JP2010276499A - マイクロチップ電気泳動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二本鎖DNAを塩基配列の違いにより分離するマイクロチップ電気泳動装置において、簡易な操作で再現性の高い分析ができる装置を提供する。
【解決手段】装置は、核酸変性剤の濃度勾配が形成される濃度勾配領域チャンネル27と、その上流側の変性剤を異なる濃度で含有する2つの緩衝液を供給する複数のリザーバー10及びチャンネル26と、その下流側の二本鎖核酸試料を導入する試料導入部28とを有するマイクロチップ9を用いる。マイクロチップ9には、リザーバー10内の緩衝液に電圧を印加する高電圧導入端子が配置される。リザーバー10の位置に溶液を保持するパッキンが、上下に貫通する穴を持つ上板と、下板とで収納される。高電圧導入端子と温度制御機構が一体とした構造で、温度制御機構が板ばねを用いて被温度調節部に接触され、高電圧導入端子がパッキン内に配置される。
【選択図】図5

Description

本発明は、二本鎖核酸を分離するためのマイクロチップ電気泳動法装置に関し、より詳しくは、核酸変性剤の濃度勾配を利用して二本鎖DNAを塩基配列の違いにより分離可能なマイクロチップ電気泳動装置に関するものである。
核酸やタンパク質などの生体高分子を分離・精製あるいは分析する手段として、電解質溶液を充填したアガロースやポリアクリルアミドなどのゲルや、微細管(キャピラリー)に電位をかけ、その中で荷電粒子を移動させ、移動速度の違いにより粒子を分離する電気泳動がしばしば用いられる。二本鎖DNAを電気泳動する場合は、移動速度に影響を与える要因は分子量(分子の長さ)のみであるので、分子量(長さ)の差によって分離することができる。
1990年代の初めに、マンツが化学分析、生化学分析に必要な全ての要素を一枚のチップ上に組み込む微小化学分析装置、いわゆるマイクロタス(μTAS)の概念を提唱して以降、様々なタイプのマイクロタスが開発されてきた。
マイクロタスの一分野として、マイクロチップ電気泳動がある。マイクロチップ電気泳動では、微細加工技術により、幅、深さ共に10〜100μm程度の微小なチャンネルを形成させた基板上に、もう一枚の基板を接着させたマイクロチップを用いる。一般的には、DNAやRNAの分子量測定に利用される。DNAやRNAの分子量測定では、チャンネル表面を化学修飾し、電気浸透流を抑えた状態で、直鎖のポリアクリルアミドやヒドロキシメチルセルロースなどの高分子マトリックス溶液をチャンネル内に充填し、DNAやRNAの分離を行う。従来のアガロースゲル電気泳動が、30分〜1時間の泳動時間を要するのに対して、マイクロチップ電気泳動装置は10分以下で泳動が終わり、分析時間の短縮ができる。試料、試薬の消費量が少ないなどの利点がある。
一方、二本鎖DNAを塩基配列の違いにより分離する方法として、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)がある。DGGEは、DNAの変異検出や一塩基多型(SNP)の検出などに利用されているだけでなく、近年は活性汚泥法やメタン発酵のような有機性排水・廃棄物処理プロセスにおいて、あるいは微生物を用いて汚染土壌・地下水を浄化修復するバイオレメディエーションなどにおいて活躍する微生物群集の構造解析などに利用されている。このうち、微生物群集構造解析では、全微生物が共通して持っている配列である16S rRNA遺伝子がしばしば利用される。すなわち、対象とする微生物群集を含む試料からDNAを抽出して、16S rRNA遺伝子のうち複数の微生物に共通する配列部分を増幅できるPCR用プライマーで増幅した後、この増幅産物をDGGEで分離することにより、16S rRNA遺伝子の塩基配列の違いにより微生物群集を構成する主な微生物に由来するDNAをゲル上で分離できる。同一ゲル上の複数のレーン間においては、同一泳動距離にあるDNAは同一の塩基配列を持つと判断できるため、対象とした微生物群集の構成の違いを判断できる。さらに、同一ゲル上の別のレーンに特定の微生物の16S rRNA遺伝子を同様に操作して泳動し、そのDNAバンドの位置と比較することにより、その微生物が対象とする微生物群に存在するか否かを判定することもできる。
