JP2010287317A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鍋90の高温部を含め、鍋90及びプレート20から放射される赤外線を受光する複数の検出素子が縦方向に配列された検出素子アレー62を備えた赤外線センサ60と、複数の検出素子からの出力値に基づいて検出領域Xにおける高温部Yの位置を判定する高温部判定部82と、検出素子アレー62から高温部Yまでの距離を算出する距離算出部83と、高温部Yの見込み角θを算出する見込み角算出部85と、複数の検出素子のうち最も高い温度を検出した検出素子の出力値を補正して高温部Yの温度を検出する温度補正部86とを備えた。
【選択図】図4
Description
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器100を示す側面断面模式図である。図1において、誘導加熱調理器100の本体10の上面には、例えばセラミクスなどの耐熱性材料で構成されて鍋90などの被加熱物を載置するプレート20が配置され、プレート20の下方には加熱コイル30が設置されている。また、鍋90を加熱する際の加熱温度等を設定する各操作スイッチ(図示せず)を備えた操作パネル40と、誘導加熱調理器100のオン/オフ状態や設定温度、加熱状態を表示する表示パネル50を備える。さらに本体10には、検出領域Xから放射される赤外線を受光する赤外線センサ60と、赤外線センサ60からの出力を温度情報に変換して出力する温度検知回路70と、マイコン80が設けられている。なお、本発明の温度検出手段は、本実施の形態1では赤外線センサ60と温度検知回路70に相当する。
図2は、本実施の形態1に係る誘導加熱調理器100に載置される鍋90の構成を説明する図である。図2(A)は鍋90の側面を、図2(B)は鍋90の底面を示している。
図2(A)に示すように、鍋90の鍋肌側面Gから鍋底Bに連なる面は曲面を形成している。この曲面を形成する部分の下部であってプレート20と接地する部分を高温部Y(本発明の側面下部の高温部に相当)と称し、高温部Yの高さをh1とする。また、図2(B)に示すように、鍋底Bは半径rの略円形であり、半径rの値は予めマイコン80に保持されている。
鏡面を有する鍋90は、例えばステンレス製の場合には赤外線反射率は約0.8と比較的高く、赤外線放射率は約0.2と低い。しかし、鍋90の側面下部は一般的に曲面を形成しており、周囲温度に対応する赤外線がその側面下部へ入射した場合に、赤外線のほとんどがプレート20に向かって反射する。そして、プレート20は赤外線放射率は1.0と高いので赤外線のほとんどを吸収する。このために、鍋90の側面下部を赤外線センサ60の受光領域に収めた場合に、ノイズ要因である周囲温度に対応する赤外線が赤外線センサ60に直接受光されないこととなる。
Qm=Sm・σ・εm・Tm4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
εm:容器の放射率 Tm:容器の温度
Q1=Fm・Qm=Fm・Sm・σ・εm・Tm4‥‥‥‥‥‥‥(2)
また、赤外線センサ60や鍋90を取り囲む物体すなわちプレート20の一部の面積Sgから鍋90の一部の面積Smへ到達する全放射熱量Qgは形態係数をFgとすると、下記の(3)式となる。なお、ここで形態係数Fgとはプレート20からの全放射熱量に対し、鍋90へ到達する放射熱量の割合を示す。
Qg=Fg・Sg・σ・εg・Tg4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3)
εg:プレートの放射率 Tg:プレートの温度
Q2=Fm・(1−εm)・Qg =Fm・(1−εm)・Fg・Sg・σ・εg・Tg4‥‥‥(4)
つまり、赤外線センサ60へ到達する全放射熱量Qは上記の(2)式と(4)式とが合体して、下記の(5)式となる。
Q=Q1+Q2
=Fm・Sm・σ・εm・Tm4+Fm・(1−εm)・Fg・Sg・σ・εg・Tg4
=Fm・σ(Sm・εm・Tm4+Fg・Sg・εg・Tg4−Fg・Sg・εm・εg・Tg4)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(5)
ここで、通常はTm>Tgであって熱量がその温度の4乗式となる関係上、εmは大きい方が赤外線センサ60へ到達する放射熱量Qは大きい値となる。
lim Fg=Sm/Sg‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(6)
そして、(6)式を前述の(5)式に代入すると下記の(7)式となる。
Q=Fm・σ(Sm・εm・Tm4+(Sm/Sg)・Sg・εg・Tg4−εm・(Sm/Sg)・Sg・εg・Tg4)=Fm・σ・Sm(εm・Tm4+εg・Tg4−εm・εg・Tg4)‥‥‥‥‥‥‥‥‥(7)
また、εg≒1、Tm4=Tg4のときは前記の(7)式は下記の(8)式となる。
Q=Fm・Sm・σ・εg・Tg4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(8)
そして、本実施の形態1では、この高温部Yの高さh1は予め計測されてマイコン80に保持されているものとする。
