(第1の実施形態)
図1〜図8はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は液晶表示装置の分解斜視図である。
この液晶表示装置は、光の透過を制御する複数の画素(図示せず)をマトリックス状に配列した画面領域1aを有し、前記複数の画素それぞれに画像データ信号が印加され、その画像データに対応した画像を表示する液晶表示素子1と、前記液晶表示素子1の観察側(図1において左側)とは反対側に配置され、前記液晶表示素子1に向けて、前記液晶表示素子1の法線方向に出射する正面光の強度が前記法線方向に対して一方の方向及びその反対方向に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光と、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光とを照射する面光源9と、前記液晶表示素子1と面光源9を駆動する駆動手段27とを備えている。
前記液晶表示素子1は、その内部構造は図示しないが、前記画面領域1aを囲む枠状のシール材4を介して接合された一対の透明基板2,3と、これらの基板2,3の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域によりマトリックス状に配列する複数の画素を形成する透明電極と、前記一対の基板2,3間の前記シール材4で囲まれた領域に封入された液晶層と、前記一対の基板2,3の外面にそれぞれ配置された一対の偏光板5,6と、前記一対の基板2,3のいずれか、例えば観察側の基板3とその側の偏光板6との間に配置された表示のコントラストを高くするための位相差板7とからなっている。
この液晶表示素子1は、一方の基板、例えば観察側とは反対側の基板2の内面に、複数の画素電極を行方向及び列方向にマトリックス状に配列させて設け、他方の基板、つまり観察側基板3の内面に、前記複数の画素電極の配列領域に対向する一枚膜状の対向電極を設けたアクティブマトリックス液晶表示素子であり、前記反対側基板2の内面には、前記複数の画素電極にそれぞれ接続されたTFTからなるアクティブ素子と、各行のTFTにゲート信号を供給する複数の走査ラインと、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータラインが設けられている。
なお、前記反対側基板2は、観察側基板3の外方に張出すドライバ搭載部2aを有しており、前記複数のゲートライン及びデータラインは、前記ドライバ搭載部2aに搭載されたLSIからなる表示ドライバ8に接続されている。
さらに、前記一対の基板2,3の内面には、前記電極を覆って配向膜が設けられており、前記液晶層の液晶分子は、前記一対の基板2,3間において、前記配向膜により規定される配向状態に配向している。
この液晶表示素子1は、液晶分子をツイスト配向させたTNまたはSTN型、液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に配向させた垂直配向型、液晶分子をツイストさせることなく基板2,3面に対して実質的に平行に配向させた水平配向型、液晶分子をベンド配向させるベンド配向型のいずれかの液晶表示素子、あるいは強誘電性または反強誘電性液晶表示素子であり、前記一対の偏光板5,6は、それぞれの透過軸の向きを、良好なコントラスト特性が得られるように設定して配置されている。
なお、この液晶表示素子1は、一対の基板2,3の内面それぞれに設けられた電極間に縦電界(液晶層の厚さ方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる縦電界制御型のものに限らず、一対の基板2,3のいずれか一方の内面に複数の画素を形成する例えば櫛状の第1と第2の電極を設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。
さらに、前記液晶表示素子1は、ノーマリーホワイトモードの表示素子でも、ノーマリーブラックモードの表示素子でもよい。
前記液晶表示素子1の観察側とは反対側に配置された面光源9は、前記液晶表示素子1の1つの縁部側の端部に光を入射させる入射部12が形成され、前記液晶表示素子1と実質的に平行な面に沿わせて、前記入射部12の長さ方向の中央部を中心とする半円に沿ってその径方向に同じ角度で傾斜し、前記入射部12から入射した光の向きを変えて前記液晶表示素子1側に出射する複数の円弧状変向面14が同心円状に形成された変向手段10と、前記変向手段10の入射部12の中央部に対向させて配置され、前記円弧状変向面14の曲率中心から放射状に広がる光を前記変向手段10の入射部12に向けて出射する第1の発光素子25aと、前記変向手段10の入射部12の中央部に対して前記入射部12の長さ方向の一端側にずれた位置と他端側にずれた位置にそれぞれ対向させて配置され、前記円弧状変向面14の曲率中心Oに対してずれた点から放射状に広がる光を前記変向手段10の入射部12に向けて出射する複数の第2の発光素子25bとからなっている。
この実施例の面光源9は、2つの第2発光素子25bを備え、これらの第2発光素子25bを、第1発光素子25aの配置位置を挟んで、前記変向手段10の入射部12の中央部に対して前記入射部12の長さ方向の一端側と他端側とに等距離ずつずれた2つの位置にそれぞれ対向させて配置している。
