評価した。PMA/イオノマイシンによる刺激後のHEK293細胞に由来する溶解産物の免疫ブロット分析は、c−FLIPプロセシングを示し(図7F)、該プロセシングはPKC阻害剤により完全に阻害されたが、CID−2858522によっては影響を受けなかった。したがって、CID−2858522は、カスパーゼ8活性化及びc−FLIPプロセシングを阻害しなかった。
最後に、本発明者らは、IKK−βリン酸化を調べた。IKK−βのリン酸化は、HEK293細胞ではPMA/イオノマイシンにより誘導され、CID−2858522により著しく阻害されたが、その不活性類似体MLS−0292123では阻害されなかった(図7G)。対照的に、CID−2858522は、TNFα誘導性IKK−βリン酸化を阻害せず、経路選択性を示した。本発明者らは、これらの研究から、CID−2858522が、PMA/イオノマイシン誘導性NF−κBを、CBM複合体形成、カスパーゼ8活性化、及びc−FLIPプロセシングの下流の、しかしIKK−βリン酸化の上流のポイントで阻害すると結論付けた。
NF−κBの化学阻害剤は、自己免疫、炎症、及び癌用の治療薬としての潜在的使用に広く探究されてきた。しかしながら、薬学的に最も扱いやすいNF−κB活性化の標的であるIKKは、既知のNF−κB活性化経路全てに共有されている構成要素であり、したがって選択性を欠如している。この点に関して、NF−κB活性は、微生物並びに種々のウイルス性及び細菌性病原体に対する先天性免疫及び宿主防御に必要である。宿主防御障害に加えて、NF−κB経路の広域性抑制は、基礎的NF−κB活性を低減し、生存因子としてのNF−κBの機能を妨害する可能性があり、潜在的に毒性副作用に結びつく。例えば、IKK−βノックアウトマウスは、制御されない肝臓アポトーシスにより妊娠中期で死亡する。さらに、基礎研究用の研究ツール化合物を生成するという観点から、どのような細胞状況で特定の経路が特定の細胞応答に重要であるかを明らかにする経路選択的阻害剤を有することは有用だろう。
化学生物学的戦略を使用して、本発明者らは、PKC及び抗原受容体により誘導されるNF−κB活性化経路を選択的に阻害する阻害剤の化学ライブラリースクリーニングを考案した。この経路は、後天性免疫(先天性免疫ではなく)に特異的に関与しており、多数の自己免疫疾患並びに幾つかのタイプのリンパ腫及びリンパ性白血病に関連している。また、PKC機能亢進は幾つかの固形腫瘍に関連しているため、本明細書で調査した経路も様々な悪性疾患に関連している可能性がある。PKC及び抗原受容体と関連するNF−κB活性化経路には、9つの既知NF−κB活性化経路の中のこの経路に特異的なタンパク質、すなわちCARMA(Bimp)ファミリータンパク質Bcl−10及びMALTが必要であることが知られている。抗原受容体シグナル伝達の状況下でPKCによりCARMA1がリン酸化されると同時に、これらタンパク質は複合体を形成し、該複合体は、Ubc13に結合するE3リガーゼであるTRAF6を動員し、その結果IKKγ/NEMOの63位リジン結合ポリユビキチン化がもたらされ、その結果としてIKK活性化がもたらされる。カスパーゼ8も動員され、その結果としてNF−κBの抗原受容体誘導性活性化に必要な事象であるc−FLIPのタンパク質分解プロセシングがもたらされる。IKK活性化に必要なこの複合体の構成要素は完全には知られていない場合があり、活性複合体は、精製された構成要素を使用してin vitroで再構成されておらず、したがって生化学的スクリーニングが困難になる。このため、細胞に基づく化学ライブラリースクリーニング戦略が、唯一の実用的な選択であった。
PMA/イオノマイシンにより刺激されるNF−κB駆動性レポーター遺伝子を含有するHEK293細胞を使用し、その後本発明者らが、これら同じ細胞により分泌された内因性NF−κB標的遺伝子のタンパク質産物(例えばIL−8)レベルを測定した直交性スクリーニングを使用して、本発明者らは、114,889個の化合物をスクリーニングし、その結果として所望の特性を有する唯一の化合物、CID−2858522がもたらされた。この2−アミノベンズイミダゾール化合物は、HEK293細胞のNF−κBレポーター遺伝子活性及びPKC活性化因子で誘導したIL−8産生を強力に阻害し、IC50は0.1μM未満であったが、他の8つのNF−κB活性化経路のアゴニストによるNF−κBレポーター遺伝子活性化を阻害しなかった(図1)。CID−2858522は、ジャーカットT細胞によるCD3/CD28及びPMA/イオノマイシンで刺激したIL−2産生、及び抗IgMで刺激した初代マウスリンパ球の増殖も部分的に抑制し(図4及び5)、これは抗原受容体により活性化されるNF−κB活性化経路の選択的アンタゴニストに予測される表現型である。
