JP2010268138A - 色調整装置、色調整方法、プログラム - Google Patents

色調整装置、色調整方法、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】画像形成装置の色域内に含まれる色で、色弱者にとって色弁別性が向上した色に、色を調整する色調整装置、色調整方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】一対の色の色差を変更する色調整装置100であって、複数の色を有する入力色信号を記憶した記憶手段22と、入力色信号を錐体応答色空間の中間色信号LMSへと変換する色変換手段51と、中間色信号LMSに対し、第1の色調整を施す第1の色調整手段1と、画像形成装置102の色域情報を記憶する色域情報記憶手段56と、第1の色調整により調整された第1の調整後中間色信号LMS'が、色域情報の色域に含まれるか否かを判定し、第2の色調整を施された場合には、第2の色調整により調整された第2の調整後中間色信号L'M'Sが、色域情報の色域に含まれるか否かを判定する内外判定手段55と、を有することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、色調整装置等に関し、特に、グラフなどの塗り分けに使われるような色を含むような入力色信号を色調整する色調整装置、色調整方法及びプログラムに関する。
カラー画像を表示、印刷するといったカラー画像出力技術が発達し、また、普及したことにより、個人や企業が作成する文書、Webページ(以下、単に「文書」という)といったものには、多彩な色付き文字やカラー画像が使用されるようになった。カラーの画像形成装置で文書を印刷すれば、元の画像データの配色と同程度の配色で印刷物が得られる。
このようなカラー画像の文書では、注意を促す表記やグラフのグループ分けに色付き文字が用いられたり、複数の色による塗り分けが施されることがあり、色そのものに重要な情報を持たせている場合が多い。そのため、これらの文書の内容を、人が正しく理解するためには、文字や画像を認識する能力に加え、用いられている色の違いを判別する能力も求められる。
ところが、多彩な色を用いた文書は、通常の色覚を持った人々に対しては文書の持つ情報を理解させやすいが、色覚に障害を持った人々にとっては必ずしもそうではない。例えば、赤と緑の判別が難しい色覚タイプの人が存在する。そのような色覚特性を持った人々にとっては、赤、緑、青の3要素を使ったグラフがあったとして、赤と緑の区別がしにくく、場合によっては全く区別がつかない。このため、青とそれ以外の2要素から構成されたグラフとしか認識できない場合がある。また、カラーの画像形成装置は非常に多くの色を表現できるため、一般的な色覚特性を持った人々にとっても識別しづらい配色がなされた文書が作成されることもある。
人間の色覚に関する生理的、医学的研究によると、これまで色覚障害には、上述のような、赤と緑の判別が困難な赤緑色盲、また、黄青色盲、全色盲といった型があることが知られている。最近では、CUDO(NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構)が、色覚が正常又は異常という線引きではなく、C(Common)型/P(Protanope)型(強度・弱度)(赤緑色盲又は色弱に相当)/D(Deuteranope)型(強度・弱度)(赤緑色盲又は色弱に相当)/T(Tritanope)型(黄青色盲に相当)/A(Achromaic)型(全色盲に相当)といった色覚の区分を提唱した。この色覚の区分では、色覚を型名で呼び、C型色覚の人を一般色覚者、それ以外の、色の認識に関して弱い部分のある人を色弱者と呼ぶことを提唱している(例えば、非特許文献1参照。)。
このような色弱者による、カラーの文書の複数の色同士の弁別性を向上させる技術が考えられている(例えば、非特許文献2参照。)。非特許文献2には、錐体応答に相関性の高い、LMS色空間におけるS成分(S錐体刺激値)や輝度Y(L+M)成分のコントラストを強調する画像処理方法が開示されている。
図10は、非特許文献2による画像処理を説明する図の一例である。図10のグラフは、LMS色空間におけるS成分の入力をX軸に、γ変換後の出力をY軸にとる。まず、sRGB 空間における、適当に選定した11色に加え、黒色点(BP)と白色点(WP)、計13色の色信号(すなわち、13点の色信号がある)を、変換手段(例えばプログラム)がLMS色空間の信号に変換(変換方法については発明の詳細な説明にて説明する)した。そして、図10では、S成分を横軸(S_in)とし、γ変換によって調整したS成分を縦軸(S_out)にしてプロットしている。図10に示すように、A領域の2点のS成分の差分値ΔS_Ainは、γ変換によってその差異が強調され、ΔS_Aoutになっている。
また、この他にも、カラー文書の色の弁別性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。特許文献1には、画像信号をL*a*b*表色系に変換し、b*軸成分のコントラストを強調(γ補正)する色弁別性を向上させる技術が開示されている。
特許文献2には、配色の構造属性を分析し、識別できない配色の文書に対し、「縮退面での色差が閾値以上になる」かつ「一般色覚者が色認知を変えない」ように、色認知特性データベースを参照して文書の色修正を行う色修正プログラムが開示されている。
特許文献3には、予め、認識し難い色成分のRGB値の範囲を設定しておき、カラーの文字が抽出された場合、上記の範囲に該当する色情報を、予め定められた色変換ルールに基づき変換する色変換システムが開示されている。
特許文献4には、予め色弱者毎に誤認傾向のある色に関する情報を登録しておき、カラーの文書が入力されると登録情報を参照してカラーの文書にそれらの色が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には、その色を所定の色に変換する画像形成装が開示されている。
