JP2010261925A - 感染炎症免疫応答計測診断装置 - Google Patents

感染炎症免疫応答計測診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感染症の計測、分析、診断、治療、予防などに関する事を行う。
【解決手段】少なくとも新好中球または旧好中球のいずれかまたはその組み合わせを計測するLG計測手段を備えた主に感染系手段と炎症免疫系手段を使用し、LG計測手段には組織障害判定手段,劣化時定数計測手段,LGAR計測手段,病態位置計測手段,アレルギー状態判定手段,NNL検出手段,歯周炎確定手段,歯周ポケットを実験する手段を有することにより前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、感染症の計測、分析、診断、治療、予防などに関する技術である。
YUUシステム
1 Str.Mutans検査 (IR検査) (歯種検査) 特願
2 LB(ラクトバチラス)検査 (歯種検査) 特願
3 CA(カンジタ)検査 (歯種検査) 特願
4 唾液検査 特願
5 pH検査 特願
6 顕微鏡検査 特願
7 PG(ポルフィロモナス ジンジバリス)検査(P培養検査 )特願
8 PI(プレボテラ インターメディア)検査(P培養検査 ) 特願
9 TF(タネレラ フォーサイシンセシス)検査(P培養検査) 特願
10 微生物詳細検査 (生化学検査、PCR検査、物理検査) 特願
の一部の検査でもある。
従来においてこのような技術は、なかった。
従来には、感染の計測、分析、診断を科学的にできなかった。
さらに病気を科学的に定義できなかったのも上記困難性を証明している。
そしてさらに炎症免疫応答の診断情報の検査、計測のみで(感染症側の計測を行わない)、攻撃側の感染症(抗原)情報も判明するという利点も有している。
1〔請求項1の手段〕
請求項1のLG計測装置は、
少なくとも新好中球(NL)または旧好中球(OL)のいづれかまたはその組み合わせを計測する事を特徴とするLG計測手段
備える事を特徴とする。
2〔請求項2の手段〕
請求項2のLG計測装置は、
少なくとも新好中球(NL)または旧好中球(OL)のいづれかまたはその組み合わせを分析する事を特徴とするLGmethodによるLG分析手段
備える事を特徴とする。
3〔請求項3の手段〕
請求項3のLG計測装置は、
前記NL核(Core New Leukocyte)の大きさまたは
CNL中のNLの数のいづれか一方またはその両方を
計測するCNL計測手段を
備える事を特徴とする。
4〔請求項4の手段〕
請求項4のLG計測装置は、
前記大きさと対応する組織障害の大きさを判定する組織障害判定手段を
備えることを特徴とする。
5〔請求項5の手段〕
請求項5のLG計測装置は、
(死滅率β値やその一因子であるζ値もふくむ)劣化時定数を計測する劣化時定数計測手段を
備えることを特徴とする。
6〔請求項6の手段〕
請求項6のLG計測装置は、
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値またはLGR値のいづれか一方またはその両方を計測するLGAR計測手段を
備える事を特徴とする。
7〔請求項7の手段〕
請求項7のLG計測装置は、
LG内のベクトル場(LG内でのOLからLG内のNLにより形成される時空間連続体である時系列連続体としてのベクトル場)により、
時系列連続体の逆時系列方向を検出することにより病気の本態の位置を検出する病態位置検出手段
または/と
LG A値の大きな方向を示す又はNL値の大きな方向を示す病気の重傷度部位を検出する重症部位検出手段、
または/と
過去の炎症の状態を計測する過去炎症状態計測手段
または/と
現在の炎症の状態を計測する現在炎症状態計測手段
または/と
将来の炎症の状態予測を行うdN/dt値、その解または抗原抗体連立方程式の解のいづれかまたは、その組み合わせによるリスク炎症状態予測計測手段
におけるいづれかまたはその組み合わせを有する事を特徴とする。
8〔請求項8の手段〕
請求項8のLG計測装置は、
アレルギーまたは通常状態を判定するアレルギー状態判定手段
を備える事を特徴とする。
9〔請求項9の手段〕
請求項9のLG計測装置は、
前記NL核(Nuclear New Leukocyte)の大きさを検出するNNL検出手段
または、
組織障害の大きさを判定する組織障害判定手段
または、
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値を計測するLGAR計測手段
のいづれかまたはその組み合わせ
により歯周病を確定診断できる歯周病確定診断手段
を備える事を特徴とする。
10〔請求項10の手段〕
請求項10のLG計測装置は、
NLを検出することによる歯周炎確定手段
を備える事を特徴とする。
11〔請求項11の手段〕
請求項11のLG計測装置は、
歯周ポケットを実験場手段として使用する事
を特徴とする。

1〔請求項1の作用および効果〕
請求項1のLG計測装置は、
少なくとも新好中球(NL)または旧好中球(OL)のいづれかまたはその組み合わせを計測する事を特徴とするLG計測手段
備える事を特徴とするので、
炎症を正確に計測する事ができる。
2〔請求項2の作用および効果〕
請求項2のLG計測装置は、
少なくとも新好中球(NL)または旧好中球(OL)のいづれかまたはその組み合わせを分析する事を特徴とするLGmethodによるLG分析手段
備える事を特徴とするので、
炎症免疫応答を正確に分析、診断する事ができ、それにより
的確な炎症免疫治療、予防ができる。
3〔請求項3の作用および効果〕
請求項3のLG計測装置は、
前記NL核(Core New Leukocyte)の大きさまたは
CNL中のNLの数のいづれか一方またはその両方を
計測するCNL計測手段を
備える事を特徴とするので、
現在の炎症の程度と、それにもとずく組織障害の尺度であるCNLの大きさや数が解る。
4〔請求項4の作用および効果〕
請求項4のLG計測装置は、
前記大きさと対応する組織障害の大きさを判定する組織障害判定手段を
備えることを特徴とするので、
組織障害が解る。
5〔請求項5の作用および効果〕
請求項5のLG計測装置は、
(死滅率β値やその一因子であるζ値もふくむ)劣化時定数を計測する劣化時定数計測手段を
備えることを特徴とするので、
炎症のタイムスケールが解る。
これにより時系列における炎症が判明する尺度ができるのである。
6〔請求項6の作用および効果〕
請求項6のLG計測装置は、
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値またはLGR値のいづれか一方またはその両方を計測するLGAR計測手段を
備える事を特徴とするので、
LGAにより現在炎症の程度を始めとした炎症の種々な状況が判明する。
LGRにより過去のLGAが解る。
その両方により過去から現在のLGA値が解る。
7〔請求項7の作用および効果〕
請求項7のLG計測装置は、
LG内のベクトル場(LG内でのOLからLG内のNLにより形成される時空間連続体である時系列連続体としてのベクトル場)により、
時系列連続体の逆時系列方向を検出することにより病気の本態の位置を検出する病態位置検出手段
または/と
LG A値の大きな方向を示す又はNL値の大きな方向を示す病気の重傷度部位を検出する重症部位検出手段、
または/と
過去の炎症の状態を計測する過去炎症状態計測手段
または/と
現在の炎症の状態を計測する現在炎症状態計測手段
または/と
将来の炎症の状態予測を行うdN/dt値、その解または抗原抗体連立方程式の解のいづれかまたは、その組み合わせによるリスク炎症状態予測計測手段
におけるいづれかまたはその組み合わせを有する事を特徴とするので、
上記炎症の種々な状況把握ができ、さらにそれにより
〜炎という炎症を本態とする病気を計測、分析または診断でき、
それにより〜炎という炎症を本態とする病気を的確に治療、予防できる。
8〔請求項8の作用および効果〕
請求項4のLG計測装置は、
アレルギーまたは通常状態を判定するアレルギー状態判定手段
を備える事を特徴とするので、
アレルギー状態を計測、分析または診断できる。
それによりアレルギーを的確に治療、予防できる。
9〔請求項9の作用および効果〕
請求項9のLG計測装置は、
前記NL核(Nuclear New Leukocyte)の大きさを検出するNNL検出手段
または、
組織障害の大きさを判定する組織障害判定手段
または、
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値を計測するLGAR計測手段
のいづれかまたはその組み合わせ
により歯周病を確定診断できる歯周病確定診断手段
を備える事を特徴とするので、歯周病を確定できる。
10〔請求項10の作用および効果〕
請求項10のLG計測装置は、
NLを検出することによる歯周炎確定手段
を備える事を特徴とするので、
歯周炎を確定できる。
11〔請求項11の作用および効果〕
請求項11のLG計測装置は、
歯周ポケットが実験場手段である事を特徴とするので、
従来、腹腔内などでの体内での実験場と違い、無侵襲で炎症免疫応答の実験ができる。
具体的には、炎症免疫応答物質のサンプリングが無侵襲ででき、各種薬物、抗原物質の投与も無侵襲でできる。それらの応答、解析、診断を請求項1から請求項10などにて行える。


本発明の感染炎症免疫応答計測診断装置を、図1から図87に示す実施例または変形例に基づき説明する。(感染炎症免疫応答計測診断装置は、感染系手段炎症免疫系手段のいづれかまたは、その両方を備える)
感染系手段の主要用語、略語などは、
Infection Source(I.S.と略す):菌の繁殖場(源)、増殖係数γ≧0の場所。

Infection Field = f(Diffusion Field) + g(Spread Field) + h(Carrier Field) ある時刻、ある位置での菌濃度または菌の数。{ I.F.の次元は、菌濃度/位置または菌濃度/(位置・時間) }(ここで菌濃度または菌の数は、菌体からのなんらかの物質濃度または物質の数でも良い。)

Diffusion Field(D.F.と略す):I.S.の周囲において、気体、液体、流動体などで形成される場における菌の一次拡散場。I.S.の濃度に依存する。{ 次元は、菌濃度/位置または菌濃度/(位置・時間) }

Spread Field(S.F.と略す):I.S.の周囲の外周において、気体、液体、流動体などで形成される場における菌の浮遊場。I.S.の濃度に依存しない。(CAの場合は、主には唾液との混合液体がS.F.である。){ 次元は、菌濃度/位置または菌濃度/(位置・時間) }

Carrier Field(C.F.と略す):個体、流動体(半固体)、液体、などの物質を担体とした菌の移動場。場合によっては、Spread Fieldの媒体が移動する事により形成されることもある。一例として唾液がくしゃみで飛び散ったりする時。(CAの場合は、歯ブラシや食品などである。){ 次元は、菌濃度/位置または菌濃度/(位置・時間) }

関数f:D.F.をI.F.の座標位置(または座標位置時間軸)における数または濃度(分布)に変換する関数。
関数g:S.F.をI.F.の座標位置(または座標位置時間軸)における数または濃度(分布)に変換する関数。
関数h:C.F.をI.F.の座標位置(または座標位置時間軸)における数または濃度(分布)に変換する関数。

I.S.は、菌を付着、定着、など結合させるReceptorFiledや付着、定着、などの結合を阻害するResistance Fieldに分けられることが多い。基本的には、少なくともI.S.手段により同定された増殖場として、その位置と菌数や菌濃度によって表現される。一例として菌計測手段が培地のみの場合、20個/上顎第1大臼歯 などである。他の一例としてもちろん口腔内をmm単位の直行座標系で設定して、I.S.手段が、I.S.を 菌濃度/(x、y、z)で表現しても良い。

ある時点からのInfection Source
= ある時点でのInfection Field ×(RcField − RsField )×exp(γ・t ) におけるある時刻、ある位置での菌濃度(菌由来の物質である時もある。)。この演算(図1参照)を行う手段がI.S.risk手段である。
RcFieldは、1または0の2値でもよいし、多値でもよい対象菌の結合定数である。1なら結合可、0なら結合不可である。多値をとるなら、一例として0<RcField≦1とする。1が100%結合可能とするなどである。0は、もちろん結合不可である。
この時RsFieldは、前記RcFieldに含まれても良い(RcField=0の時)が、一例として、別々とする必要があれば設定する、一例として象牙質う蝕の発生をRcFieldの形成として、その値を1などと設定する。そしてそのう窩の菌叢において、LBが高濃度に存在した場合をRsField=1とするなどである。するとこの(RcField − RsField )により菌の付着、定着、未来への増殖、減少、フローラコントロールなどの臨床的に非常に価値のある情報が得られる。
ここで(RcField − RsField )は、マイナスの値をとる場合もある。その場合は、うれしいことに病原菌の繁殖を妨げるということである。
〔実施例の構成〕
図1において感染炎症免疫応答計測診断装置は、
感染系手段炎症免疫系手段のいづれかまたは、その両方を備える。
ここで、発明者が野々村友佑の各出願などに記載の各手段を、くどくど記載するのは不合理であるので内容など明記しない手段は、特許庁初心者検索、PubMedなどにて、発明者野々村友佑で検索し、確認してください。
感染系手段は、少なくとも、
菌の繁殖源である場所(位置)における菌濃度(菌由来の物質の時もある。)を表す
Infection Source手段(I.S.手段)
を備える。
ここで、位置情報は、3次元座標値でも良いし、また位置情報に組織情報を付加したものをI.S.としても良いし、時間情報を備えても良い。一例として右上第1大臼歯において、綿棒にてサンプリングして、培養計測手段にて計測した結果、コロニー濃度50とするなどである。(計測時刻を付記してもよい。)
(口腔内CAの場合は、主に歯種が示す位置におけるCA濃度である。)
ここで、CAとは、Candidaの略であり、口腔内においては、Candida albicansが主体である。

ーーーーーーーーーーー感染系手段ーーーーーーーーーーーーー
感染系手段は、さらに必要に応じて菌計測手段環境制御手段、従来の疾病検査手段(う蝕の場合は、従来のう蝕検査手段)、Infection Field手段や、I.S.risk手段を備える。
Infection Source手段は、
感染症を治療、予防するための最も重要な増幅係数γ≧0コロニーを検査する手段でもある 図11
具体的には、
Infection Source手段は、菌の繁殖位置と菌の数(濃度)を表すInfection Source(I.S.)を同定するための手段である。CAでの具体例では、歯種培地での計測値をもとに、Infection Sourceを求める。さらに具体的には、
図3において
1 サンプリング手段にて指標の組織から試料をサンプリングし、
その試料を菌計測手段にて計測し、その値をI.S.手段にて検査し、その結果値をI.Sとする Infection Source手段
2 上記1の手段の操作を2回行い、その2回の値を比較手段にて比較し、その値をI.S.値とする Infection Source手段。。
3 環境制御手段を使用し、
3−1 1と同様に1回検査する Infection Source手段
3−2 2と同様に2回以上検査する Infection Source手段。。
4 従来の検査手段(歯牙が指標なら一例として従来のう蝕検査手段)を使用し、その情報の指標組織をI.S.とする Infection Source手段
5 I.S.risk手段にてIsnを計算し、ある時刻のISをI.Sの値とする Infection Source手段
サンプリングや計測手段に関しては、下記実施例、特願2007-138463の各手段を使用しても良い。
1 サンプリング手段にて指標の組織から試料をサンプリングし、
その試料を菌計測手段にて計測し、その値をI.S.手段にて検査する。
具体的な一例として菌計測手段が計測した(コロニー)菌濃度、コロニー数で判断する。
A菌計測手段としての、歯種培地計測手段を使用し、その歯種培地上での各歯種エリアでのコロニー数をコロニーカウント手段にて数を計測する。その結果、空間的位置情報のひとつである歯種が指し示す位置における菌濃度や菌数が得られる。
B計測されたコロニー数を
レベル1:1個から4個まで
レベル1以下は、仮性コロニー(約γ=0コロニー)図11、13
レベル2以上は、真性コロニー(約γ>0コロニー)図11、13
レベル2:5以上15未満 Adhesive colonyとし、記憶、表示、印刷などする。
レベル3:15 以上、99未満 Fixed colonyとし、記憶、表示、印刷などする。
レベル4:100以上 Outbreak colonyとし、記憶、表示、印刷などする。
としてコロニーレベル分析手段が分析し分類する。コロニーレベル分析手段は、一例として既知の数値分類手段を使用しても良い。
一例としてこの時、Infection Source手段が、レベル2以上を(真性)Infection Sourceとして選択する。この時レベル1を仮性I.S.としても良いし、また切り捨ててもよい。
その結果、I.S.の値が空間的位置情報のひとつである歯種が指し示す位置における菌濃度や菌数としても得られる。
2 上記1の手段の操作を2回行い、その2回の値を比較手段にて比較する。
この時一例として比較手段は、|A-B|/|A+B|を行う。Aは、1回目のある位置におけ菌濃度、Bは、2回目の同じ位置での菌濃度である。この値が小さいほどI.S.とする。一例として5未満をI.S.とするなどである。

さらに(|A-B|/|A+B|)・a・b のごとくの演算を採用してもよい。
このとき
aは、1または0の2つの値のみをとり、A>0の時a=1であり、A=0の時a=0となる数である。
bは、1または0の2つの値のみをとり、B>0の時b=1であり、B=0の時b=0となる数である。
2回の計測のうち1回でも0なら0となるので、上記よりI.S.の検出精度が良い。

その結果、I.S.の値が空間的位置情報のひとつである歯種が指し示す位置における菌濃度や菌数としても得られる。
3 環境制御手段を使用し、
A環境手段として口腔内を抗真菌剤使用または不使用のクリーニングを行う。
B菌計測手段としての、歯種培地計測手段を使用し、その歯種培地上での各歯種エリアでのコロニー数をコロニーカウント手段にて数を計測する。
各歯種エリアにて出現したコロニーの歯種をInfection Source手段が、Infection Sourceとして検出する。
その結果、I.S.の値が空間的位置情報のひとつである歯種が指し示す位置における菌濃度や菌数としても得られる。
さらに
前記1と同様に1回検査する。に加えて前記2と同様に2回以上検査する。などして精度を上げても良い。
4 従来の検査手段(歯牙が指標なら一例として従来のう蝕検査手段)を使用し、その情報と菌検出された指標組織をI.S.とする。
う蝕検査手段がう蝕歯を検出し、菌計測手段としての歯種培地計測手段の歯種に対応させる。対応させた部分において、コロニー検出されている歯種のみを
Infection Source手段が、Infection Sourceとして検出する。
その結果、I.S.の値が空間的位置情報のひとつである歯種が指し示す位置における菌濃度や菌数としても得られる。
ここで、
1から4までのいづれかの組み合わせにてその結果値の論理積を既知の理論積手段がとり、Infection Source手段が、その結果をもちInfection Sourceとして記憶、印刷、表示などしても良い。(図3参照)
そしてさらに必要に応じてInfection Field手段を使用しても良い。(図4,図5)
Infection Field手段は、
Diffusion Field手段
Spread Field手段
Carrier Field手段
のいづれかひとつまたはその組み合わせをさらに備える。
ここで、
Diffusion Field手段は、菌計測手段(CAでは歯種培地計測手段)の各位置情報に対応する菌濃度の値(CAでは歯種の各位置における菌濃度)から、各位置情報に対応する上記I.S.の値(CAでは、歯種の各位置におけるI.S.の菌濃度)と、Spread Fieldの値、
とを差し引いた各菌濃度の値を算出す手段である。
Spread Field手段とは、
1I.S.の存在がない位置において、菌計測手段(CAの場合歯種培地計測手段)における位置情報を伴う菌濃度の値を計測する手段である。
2唾液試験型Spread Field手段は、採取した唾液1mm3中の菌濃度を計測する手段である。
Carrier Field手段とは、担体が指標器官に接触する単位面積あたりの菌濃度を計測する手段である。
Infection Source手段は、
RcField手段(Receptor FieldまたはRecept Field )
RsField手段(Resistant Field、Resistance Field またはRersist Field )
のいづれかひとつまたはその組み合わせを必要に応じて備えてもよい。
RcField手段とは、指標感染菌を結合させる組織、人工物、有機物、無機物などを検査する手段である。 RcFieldは、CAではCA感染う蝕歯である。CAでの具体的な一例では、CAが検出されたう蝕歯である。CAの場合は、上記(真性)I.S.である。
RsField手段とは、指標感染菌の結合阻止が生じている組織、人工物、有機物、無機物などResistance Fieldを検査する手段である。 RsFieldは、CAではCAの被爆があるが感染しないCA非感染う蝕歯である。CAでの具体的な一例では、同一口腔内にCA感染歯が検出され、CAが検出されないう蝕歯である。
具体的には、各手段の出力値を合成し、記憶したり、表示したりする。
さらに具体的には、
図5や図6における表示様式にその範囲と振幅の大きさを表示するなどである。

さらに特願2007-138463の各手段のいづれかまたはその組み合わせを組み合わせてもよい。

ーーーーーーーーーーー炎症免疫系手段ーーーーーーーーーーーーー
炎症免疫系手段は、
新白血球検索手段NL検出手段NL手段のいづれかまたはその組み合わせ
を少なくとも備える。図70、図71、図1、図2、図55、図56、図57、
図58、図61、図62
この時、
特願2008- 8570の各手段のいづれかまたはその組み合わせを採用する。
そして歯周ポケットの場合は、好中球についてであり、さらなる時系列としてリンパ球、マクロファージ、形質細胞などがある。
そしてさらに必要に応じて、図51記載のLG,LGO、LN,LOなどの状態を計測しても良い。
ここで、
LG:LeukocyteGroup時系列ストリーム特性を有する好中球(白血球)(近似的には新旧好中球群)(タイムスケールとストリームを有する白血球)ただしそれが劣化したLGOを計測する時もある。(数理的には時空間ベクトル、歯周ポケットを実際に近似したモデルであるリアルモデルにおいては、時系列連続体、歯周ポケットをFIFOモデル近似したFIFOモデルにおいては、時系列ストリームと定義する。)
LN:時空間ベクトル特性、時系列連続特性、ストリーム特性のない新好中球(白血球)
LO:時空間ベクトル特性、時系列連続特性、ストリーム特性のないのない旧好中球(白血球)
LNとLOのいづれかまたはその組み合わせは、時系列特性を有している。炎症免疫系手段がこれを計測し、炎症免疫検査を行っても良い。

新と旧は、下記実施例または、特願2008- 8570など発明者が野々村友佑の各出願や論文に記載されている定義である。一例として好中球の顆粒の運動があるものを新好中球とし、ないものを旧好中球とするなど、どのような劣化時定数を使用しても良い。
これらの劣化時定数は、τタイムスケール計測手段にて計測される。一例は、顆粒の運動の有無の計測である。一例として顕微鏡にて計測された顆粒の運動の有無は、仮想空間にて記憶保持されて、その値により新好中球検索手段が好中球の新、旧を判断するなどである。

LG計測手段(LGは、Leukocyte Groupの略、LGO計測を含む。LGOは、Leukocyte Group Oldの略)
LN計測手段(LNは、時系列連続特性、ストリーム特性なしのLeukocyte Newである新白血球の略)
LO計測手段(LOは、時系列連続特性、ストリーム特性なしのLeukocyte Oldである旧白血球の略)
のいづれかまたはその組み合わせを備えても良い。
これらの計測手段ももまた、特願2008- 8570の各手段または野々村友佑の各出願や論文における手段のいづれかまたはその組み合わせを採用する。
そして
LG計測手段は、特願2008- 8570の各手段または野々村友佑の各出願や論文における手段のいづれかまたはその組み合わせを採用する。
LGO計測は、上記LGが劣化しすべてOldLeukocyteとなった状態を計測する。LG計測手段やLO計測手段にて計測できる。図46のむかって右側の状態を計測する。

LN計測手段は、特願2008- 8570の各手段または野々村友佑の各出願や論文における手段のいづれかまたはその組み合わせを採用し、さらに時系列連続特性、ストリーム特性のない新白血球(歯周ポケットでは新好中球が主体)を選択する計測手段である。具体的には、顕微鏡画像データにおいて歯垢付着の有する好中球(白血球)を選別する。具体的には、白血球を検出する特願2008- 8570の各手段または野々村友佑の各出願や論文における手段のいづれかまたはその組み合わせ手段または既知の白血球検出手段を使用し、その画像から白血球画像を差し引く白血球差分手段を使用し、その背景画像の空間周波数を検出し、1/5μm以下の高域スペクトラムの検出により歯垢付着を検出するLN計測手段を採用するなどである。
ここで、この閾値の空間周波数は、歯垢が検出されれば、どのようでもよいし、また運動性細菌の動きを止めてから測定しても良い。

ここで、LN計測とLO計測の違いは、特願2008- 8570の各手段または野々村友佑の各出願や論文における手段のいづれかまたはその組み合わせなどを使用しても良い。

NO計測手段は、特願2008- 8570の各手段または野々村友佑の各出願や論文における手段のいづれかまたはその組み合わせを採用し、時系列連続特性、ストリーム特性のない旧白血球(歯周ポケットでは新好中球が主体)の計測手段である。

ーーーーーーーーーーー さらなる各手段の説明 ーーーーーーーーーーーーーー

1 LG計測手段
少なくとも新好中球(NL)を計測するNL計測手段を備える事を特徴とする。
そしてオプションとしてNLを核としたLG(時系列連続体要素を含むNLを含む)などLG methodを計測することもできる手段。

LG計測装置は、
LG計測手段は、少なくとも
試料を固定する試料ステージ(移動)手段を含む(位相差)顕微鏡手段
CCDカメラなどの撮像手段
NL検出手段
を備える。

そしてオプションとして、
NL検索開始手段
NL比較手段
終点座標検出手段
を備えても良い。この場合、高精度にLGを発見できる。

そしてさらなるオプションとして
前記試料ステージ(移動)手段の位置座標を検出するステージ位置検出手段を備えても良い。
さらにまた
一つ以上の指標を使用した ステージ位置記憶手段を備えても良い。図100などが一例である。
ここで、
NL検索開始手段は、
図71、図72のごとくに試料を保持する試料保持手段があり、その試料保持手段にスライドグラスが保持されている。この試料ステージを原点に位置させる。 この時手動でも良いし、また自動制御テーブルでも良い。NLの記憶手段を初期化する。
ここでスライドグラスの下部に座標手段を設けても良い。この時に、この座標手段に図73の歯牙展開図を設けても良い。この場合、歯牙の位置と採取位置との整合ができるので検査結果の値が歯牙歯周組織のどの位置かが明確に判明する。

NL検出手段は、
前記試料ステージの状態にて、NL検出手段は、既知などの好中球計測手段にて顆粒が運動している好中球を計測する。
そして存在すればNL記憶手段が作動し、NLフラグを画素に対応して立てる。
この時、指標画像マーク手段が、座標値を指標画像に撮像されている試料テーブルと相対的に位置する最寄り指標にマークする。そしてこの位置を指標記憶手段に記憶させる。
ここで、顆粒の運動の激しさ、すなわち加速度にて新好中球の検出を行うNL検出手段を採用しても良い。最低3時刻での(白血球)画像を比較する事により加速度を算出する顆粒加速度算出手段を採用する。
さらにまた顆粒の速度を検出し新旧を区別するNL検出手段を採用しても良い。最低2時刻での(白血球)画像を比較する事により速度を検出する速度算出手段を採用する。
ここで、τ空間(連続体)において、顆粒の速度誤差が顆粒形状の肥大(変形)となって変換されている。この肥大を計測し速度としても良い。この場合、1時刻での計測(1回の計測で良い。)により速度が算出できるので非常に誤差が少なく、かつ高速な計測が可能となる。 単位時間当たりの前記肥大が大きければ大きいほど速度大となる。さらに顆粒肥大度は、平均、中央値、最大値ー最小値、代表値、メディアンなど適時に採用してもよい。
これらの速度算出の場合、顆粒の速度0の状態にて旧好中球(OL)となるので、NL検出手段は、OL検出手段としても使用できる。この場合、OLに特定される痕跡としてのアタッチメントロスが計測できる。
ここで、
顆粒の速度を1次元または2次元のFFTなどの周波数分析手段にて行ってもよい。具体的には、FFT後のスペクトラムの振幅の時間変動分を速度とするなどである。この時間変動分が一定ならば、速度、変化すれば加速度として、加速度の大きな好中球ほど新しい好中球として評価する。
さらにここで、
個々のNLの外形を判別し、1個単位でのNL検出をするNL外形検出手段を採用してもよい。
この場合、NLの数が数えられる。
1 手動の場合、NLの細胞外周をマウス、ペンなどのポインティングディバイスにて線引きする。その円様のマーキング数がNLの数となり、最外周包絡線内の画素を数えれば、面積(大きさ)となる。この時規格画像を使用し実際の大きさを計算する大きさ検出手段を使用しても良い。また個々の境界線として記憶手段に記憶しておいても良い。
2 自動の場合。
好中球の顆粒の運動において、前記顆粒加速度算出手段による値が同じ群を好中球の平均直径で囲む自動好中球検出手段を採用してもよい。
また
エッジファインドなどの境界抽出手段により好中球の外形を求めても良い。
また
境界抽出手段、顆粒加速度算出手段、および顆粒度算出手段により外形を求めても良い。

NL比較手段は、
前記NLを撮像する。そして、以前のNL画像があれば、比較しNLの個数の大きいCNLを撮影しCNL記憶手段に記憶させる。そして以前より大きければ、前記指標記憶手段を現在の位置に更新する。
この時、LG分析手段機能的移動データ手段を使用しても良い。
機能的移動データ手段は、
LGレベル大きさ方向手段
NL密度大方向手段
LG逆時系列方向手段
LG外郭検査手段
のいづれかまたはその組み合わせを使用する。
その結果の値を試料ステージ移動手段に伝達し、試料の方向と位置を決める。これは、自動でも良いし、手動でも良い。

終点座標検出手段
終点座標に到達したら停止する。これは、自動でも良いし、手動でも良い。
試料ステージ(移動)手段
NL検索開始手段にて作動する。または手動の場合、位置を表示し、検査座標の位置への動作確認を示す。

ステージ位置検出手段
ステージの位置を検出する手段であり、具体的には図71のごとくステージに1つ以上の指標が設けられている。この指標を指標撮像手段が撮影し、その画像の指標から位置情報を得る。公知の画像処理手段を用いて、文字を認識して位置決めしてもいい。(図100なども参照)
ここで、指標において、一例として、
左上から00、01、02、03、04、05、06、07,08,09
10、11、12、途中省略
90,91、92、途中省略 99
という具合に数字を設けて、各々の数字の横、下横、上横などのいづれかまたはその組み合わせに、「.」のような点を印字し、それを指標としても良い。さらに指標を(赤、青、緑など)色付けして区別してもよい。このように色分けすると数字のどちらの点であるかを容易に区別できる。
またこのような00から99などの数字のブロックを複数設けても良い。その場合、ここのブロックの数字に色付けして区別してもよい。一例として、最初のブロックは、赤、次のブロックは、緑、その次のブロックは青などである。 このように色分けすると、重複する数字を容易に区別できる。
一例として
00.01.02.03.04.05.06.07.08.09.
10.11.12.途中省略 19.
途中省略 途中省略
90,91、92、途中省略 99.
である。( どのような色で色分けしても良い。 )(図100など)

これらの指標における数字を公知の文字認識手段にて読み取り自動位置調整手段により位置決めしても良い。またドット「・」を公知の光点追跡手段にて自動追尾しても良い。


2 LG分析手段
LGを分析する手段であり、

タイムスケール計測手段としての劣化時定数計測手段と、
時系列連続体分析手段と、
時系列断続体手段と、
NL手段と、
OL手段と、
LN手段と、
LO手段と、
Gx手段 Antigen が付着したLeukocyteの分析手段と、
広がり炎症程度手段
空間分析手段と、
組織障害判定手段と、
劣化時定数計測手段
過去炎症状態計測手段
過去の炎症の状態を計測する手段
現在炎症状態計測手段
現在の炎症の状態を計測する手段
リスク炎症状態予測計測手段
将来の炎症の状態予測を行うdN/dt値、その解または抗原抗体連立方程式の解のいづれかまたは、その組み合わせによる値をもとに炎症のリスク値を算出する手段
歯周炎確定手段

のいづれかまたはその組み合わせからなる。

(画像)データ入力手段
通常は、LG計測手段からの(画像)データを分析して炎症の様々な因子を分析し出力する。
LG計測手段を使用せずに外部からのデータを分析したり、LG分析手段の出力値や他の分析手段からのデータを入力するための手段。

A 時系列連続体分析手段

a 炎症計測手段
現在の炎症の程度を計測する。
LG計測手段が最大CNLのLGを本LG分析手段に送ってくる時は、炎症最重症部位の炎症程度手段となる。
炎症計測手段のひとつであるひろがり炎症程度手段 これは、時系列連続体分析手段のデータと時系列連続体外のデータとを合計し評価する手段である。

b CNL数計測手段CNL大きさ計測手段
NL核(Core New Leukocyte)の大きさまたはCNL中のNLの数のいづれか一方またはその両方を計測する手段。 手動または自動にて、画像データ中のNLの数を数えるNL数計測手段、画像データ中のNLの面積を計測するNL面積計測手段のいづれかまたはその両方を備える。
NL数計測手段 前記NL検出手段を使用する。NL検出手段NL外形検出手段とにより、NLの数を数える手段。
NL面積計測手段は、少なくともNLの画素をカウントするNL画素カウント手段を備える。1画素が規格化顕微鏡の場合125μm×92μmであるので、面積計算手段が1画素あたりの面積に画素を掛けて実際のCNLの面積を算出する。

c 歯周病確定手段
NL核(Core New Leukocyte)の大きさを検出する手段,
組織障害の大きさを判定する手段、
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値を計測するLGAR計測手段
のいづれかまたはその組み合わせ
により歯周病を確定診断する手段。
歯周病確定手段は、以下のいづれかまたはその組み合わせが確定値を出力したら歯周病と確定する。
具体的には、表示手段、印刷手段などにより「歯周病の確定」と表示または印刷する。
CNL大きさ計測手段により有限な大きさのCNLが2回以上計測された時に歯周病と確定する。
LGA値計測手段によりLGA4以上が持続した時に歯周病と確定する。
組織障害判定手段により算出された組織障害値が0より大きければ歯周病と確定する。
組織損傷 = CNL / { 2Φ / (τc・V) }などである。
Φ:好中球の直径、τc:劣化時定数のひとつで死滅速度時間(時定数)、
V:好中球の浸潤速度、CNL:NL核(Core New Leukocyte)の大きさ
上記式をコンピュータや既知の計算手段に設けた手段としてもよい。

d LGA値計測手段
LGA値を計測する手段
前記CNL計測手段を使用して検出されたLGのA値を分類する手段
具体的な一例として、規格画像面において、
LGA1は、NL一個以上、
LGA2は、NL2個以上40%未満
LGA3は、NL40%以上80%未満
LGA4は、NL80%以上
にて分類する手段である。前記CNL数計測手段CNL大きさ手段により計測された値において、LGA値を上記閾値において処理する。

e LGR値計測手段
LGR値を計測する手段
OLをNL検出手段にて計測し、そのOLの数、面積にてLGRを算出する手段。
LGR1は、OL一個以上、
LGR2は、OL2個以上40%未満
LGR3は、OL40%以上80%未満
LGR4は、OL80%以上
にて分類する手段である。前記NL数計測手段NL大きさ手段により計測された値において、LGA値を上記閾値において処理する。

d+e LGAR計測手段
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値またはLGR値のいづれか一方また はその両方を計測する手段

f Leukocyte Chart手段
LGAとLGRのChartを表示する手段。
前記LGA値計測手段、LGR値計測手段の各出力値のいづれかまたはその組み合わせにて、Leukocyte Chartの対応する各LGAレベル値やLGRレベル値のLeukocyte図46を強調表示する。強調表示は、透過光の強調、画面描画での強調など視認において他と違って見えれば良い。

g 速度手段
dN/dt手段
リスク判定手段
h 抗原抗体(価)検出手段
抗原抗体連立方程式の解をコンピュータや既知の計算手段に設けた手段。

i アレルギー判定手段
アレルギーまたは通常状態を判定する手段
(α±ζ−β)式をコンピュータや既知の計算手段に設けた手段。

j 直交移動データ手段
移動テーブルを端から端へラスタースキャンするために設けられたデータを保持する記憶手段。

k 機能的移動データ手段
LGレベル大きさ方向手段
ある座標での画像におけるLGと次の座標におけるLGレベルの大きさを比較し、大きい方を示す手段
NL密度大方向手段
ある座標での画像におけるNLの密度を周辺のNL密度と比較して、密度の大きな方向を基準点から指し示すベクトルを求める手段。

LG逆時系列方向手段
LGにおいて、旧好中球から新好中球へのベクトルを計算しその値を出力する手段。

LG外郭検査手段
GLを画像中で検出した場合、その周辺にLGがあることを示唆する手段。具体的な一例としては、プラーク層でない方向を最示す手段。


l 採取位置補正手段
前記機能的移動データ手段におけるいづれかのデータが存在する場合、その方向へサンプリングを補正する補正値を出力する手段。もちろん0なら補正不要である。

m 重症部位検出手段
LG A値の大きな方向を示す又はNL値の大きな方向を示す病気の重傷度部位を検出する手段
機能的移動データ手段のLGレベル大きさ方向手段、NL密度大方向手段にて示される方向にサンプリング補正し、そのデータ中でもっとも値の大きな部位を出力する手段。

病態位置検出手段
LG内のベクトル場(LG内でのOLからLG内のNLにより形成される時空間連続体である時系列連続体としてのベクトル場)により、時系列連続体の逆時系列方向を検出することにより病気の本態の位置を検出する手段
機能的移動データ手段のLG逆時系列方向手段において、CNLの中心または重心を検出し、そこを病態位置として、その座標値を出力する手段。

ここで、図73ごとくスライドグラス座標手段を用いて、病態位置、重症部位、採取位置補正を歯牙部位と対応させても良い。この場合、実際の歯牙の位置との関係が明確になる。

B 時系列断続体分析手段
マクロファージ、単球、リンパ球、形質細胞、肥満細胞、
は、空間的に断続的に存在する場合が殆どである。これらの細胞(組織)は、炎症の経過とともに出現する時系列特性を有している。 初期の炎症には出現せず、中期、末期に向けて出現してくる。
これらをもって時系列断続体として定義する。
そして、これらを分析するのが時系列断続体手段である。
具体的には、マクロファージ検出手段、単球検出手段、リンパ球検出手段、形質細胞検出手段、肥満細胞検出手段、組織球検出手段、のいづれかひとつまたはその組み合わせからなる手段を有する。
そして、これらの細胞の個々の炎症における時系列分布に対応づけた分析結果が出力される。
歯周病の場合は、マクロファージ、単球、リンパ球、形質細胞、肥満細胞、のいづれかひとつが発見されれば、歯周病確定である。


NL手段と、
FFTなどの周波数分析手段、自己相関手段、手動手段、パターン認識手段などにより、顆粒の運動分析を行い、顆粒の動きがある好中球をNLとして認識する手段。
ここで、
既知の速度計にて顆粒の速度を計測する速度手段を使用して速度値を算出しても良い。
既知の加速度計にて顆粒の加速度を計測する速度手段を使用して加速度値を算出しても良い。

さらに、顆粒の動きの速さにて、さらに詳細に劣化具合を分類しても良い。
具体的には、速度手段により算出された速度の逆数値を算出して劣化時間とする速度劣化手段を使用しても良い。
速度値を新好中球値として出力する速度新好中球手段を採用しても良い。その場合、適当な重みを付けてもよい。

さらに、顆粒の動きの加速度の大きさにて、さらに詳細に劣化具合を分類しても良い。
加速度の大きなものほど新しいとするなどである。具体的には、加速度値を新好中球値として出力する加速度新好中球手段を採用しても良い。その場合、適当な重みを付けてもよい。
ここで、具体的には、加速度手段により算出された加速度の逆数値を算出して劣化時間とする加速度劣化手段を使用しても良い。
他にも
1 Burst した好中球(OL手段により検出してもよい。)と、非Burst好中球(NL手段により検出しても良い。)。
細胞膜形態、細胞質と核の比率にて計算。
核/細胞が0.9を超えるとOL、未満でNLと計算するNL手段でも良い。
2 顆粒の動きのある好中球と、無い好中球。
画像1枚のみで区別する場合、
顆粒の時間積分値である顆粒の扁平率、大きさで計測する。
球形(近似)で速度0、扁平率rを顆粒速度手段が計算し、1.1以上ならNL、未満ならOLと出力する。ここでrの閾値は、術者や製造者が自由に設定しても良い。一例として1.4、1.1以上2以下などである。
画像2枚の場合は、速度、加速度を算出し計算すする。
顆粒の位置と時間により速度、さらに3枚以上にて加速度を計算する加速度手段を使用して有加速度ならNL、なしならOLとしてもよい。

以上のような各手段または、その他の手段は、コンピュータにより実現してもよいし、また完全なハードウェアにて作成してもよい。

OL手段と、
上記NL手段の新しさの値が0の時、OL手段としてもよい。
また核や細胞質の破壊程度を画像処理により検出するOL手段を採用しても良い。

LN手段と、
前記LG以外のNLをLNと認識する手段を採用してLN手段としてもよい。
また、断続的なNLを検出して、LNと認識する手段でも良い。

LO手段と、
前記OL手段により検出されたOLのうち断続的なOLをLOとして認識する手段を採用しても良い。

Gx手段 Antigen が付着したLeukocyteの分析手段
好中球を検出した後に、その好中球が歯垢(G〜)付着しているかを画像処理し、付着が好中球の周りを50%以上覆っているとき歯垢付き(Gを出力値に付与しても良い。)と分析する手段。


広がり炎症程度手段
前記LOの量を検出する手段である。


空間分析手段と、

CNL数計測手段または/とCNL大きさ計測手段
によるCNLの位置の分析と、
機能的移動データ手段
LGレベル大きさ方向手段と、
NL密度大方向手段と、
LG逆時系列方向手段と、
LG外郭検査手段と、
重症部位検出手段と、
病態位置検出手段
におけるいづれかまたはその組み合わせにて
炎症の空間分析を行う手段。

組織障害判定手段と、
組織障害の大きさを判定する手段。
CNLの個数あたりの組織障害値を算出することにより、CNLの個数から組織障害値を算出する手段である。
組織損傷 = CNL / { 2Φ / (τc・V) }
この式などをコンピュータに搭載すれば良い。
ここでの組織損傷は、アタッチメントロスである。

劣化時定数計測手段
(死滅率β値やその一因子であるζ値もふくむ)劣化時定数を計測する手段
一例として顆粒の運動においては、
FFTなどの周波数分析手段、自己相関手段、手動手段、パターン認識手段などにより、顆粒の運動分析を行い、顆粒の動きを計測し、その値すなわち速度または加速度と、白血球などの被計測物の劣化時間を予め計測対応しておいた検量線手段にて、実際の白血球などの被計測物の劣化時定数(劣化時間)を計測するなどである。
他にも
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
などの劣化時間を前記検量線手段に記憶させておき、劣化時定数計測を行って良い。

L 過去炎症状態計測手段
過去の炎症の状態を計測する手段
M 現在炎症状態計測手段
現在の炎症の状態を計測する手段
N リスク炎症状態予測計測手段
将来の炎症の状態予測を行うdN/dt値、その解または抗原抗体連立方程式の解のいづれかまたは、その組み合わせによる値をもとに炎症のリスク値を算出する手段

