JP2010273663A - メタン発酵の方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無動力攪拌の回数がより多く、工場での大量生産が可能な発酵槽を備えるとともに、中途での処理能力の強化が簡単にできるメタン発酵方法及び装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の発酵槽を備えるメタン発酵装置であって、発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留する隔壁bにより形成されたガス貯留部、及びその隔壁のやや下方に開口し,隔壁の上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水路gより成る攪拌装置を備えるとともに、該発酵槽が導水路によってそれぞれ互いに連絡されているメタン発酵装置において、ガス貯留部内のガスを間欠的に導水路g内に噴出させ、この発酵槽内を流動攪拌すると同時に他の発酵槽も流動攪拌することを特徴とするメタン発酵法及び装置に構成した。
【選択図】図2
【解決手段】 複数の発酵槽を備えるメタン発酵装置であって、発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留する隔壁bにより形成されたガス貯留部、及びその隔壁のやや下方に開口し,隔壁の上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水路gより成る攪拌装置を備えるとともに、該発酵槽が導水路によってそれぞれ互いに連絡されているメタン発酵装置において、ガス貯留部内のガスを間欠的に導水路g内に噴出させ、この発酵槽内を流動攪拌すると同時に他の発酵槽も流動攪拌することを特徴とするメタン発酵法及び装置に構成した。
【選択図】図2
Description
本発明は、メタン発酵方法と装置に関するものである。
従来、メタン発酵では液の攪拌は不可欠であり、この発酵槽内の撹拌には、機械的方法、ポンプを用いる方法、生物ガスを底部より吹込む方法、発生する生物ガスを利用した無動力撹拌法等がある。これらの中で、無動力攪拌は、(1)撹拌動力が不要、(2)省エネルギー、(3)維持管理が容易等のメリットがある。本発明者は、この無動力攪拌機構を備えたメタン発酵槽を提案した。(特許文献1)しかし攪拌回数が少ない欠点があった。
また、通常メタン発酵は大容量の発酵槽を使用するため、工場での大量生産ができず、設置する現場での建設、いわゆるプラント方式で建設されるため、施設費が高価でありなかなか普及しないのが現状である。また、中途での処理能力の強化が難しい問題点もある。
特許第4238515号公報
また、通常メタン発酵は大容量の発酵槽を使用するため、工場での大量生産ができず、設置する現場での建設、いわゆるプラント方式で建設されるため、施設費が高価でありなかなか普及しないのが現状である。また、中途での処理能力の強化が難しい問題点もある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、無動力攪拌の回数がより多く、工場での大量生産が可能な発酵槽を備えるとともに、中途での処理能力の強化が簡単にできるメタン発酵方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、第1に、発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留するための、隔壁bにより形成されたガス貯留部g、及びその隔壁bのやや下方に開口し、隔壁bの上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水管p、より成る攪拌装置を備える発酵槽の複数個を、導水路によって連絡するとともに、ガス貯留部g内のガスを間欠的に導水管p内に噴出させ、この発酵槽内の液を流動攪拌すると同時に他の発酵槽内の液も流動攪拌することを特徴とするメタン発酵法。
第2に複数の発酵槽を備えるメタン発酵装置であって、発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留するための、隔壁bにより形成されたガス貯留部g、及びその隔壁bのやや下方に開口し,隔壁bの上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水管pより成る無動力攪拌装置を備えるとともに、該複数の発酵槽が導水路によって連絡されていることを特徴とするメタン発酵装置である。
