JP2010275197A - エリスロポエチン産生促進作用を有するキノリン−3−カルボニトリル化合物 - Google Patents

エリスロポエチン産生促進作用を有するキノリン−3−カルボニトリル化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】低分子性のEPO産生促進作用を有する化合物の提供。
【解決手段】次の一般式(1):
Figure 2010275197

[式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、水素原子、C1-6アルキル基、又はアルコキシ基を示し;R6、R7、及びR8は、水素原子、ハロゲン原子、(置換)C1-6アルキル基等を示す]で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なエリスロポエチン産生促進剤に関する。さらに、詳細にはエリスロポエチン産生低下に起因する疾患、例えば貧血の予防及び/又は治療剤に関する。
エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)は、赤芽球前駆細胞から成熟赤血球への成熟と分化に関与する糖タンパク質ホルモンであり、天然に存在する165アミノ酸からなる単量体ポリペプチドである(非特許文献1)。
ヒトのEPOは、赤血球の増殖・分化において必須であり、赤血球産生の低下を特徴とする血液疾患の治療に有用である。臨床的には、EPOは、慢性腎不全(chronic renal failure:CRF)患者における貧血、自己貯血及び未熟児貧血の治療(非特許文献2〜4)、AIDS及び化学療法を受けている癌患者において使用されている(非特許文献5)。また、EPOは慢性貧血における有効性も認められている。
EPOは、成人では主に腎臓で産生されるが、それ以外では、中枢神経系のアストロサイト及びニューロンにおいても産生され、EPO及びEPO受容体は脳−末梢境界の毛細血管において発現している。さらに、EPOを全身投与すると、EPOは血液脳関門を通過して、脳及び脊髄虚血、機械的外傷、てんかん、興奮毒及び神経炎症に応答したニューロン細胞の喪失を減少させることが報告されている(非特許文献6〜10)。
EPOのようなタンパク質を用いた療法においては、プロテアーゼによる分解を受けやすいことによる血漿半減期の短さ(非特許文献11、12)や、循環における化合物の治療有効濃度を維持するために、静脈内注射を頻回行わねばならないなどの問題がある。また、静脈内注射に代わる投与経路として皮下注射があるが、投与部位からの吸収が遅いため、徐放効果は有るものの、血漿中濃度が静脈内注射に比べて有意に低くなる。そこで、同等の治療効果を挙げるためには静脈内注射の場合と同様の回数を注射しなければならず、患者への負担となる。また、ヒト血清EPOは糖タンパク質であって、EPO表面に結合した糖鎖の構造は複雑であり、そのグリコシル化は広範かつ多様であることから、サイズの不均一性を示し、組換えヒトEPOではヒト血清EPOを再現よく作製することができない、などの問題もある。
従って、上記に示したような貧血を含むEPO産生低下に起因する疾患の治療において生体利用性の低いEPOでなく、内因性EPOを増加させる方法及び化合物が当該技術分野において必要とされている。
一方、EPOの産生量は、転写因子である低酸素誘導性因子(hypoxia inducible factor:HIF)を介して酸素濃度により制御されていることが知られている(非特許文献13)。すなわち、通常大気下では、2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素によりプロリン残基がヒドロキシル化されたHIFサブユニット(HIF−1α)がユビキチン−プロテアソーム系により分解され、EPOの産生は促進されないが、低酸素下では、2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素によるHIF−1αのプロリン残基のヒドロキシル化が抑制され、その結果、安定化されたHIF−1αは細胞質から核内に移行し、HIF−1βと二量体を形成してEPO遺伝子のhypoxia responsible element(HRE)配列に結合して転写を促進し、EPOの産生を促進する。
このようなEPO産生機構を利用した2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素などのHIFプロリルヒドロキシラーゼに対する酵素阻害剤が、EPO産生促進剤として報告されている(特許文献1〜4)。
しかしながら、HIFにより産生が制御されている遺伝子には、EPOをコードする遺伝子だけではなく、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をコードする遺伝子なども挙げられる。VEGFは血管新生促進作用を有しており、この機能を介して悪性腫瘍を悪化させる原因となり得ることも報告されている(非特許文献14、15)。また、貧血は癌による化学治療によっても引き起こされ、貧血治療薬はそのような化学療法を受けている癌患者に投与されることも考えられることから(非特許文献6)、癌を悪化させるVEGFなどの産生も促進する可能性のあるHIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害作用を有する化合物には、そのような危険性も内包される。
EPOの産生は、EPOの5’側に位置するプロモーター及び3’側に位置するエンハンサーにより制御されており、HIFはエンハンサー中のHRE配列に結合し、EPOの産生を促進すると考えられている。加えて、GATA−2、NFκBなどもEPO産生を制御するとされており(非特許文献16、17)、HIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害以外の作用機構でもEPO産生促進は達成できると考えられる。このようなことからHIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害に依存しないEPO産生促進作用を有する化合物は、貧血治療において有用であると考えられる。
また、前述のように、EPOは赤芽球前駆細胞の増殖及び成熟を促進するが、EPOの産生を介さずに赤芽球前駆細胞の成熟・分化を促進する作用を有する化合物も貧血治療薬として有用である。EPOの有する血球増殖促進作用を増強する活性を有する化合物やEPOのシグナル伝達の重要な制御機構のひとつである脱リン酸化を触媒する造血細胞ホスファターゼに対して阻害作用を有する化合物が報告されているが(特許文献5〜7)、その活性は必ずしも十分とは言えない。また、EPO受容体に作用する合成ペプチド、ヘマタイドが報告されているが(非特許文献18)、EPOと同等の活性発現には高用量の投与が必要であり、経口投与に適さないという問題点がある。
従って、EPO産生促進作用を持つ経口投与可能な低分子性の貧血治療剤が、今後の貧血治療において有用であると考えられる。
一方、ヒトYAK3キナーゼ阻害活性を有し、貧血治療に有効な2−アニリノキノリン骨格を有する化合物が報告されている(特許文献8)。
Figure 2010275197
