JP2010279928A - 濾過槽、電解槽、沈殿槽、廃水処理装置及び廃水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】煙草の吸殻を含む廃水の処理に際し、処理効率を向上させ、維持管理に要する労力や費用を抑える。
【解決手段】廃水処理装置1が濾過槽2、電解槽3及び沈殿槽4を備える。濾過槽2は濾過槽本体31の内部に収容されて廃水を投入するための投入口7を有したスクリーン籠34と、スクリーン籠34の下方に設けられた濾材38とを有し、スクリーン籠34の少なくとも側面には濾材38よりも網目の大きいメッシュ部35が形成されている。電解槽3は電解槽本体46内に廃水を流入させるための流入口47と、電解槽本体46内の廃水を流出させるための流出口48と、電解槽本体46の内底部から廃水を取り出してその廃水を電解槽本体46内に戻す返送部53とを有している。
【選択図】図1
【解決手段】廃水処理装置1が濾過槽2、電解槽3及び沈殿槽4を備える。濾過槽2は濾過槽本体31の内部に収容されて廃水を投入するための投入口7を有したスクリーン籠34と、スクリーン籠34の下方に設けられた濾材38とを有し、スクリーン籠34の少なくとも側面には濾材38よりも網目の大きいメッシュ部35が形成されている。電解槽3は電解槽本体46内に廃水を流入させるための流入口47と、電解槽本体46内の廃水を流出させるための流出口48と、電解槽本体46の内底部から廃水を取り出してその廃水を電解槽本体46内に戻す返送部53とを有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、煙草の吸殻を含む廃水を処理するための濾過槽、電解槽及び沈殿槽、並びに装置及び方法に関する。
パチンコ機等を設置した遊技施設では各遊技機に対応して灰皿が設けられ、灰皿内の煙草の吸殻が自動回収装置等により消火用水を溜めた容器に回収される。吸殻回収後の容器内の廃水はニコチンやタールや油脂等の有機物を高濃度で含んでおり、かかる汚染度の高い廃水が下水道等にそのまま放流されるのを避けるべく、廃水を処理するための装置を遊技施設に導入することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の装置は濾過槽と活性炭槽とが上下一体となった処理槽を備え、槽上部に収容された筒体内には2種の濾材が上下に分かれて設けられ、槽下部に活性炭が設けられている。係員によって容器の内容物が筒体上端の投入口に投入されると、上側の濾材で大型固形物が分離され、下側の濾材で小型固形物が分離され、固形物を分離した廃水が槽下部に流入する。そして、廃水中の有機物を活性炭に吸着させてその水質が所要値まで改善するよう試みられた後に、廃水が槽外へと排出される。また、筒体内では濾材上に固形物が順次溜まっていく。筒体が固形物で満たされると、係員は処理槽から筒体を取り外し、固形物を廃棄して筒体を処理槽に収容し直す。このとき、必要に応じて濾材が交換される。
しかし、特許文献1の装置によれば、大型固形物を分離する濾材が筒体上部に設けられているため、内容物を何度か投入しただけで投入口の近傍が大型固形物で直ぐに満たされてしまい、固形物の廃棄作業を頻繁に行う必要が生じる。また、処理槽に収容される筒体の更に内側に濾材が設けられているため、濾過面積が処理槽の平面積に対して小さくなる。よって、濾過速度が小さく廃水の処理に時間がかかる。また、濾過面積が小さいため濾材の目詰まりも生じ易く、濾材を頻繁に交換する必要が生じる。
そして、容器の内容物を単に濾過しただけの廃水には、有機物が依然高濃度で含まれている。かかる廃水をそのまま直接的に活性炭に通して所要の水質を得るには、槽下部で廃水を長時間滞留させておく必要がある。また、活性炭処理の時間が長いと、活性炭表面の細孔が高濃度の有機物で直ぐに塞がり、活性炭の吸着能が急速に劣化する。よって、槽外へ排出する水を所要の水質に保つには、活性炭を頻繁に交換する必要が生じる。
そこで本発明は、煙草の吸殻を含む廃水の処理に際し、廃水の処理効率を向上させ、維持管理に要する労力や費用を抑えることを目的としている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る濾過槽は、煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置に設けられる濾過槽であって、濾過槽本体の内部に収容され、廃水を投入するための投入口を有したスクリーン籠と、前記スクリーン籠の下方に設けられた濾材とを有し、前記スクリーン籠の少なくとも側面には前記濾材よりも網目の大きいメッシュ部が形成され、前記投入口より前記スクリーン籠の内部に投入された廃水に含まれる固形物の一部が前記メッシュ部で分離され、前記メッシュ部を通過した廃水に含まれる固形物が前記濾材で分離されることを特徴としている。
このような構成とすることにより、投入口より廃水が投入されると、スクリーン籠の側面のメッシュ部において大型固形物が分離される。多量の廃水が投入されても側面のメッシュ部が露出している限りは大型固形物を分離可能となり、スクリーン籠の容積を有効活用して大型固形物を貯留することができる。また、側面で濾過を行うため、スクリーン籠の高さを確保しさえすれば濾過面積が拡大され、大型固形物の分離に要する時間を容易に短縮可能となる。スクリーン籠から流出した廃水は濾材上に達し、そこで比較的小型の固形物が分離される。このように大型固形物の分離と小型固形物の分離とを二段階に分けているため、網目が小さい濾材の目詰まりが生じにくくなる。
本発明に係る電解槽は、煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置に設けられる電解槽であって、外部から電解槽本体内に廃水を流入させるための流入口と、前記電解槽本体内の廃水を外部に流出させるための流出口と、前記電解槽本体内の底部から、電解処理で生成される汚泥が混入する廃水を取り出してその廃水を前記電解槽本体内に戻す返送部とを有することを特徴としている。