第2に複数の発酵槽を備えるメタン発酵装置であって、発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留するための、隔壁bにより形成されたガス貯留部g、及びその隔壁bのやや下方に開口し,隔壁bの上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水管pより成る無動力攪拌装置を備えるとともに、該複数の発酵槽が導水路によって連絡されていることを特徴とするメタン発酵装置である。
上記のように、本発明は、無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を導水路で連通しているので、ある発酵槽でガス噴出による攪拌が起こると、他の発酵槽内も流動し攪拌されるため、特許第4238515号公報の装置に比べて攪拌回数が多くなる。また、無動力攪拌機構を備えるので、撹拌動力が不要、省エネルギー、)維持管理が容易等のメリットがある。
また、本発明は、無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を導水路で連通して装置を構成するので、同形の無動力攪拌機構付発酵槽を工場で大量生産することが可能であり、建設費の低廉化につながるとともに、中途での処理能力の強化にも簡単に対応できる。
また、本発明は、無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を導水路で連通して装置を構成するので、同形の無動力攪拌機構付発酵槽を工場で大量生産することが可能であり、建設費の低廉化につながるとともに、中途での処理能力の強化にも簡単に対応できる。
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の装置の一実施形態を示す図面であり、図1は平面図、図2はA−A縦断面図である。発酵槽f1、f2 f3内は隔壁bにより上下に区画され,隔壁b上方の上部発酵部u,下部醗酵部dが形成されている。導水管pは、隔壁bを貫通し、その下端が隔壁bのやや下方にほぼ水平に開口し、その上端は、隔壁b上方に開口し、ほぼ鉛直に設けられている。隔壁b、発酵槽側壁及び導水管p外壁面により、ガス貯留部gが形成されている。発酵槽f1、f2、f3は、管1、2、によってそれぞれの上部発酵部uが連絡され、管3、4によってそれぞれの下部発酵部dが連絡されている。
次に、図1及び図2により本実施形態の作動の状況を説明する。メタン発酵槽内においては、糖発酵細菌群の作用により、有機物がアミノ酸、低級脂肪酸等に低分子化される。この低分子化された有機物を、メタン菌は、吸収し増殖すると共に、液中にメタンガス,炭酸ガスを主成分とする生物ガスを排出する。この生物ガスの大部分は,気泡となり、メタン発酵槽内を上昇する。上部醗酵部uで発生する生物ガスは、メタン発酵槽内上方に溜まる。下部醗酵部dで発生する生物ガスは、ガス貯留部g内に溜まる。以後発酵槽f2に着目すると、液面s2は、液体の固体に対する付着力及び表面張力による作用により、導水管pの下端の位置より下方まで下降する。やがて、液体の固体に対する付着力及び表面張力による作用が限界に達すると、ガス貯留部gの生物ガスは、導水管p下端開口部の周囲から瞬時に導水管p内に流入し、導水管p内の液を押し上げながら、導水管p内にガス層を形成する。すぐに、ガス層は、導水管p内ガス層上方の液の大部分を押し上げ、導水管p内ガス層下方の液を引き上げながら、導水管p内を上昇し、液と共に導水管p上端より勢いよく噴出する。このとき液面s2のスカムも液と共に引き上げられ、液面s2にスカムは蓄積しない。また、液面s1には大きな波動が生じスカムは蓄積しない。同時に噴出した液に相当する液が連通管r2、管3、管4より下部醗酵部dに流入してくる。同時に上部醗酵部uの液が管1、管2より発酵槽f1、f2へ流出する。この噴出と噴出に伴う下部醗酵部dへの液の引き込みによって、発酵槽f2内の液は流動し、撹拌される。また、発酵槽f2で生じた噴出によって、発酵槽f1内には、管1から管3に至る液の流れとそれに伴う流動が生じる。同様に、発酵槽f3内には、管2から管4に至る液の流れとそれに伴う流動が生じる。発酵槽f2において、以後周期的にこの噴出が繰り返される。また、発酵槽f1及びf3においても同様の噴出が周期的に繰り返され、この噴出によって他の発酵槽内にも前述した作用と同様の作用で液の流動が生じる。これらの流動攪拌によって発酵が促進される。発生する生物ガスは、管11を介して脱硫装置(図示せず)を経て、ガスホルダー(図示せず)へ送られる。
