JP2010280416A - 導電性結束バンドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無電解めっき処理により導電性に優れた結束バンドを安価に製造する。
【解決手段】導電性結束バンドの製造方法は、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドと、めっき触媒となる金属を含有する触媒成分を加圧二酸化炭素に溶解させた加圧流体とを接触させて、前記触媒成分を結束バンドの表面内部に浸透する浸透工程と、前記触媒成分を浸透させた結束バンドを、アルコールを含有するめっき液に浸漬して、前記結束バンドを無電解めっきする無電解めっき工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属膜が表面に形成されたポリアミド系樹脂からなる導電性結束バンドの製造方法に関する。
導電性結束バンドは、素材の帯電が少なく、それゆえ静電気防止効果に優れており、塵や粉塵の付着を防止することができる。そのため、このような導電性結束バンドは、例えば、医療機器や半導体製造装置などの配線結束の用途に使用されている。
従来、この種の導電性結束バンドを製造する方法としては、蒸着法やスパッタ法などで所定形状を有する結束バンドの表面に金属膜を形成するドライプロセスや、カーボンブラックなどの導電性材料を溶融樹脂に練り込み、これを所定形状に射出成形する成形法などが採用されている。こうしたドライプロセスでは、蒸着装置やスパッタ装置などが必要となり、また成形法では、溶融樹脂への導電性材料の練り込みのために溶融混練装置などが必要となるため、設備費用が嵩み、コスト高になる。そのため、安価に導電性結束バンドを製造する方法が望まれている。
一方、樹脂成形体の表面に金属膜を形成するウェットプロセスとして、無電解めっき法が知られている。この無電解めっき法は、無電解めっき液に被めっき物を浸漬することにより、連続してめっき膜を形成できるため、上記のようなドライプロセスなどと比べ安価に樹脂成形体に金属膜を形成することができる。従って、このような無電解めっき法を利用して結束バンドに金属膜を形成することにより、結束バンドに導電性を付与することが考えられる。
しかしながら、結束バンドを構成する樹脂材料としては、耐候性や強度などの機能性の確保のためポリアミド系樹脂が使用されていることから、無電解めっき法により結束バンド表面に金属膜を形成することが難しい。すなわち、無電解めっき法は、触媒的な化学反応を利用して金属イオンを還元することにより、被めっき物上に金属膜を形成する方法であるため、被めっき物それ自体が還元剤の還元作用に対して触媒活性を示す場合を除いて、触媒活性があるめっき触媒を被めっき物の表面内部に安定、且つ均一に付着させておくことが、最終的に得られるめっき膜の密着性を確保するために必要となる。そのため、被めっき物が樹脂成形体である場合、無電解めっき処理の前に六価クロム酸や過マンガン酸などの環境負荷の大きな酸化剤を含有するエッチング液を用いて樹脂成形体の表面を粗化するエッチング処理を行って、樹脂成形体の表面に凹凸を形成し、該凹凸に触媒核となるめっき触媒を付与している。従って、被めっき物である樹脂成形体には、このようなエッチング液により浸食される成分が必要であり、それゆえ無電解めっきが適用可能な樹脂成形体としては、ABS系樹脂を含有する樹脂成形体に限定されている。これは、ABS系樹脂がエッチング液に選択的に浸食されるブタジエンゴム成分を含んでいるのに対して、ポリアミド系樹脂などではこのようなエッチング液に選択的に浸食される成分が少なく、表面に凹凸が形成され難いためである。その結果、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドでは、めっき触媒を結束バンドの表面内部に十分に付与することができず、無電解めっき法では高導電性を有する結束バンドを製造できていないのが現状である。
特開2002−2773号公報
本発明の目的は、環境負荷の大きな酸化剤を含有するエッチング液を用いたエッチング処理を行わずに触媒成分を結束バンドに付与でき、該触媒成分を付与した結束バンドを無電解めっき処理することにより導電性に優れた結束バンドを安価に製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明に係る導電性結束バンドの製造方法は、
ポリアミド系樹脂からなる結束バンドと、めっき触媒となる金属を含有する触媒成分を加圧二酸化炭素に溶解させた加圧流体とを接触させて、前記触媒成分を結束バンドの表面内部に浸透させる浸透工程と、