DGGEを実現するためのマイクロチップ電気泳動装置として、例えば特許文献1(WO2005/049196)では、変性剤を異なる濃度で含有する緩衝液を導入するための少なくとも2つの液体導入用マイクロチャンネル、及び該少なくとも2つの液体導入用マイクロチャンネルが接続している混合用マイクロチャンネルを含んでなるマイクロチップ電気泳動装置であって、各液体導入用マイクロチャンネルから変動する割合で導入される各緩衝液が混合用マイクロチャンネル内で合流することにより変性剤の濃度勾配領域が形成される装置が提案されている。さらに、具体的な装置の構造の一例として、泳動用緩衝液中の核酸変性剤の濃度勾配が形成される濃度勾配領域チャンネル(混合用マイクロチャンネル)と;濃度勾配領域チャンネルの上流側に設けられ、濃度勾配領域チャンネルに緩衝液を供給するための複数のリザーバー及びチャンネル(液体導入用マイクロチャンネル)を有する濃度勾配形成部と;濃度勾配領域チャンネルの下流側に設けられ、濃度勾配領域チャンネルに2本鎖核酸を含む核酸試料を導入するための試料導入部とを有する。この態様では、各リザーバー内に核酸変性剤を異なる濃度で含有する緩衝液が充填される。例えば、リザーバー内の緩衝液の各々に電位を与えることにより、それらに生じる各電気浸透流を制御することができ、電気浸透流の制御により任意のリザーバーからの緩衝液を、適切な流量で濃度勾配領域チャンネル内へ供給することができる装置が提案されている。
また、二本鎖核酸を塩基配列の違いにより分離するDGGEにおいては、二本鎖核酸の変性程度の違いを利用して分離を実現するので、変性剤濃度と共に温度に対しても依存性があるため、再現性を確保するためには分離領域を一定の温度に正確に設定する必要がある。一方、試料導入用マイクロチャンネルを含む試料導入領域は、核酸試料が均一に導入されるように、核酸試料が分離される温度よりも低い温度に独立に制御する必要がある。また、分離用マイクロチャンネル上の検出位置を含む検出領域も、核酸染色剤の脱離を抑制し検出感度の低下を抑えるため、核酸が分離される温度よりも低い温度に独立に制御する必要がある。一例として特許文献2(特表2008−542683)では、各領域の設定温度は、典型的には、試料導入領域で20〜40℃、分離領域の設定温度で40〜70℃、検出領域で20〜40℃と示されている。さらに、特許文献2には、その設定温度を±1℃の範囲内で制御することが好ましいことが示されている。そのためには、マイクロチップとヒーター間の熱伝導性を向上させることにより達成できること、例えば、マイクロチップとヒーターの間に熱伝導性の高い材料、好ましくは熱伝導率2×10−3cal/cm・sec・℃以上のもので、マイクロチップとヒーター間の空気層を無くし、密着性を高め、熱伝導性を向上させる材料、例えばアルミニウム、銅などの金属や熱伝導性グリース等を挿入する装置が開示されている。