被処理物は管7を介して投入槽5に入れ、ポンプ13により管12を介して返送される処理液と混合し、管6を介して発酵槽f1下部醗酵部dへ投入する。処理物は開閉弁9を開け、管10を介して、処理水槽8に抜き取る。処理液はポンプ14により管15を介して固液分離工程等に送られる。もちろん、被処理物の投入方法、処理液の抜き取り方法は、これに限定されるものではない。
連通管r1、r2、r3は設けなくてもよいが、設けた場合、それぞれの発酵槽内での循環流動が起こる。設ける場合は、連通管r1、r2、r3の流積は管3、管4の流積より小さくし、管3及び管4の流量を大きくする。
1回の噴出による撹拌の強さは、ガス貯留部g気液接触面積の導水管p断面積に対する比、導水管p下端の水深、及び導水管p断面積によって決まる。ガス貯留部g気液接触面積の導水管p断面積に対する比及び導水管p下端の水深が大きいほど、導水管p内に形成されるガス層の高さが増加し、上昇速度が大きくなるので、より激しい噴出と噴出に伴う激しい下部醗酵部dへの液の引き込みが起こり、撹拌力が増加する。また、導水管p断面積が大きいほど、大量の液の噴出と噴出に伴う下部醗酵部dへの大量の液の引き込みが起こり、撹拌力が増加する。ガス貯留部g気液接触面積の導水管p断面積に対する比はほぼ50以上が適当である。導水管p下端の水深は1m以上が適当である。
導水管p下端の断面は、ほぼ水平にする。これにより、生物ガスが導水管p内に一様に流入し、効果的にガス層が形成される。導水管pの口径が大きい場合、この水平性が特に要求される。
本実施形態においては、連続的に上昇してくる生物ガスをガス貯留部g内に溜め込み、瞬時に放出するので、1回の噴出の大きさは変わらない。メタン菌が発生する生物ガスだけで、大きな撹拌力が得られる。スカムの蓄積や汚泥の沈積を防止できる。
図3乃至図7は、本発明の別の一実施形態を示す図面であり、図3は平面図、図4はB−B、図5はC−C、図6はD−D、図7はE−Eそれぞれ縦断面図である。本実施形態は、メタン発酵槽f4、f5、f6、f7、f8、f9が上部醗酵部uと下部醗酵部dを連絡する管16、17、18、19、20、21によって一つの循環流路を形成している点、さらに管16、17、18、19、20、21には上部醗酵部uから下部醗酵部dへの流れを許す逆止弁30、31、32、33、34、35が設けられ流れの逆止機構が構成されている点が、図1及び図2の装置と異なる。
例えば、前述の導水管p上端からの噴出が発酵槽f5で生じると、逆止弁30が開き、管16を介して発酵槽f4上部醗酵部uから発酵槽f5下部醗酵部dへ液が引き込まれる。その後すぐに逆止弁30は閉じ、水位差によって発酵槽f5から順次、f6、f7、f8、f9、f4へと液が流れる。この循環的流れとそれに伴う流動によって各発酵槽内液は攪拌される。以後発酵槽f5では、周期的にこの噴出が繰り返される。発酵槽f4、f6、f7、f8、f9においても同様の噴出が周期的に繰り返され、この噴出によって他の発酵槽内にも前述した作用と同様の作用で液の流動が生じる。この流動攪拌によって発酵が促進される。
被処理物は管6を介して投入槽5に定量ポンプ等で小分けして投入する。被処理物は管7を介して発酵槽f4に流入し、管21を介して発酵槽f9から送られてくる液と混合され、管16を介して発酵槽f5へ送られる。
本実施形態においては、発酵槽内の液は循環しているので、被処理物を1か所で投入しても、発酵槽内の液に被処理物を均等に添加することができる。また、流れの逆止機構が構成されているので、一つの発酵槽で生じた噴出により、その発酵槽内の液が流動攪拌されることはもとより、他のすべての発酵槽内の液も確実に流動する。逆止機構がない場合(後述)と比べて、逆流がないので単位時間当たりの液移動量も多く、1回の循環に要する時間が短くなる。
別の実施形態(図示せず)として、図3乃至図7に示した実施形態において、この流れの逆止機構は設けない場合を説明する。本実施形態は、図3乃至図7において逆止弁30、31、32、33、34、35が設けられていない点が図3乃至図7に示した実施形態と異なる。本実施形態においても、前述と同様に、各発酵槽の導水管p上端からの噴出によって循環的流れが生じ、各発酵槽内は攪拌される。本実施形態では、逆流があるので、単位時間当たりの液移動量は図3乃至図7に示した実施形態の場合より少なく、1回の循環に要する時間が長くなる。しかし、逆止弁の費用はないので安価となる。