電解処理は、陽極から溶出した金属イオンと陰極において発生する水酸化物イオンとのイオン化合物によって廃水中の有機物を凝集するものであり、濾材や活性炭といった消耗品が不要となる。そして、返送部によって取り出される廃水には、電解処理による凝集によって生成された汚泥が混入し、該汚泥が電解槽本体の上部から流入して槽内の廃水と混合される。このように汚泥を循環させることにより、廃水中の有機物粒子がこの汚泥によっても凝集されるようになる。従って、電解処理が促進されることとなり、所要の水質を得るために必要となる電解処理の時間を短縮することができる。
本発明に係る沈殿槽は、煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置に設けられた沈殿槽であって、外部から沈殿槽本体内に廃水及び凝集剤を流入させるための流入口と、前記沈殿槽本体内の上澄みの廃水を外部に流出させるための複数の流出口とを備え、前記複数の流出口が前記沈殿槽本体内に上下に間隔をおいて設けられ、前記上澄みの廃水の排出時に前記複数の流出口が上側から順に1つずつ開放されることを特徴としている。
このような構成とすることにより、水面から開放中の1つの流出口までの深さに応じた水頭圧に基づき、その流出口より上澄みの廃水が排出される。よって、流出口周辺の流れが緩速となり、汚泥が巻き上げられるおそれが小さい。このため、沈殿槽からの排水に汚泥が混入しにくくなる。
本発明に係る廃水処理装置は、煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置であって、前述した濾過槽で固形物が分離された廃水が前述した電解槽に送られることを特徴としている。このような装置によると、前述した作用を奏する濾過槽及び電解槽を備えるため、一度に処理可能な廃水量が増大し、且つこの一度の処理に要する時間を短縮させた上で、維持管理に要する労力や費用を大幅に抑えることができる。
前述した沈殿槽と、廃水に含まれる有機物及び/又は無機物を活性炭に吸着させる活性炭槽とを更に備え、前記電解槽で電解処理された廃水が凝集剤と共に前記沈殿槽に送られ、前記沈殿槽本体内の上澄みの廃水が前記活性炭槽に送られてもよい。電解処理後の処理対象となる廃水の水質は単に固形物を分離しただけの廃水と比べて大幅に改善されている。よって、この沈殿処理に要する時間を短くし且つ投入すべき凝集剤の量が少なくても水質を高度に改善することができる。そして、沈殿槽からの排水はその水質が高度に改善されているだけでなく、汚泥も混入しにくくなっている。よって、沈殿槽の後段に控える活性炭槽においては、処理時間を短くしても水質を高度に改善可能となると共に活性炭の交換サイクルが大幅に長くなる。
また、本発明に係る廃水処理方法は、煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理方法であって、廃水を濾過する濾過工程と、前記濾過工程で濾過された廃水を電解処理する電解処理工程とを有し、前記濾過工程において、廃水に含まれる固形物の一部が分離された後に、該分離後の廃水に含まれる固形物が更に分離されるようにし、前記電解処理工程において、電解処理で生成される汚泥を循環させるようにしたことを特徴としている。この方法によると、前述の廃水処理装置と同様にして、一度に処理可能な廃水量が増大し、且つこの一度の処理に要する時間を短縮させた上で、維持管理に要する労力や費用を大幅に抑えることができる。
本発明は、煙草の吸殻を含む廃水の処理に際し、処理効率を向上させ、維持管理に要する労力や費用を抑えることができる。
以下、これら図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示す廃水処理装置1は煙草の吸殻を含む廃水を処理するための装置であり、例えばパチンコ機やスロットマシンを設置した遊技施設に導入される。この種の遊技施設では、所謂島ごとに消化用水を溜めた容器100が設置され、島ごとに内蔵された自動回収装置の動作により各遊技機に対応する灰皿内の煙草の吸殻が容器100へと自動で回収される。各容器100の典型的な容量は2リットル程度であり、大型施設では合計20個程度の容器100が設置される。遊技施設の係員はこれら容器100を所定サイクルで回収し、回収した容器100の内容物を廃水処理装置1に投入する。また、必要に応じて廃水処理装置1で内容物から分離された固形物を廃棄する作業や、消耗品の交換及び槽洗浄等の維持管理を行う。
廃水処理装置1は濾過槽2、電解槽3、沈殿槽4、活性炭槽5及び滅菌槽6を備え、容器100の内容物は各槽2〜6をこの順で通過する過程で処理されていく。つまり、濾過槽2は容器100の内容物を投入するための投入口7を有し、投入口7に投入された容器100の内容物は濾過槽2で濾過される。濾過後の廃水は、濾過槽2から処理ライン8を介して電解槽3へと送られ、電解槽3で電解処理される。電解処理後の廃水は、電解槽3から処理ライン9を介して沈殿槽4へと送られる。また、沈殿槽4には、凝集剤タンク10に貯留された凝集剤が凝集剤供給ライン11を介して供給される。沈殿槽4では、電解槽3からの廃水に含まれる有機物粒子を凝集剤で凝集して沈降させる。この沈殿処理後に得た上澄みの廃水が、沈殿槽4から処理ライン12を介して活性炭槽5へと送られ、活性炭槽5で活性炭処理される。活性炭処理後の廃水は、活性炭槽5から処理ライン13を介して滅菌槽6へと送られ、滅菌槽6で滅菌処理される。この濾過から滅菌処理までの5段工程をワンフローとする水処理後に、滅菌槽6からの排水が下水道等に放流される。