CD3/CD28及びPMA/イオノマイシンで刺激したジャーカットT細胞によるIL−2産生が、CID−2858522により部分的に抑制されたに過ぎなかったという観察は、NF−κBが、NF−κB、NFAT、AP−1を含むIL−2遺伝子プロモーターの幾つかの転写調節因子の1つに過ぎないという知見と一致する可能性がある。同様に、CD3(TCR)又は表面IgM(BCR)と架橋する抗体で培養リンパ球を刺激すると様々なNF−κB活性化サイトカインが産生されるとすれば、CID−2858522が、抗IgMで刺激した初代B細胞の増殖を部分的にしか阻害せず、抗CD3/CD28で刺激したT細胞増殖への効果が最小限であったことは驚くべきことではないと考えられる。対照的に、IKK阻害剤は、約5μMの濃度で本質的に完全にリンパ球増殖を抑制し、それが既知のNF−κB活性化経路を全て中和することができることと一致する。CID−2858522は、CLL B細胞の内因性NF−κB標的遺伝子であるTRAF1の抗IgM刺激性発現も阻害した。この点に関して、TRAF1遺伝子プロモーターは、4つのNF−κB標的部位及びTATAボックスを含有するが、他の認識可能な転写エレメントを本質的に含有せず、したがってこのプロモーターは初代細胞でのNF−κB活性の良好な代用マーカーになる。T細胞及びB細胞での抗原受容体媒介性NF−κB活性化(PKC活性化の上流)に関与する機序は異なっているが、PKC活性化後の下流事象は著しい類似性を共有する。CARMA1、Bcl−10、及びMALT1が、抗原受容体誘導性NF−κB活性化、並びにT細胞及びB細胞の両方の増殖に必要であることが、ノックアウトマウスモデルにより示された。しかしながら、CARMA1突然変異マウスは、正常なT細胞発生を示すがB細胞の発生障害を示し、MALT1欠損は、B細胞活性化MALT1に中程度の効果を示すのみであり、抗原受容体がT細胞及びB細胞においてPKC活性化の下流でNF−κBを刺激するシグナル伝達機構は著しい類似性を共有しているが、それらは同一ではない可能性があることを示す。この点に関して、抗原受容体及びPKCの他の上流活性化因子が、複数の経路によりNF−κB活性化を誘導し、CID−2858522がそれらのうちの1つのみを阻害するということも可能である。例えば、本発明者らは、CID−2858522が、HEK293細胞においてPMA/イオノマイシンで誘導したNF−κB活性を阻害するが、HEK293T細胞においては阻害しないことを観察し、後者はSV40ウイルス大型T抗原を発現する。したがって、PKCがNF−κB活性を誘導する経路は、細胞の状況に依存しており、本発明者らの化合物は細胞タイプ依存性を示す。転写プロファイリング、ホスホプロテオミクス、又は他の方法によるHEK293細胞とHEK293T細胞との比較は、この細胞タイプ依存性の分子基盤に対する洞察を提供することができる。CID−2858522が標的とするNF−κB経路構成要素に対する種々のリンパ球サブセットの依存性が、HEK293対HEK293T細胞と同じように異なるかどうかを研究することも興味深いだろう。これら細胞タイプ特異的な特性により、CID−2858522は、治療の観点から開発できると判明していてもよく又なくともよい特徴である、生物学的な状況での種々のNF−κB経路の役割を識別するための興味深い研究ツール化合物になる。CID−2858522に対するHEK293対HEK293T細胞感受性の差は、化学生物学的実験での細胞系バイアスの影響も例示する。HEK293細胞の代りにHEK293T細胞を使用していれば、CID−2858522は同定されていなかっただろう。
CID−2858522がPKC誘導性NF−κB活性を抑制する機序は、まだ決定されていない。本発明者らは、この化合物の作用部位を、PKCの下流及びIKK−βの上流にマッピングした。PKCは、CID−2858522により阻害されなかった事象であるCARMA1のリン酸化を誘導する。この化合物は、Bcl−10、MALT、TRAF6、カスパーゼ8、又はIKKγのCARMA1/CARMA3へのPMA誘導性動員も阻害せず、カスパーゼ8活性化又はFLIPタンパク質分解プロセシングも阻害しなかった。哺乳動物のCARMAファミリータンパク質には、3つのメンバーが含まれており、それらは全て、N末端CARDドメイン、続いてコイルドコイルドメイン、PDZドメイン、SH3ドメイン、及びC末端グアニル酸キナーゼ様(GUK)ドメインを含有する。脾臓、胸腺、及び末梢血白血球(PBL)で主に発現されるCARMA1は、抗原受容体シグナル伝達に明白に関与している。対照的に、CARMA3は、広範囲の組織で発現されるが、脾臓、胸腺、又はPBLでは発現されず、CARMA2は胎盤でのみ発現される。CARMAファミリーの限定的メンバーの抑制は、CD3/CD28又はPMA/イオノマイシンで刺激したジャーカット細胞によるIL−2産生、及び初代培養リンパ球の増殖などの事象のCID−2858522による部分的阻害の別の妥当性のある説明を提供することができる。