赤外線センサ60は、鍋90の側面からプレート20の表面に跨る位置の受光領域、すなわち検出領域Xから放射される赤外線を検出するものであり、赤外線を集光する集光レンズ61、複数の検出素子が縦方向に配列された検出素子アレー62を備える。検出素子アレー62の各検出素子は、検出領域Xから発せられる赤外線を検出し、検出信号を温度検知回路70に出力する。
図5(A)に示すように、検出素子アレー62は、検出素子1〜検出素子8が縦方向に8個配列されて構成されている。検出素子1〜検出素子8は、所定の視野角内の赤外線を受光することができる。なお、本実施の形態1では検出素子が8個である場合を例に説明するが、検出素子の数はこれに限定されるものではない。また、以下の説明及び図面において、検出素子1等を、単に「素子1」等と表記する場合がある。
また、鍋の種類によって高温部Yの高さh1も小さくなる。例えば、鍋肌側面Gから鍋底Bに連なる曲面のR(半径)がR=5mmの場合、高温部Yの高さh1も約1.69mmと小さくなる。このため、赤外線センサ60から鍋90までの距離が遠い場合には視野角αを見込み角θで満たすことができない場合がある。
図8に示すように、検出素子アレー62を構成する8つの検出素子は、それぞれ視野角α内の受光領域x1〜x8の赤外線を受光する。図8の例では、鍋90の高温部Yは受光領域x6に含まれているので、高温部Yから放射される赤外線は受光素子6により受光される。
ステップS102において、各検出素子の温度情報を取得したマイコン80は、補間部81により、取得した温度情報の補間処理を行う。
図10は補間部81の機能ブロック図、図11は補間処理を示すフローチャート、図12は図11に対応する補間処理の説明図、図13は補間処理結果を示すグラフである。
図10において、補間部81は、2倍のインターポレータ回路811とインターポレータ回路812を直列接続した構成であり、8つの検出素子が検出した温度を4倍のサンプリング周波数とする補間を行う。なお、インターポレータ回路811とインターポレータ回路812は同様の構成である。
(S1021)
まず、8素子の検出温度のうち、i番目の素子の温度Tiを、図11に示す式により赤外線量xiに変換する。i=1〜8であり、8素子すべての素子出力の変換を行うこととなる。なお、ステップS1021の式において、T0は検出素子アレー62の基準温度素子(図示せず)の検出温度、εは放射率、σはステファン・ボルツマン定数である。
(S1022)
次に、2倍のインターポレーションを行い、xi(i=1〜8)を、x’ii(ii=1〜16)に変換して2倍のサンプル数とする。具体的には、図12(A)に示す各素子の中間にデータを補間し、図12(B)に示すようにして素子数を仮想的に2倍にする。8素子のデータはステップS1021で算出したxi(i=1〜8)そのままであり、補間したデータは、図12の演算式に示す方法により算出する。なお、図12に示す演算式は一例である。このステップS1022の処理により、x’ii(ii=1〜16)という16個分のデータが得られる。
(S1023)
続けて、ステップS1022と同様にして2倍のインターポレーションを行い、x’ii(ii=1〜16)をx’iii(iii=1〜32)に変換して32個分のデータを得る。
(S1024)
ステップS1023で求めたx’iii(iii=1〜32)を、ステップS1024に示す式により温度T’iii(iii=1〜32)に変換する。
図13は、補間後の温度情報を示すグラフである。前述の図9と比較すると、横軸の素子数が4倍となり、iii=26が温度の最高値であることが分かる。
ステップS103では、補間部81による補間処理結果(図13のデータ)を取得したマイコン80は、高温部判定部82により高温部判定処理を行う。
図14は高温部判定処理を示すフローチャートである。図14に示すように、高温部判定部82は、図11の補間処理で得たT’iii(iii=1〜32)の32点の温度の中から、最大値を示すiii(1≦iii≦32)を求め、n(n=iii/4)を求める。図13の例の場合、最大値を示すのはiii=26であるので、n=6.5となる。
ステップS104では、距離算出部83は、赤外線センサ60の検出素子から高温部Yまでの距離を算出する。なお、以降の説明において、赤外線センサ60と検出素子アレー62の位置は同視できるものとして説明する。
図15は距離算出処理を説明する図であり、図15(A)は処理フロー、図15(B)は距離算出処理の概念図である。
図15(A)(B)に示す赤外線センサの高さhは、赤外線センサ60のプレート20からの高さであり、予め記憶部88に格納されている情報である。また、赤外線センサ60が水平方向に対して下向きに傾いて設置されている場合の設置角度θdも、予め記憶部88に格納されている。
ステップS105では、ステップS104で算出した高温部Yまでの距離Dを、表示パネル50に出力する。このとき、距離Dに基づいて鍋90の載置位置のずれを検知し、位置ずれがある場合にはその旨を使用者に報知するようにしてもよい。
図16は高温部見込み角算出処理を説明する図であり、図16(A)は処理フロー、図16(B)は高温部見込み角算出処理の概念図である。
図16(A)(B)に示す高温部Yの高さh1と検出素子アレー62の設置高さhは予め記憶部88に格納されている値であり、距離Dは距離算出部83にて算出した赤外線センサ60から高温部Yまでの距離である。