また、この廃水処理装置1では、槽底部に残留した廃水や槽の廃水貯留容量の超過分を槽外へ排出してドレン管14に送ることができる。濾過槽2、電解槽3及び沈殿槽4には残留分排出用のドレンライン15,17,19と超過分排出用のオーバーフローライン16,18,20とが両方接続され、活性炭槽5にはドレンライン21が接続されている。各ライン15〜21はドレン管14に設けたポート14a〜14gに適宜接続されている。なお、ドレン管14に送られた排水は投入口7に返送する等して装置内で循環させてもよく、下水道等に放流してもよい。沈殿槽4のドレンライン19には、沈殿した汚泥を濾過槽2に返送するための汚泥返送ライン22が接続されている。汚泥返送ライン22の終端部は投入口7に位置し、沈殿槽4内で沈殿した汚泥を濾過槽2で回収可能にしている。
廃水処理装置1は装置全体の動作を制御するコントローラ23を備え、コントローラ23の入力側には始動スイッチ24が接続されている。係員が始動スイッチ24を操作すると、コントローラ23は出力側に接続されたバルブやポンプやモータ等を適宜タイミングで駆動し、前述したワンフローの水処理をバッチ方式で自動的に行わせる。以下、槽毎の構成を説明した後に廃水処理装置1の全体的な動作を説明する。
図2に示すように、濾過槽2は上面が開放した濾過槽本体31を備え、濾過槽本体31の上部32で濾過が行われ、下部33で濾過後の廃水を貯留する。本体上部32には上方からスクリーン籠34が着脱可能に取り付けられる。スクリーン籠34は上面が開放され、この開口が前述した投入口7をなしている。スクリーン籠34の側壁34a及び底壁34bは網状に形成されている。よって、スクリーン籠34の側面及び底面には網目を有するメッシュ部35が形成され、このメッシュ部35を介してスクリーン籠34の内部が、スクリーン籠34の外面と本体上部32の内面との間の槽内空間32aに連通している。図示例ではメッシュ部35を底面全域に形成し、側面の下端から上端近傍までの略全域に形成している。メッシュ部35の網目は、容器100の内容物から煙草の紙やフィルタ等の比較的大型の固形物を分離可能なサイズ(例えば1mm角〜3mm角)に設計される。
濾過槽本体31は、内側面の上下中央部から水平に突出するフランジ部36を有し、フランジ部36には平板状のパンチングメタル37が着脱可能に載置される。パンチングメタル37の平面形状は濾過槽本体31の断面形状に合わせた形状であり、パンチングメタル37により濾過槽本体31の内部が上下に仕切られる。スクリーン籠34の底壁34bの下方には、パンチングメタル37の上面の略全域を覆うようにして濾材38が着脱可能に配設されている。濾材38の網目は、容器100の内容物から煙草の葉や灰等の比較的小型の固形物を分離可能なサイズ(例えば70μm角〜90μm角)に設計される。
濾過後の廃水が流入する本体下部33には、流出口39、ドレン口40及びオーバーフロー口41が設けられている。流出口39、ドレン口40及びオーバーフロー口41には、前述した処理ライン8、ドレンライン15及びオーバーフローライン16がそれぞれ接続される。流出口39は濾過槽本体31の側壁の下端部に設けられ、本体下部33に溜められた廃水の略全量を流出口39から電解槽3へ送ることができる。ドレン口40は底壁に設けられ、流出口39より流出されず底部に残留した廃水の略全量をドレン口40から排出することができる。オーバーフロー口41は側壁に設けられ、パンチングメタル37の直下に位置している。本体下部33の水位がオーバーフロー口41の下端よりも上昇しようとするとオーバーフロー口41から廃水が排出される。廃水の貯留容量は、オーバーフロー口41の下端位置によって規定され、大型の遊技施設に設置された全ての容器100の内容物が一度に投入されてもその全量を貯留可能な値(例えば40リットル〜50リットル)に設定される。よって、濾過槽本体31は、縦:30cm〜40cm、横:30cm〜40cm、高:60cm〜80cmの直方体状に形成され得る。
この濾過槽2において、投入口7より容器100の内容物が投入されると、煙草の紙やフィルタ等の大型固形物がスクリーン籠34内に留まり、これら大型固形物を分離した廃水がメッシュ部35を通過して槽内空間32aへ流れていく。
メッシュ部35はスクリーン籠34の底面だけでなく側面にも形成されている。このため、複数の容器100の内容物が投入されて大型固形物91が内底面側から順次溜まっていっても、廃水は側面を通って槽内空間32aへと流れていく。つまり、この濾過槽2によると、スクリーン籠34の側面にメッシュ部35が露出している限り、容器100の内容物が投入され続けてもこの露出部分で大型固形物とその他とを分離可能であり、スクリーン籠34の容積を有効活用して大型固形物を貯留することができる。従って、係員は、濾過槽本体31からスクリーン籠34を取り外して大型固形物を廃棄する作業を頻繁に行わなくてもよくなる。また、スクリーン籠34の底面だけでなく側面でも濾過が行われる構造のため、従来と比べて濾過面積が拡大して大型固形物の分離に要する時間が短くて済む。また、スクリーン籠34における濾過面積を、スクリーン籠34の底面積の増加のみによらず、スクリーン籠34の高さを大きくすることによっても容易に拡大可能となる。よって、スクリーン籠34の底面積を増加させず濾過槽2の平面積をコンパクトにしたままで、濾過面積の拡大による濾過時間の短縮効果が得られる。
図3に示すように、濾過槽本体31の平面形状は正方形である一方、スクリーン籠34はかかる濾過槽本体31に収容されてその平面形状が円形状となっている。濾過槽本体31の内側面はスクリーン籠34の外側面と近接し、濾過槽本体31の平面積に対してスクリーン籠34の容積をできるだけ大きく確保している。同時に、スクリーン籠34の外側面と濾過槽本体31の平面視四隅部との間には大きな槽内空間32aが形成され、かかる槽内空間32aにおいてメッシュ部35を通過した廃水が下方に流下し易くなる。
図4に示すように、槽内空間32aに流れた廃水は濾材38上まで落下し、そこで廃水から小型固形物が分離される。濾材38を通過した廃水は、パンチングメタル37に形成された貫通穴37aを通過し、パンチングメタル37の下方の本体下部33へと流入する。メッシュ部35及び濾材38の網目を前述したように設計しているため、本体下部33には固形物が殆ど流入することはない。