前記触媒成分を浸透させた結束バンドを、アルコールを含有する無電解めっき液に浸漬して、前記結束バンドを無電解めっきする無電解めっき工程とを有する。
これによれば、加圧二酸化炭素が有する拡散性及び浸透性により、触媒成分を結束バンドの表面内部に導入することができる。従って、環境負荷の大きな六価クロム酸などの酸化剤を含有するエッチング液を用いたエッチング処理を行うことなく、触媒成分をポリアミド系樹脂からなる結束バンドの表面内部に導入することができる。そして、ポリアミド系樹脂はアルコールの浸透性に優れるため、上記触媒成分が導入された結束バンドを、アルコールを含有する無電解めっき液に浸漬すれば、結束バンドの表面内部に導入された触媒成分を利用してめっき反応を生じさせることができる。これにより、優れた導電性を有する結束バンドを安価に製造することができる。
前記アルコールを含有する無電解めっき液は、少なくとも1,3−ブタンジオールを含むことが好ましい。1,3−ブタンジオールの表面張力は、水の表面張力よりも低く、そのためポリアミド系樹脂からなる結束バンドに対する浸透性に優れている。従って、無電解めっき液をポリアミド系樹脂からなる結束バンドの内部に浸透しやすくすることができる。
前記結束バンドは、ポリアミド系樹脂からなるシート材を切り出し加工もしくは打ち抜き加工して作製することができる。結束バンド自体を射出成形により作製するとなると、その形状に合わせた金型が必要となり設備費用が高価となってしまう。これに対して、結束バンド自体をポリアミド系樹脂からなるシート材を切り出し加工もしくは打ち抜き加工することにより作製すれば、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドを比較的安価に得ることができる。その結果、最終的な導電性結束バンドを低コストで提供することができる。
本発明の製造方法によれば、環境負荷の大きな酸化剤を含有するエッチング液を用いたエッチング処理を行うことなく、触媒成分を結束バンドの表面内部に導入することができる。そして、該触媒成分が付与された結束バンドをアルコールを含有する無電解めっき液を用いて無電解めっき処理することにより、優れた導電性を有する結束バンドを安価に製造することができる。
本発明の実施の形態に係る樹脂シートから打ち抜き加工された結束バンドの一例を示す平面図である。 本発明の実施例1に係る浸透工程で用いられる製造装置を示す概略模式図である。 本発明の実施例1に係る浸透工程で用いられる巻回体を示す概略模式図である。 本発明の実施例1に係る製造方法により得られた導電性結束バンドの外観及び断面構造の一部を示す概略模式図である。
以下、本発明の実施の形態に係る導電性結束バンドの製造方法について具体的に説明する。
本実施の形態の導電性結束バンドの製造においては、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドと、めっき触媒となる金属を含有する触媒成分を加圧二酸化炭素に溶解させた加圧流体とを接触させて、触媒成分を結束バンドの表面内部に浸透させる浸透工程が行われる。
これによれば、加圧二酸化炭素が持つ拡散性及び浸透性により触媒成分を結束バンドの表面内部に導入することができる。すなわち、ポリアミド系樹脂製からなる結束バンドに対しこの加圧二酸化炭素を用いて触媒成分を与えることにより、触媒成分は加圧二酸化炭素に溶解した状態で結束バンドの表面全体から均一に浸透して、結束バンドの表面内部に浸透する。その結果、結束バンドの表面内部に触媒成分が均一に分散される。従って、触媒成分を加圧二酸化炭素に溶解した加圧流体を用いることにより、環境負荷の大きな六価クロム酸などの酸化剤を含有するエッチング液を用いたエッチング処理を行うことなく、触媒成分をポリアミド系樹脂からなる結束バンドに付与することができる。また、加圧二酸化炭素を用いることにより、触媒成分をポリアミド系樹脂からなる結束バンドの表面内部に浸透させることができるため、浸透工程後に、後述するアルコールを含有する無電解めっき液を用いた無電解めっき工程を行うことにより、エッチング液で浸食され難いポリアミド系樹脂からなる結束バンドにも無電解めっき処理によりめっき膜を形成することができる。
ポリアミド系樹脂からなる結束バンドは、電気機器などの配線線材を結束できるものであれば、任意の形状のものを用いることができる。例えば、図1に示すような切り欠き部及び嵌合部を有した形状の結束バンドが挙げられる。この図1に示すような形状の結束バンドは、任意の方法で作製することができる。例えば、押出成形で作製した均一な厚みのポリアミド系樹脂からなるシート材を切り出し加工もしくは打ち抜き加工することにより所定形状の結束バンドを作製することができる。また、所定の内部形状を有する金型を用いて、溶融したポリアミド系樹脂を射出成形することにより結束バンドを作製することもできる。ただし、結束バンド自体をポリアミド系樹脂からなるシート材を切り出し加工もしくは打ち抜き加工で形成することにより、比較的安価に結束バンドを作製することができ、それにより最終的な導電性結束バンドを低コストで提供することができる。
