JP2010268618A - コイルの巻回構造、ステータおよび回転電機ならびに車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い占積率を確保しながら渦電流損を低減することが可能なコイルの巻回構造、ならびに該巻回構造を含むステータ、回転電機および車両を提供する。
【解決手段】コイルの巻回構造は、ティース部221Aと、扁平断面の巻線からなり、ティース部221Aに巻回されるステータコイル222とを備え、ステータコイル222におけるティース部221A上に位置する部分に、ステータコイル222がティース部221Aの根元側に突出するようにステータコイル222を屈曲させた屈曲部222Aが形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、コイルの巻回構造、ステータおよび回転電機ならびに車両に関し、特に、扁平断面の巻線からなるコイルの巻回構造、ならびに該巻回構造を含むステータ、回転電機および車両に関する。
特開2005−304244号公報(特許文献1)には、扁平断面の巻線からなるエッジワイズ型のコイルが開示されている。
特開2006−60894号公報(特許文献2)には、コイルが巻回されるティース部の先端に鍔部を設け、コイルの鍔部側の端面と鍔部との間に空隙を設けることが記載されている。
特開2006−6015号公報(特許文献3)には、コイルが巻回されるティース部の先端に鍔部を設け、鍔部の一部をティース部本体を形成している材料の透磁率よりも高い透磁率を有する透磁性材料から構成することが記載されている。
特開2005−304244号公報 特開2006−60894号公報 特開2006−6015号公報
特許文献1に示されたような、扁平断面の巻線からなるエッジワイズ型コイルでは、丸線からなるコイルと比較して、占積率を高めることができるものの、渦電流損が発生しやすいという問題がある。
特許文献2,3に記載の構造は、エッジワイズ型のコイルにおける渦電流損の発生を抑制するという観点では、必ずしも十分なものではない。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高い占積率を確保しながら渦電流損を低減することが可能なコイルの巻回構造、ならびに該巻回構造を含むステータ、回転電機および車両を提供することにある。
本発明に係るコイルの巻回構造は、ティース部と、扁平断面の巻線からなり、ティース部に巻回されるコイルとを備え、コイルにおけるティース部上に位置する部分に、コイルがティース部の根元側に突出するようにコイルを屈曲させた屈曲部が形成されている。
上記構成によれば、ティース部の根元側に突出するようにコイルを屈曲させた屈曲部を該コイルにおけるティース部の幅方向中央部に位置する部分に形成することにより、高い占積率を確保しながら、ティース部の先端とコイルとを離間させて渦電流損を低減することができる。
1つの実施態様では、上記コイルの巻回構造は、1つのコイルが1つのティース部に対して巻回される集中巻構造を有する。
1つの実施態様では、上記コイルの巻回構造において、コイルの内周面はティース部の先端と離間し、コイルの外周面は内周面よりもティース部の先端側に突出する。
なお、上記『内周面』は、コイルにおけるティース部と対向する面を意味し、『外周面』は、上記『内周面』と反対側の面を意味する。
本発明に係るステータは、上述したコイルの巻回構造を含む。
本発明に係る回転電機は、上述したステータを含む。
本発明に係る車両は、上述した回転電機を含む駆動ユニットを備える。
本発明によれば、扁平断面の巻線からなるコイルにおいて、渦電流損の発生を抑制することができる。
本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を含む車両の駆動ユニットが適用されるハイブリッド車両の構成を示す概略図である。 本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を含む車両の駆動ユニットの構成を示す概略図である。 本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を含むステータの断面斜視図である。 本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を示す上面図である。 本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を示す上面断面図である。 比較例に係るコイルの巻回構造を示す上面図である。 比較例に係るコイルの巻回構造を示す上面断面図である。 本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を形成する過程を示す図(その1)である。 本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を形成する過程を示す図(その2)である。 図9に示すコイルを矢印Xの方向から見た状態を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