[式中、R6は−NH−C1-6アルキル、−NH−アリール等から選択され、R7は−CO2H、−CONH2、−CHNOH、−CO2R’、−CH2OH、−CHO、−CONHR”、−CONHCOR”、及び−CONHSO2R”からなる群より選択され、R8は−H、−OH、−C1-6アルキル、−O−C1-6アルキル、−NH−C1-6アルキル、ハロゲン等からなる群より選択され、R9は−H、−C1-6アルキル、−O−C1-6アルキル、−NH−C1-6アルキル、ハロゲン等からなる群より選択され、R10は、−H及びハロゲンの群より選択される。]
同様にヒトYAK3キナーゼ阻害活性を有し、貧血治療に有効な2−アニリノキノリン骨格を有する化合物が報告されている(特許文献9,10)。しかしながら、これらの文献に記載された化合物群はキノリン環上3位(上記一般式においてはR7)にシアノ基を有しておらず、この点で本発明化合物とは異なる。また、これらの文献の化合物群には、赤芽球分化促進作用を示唆する記載があるものの、本発明化合物のようなエリスロポエチンの産生を促進する作用に関しての記載や示唆はない。
また、EPO産生促進作用を有する2−フェニルキノリン骨格を有する低分子化合物が報告されている(特許文献11)。
Figure 2010275197
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基等を示し、R11は、水素原子、C1-6アルキル基等を示す。]
しかしながら、この文献に記載された化合物は、2位にフェニル基が直接結合したキノリン−4−カルボン酸構造を特徴としており、本発明の化合物と異なる。
特開2006−137763号公報 WO2003/53997号パンフレット WO2005/11696号パンフレット WO2007/38571号パンフレット 特表2000−536365号公報 特開平11−171774号公報 特開2002−275159号公報 特表平2004−526756号公報 特表平2006−503094号公報 特表平2008−540442号公報 WO2009/016812号パンフレット
Lin F-K, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 7580-7584 (1985) Eschbach JW, et al., N. Engl. J. Med, 316: 73-78(1987) Eschbach JW, et al., Ann. Intern. Med., 111: 992 (1989) Lim VS, et al., Ann. Intern. Med., 110: 108-114 (1989) Danna RP, et al., Erythropoietin in Clinical Applications-An International Perspective, New York: Marcel Dekker; p301-324 (1990) Sakanaka M, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 4635-4640 (1998) Celik M, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 99, 2258-2263 (2002) Brines ML, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 97, 10526-10531 (2000) Calapai G, et al., Eur. J. Pharmacol., 401, 349-356 (2000) Siren A-L, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 98, 4044-4049 (2001) Spivack JL and Hogans BB, Blood, 73: 90 (1989) McMahon FG, et al., Blood, 76: 1718 (1990) Jelkman W, Internal Medicine 43, 649-659 (2004) Maxwell PH, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 94, 15, 8104-8109 (1997) Fang J, et al., Cancer Res., 61, 15, 5731-5735 (2001) Imagawa S, et al., Blood 89, 1430-1439 (1997) La Ferla K, et al., FASEB J, 16, 1811-1813 (2002) Stead RB, et al., Blood 108, 1830-1834 (2006)
本発明の目的は、低分子性のEPO産生促進作用を有する化合物を提供することにある。さらに詳細には、貧血の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
上記実情に鑑み、本発明者らは、EPO産生促進作用を持つ化合物を鋭意探索した結果、下記一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物が、ヒト肝臓癌由来のHepG2細胞を用いた試験においてEPO産生を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の一般式(1):
Figure 2010275197
[式中、
1、R2、R3、R4、及びR5は、同一又は異なってもよく、水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し、
6、R7、及びR8は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、又はジC1-6アルキルアミノ基を示す]
で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤に関する。
より詳細には、前記一般式(1)で表される化合物が、下記化合物群:
3−シアノ−2−(3,5−ジメチルフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2−メトキシフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2−メトキシフェニル)アミノ−6−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)アミノ−6−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−6−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2−メトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−3−シアノ−6,8−ジメチルキノリン、
2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−3−シアノ−7−メチルキノリン、
3−シアノ−7−メチル−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
3−シアノ−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