この面光源9は、前記第1発光素子25aの点灯により、前記液晶表示素子1の法線方向に出射する正面光の強度が前記法線方向に対して一方の方向及びその反対方向に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光を前記液晶表示素子に向けて照射し、前記2つの第2発光素子25bの点灯により、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光を前記液晶表示素子1に向けて照射する。
図2は前記面光源9の出射側から見た正面図、図3は図2のIII−III線に沿うハッチングを省略した断面図であり、前記変向手段10は、例えば、アクリル樹脂板等の板状の透明部材の周面のうち、前記液晶表示素子1の1つの縁部側の端面に光を入射させる入射端面(入射部)12が形成され、前記透明部材の前記液晶表示素子1に対向する板面に、前記入射端面12から入射した光の出射面13が形成され、その反対側の板面に、前記入射端面12の長さ方向の中央部を中心とする半円に沿ってその径方向に同じ角度で傾斜し、前記入射端面12から入射した光の向きを変えて前記出射面13から前記液晶表示素子1側に出射させる複数の円弧状変向面14が同心円状に形成された導光板11からなっている。
前記導光板11の複数の円弧状変向面14は、前記半円の中心に向かって前記出射面13とは反対方向に予め定めた角度で傾いた傾斜面からなっており、前記液晶表示素子1の画素ピッチと同程度またはそれよりも小さいピッチで同心円状に形成されている。
この導光板11は、その入射端面12から入射した光を、図2に矢線で示したように、前記複数の円弧状変向面14により内面反射(外気との界面で全反射)して向きを変え、その光を前記出射面13から前記液晶表示素子1側に出射するものであり、前記複数の円弧状変向面14の傾き角は、前記円弧状変向面14の曲率中心から前記導光板11の板面と実質的に平行な面に沿った方向に放射状に広がる光を入射させたときに、前記導光板11の出射面13から、前記液晶表示素子1の法線に沿った方向に出射光強度のピークが存在する強度分布の光を出射させるように設定されている。
なお、この実施例では、前記導光板11の後側(円弧状変向面14が形成された面の外側)に、前記導光板11にその入射端面12から入射した光のうち、前記円弧状変向面14と外気との界面を透過して前記導光板11の後側に漏れた光を反射する反射板15を配置している。
また、前記第1と第2の発光素子25a,25bは、その構造は図示しないが、LED(発光ダイオード)を透明樹脂でモールドした固体発光素子であり、その出射側に、前記LEDの発光点からの出射光を、前記導光板11の板面と実質的に平行な面に沿った方向に広げて放射するためのレンズ部を有している。
そして、前記第1発光素子25aは、そのLEDの発光点を前記円弧状変向面14の曲率中心O(図4参照)に対向させて配置され、前記2つの第2発光素子25bは、それぞれのLEDの発光点を前記円弧状変向面14の曲率中心に対して前記導光板11の入射端面12の長さ方向の一端側と他端側とに等距離ずつずれた2つの点P1,P2(図4参照)にそれぞれ対向させて配置されている。
図4は前記面光源9の第1発光素子25aを点灯させたときと、第2発光素子25bを点灯させたときの前記導光板11からの出射光線図であり、(a)は第1発光素子25aを点灯させたときの出射光線を示し、(b)は第2発光素子25bを点灯させたときの出射光線を示している。
図4(a)のように、前記面光源9は、前記第1発光素子25aを点灯させたときに、この第1発光素子25aから出射し、前記導光板11にその入射端面12から入射した光、つまり前記円弧状変向面14の曲率中心Oから導光板11の板面と実質的に平行な面に沿って放射状に広がる方向の光を、前記複数の円弧状変向面14により内面反射して向きを変え、前記導光板11の出射面13から、前記液晶表示素子1の法線方向hに出射する。
また、図4(b)のように、前記面光源9は、前記2つの第2発光素子25bを点灯させたときに、これらの第2発光素子25bから出射し、前記導光板11にその入射端面12から入射した光、つまり前記円弧状変向面14の曲率中心Oに対してずれた点P1,P2から導光板11の板面と実質的に平行な面に沿って放射状に広がる方向の光を、前記複数の円弧状変向面14により内面反射して向きを変え、前記導光板11の出射面13から、前記液晶表示素子1の法線方向hに対して一方の方向及びその反対方向に前記円弧状変向面14の曲率半径に応じた角度θで傾いた方向に出射する。
すなわち、前記2つの第2発光素子25bは、それぞれのLEDの発光点を前記円弧状変向面14の曲率中心に対して前記導光板11の入射端面12の長さ方向の一端側と他端側とに等距離ずつずれた2つの点P1,P2にそれぞれ対向させて配置されているため、これらの第2発光素子25bのうち、前記液晶表示素子1の観察側から見て右側の第2発光素子25bからの出射光は、前記複数の円弧状変向面14により、その曲率中心Oからの光(第1発光素子25aからの出射光)の反射方向に対して前記観察側から見て左方向に傾いた方向に内面反射され、前記観察側から見て左側の第2発光素子25bからの出射光は、前記複数の円弧状変向面14により、前記曲率中心Oからの光の反射方向に対して前記観察側から見て右方向に傾いた方向に内面反射される。
