JP2010284763A - フィルム打抜き供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フィルム片の二枚取り,取りミスや位置ズレを解消し、更にフィルム片の薄肉化を可能にして品質向上、低コスト化を実現するフィルム打抜き供給装置を提供する。
【解決手段】 板厚を貫通する開孔10が形成され、板面11の該開孔周縁に刃部13が形成されるダイカッタ1と、刃部13の在る板面11に沿って間欠移動する帯状フィルムfと、刃部13との間に帯状フィルムfを介在させて、板面21が刃部13と対向し且つ開孔10に対向する部位に該開孔よりも小さな通孔20を開設した板状体で、進出により刃部13に通孔周りの板面21を打つことにより帯状フィルムfからフィルム片fcを打抜く切断補助体2と、先端面31に吸孔30を形成し、且つ通孔20及び開孔10を横切る帯状フィルムfの領域で、その領域の帯状フィルム部分近くに配され、吸孔30で先端面31にフィルム片fcを吸着保持してダイカッタ1外へ進退動できる吸着移送体3と、を具備する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、フィルムインサート成形などに用いられるフィルム片について、帯状フィルムからフィルム片を打抜いて、これを順次供給できるフィルム打抜き供給装置に関する。
例えば、射出成形プラスチック品の加飾技術として、絵柄等が印刷されたフィルム片をインサート成形で一体的に成形する方法がある。射出成形部の表面にフィルムを一体化させるべく、キャビティ面にフィルム片が配設された金型キャビティ内へ成形材料を射出してフィルムインサート成形品を製造する(例えば特開2009−179001公報,特開2008−168613公報等)。
こうしたインサート成形では、例えば図11のごとくマガジンに予め所定大きさにカットされたフィルム片ftの重ね置き集合体ftsumから、一枚ずつ該フィルム片を取り上げて、金型キャビティ面へ人手やロボット等を使ってこれを供給する方法が採られている。そこでは、フィルム片同士が引っ付いて二枚取りする不具合や取りミスがあった。また、マガジンのガイドで規制していても、フィルム片がずれてしまうことによって、品質が安定しない問題もあった。
こうしたことから、斯かる問題を解決しようとする発明も提案されている(例えば特許文献1)。
特開平8−1717号公報
しかるに、特許文献1におけるインサート用フィルム片の供給は、「多数枚の打抜き円形状フィルムFを積み重ねて収容するフィルム供給装置4と、ロボットを介して三次元方向、すなわちX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に選択的に移動自在であり、かつX軸周りに回転自在に軸支されたチャック装置5と、チャック装置を介して吸引保持されたフィルムFに静電気を付与する帯電装置6」を有し、そのフィルム供給装置4は、「フィルムF群を収容可能な容器と、この容器41に収容されたフィルムF群を昇降させるエアシリンダ42と、容器の上端に間隔を置いて取り付けられる複数個の爪片43とで構成」され、装置が大掛かりになっていた。そして、多数枚のインサート用フィルム片(フィルムFが該当)を積み重ねて収容するフィルム供給装置の基本構成は、図11のマガジンと何ら変わっていなかった。フィルムリールからインサート用フィルム片を切り取り、これを多数枚積み重ねたフィルム供給装置から、一枚一枚剥がし取って供給する手法は従来と何ら変わらず、二枚取りや取りミスの問題、またフィルム片がずれたりする虞は依然残されていた。
加えて、「フィルムF群には、空気が供給されるとともに、静電気除去空気が供給されており、この結果、空気の供給によってフィルムF群に振動が与えられ、また静電気除去空気の供給によってフィルムF群の静電気が除去され、フィルムFを確実に1枚ずつ分離できるようにしている。」とするが、フィルムを薄くするとフィルム同士が引っ付くブロッキング現象が増え、フィルム片の厚みを薄くするにはおのずと限界があった。