図8及び図9は、本発明の別の一実施形態を示す図面であり、図8は平面図、図9はF−F縦断面図である。本実施形態は、発酵槽f4に管36、ブロワー37及び管38が備えられている点が、図3乃至図7に示した実施形態と異なる。ブロワー37を作動させると、管36を介して発酵槽f4上部のガスが抜き取られ、管38を介してガス貯留部g内にガスが圧入され、前述の噴出が起こる。この噴出によって、前述と同様の循環的流れが生じ、液が攪拌される。
本実施形態においては、必要に応じて任意に攪拌できる利点がある。例えば、運転開始直後等、生物ガスの発生が少なく、攪拌回数が少ない場合、強制攪拌ができ、これによって発酵を活性化することが可能である。
図10は、本発明のまた別の一実施形態を示す図8に対応する平面図であり、発酵槽f5を加温するための温水槽39を備える点が図8の装置と異なる。循環する液は発酵槽f5で加温される。液は発酵槽f5通過後次第にその温度が低下していくが、発酵槽f5に至り、ここで再び加温される。加温には、電気ヒーター等他の方法を用いてもよい。温水槽39の水温は35〜45℃に維持するのが適当である。本実施形態においては、加温設備が小さくなる利点があり、施設費の低下につながる。
図11及び図12は、本発明のまた別の一実施形態を示す図面であり、図11は、10に対応する平面図、図12はG−G縦断面図である。発酵槽f5を加温するための温水槽39にガスホルダー40を備える点が図10の装置と異なる。ガスホルダー40は軟質管41及び管11で他の発酵槽と連絡されている。発酵槽上部の生物ガスは、ガスホルダー40の重量によって決まる一定の圧力で、軟質管41及び管11を介して、脱硫器(図示せず)を経て、燃焼装置(図示せず)に供給される。ガスホルダーは、別の場所に独立して設けてもよいが、本実施形態は、施設費の低減につながるとともに、小規模施設には好適である。
このように本発明は、無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を導水路で効果的に連通しているので、ある発酵槽でガス噴出による攪拌が起こると、他の発酵槽内も流動し攪拌されるため、特許第4238515号公報の装置に比べて攪拌回数が多くなる。通常、1つの発酵槽ではおよそ1時間に1回の割合で噴出が起こる。例えば、図3乃至図7に示した装置では、発酵槽が6個あるので、およそ1時間に6回の割合の噴出とそれに伴う流動が起こる。これによって、より効率的なメタン発酵が可能となる。同時に、無動力攪拌を備えるので、撹拌動力が不要、省エネルギー、維持管理が容易等のメリットがある
また本発明は、処理量に応じて無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を必要な数だけ効果的に連通して装置を構成するので、同形の無動力攪拌機構付発酵槽を工場で大量生産し、これらを現場で連結することができ、建設費の低廉化につながる。例えば、直径およそ1.3m高さおよそ2.3mの円筒形無動力攪拌機構付発酵槽を工場で大量生産する。これらをトラックで13個輸送し、現場で結合すると、35℃程度の中温発酵で、処理能力およそ2m3/日のメタン発酵装置が出来上がる。また本発明は、処理量に応じて無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を必要な数だけ効果的に連通して装置を構成するので、中途で処理能力を強化したい場合、無動力攪拌機構付発酵槽を必要な数だけ追加設置することで簡単に対応できる。
また、本発明の装置は、液体と接触する機械的な部分がないので、故障や腐蝕の心配もない。槽内液は、太いパイプ内を通るだけなので、目詰まりがない。
図1及び図2は、本発明の装置の一実施形態を示す図面であり、図1は平面図、図2はA−A縦断面図である。発酵槽f1、f2 f3内は隔壁bにより上下に区画され,隔壁b上方の上部発酵部u,下部醗酵部dが形成されている。導水管pは、隔壁bを貫通し、その下端が隔壁bのやや下方にほぼ水平に開口し、その上端は、隔壁b上方に開口し、ほぼ鉛直に設けられている。隔壁b、発酵槽側壁及び導水管p外壁面により、ガス貯留部gが形成されている。発酵槽f1、f2、f3は、管1、2、によってそれぞれの上部発酵部uが連絡され、管3、4によってそれぞれの下部発酵部dが連絡されている。
