JP2010275648A - かつら - Google Patents

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Abstract

【課題】 かつら装着者の頭部とかつらベースとの間の温度上昇を抑制する効果が持続して得られると共に、長時間装着しても発汗量と雑菌の繁殖とを抑えて頭皮を清潔に保つことができるかつらを提供することを目的とする。
【解決手段】 ネット部材2、3によって形成されたかつらベース1aに毛髪7を植設してなるかつらあって、ネット部材2、3を構成するフィラメント8の外周表面に熱伝導性を有する熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層11を形成したことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、かつらに関し、さらに詳しくは、かつらベースに熱伝導性を有する熱伝導性化合物をコーティングすることで、かつら装着者の頭部とかつらベースとの間の温度上昇を抑制する効果を持続して得ることを可能とするかつらに関する。
従来、かつらは、例えば薄膜状のシート部材や網状のネット部材を用いたかつらベースに、天然毛髪や人工毛髪などの毛髪を植設することにより作製されている。最近では、装着時の快適性が要望されていることから、透湿性に優れるネット部材で作製されることが多い。しかし、通気性の高いネット部材で作製したかつらであっても、かつらベースに毛髪が植設されると、かつら装着時に頭皮から発する熱を効率よく発散することが出来ずに頭部の蒸れやベトつきが起こり、快適にかつらを装着することができなかった。また、頭部とかつらベースとの間に熱がこもりやすくなることで、雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮を清潔に保つためには、かつらを頭部から取り外して頻繁に洗浄することが必要となる。さらに、かつらを頻繁に洗浄しておかないと頭皮を清潔に保てず、皮膚病の一因となることもある。そのため、例えば、特許文献1に開示されているような熱伝導機能を利用した繊維を用いてかつらベースを作成することが考えられる。また、特許文献2や特許文献3においては金属酸化物や糖アルコールを利用したかつらが提案されている。
特開平6−313267号公報 特許第2977723号明細書 特開2005−290599号公報
しかしながら、特許文献1の熱伝導機能を利用した繊維は、浸漬、又は塗布などの手段により、単層の被膜で繊維に熱伝導性化合物を固着したものであるが、この繊維はかつらとしての使用を想定していないので、かつらとして加工した場合には、かつらに植設した多数の毛髪のために通気性や放熱性が悪くなるおそれがある。また、頭皮から発する汗や皮脂などが溜まって汚れることで繊維の劣化が早まり、熱伝導性化合物が剥離しやすく耐久性が劣ることが懸念される。さらに、熱伝導性化合物の層のみでは長時間に渡り持続的に温度上昇抑制の効果を得ることができないおそれがあるという問題があった。
また、特許文献2の金属酸化物を付加したかつらは、酸化銅や酸化亜鉛などの物質が汗等でわずかながら溶け出して皮膚と接触することにより金属アレルギーを引き起こすというおそれがあった。
さらに、特許文献3の糖アルコールを付加したかつらは、固形化した糖アルコールが湿気などを吸収して溶解する際に熱を奪う吸熱反応によって温度上昇を抑制するので、吸熱反応が起った後は効果が低下して持続しないという問題がある。また、マイクロカプセルなどで糖アルコールを包含する場合においては、再び温度上昇抑制の効果を得るために、一旦、頭部からかつらを取り外してかつらを乾燥させ、マイクロカプセル中の溶解した糖アルコールを固形化する必要があるので、非常に手間がかかり、かつらを長時間装着する場合には温度上昇抑制の効果が著しく低下するという問題がある。さらに、糖アルコールをかつらベースに付着すると、ネット部材の網目が目詰まりし易くなるため透湿性が低下して温度上昇抑制の効果も低下してしまうという問題もあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、かつらベースの表面に熱伝導性を有する熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層を形成することで、かつら装着者の頭部とかつらベースとの間の温度上昇を抑制する効果が持続して得られるかつらを提供することを目的とする。