本発明は上記問題点を解決するもので、マガジンやフィルム供給装置から一枚ずつフィルム片を供給する既成手法を打破して、フィルム片の二枚取り,取りミスをなくし、またフィルム片の位置ズレを解消するばかりか、フィルム片の薄肉化をも可能にして、品質向上,歩留り向上、さらに低コスト化をも実現できるフィルム打抜き供給装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、板厚を貫通する開孔(10)が形成され、板面(11)の該開孔周縁に刃部(13)が形成されるダイカッタ(1)と、該刃部の在る板面(11)に沿って間欠移動する帯状フィルム(f)と、前記刃部(13)との間に帯状フィルム(f)を介在させて、板面(21)が該刃部と対向し且つ前記開孔(10)に対向する部位に該開孔よりも小さな通孔(20)を開設した板状体で、進出により前記刃部(13)に通孔周りの板面(21)を打つことにより帯状フィルム(f)からフィルム片(fc)を打抜く切断補助体(2)と、先端面(31)に吸孔(30)を形成し、且つ該通孔及び前記開孔(10)を横切る帯状フィルム(f)の領域で、その領域の帯状フィルム部分近くに配され、前記吸孔(30)で先端面(31)にフィルム片(fc)を吸着保持してダイカッタ(1)外へ進退動できる吸着移送体(3)と、を具備することを特徴とするフィルム打抜き供給装置にある。
請求項2の発明たるフィルム打抜き供給装置は、請求項1で、フレーム枠(61)と一体の基板(62)に固着した主アクチュエータ(52)に前記切断補助体(2)が取付けられ、また該基板に固着した副アクチュエータ(53)に前記吸着移送体(3)が取付けられ、常態下、該切断補助体の板面(21)が前記刃部(13)と対向し、また該吸着移送体の先端面(31)が前記通孔(20)の孔内に配され、該主アクチュエータの作動により打抜かれた前記フィルム片(fc)を前記先端面(31)で吸着保持し、さらに前記副アクチュエータ(53)の作動により、該先端面が通孔(20),開孔(10)を通り抜けて前記ダイカッタ(1)外に出ることを特徴とする。
本発明のフィルム打抜き供給装置は、フィルム片の二枚取りや取りミスをなくし、またフィルム片の位置ズレを解消して、帯状フィルムから打抜いたフィルム片を後続機器へそのまま順次供給できるにとどまらず、フィルム片の薄肉化対応も可能し、品質向上,歩留り向上に加え、これまでにない大幅な装置コスト減, 大幅な帯状フィルムの材料費減が可能になるなど多大な効を奏する。
本発明のフィルム打抜き供給装置の一形態で、その要部を説明する概略斜視図である。 フィルム打抜き供給装置の概略側面図である。 図2の要部正面図である。 図3の一部断面表示した平面図である。 図4からの動作進行図である。 図3のIV-IV線矢視図である。 図6からの動作進行図である。 図7からの動作進行図である。 図8からの動作進行図である。 従来技術の説明斜視図である。
以下、本発明に係るフィルム打抜き供給装置について詳述する。
図1〜図9は本発明のフィルム打抜き供給装置(以下、単に「打抜き供給装置」という。)の一形態で、図1がその要部を説明する概略斜視図、図2がフィルム打抜き供給装置の概略側面図、図3が図2の要部正面図、図4が図3の一部断面表示した平面図、図5が図4からの動作進行図、図6が図3のIV-IV線矢視図、図7〜図9が図6からの動作進行図である。尚、本実施形態の打抜き供給装置は帯状フィルムの幅方向にフィルム片を二個取りする装置であるが、図1は一個取り装置で要部のみ簡略図示する。また、図1,図4,図5では吸着移送体を簡略図示し、吸孔や吸着移送体の浮上体,支軸,圧縮コイルバネなどの図示を省く。