図1は、本発明の1つの実施の形態に係るコイルの巻回構造を含む車両の駆動ユニットが適用されるハイブリッド車両の構成を示す概略図である。図1を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド車両は、エンジン1と、駆動ユニット2と、PCU3と、バッテリ4とを含んで構成される。駆動ユニット2は、ケーブル3Aを介してPCU3と電気的に接続される。また、PCU3は、ケーブル4Aを介してバッテリ4と電気的に接続される。
内燃機関であるエンジン1は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。駆動ユニット2は、エンジン1とともに車両を駆動する駆動力を発生させる。エンジン1および駆動ユニット2は、ともにハイブリッド車両のエンジンルーム内に設けられている。また、PCU3は、駆動ユニット2の動作を制御する制御装置である。
図2は、駆動ユニット2の内部構造について説明するための模式図である。図2を参照して、駆動ユニット2は、モータジェネレータ100,200と、動力分割機構300と、カウンタギヤ400と、ディファレンシャルギヤ500とを含んで構成される。
モータジェネレータ100,200は、電動機および発電機の少なくとも一方の機能を有する回転電機である。動力分割機構300は、モータジェネレータ100,200の間に設けられる。カウンタギヤ400は、動力分割機構300とディファレンシャルギヤ500との間に設けられる。そして、ディファレンシャルギヤ500は、ドライブシャフト受け部を介してドライブシャフトと接続される。モータジェネレータ100,200、動力分割機構300、カウンタギヤ400およびディファレンシャルギヤ500は、ケーシング内に収納される。
モータジェネレータ100,200は、ケーブル3Aと電気的に接続される。ケーブル3Aの他端は、図1に示すように、PCU3に接続される。これにより、バッテリ4とモータジェネレータ100,200とが、PCU3およびケーブル3A,4Aを介して電気的に接続される。
モータジェネレータ100,200は、それぞれ、ロータ110,210と、ステータ120,220とを含んで構成される。ステータ120,220は、ステータコア121,221と、ステータコア121,221に巻回されるステータコイル122,222とを含む。
動力分割機構300は、プラネタリギヤ310,320を含んで構成される。プラネタリギヤ310,320は、それぞれ、サンギヤ311,321、ピニオンギヤ312,322、プラネタリキャリヤ313,323およびリングギヤ314,324を含んで構成される。
エンジン1のクランクシャフト1Aと、モータジェネレータ100のロータ110と、モータジェネレータ200のロータ210とは、同じ軸を中心に回転する。
プラネタリギヤ310におけるサンギヤ311は、クランクシャフト1Aに軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸に結合される。リングギヤ314は、クランクシャフト1Aと同軸上で回転可能に支持されている。ピニオンギヤ312は、サンギヤ311とリングギヤ314との間に配置され、サンギヤ311の外周を自転しながら公転する。プラネタリ
キャリヤ313は、クランクシャフト1Aの端部に結合され、各ピニオンギヤ312の回転軸を支持する。
モータジェネレータ200のロータ220は、減速機としてのプラネタリギヤ320を介して、プラネタリギヤ310のリングギヤ314と一体的に回転するリングギヤケースに結合されている。
プラネタリギヤ320は、回転要素の1つであるプラネタリキャリヤ323が車両駆動装置のケースに固定された構造により減速を行なう。すなわち、プラネタリギヤ320は、ロータ210のシャフトに結合されたサンギヤ321と、リングギヤ314と一体的に回転するリングギヤ324と、リングギヤ324およびサンギヤ321に噛み合い、サンギヤ321の回転をリングギヤ324に伝達するピニオンギヤ322とを含む。
車両の走行時において、エンジン1から出力された動力は、クランクシャフト1Aに伝達され、動力分割機構300により2経路に分割される。