O 歯周炎確定手段
NLを検出することによる歯周炎を確定する手段


A〜Oにおける以上のいづれか又はその組み合わせによる手段を採用する。


実験場手段
歯周ポケットを実験場として使用する手段

上記、下記の各手段は、コンピュータ上の仮想空間により作成された手段を使用する。
ここで、全ての手段あるいは、その一部手段ををハードウェアにて作成しても良いことは、言うまでもない。
[動作]
図1のごとくに動作する。この時各手段のいづれかを選択するのは、製造者や使用者の自由である。一例として口腔内より綿棒、計量探針、探針、ペーパーポイント、背直探針、ベクトルサンプラー、などにて採取された試料を培地、顕微鏡、光学分析手段などの(菌)計測手段にて計測され、その値が上記、下記のいづれかの手段にて処理される。そしてその値が適時表示手段などにて表示される。
さらに具体的な前記いづれかの手段は、I.S.手段が採用されれば、I.S.が判明し、その情報をもとにI.S.を消滅できる。I.S.の消滅は、感染症の治療や予防、そしてI.C.感染連鎖の切断となる。
他の具体例として、前記いづれかの手段は、LeukocyteGroup手段が選択されれば、時系列ストリーム、時系列連続体としての好中球をはじめとする白血球の分泌状況が計測できるので、感染症などの侵襲に対応する生体の炎症免疫反応が計測でき、感染症などの生体への侵襲程度、将来へのリスク程度がわかり、的確な診断、治療、予防ができる。
[効果]
感染系手段は、感染症を検査する事ができる。
炎症免疫系手段は、炎症免疫応答を検査する事ができる。
さらに炎症免疫系手段は、図2に示したごとく感染した抗原の情報も含んだ評価が可能となる。
さらにまた、
感染系手段炎症免疫系手段は、両方使用すれば、攻撃側と防御側の2面からの計測、分析、診断がより精度よくできひとつひとつを使用するより、さらにより効果的に病気を計測、分析、診断、そして、治療、予防できる。
[変形例]
上記実施例において、感染系手段の一例は、CAを取り上げたが、下記実施例にあげるようにLB(Lactobacillus)を指標としたり、Str.Mutansを指標にするなど、どのような菌を指標にしても良い。また指標組織を口腔内でなく、消化器、眼、呼吸器など他の組織でも良い。
上記手段を、歯周病、う蝕、炎症免疫の実験手段(場)として使用しても良い。
上記下記の各手段には、適時表示手段を併用し、結果を表示してもよい。また印刷手段にて結果を印刷してもよい。

[実施例1]
第1実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも感染系手段を備える。
[第1実施例の形態]
第1実施例は、
CAの感染連鎖の切断、CAのI.F.などの特異的感染性質の解析、診断、処置について
新しい感染分析

Summary
有史以来人類が、常在菌と認めた病原性微生物の生体からの撲滅に勝利した例はない。しかし以下の努力により人類が常在菌としてきたCandida(以後CA)の病原性から解き放たれる可能性が非常に強い事を示しており、生体からの撲滅宣言ができるであろう初の病原性微生物となる可能性が強くでてきた。 CAは、生命に危機をもたらす重篤な感染症を形成するなどの問題を起こす最もメジャーな病原真菌である。しかし、今回、患者353人による全歯牙CA検査(口腔単位)でのCA検査結果からCAが常在菌でない可能性が浮かび上がり、そして時間、空間、位相などの様々な新しい計測分析からoutbreakした根尖性歯周組織炎歯を含めて特定のう蝕歯牙に特異的に定着(fixed colonization)しているなどのInfection Field (IF)における諸性質を始めとするDF、CF、RsF、RcF、う蝕時間、ICなど感染性質が判明してきた。その結果を受けて、時間、空間的に過不足の無い抗真菌剤併用によるう蝕処置とクリーニングにおいてInfection Chain(IC)の一部としての口腔内除菌率100%を達成でき、そしてこの検査診断ゆえにその後に抗真菌剤の使用に頼らずに永続的にCAフリー状態を得ることができた。これらの診断、処置は、生体の入り口である口腔において、ある状況にあるう蝕歯牙が、外部拡散以上の増幅拡散を行う感染場(IF)であることを意味し、そしてこのことは、CAの生体内への内部拡散、他の生体や食物を始めとする自然環境への外部拡散を始めとする感染連鎖(IC)を断ち切れる事を強く示唆しており、また歯牙への付着、抵抗の明確化を始めとするCA感染の諸性質の明確化により感染経路の明確化、感染連鎖の切断をさらに強く示唆する。このことは微生物の新しい診断検査態勢の見本となり次々と病原微生物の生体への脅威をぬぐい去る事であろう。


Text intro
歯科や医科においてCandida(以下CA)は主に終末期的(final phase)な感染菌であり、様々なトラブル、すなわち口腔咽頭を含めた消化器、呼吸器、心臓、肝臓、脾臓、中枢神経、泌尿器、眼、皮膚、膣、内分泌系などを初めとした感染症 特に末期重症感染症、悪性腫瘍に併発する感染、臓器移植の定着不全、眼部混濁などなど、さまざまな問題をひき起こしてきた。さらに従来CAは、常在菌といわれてきたこともあり、生体からの除菌、生体への感染予防に関してほとんど無策であった。1)2)また従来抗真菌剤の使用時において口腔内除菌ができたとする文献は存在するが、明確なCAの感染諸性質の分析がなく、抗真菌剤の使用解除時の再感染対策、根尖性歯周組織炎を伴う歯根管への不適用や適用基準、除菌後の抗真菌剤の適用の基準、可否などの(基準)不備など、CA感染の基本的な性質の不明確性により永続的な感染予防、完全除菌などに達成せず感染解除には至っていない。よって全世界的な使用には至っていない。3) しかしながら歯種培地による口腔内歯牙(歯周組織などの背景組織も含む)における空間分析、位相分析、時間分析などにより、おそらく、この菌の最も大きな感染場 (I.F.)は、ある特定のう蝕歯牙である事が非常に鮮明に明確になってきた。その結果口腔内のCA除菌率がほぼ100%となり、さらに本検査態勢により再感染に関してもあるレベル以下の軽い付着(adhesive colony)程度がいくつかの症例にみられるのみになり、かつそれら付着(adhesive colonization)症例は、容易に付着(adhesive colony)を解除できた。このことは感染経路の判明と遮断に極めて有用な所見(現象)となり、それゆえCAにおける感染連鎖(I.C.)のcut offが可能である事を強く示唆する。このように歯種培地による時間、空間、位相的な 検査、診断、処置は、従来、常在菌としてあきらめてきたCA菌感染に対しての多くの難症例に解決の光をもたらすであろう。

まず微生物は、Colonizationしている場所をLocal Infection Sourceとし、そこを中心に濃度勾配をpotential energyとし一次拡散diffusionがすすみdiffusion fieldを形成する。さらにその外側にて濃度勾配によらない2次拡散(ランダムな場合が多い)によるSpread Field(S.F.)を形成するが、CAの場合は極小である。そしてさらにブラシなどの清掃器具などの付着性のCarrier(担体)、または食物などの付着、定着性のCarrier(担体)などの種々なCarrier(担体)に付着または/と定着して近接または遠隔地へも転移してゆく。これをCarrier Field(C.F.)とする。 そのInfection field(I.F.)内において、様々な組織や物体に対して微生物が遭遇encounterする。その遭遇encounterした組織、物体に付着または定着などの受容可能な組織、物体が存在する(阻害物質による場Resist Field)と、その組織に付着adhesive colonizarion、そして条件が合えば定着増殖fixed colonizationし、感染が成立、進行してゆく。う蝕歯牙での顕微鏡画像では菌糸体や胞子などの多形成画像が見られる。(図34 Supplementary Fig1)そしてこのD.F.、S.F.そしてC.F.の3つの場を合わせてinfection fieldとして定義する。そしてこのinfection fieldからの連鎖がinfection chainとする。(図5 Fig1、図6 Fig2;Supplementary Notes S1-S11 )
そして前記の系を証明するために口腔内へ眼を向けてみると、一本のみのCA感染う蝕歯というシンプルな系もあれば、多数のCA感染う蝕歯も存在する。後者のCA感染多数歯の場合は、infection fieldすなわちD.F.とS.F.とC.Fとが多数口腔内という限定された空間に存在し干渉し、さらに Resist Fieldが抵抗しあって混在しているわけであり、これらの現象特にI.F.による現象は、従来常在菌といわれた所見(原因)をつくりだしていると考えられる。ここでさらに重要な事は、このResist Fieldが非常に強力である可能性が示されている事である。(後述の空間分析中の一結果)さらにまた、当医院での全歯牙CA検査(口腔単位)は、(図14 Table1)のとおり有意に陰性が多い現象は、この地域のみかもしれないが外部拡散が非常に少ない証拠であり、別の見方をすると外部拡散のinfection fieldより口腔内のinfection fieldが非常に影響力を有していることを示唆している。これは、日本の食、土壌、水圏などのCAによる染度が非常に低い事を示唆しているとも考えられる。(図14 Table 1)
そしてDMFT指数にもCA感染者とCA非感染者では、有意に差がでているのも、う蝕との関連を示唆している。(図14 Table2;図22 Supplementary Tables S1-S4 ) ここまでのレベルにおいても、従来計測法においては、サンプリングの方法により曖昧な結果が生じている可能性がつよい。 3)4)(後述のMaterial Method 図7 Fig3a,Fig3b参照) 他 文献Check さらに下記の時間、空間分析を行うと正確な計測ができ、菌の動態が非常に明確となり、正しい診断、そして正しい処置ができ除菌、感染予防が可能となる。 こうした背景から、これらう蝕歯をLocal Infection Sourceとして特に空間的(DF、SFやCF)、位相的(LBなどのphaseの違う菌とのRsF関係)、時間的(C1,C2,C3pul,C3perなどう蝕時間、感染してからoutbrekまでの実時間)に独特なInfection FieldやInfection ChainをCAが形成している事を証明するために(図7 Fig3c)の歯種培地を培養手段とした時間空間位相検出手段を用意し、その結果について空間分析を行い(図14 15 Tables 3-5)における分析結果を得た。そして(Supplementary Notes S1-S20, 図35-39 Supplementary Figs 2-7)などの時間、位相分析も考慮し、その結果を道標としてう蝕歯を治療処置し、Infection Chainの一部としての口腔内において、ほぼ100%の除菌率を得ることに成功した。(図16 Table6 ,図8 Fig4,図9 Fig5) そしてInfection Chainの一部として口腔内を、CA無菌状態にて維持、持続でき、本検査により、ICの一部として、再感染の監視および再感染時の追跡起点となるのである。このような時間的、空間的、および位相的な分析すなわちIFやICの諸性質などは、これからの微生物の除菌、感染予防、常在菌の定義などに極めて有用と考えられる。今後、他の菌にも同様な分析が必要である事を示唆している。(Supplementary Notes S1-S28,図35-39 Supplementary Figs 2-7 and 図22-33 Supplementary Tables S1-S23)
以上をさらに具体的に詳細に以下に述べる。
Material Method (図7 Fig3a,3b,3c,3d,3e; Supplementary Notes S11-S13)
歯牙全体を滅菌綿棒でなぞり(図7 Fig3a)、その滅菌綿棒を対応する培地上の歯種領域に塗布する。(図7 Fig3c)ここで、歯牙の歯頚部をなぞる時は、歯周ポケットの入り口をなぞる事でもあり、さらに採取歯牙周囲における辺縁歯肉、歯間乳頭などの軟組織もサンプリングしている事を意味している。また、歯牙は、唾液で湿潤状態にて綿棒で拭うので、唾液中にCAが存在する場合は、検査結果は陽性となり唾液含有CAも検査している事となる。すなわちこのサンプリングは、歯牙、歯周組織、唾液、空気、の4つの部分の重み付き加算結果である事を認識する事が重要な点である。そして歯牙からのサンプリングにおいては、歯牙に接触する舌や粘膜などの軟組織からの内部拡散の影響を受けているサンプリングとなっている。
とくに象牙質う蝕に大きな影響を有するLBとの比較においても非常に重要な条件である。
つまり、このサンプリング条件によれば、培地上のコロニー濃度は、以下の式で表される。
培地上における個々の歯種領域におけるコロニー濃度 ∝
滅菌綿棒に接触した歯牙部分のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した歯牙に付着した唾液中のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した周囲に存在する唾液中のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した(辺縁部)歯周組織のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した空気中のCA濃度
となる。 ここで、前述の滅菌綿棒に接触した歯牙部分のCA濃度は、Colonizationしている自立的なCA濃度と、他のう蝕歯牙などのLocal Infection Sourceからの内部拡散の結果にて付着が生じている濃度とに分類される。もし舌や頬粘膜にLocal Infection Sourceが存在すれば、これも内部拡散して歯牙上に反映される。(特に隣在歯を触れないように注意する。)
ここで、CAの多形性によるコロニー濃度への不安定性因子としての影響は、後記の検査結果から判断すると考慮しなくても良いと判断した。これらの結果、多形性でも、いや多形成だからこそ環境因子またはCA自体の繁殖性などにより恒常的に増殖を営む仕組みがあるように見える。(図16-21 Tables 7-14; Supplementary Notes S14-S22 and 図24-32 Supplementary Tables S9-S22 )
このサンプリング条件にて、全歯牙をなぞれば、全歯牙CA検査(口腔単位)での検査になる。(図7 Fig3b)また後述の歯種培地に個々の歯牙に対応し塗布すれば、前述の条件による個々の歯牙に対応したサンプリングとなる。(図7 Fig3c)ここでこの条件にてう蝕歯を治療、除菌し一時的にでも陰性になれば、infection fieldは、う蝕歯であることが判る。(図8 Fig4症例など)
歯種培地
前記歯種培地は、(図7 Fig3c)に示す培地である。これは、歯種に対応して採取を可能とするために培地容器に歯の種類に応じて領域を設けた。そしてその領域に対応した前述のごとく唾液で湿潤状態の歯牙歯周組織からサンプリングするのである。そして、この歯種培地の歯種情報に対して空間分析、位相分析または時間分析を行うのである。そして下記に示す歯種培地での検査結果をみるとさらに、明確にCAの性質(特に住処など)が鮮明に浮かび上がる。(図7 Fig3d) すなわち空間分析からDFやSF、CFやRcFの性質などが判明し、位相分析からLBとの位相差、SFやRsFなどの性質が判明し、時間分析から実時間による感染傾向、う蝕時間による増殖傾向などが判明するのである。これらは、微生物感染に対して非常に明確な値を得ることができたので、感染予防、除菌などの感染対策に極めて有用な情報を与える。
Medium 使用した培地は、殆どがクロモアガーである。古い検査は、一部WVGカンジダ培地を使用したが、カンジダが選択発育すれば、どのような培地でもよい。ただ同じ発育支持を有する培地の方がより豊富な情報、低い誤差を導くことは言うまでもない。ここで簡易同定を行いたいのであれば、クロモアガーが良いが、CAによる検出真菌は、殆どがC.albicansであった。(参考文献)

result1
歯種培地による[空間分析] (Supplementary Notes S18-S24)
以上のMethods&Mediumを使用した結果からCAのfixed colonization部位であるLocal Infection Sourceがう蝕歯である事が証明される。
すなわち、CAが検出された歯牙356本中のC1からC3までの全う蝕歯は、243本(68.3%)にのぼる。そして隣在健全歯(真健全歯+処置健全歯)が46本(12.9%)、隣在歯でない健全歯(真健全歯+処置健全歯)が57本(16.0%)となっている。これは、主に図7 Fig3eなどのごとく多数歯感染では、う蝕歯でない歯牙からも検出されあたかも常在菌のごとくみえる場合もある。一方図7 Fig3dのごとく少数歯では、う蝕歯に定着している事が明確に観察できる。ここで同一口腔内においてCA陽性う蝕歯が存在するにもかかわらず、CA陰性う蝕歯が存在する。(図28 Supplementary Tables S18)これらは、ResistField(RsF)の存在を示している。なぜならCFの影響、すなわち毎晩歯ブラシでこすりあっていても感染が成立していないからである。そしてこのRsFとLBとの深い関係を示す。(図37-39 Supplementary Figs4-6)
discussion1
そしてそれらの非う蝕CA陽性歯の顛末を、空間分析すると、
隣在健全歯における陽性歯牙46本のうち顛末の判明した32本がう蝕治療後のクリーニング(プロフェッショナルクリーニング)またはホームケアのブラッシングなどにて除去されている。14本が経過不明歯であった。(図15 Table 5a)
隣在歯でない健全歯における陽性歯牙57本のうち顛末の判明した36本がう蝕治療後のクリーニングまたはホームケアのブラッシングなどにて除去されている。経過不明歯は現21本であった。(図15 Table 5b)これらは、I.F.による内部拡散(う蝕歯牙から)によるもの、またはI.F.による外部拡散(食事、塵飛沫、院内感染など)によるものからの軽い感染、すなわち後述の付着(adhesive colonization)によるものと考えられる。
内部拡散に関して、図7 Fig3のごとく、D.F.は、実効D.F.は、約1本程度と考えられる。(図42 Supplementary Fig11-13)
以上の結果はCAの感染を前述のごとく4つの段階に分類して考察するのが合理的で必要である事を示唆しているとも解釈できる。
1 組織との遭遇 encounter (場合により進入 または侵入 )
2 組織への付着 adhesive colonization (surface colonization) (Supplementary Note S14)
クリーニングなどで除去できる段階。定着がない状態、
一つの基準として図19 Table11の単独健全CA陽性歯牙の平均レベルであるコロニーレベル(以下“レベル”)1.4(真健全歯)、1.8(処置健全歯)とする。そしてコロニーレベル判定では、1個から4個までを付着レベルとしてコロニーレベルをレベル1と規程するのが良いと思われる。クロモアガーの発育能で付着レベルが観察できるので、多くの症例よりCAのS.F.は、極めて小さいと思われる。なお、S.F.は、感染確立分布での評価が必要かもしれない。
3 組織での定着 fixed colonization (invasive colonization)
病巣に定着し増殖している段階。(Supplementary Note S15)
4 組織での爆発的増殖 outbreak (of colonization) (Supplementary Note S16)
である。 Table7における真健全歯、処置健全歯からのCA検出は、クリーニングなどで除菌できているものが殆どである事に対してう蝕病変からの除去は、う蝕処置を行わないと除菌でない事が、この最初の3段階分類の根拠であり必要性である。また第4の段階は、Table7などのコロニー濃度100以上の部分であり、グラフからも特異的な爆発的増殖が見られる。
以上の所見から付着レベルは、クロモアガーでは、コロニー1個から4個までをレベル1とし、コロニー5個以上から100個未満を増殖レベルとしてレベル2、レベル3とした。ここでレベル2とレベル3の閾値は、15とし、レベル2は、5以上15未満、レベル3は、15 以上、99未満とした。これは図18 table9のう蝕歯のコロニー数より決めた。そして100個以上をレベル4とした。(図16,18,19 Table7,9,11; 図42 Supplementary Figs10-13 and Supplementary Table S17)
ここで、増幅係数γと上記レベルを図11 Fig6のごとく対応させた。図18 Table9におけるう蝕歯コロニーにおいてレベル2合計が38個、レベル3が47個であった。(図18 table9)
result2
CA付着健全歯顛末 (図15 Table5 )
ここで、う蝕歯以外のCA検出歯はCA定着でなく付着である事を段階的に検証した。
discussion2
すなわち、う蝕歯でCA陽性歯の243本からの内部拡散歯として強く示唆される(サンプリングエラーも含むであろう)う蝕CA陽性隣在健全歯でクリーニングなどで付着(adhesive colonization)を除去できた32本と、内部拡散と外部拡散のいづれかまたはその組み合わせである可能性が非常に強い非隣在健全歯でクリーニングなどで付着(adhesive colonization)を除去できた36本を合計すると311本となり、311/356にて87.4% となる。 さらにダミーは、外部または内部拡散による結果であるので、10本をくわえて、321/ 356にて90.2%となる。
さらに、経過不明歯35本をのぞけば、321/321にて100%となる。
よってう蝕歯がCAの定着場所であると考えられる。
そして前述のごとくう蝕歯を治療するとCAが検出されない事は、決定的な事実としてCAの定着場所、すなわちLocal Infection Sourceは、う蝕歯に形成されるという事であり、CA撲滅への本質的な処置の一つとなる。(Supplementary Note S24)
これは、以下のごとく証明された。
う蝕歯が(Local) Infection Sourceである事を仮定とし、う蝕歯を治療すれば、CAが除菌されると仮定する。もし他に感染源があれば、上記のサンプリングからう蝕治療後でもCAの検出がされるはずである。 しかし、抗真菌剤を使用したう蝕治療後には、CA検出がなされず、この仮説は正しいと結論される。個々の歯種領域におけるコロニー濃度を0にできた事実からは、少なくとも検査時点において上記における唾液中のCA、歯周組織のCA、空気中のCAも0である事もいえるのである。
result 3
図16 Table6 除菌率100%とCA infection chain の切断
以上の結果にもとづきSupplementary informationに記載の治療方法にて治療を行い、全歯牙CA検査(口腔単位)での検査にて除菌率100%を得た。(図16 Table6; Supplementary Note S25 and Supplementary Fig 14 )
さらに本検査診断により監視をつづけ定着前に再感染をクリーニングにより予防した。これは、抗菌剤の基本的にして重要な使用に基づき、真の感染解除である事を示している。
Discusiion3 このことは、生体の入り口である口腔が永続的にCAフリーとなることから、口腔から感染してゆくであろう組織への感染連鎖を断ち切る事を意味していることに他ならない。言い換えれば、呼吸器、消化器、性器などをはじめとした全身のCAによる感染症予防には、歯牙が最初のCAの巣窟となっている可能性が非常に強い事実において、歯牙のCA除菌が非常に有効である事が容易に推測される。 (Supplementary Notes S26-S27)
Result 総括
主たるRcFは、う蝕病巣である事を示唆している。
強力なRsFを有しており、それはLBと強く関係している。
DFは、1歯程度である。
SFは、培地法での感度にてCAでは観測できず、LBでは観測可能であった。
CFは、綿棒によるサンプリングにより証明され、さらに歯ブラシ、そして食品が重要なCFと考えられる。
以上のIFを口腔内にて消滅させる事ができる。
除菌後の稀な再感染においては、続報で紹介したい、この段階では他科や食品業界の協力、情報提供が特に重要であると感じている。
Conclusion
感染症の治療、予防においては、微生物の(特に生体での)I.F.などの諸感染性質の特定が最優先事項であり、以上のごとく歯種培地を始めとする検査診断手法は、CAなど微生物のD.F.、C.F.、Rs.F.、Rc.F.、う蝕時間およびI.C.など感染性質を的確に教えてくれる。さらにまた感染ルートや感染媒体が作り出す感染性質をも予測する。(Supplementary Note S28)
呼吸器、消化器、性器などをはじめとした全身のCAによる感染症予防には、特定の歯牙のCA除菌と歯種培地による監視が非常に有効である事を示唆している。もちろんCandida症の検査の迅速化にも貢献するであろう。そしてResist Fieldのさらなる解析から新しい強力な抗真菌剤が誕生する可能性は高い。もちろん歯科領域において、このように歯種培地は、う蝕、歯周病の診断、治療、予防に必要不可欠な情報を提供する。
この非常に簡単な検査、分析、診断こそが、歯牙におけるう蝕治療をはじめとし全身のCAに伴う感染症予防において最も基本的にして最も重要な検査であると考えられる。緊急に全世界レベルで3pahse(MutansはIR法)に対応するう蝕菌の歯種(培養)検査とくにCAの歯種培養検査を行う必要がある。
これにより非常に精度の高いfinal phaseの感染症予防ができ他臓器における種々な疾患の予防などになるとともに、非常に精度の高いう蝕治療ができ無駄に歯牙を喪失せずにもすむ。もちろん院内感染や予防といったレベルでも非常に有効である。(ここで、特に内部拡散は、歯科医の治療による能動的内部拡散と、未処置の定着歯牙からの受動的な内部拡散とに分類し、検証する必要がある。) また感染経路の確定も進めていきたい問題である。まず口から呼吸器、または消化器、鼻腔、副鼻腔などへの感染である。さらに口から膣、そして出産時に胎児の目に感染し、そして眼部混濁、内視現象などを生じている可能性の検討などである。特に眼部のオペ時、刺針時に採取された組織液はクロモアガー培地により検査されるべきである。
[構成]
歯種培地手段:上下記論文中や、特願2007-138463など、または発明者が野々村友佑の各出願または論文に記載の各手段の手段を使用する。
I.S.手段:上下記論文中の病気を検査する手段で仮想空間上にて作成されている。
[動作]
口腔内より綿棒などのサンプリング手段にて採取された試料を菌計測手段としての歯種培地手段に塗布し、2日間培養する。そしてその培地をCCDカメラなどにてコンピュータに読み込ませる。そしてそのDataをもとにI.S.手段にてI.S.をもとめ、CRTなどの表示手段にて表示する。
[効果]
I.S.が判明するので、容易にかつ的確に感染減が判明する。それにより的確な治療、予防ができるのはいうまでもない。
[変形例]
上記実施例では、記録されたDataを使用したが、リアルタイムに使用しても良い。
I.S.などをはじめとした各手段のいづれかまたはその組み合わせをう蝕症に適用したものが、う蝕手段である。


[実施例2]
第2実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも感染系手段を備える。
[第2実施例の形態]
第2実施例の形態は、
感染症撲滅のための連携医療モデルとその応用症例。
特に γ≧0コロニー消去 と 他科へのInterfaceについて
増幅Segment Genaration Segment Colonizationコロニー形成 増幅Segment γ≧0のSegment


Summary
自科の領域におけるSegment内のInfection Fieldに対して計測、分析、診断可能であり、
I.CのLoopGainとphaseを計測し、感染リスクを予見するとともにGainの低下、消失およびphaseの同期化防止を科や産業を超えて連携し行うことがこれからの感染対策として非常に急務であると考えられる。ここで重要な事は、担当医において、治療として感染菌の増幅を行うsegment、即ちColonization Segment(γ≧0)の消去、Receptor Fieldの形成阻止、Recistans Fieldの形成といった感染時空間位相の同期化の抑制、防止を行い、そしてその状態から他科への情報伝達および他科からの情報収集を本モデルにより行い、自科への再感染や他科への転移感染の防止を行う事が重要な責務となる。
このため、他科あるいは他産業への/からの感染伝播のInterfaceを表現できるInfection Field (=Diffusion Field + Spread Field+ Carrier Field)を定義し、その連結体、すなわち感染連鎖をInfection Chainと定義する。そしてInfection Field(I.F.)は、Infection Chainの1segment(Parent)とする。
そのP.S.であるI.F.の源をInfection Sourceとして、そのChild Segmentとしてその状態phaseとして、encounter phase Segment、adhesive colonization phase Segment、fixed colonization phase Segment、outbreak phase (of colonization) Segmentが観察される。 そして今回このモデルを検証、診断するために歯種培地を作成し、歯科医師として扱う病原性微生物の中からこのモデルの適用症例としてColonizationコロニー形成がう蝕歯に見られるCAをtarget微生物として選び、このモデルに適用した治療、予防を行い。I.C.の一部である口腔内Segmentを完全除菌した。(Suppl.Note 完全除菌とは、最小限の抗菌剤使用にて、持続的抗菌剤を使用せずに達成できる自然状態を意味する。)
その後に再感染、再付着などのphaseに対して聞き取り調査による限界を感じたこともあり、今回のモデルに情報伝達収集機能を付加し、全世界に呼びかける。感染医療の最前線である個人開業医でも可能で効果的な感染対策チームワーク医療となる事を願う。

1 各Fieldの定義 図6 Fig1と 図5 Fig2と、その求め方 図12 Fig3とCA,LBでの数値
図12 Fig3のごとくである。
各Fieldは、
Infection Field = f ( Diffusion Field ) + g( Spread Field ) + h( Carrier Field)
Infection Source = InfectionField n ・( RcField − RsField ) ・exp( γ・t)
という関係であり、これが連続してInfection Chainとなる。
そして口腔内での感染の要点は、
phaseの同期化 による感染の成立
Receptor Fieldの形成時空間位相: CAの場合、う蝕ができる時間位相と、CAである汚染食品の摂取との時間位相の一致が感染時間位相にとって非常に重要なphaseの同期化となる。
すなわちphaseの同期化の阻止が予防手段の要点のひとつとなる。
さらに
阻止時空間位相
Recistans Field CAの場合、CAをブロックする細菌などのFieldの存在する時間位相が重要。
である。

2 以上による診断と処置結果
図7 Fig4〜図8 Fig5に診断例をしめす。

3 Material Method (図7 Fig4a,4b,4c,4d,4e; Supplementary Notes S11-S13)
歯牙全体を滅菌綿棒でなぞり(図7 Fig4a)、その滅菌綿棒を対応する培地上の歯種領域に塗布する。(図7
Fig4c)ここで、歯牙の歯頚部をなぞる時は、歯周ポケットの入り口をなぞる事でもあり、さらに採取歯牙周囲における辺縁歯肉、歯間乳頭などの軟組織もサンプリングしている事を意味している。また、歯牙は、唾液で湿潤状態にて綿棒で拭うので、唾液中にCAが存在する場合は、検査結果は陽性となり唾液含有CAも検査している事となる。すなわちこのサンプリングは、歯牙、歯周組織、唾液、空気、の4つの部分の重み付き加算結果である事を認識する事が重要な点である。そして歯牙からのサンプリングにおいては、歯牙に接触する舌や粘膜などの軟組織からの内部拡散の影響を受けているサンプリングとなっている。
とくに象牙質う蝕に大きな影響を有するLBとの比較においても非常に重要な条件である。
つまり、このサンプリング条件によれば、培地上のコロニー濃度は、以下の式で表される。
培地上における個々の歯種領域におけるコロニー濃度 ∝
滅菌綿棒に接触した歯牙部分のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した歯牙に付着した唾液中のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した周囲に存在する唾液中のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した(辺縁部)歯周組織のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した空気中のCA濃度
となる。
ここで、前述の滅菌綿棒に接触した歯牙部分のCA濃度は、Colonizationしている自立的なCA濃度と、他のう蝕歯牙などのLocal Infection Sourceからの内部拡散の結果にて付着が生じている濃度とに分類される。もし舌や頬粘膜にLocal Infection Sourceが存在すれば、これも内部拡散して歯牙上に反映される。ここで、CAの多形性によるコロニー濃度への不安定性因子としての影響は、後記の検査結果から判断すると考慮しなくても良いのである。これらの結果、多形性でも環境因子またはCA自体の繁殖性などにより恒常的に増殖を営む仕組みがあるように見える。(図16-21 Tables 7-14; Supplementary Notes S14-S22 and 図24-32 Supplementary Tables 9-22 )
このサンプリング条件にて、全歯牙をなぞれば、全歯牙CA検査(口腔単位)での検査になる。(図7 Fig4b)また後述の歯種培地に個々の歯牙に対応し塗布すれば、前述の条件による個々の歯牙に対応したサンプリングとなる。(図7 Fig4c)ここでこの条件にてう蝕歯を治療、除菌し一時的にでも陰性になれば、infection fieldは、う蝕歯であることが判る。
歯種培地
前記歯種培地は、(図7 Fig4c)に示す培地である。これは、歯種に対応して採取を可能とするために培地容器に歯の種類に応じて領域を設けた。そしてその領域に対応した前述のごとく唾液で湿潤状態の歯牙歯周組織からサンプリングするのである。そして、この歯種培地の歯種情報に対して空間分析、位相分析または時間分析を行うのである。そして下記に示す歯種培地での検査結果をみるとさらに、明確にCAの性質(特に住処など)が鮮明に浮かび上がる。(図7 Fig4d) すなわち空間分析からDFやSF、CFやRcFの性質などが判明し、位相分析からLBとの位相差、SFやRsFなどの性質が判明し、時間分析から実時間による感染傾向、う蝕時間による増殖傾向などが判明するのである。これらは、微生物感染に対して非常に明確な値を得ることができたので、感染予防、除菌などの感染対策に極めて有用な情報を与える。
Medium 使用した培地は、殆どがクロモアガーである。古い検査は、一部WVGカンジダ培地を使用したが、カンジダが選択発育すれば、どのような培地でもよい。ただ同じ発育支持を有する培地の方がより豊富な情報、低い誤差を導くことは言うまでもない。ここで簡易同定を行いたいのであれば、クロモアガーが良いが、CAによる検出真菌は、殆どがC.albicansである。(参考文献)

result1
歯種培地による[空間分析] (Supplementary Notes S18- S24)
以上のMethods&Mediumを使用した結果からCAの定着場所であるLocal Infection Sourceがう蝕歯である事が証明される。
すなわち、CAが検出された歯牙356本中のC1からC3までの全う蝕歯は、243本(68.3%)にのぼる。そして隣在健全歯(真健全歯+処置健全歯)が46本(12.9%)、隣在歯でない健全歯(真健全歯+処置健全歯)が57本(16.0%)となっている。これは、主に 図7 Fig4eなどのごとく多数歯感染では、う蝕歯でない歯牙からも検出されあたかも常在菌のごとくみえる。一方 図7 Fig4dのごとく少数歯では、う蝕歯に定着している事が明確に観察できる。
discussion1
そしてそれらの非う蝕CA陽性歯の顛末を、空間分析すると、
隣在健全歯における陽性歯牙46本のうち顛末の判明した32本がう蝕治療後のクリーニング(プロフェッショナルクリーニング)またはホームケアのブラッシングなどにて除去されている。14本が経過不明歯であった。(図15 Table5a)
隣在歯でない健全歯における陽性歯牙57本のうち顛末の判明した36本がう蝕治療後のクリーニングまたはホームケアのブラッシングなどにて除去されている。経過不明歯は現20本であった。(図15 Table5b) これらは、
I.F.による内部拡散(う蝕歯牙から)によるもの、
I.F.による外部拡散(食事、塵飛沫、院内感染など)によるもの
などの軽い感染、すなわち後述の付着(adhesive colonization)によるものと考えられる。
内部拡散に関して、図12 Fig3のごとく、D.F.は、実効D.F.は、約1本程度と考えられる。(Supplementary Fig11-13)
以上の結果はCAの感染を前述のごとく4つの段階に分類して考察するのが合理的で必要である事を示唆しているとも解釈できる。
1 組織との遭遇 encounter (場合により進入 または侵入 )
2 組織への付着 adhesive colonization (surface colonization) (Supplementary Note S14)
クリーニングなどで除去できる段階。定着がない状態、
一つの基準として 図19 Table11の単独健全CA陽性歯牙の平均レベルであるコロニーレベル(以下Cレベル)1.4(真健全歯)、1.8(処置健全歯)とする。そしてコロニーレベル判定では、1個から4個までを付着レベルとしてコロニーレベルをレベル1と規程するのが良いと思われる。クロモアガーの発育能で付着レベルが観察できるので、多くの症例よりCAのS.F.は、極めて小さいと思われる。なお、S.F.は、感染確立分布での評価が必要かもしれない。
3 組織での定着 fixed colonization (invasive colonization)
病巣に定着し増殖している段階。(Supplementary Note S15)

4 組織での爆発的増殖 outbreak (of colonization) (Supplementary Note S16)
である。 図16 Table7における真健全歯、処置健全歯からのCA検出は、クリーニングなどで除菌できているものが殆どである事に対してう蝕病変からの除去は、う蝕処置を行わないと除菌でない事が、この最初の3段階分類の根拠であり必要性である。また第4の段階は、Table7などのコロニー濃度100以上の部分であり、グラフからも特異的なその爆発的な増殖が見られる。
以上の所見から付着レベルは、クロモアガーでは、コロニー1個から4個までをレベル1とし、コロニー5個以上から100個未満を増殖レベルとしてレベル2、レベル3とした。ここでレベル2とレベル3の閾値は、15とし、レベル2は、5以上15未満、レベル3は、15 以上、99未満とした。これはtable9のう蝕歯のコロニー数より決めた。
そして100個以上をレベル4とする。ここで、増幅係数γと上記レベルをFig6ごとく対応させた。
(図16 Table7; 図42 Supplementary Fig10 and 図26 Supplementary Table S15 )
result2
CA付着健全歯顛末 (図15 Table5 )
ここで,う蝕歯以外のCA検出歯はCA定着でなく付着である事を段階的に検証した。
discussion2
すなわち、う蝕歯でCA陽性歯の243本からの内部拡散歯として強く示唆される(サンプリングエラーも含むであろう)う蝕CA陽性隣在健全歯でクリーニングなどで付着(adhesive colony)を除去できた32本と、内部拡散と外部拡散のいづれかまたはその組み合わせである可能性が非常に強い非隣在健全歯でクリーニングなどで付着(adhesive colony)を除去できた36本を合計すると311本となり、311/356にて87.4% となる。 さらにダミーは、外部または内部拡散による結果であるので、10本をくわえて、321/ 356にて90.2%となる。
さらに、経過不明歯35本をのぞけば、321/321にて100%となる。
よってう蝕歯がCAの定着場所であると考えられる。
そして前述のごとくう蝕歯を治療するとCAが検出されない事は、決定的な事実としてCAの定着場所、すなわちLocal Infection Sourceは、う蝕歯に形成されるという事であり、CA撲滅への本質的な処置の一つとなる。(Supplementary Note S24)
これは、以下のごとく証明された。
う蝕歯が(Local) Infection Sourceである事を仮定とし、う蝕歯を治療すれば、CAが除菌されると仮定する。もし他に感染源があれば、上記のサンプリングからう蝕治療後でもCAの検出がされるはずである。 しかし、抗真菌剤を使用したう蝕治療後には、CA検出がなされず、この仮説は正しいと結論される。個々の歯種領域におけるコロニー濃度を0にできた事実からは、少なくとも検査時点において上記における唾液中のCA、歯周組織のCA、空気中のCAも0である事もいえるのである。

4 結果
図16 Table6のごとく100%除菌結果を得た。
感染について図33 Supplementary Table S24 のごとくであった。(表の8人の検査間隔は、8ヶ月から2年4ヶ月のいづれかの期間であった。このことから検査間隔は、さらに短く設定する必要がある。)
これららが、I.C.を他科や食品業界と連携する必要がある事を証明しており、まずは最も大きな増幅segmentと思われる口腔内をCandida Freeにし、この情報を上記システムとともに、バトンを他科に渡す。受け取ってくれる方が全世界で多数いることを切に希望する。

result 3
図16 Table6 除菌率100%とCA infection chain の切断
以上の結果にもとづきSupplementary informationに記載の治療方法にて治療を行い、口腔単位での検査にて除菌率100%を得た。(図16 Table6; Supplementary Note S25 and Supplementary Fig 14)
さらに本検査診断により監視をつづけ定着前に再感染をクリーニングにより予防した。これは、抗菌剤の基本的にして重要な使用に基づき、真の感染解除である事を示している。
Discusiion3 このことは、生体の入り口である口腔が永続的にCAフリーとなることから、口腔から感染してゆくであろう組織への感染連鎖を断ち切る事を意味していることに他ならない。言い換えれば、呼吸器、消化器、性器などをはじめとした全身のCAによる感染症予防には、歯牙が最初のCAの巣窟となっている事実において、歯牙のCA除菌が非常に有効である事が容易に推測される。 (Supplementary Notes S26-S27)

Discusiion 総括
常在菌でない理由
0 陰性患者が陽性患者に比べて有意に多い。
1 完全除菌できる。
2 adhesive colony, (surface colony) (機械的清掃にて除去できる弱い結合)
fixed colony (invasive colony)(機械的清掃にて除去できない強い結合)は、う蝕歯すなわち病的状態に限定される。
3 歯種培地での口腔単位(全歯牙検査)にて、背景にコロニーが散在しない。
逆にLBは、散在する。これは、常在性を強く示す根拠のひとつである。

Conclusion
感染症の治療、予防においては、微生物の(特に生体での)I.F.などの諸感染性質の特定が最優先事項であり、以上のごとく歯種培地を始めとする検査診断手法は、CAなど微生物のD.F.、C.F.、Rs.F.、Rc.F.、う蝕時間およびI.C.など感染性質を的確に教えてくれる。さらにまた感染ルートや感染媒体が作り出す感染性質をも予測する。 (Supplementary Note S28)
呼吸器、消化器、性器などをはじめとした全身のCAによる感染症予防には、特定の歯牙のCA除菌と歯種培地による監視が非常に有効である事を示唆している。もちろんCandida症の検査の迅速化にも貢献するであろう。そしてResist Fieldのさらなる解析から新しい強力な抗真菌剤が誕生する可能性は高い。 もちろん歯科領域において、このように歯種培地は、う蝕、歯周病の診断、治療、予防に必要不可欠な情報を提供する。
この非常に簡単な検査、分析、診断こそが、歯牙におけるう蝕治療をはじめとし全身のCAに伴う感染症予防において最も基本的にして最も重要な検査であると考えられる。緊急に全世界レベルで3pahse(MutansはIR法)に対応するう蝕菌の歯種(培養)検査とくにCAの歯種培養検査を行う必要がある。
これにより非常に精度の高いfinal phaseの感染症予防ができ他臓器における種々な疾患の予防などになるとともに、非常に精度の高いう蝕治療ができ無駄に歯牙を喪失せずにもすむ。もちろん院内感染や予防といったレベルでも非常に有効である。 また感染経路の確定も進めていきたい問題である。まず口から呼吸器、または消化器、鼻腔、副鼻腔などへの感染である。さらに口から膣、そして出産時に胎児の目に感染し、そして眼部混濁、内視現象などを生じている可能性の検討などである。特に眼部のオペ時、刺針時に採取された組織液はクロモアガー培地により検査されるべきである。

[構成]
歯種培地手段:上下記論文中や、特願2007-138463などに記載の手段を使用する。
I.S.手段:上下記論文中のI.S.を検査する手段で仮想空間上にて作成されている。
I.F.手段:上下記論文中のI.F.を検査する手段で仮想空間上にて作成されている。

[動作]
口腔内より綿棒などのサンプリング手段にて採取された試料を菌計測手段としての歯種培地手段に塗布し、2日間培養する。そしてその培地をCCDカメラなどにてコンピュータに読み込ませる。そしてそのDataをもとにI.S.手段にてI.S.をもとめ、CRTなどの表示手段にて表示する。またさらにそのDataをもとにしてI.F.をもとめて、CRTなどの表示手段にて表示する。
[効果]
I.S.が判明するので、容易にかつ的確に感染減が判明する。それにより的確な治療、予防ができるのはいうまでもない。
またI.F.が判明するので、I.C.を各科にて断ち切れ、さらに各科連携における治療、予防ができる。
[変形例]
上記実施例では、記録されたDataを使用したが、リアルタイムに使用しても良い。



[実施例3]
第3実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第3実施例の形態]
第3実施例の形態は、
歯周病の診断基準とそれを利用した炎症性細胞実験場の提案 第1報

Summary
歯周病の診断、特に歯周ポケット内内容物による歯周炎診断は、炎症性細胞やサイトカインなどの物質を計測する試みが数多く存在するが、何が指標となるのかも曖昧、不明のままで、さらにそれら種々な物質の定量化さえできずにいるのが現状であった。しかし、時系列ストリームであるLeukocyte group の発見により炎症の指標物質として好中球が使用可能となり、さらに好中球を始めとした白血球全般の定量化が可能となった。さらにこの事は、Leukocyte groupに由来する化学物質などの指標物質も定量化が可能ということを強く示唆している。これにより歯周病学始まって以来の歯周病における確定診断が定量できる事を意味するばかりでなく、生体の炎症、免疫診断への応用が可能となる。さらに従来、切開などの侵襲化でしか検討ができなかった白血球の応答、サイトカインネットの調査、それらの系への無侵襲薬物投与など、炎症や免疫の実験を無侵襲で入出力できる実験系として実施できる環境を、歯周ポケットが提供できうる事を示唆しているのである。
即ちこれらの診査反応系は、in vivoでありながらin vitroのシステマテックな実験系を提供する事を意味している。また観察系から見てみると顕微鏡などの新たな定量計測と言うことができる。