打抜き供給装置は、図1,図2に示すごとく、絵柄等が印刷された原反フィルム(ここでは印刷済みリールR)から帯状フィルムfを繰り出し、該帯状フィルムから必要大きさのフィルム片fcを次々と打抜く。そして、該フィルム片を位置決め固定した状態で、一枚ずつ目的の後続機器(例えば射出成形金型用擬似コア71)へ直接供給する装置である。図11や特許文献1のごとく、印刷された原反フィルムやリールRからカットしたフィルム片fcを多数枚収容するマガジンやフィルム供給装置を不用とする。
本実施形態は、打抜き供給装置が、図1のようなインサートモールド成形型で、マーガリン容器の表面に印刷済みフィルム片fcを一体化するのに用いられ、該打抜き供給装置は帯状フィルムfから順次打抜いたフィルム片fcを後工程の擬似コア71に次々と供給する。
打抜き供給装置はダイカッタ1と帯状フィルムfと切断補助体2と吸着移送体3とを具備する(図2〜図9)。
打抜き供給装置の主要部たるダイカッタ1は、図2のごとくの板状体で、ほぼ縦長直方体に形成されたフレーム枠61の前枠部61aの上半部分に固着される。垂直起立する前枠部61aに、ベース部1aと主部1bが一体となった板状のダイカッタ1が垂直状態で固着される。ダイカッタ1には板厚を貫通する開孔10が形成されると共に、板面11の該開孔周縁にフィルム片fcを形取る刃部13が形成される。ダイカッタ1の後方側の板面11を平らにして、刃部13だけが図4のように開孔10周縁から装置後方に向けて突出する。刃部13の刃先周縁がつくる面は垂直面となる。ここで、装置後方,後方とは図2の側面図における右方、装置前方,前方は図2の左方をいう。また、装置上方,上方とは図2の側面図における上方、装置下方,下方は図2の下方をいう。
本実施形態は、マーガリン容器の底面と側面四方にフィルム印刷部分を配設できるよう、ダイカッタ1に開孔10が、図3の十文字形のフィルム片fcの形状に開設され、その開孔10の後方側周縁に刃部13が設けられる(図4)。本ダイカッタ1は二個取り用で、打抜き用刃部13の付いた開孔10が水平横方向に二個並ぶ。符号14は隆起部で、刃部13よりも僅かに低い状態で主部1b外周部の後方側に隆起して、刃部13と切断補助体2で帯状フィルムfからフィルム片fcを打抜く際、切断補助体2が不必要に刃部13に入り込んでこれを潰さないよう保護する。
帯状フィルムfは、ダイカッタ1の刃部13の在る板面11に沿って間欠移動する印刷済みフィルムの帯状体である。図2のごとく、帯状フィルムfは、容器表面にインサート成形で施す絵柄等が印刷されて巻き取られたリールRから、テンションローラ94,送りローラ95を経由して、刃部13の後方で且つこれに近接する位置で、上方位置から垂直下方へと繰り出される。帯状フィルムfの側縁に一定間隔毎に付けたレジマーク(図示せず)をマークセンサSが感知して、帯状フィルムfの動きを自動修正しながら、ダイカッタ1と切断補助体2の間に印刷済みフィルム片fcの部分が間欠移動で順次送り込まれる。帯状フィルムfの帯幅は、水平横方向に二個並ぶ開孔10の両サイド間距離よりも少し幅広とする(図4)。ダイカッタ1と切断補助体2でフィルム片fcが打抜かれても、抜き穴fhのある帯状フィルムfとしてつながっており(図1)、これが帯状フィルムfの繰り出しと連動して巻取軸97へと巻き取られていく(図2)。
切断補助体2は刃部13との間に帯状フィルムfを介在させて、板面21が該刃部と対向すると共に、開孔10に対向する部位に開孔10よりも一回り小さな通孔20を開設した板状体である(図3,図6〜図9)。そして、ダイカッタ1に対し相対移動可能にして、進出により刃部13に通孔20周囲の板面21を打ち付けることにより帯状フィルムfを挟着カットし、帯状フィルムfからフィルム片fcを打抜けるようになっている。切断補助体2に対し相対移動する刃部13が、切断補助体2の板面21に帯状フィルムfを介在させて突き当たって、刃部13の形状と同形のフィルム片fcを打抜きカットするともいえる。
