JP2010286418A - 表面プラズモン発生装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】pn接合を有する活性層13と、前記活性層13中の一方側に形成されたn型領域(n型活性層13n)と、前記n型領域に接合して前記活性層13中の他方側に形成されたp型領域(p型活性層13p)を有し、前記活性層13の第1面に接触して形成された第1バリア層12と、前記活性層13の第1面とは反対の第2面に接触して形成された第2バリア層14と、前記n型活性層13nと前記p型活性層13pとで形成される前記活性層13のpn接合上に前記第2バリア層14と絶縁膜16を介して形成された金属体(ナノ金属体)21を有する。
【選択図】図1
Description
しかしながら非共鳴状態では散乱断面積が非常に小さいために入射光と表面プラズモンの結合効率が小さい。
このような場合であっても、散乱断面積の増加分は光の波長程度であるため、高い結合効率を得るためには入射光を回折限界まで集光したり、位置精度を高めたりする必要があり、装置が複雑になる。
したがって、電力‐表面プラズモン(E‐SP)変換効率が著しく低くなることが明らかである。
したがって、表面プラズモンのエネルギーhνは励起光のエネルギーと同等か、低くなる。
なお、このような形態では、表面プラズモンはインコヒーレントである。
利得媒体は光励起により正孔‐電子対を生成し、この電子‐正孔対のエネルギーが表面プラズモンに移動する。
したがって、表面プラズモンのエネルギーhνは励起光のエネルギーと同等か、低くなる。
何れの場合であっても、利得媒体を光励起するためには前述の共鳴散乱の場合と同じく、高精度の入射光の集光系が必要になる。また、入射光が100%利得媒体に吸収されるわけではない。入射光源に半導体レーザ光を利用する場合であっても、電力‐表面プラズモン変換効率は著しく低くなることが明らかである。
特に、後者の近視野系では、各種センシング、微粒子やDNAなどの捕獲、情報記録装置、近接場露光装置など、高強度の局在光を必要とする用途に利用できる。しかしながら、産業的な観点では、電力‐表面プラズモン変換効率が低いことや多くのシステム部品点数(特に光学部品)が多いこと、光学系に高精度な位置制御が求められることなどの問題を有している。
また、入射光が100%利得媒体に吸収されるわけではないので、入射光そのものが局在光に対してバックグラウンドノイズになりS/N比が低くなる。
また金属体がpn接合からの発光スペクトルに対応する波長で構造共鳴するような構造を備えることによって、コヒーレント表面プラズモンが生成できるため、電流注入型のスペーザーダイオードとなる。
[表面プラズモン発生装置の構成の一例]
本発明の第1実施の形態に係る表面プラズモン発生装置の構成の一例を、図1の概略構成斜視断面図および図2の部分拡大斜視断面図によって説明する。図1では、表面プラズモン発生装置の基本構成を示した。
上記基板11上(一方側の面)には、第1バリア層12、活性層13、第2バリア層14が順に積層されている。
同様に、上記n型活性層13nを挟む上記第1バリア層12の部分と上記第2バリア層14の部分は、n型領域で形成されている。したがって、上記n型活性層13n(例えばn‐GaInP層)は、n型第1バリア層12n(例えばn‐AlGaInP層)とn型第2バリア層14n(例えばn‐AlGaInP層)とに挟まれている。
上記p型領域は、例えば上記n型領域中にp型不純物の亜鉛(Zn)が拡散されることで形成されている。もちろん、p型不純物となるものであれば、亜鉛以外でもよい。例えばマグネシウムを用いることができる。
例えば、上記第1バリア層12にアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)層を用い、上記活性層13にガリウムヒ素(GaAs)層を用い、上記第2バリア層14にガリウムインジウムリン(GaInP)層を用いる。
また、上記p型活性層13pを挟む上記第1バリア層12の部分と上記第2バリア層14の部分は、p型領域で形成されている。したがって、上記p型活性層13p(p‐GaAs層)は、p型第1バリア層12p(p‐AlGaAs層)とp型第2バリア層14p(p‐GaInP層)とに挟まれている。
同様に、上記n型活性層13nを挟む上記第1バリア層12の部分と上記第2バリア層14の部分は、n型領域で形成されている。したがって、上記n型活性層13n(n‐GaAs層)は、n型第1バリア層12n(n‐AlGaAs層)とn型第2バリア層14n(n‐GaInP層)とに挟まれている。