3−シアノ−6−エトキシ−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン、
3−シアノ−2−(4−エトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−3−シアノ−8−メチルキノリン、
3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−6,8−ジメチルキノリン、及び
3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−6−エチルキノリン
からなる群から選ばれる前記EPO産生促進剤を提供するものである。
また、本発明は、前記EPO産生促進剤を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤に関する。
また、本発明は、EPO産生促進用の製剤を製造するための、前記一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)に関する。より詳細には、本発明は、EPO産生促進用の製剤を製造するための、前記した化合物群から選ばれるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用を提供するものである。
さらに、本発明は、前記一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、EPOの産生促進が必要とされる患者に投与することを特徴とする、EPO産生の促進方法(method)に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、EPOの産生促進が必要とされる患者に投与することを特徴とする、EPO産生の促進方法を提供するものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を細胞に接触させて、該細胞におけるEPOの産生を促進させる方法に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を細胞に接触させて、該細胞におけるEPOの産生を促進させる方法を提供するものである。ここで、「接触」とは、本明細書中で使用するとき、インビトロ又はインビボにおいて、本発明のキノリン−3−カルボニトリル化合物等が、細胞による前記化合物等の取り込み作用又は細胞表面での相互作用などにより、増殖、分化、生理活性物質の分泌などの細胞の機能を調節するように前記化合物等を細胞に添加することを意味する。
本発明は、前記一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、優れたEPO産生促進作用を有していることを見出したものであり、EPO産生を促進することにより症状が改善される疾患(例えば、慢性腎不全患者における貧血、自己貯血及び未熟児貧血、AIDS及び化学療法を受けている癌患者の貧血、慢性貧血、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などの貧血)の予防及び/又は治療のための医薬組成物として有用である。また、本発明は、EPO産生促進作用を有する経口投与可能な低分子性の化合物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における用語の定義は以下のとおりである。
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、ハロゲノ基を意味し、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等である。
本明細書中で使用するとき、「アルキル基」は、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1-6アルキル基」には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、4−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の炭素数1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基が挙げられる。好ましくは、「C1―4アルキル基」である。
本明細書中で使用するとき、「アルコキシ基」は、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1―6アルコキシ基」には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、4−メチルブチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。好ましくは、「C1―4アルコキシ基」である。
本明細書中で使用するとき、「アルキルアミノ基」とは、前述した「アルキル基」の1つがアミノ基の窒素原子に結合した基であり、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1-6アルキルアミノ基」には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、4−メチルブチルアミノ基、1−エチルプロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基、2−メチルペンチルアミノ基、1−メチルペンチルアミノ基、3,3−ジメチルブチルアミノ基、2,2−ジメチルブチルアミノ基、1,1−ジメチルブチルアミノ基、1,2−ジメチルブチルアミノ基、1,3−ジメチルブチルアミノ基、2,3−ジメチルブチルアミノ基、1−エチルブチルアミノ基、2−エチルブチルアミノ基等が挙げられる。好ましくは、「C1-4アルキルアミノ基」である。
本明細書中で使用するとき、「ジアルキルアミノ基」とは、前述した「アルキル基」の2つが同一であるか又は異なって窒素原子に結合した基であり、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「ジC1-6アルキルアミノ基」には、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチル−n−プロピルアミノ基、エチル−n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチル−n−ブチルアミノ基、エチル−n−ブチルアミノ基、n−プロピル−n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等が挙げられる。好ましくは、「ジC1-4アルキルアミノ基」である。
本明細書中で使用するとき、「ハロC1―6アルキル基」は、例えば、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。好ましくは、「ハロC1―4アルキル基」である。
その他、ここに定義のない基については、通常の定義に従う。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、及びR5における「C1-4アルキル基」としては、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、及びR5における「C1-4アルコキシ基」としては、エトキシ基がより好ましい。
