JP2010275490A - 高分子系廃棄物の熱分解装置及びこの装置を用いた熱分解方法、炭化物の回収方法、並びに炭化物、該炭化物を含むゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤ - Google Patents

高分子系廃棄物の熱分解装置及びこの装置を用いた熱分解方法、炭化物の回収方法、並びに炭化物、該炭化物を含むゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化を抑えることが可能な高分子系廃棄物の熱分解装置を提供する。
【解決手段】無酸素ガスを加熱するための熱交換器1と、内部に高分子系廃棄物2を収容する熱分解炉3及び該熱分解炉3を外部から加熱する外部加熱手段4を有し、熱分解ガスを発生させるための分解装置5と、前記分解装置5で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置9と、前記油分回収装置9で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器1に供給するための循環路6と、前記熱分解炉3中に導入する不活性ガスを生成するためのガス発生器7と、前記熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器8とを備えることを特徴とする高分子系廃棄物の熱分解装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子系廃棄物の熱分解装置及び該熱分解装置を用いた高分子系廃棄物の熱分解方法、該高分子系廃棄物からの炭化物の回収方法、該熱分解方法又は回収方法より得られた炭化物、該炭化物を配合してなるゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特には、高分子系廃棄物の熱分解後に残る炭化物の酸化を抑えることが可能な高分子系廃棄物の熱分解装置に関するものであって、該熱分解装置より回収された炭化物は、ゴム補強用充填剤として再利用することが可能な品質を保持していることを特徴とするものである。
従来、機能性の材料を開発する目的で、ゴム材料や樹脂材料等、様々な高分子系材料の工業化がなされているが、一方で、高分子工業の発展は、汎用材料の大量生産、大量消費をもたらし、高分子系廃棄物の処理は解決すべき課題となっている。そして、この課題を解決するためには、高分子系材料の再利用化、リサイクル化等が重要となる。例えば、ゴム材料であるタイヤは、汎用材料として大量生産、大量消費がなされ、使用済みタイヤの数も多いことから、使用済みタイヤのリサイクル化の研究が進められている。
特開2004−277687号公報(特許文献1)では、廃タイヤを乾留処理して得た炭化物を微粉砕して、これを密閉容器中で500℃以上に加熱し結晶化させ、タイヤへの添加剤としてリサイクルできることが報告されている。しかしながら、高温処理により炭化物が黒鉛化することはよく知られており、また、特開2004−277687号公報に記載の電子顕微鏡像は、カーボンブラックではなく黒鉛化した微粉末のものであると判断できる。従って、特開2004−277687号公報に記載の炭化物が、ゴム用配合剤として適していないことは明らかである。
特開2006−349224号公報(特許文献2)では、廃タイヤをマイクロ波照射により予備加熱し、これをキルン型加熱炉内で熱分解し、得られる炭化物を活性炭として利用できることが報告されている。しかしながら、該炭化物がゴム用配合剤として利用できるとの記載はなく、更に特開2006−349224号公報に記載の加熱炉の構造から、空気が比較的容易に加熱炉内に流入し、得られる炭化物の酸化が進み多孔質となるため、活性炭として利用できるものと思われる。従って、特開2006−349224号公報に記載の炭化物は、ゴム用配合剤として適していないことは明らかである。
特開2007−70167号公報(特許文献3)では、回転式の乾留炉内で廃タイヤを500〜560℃にて2〜3時間加熱することで、ガラス状炭素が得られることが報告されているが、該ガラス状炭素はゴム成分に対する相互作用が殆ど無いので、ゴム用配合剤として適さない。
国際公開第2007/121166号(特許文献4)では、使用済みタイヤからカーボンブラックをリサイクルする目的で、タイヤを350°F(177℃)〜850°F(566℃)で熱分解し、次いで得られた炭化物をスクリューにて空気が導入された管中を通して上昇させるときに900°F(482℃)〜1200°F(648℃)で加熱し揮発分の除去を行う方法と、その装置とが報告されている。しかしながら、管中に空気が導入され且つ加熱温度が高いため、表面が酸化されたカーボンブラックを回収する可能性があり、ゴム用配合剤として適さないと思われる。
以上のように、表面が酸化されたカーボンブラックをゴム組成物に配合した場合、ゴム組成物の引張応力や強度が顕著に低下するため、該カーボンブラックがゴム用配合剤として不適であることが広く知られている。また、カーボンブラックが高温で且つ長時間の熱履歴を受けると黒鉛化が進行し、これをゴム組成物に配合すると、同様に引張応力や強度を顕著に低下させることも広く知られている。