図2,図3のごとく、ダイカッタ1の四隅外側の前枠部61aには後方へ向けて支柱63が立設し、該支柱の先端に基板62を嵌挿固定し、フレーム枠61に基板62を一体化した櫓状体が形成される。基板62の板面はフレーム枠61の前枠部61aがつくる垂直前面に平行配設される。そして、基板62の左右両側寄りに主アクチュエータ52たる油圧シリンダのシリンダ本体52aが一対固着され、そのロッド52bの先端に板状の切断補助体2が進退動自在に取付けられる。ロッド52bに連結部2dを介してベース補助部2a,ベース部2aが固着され、該ベース部の前面に主部2bが固着される(図4)。該主部は、平坦面を形成する板面21が垂直面を形成して、刃部13の刃先がつくる面と対向するようにして配される。符号63aは櫓状体に支柱63を固定するナットを示す。
ダイカッタ1の板面11に切断補助体2の板面21が平行になって対向し、且つダイカッタ1の開孔10の中心と切断補助体2の中心を一致させて、該切断補助体の板厚を貫通する通孔20が形成される。通孔20と開孔10との大きさ比較は、図4,図5の縮小サイズになると寸法の違いがつかなくなるが、その違いを強調図示した図3,図6〜図9のごとく、通孔20が開孔10よりも一回り小さくなっている。そして、切断補助体2用の両油圧シリンダ52のロッド52bが同期をとって進退動自在に伸長する。ロッド52bが伸長すると、切断補助体2(主部2a)が図6の状態から図7(又は、図4の状態から図5の破線図示)のごとく前進して、刃部13との間に配設された帯状フィルムfを刃部13とで挟着カットして、図7のごとく帯状フィルムfからフィルム片fcを打抜けるようになっている。
吸着移送体3は、先端面31に周囲の空気を吸込む吸孔30を形成する可動体である。そして、通孔20及び開孔10を横切る帯状フィルムfの領域で、その領域の帯状フィルムf部分近くに、先端面31が該帯状フィルム部分と平行に配され、吸孔30で先端面31に、打抜かれたフィルム片fcを吸着保持しながら、副アクチュエータたるエアシリンダ53で、該先端面が通孔20及び開孔10の内外へ進退動できる可動体になっている(図4,図5)。基板62に固着した副アクチュエータ53のロッド53bに吸着移送体3が取付けられ、常態下、既述のごとく切断補助体2の板面21が刃部13と近接状態で対向し、吸着移送体3の先端面31は通孔20の孔内に配される。そして、該吸着移送体は、主アクチュエータ52の作動により打抜かれたフィルム片fcを先端面31で吸着保持し、さらに副アクチュエータ53の作動により該先端面が、通孔20,開孔10を通り抜けてダイカッタ1の外に出る構成とする。
本実施形態は、二つのエアシリンダ53のロッド53bが通孔20,開孔10の中心線上を通って伸縮するよう、エアシリンダ本体53aが取付けプレート53dを介して基板62に一対固着される。ロッド53bの先端には、連結部3d,ベース補助部3aを介して吸着移送体3のベース部3aが固着される。該吸着移送体の大きさは正面視で通孔20よりも一回り小さくする(図3)。常態下で、吸着移送体3は図4,図6のごとく刃部13と切断補助体2の間を通過する帯状フィルムfの後方面近くの通孔20内に配される。一方、ロッド53bが伸長すると、通孔20,開孔10をくぐり抜け、図5,図8のごとくその先端面31が開孔10(ダイカッタ1の前面12)よりも前方へ突出する。