しかしながら、非特許文献2においては、次のような問題がある。図10のA領域とB領域にある、比較的S成分が近い色同士が、L成分又はM成分も比較的近い値を取っていて、それぞれ色弱者にとって識別しづらい色であった場合、差分値ΔS_Ainは拡大されてΔS_Aoutになる。しかし、一律にγ変換を施すため、S成分の絶対値が中程度のB領域においては、ΔS_BinがΔS_Boutに変換されるが、ΔS_BinとΔS_Boutとはほとんど同じなので、変換しても色弁別性が向上していない。
さらに、S成分の絶対値に着目すると(S_in=S_outのラインからの乖離量)、A領域ではΔS_Aしか変化しないが、B領域ではΔS_Aよりも大きいΔS_Bだけ変化し、A領域に比べて大きく色が変化している。
このように、S成分について一律のγ変換を行う場合、差異の強調が不十分であったり、変換の前後で大きく色が変わってしまうという問題がある。また、B領域よりもさらに図の右側(S_inの値が大きい領域)にある色同士では、S_inとS_outを通過する近似曲線の傾きが小さくなり、S_in=S_outの差異が小さくなってしまう。これにより色弁別性がかえって悪化する可能性がある。この問題は、コントラストを強調する特許文献1においても同様である。
また、特許文献2においては、構造分析手段により、配色構造を分析し、色盲特性及び色認知特性データベースを用意しておくことが必要であるため、処理が非常に複雑で、対象とする色が比較的多い場合などは、保持しておくべきデータベースも膨大な容量になってしまうなど、実現は困難である。また、変換後の色を出力する画像出力装置の色域が考慮されていないため、色弁別性を上げても、出力装置の色域の制約により色が変わってしまい、色弁別性が保てない可能性がある。
また、特許文献3や4については、予め誤認傾向のある色の情報を保持しておき、それに該当する色が使われていた場合に所定の色変換を行うが、変換先の色情報に、元々の文書に比較的近い色が使われている可能性もあり、そのような場合には誤認傾向のある色と変換目標とする色の情報を細かく調整しなければならず、やはりデータベースが膨大な情報量になってしまう。逆に、粗く、少ない色数の情報しか保持しない場合には、似た傾向の色が同じ色に変換されてしまい、色弁別性を向上させることができない可能性がある。また、特許文献2と同様に、出力装置の色域が考慮されていないため、色弁別性が保てない可能性もある。
本発明は、上記課題に鑑み、画像形成装置の色域内に含まれる色で、色弱者にとって色弁別性が向上した色に、色を調整する色調整装置、色調整方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、一対の色の色差を変更する色調整装置であって、複数の色を有する入力色信号を記憶した記憶手段と、入力色信号を錐体応答色空間の中間色信号へと変換する色変換手段と、中間色信号に対し、第1の色調整を施す第1の色調整手段と、 中間色信号に対し、第2の色調整を施す第2の色調整手段と、画像形成装置の色域情報を記憶する色域情報記憶手段と、 前記第1の色調整により調整された第1の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定し、第2の色調整を施された場合には、前記第2の色調整により調整された第2の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定する内外判定手段と、を有することを特徴とする。
2つの手法で色調整するので、可能な限り色弁別性を向上させることができる。また、画像出力装置に色域の制約があっても、画像出力装置の色域内で印刷することができる。
画像形成装置の色域内に含まれる色で、色弱者にとって色弁別性が向上した色に、色を調整する色調整装置、色調整方法及びプログラムを提供することができる。
情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。 情報処理装置の一例として、MFPのハードウェア構成図の一例である。 情報処理装置の機能ブロック図の一例である。 情報処理装置が色調整する手順を示すフローチャート図の一例である。 入力色信号(11色)のRGB値の一例を示す図である。 sRGBから変換されたLMS値の一例を示す図である。 画像形成装置の色域情報の記述例を示す図である。 画像形成装置A及びBそれぞれの色域情報を表すテーブルの一例を示す図である。 マージされたテーブルの使用例を説明する図である。 従来の画像処理を説明する図の一例である(非特許文献2)。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態の画像処理(色調整)が適用される装置のハードウェア構成について例示する。本実施形態の色調整方法は、情報処理装置100であれば適用可能であり、一般的にはパーソナルコンピュータ、ワークステーション等を実体とすることができる。また、情報処理装置100を有する携帯電話、スマートフォン等にも適用できる。また、プリンタ、複写機、FAX装置、スキャナ装置、これらの2以上の機能を統合したMFP(Multi Function Peripheral)等にも好適に適用できる。
図1は情報処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置100は、プログラム読取装置12、マイコン13、マウス14、及び、キーボード15、を有する。マイコン13は、CPU21、RAM22、ROM23、DISK24及びNIC(ネットワークインターフェースカード)25を有する。情報処理装置100には、ディスプレイ101及びプリンタ102が接続されている。