マイクロチップの温度を精密に制御する装置として、特許文献3(特開2006−234467)に単数又は複数の被温度調節部を有する薄板状のマイクロチップを加熱又は冷却し、前記被温度調節部の温度を制御するマイクロチップ用の温度制御装置であって、前記マイクロチップの一方の面側から前記被温度調節部に接し、前記被温度調節部を加熱又は冷却する第一温度調節ユニットと、前記マイクロチップの他方の面側から前記被温度調節部に接し、前記マイクロチップを挟んで、前記第一温度調節ユニットとは反対側から前記被温度調節部を加熱又は冷却する第二温度調節ユニットと、を備える装置が開示されている。さらに、特許文献3には、マイクロチップとヒーター間の密着性を高める構造として、前記第一温度調節ユニットを少なくとも前記マイクロチップの板厚方向へ移動可能に支持すると共に、前記マイクロチップへ押し付ける第一弾性体を備え、さらに、前記第二温度調節ユニットを少なくとも前記マイクロチップの板厚方向へ移動可能に支持すると共に、前記マイクロチップへ押し付ける第二弾性体を備える装置を開示している。
これにより、銅、アルミニウム又は各種の金属の合金などの熱伝導体により形成されている温度調節部が直接マイクロチップに密着することにより、精密な温度制御が可能になることを示している。弾性体としては、コイルや板ばねなどのその他のばね、ゴムなどの弾性体、あるいは気体もしくは液体のダンパなどを適用してもよいこと、また、弾性体は、例えばシリコーンゲルやシリコーンゴムなどからなるシート状の部材であってもよいことが示されている。
前述のようにマイクロチップDGGEにおいては、典型的には、試料導入領域で20〜40℃、分離領域の設定温度で40〜70℃、検出領域で20〜40℃の温度設定が必要とされている。分離領域に与えられた熱は、チップ内を両側に伝わるため、試料導入領域や検出領域では温度制御は冷却側になる。すなわち、マイクロチップDGGEにおいては、極めて微小な領域内に加温と冷却との異なる温度制御をする温度調整装置を配置する必要がある。例えば、特許文献3に記載の弾性体を用いて温度調節ユニットをマイクロチップに押し付ける構造においては、複数の金属製のコイルや板ばねが至近距離に設置されると、弾性体相互からの放熱影響が極めて大きくなることが問題となる。
マイクロチップDGGEにおいては、電気泳動による分離の前に、リザーバー内の緩衝液の各々に電位を与えることにより、それらに生じる電気浸透流の制御により任意のリザーバーからの緩衝液を適切な流量で濃度勾配領域チャンネル内へ供給することで、変性剤濃度勾配領域を形成する工程が入る。そのため、リザーバー内の緩衝液が、高電圧導入端子に接触する時間が一般のマイクロチップ電気泳動よりも長い。高電圧導入端子と緩衝液が接触すると、水の電気分解が生じて水分が蒸発し、緩衝液の濃度が変化する恐れがある。緩衝液の有意な濃度変化を回避するためには、電気分解による水の蒸発量に対して、リザーバー容積が十分大きい必要がある。
マイクロタス用のマイクロチップには、前述のように幅、深さ共に10〜100μm程度の微小なチャンネルを形成させた基板上に、もう一枚の基板(覆蓋基板と称す)を接着させたマイクロチップを用いる。チャンネル端にリザーバーを設ける場合、深さはチャンネル深さと覆蓋基板の厚さとの合計に限定されるため、その容積を拡大するためには水平断面積を拡大する必要がある。しかしながら、大面積のリザーバーを基板上に形成することは、高い集積度を特長とするマイクロチップの利点を損なうほか、必要に応じて容積を調整することもできないという問題がある。これに対して、リザーバーの覆蓋基板開口部に、延長部品を接着して容積を調整できるマイクロチップ用の部品(例えば商品名:Nano Ports、Health & Science社)や、予め覆蓋基板開口部に延長部品を固定した構造のマイクロチップ(非特許文献1)が市販されている。
WO2005/049196号公報 特表2008−542683号公報 特開2006−234467号公報 Agilent 2100 バイオアナライザカタログ、June 5, 2008、5989−7725JAJP