また、本発明は、かつらを長時間装着しても発汗量と雑菌の繁殖とを抑えて頭皮を清潔に保つことができるかつらを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、ネット部材によって形成されたかつらベースに毛髪を植設してなるかつらあって、ネット部材を構成するフィラメントの外周表面に熱伝導性を有する熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層を形成したことを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のかつらにおいて、熱伝導層は、かつらベースを形成するネット部材の毛髪植設面側よりも頭部当接面側の厚さが厚くなるように形成されていることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のかつらにおいて、熱伝導性化合物は、シリル化処理無水ケイ酸、2−エチルヘキサン酸セチル、エチレンオキサイド、及びアルコール類を含んでいることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のかつらにおいて、熱伝導層の内側に、さらに抗菌剤とバインダー樹脂を混合して形成される抗菌剤層を備えていることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載のかつらにおいて、抗菌剤は、脱アセチル化キチン、ペリルアルデヒド、シオネール、ベルベリン、又はアロエチンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする。
本発明に係るかつらによれば、かつらベースの表面に形成した熱伝導性化合物を有する熱伝導層が頭部で発生した熱を捕捉して放熱するいわゆる吸熱と放熱を行うことによりかつら装着者の頭部とかつらベースとの間の温度上昇を持続して抑制することができるという効果がある。
また、本発明に係るかつらによれば、かつらベース表面側と裏面側とで熱伝導層の厚さを変えることで、かつら装着者の頭部とかつらベースとの間の温度上昇を抑制する効果がより顕著となり、且つその効果がさらに持続して得られるので、かつらを長時間装着しても、頭部とかつらベースとの間に熱がこもらずに快適にかつらを装着できるという効果がある。
さらに、本発明に係るかつらによれば、抗菌剤層を設けることによって発汗量と雑菌の繁殖とを抑え、頭皮を清潔に保つことができるという効果がある。
本発明に係るかつらの一実施形態を示す平面図である。 図1に示すかつらの横断面図である。 フィラメントの外周面に形成された熱伝導層と抗菌剤層を示す断面図である。
以下、本発明に係るかつらの好ましい一実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係るかつらの一実施形態を示す平面図、図2は図1に示すかつらの横断面図である。
図示されたかつら1は、概略として、かつら装着者の頭部形状に即して加工された本体用ネット部材2と、かつら装着者の頭部に止着するための止着手段を設けるために本体用ネット部材2の周縁部に縫着された止着台座用ネット部材3によって形成されたかつらベース1aを備えて構成されている。本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3の素材は特に限定されるものではないが、形状安定性に優れるポリエステルで形成することが好ましい。
図2に示すように、かつらベース1aは、頭部形状を模した略お椀のような形をしており、凹状面側がかつら装着時に頭部と接する面(以下、「頭部当接面側5」と称す)となり、凸状面側が毛髪の植設される面(以下、「毛髪植設面側6」と称す)となる。かつら1は、かつらベース1aに天然毛髪もしくは人工毛髪を公知の方法で植設することにより構成されている。尚、本体用ネット部材2はかつらベース1a全体を構成し、止着台座用ネット部材3はかつらベース1aの全周縁部を所定幅で構成し、また、毛髪7はかつらベース1a全体に植設されているが、図1及び図2では便宜上一部のネット部材及び毛髪7のみを図示している。