CPU21は、DISK24に記憶されたプログラム10を、ワークエリア等として使用されるRAM22に読み出し実行することで、情報処理装置100の全体を制御する。また、ROM23にはCPU21を制御する制御プログラム、パラメータ、起動用プログラム等が記憶されている。DISK24は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)を実体とする。NIC25は、インターネットやLANなどに接続して通信データにプロトコル処理を施すことで、不図示のサーバ等と通信データを送受信することを可能にする。プログラム読取装置12は、記憶媒体11が脱着可能に構成されており、記憶媒体11にデータを書き込み、また、記憶媒体11からデータを読み出すことを可能にする。記憶媒体11は、例えば、CD−ROM、USBメモリ、EEPPROM、RAM、フラッシュメモリ、光磁気ディスク等を実体とする。DISK24に記憶されたプログラム10は、この記憶媒体11からプログラム読取装置12により読み出され、DISK24にインストールされる。また、情報処理装置100がこのプログラム10を、NIC25を介して不図示のサーバから受信し、DISK24にインストールしてもよい。
マウス14はユーザがポインティングデバイスをディスプレイ101上で移動させたり、アイコンを選択するための操作を受け付ける入力装置である。キーボード15は、ユーザが入力した文字や数字を情報処理装置100が受け付けるための入力装置である。ディスプレイ101は、グラフィックボードが生成する画面を表示する、液晶や有機EL等のフラットパネルディスプレイである。ユーザが直接、画面に触れることでアイコンの選択や文字、数字の入力を可能とするタッチパネルを備えていてもよい。プリンタ102は、電子写真技術、ジェルジェット技術、等により用紙にカラーの文書を印刷する。
本実施形態の情報処理装置100が色変換するカラーの文書(以下、カラー文書という)は、この情報処理装置100上でユーザがアプリケーションソフト(ペイント系アプリ、ドロー系アプリ、プレゼン用アプリ、ワープロアプリ等)を立ち上げマウス14やキーボード15を操作して生成すること、NIC25を介して不図示のサーバから情報処理装置100にダウンロードすること、又は、プログラム読取装置12が記憶媒体11から読み出すこと、等により情報処理装置100に入力される。入力されたカラー文書の画像データ(後述の入力色信号を有する)は、RAM22やDISK24に記憶される。CPU21は、プログラム10を実行してRAM22やDISK24に記憶されたカラー文書の画像データを色変換する。
このような構成を有する情報処理装置100において、CPU21がプログラム10を実行することで、後述する色変換部51、色差評価部52、色調整部1(符号は53)、色調整部2(符号は54)及び内外判定部55の各機能が実現される。また、後述する色域情報保持部56は、DISK24、RAM22、ROM23のいずれか1以上に実装される。なお、プログラム10を記憶した記憶媒体11がプログラム読み取り装置に装着されると、CPU21が自動的に(装着しただけで)このプログラム10を実行してもよい。
図2は、情報処理装置100の別の一例として、MFPのハードウェア構成図の一例を示す。MFPは、コントローラ30と、操作パネル43と,エンジン部44と、FAX制御ユニット45を有する。コントローラ30は、CPU32と,システムメモリ31と,NB(ノースブリッジ)33と,SB(サウスブリッジ)37と,ASIC(Application Specific Integrated Circuit)34と,ローカルメモリ35と,HDD36と、NIC38と,USBデバイス39と,IEEE1394デバイス41と、セントロニクスデバイス42とを含む。
記憶媒体11は、例えば、USBデバイス39に脱着可能であり、記憶媒体11に記憶されたプログラム10は、記憶媒体11からHDD36にインストールされる。また、プログラム10は、不図示のサーバからNIC38を経由してHDD36にインストールされてもよい。
CPU32は、MFPの全体制御を行うものである。例えばCPU32は、OS(UNIX(登録商標)、Linux等)上にプロセス(例えば、各種アプリケーション、ユーザサービス、リソース管理等)を起動して実行させる。NB33はブリッジである。SB37は、PCIバスとROMや周辺デバイス等とを接続するためのブリッジである。システムメモリ31は、MFPの描画用メモリなどとして用いられメモリである。ローカルメモリ35は、コピー用画像バッファ,符号バッファとして用いられるメモリである。
ASIC34は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICである。HDD36は、画像データ,文書データ,プログラム10,フォントデータ等の蓄積を行うストレージ(補助記憶装置)の一例である。NIC38は、MFPをネットワークに接続するインターフェース機器である。また、USBデバイス39、IEEE1394デバイス41およびセントロニクスデバイス42は、それぞれの規格に準じたインターフェースである。
操作パネル43は、タッチパネルを介し、オペレータからの入力操作を受け付けると共に、オペレータに向けた表示を行う操作部である。操作パネル43の周辺には物理的なキーボードが配置されている。エンジン部44は、1ドラムカラープロッタであり、印刷ジョブデータやスキャナ46が読み取った画像データに基づき、1ページ毎の画像を各色に分解して形成し、色の数だけ繰り返し用紙に転写する。例えば、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、感光ドラムに各色のトナー画像を繰り返し用紙に転写し、定着装置により熱と圧力により定着して出力する。印刷するカラー文書の画像データには、本実施形態の色調整が施される。
また、スキャナ46は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して誤差拡散やガンマ変換などの画像処理を施し所定の解像度のデジタルデータに変換し画像データを生成する。