本実施の形態において、ポリアミド系樹脂としては、従来の結束バンドの作製に使用されているものを制限なく使用することができる。このようなポリアミド系樹脂としては、具体的には、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、アラミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、低コストで、製造及び取り扱いの容易さの観点から、ナイロン6(融点:225℃)もしくはナイロン66(融点:265℃)が好ましい。
触媒成分としては、浸透工程において加圧二酸化炭素に溶解性を有し、無電解めっき工程においてめっき触媒として作用できる金属を含むものであれば特に制限されない。具体的には、パラジウム、白金、ニッケル、銅、銀などの金属の微粒子、これらの金属を含む錯体、及び金属錯体の酸化物などの変性物が挙げられる。これらの中でも加圧二酸化炭素に対して溶解性に優れる金属錯体が好ましい。このような金属錯体としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、ジメチル(シクロオクタジエニル)プラチナ(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナトヒドレート銅(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナトプラチナ(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナト(トリメチルホスフィン)銀(I)、ジメチル(ヘプタフルオロオクタネジオネート)銀(AgFOD)などが挙げられる。これらは単独でも複数混合して用いてもよい。これらの中でも、コスト、及び機能面からバランスのとれたパラジウム錯体が好ましい。また、これらの中でも、加圧二酸化炭素に優れた溶解性を有するフッ素を配位子として有する金属錯体が好ましく、フッ素を配位子として有するパラジウム錯体がより好ましい。
加圧二酸化炭素は、液体状態、ガス状態、または超臨界状態の加圧二酸化炭素を用いることができる。加圧二酸化炭素は、臨界点(温度が31℃以上、圧力が7.38MPa以上の超臨界状態)以上に加圧された二酸化炭素を用いてもよいし、臨界点より低圧力で加圧された二酸化炭素を用いてもよい。より具体的には、加圧二酸化炭素の圧力は、5〜30MPaが好ましく、温度は10〜150℃が好ましい。圧力が5MPa未満の場合、加圧二酸化炭素の密度が低下する傾向がある。一方、圧力が30MPaより高い場合、高耐圧の製造装置が必要となり、コスト高となる。また、温度が10℃未満の場合、触媒成分の分散性が低下する傾向がある。一方、温度が150℃より高い場合、製造装置のシールが困難となる傾向がある。また、加圧二酸化炭素の密度は、0.10〜0.99g/cmが好ましい。
加圧二酸化炭素に触媒成分を溶解させた加圧流体を調製するにあたっては、任意の方法を使用することができる。例えば、ポンプなどの加圧手段により液体二酸化炭素を加圧し、加圧二酸化炭素を触媒成分が投入されている溶解槽に供給し、該触媒成分と加圧二酸化炭素とを混合撹拌することによって加圧二酸化炭素に触媒成分を溶解させた加圧流体を調製することができる。
触媒成分をポリアミド系樹脂からなる結束バンドに浸透させる方法は、結束バンドの表面内部に触媒成分を浸透させることができれば特に限定されない。具体的には、例えば、高圧容器内でポリアミド系樹脂からなる結束バンドに加圧流体を接触させるバッチ法が挙げられる。この場合、加圧二酸化炭素が通過しやすい無機物から形成されているセパレータ上に複数の結束バンドを、各結束バンドが互いに接触しないように等間隔に配置し、これを巻回した巻回体を高耐圧の高圧容器に収容して、結束バンドと加圧流体とを接触させることにより、触媒成分を結束バンドの表面内部に浸透させてもよい。前記の無機物から形成されているセパレータとしては、例えば、アルミ製のメッシュシート、SUS製のメッシュシート、ガラスクロスなどが挙げられる。加圧流体はこれらのセパレータを通過できるので、拡散性の高い加圧流体がセパレータを介して結束バンドの全面に均一に拡散して浸透する。これにより、得られる結束バンドへのダメージを低減できるとともに、凝集の少ない状態で結束バンドの表面内部に触媒成分を浸透させることができる。