Text
歯と歯周組織の間に存在する歯周ポケットは、結合組織内(歯肉内)での炎症と相関を有する炎症、免疫応答を有している。しかしながら従来は、この歯周ポケットにおけるポケット浸出液(GCF)の成分に関して何が歯周炎の指標となるかも曖昧不明であり、さらにポケット内容物に関して空間誤差や濃度誤差などの解消ができず、定量計測をも再現良くできなかったため歯周病の確定診断もできず、さらにこの無侵襲でモニターできる素晴らしい実験場を活用できずにいた。
ところが、劣化時定数を計測できる物質の2つ以上の劣化状態によるタイムスケールτnを使用することと、それらが意味する時系列連続体、時系列ストリームτグループの観察、計測によりこれが解決できた。これにより歯周病の確定診断は、もとより歯周ポケット内での免疫、炎症実験が可能となりつつある。さらに付記するなら従来の計測においてどのような計測が指標物質の同定に至るかも明確となった。すなわち従来計測では、後述のf(t1)の空間再現サンプリングによってのみ、その指標意味と定量ができたであろう事が判明した。
さらに具体的に述べると、GCF内には歯周炎と正の相関のある物質、炎症性もしくは免疫系細胞などが炎症、免疫応答に比例して含まれている事が知られている1−15が、しかしながらどの成分においても前記理由により定量化が非常に困難または不可能であった。そのため臨床的な分類が提示されているにすぎなかった。16
それらがうまく計測できなかったのは、
1 時系列誤差:生体での炎症、免疫応答は、ほとんどが容量性場で行われているので、異なる時間での応答が混在している。一例として新旧好中球の混在が位相差顕微鏡などにて観察できるが、これらを同じ時間での計測とすると生じる誤差が時系列誤差の一例である。特にペーパーポイントでの試料採取や、試料のプレパラートを作成してカウントする従来の計測では、指標物質の新旧などを混在させたり、細胞を死滅させたりするなどの時系列上の大きな誤差を生み出す。すなわち時間軸に対して積分するために生じる誤差である。 さらに重要なのは、この時系列積分(誤差)は、単純に時間軸の分解能における精度上の誤差といった意味以上の重要な意味を有していたのである。すなわち感染などによる損傷部位(歯周ではアタッチメントロス部位など)からの湧き出る炎症性、免疫性細胞などが形成する時系列連続体、時系列ストリームの流れにより形成されるベクトル場の存在である。(シンクのミクロ診断は、続報にて述べるとする。)この時系列連続体、時系列ストリームは、それ自体が損傷部位からの炎症および免疫の指標物質における母集団であり、この一部または全部を極力ベクトル場保存サンプリングして検査を行うべきものである。しかしながら従来は、この母集団の時系列連続体、時系列ストリームというベクトル場の性質に気づかず、また別別のストリーム、連続体を混在して計測をしていたりして歯周病などの病態と白血球などの指標に曖昧性が生じるなどして確定診断ができなかったのである。この時系列連続体、時系列ストリーム(母集団)の観察により個々のタイムスケール要素(自身)が表現する絶対値、要素同士が表現する相対値を覆い隠してしまっていたという重大な誤差を含んでいたのである。この誤差は、従来発見されておらず、これが元で歯周炎の指標物質の確定ができなかった最大の原因と考えられる。 さらに、実世界で観察できるのは、数学的には速度であるという議論がある。これはマルサスの法則、ロジステック式などからも言われているものである。(この速度論、この型の微分方程式、そして歯周病におけるカオスの有無に関しても議論があるところではあるが、)歯周病を始めとした炎症、免疫応答の診断においては、これらの時系列の種々な解析(一例として、スペクトル解析、回帰分析、相関など)、そして計測における速度議論すらなしに進んできてしまっているのもこの時系列誤差の放置の根拠のひとつである。すなわち医師が診断する時刻t1などにおける炎症の程度(ひどさ)を、f(t1)とするならこれは、一例として好中球などの炎症性細胞などの個数などの量である。これは速度ではない。この場合の速度は、{f(t2)−f(t1)}/ {t2−t1}などとなる。さらにここでは、時間項を規格化して説明をしてゆく。これはさらにある種の誤差を除去する関係でもあり、実世界の現象を観察、計測する基本的な概念である速度論とも相通じるのである。ここで、従来求めてきた歯周炎の炎症の程度は、まさにこのf(t1)であったのではあるが、これも(ベクトル場)保存サンプリングでしか得られないのであった。
2 濃度誤差:主に溶媒の量が正確に計測できなかったりまたは一定にできなかった事による誤差。さらにサンプリングによる溶質の計測誤差も原因の一つである。すなわちこれらは、絶対値計測で生じる通常のシステマテックまたはランダマイズ誤差である。
3 空間誤差:
サンプリング空間分解能:主に破壊部位(BurstPoint)と非破壊部位とを分離して計測できないなどの誤差。大きくは、唾液での検査、小さくは、ペーパーポイントやスポイトなどによる空間積分誤差である。この空間積分(誤差)は、前述の時系列連続体、時系列ストリームの流れにより形成されるベクトル場を破壊してしまい、母集団を観察不可能としてしまう。
サンプリング位置誤差:採取毎における試料を得る場所の位置ズレによる誤差である。
など、「以上の誤差、特に時系列連続体、時系列ストリームの破壊と状態、程度計測(絶対計測)への固執のため正確な測定ができなかった。」という極めてシンプルな数理的問題であった。このように従来の計測は、殆どが、このような時空間積分_計測または/とある時刻tにおける状態、程度計測(絶対計測)であった。これは、見方を変えれば、空間積分での計測(論)または/とΔtを含めて主に微小時刻での状態、程度への計測(論)(絶対計測)が問題を提起している事を意味している。すなわち、時間の流れの中で生活している我々人間の宿命である事を意味しており、それは一方では前述の速度問題へとなっていくのでもある。
そして重要な点は、時系列連続体、時系列ストリーム中の時間依存物質をある時刻に2つ以上観察できれば、ここから速度も判明し、さらに多数の抽出ができれば、速度式を多数輩出でき精度の高い状態、程度、診断を得ることが可能となる。
さらに最も重要な点は、時系列連続体、時系列ストリームとは、2つ以上の別の時刻を特定できる物理量(状態、程度)を有する要素からなる集まり、すなわち群(集合体)にほかならなく、この個々の時間要素での差は過去の時間など、ある一時刻におけるある物理量を反映する物質と、現在の、ある一時刻での物理量を反映する物質の2つ以上の物質を同時間に観測するのと同義である場合がある。すなわちそのような条件を満たす物質が同時刻に観測でき、そして、それらにより形成された群を見つけられれば、またはその群の境界を見つけられば、時系列連続体、時系列ストリームの発見、観測となり一気に従来からの上記諸問題は解決されることになる。すなわち個々の時刻tnでの状態、程度計測(絶対計測)を、tnと等価なタイムスケールτnにより計測可能とする。
すなわち時系列連続体、時系列ストリームをスペクトル解析、回帰解析、相関解析などする事も可能であり、さらに多数の結果より精度の高い補間、予測も可能とするのである。もっとも日常臨床レベルにおいては、この操作までを必要とした事はない。そして第2段階として、母集団としての性質を持つ時系列連続体、時系列ストリームの抽出観察から個々の時刻での状態、程度が計測できるのである。これは、人間が瞬間に判断(病態の診断)を下せる利点を有している。すなわち『速度』と『解である状態』(それらによる『未来の予測』)『差分による誤差除去』が容易に行えることを意味している。
つまり、この計測、観察を行えば、歯周病を始めとした免疫、炎症の実態である炎症、免疫の状態、程度がが把握できる事を意味している。
この群論は、従来での絶対計測論と比較すると相対計測論ということがいえるであろう。
A −−−時系列連続体、時系列ストリーム群とは、群の性質 の提示 −−−−−−
−−−−−−−−−−−誤差の解消 理論編−−−−−−−−−−−−−−−
誤差の解消 理論編
つまり、f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどで、この段階においては、厳密にはt-Δtからtの時区間において、というべきであろう。)( スカラー量の場合は、任意の時区間tn-1からtnにおける積分値などをf(tn)のパラメータとする。)またここでは、実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。解法は大まかに本論文にて開示し、詳細は第2報以降にて開示する。)、そして誤差成分をε(t)とする。(ε(t)のtも前記同様に時区間の場合もある。)( ここで、f(t)は溶質を、そしてε(t)は、溶媒を指している場合が多い。)
と、2つの時刻t1、t2(t1<t2)、誤差成分ε(t)において
f(t1)+ε(t1) と f(t2)+ε(t2)
であり、ここで炎症や免疫の変動成分(または速度、酷さ)であるf(t2)−f(t1)を求めるために、その誤差成分ε(t)をキャンセルする事が必要であり、その一つの答えが同一時刻に計測すればよいことがわかる。しかし同一時刻では、f(tn)−f(tn)=0となってしまう。
これを解決するには、
f(t2)−f(t1)と同じかまたは、それ以上の情報を有する関係を見つければ良いのである。
ここで、少なくとも知りたい物理量においてf(t1)およびf(t2)と同じ物理量を有するであろうf(t−τ2)およびf(t−τ1)を考える。 そしてf(t2)とf(t−τ1)との違いは、ここでは、ベクトル場における空間的な位置の違いがあるのみで、その大きさ、数、量といったすなわちスカラーに違いがない物理量である事である。それゆえ両者の存在する場所を特定し、両者の大きさ(スカラー)の違いを計算すれば良い事になる。もちろんベクトル情報を計測対象としてもよい。またこれは、時間に対しての区分、すなわち時間依存性集合体(時系列連続体、時系列ストリーム)が必要であることを意味している。これは従来の計測が時定数(積分)エラーを生じている事をも意味している。さらに前記空間誤差も生じていない事が判る。
すなわち、これは(相対)速度が存在する物質間でのスカラー、すなわち数、質量、色などの差や比率の計測であり、この複数の群は、ベクトル場を形成しているのである。これが前記の計測と後記の計測の違いとなる。 前記の従来計測は、繰り返しにおける同じ位置(同じ位置で計測できる保証は無い。)でのスカラー変換量の差や比率などである。後者の本計測は、ベクトル場での空間的位置検索の後のスカラー量の差や比率などである。(もちろんベクトル情報も計測対象としてもよい。)
別の言い方をすれば、前記の計測は、同じ位置での時間を隔てての計測であるが、後記の計測は、同じ時間での違う位置での計測となる場合が多い。前記は、スカラー場でも良く、また実際にはスカラー場の場合が多い。
さらに具体的には、これを観測位置(x、y、z)や(Xθ、Yθ、Zθ)など、またはその組み合わせの座標系にて表現し、群(複数の固体)を検索し、そのスカラーの差や比率を求めれば良いのである。
具体的には、白血球の劣化時定数を使用し以下の関係を導き前述のごとく同一時間での観察におて2つの時間での計測と同等の計測を実現した。
すなわち、ある時間tに計測する事を考える。 まず使用する時系列を提示する。
時系列αと時系列β
ここでt2 = τ2、t1 = τ1である何らかのタイムスケールτ2とτ1を定義する。
すると観測時系列t2−t1に対してt2−t1 = τ2−τ1という時間関係が成立する。
ここで、この時間関係であるt2−t1 = τ2−τ1とすると
t2 + τ1 = t1 +τ2 という関係が成立し、
t2 + τ1 = t1 +τ2=t となる時間tを設定する。
ここから
t=t1 + τ2 ( t1 = t - τ2 )
t=t2 + τ1 ( t2 = t - τ1 )
という時間関係が得られ、
t1 = t −τ2 と t2 = t − τ1 の時系列α となる。
ここで、t2 − t1の相対的時間関係は、( t − τ1 )−( t − τ2 )で、
tには無関係なτ2 −τ1となる。
一方
t1 - τ1 = t2 - τ2 という関係も成立し、
t1 - τ1 = t2 - τ2 =t という時間tを設定する。 この式においてt=0である。
t=t1 - τ1 ( t1 = t + τ1 )
t=t2 - τ2 ( t2 = t + τ2 )
という時間関係が得られ、
t1 = t + τ1 と t2 = t + τ2 の時系列βとを導き出せる。
ここでも、t2 − t1の相対的時間関係は、( t +τ2 )−( t +τ1 )で、
tには無関係なτ2 −τ1となる。
そして、
時系列αと時系列βにおける2つの時系列は、数学的には等価であるが、生物学的には相違がある。すなわち、前記の時系列αは、観測時刻tが現在なら、過去のできごとを表現しており、βは、未来の出来事を表現しているからである。よって本研究においては、αの時系列を使用する。さらに時系列αは、マクロモデル2(||)の旧好中球数式との整合も良い。
そして時系列αにおいて、
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
となるタイムスケールτ2とτ1を計測できれば良いことになる。
これは、同じ時刻に違う時間での物理量を計測するのに等価であることがわかる。
そして、τ1とτ2という時間の変化すなわちタイムスケールがその物体に刻まれていれば良いことになる。この刻まれたタイムスケールを観測し、それをτ1とτ2に代入すればよいことになる。
f(t−τ1) + ε(t) − ( f(t−τ2) + ε(t) ) =
f(t−τ1) − f(t−τ2)=
f(t2)−f(t1)
ここで、2回の計測が1回にて終了するのと、溶媒などに起因する誤差ε(t)の影響を受けない事がわかる。すなわち前記計測誤差1、2をキャンセルする。
ちなみに時系列βでは、
f(t + τ2 ) + ε(t) − ( f(t + τ1 ) + ε(t) ) =
f(t2)−f(t1)
ここでt=0の時、時間が無い空間、時間に制約されない空間では、
f(τ2 ) − f( τ1 )=
f(t2)−f(t1)
となる。
これは、時系列βにおけるt=0の時、または、tをフリーズした、消去したともいえる。α時系列への同期には、前述の変換式を挿入し使用する。

そして前述の時系列αにおける
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
について、ここで実際の現象に当てはめてみると
歯周炎への応用(歯周ポケット内での炎症、免疫応答の計測への応用)
歯周炎の程度、速度、開始、治癒、活動期、休止期などを好中球の数で定量する事を課題として取り上げる。そして歯周炎のバーストポイント直下における好中球の数を前記のf(0)とし、そしてこのf(t)を、あるBurstPointからの時間tにおける好中球の数を数える関数として定義する。(パラメータは、後述する。)(図44 Fig1)(f(1)は、BP直上)
そしてτを好中球の劣化時定数として計測しておく。ここではτ1=0すなわちポケット内へ浸潤したての新好中球の劣化時定数、τ2が好中球の寿命の劣化時定数となど設定する。さらに細かに時定数を設定したり、他のタイムスケールを利用してもよい。
そしてBPから浸潤、分泌したての好中球を観測する。その最も新しい好中球数がf(t−τ1)となる。一方劣化した好中球を検索し、その数f(t−τ2)を計測する。この数の差が炎症の推移、速度、酷さといった量となる、またこの値が+なら炎症が上り調子であり、−なら下り調子といえる。さらに0なら持続的感染となる。そしてこれら新好中球を有している集団は、活動期を示唆している。ここでは、NewLeukocyte1個とOldLeukocyte0個を含む新好中球1つ以上の白血球集団をLeukocyto groupとして定義した。ここで炎症の程度でn数を増加させたLGx番号を付与して使用すると便利である。(x≧1正の整数)すなわち現在最も炎症のひどい状態を表現するLGxは、LG1となる。(図49 Supplementary Fig1)
ここで本方法は、n回分の計測を一回で終了させている事に気がつく、これは、前記のごとく計測誤差1のキャンセルが可能という事である。言い換えるとフリーズした時での計測と言え、速度におけるΔtが実空間での観測系と数式上の理論とが完全に実現された事になる。さらに時系列連続体、時系列ストリームは、母集団として捉えることが可能といる事も示唆している。これらは、解析学的、数学的および統計学的に完全なモデルを指ししめしていると考えられる。
そしてLG法では、溶媒の影響を受けないので前記計測誤差2をキャンセルする。
さらに溶媒の影響を受ける従来の計測法よりGainが非常に大きい事がわかる。
さらにまた本方法は、前記2回以上の計測問題における計測位置(サンプリング位置)における各計測毎の計測位置のズレを完全に消し去ることをも意味している。前記計測誤差3のキャンセルである。
そして重要な点は、LGの性質に属する好中球などのある時間(劣化時間τなど)における被計測物の量は、tnなど個々の時系列に対応する絶対値として採用できるという事である。さらにこの値f(τn)などは、f(tn)単体の絶対的な値の提供だけでなく、前記誤差に影響されない値を提供してくれるのである。すなわち一例として、LGにおける新好中球数(存在)は、現在の炎症(量)、免疫応答(量)を精度よく示しているのである。なぜならf(tn)は、個々に独立した計測行為で誤差ε(t)などが付随し誤差分離が非常に困難または不可能な計測を意味するが、f(τn)の場合は、母集団に相当する時系列連続体、時系列ストリームの1要素として計測できるからそれら誤差の影響を殆ど受けないのである。ただ注意しないといけないのは、ベクトル場をなるべく保存した状態でのサンプリングを心がけなければならないと言うことである。(図44 Fig1)(Supplementary NoteS1,S2&S3、図48 Supplementary Table S2 and 図49,50,53 Supplementary Fig1,Fig2&Fig3 )
さらに新旧好中球数が0なら治癒であるし、またOld Leukocyteのみの観察では、休止期を示唆している。ここで、Old LeukocyteのみをLeukocyto group0としてもよい。
つまりベクトル場での観測では、τ1とτ2の時間の差分だけ、相対速度が0でないので、迷走してまた元の位置に戻る場もあるだろうが観測位置がずれるのである。
そしてこの前記Leukocytoの分布群の各群をLeukocyto groupと定義する。すなわち、浸潤、分泌された最も新しい好中球を顕微鏡下で検索する。そしてこれを中心(核)として座標系を与え、その周囲に分布する劣化した旧好中球を観察、計測することにより上記定量化計測が達成されるのである。これは、BurstPointの証拠でもある。ここで、程度の大きなLeukocyto groupは、核にクラスター化した白血球(主に好中球)を観察する。
話を元にもどし今、好中球に着目してみると、(ここではスカラーを取り出し説明する。)
ポケット内に浸潤した好中球は、時間とともに劣化してゆきついには、残骸化してゆく。
この劣化時定数τnによる好中球の時間スケールは、前述の
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
の一例となるのである。
さらに具体的には、
f(t)は、ある時間に浸潤、分泌したての好中球数。(Burst Point)
さらに具体的にはf(t)のパラメータは(τグループの時系列G1を使用して)(図47 Supplementary TableS1)
f(t)=∫v dt 区間は、tn-1 から tn または、 f(t)=g( t )−g( t−Δt ) などである。
τnは、τn時間だけ劣化した好中球の劣化時定数を採用する。 ( n=1,2,3,...m mは、正の整数。)
t1は、t1時間にバーストポイントから浸潤、分泌したての好中球に対応。
t2は、t2時間にバーストポイントから浸潤、分泌したて好中球に対応。
f( t−τ1)は、ポケット内に浸潤し、τ1時間劣化した好中球(数)に対応。NewLeukocyte
f( t−τ2)は、ポケット内に浸潤し、τ2時間劣化した好中球(数)に対応。OldLeukocyte
そしてスカラー演算において、
f(t−τ1) + ε(t) − f(t−τ2) + ε(t) =
f(t−τ1) − f(t−τ2)=
f(t2)−f(t1)
となりt2 − t1時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。そして誤差項ε(t)にも影響されないことがわかる。これは、従来法では未解決の濃度誤差の解消を含んでいる。(Supplementary NoteS1)
いっぽう、ベクトル場での空間的な数と位置とを予測してみると
f(t−τ1)は、ある時刻tにおける劣化度合いτ1の好中球数(τ1群,τ1group)である。そして
f(t−τ2)は、ある時刻tにおける劣化度合いτ2の好中球数(τ2群,τ2group)である。(図44 Fig1 and 図53 Supplementary Fig3 )
そして各々(の群)の位置は、好中球の浸潤速度において計算予測するか、または、浸潤個数速さまたは浸潤体積速さと拘束条件であるポケット形態にて計算予測される位置だけ程度離れている。 (図44 Fig1, Supplementary NoteS3 and 図50,53 Supplementary Fig2, Fig3 )τgroup、拘束条件へ
この2つ以上のグループの好中球の数(スカラー)の差が、t2 − t1 時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。 さらに重要な事は、このようなτ時系列ストリーム、時系列連続体からなる性質の群における個々の要素f(τn)、τnなどは、その絶対値f(τn)にも有用な意味を持つと言うことである。すなわち母集団が明確な集団の1個とみなせるので、LGのLeukocyte数f(τn)などは、炎症の程度を精度良く表現できる絶対値をなすのである。
さらにこの結果は、顕微鏡を使用した観察手段を採用した場合、溶媒が0であるので試料の厚みの影響を受けないことがわかる。 すなわち毎回の顕微鏡検査において試料厚みを計測しなくても定量計測が可能という事をも示している。など数多くの利点を有している事が理解できる。
劣化時定数について
前述のごとく、この計測のシステムにおいては、必ず劣化時定数もしくはタイムスケールを計測する必要がある事が理解できる。このタイムスケールτは、
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
などやそれらの代謝、反応、劣化などから計測、算出できるであろう事が予測されるが、
ここでは、前述1の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数をτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数をτ2とした。さらに細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールにてτ3を挿入して、さらに精度を上げても良い。 一例として、計測例を開示すると、(α時系列) Material&Method(Supplementary Note S4 and Supplementary Data )
B−−−−−− 群の性質を有する画像の提示、すなわち群の発見、証明 −−−−
−−−−−−−−−−−誤差の解消 理論編−−−−−−−−−−−−−−−
図45 Fig2において、上記群の性質を有する好中球を例とした好中球群LekocyteGroupを提示する。
すなわち図45 Fig2において、f(t-τ1)は、NewLeukocyte数、f(t-τ2)は、OldLeukocyte数で、
現在の炎症量 過去の炎症量 炎症の推移、速度、酷さ
f(τ2) f(τ1)
f(t-τ1) f(t-τ2) f(t2)−f(t1) = f(t-τ1) - f(t-τ2)
LG1 1 0 1 個
LG2左 1 6 −5 個
LG2右 3 3 0 個
LG3 5 20 −15 個
LG4 62 4 58 個
となり、時刻t2における炎症の量をf(τ2)によりミクロ診断として定量計測でき、 t2とt1時間での差と等価なスカラー量であるf(τ2) − f(τ1)、すなわち炎症の推移、速度、リスクをミクロ診断として定量計測できる。この量だけでも歯周病という、その病態の多くがロングスパンの病気に対しての診断精度レベルには、到達していると思われる。もちろんさらに精度を上げて行く事は、炎症や免疫の実験場としての活用頻度を拡大するのに大きく寄与するのは言うまでもない。またLGを4段階に分析分類したが、この分析分類とそして個々の画像の分析の2つの分析は、さらなる展開があり次報以降で是非紹介したい。話を元に戻すと、LG2の左の画像では、劣化時定数を3段階にて評価できる。即ちOld1 1個 Old2 2個 Old3 3個となり劣化時定数大の好中球ほど数が多い。さらに旧好中球の数が新好中球の数より非常に多いLG3においては、旧好中球をさらにもう一つ以上時分割しないといけないのがわかるなど、精度を上げるのには前述のごとく大きな理論的価値があるが、臨床上の歯周病診断において、図46 Fig3のLeukocyte Chartとして移行分類し十分に診断できる精度は有していると考えられ、さしあたりこのChartにて歯周病の発症、治癒、休止期、活動期を確定診断できる。そして、これらのChartの各段階での対応症例が 図45 Fig2である。そして第3,第4実施例で明らかになってゆくLO(連続特体性、ストリーム特性はないが、時系列特性を有する新白血球)や/とLN(連続体特性、ストリーム特性はないが、時系列特性を有する旧白血球)によりさらに診断精度が上昇してゆく。(図51 Supplementary Fig4)
そしてさらに将来的にはτの精度化または、別のタイムスケールの発見により、より精度が上昇するとともに、歯周ポケットという無侵襲での免疫、炎症実験場が与えられた事に意義があると考えられる。 すなわちこの様に新好中球を基準核としたLeukocyto group内において、各劣化時定数τにより分類された好中球の分布から前記定量が行える。(ここで位相差顕微鏡は、SI記載の規格化顕微鏡を使用する事を強く推薦する。なぜなら全世界的に共通の値で論じたいからであり、何年もの臨床の積み重ねにおいて、Sビデオという広く世界に広まっているアナログ伝送系における最良の視野分解能比を確保していると考えるからである。)
また計測された最も密度の大きなLeukocyto group内のNew Leukocyte中心核をLocalなBPとして、これを基準として得られた座標系におけるLeukocyto group内分布において好中球の変動を読みとる。(この最も密度の大きなLeukocyto groupを代表値として取り扱うこの操作は、毎回の計測における測定位置のズレや、測定物の攪乱などのベクトル場のサンプリング時における場の乱れ、等に対しての誤差をキャンセルする効果がある。)
そしてこの計測は、最低2個の好中球があれば可能である。数多く存在すれば、同一時刻に、さらに多くの時間軸での変動を予測できるわけである。そして好中球に相関のある酵素、炎症程度、組織破壊などの量は、同様に予測したり、算出することができることを表現している。 すなわちタイムスケールを計測できる物質または、タイムスケールを有する物質であれば、どのような物質でもよい。さらにタイムスケールを有する物質、細胞に起因する物質も応用が可能である。ただ細胞レベルよりさらに小さな分子レベルの計測は、ベクトル場保存サンプリングの困難性や、易拡散性により困難となる可能性は高いが同様な計測指針が必要であることは確かである。これは見方を換えると、タイムスケールを計測しないか、またはできない物質(計測時定数より遅すぎる物質を含む。)の計測は、大きな誤差を含んだ計測になることを意味している。とくに歯周ポケットのような容量性場の場合は、顕著である。いったい我々は何を計測していたのだろうかと思えるほどである。
まとめ
以上の結果歯周ポケットは、歯周病の確定診断はもとよりinflammation & immune response experimental fieldを提供する事が可能である事を強く示唆するものである。これは、ある無菌動物の歯周ポケットを利用すれば、容易に実現できるであろう。一例をあげれば、好中球浸潤に及ぼすサイトカインの量を証明する手段として使用できると予測される。一般にin vivoにおける好中球の浸潤証明方法17−23においては、注射や手術による侵襲を与えており、その侵襲により炎症を生じ好中球の分泌促進、サイトカインの分泌促進などを生じるなどの誤差を生じる。歯周ポケットでの実験は、この侵襲による誤差を伴うことがなくin vitro実験24−28に匹敵する精度を発揮すると考えられる。またさらに浸潤の過度現象を連続的に見たいときは、歯周ポケットでの実験がうってつけである。そしてその定量方法の一つが、前記のLeukocyto groupの検索とLeukocyto group内での各劣化時定数τによる分布計測なのである。これは、一例としてCD4にたいするHIVウイルスの実験にも使用ができると思われる。また他の一例としてガンと炎症との関わり合いを調査するのにも使用できそうである。

[構成]
サンプリング手段の一例:単円探針または連円探針
計測手段の一例:位相差顕微鏡(ペリオスコープ、定量化顕微鏡(特願2007−54950など))
歯周病の検査手段の一例:前記論文中の病気を検査する手段で仮想空間上にて作成されている。
[動作]
サンプリング手段としての一例として、単円探針または連円探針を使用し、口腔内、特に歯肉溝より歯肉溝浸出液や、必要に応じて歯垢を採取する。採取した試料を顕微鏡にて撮影し、撮影したDataが前記の選択された手段で分析される。その分析結果として、表示手段において、選択されたLGのレベルやLN,LO,LGOのレベルが表示される。また歯周病の検査手段が選択されていたなら、歯周病の状態として、休止期、活動期が表示される。さらに前記歯周病の診断手段が選択されていたなら歯周病が確定しているか否かが表示される。
[効果]
歯周病の確定診断ができる。歯周病のリスク、速度が判る。歯周病の治療、予防が的確に行える。無侵襲にて炎症免疫診断、炎症免疫実験、ができる。ここで歯種病の情報のいづれかまたはその組み合わせを得る手段が歯周病手段である。
[変形例]
上記実施例では、記録された映像を使用したが、リアルタイムに分析を行っても良い。


[実施例4]
第4実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第4実施例の形態]
第4実施例の形態は、
時系列連続体 一例としてのLeukocyte Group

Summary
従来歯周炎、歯周膿瘍などを始めとして、炎症性細胞浸潤の解析は、なぜ解析ができないかなどの根本的理由を含めてうまくいっていない。
しかしながら、Leukocyte Groupを始めとした時系列連続体、時系列ストリームの発見と解析により、その理由の解明と、炎症免疫応答の定量化、および確定診断が可能となった。
具体例(実証モデル)の一つとしての歯周炎においては、
バーストポイントからの炎症性細胞浸潤が形成しているベクトル場のひとつがLeukocyte Groupとしての時系列連続体、時系列ストリームであり、このベクトル場の観察は、計算されたベクトル図以上の効果を有しており、一例として解の符号が瞬時に判断できるので、歯周炎がひどくなる。軽快してゆく。小康状態の3つの状態(病態)と、その各々の速度とが顕微鏡画像から簡単に予測できる。
つまり本画像は、『速度』と『解である状態』が瞬時に判読でき、さらに『差分による誤差除去』が容易に実施できるので、病気、病態、リスクの判定が瞬時、容易にでき、リアルタイムに歯周病などの炎症、免疫疾患の確定診断、リスク診断が可能とる。

Text
歯周ポケットの内容物を極力場(ベクトル場)を乱さずにサンプリングし、顕微鏡とくに位相差顕微鏡により白血球、とくに好中球を観察、計測する。すると『速度』と2『解である状態』と3『差分による誤差除去』などが見えてくる。それらは、炎症免疫応答の重要な意味を有しており、歯周病の定量計測、診断を始めとして歯周ポケットを炎症免疫の場として使用できる有用な情報を我々に与えてくれる。 これらの現象は、LeukocyteGroupとしての時系列連続体、時系列ストリームという過渡モデルして、差分方程式そしてその微分型である微分方程式として表現でき、そして得られた画像群は、そのモデルあるいは式の解の状態(現象の結果画像であり、ベクトル図としても見ることができる。)として説明することができる。つまり連続体、ストリームとは、数学的に微分における一様連続の一様、差分における一様断続以上(一様連続も含む)の一様と同義なのであり、さらに時系列連続体、時系列ストリームは、一様連続または一様断続と同義なのである。

そこで、
1『速度』と2『解である状態』と3『差分による誤差除去』を順々に解説してゆく。
1『速度』
画像 図52 Fig1 に示されるように速度が判明する。
さらに
炎症のタイムスケール上に速度、位相が出現する。
炎症のphase1がLG、 (図45 Fig2 )
上記LGをモデル化した図(図44 Fig3, 図50 Fig4 & 図49 Fig5)
モデルの解析式(図55-57 Supplementary Fig3, Fig4 & Fig5)を提示する。
その解析式の解を図示したベクトル図に相当するのが、図52 Fig1、図45 Fig2の画像である。とくに 図56 Supplementary Fig4が連続体特性、ストリーム特性のモデル範囲を表現したものである。
ここで
LG1〜LG4、LGO1〜LGO4 時系列属性と連続体特性、ストリーム属性を有している。
位相差顕微鏡では、とくにLGが強い時系列特性を有している。この時系列特性は、他の時定数を採用してもよく、その時定数の振幅と時間規程具合により時系列特性の優劣は決まる。
LN1 〜LN4またはLO1〜 LO4は、連続体特性、ストリーム属性を失っている。
の一例を開示する。(図51 Fig6)
LGは、顆粒の運動の有無、核または細胞質のバーストなどの形状崩壊度によるタイムスケールがあり、以上のphase1からphase4までのタイムスケールとあわせて、多くのタイムスケールを有する。(種々な位相、時系列、連続体、ストリームが組み合わさっている)また様々なタイムスケールが予測される。

2『解である状態』
前記1『速度』の解がベクトル図と同様に観察できる。
図45Fig2の各LGにおいて、そのdN/dtの値を図69Table2に記載した。
dN/dtが−なら治癒方向である。+なら悪化方向である。また0なら小康状態である。この時dN/dtの数値の絶対値が大きければ大きいほど速度が大きい事は言うまでもない。
などが推測される。
これらの診断は、今回の数理的なモデル、従来からの病理組織知見より鑑みて、十分な正当性を有していると思われる。
一方、臨床的にこの診断の正当性は、この診断を取り入れた当医院での予防患者の低抜歯率という知見にて間接的に証明されていると言える。
しかし、将来的にさらに精度の高い検証を行ってゆく必要があるが、臨床的な経験でも開業医レベルでは十分と思われる。

3 『差分による誤差除去』

1 時系列誤差 (Supplementary NoteS1, 図53-60Supplementary Fig1〜Fig8)などにより解消。
2 濃度誤差 (Supplementary NoteS2, 図53-58 Supplementary Fig1〜Fig6)などにより解消
3 空間誤差 (図52 Fig1, 図45 Fig2, 図55-60 Supplementary Fig3〜Fig8, Supplementary Note S3 & S4 )などにより解消
があり、これらの内容が不明であることが前記曖昧性を生んでおり、病理組織学的診断を不可能にしていたのである。そして、時系列連続体、時系列ストリームにより解決した。
そして、以下に各誤差の特徴を記す。
1 時系列誤差:生体での炎症、免疫応答は、ほとんどが容量性場で行われているので、異なる時間での応答が混在している。一例として新旧好中球の混在が位相差顕微鏡にて観察できるが、これらを同じ時間での計測とすると、生じる誤差は時系列誤差の一例である。特にペーパーポイントでの試料採取や、試料のプレパラートを作成してカウントする従来の計測では、指標物質の新旧などを混在させたり、細胞を死滅させたりするなどの時系列上の大きな誤差を生み出す。すなわち時間軸に対して積分するために生じる誤差である。 さらに重要なのは、この時系列積分(誤差)は、単純に時間軸の分解能における精度上の誤差といった意味以上の重要な意味を有していたのである。すなわち感染などによる損傷部位(歯周ではアタッチメントロス部位など)からの湧き出る炎症性、免疫性細胞などが形成する時系列連続体、時系列ストリームの流れにより形成されるベクトル場の存在である。(シンクのミクロ診断は、続報にて述べるとする。)この時系列連続体、時系列ストリームは、それ自体が損傷部位からの炎症および免疫の指標物質における母集団であり、この一部または全部を極力ベクトル場保存サンプリングして検査を行うべきものである。しかしながら従来は、この母集団の時系列連続体、時系列ストリームというベクトル場の性質に気づかず、また別々の連続体、ストリームを混在して計測をしていたりして歯周病の病態と白血球の指標に曖昧性が生じるなどして確定診断ができなかったのである。この時系列連続体、時系列ストリーム(母集団)の観察により個々のタイムスケール要素(自身)が表現する絶対値、要素同士が表現する相対値を覆い隠してしまっていたという重大な誤差を含んでいたのである。この誤差は、従来発見されておらず、歯周炎の指標物質の確定ができなかった最大の原因と考えられる。 さらに、実世界で観察できるのは、数学的には速度であるという議論がある。これはマルサスの法則、ロジステック式などからも言われているものである。(この速度論、この型の微分方程式、そして歯周病におけるカオスの有無に関しても議論があるところではあるが、)歯周病を始めとした炎症、免疫応答の診断においては、これらの時系列の種々な解析(一例として、スペクトル解析、回帰分析、相関など)、そして計測における速度議論すらなしに進んできてしまっているのもこの時系列誤差の放置の根拠のひとつである。すなわち医師が診断する時刻t1なそにおける炎症の程度(ひどさ)を、f(t1)とするならこれは、一例として好中球などの炎症性細胞などの個数などの量である。これは速度ではない。この場合の速度は、{f(t2)−f(t1)}/ {t2−t1}となる。さらにここでは、時間項を規格化して説明をしてゆく。これはある種の誤差を除去する関係でもあり、実世界の現象を観察、計測する基本的な概念である速度論とも相通じるのである。ここで、従来求めてきた歯周炎の炎症の程度は、まさにこのf(t1)であったのではあるが、これも(ベクトル場)保存サンプリングでしかえられないのであった。
2 濃度誤差:主に溶媒の量が正確に計測できなかったりまたは一定にできなかった事による誤差。さらにサンプリングによる溶質の計測誤差も原因の一つである。すなわちこれらは、絶対値計測で生じる通常のシステマテックまたはランダマイズ誤差である。
3 空間誤差:
サンプリング空間分解能:主に破壊部位(BurstPoint)と非破壊部位とを分離して計測できないなどの誤差。大きくは、唾液での検査、小さくは、ペーパーポイントやスポイトなどによる空間積分誤差である。この空間積分(誤差)は、前述の時系列連続体、時系列ストリームの流れにより形成されるベクトル場を破壊してしまい、母集団を観察不可能としてしまう。
サンプリング位置誤差:採取毎における試料を得る場所の位置ズレによる誤差である。

など、「以上の誤差、特に時系列連続体、時系列ストリームの破壊と状態、程度計測(絶対計測)への固執のため正確な測定ができなかった。」という極めてシンプルな数理的問題であった。
このように従来の計測は、殆どが全てこのような時空間積分_計測または/とある時刻tにおける状態、程度計測(絶対計測)であった。これは、見方を変えれば、空間積分での計測(論)または/とΔtを含めて主に微小時刻での状態、程度への計測(論)(絶対計測)が問題を提起している事を意味している。すなわち時間の流れの中で生活している我々人間の宿命である事を意味しており、一方では前述の速度問題へとなっていくのでもある。
そして重要な点は、時系列連続体、時系列ストリーム中の時間依存物質をある時刻に2つ以上観察できれば、ここから速度も判明し、さらに多数の抽出ができれば、速度式を多数輩出でき精度の高い状態、程度、診断を得ることが可能となる。
さらに最も重要な点は、時系列連続体、時系列ストリームとは、2つ以上の別の時刻を特定できる物理量(状態、程度)を有する要素からなる集まり、すなわち群(集合体)にほかならなく、この個々の時間要素での差は過去の時間などある一時刻におけるある物理量を反映する物質と、現在のある一時刻での物理量を反映する物質の2つ以上の物質を同時間に観測するのと同義の場合がある。すなわちそのような条件を満たす物質が同時刻に観測でき、そして、それらにより形成された群を見つけられれば、またはその群の境界を見つけられば、時系列連続体、時系列ストリームの発見、観測となり一気に従来からの上記諸問題は解決されることになる。これは個々の時刻tnでの状態、程度計測(絶対計測)を、tnと等価なタイムスケールτnにより計測可能とする。
すなわち時系列連続体、時系列ストリームをスペクトル解析、回帰解析、相関解析などする事も可能であり、さらに多数の結果より精度の高い補間、予測も可能とするのである。もっとも日常臨床レベルにおいては、この操作までを必要とした事はない。そして第2段階として、母集団としての性質を持つ時系列連続体、時系列ストリームの抽出観察から個々の時刻での状態、程度が計測できるのである。これは、人間が瞬間に判断(病態の診断)を下せる利点を有している。すなわち『速度』と『解である状態』(それらによる『未来の予測』)『差分による誤差除去』が容易に行えることを意味している。(図55-59 Supplementary Fig3,Fig4,Fig5,Fig6&Fig7)
つまり、この計測、観察を行えば、歯周病を始めとした免疫、炎症の実態である炎症、免疫の状態、程度がが把握できる事を意味している。

material & method
単円探針、連円探針にて歯周ポケット底などから試料をサンプリングし、ピンセットにて水を1滴あたえ、カバーグラスで圧接し、規格化位相差顕微鏡にて検鏡した。
(Supplementary NoteS4)

[構成]
サンプリング手段の一例:単円探針または連円探針
時系列連続体、時系列ストリーム手段の一例:前記論文中の時系列連続体、時系列ストリームを検査する手段で仮想空間上にて作成されている。
[動作]
サンプリング手段としての一例として、単円探針または連円探針を使用する。そして計測手段として下記の位相差顕微鏡ペリオスコープを使用しコンピュータにて映像を記録する。そして記録された映像を元にLG手段、LGO手段、LO手段、LN手段のいづれかまたは、その組み合わせにて映像を分析し、免疫炎症を検査する。
[効果]
時系列、連続体、ストリーム、または時系列連続体、時系列ストリーム分析ができる。これにより免疫炎症検査における組織診断が高い精度にて行える。
[変形例]
歯周病のみならず、時系列連続体、時系列ストリーム特性を有する生体現象すべてに使用できる。


[実施例5]
第5実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第5実施例の形態]
第5実施例の形態は、Disease is Veracity.