本発明は、核酸変性剤の濃度勾配を利用して二本鎖DNAを塩基配列の違いにより分離可能なマイクロチップ電気泳動装置において、簡易な操作で再現性の高い分析が実現できる装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、核酸変性剤の濃度勾配が形成される濃度勾配領域チャンネルと、該濃度勾配領域チャンネルの上流側に設けられた前記核酸変性剤を異なる濃度で含有する少なくとも2つの緩衝液の各々を供給するための複数のリザーバー及びチャンネルと、その下流側に設けられた二本鎖核酸を含む核酸試料を導入するための試料導入部とを有するマイクロチップを用いて、前記濃度勾配領域チャンネルで二本鎖核酸を塩基配列の違いに応じて分離し、分離された試料を検出するマイクロチップ電気泳動装置において、前記マイクロチップには、前記リザーバー内の核酸変性剤を異なる濃度で含有する少なくとも2つの緩衝液の各々に電圧を印加する高電圧導入端子が配置され、且つ前記リザーバーの位置に溶液を保持するパッキンが、マイクロチップを保持する上下に貫通する穴を持つ上板と、下板との2枚のプラスチック板で挟み込んで収納されると共に、前記高電圧導入端子と、濃度勾配領域チャンネルと前記試料導入部と前記検出部とを、それぞれ独立した温度に制御する温度制御機構が一体とした構造をもち、前記温度制御機構がプラスチック製の板ばねを用いて前記マイクロチップの被温度調節部に接触され、且つ前記高電圧導入端子が前記パッキン内に配置される機構を備えることを特徴とするマイクロチップ電気泳動装置としたものである。
本発明により、核酸変性剤の濃度勾配を利用して二本鎖DNAを塩基配列の違いにより分離可能なマイクロチップ電気泳動装置において、狭い面積に多数の部品を配置することができる。また、本発明により、簡易な操作で再現性の高い分析が実現できる装置が供される
本発明の温度制御装置は、濃度勾配領域チャンネルと前記試料導入部と前記検出部とを、それぞれ独立した温度に制御することができ、且つ前記複数のリザーバー内の変性剤を異なる濃度で含有する少なくとも2つの緩衝液の各々に,電圧を印加する複数の高電圧導入端子と一体となった構造を持つことを特徴とする。これにより所定の位置にセットされたマイクロチップ上に、この一体構造を垂直に移動させる操作だけで、前記マイクロチップの複数のリザーバーに同時に高電圧導入端子を装着し、且つマイクロチップの複数の被温度制御部に温度制御装置を正確に接触させることができる。
さらに,本発明の温度制御装置は、図1に示すように、ペルチェ素子1と白金測温抵抗体と銅板2とヒートシンク3からなる温度制御ユニットが、ばねのような弾性体を用いて前記高電圧導入端子と共通の支持体に固定されていることを特徴とする。ここで用いられる弾性体は、前記温度制御ユニットと前記支持体を固定することができるものであれば、金属性のコイルや板ばねなどのその他のばねを用いることもできるが、極めて微小な領域内に加温と冷却との異なる温度制御をする温度調整装置を配置する必要があり、また、図6の上面図から見てもわかるように被温度制御部のすぐそばにリザーバーが配置されるマイクロチップDGGE装置においては、コンパクトに配置できる板ばね4を用いることが望ましい。
特許文献3に記載にもあるように、通常の設計では、図2(a)のように、板バネ4はペルチェ素子1の放熱フィン側にばねを接続するが、ペルチェ素子1は脆い半導体素子の柱を規則正しく縦横に配列させ、その上下をセラミックス板1’で挟んだ構造をしているため、マイクロチップにペルチェ素子を密着させたり外したりする動作を繰り返していると、疲労破壊によって半導体素子が割れたり、半導体素子とセラミックス板との接着がはがれて電気的断線が生じる問題がある。また、操作者の誤操作で、不意にペルチェ素子1を備えた温度制御装置に直接力が加わると、ペルチェ素子を破壊してしまうことがあった。特に、力が板ばね4の伸縮方向と垂直な力が加わった場合は、ばねのたわみが力の加わる方向にはあまり生じないため、ペルチェ素子に直接大きな力が加わり、半導体素子が破壊してしまうことが多かった。