FAX制御ユニット45は、NCU(Network Control Unit)を介して公衆通信網に接続し、例えばG3、G4規格のファクシミリに対応した通信手順(通信プロトコル)等に従いファクシミリの送受信を行う。なお、FAX制御ユニット45はメモリを有しており、例えばMFPの電源がOFFのときに受信したファクシミリデータを一時的に格納するためにこのメモリに記憶する。
〔色調整について〕
以下、情報処理装置100による色調整について詳細に説明する。
図3は、情報処理装置100の機能ブロック図の一例を示す。まず、情報処理装置100による色変換について概略を説明する。
(1)色変換部51は、カラー文書が有する入力色信号(sRGB、AdobeRGB、scRGB、RGB等)を錐体応答色空間LMS(以下、錐体応答色空間LMSにおける色信号を中間色信号LMSという)の中間色信号LMSへと変換する。
また、色差評価部52は、中間色信号LMSに基づき、色弱者にとっての錐体応答値を算出し、入力色信号の色同士の色差を算出する。ここで、対象とする色弱のタイプは、例えば、P型及びD型色覚のタイプである。このタイプは、色弱者の全体の99%以上を占めると考えられている。なお、色弱のタイプを指定すれば、色差評価部52は色弱のタイプ毎に錐体応答値を算出できるので、P型及びD型色覚は一例に過ぎない。また、CUDOの区分に従う必要もない。
(2)色調整部1は、色差評価部52で算出された色差が所定値以下、かつ、最小の色のペアに対して、S錐体応答値の調整を行う。この調整が第1の色調整であり、色調整された中間色信号がLMS'である(特許請求の範囲の第1の調整後中間色信号に相当する。)。
(3)色調整部1によって調整された中間色信号LMS'に対し、内外判定部55は、色域情報保持部56を参照して、色域に含まれるか否かを判定する。色域情報保持部56には、画像形成装置の色域情報が保持されている。この画像形成装置は、情報処理装置100がこれからカラー文書を印刷する画像形成装置であるので、例えば、図1のプリンタ102や図2のMFPが相当する。色域に含まれると判定されれば、情報処理装置100は、中間色信号LMS'でその色の入力色信号を置き換える。
(4)第1の色調整で得られた中間色信号LMS'が画像形成装置の色域に含まれない場合、色調整部2は、色差が所定値以下、かつ、最小の中間色信号LMSの色のペアに対して、輝度成分(L+M)の調整を行う。この調整が第2の色調整であり、色調整された中間色信号がL'M'Sである(特許請求の範囲の第2の調整後中間色信号に相当する。)。
(5)色調整部2によって調整された中間色信号L'M'Sに対し、内外判定部55は、色域情報保持部56を参照して、色域の内部にあるか否かを判定する。判定の結果、色域に含まれると判定されれば、色域に含まれると判定されれば、情報処理装置100は、中間色信号L'M'Sでその色の入力色信号を置き換える。色域内に含まれない色(ペアのうち両方、又は、一方のみの場合がある)は、元の入力色信号により出力される。
このように、色調整後の中間色信号LMS'、 L'M'Sに対し、画像形成装置の色域の内外判定を行うことで、画像形成装置で再現可能な範囲で、色弱者にとって色弁別性のよい色調整を行うことが可能となる。また、S錐体応答値を調整しても色域内に含まれない場合、輝度(L+M)値を調整するので、S錐体応答値の調整が困難な場合でも色弁別性を向上させることができる。
図4は、情報処理装置100が色調整する手順を示すフローチャート図の一例である。
本実施例では、入力色信号として、11色(画素値の数は11個以上であることが多い)のデータが入力されるものとする。そして、情報処理装置100は、上述したように、局所的に色の差を拡大する。
<S11>
色変換部51が例えばRAM22からカラー文書の入力色信号を読み出す。色調整の対象となる色信号はsRGB値とするがsRGBである必要はなく、AdobeRGB、scRGB等の拡張RGB値であってもよいし、CIE L*a*b*表色系のL*a*b*値のような知覚量でもよい。
図5は、入力色信号(11色)のRGB値の一例を示す。入力色信号の色数は必ずしも11色である必要はなく、それ以上でもそれ以下(2以上)の色数であってもよい。
<S12>
図4に戻り、色変換部51は、入力色信号を錐体応答色空間LMSの中間色信号LMSへ変換する。
入力色信号(sRGB)から中間信号LMSへの変換について説明する。
色変換部51は、まず、入力されたsRGB色信号を、sRGBの仕様(IEC/4WD 61966-: Colour Measurement and Management in Multimedia Systems and Equipment - Part : Default RGB Colour Space - sRGB)に基づき、XYZ三刺激値へと変換する。
Figure 2010268138

各R'sRGB、G'sRGB、B'sRGB、について、0.04045以下の場合、色変換部51は次式でRsRGB、GsRGB、BsRGB、を算出する。
Figure 2010268138
各R'sRGB、G'sRGB、B'sRGB、について、0.04045より大きい場合、色変換部51は次式でRsRGB、GsRGB、BsRGB、を算出する。
Figure 2010268138
色変換部51は、次式を用いてRsRGB、GsRGB、BsRGB、を、XYZ三刺激値へと変換する。
Figure 2010268138
ついで、色変換部51は、次式を用いてXYZ三刺激値をLMS値に変換する。
Figure 2010268138
図6は、sRGBから変換されたLMS値の一例を示す図である。
なお、図5の入力色信号sRGBから中間色信号LMSへの変換は、式(1)〜(5)以外の変換式を用いても可能である。また、式(1)〜(5)に補正項を加減乗除してより好ましい中間色信号LMS値を求めることも多い。このため、図5のRGB値に式(1)〜(5)を施しても図6のLMS値と完全には一致しない。変換された中間色信号LMSは色差評価部52へ送出される。