濾材38は大型固形物を分離するスクリーン籠34と完全に別部品であり、スクリーン籠34の制約を受けずに濾過槽本体31に配設されている。本実施形態では、図3に示すように、濾材38が濾過槽本体31の内部を仕切るパンチングメタル37の上面の略全体を覆っている。よって、濾材38の平面積は濾過槽本体31の内側の平面積と略等しく、濾過槽本体31の内部に収容されるスクリーン籠34の底面積よりも大きい。このように濾材38の平面積を最大限大きく確保したため、小型固形物の分離に要する時間が短くて済む。また、濾過面積を大きくしたため濾材38の目詰まりが生じにくくなる。
このように本濾過槽2では、大型固形物の分離と小型固形物の分離とが二段階に分けて行われ、スクリーン籠34で粗濾過を行った後に濾材38で小型固形物が分離される。これにより微細な網目を有する濾材38の目詰まりが生じにくくなる。このため、前述した濾過面積の確保と相まって、濾材38の交換サイクルが大幅に長くなる。また、粗濾過はスクリーン籠34のメッシュ部35で行われ、専用の濾材を不要としている。従って、この濾過槽2においては、維持管理に要する労力や費用を大幅に抑えることができる。
なお、濾材38を支持する板をパンチングメタル37としたが、濾液を流下させるための貫通孔が形成されていれば金属製でなくてもよい。スクリーン籠34もメッシュ部35が形成されていれば金属製でも樹脂製でもよい。スクリーン籠34の少なくとも側面にメッシュ部35を形成すれば大型固形物の貯留容量を増加させ得るが、処理時間短縮の観点からメッシュ部35を底面にも形成しておくほうが好ましい。更に、濾過槽本体31やスクリーン籠34の断面形状は円形や矩形に限られず、パンチングメタル37及び濾材38の平面形状もこれに応じて適宜変更される。また、スクリーン籠34は寸胴の筒状に限らず、例えばその底側が先細りの錐状や錐台状に形成されていてもよい。
図5及び図6は電解槽3の縦断面図であるが、ここでは図5における左右方向を縦方向、図6における左右方向を横方向とする。図5に示すように、電解槽3は上面が開放した電解槽本体46を備え、電解槽本体46には流入口47、流出口48、ドレン口49及びオーバーフロー口50が設けられている。これら各ポート47〜50には、前述した処理ライン8,9、ドレンライン17及びオーバーフローライン18がそれぞれ接続される。
濾過槽2からの廃水は流入口47から電解槽本体46内に流入する。流入口47はオーバーフロー口50より上方に設けられ、電解槽3から濾過槽2へ廃水が逆流するおそれがない。流出口48は電解槽本体46の側壁の下端部に設けられ、電解槽本体46に溜められた廃水の略全量を流出口48から処理ライン9を介して沈殿槽4へ送ることができる。ドレン口49及びオーバーフロー口50の配置及び機能は濾過槽2と同様である。オーバーフロー口50の下端位置は、電解槽本体46の廃水貯留容量が濾過槽2の本体下部33(図2参照)と同等程度となるように設定される。
電解槽本体46内には上側から、フレーム99で吊るされた複数(例えば4つ)の電極51が設置されている。これら電極51は縦方向に等間隔をおいて並び、隣り合う電極51の表面同士が縦方向に向き合っている。各電極51はアルミニウムによって矩形平板状に形成され、電極51のうち半分を陽極、残りを陰極として機能させている。各電極51には整流器52(図1参照)を介して直流電力が供給され得る。
電極51に直流電力が供給されると、廃水中の物質が電極51の表面で直接電子の授受を行い、陽極よりアルミニウムイオンが溶出し、陰極において水の電気分解により水素ガスが発生するとともに水酸化物イオンが生成される。廃水は多種多様の物質を含んでいることから、電解剤を投入しなくても水は良好に電気分解される。そして、陽極及び陰極から生成されるイオン同士が反応して水酸化アルミニウムが生成される一方、廃水に含まれる有機物の一部は負に荷電して粒子状の親水コロイド懸濁物となっており、この有機物粒子が水酸化アルミニウムによって凝集される。凝集により生成された汚泥は、自重で沈降沈殿したり、水素ガスの気泡に付着して浮上する。かかる電気化学反応を利用する電解処理を進めていくことで、廃水中の有機物の濃度が低下してその水質が改善されていく。
電解槽3は返送部53を備え、この返送部53は電解槽本体46に設けられた取水口54と再流入口55とを返送ライン56で連通してなる。電解槽本体46の外部に取り回された返送ライン56にはポンプ57が設けられている。ポンプ57が動作すると、電解槽本体46内の廃水が取水口54から取り出され、返送ライン56を介して再流入口55に送られ、電解槽本体46へと戻される。取水口54は電解槽本体46の底部に設けられており、返送部53が取り出す廃水には沈降沈殿した汚泥が混入し易い。再流入口55は電解槽本体46の側壁の上端部に設けられており、汚泥は電解槽本体46に上側から流入する。流入した汚泥は陰極で発生する水素ガスの気泡によって攪拌され、この汚泥にも負に荷電した有機物粒子が凝集されていく。即ち、このように返送部53を動作させて電解槽本体46の廃水を汚泥とともに循環させることによって電解処理が促進されることとなり、所要の水質を得るために必要となる電解処理の時間を短縮することができる。
また、電解槽本体46の内底部には平板状の傾斜壁58が設けられ、この傾斜壁58は側壁内面と底壁内面との間に傾斜して架け渡されている。これにより電解槽本体46の内底面が、上下に傾斜するテーパ面59を有することとなる。このテーパ面59を形成したことで電解槽本体46は横方向に関して深さが一様でなくなり、一方の内側面(図5中左方の内側面)46aの近傍においては、他方の内側面(図5中右方の内側面)46bの近傍と比べて深さが浅い。沈降した汚泥は、その自重でテーパ面59に沿ってより深い側へと移動する(図5中矢印参照)。このようにして電解槽本体46の内底部には、テーパ面59の下側端部の周辺に、汚泥が溜まり易い汚泥貯留部60が形成される。