そこで、図2(b)に記載のように、板ばね4はペルチェ素子1のマイクロチップと接する側に接続する構造が望ましい。これにより、外部からの力はペルチェ素子1に加わらなくなり、ペルチェ素子の破壊や断線が生じることはなくなった。しかし、板ばね4を金属で作ると、板ばねを通して熱が上部の支持体に伝導してしまうため、マイクロチップを所定の温度に加熱しようとすると、支持体全体も加熱されてしまい、ペルチェ素子1の消費電力が大きくなるだけでなく、マイクロチップDGGE装置のように、冷却と加熱をするペルチェ素子が複数近接する場合は、支持体に伝わった熱が隣のペルチェ素子に流れてしまい、全体を精密な温度に制御することができなくなってしまう。これを抑制するために、放熱フィンや板ばね4を空冷する空冷ファンの風量を増加させると、今度は、近接するリザーバーの液面に風が当たり、水分が短時間で蒸発し、緩衝液の濃度が変化する問題が生じてしまう。
そこで、板ばね4の素材は、金属性ではなく、熱伝導率の低いプラスチックであることが望ましく、例えば90℃以上の温度に耐えるエンジニアリングプラスチックであるポリアセタール樹脂(例えば商品名:デルリン、デュポン、熱伝導率:0.25W/m・K)などを用いることが望ましい。ペルチェ素子のマイクロチップに接触する側には、板厚5mm程度の銅板2を取り付けることが望ましい。マイクロチップDGGE装置では分離条件の再現性をよくするために、温度は±1℃の範囲内で、さらに望ましくは±0.1℃の範囲内で正確に制御することが求められるが、銅板を取り付けることにより、ペルチェ素子が温度制御する面の熱容量が大きくなるため、ペルチェ素子の温度コントローラの制御が目標値に対して発振しても、その温度のゆらぎがマイクロチップ側に伝わらなくなるため、精密な温度制御ができる。また、マイクロチップの温度を測定するのに、もっとも正確に温度計測するには、直接マイクロチップに白金測温抵抗体や熱電対などの温度センサを貼り付ける方法が考えられるが、簡易な操作で分析する装置としては毎回、温度センサをマイクロチップに貼り付ける作業は好ましくない。
銅板2に温度センサ2’を貼っておけば、銅の熱伝導率は400W・m−1・K−1と大きいため、温度調整ユニットをマイクロチップに密着させるだけでマイクロチップの温度と1℃以下の温度差で温度を測定することができる。また、前記温度調整ユニットの銅板のマイクロチップに接触する面には熱伝導性が高い放熱シート5(商品名:高性能熱伝導シート、品番:SS−HCTSα50−305、親和産業、50W/m・K)を接着して用いても良い。この放熱シート5は、スポンジ状に伸縮するため、多少の反りやうねりがマイクロチップにあっても銅板を密着させることができる。
これにより、所定の位置にセットされたマイクロチップ上に、前記一体構造を垂直に移動させる操作だけで、前記マイクロチップの複数のリザーバーに同時に高電圧導入端子を装着し、且つマイクロチップの複数の被温度制御部に温度制御装置を均一に密着させることができる。
本発明のマイクロチップ電気泳動装置に使用するマイクロチップは、複数のリザーバー内の変性剤を異なる濃度で含有する少なくとも2つの緩衝液の各々に、電圧を印加する高電圧導入端子が配置され、且つ、図4に示されるように、溶液を保持するパッキン8を、前記リザーバー10の位置に上下に貫通する穴を持つ上板11と、下板12との2枚のプラスチック板で挟み込んで前記リザーバー上に配置されて装置内に収納されることを特徴とする。下板12の上の所定の位置にセットしたマイクロチップ9の各リザーバー10の上にそれぞれパッキン8を配置し、前記リザーバー10の位置に上下に貫通する穴を持つ上板11を所定の位置に載せて、上下の板を締め付けて挟み込むだけでよく、リザーバーを接着することなく所定の位置に固定することができる。