要約すると、化学生物学的手法を使用して、本発明者らは、抗原受容体により使用されるPKC開始性NF−κB活性化経路の選択的化学阻害剤を同定した。この化合物及びその活性類似体は、このNF−κB阻害剤の細胞応答における役割を解明するための新規な研究ツールを提供し、治療上有用であり経路選択的なNF−κB阻害剤を開発するための新しい道筋を明らかにする能力を有する。
本発明を、以下の非限定的な例によりさらに説明する。
実施例1:化学反応
2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール。10gの4,5−ジメチルフェニレンジアミン、16gのエチルキサントゲン酸カリウム、100mLのエタノール、及び14mLの水の混合液を、500mLのエルレンマイヤーフラスコに加え、加熱して還流した。3時間後、3.4gの木炭(Norit A)を添加し、さらに10分間還流した。該Noritをろ過し、ろ過液を60〜70℃に加熱した。温溶液に100mL温水道水及び8mLの酢酸を16mLの水に添加し、よく撹拌した。酢酸溶液を添加すると、該混合物は泡状固形物になった。該混合物を4℃の冷蔵庫中に3時間置いておいた。固形物をろ過しP2O5で乾燥して、8.1g(62%)の黄褐色固形物を得た。この化合物をさらなる精製をせずに使用した。
2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール。10gの4,5−ジメチルフェニレンジアミン、16gのエチルキサントゲン酸カリウム、100mLのエタノール、及び14mLの水の混合液を、500mLのエルレンマイヤーフラスコに加え、加熱して還流した。3時間後、3.4gの木炭(Norit A)を添加し、さらに10分間還流した。該Noritをろ過し、ろ過液を60〜70℃に加熱した。温溶液に100mL温水道水及び8mLの酢酸を16mLの水に添加し、よく撹拌した。酢酸溶液を添加すると、該混合物は泡状固形物になった。該混合物を4℃の冷蔵庫中に3時間置いておいた。固形物をろ過しP2O5で乾燥して、8.1g(62%)の黄褐色固形物を得た。この化合物をさらなる精製をせずに使用した。
2−ブロモ−5,6−ジメチルベンズイミダゾール(8)。40mLの酢酸及び48%の4.2mL水性HBrの冷却溶液に、5gの1を添加した。このスラリーに、5.2mLの臭素を10分間にわたってゆっくりと滴下した。該反応物はオレンジ色になり、臭素の半分を添加した後で撹拌不能になり、固体を崩壊させるためには手作業による撹拌又は機械的撹拌が必要だった。臭素の添加後、80mLの酢酸を添加し、該混合物を室温で撹拌した。4.5時間後、該混合物を90mLの水で希釈し、0℃に冷却した。固形NaOHの添加により、該混合物のpHを4に調節した。塩基性化すると、溶液から固形物が析出した。それをろ過し、終夜乾燥して、薄オレンジ色の固形物として2g(32%)の産物を得た。1H NMR(300MHz、DMSO−d6)δ2.25(s、6H)、7.20(s、2H)。MS(ESI)計算値 C9H9BrN2 m/z=223.99、225.99、測定値 m/z=225.24、227.25[M+H]。
アセトフェノン(5)の臭素化の基本手順。6mLのCH2Cl2を含有したフラスコに、適切なアセトフェノン(3.1mmol)を添加した。これに、12mLCH2Cl2中のBr2(4.03mmol)溶液をアルゴン下で添加した。該反応液を終夜撹拌し、15mLのCH2Cl2で希釈した。該有機反応物を、飽和重炭酸ナトリウムで2回洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。該粗生成物を、適切な溶媒系を使用したフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製した。
1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−6−イル)−2−ブロモエタノン。EtOAc/ヘキサン1:3を使用して、163mgの白色固形物を単離した。(TLC EtOAc/シクロヘキサン 1:9 Rf=0.41)。(1H 300MHz CDCl3)δ4.37(s、2H)、δ6.07(s、2H)、δ6.88(d、J=8.2、1H)、δ7.45(q、J=2.0、1H)、δ7.59(d、J=8.4、1.7 1H) MS(ESI)(陰イオン)、C9H7BrO3の計算値[M−H]242.06。
ブロモベンズイミダゾールのアルキル化の基本手順。フラスコに、1.2mL DMF中の適切なブロモベンズイミダゾール(0.6mmol)、臭素化アセトフェノン(0.66mmol)、及びK2CO3(1.3mmol)を添加した。該溶液を、室温で終夜撹拌した。該反応混合物を10%クエン酸に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。該有機層を合わせて、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。該粗物質を、適切な溶媒系を用いてカラムクロマトグラフイーで精製した。