返送部53の取水口54は、この汚泥貯留部60が形成される側の側壁(図5中右側の側壁)に設けられている。よって、返送部53により循環される廃水には汚泥が混入し易くなり、電解処理に要する時間短縮の効果が更に向上する。他方、流出口48は、この汚泥貯留部60とは反対側の側壁(図5中左側の側壁)に設けられている。よって、電解槽3から流出させる廃水に汚泥が混入しにくくなり、その水質が劣化するのを防ぐことができる。なお、この構成によると、流出口48より流出されずに残留した廃水は汚泥貯留部60に溜まる。ドレン口49は、底壁のうち汚泥貯留部60を区画する部分に設けられており、廃水の残留分の略全量をドレン口49から排出することができる。
なお、電解槽本体46の内底部を平坦とし、部分的に凹状の空間を形成することによって汚泥貯留部を形成してもよいが、テーパ面59を形成すれば汚泥が溜まり易い部分とそうでない部分とがより明確となるため有利となる。図示例ではテーパ面59が電解槽本体46の内底面の略全体に亘って形成されているが、部分的に形成されてもよい。
図6に示すように、各電極51の横幅は電解槽本体46の横幅よりも若干小さく、各電極51の横方向端部は電解槽本体46の内側面と近接している。上記電気化学反応は、電極51と廃水とが接触する界面においてのみ行われるため、このようにして電極51の表面をなるべく大きく確保することにより、所要の水質を得るために必要となる処理時間を短縮可能になる。本実施形態の電解槽本体46の廃水貯留容量は40リットル〜50リットル程度であり、電解槽本体46は縦:30cm〜40cm、横:30cm〜40cm、高:40cm〜50cmの直方体状に形成され得る。よって、各電極51の横幅が大型とならず、多数の電極を用意する必要もなく、電解槽3を低コストで製造することができる。また、本実施形態では陽極板にアルミニウムを使用している。三価のアルミニウムイオンは二価の金属イオンよりも活性が強いため、イオン化合物による有機物粒子の凝集性がその分高くなり、所要の水質を得るために必要となる処理時間を短縮することができる。
図7に示すように、沈殿槽4は上面が開放した沈殿槽本体66を備えている。沈殿槽本体66は、平断面視矩形状で寸胴の本体上部67に、平断面視矩形状で先細りの本体下部68を連設してなる。沈殿槽本体66には両端が開口する筒体69が上側から挿入されている。筒体69の軸線は上下に向いており、筒体69の上端開口が沈殿槽4の流入口70をなしている。この流入口70には、電解槽3より処理ライン9を介して送られる廃水と、凝集剤タンク10より凝集剤供給ライン11を介して送られる凝集剤とが流入する。筒体69の下端開口は、沈殿槽本体66内に内底面から離隔して配置され、図示例では本体上部67と本体下部68との境界近傍に位置している。また、筒体69内には攪拌機71が設けられている。攪拌機71は筒体69内を上下に延在する回転軸72の下端に複数枚の攪拌翼73を固定してなり、攪拌翼73が筒体69内の下端部に配置されている。
本体上部67内には、2つの流出口74A,74Bが上下に間隔をおいて並んで設けられている。各流出口74A,74Bに対応して前述した処理ライン12(12A,12B)が接続され、各処理ライン12A,12Bに対応して活性炭槽5(5A,5B)が接続されている。即ち、この沈殿槽4には、2本の処理ライン12A,12Bを介して2つの活性炭槽5A,5Bが並列接続されている。処理ライン12A,12Bを構成する配管材75A,75Bは、沈殿槽本体66の側壁を貫通している。沈殿槽本体66の内部において該配管材75A,75Bの端部にはベルマウス76A,76Bが設けられている。ベルマウス76A,76Bは拡径した開口を上方に向けており、この開口が流出口74A、74Bをなしている。また、処理ライン12A,12Bには、沈殿槽本体66の外部においてバルブ77A、77Bが設けられており、このバルブ77A,77Bを開とすることにより、本体上部67内の廃水を流出口74A,74Bから処理ライン12A,12Bを介して活性炭槽5A,5Bへ送ることができる。
また、本体上部67の側壁の上端部にはオーバーフロー口78が設けられ、このオーバーフロー口78には前述したオーバーフローライン20が接続されている。オーバーフロー口78は沈殿槽本体66の廃水貯留容量を規定するが、上側の流出口74Aは、上下方向に関してオーバーフロー口78と下側の流出口74Bとの丁度中間に位置している。
ここで、廃水処理装置1はバッチ方式で水処理を行うようになっているため、流入口70には電解処理後の廃水が電解槽3から一度に送られ、これと同時的に所要量の凝集剤が流入口70に供給される。また、このときバルブ77A,77Bは閉とされる。流入口70に廃水及び凝集剤が送られると、攪拌機71が駆動されて回転軸72とともに攪拌翼73が回転する。筒体69内には下側へ向かう水流が発生し、筒体69内に流入した廃水及び凝集剤が攪拌されながら筒体69の下端開口から沈殿槽本体66の下部68に流入し、沈殿槽本体66内に溜まっていた水を上方へと押し上げていく。廃水投入の完了後にも所定の攪拌時間が経過するまでは攪拌機71の動作が継続される。筒体69の側壁上部には開口69aが形成されており、本体上部68内の上層にある水は、開口69aから筒体69内に引き込まれて筒体69内を下方へと流れていく。このように開口69aを設けたことにより、沈殿槽4内で対流が発生して攪拌効率が向上する。
凝集剤には例えばポリアクリルアミド系の高分子凝集剤が単独で用いられてもよいし、この高分子凝集剤と例えばPAC等の無機系凝集剤とが併用されてもよい。かかる凝集剤が廃水とともに攪拌されると、負に荷電している廃水中の有機物粒子が正に帯電している凝集剤と凝結し、更にこの凝結物同士が凝集して汚泥が生成される。汚泥は自重で沈降沈殿し、先細りの本体下部68に底部側から溜まっていく。
攪拌時間が経過すると攪拌機71を停止して沈殿槽本体66内を静置する。凝集によって生成された汚泥は自重で沈降して本体下部68に沈殿する。他方、本体上部67には、汚泥の沈降により得られる上澄みの廃水(以下これを「清澄水」という)が溜まることとなる。この清澄水は、汚泥の沈殿によって有機物の濃度が低減され、その水質は大きく改善されたものとなる。なお、沈殿槽本体66及び筒体69の上面は何れも大気に開放されており、この静置によって沈殿槽本体66内の水位と筒体69内の水位とが上下に揃う。