<S13>
図3に戻り、色差評価部52は、中間色信号LMSから、各色覚特性毎(例えば、P型及びD型色覚)に錐体応答値を算出する。色差評価部52は、P型色覚について、次式により錐体応答値(L、M、S)を算出する。
Figure 2010268138
また、色差評価部52は、D型色覚について、次式により錐体応答値(L、M、S)を算出する。
Figure 2010268138
なお、式(6)及び式(7)の詳細について、必要であれば「細胞工学 Vo21. No.8 2002」を参照されたい。健常者であるC型色覚については、式(5)により求めたLMS値が錐体応答値である。
繰り返しになるが、式(6)(7)のような錐体応答値を求める際に用いる変換マトリクスは一例であり、他のマトリクスや、式によって算出してもよい。
そして、色差評価部52は、錐体応答値LMS、錐体応答値L、錐体応答値LをXYZ三刺激値に逆変換する。これは、CIE L*a*b*表色系のL*a*b*値を算出するためである。L*a*b*値を算出することで色差の算出が容易になる。
色差評価部52は、次式を用いて、健常者の錐体応答値LMSからXYZ三刺激値へ逆変換する。式(8)は式(5)を逆変換したものである。
Figure 2010268138
同様に、色差評価部52は、次式を用いて、P型色覚、D型色覚の錐体応答値LpMpSp、錐体応答値LからXYZ三刺激値へ逆変換する。式(9)は式(6)(7)を式(5)に適用して式(5)を逆変換したものである。
Figure 2010268138
そして、色差評価部52は、XYZ三刺激値をCIE L*a*b*表色系のL*a*b*値に変換する。XYZ三刺激値からL*a*b*値への変換は、例えば、次式を用いる。
Figure 2010268138
ただし、Xn,Yn、Znは定数である。

<S14>
ステップS13までの処理により、色覚特性毎のL*a*b*値が算出された。色差評価部52は、各色(11色)同士の色差を算出する。11色から2色を取り出す組み合わせの数は、11C2=の55組である。C型色覚については色差を算出する必要がないので、P型色覚とD型色覚の2種の色覚特性に対し、色差を算出する。したがって、算出される色差の数は、55×2=110個となる。
色差評価部52は、110個の色差を算出する。色差ΔEabの算出式は、例えば次式で現すことができる。
Figure 2010268138
以下では、P型色覚の色差ΔEabを色差ΔEと、D型色覚の色差ΔEabを色差ΔEDと、置き換える。
色差評価部52は、55個のΔEpと55個のΔED、のうちそれぞれ最小の色差が、所定の閾値ΔEthを下回るか否かを判定する。この閾値Ethは、あらかじめ色弱者に、色差の異なるカラー文書をいくつか提示した際に、色弱者が、区別できなくなる程度の色差を求めておくことで定めることができる(主観評価実験)。したがって、閾値Ethは、ΔEpとの比較用と、ΔEDとの比較用で異なっていてもよい。
最小の色差が閾値Ethを下回る間は、以下のステップS15、S16の処理が繰り返される。したがって、110個の色のうち、色差が閾値Ethを下回るすべての色について、S15の処理が施される。
<S15>
最小のΔE又はΔEDが閾値Ethを下回っていた場合、色差評価部52はその色の組合せの中間色信号LMSのLMS値(L1,M1,S1、L2,M2,S2)を色調整部1へ送出する。色調整部1は、2組の中間色信号LMSを受け取ると、まず、2つのS成分S1,S2の大小関係に応じて次の処理を施す(「第1の色調整」に相当する。)。
・S1≦S2の場合には、
S1 =S1 − ΔS
S2 =S2 + ΔS
・S1>S2の場合には、
S1=S1 + ΔS
S2=S2 − ΔS
但し、0<ΔS<1(ΔSは、ゼロより大きい、小さめの正値である。)。すなわち、色調整部1による調整は、S1とS2の差を大きくする処理である。ΔSを充分に小さい正値とすれば、色弱者が色判別できる色差に徐々に近づけることができる。S錐体は、P型/D型色覚のどちらにおいても正常に機能しているため、S錐体応答値の差異を拡大することで、色弁別性を向上できる。
また、例えば、ΔSを「閾値Sth−|S1−S2|」のように変数とすれば、同じ色のペアについて1回の色調整で、色弱者が色判別できる程度に色調整することができる。閾値Sthは、主観評価によって色弱者が識別可能な錐体応答値の差分値として求めておく。
色調整部1は、第1の色調整が施された2色の中間色信号LMS'を、それぞれ内外判定部55に送出する。
<S16>
内外判定部55は、色調整後の2色の中間色信号LMS'を受け取ると、式(9)により、XYZ三刺激値へ変換し、その後、式(10)によりL*a*b*値へと変換する。そして、さらに以下の式で、L*a*b*表色系の極座標(L、C、h)を算出する。Lは明度、Cは彩度、hは色相角である。なお、この変換は、色域情報保持部56がL*a*b*表色系で色域情報を記憶しているためであり、色域情報が別の表色系で定められている場合は、適宜、表色系に応じて変換する。
C = (a*a + b*b)^(1/2) ・・・(12)
h = (180 / π) * atan2(b , a)・・・(13)
ただし、 h<0の場合
h = h + 360 … (13')
図7は、画像形成装置の色域情報の記述例を示す図である。図7の色情報は、画像形成装置の色域の最外郭において、画像形成装置で再現できる最高彩度を、明度方向に1刻み毎、色相角方向に1度刻み毎、設定してある。例えば、第1の色調整後の中間色信号LMS'が、L=50、C=30、h=8だとすると、内外判定部55は、図7の色域情報中の明度50で色相角8度に対応づけられた最高彩度の情報を参照する。内外判定部55は、参照した彩度よりも中間色信号LMS'の彩度の方が大きかった場合には色域外、以下の場合には色域内と判定する。