本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3は、モノフィラメントをほぼ平面に編成したものや複数本のモノフィラメントを撚り合わせて1本のフィラメントとしたものをほぼ平面に編成してなるものであるが、かつらベース1aはこれらのフィラメント8の外周表面に熱伝導性を有する熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層11が形成されている。そして、本実施形態においては、図3に示すように、熱伝導層11の内側に、さらに、抗菌剤とバインダー樹脂を混合した抗菌剤層10が形成されている。尚、図3では便宜上一本のモノフィラメント8のみを図示しているが、フィラメント8は複数本のモノフィラメントを撚り合わせて1本のフィラメントとしたものである場合もある。
ここで、本願発明に係るかつらが継続して装着しても頭部との間に熱がこもらない原理について説明する。上述したような構成を備えたかつらベース1aによって形成されるかつら1を装着した場合、装着者の頭部で発生した熱をかつらベース1aに形成した熱伝導層11の熱伝導性化合物が奪い(吸熱作用)、その奪った熱は熱伝導性化合物を固着させたバインダー樹脂、さらには抗菌剤と抗菌剤を固着させたバインダー樹脂によって形成される抗菌剤層を伝わってかつらベース1aの外に発散させられる(放熱作用)。このような作用がかつらを被着している間中間断なく行われるので、かつらベース1aと頭部との間に熱がこもることがないのである。
本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8に熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層11を直接設けた構造の場合、頭部で発生した熱の移動(吸熱及び放熱)はスムーズに行うことができる。つまり、吸熱及び放熱機能を効果的に得るためには、熱伝導層11が頭部や外気などに接するようにしてかつらベース1aの表面上に形成されることが必要である。しかし、かつら1のように長時間頭部に接触した状態が続く場合には頭皮の汗や皮脂などが溜まって汚れや雑菌が繁殖することが懸念される。そのため、本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8の外周表面上に抗菌剤とバインダー樹脂との混合物によって形成される抗菌剤層10を設け、その上に熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物によって形成される熱伝導層11を積層した構造とすることが好ましい。かつらのように長時間頭部に接触した状態が続く場合には、捕捉した熱を効率良く放熱することが出来なくなって、かつらに熱が蓄積してかつらと頭部との隙間の温度が上昇して蒸れやベタつきが起こり易いが、本発明に係るかつら1のように本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8と、熱伝導性化合物とバインダー樹脂とによって形成される熱伝導層11の間に、抗菌剤とバインダー樹脂によって形成される抗菌剤層10を介在させると、抗菌剤層10が熱を伝える媒介のような役割も果たすので、熱伝導層11によって捕捉した熱がスムーズに抗菌剤層10に移動し、吸熱作用と放熱作用のバランスが崩れることなく長時間頭部に接触した状態が続いても頭部の蒸れやベタつきが起き難い。また、抗菌剤層10には当然ながら抗菌剤が配合されているので雑菌の繁殖が抑えられてかつらをより清潔な状態に保つことができるという効果ももちろん得ることができる。
ここで、熱伝導性化合物としては、例えば、シリル化処理無水ケイ酸、2−エチルヘキサン酸セチル、エチレンオキサイド、及びアルコール類の混合物がある。具体的には、大きさ約5〜10nmで多孔質のシリル化処理無水ケイ酸に2−エチルヘキサン酸セチル、エチレンオキサイド、及びアルコール類が吸着した状態のものであり、マイクロカプセルで包含された従来タイプのように、マイクロカプセルが割れてしまった後に効果が失われるということもなく、吸熱及び放熱機能を持続して得ることができる。
また、熱伝導性化合物単独では本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8への固着力が弱いので、フィラメント8に熱伝導性化合物を固着させるためのバインダーとなる樹脂が必要となる。バインダーとなる樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂やメラミン系樹脂などが良い。洗濯耐久性、接着性、さらには耐加水分解性などを考慮すると、ウレタン系樹脂が好ましい。本発明に係るかつらにおいて使用されるウレタン系樹脂は、ジイソシアネートとポリカーボネートジオールとを重合させたカーボネート系ウレタン樹脂が用いられるが、さらに固着力を高めるために、上記ウレタン樹脂にカルボジイミド系などの架橋剤を添加してもよい。