次に、図1及び図2により本実施形態の作動の状況を説明する。メタン発酵槽内においては、糖発酵細菌群の作用により、有機物がアミノ酸、低級脂肪酸等に低分子化される。この低分子化された有機物を、メタン菌は、吸収し増殖すると共に、液中にメタンガス,炭酸ガスを主成分とする生物ガスを排出する。この生物ガスの大部分は,気泡となり、メタン発酵槽内を上昇する。上部醗酵部uで発生する生物ガスは、メタン発酵槽内上方に溜まる。下部醗酵部dで発生する生物ガスは、ガス貯留部g内に溜まる。以後発酵槽f2に着目すると、液面s2は、液体の固体に対する付着力及び表面張力による作用により、導水管pの下端の位置より下方まで下降する。やがて、液体の固体に対する付着力及び表面張力による作用が限界に達すると、ガス貯留部gの生物ガスは、導水管p下端開口部の周囲から瞬時に導水管p内に流入し、導水管p内の液を押し上げながら、導水管p内にガス層を形成する。すぐに、ガス層は、導水管p内ガス層上方の液の大部分を押し上げ、導水管p内ガス層下方の液を引き上げながら、導水管p内を上昇し、液と共に導水管p上端より勢いよく噴出する。このとき液面s2のスカムも液と共に引き上げられ、液面s2にスカムは蓄積しない。また、液面s1には大きな波動が生じスカムは蓄積しない。同時に噴出した液に相当する液が連通管r2、管3、管4より下部醗酵部dに流入してくる。同時に上部醗酵部uの液が管1、管2より発酵槽f1、f2へ流出する。この噴出と噴出に伴う下部醗酵部dへの液の引き込みによって、発酵槽f2内の液は流動し、撹拌される。また、発酵槽f2で生じた噴出によって、発酵槽f1内には、管1から管3に至る液の流れとそれに伴う流動が生じる。同様に、発酵槽f3内には、管2から管4に至る液の流れとそれに伴う流動が生じる。発酵槽f2において、以後周期的にこの噴出が繰り返される。また、発酵槽f1及びf3においても同様の噴出が周期的に繰り返され、この噴出によって他の発酵槽内にも前述した作用と同様の作用で液の流動が生じる。これらの流動攪拌によって発酵が促進される。発生する生物ガスは、管11を介して脱硫装置(図示せず)を経て、ガスホルダー(図示せず)へ送られる。
被処理物は管7を介して投入槽5に入れ、ポンプ13により管12を介して返送される処理液と混合し、管6を介して発酵槽f1下部醗酵部dへ投入する。処理物は開閉弁9を開け、管10を介して、処理水槽8に抜き取る。処理液はポンプ14により管15を介して固液分離工程等に送られる。もちろん、被処理物の投入方法、処理液の抜き取り方法は、これに限定されるものではない。
連通管r1、r2、r3は設けなくてもよいが、設けた場合、それぞれの発酵槽内での循環流動が起こる。設ける場合は、連通管r1、r2、r3の流積は管3、管4の流積より小さくし、管3及び管4の流量を大きくする。
1回の噴出による撹拌の強さは、ガス貯留部g気液接触面積の導水管p断面積に対する比、導水管p下端の水深、及び導水管p断面積によって決まる。ガス貯留部g気液接触面積の導水管p断面積に対する比及び導水管p下端の水深が大きいほど、導水管p内に形成されるガス層の高さが増加し、上昇速度が大きくなるので、より激しい噴出と噴出に伴う激しい下部醗酵部dへの液の引き込みが起こり、撹拌力が増加する。また、導水管p断面積が大きいほど、大量の液の噴出と噴出に伴う下部醗酵部dへの大量の液の引き込みが起こり、撹拌力が増加する。ガス貯留部g気液接触面積の導水管p断面積に対する比はほぼ50以上が適当である。導水管p下端の水深は1m以上が適当である。
導水管p下端の断面は、ほぼ水平にする。これにより、生物ガスが導水管p内に一様に流入し、効果的にガス層が形成される。導水管pの口径が大きい場合、この水平性が特に要求される。
本実施形態においては、連続的に上昇してくる生物ガスをガス貯留部g内に溜め込み、瞬時に放出するので、1回の噴出の大きさは変わらない。メタン菌が発生する生物ガスだけで、大きな撹拌力が得られる。スカムの蓄積や汚泥の沈積を防止できる。
図3乃至図7は、本発明の別の一実施形態を示す図面であり、図3は平面図、図4はB−B、図5はC−C、図6はD−D、図7はE−Eそれぞれ縦断面図である。本実施形態は、メタン発酵槽f4、f5、f6、f7、f8、f9が上部醗酵部uと下部醗酵部dを連絡する管16、17、18、19、20、21によって一つの循環流路を形成している点、さらに管16、17、18、19、20、21には上部醗酵部uから下部醗酵部dへの流れを許す逆止弁30、31、32、33、34、35が設けられ流れの逆止機構が構成されている点が、図1及び図2の装置と異なる。
