JP2010279654A - 血圧特定情報生成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体の圧迫部位に収縮期血圧を超える圧迫力を付与する第1圧迫期間と、第1圧迫期間の後に圧迫力を漸減させる第2圧迫期間とを与え、第2圧迫期間において、圧迫部位より遠位に位置する生体の検査部位に近赤外光を照射し、検査部位を透過した光により形成される透過画像を撮影する。撮影された透過画像の輝度と当該透過画像が得られた時の圧迫力とが対応付けられたデータを記憶し、このデータを時系列的に繋げて輝度変移曲線を生成する。輝度変移曲線上には、輝度が特徴的に変化する点がいくつか現れる。その中には、圧迫力が収縮期血圧に対応し、又は圧迫力が静脈血圧に対応するものがある。
【選択図】図4
Description
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、静脈血圧を含む血圧情報をより正確に生成することのできる装置を提供することを目的とする。
圧迫部は、生体の圧迫部位に収縮期血圧を超える圧迫力を付与する第1圧迫期間と、第1圧迫期間の後に圧迫力を漸減させる第2圧迫期間とを与える。
撮影部は、第2圧迫期間において、圧迫部位より遠位に位置する生体の検査部位に近赤外光を照射する光源と、検査部位を透過した光により形成される透過画像を撮影するカメラとを備える。なお、近赤外光とは可視光(波長:約400〜700nm)よりも波長が700〜1200nmと長い赤外線の一種である。この波長領域の光は、生体透過性の高さと血中のヘモグロビンによる吸光度が高い性質を持っているため、近赤外光による透過画像の輝度を観察することにより血管とそれ以外の部分とを区別して認識することが可能である。
なお、ここでは第2圧迫期間について近赤外光の照射、透過画像の撮影を行うことを特定したが、第2圧迫期間以前、以後について近赤外光の照射、透過画像の撮影を行うことを本発明は否定するものではない。
また、遠位とは、ある基準位置から心臓に対して離れる方向にあることを示すものであり、本発明に当てはめると、圧迫部位(例えば、上腕部)を基準にして、検査部位(例えば、指)が心臓から遠ざかる方向にあれば、検査部位(たとえば、指)は「遠位」である。
また、制御部は、第2圧迫期間において、輝度変移曲線において輝度が急減した時の圧迫力を収縮期血圧と判断し、また、輝度が急減した後に、輝度が上昇に転じた時の圧迫力を静脈血圧と判断することができる。
前述したように、図1、図2は以下のことを示している。
1:静脈完全閉塞までのカフ圧迫力までは、グレースケール値の変化量は増加する。
2:動脈完全閉塞時に、グレースケール値の変化量は急減する。
以上のことを換言すると、上腕を150mmHg(圧縮期血圧超)まで圧迫させたのち、徐々に圧力を減少させながら透過画像のグレースケール値を計測すると、
A:グレースケール値が急減する時に動脈閉塞が解除され、この時のカフ圧は収縮期血圧である。
B:グレースケール値が増加し始める時に静脈閉塞が解除され、この時のカフ圧は静脈血圧である。
期間Aはもちろん、期間Bにおいても、グレースケール値に変化は見られない。期間Bには、静脈、動脈は完全に閉塞するが、閉塞された閉路内に血液が留まるだけなので測定部位にうっ血は生じない。
期間Cにおいて、カフ圧が収縮期血圧と等しくなったとき、グレースケール値は急減する。これは、圧迫部における動脈閉塞が解除されることで末梢部へ血液が流入しはじめて、末梢部の静脈・動脈内に血液がうっ血することに起因する。なお、この時点では静脈の閉塞の解除はほとんど生じない。
末梢部の静脈・動脈内がうっ血した状態では、グレースケール値は一定となるが、カフ圧がさらに低下して静脈血圧がカフ圧に等しくなったとき、グレースケール値は徐々に回復する。これは、静脈閉塞の解除に伴ってうっ血が徐々に解消されることに起因する。
圧迫終了後には、グレースケール値は、元の状態に回復する。
一般的に、末梢血管抵抗=平均血圧/心拍出量と言われている。ここで、平均血圧としては、経験的に、(収縮期血圧+拡張期血圧×2)/3が用いられている。しかし、血液は動脈から指先の毛細血管を通り静脈へと流れていくので、血管を一本の管と考えた場合、収縮期血圧と静脈血圧の圧力差を用いたほうがより正確な末梢血管抵抗値が得られると考えるべきである。