所定の静置時間が経過した後に、上側のバルブ77Aのみを開とする。よって、上側の流出口74Aに対して上方に溜まっている清澄水が、この上側の流出口74Aから処理ライン12Aへ流出する。このとき流出口74Aにおける排出圧力は、水面から流出口74Aまでの深さに応じた水頭圧に基づいたものとなり、流出口74A周辺の流れが緩速となる。よって、沈降中又は沈降した汚泥が下部から巻き上げられるおそれが小さく、沈殿槽4からの排水の水質の劣化を防ぐことができる。水位が流出口74Aの近傍まで下降するとバルブ77Aを閉としてバルブ77Bを開とし、下側の流出口74Bに対して上方に溜まっている清澄水を、この下側の流出口74Bから処理ライン12Bへ流出させる。このときにも流出口74B周辺の流れが緩速となる。特に本実施形態では、沈殿槽4の後段に活性炭槽5A,5Bが控え、この活性炭槽5A,5Bに汚泥が供給されにくくなるため、消耗品である活性炭91(図1参照)の急速な劣化を防ぐことができる。なお、流出口の個数は3個以上であってもよい。このときにも上記同様にして、複数個の流出口が上下方向に等間隔をおいて並べられ、排出時には流出口を上側から順に1つずつ開放される。
また、沈殿槽本体66の下部68内にはドレン口79が設けられ、このドレン口79には前述したドレンライン19が接続されており、このドレンライン19には沈殿槽本体66の外部において汚泥返送ライン22が接続されている。ドレンライン19を構成する配管材80は、沈殿槽本体66の壁を貫通しており、沈殿槽本体66の内部において該配管材80の端部にはベルマウス81が設けられている。ベルマウス81は拡径した開口を上方に向けており、この開口がドレン口79をなしている。このドレン口79を介して本体下部69に沈殿した汚泥をドレンライン19及び汚泥返送ライン22に排出可能となる。
図2に示すように、汚泥返送ライン22を流れる汚泥は、濾過槽2の投入口7よりスクリーン籠34内に流入する。汚泥の粒径は煙草の灰よりも大きく、汚泥に含まれる固形物は少なくとも濾材38で分離回収される。従って、沈殿槽4で生成した汚泥を煙草の灰等とともに廃棄可能となり、沈殿槽4の維持管理を簡便に行うことができる。
図1に示すように、活性炭槽5A,5Bはそれぞれ、活性炭槽本体90の内部に活性炭91を内蔵してなる。活性炭槽本体90には流入口92、流出口93及びドレン口94が設けられ、流入口92には処理ライン12A,12Bが接続され、ドレン口94には前述したドレンライン21が接続されている。活性炭91よりも下方に流入口92が位置し、上方に流出口93が位置している。流出口93より排出した水は、活性炭槽5A,5Bに隣接する滅菌槽6の滅菌槽本体95内に流入する。滅菌槽本体95内には塩素系の滅菌剤が投入され、滅菌槽本体95内の水は滅菌剤による滅菌処理後に下水道等に放流される。
次に、図1,図8及び図9に基づいて、上記構成を備える廃水処理装置1の全体的な動作を説明する。コントローラ23は係員による始動スイッチ24の操作の有無を判定し(ステップS1)、操作が無ければ(S1:NO)、制御を終了して待機状態を維持する。この待機状態では、各ポンプ及びモータが停止しており、各バルブは閉とされている。また、濾過槽2及び電解槽3では廃水が溜まっておらず、沈殿槽4では下側の流出口74Bより上側に廃水が溜まっていない。
始動スイッチ24の操作が有れば(S1:YES)、汚泥返送ライン22上のポンプ84及びバルブ85を駆動し、沈殿槽4内の汚泥を濾過槽2の投入口7に供給する(ステップS2)。汚泥の返送開始から所定の返送時間T1が経過したか否かを判断し(ステップS3)、該返送時間T1の経過後に(S3:YES)、ポンプ84を停止してバルブ85を閉とし、汚泥の返送を停止する(ステップS4)。
この返送時間T1が経過する間、濾過槽2には沈殿槽4から水分を含んだ汚泥が流入するため、沈殿槽4では水位が若干下降する。他方、始動スイッチ24の操作と前後して、係員により容器100内の内容物が濾過槽2に投入される。濾過槽2の本体上部32では、これら水分を含んだ汚泥及び容器100の内容物が濾過され、本体下部33では濾過後の廃水が流入して水位が上昇していく。
コントローラ23は、濾過槽本体31に設けられた水位センサ42からの入力信号に基づいて本体下部33の水位が所定の上限水位に達したか否かを判断し(ステップS5)、水位がこの上限水位に達するまで濾過槽2及び電解槽3を待機させる。本体下部33の水位が上限水位に達すると(S5:YES)、処理ライン8上のポンプ43を駆動し、濾過槽2内の廃水が電解槽3に送られる(ステップS6)。そして、水位センサ42からの入力信号に基づいて本体下部33の水位が所定の下限水位に達したか否かを判断し(ステップS7)、下限水位に達すると(S7:YES)、ポンプ43を停止して廃水の供給を停止する(ステップS8)。なお、この下限水位は流出口39の僅かに上方に設定されており、電解槽3には濾過された廃水の略全量が送られる。
次いで、電解槽3での電解処理が開始される(ステップS9)。具体的には、電極51に整流器52を介して直流電力を供給し、ポンプ57を駆動して電解槽3内の廃水を循環させる。そして、所定の電解処理時間T3が経過したか否かを判断し(ステップS10)、該電解処理時間T3が経過すると(S10:YES)、電解処理を終了する(ステップS11)。電解処理時間T3は、電極51に流れる電流値、電解処理前の水質及び電解処理後に得るべき水質との関係から適宜設定される。先に詳述したように電解槽3は所要の水質を得るために必要となる処理時間を短縮可能に構成されているため、例えば電解処理時間T3を約3時間程度の短期に設定しても、濾過槽2から送られた廃水のCODを約2500mg/Lから約1500mg/L程度まで改善することができる。