例えば、前述の導水管p上端からの噴出が発酵槽f5で生じると、逆止弁30が開き、管16を介して発酵槽f4上部醗酵部uから発酵槽f5下部醗酵部dへ液が引き込まれる。その後すぐに逆止弁30は閉じ、水位差によって発酵槽f5から順次、f6、f7、f8、f9、f4へと液が流れる。この循環的流れとそれに伴う流動によって各発酵槽内液は攪拌される。以後発酵槽f5では、周期的にこの噴出が繰り返される。発酵槽f4、f6、f7、f8、f9においても同様の噴出が周期的に繰り返され、この噴出によって他の発酵槽内にも前述した作用と同様の作用で液の流動が生じる。この流動攪拌によって発酵が促進される。
被処理物は管6を介して投入槽5に定量ポンプ等で小分けして投入する。被処理物は管7を介して発酵槽f4に流入し、管21を介して発酵槽f9から送られてくる液と混合され、管16を介して発酵槽f5へ送られる。
本実施形態においては、発酵槽内の液は循環しているので、被処理物を1か所で投入しても、発酵槽内の液に被処理物を均等に添加することができる。また、流れの逆止機構が構成されているので、一つの発酵槽で生じた噴出により、その発酵槽内の液が流動攪拌されることはもとより、他のすべての発酵槽内の液も確実に流動する。逆止機構がない場合(後述)と比べて、逆流がないので単位時間当たりの液移動量も多く、1回の循環に要する時間が短くなる。
別の実施形態(図示せず)として、図3乃至図7に示した実施形態において、この流れの逆止機構は設けない場合を説明する。本実施形態は、図3乃至図7において逆止弁30、31、32、33、34、35が設けられていない点が図3乃至図7に示した実施形態と異なる。本実施形態においても、前述と同様に、各発酵槽の導水管p上端からの噴出によって循環的流れが生じ、各発酵槽内は攪拌される。本実施形態では、逆流があるので、単位時間当たりの液移動量は図3乃至図7に示した実施形態の場合より少なく、1回の循環に要する時間が長くなる。しかし、逆止弁の費用はないので安価となる。
図8及び図9は、本発明の別の一実施形態を示す図面であり、図8は平面図、図9はF−F縦断面図である。本実施形態は、発酵槽f4に管36、ブロワー37及び管38が備えられている点が、図3乃至図7に示した実施形態と異なる。ブロワー37を作動させると、管36を介して発酵槽f4上部のガスが抜き取られ、管38を介してガス貯留部g内にガスが圧入され、前述の噴出が起こる。この噴出によって、前述と同様の循環的流れが生じ、液が攪拌される。
本実施形態においては、必要に応じて任意に攪拌できる利点がある。例えば、運転開始直後等、生物ガスの発生が少なく、攪拌回数が少ない場合、強制攪拌ができ、これによって発酵を活性化することが可能である。
図10は、本発明のまた別の一実施形態を示す図8に対応する平面図であり、発酵槽f5を加温するための温水槽39を備える点が図8の装置と異なる。循環する液は発酵槽f5で加温される。液は発酵槽f5通過後次第にその温度が低下していくが、発酵槽f5に至り、ここで再び加温される。加温には、電気ヒーター等他の方法を用いてもよい。温水槽39の水温は35〜45℃に維持するのが適当である。本実施形態においては、加温設備が小さくなる利点があり、施設費の低下につながる。
図11及び図12は、本発明のまた別の一実施形態を示す図面であり、図11は、10に対応する平面図、図12はG−G縦断面図である。発酵槽f5を加温するための温水槽39にガスホルダー40を備える点が図10の装置と異なる。ガスホルダー40は軟質管41及び管11で他の発酵槽と連絡されている。発酵槽上部の生物ガスは、ガスホルダー40の重量によって決まる一定の圧力で、軟質管41及び管11を介して、脱硫器(図示せず)を経て、燃焼装置(図示せず)に供給される。ガスホルダーは、別の場所に独立して設けてもよいが、本実施形態は、施設費の低減につながるとともに、小規模施設には好適である。
このように本発明は、無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を導水路で効果的に連通しているので、ある発酵槽でガス噴出による攪拌が起こると、他の発酵槽内も流動し攪拌されるため、特許第4238515号公報の装置に比べて攪拌回数が多くなる。通常、1つの発酵槽ではおよそ1時間に1回の割合で噴出が起こる。例えば、図3乃至図7に示した装置では、発酵槽が6個あるので、およそ1時間に6回の割合の噴出とそれに伴う流動が起こる。これによって、より効率的なメタン発酵が可能となる。同時に、無動力攪拌を備えるので、撹拌動力が不要、省エネルギー、維持管理が容易等のメリットがある