一般式(1)中、R6、R7、及びR8における「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
一般式(1)中、R6、R7、及びR8における「C1-4アルキル基」としては、メチル基がより好ましい。
一般式(1)中、R6、R7、及びR8における「ハロC1-4アルキル基」としては、トリフルオロメチル基がより好ましい。
一般式(1)中、R6、R7、及びR8における「C1-4アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
一般式(1)中、R6、R7、及びR8における「C1-4アルキルアミノ基」としては、メチルアミノ基がより好ましい。
一般式(1)中、R6、R7、及びR8における「ジC1-4アルキルアミノ基」としては、ジメチルアミノ基がより好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物の具体例として、下記化合物を挙げることができる。
Figure 2010275197
Figure 2010275197
本発明の一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明のキノリン−3−カルボニトリル化合物のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、若しくはそれらの結晶多形、又はこれらの物質のプロドラッグとなる物質を包含している。
本発明の一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物の医薬として許容される塩としては、具体的には、化合物を塩基性化合物として扱う場合は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との酸付加塩等が挙げられ、化合物を酸性化合物として扱う場合には、無機塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)や有機塩(例えば、ピリジニウム塩、ピコリニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物やその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
(キノリン−3−カルボニトリル化合物(1)の製造)
本発明の一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物は、公知の方法により製造することができる。製造法の一例として、Journal of the Chemical Society, 2739-41(1930)に記載の方法を以下に示すが、なんらこれに限定されるものではない。
Figure 2010275197
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は前記と同じものを示す]
[反応工程1]シアノアセトアニリド誘導体(I)とo−ニトロベンゾイル誘導体(II)を塩基の存在下、溶媒中で反応することによりベンジリデン誘導体(III)を製造することができる。ここで用いる溶媒としては特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。塩基は特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン等の有機塩基、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を使用することができる。また、ピリジン等の有機塩基を塩基兼溶媒として用いてもよい。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に0〜180℃、好ましくは40〜100℃にて5分〜72時間、好ましくは10分〜24時間反応させることによって目的物が得られる。
[反応工程2]ベンジリデン誘導体(III)のニトロ基を、還元剤の存在下、溶媒中で反応し、アニリン誘導体(IV)を製造することができる。この還元方法は、(a)適当な溶媒中、水素雰囲気下、接触水素還元触媒を用いてニトロ基を還元する接触水素付加であるか、又は(b)適当な不活性溶媒中、金属若しくは金属塩と酸又は金属若しくは金属塩とアルカリ金属水酸化物、硫化物、アンモニウム塩等との混合物等を還元剤として用いてニトロ基を還元する金属還元により行われる。接触水素付加の場合、溶媒としては、例えば、水、酢酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等又はこれらの混合溶媒等を使用できる。接触水素還元触媒としては、例えば、パラジウム、パラジウム−黒、パラジウム−炭素、白金−炭素、白金、酸化白金、亜クロム酸銅、ラネーニッケル等を単独又は組み合わせて使用することができる。反応条件は、通常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃で、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間反応すればよい。金属還元の場合、鉄、亜鉛、スズ、塩化スズと塩酸、硫酸等の無機酸類との混合物、鉄、亜鉛と酢酸等の有機酸類との混合物、又は鉄、硫酸鉄、亜鉛、スズと水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、硫化アンモニウム等の硫化物、アンモニア水、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩との混合物が還元剤として用いられる。溶媒としては、例えば、水、酢酸、メタノール又はエタノール等のアルコール系溶媒、或いはテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒等が挙げられる。また、酢酸等の有機酸を、溶媒を兼ねて用いてもよい。反応条件は、例えば、亜鉛と酢酸とを還元剤として用いる場合、0〜150℃、好ましくは50〜120℃で、1分〜12時間、好ましくは1分〜6時間反応を行うことにより目的物が得られる。
[反応工程3]アニリン誘導体(IV)を酸又は塩基の存在下、溶媒中で分子内脱水縮合反応を行い、目的のキノリン−3−カルボニトリル化合物(1)を製造することができる。ここで用いる溶媒としては特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。酸は特に制限されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、又はベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類を用いることができる。塩基は特に制限されないが、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を使用することができる。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に−20〜120℃、好ましくは0〜100℃にて1分〜72時間、好ましくは10分〜24時間反応させることによって目的物が得られる。