上記p型領域(p型第1バリア層12p、p型活性層13p、p型第2バリア層14p)は、例えば上記n型領域中にp型不純物の亜鉛(Zn)が拡散されることで形成されている。
さらに、上記p型キャップ層15、上記第2バリア層14、上記活性層13、上記第1バリア層12の積層構造および上記第1バリア層12上には、絶縁膜16が形成されている。この絶縁膜16は、例えば酸化シリコン膜が挙げられる。この絶縁膜16は、絶縁膜であって、複素屈折率の虚部が0.1以下であればよく、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タンタル(Ta2O5)などを用いることができる。
上記p型キャップ層15上の上記絶縁膜16には、開口部17が形成されている。また、上記絶縁膜16上には、上記開口部17を通じてp型のコンタクト層となる上記p型キャップ層15に接続するp電極18が形成されている。すなわち、上記p型キャップ層15が上記第2バリア層14と上記p電極18とのp型のコンタクト層になっている。このp電極18は、例えば下層より、チタン膜、白金膜、金属膜の積層構造となっている。
上記電子障壁層には、例えば、上記第2バリア層14がAlGaInP層で形成されている場合には、例えばp‐AlInP層を用い、また上記第2バリア層14がGaInP層で形成されている場合には、例えばp‐AlGaInP層を用いる。
すなわちナノ金属体21が形成されていない場合の活性層13からの自然放出スペクトル内に、ナノ金属体21の共鳴周波数が入るように、適宜、活性層13の材質を選択することによって、様々な波長の表面プラズモンを生成することができる。
このような半導体材料系は、上記GaInP、GaAsの他に、GaN、InGaN、AlGaN、GaP、GaAsP、AlGaAs、GaInAs、GaInPAs、InP、InAs、AlAsなどの13‐15族(III‐V族)系や、ZnSe、ZnSSe、BeMgZnSe、BeZnSe、ZnCdSe、ZnO、ZnMgOなどの2‐12‐16族、12‐16族(II‐VI族)系がある。
したがって、上記ナノ金属体21の寸法は、用途により適宜選択することが望ましいので、一意に決めるものではない。
空気中の光の波数の数倍の波数を備える表面プラズモンSPは伝播長が1μm程度であるため、上記リッジ部20の長手方向の上記ナノ金属体21の長さが1μmより十分に長い場合では、上記ナノ金属体21端面の局在電磁場に寄与できない表面プラズモンが内在する。
また、上記ナノ金属体21が、例えば100nm程度の厚みを有する金属膜である場合には、上記絶縁膜16と接する面に生成する表面プラズモンSPに対して、上記金属膜が半無限厚のバルクとして寄与し、伝播長が10μmを越える。
このような高いQ値を実現するナノ金属体21の構造については、以下に説明する。
以下に具体的なナノ金属体の構成例を説明する。
例えば、図4に示すように、上記ナノ金属体21は、単一のドット板であって、上から見た形状は、円、楕円、多角形などがある。
例えば、図4(1)に示すように、上記ナノ金属体21は平面視円形の単一のドット板である。
例えば、図4(2)〜(4)に示すように、上記ナノ金属体21は平面視楕円形の単一のドット板である。楕円の長軸方向は、リッジ部20の幅方向(矢印方向)に対して平行、直角、例えば任意の角度(例えば45度)であってもよい。
例えば、図4(5)〜(6)に示すように、上記ナノ金属体21は平面視長円形の単一のドット板である。長円の長軸方向は、リッジ部20の幅方向(矢印方向)に対して平行、直角、例えば任意の角度(例えば45度)であってもよい。
例えば、図4(7)に示すように、上記ナノ金属体21は平面視三角形の単一のドット板である。図示した状態では三角形の一頂点がリッジ部20の一方の端面側に向いているが、その向きは問わない
例えば、図4(8)に示すように、上記ナノ金属体21は平面視平行四辺形の単一のドット板である。ひし形の長い方の対角線方向は、リッジ部20の幅方向(矢印方向)に対して平行、直角、例えば任意の角度(例えば45度)であってもよい。
また、上記ナノ金属体21は、図4(9)に示した平面視十字形の単一のドット板、図4(10)に示した平面視Y字形の単一のドット板、図4(11)に示した平面視コ字形の単一のドット板であってもよい。
また、図4(2)〜(4)に示した楕円形状のナノ金属体21の場合、ヘキ開面と長軸の成す角度の違いによりヘキ開面近傍に生成する近接場光の周波数と電場ベクトルが変わる。