電解処理の終了後には、処理ライン9上のバルブ61を開として凝集剤供給ライン11上のポンプ62を駆動し、攪拌機71のモータ82を駆動する(ステップS12)。これにより、電解槽3内の廃水と凝集剤タンク10内の凝集剤とが沈殿槽4に供給されて沈殿槽4内の水位が上昇しつつ、これら廃水及び凝集剤が沈殿槽4内で攪拌される。
なお、処理ライン9上にはポンプが設けられていない。但し、沈殿槽本体66の上方に電解槽本体46を配置することにより、電解槽3の廃水を沈殿槽4に重力落下させることができる。処理量との関係から各槽本体46,66の高さは50cm程度に抑えられるため、これらを上下に積み重ねるように配置しても装置全体が高背とならない。例えば成人の身長よりも低いため、上段側の電解槽3の維持管理の作業が煩雑になることもない。
そして、所定の供給時間T4が経過したか否かを判断し(ステップS13)、該供給時間T5が経過すると(S13:YES)、バルブ61を閉としてポンプ62を停止する(ステップS14)。なお、バルブ61の開弁時間と、ポンプ62の動作時間とは互いに相違していてもよい。バルブ61に対応する供給時間T4は、電解槽3内に溜められている電解処理済の廃水の略全量を沈殿槽4に流入させるために十分長く確保される。この廃水を受け容れた沈殿槽4の水位はオーバーフロー口78の下端位置の近傍まで上昇する。
そして、所定の攪拌時間T5が経過したか否かを判断し(ステップS15)、該攪拌時間T5が経過すると(S15:YES)、攪拌機71のモータ82を停止する(ステップS16)。次に所定の静置時間T6が経過したか否かを判断し(ステップS17)、該静置時間T6が経過するまで沈殿槽4を待機状態にする。この静置時間T6が経過する間に汚泥が沈降し、本体上部67内に清澄水が溜められる。この清澄水を得ることにより、電解処理済の廃水のCODを約1500mg/Lから約700mg/L程度まで改善することができる。
攪拌時間T5は、廃水中に凝集剤を万遍なく拡散させ、廃水中の有機物粒子を凝集剤で凝集させるために必要な時間が確保される。先に詳述したように沈殿槽4は攪拌効率が向上するよう構成される。また、次ステップ以降の内容であって先にも詳述したように、沈殿槽4には複数の流出口74A,74Bが設けられ、これらが上側から順に開放される。よって、静置時間T6は、上側の流出口74Aから水面までの範囲に存在する汚泥がそこから沈降するために十分な時間さえ確保されていればよい。このため、本実施形態では、攪拌時間T5と静置時間T6の和を約4時間程度の短期に設定可能になる。
静置時間T6が経過すると(S17:YES)、上側のバルブ77Aを開とし、上側の流出口74Aから清澄水を排出する(ステップS18)。そして、所定の第1開弁時間T7が経過したか否かを判断し(ステップS19)、該第1開弁時間T7が経過すると(S19:YES)、上側のバルブ77Aを閉として下側のバルブ77Bを開とし、下側の流出口74Bから清澄水を排出する(ステップS20)。そして、所定の第2開弁時間T8が経過したか否かを判断し(ステップS21)、該第2開弁時間T8が経過すると(S21:YES)、下側のバルブ77Bを閉とする(ステップS22)。
なお、処理ライン12A,12B上にはポンプが設けられていない。但し、沈殿槽本体66の外底面と活性炭槽本体90の外底面とを揃えると、本体上部67に設けた流出口74A,74Bが活性炭槽本体90の下部に設けた流入口92よりも上方に位置するため、沈殿槽4の清澄水を水頭圧で活性炭槽5A,5Bに送ることができる。この配置によれば、両槽本体66,90が水平面内で並ぶが、処理量との関係から各槽本体66,90の横幅は50cm以内に抑えられる。よって、廃水処理装置1の設置面積は1m四方程度と殊更大型にならず、例えば遊技施設においてはその敷地内に余裕を持って設置可能となる。
第1開弁時間T7は、オーバーフロー口48直下の水位が上側の流出口74Aの僅かに上方まで下降するために要する適宜時間に設定される。第2開弁時間T8は、このように下降した水位が更に下側の流出口74Bの位置まで下降するために要する適宜時間に設定される。これら時間T7,T8は沈殿槽本体66の寸法が決まれば予め決定可能であり、本実施形態では、第1開弁時間T7と第2開弁時間T8の和が約1時間程度に設定され、濾過槽2から電解槽3への廃水の排出時間や電解槽3から沈殿槽4への廃水の排出時間と比べて長期となっている。このように緩速で清澄水が流出するため、この流出時に沈殿槽4内の廃水が攪拌されず、活性炭槽5A,5Bに汚泥が流入する可能性が低くなる。
ポンプやバルブやモータ等の各種デバイスの動作はこれで終了するため、コントローラ23は制御を終了する。他方、沈殿槽4から活性炭槽5A,5Bに送られる清澄水の水質は、濾過槽2から電解槽3に送られる廃水と比べて既に大幅に改善されており、CODは約700mg/L程度まで低減されている。かかる清澄水は、流入口92から活性炭槽本体90内の活性炭91より下方の空間に流入する。これにより予め活性炭槽本体90の内部に溜められている水が上方へと押し上げられる。この押し上げによって水位が流出口93の下端位置よりも上昇しようとすると、流出口93より活性炭処理後の水が排出される。
活性炭槽本体90内の水が活性炭91の表面を通過する過程では、清澄水に含まれている有機物及び/又は無機物が活性炭91に吸着される。これにより清澄水が脱色及び脱臭され、その水質が高度に改善される。この活性炭処理が行われることにより、清澄水のCODを更に約300mg/L程度まで改善することができる。このように、既に大幅に水質が改善された清澄水を処理するため、活性炭91の吸着能が劣化しにくい。よって、活性炭91の交換サイクルを長くして、維持管理に要する労力及び費用を抑えることができる。