前記した各反応工程において、副反応を回避する目的で、適宜官能基の保護脱保護を組み合わせて反応を行ってもよい。保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
さらに、各種の異性体は、異性体間の物理化学的性質の差を利用し、常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明のEPO産生促進剤又は貧血治療・予防剤は、一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該技術分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
坐薬を調製する場合は、一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物に公知の坐薬用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
本発明の一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり1mgから1000mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例に使用した被検化合物はAsinex社より入手したものをそのまま使用した。
実施例1
本発明のキノリン−3−カルボニトリル化合物によるEPO産生促進活性は、EPOプロモーター活性に基づいて測定した。
<材料と方法>
pGL3 basic(プロメガ)のルシフェラーゼ遺伝子にヒトEPOの5’プロモーター領域、及び3’エンハンサー領域を連結したベクターをリポフェクションによってヒト肝臓癌由来である細胞株HepG2に遺伝子導入した。得られた安定発現株(HepG2 EPO−luc)を被検化合物の評価に使用した。次に、HepG2 EPO−lucは、10%ウシ胎児血清を含む最小必須培地(MEM)(シグマ)を用いて96ウェルプレートの各ウェルに5×103細胞ずつ播種した。その後、DMSOに溶解した被検化合物を最終濃度10μMとなるように各ウェルに添加し、培地量を1ウェルあたり100μlとした。酸素濃度を4%としたCO2インキュベーターで24時間インキュベート後、EPOプロモーター活性として、Bright―Glo(商標)Luciferase Assay System(プロメガ)を100μl/ウェルで添加し、直ちに、ARVO(パーキンエルマー)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。上記方法は、Bright−Glo(商標)Luciferase Assay Systemに添付された取扱説明書に準じた。
化合物を添加しない未刺激状態でのEPOプロモーター活性を100%とし、各化合物により誘導されたEPOプロモーター活性(% of control)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2010275197
<結果>
被検化合物を濃度10μM添加することにより、EPO産生促進が認められた(表1参照)。特に、化合物2は1000%を超える強力なEPO産生促進作用を有していた。以上のことから、これらの化合物にはEPO産生促進作用があることが明らかとなり、貧血治療剤として有用であることがわかった。
本発明は、一般式(1)で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、優れたEPO産生促進作用を有していることを初めて見出し、優れたEPO産生促進作用を有する経口投与可能な低分子性の貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。本発明は、低分子性の新たな貧血の予防及び/又は治療剤を提供し、製薬工業において有用であり、産業上の利用可能性を有している。

Claims (3)

  1. 次の一般式(1):
    Figure 2010275197
    [式中、
    1、R2、R3、R4、及びR5は、同一又は異なってもよく、水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し、
    6、R7、及びR8は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルアミノ基、又はジC1-6アルキルアミノ基を示す]
    で表されるキノリン−3−カルボニトリル化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤。
  2. 一般式(1)で表される化合物が、次の化合物群:
    3−シアノ−2−(3,5−ジメチルフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2−メトキシフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−7−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2−メトキシフェニル)アミノ−6−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)アミノ−6−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−6−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2−メトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(4−メトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
    2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−3−シアノ−6,8−ジメチルキノリン、
    2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−3−シアノ−7−メチルキノリン、
    3−シアノ−7−メチル−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
    3−シアノ−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノキノリン、
    3−シアノ−6−エトキシ−2−(4−フルオロフェニル)アミノキノリン、
    3−シアノ−2−(4−エトキシフェニル)アミノ−8−メチルキノリン、
    2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)アミノ−3−シアノ−8−メチルキノリン、
    3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−6,8−ジメチルキノリン、及び
    3−シアノ−2−(2,4−ジメトキシフェニル)アミノ−6−エチルキノリン
    からなる群から選ばれる、請求項1に記載のEPO産生促進剤。
  3. 請求項1又は2に記載のEPO産生促進剤を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤。
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