このように、前記面光源9は、前記第1発光素子25aの点灯により、前記液晶表示素子1の法線方向hに出射する正面光の強度が前記法線方向hに対して一方の方向及びその反対方向に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光Aを前記液晶表示素子1に向けて照射し、前記2つの第2発光素子25bの点灯により、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光Bを前記液晶表示素子1に向けて照射する。
なお、この実施例では、前記面光源9を、前記導光板11の入射端面12を前記液晶表示素子1の画面の上下方向のいずれか一方の縁部側(図では上縁側)に向けて配置しており、したがって、前記2つの第2発光素子25bを点灯させたときに前記面光源9から前記液晶表示素子1に向けて照射される前記第2の照明光Bは、前記液晶表示素子1の法線方向hに対して前記画面の左方向及び右方向に傾いた方向に出射する斜め光の強度が、前記法線方向hに出射する正面光の強度よりも高い強度分布の光である。
また、前記面光源9は、図1に示したように、前記導光板11の出射側に配置され、前記導光板11の出射面13から出射した光のうち、前記液晶表示素子1の法線方向hに対して傾いた方向の光を拡散させる異方性拡散板26をさらに備えている。
前記異方性拡散板26は、例えば住友化学株式会社製のルミスティー(商品名)であり、この実施例では、拡散板の法線方向に対して一方の方向とその反対方向に傾いた方向から前記法線方向に対して30°〜80°の範囲の角度で傾いた方向の光を拡散させる特性のものを用いている。
この異方性拡散板26は、その法線方向を前記液晶表示素子1の法線方向hに一致させて、前記液晶表示素子1の画面の左方向と右方向に傾いた方向の光を拡散させるように配置されている。
図5は、前記異方性拡散板26を備えた面光源9の照射光の強度分布図であり、(a)は第1発光素子25aを点灯させたときの照射光の強度分布、(b)は第2発光素子25bを点灯させたときの照射光の強度分布、(c)は第1と第2の発光素子25a,25bを同時に点灯させたときの照射光の強度分布を示している。なお、図5において、負の角度は、前記液晶表示素子1の法線方向h(0°の方向)に対して観察側から見て左方向の角度、正の角度は、前記法線方向に対して前記観察側から見て右方向の角度である。
図5(a),(b)のように、前記面光源9は、第1発光素子25aの点灯により、前記液晶表示素子1の法線方向hに沿った方向に出射光強度のピークをもち、特に、約−10°〜10°の狭い角度範囲の正面光の強度が高く、その角度範囲外の斜め光の出射光の強度が前記正面光の強度の約10%以下の強度分布の第1の照明光Aを照射し、第2発光素子25bの点灯により、前記法線方向hに対して約−20°及び約20°傾いた方向に出射光強度のピークをもち、且つ、その各ピーク方向よりもさらに傾いた方向の出射光強度が、約−80°及び約80°までの広い角度範囲にわたって前記ピーク方向の出射光強度の2/3〜1/3程度のフラットに近い強度分布の第2の照明光Bを照射する。
また、図5(c)のように、前記面光源9は、前記第1と第2の発光素子25a,25bの同時点灯により、前記第1の照明光Aと第2の照明光Bとが重なった、前記液晶表示素子1の法線方向hに沿った方向に出射光強度のピークをもち、且つ、前記法線方向hに対して傾いた方向の出射光強度が、約−80°〜80°までの広い角度範囲にわたって前記ピーク方向の出射光強度の2/3〜1/5程度の強度分布の合成照明光A+Bを照射する。
一方、前記液晶表示素子1と面光源9を駆動する駆動手段27は、その構成は図示しないが、前記液晶表示素子1の各画素に、外部から供給された画像信号に対応した表示画像データ信号を印加し、外部から供給された視野選択信号に応じて、狭視野表示を選択する視野選択信号が入力されたときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1発光素子25aを点灯させ、広視野表示を選択する視野選択信号が入力されたときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1発光素子25aと2つの第2発光素子25bとを同時に点灯させる駆動回路からなっている。
なお、前記狭視選択信号は、液晶表示装置を実装した携帯電話機等の電子機器に設けられた視野選択キーの操作等により前記電子機器の回路部から前記駆動制御部34に供給される。
図8は、前記液晶表示素子1をカラーフィルタを備えない表示素子とし、前記面光源9の第1と第2の発光素子25a,25bをそれぞれ、赤、緑、青の3色のLEDにより構成したフィールドシーケンシャル液晶表示装置における液晶表示素子1と面光源9の駆動シーケンス図であり、(a)は狭視野表示のときの駆動シーケンスを示し、(b)は広視野表示のときの駆動シーケンスを示している。
このフィールドシーケンシャル液晶表示装置の場合は、1フレームを3フィールドt1〜t3に分割し、狭視野表示のときは、図8(a)のように、第1〜第3の各フィールドt1,t2,t3毎に、前記液晶表示素子1の各画素に、赤の単位色の表示画像データ信号と、緑の単位色の表示画像データ信号と、青の単位色の表示画像データ信号とを順次印加し、これらの各単位色の表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から、前記第1発光素子25aの赤、緑、青のLEDの選択点灯により、赤の第1照明光と、緑の第1照明光と、青の第1照明光とを順次照射させる。