そして、本吸着移送体3は、図1,図6〜図9のごとくの平面視十文字形で、長方形のベース部3aは、後方面がベース補助部3a1,連結部3dを介してエアシリンダのロッド53bに連結する一方、該ベース部の前方はベース部3aの四方の辺で略90°屈曲し、前方に起立する側壁部3bを形成する。これら四つの側壁部3bとベース部3aとで囲まれた凹部3c内には図6〜図9のごとく浮上体35が配設される。ベース部3aに設けた透孔へ、基端側にストッパ38を付けた支軸36を後方側から遊挿し、さらに該支軸に圧縮コイルばね37を介挿してその先端に浮上体35が固定される。圧縮コイルばね37で前方に弾性付勢を受けた浮上体35の前面は側壁部3bの先端面31と面一になる(図1,図6)。一方、擬似コア71が圧縮コイルばね37の弾性付勢力に抗して凹部3cに入り込むと、浮上体35は擬似コア71に押されて凹部3cのベース部3a近くまで沈む(図9)。
また、吸着移送体3には、その先端面31の外周部を取り囲むように複数の吸孔30が設けられる。ここでは、四つの各側壁部3bに、それぞれ底面から先端面31に貫通する吸孔30が二個ずつ設けられる。図6でノズル30aを一箇所しか図示しないが、全側壁部3bの底面側吸孔30にはノズル30aが取り付けられ、該ノズルにチューブの一端を接続し、他端を吸引装置につないでいる。吸引装置を作動させると、吸孔30で先端面31周りの空気を吸込んで、帯状フィルムfから打抜かれたフィルム片fcを側壁部3bの先端面31に吸着保持できる。既述のごとく、吸着移送体3の先端面31の周囲には、側壁部3bに設けた八つの吸孔30が存在する。帯状フィルムfから抜き取られたフィルム片fcは吸着移送体3の先端面31に位置ずれを起こすことなくしっかりと安定保持される。また、吸着移送体3に凹部3cが設けられていても、側壁部3bの先端面31と、前面が面一の浮上体35が存在するので、フィルム片fcが図1のごとくこれら先端面31と浮上体35の同一平面上に広がった状態で保持される。ロッド53bの伸長で、図8のごとくダイカッタ1の前面12よりも前方へ突出した先端面31に吸着保持されたフィルム片fcは、その周りに障害となる部品,部材等がなく、被供給装置へ円滑に引き渡される。また、該フィルム片は吸孔30によって位置決めされており、且つズレも生じず、品質的支障をきたすことなく、被供給装置(擬似コア71)へ安定供給される。
図2の符号CRは制御盤、符号64はダイカッタベース部1aの四隅に立設するガイド支柱63である。該ガイド支柱は切断補助体2のベース部2aに設けた穿設孔に挿通し、油圧シリンダ52による切断補助体2の進退動を円滑にガイドする。図1中、白抜き矢印は、帯状フィルムfから打抜かれた右下図のフィルム片fcが、実際は吸着移送体3で吸着保持されている様子の左上図であることを指す矢印で、符号71aは擬似コア71に設けた吸引孔、符号72はキャビティ型、符号73はコア型を示す。図4の符号61bは横枠部を示す。
次に、上記打抜き供給装置の一使用法,一動作説明を述べる。押しボタンスイッチ(図示せず)を押すと、制御盤CRに組み込まれたシーケンス制御又はコンピュータ制御による以下の一連の動作工程を遂行し、帯状フィルムfからフィルム片fcを順次打抜きカットし、さらに、該フィルム片を吸着移送体3で位置決め保持しながらダイカッタ1の前方に突き出し、被供給装置たる擬似コア71へ次々と供給する。
押しボタンスイッチが入ると、図2のごとくリールRから帯状フィルムfが繰り出し、該帯状フィルムはダイカッタ1と切断補助体2との隙間を上方から下方へと図6の矢印のごとく間欠移動する。この間欠移動の停止下、まず油圧シリンダ52が作動し、そのロッド52bが伸長する。該ロッドの伸長で、図6の位置に在った切断補助体2が前方へ進出し、刃部12とで帯状フィルムfを挟んだ状態で該刃部に打ち当たり、帯状フィルムfからフィルム片fcを打抜きカットする(図7)。刃部13が、この刃部の刃先で囲む面積よりも若干小さな通孔20を設けた切断補助体2に係る該通孔周囲の板面21に突き当たることによって、薄い樹脂フィルムでもフィルム片fcを確実に打抜きカットする。