また、図4(7)や(8)に示したナノ金属体21のように、ヘキ開面近傍にナノ金属体21の先端がある場合、表面プラズモンの集中により近接場光の強度が強まる。
次に、上記ナノ金属体21の3次元形状の一例について、図5によって説明する。
図5に示すように、ナノ金属体21は単一の微小体であって、球、円柱、円錐等である。
例えば、図5(2)に示すように、ナノ金属体21は上記リッジ部20の上記絶縁膜16表面上に寝かせた状態の長円柱である。
例えば、図5(3)に示すように、ナノ金属体21は上記リッジ部20の上記絶縁膜16表面上に立たせた状態の長円柱である。
例えば、図5(4)に示すように、ナノ金属体21は上記リッジ部20の上記絶縁膜16表面上に形成した状態の円錐である。
上記各ナノ金属体21の高さは、数nm以上数百nm以下、例えば3nm以上300nm以下程度である。各ナノ金属体21の短部は少なくとも波長以下である。
また、図5(2)、(3)に示したように、円柱の向きを変えることにより、ヘキ開面近傍に生成する近接場光の周波数と電場ベクトルが変わる。
また、図5(3)、(4)に示した構造では、特にウエハー表面の近接場光を利用する用途に適している。このようなナノ金属体21に生成する表面プラズモンはほとんど伝播光に変換されないため、本発明における表面プラズモン発生装置1(スペーザーダイオード)は近接領域での利用に適している。
また、上記ナノ金属体21は、少数のドット板、微小体の組み合わせからなる。その一例を図6によって説明する。
例えば、図6(1)に示すように、上記ナノ金属体21は、大きさの異なる円板が近接した構成からなる。このような構成であっては、小さい円板で表面プラズモンの強度が増幅される周波数が存在する場合があり、強い近接場を発生することができる。
同様な効果が得られる構造として、例えば、図6(2)〜(5)に示すように、2つの三角形の頂点が近接するように配したボータイ構造などがある。図示はしていないが、3つ以上の三角形の頂点が近接するように配置してもよい。
また、図6(7)、(8)に示すように、細長い長方形板の短辺同士を近接させた構成としてもよい。
さらに、図6(9)、(10)に示すように、二つの円板を近接させた構成としてもよい。
ウエハー表面で近接場光を利用する用途では、図7に示すように、ナノ金属体21は、金属薄膜21p内に開口部21hを設けた構成であってもよい。
例えば、図7(2)に示すように、上記開口部21hは、平面視した形状が正方形に形成されている。
例えば、図7(3)に示すように、上記開口部21hは、平面視した形状が長方形に形成されている。
例えば、図7(5)に示すように、上記開口部21hは、平面視した形状が長方形で、その長方形の2長辺のそれぞれの内側に方形の突起をダブルリッジ開口に形成されている。
例えば、図7(6)に示すように、上記開口部21hは、平面視した形状が方形であって、その方形が二つ間隔をおいて形成されている。この方形の配列方向は、上記リッジ部20の幅方向(矢印方向)に対して平行、直角もしくはある角度をもった方向に配列されている。
例えば、図7(7)に示すように、上記開口部21hは、平面視した形状が円形であって、その円形が二つ間隔をおいて形成されている。この方形の配列方向は、上記リッジ部20の幅方向(矢印方向)に対して平行、直角もしくはある角度をもった方向に配列されている。
また、上記図7(4)〜(7)に示した構成では、リッジ部20や、2連開口間に強い近接場光を発生させることができる。
上記ナノ金属体21は金属コアの導波路で形成することもできる。図8に示すように、金属コアの断面形状は円形、楕円形、多角形などでけされる。
例えば図8(1)に示すように、ナノ金属体21の金属コアの断面形状は方形である。
例えば図8(2)に示すように、ナノ金属体21の金属コアの断面形状は円形である。
例えば図8(3)に示すように、ナノ金属体21の金属コアの断面形状は三角形である。
例えば図8(4)に示すように、ナノ金属体21の金属コアの断面形状は逆三角形である。
しかしながら、一般的にこのような金属導波路は複数の表面プラズモンモードを有し、上記のような有限長の導波路であっては、波数が小さいモードが高いQ値を実現しやすい。これはモードの伝播長が長いためである。
一方、それぞれのモードは共振周波数を有し、共振周波数が活性層(前記図1、2等参照)からの自然放出光と重なる領域において、電子‐正孔対(エレクトロンホールペア)と表面プラズモンの変換効率が高くなる。