よって、末梢血管抵抗は、下記式により定義されるべきである。
末梢血管抵抗=(収縮期血圧−静脈血圧)/心拍出量
ここで、心拍出量は、脈拍×1回の拍出量で求められる。また、安静時の成人の1回(1stroke)拍出量は、60〜70(ml/stroke)であることが既知であるから、脈拍を測定することにより心拍出量を算出して、末梢血管抵抗値を求めることができる。
圧迫部20は、被験者の上腕部を圧迫するカフ2と、カフ2に圧迫力を生じさせるために空気を供給するポンプ3と、ポンプ3から供給される空気のカフ2への流入を制御する第1電磁開閉弁4と、カフ2からの空気の流出を制御する第2電磁開閉弁5と、第2電磁開閉弁5の上流側に設けられる流量計6と、第2電磁開閉弁5の下流に設けられるニードルバルブ7と、カフ2の圧迫力を測定する圧力センサ8とを備える。ポンプ3及び第1電磁開閉弁4は、カフ2に接続される第1管路9に設けられる。第2電磁開閉弁5、流量計6及びニードルバルブ7は、カフ2に接続される第2管路10に設けられる。圧力センサ8は、カフ2に接続される第3管路11に設けられる。
制御部40は、圧迫部20のポンプ3の起動・停止、第1電磁開閉弁4及び第2電磁開閉弁5の開閉、ニードルバルブ7の開度調整を制御する。また、制御部40は、圧迫部20の流量計6及び圧力センサ8から得られる流量情報、圧力(カフ圧)情報に基づいて、上記制御を行う。
制御部40は、光源12の発光を制御する。また制御部40は、透過画像を撮影するようにCCDカメラ14に指示する。また、制御部40は、取得された透過画像をCCDカメラ14から取得する。制御部40が取得した透過画像の処理については、後述する。
制御部40は、動作制御部15、データ処理部16及び記憶部17を備えている。動作制御部15及びデータ処理部16は、記憶部17に記憶されているプログラムに従って所定の処理を行う。
動作制御部15は、圧迫部20及び撮影部30の動作を制御する。つまり、動作制御部15は、被験者の上腕部をカフ2で圧迫する場合、第1電磁開閉弁4を開くとともに、第2電磁開閉弁5を閉じるように指示する。そして、動作制御部15は、圧力センサ8からカフ2の圧力情報を取得しながら、ポンプ3を作動させてカフ2へ空気を供給する。また、被験者の上腕部の圧迫を解除する場合には、動作制御部15は第1電磁開閉弁4を閉じるとともに、第2電磁開閉弁5を開けるように指示する。そして動作制御部15は、ポンプ3の動作を停止させるとともに、ニードルバルブ7の開度を調整して、カフ2の圧迫力をカフ圧が0になるまで漸減させる。なお、第2電磁開閉弁5とニードルバルブ7を用いてカフ圧を制御しているが、流量制御弁を用いることもできる。
動作制御部15は、被験者の手からの透過光から形成される透過画像を撮影するようにCCDカメラ14に指示する。また、動作制御部15は、撮影された透過画像を取り込み、カフ圧と対応付けて記憶部17に記憶させる。
データ処理部16は、記憶部17に記憶された透過画像の輝度を算出する。具体的には、透過画像のグレースケール値の平均値を求め、これを当該画像の輝度とする。透過画像はカフ圧及び撮影時刻と対応付けて逐次記憶されており、得られる輝度(グレースケール値)はカフ圧及び撮影時刻と対応付けて記憶される。このデータを、グレースケール値データという。
データ処理部16は、記憶部17に記憶されたグレースケール値データを時系列的に繋げて、図7に示すようなグレースケール値変移曲線(輝度変移曲線)を生成する。
なお、健康な成人男性3名を被験者とし、実験を開始する前に、通常の血圧計を用いて血圧と脈拍を測定した。
また、LED光源12には、株式会社アイテックシステム社製の近赤外光面照明LEDライトLMC−61×61−10IR(中心波長:880nm)を用い、CCDカメラ14には、焦点距離が90[mm]であるTexas Instruments社製の MC−781Pを用いた。
実験開始と同時に、光源12による近赤外光の照射、CCDカメラ14による指尖部の撮影が始まる。まず設定された[圧迫前期間](30sec)では、カフ2による圧迫力がかからない状態で指尖部の撮影が行われる。透過画像の撮影間隔は、0.2secであり、以下も同様である。