Summary
従来、病気の定義は曖昧であり、医師は経験的な分類を強いられてきた。特に病気の時区間において休止期を有する病気においてなどは、病気なのか、そうでないなのかなどの診断の困難性など、慢性的な疾患における確定診断の困難性または不可能性に頭を悩ませてきた。
しかし病気の数理的定義を見つけ、さらに時系列の遅い慢性疾患に対しての組織診断などのミクロ診断の有用性と定量化指針を数理的に定義することにより上記問題は、解決した。このモデル疾患として歯周炎を取り上げ実際に数年にわたり検証し抜歯率0に近い結果を得、この数理モデルの有用性を実証した。すなわち病気とは、マクロレベルでの速度である事を証明し、特にその速度が遅い慢性疾患における確定診断の困難性または不可能性を提示し、それに変わる組織診断などのミクロ診断の有用性と定量化手法を提示する。これらの数理モデルにより人類は、初めて病気とその診断を客観的に共有進化でき、医療は加速度的に進化するであろう。

Text
1 まず病気とは、
我々に認知できるレベルの傷害などの臨床所見である病気の状態にもとづき分類され、診断されてきた。この病気の状態である病態は、人間が認知できる状態、すなわちマクロレベルでの病態により表現されてきたのである。この基本的な方法論が正しいのか否かは別として、少なくとも慢性疾患における診断では、ある時刻t1において病気を有する状態なのか、または休止期を含めて病気を有しない状態なのか、の診断が不可能であるという事を始めとして種々な不都合を抱えている。これは、歯周ポケット内での時系列連続体、時系列ストリームであるLGのストリーム特性、連続体特性から始まり、マルサスそしてロジスティック方程式などの状態を速度から求める一連の法則(速度論)に適合し明らかとなってゆく。(図61 Fig1)
すなわち病態の殆どが慢性的に進行し、視覚で認知するポケット深さ、それより求められるアタッチメントロスにより表現されうるであろう歯周炎(病)の臨床所見における歯周炎(病)の速度dP/dt は、一般に数年以上にてようやく検出できる程度に非常にゆっくりであるので、ある時刻t1における歯周組織の肉眼的臨床所見P(ここではポケット深さ)として診断される歯周炎(病)の状態は、前記のごとくに現状の科学では計測不可能である。
これは、前記速度論で言えば、(マクロレベル)
P:計測時点での歯周ポケット深さ(pocket depth)
αp:悪化率(速度)であり、単位時間あたりの割合で示される悪化力である。(次元は1/S )
βp:治癒率(速度)であり、単位時間あたりの割合で示される治癒力である。(次元は1/S )
αp・Pは、歯周ポケットの負の増加速度(治癒速度)、βp・Pは、歯周ポケットの正の増加速度(悪化速度)
αp・P− βp・P :歯周ポケット深さの変動速度すなわち、アタッチメントロス(の速度)
であり完全に歯周病(の速度としてのアタッチメントロスの速度)を表現しており、
そして、これは、
dP/dt = αp・P − βp・P と言うことに他ならず、
この微分方程式により歯周病(歯周組織)の状態P(病ポケット深さ)が求まることになる。
これはまさにマルサス以来の状態の計測における速度論にも適合するのである。
よって病気の状態、ここにおいては病気の一例として歯周病を上げ、
歯周病は、速度で表現されている事が明確に理解ができる。
そしてこの方程式を解く時点にて生じる誤差として、
1 いづれかの時区間内に休止期が存在する場合などの数理的誤差(これは単にカオスかもしれない。)
2 サンプリングなどによるα・ とβ・の算出誤差などの統計的誤差
3 計測システムのS/Nおよび分解能による計測限界の存在などの物理的誤差
などがあり、それらによりある時刻において前記病気としての歯周病を計測することが現状のポケット深さ計測機器においては不可能である事が判る。
2 組織レベルからの知見
一方組織レベルでから述べれば、白血球は、自己増殖しないが、抗原、サイトカインにより(観察)場(炎症巣)に出現する。これを出生率に置き換える。生物を自己分裂型と雌雄生殖型に分類するなら、この両者ともマルサス(ロジスティック)の法則に適合するなら、自己増殖に相当するサイトカインによるPFBと、雌雄生殖型に相当する抗原という他己による出現の両者を併せ持つαcとして考える。また対数増殖する菌に対応して出現する好中球が対数対応しているのはごく自然な考えである。 ここで話が複雑なのは、サイトカインネットもさることながら、抗原により白血球は増加してゆくとともに、その対応している抗原を減少させるのが白血球自身でもある事である。がしかしこれらαcを左右する事象が多くあろうとも、すくなくとも菌の増殖と近似しているであろうことは、容易に予測できる。さらに抗原が存在しなくなるか、もしくは影響が無くなれば、出生率αは、サイトカインによるもののみとなり、αc<βcとなれば、炎症はおさまるのである。もちろん白血球もまた崩壊、死滅してゆくのは周知の事実であるので係数βcの方の証明は不要であろう。
以上からマクロレベルの病気とミクロレベルの病理組織とは、ミクロレベルの積み重ね(重畳)になっていると考えられる。
ここで、α、βは、それぞれ速度無しの状態が1とし、% / Sすなわち次元は、1 / Sとなる比率速度とする。そして、β<1の状態は、老化、免疫低下などと考えられ、死亡すればβ=0となる。このことから生命=βとも言える。またα−β=0なら病状の進行はなしである。すなわち、α>1の時、病気であるとしても良いと考えられる。ここで非常に重要な点は、βが1より大きく、その大きな分だけαが大きい時、この状態でα=β(α<βも考慮)の時が当然存在するのが予測される。この場合は、ミクロ診断でのαでの判断が病気の診断として本質的であり従来のマクロ診断での病気の体系論に異議をとなえるものとなる。
3 ミクロ診断での病理組織診断と前記病気(マクロレベル診断)との関係は、
前記1、2は、まったく同じ式にて表現される。さらにアタッチメント(組織)が破壊されれば、当然のごとく炎症、免疫応答が生じるという基本的な医学的知見よりαp∝Leukocyteの浸潤量(速度)となる。もちろん現在歯周病の有無、程度と白血球の計測値は、一致する報告はないが、その点においては、後述、同時投稿の論文にて解決し、前記ミクロ診断とマクロ診断とがミクロレベルの積み重ねである事が証明される。いいかえれば、アタッチメントロスを生じているB.P.からの連続体、ストリームの重畳であることを意味している。
そしてβpが観察されるのは、病的ポケットを処置した後に有意に観察される。また健全な歯肉溝としての深さおおよそ2〜3mm程度の溝は、埋まる事がないので、βpは、病的な悪化速度αpに対抗して出現するものであるのが通常の歯周病(炎症)である。 このようにβpは、病気の原因により影響もあると考えられるので、マクロレベルでのβpの算出は困難である。またミクロレベルでのβは、剥離上皮細胞や線維芽細胞の計測により表現される可能性はあるが将来の研究である。よって現状においてはマクロレベルでの診断は、悪化速度係数αpをもって歯周病の病気を最悪値として計測するのが現状では妥当と考えられる。
4 ここに炎症の病理組織定義と従来でのマクロ的病気の診断論がここに対応できたと考える。そして、歯周病(歯周組織)の状態Pを、αc悪化速度、すなわちLeukocyteの浸潤量(速度)として表現することには一見問題がないと思われるが、従来以下のごとくの誤差が生じておりその証明がなされていなかった。

5 病理組織診断の計測の方法は、
ここで従来、炎症性細胞浸潤、特に好中球の浸潤の計測で、歯周炎(病)を診断する試みが多数存在しているが、なぜうまくいかないか定かでなく、曖昧なままになってしまっている。
この曖昧性は従来の計測において、
1 時系列誤差 (Supplementary NoteS1, 図53,50,55-57,51,58-60 Supplementary Fig1〜Fig9)など により解消。
2 濃度誤差 (Supplementary NoteS2, 図53,50,55-57,51,58 Supplementary Fig1〜Fig7)などに より解消
3 空間誤差 (図45 Fig2, 図52 Fig3, 図53,50,55-57,51,58-60 Supplementary Fig1〜Fig9, Supplementary Note S3 & S4 )などにより解消
があり、これらの内容が不明であることが前記曖昧性を生んでおり、病理組織学的診断を不可能にしていたのである。そして、時系列連続体、時系列ストリームにより解決した。
そして、以下に各誤差の特徴を記す。
1 時系列誤差:生体での炎症、免疫応答は、ほとんどが容量性場で行われているので、異なる時間での応答が混在している。一例として新旧好中球の混在が位相差顕微鏡にて観察できるが、これらを同じ時間での計測とすると、生じる誤差は時系列誤差の一例である。特にペーパーポイントでの試料採取や、試料のプレパラートを作成してカウントする従来の計測では、指標物質の新旧などを混在させたり、細胞を死滅させたりするなどの時系列上の大きな誤差を生み出す。すなわち時間軸に対して積分するために生じる誤差である。 さらに重要なのは、この時系列積分(誤差)は、単純に時間軸の分解能における精度上の誤差といった意味以上の重要な意味を有していたのである。すなわち感染などによる損傷部位(歯周ではアタッチメントロス部位など)からの湧き出る炎症性、免疫性細胞などが形成する時系列連続体、時系列ストリームの流れにより形成されるベクトル場の存在である。(シンクのミクロ診断は、続報にて述べるとする。)この時系列連続体、時系列ストリームは、それ自体が損傷部位からの炎症および免疫の指標物質における母集団であり、この一部または全部を極力ベクトル場保存サンプリングして検査を行うべきものである。しかしながら従来は、この母集団の時系列連続体、時系列ストリームというベクトル場の性質に気づかず、また別々の連続体、ストリームを混在して計測をしていたりして歯周病などの病態と白血球の指標に曖昧性が生じるなどして確定診断ができなかったのである。この時系列連続体、時系列ストリーム(母集団)の観察により個々のタイムスケール要素(自身)が表現する絶対値、要素同士が表現する相対値を覆い隠してしまっていたという重大な誤差を含んでいたのである。この誤差は、従来発見されておらず、これが元で歯周炎の指標物質の確定ができなかった最大の原因と考えられる。 さらに、実世界で観察できるのは、数学的には速度であるという議論がある。これはマルサスの法則、ロジステック式などからも言われているものである。(この速度論、この型の微分方程式、そして歯周病におけるカオスの有無に関しても議論があるところではあるが、)歯周病を始めとした炎症、免疫応答の診断においては、これらの時系列の種々な解析(一例として、スペクトル解析、回帰分析、相関など)、そして計測における速度議論すらなしに進んできてしまっているのもこの時系列誤差の放置の根拠のひとつである。すなわち医師が診断する時刻t1なそにおける炎症の程度(ひどさ)を、f(t1)とするならこれは、一例として好中球などの炎症性細胞などの個数などの量である。これは速度ではない。この場合の速度は、{f(t2)−f(t1)}/ {t2−t1}となる。さらにここでは、時間項を規格化して説明をしてゆく。これはある種の誤差を除去する関係でもあり、実世界の現象を観察、計測する基本的な概念である速度論とも相通じるのである。ここで、従来求めてきた歯周炎の炎症の程度は、まさにこのf(t1)であったのではあるが、これも(ベクトル場)保存サンプリングでしかえられないのであった。
2 濃度誤差:主に溶媒の量が正確に計測できなかったりまたは一定にできなかった事による誤差。さらにサンプリングによる溶質の計測誤差も原因の一つである。すなわちこれらは、絶対値計測で生じる通常のシステマテックまたはランダマイズ誤差である。
3 空間誤差:
サンプリング空間分解能:主に破壊部位(BurstPoint)と非破壊部位とを分離して計測できないなどの誤差。大きくは、唾液での検査、小さくは、ペーパーポイントやスポイトなどによる空間積分誤差である。この空間積分(誤差)は、前述の時系列連続体、時系列ストリームの流れにより形成されるベクトル場を破壊してしまい、母集団を観察不可能としてしまう。
サンプリング位置誤差:採取毎における試料を得る場所の位置ズレによる誤差である。
など、「以上の誤差、特に時系列連続体、時系列ストリームの破壊と状態、程度計測(絶対計測)への固執のため正確な測定ができなかった。」という極めてシンプルな数理的問題であった。このように従来の計測は、殆どが全てこのような時空間積分_計測または/とある時刻tにおける状態、程度計測(絶対計測)であった。これは、見方を変えれば、空間積分での計測(論)または/とΔtを含めて主に微小時刻での状態、程度への計測(論)(絶対計測)が問題を提起している事を意味している。これはすなわち時間の流れの中で生活している我々人間の宿命である事を意味しており、それはまた一方では前述の速度問題へとなっていくのでもある。
そして重要な点は、時系列連続体、時系列ストリーム中の時間依存物質をある時刻に2つ以上観察できれば、ここから速度も判明し、さらに多数の抽出ができれば、速度式を多数輩出でき精度の高い状態、程度、診断を得ることが可能となる。
さらに最も重要な点は、時系列連続体、時系列ストリームとは、2つ以上の別の時刻を特定できる物理量(状態、程度)を有する要素からなる集まり、すなわち群(集合体)にほかならなく、この個々の時間要素での差は過去の時間などある一時刻におけるある物理量を反映する物質と、現在などのある一時刻での物理量を反映する物質の2つ以上の物質を同時間に観測するのと同義である場合がある。すなわちそのような条件を満たす物質が同時刻に観測でき、それらにより形成された群を見つけられれば、またはその群の境界を見つけられば、時系列連続体、時系列ストリームの発見、観測となり一気に従来からの上記諸問題は解決されることになる。個々の時刻tnでの状態、程度計測(絶対計測)を、tnと等価なタイムスケールτnにより計測可能とする。
すなわち時系列連続体、時系列ストリームをスペクトル解析、回帰解析、相関解析などする事も可能であり、さらに多数の結果より精度の高い補間、予測も可能とするのである。もっとも日常臨床レベルにおいては、この操作までを必要とした事はない。そして第2段階として、母集団としての性質を持つ時系列連続体、時系列ストリームの抽出観察から個々の時刻での状態、程度が計測できるのである。これは、人間が瞬間に判断(病態の診断)を下せる利点を有している。すなわち『速度』と『解である状態』(それらによる『未来の予測』)『差分による誤差除去』が容易に行えることを意味している。(図45 Fig2,図52 Fig3)
つまり、この計測、観察を行えば、歯周病を始めとした免疫、炎症の実態である炎症、免疫の状態、程度がが把握できる事を意味している。
この群論は、従来での絶対計測論と比較すると相対計測論ということができるであろう。
そして最後に、病気の原発病巣は、あたりまえであるが連続体特性、ストリーム特性を有している。そして、そのミクロ部位での病理組織診断では、連続体特性、ストリーム特性を有している細胞などの要素にて病理診断が可能となる。これらは、LGのごとく差分そして微分方程式にて表現される。このことは、数学的に微分における一様連続、差分における一様断続以上(一様連続も含む)と同義なのである。

[構成]
サンプリング手段の一例:単円探針または連円探針
病気速度手段の一例:前記論文中の病気を検査する手段で仮想空間上にて作成されている。
[動作]
サンプリング手段としての一例として、単円探針または連円探針を使用する。そして計測手段として下記の位相差顕微鏡ペリオスコープを使用しコンピュータにて映像を記録する。そして記録された映像を元にLG手段、LGO手段、LO手段、LN手段のいづれかまたは、その組み合わせにて映像を分析し、免疫炎症を検査する。
そして、病気の速度を検出する病気速度手段により病気が検査される。
[効果]
歯周病などの病気が数値化されるので、いままでより格段に精度の高い病気の検査、診断などが可能となる。
[変形例]
歯周病のみならず、すべての病気に適用できる。


[実施例6]
第6実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも感染系手段を備える。
[第6実施例の形態]
第6実施例の形態は、
ヒト口腔内におけるCandida属病原菌の感染連鎖切断のための新しい分析法および診断処置法である。
以下のSupplementlyの内容は、第1、第2実施例に準拠する。
Summary
Summary
感染LoopであるInfection Chain(IC)の要素をSegment単位で表現し、かつどのSegmentでも、下記の3つのloop型モデル関数にて感染を表現する。すなわち感染源Infection Source (IS)からの一次拡散場Diffusion Field (DF)、2次拡散場Spread Field (SF)、担体拡散場Carrier Field (CF)からなる感染場Infection Field (IF)をモデル化し、感染応答としてのIFと指標組織における感受性と抵抗性をそれぞれ感受性場Receptor Field (RcF)と抵抗性場Resistant Field (RsF)で表現し、それに対して対数増幅関数 (増幅係数γ)を挿入し、増幅segmentを定義する。そしてその各segment内での繰り返しであるsegment内での感染連鎖ICの他に、さらに他segmentからのIFの波及(import)、そしてsegment外へのIFの波及(export)のsegment同士(segment外)に対しても、segment内部と同じモデルを使用して感染を表現できるように前記3つのloop型モデル関数を定義する。これは簡単にかつ高精度にInfection Chainを記述でき、このモデルを使用することにより簡単かつ高精度に感染処置、予防が可能となる。そして、今回このモデルを口腔segment(Oral Cavity Segment)にて適用し指標微生物としてCAを選択し、感染解除を試みた。その結果、有史以来人類が、常在菌と認めた病原性微生物であるCAにおいてInfection Chainの切断、再感染対策も含め生体からの撲滅宣言ができるであろう初の病原性微生物となる可能性を示す。
すなわち、有史以来人類が、常在菌と認めた病原性微生物の生体からの撲滅に勝利した例はないが、再感染対策も含め生体からの撲滅宣言ができるであろう初の病原性微生物となる可能性を示す。ここでCAは、生命に危機をもたらす重篤な感染症を形成するなどの問題を起こす最もメジャーな病原真菌である。しかし、今回、患者353人による全歯牙CA検査(口腔単位)でのCA検査結果は、CAが常在菌でない可能性を強く示唆した。そして前記モデル関数を求めるために開発した時間・空間・位相を含めた新しい歯種培地計測分析は、前記ISとそれに対するRcFとRsF、そして定着、付着も推定できうる増幅segmentを特定する増幅係数γ値を初めとして、DF、SF、CF、の集合場であるIF、などの感染性質を明らかにした。その結果を基にした時間的・空間的に過不足の無い抗真菌剤併用によるう蝕処置とクリーニングは、感染連鎖ICの一部としての口腔segmentにおけるCAの除菌率を約100%にした。さらに今回の検査診断を用いることで、ICの感染経路におけるIFの検査もでき、再感染予防をも行うことができ、処置後に抗真菌剤を使用せず、持続的に患者の口腔segmentをCAフリーに維持することができた。そして、これらの診断・処置は、生体の入り口である口腔において、ある特定のう蝕歯牙が、外部拡散の最も大きな感染場である食品と並び、またはそれ以上の増幅拡散を行う感染場(Infection Field)であることを意味する大きなISをともなう感染場(Infection Field)であることを示し、そしてこれらICの詳細な計測分析を基にした処置は、CAの生体内への内部拡散、他の生体や食物を始めとする自然環境への外部拡散を始めとするICを断ち切れることを示している。
以上これらの検査診断(およびう蝕処置・クリーニングなどの処置)は、歯牙など組織に対する微生物の付着、定着、歯牙など指標組織が有する感受性RcF、抵抗性RsFといった微生物の感染に関わる特性の可視化、感染源ISの特定(空間位置)、濃度、増幅度(増幅係数γ)、そして感染経路(場としてのIF)の特定ができ、それを基にした感染連鎖ICの切断を可能とすることを示唆している。その結果において、これら口腔をはじめとする種々なsegmentでのこれら検査診断による感染源ISの消滅や感染経路ICの切断は、自然界における微生物の新しい診断検査態勢の見本となり、病原微生物の生体への脅威を著しく低減するであろう。
Text intro
歯科や医科においてCandida(CA)は主に終末期的(final phase)な感染菌であり(Refs. 1,2)、さらに末期重症感染症、悪性腫瘍に併発する感染、臓器移植の定着不全、眼部混濁のような口腔咽頭を含めた消化器、呼吸器、心臓、肝臓、脾臓、中枢神経、泌尿器、眼、皮膚、膣、内分泌系に対する感染症をひき起こしてきた(Refs. 1,2)。従来CAは、常在菌といわれてきたこともあり、生体からの除菌、生体への感染予防に関してほとんど無策であった(Refs. 1,2)。
また、ISの特定を行わず、闇雲に抗真菌剤を使用したら、口腔内完全除菌が、再感染のIFにさらされているのにも関わらず、(一時的に)できたとする報告は存在するが(Refs. 3)、ISの特定などIFやICの検討をおこなわずの除菌であること、ICの一部としてRcFやRsFである組織が存在していること、などを検査、診断せずに行っているので、自然界や生体の一部としてのOral SegmentにおけるICの切断には、ほど遠くこのような処置は、実験的には興味深いが、臨床的には危険である。なぜなら、当然のことであるが感染症対策には、必ずICの一部である感染経路など再感染、感染原因などへの考慮が必須であるからである。特に抗菌剤のような耐性菌の生じる療法においてはなおさらである。
すなわち、
1 ISが消滅しているか?
本研究では、ISが特定できるので、消滅の確認ができる。
根管内への抗真菌剤の適用
2 RcFが消滅しているか?
本研究では、RcFの特定ができるので、消滅も確認できる。
3 濃度の高いISから除菌を行っているか?
本研究では、濃度の高低がISの位置とともに特定できる。
4 除菌中拡散、被爆防止がなされているか? この時CFやSFを考慮する。
本研究においてCAの場合は、陽性歯牙治療時には、アモフォテリシンBの全歯牙への局所適用を術前、術中、術後、Homeケアにて行った。メインテナンス時には、使用せず。
5 除菌後の検査による再感染の有無と、感染経路の調査を行っているか?
外部IF、内部IFの存在確認を行う。除菌後の全歯牙検査(口腔単位)、部分歯牙検査(歯牙単位検査)の実行。
以上の項目などに対して本研究においてCAの場合、後述での再感染の分析により、感染経路の推定が容易となることが、本計測、分析、診断法にて理解できる。さらに感染解除の研究は、食品などの外部CFを初めとした外部IFによる再感染調査が行われるべきであり、IFなどの検査がなされないならば、感染の脅威にさらされたままとなる事を意味するものでもある。実際、本計測により明確になった後述のレジン歯(充填や人工歯)や処置および真健全歯にも付着があり、さらにリークも含め2次カリエス歯を厳密に口腔Segmenntから除去する事は、不可能であるなどを含めて、指標菌のIFの分析と、それにもとづく感染経路消滅などを行わなければ、永久的にアモフォテリシンBなどの抗菌剤を使用しなければならなくなる。すなわち、やみくもな増幅Segmentの除去は、ICの存在など感染の問題がなくならずに、感染連鎖ICをさらに混沌とした状況へと進めてしまう事が懸念される。
このようなIFの特定などの空間、位相、時間などにもとづく検査、診断を行っていない報告例は多々あり、検査、診断が混沌としている例は多い。すなわち、う蝕に関係あるという文献(Refs. 4-7)、う蝕に関係ないという文献(Refs. 8,9 )など、正反対の結論を有する文献があることが良い例である。
以上のこれらの研究では、前記のごとくの明確なCAの感染諸性質の分析がなく、抗真菌剤の使用解除時の再感染対策、根尖性歯周組織炎を伴う歯根管への不適用や適用基準、除菌後の抗真菌剤の適用の基準、可否などの(基準)不備、メインテナンスの手法、程度など、CA感染の基本的な性質の不明確性により永続的な感染予防、完全除菌などに達成せず感染解除には至っていない。
そこで図4Fig1のごとくI.S.を源としてD.F., S.F., C.F.の3様式にてそれぞれ拡散する場であるI.F.(式1)、そしてI.F.により被爆した組織において生じる感染源I.S.(式2)を定義し、式2から式1の各3要素への対応式である(式3)により生じるLoopである感染連鎖(I.C.)を定義した。この基本原理にもとづき具体的な感染対策、すなわちI.C.の切断、(I.S.の除去、C.F.の汚染対策、RsFの究明、組織のRcF化阻止など)、そのためのI.S.,D.F.,S.F.,C.F.,RsF,RcFの計測、分析を明示した。この時、このモデル微生物として前記CAに、この計測、分析を適用し、その感染の基本原理を明確にすることにより、本研究の目的である普遍的なCA感染解除を試みた。
すなわち微生物は、Colonizationしている場所をFixed Local Infection Sourceとし、そこを中心potential energyとして一次拡散primary diffusionがすすみ、一次拡散場diffusion field(DF)を形成する(図5Fig. 2)。さらにその外側にて濃度勾配によらないランダムな二次拡散secondary diffusionによる二次拡散場Spread Field(SF)を形成する。また、ブラシのような清掃器具や食物などさまざまなCarrier(担体)に付着して、近接地や遠隔地へと転移してゆく担体場Carrier Field(CF)がある。本研究では、DF、SFそしてCFの3つの場を合わせてinfection field(IF)として定義する。このIFからの連鎖を感染連鎖infection chain(IC)とする(図6Figs 3 and Supplementary Note S1-S10)。
それらIF内において、(感染対象)組織に対して微生物が遭遇encounterする。微生物が、阻害物質による場Resistant Fieldではなく、遭遇した物質に付着可能だと、その物質に付着adhesive colonizarionし、好条件下であれば定着増殖fixed colonizationし、感染が進行してゆく。う蝕歯牙での顕微鏡画像では菌糸体や胞子などの多形成画像が見られる(図34 Supplementary Fig.1 )。
しかしながら、我々が開発したCA検査診断は、歯種培地による口腔内歯牙(歯周組織などの背景組織も含む)における空間分析、位相分析、時間分析により、この菌の最も大きな感染場 (Infection Field; IF)は、ある特定のう蝕歯牙であることを示した(図8Figs 5 ; 図14-16,19 Table 3−6 ,11 and 図31 Supplementary Table S21 )。う蝕処置とクリーニングの結果、口腔内のCA除菌率がほぼ100%となり(図8,9Fig.5,6 and 図16 Table 6 )、さらに再感染に関してもあるレベル以下の軽い付着(adhesive colony)がいくつかの症例にみられるのみとなり、それら付着(adhesive colonization)症例は、容易に付着(adhesive colony)を解除できた。これらの結果は、CA検査診断が感染経路の判明と遮断に極めて有用な方法であり、CAにおける感染連鎖(Infection Chain; IC)のcut offが可能であることを示唆している。このように歯種培地による時間的・空間的・位相的なCA検査診断およびう蝕処置は、従来、常在菌とされてきたCA菌感染に対しての多くの難症例に解決の光をもたらすであろう。
ここで口腔内には、1本のみのCA感染う蝕歯を持つ場合と、複数のCA感染う蝕歯が存在する場合がある。後者の場合、IF(すなわちDF、SF、CF)が口腔内という限定された空間に複数存在し干渉しており、さらに Resistant Fieldが抵抗しあって混在している。これらのIFによる現象が、CAは常在菌といわれる原因をつくりだしていると考えられる。ここで重要なことは、このResistant Fieldが口腔内では非常に強力である可能性が示されていることである(後述の空間分析の結果)。また、当医院における(口腔単位での)全歯牙CA検査で有意に陰性が多いという結果は(P < 0.05; Table1)、この地域のみの結果であるという可能性もあるけれども、外部拡散が非常に少ない証拠であり、外部拡散からの感染よりも口腔内のIFが非常に影響力を有していることを示唆している。これは、日本の食、土壌、水圏などのCAによる染度が非常に低いという地域性を示しているかもしれない(図14 Table 1)。
そしてDMFT指数(WHO)にもCA感染者とCA非感染者では、有意に差がでているのも(P < 0.05)、う蝕との関連を示唆している(図14 Table1,2 and 図22-23 Supplementary Table S1-S8 )。(後述のMaterial Methodと、図8 Fig.5 参照) さらに下記の時間、空間分析を行うと正確な計測ができ、菌の動態が非常に明確となり、正しい診断、そして正しい処置ができ除菌、感染予防が可能となる。 こうした背景から、これらう蝕歯をLocal Infection Sourceとして特に空間的(DF、SFやCF)、位相的(LBなどのphaseの違う菌とのRsF関係)、時間的(C1,C2,C3pul,C3perなどう蝕時間、感染してからoutbrekまでの実時間)に独特なInfection FieldやInfection ChainをCAが形成している事(図16Table7 図17Table8 図40Supplementary Fig8 図41Supplementary Fig9など)を証明するために(図7Fig. 4c)の歯種培地を培養手段とした時間空間位相検出手段を用意し、その結果について空間分析を行い(図14-15 Table 3-5)における分析結果を得た。そして(Supplementary Notes S1-S20 and 図35-39 Supplementary Fig. 2-7)などの時間、位相分析も考慮し、その結果に基づいてう蝕歯を治療処置し、Infection Chainの一部としての口腔内において、ほぼ100%の除菌率を得ることに成功した(図8,9Fig.5,6 and 図16 Table 6 )。そして本検査により、感染連鎖I.C.の一部として口腔内を、CA無菌状態に維持でき、この時口腔内組織、特に歯牙は、I.C.の一部として、再感染の監視および再感染時の追跡起点となるのである。このような時間的・空間的・位相的な分析から得られるIFやICの特性は、これからの微生物の除菌、感染予防、常在菌の定義などに極めて有用と考えられる。今後、他の菌にも同様な分析が必要であることを示唆している(Supplementary Notes S1-S28 ;図35-39 Supplementary Fig. 2-6 and 図22-33 Supplementary Table S1-S23)。
Result
1 このように図5,6Fig2,3のモデルと、それに対応した図4Fig1の式1〜3に従い、感染症を計測、分析すれば、たちどころに感染解除できる。またその感染情報を他科に伝達できる。
すなわち
2 定着コロニーと付着コロニー(約γ=0、γ>0)がわかるので、除菌処置が的確にできる。
3 感染源であるI.S.がわかる。ゆえに感染源撲滅が的確にできる。
4 Rcfがわかるので、感染源の調査が容易である。また感染のリスク場を消去でき、感染を予防できる。
5 RsFがわかるので、予防物質などがわかり、感染予防ができる。
6 I.F.がわかるので、他科へのインターフェイスが容易である。 感染予防に役立つ。

Material Method (図7Fig.4a-e and Supplementary Notes S11-S13)
口腔内において、隣在歯を触れないように注意しながら歯牙全体を滅菌綿棒でなぞり(tracing)(図7Fig.4a)、その滅菌綿棒を対応する培地上の歯種領域に塗布する(図7Fig.4c)。歯牙の歯頚部をなぞることは、歯周ポケットの入り口をなぞることであり、さらに採取歯牙周囲における辺縁歯肉、歯間乳頭などの軟組織もサンプリングしている事を意味する。また、歯牙は、唾液で湿潤状態にて綿棒で拭うので、唾液中にCAが存在する場合は、検査結果は陽性となり唾液含有CAも検査している事となる。すなわちこのサンプリングは、歯牙、歯周組織、唾液、空気、の4つの部分の重み付き加算結果である。そして歯牙からのサンプリングは、歯牙に接触する舌や粘膜などの軟組織からの内部拡散の影響を受けている。このことは、とくに象牙質う蝕に大きな影響を有する ラクトバチラス(以下LB)との比較においても非常に重要な条件で
ある。
このサンプリングにおける培地上のコロニー濃度は、以下の式で表される。
培地上における個々の歯種領域におけるコロニー濃度 ∝
滅菌綿棒に接触した歯牙部分のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した歯牙に付着した唾液中のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した周囲に存在する唾液中のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した(辺縁部)歯周組織のCA濃度
+滅菌綿棒に接触した空気中のCA濃度
となる。滅菌綿棒に接触した歯牙部分のCA濃度は、Colonizationしている内部のCA濃度と、他のう蝕歯牙などのLocal Infection Sourceからの拡散によって付着が生じている濃度に分類される。もし舌や頬粘膜にLocal Infection Sourceが存在すれば、これも内部拡散して歯牙上に反映される。
全歯牙をなぞることは、全歯牙検査(口腔単位)での検査になる(図7Fig. 4b)。歯種培地に個々の歯牙に対応し塗布すれば、個々の歯牙に対応したサンプリングである部分歯牙検査(歯牙単位検査)となる(図7Fig. 4c)。ここでこの条件にてう蝕歯を治療、除菌し一時的にでも陰性になれば、infection fieldは、う蝕歯であることが判る(図8Fig. 5)。
歯種培地
歯種培地は、歯種に対応して採取を可能とするために培地容器に歯の種類に応じて領域を設けた培地である(図7Fig. 4c)。その領域に対応した唾液で湿潤状態の歯牙歯周組織から、綿棒にて接触付着した微生物組織をサンプリングし培養する。この歯種培地の歯種情報を用いて空間分析、位相分析または時間分析を行う。そして歯種培地での検査結果は、CAの性質(特に住処など)を明らかにする(図7Fig4d,e)。 すなわち空間分析から前記DFやSF、CFや指標微生物が特異的に付着する場であるRcFの性質(CAの場合は、陽性う蝕)などが判明し、位相分析からLBとの位相差、S.F.やResitant Fieldなどの性質(CAの場合は、陰性う蝕、そして陰性う蝕に多量に存在するLBなど)が判明し、時間分析から実時間による感染傾向、う蝕時間による増殖傾向が判明する。これらは、微生物感染に対して非常に明瞭な値を示したので、感染予防、除菌などの感染対策に極めて有用な情報を与えるといえる。
Medium 使用した培地は、殆どがクロモアガーである。Candidaが選択発育すれば、どのような培地でもよいが、同じ発育支持を有する培地の方がより豊富な情報、低い誤差を導く。(クロモアガーを用いた)CA検査による検出真菌は、ほとんどがCandida albicansであることが報告されている(Ref. 10)。
result1
歯種培地による[空間分析] (Supplementary Notes S18-S24)
本研究の結果は、CAのfixed colonization部位であるLocal Infection Sourceがう蝕歯であることを示した(図8Figs 5 ; 図14-16,19 Table. 3−6 , 11 and 図31 Supplementary Table S21 )。CAが検出された歯牙356本中のC1からC3までの全う蝕歯は、243本(68.3%)にのぼる。そして隣在健全歯(真健全歯+処置健全歯)が46本(12.9%)、隣在歯でない健全歯(真健全歯+処置健全歯)が57本(16.0%)となっている。CAが多数歯感染した口腔(図7Fig. 4e)では、う蝕歯でない歯牙からも検出され、常在菌のごとくみえる場合もある。一方、CAが少数歯である口腔(図7Fig. 4d)では、う蝕歯に定着していることが明確に観察できる。ここで同一口腔内においてCA陽性う蝕歯が存在するにもかかわらず、CA陰性う蝕歯が存在する(図28 Supplementary Table S18)。これらは、Resistant Fieldの存在を示している。なぜならCFの影響、すなわち毎晩歯ブラシでこすっていても感染が成立していないからである。そしてこのRsFとLBとの深い関係を示す。(図37,38Supplementary Fig. 4,5)。
discussion1
CA検査後の非う蝕CA陽性歯の顛末を、空間分析すると、隣在健全歯における陽性歯牙46本のうち顛末の判明した32本がう蝕治療後のクリーニング(プロフェッショナルクリーニング)またはホームケアのブラッシングなどにて除去されており、14本が経過不明歯であった(図15 Table 5a)。隣在歯でない健全歯における陽性歯牙57本のうち顛末の判明した36本がう蝕治療後のクリーニングまたはホームケアのブラッシングなどにて除去された。経過不明歯は現21本であった(図15 Table 5b)。これらは、I.F.による内部拡散(う蝕歯牙から)によるもの、またはI.F.による外部拡散(食事、塵飛沫、院内感染など)によるものからの軽い感染、付着(adhesive colonization)によるものと考えられる。内部拡散に関して、図6Fig3のごとく、(実効)D.F.は、1本にもみたないと考えられる(図42 Supplementary Fig. 11-13)。
以上の結果はCAの感染を以下の4つの段階に分類するのが合理的である。
1 組織との遭遇 encounter (場合により進入 または侵入 )
2 組織への付着 adhesive colonization (surface colonization) (Supplementary Note S14)
クリーニングなどで除去できる段階。定着がない状態、
一つの基準として図19 Table11の単独健全CA陽性歯牙の平均レベルであるコロニーレベル(以下“レベル”)1.4(真健全歯)、1.8(処置健全歯)とする。又、図14 Table2のCA(−)患者とCA(+1)の患者におけるDMFTに有意差がない事でも、付着レベルの妥当性がわかる。そしてコロニーレベル判定では、1個から4個までを付着レベルとしてコロニーレベルをレベル1と規程するのが良いと思われる。クロモアガーの発育能で付着レベルが観察できるので、多くの症例よりCAのS.F.は、極めて小さいと思われる。なお、S.F.は、感染確立分布での評価が必要かもしれない。
3 組織での定着 fixed colonization (invasive colonization)
病巣に定着し増殖している段階 (Supplementary Note S15) 。
4 組織での爆発的増殖 outbreak (of colonization) (Supplementary Note S16)
である。 図16 Table7における真健全歯、処置健全歯からのCA検出は、クリーニングなどで除菌できているものが殆どであることに対して、う蝕病変からの除去は、う蝕処置を行わないと除菌でないことが、この最初の3段階分類の根拠である。また第4段階は、コロニー濃度100以上の部分であり、グラフからも特異的な爆発的増殖がみられる(図16 Table7)。
以上の結果から、付着レベルは、クロモアガーでは、コロニー1個から4個までをレベル1とした。(図19 Table11)
ここで、図19 Table11の非隣在処置健全歯コロニー濃度5−9の2本は濃度7であり、その値がかけ離れている事と、図17 Table8においてコロニー濃度7が端の値でない事などから除外した。
また、コロニー濃度100個以上は、図16 Table7などより明白に孤立かつ濃度レベルにてoutbreakしており、 100個以上をレベル4とした.(図42 Supplementary Fig10 and, 図26 Supplementary Table S15)
よってコロニー5個以上から100個未満を増殖レベルとしてレベル2、レベル3とした。
ここでレベル2とレベル3の閾値は、15とし、レベル2は、5以上15未満、レベル3は、15 以上、100未満(99以下)とした。これは図17 table8aのう蝕歯のコロニー数より決めた。すなわちコロニー濃度5以上15未満(5個以上14個以下)が11本、15以上100個未満(15以上99個以下)が11本であり、ここでは同じ本数わりとした。
以上のレベル分割は、将来変更があるかもしれない所ではあろう。臨床的には、レベル3をさらに2分割したい感がある。
result2
CA付着健全歯顛末 (図15 Table 5 )
ここで、う蝕歯以外のCA検出歯はCA定着でなく付着である事を段階的に検証した。
discussion2
う蝕歯でCA陽性歯の243本からの内部拡散歯として強く示唆される(サンプリングエラーも含むであろう)う蝕CA陽性隣在健全歯の内、クリーニングなどで付着(adhesive colonization)を除去できた32本と、内部拡散と外部拡散のいずれか又はその組み合わせである可能性が非常に強い非隣在健全歯の内、クリーニングなどで付着(adhesive colonization)を除去できた36本を合計すると311本となり、311/356にて87.4% となる(←文章長すぎる)。 さらにダミーは、外部または内部拡散による結果であるので、10本をくわえて、321/ 356にて90.2%となる。
さらに、経過不明歯35本をのぞけば、321/321にて100%となる。
よって、う蝕歯がCAの定着場所であると考えられる。
そして前述のごとくう蝕歯を治療するとCAが検出されない事は、決定的な事実としてCAの定着場所、すなわちLocal Infection Sourceは、う蝕歯に形成されるという事であり、CA撲滅への本質的な処置の一つとなる (Supplementary Note S24) 。
う蝕歯が(Local) Infection Sourceであれば、う蝕歯を治療すれば、CAが除菌される。もし他に感染源があれば、う蝕治療後でもCAの検出がされるはずである。しかし、抗真菌剤を使用したう蝕治療後には、CA検出がなされなかった。個々の歯種領域におけるコロニー濃度を0にできた事実は、少なくとも検査時点において唾液中のCA、歯周組織のCA、空気中のCAも0であることを示している。
result 3
除菌率100%とCA infection chain の切断
以上の結果にもとづきSupplementary informationに記載の治療方法にて治療を行い、全歯牙CA検査(口腔単位)での検査にて除菌率100%を得た (図16 Tables6 ; Supplementary Note S25 and図43 Supplementary Fig. 14 ) 。
さらに本検査診断により監視をつづけ定着前に再感染をクリーニングにより予防した。これは、抗菌剤の基本的にして重要な使用に基づき、真の感染解除である事を示している。
Discusiion3 このことは、生体の入り口である口腔が永続的にCAフリーとなることから、口腔から感染してゆくであろう組織への感染連鎖を断ち切る事を意味していることに他ならない。言い換えれば、呼吸器、消化器、性器などをはじめとした全身のCAによる感染症予防には、歯牙が最初のCAの巣窟となっている可能性が非常に強い事実において、歯牙のCA除菌が非常に有効である事が容易に推測される (Supplementary Note S26-S27) 。

Result 総括
主たるRcFは、う蝕病巣である事を示唆している。
強力なRsFを有しており、それはLBと強く関係している。
DFは、1歯程度である。
SFは、培地法での感度にてCAでは観測できず、LBでは観測可能であった。
CFは、綿棒によるサンプリングにより証明され、さらに歯ブラシ、そして食品が重要なCFと考えられる。
以上のIFを口腔内にて消滅させる事ができる。
除菌後の稀な再感染においては、続報で紹介したい、この段階では他科や食品業界の協力、情報提供が特に重要であると感じている。
Conclusion
感染症の治療、予防においては、微生物の(特に生体での)I.F.などの諸感染性質の特定が最優先事項であり、本研究で実施した歯種培地を始めとする検査診断手法は、CAなど微生物のDF、CF、Rs.F.、Rc.F.、う蝕時間およびICなど感染性質を的確に示す。さらにまた感染ルートや感染媒体が作り出す感染性質をも予測することが可能である(Supplementary Note S28)。
呼吸器、消化器、性器などをはじめとした全身のCAによる感染症予防には、特定の歯牙のCA除菌と歯種培地による監視が非常に有効であり、Candida症の検査の迅速化にも貢献するであろう。そしてResistant Fieldのさらなる解析から新しい強力な抗真菌剤が作成される可能性は高い。もちろん歯科領域において、このように歯種培地は、う蝕、歯周病の診断、治療、予防に必要不可欠な情報を提供する。
この非常に簡単な検査、分析、診断こそが、歯牙におけるう蝕治療を含めた生体全身のCAに伴う感染症予防において最も基本的でかつ重要な検査であると考えられる。緊急に全世界レベルで3 phase(MutansはIR法)に対応するう蝕菌の歯種(培養)検査とくにCAの歯種培養検査を行う必要がある。これにより非常に精度の高いfinal phaseの感染症予防ができ、他臓器における種々な疾患の予防になるとともに、非常に精度の高いう蝕治療ができ無駄に歯牙を喪失せずにもすむ。もちろん院内感染や予防といったレベルでも非常に有効である。(ここで、特に内部拡散は、歯科医の治療による能動的内部拡散と、未処置の定着歯牙からの受動的な内部拡散とに分類し、検証する必要がある。)また感染経路の確定も進めていきたい問題である。まず口から呼吸器、または消化器、鼻腔、副鼻腔などへの感染である。さらに口から膣、そして出産時に胎児の目に感染し、そして眼部混濁、内視現象などを生じている可能性の検討などである。特に眼部のオペ時、刺針時に採取された組織液はクロモアガー培地により検査されるべきである。

[実施例7]
第7実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第7実施例の形態]
第7実施例の形態は、
歯周病の診断基準とそれを利用した炎症性細胞実験場の提案
炎症の一計測手段
歯周病(本態)は、歯周炎であろうか???
である。
Summary
“炎症”とは、とりもなおさず炎症性細胞浸潤の有無(さらに量、質)で診断される病気である事は、誰もが認める周知の事実である。しかし、従来の炎症の計測には、非常に大きな誤差を生じているのにもかかわらず、これら誤差を指し示す用語すらないほど全く言及されていなかった。それはなぜならば、まず具体的に歯周炎を例にとり言及してみると、従来の計測においては、健康な患者でも好中球などが観察されているとするなどの報告例があり、白血球(特に好中球)での炎症評価は、不可能であるがごとくの結論がでている。すなわち従来は、これらを誤差と見ていたのではなく、歯周炎の不思議な特性として解釈してしまっており、誤差との認識は全くなかったからである。
よって今回、炎症の計測において、以下に定義した各種誤差をここに提示して、その誤差をキャンセルした計測を提示する。そして、従来法と第1階層での本法(多階層ある最初の階層すなわち時系列誤差において)を比較してみると、初診時患者84人中45人、なんと54%の患者が、歯周炎でないにもかかわらず、歯周炎と診断されている事になってしまう事実が浮かび上がった。すなわち、従来の炎症計測には、時系列誤差、(それに続く空間誤差、濃度誤差)などがあり、その計測は、極めて精度の低いものであり、特に歯周ポケット(生体内も同様な場合が多い)のような容量性場では、何を計測しているのかわからないぐらいの致命的な値(値ですらなかった)でしかなかった。そこで、今回こられの誤差をキャンセルした炎症性細胞浸潤の一計測手段を開発した。そして、この計測手段を使用し歯周ポケット内における炎症の現在および過去の程度、速度、そして未来因子であるリスクなどを計測した。これにより、歯周炎の計測が可能となり、その計測結果が歯周病の病態をあからさまにしてゆくであろうことを、この炎症計測は強く示唆している。
さらにこの計測システムを利用すれば、歯周ポケットが無侵襲の炎症免疫応答場として利用できることがわかる。すなわちこれらの計測系により歯周病学始まって以来の歯周病における確定診断が定量できる事を意味するばかりでなく、生体の炎症、免疫診断への応用が可能となる。さらに従来、切開などの侵襲化でしか検討ができなかった白血球の応答、サイトカインネットの調査、それらの系への無侵襲薬物投与など、炎症や免疫の実験を無侵襲で入出力できる実験系として実施できる環境を、歯周ポケットが提供できうる事を示唆しているのである。
即ちこれらの診査反応系は、in vivoでありながらin vitroのシステマテックな実験系を提供する事を意味している。また観察系から見てみると顕微鏡などの新たな定量計測と言うことができる。




Text
炎症の定義
“炎症”とは、とりもなおさず炎症性細胞浸潤の有無(さらに量、質)で診断される病気である事は、誰もが認める周知の事実である。

従来の計測
従来の計測法は、プレパラート法を代表として、細胞が死滅した状態、すなわち時系列の不明な状態での計測であった。さらにすすんで、浸潤後の時間経過を計測する計測手段もなかった。 ただ臨床では使用ができないが実験室内限定にてのラベリングした白血球を使用した時系列調査は存在したが、この結果がさらにまた臨床上での炎症性細胞浸潤の従来計測の不可思議さを増していたのである。(Ref.1)
なぜなら、この実験の結果、すなわち炎症が増加すれば、白血球浸潤も増加する事実は、炎症は炎症性細胞浸潤の数、ひいては有無により計測できる証拠の一つになる訳であるが、それに反して臨床上での好中球などの炎症性細胞浸潤の有無さらに、その数での評価は、健康歯周組織と思われる群と歯周炎と思われる群とでは、その数に前記2群での差はあるが、個々人個々の歯毎には、差がないばかりか、臨床的健康歯周組織の方が大きな値をとるという不可思議な結果を示していたのである。
結果的に、これらラベリングによる計測もまた、容量性場などの条件により検査時刻での炎症性細胞浸潤を特定することはできなかったのである。
ここで、ストリップスなどを使用しサンプリングし、染色し、白血球算定を行っていても、上記実験のように連続的に計測をすれば、増加傾向、減少傾向は、正しい値が得られる事が本研究から理解できる。しかし検査時刻での炎症となれば、その値は不正確なものとなる事も本研究から理解できる。
すなわち、これらのラベリング実験は、時系列連続体、時系列ストリームの積分結果として有用であり、この結果と臨床での従来計測の曖昧性は、本研究で完全に氷解するのである。
以上を始めとして検査時刻での炎症性細胞浸潤、とくに検査時刻での好中球を計測、検査、診断する報告例をわたしは知らない。さらに過去、現在、未来にわたる計測は、さらに未知な研究となっていたのである。