当該パッキン8は、下部の開口径がマイクロチップのリザーバー径より大きくてもよいが、図7の充填装置のノズル17から液を充填するときに液漏れが起きないように、該ノズルの先端のシール面外径よりはパッキンの開口径は2mm以上小さくするのが好ましい。また当該パッキンの上部はどのような口径であってもよい。またパッキンの高さは必要に応じて変更することができる。すなわち、同一のマイクロチップを用いた場合でも、リザーバー容積を任意に変更することができるため、たとえ高電圧導入端子と緩衝液が接触して水の電気分解が生じて水分が蒸発しても、想定される蒸発量に対してリザーバー容積を十分大きく設定できるため、緩衝液の有意な濃度変化を回避することができる。
次に本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の温度調整ユニットの概念図である。温度調整ユニットは、ペルチェ素子1とその表面に接触する銅板2、銅板に接着した白金測温抵抗体2’及びヒートシンク3からなり、銅板2の側面を2枚の板ばね4で挟んで一つのユニットとなっている。本発明においては、複数のユニットを共通の支持レール6に固定し、一体化することができる。各温度調整ユニットは、個別に制御温度を設定することができるため、マイクロチップの複数の被温度制御部に一度の操作で接触させることができ、また、板ばね4を備えているために、銅板2のペルチェ素子1とは反対側の面がマイクロチップの被温度調節部に均一に密着することができる。さらに、銅板2のマイクロチップとの接触面に、熱伝導性が高い放熱シート5を接着することで、熱伝導を損なうことなく温度調整ユニットとマイクロチップの被温度調節部の密着性や均一性を高めることができ、且つ接触時の衝撃を緩和することができる。
図2は、(a)が従来の板バネ構造、(b)が本発明の温度調整ユニットの構造の比較説明図である。
図3は、本発明の温度調整ユニットに使用される板ばね4の概念図である。
図4は、本発明の高電圧導入端子が配置され、且つ溶液を保持するパッキンと、マイクロチップ上でパッキンを保持する機構の概念図である。パッキン8は、下部にマイクロチップ9のリザーバー10の口径と等しい又はわずかに大きい口径を持つ開口部を有する。パッキン8は、2枚の上と下のプラスチック板(以下、上フタ11及び下ベース12という)からなるチップホルダで挟み込むことによりマイクロチップ9上の所定の位置に固定される。ここで、チップホルダの上フタに穿たれた貫通穴の内面の凸部が、パッキン8の側面の凹部にはまることにより、パッキン8がずれることなくマイクロチップ9に密着される。なお、パッキン8とマイクロチップ9の間に、シリコン製の粘着シートを挟み込むことで、より密着性を高めることもできる。パッキン8は、マイクロチップ9のリザーバー10の上部に密着しているため、パッキン8の内部空間は、リザーバー10と連続して溶液の保持に利用することができる。
図5は、マイクロチップの一例である。マイクロチップ9はリザーバー10、チャンネル26、濃度勾配領域チャンネル27、試料導入部28、検出部29から構成される。濃度勾配領域チャンネル27の上流側に、変性剤を異なる濃度で含有する2つの緩衝液が充填されたリザーバー10と、これら2つの緩衝液を濃度勾配領域チャンネル27に導入するチャンネル26が配置される。濃度勾配領域チャンネル27の下流側に試料導入部28が配置される。検出部29は濃度勾配領域チャンネル27内の上流側に配置される。試料導入部28から濃度勾配領域チャンネル27に導入された二本鎖核酸は、濃度勾配領域チャンネル27に形成された変性剤濃度勾配領域において分離された後、検出部29において検出される。