一方、抗菌剤層10に用いられる抗菌剤としては、頭皮にアレルギー反応などの悪影響を及ぼすことのない天然由来の物質が適しており、脱アセチル化キチン、ペリルアルデヒド、シオネール、ベルベリン、さらにはアロエチンなどの有機天然系の抗菌剤から選択されることが好ましい。尚、抗菌剤層10を形成する物質としては、柔軟性、または保湿性などを有する物質を用いることもできるが、本発明の目的である、雑菌などの繁殖を抑えて頭皮を清潔に保つことで、快適にかつらを装着することを達成するためには、抗菌性のある物質を用いることが好ましい。この抗菌剤を本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8に固着するには、熱伝導性化合物の固着と同様に、バインダーとなる樹脂、例えば、ポリグリセロールポリグルシジルエーテルを、乳酸を分散剤として混合してフィラメント8に固着させる。
本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8の外周表面上に形成される抗菌剤層10の厚さは、約0.1μm〜1.0μmの範囲が好ましく、抗菌剤層10が0.1μm未満の場合には、抗菌剤層10に配合される抗菌剤の量が少なくなることから、雑菌の繁殖を抑えることが難しくなり、かつら1を清潔な状態に保つ効果が得られなくなるおそれがある。また、抗菌剤10が1.0μmを超えると、かつらベース1aの風合いが硬くなってしまい、かつら装着時のフィット感が低下するおそれがある。
一方、熱伝導層11の厚さは、かつら装着者の状況などによって変更することができるが、頭部当接面側5と毛髪植設面側6とで異なるように形成することが好ましい。具体的には、頭部当接面側5の厚さは2.0〜6.0μmの範囲、毛髪植設面側6の被膜層の厚さは1.5〜4.5μmの範囲とし、且つ、頭部当接面側5と毛髪植設面側6との被膜層の厚さの比率が1:0.7〜0.8の範囲となるようにするとよい。熱伝導層11の頭部当接面側5の被膜層の厚さを毛髪植設面側6の厚さよりも厚く構成することによって、頭部で発生した熱をより多く補足し、且つ捕捉した熱を効率良く移動させることが出来るので、吸熱作用と放熱作用とのバランスが崩れず、頭部の蒸れやベタつきが起こり難くなるからである。
熱伝導層11の頭部当接面側5及び毛髪植設面側6の被膜層の厚さが上記厚さの範囲に満たない場合には、頭部で発生した熱を捕捉し、且つ、捕捉した熱を効率良く移動させる機能が低下してしまうおそれがある。一方、熱伝導層11の頭部当接面側5及び毛髪植設面側6の被膜層の厚さが上記厚さの範囲を超える場合には、かつらベース1aの風合いが硬くなってしまい、かつら装着時のフィット感が低下するおそれがある。
〔かつらの製造〕
次に、上記した本発明に係るかつらの一実施形態の製造方法について説明する。
はじめに、第一工程として、熱伝導性化合物とバインダー樹脂とを混合して熱伝導層11を形成するための熱伝導性溶液を作製する。熱伝導性化合物は、シリル化処理無水ケイ酸、2−エチルヘキサン酸セチル、エチレンオキサイド、及びアルコール類が混合物された株式会社祥光化学研究所製のマーブルクールSC50を使用し、バインダー樹脂は、カーボネート系ウレタン樹脂として大日精化工業株式会社製のレザミンD−6300を使用し、カルボジイミド系架橋剤としてはレザミンD−52を使用する。具体的には、40℃の温水77.9重量%に、マーブルクールSC50を8.0重量%、及びレザミンD−6300を13.3重量%混合させた後に、レザミンD−52を0.8重量%加えて熱伝導性溶液を作製する。
第二工程として、かつらベース用1aの本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8に抗菌剤とバインダー樹脂との抗菌剤層10を形成する。本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3には、ポリエステル製の太さ40〜60μmのモノフィラメントを30μm〜250μmの間隔をあけて平面的にループ状に編成したものが使用される。まず、水98.99重量%に、脱アセチル化キチン0.5重量%と、乳酸0.5重量%と、ポリグリセロールポリグルシジルエーテル0.01重量%とを混合させて抗菌剤溶液を作製する。次に、上記抗菌剤溶液中に本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3を構成するフィラメント8を浸漬させてから、マングルにより余分な抗菌剤溶液を絞りとり、150℃で1分30秒間乾燥させる。