現時刻での炎症判断
微生物などの抗原が上皮間隙などを破壊して、真皮結合組織へ侵入する。そして好中球などが血管より浸潤してこれを迎え撃つ。その結果破壊された上皮間隙など(Burst Point)から好中球などが歯周ポケットに浸潤する。この浸潤したての好中球を計測するのが現時刻での炎症の有無ということとなる。もちろんここで、外傷による炎症も存在するだろうが、それもやはり炎症であり、炎症の定義とおり炎症性細胞浸潤が現時刻で発見されれば、炎症である。(ここで懐疑的な生理的Migrationの議論は、時報以降での報告とする。)

本研究における新計測手段
2階層2特性(特性は、下層階層である。)
新計測手段において、A時系列にもとづく計測、B空間論にもとづく計測 の大きく2つの階層と、
B空間論における連続体特性論(ストリーム特性論)と媒体論との2特性階層とにもとづき計測が構築されてゆく。

A最初の階層である時系列階層 (後述のLNやLO)
ここで特記すべきは、この最初の階層においてでも、従来数値は、大きな錯覚をもち、炎症を正確に捉えた計測はなかったので、この階層以降の本研究は、もちろん比較する事もできず、炎症の新しい基準というしかないのが現状である。
A時系列のみでの評価 連続体特性なし(ストリーム特性なし) 時系列誤差の大きさ
初診時 85人 {白血球が観察されなかった症例1人(1%)を含む}
1新白血球のみがみられる症例 2新旧白血球がみられる症例 3旧白血球のみがみられる症例
1人 38人 45人
1% 45% 53%
現時刻での感染は、38+1=39人(46%) 過去の感染は、45人(53%)
となる。(Table1)(歯牙別は、Table2)
ここで、従来法(プレパラート法)においては、1,2,3全て検査時刻での炎症と評価される。すなわち、今回の統計調査においては、新計測手段第1階層にては、85人中39人(46%)が現時刻での炎症であり、すなわちこの系の感度において炎症を有する患者は、全調査患者の46%となっている。しかしこれに対して従来法では、なんと患者84人(なんと99%)が検査時刻において炎症保持患者と診断された事になる。歯周炎をはじめとした生体における炎症の評価自体にこのような大きな時間的誤差、すなわち時系列誤差のひとつを含んでいたのは、この階層においても明白である。このように大きな誤差が生じているのに、この誤差が誤差として扱われず、炎症性細胞浸潤が健康歯周組織と病的歯周組織の指標にならないという結果となってしまっていたのである。この考えは、炎症の定義を病理組織基準として判断せずに、結果起こるであろう臨床所見から原因論的な炎症性細胞浸潤を評価したという本末転倒な逆転発想的な非科学的論述となってきたのである。歴史的な呪いといっても良いほどである。よって、この時系列誤差は、従来においてこの誤差を指し示す用語すらないほど全く言及されていないのである。
さらにここで、時定数は、好中球の顆粒運動のみだけでなく以下に将来使用できる可能性のある時定数を列記しておく。
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
9 同位体元素、炭素などのラベリング素子
などやそれらの代謝、反応、劣化などから計測、算出できるであろう事が予測される。

B第2階層である空間階層
B空間論

従来の定量計測
まず直接的なサンプリングによる浸出液など歯周ポケット内試料における炎症性細胞浸潤の顕微鏡検査において炎症性細胞浸潤の像には、多くの場合偏りがみられる、これは歯周ポケット内にも偏りがあることを示しているのである。そのためこれらの偏りを無くすために、ペーパーポイントやピペットなどにて浸出液など歯周ポケット内試料を採取し一定溶媒にて希釈などして定量化を目指していた。この手法は、生化学試験においても、顕微鏡検査(血球算定盤の使用など)においても採用されてきた。このように一定の溶媒に一定のサンプルを溶かして均一な試料を作成するというサンプル調整論は、一見定量化できているような錯覚におちいる。がしかし、前記時系列誤差が生じた試料をさらに混合して、時系列誤差を除去不可能にしていることで、定量化に大きな問題を生じているのがわかる。そして、後述するがごとく実は前記炎症性細胞浸潤の偏りは、定量計測に障壁を与えたのではなく、実は非常に有用な現象であったのである。これも従来と逆転の発想になる手段の採用であるので、従来においてこの誤差を指し示す用語は当然存在しなかった。

白血球の定量化に関して
血液サンプルなどの均一とみなせる液体中における密度は、容易に顕微鏡でも定量化が可能である。しかし結合組織を始めとしたポケット内のような偏りがある半流動体的な組織中での密度は、血液と同じようには定量的な計測ができない。言い換えれば従来法においては定量計測不可能であり、さらに誤差論でいけば100%誤差となる。これらは、空間誤差のひとつであり、従来空間誤差という用語がなかったのは、前記定量計測不可能であったからと思われる。さらにまた、もうひとつの空間誤差(物理的には前記の空間誤差とほぼ同じ意味を有する。)の要因であるポケット内のサンプリング位置を吟味した研究も無いのは、前記混合希釈によるサンプリング法から理解される。

白血球がおりなす群画像
歯肉溝から浸出液を円探針などにてスライドグラス上に採取し、その試料に水をピンセットにて1滴滴下してカバーグラスをのせると、偏りの無いトレポネーマなどの運動性細菌は、液層に均等分布している。それに対して歯垢などは、海に浮かぶ島のように集落を形成して散在する。そして、炎症性細胞である白血球の像もまた、偏りがあり集落をなして観察される。さらによく観察すると抗原を取り囲んで密集している群と、抗原らしき物体とは関係なく集まっている群とが観察される。(図63 Fig1a,b,c,d,e,f)
前記抗原への走化性そして付着は、良く説明されている現象である。(ただ添付抗原への付着画像の報告例は、いまだ見たことがない。)しかし後者は、研究例を見たことがない群である。これは前記水の滴下しカバーグラスを圧接した条件でも群となっているので、白血球同士の付着が群の原因と思われる。するとこの群は、上皮細胞層がバーストした部分、すなわちシンク部位からわき出た後の塊(クラスター)と考えるのが自然であろう。(図45 Fig2a,b,c,d,e,f,g,h,i) (図44 Fig3、図50 Fig4)
これをLeukocyte Group(LG)と名付け、これ以降LGという名称を使用する。

すなわちこれら、白血球群LGは、時系列に形成された空間的ベクトル場、すなわち空間的連続体(ストリーム)特性の情報を有する場であると考えられる。そしてそれらは、バーストポイントに対応して形成された群であることが前記観察画像から強く示唆されるのである。(数3、図59 Fig6、図60 Fig7)すなわち炎症性細胞浸潤の時系列的浸潤パターンを表現しており、後述のごとくにこのベクトル場は、白血球浸潤、すなわち炎症の速度式の解をなしていると考えられる。そしてさらにLGの速度の解であることからも、炎症の解であることが容易に理解される。
ここで、重要な事は、
1 白血球特に好中球の現時刻での炎症の程度がf(τnew)より解る。
2 将来の傾向(リスク)がdN/dtの符号から解る。
3 好中球のdN/dtの値は、抗原(ここでは感染している菌)の情報を含んだ状態での速度(差)の値を示している。
4 アレルギー(発振)が解る。
5 LGの時系列連続体、時系列ストリームの観察は、dN/dtの解を直接、観察している事である。
(γの算出は時報以降で述べたいが、γが算出されなくても臨床上では十二分な効果を有している。)
(図56 Fig8,数2と図55 Fig9、図2Fig10、図57 Fig11、図58 Fig12)
以上歯周炎の診断は、このLG診断が基準となる。

これが、歯周病と等価であるか否かは、LGが観察されないか、またはあるLG以上の患者でのみアタッチメントロスが起こらない事を確認するのが合理的な判断と思われる。
現在長期症例観察に入っており、近い将来歯周炎=歯周病なのか、歯周病=歯周炎+Αなのかが判明するであろう。

LGの計測 実践編
LGを観察するには、以下に示す方法にて、歯周ポケットから滲出液を採取して、その画像を観察する。この時、図45 Fig2a,b,c,d,e,f,g,h,iのごとくの白血球の群が観察される。定量化顕微鏡試作機があれば、さらに正確に把握できる。
これをLG1〜LG4の4段階の群とし、この群に含まれる新、旧白血球(ほとんどが好中球)を前記または後記のごとくに解析するのである。この群は簡易的(精密には、LGの境界内すべてを計測、撮影する。)に規格画像一杯にひろがる新白血球(好中球)のみのLG4から、新好中球(他の白血球は症状の時間的程度においてLG3とかLG4程度に匹敵する)一個のみのLG1となっており、特にLG3は、新好中球の周囲に旧好中球が存在し、連続体、ストリームの一断面を示している。この連続体、ストリームは、図44 Fig3のごとくに歯周ポケットの感染部位であるBurstPointから湧き出た時系列による場と考えられる。つまりこの時系列を有する連続体場(ストリーム場)は、前記のごとく「時系列誤差」「空間誤差」「濃度誤差」の影響を受けない正確な炎症計測が実現された事となる。
(Supplementary Notes S1、図59,60,56,55,2, Fig6-10、数1)

Methods
歯周ポケット内から、滲出液を単円探針または、連円探針にて採取して、その試料を極力撹拌せずにスライドグラス上におき、ピンセットで水をひとかたまり滴下し、カバーグラスにて圧接する。そして規格化位相差顕微鏡にて像を観察、計測する。この時、ここでは観察画像中における好中球の顆粒の動きが止まるまでが新好中球、動きが観察されない好中球は、旧好中球とした。さらに形態学的に劣化時定数を決めてもよい。(Supplementary Notes S2)

この時白血球の塊などが散在や点在、そして視野一杯に存在する事が確認できる。この状態にてLG、LGO、LN、LOと言った定義に従い観察を行う。

Result of time scale ( time const. )
LG1の劣化時定数 不明 LG2以下である。
LG2の劣化時定数 希釈なしで約2時間程度 水希釈にて30分程度
LG3の劣化時定数 不明 LG4以下で、LG2以上と予測される。
LG4の劣化時定数 1日以上なので、原測定法にては不明
ここで、上記計測は、漿液性の歯肉溝浸出液の状態での採取の結果であるが、粘液性な膿汁と一緒に採取された場合、おそらく浸透圧の影響とおもわれるが、さらに劣化時間の延長が見られる。なおLG2において粘度高いGCF(歯肉溝滲出液)では、一例として12時間という値がある。これは、図2Fig10中の変数Sに対応している。またLGは大きくなればなるほどKcが大きくなり、結果β死滅率を小さくし延命を行う耐環境因子である。これらSやKcなどの因子を環境因子としてζ変数とする。
以上の結果は、当然のように白血球の密度が高ければ高いほど長時間活動を維持できる事を示唆していると思われる。そして、
従来好中球の平均寿命は、組織中において1〜4日と言われているので、歯周ポケット内においては、それより短い事が予想されるので、以上の結果は妥当なところか、またはさらに短いと考えられる。(Ref2)

よってクラスター化の影響も加味して劣化時定数τ1は、数分程度から2日程度以内と予測される。この程度の大まかな時のスケールでも、相対計測ゆえにその誤差を打ち消して精度を上げている事が理解されよう。 しかしながら、臨床においては、絶対計測であっても慢性炎症の場合は、この程度の時の時定数(時のスケール)誤差は、許容される。
もちろん従来の新旧好中球の混在計測とは、時系列を加味した本計測方法では、従来法に対して大きく精度の差を有している事に気がつくのである。

評価
A LGによる評価:
前記誤差をキャンセルしたLGによる評価を主として、副次的に得られた評価を参考にしてゆく。
1:LG1〜LG4による評価。(図46Leukocyte Chart Fig13)
2:LG1〜LG4の各々の個数。すなわち簡易的バーストポイントの個数(重複する場合もある)
さらに図2Fig10での評価(診断)として、
Kgb,Kbg、Mg,Mb、γb,γg、εb,εg、αc,α,β、αg,βg、ζなどの変数。
Kgb、Kbgは、それぞれ抗原抗体比と抗体抗原比である。さらに歯周ポケットという場に出現できる飽和抗原量Mgと飽和抗体量Mbにより各εは、制限されるであろう。
γbは、抗体の増減に重要な意味をもち、アレルギー状態や感染、非感染に対しての変数となる。
γgは、抗原の増減にいみをもち第6実施例での増幅セグメントを意味しており、感染と免疫炎症の対応がここにある。
εb,εgは、抗原と抗体の増減率を表現している。
αc,αは、抗体の誕生率をいみしている。 βは、抗体の死滅率(劣化率)である。
αgは、抗原の増殖率、βgは、死滅率を意味している。
ζは、環境変数でありクラスター係数と溶媒係数などの環境、対環境因子の総合によりαやβの値を変動させる事をしめしている。正ならα、負ならβに寄与する。
Sは、溶媒すなわち歯肉溝浸出液の状態を反映している。おもに浸透圧がその変数の意味を示している。
Kcは、LGの数に比例し大きくなる。白血球はクラスター数であるLG数が増加するほど死滅が遅くなり延命する。
さらに
各変数に対応するLG手段が以下のごとく判断しても良い。

αc+ζ≧βならアレルギー状態を意味している。とLG手段が判断する。
αc+ζ<βなら通常の状態である。とLG手段が判断する。

γg<εb・Nbなら治癒方向 とLG手段が判断する。
γb+εg<0なら治癒方向、これは、LGのdN/dtである符号を意味しており、とLG手段が判断する。(顕微鏡画像でLG手段が図52Fig15の演算を行い判明する。)
γg>εb・Nbなら悪化方向 とLG手段が判断する。
γb+εg>0なら悪化方向、これは、LGのdN/dtである符号を意味しており、顕微鏡画像で容易に判明する。とLG手段が判断する。

γg=εb・Nbなら、ともに0なら治癒状態、その他は、小康状態 とLG手段が判断する。
γb+εg=0なら
γb=0,εg=0なら治癒状態、その他は、小康状態 とLG手段が判断する。

B 時系列特性のみの評価:(連続体、ストリーム特性が破壊されていると思われる画像において)
グループ別による新白血球と旧白血球の比
LGO1〜LGO4による評価(LGの新白血球がすべて劣化してOldのみとなった群)
LO1〜LO3による評価{連続体(ストリーム)特性のない新白血球、ここでは抗原付着白血球}
LN1〜LN4による評価{連続体(ストリーム)特性のない旧白血球、ここでは抗原付着白血球}
(図51 Fig14)

C 現在の炎症量(有無){ f(τnew)やf(t new)など}:
新白血球の存在を炎症の有無を現時点での炎症の有無として評価する。ここで生理的Migarationの存在有無が検討されるべきであろうが、臨床的な検査レベルにおいてはそのような症例にであったことがない。LG,LNで評価する。なおFig10の式は生理的Migarationをも表現している。
D 過去の炎症量(有無){ f(τold)やf(t old)など}:
旧白血球の有無にて評価する。LG2とLG3、LO,LGOで評価する。
E 炎症の持続時間(tnやτn):劣化程度の大きな白血球から新白血球までにより評価する。
好中球のみにおいては劣化時定数がマルチに設定できれば、可能となる。
好中球の核の左方移動を補助的に使用する。
MΦ、リンパ球、形質細胞の順で評価する。
(歯肉アメーバなどでも炎症の持続時間の長さが間接的にわかる。)
F 炎症の強さ(振幅){ f()の値の大きさ }:
白血球の多さで評価する。
好中球の核の左方移動率で評価する。
G 速度(差)f(τnew)-f(τold)など:
新白血球と旧白血球との数の差は、すなわち速度(差)である。これは、差分方程式でもあり、その微分型は、マルサスの方程式と同じ形をしており、抗原の情報などをも包含している。これは、LGの観察にて感染を起こしている菌の動態をも同時に検査できる有用性を意味している。( 図2 Fig10)(同時投稿論文である第6実施例参照) そして速度は、リスクとほぼ同義である。速度は、原則的にLG(時系列連続体、時系列ストリーム)でのみ計測できる。 求め方は、図52 Fig15や、図45 Fig2など参照。LG手段がdN/dtを算出する。必要に応じて表示手段が表示する。
LG手段dN/dtが-なら治癒方向、+なら悪化方向、0なら治癒または小康状態と出力する。この時Nb>0なら小康状態、Nb=0なら治癒とLG手段dN/dtが出力する。これらの出力は、いづれかまたはその組み合わせでもよい。

H LGの画像:前記速度(式)の解となる。

ここで 図45 Fig2において、上記群の性質を有する好中球を例とした好中球群LekocyteGroupを提示する。
すなわちFig2において、f(t-τ1)は、NewLeukocyte数、f(t-τ2)は、OldLeukocyte数で、
値:個(単位時間当たりの個数。)
現在の炎症量 過去の炎症量 炎症の推移、リスク、(将来への)酷さ、速度(差)
f(τ2) f(τ1)
f(t-τ1) f(t-τ2) γ/(α+β) f(t2)−f(t1) = f(t-τ1) - f(t-τ2)
a LG1 1 0 1 1
b LG2 10 10 0 0
c LG2 3 4 -0.14 -1
d LG2 1 6 -0.71 -5
e LG2 3 4 -0.14 -1
f LG3 5 10+8 -0.57 -13 (図52 Fig15)
h LG4 5 11+15 -0.68 -21
g LG4 64 3(判別不明3) 0.91 61 (もしOldが0だと計算上は∞)
i LG4 64 8(判別不明1) 0.78 56
となる。(特に断りのない場合は、最も大きなLGを代表値として採用する。これは、リスク検査の基本概念のひとつである最悪値評価にもとづくものである。)上記のf(τ2)とf(τ1)ここではα・Nとβ・Nなどを始めとしてτグループの個々の時区間にある程度の誤差があり将来は補正してゆく予定である。
ここでの炎症量の量とは、ある時区間(単位時間)における白血球の出現数または分泌量である。(好中球の単位時間あたりの浸潤個数または、体積量)さらにこの炎症の量とは、ここでの尺度であるタイムスケールにおける時区間での総分泌量であり速度(ここでは単位時間あたりの数)である。(図56,55,2 Fig 8,9,10)
(Supplementary Notes S1) とくにf(τ2) - f(τ1)の値は、炎症の速度情報を与えてくれる。(図2 Fig10)すなわち、符号が+なら炎症は増加傾向、−なら治癒傾向、0なら小康状態となる。さらに、この値が大きければ大きいほど炎症の程度に与える影響が大きい。
ここで、γ/(α+β)すなわち{f(τ2) - f(τ1)}/{ f(τ2) + f(τ1)}を算出してみたが、この係数は、同一LGでさらにサンプリング時の歯肉溝浸出液の成分が近似していないと比較できないので注意されたい。
さらにまたLG画像は、f(τ2) - f(τ1)は、バーストポイントからの白血球の分泌率(誕生率)αと、分泌された白血球の単位時間あたりの死滅率(劣化率)βにより決まる速度(差)に対応する微分方程式の解であるベクトル場でもある。(図63,45,44,50,数3 ,59,60,56,55,2,57,58,46,51 Fig 1-Fig15)
ここで上記LG画像は、さらに改善の余地がある。(一例として図52 Fig15)すなわちそれは、ひとつには、ベクトル場をさらに保存的にサンプリングする事(特にLG1とLG2、LG3でも速度評価の場合は、非常に重要であることは言うまでもない。)、そして顕微鏡の視野を(分解能を落とさずに)広げる必要がある事である。(特にLG3とLG4、またLG2やLG1でも連続性や独立性などの見落としがないようにするためにも必要。)これらに関しては、近々にその成果を発表できると考えている。

LGから判明する持続感染と単発感染
持続感染と単発感染
炎症性細胞浸潤が起こっている期間が「炎症」という病気の期間である事は、周知の事実である。すなわち時系列的には、新好中球が観察されている時刻、時刻または、その期間が「炎症」という病気である。
すなわち、言い換えれば持続感染をもって炎症の発症とするのが合理的と考えられる。その前段階が、単発感染であると考え、予備的段階とする。また持続=有速度であり、速度論にも適合する。
具体的には、持続感染では、持続的に新白血球(τnew)が観察される事を意味している。
さらに具体的には、観察周期、たとえば、1日から1週間程度の2回以上の観察周期において、新白血球が観察されれば、発症ということである。(ここで、観察周期を1日から1週間程度としたのは、臨床的に通常の通院間隔から設定したからである。)
この周期にて観察期間2回以上、新白血球が観察されたなら持続的感染と定義する。(時系列のみのLNの場合。)もちろんLGでは、1回で良いのは、言うまでもない。
この定義において従来計測では、旧好中球も、新好中球もともに陽性+として観察されるわけなので、多くの単発症例が、持続感染(陽性+)となってしまう。言い換えれば、ポケット内に単発感染の残骸が残っているなら、健全者でも炎症陽性+(持続感染)となってしまうのである。 (ポケット内残骸の残留時間は、将来の研究。)
休止期も含めて単発感染では、持続的に新白血球(主に好中球)が観察されない。好中球の劣化時定数時間(間隔)以上での感染がないという事である。{Result of time scale ( time const. )項の劣化時定数参照}

その他の時系列因子の判定
Mφ、リンパ球、形質細胞、肥満細胞、単球などは、すべて持続的新好中球の浸潤後の現象であるから、持続感染(発症)に入れる。(図64 Fig16)

C 空間階層にさらにつづく媒体特性論
に示すように溶媒の影響を受けない。これも偏りが生んだ利益の一つである。
(数1 Fig17)

Result 結果
前記Fig1やFig2において、様々な状態での白血球が観察される。
ここで、とくにLG3,LG4におけるLGでの計測は、1回の計測で複数回の計測と等価であるので、空間誤差、濃度誤差、時系列誤差が無いか、または非常に小さい事が画像計測の結果からわかる。現在のサンプリングにおいてLG2は、やや連続体特性、ストリーム特性の維持が困難であるが、将来現在開発中のサンプラーの発表によりLG3程度までに精度が向上する予定である。もちろんさらにLG1についても順次精度が上がってゆくであろう。

Conclusion
以上の結果、炎症性細胞浸潤が相対計測により精度よく定量化される。こらが、炎症のひとつの基準値となることは、まちがいなく、この値と実際の歯周病の病態がどのような対応をしているかが、課題となる。よってこの計測手段は、歯周ポケット内のみならず体腔内でも応用可能と考えられる。さらにまた動物のポケット内にて無侵襲の炎症免疫応答実験が可能となることも強く示唆している。






[実施例8]
第8実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第8実施例の形態]
第8実施例の形態は、 新しい炎症計測装置を使用しての、
歯周炎から歯周病へ、
病理から病気へ
である。
1 LG計測手段
新好中球(NL)を核としたLG(時系列連続体要素を含むNLを含む)を計測する手段
2 LG分析手段
LGを分析する手段

3 CNL計測手段
NL核(Core New Leukocyte)の大きさまたはCNL中のNLの数のいづれか一方またはその両方を計測する手段
4 組織障害判定手段を
組織障害の大きさを判定する手段。
5劣化時定数計測手段
(死滅率β値やその一因子であるζ値もふくむ)劣化時定数を計測する手段
6 LGAR計測手段
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値またはLGR値のいづれか一方またはその両方を計測する手段
7 病態位置検出手段
LG内のベクトル場(LG内でのOLからLG内のNLにより形成される時空間連続体である時系列連続体としてのベクトル場)により、時系列連続体の逆時系列方向を検出することにより病気の本態の位置を検出する手段
8 重症部位検出手段
LG A値の大きな方向を示す又はNL値の大きな方向を示す病気の重傷度部位を検出する手段
9 過去炎症状態計測手段
過去の炎症の状態を計測する手段
10 現在炎症状態計測手段
現在の炎症の状態を計測する手段
11 リスク炎症状態予測計測手段
将来の炎症の状態予測を行うdN/dt値、その解または抗原抗体連立方程式の解のいづれかまたは、その組み合わせによる値をもとに炎症のリスク値を算出する手段
12 アレルギー状態判定手段
アレルギーまたは通常状態を判定する手段
13 歯周病確定診断手段
NL核(Core New Leukocyte)の大きさを検出する手段,
組織障害の大きさを判定する手段、
病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値を計測するLGAR計測手段
のいづれかまたはその組み合わせ
により歯周病を確定診断できる
を備えるLG計測装置。
14 歯周炎確定手段
NLを検出することによる歯周炎を確定する手段
15 実験場手段
歯周ポケットを実験場として使用する手段

以上の1から15の手段は、公知の手法により以下の論文内容から当業者なら容易に手段化できると考えられるのでくどくどとその手法を述べることはない。一例としてコンピュータに仮想化して組み込みのも一例である。またそれらのソフト部分を完全にハードウェアとして実現してもよいのは言うまでもない。
開放系炎症場において炎症性細胞浸潤の計測論的生体検査により
発見された炎症の真の姿


Summary
現在、病気は主にマクロ的症状により診断されており、病理診断は最終診断として大きな役割を果たしているが病気の一診断項目でしかない。特に症候を表す接尾語-itisがつく病気においては、炎症の5大症状による診断と同時に炎症性細胞浸潤を指標とした病理所見も診断に用いられているが、病理による診断と症状との間に矛盾が生じるために病理では確定診断できないという議論に至っている。そのため、炎症は病気と病理が曖昧なまま診断されているのが現状である。その原因は現在用いられている統計学的計測方法にあると考え、物理学的な計測論によって炎症性細胞浸潤の観察方法の検証をおこなった。
過渡空間における白血球の偏りを破壊しないために、歯周ポケット浸出液を撹拌せず生体のまま位相差顕微鏡を用いて観察した。その結果、サンプル内には新しい好中球(NL)と古い好中球(OL)があることが明らかとなった。好中球の中には、抗原から独立して互いに付着した細胞群(Leukocyte Group; LG)を形成するものが存在した。よく発達したLGでは、中心にNLが、その周囲にOLが存在した。NLは現在、OLは過去の炎症性細胞浸潤を、それらの細胞数はそれらの程度を表していると判断した。好中球を主体とする白血球を本論で提示した方法により観察する手法をLG観察法(LG Observation Method)と名づけた。
LG観察法により明らかとなった好中球の性質から、炎症性細胞浸潤が継続して生じた時に、その時間と量の履歴がBurst Pointを始点としてスフィア様層構造の形で残留していることが推測された。この構造をLG Modelとした。LG Modelを基に数学的に検証した結果、LG観察法は従来の計測法でサンプリングした時に生じる時系列誤差、時間変動誤差、空間誤差、濃度誤差を解消し、それゆえ画像自体が炎症性細胞浸潤の程度と炎症のリスクを表わしていることが確認された。
開放系である歯周ポケットを用いたことでLGが発見され、炎症性細胞浸潤の真の姿を解明できた。炎症の本態は炎症性細胞浸潤つまり病理であり、5大症状は病理に従属する症状である。従来、炎症はマクロ的症状から診断されていたが、LG観察法を用いれば病理で確定診断できる。LG観察法は炎症の誤診の可能性を低下させ、適切な治療を可能にする技術であると考えられる。

Introduction
臨床における炎症の定義は、1858年、ルドルフ・ウィルヒョウ(Rudolf Virchow)が4徴候である発赤、熱感、膨張、疼痛に機能障害を加えたことにより、5大症状として完成された。その後、その弟子であるユリウス・コーンハイム(Julius Cohnheim)が、血管からの白血球遊走と炎症を関連づけた1。5大症状は肉眼で確認できるマクロ的症状のことである。血管からの白血球の遊走の発見は、顕微鏡を用いたミクロ的病理所見による炎症の計測、解析の始まりとなった。現在、病気は主にマクロ的症状において診断され、病理診断は最終診断として大きな役割を果たしている。症候を表す接尾語-itisがつく病気(ex. gastritis, tonsillitis, periodontitis)においては、炎症性細胞浸潤というミクロ的病理所見も有力な確定診断のひとつである。しかしながら、マクロ的症状が治癒してもミクロ的病理が出現したり、病気の症状が軽症化しても重傷部位より強い炎症所見が見られたりする2という矛盾した計測結果により、病理では病気は診断不能という議論に至っているのが現状である。
炎症の本態は炎症性細胞浸潤という病理であるので、接尾語-itisのつく病気の診断には病理診断が第一義的に存在するはずである。したがって、内科学などの病気に関する教科書には、病理診断が第一義として書かれるべきだと考えられる。ところが実際は、接尾語-itisのつく病気を始めとする多くの病気は、マクロ的症状によって分類、診断され、その付加的判断として一項目に病理(所見)が書かれているに過ぎない。マクロ的症状である“病気”と、ミクロ的病理所見である“病理”の関係が曖昧であるがゆえに、接尾語に-itisのつく病気の診断には混乱や矛盾が生じているのが現状である。計測、診断が曖昧であるなら、当然処置も曖昧になり、適切な処置がおこなわれずに多くの人命が失われた可能性は非常に高い。
病気と病理が曖昧なまま診断されているという問題は、ユリウス・コーンハイムの時代から150年にわたって存在しており、医師(歯科医師も含める)や生物学者による臨床的な診断(判断)からは議論され尽くされている可能性が高い。そこで、本論では炎症を物理的な計測手法という観点で検証する。

計測学的にみた従来の計測手段の問題点
通常、炎症の病理診断では、白血球の細胞数の測定いわゆる血球算定という計測手法が使用されている3。血球算定法では、採取試料に空間的な偏りが生じると母集団からの部分的な無作為抽出が不可能となる。それゆえ、統計学的な計測論に基づく採取試料の混合希釈が大前提とされている。白血球の計数の具体的な方法は、前処理として一定量の希釈液と白血球を含んだ採取組織液またはGCFなどを混合して濃度を均一化し、試薬を用いて測定目的以外の血球を溶血させる。希釈にチュルク液を用いた場合、赤血球は溶血し、白血球の核だけ染色される。試料中の白血球数は血球計算板を用いて数えられ、その平均値からある単位あたりの細胞数として計算される。
血球算定法は、血管を流れる血液中にほぼ均質に存在する血球の計測では問題ない。なぜなら、血液中は計測論的には定常状態とされているからである。血液中における白血球の分布はほぼランダムである。しかし、Burst Point(抗原により破壊された部位)から浸潤する白血球の分布は、計測論から見ると非定常状態(過渡状態)であるので、時空間的な偏りを生じているはずである。従来の計測手段では、溶液の濃度の均一化により空間的偏りを、細胞の死滅により時間の偏りを均一化している。この計測手法は、計測論的には時空間的な積分誤差を生じる。したがって、血球算定法という統計学的な計測手法は定常空間では有効であるが、過渡空間には適用できない。
接尾語に-itisのつく病気をミクロ的病理所見で確定診断できない大きな原因は、過渡空間における白血球の分布の時空間的偏りを無視したことにあると考えられる。時空間的偏りを利用して白血球の分布を計測すれば、生体内(in vivo)における炎症性細胞浸潤の真の姿を見ることができるであろう。そこで本研究では、炎症部位の中で開放系である歯周病の歯周ポケットに着目して、生体標本を用いることで白血球の分布パターンを観察した。

Materials & Methods
単円探針もしくは連円探針(図84 Fig. 1, Supplementary Notes 1)を用いて、初診時深さ10mm以上の重症歯周病患者4人において歯周ポケットの最深部から歯周ポケット浸出液(GCF)を採取した。GCFを極力攪拌しないように慎重にスライドガラスに置き、水を一滴滴下し、カバーグラスで圧接した。その後すぐに規格化位相差顕微鏡ペリオスコープI(Supplementary Notes 1)でサンプル像を観察した(像のサイズは、125 μm × 92 μm)。観察したカバーグラスグラス単位での数は42枚である。その内容は、動画AVIファイルにて 342枚、静止画bmpファイルにて1703枚であり、以下(342,1703)と表示する。カバーグラス1枚あたりの視野を14mm×14mmとして、その画像数は、本顕微鏡の規格画像サイズにて換算するとca. 17024枚である。前記カバーグラスで規定される1試料面( Global Image 14mm×14mm 112×152視野画像 Global Image GI )として、そのGIに対して、ランダムスキャンを行った。そして最大LGと、診断に供するであろう画像をLocal Imageとして適時サンプリングした。

サンプル像の観察結果
CGFのサンプル像内において、スピロヘータなどの運動性細菌は液層に均等分布した(図82 Fig. 2a, b)。歯垢や上皮細胞は集合を形成して散在した(図82 Fig. 2b, c)。白血球が確認されたのは、試料面42枚36枚(294,1284)である。画像毎に確認すると白血球の約88%〜100%が好中球で、まれにマクロファージ(図64Fig. 3a )やリンパ球(図64 Fig. 3b )が存在した。好中球の像の中には、好中球の顆粒の動きが見られるものと、核の変性や破裂、細胞膜の破裂などが観察されるものが存在した。そこで、顆粒の動きが見られるものをNew Leukocyte (NL)、好中球が劣化したものをOld Leukocyte (OL)と定義した。
好中球の画像の中で、単体でNLが遊離した像が 画像(15,20)(図82 Fig. 2d )あり、細胞群を形成し液層に偏在した像は 画像(95,27)あった。その細胞群には、抗原を取り囲んで密集する群の画像(13,5)(図82 Fig. 2e)と抗原とは関係なく密集する群の画像(63,26)(図82 Fig. 2f)があった。抗原とは関係なく密集する群は、好中球同士の付着により生じていた。(図83 Fig. 4)この好中球の結合は、Burst Pointからポケット内に浸潤したNLが、ある時間経過した後に付着して生じた塊(クラスター)である。
抗原とは関係なく好中球が密集する群には、NLのみの細胞群(図82 Fig. 2f)、OLのみの細胞群(図82 Fig. 2g)、NLとOLが混在する細胞群(図82 Fig. 2h)があった。慢性時にはマクロファージやリンパ球、形質細胞などの他の白血球も出現してその細胞群に混在するので、このNL、OLの集合をLeukocyte Group (LG)と定義した。顕微鏡像によく発達したLGが存在するとき(図82 Fig. 2h)、NLを中心としてその周囲にOLが連続的に存在していた。この画像より、LG内の好中球の分布は浸潤の時間経過を表現しているものと判断した。

LG観察法の提唱
好中球の寿命は低濃度のものが分単位から時間単位、高濃度のものは、10数時間から1〜2日単位である(Nonomura, 執筆中)ので、画像中にNLがある時、現在炎症性細胞浸潤が生じていることを意味する。歯周ポケット浸出液(GCF)内のラベリングした白血球を用いたin vitroな実験では、炎症が増加すれば白血球浸潤も増加することが明らかとなっている4。また、GCF内においては、炎症性細胞、免疫系細胞などが炎症や免疫に比例して含まれていることが知られている5-9。これらの知見より、NLの個数は炎症性細胞浸潤の程度を表していることがわかる。それに対し、OLの存在とその数は、過去の炎症性細胞浸潤とその程度を表す。OLのみが存在するときは炎症の休止期、(OLが観察された時は、ポケット内クリーニングを実施し、再検査にてOL無しを確認する。再度OLある時は、NLの検出を逃している。)NLとOLが混在する時は、過去から現在まで炎症性細胞浸潤が継続していることを意味する。NL、OLが共に画像中に存在しないときは治癒である。LGの中心にNL群が存在し、その周囲にOLが群となって存在するときは、好中球の浸潤がNL群を中心に発生し、過去に浸潤した好中球(OL)が中心から押し出されているという時間経過を見ることができる。好中球の細胞群には連続した時間が組み込まれている。そこで、好中球の細胞群を時系列連続体と定義する。マクロファージ、リンパ球または形質細胞などの他の白血球は炎症の慢性期に出現して散在するので10、時系列断続体と定義する。時系列断続体が確認された場合は、炎症性細胞浸潤は過去から継続していることがわかる。白血球由来の好中球や他の白血球を本論の方法により観察する方法をLG観察法と名付ける。

LG Modelの提唱
白血球はBurst Pointから湧き出て抗原に対して走化するので、Burst Pointを中心として局在すると考えられる。浸潤した白血球は、時間とともに劣化し、そして死滅する。炎症性細胞浸潤が継続して生じると、Burst Pointから新しく浸潤した白血球が過去に浸潤して劣化した白血球を押し出すので、炎症性細胞浸潤が生じた時間と量の履歴がBurst Pointを始点として残留していることが推測される。つまりBurst Pointには、浸潤直後の白血球が存在し、外周に向かうほど古い白血球が層になって存在する。(図85 Fig. 5a)。この構造をLG Modelとする。歯周ポケットのような開放部である上方以外が限られた空間では、この連続スフィア様層構造の薄い断面をなしている(図85 Fig. 5a中の一点破線で囲まれた部位)。この層構造の縦断面は、歯周ポケット最深部のBurst Pointを始点として、炎症性細胞が時系列に沿って地層のように積み重なっていると考えられる(図85 Fig. 5b)。LGは炎症性細胞浸潤が継続すれば大きくなり、Burst Pointが複数存在すれば複数出現するだろう(図60 Fig. 6)。
LG Modelにおいて、最も新しいNL(おもにNLの集合体の重心位置)は、病巣focusであるBurst Pointを示していると考えられる。また、各々のLG内において、最も古い好中球から最も新しい好中球に向かう時系列ベクトルは、Burst Pointを指し示す。したがって、サンプリング箇所にマーキングを施し、サンプル内で時系列ベクトルの方向と距離を計測できれば、サンプリング部位からの病巣focusの位置を推定することが可能である。画像内で複数のLGが観察される場合、最も大きいNLの細胞群を持つLGの時系列ベクトルは最重症部位を示すと考えられ、最優先治療部位を判別できる可能性が高い。
今回は臨床上の時間的制約から試料をランダムスキャンした。このランダムサンプル(ランダムスキャン)においては、LGの見落としが発生する恐れがある。 時間的制約が無い場合は、全スキャンが良い。また、現在の画像サイズでは、観察できるLGの大きさには限界がある。画像サイズよりも大きいLGが存在するとき、LGの全体像は観察できない。LG Modelに当てはめて考えると、画像サイズがLGよりも小さい場合、LGの一部分しか画像に入っていない可能性があることがわかる。LG観察法ではNLの存在の有無が最も重要なデータである。観察されたLGが画像サイズからあふれ出ている場合、画像の中にOLしか存在しないのか、画像サイズの限界によりLGの外郭のOLしか見えていないからか、実際にNLがないからかに注意しなくてはならない。LGの持つ特性(例えば、リアルモデルなら連続体、FIFOモデルならストリーム、数理的ならベクトル場と表現できる)を破壊することなくサンプリングし、顕微鏡の視野を分解能を落とさずに広げる、または全トレースすることができれば、LG観察法の精度は上昇する。

LG観察法の数学的検証
通常、時間の変化に伴って個体数が変化する生物の変動速度は、同時刻に計測することができない。その変動速度は、ある時間tnに浸潤した好中球数をNn、異なる時間tn+1に浸潤した好中球数をNn+1とすると、次式により求められる。

誤差階層1:従来の計測法では、異なる時間に生じた白血球を死滅させて混合希釈し、同一時間として積分して計測することから、時系列誤差が生じる。つまり、現在炎症が収束していても、過去に炎症性細胞浸潤が生じていれば白血球が検出されるので炎症と診断される。
誤差階層2:また、サンプリングごとで、溶媒の濃度にずれがあったり溶質の計測に誤差が生じたりするという濃度誤差が生じる。計測のたびにサンプリング位置がずれたり、Burst Pointとそれ以外の部位を分離した計測がきなかったりすることにより生じる空間誤差も存在する。などの時系列誤差の次の階層で生じる時間変動誤差をさらに生じる事がわかる。

誤差階層1の解消:時系列連続体のスフィアモデル(図85 Fig. 5)においては、2つの階層(どの階層)の観測時間は同時刻である。これは時間の流れの中における止めることのできない物理量である値tが、固定された物理量であるタイムスケール(ここでは劣化時定数)τで置き換える事ができる事を意味しており、それは即ち時間の止まった空間を実現する事を意味し、実用面においては時系列誤差の解消を意味する。このことは従来からの速度論を始めとした計測論を、劇的にさらに大きく前進させる。(Supplementary Notes 2)
誤差階層2の解消:
時系列連続体の中でtnと等価なタイムスケール、ここでは好中球の劣化時定数であり、ある階層の持つ時系列特性をτn、異なる階層の持つ時系列特性をτn+1とすると、階層間の好中球数の変動速度は次式により求められる。

ここで、Nn = f(tn) = f(τn)である。
この時系列連続体における差分式による評価は、時系列誤差の時間変動誤差をも解消する (Supplementary Notes 3)。時系列誤差除去により、時系列連続体では違う時間で生じた好中球を同時刻に計測できることがわかる。したがって、時系列誤差の解消、そして時系列誤差の時間変動誤差、そしてそれに従属する濃度誤差、空間誤差も解消される。2つの層の好中球数の差分はそのまま速度を表している。つまりLGが確認されれば、一つの画像から現在の炎症性細胞浸潤の有無と程度を診断できるばかりでなく、NLとOLの数を比較することにより、炎症が悪化傾向にあるのか、休止傾向にあるのかを知ることができる。
この差分式は解を求めることができる(Supplementary Notes 4)。この解の過去から現在の分布は、顕微鏡画像そのものである事を示している。解を数学的に求めなくとも、顕微鏡画像を観察するだけで現在と過去の炎症性細胞浸潤の有無と程度、将来のリスクがすでに判明している点が臨床的に非常に有用である。
炎症の持続時間は、好中球の劣化にかかる時間(劣化時定数)を精度よく設定できればさらに高精度に評価できる。さらに炎症性細胞の出現順序に加え、各々の劣化時定数を求められれば、評価の精度を上げることができる。本論で用いた好中球の顆粒運動の有無というタイムスケールは、活性酸素や生体物質(核酸、タンパク質、脂質など)、ラベリング素子(炭素、同位体元素やファゴサイト時定数物質)や、それらの物質の代謝や反応、劣化などに置き換えることができ、さらに応用範囲を広げることができる。LG観察法は、医学、生物学などの幅広い分野に広く応用できるものと考えられる。

----------------------- 修正版-------------
LG観察法の数学的検証

通常1人の観測者が時間に伴って変化する物質の変動速度を求める時、その速度は、異なる時間に生じた事象の差分をその事象が生じた時間差(時区間)で割ることにより求められる。例えば、好中球の変動速度は、ある時間tnに浸潤した好中球数をNn、異なる時間tn+1に浸潤した好中球数をNn+1とすると、次式により求められる。

従来の計測法では、浸出液に薬品を入れて混合希釈することで均質なサンプルが作成される。炎症の有無や程度は、そのサンプル内にある死んだ白血球をカウントすることで診断される。浸出液に生きた白血球が含まれる場合、その白血球は薬品により死滅するので、浸出液内で既に死んでいた白血球と区別がつかなくなる。浸出液内に生死両方の白血球が存在することは、炎症性細胞浸潤が過去と現在という異なる時間に生じ、炎症が過去から現在まで継続して生じていることを示す指標となる。生きた白血球を死滅させることは浸潤の時間目安(time scale)を破壊し、異なる時間目安(time scale)を保有する白血球を同一のものとして積分してカウントすることになる。この時に生じる誤差をtime error とする。従来の計測法ではtime errorにより以下に示す炎症の誤診が引き起こされる。白血球の生死の区別がないために、現在炎症が収束して生きた白血球がサンプル中になくても、過去に炎症性細胞浸潤が生じていれば白血球が検出されるので、炎症発症中と診断される。過去と現在に生じた白血球を区別なく時間積分するので、炎症の程度が過大評価となる場合がある。現在の医学では、現時点で生じている炎症の有無とその程度の誤診により、患部に誤った治療をしている可能性がある。