ベンズイミダゾールライブラリー(7)合成の基本手順。1ドラムのバイアルに、適切なアルキル化ブロモベンズイミダゾール 6(0.01mmol)及び環状アミン(0.1mmol)を添加し、110℃に加熱した。4時間後、該反応物を室温に冷却し、産物を単離した。該反応混合物を、0.5mLのEtOAcに溶解し、2NのHCl(0.5mL)で洗浄した。この酸を飽和重炭酸ナトリウムで中和し、EtOAc(0.5mL)で2回抽出した。該有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥し、乾燥するまで濃縮した。該単離した物質をさらなる精製をせずに使用した。
3−(5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)プロパン−1−オール(9)。50mgの8及び100μLの3−アミノプロパノールを1ドラムのバイアルに添加し、TLC分析に基づいて反応が完了するまで125℃に加熱した。該反応液を室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム/酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して褐色残渣を得た。該粗生成物を、10%MeOH/EtOAcを使用して調製用TLCで精製した。Rf=0.25で単離されたバンドから、37.3mg(76%)の薄褐色残渣を得た。MS(ESI)計算値 C12H17N3O m/z=219.14、測定値 m/z=220.56[M+H]。
標的ベンズイミダゾール合成の基本手順。19mgの適切なアクルイルアミノベンズイミダゾール(aklylaminobenzimidazole)及び32mgの適切なブロモアセトフェノン 5を、1ドラムのバイアル中の0.5mLブタノールに添加した。該反応液を、TLC解析に基づいて反応が完了するまで115℃に加熱した。該ブタノールを除去し、該粗混合物を飽和重炭酸ナトリウム/酢酸エチルで抽出した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥するまで濃縮した。該粗混合物を、5%MeOH/EtOAcを使用して調製用TLCで精製した。
2−(2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノン(1)。Rf=0.3。1H NMR(CDCl3、300MHz)ä 0.87〜1.00(m、2H)、1.49(s、18H)、2.22(s、3H)、2.26(s、3H)、3.52(t、J=5.6、2H)、3.61(t、J=5.5、2H)、5.60(s、2H)、6.87(s、1H)、7.05(s、1H)、7.97(s、2H)。MS(ESI)計算値 C28H39N3O3 m/z=465.30、測定値 m/z=466.82[M+H]。
1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)−2−(2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)エタノン。Rf=0.4。MS(ESI)計算値 C29H41N3O3 m/z=479.31、測定値 m/z=480.53[M+H]。
2−(2−(3−メトキシプロピルアミノ)−5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノン(33)。Rf=0.4。1H NMR(CDCl3、300MHz)δ 1.49(s、18H)、1.89〜1.97(m、2H)、2.28(s、3H)、2.29(s、3H)、3.25(s、3H)、3.52(t、J=5.6、2H)、3.60(t、J=5.5、2H)、5.16(s、2H)、6.79(s、1H)、7.27(s、1H)、7.91(s、2H)。MS(ESI)計算値 C29H41N3O3 m/z=479.31、測定値 m/z=480.23[M+H]。
2−(2−(3−メトキシプロピルアミノ)−5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)−1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)エタノン(34)。Rf=0.6。1H NMR(CDCl3、300MHz)ä1.44(s、18H)、1.89〜1.97(m、2H)、2.28(s、3H)、2.29(s、3H)、3.25(s、3H)、3.52(t、J=5.6、2H)、3.60(t、J=5.5、2H)、3.72(s、3H)、5.18(s、2H)、6.79(s、1H)、7.27(s、1H)、7.95(s、2H)。MS(ESI)計算値 C30H43N3O3 m/z=493.33、測定値 m/z=494.13[M+H]。