なお、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドに浸透させた触媒成分は、金属錯体や金属錯体の変性物の状態であってもよいが、めっき触媒としての触媒活性を高めるためにこれらの触媒成分をメタル化することが好ましい。このようなメタル化は任意の方法を使用することができる。例えば、浸透工程前に、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドに予め還元剤を含有する還元水溶液を浸透させておき、浸透工程後に、高圧容器を低温度(例えば、40〜60℃)に保って還元剤で金属錯体などを還元することにより、浸透させた触媒成分をメタル化してもよい。また、浸透工程において、低温度(例えば、40〜60℃)の高圧容器内でポリアミド系樹脂からなる結束バンドに金属錯体などの触媒成分を浸透させた後、高圧容器を金属錯体などの還元温度以上(例えば、120〜150℃)に加熱することにより、金属錯体などの触媒成分をメタル化してもよい。さらには、浸透工程後、無電解めっき工程前に、触媒成分を浸透させたポリアミド系樹脂からなる結束バンドを、還元剤を含有する還元水溶液に浸漬させる還元処理を行うことにより、金属錯体などの触媒成分をメタル化してもよい。
前記還元剤としては、無電解めっき液に用いられる還元剤と同様のものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、及びフェノール類からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。特に、ニッケル−リンめっき膜を形成する場合には、還元剤は、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、還元水溶液は、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドへの浸透性を向上するために、アルコールを含有してもよい。ただし、アルコールの含有量が多くなりすぎると、還元剤の溶解度が低下する。このため、還元水溶液中のアルコールの含有量は50vol%未満が好ましい。
なお、無電解めっき工程前に、触媒成分を浸透させたポリアミド系樹脂からなる結束バンドを還元剤を含有する還元水溶液に浸漬させるようにすれば、次に述べる無電解めっき工程においてアルコールを含有した無電解めっき液の浸透を補助することができる点でも有利である。
次に、上記のようにして触媒成分を浸透させた結束バンドを、アルコールを含有する無電解めっき液に浸漬して、前記結束バンドを無電解めっきする無電解めっき工程が行なわれる。
これによれば、無電解めっき液にアルコールを含有させることで無電解めっき液の表面張力が低下するので、常圧下の無電解めっき処理であっても、無電解めっき液が結束バンドの表面内部まで浸透する。また、アルコールはめっき膜の成長を遅らせる還元剤として作用するので、結束バンドの表面部分に無電解めっき液が浸透し始めた時点で、最表面におけるめっき反応を遅らせることができる。その結果、この製造方法によれば、結束バンドの表面内部から成長した高い密着強度を有するめっき膜を形成することができる。
無電解めっき液と混合されるアルコールは、任意であるが、ポリアミド系樹脂への浸透性の観点から低い表面張力を有するものが好ましい。例えば、20℃において、水の表面張力(73dyn/cm)よりも低い表面張力を有するアルコールが好ましく、さらには、50dyn/cm以下の表面張力を有するアルコールが好ましい。このようなアルコールとしては、例えば、エタノール(22.3dyn/cm)、2−プロパノール(23.8dyn/cm)、エチレングリコール(46.5dyn/cm)、2−メトキシエタノール(31.8dyn/cm)、2−エトキシエタノール(28.2dyn/cm)、1−メトキシ−2−プロパノール(27.1dyn/cm)、1−エトキシ−2−プロパノール(25.9dyn/cm)、1,3−ブタンジオール(37.8dyn/cm)、n−ブチルアルコール(24.6dyn/cm)、tert−ブチルアルコール(19.45dyn/cm)、2(2−メトキシプロポキシ)プロパノール(28.8dyn/cm)などが挙げられる。これらは単独でも複数混合して用いてもよい。
無電解めっき処理においては、めっき反応を促進するために、無電解めっき液を加温することが好ましい。加温する場合、無電解めっき液の温度は、めっき液の種類により異なるが、60〜90℃が好ましい。また、この場合、製造上の安全性を考慮すると、加温時の無電解めっき液の温度よりも高い沸点及び引火点を有するアルコールが好ましい。