浸出液中に互いに付着した白血球が含まれる場合、混合希釈は白血球同士のattachmentを外してばらばらにする。混合希釈による白血球のカウントは、付着した白血球間にある空間の連続性を破壊し、白血球を空間的に均質に存在するものとして積分する。
この時に生じる誤差は、後述のτspace continuumで観察するのが、理解しやすいが、ここではまずtime-space continuumでの誤差を論じる。
time-space continuumにおいて、この時に生じるerrorをtime-space errorとする。現実には白血球の生死と付着が同一空間に同時に見られる時空間連続体が生じている場合がある。 この時、現実世界であるtime-space continuumにおいてはtime errorとspace errorは分離することができなく、time-space errorをなす。従来の計測法は、この多次元空間特性を有する構造要素を積分して1次元として計測していることになる。このtime-space continuumにて、この時生じる誤差がtime-space errorである。白血球は血管から浸潤しある時間経過後に付着する事が多いので、生きた白血球の付着は炎症が継続しているという時間連続(time continuum)を表している。死んだ白血球と生きた白血球の付着は、過去から現在まで炎症が継続していることを表す。付着した白血球間の相対的な時間の勾配は速度ベクトルとして表現され、原点であるBurst Pointの方向と炎症の速度を示す。この付着した白血球間の時空間の勾配は浸潤からの時間の連続性を実現しており、微分による極限化が可能である。単体遊離や離散した白血球からは時間の連続性がわからないので、速度ベクトルは不明であり、極限化は不可能である。従来の計測法では時間目安(time scale)の破壊によりtime errorが生じ、そのことは過去の炎症、現在の炎症を消失していた。さらに従来の計測は、混合希釈により、time scaleと空間連続性から読み取れる速度の消失が生じ、それらから導き出される病気の部位における炎症の速度、すなわち病気の部位における過去から現在、および未来の炎症の程度と、連続的に付着した白血球の相対的位置から導き出される炎症部位の推定を不可能にしてきた。
従来の測定法である統計学的手法である混合希釈サンプル法には、サンプルの採取、計測時に特有に生じる誤差もある。すなわちサンプリングを繰り返す時、溶媒の濃度や溶質の計測を一定にできない人為的な誤差が生じる。この誤差をtime-space error の一種であるtime-space concentration errorとする。さらに時間に伴う溶媒の変化(蒸発、変質、変性、温度変化など)が誤差を生じさせる。これもまたtime-space errorの一種であり、これもまた time-space concentration errorとする。診断を繰り返すときにサンプリング位置がずれたりするerrorもまた、time-space errorである。 一人の観測者による従来の計測法では誤差は全て時間の変動の影響を受ける。これをtime errorとする。time errorは、時間の経過とともに変動するdynamic time errorと時間が経過しても変動しないstatic time errorに分類される。現実は、そのほとんどがdynamic time errorに分類される。
time-space continuumのスフィアモデル(Fig. 5)では、異なる時間に浸潤した好中球が層となって時系列に沿って連続して並んでいる。現実世界では、異なる時間に生じた現象は同時に見ることができない(e.g. 移動する物体の異なる時間における位置は同時に見ることができない)。それに対して、浸出液内の好中球は同じ遺伝情報を有する同一の物体とみなすことができるので、スフィアモデルの各層の観察は異なる時間に生じた炎症性細胞浸潤を同時に見ていることになる。この時、時間の流れの中における止めることのできない物理量である値tを、固定された物理量である固定タイムスケール(本論では浸潤した好中球の死滅までの時間)τで置き換える事が可能である。tの極限値であるτを用いると、time-space continuumのスフィアモデルはτ space continuumと表現される。τ-space continuumでは、時空間連続体を破壊せずに観察できるので、time error, time space error, space error が解消される。これらのtime-space continuum における要素errorの解消は、従来の速度論を始めとした計測論を劇的に進歩させることができる(Supplementary Notes 2)。ちなみに前述の混合希釈に生じる誤差をτspace continuumではτ-space continuum error(τ-attachment error)となる。これは、τ連続体の開離として容易に観察ができる。そしてこの開離により細胞内速度(ベクトル)誤差や、LG内速度(ベクトル)が観測不可能となる誤差(隠された変数)が生じ、炎症の計測が不可能となる。

τ-space continuumでは、溶媒を用いず、サンプリングと計測は1回である。したがって time error, time-space error, space errorが全て解消される。この時t→τ変換時には、time errorがひとつと、space errorがひとつ生じる可能性がある。しかしこれらの誤差の解消は、数学的には以下のように検証できる。τ-space continuumの中でtnと等価なタイムスケール(本論では好中球の劣化時定数)であり、スフィアモデル内のある層の持つn-th τ ( continuum scale )をτnとすると、隣接する層のn+1-th τ ( continuum scale )はτn+1となる。それらの層間の好中球数の変動速度は次式により求められる。

τ-space continuum構築時に生じるt→τ変換において、time errorは、スフィアモデル内の全ての層において全て一つの値となる。したがって、層の間の変動速度を差分式により評価すると、t→τ変換におけるtime errorが解消される(Supplementary Notes 3)。t→τ変換におけるspace errorも全てひとつの値となるので、差分式により解消され、それに伴ってtime-space errorに従属する濃度誤差も解消される。ただ、t→τ変換におけるspace errorは、τspace continuum内では、解消されるが、隣接空間には残る。具体例としては、歯周ポケット内でのサンプリングが浅いなどのB.P.に対してのサンプリング位置ズレとしてのspace erroである。このerrorは、τspace continuum内にLGなどの連続体が存在する場合は、この連続体から誤差解消ベクトルを読み取ることができる。
現実世界において、時空間は時間と空間より成り立ち、連続性を有していると考えられている。通常、一人の観察者がその時区間において異なる時間に生じた現象は同時に見ることができない。したがって、時間の変化に伴って現象が変動する物体の変動速度は、異なる時間に別々に観察された値をその時区間で差分することから求められる。つまり時空間連続体を観察できないので、ある時区間における変動を差分により平均化して変動速度を求めている。時空間連続体を観察できるとき、連続性を有する時空間で生じた現象をその時区間で全て重ね合わせて同時に見ていることになり、過去から現在の連続した変動と、そこから導き出される未来への時間情報の同時閲覧が可能である。時間情報を同時閲覧できる特殊空間がτ-space continuumである。時間→空間変換を行った空間因子にて時間を空間で表現できるτスケール(因子)を包含する複数の同質体の結合体は、τ-space continuumとして認知できる。そしてこのτ-space continuumは、time-space continuumに対してただひとつの時間しか所有しないので、time-continuumでの要素errorであるtime errorが存在しない。
この2つの特徴を有した特殊空間がτ空間連続体τ-space continuumであり、ゆえにτ-space continuumには、従来観察不可能とされてきたtime-space continuumが可視化されるという驚異的な観察を可能とするのである。 そして、従来論じられてきた未来(の情報)についても一目瞭然として観察できているのである。具体的には、LGにおいて未来とは、微分係数の符号と大きさによりわかる連続した隣接未来空間である事がわかるのみである事が理解される。このことは、time-space continuumには、未来が組み込まれているが、しかしその未来は、微分係数の符号と程度しか確定していない現在の直後の未来である。さらに具体的に言えば、LGにおいて白血球の寿命、すなわちτスケールのひとつである劣化時定数より数時間から長くて4日程度の未来が理解できるが、抗生剤の投与などにて数時間後以降の未来は変化することが理解できる。これによりtime-space continuumの有する未来は、人間の努力があれば、LGの場合ながくて数時間以内であろう事がわかる。それも炎症の進行が上り調子か、下り調子か、そしてその程度は酷いか軽微かが、数時間未来まで組み込まれている程度と言えよう。未来は努力で変えることができるのである。決して確定していない事がわかる。しかし抗生剤の投与などの治療努力を怠れば、未来は微分係数の符号と程度を指数関数的に加速してしまう確定された未来となってしまうのである。

時間を空間で表現できる因子(τscale)を以下に挙げる。
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
本論では、好中球の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数time constantをτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数time constantをτ2としている。細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールをτ3としたり、顆粒の速度や加速度を計測して細かにτを設定したりすることで計測精度を上げることが可能である。
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開放系実験場としての歯周ポケットの有用性
炎症時の組織の反応は、急性期に好中球が浸潤し、慢性期にリンパ球や形質細胞などが現れるとされている10。通常、炎症は体内という閉鎖系で生じる。閉鎖系では、免疫応答が進むにつれて好中球などの白血球や炎症物質が蓄積し、炎症性細胞浸潤が抑制される。それに伴って炎症部位に新好中球が見られなくなり、リンパ球などの時系列断続体が増加してくる。急性期と慢性期では観察される細胞が異なるという結果は、閉鎖系であるがゆえに導き出された。これはロジステックオプションにより説明できる(Supplementary Notes 5)。空間が白血球や炎症物質で飽和した状態は、膿瘍形成として観察される。臨床では膿瘍形成部位は切開排膿処置が行われ、本来の免疫応答が確保される。それに対して歯周ポケットは上方が開放されているので、白血球が連続して浸潤しても空間は飽和することがない。このような開放系では、慢性時でも好中球が主体の炎症性細胞浸潤をなす。つまり、空間因子に制限のない(少ない)本来の姿の炎症が見られる。
一般に、in vivoにおける好中球の浸潤の証明方法では、注射や手術による侵襲を与えている11-17。侵襲は炎症を引き起こし、好中球やサイトカインの分泌を促進することで好中球の計測に誤差を生じている。それに対して歯周ポケットでの炎症反応では侵襲がないので、計測誤差を伴わない。歯周ポケットは、本来の炎症免疫応答の実験場として非常に有用と考えられ、炎症計測の実証の場として最適と考えられる。無菌動物に歯周ポケットを形成させて免疫性細胞浸潤を計測することで、in vitroにおける実験18-22を超える精度を有した無侵襲での炎症・免疫実験の場を提供するものと考えられる。

LG観察法の有用性
従来の白血球の計測方法では、白血球サンプルを適当な濃度に希釈し、その上細胞を死滅させるので、時空間情報を持つLGが破壊されている。細胞の死滅はNLとOLの区別をなくしてしまうため、現在炎症が収束していても過去に大量に炎症性細胞浸潤が生じていれば、白血球が大量に検出され“重い炎症あり”と診断される。これは、臨床症状が治癒しても病理が出現したり、病気の症状が軽症化しても重傷部位より強い炎症所見が見られたりするという計測結果2と一致する。従来の計測方法で導き出されていた矛盾した結果は、NLとOLを細胞の死滅により均一化させ、現在と過去の炎症が重畳(積分)されていたために生じた非常に単純な計測誤差(時間的な積分誤差)である。本論で提唱したLG観察法はNLとOLを区別して比較するので、炎症性細胞浸潤が生じたのが現在なのか過去なのかが判明する。さらにその細胞数から、現在や過去の炎症性細胞浸潤の程度(重傷度)がわかり、その相対値から炎症の将来に向かう速度であるリスクの情報も得ることができる。
従来の計測方法で細胞を生きたまま観察したとしても、前提とされている希釈により好中球の細胞群は解体されるので、NLとOLの位置関係から導かれる空間情報が破壊される。空間情報の破壊は、Burst Pointから浸潤した後に細胞群を形成するという好中球の性質の発見や、細胞の劣化により時系列連続体が形成されるという浸潤パターンの解明を不可能にした。LG観察法では空間情報が破壊されないので、炎症性細胞浸潤の真の姿を観察することができる。さらに、サンプリング位置と画像内のLGの分布位置の比較からBurst Pointを推定することも可能である。
LG観察法を用いた時、歯周ポケットの深さが10mm以上という高度の歯周病患者からサンプルを採取したにもかかわらず、白血球が観察されなかったり、OLしか出現しなかったりするケースがあった。このことより、歯周ポケットという機能障害から炎症性細胞浸潤を生じるものではなく、かつ常に同時に生じるものでもなく、炎症の本態は炎症性細胞浸潤であることが明らかとなった。つまり、接尾語-itisのつく病気の本態は、マクロ的臨床症状ではなく炎症性細胞浸潤である。炎症の5大症状は炎症性細胞浸潤に従属するマクロ的症状である。従来、接尾語-itisのつく病気はマクロ的症状から診断されていたが、LG観察法を用いれば炎症の真の姿である炎症性細胞浸潤で判別できる。炎症性細胞浸潤(の個数や大きさ)を独立変数xとすると、マクロ的症状(の程度など)は従属変数yとなり、炎症性細胞浸潤と5大症状はy = f(x)と表すことができる。ここで関数fは、LG診断法である。(Nonomura執筆中)
“炎症(性細胞浸潤)”と“症状”を分離して理解できるので、診断や治療に矛盾が生じない。病気のマクロ的症状は、ミクロ的病理所見によってリアルタイムに高速、高精度に計測することができることをLG観察法は示唆している。曖昧な関係を見せていたマクロ的症状とミクロ的病理所見は、ミクロ的病理所見が第一義的に存在し、その従属因子として病気が診断されるという体系が妥当であろう。したがって、病気に関する教科書には、ミクロ的病理診断である炎症性細胞の計測が第一義として書かれる必要があると考えられる。
炎症が本態の病気の検査を炎症性細胞により確定診断できることは、誤診の可能性を低下させ、処置精度を大きく向上させるであろう。さらに、ある種の腫瘍のような炎症を従属する病気の本態やその部位を特定できる可能性がある。従来の病理診断では数日単位の時間がかかるが、LG観察法はリアルタイムで診断できる。開放系空間である歯周ポケットでのLG観察法の試行は容易であるので、歯周病の診断や治療にすぐに応用できる(Nonomura, 執筆中)。従来の病理診断では通常は日単位で時間がかかる事が多いがLG観察法は、リアルタイム性を有している。閉鎖系空間である体内でのLG観察法の適用は技術的に障壁が大きいが、研究や技術の進歩により突破できるものと考えられる。LG観察法を用いた病理による病気の検査、診断は、病気の本態を理解する手助けとなるばかりでなく、適切で迅速な治療を可能にする技術であり、人類の健康と生命に大きく寄与するものと考えられる。





[実施例9]
第9実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第9実施例の形態]
開放系炎症場において炎症性細胞浸潤の計測論的生体検査により
発見された炎症の真の姿

Author(s)
Yuusuke Nonomura
address
Nonomura Dental Office, in National Yagata bldg 2F,
3-6, Higasiyamadouri, Chikusa-ku, Nagoya-city, Aichi, Japan 464-0807(†)

Summary
現在、病気は主にマクロ的症状により診断されており、病理診断は最終診断として大きな役割を果たしているが病気の一診断項目でしかない。特に症候を表す接尾語-itisがつく病気においては、炎症の5大症状による診断と同時に炎症性細胞浸潤を指標とした病理所見も診断に用いられているが、病理による診断と症状との間に矛盾が生じるために病理では確定診断できないという議論に至っている。そのため、炎症は病気と病理が曖昧なまま診断されているのが現状である。その原因は現在用いられている統計学的計測方法にあると考え、物理学的な計測論によって炎症性細胞浸潤の観察方法の検証をおこなった。
過渡空間における白血球の偏りを破壊しないために、歯周ポケット浸出液を撹拌せず生体のまま位相差顕微鏡を用いて観察した。その結果、サンプル内には活性のある好中球(Active Neutrophil Leukocyte; ANL)と活性のない好中球(Inactive Neutrophil leukocyte; INL)があることが明らかとなった。好中球の中には、抗原から独立して互いに付着した細胞群(Leukocyte Group; LG)を形成するものが存在した。よく発達したLGでは、中心にANLが、その周囲にINLが存在した。ANLは現在、INLは過去の炎症性細胞浸潤を、それらの細胞数はそれらの程度を表していると判断した。好中球を主体とする白血球を本論で提示した方法により観察する手法をLG観察法(LG Observation Method)と名づけた。
LG観察法により明らかとなった好中球の性質から、炎症性細胞浸潤が継続して生じた時に、その時間と量の履歴がBurst Pointを始点としてスフィア様層構造の形で残留していることが推測された。この構造をLG Modelとした。LG Modelを基に数学的に検証した結果、LG観察法は従来の計測法で生じる時空間誤差time space errorやサンプリング時、計測時に生じる誤差を解消し、画像自体が時空間連続体を空間のみにて表現するために炎症性細胞浸潤の程度と炎症のリスクを表わしていることが確認された。
開放系である歯周ポケットを用いたことでLGが発見され、炎症性細胞浸潤の真の姿を解明できた。炎症の本態は炎症性細胞浸潤つまり病理であり、5大症状は病理に従属する症状である。従来、炎症はマクロ的症状から診断されていたが、LG観察法を用いれば病理で確定診断できる。LG観察法は炎症の誤診の可能性を低下させ、適切な治療を可能にする技術であると考えられる。

Introduction
臨床における炎症の定義は、1858年、ルドルフ・ウィルヒョウ(Rudolf Virchow)が4徴候である発赤、熱感、腫脹、疼痛に機能障害を加えたことにより、5大症状として完成された。その後、その弟子であるユリウス・コーンハイム(Julius Cohnheim)が、血管からの白血球遊走と炎症を関連づけた1。5大症状は肉眼で確認できるマクロ的症状のことである。血管からの白血球の遊走の発見は、顕微鏡を用いたミクロ的病理所見による炎症の計測、解析の始まりとなった。現在、病気は主にマクロ的症状において診断され、病理診断は最終診断として大きな役割を果たしている。症候を表す接尾語-itisがつく病気(ex. gastritis, tonsillitis, periodontitis)においては、炎症性細胞浸潤というミクロ的病理所見も有力な確定診断のひとつである。しかしながら、マクロ的症状が治癒してもミクロ的病理が出現したり、病気の症状が軽症化しても重傷部位より強い炎症所見が見られたりする2という矛盾した計測結果により、病理では病気は診断不能という議論に至っているのが現状である。
炎症の本態は炎症性細胞浸潤という病理であるので、接尾語-itisのつく病気の診断には病理診断が第一義的に存在するはずである。したがって、内科学などの病気に関する教科書には、病理診断が第一義として書かれるべきだと考えられる。ところが実際は、接尾語-itisのつく病気を始めとする多くの病気は、マクロ的症状によって分類、診断され、その付加的判断として一項目に病理(所見)が書かれているに過ぎない。マクロ的症状である“病気”と、ミクロ的病理所見である“病理”の関係が曖昧であるがゆえに、接尾語に-itisのつく病気の診断には混乱や矛盾が生じているのが現状である。計測、診断が曖昧であるなら、当然処置も曖昧になり、適切な処置がおこなわれずに多くの人命が失われてきた可能性は非常に高い。
病気と病理が曖昧なまま診断されているという問題は、ユリウス・コーンハイムの時代から150年にわたって存在しており、医師(歯科医師も含める)や生物学者による臨床的な診断(判断)からは議論され尽くされている可能性が高い。そこで、本論では炎症を物理的な計測手法という観点で検証する。

計測学的にみた従来の計測手段の問題点
通常、炎症の病理診断では、白血球の細胞数の測定いわゆる血球算定という計測手法が使用されている3,4。血球算定法では、採取試料に空間的な偏りが生じると母集団からの部分的な無作為抽出が不可能となる。それゆえ、統計学的な計測論に基づく採取試料の混合希釈が大前提とされている。白血球の計数の具体的な方法は、前処理として一定量の希釈液と白血球を含んだ採取組織液またはGCFなどを混合して濃度を均一化し、試薬を用いて測定目的以外の血球を溶血させる。希釈にチュルク液を用いた場合、赤血球は溶血し、白血球の核だけ染色される。試料中の白血球数は血球計算板を用いて数えられ、その平均値からある単位あたりの細胞数として計算される。
血球算定法は、血管を流れる血液中にほぼ均質に存在する血球の計測では問題ない。なぜなら、血液中は計測論的には定常状態とされているからである。血液中における白血球の分布はほぼ均一である。しかし、Burst Point(抗原により破壊された部位)から浸潤する白血球の分布は、計測論から見ると非定常状態(過渡状態)であるので、時空間的な偏りを生じているはずである。従来の計測手段では、溶液の濃度の均一化により空間的偏りを、細胞の死滅により時間の偏りを均一化している。この計測手法は、計測論的には時空間的な積分誤差を生じる。したがって、血球算定法という統計学的な計測手法は定常空間では有効であるが、過渡空間には適用できない。
接尾語に-itisのつく病気をミクロ的病理所見で確定診断できない大きな原因は、過渡空間における白血球の分布の時空間的偏りを無視したことにあると考えられる。時空間的偏りを利用して白血球の分布を計測すれば、生体内(in vivo)における炎症性細胞浸潤の真の姿を見ることができるであろう。そこで本研究では、炎症部位の中で開放系である歯周病の歯周ポケットに着目して、生体標本を用いることで白血球の分布パターンを観察した。

Materials & Methods
単円探針もしくは連円探針(図84 Fig. 1, Supplementary Notes 1)を用いて、初診時深さ10mm以上の重症歯周病患者4人において歯周ポケットの最深部から歯周ポケット浸出液(GCF)を採取した。GCFを極力攪拌しないように慎重にスライドガラスに置き、水を一滴滴下し、カバーグラスで圧接した。その後すぐに規格化位相差顕微鏡(Supplementary Notes 1)でサンプル像を観察した(像のサイズは、125 μm × 92 μm)。観察したカバーグラスグラス単位での数は42枚である。その内容は、動画AVIファイルにて 341枚、静止画bmpファイルにて1672枚であり、以下AVIファイル枚数とbmpファイル枚数を画像(341,1672)と表示する。カバーグラス1枚あたりの視野を14mm×14mmとして、その画像数は、本顕微鏡の規格画像サイズにて換算すると約ca. 1700017,024枚である。前記カバーグラスで規定される1試料面( Global Image 14mm×14mm 112×152視野画像 Global Image GI )として、そのGIに対して、ランダムスキャンを行った。そして最大LGと、診断に供するであろう画像をLocal Imageとして適時サンプリングした。

サンプル像の観察結果
GCFのサンプル像内において、スピロヘータなどの運動性細菌は液層に均等分布した(図82 Fig. 2a, b)。歯垢や上皮細胞は集合を形成して散在した(図82 Fig. 2b, c)。白血球が確認されたのは、試料面42枚のうち36枚画像(283,965)である。画像毎に確認すると白血球の約88%〜100%が好中球で、まれにマクロファージ(図64 Fig. 3a)やリンパ球(図64 Fig. 3b)が存在した。好中球の像の中には、好中球の顆粒の動きが見られるものと、核の変性や破裂、細胞膜の破裂などが観察されるもの(顆粒の動きが見られないもの)が存在した。そこで、顆粒の動きが見られるものをActive Neutrophil Leukocyte (ANL)、顆粒の動きが見られないなど好中球が劣化したものをInactive Neutrophil leukocyte (INL)と定義した。
好中球の画像の中で、単体でANLが遊離した像が 画像(15,25)(図82 Fig. 2d)あり、細胞群を形成し液層に偏在した像は 画像(95,101)あった。その細胞群には、抗原を取り囲んで密集する群の画像(27,5)(図82 Fig. 2e)と抗原とは関係なく密集する群の画像(68,96)(図82 Fig. 2f)があった。抗原とは関係なく密集する群は、好中球同士の付着により生じていた(図83 Fig. 4)。この好中球の結合は、Burst Pointからポケット内に浸潤する/したANL同士が付着して生じた塊(クラスター)である。
抗原とは関係なく好中球が密集する群には、ANLのみの細胞群(図82 Fig. 2f)、INLのみの細胞群(図82 Fig. 2g)、ANLと INLが混在する細胞群(図82 Fig. 2h)があった。慢性時にはマクロファージやリンパ球、形質細胞などの他の白血球も出現してその細胞群に混在するので、このANL、 INLの集合をLeukocyte Group (以下LGとする)と定義した。顕微鏡像によく発達したLGが存在するとき(図82 Fig. 2h)、ANLを中心としてその周囲にINLが連続的に存在していた。この画像より、LG内の好中球の分布は浸潤の時間経過を表現しているものと判断した。

LG観察法の提唱
好中球の寿命は低濃度のものが分単位から時間単位、高濃度のものは、10数時間から1〜2日単位である(Nonomura, 執筆中)ので、画像中にANLがある時、現在炎症性細胞浸潤が生じていることを意味する。歯周ポケット浸出液(GCF)内のラベリングした白血球を用いたin vitroな実験では、炎症が増加すれば白血球浸潤も増加することが明らかとなっている5。また、GCF内においては、炎症性細胞、免疫系細胞などが炎症や免疫に比例して含まれていることが知られている6-10。これらの知見より、ANLの個数は炎症性細胞浸潤の程度を表していることがわかる。それに対し、INLの存在とその数は、過去の炎症性細胞浸潤とその程度を表す。INLのみが存在するときは炎症の休止期、ANLと INLが混在する時は、過去から現在まで炎症性細胞浸潤が継続していることを意味するINLのみが観察された時は、実際に歯周ポケット内にANLが存在しないのか、ANLがサンプリングできていないのかに注意しなくてはならない。この場合、ポケット内クリーニング(洗浄など)を実施し、再検査とする。再検査でINLが観察されなければ、現在炎症はない。再度INLが観察されれば、ANLの検出を見逃している。ANL、 INLが共に画像中に存在しないときは治癒である。LGの中心にANL群が存在し、その周囲にINLが群となって存在するときは、好中球の浸潤がANL群を中心に発生し、過去に浸潤した好中球(INL)が中心から押し出されているという時間経過を見ることができる。つまりLGには連続した時間と空間が組み込まれている。時空間連続体time space continuumは後文へ マクロファージ、リンパ球または形質細胞などの他の白血球は炎症の慢性期に出現して散在するので11、これらの白血球が確認された場合は、炎症性細胞浸潤は過去から継続していることがわかる。好中球や他の白血球を本論の方法により観察する方法をLG観察法と名付ける。

LG Modelの提唱
白血球はBurst Pointから湧き出て抗原に対して走化するので、Burst Pointを中心として局在すると考えられる。浸潤した白血球は、時間とともに劣化し、そしてバーストする。炎症性細胞浸潤が継続して生じると、Burst Pointから新しく浸潤した白血球が過去に浸潤して劣化した白血球を押し出すので、炎症性細胞浸潤が生じた時間と量の履歴がBurst Pointを始点として残留していることが推測される。つまりBurst Pointには、浸潤直後の白血球が存在し、外周に向かうほど活性のない古い白血球が層になって存在する(図85 Fig. 5a)。この構造をLG Modelとする。歯周ポケットのような開放部である上方以外が限られた空間では、この連続スフィア様層構造の薄い断面をなしている(図85 Fig. 5a中の一点破線で囲まれた部位)。この層構造の縦断面は、歯周ポケット最深部のBurst Pointを始点として、炎症性細胞が時空間に沿って地層のように積み重なっていると考えられる(図85 Fig. 5b)。LGは炎症性細胞浸潤が継続すれば大きくなり、Burst Holeとなろう。(図98 Fig. 6)。
LG Modelにおいて、最も活性のあるANL(おもにANLの集合体の重心位置)は、病巣focusであるBurst Pointを示していると考えられる。また、各々のLG内において、最も活性のない古い好中球から最も活性のある新しい好中球に向かう時空間ベクトルは、Burst Pointを指し示す。したがって、サンプリング箇所にマーキングを施し、サンプル内で時空間ベクトルの方向と距離を計測できれば、サンプリング部位からの病巣focusの位置を推定することが可能である。画像内で複数のLGが観察される場合、最も大きいANLの細胞群を持つLGの時空間ベクトルは最重症部位を示すと考えられ、最優先治療部位を判別できる可能性が高い。
今回は臨床上の時間的制約から試料をランダムスキャンした。このランダムサンプル(ランダムスキャン)においては、LGの見落としが発生する恐れがある。 時間的制約が無い場合は、全スキャンが良い。また、現在の画像サイズでは、観察できるLGの大きさには限界がある。画像サイズよりも大きいLGが存在するとき、LGの全体像は観察できない。LG Modelに当てはめて考えると、画像サイズがLGよりも小さい場合、LGの一部分しか画像に入っていない可能性があることがわかる。LG観察法ではANLの存在の有無が最も重要なデータである。観察されたLGが画像サイズからあふれ出ている場合、画像の中にINLしか存在しないのか、画像サイズの限界によりLGの外郭のINLしか見えていないからか、実際にANLがないからかに注意しなくてはならない。LGの持つ特性(例えば、リアルモデルなら連続体、FIFOモデルならストリーム、数理的ならベクトル場と表現できる)を破壊することなくサンプリングし、顕微鏡の視野を分解能を落とさずに広げる、または全トレースすることができれば、LG観察法の精度は上昇する。

LG観察法の数理物理学的検証 mathematical physics of LG observation method
炎症の5大症状のひとつである傷害が生じている部位、すなわち炎症の本態部位(ここでは歯周ポケットのバーストポイントB.P.部位)における好中球の(数)速度velocity Vnは以下の式で表される。
速度式1
{ここでは、炎症が始まった時刻t0から、ある時間tnまでに浸潤した(B.P.を通過した)好中球の数Nnとする。また同様にt0から異なる時間tn+1まで浸潤した(B.P.を通過した)好中球の数Nnとする。}
そして、前述における炎症の本態部位にて炎症活動inflammatory activityしている好中球(数)の速度は、さらにバーストポイントの数NPn (Number of B.P.)を先のVnに乗じた数Vn・NPnとなる。(以下Vn・NPnをVBnとする。)
さらにB.P.の集合体をバーストホールB.H.とする。 VBnは、言い換えると組織の障害により増減、変動するB.P.の総数であるB.H.を独立変数とする従属変数としての変動速度と言える。これをB.H.モデルとする。(図98 Fig6)( 好中球(数)の速度VBnは、炎症に応じて変動するので、変動速度fluctuation rate と言う事にする。)
この炎症の(数)速度(式)の結果を、歯周ポケットという保存場(容量場)に展開形成されたものがLGモデルという事ができる。すなわちB.P.での各時刻であるtnに対応するτnを表す層における、好中球の各(数)Nn、速度履歴fluctuation rate record Vnを、歯周ポケットにて観察すると、
速度式2
となる。
この式の意味するところは、止めることのできないtを(一時刻)固定し、(炎症の本態部位での一点であるB.P.における時間の流れを好中球自体が劣化時間履歴としての時間情報(時間記憶)を空間情報に変換記憶しており、歯周ポケットという保存場に連続的に隙間無く展開している)観測空間を時空間記憶する物質により時空間連続体を別空間であるτ空間連続体τspace continuumに形成した事を意味している。さらにこの差分式は、この別空間であるτ空間連続体において極限化が可能であり容易に解を求めることができる。(Supplementary Note 2 )
そればかりか、この解は、先のtにおける(time-space continuumにおける)差分式と同じであり、τは今回の場合直視できる像(τscale factor)として時間記憶されており、かつ時間記憶されている媒体の好中球が連続的に存在しτscaleとしての空間記憶が直視できている。(Supplementary Note 3 )それゆえ歯周ポケットという保存場に展開した像Imageは、解を直視している事を意味する。
これが炎症性細胞浸潤すなわち炎症の病理像、すなわちミクロ的病理所見であるLGとなるのである。これにより我々は、有史以来初めて、真の炎症の姿を観測、計測、検査できるようになったのである。(従来の計測はSupplementary Note 4 を参照)
この結果は、次の事実からも容易に証明ができる。 すなわち、
炎症の程度と好中球の数量の関係は、参考文献5(Quote from Attstrom & Egelberg 1971)において実証されている。この文献の図84 Fig1などのような実験条件下で一様増加モデルとして炎症性細胞浸潤を実験計測している場合においてこの文献の図84 Fig1は、
関数f(tn) を時刻tnでの好中球数としとしg(tn)を好中球の増加数とする、初期条件をf(0) = 0 として、
差分方程式 f(tn+1) = g(tn+1)+f(tn) ( tn ≧ 0 正の整数と0 ) (厳密には、この式はB.H.における好中球の通過数を示す。 time space continuum )
と(近似的に)説明でき、炎症が酷くなれば酷くなるほど好中球の数量も増える結果を表現している。この式においてg(tn)が定数の場合(差分式として一様増加または一様減少)、従来法である積分サンプリングを行ってもf(tn)の増加傾向(グラフの増加傾向)に影響はない。(線分の傾きには多少影響がある。)
前述の式は、
g(tn+1) = f( tn+1 ) - f( tn ) となり、 これをτ変換すると
g(τn+1) = f( τn+1 ) - f( τn ) に変換される。この式は、ポケット内におけるB.H.を通過した時間履歴情報を所有する好中球数の分布を示すので前述のB.H.モデルの証明のひとつとなる。
この時点にてτ空間連続体での時空間連続性ゆえ、炎症活動を行っているANLを画像として観察できる。また前述のごとく過去、現在、未来の炎症像が判明する。
ここで、g(tn+1) = f( tn+1 ) - f( tn ) の両辺を( tn+1 - tn )の時区間で除すれば、
g(tn+1) / ( tn+1 - tn ) = { f( tn+1 ) - f( tn ) } / ( tn+1 - tn )となる。つまり
g(tn+1) / ( tn+1 - tn ) = VBn+1であり、すると前述の如く同様に処理すればτ空間によるLGの炎症の変動速度式(差分、微分)に合致する。さらにVBnはNPnで除せばVnに等しくB.P.当たりの変動速度を表現している。(前述のNn はf(tn)/NPnとなる)
さらに前述の速度式2は、
g(τ2)= f(τ2)−f(τ1) 炎症の一般式3 (汎用速度式3)
により速度を内包した(変動)個数による表現で炎症を表現する(変動)速度式として使用できる事がわかる。
これらの関係により、前述の参考文献5(Quote from Attstrom & Egelberg 1971)における図84 Fig1の内容である炎症と白血球数との正の相関関係を、LGにより、初めて、臨床で計測できる事が証明されたのである。これは従来の炎症応答の初期phase(2nd phaseは、修復)の本質が免疫応答である事を意味する。。さらに炎症の4大症状が、この様式をもとにして算出ができる。(Supplementary Note 5 )
炎症の5大症状のひとつでありもっとも重要な“傷害”の計測とその(傷害による)症状の計測
そして、このミクロ的病理所見LGを、炎症による(機能)障害の表現モデルである 前述B.H.(モデル)に適用する。すなわちτspace continuumであるLGとtime space continuumにおける炎症の実証された速度(式)をB.H.に適用した結果の一例が変動速度VBnであり、そのτ空間画像であるLGのANL核 ANL coreの大きさが「傷害」の大きさというマクロ的症状を計測、表現できている。(図60 Fig7) すなわちミクロ的病理所見によりマクロ的症状を計測、表現できるのである。(病理所見による病気の確定) (ただしこの場合の傷害は、細菌などの外来因子での組織障害(部位)に反応、発生した炎症による傷害の重畳(時空間積分)である事に注意する。)
さらに、白血球−白血球の相互引力と、白血球−歯垢(抗原)との引力とにおいて、B.H.(機能障害)において重要な所見が得られている事が判る。
白血球−歯垢(抗原)との引力は、走化性という現象でよく説明がなされている。これは、比較的遠距離にはたらく生物化学的な引力と言える。それに対して図83 Fig4にあるように白血球−白血球の相互引力は、図83 Fig4 a, b, c, dにおける現象が観察されるゆえに、かなり近接した場合にはたらく引力と考えられる。
純粋なLGにおけるANL core(活動白血球核)は、同一の組織障害部位より浸潤していなければ、前記歯垢(抗原)への走化性ゆえにその表面に歯垢を結合していると考えられるのである。(図82 Fig2 e, Fig2fの周囲)
しかし図82 Fig2fの中央のLG、 図82 Fig2hのような純粋なLGにおけるANL core(活動白血球核)が存在しているという事実は、図98 Fig6のモデルすなわちB.H.の存在を証明していると言うことである。(図60 Fig7) さらに傷害が歯根に沿いひろがれば、図101 Fig8のようなBurst Crevasseとなってゆくであろう。(図101 Fig8)
すなわち、
歯垢の付着が無い純粋なLGにおけるANL core(活動白血球核)は、B.H.の存在を示唆している。これは、組織の障害程度を表していると言える。
ゆえに純粋なLGにおけるANL core(活動白血球核)は、その大きさが大きければ大きいほどに、傷害の大きさも大きい事を示している。
つまりτspace continuumのある時区間に対応する体積は、傷害の大きさを示しているとも言える。(Supplementary Notes 6)

開放系実験場としての歯周ポケットの有用性
炎症時の組織の反応は、急性期に好中球が浸潤し、慢性期にリンパ球や形質細胞などが現れるとされている10。通常、炎症は体内という閉鎖系で生じる。閉鎖系では、免疫応答が進むにつれて好中球などの白血球や炎症物質が蓄積し、炎症性細胞浸潤が抑制される。それに伴って炎症部位に新好中球が見られなくなり、リンパ球などの時空間断続体が増加してくる。急性期と慢性期では観察される細胞が異なるという結果は、閉鎖系であるがゆえに導き出された。これはロジステックオプションにより説明できる(Supplementary Notes 7)。空間が白血球や炎症物質で飽和した状態は、膿瘍形成として観察される。臨床では膿瘍形成部位は切開排膿処置が行われ、本来の免疫応答が確保される。それに対して歯周ポケットは上方が開放されているので、白血球が連続して浸潤しても空間は飽和することがない。このような開放系では、慢性時でも好中球が主体の炎症性細胞浸潤をなす。つまり、空間因子に制限のない(少ない)本来の姿の炎症が見られる。
一般に、in vivoにおける好中球の浸潤の証明方法では、注射や手術による侵襲を与えている11-17。侵襲は炎症を引き起こし、好中球やサイトカインの分泌を促進することで好中球の計測に誤差を生じている。それに対して歯周ポケットでの炎症反応では侵襲がないので、計測誤差を伴わない。歯周ポケットは、本来の炎症免疫応答の実験場として非常に有用と考えられ、炎症計測の実証の場として最適と考えられる。無菌動物に歯周ポケットを形成させて免疫性細胞浸潤を計測することで、in vitroにおける実験18-22を超える精度を有した無侵襲での炎症・免疫実験の場を提供するものと考えられる。

LG観察法の有用性
従来の白血球の計測方法では、白血球サンプルを適当な濃度に希釈し、その上細胞を死滅させるので、時空間情報を持つLGが破壊されている。細胞の死滅はANLと INLの区別をなくしてしまうため、現在炎症が収束していても過去に大量に炎症性細胞浸潤が生じていれば、白血球が大量に検出され“重い炎症あり”と診断される。これは、臨床症状が治癒しても病理が出現したり、病気の症状が軽症化しても重傷部位より強い炎症所見が見られたりするという計測結果2と一致する。従来の計測方法で導き出されていた矛盾した結果は、ANLと INLを細胞の死滅により均一化させ、現在と過去の炎症が重畳(積分)されていたために生じた非常に単純な計測誤差(時間的な積分誤差)である。本論で提唱したLG観察法はANLと INLを区別して比較するので、炎症性細胞浸潤が生じたのが現在なのか過去なのかが判明する。さらにその細胞数から、現在や過去の炎症性細胞浸潤の程度(重傷度)がわかり、その相対値から炎症の将来に向かう速度であるリスクの情報も得ることができる。
従来の計測方法で細胞を生きたまま観察したとしても、前提とされている希釈により好中球の細胞群は解体されるので、ANLと INLの位置関係から導かれる空間情報が破壊される。空間情報の破壊は、Burst Pointから浸潤した後に細胞群を形成するという好中球の性質の発見や、細胞の劣化により時空間連続体が形成されるという浸潤パターンの解明を不可能にした。LG観察法では空間情報が破壊されないので、炎症性細胞浸潤の真の姿を観察することができる。さらに、サンプリング位置と画像内のLGの分布位置の比較からBurst Pointを推定することも可能である。
歯周ポケットに対するLG法(LG観察法、LG診断法)の適用と従来からの炎症における定義の双方により、炎症が障害をおこしている炎症の本態部位への炎症性細胞浸潤が炎症であることが、より明確となってきた。従来の炎症の定義と矛盾しない画像をLG観察法は提供する。(ただし傷害部位の発生genarationは、細菌などの外来侵襲による組織障害と炎症性の機能(組織)障害の合成である事に注意が必要である。)
つまり、接尾語-itisのつく病気の本態は、マクロ的臨床症状ではなく炎症性細胞浸潤である。炎症の5大症状は炎症性細胞浸潤に従属するマクロ的症状である。従来、接尾語-itisのつく病気はマクロ的症状から診断されていたが、LG観察法を用いれば炎症の真の姿である炎症性細胞浸潤で判別できる。炎症性細胞浸潤(の個数や大きさ)を独立変数xとすると、マクロ的症状(の程度など)は従属変数yとなり、炎症性細胞浸潤と5大症状はy = f(x)と表すことができる。ここで関数fは、LG診断法である。(Nonomura執筆中)
LG観察法は、“炎症(性細胞浸潤)”と“症状”を分離して理解できるので、診断や治療に矛盾が生じない。病気のマクロ的症状は、ミクロ的病理所見によってリアルタイムに高速、高精度に計測することができることをLG観察法は示唆している。曖昧な関係を見せていたマクロ的症状とミクロ的病理所見は、ミクロ的病理所見が第一義的に存在し、その従属因子として病気が診断されるという体系が妥当であろう。したがって、病気に関する教科書には、ミクロ的病理診断である炎症性細胞の計測が第一義として書かれる必要があると考えられる。
これらは、従来の炎症応答の初期phase(2nd phaseは、修復)の本質が免疫応答である事を示し、炎症の本質を表現した新しい炎症の柱となると考えられ、新炎症診断要項の誕生となる。それは、炎症性細胞による炎症の過去、現在、未来へとつづく時間的程度の計測B、そして炎症性細胞(特にANLC)による傷害の大きさ計測Aである。そして従来の炎症の5大症状としてのマクロ的症状は、A,Bそれぞれから派生し提示されるのである。(Supplementary Notes 8)

炎症が本態の病気の検査を炎症性細胞により確定診断できることは、誤診の可能性を低下させ、処置精度を大きく向上させるであろう。さらに、ある種の腫瘍のような炎症を従属する病気の本態やその部位を特定できる可能性がある。従来の病理診断では数日単位の時間がかかるが、LG観察法はリアルタイムで診断できる。開放系空間である歯周ポケットでのLG観察法の試行は容易であるので、歯周病の診断や治療にすぐに応用できる(Nonomura, 執筆中)。従来の病理診断では通常は日単位で時間がかかる事が多いがLG観察法は、リアルタイム性を有している。閉鎖系空間である体内でのLG観察法の適用は技術的に障壁が大きいが、研究や技術の進歩により突破できるものと考えられる。LG観察法を用いた病理による病気の検査、診断は、病気の本態を理解する手助けとなるばかりでなく、適切で迅速な治療を可能にする技術であり、人類の健康と生命に大きく寄与するものと考えられる。