1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−(ブチルアミノ)−5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)エタノン(40)。Rf=0.8。1H NMR(CDCl3、300MHz)ä0.90〜0.95(m、3H)、1.47(s、18H)、1.57〜1.68(m、4H)、3.44–3.50(m、2H)、3.61(t、J=5.5、2H)、5.14(s、2H)、6.82(s、1H)、7.28(s、1H)、7.92(s、2H)。MS(ESI)計算値 C29H41N3O2 m/z=463.32、測定値 m/z=464.35[M+H]。
実施例2:生化学的/生物学的アッセイ
物質及び方法
試薬。ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、イオノマイシン、ムラミルジペプチド(MDP)、レチノイン酸(RA)、ドキソルビシン、及びγ−Tri−DAPは、Sigma−Aldrich社製(セントルイス、米国ミズーリ州)であり、ホルボールジブトリエート(PDBu)、PKC阻害剤(ビスインドリルマレイミドI)、及びIKK阻害剤(BMS−345541)はCalbiochem社製(ギブスタウン、米国ニュージャージー州)だった。抗マウスCD3、抗マウスCD28、抗マウス−IgMは、Biomeda社(フォスターシティ、米国カリフォルニア州)から取得した。抗ヒトCD3、抗ヒトCD28、及び抗マウスIgG抗体は、R&D System社製(ミネアポリス、米国ミネソタ州)だった。抗ヒトTRAF6抗体は、記載されている。HA−IKK−γ、XIAP、HA−TAK1、TAB1、CD4−TLR4 CD40、NOD1、NOD2、cIAP1/MALT、カスパーゼ8、及びカスパーゼ8(C360S)、並びにTRAF6をコードするプラスミドは、以前に記載されている。Myc−CARMA1及びCARMA3は、Xin Lin博士(テキサス大学、M.D.、アンダーソン癌センター(Anderson Cancer Center))からの寄贈だった。
物質及び方法
試薬。ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、イオノマイシン、ムラミルジペプチド(MDP)、レチノイン酸(RA)、ドキソルビシン、及びγ−Tri−DAPは、Sigma−Aldrich社製(セントルイス、米国ミズーリ州)であり、ホルボールジブトリエート(PDBu)、PKC阻害剤(ビスインドリルマレイミドI)、及びIKK阻害剤(BMS−345541)はCalbiochem社製(ギブスタウン、米国ニュージャージー州)だった。抗マウスCD3、抗マウスCD28、抗マウス−IgMは、Biomeda社(フォスターシティ、米国カリフォルニア州)から取得した。抗ヒトCD3、抗ヒトCD28、及び抗マウスIgG抗体は、R&D System社製(ミネアポリス、米国ミネソタ州)だった。抗ヒトTRAF6抗体は、記載されている。HA−IKK−γ、XIAP、HA−TAK1、TAB1、CD4−TLR4 CD40、NOD1、NOD2、cIAP1/MALT、カスパーゼ8、及びカスパーゼ8(C360S)、並びにTRAF6をコードするプラスミドは、以前に記載されている。Myc−CARMA1及びCARMA3は、Xin Lin博士(テキサス大学、M.D.、アンダーソン癌センター(Anderson Cancer Center))からの寄贈だった。
細胞工学。HEK293細胞を、pUC13−4xNFκB−Luc及びp−TK−ピューロマイシン耐性プラスミドで同時形質移入した。安定したクローンを、10%加熱不活化ウシ胎仔血清(FBS)(Hyclone社製)、1μg/mLピューロマイシンを含有する1%容積/容積のペニシリン−ストレプトマイシン(InVitrogen社製)で補完したダルベッコ変法イーグル培地(InVitrogen社製)での培養により選択した。個々のクローンを、PMA/イオノマイシン誘導性及びTNF誘導性NF−κBレポーター遺伝子活性に対する応答性について試験し、HTS用のクローンを選択した。
化合物。50,000個の化合物を有するChemBridgeライブラリー(サンディエゴ、米国カリフォルニア州)、2,000個の化合物を有するMicrosource Spectrumコレクション(グロトン、米国コネティカット州)、1,280個の化合物を有するLOPACライブラリー(Sigma社)、及び61,609個の化合物を有するNIHライブラリーを含む化学ライブラリーを、細胞性NF−κBルシフェラーゼリポーターアッセイを使用してスクリーニングした。