次に、前記打抜きカットとほぼ同時に吸引装置が働き、吸孔30でカットされたフィルム片fcを、その近くで待機中の吸着移送体3の先端面31に吸着する。通孔20内で帯状フィルムf近くに先端面31が配された吸着移送体3の該先端面に、カットされたフィルム片fcをその垂直姿勢のまま水平横移動させて吸着保持する。帯状フィルムfから抜き取られたフィルム片fcは、開孔10,通孔20内でダイカッタ1と切断補助体2に囲まれた孔内に在り、風,ゴミ等の外乱のない環境下でフィルム片fcの位置関係を崩すことなく、直ぐ近くの吸着移送体3の先端面31に吸着保持される。
続いて、エアシリンダ53が作動し、ロッド53bの伸長で、それまで図6,図7の位置に在った吸着移送体3が前方へ進出し、フィルム片fcを吸着保持したその先端面31がダイカッタ1の前面12よりも装置前方へ突出する(図8)。
しかる後、被供給装置たる擬似コア71が先端面31の前方から、図9のごとく凹部3cに向けて進出する。擬似コア71はマーガリン容器の中実形状をしており、その外面で浮上体35を押し付ける。そして、擬似コア71の外側面にフィルム片fcの周縁部fcが沿った段階で、吸引孔71aからの吸引が開始する一方、吸孔30の吸引装置が止まって、吸着移送体3から擬似コア71へフィルム片fcが乗り換え移動する。その後の擬似コア71は図1のごとくキャビティ型72のキャビティ面72aにフィルム片fcを取付け、コア型73,キャビティ型72の型閉め後、射出成形でフィルム片fcをインサート成形する樹脂成形品が造られる。
本フィルム打抜き供給装置は、吸着移送体3から擬似コア71へフィルム片fcを移動させた段階で完了し、完了後、前記油圧シリンダ52,エアシリンダ53が作動して当初位置に戻る。間欠移動でこれまで止まっていたモータ(図示せず)が作動して、帯状フィルムfの移動が復活する。リールRから帯状フィルムfが所定長さ分、繰り出し、且つ巻取軸97が所定長さ分巻き取って、新たなフィルム片fcにカットされる部分をダイカッタ1と切断補助体2との間に配設する。後は、上述の動作を繰り返し、フィルム片fcが帯状フィルムfから順次打抜かれると同時に、該フィルム片が擬似コア71に次々と供給されていく。
このように構成した打抜き供給装置は、帯状フィルムfから所定形状のフィルム片fcを一枚ずつ打抜きカットし、その打抜いたフィルム片fcを吸孔30で吸着移送体3の先端面31に位置決めした状態で保持しながらダイカッタ1の前面12よりも突出して、後続機器への供給態勢をとるので、そのまま最終使用先へ向けての後続機器(ここでは擬似コア71)に円滑に受け渡すことができる。従来のマガジン装置やフィルム供給装置を不用にでき、設備ラインを大幅に縮小,削減でき、設備コストを安くする。また、マガジン装置やフィルム供給装置に重ね置きされるフィルム片fcがなくなり、フィルム片fcの仕掛品を激減させる。
そして、帯状フィルムfから一枚ずつ打抜いたフィルム片fcを、その状態のまま後続機器に供給するので、従来問題となっていた二枚取りや取りミスは起らない。
また、カットされたフィルム片fcの近くに吸着移送体3の先端面31を配し、さらに先端面31に周囲の空気を吸込む吸孔30を形成するので、カットされたフィルム片fcは位置決めされた状態で円滑に吸着保持され、後続機器にフィルム片fcに位置ズレを起こさずに提供できる。特に、帯状フィルムfからカットされたフィルム片fcは、ダイカッタ1と切断補助体2の開孔10,通孔20内に在り、風,ゴミ等の外乱も防護できる環境に置かれており、品質管理上からも万全な状況下にある。
加えて、ダイカッタ1の刃部13との間に帯状フィルムfを介在させて、切断補助体2の板面21を該刃部に対向させて、刃部13に切断補助体2の板面21を打つことにより帯状フィルムfを挟着カットし、該帯状フィルムからフィルム片fcを打抜くので、どんなに薄いフィルムでも帯状フィルムfからフィルム片fcを打抜きカットできる。実際、剪断力によるプレス型と違って、刃部13の板面21への突き当てによる帯状フィルムfからのフィルム片fcの打抜きは、10μm〜20μm程度の極薄のフィルムでも対応できることを確認している。