したがって、Q値と変換効率の両者を考慮したモードが励起されやすい。
さらに、共振周波数は金属コア材料や周囲の誘電体および半導体の複素誘電率により調整できるため、適宜応用に合わせて設計される。
上記金属コアのナノ金属体21を平面視した状態を図9によって説明する。
例えば図9(2)、(3)に示すように、上記ナノ金属体21を折れ線状に形成する。
例えば図9(4)に示すように、上記ナノ金属体21を十字状に形成する。
例えば図9(5)に示すように、上記ナノ金属体21を環状に形成する。
例えば図9(6)に示すように、上記ナノ金属体21を平行四辺形状に形成する。
例えば図9(7)に示すように、上記ナノ金属体21をコ字状に形成する。
前記図9(3)では、ナノ金属体21の金属コアを2回曲折させた状態を示しているが、より多数の曲折であってもよい。また、曲折の角度は90度に限定されず、90度以下であっても90度以上であってもよい。ただし。曲折が鈍角になるに従い、曲折させた効果は低下していく。また、曲折が鋭角になると、強い近接場光を発生できるようになり、特に曲折部がへき開面近傍にあるとき、強い近接場光を発生することができる。
次に、ナノ金属体21が金属膜の導波路からなる構成について、図10によって説明する。
例えば、図10に示すように、金属膜に形成された非金属コア21cはスリットである。また、上記非金属コア21cは、その断面形状が、円形、楕円形、半円形、三角形、四角形を含む多角形などである。
例えば、図10(1)に示すように、リッジ部20上に形成された絶縁膜16上に所定間隔を空けて一様な厚さの金属膜21Lが形成されているものである。その間隔の部分はスリット状に形成され、その部分が非金属コア21cとなる。即ち、この場合の非金属コア21cは空間になる。
金属膜21Lの断面が非金属コア21cに対して閉じている場合に限らず、2枚の金属膜21Lの側端面同士が近接してスリットを形成するよう配置であっても、スリットに導波モードを形成できる。
上記のようにスリットの断面が金属膜21Lによって閉じられていない金属膜構造は製作が容易である。
例えば、絶縁膜16上に金属膜21Lを形成した後に、エッチングによって、金属膜21Lに数nm〜サブミクロン幅のスリットからなる非金属コア21cを形成すればよい。
上記図10(2)〜(5)に示した構成では、絶縁膜16上に形成された各非金属コア21cに金属膜21Lを被覆するように成膜するだけで製作できる。
このような導波路は概ね前記図8によって説明した金属コアの導波路と同様な機能、性質を有するため、前述のように適宜応用に合わせて設計される。また上面側から見た(平面視した)導波路の形状は、前記図9に示した平面視の形状に準ずる。
次に、絶縁膜16中に形成した凹部に金属膜21Lを埋め込んでナノ金属体21を形成した導波路の構成について、図11によって説明する。
例えば、図11(1)、(2)に示すように、絶縁膜16の表面側に断面が四角形もしくは逆三角形の凹部16hが形成されている。この絶縁膜16上には、上記凹部16hを埋め込むように金属膜21Lが形成されている。したがって、上記絶縁膜16の上部に、金属膜21Lの下面に形成された断面が四角形もしくは逆三角形の凸部21dが入り込むような状態になっている。
このような構造は、絶縁膜16にけされた凹部16hに金属膜21Lを成膜するだけで製作できる。
また、このような導波路は概ね前記図8によって説明した金属コアの導波路と同様な機能、性質を有するため、前述のように適宜応用に合わせて設計される。また上面側から見た(平面視した)導波路の形状は、前記図9に示した平面視の形状に順ずる。
また、上記ナノ金属体21は、例えば図12に示すように、複数のドットを配列した形態を有していてもよい。
図12に示すように、上面から見た(平面視した)ドット22の形状は例えば円形である。例えば、平面視円形の場合、ドット22の3次元構造としては、円柱状、円錐状、球状等がある。もしくは、図示はしていないが、平面視した形状が楕円形、多角形であってもよい。例えば、平面視した形状が多角形の場合、ドット22の3次元構造としては、多角柱状、多角錐状もしくは多面体に形成されている。
各ドット22の短部(円形の場合は直径、楕円形の場合は短径、多角形の場合は該多角形が収まる最小の長方形の短辺)は少なくとも波長以下となっている。また、各ドット22間隔(ドット中心から隣接するドット中心までの距離)は少なくとも波長以下が好ましい。