一方、米国特許第5037628号(特許文献5)では、スクラップゴムを熱分解した炭素化物を温和な粉砕条件で粉砕し、風力分級機を用いてカーボンブラックを含む凝集粒子(agglomerated particle)を分離する方法が報告されている。ここで、分離されたカーボンブラックのゴム材料への適合性は、熱分解条件に大きく影響を受けることになるのだが、米国特許第5037628号においては、熱分解に関する記載がなく、ゴム用配合剤として適当であるか否かの判断をすることができない。
最近では、高分子系廃棄物から有用物質として利用可能な成分を回収する油化設備として、無酸素ガスを加熱するための熱交換器、内部に高分子系廃棄物を収容する熱分解炉と該熱分解炉を外部から加熱する外部加熱手段とを有する熱分解装置、該熱分解装置で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置、及び該油分回収装置で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして上記熱交換器に循環させるための循環路を備えた循環型の油化設備が報告されている(特開2008−285523号公報(特許文献6)参照)。しかしながら、熱分解後の残渣を好適なゴム用配合剤として回収する観点から、熱分解条件を最適化する試みはなされていない。
特開2004−277687号公報 特開2006−349224号公報 特開2007−70167号公報 国際公開第2007/121166号 米国特許第5037628号明細書 特開2008−285523号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高分子系廃棄物の熱分解後に残る炭化物残渣の酸化を抑えることが可能な高分子系廃棄物の熱分解装置及び該熱分解装置を用いた高分子系廃棄物の熱分解方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物の回収方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記熱分解方法又は回収方法により得られた炭化物、該炭化物を配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、熱分解炉を備えた高分子系廃棄物の熱分解装置内に、熱分解炉中に導入する不活性ガスを生成するためのガス発生器と、熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器とを設置し、この検出器により熱分解中及び/又は熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物残渣の酸化を制御、抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の高分子系廃棄物の熱分解装置は、
無酸素ガスを加熱するための熱交換器と、
内部に高分子系廃棄物を収容する熱分解炉及び該熱分解炉を外部から加熱する外部加熱手段を有し、該高分子系廃棄物を前記熱交換器で加熱した無酸素ガスと直接接触させることにより熱分解させて熱分解ガスを発生させるための分解装置と、
前記分解装置で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置と、
前記油分回収装置で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器に供給するための循環路と、
前記熱分解炉中に導入する不活性ガスを生成するためのガス発生器と、
熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器と
を備えることを特徴とする。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解装置の好適例においては、更に、前記酸素濃度検出器によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、前記ガス発生器から該熱分解装置系内への不活性ガス導入流量を制御する装置を備える。
本発明における「炭化物」とは、有機物を含む物質を原料とし、この原料を加熱による熱分解反応によって原料中のガス体及び液体成分を放出した後に、生成されて残った固体を指し、灰分として無機物を含むこともある。
また、本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法は、上記の高分子系廃棄物の熱分解装置を用いた高分子系廃棄物の熱分解方法であって、
熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に前記熱交換器で加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を加熱した無酸素ガスと直接接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と、
酸素濃度検出器によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、ガス発生器から該熱分解装置系内に不活性ガスを導入し、該熱分解装置系内の酸素濃度を制御する工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法は、前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御するのが好ましい。この場合、炭化物の品質を劣化させることなく、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持することが可能な炭化物をより確実に得ることができる。