上記のような低表面張力、高沸点及び高引火点を満足するアルコールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール(表面張力:37.8dyn/cm,沸点:207.5℃,引火点:121℃)、n−ブチルアルコール(表面張力:24.6dyn/cm,沸点:117.7℃,引火点:38.0℃)、2−メトキシエタノール(表面張力:31.8dyn/cm,沸点:124.6℃,引火点:43℃)、1−エトキシ−2−プロパノール(表面張力:25.9dyn/cm,沸点:132.2℃,引火点:43℃)、2(2−メトキシプロポキシ)プロパノール(表面張力:28.8dyn/cm,沸点:190.0℃,引火点:74℃)などが挙げられる。これらは単独でも複数混合して用いてもよい。これらの中でも、高い引火点を有するとともに、浸透性に優れ、高い密着力を有するめっき膜を形成できる1,3−ブタンジオールがより好ましい。
無電解めっき液中のアルコールの含有量は任意であるが、20〜60vol%が好ましい。アルコールの含有量が20vol%より少ないとポリアミド系樹脂からなる結束バンドへの浸透性が低下しやすい。一方、アルコールの含有量が60vol%より多いと無電解めっき液中でアルコールが分離しやすくなる。
無電解めっき液の種類は任意であり、公知のめっき液を用いることができる。例えば、ニッケル−リンめっき液、ニッケル−ホウ素めっき液、銅めっき液、銀めっき液、コバルトめっき液、パラジウムめっき液などを用いることができる。これらの中でも、高い密着性が得られるニッケル−リンめっき液が好ましい。なお、上記アルコールを含有する無電解めっき液を用いた無電解めっき処理を行った後、さらにその無電解めっき膜の上に、従来の水系の無電解めっき液を用いた無電解めっき膜または/および従来の電解めっき膜を積層してもよい。電解めっきの種類は任意であり、例えば、銅めっき、ニッケルめっき、銀めっき、亜鉛めっきなどが挙げられる。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、ポリアミド系樹脂からなる結束バンドの表面内部に触媒成分を浸透させた後、無電解めっき処理して結束バンドに無電解下地めっき膜を形成し、さらにこの無電解下地めっき膜を形成した結束バンドを電解めっき処理して電解めっき膜を形成することにより、導電性結束バンドを製造した。なお、ポリアミド系樹脂製の結束バンドには、押出成形で作製されたナイロン6製の樹脂シート(アラム社製,厚み:0.3mm)を、打ち抜き刃を備えた打ち抜き機を使用して、図1に示すような切り欠き部及び嵌合部を有する形状に加工したものを用いた。
(前処理)
最初に、結束バンドの表面を膨潤させるとともに、浸透工程において付与する金属錯体の触媒活性を高める目的で、70℃の還元水溶液にナイロン6製の結束バンドを、5分間浸漬させた。還元水溶液には、5vol%の次亜リン酸と、水及び1,3−ブタンジオールの混合溶媒(水と1,3−ブタンジオールの体積比:1/1)とを混合し、この混合液を水酸化ナトリウムによりpHが7になるよう調整した水溶液を用いた。
(浸透工程)
次に、上記のようにして前処理した結束バンドと、触媒成分としての金属錯体を加圧二酸化炭素に溶解させた加圧流体とを、バッチ処理により接触させて、結束バンドの表面内部に金属錯体を浸透させた。金属錯体には、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)錯体を用いた。
図2は、この浸透工程に用いられた製造装置の概略模式図を示す。図2に示すように、この製造装置は、加圧二酸化炭素を高圧容器11に供給するための流体供給部100と、金属錯体を加圧二酸化炭素に溶解させた加圧流体とナイロン6製の結束バンドとを接触させ、触媒成分の金属錯体を前記結束バンドに浸透させるための高圧処理部200とを備えている。
流体供給部100は、2本の液体二酸化炭素ボンベ31,32と、液体二酸化炭素を所定の圧力に加圧して、加圧二酸化炭素を供給するためのポンプ50と、バッファ容器51とを備えている。また、液体二酸化炭素ボンベ31,32とポンプ50とを接続する配管には、圧力計60が配設されており、バッファ容器51と高圧処理部200とを接続する配管には、上流側から順に、減圧弁56、圧力計61、及び自動弁57が配設されている。