図6は、本発明のチップホルダの一例である。下ベース12には、チップ位置調整ばね14が設置されているため、チップホルダ下ベース12にマイクロチップ9を置くだけで、所定の位置に正確にセットすることができる。チップ位置調整ばね14としては、弾性体であれば例えばコイルばね、板ばねなどを用いることができる。チップホルダの上フタ11には、マイクロチップ9のリザーバー10と同じ位置に貫通穴13が設けられている。締め具15を締めることで、上フタ11の貫通穴13にセットされたパッキン8がリザーバー10位置に正確に配置され、且つ密着される。
図7は、本発明で使用されるマイクロチップへの溶液充填装置の一例である。マイクロチップ電気泳動では、マイクロチャンネル内に分離媒体として、例えば高分子量のヒドロキシエチルセルロースや直鎖ポリアクリルアミドのようなポリマーの溶液を充填する必要がある。シリンジ等を用いてマイクロチップのリザーバーに手作業で注入することもできるが、高分子量のポリマー溶液は高粘度のため、手作業での注入は多大な労力を要する。本発明の高電圧導入端子が配置され、且つ溶液を保持するパッキンと、マイクロチップ上でパッキンを保持するチップホルダを用いた自動溶液充填装置では、溶液貯留部16から送液された溶液は、パッキン8に挿入されたノズル17を通じてマイクロチップ9のチャネル内に充填され、余分の溶液が廃液貯留部18に排出される。ノズル17の先端はOリング等のシール部材でパッキン8の内側に密着させることで、高圧で送液することが可能となる。送液には、エア式ディスペンサ19や真空ポンプ20、又はそれらを併用することができる。
図8は、本発明のマイクロタス電気泳動装置における高電圧導入端子と温度調節装置が一体となった構造(以下、分析ユニットという)の一例である。分析ユニットには、温度調整ユニット21が直線上に3ユニット並べて配置されている。温度調整ユニット21と高電圧導入端子22は同一の支持体に固定されて一体化構造となっている。マイクロチップ9は、図6に示すようなチップホルダに保持された状態でマイクロタス電気泳動装置にセットする。マイクロチップ9をセット後、上方に保持されている分析ユニットを下ろす。分析ユニットは、リニアガイド23に沿って垂直に下げられ、ストッパ24の位置で止まると、温度調整ユニット21がマイクロチップ9の被温度調整部に接触し、また複数の高電圧導入端子22が、チップホルダ上フタ11に配置された所定のパッキン8内に装着される。温度調整ユニットでは、ヒートシンク3からの放熱を促進するため、近傍に送風機を設けることが望ましいが、本発明の分析ユニットでは、板ばね4で保持された複数の温度調整ユニットが全て同じ方向に配置されているため、送風機25からの空気の流れを妨げることがない。
図9は、図8の装置で送風機25にダクト34を備え、温度調整ユニットに内蔵した例である。図8の配置だと送風機25からの空気の流れによって、リザーバーの水分が蒸発しやすくなった。このため、送風機25にダクト34を取り付け、温度調整ユニットのペルチェ素子に取り付けた放熱フィンのすぐそばにダクトの吸気口35を配置する。ここで、3つ連なった温度調整ユニットのうち、中央の温度調整ユニットはマイクロチップを加熱するために用いるため、放熱フィンが不要で、その両側の温度調整ユニットは、マイクロチップを冷却するために放熱フィンが必要である。したがって、中央の温度調整ユニットの真上にダクトを設け、左右両側に吸気口を設けることで、両側の放熱フィンに空気の流れを生じさせることができる。こうすることで風量を少なくし、余計な空気の流れがリザーバーの液面に生じるのを防ぐことができる。図9の矢印は空気の流れを示す。この場合、送風機25はダクト内部の空気を、送風機を通じてダクト外部に送るように設置してある。送風機により、ダクト内部の空気が外部に排出され、これに伴って、放熱フィン周辺の空気がダクト底部の吸気口35を通じて、ダクト内部に流入する。この結果、放熱フィンが冷却される。送風機25はダクト外部の空気を、送風機を通じてダクト内部に送るように設置してもよい。