本発明の高分子系廃棄物の熱分解方法は、前記高分子系廃棄物の熱分解装置系内の酸素濃度を1.0容量%以下に制御することが好ましい。この場合、炭化物の品質を劣化させることなく、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持することが可能な炭化物をより確実に得ることができる。
更に、本発明の炭化物の回収方法は、上記の高分子系廃棄物の熱分解装置を用いた炭化物の回収方法であって、
熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に前記熱交換器で加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を加熱した無酸素ガスと直接接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と、
前記熱分解ガスを冷却し、凝縮した油分を回収する工程と、
前記油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器に循環させる工程と、
酸素濃度検出器によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、ガス発生器から該熱分解炉内に無酸素ガスを導入し、該熱分解装置系内の酸素濃度を制御する工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の炭化物の回収方法は、前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御するのが好ましい。この場合、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物をより確実に得ることができる。
本発明の炭化物の回収方法は、前記高分子系廃棄物の熱分解装置系内の酸素濃度を1.0容量%以下に制御することが好ましい。この場合、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物をより確実に得ることができる。
更に、本発明の炭化物は、上記の熱分解方法又は回収方法によって得た炭化物であることを特徴とし、その全酸性度が0.1meq/g以下であることが好ましく、本発明のゴム組成物は、該炭化物を配合してなることを特徴とし、本発明のタイヤは、該ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、熱分解炉を備えた高分子系廃棄物の熱分解装置内に、熱分解炉中に導入する不活性ガスを生成するためのガス発生器と、熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器とを設置し、この検出器で検出された信号によりガス発生器が稼動し、例えば、ガス発生器と分解装置との間に設置された不活性ガス導入流量制御装置の開度の制御によって熱分解装置系内の酸素濃度をコントロールして高分子系廃棄物の熱分解中及び/又は熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化を抑えることができる。また、高分子系廃棄物の熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化が抑えられることで、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物を回収することができる。更に、上記熱分解方法又は回収方法により得た炭化物、該炭化物を配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
本発明の実施に好適な高分子系廃棄物の熱分解装置を示す一例の概略図である。 ゴム組成物のゴム特性と全酸性度との関係を示す図である。 熱分解装置系内の酸素濃度と全酸性度との関係を示す図である。
以下に、図を参照しながら、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の実施に好適な高分子系廃棄物の熱分解装置の概略図である。図1に示す熱分解装置は、無酸素ガスを加熱するための熱交換器1と、内部に高分子系廃棄物2を収容する熱分解炉3及び該熱分解炉3を外部から加熱する外部加熱手段4を有し、該高分子系廃棄物2を前記熱交換器1で加熱した無酸素ガスと直接接触させることにより熱分解させて熱分解ガスを発生させるための分解装置5と、前記分解装置5で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置9と、前記油分回収装置9で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器1に供給するための循環路6と、前記熱分解炉3中に導入する無酸素ガスを生成するためのガス発生器7と、熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器8とを備える。