第三工程として、上述の抗菌剤とバインダー樹脂との抗菌剤層10を形成した本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3に、熱伝導性溶液を塗布して熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層11を形成する。まず、かつら装着者の頭部形状を模して作製した雄型の石膏を2個用意し、それぞれ本体用ネット部材2と止着台座用ネット部材3とを張り付け固定する。次に、上述の第一工程で作製した熱伝導性溶液を本体用ネット部材2と止着台座用ネット部材3とを張り付けた上記石膏型の上からそれぞれ満遍なく塗布し、100℃で2時間乾燥させてから、150℃で10分間の熱処理を行ない、本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3に熱伝導層11を形成させた後、石膏から取り外す。尚、熱伝導層11を頭部当接面側5の被膜層の厚さを毛髪植設面側6の厚さよりも厚く形成するにはフィラメント8に塗布した熱伝導性溶液がフィラメント8の下側に雫のように溜まることを利用する。そして、1回当たりの塗布量や塗布回数などを適宜調整することで所望の厚みの熱伝導層11を形成することができる。
第四工程として、本体用ネット部材2と止着台座用ネット部材3とを一体化させてかつらベース1aを作製する。まず、石膏に本体用ネット部材2を張り付けてから、止着台座用ネット部材3を重ね合わせる。次に、かつらベース1aの外周縁部から1mm内側と、外周縁部から20mm内側の位置とを全周にわたり縫着してから不要ネットを切除する。
第五工程として、かつらベース1aに毛髪7を植設する。毛髪7の植設は、まず、頭部形状の雄型にかつらベース1aを合わせて固定する。次に、本体用ネット部材2及び止着台座用ネット部材3の毛髪植設面側6から鉤針を挿入してフィラメント8を掬い上げた後、鉤針の鉤部に毛髪7を引っ掛けて結ぶ。植設する毛髪7は、天然毛髪もしくは人工毛髪であり、毛髪7の中央部を二つ折りにした折れ部をネット部材に結びつけることで植設される。
(評価方法)
〔温度測定〕
安立計器株式会社製の温度測定用センサを使用し、25℃、65%RHに設定した試験室中で、前額部にセンサの先端を貼着してから、センサを被覆するように3.0cm×3.0cmに切断採取した試験片を貼着した。次に、25℃〜27℃の範囲で室温を変化させながら、各試験片の温度変化を測定した。上記の測定を5回繰り返し、平均値を算出した。また、各試験片の洗濯を50回繰り返した後、同様に温度変化を測定した。
〔透湿度測定〕
試験室の温湿度を25℃、90%RHに設定し、試験片を48時間放置した後、JIS K7129に準拠したカップ法に則って測定した。
〔洗濯試験〕
30℃の温水2リットルにシャンプー3gを溶解させてから試験片を浸し、試験片の表面側及び裏面側を均等に30秒間押し洗いした後、排水した。次に、あらためて30℃の温水2リットルで、30秒間試験片をすすぎ、タオルで試験片を挟み込むようにして水分を除去した後、乾燥機で60℃、10分間の乾燥を行なった。
上述したかつらの製作工程に基づいて、以下に示す条件で、図1に示すようなかつら1を作製した。
かつらの大きさ:
前額部から後頭部方向 :18cm
右側頭部から左側頭部方向 :16cm
面積 :288cm
頭部当接面側の厚さ :3.36μm
毛髪植設面側の厚さ :2.55μm
〔比較例1〕
比較例1のかつらは、フィラメント8には何も物質が付着していない以外は、実施例と同様にした。
〔比較例2〕
比較例2のかつらは、抗菌剤とバインダー樹脂との抗菌剤層が単層で形成されているフィラメント8を使用した以外は、実施例と同様にした。
〔比較例3〕
比較例3のかつらは、マーブルクールSC50用のバインダー樹脂層のみが単層で形成されているフィラメント8を使用した以外は、実施例と同様にした。
〔比較例4〕
比較例4のかつらは、バインダー樹脂を混合させずに、マーブルクールSC50のみが単層で形成されているフィラメント8を使用した以外は、実施例と同様にした。
〔結果〕