なお、例えば、第1の色調整後のLがL=50.3のように、色域情報の刻み値未満の端数を有する場合、L=50と51の最外郭の彩度を線形補間した値を用いてもよいし、L=50及び51双方の最外郭の彩度を参照するようにしても良い。色相角についても同様である。内外判定部55は、2色それぞれについての判定結果を色調整部1へ返す。
色調整部1では、判定結果を受け取り、色域内と判定された場合には、色弱者に望ましい調整ができ、印刷も可能であることになるので、色調整後の中間色信号LMS'を色差評価部52へ送出する。色差評価部52は、該当する色の中間色信号LMSを色調整後の中間色信号LMS'で置き換え、再度、色差評価を行う(S14)。
ΔSを閾値Sthより充分に小さい正値とすれば、一度の第1の色調整で、最小の色差ΔEp又はΔEDが閾値Eth以上となるとは限らないので、S14の再度の色差評価では、第1の色調整を施した同じ2色が選ばれることもあるし、別の2色が選ばれることもあるし、又は、1色のみが違うペアの2色が選ばれることもある。
一方、ΔSを「閾値Sth−|S1−S2|」とすれば、S14では最小の色差ΔEp又はΔED、が徐々に大きくなるので、S14の繰り返しの度に異なる色のペアの色差ΔEp又はΔEDが、閾値Ethとの比較対象となるとしてよい。
いずれのΔSを用いても、一律にγ変換を行うでなく、2色を取り出し、差異が大きくなるよう強調するので、差異の強調が不十分になることを抑制できる。
<S17>
色域外という判定結果の場合、色弱者に望ましい調整を施したが印刷できないことになるので、色調整部1は、S15における第1の色調整により得られた中間色信号LMS' を破棄する。2色のうち片方のみが色域外の場合には、色域内の片方の色のみ第1の色調整後の中間色信号LMS'を保持するようにする。そして、S錐体応答値の色調整が困難であったことになるので、色調整部1は、第1の色調整前の中間色信号LMSを色調整部2へ送出する。したがって、色調整部1から色調整部2へ送出される中間色信号はLMS(2色とも色域外)又はLMS'(1色だけ色域外)となる。
また、色域外という判定結果の場合でも、ΔSを充分に小さい正値とすれば、最後の第1の色調整による中間色信号LMS'は破棄されても、それまでの第1の色調整の結果は中間色信号LMSに反映させることができるので、色弱者に望ましい色に近づけたことになる。
<S18>
色調整部2では、2色の中間色信号LMSを受け取ると、両者の、L1+M1,L2+M2、の大小関係に応じて次の処理を施す(「第2の色調整」に相当する。)。
・L1+M1≦L2+M2の場合
L1 =L1−ΔY
M1 =M1−ΔY
L2 =L2+ΔY
M2 = M2 +ΔY
・L1+M1>L2+M2の場合
L1 =L1 +ΔY
M1 =M1 + ΔY
L2 =L2 − ΔY
M2 =M2 − ΔY
但し、0<ΔY<1(ΔYは、ゼロより大きい、小さめの正値である。)。すなわち、色調整部2による第2の色調整は、L1とL2の差及びM1とM2の差を大きくする処理である。一方、ΔYを充分に小さい正値とすれば、色弱者が色判別できる色差に徐々に近づけることができる。
ΔSと同様に、ΔYを「閾値Yth −|(L1+M1)−(L2+M2)|」のように変数とすれば、同じ色のペアについて1回の色調整で、色弱者に望ましい輝度に色調整することができる。閾値Ythは、主観評価によって色弱者が識別可能な輝度値の差分値として求めておく。
色調整部2は、第2の色調整が施された2色の中間色信号L'M'Sを、内外判定部55に送出する。このように、第1の色調整によるS成分の色調整では不十分な場合には、L成分とM成分(輝度成分)により画像形成装置の色域内で色調整することができる。したがって、S成分の差異を強調する第1の色調整では色弱者に望ましい調整が困難でも、輝度を調整する第2の色調整を施すことで、画像形成装置の色域内で可能な限り、色弱者に望ましい色調整が可能となる。
<S19>
内外判定部55は、ステップS16と同様に、第2の色調整が施された2色の中間色信号L'M'Sに対し、画像形成装置の色域に含まれるか否かの内外判定を行う。すなわち、内外判定部55は、色調整後の2色の中間色信号L'M'Sを受け取ると、式(9)により、XYZ三刺激値へ変換し、その後、式(10)によりL*a*b*値へ変換する。そして、L*a*b*表色系の極座標(L、C、h)を算出し、色域情報保持部56に記憶された画像形成装置の色域内に含まれるか否かを判定する。内外判定部55は、判定結果を色調整部2に送出する。
ΔYを閾値Ythより充分に小さい正値とすれば、一度の第2の色調整で、最小の色差ΔEp又はΔEDが閾値Eth以上となるとは限らないので、S14の再度の色差評価では、第1又は第2の色調整を施した同じ2色が選ばれることもあるし、別の2色が選ばれることもあるし、又は、1色のみが違うペアの2色が選ばれることもある。
また、ΔYを「閾値Yth−|(L1+M1)−(L2+M2)|」とすれば、S14では最小の色差ΔEp又はΔED、が徐々に大きくなるので、S14の繰り返しの度に異なる色のペアの色差ΔEp又はΔEDが、閾値Ethとの比較対象となるとしてよい。
なお、いずれのΔYを用いても、一律にγ変換を行うでなく、2色を取り出し、差異が大きくなるよう強調するので、差異の強調が不十分になることを抑制できる。
<S20>
色域外という判定結果の場合、色弱者に望ましい調整を施したが印刷できないことになるので、色調整部2は、S18における第2の色調整により得られた中間色信号L'M'S を破棄する。色調整部2は、調整前の中間色信号LMSを色差評価部52へ送出する。
2色のうち片方のみが色域外の場合には、色域内の片方の色のみ第2の色調整後の中間色信号L'M'Sを保持するようにする。
また、色域外という判定結果の場合でも、ΔYを充分に小さい正値とすれば、最後の第2の色調整による中間色信号L'M'Sは破棄されても、それまでの第2の色調整の結果は中間色信号LMSに反映させることができるので、色弱者に望ましい色に近づけたことになる。