また、広視野表示のときは、図8(b)のように、前記第1〜第3の各フィールドt1,t2,t3毎に、液晶表示素子1の各画素に、赤の単位色の表示画像データ信号と、緑の単位色の表示画像データ信号と、青の単位色の表示画像データ信号とを順次印加し、これらの各単位色の表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から、前記第1と第2の発光素子25a,25bの同色のLEDの同時点灯により、赤の第1と第2の照明光と、緑の第1と第2の照明光と、青の第1と第2の照明光とを順次照射させる。
なお、この液晶表示装置は、前記液晶表示素子1にその複数の画素にそれぞれ対向する赤、緑、青の3色のカラーフィルタを備えさせ、前記面光源9から白色の第1の照明光と第2の照明光とを照射させるようにした液晶表示装置でもよく、その場合は、各フレーム毎に、液晶表示素子1の赤、緑、青のカラーフィルタにそれぞれ対応する各画素に、赤、緑、青の各色の表示画像データ信号を印加し、狭視野表示のときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9から白の第1照明光を照射させ、広視野表示のときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から白の第1と第2の照明光を照射させる。
このように、この実施例の液晶表示装置は、前記駆動手段27により、前記液晶表示素子1の各画素に画像信号に対応した表示画像データ信号を印加し、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1発光素子25aを点灯させることにより、前記面光源9から、前記液晶表示素子1の法線方向に出射する正面光の強度が前記法線方向に対して一方の方向(左方向)及びその反対方向(右方向)に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い第1の照明光Aを照射させて狭視野表示を行ない、前記液晶表示素子1の各画素に画像信号に対応した表示画像データ信号を印加し、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1発光素子25aと2つの第2発光素子25bとを同時に点灯させることにより、前記面光源9から、前記第1の照明光Aと、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い第2の照明光Bとが重なった合成照明光A+Bを照射させて広視野表示を行なうものであり、したがって、表示の視野を狭視野と広視野とに制御することができる。
図6は前記液晶表示装置の狭視野表示のときの出射光線図であり、このときは、前記面光源9の第1発光素子25aが点灯され、前記面光源9から図5(a)のような強度分布の第1の照明光Aが液晶表示素子1に向けて照射されるため、正面方向に対して傾いた方向からは前記表示画像データに対応した表示画像を視認することができなくなり、したがって、前記画像信号に対応した表示画像の視野を正面方向に制限した狭視野表示を行なうことができる。
図7は前記液晶表示装置の広視野表示のときの出射光線図であり、このときは、前記面光源9の第1と第2の発光素子25a,25bが同時に点灯され、前記面光源9から図5(c)のような強度分布の合成照明光A+Bが液晶表示素子1に向けて照射されるため、正面方向からも前記正面方向に対して前記左方向及び右方向に傾いた方向からも画像信号に対応した表示画像を観察させる広視野表示を行なうことができる。
しかも、この液晶表示装置は、前記液晶表示素子1の観察側とは反対側に、前記液晶表示素子1の1つの縁部側の端部に光を入射させる入射部12が形成され、前記液晶表示素子1と実質的に平行な面に沿わせて、前記入射部12の長さ方向の中央部を中心とする半円に沿ってその径方向に同じ角度で傾斜し、前記入射部12から入射した光の向きを変えて前記液晶表示素子1側に出射する複数の円弧状変向面14が同心円状に形成された変向手段10と、前記変向手段10の入射部12の中央部に対向させて配置され、前記円弧状変向面14の曲率中心Oから放射状に広がる光を前記変向手段10の入射部12に向けて出射する第1の発光素子25aと、前記変向手段10の入射部12の中央部に対して前記入射部12の長さ方向の一端側にずれた位置と他端側にずれた位置にそれぞれ対向させて配置され、前記円弧状変向面14の曲率中心に対してずれた点P1,P2から放射状に広がる光を前記変向手段の入射部に向けて出射する複数の第2の発光素子25bとからなり、前記第1の発光素子25aの点灯により、前記液晶表示素子1の法線方向hに出射する正面光の強度が前記法線方向に対して一方の方向及びその反対方向に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光Aを前記液晶表示素子1に向けて照射し、前記第2の発光素子25bの点灯により、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光Bを前記液晶表示素子1に向けて照射する面光源9を配置し、前記液晶表示素子1の各画素に画像信号に対応した表示画像データ信号を印加し、視野選択信号に応じて、狭視野表示が選択されたときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1の発光素子25aを点灯させ、広視野表示が選択されたときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1の発光素子25aと第2の発光素子25bとを同時に点灯させる駆動手段27を備えたものであるため、製造の難しい視野制限用液晶素子を備えた従来の視野制御型液晶表示装置に比べてはるかに低コストに得ることができる。