圧迫前時間が経過すると、制御部40の指示により第1電磁開閉弁4が開き(第2電磁開閉弁5は閉)、ポンプ3から空気がカフ2に送られ、カフ圧が上昇する。これにより、被験者の上腕部は圧迫される。カフ圧は圧力センサ8で測定され、最高圧力(150mmHg)に到達すると第1電磁開閉弁4が制御部40の指示により閉じられので、カフ圧が一定に保たれる。なお、圧迫が開始してから最高圧力(150mmHg)に到達するまでに約5秒を要した。最高圧力を150mmHgとしたのは、カフ2による圧迫部位よりも遠位への血流を一時的に止めることができるからである。
最高圧力に達してから設定された[圧迫期間](30sec)が経過すると、制御部40の指示により第2電磁開閉弁5が開かれる(第1電磁開閉弁4は閉)。このときニードルバルブ7の開度を調整することにより、カフ2内の空気が第2電磁開閉弁5から徐々に排出される。このときの減圧速度は、−1mmHg/s程度とすればよい。
第2電磁開閉弁5を開いた後も、[圧迫後期間](120sec)は近赤外光の照射、透過画像の撮影を続ける。
以上の[圧迫前期間]、[圧迫期間]及び[圧迫後期間](合計180sec)に撮影された透過画像は、制御部40に記憶される。
近赤外光は血中ヘモグロビンにより吸収されるので、血管は他の部位に比べ黒く写る。図6では、点線で囲んだ部分に静脈が濃く写っている。骨の占める割合が高い関節部は近赤外光の透過性がよいので、図6中に白く写っている。なお、撮影領域内には動脈も存在するが、動脈は指の内部に位置する一方、静脈は皮膚近くに位置しているため、静脈は透過画像に明瞭に写るが、近赤外光の照射に対して静脈の影に隠れた動脈は透過画像にほとんど反映されないものと解される。
本実験では、上腕圧迫力(カフ圧)を最高圧力(150mmHg)まで上げた後に、カフ圧を漸減させながら透過画像を撮影している。圧力を漸減させる過程でグレースケール値の特徴的な変化が生じるが、前述したように、この変化は動脈、静脈の閉塞、その解除に基づくものである。したがって、図7に示されたグレースケール値の特徴的な変化を観察することにより、収縮期血圧、静脈血圧を特定することができる。
また、図8には一般的な血圧計で測定した収縮期血圧、本実験(本発明)で求めた収縮期血圧を記載しているが、両者がほぼ一致していることがわかる。
また、以上では最高圧力を150mmHgとしているが、これはあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。圧迫部位の動脈、静脈を閉塞できると考えられる圧力を適宜採用することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
20…圧迫部
2…カフ、3…ポンプ、4…第1電磁開閉弁、5…第2電磁開閉弁、7…ニードルバルブ
30…撮影部
12…光源、14…カメラ
40…制御部
15…動作制御部、16…データ処理部、17…記憶部
Claims (3)
- 生体の圧迫部位に収縮期血圧を超える圧迫力を付与する第1圧迫期間と、前記第1圧迫期間の後に前記圧迫力を漸減させる第2圧迫期間とを与える圧迫部と、
前記第2圧迫期間において、前記圧迫部位より遠位に位置する前記生体の検査部位に近赤外光を照射する光源と、前記検査部位を透過した光により形成される透過画像を撮影するカメラとを備える撮影部と、
撮影された前記透過画像の輝度を求めるとともに、求められた輝度を時系列的に繋いで輝度変移曲線を生成する制御部と、
を備えることを特徴とする血圧特定情報生成装置。 - 前記制御部は、
前記第2圧迫期間において、前記輝度変移曲線において前記輝度が急減した時の圧迫力を収縮期血圧と判断することを特徴とする請求項1に記載の血圧特定情報生成装置。 - 前記制御部は、
前記第2圧迫期間において、前記輝度が急減した後に、前記輝度が上昇に転じた時の圧迫力を静脈血圧と判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の血圧特定情報生成装置。
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