本発明の油化設備においては、熱交換器1で加熱した無酸素ガスを熱分解炉3に供給することで、熱分解炉3内の高分子系廃棄物2を熱分解させることになる。ここで、無酸素ガスは、無酸素ガスは、酸素及び酸化物以外のガス体であり、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、水素、メタン、プロパン等の可燃性ガス等が挙げられ、該無酸素ガスを使用することで、高分子系廃棄物2の熱分解後の熱分解炉3内に残る炭化物残渣の酸化を防止することができる。なお、本発明の油化設備において、熱交換器1は、特に限定されるものではないが、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、渦巻き式熱交換器等の液−液式熱交換器や、空冷式熱交換器等を使用することができる。また、熱交換器1に無酸素ガスを供給するには、例えば、後述する循環路6を介して、油分回収装置9で油分を回収した後の残ガスを無酸素ガスとして熱交換器1に循環させる。
本発明の熱分解装置において、分解装置5は、内部に高分子系廃棄物2を収容する熱分解炉3及び該熱分解炉3を外部から加熱する外部加熱手段4を備える。ここで、高分子系廃棄物2を収容する熱分解炉3内に熱交換器1で加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物2を該無酸素ガスと直接接触させ、熱分解ガスを発生させる。高分子系廃棄物2を無酸素ガスと直接に接触させることで、無酸素状態での熱分解が可能となる。熱分解炉2は、特に限定されるものではないが、通常の釜式熱分解炉、流動床式熱分解炉、キルン式熱分解炉等が使用される。また、高分子系廃棄物2は、主として有機系廃棄物を指し、具体的には、タイヤ廃棄物(例えば、スピュー、バフ粉、4〜32分割されたタイヤ、ピーリングゴム)、ゴムホース、チューブ、コンベアベルト等のゴム材料廃棄物や、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン等の樹脂材料廃棄物等が挙げられる。更に、分解装置5は、外部加熱手段4を備えることで、熱分解炉3内の高分子系廃棄物2を熱分解炉3の外側から間接的に加熱することができるため、無酸素ガスのガス流量を低減することが可能となる。これによって、熱分解炉3内から舞い上げられガス中に混入して該ガスと共に装置内を循環する固形ダスト分(高分子系廃棄物の微細浮遊物)の発生を抑え、窒素酸化物等の発生をも抑制することができる。外部加熱手段4は、特に限定されるものではないが、例えば、熱分解炉3を囲んで配設される外熱炉等が好ましい。また、外部加熱手段4に使用される熱媒体は、高分子系廃棄物2を熱分解炉3の外側から間接的に加熱するため、無酸素ガスに限定されず、種々の物質を利用することができる。
本発明の熱分解装置は、分解装置5で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するため、一つ又はそれ以上の油分回収装置9を備えるのが好ましい。図1に示すように、複数の油分回収装置9を利用すれば、分解装置5内で発生した熱分解ガスを、その沸点に応じて回収される油分に分けることができる。
詳細には、ガス流路の上流側にある第一の油分回収装置9aと、その下流側にある第二の油分回収装置9bは、同様な構成をとるが、第二の油分回収装置9bは、第一の油分回収装置9aが対象とする油分の沸点と比べて低い領域の沸点を有する油分を回収する。このように、複数の油分回収装置9を設置することで、組成が一定で品質の安定した油分を高い回収率で回収することができる。また、各油分回収装置9は、例えば、その下部で配管を通して回収タンク10に接続され、回収した油分を貯蔵することができる。更に、油分回収装置の下流側に凝縮装置等を設け、該凝縮装置内で凝縮される油分を回収することもできる。
本発明の熱分解装置において、循環路6は、油分回収装置9で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器1に供給するため、例えば、油分回収装置9と熱交換器1とを配管で接続してなる。循環路6を通して熱交換器1に供給される残ガスは、熱交換器1へ直接供給することもできるが、熱風炉(図示せず)で加熱してから熱交換器1に供給してもよい。なお、図1では、第二の油分回収装置9bのみに循環路6が接続されているが、本発明においては、これに限定されず、第一の油分回収装置9aに循環路6を接続してもよい。また、本発明の熱分解装置において、余剰のガスは、排風機11を介して排ガス処理装置12で処理された後、大気中に放出することができる。
本発明の熱分解装置は、装置系内の酸素濃度を一定値以下に制御するため、熱分解炉3中に導入する不活性ガスを生成するためのガス発生器7と、熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器8とを備える。ここで、ガス発生器7と酸素濃度検出器8とを併用することで、熱分解装置系内の酸素濃度を監視し、その検出結果に応じて熱分解炉3中に不活性ガスを導入することが可能となり、熱分解後の熱分解炉3内に残る炭化物の酸化を抑制し、ゴム用配合物として好適な炭化物を回収することができる。