また、この液晶表示装置は、前記面光源9に、前記変向手段10の出射側に配置され、前記変向手段10から出射した光のうち、前記液晶表示素子1の法線方向hに対して傾いた方向の光を拡散させる異方性拡散板26をさらに備えさせているため、挟視野表示のときに、前記面光源9から、前記正面光の強度が高く、前記斜め光の強度が前記正面光の強度に比べてはるかに低い強度分布の第1の照明光Aを液晶表示素子1に向けて照射させ、前記挟視野表示の視野をより効果的に狭くするとともに、広視野表示のときに、前記面光源9から、前記第1の照明光Aと、前記液晶表示素子1の法線方向hに対して傾いた方向の出射光強度が広い角度範囲にわたってフラットに近い強度分布の第2の照明光Bとを照射させ、前記広視野表示の視野をより広くすることができる。
また、この液晶表示装置は、前記面光源9の変向手段10として、板状の透明部材の周面のうち、前記液晶表示素子の1つの縁部側の端面に光を入射させる入射端面(出射部)12が形成され、前記透明部材の前記液晶表示素子1に対向する板面に前記入射端面12から入射した光の出射面13が形成され、その反対側の板面に、前記入射端面12の長さ方向の中央部を中心とする半円に沿ってその径方向に同じ角度で傾斜し、前記入射端面12から入射した光の向きを変えて前記出射面13から前記液晶表示素子1側に出射させる複数の円弧状変向面14が同心円状に形成された導光板11を用いているため、面光源9の製造を簡単にし、前記液晶表示装置をさらに低コストに得ることができる。
なお、上記第1の実施例の液晶表示装置は、狭視野表示のときに、前記面光源9から、第1の発光素子25aの点灯により、正面光の強度が斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光を照射させるようにしたものであるが、狭視野表示は、前記液晶表示素子1の各画素に、画像信号に対応した表示画像データ信号と、予め登録されたパターンの固定画像に対応した固定画像データ信号とを交互に印加し、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1の発光素子25aを点灯させ、前記固定画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第2の発光素子25bを点灯させることにより行なってもよい。
また、上記第1の実施例の液晶表示装置は、広視野表示のときに、前記面光源9から、第1と第2の発光素子25a,25bの同時点灯により、前記第1の照明光と、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光とを同時に照射させるようにしたものであるが、広狭視野表示は、前記液晶表示素子1の各画素に、画像信号に対応した表示画像データ信号を印加し、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1の発光素子25aと第2の発光素子25bを交互に点灯させることにより行なってもよい。
(第2の実施例)
図9〜図13はこの発明の第2の実施例を示しており、図9は液晶表示素子1と面光源9を駆動する駆動手段27のブロック回路図である。
この実施例の液晶表示装置は、前記駆動手段27を、予め登録された固定画像に対応した固定画像データを発生する固定画像データ発生部28と、第1と第2の画像データメモリ29,30と、外部から供給された画像信号に対応した表示画像データを前記第1と第2の画像データメモリ29,30のうちの第1メモリ29に書込み、前記表示画像データと前記固定画像データとを視野選択信号に応じて選択的に第2メモリ30に書込むメモリ書込制御部31と、前記第1メモリ29と第2メモリ30に書込まれた画像データを交互に読出して前記液晶表示素子1に搭載された表示ドライバ8のデータライン駆動部8aに供給するメモリ読出制御部32と、前記面光源9の第1と第2の発光素子25a,25bを選択的に点灯させる光源駆動部33と、前記メモリ書込制御部31とメモリ読出制御部32と光源駆動部33及び前記表示ドライバ8の走査ライン駆動部8bを制御する駆動制御部34とからなっている。
この駆動手段27は、狭視野表示を選択する視野選択信号が入力されたときに、前記表示画像データを前記第1メモリ29に書込み、前記固定画像データ発生部28から固定画像データを読出してその固定画像データを前記第2メモリ30に書込み、1画面の画像を表示するための1フレームを2分割した2つの分割期間の一方に、前記第1メモリ29から前記表示画像データを読出して前記データライン駆動部8aに供給し、この表示画像データに応じた表示画像データ信号を前記液晶表示素子1の各画素に印加し、それに同期させて前記面光源9の第1の発光素子21aを点灯させ、他方の分割期間に、前記第2メモリ30から前記固定画像データを読出してその固定画像データを前記データライン駆動部8aに供給し、この固定画像データに応じた固定画像データ信号を前記液晶表示素子1の各画素に印加し、それに同期させて前記面光源9の第2の発光素子25bを点灯させる。