加圧二酸化炭素を高圧処理部200に供給する際には、液体二酸化炭素ボンベ31,32の手動バルブ41,42を開放し、温調された配管を通過させて液体二酸化炭素をガス化させた後、圧力計60で検知される圧力が所定の圧力となるようにポンプ50によって二酸化炭素を昇圧する。これにより、バッファ容器51内に所定圧力の加圧二酸化炭素が供給される。また、バッファ容器51内に供給された加圧二酸化炭素は、所定温度になるように温調された後、減圧弁56で所定圧力になるように減圧され、自動弁57を開放することにより、高圧処理部200に供給される。本実施例では、液体二酸化炭素ボンベ31,32から圧力6MPa、常温(25℃)の液体二酸化炭素を吸引し、40℃に温調された配管によりガス化した。そして、ガス化した二酸化炭素をポンプ50によって圧力20MPaの超臨界状態の加圧二酸化炭素とし、これを50℃に温調されたバッファ容器51に供給した。さらに、20MPaの超臨界状態の加圧二酸化炭素を圧力計61の表示が圧力15MPaになるように減圧弁56で減圧した後、高圧処理部200に加圧二酸化炭素を供給した。
高圧処理部200は、前記結束バンドと前記加圧流体とを接触させるための高圧容器11を備えている。図2及び図3に示すように、高圧容器11内には、複数の結束バンド1(前記前処理後のもの)を内部に有する巻回体14が収容されている。この巻回体14は、アルミ製のメッシュセパレータ13の一面に、複数の結束バンド1を互いに接触しないように等間隔に配置し、これを多数の貫通孔を有する円筒体12に巻回して作製されたものである。この巻回体14は、高圧容器11内の中心部に配設された多数の貫通孔を有する円筒状の支持部材64に挿入されている。図2に示すように、高圧容器11の下部には流体供給口65が、高圧容器11の上部には流体排出口66が設けられており、これら流体供給口65と流体排出口66とは、流体供給部100と接続されている接続部から供給される加圧流体が高圧容器11内を循環するよう循環管路21によって接続されている。循環管路21の流体供給口65の手前には、上流側から順に、循環管路21内で加圧流体を循環させるための循環ポンプ52と、触媒成分が収容された溶解槽59とが配設されている。また、循環ポンプ52と溶解槽59とを接続する循環管路21は、排出管路22と接続されており、該排出管路22には、圧力計62、自動弁63、及び背圧弁67が配設されている。従って、流体供給部100から加圧二酸化炭素が供給されると、循環ポンプ52により加圧二酸化炭素が溶解槽59に供給され、溶解槽59で金属錯体が溶解されて、金属錯体を含有する加圧流体が高圧容器11内に供給される。このとき、背圧弁67は所定圧力に設定され、循環管路21内の加圧流体の圧力が低下すると、自動弁57から加圧二酸化炭素が補充される。一方、循環管路21内の加圧流体の圧力が所定圧力より高い場合、加圧流体が排出管路22から排出される。これにより、高圧容器11内及び循環管路21内の圧力が一定に維持される。本実施例では、背圧弁67の圧力を加圧二酸化炭素の圧力と同じ15MPaに設定し、高圧容器11内及び循環管路21内の圧力が15MPaに維持された状態で循環ポンプ52を駆動して逆止弁58の方向に加圧流体を数分間循環させた。そして、溶解槽59内の金属錯体を加圧二酸化炭素により溶解し、50℃に温調された高圧容器11内に加圧流体を10分間供給して、前記結束バンド1に金属錯体を浸透させた。さらに、高圧容器内の温度を50℃で60分間保持した後、自動弁57を閉鎖し、自動弁63を開放することで高圧容器11内の加圧二酸化炭素を排出し、結束バンド1を取り出した。
(無電解めっき工程)
次に、前記浸透工程により触媒成分を表面内部に浸透させた結束バンドを常圧下で無電解めっき処理した。本実施例では、まず、1,3−ブタンジオールを含有する無電解ニッケル−リンめっき液(1,3−ブタンジオールの含有量:45vol%)を開放容器内に投入し、常圧下、70℃に加熱した。この無電解めっき液に触媒成分を表面内部に浸透させた結束バンドを10分間浸漬して無電解めっき処理を行った。なお、無電解めっき液の原液には、奥野製薬工業社製のニコロンDKを用いた。
このアルコールを含有した無電解ニッケルーリンめっき液で形成した無電解めっき膜は抵抗値が大きく、後の電解めっきが困難となることから、水系の無電解めっき液を用いて、さらに無電解めっき処理を行なった。具体的には、アルコールを含有しない無電解ニッケル−リンめっき液(上記のアルコールを含有する無電解めっき液中のアルコールを水に代替した無電解めっき液)を開放容器内に投入し、常圧下で、70℃に加熱した無電解めっき液に、上記の無電解めっき処理後の結束バンドを浸漬して無電解めっき処理を行った。
以上の無電解めっき処理により、ナイロン6からなる結束バンド表面に約2μmの厚さを有する無電解ニッケル−リンめっき膜(無電解下地めっき)を形成した。
(電解めっき工程)