ここで、熱分解装置系内の酸素濃度と全酸性度との関係を説明する。回収炭化物の酸化の度合いを評価する指標として「全酸性度」があり、この値が大きいと、該炭化物の表面が酸化されていることを意味し、該炭化物はゴム用配合剤として適さないことを意味する。本発明者らが検討したところ、回収炭化物の全酸性度が0.1meq/g以下であれば、その回収炭化物を純カーボンブラック(100%カーボンブラック)に混合した場合、ゴム組成物の物性低下を5%以内に抑えることができ、回収した炭化物をゴム補強用充填剤として再利用することが可能であることが分かった。そして、図2に示す通り、全酸性度を0.1meq/g以下に抑えるためには、熱分解装置系内の酸素濃度を1.0容量%以下に制御することが好ましい。そこで、本発明の熱分解装置は、更に、酸素濃度検出器8によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、前記ガス発生器から該熱分解装置系内への不活性ガス導入流量を制御する装置を備えるのが好ましい。これにより、酸素濃度検出器8によって検出された熱分解装置系内の酸素濃度の検出結果に基づき、不活性ガスの流量制御手段13に信号が伝達され、この信号によりガス発生器7が稼動して不活性ガスを発生させ、この不活性ガスは上記信号により開度が変更される流量制御手段13を経て熱分解装置系内に導入される。
上記酸素濃度検出器8があらかじめ設定された基準値を超えた酸素濃度を検出した場合には、この検出結果に連動して不活性ガスを供給するためのガス発生器7が作動し、同時に流量制御手段13の開度を調節させて不活性ガスが循環路6内に導入される。この不活性ガスの導入により、酸素濃度検出器8で検出される酸素濃度は低下され、熱分解装置系内の酸素濃度は基準値以下に制御することができる。具体的には、酸素濃度検出器8によって検出される熱分解装置系内の酸素濃度が1.0容量%を超えたところでガス発生器9が作動し、同時に流量制御手段13を介して循環路6内に不活性ガスが供給され、熱分解装置系内の酸素濃度は低下される。次いで、循環路6内の酸素濃度が0.2容量%まで低下したところで各装置(ガス発生器7及び流量制御手段13)に対して停止信号が出され、不活性ガスの供給は停止される。これにより、熱分解装置系内の酸素濃度を基準値以下に制御することができる。なお、熱分解炉3内に不活性ガスを供給する場合、酸素濃度を0容量%まで低減させることが理想的であるが、不活性ガスを供給するコストの面から、熱分解装置系内の酸素濃度が0.2容量%まで低下したところで、熱分解炉3への不活性ガスの供給を停止するのが好ましい。なお、酸素濃度検出器8としては、例えば、固体電解質ジルコニアベースの酸素濃度セルを用いたジルコニア式酸素センサー等が用いられる。また、ガス発生器7としては、例えば、P.S.A(PressureSwing Adsorption)方式を用いた窒素ガス発生器等が用いられる。
なお、図2は、ゴム組成物のゴム特性と全酸性度との関係を示す図であり、図3は、熱分解装置系内の酸素濃度と全酸性度との関係を示す図である。図2の縦軸は、GPF級カーボンブラックのみが配合されたゴム組成物の300%伸び時における引張応力を100として指数表示した場合において本発明の熱分解装置により得た回収炭化物20質量%とGPF級カーボンブラック80質量%との混合物が配合されたゴム組成物の300%伸び時における引張応力の指数値を示し、図2の横軸は、ゴム組成物に用いる回収炭化物の全酸性度を示す。また、上記全酸性度の測定方法は、次のとおりである。まず、カーボンブラック1gを精秤し、これを平底フラスコに移して0.002NのNaOH水溶液50mlを加え、超音波で分散させる。その後、該平底フラスコに冷却管を付け、還流させながら2時間煮沸する。該分散液を冷却し、定溶した後、その一部を0.002NのNaOH水溶液で滴定し、反応せずに残ったNaOHの残量からカーボンブラック1gにつき中和に使用されたNaOH量を求める。単位は、meq(ミリ当量)/gで表す。図2及び3から、熱分解装置系内の酸素濃度は、1.0容量%以下であるのが好ましい。
上記ガス発生器7によって供給される不活性ガスは、油分回収装置9よりガス流路の下流側で且つ熱交換器1よりガス流路の上流側に導入されることが好ましい。不活性ガスを油分回収装置9の上流側に導入すると、油分を含む熱分解ガスの温度を低下させ、油分回収効率を低下させたり、油で配管を閉塞したりするおそれがある。一方、不活性ガスを熱交換器1の下流側に導入すると、高分子系廃棄物を油化するための熱ガス温度を低下させ、熱分解効率の低下を招く。また、本発明の熱分解装置においては、酸素濃度検出器8と連動する流量制御手段13を設置することが好ましく、これにより、酸素濃度検出器8からの検出信号により不活性ガスを系内に導入することができる。
次に、図を参照しながら、本発明の熱分解方法及び回収方法を詳細に説明する。本発明の熱分解方法及び回収方法は、上述の熱分解装置を用いることを特徴とする。本発明の熱分解方法及び回収方法においては、まず、熱交換器1内で無酸素ガスを加熱する。次に、高分子系廃棄物2を収容する熱分解炉3内に熱交換器1で加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物2を該無酸素ガスと直接接触させ、熱分解ガスを発生させる。この高分子系廃棄物2と無酸素ガスとから熱分解ガスを発生させる工程においては、熱分解時の温度を300〜600℃に制御するのが好ましい。熱分解時の温度が上記特定した範囲内にあれば、高分子系廃棄物が溶融工程を経ずに、安定で且つ連続的な熱分解を行うことができる。該熱分解時の温度が300℃未満では、高分子系廃棄物の分解が完全に完了せず、炭化物を回収できないことがあり、一方、600℃を超えると、熱分解ガス中に含まれ得る酸素含有化合物等による炭化物の改質反応等が起こり、酸化が進み、ゴム用配合剤として好適な炭化物が得られない場合がある。ここで、熱分解時の温度を制御するには、上述した、熱交換器1内で加熱される無酸素ガスや、熱分解炉3を外部から加熱する外部加熱手段4等を利用すればよい。