このようにドット22の配列が直線状の場合は、配列の全長にわたって、ドット22の欠損もしくはドット22の間隔の不連続点を設けるとよい。これにより活性層13(図示せず)上方に位置するドット列のQ値が向上し、スペーザーダイオードにおける電力−表面プラズモン(E−SP)変換効率が向上する。
このようにドット22の配列が直線状の場合は、配列の全長にわたって、材質の異なるドット22Bを設けるとよい。このドット22の金属材質の不連続点で伝播表面プラズモンの反射が発生するため、活性層13(図示せず)の上方に位置するドット列のQ値が向上し、スペーザーダイオードにおける電力−表面プラズモン(E−SP)変換効率が向上する。
そして上記ドット列の下面もしくは上面もしくは両面に形成されている誘電膜材質が不連続であってもよい。例えば、上記絶縁膜16が異なる材質の誘電膜Aと誘電膜Bで形成されていてもよい。
このような誘電体(例えば絶縁膜16)の材質的な不連続点で伝播表面プラズモンの反射が発生するので、活性層13(図示せず)の上方に位置するドット列のQ値が向上し、スペーザーダイオードにおける電力−表面プラズモン(E−SP)変換効率が向上する。
上記ナノ金属体21は、前記したように、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)の単体や、それらの金属から選ばれる少なくとも一種の金属を主材料として含有する合金である。また、上記白金(Pt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)から選ばれる少なくとも一種の金属を含有していてもよい。
また、上記ナノ金属体21は光の波長に依存する。
銀(Ag)やアルミニウム(Al)で形成されたナノ金属体21は広い波長域で利用が可能であり、紫外線領域〜赤外線領域およびさらに長波長領域まで利用できる。このようなAgやAlでけされたナノ金属体21は酸化しやすい。そこで、ナノ金属体21表面に窒化シリコン(SiN)膜や窒化アルミニウム(AlN)膜等の誘電膜からなる表面保護膜を形成して、酸化を防止することが好ましい。
上記表面保護膜には、高融点金属薄膜を用いることもできる。また高融点金属薄膜と金(Au)や白金(Pt)などの酸化しない金属薄膜の複合膜を用いてもよい。
上記表面保護膜は、その膜厚を5nm以下にすることが好ましい。この表面保護膜の膜厚が5nmよりも厚くなりすぎると、表面プラズモンの生成に支障を来たすことになる。また、上記表面保護膜は、酸素の通過を防止するために、例えば1nm以上の膜厚が必要である。
また銀(Ag)やアルミニウム(Al)の主材料に、他の元素をわずかに混入してもよい。ここで言う主材料とはAgとAlの合計分が90%以上含まれていることを意味する。
例えば、近赤外領域から赤外領域、さらに長波長領域では、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)から選ばれる少なくとも1種の元素が主材料として含有されていてもよい。また他の元素がわずかに混入されていてもよい。
望ましくはV1<Eg2、Eg3…(2)式を満たす場合、電流はリッジ部20のホモジャンクションに向けて狭窄される。
すなわち、上記第1バリア層12および上記第2バリア層14のバンドギャップが十分大きくなるようにするとよい。
このため、上記第2バリア層14の厚みは1nm〜50nmであって、望ましくは4nm以上10nm以下がよい。上記第2バリア層14の厚みが1nm未満では電子、正孔の量子閉じ込めができず、ボーア半径程度の4nm以上が望ましい。また10nmを超えるとでは表面プラズモンの生成効率が低下すると考えられる。
よって、上記第2バリア層14の厚みは1nm以上50nm以下であって、望ましくは4nm以上10nm以下がよい。
したがって、上記活性層13から上記ナノ金属体21までの距離は20nm以下になり、ナノ金属体21の表面プラズモンにより作られる電磁場と上記活性層13内のホモジャンクションとのオーバーラップが得られる。上記n型第1バリア層12nおよび上記p型第1バリア層12pのそれぞれの厚さは1nm〜50nmであり、望ましくは10nm以下がよい。この厚さが1nmよりも薄いと結晶性が悪くなり非輻射再結合確率が増大するため、E‐SP効率が低下する。他方、その膜厚が50nmより厚い場合には、注入電流が増大する。すなわち、消費電力が大きくなる。
特に、第2バリア層14の厚みが10nm以下では、中間層(例えばAlGaAs層)と活性層13(例えばGaInP層)間で正孔(ホール)が第2バリア層14(例えばAlGaInP層)を介してトンネリングするため、駆動電圧の低下が可能となる。