上記2経路のうちの一方は、カウンタギヤ400から、ディファレンシャルギヤ500を介してドライブシャフトに伝達される経路である。ドライブシャフトに伝達された駆動力は、駆動輪に回転力として伝達されて、車両を走行させる。
もう一方は、モータジェネレータ100を駆動させて発電する経路である。モータジェネレータ100は、動力分割機構300により分配されたエンジン1の動力により発電する。モータジェネレータ100により発電された電力は、車両の走行状態や、バッテリ4の状態に応じて使い分けられる。たとえば、車両の通常走行時および急加速時においては、モータジェネレータ100により発電された電力はそのままモータジェネレータ200を駆動させる電力となる。一方、バッテリ4において定められた条件の下では、モータジェネレータ100により発電された電力は、PCU3内に設けられたインバータおよびコンバータを介してバッテリ4に蓄えられる。
モータジェネレータ200は、バッテリ4に蓄えられた電力およびモータジェネレータ100により発電された電力のうちの少なくとも一方の電力により駆動する。モータジェネレータ200の駆動力は、カウンタギヤ400からディファレンシャルギヤ500を介してドライブシャフトに伝達される。このようにすることで、モータジェネレータ200からの駆動力によりエンジン1の駆動力をアシストしたり、モータジェネレータ200からの駆動力のみにより車両を走行させたりすることができる。
一方、車両の回生制動時には、駆動輪は車体の慣性力により回転させられる。駆動輪からの回転力によりドライブシャフト、ディファレンシャルギヤ500およびカウンタギヤ400を介してモータジェネレータ200が駆動される。このとき、モータジェネレータ200が発電機として作動する。このように、モータジェネレータ200は、制動エネルギーを電力に変換する回生ブレーキとして作用する。モータジェネレータ200により発電された電力は、PCU3内に設けられたインバータを介してバッテリ4に蓄えられる。
図3は、ステータ220の断面斜視図である。図3を参照して、ステータ220は、ステータコア221およびステータコイル222の他、コイルエンドカバー223、内径側カバー224、およびリング225を含む。
コイルエンドカバー223は、ステータコイル222のコイルエンドを覆うように形成される。なお、コイルエンドとは、ステータコイル222のうち、ステータコア221の軸方向端面上に位置する部分を意味する。
内径側カバー224は、ステータコア221の内周面上、すなわち、ティース部221Aの先端上に設けられる。リング225は、ステータコア221の外周面上に設けられる。リング225は、周方向に複数に分割して形成されたステータコア221を締結する締結リングとして機能する。
上述のように、コイルエンドカバー223により、ステータコイル222のコイルエンドが覆われている。したがって、コイルエンドカバー223内に(矢印DR223方向に)冷媒を流すことにより、ステータコイル222の冷却を促進することができる。上記冷媒としては、駆動ユニット2を構成するケーシング内を循環するオイルが供給される。
次に、図4を用いて、ステータコア221に巻回されるステータコイル222の構造について説明する。図4に示すように、ステータコア221には、径方向内方に向けて突出するティース部221Aが設けられ、ティース部221Aにステータコイル222が巻回される。本実施の形態に係るステータコイル222は、断面が扁平の略四角形形状を有する巻線からなるエッジワイズ型コイルである。扁平断面の巻線からなるエッジワイズコイルは、占積率が高くなるという利点を有するが、渦電流損が発生しやすいという課題がある。したがって、高い占積率を確保しながら、渦電流損の発生を抑制することが重要である。このようにすることで、モータジェネレータの動作効率を向上させることができる。
次に、図4〜図7を用いて、本実施の形態に係るコイルの巻回構造について説明する。なお、図4(上面図),図5(上面断面図)は、本実施の形態に係るコイルの巻回構造を示す図であり、図6(上面図),図7(上面断面図)は、比較例に係るコイルの巻回構造を示す図である。
図4〜図7を参照して、図6,図7に示す比較例に係るコイルの巻回構造においては、ステータコア2210のティース部2210Aに巻回されるステータコイル2220が、ティース部2210Aの先端にまで達するように巻回されるのに対し、図4,図5に示す本実施の形態に係るコイルの巻回構造においては、ステータコイル222の中央部に屈曲部222Aを設けることにより、図6,図7に示す比較例と同じ巻数を確保しながらも、ティース部221Aの先端とステータコイル222とを離間させている。屈曲部222Aは、ステータコイル222をティース部221Aの根元側に突出させるように形成されている。