また、本発明の熱分解方法及び回収方法においては、酸素濃度検出器8によって検出された熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、ガス発生器7から該熱分解炉3内に無酸素ガスを導入し、該熱分解炉3内の酸素濃度を制御する。ここで、無酸素ガス注入手段15によりガス発生器7から熱分解炉3内に導入される無酸素ガスのガス流量は、0℃、1気圧換算で1.5m3/h〜2.5m3/hの範囲であるのが好ましい。該ガス流量が1.5m3/h未満では、油化設備内を無酸素ガスで置換するのに長時間要するため、炭化物の酸化が進むおそれがあり、一方、2.5m3/hを超えると、油化設備内が無酸素ガスにより冷却され、熱分解反応を遅らせる。
次に、本発明の回収方法においては、上記熱分解ガスを冷却し、凝縮した油分を回収する。更に、本発明の回収方法においては、上記油分を回収した後の残ガスを無酸素ガスとして熱交換器1に循環させる。最後に、本発明の回収方法においては、高分子系廃棄物2の熱分解後の熱分解炉3内に残る炭化物を回収する。例えば、熱分解ガスを発生させ、該熱分解ガスを凝縮した油分を回収すると、熱分解炉2内には、熱分解後の炭化物が残るため、該炭化物を回収することができる。なお、上述の回収方法では、炭化物が得られるが、例えば、分級機を用いることで、回収した炭化物から所望の粒径を有する炭化物を抽出することができる。
本発明の熱分解方法及び回収方法においては、熱分解装置系内の酸素濃度を1.0容量%以下に制御するのが好ましく、0.2〜1.0容量%に制御するのが更に好ましい。該装置系内の酸素濃度が1.0容量%以下であれば、熱分解後の熱分解炉内に残る炭化物の酸化をより確実に抑制でき、品質が劣化せず、ゴム成分に配合してもゴム特性を十分に維持できる炭化物をより確実に得ることができる。なお、熱分解装置系内の酸素濃度は、例えば、酸素濃度検出器8により測定される。
次に、本発明の炭化物を詳細に説明する。本発明の炭化物は、上述の熱分解方法又は回収方法によって得られることを特徴とし、その全酸性度が0.1meq/g以下であることが好ましく、0.06meq/g以下であることが更に好ましい。該炭化物の全酸性度が0.1meq/g以下であれば、上述の通り、回収された炭化物をゴム補強用充填剤として再利用することができる。
次に、本発明のゴム組成物及びタイヤを詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、上述の熱分解方法又は回収方法によって得た炭化物を配合してなることを特徴とする。本発明のゴム組成物には、例えば、上記炭化物及びゴム成分の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、充填剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分に、上記炭化物と共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
なお、本発明のゴム組成物に用いることができるゴム成分としては、特に制限はなく、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴムを使用することができ、これらゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、本発明のゴム組成物には、上述の熱分解方法又は回収方法によって得た回収炭化物を純カーボンブラックと組み合わせて配合することができる。該回収炭化物を純カーボンブラックと組み合わせることで、ゴム組成物の物性低下を5%以内に抑えることができる。回収炭化物と純カーボンブラックとの合計に占める回収炭化物の含有量は、1〜20質量%の範囲が好ましい。該回収炭化物の含有量が上記に特定した範囲内にあれば、ゴム組成物の物性低下を確実に抑制することができる。
本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とし、高分子系廃棄物から回収した炭化物が再利用されているにもかかわらず、タイヤの物性低下を軽減することができる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す熱分解装置を用いて、廃トラック用タイヤから炭化物を回収した。なお、図1に示す熱分解装置は、熱交換器1、高分子系廃棄物2、熱分解炉3、外部加熱手段4、循環路6、ガス発生器7、酸素濃度検出器8、油分回収装置9、回収タンク10、排風機11、排ガス処理装置12及び流量制御手段13を備え、油分回収装置9の下流側に回収タンク10を備える。
詳細には、熱分解炉3(容量0.5m3)内に廃トラック用タイヤの裁断品(高分子系廃棄物2)約100kgを投入し、熱分解炉3内を窒素ガスで置換した後、熱分解装置系内の窒素ガスを循環させながら熱交換器1によりガス温度を約500℃まで上昇させて、この温度を保持した。なお、熱分解装置系内での酸素濃度は1.0容量%以下に制御され、熱分解炉3内に導入される無酸素ガスのガス流量は、0℃、1気圧換算で16.2m3/h〜19.8m3/hの範囲に制御された。熱交換器1による加熱を開始してから1時間で、油分回収装置9aに油分が溜出し始め、熱交換器1による加熱の開始から約4時間後に溜出が止まった。熱分解反応中の平均酸素濃度は0.31容量%であった。溜出の停止は熱分解反応が完了したことを示し、熱交換器1を止めて約12時間放置冷却した。その後、熱分解炉2から炭化物を取り出した。