HTS。白色96ウエルプレート(Greiner Bio−One社製)においてNF−κBルシフェラーゼ発現HEK293細胞を、1ウエル当たり105個、90μl DMEM中(1ウエル当たり)に播種し、終夜インキュベートした。10μlの化合物含有溶液を、液体ハンドラー(Biomek(商標)FX;Beckman Coulter社製)を使用して、各ウエルに添加した(1%DMSO中1.5μg/mLの最終濃度)。2時間のインキュベーション後、DMEM中の11μl PMA(終濃度100ng/mL;Calbiochem社製)及びイオノマイシン(終濃度50ng/mL;Calbiochem社製)を使用して、細胞を刺激した。細胞プレートを16時間インキュベートした後で培地を除去し、40μlの0.5×受動溶解緩衝液(Promega Corp.社製)を細胞プレートに添加した。プレートを少なくとも15分間室温で静置させた後、40μlの0.125×ルシフェリン基質(Promega Corp.社製)を各ウエルに添加した。ルミネセンス法(0.1秒読取り/ウエル)を使用して、Criterion Analyst(商標)を用いて30秒以内でプレートを分析した。
カウンタースクリーニング及び2次アッセイ。TNF経路の阻害剤についてのカウンタースクリーニングには、HEK293−NFκB−Luc細胞を、1ウエル当たり105個の細胞で白色96ウエルプレート(Greiner Bio−One社製)の1ウエル当たり90μL培地に播種し、終夜培養した後で、化合物(培地中5μL)を細胞に添加した。2時間のインキュベーション後、5μLのTNF(200ng/ml)(R&D Systems社製)を添加し(最終濃度10ng/mL)、細胞を16時間インキュベートした。ルシフェラーゼ活性を、Briteliteキット(Perkin Elmer社製)を使用して測定した。TLR4、CD40、NOD1、NOD2、cIAP2/MALT、又はXIAP/TABで誘導したNF−κBの阻害剤についてのカウンタースクリーニングには、上記のように96ウエルプレートで培養した293−NF−κB−luc細胞を、化合物で2時間前処理し、その後1ウエル当たり100ngのDNAを含む0.2μLの形質移入試薬を使用し、pcDNA3(「空ベクター」対照)又はCD4−TLR4、CD40、NOD1、NOD2、cIAP2/MALT、XIAP/TABをコードするプラスミドを含む種々のプラスミドを、リポフェクタミン2000を使用して形質移入した。細胞をCID−2858522化合物又は他の化合物を含有する培地で培養し、48時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。或いは、293−NF−κB−ルシフェラーゼ細胞を、16μMのオールトランス型レチノイン酸と共に48時間、又は2μMのドキソルビシンと共に48時間培養した後で、ルシフェラーゼレポーター遺伝子活性を測定した。ルシフェラーゼ阻害剤についてのカウンタースクリーニングを、1ウエル当たり45μLのATPlite溶液及びルシフェラーゼ(Perkin Elmer社製)を含有する96ウエル白色プレート(Greiner Bio−one社製)で実施した。5μLリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した化合物を、8μMの最終濃度で添加した。その後、50μLのPBS中160nM ATP(Sigma社製)の添加により反応を開始させ、ルシフェラーゼ活性を、ルミノメータ(LJLバイオシステムズ社製、サニーベール、米国カリフォルニア州)を使用して2時間後に測定した。
細胞生存率アッセイ。細胞生存率は、ATPliteキット(Perkin Elmer社製)を使用して測定した細胞ATPレベルに基づいて推定した。105/mLの密度の細胞を、1ウエル当たり90μLで96ウエル白色プレートに播種し、終夜培養した。化合物をウエルに添加し(培地中5μL)、細胞を16時間培養した。最後に、50μLのATPlite溶液を各ウエル添加し、発光活性をルミノメータ(LJLバイオシステムズ社製、サニーベール、米国カリフォルニア州)を使用して判読した。
リンホカイン測定。培地中のヒトIL−2又はIL−8のレベルを、96ウエルELISAプレート(BD Biosciences社製)を使用し、メーカーのプロトコールに従ってBD OptEIA ELISA(BD Biosciences社製、サンディエゴ、米国カリフォルニア州)を使用して、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)で測定し、SpectraMax190型分光光度計(Molecular Devices社製)を使用して、反応開始の30分以内に吸光度を測定した。