また、この駆動手段27は、広視野表示を選択する視野選択信号が入力されたときに、前記画像信号に対応した表示画像データを前記第1メモリ29と第2メモリ30とに書込み、前記1フレームを2分割した2つの分割期間の一方に、前記第1メモリ29から前記表示画像データを読出して前記データライン駆動部8aに供給し、その表示画像データに応じた表示画像データ信号を前記液晶表示素子1の各画素に印加し、それに同期させて前記面光源9の第1の発光素子25aを点灯させ、他方の分割期間に、前記第2メモリ30から読出した表示画像データをデータライン駆動部に供給し、この表示画像データに応じた表示画像データ信号を前記液晶表示素子1の各画素に印加し、それに同期させて前記面光源9の第2の発光素子25bを点灯させる。
図10は、フィールドシーケンシャル液晶表示装置における液晶表示素子1と面光源9の駆動シーケンス図であり、(a)は狭視野表示のときの駆動シーケンスを示し、(b)は広視野表示のときの駆動シーケンスを示している。
このフィールドシーケンシャル液晶表示装置の場合は、1フレームを6フィールドt1〜t6に分割し、狭視野表示のときは、図10(a)のように、前記1フレームを2分割した分割期間の一方、例えば前記前半の分割期間である前記第1〜第3の各フィールドt1,t2,t3毎に、前記液晶表示素子1の各画素に、赤の単位色の表示画像データ信号と、緑の単位色の表示画像データ信号と、青の単位色の表示画像データ信号とを順次印加し、これらの各単位色の表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から、前記第1の発光素子25aの赤、緑、青のLEDの選択点灯により、図5(a)の強度分布の赤、緑、青の第1照明光Aを順次照射させ、前記1フレームを2分割した後半の分割期間である前記第4〜第6の各フィールドt4,t5,t6毎に、前記液晶表示素子1の各画素に、赤の単位色の固定画像データ信号と、緑の単位色の固定画像データ信号と、青の単位色の固定画像データ信号とを順次印加し、これらの各単位色の固定画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から、前記第2の発光素子25bの赤、緑、青のLEDの選択点灯により、図5(b)の強度分布の赤、緑、青の第2照明光Bを順次照射させる。
また、広視野表示のときは、図10(b)のように、前記1フレームを2分割した分割期間の一方、例えば前半の分割期間である第1〜第3の各フィールドt1,t2,t3毎に、液晶表示素子1の各画素に、赤の単位色の表示画像データ信号と、緑の単位色の表示画像データ信号と、青の単位色の表示画像データ信号とを順次印加し、これらの各単位色の表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から前記赤、緑、青の第1照明光Aを順次照射させ、前記1フレームを2分割した後半の分割期間である第4〜第6の各フィールドt4,t5,t6毎に、前記液晶表示素子1の各画素に、赤の単位色の表示画像データ信号と、緑の単位色の表示画像データ信号と、青の単位色の表示画像データ信号とを順次印加し、これらの各単位色の表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から前記赤、緑、青の第2照明光Bを順次照射させる。
なお、図10には、赤、緑、青の単位色の表示画像データ信号の順次印加と、赤、緑、青の単位色の固定画像データ信号の順次印加とを交互に行なう駆動シーケンスを示したが、それに限らず、例えば、赤、緑、青のうちの1つの単位色の表示画像データ信号の印加と、赤、緑、青のうちの1つの単位色の固定画像データ信号の印加とを交互に行ない、前記表示画像データ信号の印加に同期させてその単位色の色の第1照明光Aを照射させ、固定画像データ信号の印加に同期させてその単位色の色の第2照明光Bを照射させてもよい。
図11は、前記液晶表示素子1にその複数の画素にそれぞれ対向する赤、緑、青の3色のカラーフィルタを備えさせた液晶表示装置における液晶表示素子1と面光源9の駆動シーケンス図であり、(a)は狭視野表示のときの駆動シーケンスを示し、(b)は広視野表示のときの駆動シーケンスを示している。
この液晶表示装置の場合は、前記1フレームを2つの期間に分割し、狭視野表示のときは、図11(a)のように、例えば前記第1の分割期間t11に、前記液晶表示素子1の赤、緑、青のカラーフィルタにそれぞれ対応する各画素に、赤、緑、青の各色の表示画像データ信号を印加し、この表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から、前記第1の発光素子25aの点灯により、図5(a)の強度分布の白の第1照明光Aを照射させ、第2の分割期間t12に、前記液晶表示素子1の各画素に、赤、緑、青の各色の固定画像データ信号を印加し、この固定画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から、前記第2の発光素子25bの点灯により、図5(b)の強度分布の白の第2照明光を照射させる。
また、広視野表示のときは、図11(b)のように、例えば第1の分割期間t11に、液晶表示素子1の赤、緑、青のカラーフィルタにそれぞれ対応する各画素に、赤、緑、青の各色の表示画像データ信号を印加し、この表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から前記白の第1照明光Aを照射させ、第2の分割期間t12にも同様に、前記液晶表示素子1の各画素に、赤、緑、青の各色の表示画像データ信号を印加し、この表示画像データ信号の印加に同期させて、前記面光源9から前記白の第2照明光Bを照射させる。