[表面プラズモン発生装置の製造方法の一例]
本発明の第2実施の形態に係る表面プラズモン発生装置の製造方法の一例を、前記図1によって説明する。
前記図1に示すように、基板11上に、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition ;有機金属化学気相成長)法により、半導体積層構造を形成する。上記基板11には、例えばガリウムヒ素(GaAs)基板を用いる。
そして上記半導体積層構造は、例えば、上記基板11上に、バッファ層(図示せず)、第1導電型(例えばn型)の第1バリア層12、n型の活性層13、n型の第2バリア層14を順に積層し、さらに中間層(図示せず)、第2導電型(p型)のp型キャップ層15を形成するためのキャップ層形成層を順に積層して形成する。
上記中間層はアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)層を堆積して形成し、さらに上記p型キャップ層15を形成するためのキャップ層形成層として、例えばガリウムヒ素(p‐GaAs)層を堆積して形成する。
次に、上記半導体積層構造をp型領域とする領域上の上記キャップ層形成層上に酸化亜鉛(ZnO)膜を形成する。この酸化亜鉛膜は、上記キャップ層形成層上に例えば50nm〜500nm程度の厚さに形成される。
この酸化亜鉛膜のパターニング法には、ハードマスク法、リフトオフ法、エッチング法等を採用することができる。
このようにして、酸化亜鉛膜とキャップ層形成層の接触部を該不純物拡散領域に対応させることができる。また上記ハードマスク層は酸化シリコン(SiO2)膜であってもよい。
このようにして、酸化亜鉛膜とキャップ層形成層の接触部を該不純物拡散領域に対応させることができる。
次に、例えば不活性な雰囲気、例えば窒素(N2)雰囲気中で、500℃から600℃程度の温度で数分〜30分程度のアニールを行う。これにより、酸化亜鉛膜に含まれている亜鉛(Zn)原子がキャップ層形成層を介して、第2バリア層14、活性層13、さらには第1バリア層12にまで拡散する。ここで拡散された亜鉛(Zn)原子はアクセプタとして機能する。
この拡散領域はシリコン(Si)と亜鉛(Zn)がともに散在するコドープ領域であるが、十分な亜鉛原子の拡散によりp型半導体として機能できる。
なお、亜鉛拡散領域の活性層(p型活性層13p)には1×1017atoms/cm3〜5×1018atoms/cm3の亜鉛原子が存在することが好ましい。
なお、半導体積層構造の結晶性の向上の有無は、フォトルミネッセンス(PL)を測定し、長波長域にブロードに広がる深い準位からの発光が抑制されているか否かを観察することにより確認することが可能である。
また、上記半導体積層構造内の亜鉛拡散領域境界では急激に亜鉛濃度が低下し、p型から、i型を介して、n型へ変化する。したがって、上記半導体積層構造の垂直方向面内にp‐nジャンクションが形成されるTJS構造になる。
次に、レジスト塗布技術によって、上記キャップ層形成層の全面にレジスト膜を形成した後、通常のリソグラフィー技術によって上記レジスト膜を露光、現像等を施し、上記不純物拡散領域の内側にレジスト膜を残す。このレジスト膜がp型キャップ層を形成するエッチングマスクになる。このレジスト膜をエッチングマスクに用いて、上記キャップ層形成層、中間層をエッチングする。この結果、上記キャップ層形成層でp型キャップ層15が形成され、その下部に中間層が形成される。
上記エッチングでは、例えば燐酸系のエッチャントを用いて、上記キャップ層形成層およびAlGaAsの中間層をエッチングする。このとき、中間層の下地はAlGaInP層であるため、燐酸系のエッチャントに対してエッチングレートが十分に低くなるため、エッチング部位最表面がAlGaInP層の第2バリア層14になる。
その後、上記レジストマスクを除去する。
次に、このレジストマスクをエッチングマスクに用いて、上記第1バリア層12、上記活性層13、上記第1バリア層12の順にエッチングを行い、第2バリア層14、活性層13、第1バリア層12の上部でリッジ部20を形成する。このエッチングには、例えば塩酸系のエッチャントを用いる。
その後、このエッチングで用いたレジストマスクを除去する。
次に、上記p型キャップ層15、上記リッジ部20等を被覆するように、全面に酸化シリコン(SiO2)などの誘電体膜で絶縁膜16を形成する。この絶縁膜16の膜厚は、例えば3nm以上10nm以下とするとよい。この絶縁膜16には、一般的に絶縁膜として知られているものであれば利用することができる。