NF−κB活性の2重ルシフェラーゼアッセイ。96ウエル黒色プレートに播種した細胞を、リポフェクタミン2000を使用して、ウミシイタケルシフェラーゼプラスミド及びNF−κB応答性ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミドで、pcDNA3対照で、又は種々の所望のタンパク質をコードするプラスミドで同時形質移入した。培地を吸引し、細胞をPBSで洗浄した後で1ウエル当たり50μLの受動溶解緩衝液(Promega社製)を添加し、その後、2重ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega社製)を添加し、分光蛍光計を使用してホタルルシフェラーゼ活性及びウミシイタケルシフェラーゼ活性を測定した。
NF−κB DNA結合活性アッセイ。核抽出物を、キット(Active Motif社製、カルスバド、米国カリフォルニア州)を使用して、10cm2プレートのコンフルエント細胞から調製した。核分画の総タンパク質含量をブラッドフォード法で定量化し、その後−80℃で保管した。核抽出物(10μgタンパク質)でのNF−κB DNA結合活性を、NF−κBコンセンサス結合部位(5’−GGGACTTTCC−3’)を含有する二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド及び抗p65抗体をコーティングした96ウエルプレートを使用したイムノアッセイ法(TransAMキット[活性モチーフ])を使用して測定し、該抗体を、分光光度計SpectraMax M5(Molecular Devices社製、サニーベール、米国カリフォルニア州)を使用して5分以内に450nmで判読される吸光度を示す発色基質を使用して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体で検出した。
リンパ球増殖アッセイ。脾細胞を正常Balb/cマウスから単離し、マウス赤血球溶解キット(R&D Systems社製、ミネアポリス、米国ミネソタ州)を使用して赤血球を除去した。脾細胞を、10%FBS、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、及び1mM L−グルタミンで補完したRMPI−1640培地に懸濁した。細胞を2×106細胞/mLに希釈し、200μLを丸底96ウエルプレートに播種し、5%CO2で37℃及び95%相対湿度でインキュベートした。培地で希釈した化合物又はDMSOで細胞を2時間前処理し、次いで抗CD3/抗CD28又は抗IgM抗体で48時間処理した後、1μCi[3H]−チミジン(MP Biomedical社製、ソロン、米国オハイオ州)を12時間添加した。FilterMate Harvester(Perkin Elmer社製)を使用して、細胞をガラス繊維フィルター(Wallac社製、ツルク、フィンランド)に移動し、乾燥させ、DNAへの[3H]取込みを、シンチレーション計数器Betaplate Scint(Perkin Elmer社製)並びにMicroBetaTrilux LCS及び発光計数器(Perkin Elmer社製)により定量化した。
慢性リンパ性白血病(CLL)細胞培養。CLL患者に由来する末梢血単核細胞を、IRB承認の下で、フィコール密度勾配遠心分離により全血から取得し、10%FBS及び抗生物質で補完したRPMI1640培地で培養した。
In Vitroキナーゼアッセイ。PKCベータ、PKCシータ、及びIKKベータin vitroキナーゼアッセイを、メーカーのプロトコールに従ってHTScanキナーゼアッセイキット(Cell Signaling社製、ダンバーズ、米国マサチューセッツ州)を使用して実施した。300個を超えるキナーゼの一団は、Ambit Inc.社によりスクリーニングされた。
本明細書に記載の方法により合成した幾つかの化合物を、NF−κB活性化阻害に関する効能について試験した。結果を下記の表1及び2に示す。
出版物、特許、及び特許出願は全て、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書では、本発明が、その特定の好ましい実施形態に関して記載されており、多くの詳細は例示目的で示されているが、当業者であれば、本発明にはさらなる実施形態の余地があり、本明細書に記載されている特定の詳細は、本発明の基本原理から逸脱せずに相当変更することができることを理解しよう。
Claims (22)
- 式I又は式IIの化合物