なお、タイヤ廃棄物を熱分解処理した後の残渣には、スチールコードやワイヤ等の大小様々な物が炭化物と混在している。
比較的大きな塊状物は、篩により除去することができ、一方、篩で取り除けない微細な物については、磁石により炭化物から除去することができる。具体的には、6.5メッシュ(目開き2.8mm)のステンレス製篩と、該篩の下に15mm間隔で平行に設置された3000ガウスのマグネット棒とを備えた炭化物回収手段が、タイヤ廃棄物用として好適である。
従って、上記炭化物回収手段を用い、篩とマグネット棒を通り抜ける炭化物を回収した。
余分なタイヤ材料が除去された炭化物をハンマー式の粉砕機で粒径が1mm以下の細粉に粉砕し、回転羽を有する風力分級機で該細粉を分級し、粒径が50μm以上の粗粉を除去し、微細な炭化物を回収した。
次に、回収した炭化物に対して、全酸性度を上記の方法により測定し、0.0594meq/gの数値を得た。更に、該回収炭化物を用いて、表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物の未加硫時及び加硫後のゴム特性を下記の方法により測定した。結果を表2〜5に示す。
(1)未加硫時のゴム特性
(a)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠し、ムーニー粘度計を用いて、130℃でのムーニー粘度[ML1+4(130℃)]を測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物のムーニー粘度を100として指数表示した。指数値が小さい程、加工性に優れることを示す。
(b)スコーチタイム
JIS K6300−1:2001に準拠し、ムーニー粘度計を用いて、ムーニー粘度−時間曲線を測定し、ムーニー粘度の最低値(Vm)から5ポイント上昇した時間(t5)を求め、これをスコーチタイム(分)とした。ここで、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物のスコーチタイムを100として指数表示した。指数値が100に近い程、加硫時間が適正で、作業性に優れることを示す。
(2)加硫後のゴム特性
(a)硬さ
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6253:2006に準拠し、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いて評価した。詳細には、加硫ゴムのゴム試験片の表面に押針を3秒間押し込み、その押針の押込み深さから該ゴム試験片の硬さを求めた。ここで、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の硬さを100として指数表示した。指数値が大きい程、ゴム組成物の硬さが高いことを示す。
(b)引張応力
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251:2004に準拠し、室温で100%伸び時及び300%伸び時における引張応力を測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の引張応力を100として指数表示した。指数値が大きい程、引張応力が大きく、弾性率が高いことを示す。
(c)引張強さ
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251:2004に準拠し、室温での引張強さ(Tb)を測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の引張強さを100として指数表示した。指数値が大きい程、破壊対する耐性が高く、補強性に優れることを示す。
(d)切断時伸び
140℃で30分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251:2004に準拠し、室温での切断時伸びを測定し、GPF級カーボンブラック[旭カーボン(株)製,商品名:旭#55]のみが配合されたゴム組成物の切断時伸びを100として指数表示した。指数値が大きい程、配合される充填剤成分のゴム組成物への補強効果が高いことを示す。
Figure 2010275490
*1 油展ゴム,ゴム成分100質量部に対して27.3質量部のアロマオイルで油展,JSR(株)製,商品名:SBR1723.
*2 JSR(株)製,商品名:BROMOBUTYL 2255.
*3 実施例1〜2及び比較例1〜2のうちいずれかの回収分級炭化物20質量%とGPF級カーボンブラック80質量%との混合物.
*4 フレキシス社製,商品名:サントフレックス 6PPD.
*5 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクセラー DM−P.
*6 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクラック 224.
*7 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクセラー D.
*8 大内新興化学工業(株)製,商品名:ノクセラー NS.