次に、リッジ部20の絶縁膜16上で、上記活性層13に形成されたpn接合上をまたぐように、ナノ金属体21を形成する。
このナノ金属体21の製造方法は、例えばナノ金属体21が周囲と分離している構造であれば、例えば電子ビームリソグラフィー用の薄膜レジストを用い、リフトオフ法により形成することができる。
また、ナノインプリントなど既存のナノ加工を適用することもできる。
また、パターニングされたUV硬化樹脂や熱硬化樹脂上に金属膜を成膜し、リフトオフ法によりパターニングすることもできる。
また、エッチング法によって、数nm以上数百nm以下、例えば3nm以上300nm以下の大きさのナノパターンを形成してもよい。
例えば上記絶縁膜16上に金属薄膜を形成した後、集束イオンビーム(FIB)により金属薄膜を加工してナノ金属体21を形成する。もしくは、レジスト塗布によって金属薄膜上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜をパターニングしてレジストマスクを形成し、それをエッチングマスクに用いて金属薄膜をウエットエッチングもしくはドライエッチングしてナノ金属体21を形成する。
このようにして、数nmから数百nmの大きさのナノ金属体21が形成される。
次に、上記ナノ金属体21、上記リッジ部20等を被覆するように、上記誘電体膜(図示せず)を全面に成膜する。この誘電体膜は、例えば50nm以上250nm以下程度の膜厚に形成されることが望ましい。
次に、上記誘電体膜上に電極形成膜を形成して、上記誘電体膜に形成した開口部内で上記p型キャップ層15に接続させる。このとき、電極形成膜は、異方的に堆積され、かつ誘電体膜よりも薄く形成されることが必要である。
上記電極形成膜は、例えば下層よりチタン(Ti)膜、白金(Pt)膜、金(Au)膜の順に積層して形成される。なお、上記電極形成膜は、上記積層構造に限定されることはなく、その他の積層構造であってもよい。
その後、リフトオフ法によって、上記誘電体膜を除去することで、誘電体膜上に形成された電極形成膜も除去され、電極形成膜に形成した開口部内に電極形成膜が残されて、p電極18が形成される。
次に、n−GaAs基板からなる上記基板11の裏面にn電極19を形成する。このn電極19は、例えば基板11側より、金ゲルマニウム(AuGe)層/ニッケル(Ni)層/金(Au)層/チタン(Ti)層/白金(Pt)層/金(Au)層を順に積層されてなる。その後、250℃以上の雰囲気温度でアロイを行う。
なお、上記n電極19は、上記積層構造に限らず、他の金属膜の積層構成であっても、もしくは単層であってもよい。
その後、ナノ金属体21が例えばy−z平面に平行に分断されるように、上記基板11をヘキ開する。またヘキ開により形成された上記へき開面を、ドライエッチングやウエットエッチングで形成してもよい。他の面はヘキ開もしくはダイシングにより分断しスペーザーダイオードからなる表面プラズモン発生装置1を形成する。
なお、いくつかのスペーザーダイオードを結合したアレイとなるように、ウエハを分断してもよい。
また、上記半導体層のドーパントとして、n型のドーパントとしてシリコン(Si)、セレン(Se)等を用いることができ、p型の不純物拡散源には亜鉛(Zn)を主に用いることできる。p型化は前述したような固相拡散法の他に、例えば、気相拡散法、イオン注入法などにより達成される。このように、上記製造方法では、特に成膜方法は問わない。
このように、上記製造方法で形成される表面プラズモン発生装置1は、電流注入により表面プラズモンを直接生成できるため、電力‐表面プラズモン変換効率を高くできる。
前記図1に示した基板11や半導体積層構造の前面は、通常ヘキ開により形成されるため、前記図3に示すように、ナノ金属体に生成する表面プラズモンは前面からアクセスできる。
このようなスペーザーダイオードは下記のような応用に利用できる。
次に、上記表面プラズモン発生装置1を適用した情報記録装置の一例を、図13、図14の平面図等によって説明する。
このようにナノ金属体21とp電極18を配置することにより、ナノ金属体21を接近させて配置することが可能になる。
平面視L字型のナノ金属体21の構造は一例であって、前記した種々の構造を採用することができる。また、上記ナノ金属体21は、その一部がn型領域上にあって、大半の部位がp‐n接合上に位置する。またヘキ開面側から、n型領域、p‐n接合、p型領域と配置することで、ナノ金属体21を10μm以下に形成することができる。