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数である化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグ。 - R1が、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R2及びR3が、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R9a及びR9bが、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R5〜R8が、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、R20が、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、及びフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R4が、−OH、−OCH3、及び−OPhからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R5及びR8が水素である、請求項1に記載の化合物。
- R6及びR7がメチルである、請求項1に記載の化合物。
- R10及びR14が、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R11及びR13が、各々独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- R12が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、及びt−ブチルからなる群から選択され、R20が、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、及びフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- nが1〜5の整数である、請求項1に記載の化合物。
- 前記化合物が以下の構造を有する、請求項1に記載の化合物:
- 式I又は式IIの化合物
式中、
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数である医薬組成物。 - 抗原受容体を介したNF−κBの活性化を選択的に阻害する化合物を同定する方法であって、
(a)NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるレポーター遺伝子で形質移入した細胞を含む水溶液を準備することと、
(b)前記溶液に試験化合物を添加することと、
(c)前記溶液にNF−κBを誘導する刺激を加えることと、
(d)前記試験化合物が、前記刺激に対する細胞応答を低減するかどうかを決定することとを含み、
前記試験化合物が、式I又は式IIの化合物
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数である方法。 - 前記レポーター遺伝子が、NF−κB応答性プロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子である、請求項16に記載の方法。
- 前記試験化合物が、前記刺激に対する応答を50%を超えて低減する、請求項16に記載の方法。
- 抗原受容体を介したNF−κBの細胞内での活性化を選択的に阻害する方法であって、前記細胞を式I又は式IIの化合物
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数である方法。 - 前記接触が、in vivo又はin vitroである、請求項30に記載の方法。
- 対象体で抗原受容体を介したNF−κBの活性化を選択的に阻害する方法であって、その必要性のある対象体を同定することと、式I又は式IIの化合物
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数である方法。 - 対象体にて抗原受容体を介したNF−κBの活性化と関連する疾患を治療する方法であって、
その必要性のある対象体を同定することと、式I又は式IIの化合物
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R2、R3、R9a、及びR9bが、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R4が、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、及び−C(O)R20からなる群から選択され、
R5〜R8及びR10〜R14が、各々独立して、水素、−OR20、−SR20、−C(O)OR20、−C(O)R20、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、
R20が、水素、アルキル、シクロアルキル、及びアリールからなる群から選択され、及び
nが、0〜10の整数である方法。
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