次に、無電解下地めっき処理を形成した結束バンドを常圧下で電解めっき処理した。本実施例では、硫酸銅電解めっき液(硫酸銅:200g/L、硫酸:50g/L)を開放容器内に投入し、常圧下、室温(20〜25℃)で、電解めっき液に、無電解下地めっきを施した結束バンドを浸漬して、約10分間通電して電解めっき処理を行った。以上の電解めっき処理により、無電解下地めっき処理を施した結束バンド表面に1〜2μmの銅めっき膜を形成した。
以上の方法で図4に示すように、ナイロン6からなる樹脂表面に、無電解めっき膜(ニッケル−リンめっき膜)と電解めっき膜(銅めっき膜)とからなる金属膜が形成された導電性結束バンドを作製した。
[実施例2]
無電解めっき工程において、1,3−ブタンジオールに代えて、2−メトキシエタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして導電性結束バンドを作製した。
[比較例1]
無電解めっき工程において、アルコールを含有しない無電解めっき液のみを用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき処理を行ったが、形成された無電解めっき膜は密着力が非常に乏しく、容易に剥離したため、所望の導電性結束バンドを得ることができなかった。
以上のようにして作製した各導電性結束バンドの抵抗値及びめっき膜の密着力を以下の方法により測定した。この結果を、表1に示す。
〔抵抗値〕
各実施例の導電性結束バンド5個の抵抗値を、抵抗測定機(三菱化学社製,ロレスターGP)により、室温下で測定した。
〔密着力〕
各実施例の導電性結束バンド5個について、ピール試験を行い金属膜の密着力を評価した。剥離用テープとして、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製)を用い、指の腹で金属膜にテープを密着後、テープを剥離した。剥離後に、金属膜の剥離がない場合を、○、一部剥離する場合を、△として評価した。
Figure 2010280416
上記表1に示すように、本実施例で作製した導電性結束バンドは、低抵抗値を有していることが分かる。市販の導電性結束バンドの抵抗値は、10〜10Ω/□であることから、本実施例によれば、無電解めっき法により、従来よりも抵抗の低い、優れた導電性を有する結束バンドを形成できることが確認された。また、無電解めっき液のアルコールとして1,3−ブタンジオールを用いた場合、より高い密着力を有する無電解めっき膜を形成できることが分かる。
さらに、本実施例の導電性結束バンドは、柔軟性も十分確保できており、配線等を結束しても金属膜に剥がれが生じないことが確認された。
1 結束バンド
11 高圧容器
12 円筒体
13 セパレータ
14 巻回体
21 循環管路
22 排出管路
31,32 液体二酸化炭素ボンベ
41,42 手動バルブ
50 ポンプ
51 バッファ容器
52 循環ポンプ
56 減圧弁
57 自動弁
58 逆止弁
59 溶解槽
60 圧力計
61 圧力計
62 圧力計
63 自動弁
64 支持部材
65 流体供給口
66 流体排出口
67 背圧弁
100 流体供給部
200 高圧処理部

Claims (3)

  1. ポリアミド系樹脂からなる結束バンドと、めっき触媒となる金属を含有する触媒成分を加圧二酸化炭素に溶解させた加圧流体とを接触させて、前記触媒成分を結束バンドの表面内部に浸透させる浸透工程と、
    前記触媒成分を浸透させた結束バンドを、アルコールを含有する無電解めっき液に浸漬して、前記結束バンドを無電解めっきする無電解めっき工程とを有する導電性結束バンドの製造方法。
  2. 前記アルコールを含有する無電解めっき液は、少なくとも1,3−ブタンジオールを含む請求項1に記載の導電性結束バンドの製造方法。
  3. 前記結束バンドは、ポリアミド系樹脂からなるシート材を切り出し加工もしくは打ち抜き加工することにより作製される請求項1または2に記載の導電性結束バンドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103303573A (zh) * 2013-07-08 2013-09-18 苏州币龙装饰工程有限公司 鱼骨扎带
CN103523373A (zh) * 2013-10-20 2014-01-22 江苏申凯包装高新技术股份有限公司 一种烤鸡袋用耐高温聚酯扎带
JP2016183697A (ja) * 2015-03-25 2016-10-20 東京エレクトロン株式会社 連結部材および基板処理装置

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