しかも、マガジン装置や特許文献1のフィルム供給装置に極薄のフィルム片fcを使用すれば、フィルム同士が引っ付くブロッキング現象で一枚ずつ取れず、対応不能に陥るが、本打抜き供給装置はマガジン装置等のようにそもそもフィルム片fcを溜め置きしないので、こうした不具合は全く起らない。打抜かれたフィルム片fcは、マガジン装置や特許文献1のフィルム供給装置のように積み重ねられることなく、該フィルム片は一枚ずつ、その状態のまま後続機器に順次供給されて使用に供されるので、何ら不都合はない。帯状フィルムf,フィルム片fcの厚みを、従来困難であった10μm程に極薄化しても、本装置によれば難なく作製可能で、しかも、抜き取ったフィルム片fcを一枚ずつ後続機器に供給する供給装置としての役割も兼ね備えて、マガジン等と違って問題なく使用できることから、使用帯状フィルムfの極薄化に伴う大幅な低コスト化を実現し、これまでにない画期的な発明になっている。
このように本打抜き供給装置は、上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益となる。
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ダイカッタ1,切断補助体2,吸着移送体3,主アクチュエータ52,副アクチュエータ53等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態における被供給装置(後続機器)を擬似コア71としたが、これに限定されない。また、吸着移送体3も実施形態の形状に限らず、例えば先端面31に周囲の空気を吸込む吸孔30を形成した単なる板状体とすることもできる。
1 ダイカッタ
10 開孔
11 板面
13 刃部
2 切断補助体
20 通孔
21 板面
3 吸着移送体
30 吸孔
31 先端面
52 油圧シリンダ(主アクチュエータ)
53 エアシリンダ(副アクチュエータ)
61 フレーム枠
62 基板
f 帯状フィルム
fc フィルム片

Claims (2)

  1. 板厚を貫通する開孔(10)が形成され、板面(11)の該開孔周縁に刃部(13)が形成されるダイカッタ(1)と、該刃部の在る板面(11)に沿って間欠移動する帯状フィルム(f)と、前記刃部(13)との間に帯状フィルム(f)を介在させて、板面(21)が該刃部と対向し且つ前記開孔(10)に対向する部位に該開孔よりも小さな通孔(20)を開設した板状体で、進出により前記刃部(13)に通孔周りの板面(21)を打つことにより帯状フィルム(f)からフィルム片(fc)を打抜く切断補助体(2)と、先端面(31)に吸孔(30)を形成し、且つ該通孔及び前記開孔(10)を横切る帯状フィルム(f)の領域で、その領域の帯状フィルム部分近くに配され、前記吸孔(30)で先端面(31)にフィルム片(fc)を吸着保持してダイカッタ(1)外へ進退動できる吸着移送体(3)と、を具備することを特徴とするフィルム打抜き供給装置。
  2. フレーム枠(61)と一体の基板(62)に固着した主アクチュエータ(52)に前記切断補助体(2)が取付けられ、また該基板に固着した副アクチュエータ(53)に前記吸着移送体(3)が取付けられ、常態下、該切断補助体の板面(21)が前記刃部(13)と対向し、また該吸着移送体の先端面(31)が前記通孔(20)の孔内に配され、該主アクチュエータの作動により打抜かれた前記フィルム片(fc)を前記先端面(31)で吸着保持し、さらに前記副アクチュエータ(53)の作動により、該先端面が通孔(20),開孔(10)を通り抜けて前記ダイカッタ(1)外に出る請求項1記載のフィルム打抜き供給装置。
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