すなわち、この実施例の液晶表示装置は、前記表示画像データに対応した画像と、前記表示画像データと前記固定画像データのいずれか一方が選択された画像データに対応した画像とを交互に表示するものであり、前記液晶表示素子1の各画素に前記表示画像データ信号を印加し、それに同期させて前記面光源9から、前記液晶表示素子1の法線方向hに出射する正面光の強度が前記法線方向hに対して一方の方向(左方向)及びその反対方向(右方向)に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光Aを照射させることにより前記表示画像データに対応した画像を表示させ、前記液晶表示素子1の各画素に選択された前記画像データ信号を印加し、それに同期させて前記面光源9から前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光Bを照射させることにより選択された前記画像データに対応した画像を表示する。
そのため、前記表示画像データに対応した表示は、正面方向(液晶表示素子1の法線付近の方向)に輝度分布のピークをもった表示、つまり、視野を正面方向に制限された表示であり、選択された前記画像データに対応した表示は、前記正面方向に対して左方向及び右方向に傾いた方向に輝度分布のピークを持った表示、つまり、視野を前記正面方向に対して左方向及び右方向に傾いた方向に制限された表示である。
したがって、前記画像データとして、前記固定画像データが選択されたときは、前記表示画像データに対応した画像と前記固定画像データに対応した画像とが交互に表示されることになり、前記固定画像データは、予め登録されたパターンの固定画像に対応したデータであるため、前記正面方向に対して傾いた方向からは、前記表示画像データに対応した表示画像を視認することができず、しかもその表示画像が、前記正面方向に対して傾いた方向から見える前記固定画像データに対応するパターンの固定画像によって隠されるため、前記表示画像は全く視認できなくなり、画像信号に対応した表示画像の視野を正面方向に制限した狭視野表示を行なうことができる。
図12は、この狭視野表示のときの正面方向から見た表示と左方向及び右方向に傾いた方向から見た表示の一例を示しており、ここでは、前記表示画像データに対応する表示画像と市松状の固定画像とを交互に表示したときの例を示している。
なお、前記市松状の固定画像は、赤、緑、青またはその混色による黄、マゼンタ、シアン及び黒のうちの複数の色の方形模様を行方向及び列方向に交互に並べたパターンの画像でも、前記赤、緑、青の混色による白と黒の2色の方形模様を行方向及び列方向に交互に並べたパターンの画像でもよい。さらに、前記固定画像は、市松状に限らず、ストライプ状や、マークまたはキャラクタ等の画像でもよい。
一方、前記画像データとして、表示画像データが選択されたときは、前記表示画像データに対応する画像が交互に表示され、正面方向からも前記正面方向に対して前記左方向及び右方向に傾いた方向からも画像信号に対応した表示画像を観察させる広視野表示を行なうことができる。
図13は、この広視野表示のときの正面方向から見た表示と左方向及び右方向に傾いた方向から見た表示の一例を示している。
このように、この実施例の液晶表示装置は、前記駆動手段27により、狭視野表示が選択されたときに、前記液晶表示素子1の各画素に、画像信号に対応した表示画像データ信号と、予め登録されたパターンの固定画像に対応した固定画像データ信号とを交互に印加し、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第1の発光素子25aを点灯させ、前記固定画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9の第2の発光素子25bを点灯させるようにしているため、前記正面方向に対して傾いた方向からは、表示画像データに対応した表示画像を視認することができず、しかもその表示画像が前記固定画像データに対応するパターンの固定画像により隠されて見えない、前記画像信号に対応した表示画像の視野をより効果的に正面方向に制限した狭視野表示を行なうことができる。
(第3の実施形態)
図14及び図15はこの発明の第3の実施例を示しており、図14は前記液晶表示素子1の観察側とは反対側の面に対向させて配置された面光源9aの出射側から見た正面図、図15は図14のXV−XV線に沿うハッチングを省略した断面図である。
この実施例の面光源9aは、アクリル樹脂板等の板状の透明部材の周辺のうち、液晶表示素子1の1つの縁部、例えば前記液晶表示素子1の画面の上下方向のいずれか一方の縁部側(図では上縁側)の端面に光を入射させる入射端面(入射部)17が形成され、前記透明部材の前記液晶表示素子1に対向する板面に、前記入射端面17の長さ方向の中央部を中心とする半円に沿ってその径方向に同じ角度で傾斜し、前記入射端面17から入射した光の向きを変えて前記液晶表示素子1側に出射する複数の円弧状変向面18が同心円状に形成され、その反対側の板面に、前記入射端面17から入射した光を前記複数の円弧状変向面18に向けて反射する反射面19が形成された導光板16と、前記導光板16の出射側に配置され、前記導光板16に対向する面に、前記導光板16の円弧状変向面18の曲率中心に対応する点を中心とする半円に沿った円弧状をなし、前記導光板16の複数の円弧状変向面18からの出射光を前記液晶表示素子1の法線方向hに対する角度が小さくなる方向に屈折させる複数の円弧状プリズム23が同心円状に形成され、前記液晶表示素子1に対向する面に、前記複数の円弧状プリズム23により屈折された光を前記液晶表示素子1側に出射する出射面24が形成されたプリズムシート21とからなる変向手段10aを備え、この変向手段10aの導光板16の入射端面17の中央部に対向させて、前記円弧状変向面18の曲率中心から放射状に広がる光を前記導光板16の入射端面17に向けて出射する第1の発光素子25aを配置し、前記導光板16の入射端面17の中央部に対して前記入射端面17の長さ方向の一端側にずれた位置と他端側にずれた位置にそれぞれ対向させて、前記円弧状変向面18の曲率中心に対してずれた点から放射状に広がる光を前記導光板16の入射端面17に向けて出射する複数(この実施例では2つ)の第2の発光素子25bを配置したものである。