表1に示すように、実施例のかつらは、当初室温25.0℃において33.2℃であり、何も付加していない比較例1よりもやや高い温度を示したが、実施例のかつらは、時間の経過と共に変化する室温中で60分間の継続した装着において32.8℃と一番低い温度を示した。これに対して、比較例1のかつらは当初においては32.9℃と低い温度であったが60分経過後では33.8℃であった。これにより、実施例のかつらは、かつら装着者の頭部とかつらベース間の温度上昇を持続して抑制することで、頭部とかつらベースとの間に熱がこもらずに発汗量を抑えることができ、頭皮を清潔に保ち、快適にかつらを装着ができることが確認された。また、表2に示すように、洗濯を繰り返し行なってもその効果は変わらず、快適にかつらを装着することができた。
Figure 2010275648
Figure 2010275648
これに対し、比較例1のかつらは、物質が何も付着していないフィラメント8を使用してかつらを作製しているので、表1に示すように、実施例のかつらよりも貼着直後の温度は低く、また表3に示すように透湿性も優れている。しかし、表1及び表2に示すように、時間の経過と共に測定室内の温度変化に応じて温度上昇を抑制することができなくなり、次第に頭部とかつらベースとの間に熱がこもってしまい、発汗量が多くなり、頭皮を清潔に保ち、快適にかつらを装着することができなかった。
Figure 2010275648
また、比較例2のかつらは、抗菌剤層のみが単層で形成されているフィラメント8を使用してかつらを作製しているので、雑菌などの繁殖を抑制することはできるが、熱伝導層11がなく、頭部で発生した熱を捕捉できないので、頭部とかつらベース1aとの間の温度上昇を抑制することができずに、発汗量が多くなり、快適にかつらを装着することができなかった。
また、比較例3は、熱伝導層11を形成するためのバインダー樹脂のみが単層で形成されているフィラメント8を使用してかつらを作製しているので、抗菌剤とそのバインダー樹脂及び熱伝導化合物が付着していない。そのため、放熱はするが、頭部で発生した熱を捕捉できない(吸熱ができない)ので頭部とかつらベース間の温度上昇を抑制することができずに、熱がこもり発汗量が多くなった。加えて、雑菌などの繁殖を抑制することができないので、頭皮を清潔に保ち、快適にかつらを装着することができなかった。
また、比較例4は、熱伝導性化合物のみが単層で形成されているフィラメント8を使用してかつらを作製しているが、表1及び表2に示すように、比較例1とほぼ同様の結果となったことから、熱伝導性化合物単独ではフィラメント8への固着力が弱く、熱伝導性化合物がフィラメント8から剥離したと考えられる、そのため、時間の経過と共に測定室内の温度変化に応じた温度上昇を抑制することができずに、頭部とかつらベースとの間に熱がこもってしまい、発汗量が多くなり、快適にかつらを装着することができなかった。
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
1 かつら
1a かつらベース
2 本体用ネット部材
3 止着台座用ネット部材
5 頭部当接面側
6 毛髪植設面側
7 毛髪
8 フィラメント
10 抗菌剤層
11 熱伝導層

Claims (5)

  1. ネット部材によって形成されたかつらベースに毛髪を植設してなるかつらあって、
    前記ネット部材を構成するフィラメントの外周表面に熱伝導性を有する熱伝導性化合物とバインダー樹脂との混合物を被覆した熱伝導層を形成したことを特徴とするかつら。
  2. 請求項1に記載のかつらにおいて、
    前記熱伝導層は、前記かつらベースを形成する前記ネット部材の毛髪植設面側よりも頭部当接面側の厚さが厚くなるように形成されていることを特徴とするかつら。
  3. 請求項1又は2に記載のかつらにおいて、
    前記熱伝導性化合物は、シリル化処理無水ケイ酸、2−エチルヘキサン酸セチル、エチレンオキサイド、及びアルコール類を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のかつら。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のかつらにおいて、
    前記熱伝導層の内側に、さらに抗菌剤とバインダー樹脂を混合して形成される抗菌剤層を備えていることを特徴とするかつら。
  5. 請求項4に記載のかつらにおいて、
    前記抗菌剤は、脱アセチル化キチン、ペリルアルデヒド、シオネール、ベルベリン、又はアロエチンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とするかつら。
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