図10にマイクロチップ電気泳動装置の一例を示す。マイクロチップ電気泳動装置は分析ユニット30、光学システム31、遮光カバー33から構成される。光学システム31により二本鎖核酸を検出する。一般的には二本鎖核酸は蛍光検出され、この場合、光学システム31は励起光源、蛍光ミラーユニット、対物レンズ32を備える。対物レンズはマイクロチップ9の検出部29の下方に配置される。
本発明に用いる温度調製ユニットの概念図。 (a)従来の板ばね構成を示す断面概略図、(b)本発明の板ばね構成を示す断面概略図。 本発明に使用される板ばねの概念図。 本発明のパッキン及び保持機構の断面図。 本発明のマイクロチップの一例を示す説明図。 本発明のチップホルダの一例を示す説明図。 本発明のマイクロチップへの溶液充填装置の一例を示す説明図。 本発明の高電圧導入端子と温度調製装置の一体化構造の説明図。 温度制御ユニット内臓した空冷ファンダクトの説明図。 マイクロチップ電気泳動装置の一例を示す説明図。
1:ペルチェ素子、1’:セラミックス板、2:銅板、2’:温度センサー、3:ヒートシンク、4:板ばね、5:熱伝導シート、6:支持レール、7:ねじ、8:パッキン、9:マイクロチップ、10:リザーバー、11:チップホルダ上フタ、12:チップホルダ下ベース、13:貫通穴、14:チップ位置調整ばね、15:締め具、16:溶液貯留部、17:ノズル、18:廃液貯留部、19:エア式ディスペンサ、20:真空ポンプ、21:温度調節ユニット、22:高電圧導入端子、23:リニアガイド、24:ストッパ、25:送風機、26:チャンネル、27:濃度勾配領域チャンネル、28:試料導入部、29:検出部、30:分析ユニット、31:光学システム、32:対物レンズ、33:遮光カバー、34:ダクト、35:吸気口

Claims (1)

  1. 核酸変性剤の濃度勾配が形成される濃度勾配領域チャンネルと、該濃度勾配領域チャンネルの上流側に設けられた前記核酸変性剤を異なる濃度で含有する少なくとも2つの緩衝液の各々を供給するための複数のリザーバー及びチャンネルと、その下流側に設けられた二本鎖核酸を含む核酸試料を導入するための試料導入部とを有するマイクロチップを用いて、前記濃度勾配領域チャンネルで二本鎖核酸を塩基配列の違いに応じて分離し、分離された試料を検出するマイクロチップ電気泳動装置において、前記マイクロチップには、前記リザーバー内の核酸変性剤を異なる濃度で含有する少なくとも2つの緩衝液の各々に電圧を印加する高電圧導入端子が配置され、且つ前記リザーバーの位置に溶液を保持するパッキンが、マイクロチップを保持する上下に貫通する穴を持つ上板と、下板との2枚のプラスチック板で挟み込んで収納されると共に、前記高電圧導入端子と、濃度勾配領域チャンネルと前記試料導入部と前記検出部とを、それぞれ独立した温度に制御する温度制御機構が一体とした構造をもち、前記温度制御機構がプラスチック製の板ばねを用いて前記マイクロチップの被温度調節部に接触され、且つ前記高電圧導入端子が前記パッキン内に配置される機構を備えることを特徴とするマイクロチップ電気泳動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2014148193A1 (ja) * 2013-03-21 2017-02-16 日本電気株式会社 電気泳動装置及び電気泳動方法
JPWO2019106823A1 (ja) * 2017-12-01 2020-10-22 株式会社日立ハイテク 電気泳動装置

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