[変形例1]
LG観察法の数理物理学的検証 mathematical physics of LG observation method

通常、時間に伴って変化する物質のある時区間における速度velocity を求める時、その速度velocityは異なる時間に生じた事象の差分をその事象が生じた時間(時区間)で割ることにより求められる。
例えば、炎症の5大症状のひとつである傷害が生じている部位、すなわち炎症の本態部位にて炎症活動inflammatory activityしている好中球(数)の速度velocity Vnは、ある時間tnに浸潤し炎症組織にて炎症活動を行っている好中球数をNn、異なる時間tn+1に浸潤し炎症組織にて活動を行っている好中球数をNn+1とすると、次式により求められる。(ただし好中球の浸潤から死滅までの時間τと時区間tn+1 - tnが 同じとする。 ノンリニアとなる)
.
ここで、ある時間tnに浸潤し炎症組織にて炎症活動を行っている好中球数Nnとは、顆粒の動きが見られるもの、すなわち顆粒球が停止していない(速度0でない)状態の好中球であるNLを指し示す。この計測条件は、細胞膜(や核の)バースト、(変性による近似)によって定義されても良いなど好中球の活動に指標をおいた時定数を使用すればよい。
ここで好中球(数)の速度Vnは、炎症に応じて変動するので、広義の変動速度fluctuation rate と言う事にする。(Supplementary Note2)またここで厳密にはt.s.c.内における差分式での変動速度式は、Vn+1 −Vnとなる。そして、t.s.cにおけるn個の変動速度群Vnにおける個々のVnをt.s.c.内における差分式での単位変動速度elementary fluctuation rateとし、Vn+1 - Vnをt.s.c.内における差分式での狭義の変動速度fluctuation rateとする。微分方程式では、S2の8行目からに記載されているがごとくdN/dt = α・N −β・N ( γ・N )にて近似表現可能である。(ただし、この近似はすでにt.s.cを逸脱した別の空間での操作となり、t.s.c.において微分は現状において存在できない。)微分方程式のような局限化された式においては、変動速度が、単一の係数(dN/dtは、Vnでもある。)の式で表現可能である。(しかし厳密にはt.s.cにおいて、ここでもαとβにはΔαとΔβというtime-space errorがつきまとっているのではあるが)
現実世界において、異なる時間に生じた現象は同時に見ることができない。例えば、増減する物体の異なる時間における個数はそれぞれの時間にしか見ることができない。したがって、時間に伴って現象が変動する物体の単位変動速度elementary fluctuation rate、すなわち速度velocityは、異なる時間に別々に観察された値を単位時間あたりの変動量として平均化して求められている。
現実世界で我々が何かを計測するとき、時間と空間が連続性を有していることが前提となっている。つまりtime-space continuumの中のある時間における現象を切り取ってきて、代表値として見ていることになる。全ての現象は2個以上の計測値を用いて計測され、その値を比較することで評価されている。連続性を有しない時空間における計測値の比較やただ1つの計測値による評価は意味がない。
以上がtime-space continuum (t.s.c)における炎症の速度(炎症性細胞浸潤数の速度で次元は1/T)の定義であるが、ここで、炎症活動を行っている好中球の数は、実はtime-space continuum (t.s.c)において計測するには最低でも2時刻必要である。すなわち上述の差分式は、最低3時刻の計測を必要とし、この場合変動速度fluctuation rateは、4時刻必要となる。

LG モデルでは、異なる時間に浸潤した好中球が時空間time spaceに沿って連続して並んで層を形成している。この好中球の層を一般化したモデルがスフィアモデル(図85 Fig. 5)である。浸出液内の好中球は同じ発現遺伝情報を有する同一組織であるので、同一物体とみなすことができ、スフィアモデル内の各層の観察は好中球の浸潤直後から活動停止(さらには活動停止から変性、そして消滅)までの連続した現象を同時に見ていることになる。(図83 Fig4、Supplementary Note2つまり、1つの空間内に”time-space continuum”の表現が実現している。したがって、スフィアモデルでは時間の流れの中における止めることのできない物理量である値tを、時間がある1点に固定された物理量に置き換えることが可能である。
その固定された物理量をτとする。本論では、τは浸潤した好中球が活動停止(顆粒停止など)するまでの時間である。本論で対象としているLGは、2層モデルであり、τ劣化時定数 first time constant である。tの極限値であるτを用いると、time-space continuumのスフィアモデルはτ-space continuumと表現される。この時、時間は空間因子に変換されており、τ-space continuumは、時間情報を同時閲覧できる特殊空間である。この空間をτ空間”τ-space continuum”とする。
τ 空間において、tnと等価なtime scale(本論では好中球の劣化時定数)であり、スフィアモデル内の任意の層の持つn-th τ scaleをτnとすると、隣接する層のn+1-th τ scale はτn+1となる。それらの層間の好中球数の速度velocityは次式により求められる。
.
本論におけるτ空間連続体τ-space continuumは、要素ベクトルである一個一個の好中球neutrophilic leukocytesの結合attachmentにより連続している速度ベクトルvelocity(ここのみvectorが明示的に必要)とからなっているなど、本論のτ空間を始めとしてτ-space continuumでは、時空間の連続性が同時刻に確保されている。それゆえ上述の差分式原形における変動速度fluctuation rateの観測式は、time-space continuumと同じVn+1 −Vnではあるが、要素ベクトル(であるτスケール因子)を使用することにより要素ベクトルの差分式Vnにて観測可能である。FIFOモデルにおいては、要素ベクトルを前述の差分式Vnの左辺に乗ずるのみである。この時この要素ベクトルのスカラー量を1とすれば、上記式はそのままの形(Nは好中球の大きさΦとなるが)にて変動速度fluctuation rateを求めることができる。ゆえにτ空間連続体での観測画像は、人間の脳には変動速度が表現できる形の差分式が思い浮かぶので、観測と同時に変動速度が理解される。{ この場合τが2個以上(本論の条件では場合により3個以上必要の時もあるし、別の演算空間を使用しておけば一個以上とも言える場合もある。)、または複数のτspace continuumを必要とする。}
この式は、微分可能なdifferentiable極限化limitationが可能である速度velocity(ベクトルvector)(式)としても表現できる。(図83 Fig4, Supplementary Note2)すなわち、この式で表現されている要素ベクトルの連続体であるτ空間は、差分式においてすらも変動速度fluctuation rateをも表現できている。これは、τが絶対時間であるからである。(ここで変動速度fluctuation rateの観測に特殊な場合好中球1個のみで、変動速度fluctuation rateの観測ができる。この特殊な場合とは、変動速度0の原点において数が0の現象の場合である。炎症の場合においては、生理的Migrationが無いと仮定するとこれにあてはまる。また生理的Migrationを無視、または無視しても問題ないとするなら、炎症の計測においてτ空間連続体においては、1個の新好中球ANL(旧名NL)が存在すれば変動速度が観測されることを意味している。しかし厳密には原点での観測が前提であるから、2個のτを使用しているのである。これはτ空間を2個使用しているのと同じである。ただ厳密にはτ空間でなくても原点、すなわち炎症性細胞浸潤は、原点で0という結果を求めることは可能であるので、τ2個というのは、等価τが1個でもよいのである。
これに対してt.s.c.の時間は我々にとって相対時間であるので、変動速度fluctuation rateの観測は、必ず3時刻以上の観測が必要である。)
それに対して、単体遊離や離散した白血球からは時空間の連続性がわからないので、速度(ベクトル)は不明であり、極限化は不可能である。この連続性のわからない白血球を時空間断続体と定義する。
速度(ベクトル)velocityは原点であるBurst Pointの方向と炎症の速度を示す。臨床では、速度(ベクトル)velocityにより病巣の位置と炎症の今後の経過の推定が可能である。
従来の炎症の計測法で用いられている血球算定法は、生きた好中球を死滅させて既に死んでいた好中球と区別できなくし、好中球同士のattachmentを外してしまうので、τ-space continuumを破壊する。血管内に存在する血球は定常状態steady stateにあるとみなすことができ、いつ、どこからサンプリングしても同じ条件が再現できるので、血球算定法を用いても誤差が少ない。それに対して、浸潤した好中球が時空間に偏りを持ってクラスター化しているLGは、4次元のτ-space continuumを表現する過渡状態transient stateにある。その過渡空間において血球算定法を用いると、好中球の死滅とattachmentの離散により時間は無次元化され、空間は無次元化(1次元の場合もある)される。つまり、多次元空間を無次元化積分(1次元の場合もある)していることになる(Supplementary Note4)。この無次元化積分(1次元の場合もある)により生じる誤差をtime-space errorとする。 従来の動物実験における結果は、この時空間誤差time-space errorを回避してたが、従来の計測方法では実験上の計測結果を臨床上の計測結果へと反映ができなかった。しかし前述のLG観察法を使用すれば、この実験から得られた結果と同じ結果を臨床でも得ることができる。(第9実施例本文参照)
従来の計測法はtime-space errorにより、病気の部位における過去と現在の炎症の程度、それらの時間勾配から導き出される炎症の変動速度rate of process、すなわち未来の炎症の程度、速度(ベクトル)velocityから導き出される炎症部位の推定を不可能にしてきた。それにより以下の誤診が引き起こされていると考えられる。(i) 炎症の症状の誤診:白血球の生死を区別しないために、現在炎症が収束して生きた白血球がサンプル中になくても、過去に炎症性細胞浸潤が生じていれば白血球が検出されるので、炎症発症中と診断される。(ii) 炎症の程度の誤診:過去と現在に生じた白血球を区別なく時間積分するので、炎症の程度が過大評価となる場合がある。(iii) 炎症の推移の誤診:炎症の生じた時間とその時の程度が計測できないので、炎症の変動速度fluctuation rateに大きな誤差が生じ、炎症の推移(休止傾向か、悪化傾向か)が予測できない。(iv) 炎症の部位の誤診:現在炎症を起こしている患部の位置が推定できないので、治療が患部から外れた位置に施されている場合がある。(v) 炎症の処置後の誤診:(i) により現在の炎症の有無とその程度が測定できないので、治療の効果を正しく診断できない。現在の医学では、現時点で生じている炎症の有無とその程度、炎症の位置の誤診により、患部に誤った治療をしている可能性がある。
従来の計測法には、サンプルの採取、計測時に生じる誤差もある。診断を繰り返す時にサンプリング位置がずれることにより誤差が生じる。定常空間である血管からの血球のサンプリングはサンプリング位置を考慮しなくても問題ないが、炎症部位は過渡空間なので、サンプリング位置がずれると白血球数が正しく計測できない。サンプリングを繰り返す時、溶媒の濃度や溶質の計測を一定にできない人為的な誤差が生じる。さらに時間に伴う溶媒の変化(蒸発、変質、変性、温度変化など)が誤差を生じさせる。LG 観察法では、サンプリングと計測は1回であり溶媒を用いない。したがって、LGが表現するτ-space continuumにおいてはサンプル採取や計測時に生じる上記の誤差がない。臨床においては、サンプリングの位置と時間の誤差を気にせずに精査できる。
LG観察法では、歯周ポケット内からのサンプリングが浅かったり、Burst Pointから離れた位置からサンプリングしたりすることによる誤差が生じる。この誤差は、τ-space continuumであるLGが存在する場合は、速度(ベクトル)velocityからBurst Pointの位置を推定し、再度サンプリングすることで解消できる。
“τ-space continuum”を表現するLGの観察では、”time-space continuum”を破壊しないので、time-space errorが生じない。time-space errorの解消は、炎症の即時的な診断、治療を可能にするばかりでなく、従来の速度論Rate Processを始めとした計測論を劇的に進歩させることができる。τ空間”τ-space continuum”であるLGでは、観察不可能とされてきた”time-space continuum”が可視化されるという驚異的な観察を可能にする。(Supplementary Note2)LGを観察すれば、過去、現在が分かるだけでなく、過去と現在から連続する未来についても容易に推定することができる。time-space continuumにより可視化される未来は、微分係数の符号とその程度により確定される現在の直後である。具体的には、炎症(の変動速度fluctuation rate)が上昇傾向か下降傾向か、その程度は重篤か軽微かが、数時間という程度まで組み込まれている。LGにおいてはその未来は、白血球の寿命すなわちτスケールの一つである劣化時定数により、数時間から長くて4日程度である。この未来は、抗生剤の投与などの処置により変えることができる。治療努力を怠れば、未来は微分係数の符号と程度を指数関数的に加速する確定された未来となる。
本論では、好中球の形態的特徴において、NLの劣化時定数1st time constantをτ1、OLの劣化時定数2nd time constantをτ2としている。細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールをτ3としたり、顆粒の速度velocity or speedや加速度accelerationを計測して細かにτを設定したりすることで計測精度を上げることが可能である。τ空間連続体τs.c.では顆粒の速度を1時刻に連続解析できるが、時空間連続体t.s.c.においては1速度2時刻必要である。2速度は3時刻以上必要である。時間を空間で表現できる因子(τ time scale factor)をSupplementary Note 3に挙げる。

[変形例2]
現実世界の現象は、時空間の微分方向への連続的な計測ができない(連続的な積分計測はできる。連続的積分計測の一例としてペーパーポイント法などの混合希釈サンプリングがある。混合希釈サンプリングは、統計学的計測の前処理として多用されている。このように均一な母集団を得るためには、t.s.c.において混合希釈サンプリング、すなわち連続的な積分計測に頼るしかなかったのである。) ので、変動速度は近似値(断続値)としてもとめられている。ゆえにtの局限化であるdN/dtは、補間による近似値(式)として存在し、我々(人間)にとって、厳密には上記の局限化以降(微分方向への局限化)の式に相当する現象の観測、操作は、time-space continuum(t.s.c.)では存在しない。われわれでは、time-space continuumにおいて微分方向における観測、操作などは、不可能であると言うことである。(補間という操作自体t.s.c.でない空間を使用している。)
またt.s.c.において極限化が不可能(連続計測が不可能)というこの限界は、不確定性原理でも説明されるところである。
またtによる差分式、差分方程式は、我々にとってtが止めることのできない物理量ゆえに、3つの時刻または2つの時刻と別に演算した結果(time-space continuumの上位空間での演算結果)など結局最低3時刻以上での観測結果を用意しておかなければ、変動速度を観測、表現できない。(ここでそれぞれの時刻における好中球などのタイムスケール因子time scale factorは、同一時刻しか表現できない事に注意する。このタイムスケール因子time scale factorを増やすためには、さらに観察時刻の増加を必要とする。さらにまたt.s.c.において、本論での顆粒の動きを炎症活動中のNLとするなら、さらに観測に要する時刻を増加させなければならない。BurstなどによりNLとOLの区別をするなら時刻の増加は無い。)
しかしτによる差分式、差分方程式は、時間因子を空間変換した要素ベクトルelementary vectorを差分式、差分方程式に使用すれば、変動速度が表現されるのである。
本論のように要素ベクトルelementary vectorの形状formが球状(球近似)の場合は、要素ベクトルelementary vectorが3つ必要である。異方性形状でその異方性に速度ベクトルが対応している要素ベクトルelementary vectorでは、2つで良く。さらにτ空間に隣接したt→τ変換空間からτスケール因子に対して変換付与された誤差成分である形状誤差において、速度0の形状と有速度形状の2つ以上の要素ベクトルelementary vectorによるτ空間においても2つでよい。
(ここで、本論における細胞内ベクトルは、平均化されているが、連続性は確保できている。)
(t.s.cにおけるtは、何度も言うようにtが、我々にとって止めることのできない物理量であり、その順一方向のみにて存在しうる存在であるからであるが、しかしτにおいては、時間は固定され、かつ連続性を損なわずに空間変換されているからである。)
上記における差分式、差分方程式の上では、等価であるt(time-space continuum)とτ(τ-space continuum)がそれぞれの空間の中では、まったく違う現象phenomenon、像vision、画像Imageとして見えてくるのである。(微分方向への局限化は、time-space continuumにおいて我々の行動、認知内では存在しないので比較できない。) さらに
微分(方程式)において後述のごとくτspace continuumは、time-space continuumにおける近似でなく極限値として観測、表現、実現できており、現実に観測、使用が可能である。 すなわち
本研究で発見されたLGは、好中球の浸潤から活動停止、死滅、変性(burst、顆粒球速度0など)までなどで表現される(タイムスケールにおける)連続した現象であるtime-space continuumを一つの空間で観察することが可能なτ空間τ-space continuumなので、時間間隔の局限化 h→0を実現できる。
したがってLG内のOL数、NL数が相対的に示す時間勾配を速度ベクトルとして扱う事が可能となる。速度ベクトルの明確化は、OL数やNL数の絶対値が過去や現在の炎症の程度を精度良く表現することを可能とする。つまりLGは、炎症の生じた時間や程度、速度を示す解そのものを表現する。臨床においては、サンプルを採取してLGを見つけ、LG内のOLとNLの位置や数を1回計測するだけで炎症を精度よく診断できるので、LG観察用は、非常に簡便で有用ない診断法である。

[第9実施例Supplementary Notes]
Supplementary Notes
Supplementary Notes
S1−Material
単円探針
連円探針
LG機能付き規格化位相差顕微鏡
LG機能、Index Tracer付きコンピュータシステム

S2− time-space continuumの可視化により求められる解
τ空間連続体と時空間連続体time-space continuumにおける好中球数の速度、差分方程式
ここで
tとτによる2つの差分式は、同じ構造を有しており、同じ解を得る。 しかし
微分(方程式)において後述のごとくτspace continuumは、time-space continuumにおける近似でなく極限値として観測、表現、実現できており、現実に観測、使用が可能である。 すなわち
本研究で発見されたLGは、好中球の浸潤から活動停止、死滅、変性(burst、顆粒球速度0など)までなどで表現される(タイムスケールにおける)連続した現象であるtime-space continuumを一つの空間で観察することが可能なτ空間τ-space continuumなので、時間間隔の局限化 h→0を実現できる。 したがってLG内のINL数(旧名OL)、ANL数(旧名NL)が相対的に示す時間勾配を速度ベクトルとして扱う事が可能となる。速度ベクトルの明確化は、INL数(旧名OL)やANL数(旧名NL)の絶対値が過去や現在の炎症の程度を精度良く表現することを可能とする。つまりLGは、炎症の生じた時間や程度、速度を示す解そのものを表現する。臨床においては、サンプルを採取してLGを見つけ、LG内のINLとANLの位置や数を1回計測するだけで炎症を精度よく診断できるので、LG観察用は、非常に簡便で有用ない診断法である。

S3−機能時定数 functional time constant n-th time scale または n-th τscaleについて
前述のごとく、この計測のシステムにおいては、必ず劣化時定数などのt→τ(時空間)変換された時間記憶であるタイムスケールを計測する必要がある事が理解できる。このタイムスケールτは、
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
9 同位体元素
などやそれらの代謝、反応、劣化、崩壊率などから計測、算出できるであろう事が予測されるが、ここでは、前述1の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数をτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数をτ2とした。さらに細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールにてτ3を挿入して、さらに精度を上げても良いし、顆粒の速度や加速度を計測して細かにτを設定しても良い。

S4−多次元空間を無次元化積分することにより生じる計測原理の誤り と 訂正
B.H.において、炎症が始まった時刻t0から、ある時間tnにおける浸潤した好中球数をf(tn)とする。
2つの時刻t1、t2(t1<t2)における好中球数f ( t )、そして変動数g(tn)と変動速度VBnは、それぞれ
g(t2) = f(t2)−f(t1) と VB2 = { f(t2)−f(t1)}/( t2−t1)
となる。この時time-space continuumにおいてf (t2)とf (t1)を正確に計測する事は、不可能である。さらに time-space continuumにおいて現在、炎症活動を行っている好中球の観察などもまた、困難または不可能である。
しかしτ空間連続体τspace continuumによるLG観察法では、生物時間biological timeであるANL(旧名NL) とINL(旧名OL)を区別できるので、INL(旧名OL)の持つ時間特性をτ1、ANL(旧名NL)の持つ時間特性をτ2とすると、現在の炎症活動している好中球数が判明し、さらに未来への推移としての好中球の変動量(変動速度)は、
g(τ2)= f(τ2)−f(τ1) と VB2 = { f(τ2)−f(τ1)}/( τ2−τ1)
として求めることができる。 ここで、g(τ2)とVB2は、time-space continuumでのtによるg(t2)やVB2と違い、同じ物理量を示している事が重要である。すなわち劣化時間というτスケールにより規定された生物学的に意味のある、ある時刻同士の比較を取り扱っているのである。(ちなみにtの場合は、実時間のスケールであり、特に生物学的に意味のある時刻を指し示すわけではない。)
そしてこの場合、g(τ2)>0、VBn > 0であれば悪化傾向、g(τ2) < 0、VBn < 0であれば、休止傾向であり、
| g(τ2)|、|VBn|はそれらの傾向の大きさを表す。
例えば、LG内にINL(旧名OL)が8個、ANL(旧名NL)が10個カウントされた場合(例1)
g(τ2) = f(τ2)−f(τ1) = +2
INL(旧名OL)が3個、 ANL(旧名NL)が10個カウントされた場合(例2)
g(τ2) = f(τ2)−f(τ1) = +7
となる。例1、例2ともに悪化傾向にあるが、| g(τ2) |は例1<例2であることから、例2の方が炎症がより酷いことがわかる。
従来の炎症性細胞浸潤の計測では、ANL(旧名NL)を死滅させて全ての好中球をINL(旧名OL)にカウントしている。
つまり臨床では、
g(t2) = f(t2)+f(t1) または VB2 = { f(t2)+f(t1)}/( t2−t1)
さらに正確に言えば
を計測している。この値は、ここでは数のみの無次元となっている。関数f(t)が4次元値を有していても積分後は、無次元となることから多次元を無次元化している事がわかる。具体的には、例1はg(τ2) = 18 例2ではg(τ2) = 13となり、例1の方が炎症の症状が重く、将来悪化する可能性が高いと診断される。これがtime-space errorの一例である。またtime-space continuumにおいては時空間の一点のみでしか計測できないので、t2時刻で検査を行う通常診療の場合、定積分の時区間の開始tx(τ1に対応する時刻でない場合がほとんど)は、不明である。これも隠された変数の一つである。さらにこの逆の時区間であるt1からt2へ計測する場合は、一様増加、一様減少、一様一定のいづれか以外では、連続観察が必要となってしまう。
time-space continuumにおいては、時空間の一点でしか計測できないので、さらにこの事実から、炎症活動している炎症性細胞の数を観察する事は、連続観察しかないという事が判る。そして従来は、それゆえペーパーポイント法などの積分サンプリングをおこなっていたのである。この場合、前述の積分誤差に加え観察毎による場の乱れによる観測問題である時間と炎症の程度(エネルギー)の不確定性が生じるので、結局、場のリセットであるポケット内クリーニングを行い再度計測する。しかしこの場合でも炎症活動の時間変動と、好中球などの炎症性細胞の寿命との時間問題にて炎症活動している白血球の計測は、非常に困難または不可能である。 ゆえに時空間の記憶が可能であるτ空間τ-space continuumによる計測の有用性が判る。

S5−炎症の程度(過去、現在、未来) 免疫 と 4大症状(発赤、熱感、腫脹、疼痛)



S6−炎症による機能障害に対応する量 ANLC(Active Neutrophil Leukocyte Core)による傷害計測


S7−ロジスティックオプション
S2の微分方程式から、好中球が閉鎖空間にて飽和するためのロジスティック方程式は、S2のマルサス方程式から導くと周知のごとくに以下の形式を成す。
Mは、飽和好中球数
このように閉鎖空間では、好中球が飽和してしまい本来の炎症を形成できない。


S8−新旧炎症のマクロ的症状(病気)とミクロ的病理所見(病理)


Acknowledgment
I thank Haruna Ishikawa, Nagoya University, for assistance of writing this paper and helpful discussion for this study. データを整理してくれた奥田朋美、ののむら歯科クリニックスタッフ、に感謝します。データを採集してくれたののむら歯科クリニックのスタッフに感謝します。


[実施例10]
第10実施例の感染炎症免疫応答計測診断装置は、少なくとも炎症免疫系手段を備える。
[第10実施例の形態]
開放系炎症場において生体検査により発見された炎症性細胞浸潤後の
好中球の特性とそれを用いた炎症の診断方法の提唱
Author(s)
Yuusuke Nonomura
address
Nonomura Dental Office, in National Yagata bldg 2F,
3-6, Higasiyamadouri, Chikusa-ku, Nagoya-city, Aichi, Japan 464-0807(†)

Summary
現在、炎症が本態の病気において、炎症の5大症状による診断と同時に炎症性細胞浸潤を指標とした病理所見も診断に用いられている。しかしながら、病理による診断と症状との間に矛盾が生じるために、炎症は病理では確定診断できないという議論に至っている。そのため、炎症は病気と病理の関係が曖昧なまま診断されている。病気と病理の関係の不明瞭さの原因は現在用いられている統計学的計測方法にあると考え、物理学的な計測論(Metrology??)によって炎症性細胞浸潤の観察方法の検証をおこなった。
計測論の観点から見ると、血液中の血球は均一に分布する定常状態、血管からburst pointを通過して浸潤する白血球は偏りを持つ分布をする過渡状態とみなすことができる。過渡状態にある白血球の偏りを破壊しないために、重症歯周病患者から採取した歯周ポケット浸出液を撹拌せず生体のまま位相差顕微鏡を用いて観察した。その結果、浸出液内には活性のある好中球(Active Neutrophil Leukocyte; ANL)と活性のない好中球(Inactive Neutrophil Leukocyte; INL)が存在し、それらの好中球が細胞群を形成して偏在することが明らかとなった。好中球の中には、抗原から独立して互いに付着した細胞群(Leukocyte Group; LG)を形成するものが存在した。よく発達したLGでは、中心に ANLの細胞群が、その周囲にINLの細胞群が ANLの細胞群に接して存在した。好中球の寿命や浸潤特性から、 ANLは現在、INLは過去の炎症性細胞浸潤を、それらの細胞数は炎症の程度を表していると判断した。好中球を主体とする白血球を本論で提示した方法により観察する手法をLG観察法(LG observation method)と命名した。
LGの発見により、従来の計測法では細胞の死滅とLGの破壊によって誤診が引き起こされていたことが明らかとなった。LG観察法は病理で炎症を診断できるため、病理と臨床症状を分離して理解することが可能となった。さらに、1回の診断で現在の炎症の有無や程度、将来の炎症のリスクを診断できるので、診断と同時に治療が可能である。LG観察法は炎症の誤診の可能性を低下させ、正確な診断と的確で迅速な治療を可能にする技術であると考えられた。

Introduction
臨床における炎症の定義は、1858年、ルドルフ・ウィルヒョウ(Rudolf Virchow)が4徴候である発赤、熱感、腫脹、疼痛に機能障害を加えたことにより、5大症状として完成された。5大症状は肉眼で確認できるマクロ的症状である。ウィルヒョウの時代には炎症の本態はまだ解明されていなかった。1867年、彼の弟子であるユリウス・コーンハイム(Julius Cohnheim)が、血管からの白血球遊走と炎症を関連づけた1。血管からの白血球の遊走の発見は、顕微鏡を用いたミクロ的病理所見による炎症の計測、解析の始まりとなった。
gastritis, tonsillitis, periodontitisのように炎症を表す接尾語-itisがつく炎症が本態である病気において、炎症性細胞浸潤というミクロ的病理所見は有力な確定診断のひとつとされている。しかしながら、マクロ的症状が治癒してもミクロ的病理が出現したり、病気の症状が軽症化しても重傷部位より強い炎症所見が見られたりする2という矛盾した計測結果により、病理では病気は診断不能という議論に至っているのが現状である。つまり、マクロ的症状である病気と、ミクロ的病理所見である病理の関係が曖昧であるがゆえに、炎症が本態である病気の診断には混乱や矛盾が生じているのである。計測、診断に矛盾があるなら、当然処置にも的確性に欠ける場合が出てくるので、適切な処置がおこなわれずに多くの人命が失われてきた可能性は非常に高い。

計測学的にみた従来の計測手段の問題点

通常、炎症の病理診断では、採取試料中の白血球数を測定する血球算定法という計測手法が使用されている3,4。血球算定法では、採取試料に空間的な偏りが生じると母集団からの部分的な無作為抽出が不可能となる。それゆえ、統計学的な計測論に基づく採取試料の混合希釈が前提とされている。白血球の計数の具体的な方法は、前処理として一定量の希釈液と採取試料(白血球を含んだ採取組織液や歯周ポケット浸出液(以下GCFとする)など)を混合して濃度を均一化し、試薬を用いて測定目的以外の血球を溶血させる。希釈にチュルク液を用いた場合、赤血球は溶血し、白血球の核だけ染色される。試料中の白血球数は血球計算板を用いて数えられ、その平均値からある単位あたりの細胞数として計算される。
血球算定法は、血管を流れる血液中に存在する血球の計測では問題ない。なぜなら、血液中における白血球の分布はほぼ均一であり、血液中は計測論的には定常状態とされているからである。しかし、炎症部位では血管から抗原により破壊された部位であるburst pointを通過して白血球が浸潤するので、その分布には偏りが生じている。この偏りは計測論の観点から見ると非定常状態(過渡状態)である。血球算定法という統計学的な計測手法は定常空間では有効であるが、過渡空間には適用できない。本態が炎症である病気をミクロ的病理所見で確定診断できない大きな原因は、過渡空間における白血球の分布の偏りを無視した統計学的な診断方法にあると考えられる。偏りを破壊することなく白血球の分布を計測すれば、生体内(in vivo)における炎症性細胞浸潤の真の姿を見ることができるであろう。
本研究では、炎症性疾患の中で歯周病(Periodontal disease)を対象として、生体標本を用いることで白血球の分布パターンを観察した。歯周病は歯周組織に発生する炎症性疾患の総称である。炎症が歯肉にのみ生じたものが歯肉炎、歯肉炎が進行して炎症性破壊が歯周組織の深部(歯根膜や歯槽骨)に及んだものが歯周炎である。病状が歯周炎にまで進行すると、歯と歯肉の接合部が破壊されて歯周ポケットが形成される。歯周ポケットは上部が開放されていることから、浸出液を容易に採取することが可能である。さらに、蓄積した浸出液は開放部から溢れ出るので(膿漏)、白血球が連続して浸潤しても膿瘍を形成せず、本来の免疫応答が確保されると考えられる。


Materials & Methods

初診時に歯周ポケットの深さが10mm以上の重症歯周病患者4人において、歯周ポケットの最深部から単円探針もしくは連円探針(図84 Fig. 1, Supplementary Notes 1)を用いてGCFを採取した。GCFを極力攪拌しないように慎重にスライドガラスに置き、水を一滴滴下し、カバーグラスで圧接した。その後すぐにLG
機能付き規格化位相差顕微鏡(Supplementary Notes 1)でサンプル像を観察した。規格化位相差顕微鏡の規格画像サイズは125 × 92 μmである。カバーグラス1枚あたりの試料面をGlobal Imageとする。Global Imageのサイズは14 × 14 mmである。Global Imageのサイズと像のサイズから計算すると、Global Image内の画像数は112 × 152 = 17,024枚である。GIに対してランダムスキャンを行ない、好中球の細胞群が含まれる画像をサンプリングした。供試したGlobal Imageは42枚である。その内容は、動画AVIファイルにて341枚、静止画bmpファイルにて1672枚である(以下ファイル数をFile (number of AVI File, number of bmp file)とする)。

サンプル像の観察結果

GCFのサンプル像内において、スピロヘータなどの運動性細菌は液層に均等分布した(図82 Fig. 2a, b)。歯垢や上皮細胞は集合を形成して散在した(図82 Fig. 2b, c)。白血球が確認されたのは、全Global Imagesの85.7%(42枚中36枚)、File (283, 965)である。画像中に存在する白血球の90%以上が好中球で、まれにマクロファージ(図64 Fig. 3a)やリンパ球(図64 Fig. 3b)が存在した。好中球の像の中には、好中球の顆粒の動きが見られるものと、核の変性や破裂、細胞膜の破裂などにより顆粒の動きが見られないものが存在した。顆粒の動きが見られる好中球をActive Leukocyte、顆粒の動きが見られない好中球をInactive Leukocyte (以下それぞれを ANL,INLとする)と定義した。
好中球の画像の中で、単体で ANLが遊離した像がFile (15, 25)あり(図82 Fig. 2d)、細胞群を形成し液層に偏在した像はFile (95, 101)あった(図82 Fig. 2e-h)。その細胞群には、抗原を取り囲んで密集する群の像がFile (27, 5) (図82 Fig. 2e)、抗原とは関係なく密集する群の像がFile (68, 96) (図82 Fig. 2f)あった。抗原とは関係なく密集する群は、好中球同士の付着により生じていた(図83 Fig. 4)。
抗原とは関係なく好中球が密集する群には、 ANLのみの細胞群(図82 Fig. 2f)、INLのみの細胞群(図82 Fig. 2g)、 ANLとINLが混在する細胞群(図82 Fig. 2h)があった。 ANLとINLが混在する群では、 ANLとINLは無秩序に散在するのではなく、INLの細胞群が ANLの細胞群の周りに接して連続的に存在していた。炎症の慢性時にはマクロファージやリンパ球、形質細胞などの他の白血球も出現してその細胞群に混在するので、 ANL、INLを中心とした白血球の集合をLeukocyte Group (以下LGとする)と定義した。

LGの特性の解明と、それを利用したLG観察法の提唱

歯周ポケットに浸潤後の好中球の寿命はLGの大きさによって変化し、小さなものでは分〜時間単位、大きなものでは半日〜2日である(Y. Nonomura, in preparation)。GCFのサンプリングからサンプル像の顕微鏡観察までにかかる時間は好中球の寿命よりも短いので、画像中に ANLがある時、現在炎症性細胞浸潤が生じていることを意味する。それに対し、画像中にINLがある時は、好中球の寿命よりも前の時間に炎症性細胞浸潤が生じたこと意味する。GCF内に存在するINLが表現する時間は、好中球の活動寿命より前から歯周ポケットからあふれ出るなどの消失するまでの過去の期間となる。画像中にINLのみが存在するときは炎症の休止期、 ANLとINLが混在する時は、過去から現在まで炎症性細胞浸潤が継続していることを意味する。 ANL、INLが共に画像中に存在しないときは治癒である。他の白血球(マクロファージやリンパ球、形質細胞など)は炎症の慢性期に出現してGCF内に散在するので5、これらの白血球が確認された場合は、画像中にINLがなくても炎症性細胞浸潤は過去から継続していることがわかる。画像中にINLのみが観察された時は、実際に歯周ポケット内に ANLが存在しないのか、 ANLがサンプリングできていないのかに注意しなくてはならない。この場合、ポケット内クリーニング(洗浄など)を実施し、ある期間(数日程度)経過後に再検査する。再検査でINLが観察されなければ、現在炎症はないことを意味する。再度INLが観察される時は、 ANLの検出を逃していることを意味する。
GCF内のラベリングした白血球を用いたin vitroな実験では、炎症が増加すれば炎症性細胞浸潤も増加することが明らかとなっている6 。また、GCF内においては、白血球由来の細胞(e.g., 炎症性細胞、免疫系細胞)が炎症や免疫に比例して含まれていることが知られている7-11
ここで、参考文献6は、一様増加に病態を制御されているので、時空間誤差の影響が増加程度に影響するのみで、その傾向に影響がない結果となっている。 これらの結果より、 ANLの個数は現在の炎症性細胞浸潤の程度を、INLの個数は過去のある期間の炎症性細胞浸潤の程度を表していると考えられる。歯周炎では、主に歯周ポケットの底部に存在するburst pointから炎症性細胞浸潤が生じており、下方から浸潤した浸出液は上部の開放部からあふれ出る。この空間においては、現在の炎症量を表す ANLの個数とある一定期間の過去の炎症量を表すINLの個数の相対値から将来の炎症の程度を推測することが可能である。具体的には、 ANLの個数からINLの個数を引いた値が正であれば悪化傾向であり、負であれば治癒方向、0であれば小康状態である。この時、数値の大きさは炎症の悪化や治癒の程度を表す。
生体内の炎症部位における好中球の偏在は、GCFのサンプル像内におけるLGの偏在によって説明できる。白血球は抗原に対して走化するので、LGはburst pointを中心として局在すると考えられる。このことより、LG内に ANLの細胞群とそれを取り囲むINLの細胞群が存在する画像は(図82 Fig. 2h)、burst pointから浸潤した ANLが過去に浸潤したINLを外へと押し出すことにより形成された層構造を表していることが推測される。LG内に ANLとINLの層構造が見られた場合、同一のburst pointにおいて炎症が継続している可能性が高い。この時、将来の炎症の程度をより正確に推測できるようになる。さらに、 ANLとINLの位置関係や ANLの細胞群の重心からburst pointの位置を推定できる可能性がある(Y. Nonomura, in preparation)。
本論で発見されたLGは、炎症性細胞浸潤の生じた時間やその経過、程度を表現している。この特性を利用してLGを非破壊的に観察する方法をLG観察法と命名し、炎症の確定的な病理診断として提唱する。(Supplementary Notes 2)本論ではGlobal Imageをランダムスキャンしているので、LGの見落としを否定することができない。LG観察法を用いた診断では ANLの存在の有無が最も重要なデータであるので、LGの見落としは誤診の原因となる。臨床における診断では、時間の制約がない限りGlobal Imageの全スキャンをおこなうことを推奨する。

LG観察法の有用性

LG観察法は生体標本を非破壊的に観察する方法なので、炎症部位で生じている現象を解明することが可能である。LG観察法とは対照的に、従来の炎症の計測方法では、白血球サンプルには均質な溶液にするための処理が加えられるために、溶液中の細胞は全て死滅し、LGは解体された状態になっている。従来の計測法により引き起こされる炎症の誤診をまとめると以下の通りである。(1) 炎症の症状の誤診:白血球の活性を区別しないために、炎症が現在生じているかどうかを正確に診断できない。(2) 炎症の程度の誤診:過去から現在までの間に浸潤した白血球の数を積分するので、炎症の程度が過大評価となる場合がある。(3) 炎症の推移の誤診:現在の炎症の症状が正確に診断できず、計測値は過去から現在までの積分となるため(1, 2)、炎症の推移(休止傾向か、悪化傾向か)が予測できない。(4) 炎症の処置後の誤診:現在の炎症の症状と程度を診断できないので(1, 2)、治療の効果を正しく診断できない。(5) 炎症の部位の誤診:現在炎症を起こしている患部の位置が推定できないので、治療が患部から外れた位置に施されている場合がある。
臨床症状が治癒しても病理が出現したり、病気の症状が軽症化しても重傷部位よりも強い炎症所見が見られたりするという現象2は、それぞれ誤診1と2に当てはまる。現在炎症が収束していても過去に炎症性細胞浸潤が生じていれば白血球が検出されるので、炎症と誤診される。また、現在症状が軽症化しても過去に炎症性細胞浸潤が大量に発生していれば大量の白血球が検出されるので、重度の炎症と誤診される。従来の計測方法で生じた矛盾は、現在と過去の炎症が積分されていたために生じた非常に単純な誤診である。現在の医学では、以上に挙げた誤診により、適切な治療が施されていない可能性がある。本論で提唱したLG観察法は ANLとINLを識別して計測するので、1から4の誤診を解消することができる。さらにLGがburst pointに偏在する可能性から、5の誤診を解消できる可能性が高い。
従来、ミクロ的病理所見である炎症性細胞浸潤とマクロ的臨床症状の関係には混乱と矛盾が生じていたが、LG観察法を用いることによりそれらを分離して理解することができる。炎症を病理によって解明できるので、炎症の診断や治療に矛盾が生じない。病気は主にマクロ的症状によって分類、診断され、病理やその所見は最終診断という役割を果たしてきたが、病気のマクロ的症状はミクロ的病理所見によって高精度に計測することができることをLG観察法は示唆している。
従来の病理診断ではサンプル採取後に処理を施し、標本を作製して観察するため、サンプルの採取から診断までに数日単位の時間がかかる。LG観察法では採取したサンプルに何ら処理を加えずに観察するので、即座に診断が可能である。さらに、1回の診断で現在の炎症の有無や程度、将来の炎症のリスクを診断できるので、診断と同時に治療が可能である。
炎症が本態である病気の炎症性細胞による確定診断は、誤診の可能性を低下させ、処置精度を大きく向上させるであろう。開放系空間である歯周ポケットでのLG観察法の試行は容易であるので、歯周病の診断や治療にすぐに応用できる(Nonomura, 執筆中)。LGにより炎症部位の特定が可能であることが実証されれば、ある種の腫瘍のような炎症を従属する病気の本態やその部位を特定できる可能性がある。閉鎖系空間である体内でのLG観察法の適用は技術的に障壁が大きいが、研究や技術の進歩により突破できるであろう。LG観察法を用いた病理による病気の検査と診断は、病理を理解する手助けとなるばかりでなく、的確で迅速な治療を可能にする技術であり、人類の健康と生命に大きく寄与するものと考えられる。


[変形例1]
Supplementary Notes
S1−Material
単円探針
連円探針
LG機能付き規格化位相差顕微鏡
LG機能、Index Tracer付きコンピュータシステム

S2−LG機能付き規格化位相差顕微鏡とLG機能、Index Tracer付きコンピュータシステムの使用方法
まず最初に観察されたLGの指標番号を記憶する。一例として33などである。順次スキャンを行い、先のLGより大きなLGを観察した時、その指標番号を記憶する。一例として50などである。さらにスキャンを行い先のLGより大きなLGがない場合、ひとつ前のLGにもどる。戻る方法は、記憶してあった指標番号に戻すのである。そして順次指標をガイドにしながら、最大LGの全画像をキャプチャするなどである。

Supplementary Data
JDS URL LG機能搭載機器シリーズHome Page

Acknowledgment

I thank Haruna Ishikawa, Nagoya University, for assistance of writing this paper and helpful discussion for this study. データを整理してくれた奥田朋美、ののむら歯科クリニックスタッフ、に感謝します。データを採集してくれたののむら歯科クリニックのスタッフに感謝します。

[変形例2]
Figure legends

図84 Fig. 1連円探針(上)と単円探針(下)

図82 Fig. 2 歯周ポケット浸潤液(GCF)の位相差顕微鏡画像. (a) 液層に均一分布する運動性細菌, (b) 運動性細菌と偏在する歯垢や上皮細胞, (c) 島のように偏在する歯垢, (d) 単体で遊離するNL, (e) 抗原を取り囲んで密集し、偏在するNLの細胞群, (f) 抗原とは無関係に密集し、偏在するNL, (g) OLのみの群, (h) NLとOLが混在する群.

図64 Fig. 3 マクロファージ(a)とリンパ球(b)の顕微鏡画像

図83 Fig. 4 好中球の付着部位を撮影した画像. サンプル採取後に付着した好中球が離れることがあり、それを時間経過を追って撮影した. (a) 好中球が接している部分に細い付着部位が観察される(矢印). (b) aを撮影してから15分後. 好中球は離れつつあるが、付着部位はまだつながっている(矢印). (c) aを撮影してから105分後. 付着部位が離れ、偽足のように伸びている(矢印). (d) aを撮影してから260分後. 偽足状の突起が細胞質に吸収されて丸い好中球になった.