ステップS107では、温度推定部84の温度補正部86が、検出素子アレー62の検出素子1〜8が検出した温度の補正処理を行う。
ここで、補正処理を行う理由を説明する。まず、図17により検出素子アレー62を構成する検出素子1〜8の特性について説明する。検出素子1〜8は、図17(A)に示すような検出特性を有している。すなわち、検出素子の中心位置の赤外線の受光感度と比較すると、中心位置から離れるほどにその受光感度は低くなる。そして、検出素子の視野角αを超える範囲の赤外線も一部受光する。したがって、図17(B)に示すように、検出素子1〜8は隣接する他の素子と受光領域が重複する。
図19は、温度補正処理を示すフローチャートである。
まず、鍋肌温度Th、プレート温度Ttを求める(S1061)。鍋肌温度Tg、プレート温度Ttは、検出素子g(鍋肌検出素子g)、検出素子t(プレート検出素子t)が検出した温度であり、gとtはそれぞれ式6、式7で算出することができる。図8の例では、仮想素子n=6.5であるので、鍋肌検出素子gは検出素子5、プレート検出素子tは素子8となる。したがって、検出素子5が検出した温度を鍋肌温度Tgとし、検出素子8が検出した温度をプレート温度Ttとする。
このように、実際に検出素子が検出した温度を補正することにより、高温部Yの温度を算出することができる。
図7のステップS108では、上記のようにして検出した高温部Yの温度Tbを、表示パネル50に出力させる。上述の通り高温部Yの温度は鍋90の実際の温度とほぼ同じとみなすことができるから、高温部Yの温度を出力することで使用者に鍋90の温度を知らせることができる。
本実施の形態2では、前述の実施の形態1で算出した距離D(赤外線センサ60と高温部Yとの距離)に基づき、使用者が載置した鍋90の位置ずれを検出する動作例を説明する。
Dh−δ≦(D+r)≦Dh+δ
Dh:加熱エリア中心C1と検出素子アレー62との距離、δ:位置ずれ閾値
また、実施の形態1で述べた補間処理における計算値の算出方法は一例であり、他の補間アルゴリズムを用いることができる。
Claims (7)
- プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、前記プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱する誘導加熱調理器において、
前記プレートと前記調理容器との接触面を含む調理容器側面下部の高温部を含め、前記調理容器及び前記プレートから放射される赤外線を受光する複数の検出素子が縦方向に配列された検出素子アレーを備えた温度検出手段と、
前記複数の検出素子からの出力値に基づいて、前記検出素子アレーの検出領域における前記高温部の位置を判定する高温部判定手段と、
前記高温部判定手段の判定結果と、前記プレートを基準とする前記検出素子アレーの設置高さとに基づいて、前記検出素子アレーから前記高温部までの距離を算出する距離算出手段と、
前記高温部までの距離と、予め取得した前記高温部の高さとに基づいて、前記高温部の見込み角を算出する角度算出手段と、
前記高温部の見込み角に基づいて、前記複数の検出素子のうち最も高い温度を検出した検出素子の出力値を補正して前記高温部の温度を検出する温度補正手段とを備えた
ことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記複数の検出素子からの出力値を補間する温度補間手段を備え、
前記高温部判定手段は、前記温度補間手段による補間後の情報に基づいて前記検出素子アレーの検出領域における前記高温部の位置を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。 - 前記高温部判定手段は、
前記温度補間手段による補間後の情報のうち最高値を検出する仮想的な素子が存在するものとして、前記仮想的な素子の位置に基づいて前記検出素子アレーの検出領域における前記高温部の位置を判定する
ことを特徴とする請求項2記載の誘導加熱調理器。 - 前記温度補正手段は、前記検出素子の持つ検出特性に基づく補正を行う
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか記載の誘導加熱調理器。 - 前記温度補正手段による補正後の前記高温部の温度を出力する表示手段及び音声出力手段のいずれかまたは両方を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか記載の誘導加熱調理器。 - 前記距離算出手段が算出した前記高温部までの距離に基づいて、前記調理容器が前記誘導加熱手段の加熱領域に載置されているか否かを判断する制御手段と、
前記調理容器が前記誘導加熱手段の加熱領域に載置されているか否かを出力する表示手段及び音声出力手段のいずれかまたは両方を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか記載の誘導加熱調理器。 - 前記温度補正手段による補正後の前記高温部の温度に基づいて、前記誘導加熱手段の出力を制御する加熱制御手段を設けた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか記載の誘導加熱調理器。
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