色域内と判定された場合には、色弱者に望ましい調整ができ、印刷も可能であることになるので、色調整後の中間色信号L'M'Sを色差評価部52へ送出する。色差評価部52は、該当する色の中間色信号LMSを色調整後の中間色信号L'M'Sで置き換え、再度、色差評価を行う(S14)。
以上のような第1、第2の色調整を、各色覚特性における色差の最小値ΔEp、ΔEDが閾値ΔEth以上になるまで繰り返す。最小の色差が閾値Ethを下回らなくなると(S14のNo)、図4のフローチャート図に基づく処理は終了する。また、入力色信号や色域情報によっては、110個全ての組の色について、色差の最小値ΔEp、ΔEDが閾値ΔEth以上とならない場合があるので、例えば、ステップS14のループ回数等に応じて処理を強制的に終了させる。
色差評価部52は、色調整後の中間色信号LMSを例えばRAM22やDISK34に記憶する。そして、情報処理装置11は、P型色覚、D型色覚にとって色弁別性の向上した中間色信号LMSをsRGBに変換し、カラー文書をプリンタ102に送出する。こうすることで、画像形成装置で再現可能な範囲で、色弱者にとって色弁別性のよいカラー文書を印刷できる。
以上説明したように本実施例の情報処理装置100は、まず、P型/D型色覚のどちらにおいても正常に機能しているS錐体応答値の差異を拡大するような色調整を行い、調整後の中間色信号LMS'が画像形成装置の色域の外であった場合に、S錐体応答値の調整をやめ、輝度(L+M)値の差異を拡大する。ΔSやΔYを適切に調整することで、画像形成装置の色域内で、可能な限り色弁別性を向上できる。また、画像形成装置の色域の内外判定を行っているので、画像形成装置が表現可能な色で、なるべく元の色を変えずに色弱者にとっての色弁別性がよくなるような色調整を行うことが可能である。
実施例1では、内外判定部55は、所定の画像形成装置の色域に含まれるか否かを判定したが、本実施例では、複数の画像形成装置が有する色域情報のうち最小の色域情報に基づいて色調整後の中間色信号LMS'又はL'M'Sが色域に入るか否かを判定する情報処理装置100について説明する。複数の画像形成装置のうち最小(最も狭い)の色域情報に基づき判定することで、色域の大小を問わず、様々な画像形成装置で色弱者の色弁別性を向上させた、カラー文書を印刷できる。なお、本実施例のハードウェア構成図、ブロック図及びフローチャート図は実施例1と同様である。
本実施例では、ステップS16、S19の判定において、内外判定部55が参照する色域情報が異なる。
図8(a)は画像形成装置A及びBの色域情報を表すテーブルの一例を示す図である。画像形成装置Aと画像形成装置Bは、例えば、情報処理装置100とネットワークを介して接続されており、情報処理装置100が利用可能な画像形成装置の一例である。すなわち、情報処理装置100が用紙の印刷に使用したことがある、または、今後使用する可能性のある画像形成装置である。情報処理装置100は、画像形成装置A、Bに、それぞれ色域情報を送信するよう要求して、色域情報を取得することができる。
2つの色域情報が色域情報保持部56に記憶されている場合、内外判定部55は、色調整後の中間色信号LMS'又はL'M'Sが画像形成装置の色域の内外どちらにあるかを、全て(2つの)のテーブルを用いて判定する。そして、1つでも色域外と判定された場合に、他の色域情報では色域内であると判定されても、色域外であると判定する。そして、第1の色調整又は第2の色調整が施された中間色信号LMS'又はL'M'Sに対する色調整を破棄する。
複数の色域情報のうち最も小さい色域情報を基準に判定することで、利用可能な全ての画像形成装置にて再現可能で、かつ、色弱者による色弁別性のよい色調整が可能となる。
また、画像形成装置A,Bの数が大きくなると色域内か否かを判定する処理に時間がかかるようになるので、予め複数の画像形成装置A、Bの色域情報を統合しておいてもよい。
図8(b)は、あらかじめ複数の画像形成装置A,Bの色域情報から、各明度・色相角毎に、最小彩度を採用したテーブルの一例を示す図である。例えば、内外判定部55は、明度・色相角の組み合わせ毎に2つのテーブルの値を比較し、より小さい方の値を、その明度・色相角の値に設定する。このように、予めテーブルをマージしておくことで、第1の色調整及び第2の色調整における、情報処理装置100の処理負荷を低減できる。
図9(a)はマージされた色域情報のテーブルの使用例を説明する図である。例えば、一般的なオフィスアプリケーションなどでは、グラフを作成する際にデフォルトで用いられる色の組合せ(例えば16色程度)は決まっている。ユーザが、色の組み合わせを選択すると、情報処理装置100が、マージされた色域情報のテーブルを参照して内外判定するので、同じ色の組み合わせに対しては、印刷する画像形成装置に関係なく、統一された、色弱者が識別しやすい色の組み合わせで印刷することができる。
また、更に、変換テーブルを作成しておくこともできる。図9(b)は、変換テーブルを使用した色調整の一例を示す図である。内外判定のための色域情報(テーブル)と入力される色の組み合わせが固定であれば、色調整後の色の組み合わせも一意に決定できる。図9(a)の複数の色の組み合わせ毎に、第1の色調整及び第2の色調整を施し、予めマージしたテーブルで内外判定をして、色調整後の色を、色調整前の各色に対応づけることで変換テーブルを作成できる。
現実に、例えばオフィスアプリケーションにより作成したカラー文書を印刷する際は、デフォルトの色の組み合わせを選択し、変換テーブルを参照するだけで、画像形成装置の種類を問わず、情報処理装置100の処理負荷を軽減し、かつ、色弱者が識別しやすいような色に変換することができる。
以上のように、本実施例の情報処理装置100は、各明度・色相角毎に、複数の画像形成装置の彩度範囲のうち、最小の彩度に対して内外判定を行うことで、入力色信号を、色域の広いものから狭いものまで、全ての画像形成装置で再現可能で、かつ、色弱者にとって色弁別性のよい色に調整することが可能である。すなわち、画像形成装置に関係なく、統一した色の組み合わせのカラー文書を印刷することができる。