また本発明は、処理量に応じて無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を必要な数だけ効果的に連通して装置を構成するので、同形の無動力攪拌機構付発酵槽を工場で大量生産し、これらを現場で連結することができ、建設費の低廉化につながる。例えば、直径およそ1.3m高さおよそ2.3mの円筒形無動力攪拌機構付発酵槽を工場で大量生産する。これらをトラックで13個輸送し、現場で結合すると、35℃程度の中温発酵で、処理能力およそ2m3/日のメタン発酵装置が出来上がる。また本発明は、処理量に応じて無動力攪拌機構を備える複数の発酵槽を必要な数だけ効果的に連通して装置を構成するので、中途で処理能力を強化したい場合、無動力攪拌機構付発酵槽を必要な数だけ追加設置することで簡単に対応できる。
また、本発明の装置は、液体と接触する機械的な部分がないので、故障や腐蝕の心配もない。槽内液は、太いパイプ内を通るだけなので、目詰まりがない。
1は管、2は管、3は管、4は管、5は投入槽、6は管、7は管、8は処理水槽、9は開閉弁、10は管、11は管、12は管、13はポンプ、14はポンプ、15は管、16は管、17は管、18は管、19は管、20は管、21は管、30は逆止弁、31は逆止弁、32は逆止弁、33は逆止弁、34は逆止弁、35は逆止弁、36は管、37はブロワー、38は管、39は温水槽39、40はガスホルダー、41は軟質管、s1は液面、s2は液面、dは下部醗酵部、uは上部醗酵部、gはガス貯留部、r1は連通管、r2は連通管、r3は連通管、f1は発酵槽、f2は発酵槽、f3は発酵槽、f4は発酵槽、f5は発酵槽、f6は発酵槽、f7は発酵槽、f8は発酵槽、f9は発酵槽、bは隔壁、pは導水管である。
実線矢印は液の流れの方向を示す。
実線矢印は液の流れの方向を示す。
Claims (9)
- 発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留するための、隔壁bにより形成されたガス貯留部g、及びその隔壁bのやや下方に開口し、隔壁bの上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水管p、より成る攪拌装置を備える発酵槽の複数個を導水路によって連絡するとともに、ガス貯留部g内のガスを間欠的に導水管p内に噴出させ、この発酵槽内の液を流動攪拌すると同時に他の発酵槽内の液も流動攪拌することを特徴とするメタン発酵法。
- 複数の発酵槽を備えるメタン発酵装置であって、発酵槽内に、発生するガスを捕集し貯留するための、隔壁bにより形成されたガス貯留部g、及びその隔壁bのやや下方に開口し,隔壁bの上方に開口するほぼ鉛直に設けられた導水管p、より成る無動力攪拌機構を備えるとともに、該複数の発酵槽が導水路によって連絡されていることを特徴とするメタン発酵装置。
- 複数の発酵槽が、隔壁bの上部と上部及び隔壁bの下部と下部が導水路で連絡されていることを特徴とする請求項2記載のメタン発酵装置。
- 複数の発酵槽が、隔壁bの上部と下部が導水路で連絡されていることを特徴とする請求項2記載のメタン発酵装置。
- 複数の発酵槽が、導水路によって連絡され、1つの循環流路を構成することを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4記載のメタン発酵装置。
- 複数の発酵槽より成る発酵装置に流れの逆止機構を備えることを特徴とする請求項5記載のメタン発酵装置。
- 少なくとも1つの発酵槽のガス貯留部内に気体を圧入するための管が開口配備されていることを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6記載のメタン発酵装置。
- 少なくとも1つの発酵槽に加温装置を備えることを特徴とする請求項5または請求項6または請求項7記載のメタン発酵装置。
- 少なくとも1つの発酵槽にガスホルダーを備えることを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8記載のメタン発酵装置。
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JP2018167170A (ja) * | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 住友重機械エンバイロメント株式会社 | 消化設備 |
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CN102531167B (zh) * | 2012-02-08 | 2013-06-26 | 牟秀元 | 折流式殊导流厌氧反应器 |
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