上述のとおり、略長方形の断面の巻線から構成されたエッジワイズコイルでは、占積率を向上させることができるものの、渦電流は、部材の厚み(ここでは、長方形の長辺の長さ)の2乗に比例して大きくなるため、丸線から構成されるコイルと比較して、渦電流による損失が大きくなりやすいという傾向にある。渦電流は、ティース部の先端近傍において、特に発生しやすい。渦電流の発生を抑制するため、コイルの巻回数を減らしてティース部221Aの先端とステータコイル222とを離間させることも考えられるが、そのようにした場合、コイルの占積率が低下し、エッジワイズ型コイルの利点が損なわれる。
本実施の形態に係るコイルの巻回構造においては、上述の屈曲部222Aを設けることにより、渦電流が発生しやすいティース部221Aの先端近傍とステータコイル222とを離間させることができるので、高い占積率を確保しながら、渦電流損を低減することができる。結果として、モータジェネレータの動作効率が向上する。
次に、図8〜図10を用いて、本実施の形態に係るコイルの巻回構造を形成する過程について説明する。
まず、図8に示すように、平角線を巻回してコイルを形成する。次に、図9,図10に示すように、巻回されたコイルをプレスして屈曲部222Aを形成する。その後、屈曲部222Aが形成されたステータコイル222をステータコア221のティース部221Aに取り付ける。
なお、コイルの巻回構造の形成過程は、上述のものに限定されず、たとえば、屈曲部222Aを形成する前のステータコイル222をステータコア221のティース部221Aに取り付けた後に、ステータコイル222に屈曲部222Aを形成するようにしてもよい。また、平角線を巻回した後にティース部221Aに取り付ける代わりに、ティース部221Aに平角線を巻回することによりコイルを形成してもよい。
上述した内容について要約すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係るコイルの巻回構造は、ティース部221Aと、扁平断面の巻線からなり、ティース部221Aに巻回されるステータコイル222とを備え、ステータコイル222におけるティース部221A上(たとえば、ティース部221Aの幅方向中央部)に位置する部分に、ステータコイル222がティース部221Aの根元側に突出するようにステータコイル222を屈曲させた屈曲部222Aが形成されている。
より具体的には、ステータコイル222の内周面222Bはティース部221Aの先端と離間し、ステータコイルの外周面222Cは内周面222Bよりもティース部221Aの先端側に突出している。
なお、本実施の形態では、1つのステータコイル222が1つのティース部221Aに対して巻回される集中巻構造の例について説明したが、本発明の思想は、1つのステータコイル222を複数のティース部221Aに亘って巻回する分布巻構造に対しても適用し得る。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 エンジン、1A クランクシャフト、2 駆動シャフト、3 PCU、3A,4A ケーブル、4 バッテリ、100,200 モータジェネレータ、110,210 ロータ、120,220 ステータ、121,221,2210 ステータコア、221A,2210A ティース部、122,222,2220 ステータコイル、222A 屈曲部、223 コイルエンドカバー、224 内径側カバー、225 リング、300 動力分割機構、310,320 プラネタリギヤ、311,321 サンギヤ、312,322 ピニオンギヤ、313,323 プラネタリキャリヤ、314,324 リングギヤ、400 カウンタギヤ、500 ディファレンシャルギヤ。

Claims (6)

  1. ティース部と、
    扁平断面の巻線からなり、前記ティース部に巻回されるコイルとを備え、
    前記コイルにおける前記ティース部上に位置する部分に、前記コイルが前記ティース部の根元側に突出するように前記コイルを屈曲させた屈曲部が形成された、コイルの巻回構造。
  2. 1つの前記コイルが1つの前記ティース部に対して巻回される集中巻構造を有する、請求項1に記載のコイルの巻回構造。
  3. 前記コイルの内周面は前記ティース部の先端と離間し、前記コイルの外周面は前記内周面よりも前記ティース部の先端側に突出する、請求項1または請求項2に記載のコイルの巻回構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のコイルの巻回構造を含む、ステータ。
  5. 請求項4に記載のステータを含む、回転電機。
  6. 請求項5に記載の回転電機を含む駆動ユニットを備えた、車両。
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