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置100は、色調整後の中間色信号に対し、画像形成装置の色域の内外判定を行うことで、画像形成装置で再現可能な範囲で、色弱者にとって色弁別性の良い色調整を行うことができる。
10 プログラム
11 記憶媒体
12 プログラム読み取り装置
13 マイコン
14 マウス
15 キーボード
51 色変換部
52 色差評価部
53 色調整部1
54 色調整部2
55 内外判定部
56 色域情報保持部
100 情報処理装置
101 ディスプレイ
102 プリンタ
特開2002−290985号公報 特開2007−293832号公報 特開2001−154655号公報 特開2006−246072号公報
URI http://www.cudo.jp/sikumi/ 『色覚異常の色の見えを考慮した画像処理に関する研究』カラーフォーラムJAPAN2007, Proc., 65-68. (2007 November, 東京)

Claims (8)

  1. 一対の色の色差を変更する色調整装置であって、
    複数の色を有する入力色信号を記憶した記憶手段と、
    記憶手段から読み出した入力色信号を錐体応答色空間の中間色信号へと変換する色変換手段と、
    前記中間色信号に対し、第1の色調整を施す第1の色調整手段と、
    前記中間色信号に対し、第2の色調整を施す第2の色調整手段と、
    画像形成装置の色域情報を記憶する色域情報記憶手段と、
    前記第1の色調整により調整された第1の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定し、第2の色調整を施された場合には、前記第2の色調整により調整された第2の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定する内外判定手段と、
    を有することを特徴とする色調整装置。
  2. 前記内外判定手段が、前記第1の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれないと判定した場合、
    前記第2の色調整手段は、前記中間色信号に、第2の色調整を施す、
    ことを特徴とする請求項1記載の色調整装置。
  3. 前記色域情報記憶手段に、複数の画像形成装置の色域情報が記憶されている場合、
    前記内外判定手段は、複数の色域情報の色域のうち最も狭い色域情報に基づき、第1の調整後中間色信号又は第2の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定する、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の色調整装置。
  4. 所定の色の組み合わせに対し前記第1の色調整及び第2の色調整を施し、前記色の組み合わせの各色に、前記第1の色調整及び第2の色調整後の色を対応づけた、色変換テーブルを有する、
    ことを特徴とする請求項3記載の色調整装置。
  5. 前記第1の色調整は、前記中間色信号の一対の色のS錐体応答成分の差を増大させる処理であり、
    前記第2の色調整は、前記中間色信号の一対の色の輝度成分の差を増大させる処理である、
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の色調整装置。
  6. 前記第1の色調整は、前記中間色信号の一対の色のS錐体応答成分の差を、画像形成装置の色域内で、所定の閾値より小さい値を用いて徐々に増大させる処理であり、
    前記第2の色調整は、前記中間色信号の一対の色の輝度成分の差を、画像形成装置の色域内で、所定の閾値より小さい値を用いて徐々に増大させる処理である、
    ことを特徴とする請求項5項記載の色調整装置。
  7. 一対の色の色差を変更する色調整方法であって、
    読み出し手段が、複数の色を有する入力色信号を記憶装置から読み出すステップと、
    色変換手段が、入力色信号を錐体応答色空間の中間色信号へと変換するステップと、
    第1の色調整手段が、前記中間色信号に対し、第1の色調整を施すステップと、
    第2の色調整手段が、前記中間色信号に対し、第2の色調整を施すステップと、
    前記第1の色調整により調整された第1の調整後中間色信号が、色域情報記憶手段に記憶された画像形成装置の色域情報の色域に含まれるか否かを、内外判定手段が判定し、
    第2の色調整を施された場合には、前記第2の色調整により調整された第2の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定するステップと、
    を有することを特徴とする色調整方法。
  8. コンピュータに、
    記憶装置に記憶された入力色信号を読み出すステップと、
    入力色信号を錐体応答色空間の中間色信号へと変換するステップと、
    前記中間色信号に対し、第1の色調整を施すステップと、
    前記中間色信号に対し、第2の色調整を施すステップと、
    前記第1の色調整により調整された第1の調整後中間色信号が、色域情報記憶手段に記憶された画像形成装置の色域情報の色域に含まれるか否かを判定し、第2の色調整を施された場合には、前記第2の色調整により調整された第2の調整後中間色信号が、前記色域情報の色域に含まれるか否かを判定するステップと、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018058340A (ja) * 2016-09-28 2018-04-12 株式会社リコー 情報処理装置、立体造形装置、立体造形システム、設定方法、及びプログラム

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