またこの構成では、特定に位置で分子や微粒子の向きを指定して操作できるため、分子レベルに立体的な人工構造物を形成することが可能である。いわゆる、ボトムアップ型のナノファブリケーションである。
さらに各表面プラズモン発生装置1(スペーザーダイオード)のナノ金属体21の共鳴周波数を変えることにより、異なる分子や微粒子の捕獲が可能になる。
例えば図15(1)に示すように、光を主体的に、もしくは補佐的に利用する場合、表面プラズモン発生装置1(スペーザーダイオード)のナノ金属体21と情報記録媒体Dをナノオーダで近接する必要があるが、上記ナノ金属体21がヘキ界面上に位置するため、利用が容易となる。
なお、このヘキ開面上に、エアーベアリングサーフェイス(ABS)構造を設けてもよい。例えば図15(2)に示すように、上記情報記録媒体Dは、例えばディスク状であって、ハードディスクドライブ(HDD)に用いられるようなサスペンションSに表面プラズモン発生装置1(スペーザーダイオード)を付けて所望の位置に制御するようにしてもよい。
また、高強度の近接場光を用いる近接場露光装置の光源として利用することができる。特に表面プラズモン発生装置1(スペーザーダイオード)のアレイ構造によりスループットの向上が可能である。
通常、n電極19は表面プラズモン発生装置1間で共通であり、独立しているp電極18を介してそれぞれの表面プラズモン発生装置1を駆動する。各表面プラズモン発生装置1のナノ金属体21は、プラズモニック導波路で結合され、全体で回路として機能する。これにより高効率で回路を駆動できる。また各表面プラズモン発生装置1を近接可能であり、独立駆動できるために回路の小型化ができる。
なお、図16に示すように、n‐AlGaInPからなる第2バリア層14(図示せず)の上方に、上記プラズモニック導波路を形成することで、表面プラズモン発生装置のナノ金属体21と高さをあわせることができる。図面では、プラズモニック導波路にナノドット列を用い、2経路の結合部の例を示した。
なお、前記図14(3)に示したように、ナノ金属体21の間隔を狭くする構成であっても、また、上記プラズモニック導波路を介して、異なるプラズモニック導波路の終端を近接させてもよい。
Claims (6)
- pn接合を有する活性層と、
前記活性層中の一方側に形成されたn型領域と、
前記n型領域に接合して前記活性層中の他方側に形成されたp型領域を有し、
前記活性層の第1面に接触して形成された第1バリア層と、
前記活性層の第1面とは反対の第2面に接触して形成された第2バリア層と、
前記n型領域と前記p型領域とで形成される前記活性層のpn接合上に前記第2バリア層と絶縁膜を介して形成された金属体を有する
表面プラズモン発生装置。 - 前記第1バリア層は、前記活性層のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体からなる
請求項1記載の表面プラズモン発生装置。 - 前記第2バリア層は、前記活性層のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体からなる
請求項1記載の表面プラズモン発生装置。 - 前記活性層のp型領域を挟む前記第1バリア層および前記第2バリア層がp型に形成されていて、
前記活性層のn型領域を挟む前記第1バリア層および前記第2バリア層がn型に形成されている
請求項1記載の表面プラズモン発生装置。 - 前記第1バリア層と前記活性層と前記第2バリア層からなる積層体はリッジ形状に形成されていて、
前記活性層に形成されたpn接合は前記リッジ形状に形成されたリッジ部内に形成されている
請求項1記載の表面プラズモン発生装置。 - 第1導電型の半導体基板上に第1導電型の第1バリア層と第1導電型の活性層と第1導電型の第2バリア層を順に積層する工程と、
前記第2バリア層と前記活性層と前記第1バリア層からなる第1導電型の積層体に前記第1導電型とは逆導電型の第2導電型領域を形成する工程と、
前記積層体の第1導電型領域と前記第2導電型領域とのpn接合を含むように前記積層体をリッジ形状にパターニングしてリッジ部を形成する工程と、
前記リッジ部を被覆する絶縁膜を形成する工程と、
前記リッジ部のpn接合上方の前記絶縁膜上に前記pn接合をまたぐ金属体を形成する工程を有する
表面プラズモン発生装置の製造方法。
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