(実施例2)
熱分解炉3内に導入される無酸素ガスのガス流量を、0℃、1気圧換算で27.0m3/h〜30.6m3/hの範囲に制御した以外は、上記実施例1と同様にして、廃トラック用タイヤの熱分解処理を行った。回収炭化物の全酸性度を上記の方法により測定し、更に、該回収炭化物を用いて、表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物の未加硫時及び加硫後のゴム特性を上記の方法により測定した。結果を表2〜5に示す。
(比較例1)
図1に示す熱分解装置の中で、ガス発生器7と流量制御手段13を稼動させなかった以外は、上記実施例1と同様にして廃トラック用タイヤを熱分解し、炭化物を回収した(即ち、比較例1では、熱分解反応中での酸素濃度に対してなんらの制御手段をとることなく熱分解処理を行った)。回収炭化物の全酸性度を上記の方法により測定し、更に、該回収炭化物を用いて、表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物の未加硫時及び加硫後のゴム特性を上記の方法により測定した。結果を表2〜5に示す。
(比較例2)
熱分解炉3内に導入される無酸素ガスのガス流量を、0℃、1気圧換算で27.0m3/h〜30.6m3/hの範囲に制御した以外は、上記比較例1と同様にして熱分解装置系内の酸素濃度の制御を実施することなく、廃トラック用タイヤの熱分解処理を行った。回収炭化物の全酸性度を上記の方法により測定し、更に、該回収炭化物を用いて、表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物の未加硫時及び加硫後のゴム特性を上記の方法により測定した。結果を表2〜5に示す。
Figure 2010275490
Figure 2010275490
Figure 2010275490
Figure 2010275490
表2〜5から、実施例により回収された炭化物は、全酸性度が0.1meq/g以下であり、これにより、該回収炭化物がGPF級カーボンブラックと共に配合された実施例1〜2のゴム組成物は、GPF級カーボンブラックのみが配合されたゴム組成物と比較し、各種ゴム特性に対していずれも5%以上低減することがなかった。
1 熱交換器
2 高分子系廃棄物
3 熱分解炉
4 外部加熱手段
5 分解装置
6 循環路
7 ガス発生器
8 酸素濃度検出器
9 油分回収装置
10 回収タンク
11 排風機
12 排ガス処理装置
13 流量制御手段

Claims (12)

  1. 無酸素ガスを加熱するための熱交換器と、
    内部に高分子系廃棄物を収容する熱分解炉及び該熱分解炉を外部から加熱する外部加熱手段を有し、該高分子系廃棄物を前記熱交換器で加熱した無酸素ガスと直接接触させることにより熱分解させて熱分解ガスを発生させるための分解装置と、
    前記分解装置で発生した熱分解ガスを冷却して、凝縮した油分を回収するための油分回収装置と、
    前記油分回収装置で油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器に供給するための循環路と、
    前記熱分解炉中に導入する不活性ガスを生成するためのガス発生器と、
    熱分解装置系内の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器と
    を備えることを特徴とする高分子系廃棄物の熱分解装置。
  2. 更に、前記酸素濃度検出器によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、前記ガス発生器から該熱分解装置系内への不活性ガス導入流量を制御する装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の高分子系廃棄物の熱分解装置。
  3. 請求項1又は2に記載の高分子系廃棄物の熱分解装置を用いた高分子系廃棄物の熱分解方法であって、
    熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
    高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に前記熱交換器で加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を加熱した無酸素ガスと直接接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と、
    酸素濃度検出器によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、ガス発生器から該熱分解装置系内に不活性ガスを導入し、該熱分解装置系内の酸素濃度を制御する工程と
    を含むことを特徴とする高分子系廃棄物の熱分解方法。
  4. 前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御することを特徴とする請求項3に記載の高分子系廃棄物の熱分解方法。
  5. 前記高分子系廃棄物の熱分解装置系内の酸素濃度を1.0容量%以下に制御することを特徴とする請求項3に記載の高分子系廃棄物の熱分解方法。
  6. 請求項1又は2に記載の高分子系廃棄物の熱分解装置を用いた炭化物の回収方法であって、
    熱交換器内で無酸素ガスを加熱する工程と、
    高分子系廃棄物を収容する熱分解炉内に前記熱交換器で加熱された無酸素ガスを導入し、該高分子系廃棄物を加熱した無酸素ガスと直接接触させ、熱分解ガスを発生させる工程と、
    前記熱分解ガスを冷却し、凝縮した油分を回収する工程と、
    前記油分を回収した後の残ガスを、無酸素ガスとして前記熱交換器に循環させる工程と、
    酸素濃度検出器によって検出された前記熱分解装置系内の酸素濃度に基づき、ガス発生器から該熱分解炉内に不活性ガスを導入し、該熱分解装置系内の酸素濃度を制御する工程と
    を含むことを特徴とする炭化物の回収方法。
  7. 前記熱分解ガスを発生させる工程において、熱分解時の温度を300〜600℃に制御することを特徴とする請求項6に記載の炭化物の回収方法。
  8. 前記高分子系廃棄物の熱分解装置系内の酸素濃度を1.0容量%以下に制御することを特徴とする請求項6に記載の炭化物の回収方法。
  9. 請求項3〜5に記載の熱分解方法及び請求項6〜8に記載の回収方法のいずれかによって得られた炭化物。
  10. 全酸性度が0.1meq/g以下であることを特徴とする請求項10に記載の炭化物。
  11. 請求項10に記載の炭化物を配合してなるゴム組成物。
  12. 請求項11に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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