流出口93より排出された水は滅菌槽6を介して下水道等に放流されるが、その水質は高度に改善され、例えば大規模工場等に適用される下水道処理基準値を下回る。しかも、この廃水処理方法によれば、始動スイッチ24の操作から容器90の内容物の処理を終えるまでの間に、合計5段の水処理を行いながらもその処理時間が約8時間程度に抑えられる。また、施設内の全ての容器90の内容物を一度に投入しても、そこから分離される固形物が濾過槽2で溢れることもなく、固形物が分離された廃水が各槽の貯留容量を超過することもない。よって、一回の処理作業に要する手間も最小限に抑えられる。なお、沈殿槽4での処理が開始すると、次の廃水を濾過槽2に投入することができる。この場合、前後2つのフローの水処理がバッティングすることはない。
なお、コントローラ23は、ドレンライン15,17,19に設けられているバルブ45,63,83を適宜タイミングで開とし、槽内に残留する廃水を排出させるようにしてもよい。濾過槽2用のドレンライン15のバルブ45はステップS2〜S8を除くタイミングに開としてもよく、電解槽3用のドレンライン17のバルブ63はステップS6〜S14を除くタイミングに開としてもよく、沈殿槽4用のドレンライン19のバルブ83はステップS12〜S22を除くタイミングに開としてもよい。
上述した廃水処理装置1及び廃水処理方法においては、合計5段の工程をワンフローとする水処理の中に電解処理を含んでいる。電解処理は、濾材や凝集剤や活性炭といった消耗品を用いることなく廃水中の有機物の濃度低減に効果を発揮する。よって、廃水処理装置1の維持管理に要する労力や費用を抑えつつも廃水の水質を高度に改善可能となる。この電解処理は濾過の後の2段目の工程として利用され、その後に合計3段の水処理が行われる。この後処理の対象となる廃水の水質は、電解処理によって既に大幅に改善されているため、ここでの処理時間を短縮しつつも廃水の水質が高度に改善される。
上記実施形態は一例を示すものであり、本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば電解処理後の後処理として沈殿処理、活性炭処理及び滅菌処理を行うとしたが、これらのうち少なくとも1つが行われるようにしてもよい。
本発明に係る廃水処理装置は、パチンコ機等を設置した遊技施設に限らず、アーケードゲーム機を設置した遊技施設、遊園地やボウリング場等の娯楽施設、高速道路のパーキングエリアや鉄道駅や空港等の交通施設、百貨店等の商業施設など、多数の喫煙者が訪れ得る施設に好適に導入することができる。
本発明は、煙草の吸殻を含む廃水の処理に際し、処理効率を向上させ、維持管理に要する労力や費用を抑えることができるという効果を奏し、各種施設で利用可能である。
1 廃水処理装置
2 濾過槽
3 電解槽
4 沈殿槽
5(5A,5B) 活性炭槽
6 滅菌槽
7 投入口
31 濾過槽本体
34 スクリーン籠
35 メッシュ部
38 濾材
46 電解槽本体
47 流入口
48 流出口
53 返送部
66 沈殿槽本体
71 流入口
74A,74B 流出口
2 濾過槽
3 電解槽
4 沈殿槽
5(5A,5B) 活性炭槽
6 滅菌槽
7 投入口
31 濾過槽本体
34 スクリーン籠
35 メッシュ部
38 濾材
46 電解槽本体
47 流入口
48 流出口
53 返送部
66 沈殿槽本体
71 流入口
74A,74B 流出口
Claims (6)
- 煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置に設けられた濾過槽であって、
濾過槽本体の内部に収容され、廃水を投入するための投入口を有したスクリーン籠と、
前記スクリーン籠の下方に設けられた濾材とを有し、
前記スクリーン籠の少なくとも側面には、前記濾材よりも網目の大きいメッシュ部が形成され、
前記投入口より前記スクリーン籠の内部に投入された廃水に含まれる固形物の一部が前記メッシュ部で分離され、前記メッシュ部を通過した廃水に含まれる固形物が前記濾材で分離されることを特徴とする濾過槽。 - 煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置に設けられた電解槽であって、
外部から電解槽本体内に廃水を流入させるための流入口と、
前記電解槽本体内の廃水を外部に流出させるための流出口と、
前記電解槽本体の内底部から、電解処理で生成される汚泥が混入する廃水を取り出してその廃水を前記電解槽本体内に戻す返送部と
を有することを特徴とする電解槽。 - 煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置に設けられた沈殿槽であって、
外部から沈殿槽本体内に廃水及び凝集剤を流入させるための流入口と、
前記沈殿槽本体内の上澄みの廃水を外部に流出させるための複数の流出口とを備え、
前記複数の流出口が前記沈殿槽本体内に上下に間隔をおいて設けられ、前記上澄みの廃水の排出時に前記複数の流出口が上側から順に1つずつ開放されることを特徴とする沈殿槽。 - 煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理装置であって、
請求項1に記載の濾過槽と、請求項2に記載の電解槽とを備え、
前記濾過槽で固形物が分離された廃水が前記電解槽に送られることを特徴とする廃水処理装置。 - 請求項3に記載の沈殿槽と、廃水に含まれる有機物及び/又は無機物を活性炭に吸着させる活性炭槽とを更に備え、前記電解槽で電解処理された廃水が凝集剤と共に前記沈殿槽に送られ、前記沈殿槽本体内の上澄みの廃水が前記活性炭槽に送られることを特徴とする請求項4に記載の廃水処理装置。
- 煙草の吸殻を含む廃水を処理するための廃水処理方法であって、
廃水を濾過する濾過工程と、
前記濾過工程で濾過された廃水を電解処理する電解処理工程とを有し、
前記濾過工程において、廃水に含まれる固形物の一部が分離された後に、該分離後の廃水に含まれる固形物が更に分離されるようにし、前記電解処理工程において、電解処理で生成される汚泥を循環させるようにしたことを特徴とする廃水処理方法。
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