前記導光板16の複数の円弧状変向面18はそれぞれ、前記半円の中心に向かって、前記反射面19とは反対方向に予め定めた角度で傾いた傾斜面からなっており、前記液晶表示素子1の画素ピッチと同程度またはそれよりも小さいピッチで同心円状に形成されている。
また、前記プリズムシート21の複数の円弧状プリズム23はそれぞれ、二等辺三角形状の断面形状を有しており、前記導光板16の複数の円弧状変向面18のピッチよりも小さいピッチで同心円状に形成されている。
なお、この実施例では、前記導光板16の反射面19を、前記導光板16の板面に反射膜20を設けて形成しているが、この導光板16の反射面19は、前記入射端面17からの入射光を導光板16の板面と外気との界面で全反射する内面反射面としてもよい。
この面光源9aは、前記変向手段10aの導光板16にその入射端面17から入射した光を、図15に矢線で示したように、前記複数の円弧状変向面18により向きを変えて前記導光板16から出射し、その光を、前記プリズムシート21の複数の円弧状プリズム23により屈折させてこのプリズムシート21の出射面24から前記液晶表示素子1側に出射するものであり、前記導光板16の複数の円弧状変向面18の傾き角と、前記プリズムシート21の複数の円弧状プリズム23の2つの傾斜面の傾き角は、前記導光板16に前記円弧状変向面18の曲率中心から前記導光板16の板面と実質的に平行な面に沿った方向に放射状に広がる光を入射させたときに、前記プリズムシート21の出射面24から、前記液晶表示素子1の法線方向hに沿った方向に出射光強度のピークが存在する強度分布の光を出射させるように設定されている。
この面光源9aは、前記第1発光素子25aの点灯により、前記液晶表示素子1の法線方向hに出射する正面光の強度が前記法線方向hに対して一方の方向及びその反対方向に傾いた方向に出射する斜め光の強度よりも高い強度分布の第1の照明光を前記液晶表示素子1に向けて照射し、前記2つの第2発光素子25bの点灯により、前記斜め光の強度が前記正面光の強度よりも高い強度分布の第2の照明光を前記液晶表示素子1に向けて照射する。
したがって、この面光源9aを前記液晶表示素子1の観察側とは反対側に配置し、上述した第1または第2の実施例の駆動手段27により、前記液晶表示素子1の各画素に画像信号に対応した表示画像データ信号を印加し、視野選択信号に応じて、狭視野表示が選択されたときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9aの第1の発光素子25aを点灯させ、広視野表示が選択されたときに、前記表示画像データ信号の印加に同期させて前記面光源9aの第1の発光素子25aと第2の発光素子25bとを同時または交互に点灯させることにより、表示の視野を狭視野と広視野とに制御することができる。
そして、この実施例の液晶表示装置は、前記液晶表示素子1の観察側とは反対側に、前記導光板16とプリズムシート21とからなる変向手段10aと第1及び第2の発光素子25a,25bとにより構成された面光源9aを配置し、前記液晶表示素子1と面光源9aを駆動する前記駆動手段27を備えたものであるため、製造の難しい視野制限用液晶素子を備えた従来の視野制御型液晶表示装置に比べてはるかに低コストに得ることができる。
なお、この実施例においても、前記面光源9aは、前記変向手段10aの出射側に配置され、前記変向手段10aから出射した光のうち、前記液晶表示素子1の法線方向hに対して傾いた方向の光を拡散させる異方性拡散板をさらに備えているのが好ましく、このようにすることにより、挟視野表示の視野をより効果的に狭くするとともに、広視野表示の視野をより広くすることができる。
(他の実施形態)
この発明の液晶表示装置において、前記液晶表示素子1の観察側とは反対側に配置する面光源の変向手段は、上述した第1の実施例の導光板11または第3の施例の導光板16及びプリズムシート21に限らず、前記液晶表示素子1の1つの縁部側の端部に光を入射させる入射部が形成され、前記液晶表示素子1と実質的に平行な面に沿わせて、前記入射部の長さ方向の中央部を中心とする半円に沿ってその径方向に同じ角度で傾斜し、前記入射部から入射した光の向きを変えて前記液晶表示素子側に出射する複数の円弧状変向面が同心円状に形成されたものであれば、他の構成のものでもよい。
また、上記実施例の面光源9,9aは、1つの第1発光素子25aと、2つの第2発光素子25bとを備えたものであるが、前記第2発光素子25bは、前記変向手段10の入射部12の中央部に対して前記入射部12の長さ方向の一端側に順次ずれた複数の位置と、前記入射部12の長さ方向の他端側に順次ずれた複数の位置にそれぞれ対向させて配置してもよい。