[総合変形例]
Supplementary Notes

S1−Infection Field (= Diffusion Field + Spread Field+ Carrier Field)
感染場、感染圏
(Diffusion Field + Spread Field+ Carrier Field )= K・Infection Source (K:任意の定数)
Infection Source = RcField ― RsField、RcF:Receptor Field、RsField:Resist Field
( Local ) Infection Sourceを備え、その周囲にInfection Sourceを含む感染勢力圏をなす場である。 Diffusion Field と Spread FieldとCarrier Fieldを備える。( Infectious )
S2−Diffusion Field 濃度勾配による一次拡散圏、拡散場
Infection Sourceからの濃度勾配による一次拡散圏。 近距離拡散圏
S3−Gradient Concentration ( / Infection Distance ) 濃度勾配
隣在歯の濃度と(隣在歯間)距離 (Infection Distance)による濃度勾配
Infection Distance(I.D.)は、厳密にはInfection Sourceから被感染物質までの距離。
S4−Spread Field 濃度勾配によらない2次拡散圏、拡散場
Infection Sourceからの濃度勾配によらない2次拡散圏。 遠隔転移による遠距離拡散圏。
S5−Carrier Field 担体による感染場、感染圏
S.F.やD.F.を含んだり、それらをSourceとしたりする。
一例として食品による媒体付きtransporting (with medium) Carrier感染、歯ブラシなど清掃器具による媒体付きtransporting (with medium) Carrier感染などの媒体にたよる感染域、感染場。
S6−( Local ) Infection Source 感染源(局所感染源)
あえてReservoirとしなかったのは、Reservoirという概念は、colonization部位、adhesion部位、infection Source、infection fieldなど微生物が存在している場所全てを示し、種々な概念を混在したあいまいな用語としてとらえ今回は、使用しなかった。
S7−Global Infection Sourceは、 種の誕生する源を含む人以外での自然界での増殖場
Localは、数多く見つけることができ身近であるので省略する場合は、Localの方を優先的に省略するとした。
S8−生体内を内部拡散、生体外からの生体内拡散を外部拡散とした。ここでは、口腔内を生体内としてとらえた。図16 Table7が外部拡散を示し、図17 Table8と図18 Table9の差が内部拡散を示唆している。
S9−Infection Chain ( Chain of infection ) 感染の輪 感染連鎖
S10−Fixed Local Infection field と Movable Local Infection field
1 Fixed Local Infection field
固定されたLocal Infection field 一例 う蝕歯牙など固定された場所に定着した場
固定または可動は、生体の感染指標器官に対して
2 Movable Local Infection field
動的なLocal Infection field 一例 食物など可動する場所に定着、付着した場で、C.F.など
S11−Material Method 1
MS PerioScope
S12−Material Method 2
使用培地
1 BD社製CHROMO AGAR に歯種培地シールを貼付したもの。
2 WVG培地 日研 に 歯種培地シールを採用したもの。
S13−Material Method 4
使用綿棒 社製綿棒 EOG滅菌綿棒
S14−付着レベルadhesive levelと思われる図19 Table11
健全歯でCA陽性歯のコロニー濃度 2.1(処置健全歯)、1.3(真健全歯)、程度である。
付着と定着に分かれると考えられる現象 クリーニングにて除去できる健全歯のコロニー濃度を基準とした。
S15− 定着レベルfixed colonization levelと思われる図16,17,18 Table7, 8, 9, - 図19 Table11
図16,17,18 Table7, 8, 9から、図19 Table11の付着レベルを差し引いた分がfixed colonizationを示唆していると考えられる。
S16− 爆発colonization level outbreak (of colonization)と思われる図16 Table7などの100以上値
100以上値は、爆発的なcolonization levelと思われる。
S17− S14.S15.S16.は、CAの付着、定着、爆発を予測するに値するDataと思われる。
S18− 1は、減衰拡散をする。 2は、γ値の算出が必要、3,4は、増幅拡散をする。
S19− Diffusion FieldとSpread Fieldの範囲、性質
LBとの比較におけるCAのDiffusion FieldとSpread Field
A:LBでは、歯種培地における全歯牙(背景)にランダム様にコロニーが存在する。
これは、歯牙に付着した唾液中のLB濃度、周囲に存在する唾液中のLB濃度、(辺縁部)歯周組織のLB濃度、空気中のLB濃度のいづれかに起因する。さらにう蝕歯に高濃度で検出され、かつ高濃度検出歯の隣在歯への濃度拡散による影響が見られない。(図37,38 Supplementary Figure4,5)
これらのことは、
LBのInfection Fieldは、Spread Fieldが非常に広く、Diffusion Fieldが非常に狭い事を示している。Spread Field濃度から考察すると、ほとんど象牙質に限局あるいは吸着していると解釈するのが自然である。このことはまた、LBはCarrier(担体)が無くとも拡散可能である事を意味している。さらにランダムに全域に分布する場合は、LBは、口腔内に常在しているといえる。これは、常在菌の必要条件のひとつの根拠である。
B:CAでは、歯種培地における全歯牙(背景)にコロニーが存在しない。
CAでは、Spread Fieldが歯種培地上の感度においては見られない。(単体では極低濃度と思われる。)
CAのDiffusion Fieldは、図40,41,42 Supplementary Table13, 14, 15より3,4歯程度以内でしかも指数関数的に濃度が減少していると推測されるので実質1本程度と考えられる。しかしResist Fieldの存在により近距離拡散も防止されていると見るのが自然と思われる。(図21 Table14;図28 Supplementary Table S18;図42 Supplementary Figure11-13など)
そしてSupplementary TableS18における陰性う蝕歯は、隣在歯など同一口腔内にCAが存在しているのにかかわらずう蝕歯に感染転移していない例である。
このことからさらにCAの十分な感染には、Carrier(担体)特に付着性の担体が必要である事が予測される。
S20− 抵抗場 Resist Fieldの存在 と Receptor Field{Rc.F.}であるう蝕歯
う蝕がCAの主たるcolonizationの場(Receptor Field{Rc.F.})である事は疑いようがないが、しかし、I.F.にさらされても付着、定着しないう蝕歯が存在する事も事実である。とくにCA―のう蝕歯は、CA+の歯牙から毎日歯ブラシでCAを擦り付けられていたり、食事をしてCFの被爆を受けているが、感染していないのである。(49人中46人で93.9%、う蝕歯牙数においては41.6%が陰性である。){Table4, Supplementary Table S18})
これらは、なんらかのResist Field {Rs.F.}の存在を強く示唆しているのである。もちろん健全歯にも初期付着が認められるが、前記遭遇を受けても付着せずに全くコロニーを形成していない症例が多々存在する。これもまたResist Fieldの存在を強く示唆している。(図28 Supplementary Table S18;図35 Supplementary Fig2)これに強く関係のある菌としてLBがあげられる。(図37,38 Supplementary Figure4,5)
S21− 初診時陰性から定期健診で陽性になった歯牙群からは、初期感染と定着の進行がうかがいしれる図18 Table 10。
感染経路の特定に有用な情報を提供する。
陰性から陽性になった時間因子を確認する必要がある。
修復途中で感染した例も確認する必要がある。どの程度の感染防止や検査をすべきかなども検討項目である。
S22− う蝕段階とコロニー濃度
単独う蝕歯の各コロニー濃度図17 Table8 図40Supplementary Fig8の平均濃度は、
C2 <C3pul<<C3perと増加傾向となっている。
6.18 <6.8 < 22.38
このことから、う蝕の進行とともにゆっくり増殖してゆき、perになるとやや増殖スピードが増す。そして末期のPerになると爆発的に増殖する。この増殖変異は、すなわち増殖スピードの変曲が2つあり、速度上昇の原因として最初の緩い増加は、歯髄喪失による免疫力の低下、そして爆発増殖は歯牙における宿主からの免疫の消失である可能性をこれらの現象が示唆していると思われる。 そしてこれらの事実から、CAは少なくともfinal phaseの感染菌であることは確かであろう。 また続報にて増幅係数γの検討がなされるべき項目である。
これらのことは、他の臓器とも共通する特徴として歯牙において研究を進めるべき性質のひとつと言える。
S23− 空間分析からみえてくる感染経路の性質
初めて感染した歯牙群郡の空間的分析(CAP;Partial CA検査)より、感染経路や感染の媒体を推測される。 次報で述べる。
1飛沫感染型 食品型、土、水、唾液、飛沫(唾液と飛沫は内部でCAがクラスター化)、コロニー化した巨大クラスターのバイオフィルムなどの担体、媒体が必要と考えられる。
2咽頭鼻腔型 膿汁、コロニー化したバイオフィルムなどの担体が必要と考えられる。
3食道、気道型 膿汁、コロニー化したバイオフィルムなどの担体が主体と思われる。
4空気感染型(pattern) これは本結果からは認められない。

S24−う蝕歯がCAの定着場所である根拠
1 う蝕治療による除菌率がほぼ100%であること、図16 Table6
2 健全歯、処置健全歯などの付着が、クリーニングにより除去できること
3 う蝕治療が抜歯となる可能性が極めて高い症例などにて患者が治療を望まない症例や患者の都合によりう蝕が放置されているう蝕歯などから持続的に観察されている。(図35 Supplementary Fig2)
4 少数歯検出症例は、きれいにう蝕歯のみからCAの検出がされること、またその部位のう蝕除去によりカンジダが陰性となった症例の存在。(図8 Fig5)
5 う蝕病態の進行すなわちC2,C3Pul,C3per,において、CA濃度が増加してゆく。(図17 Table8 図29 Supplementary table S19)
6 特にC3perには、高濃度コロニーOutbreakがみられる。(図16 Table 7;図27 Supplementary table S17 図42 Supplementary Fig10 )
7 う蝕治療前における全歯牙CA検査(口腔単位)でのCA検査において陰性患者の方が陽性患者より有意に少ない。図14 Table1
8 舌と歯のCA調査において、歯牙から圧倒的に検出され、舌から検出されても容易に除菌できる。
9 Lactobacillusの空間分析においては、全ての歯牙に対してバックグラウンドにコロニーが散在する場合が多い。これは、前述のS.F.が大きいという結果が反映されていると思われるが、この現象は、CAには見られない。(図37,38 Supplementary Fig4,5)
などなどCAの定着場所がう蝕である根拠が多数、存在している。これらは、歯種培地による空間分析などにより、初めてその姿を現したものであり、ともすれば常在菌として、その本当の姿を隠してしまう事が理解できると思う。
S25−治療方法
図43 Supplementary Fig16 におけるフローチャートに従い治療を行う。
図43 Supplementary Fig16 の3Mix + αのαは、抗真菌剤(ファンギゾン、ジフルカン、フロリードゲルなど)である。
S26−推測されるInfection Chain
推測されるCAのinfection chainは、う蝕の口腔内Local Infection fieldから膣に感染し、そして膣から眼に感染し、その後眼部混濁(飛蚊現象などを起こす。)、中枢神経感染などが推測されるのである。

S27−以上の結果う蝕治療によりCAを陰性化し、さらに定期検査そしてクリーニングを実施すれば、大きなinfection fieldのメンバーのひとつを無に帰すことができ、これによりinfection chainが断ち切れる事が示唆される。
S28−将来的に、
Infection Field (= Diffusion Field + Spread Field+ Carrier Field)、そしてその連鎖であるInfection Chainのさらなる高精度化、Receptor FieldのReceptorの解明、Resist Fieldの高精度な究明とそこからの抗真菌剤の開発などを含めたう蝕病巣への適用の可否、そして生体内CAフリーの確立。
(ここで、Resist FieldとしてLBをう蝕病巣へ投与する事は、う蝕病巣の拡大を意味し不可能である。)
Supplementary Notes
第4実施例、第5実施例、第7実施例の
S1−時系列誤差の解消
A −−−−−− 時系列誤差の解消 理論編−−−−−−−−−−−−−
つまり、f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどで、この段階においては、厳密にはt-Δtからtの時区間において、というべきであろう。)( スカラー量の場合は、任意の時区間tn-1からtnにおける積分値などをf(tn)のパラメータとする。)またここでは、実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。解法は大まかに本論文にて開示し、詳細は第2報以降にて開示する。)、そして誤差成分をε(t)とする。(ε(t)のtも前記同様に時区間の場合もある。)( ここで、f(t)は溶質を、そしてε(t)は、溶媒を指している場合が多い。)
と、2つの時刻t1、t2(t1<t2)、誤差成分ε(t)において
f(t1)+ε(t1) と f(t2)+ε(t2)
であり、ここで炎症や免疫の変動成分(または速度、酷さ)であるf(t2)−f(t1)を求めるために、その誤差成分ε(t)をキャンセルする事が必要であり、その一つの答えが同一時刻に計測すればよいことがわかる。しかし同一時刻では、f(tn)−f(tn)=0となってしまう。
これを解決するには、
f(t2)−f(t1)と同じかまたは、それ以上の情報を有する関係を見つければ良いのである。
ここで、少なくとも知りたい物理量においてf(t1)およびf(t2)と同じ物理量を有するであろうf(t−τ2)およびf(t−τ1)を考える。 そしてf(t2)とf(t−τ1)との違いは、ここでは、ベクトル場における空間的な位置の違いがあるのみで、その大きさ、数、量といったすなわちスカラーに違いがない物理量である事である。それゆえ両者の存在する場所を特定し、両者の大きさ(スカラー)の違いを計算すれば良い事になる。もちろんベクトル情報を計測対象としてもよい。またこれは、時間に対しての区分、すなわち時間依存性集合体(時系列連続体、時系列ストリーム)が必要であることを意味している。これは従来の計測が時定数(積分)エラーを生じている事をも意味している。さらに前記空間誤差も生じていない事が判る。
すなわち、これは(相対)速度が存在する物質間でのスカラー、すなわち数、質量、色などの差や比率の計測であり、この複数の群は、ベクトル場を形成しているのである。これが前記の計測と後記の計測の違いとなる。 前記の従来計測は、繰り返しにおける同じ位置(同じ位置で計測できる保証は無い。)でのスカラー変換量の差や比率などである。後者の本計測は、ベクトル場での空間的位置検索の後のスカラー量の差や比率などである。(もちろんベクトル情報も計測対象としてもよい。)
別の言い方をすれば、前記の計測は、同じ位置での時間を隔てての計測であるが、後記の計測は、同じ時間での違う位置での計測となる場合が多い。前記は、スカラー場でも良く、また実際にはスカラー場の場合が多い。
さらに具体的には、これを観測位置(x、y、z)や(Xθ、Yθ、Zθ)など、またはその組み合わせの座標系にて表現し、群(複数の固体)を検索し、そのスカラーの差や比率を求めれば良いのである。
具体的には、白血球の劣化時定数を使用し以下の関係を導き前述のごとく同一時間での観察におて2つの時間での計測と同等の計測を実現した。
すなわち、ある時間tに計測する事を考える。 まず使用する時系列を提示する。
時系列αと時系列β
ここでt2 = τ2、t1 = τ1である何らかのタイムスケールτ2とτ1を定義する。
すると観測時系列t2−t1に対してt2−t1 = τ2−τ1という時間関係が成立する。
ここで、この時間関係であるt2−t1 = τ2−τ1とすると
t2 + τ1 = t1 +τ2 という関係が成立し、
t2 + τ1 = t1 +τ2=t となる時間tを設定する。
ここから
t=t1 + τ2 ( t1 = t - τ2 )
t=t2 + τ1 ( t2 = t - τ1 )
という時間関係が得られ、
t1 = t −τ2 と t2 = t − τ1 の時系列α となる。
ここで、t2 − t1の相対的時間関係は、( t − τ1 )−( t − τ2 )で、
tには無関係なτ2 −τ1となる。
一方
t1 - τ1 = t2 - τ2 という関係も成立し、
t1 - τ1 = t2 - τ2 =t という時間tを設定する。 この式においてt=0である。
t=t1 - τ1 ( t1 = t + τ1 )
t=t2 - τ2 ( t2 = t + τ2 )
という時間関係が得られ、
t1 = t + τ1 と t2 = t + τ2 の時系列βとを導き出せる。
ここでも、t2 − t1の相対的時間関係は、( t +τ2 )−( t +τ1 )で、
tには無関係なτ2 −τ1となる。
そして、
時系列αと時系列βにおける2つの時系列は、数学的には等価であるが、生物学的には相違がある。すなわち、前記の時系列αは、観測時刻tが現在なら、過去のできごとを表現しており、βは、未来の出来事を表現しているからである。よって本研究においては、αの時系列を使用する。さらに時系列αは、マクロモデル2(||)の旧好中球数式との整合も良い。
そして時系列αにおいて、
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
となるタイムスケールτ2とτ1を計測できれば良いことになる。
これは、同じ時刻に違う時間での物理量を計測するのに等価であることがわかる。
そして、τ1とτ2という時間の変化すなわちタイムスケールがその物体に刻まれていれば良いことになる。この刻まれたタイムスケールを観測し、それをτ1とτ2に代入すればよいことになる。
f(t−τ1) + ε(t) − ( f(t−τ2) + ε(t) ) =
f(t−τ1) − f(t−τ2)=
f(t2)−f(t1)
ここで、2回の計測が1回にて終了するのと、溶媒などに起因する誤差ε(t)の影響を受けない事がわかる。すなわち前記計測誤差1、2をキャンセルする。
ちなみに時系列βでは、
f(t + τ2 ) + ε(t) − ( f(t + τ1 ) + ε(t) ) =
f(t2)−f(t1)
ここでt=0の時、時間が無い空間、時間に制約されない空間では、
f(τ2 ) − f( τ1 )=
f(t2)−f(t1)
となる。
これは、時系列βにおけるt=0の時、または、tをフリーズした、消去したともいえる。α時系列への同期には、前述の変換式を挿入し使用する。

そして前述の時系列αにおける
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
について、ここで実際の現象に当てはめてみると
歯周炎への応用(歯周ポケット内での炎症、免疫応答の計測への応用)
歯周炎の程度、速度、開始、治癒、活動期、休止期などを好中球の数で定量する事を課題として取り上げる。そして歯周炎のバーストポイント直下における好中球の数を前記のf(0)とし、そしてこのf(t)を、あるBurstPointからの時間tにおける好中球の数を数える関数として定義する。(パラメータは、後述する。)(図44 Fig1)(f(1)は、BP直上)
そしてτを好中球の劣化時定数として計測しておく。ここではτ1=0すなわちポケット内へ浸潤したての新好中球の劣化時定数、τ2が好中球の寿命の劣化時定数となど設定する。さらに細かに時定数を設定したり、他のタイムスケールを利用してもよい。
そしてBPから浸潤、分泌したての好中球を観測する。その最も新しい好中球数がf(t−τ1)となる。一方劣化した好中球を検索し、その数f(t−τ2)を計測する。この数の差が炎症の推移、速度、酷さといった量となる、またこの値が+なら炎症が上り調子であり、−なら下り調子といえる。さらに0なら持続的感染となる。そしてこれら新好中球を有している集団は、活動期を示唆している。ここでは、NewLeukocyte1個とOldLeukocyte0個を含む新好中球1つ以上の白血球集団をLeukocyto groupとして定義した。ここで炎症の程度でn数を増加させたLGx番号を付与して使用すると便利である。(x≧1正の整数)すなわち現在最も炎症のひどい状態を表現するLGxは、LG1となる。(図49 Supplementary Fig1)
ここで本方法は、n回分の計測を一回で終了させている事に気がつく、これは、前記のごとく計測誤差1のキャンセルが可能という事である。言い換えるとフリーズした時での計測と言え、速度におけるΔtが実空間での観測系と数式上の理論とが完全に実現された事になる。さらに時系列連続体、時系列ストリームは、母集団として捉えることが可能といる事も示唆している。これらは、解析学的、数学的および統計学的に完全なモデルを指ししめしていると考えられる。
そしてLG法では、溶媒の影響を受けないので前記計測誤差2をキャンセルする。
さらに溶媒の影響を受ける従来の計測法よりGainが非常に大きい事がわかる。
さらにまた本方法は、前記2回以上の計測問題における計測位置(サンプリング位置)における各計測毎の計測位置のズレを完全に消し去ることをも意味している。前記計測誤差3のキャンセルである。
そして重要な点は、LGの性質に属する好中球などのある時間(劣化時間τなど)における被計測物の量は、tnなど個々の時系列に対応する絶対値として採用できるという事である。さらにこの値f(τn)などは、f(tn)単体の絶対的な値の提供だけでなく、前記誤差に影響されない値を提供してくれるのである。すなわち一例として、LGにおける新好中球数(存在)は、現在の炎症(量)、免疫応答(量)を精度よく示しているのである。なぜならf(tn)は、個々に独立した計測行為で誤差ε(t)などが付随し誤差分離が非常に困難または不可能な計測を意味するが、f(τn)の場合は、母集団に相当する時系列連続体、時系列ストリームの1要素として計測できるからそれら誤差の影響を殆ど受けないのである。ただ注意しないといけないのは、ベクトル場をなるべく保存した状態でのサンプリングを心がけなければならないと言うことである。(図44 Fig1)(Supplementary NoteS1,S2&S3、図48 Supplementary Table S2 and 図49,50,53 Supplementary Fig1,Fig2&Fig3 )
さらに新旧好中球数が0なら治癒であるし、またOld Leukocyteのみの観察では、休止期を示唆している。ここで、Old LeukocyteのみをLeukocyto group0としてもよい。
つまりベクトル場での観測では、τ1とτ2の時間の差分だけ、相対速度が0でないので、迷走してまた元の位置に戻る場もあるだろうが観測位置がずれるのである。
そしてこの前記Leukocytoの分布群の各群をLeukocyto groupと定義する。すなわち、浸潤、分泌された最も新しい好中球を顕微鏡下で検索する。そしてこれを中心(核)として座標系を与え、その周囲に分布する劣化した旧好中球を観察、計測することにより上記定量化計測が達成されるのである。これは、BurstPointの証拠でもある。ここで、程度の大きなLeukocyto groupは、核にクラスター化した白血球(主に好中球)を観察する。
話を元にもどし今、好中球に着目してみると、(ここではスカラーを取り出し説明する。)
ポケット内に浸潤した好中球は、時間とともに劣化してゆきついには、残骸化してゆく。
この劣化時定数τnによる好中球の時間スケールは、前述の
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
の一例となるのである。
さらに具体的には、
f(t)は、ある時間に浸潤、分泌したての好中球数。(Burst Point)
さらに具体的にはf(t)のパラメータは(τグループの時系列G1を使用して)(図47 Supplementary TableS1)
f(t)=∫v dt 区間は、tn-1 から tn または、 f(t)=g( t )−g( t−Δt ) などである。
τnは、τn時間だけ劣化した好中球の劣化時定数を採用する。 ( n=1,2,3,...m mは、正の整数。)
t1は、t1時間にバーストポイントから浸潤、分泌したての好中球に対応。
t2は、t2時間にバーストポイントから浸潤、分泌したて好中球に対応。
f( t−τ1)は、ポケット内に浸潤し、τ1時間劣化した好中球(数)に対応。NewLeukocyte
f( t−τ2)は、ポケット内に浸潤し、τ2時間劣化した好中球(数)に対応。OldLeukocyte
そしてスカラー演算において、
f(t−τ1) + ε(t) − f(t−τ2) + ε(t) =
f(t−τ1) − f(t−τ2)=
f(t2)−f(t1)
となりt2 − t1時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。そして誤差項ε(t)にも影響されないことがわかる。これは、従来法では未解決の濃度誤差の解消を含んでいる。(Supplementary NoteS1)
いっぽう、ベクトル場での空間的な数と位置とを予測してみると
f(t−τ1)は、ある時刻tにおける劣化度合いτ1の好中球数(τ1群,τ1group)である。そして
f(t−τ2)は、ある時刻tにおける劣化度合いτ2の好中球数(τ2群,τ2group)である。(図44 Fig1 and 図53 Supplementary Fig3 )
そして各々(の群)の位置は、好中球の浸潤速度において計算予測するか、または、浸潤個数速さまたは浸潤体積速さと拘束条件であるポケット形態にて計算予測される位置だけ程度離れている。 (図44 Fig1, Supplementary NoteS3 and 図50,53 Supplementary Fig2, Fig3 )τgroup、拘束条件へ
この2つ以上のグループの好中球の数(スカラー)の差が、t2 − t1 時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。 さらに重要な事は、このようなτ時系列ストリーム、時系列連続体からなる性質の群における個々の要素f(τn)、τnなどは、その絶対値f(τn)にも有用な意味を持つと言うことである。すなわち母集団が明確な集団の1個とみなせるので、LGのLeukocyte数f(τn)などは、炎症の程度を精度良く表現できる絶対値をなすのである。
さらにこの結果は、顕微鏡を使用した観察手段を採用した場合、溶媒が0であるので試料の厚みの影響を受けないことがわかる。 すなわち毎回の顕微鏡検査において試料厚みを計測しなくても定量計測が可能という事をも示している。など数多くの利点を有している事が理解できる。
劣化時定数について
前述のごとく、この計測のシステムにおいては、必ず劣化時定数もしくはタイムスケールを計測する必要がある事が理解できる。このタイムスケールτは、
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
などやそれらの代謝、反応、劣化などから計測、算出できるであろう事が予測されるが、
ここでは、前述1の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数をτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数をτ2とした。さらに細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールにてτ3を挿入して、さらに精度を上げても良い。 一例として、計測例を開示すると、(α時系列) Material&Method(Supplementary Note S4 and Supplementary Data )
B−−−−−− 群の性質を有する画像の提示、すなわち群の発見、証明 −−−−
−−−−−−−−−−−誤差の解消 理論編−−−−−−−−−−−−−−−
図45 Fig2において、上記群の性質を有する好中球を例とした好中球群LekocyteGroupを提示する。
すなわち図45 Fig2において、f(t-τ1)は、NewLeukocyte数、f(t-τ2)は、OldLeukocyte数で、
現在の炎症量 過去の炎症量 炎症の推移、速度、酷さ
f(τ2) f(τ1)
f(t-τ1) f(t-τ2) f(t2)−f(t1) = f(t-τ1) - f(t-τ2)
LG1 1 0 1 個
LG2左 1 6 −5 個
LG2右 3 3 0 個
LG3 5 20 −15 個
LG4 62 4 58 個
となり、時刻t2における炎症の量をf(τ2)によりミクロ診断として定量計測でき、 t2とt1時間での差と等価なスカラー量であるf(τ2) − f(τ1)、すなわち炎症の推移、速度、リスクをミクロ診断として定量計測できる。この量だけでも歯周病という、その病態の多くがロングスパンの病気に対しての診断精度レベルには、到達していると思われる。もちろんさらに精度を上げて行く事は、炎症や免疫の実験場としての活用頻度を拡大するのに大きく寄与するのは言うまでもない。またLGを4段階に分析分類したが、この分析分類とそして個々の画像の分析の2つの分析は、さらなる展開があり次報以降で是非紹介したい。話を元に戻すと、LG2の左の画像では、劣化時定数を3段階にて評価できる。即ちOld1 1個 Old2 2個 Old3 3個となり劣化時定数大の好中球ほど数が多い。さらに旧好中球の数が新好中球の数より非常に多いLG3においては、旧好中球をさらにもう一つ以上時分割しないといけないのがわかるなど、精度を上げるのには前述のごとく大きな理論的価値があるが、臨床上の歯周病診断において、図46 Fig3のLeukocyte Chartとして移行分類し十分に診断できる精度は有していると考えられ、さしあたりこのChartにて歯周病の発症、治癒、休止期、活動期を確定診断できる。そして、これらのChartの各段階での対応症例が 図45 Fig2である。そして第3,第4実施例で明らかになってゆくLO(連続特体性、ストリーム特性はないが、時系列特性を有する新白血球)や/とLN(連続体特性、ストリーム特性はないが、時系列特性を有する旧白血球)によりさらに診断精度が上昇してゆく。(図51 Supplementary Fig4)
そしてさらに将来的にはτの精度化または、別のタイムスケールの発見により、より精度が上昇するとともに、歯周ポケットという無侵襲での免疫、炎症実験場が与えられた事に意義があると考えられる。 すなわちこの様に新好中球を基準核としたLeukocyto group内において、各劣化時定数τにより分類された好中球の分布から前記定量が行える。(ここで位相差顕微鏡は、SI記載の規格化顕微鏡を使用する事を強く推薦する。なぜなら全世界的に共通の値で論じたいからであり、何年もの臨床の積み重ねにおいて、Sビデオという広く世界に広まっているアナログ伝送系における最良の視野分解能比を確保していると考えるからである。)
また計測された最も密度の大きなLeukocyto group内のNew Leukocyte中心核をLocalなBPとして、これを基準として得られた座標系におけるLeukocyto group内分布において好中球の変動を読みとる。(この最も密度の大きなLeukocyto groupを代表値として取り扱うこの操作は、毎回の計測における測定位置のズレや、測定物の攪乱などのベクトル場のサンプリング時における場の乱れ、等に対しての誤差をキャンセルする効果がある。)
そしてこの計測は、最低2個の好中球があれば可能である。数多く存在すれば、同一時刻に、さらに多くの時間軸での変動を予測できるわけである。そして好中球に相関のある酵素、炎症程度、組織破壊などの量は、同様に予測したり、算出することができることを表現している。 すなわちタイムスケールを計測できる物質または、タイムスケールを有する物質であれば、どのような物質でもよい。さらにタイムスケールを有する物質、細胞に起因する物質も応用が可能である。ただ細胞レベルよりさらに小さな分子レベルの計測は、ベクトル場保存サンプリングの困難性や、易拡散性により困難となる可能性は高いが同様な計測指針が必要であることは確かである。これは見方を換えると、タイムスケールを計測しないか、またはできない物質(計測時定数より遅すぎる物質を含む。)の計測は、大きな誤差を含んだ計測になることを意味している。とくに歯周ポケットのような容量性場の場合は、顕著である。いったい我々は何を計測していたのだろうかと思えるほどである。


濃度誤差 溶媒からの誤差
第3実施例 Supplementary NotesS1,
第4実施例 Supplementary NotesS2,
第5実施例 Supplementary NotesS2


S2−時刻tnのBPでのLeukocyte数、体積、ベクトル場での劣化好中球分布 τgroup
第3実施例 Supplementary NotesS2

S3−ポケット内での分布シミュレーション τgroup
第3実施例 Supplementary NotesS3、第5実施例 Supplementary NotesS3


数式4は、LGが機能障害を計測する定規としての使用一例である。具体的には、B.P.での破壊の大きさをLGのCNLの個数と浸潤速度などにより求めた例である。

数式5以降の説明
病気の本態は、生きている細胞(DNA単位でもある)のなんらかの異常によるものである。それゆえ、病気の診断には病理(所見)、すなわち病理診断が第一義的に存在するはずである。そして、病理(所見)が第一義的でありそれにより病気が確定すれば、その関係において内科学などの教科書が書かれてなければならない。
ところが、
実際は、マクロ的臨床症状において分類、診断され、そしてその付加的判断として一項目に病理(所見)がかかれているにすぎい場合が多い。
これを本態または従属してほとんどの病気に現れる炎症に関する病理と病気を例に挙げて順次説明していく。
まず
〜炎(主に〜itis)という病気を始めとして、かなりの病気において、これら病理(所見)は、病気の一部でしかないという病気が多かった。とくに〜炎(主に〜itis)という病気は、その病理である炎症すなわち炎症性細胞浸潤では診断不可能とされてしまった奇病???も登場してしまったのである。
これらの診断の曖昧性は、多くの健康と生命を奪ってきたのである。
まず (前記問題点を明確にするために歴史的に順次説明してゆく。)
1858年ルドルフ・ウィルヒョウ(Rudolf Virchow)が機能障害を炎症の定義に追加し、炎症における臨床上の定義が完成された。{ 〜炎(主に 〜itis)という病気の本態であるマクロ的臨床症状である5大症状の完成} そして、その弟子であるユリウス・コーンハイム(Julius Cohnheim)が血管からの白血球遊走と炎症を関連づけた。(ミクロ的病理所見の計測、解析などの始まり)この時代から現在にいたるまで、マクロ的臨床症状いわゆる病気と、ミクロ的病理所見であるいわゆる病理であるこの2つの状態は、〜炎(主に〜itis)という病気において混沌とした曖昧な関係を続けている。 具体的には、
従来〜炎(主に〜itis)という病気は、その病気の本態であるマクロ的臨床症状において診断されてきており、炎症(inflammation of 〜)というミクロ的病理所見も有力な確定診断のひとつではあったが、炎症(inflammation of 〜)という病理により、〜炎(主に〜itis)という病気を確定するには至らなかった。そればかりか、従来の計測法によれば、マクロ的臨床症状が治癒しても炎症(inflammation of 〜)という従来の病理が出現していたり、病気の本態症状が軽症化しても重傷度部位より強い炎症(inflammation of 〜)所見がみられるなど、炎症という病気なのに炎症でないような不可思議な観測結果が〜炎(主に〜itis)という病気の診断を混沌とした病気にしあげていったのであった。1 〜炎という病気が、その本来の姿である炎症性細胞浸潤で判定できないという現状は、病気の名前も〜炎でなく、〜itisというような曖昧な名前にせざるおえなく、さらに計測、診断、が曖昧であるなら当然処置についても曖昧になり、これにより多くの人命が失われた可能性は、非常に高く、〜炎(主に〜itis)という病気の大きな検査、診断、処置の大きな障壁となって人類に立ちはだかっていたのであった。
こういった歴史があれば、内科の教科書(バイブル)では、〜炎(主に〜itis)という病気は、マクロ的臨床症状である5大症状が優先され、病理(所見)は、それを支持する副次的な項目にあつかわれ記載されてもしかたなかったのである。
そればかりか、
歯周病のように炎症すなわち炎症性細胞浸潤では、診断不能とされていまった病気さえ出現してしまったのである。
しかし、
最初に記載したように病気の本態は、第1議的に病理であるとしか思えない。
( 病気の本態は、生きている細胞(DNA単位でもある)のなんらかの異常によるものである。それゆえ、病気の診断には病理(所見)、すなわち病理診断が第一義的に存在するはずである。)

本研究は、この異常な事態を以下に示すように計測論的立場から検証する。
すなわち、
この問題の代表例である〜炎(主に〜itis)という病気が、炎症が本態であるのに炎症性細胞浸潤で診断できないのかという混沌とした矛盾が存在する病気の最大の問題であるこの異常な事態を以下に示すように計測論的立場から検証する。純数学的問題なら矛盾解明に楽しく長く時間を費やしても良いが健康と生命がかかっているので早急に解決したいのである。

そして、病理から病気へと早急に正しい道へと軌道修正する事を提唱するものである。
問題は、150年以上も昔から存在し論議しつくされているので、単に医師(歯科医師も含めて)や生物学者における病気や病理などの臨床的な診断(判断)である可能性は極めて小さいと考え物理的な計測手法について徹底に検証することから始めた。
ここで病理は、どう計測されているかというと、
通常病理診断は、生体から取り出された病理組織切片(ほとんどが永久プレパラート化されて長期保存に耐える試料とされている。)という手法にて病理診断は行われる。
具体的な一例として炎症をあげると、
もちろん炎症の病理診断も、この手法に従い診断がおこなわれる。
具体的には、
従来炎症の病理組織を計測するためには、炎症性細胞浸潤の細胞算定、いわゆる血球算定という計測手法を使用する。
従来この計測において血球算定のための採取試料という母集団に空間的な偏りが生じると、当然部分的な無作為抽出が不可能となり、採取試料の全てを計測しなくてはならなく、そのような事は、不可能である。ゆえに採取資料の混合希釈が大前提となっていたという統計学的な計測論に基づく根本思想があった。
さらにこの具体例を歯周炎を本態病理とする歯周病について説明する。
すなわち
歯周病の病理診断の場合、歯周ポケット内の歯肉溝浸出液(GCF)から試料を採取する。
歯周ポケットからのGCF試料について説明すると
歯周ポケット内から採取されたGCFは、炎症性細胞の個数を算定するための前処理として一定量の希釈液にて希釈混合された溶液にされ、炎症性細胞の濃度を均一化する。その混合希釈液の一部を血球算定盤にとり算定し濃度を算出するという統計学的計測論にもとずく計測を行っていた。
この溶液を作成する処理過程ですでに白血球は、死滅している場合がほとんどである。
そしてさらに、
その溶液中の炎症性細胞数を算定するために、炎症性細胞を死滅させて固定するプレパラート化を行っている場合がほとんどである。
これらの方法は、血液中にほぼ均質に存在する定常的状態にある血球の計測では問題はない。しかし、Burst Point(抗原により破壊された部位)から浸潤している空間的そして時間的な過渡状態としての炎症性細胞(浸潤)に従来の方法(定常状態への解析手法である従来の血球算定法)を適用して定量計測することは、計測論的に矛盾が生じる。
すなわち、時空間的な過渡現象である炎症性細胞浸潤においては、時間的な偏り(時間のズレ)や空間的な偏りがあるのである。その時空間の偏りを均一化して計測すれば、時間的そして空間的に大きな積分誤差が生じる。前期のごとくの統計学的な計測手法は、定常空間にのみ有効であるが過渡空間には適用が不可能である。
そこで、時空間の偏りを均一化せず、(時間のズレには、死滅化をせず、)空間の偏りには、混合をしないような計測を行い。前期空間の偏りと時間のズレを計測するために従来の手法の障害であった空間の偏りの均一化を、逆に空間の偏りを利用して計測を行い炎症を正確に計測することができた。
すなわち
本研究では好中球の過渡現象にもとずく前期偏りに着目して、生体標本を用いてその分布パターンを位相差顕微鏡を用いて観察した。その結果、GCF内では新旧好中球が存在しており、さらに抗原とは独立して好中球同士が付着して細胞群を形成していることが確認された。この新旧好中球の細胞群をLeukocyte Group(LG)と定義した。典型的なLGでは、新好中球を中心として旧好中球が周りを取り囲んでいた。これらの顕微鏡画像から、細胞の新旧は浸潤の時間経過を、細胞数は炎症の程度を表していると判断された。炎症のレベルをLGを用いて、ペリオスコープにおけるサンプリングサイズ125μm×92μmの規格画像(Spp.Notes1)にて9段階(細胞数にてさらに精度を上げた計測をしても良い。)にてLG Method(の一部)と定義し、計測診断をおこなった。この時、トレース機能を使用して、LGの最悪値を計測する。そしてペリオスコープI、スコープマネージャIの機能、トレース機能を使用した大きさ計測を行う。図71(動画は、AVIにてストアしておく。) 図71説明をいれる


その結果、現在の炎症の有無や程度ばかりでなく、炎症のリスクを診断することが可能であった。つまり、1回の計測で過去から現在、そして未来への多段階の高精度な炎症計測診断ができた。さらに、新旧好中球の存在位置から時系列ベクトルを求めることができ、病気の本態である病巣focusを推定できることが明らかとなった。LG Methodでは現時点の炎症とその推移を定量的に診断できたのに対して、従来の診断方法では炎症が収束した健全患者も炎症保持者と誤診された。LG Methodは歯周病の確定診断に役立つばかりでなく、生体で生じる炎症免疫反応に応用可能な技術であると考えられる。さらに、歯周ポケットは開放系の炎症場であり、無侵襲での炎症免疫実験の場を提供するであろう。LG Methodを用いた定量的計測方法は、医学、生物学などの幅広い分野に広く応用できるものと考えられた。

生体内の時空間に連続分布するベクトル場である時系列連続体としてのLeukocyte Groupを中核として炎症性細胞浸潤を計測するLG methodによる計測により病気の本態であるマクロ的臨床症状とLGのlevel値(LGの性質を一部有しているα係数で示されるNLも一部その特性を有する。)により病気の本態であるマクロ的臨床症状(とくに機能障害の程度)との対応がとれ、LG内のベクトル場(LG内でのOLからLG内のNLにより形成される時空間連続体である時系列連続体としてのベクトル場)により、病気の本態の位置、病気の重傷度部位、過去、現在、の炎症の状態と、将来の炎症の状態予測が容易に計測できることが判明した。これにより病気の本態であるマクロ的臨床症状がミクロ的病理所見による高速、高精度に計測することができ、ミクロ的病理所見が第1にあり、その従属因子として病気が診断されるという体系が妥当である事を強く示唆しだした。
これで
従来からの〜炎という病気が、その本来の姿である炎症性細胞浸潤で判定できることになる。LG methodは、炎症が本態の病気の検査を確定し、診断において誤診を大きくなくし、そしてその処置精度を大きく向上するであろう。そして、ある種の腫瘍のように炎症を従属した病気の本態や部位の特定に希望をあたえるであろう。さらに歯周ポケットが無侵襲性の炎症免疫応答の実験場として非常にすぐれていることもLG methodは、示しており、医学、生物学での炎症免疫実験をさらに向上させるであろう。
それらの成果により、LG methodによる病理による病気の検査、診断は、人類の健康と生命に大きく寄与すると思われる。


LG method は、生体内の時空間に分布する時系列連続体であるLeukocyte Group(LG)を中心とする炎症計測法である。
Leukocyte Group、LGとは、Burst Point B.P.から浸潤し、弱い結合にて群を形成している白血球の集まりである。この弱い結合がB.P.からの浸潤履歴を空間的に保持し、時系列連続体を形成しているのである。(図44、50、51、56 Fig1、Fig2) 図45、82 写真1
LG level A値は、Leukocyte Chartに従いLG level A1〜A4に分類した。(図46、62 Fig3)
また
顆粒の運動のある好中球をNew Leukocyte (NL)とし、顆粒の運動のない好中球(この場合、ほとんどが細胞質バーストをおこしている。)をOld Leukocyte (OL)とした。 (LGの周囲などに生じる完全に時系列連続体でないNLはLNとし、LGの周囲に生じる完全に時系列連続体でないOLはLOとする。サンプリング時に結合を完全に破壊してしまった好中球も含まれている。)(図51 Fig4)

Materials & Methods
単円探針もしくは連円探針(Supp. Pat)を用いて歯周ポケットの最深部から歯周ポケット浸出液(GCF)を採取した。GCFを極力攪拌しないように慎重にスライドガラスに置き、水を一滴滴下し、カバーグラスで圧接した。(要セミナー)規格化位相差顕微鏡ペリオスコープでサンプル像を観察した。(像のサイズは、125μm×92μm)
LGのA値、R値の最大のもの、NL,OLの最大値、LN,LOの最大値、その他の炎症性細胞を観察し記録する。特に最大A値を有するLGを検索するのが重要であり。本研究では特に好中球に着目して論じる。(トレース機能が必要)
病気として歯周病を選択し、病理としてLG methodの一部を使用した。
具体的には、
ペリオスコープにおけるサンプリングサイズ125μm×92μmの規格画像(Spp.Notes1)にて9段階(細胞数にてさらに精度を上げた計測をしても良い。)にてLG Method(の一部)と定義し、計測診断をおこなった。この時、トレース機能を使用して、LGの最悪値を計測する。そしてペリオスコープI、スコープマネージャIの機能、トレース機能を使用した大きさ計測を行う。(動画は、AVIにてストアしておく。) 一部Supp.へ

LG methodの評価
LGは、過去、現在、未来への情報を保持し、LGの時系列連続体における階層間は、差分式により速度を求めることができる。

このLG内の各階層の速度は、差分式により解析できる。
{ f()は、見方1 総括 参照 }
この差分式による評価は、時系列誤差の解消例を示す。(Supp.Notes 1)段落番号0072参照
その結果、空間誤差、濃度誤差をも除去できる事がわかる。(数1、図59、60 Supp.Fig1−Fig2)
図86、87、88、参照 各種誤差の解消。
また、
この差分式は、差分方程式として解を求めることができる。またその微分型は、マルサスの方程式と同様な形式をなす。数6、数14 Fig5

そして、 t = τに注意
その微分方程式は、白血球(抗体)の速度方程式である微分方程式であり、その中でもLGにおいて好中球が最も観測しやすい。またクラスター化(細胞同士の弱い結合)が観測されるのも好中球のみである。好中球の誕生と死滅において炎症の過去から現在、そして将来の炎症の予測が可能となる。数6、数14Fig5
歯周ポケットのような開放系では、慢性といえども好中球が主体の炎症性細胞浸潤をなす。この系では、空間因子に制限のない(少ない)純粋な炎症が見られる。閉鎖系では、時間が経つと好中球の供給に空間抑制がはたらくので、ロジステックオプションが考えられる。(数13 Supp.Fig3)これによると好中球が飽和して、時系列連続体からリンパ球などの時系列断続体へと変化するのがわかる。refこの場合炎症性細胞浸潤が抑制され病巣の外部までしか機能しなくなり膿瘍切開などの病巣の開放化処置の必要性を意味する。これもまた容易に関数化できコンピュータなどに組み込むことができる。(Supp.Notes)また炎症の本体が周辺にて抑制されているので病気の本態の位置は、好中球の空間的外郭により示される事になる。
そして解の求め方の一例を示す。(数6、14図1、2、74、75、76、77 Supp. Fig4 )
解の解釈の仕方とコンピュータなどへの種々な挿入の仕方の一例を示す。(図49、52{数6、14図1、2、74、75、76、77}Supp. Fig5) (Supp.Notes)
そして
この解の分布は、過去から現在においては、本研究における顕微鏡画像そのものである事がわかる。すなわちLGは、炎症性細胞浸潤の細胞、とくに好中球によるベクトル場であり、それらは過去から現在までの解であり、将来への簡単な予測図である。( 数6、数14 Fig5と図52 Fig6写真2 )
解を数学的に求めなくとも、未来の抗原や抗体の個数以外は、顕微鏡画像のみですでに判明している点が臨床的に非常に有用と考える。
LGの階層の求め方の一例を示す。 見方 1 総括
LGの階層の求め方の一例を示す。 見方 2 τグループ (図52Fig6)
2回以上のサンプリングにおいても最悪値をとるのがリスク評価の原則であり、LGでも最悪値評価を採用した。この評価も空間誤差減少に役立っているのである。
以上の結果と炎症の基本原理である組織障害が強ければ炎症も強い(+ロジステックオプションの項も参照)より
LG level Aの値は、(損傷組織の種類により係数が多少異なるであろうが)組織の損傷度合を表現している。(後述の実験よりさらに確認する。)
LG level Aの値の小さなLGより大きなLGへの方向、NLの個数の少ない部位より個数のより多いNL方向に重症部位の方向を示している。
LGの逆時系列方向に損傷部位であるB.P.の方向を示している。AL(歯垢付着白血球)が存在する場合、他の場所にLGが存在する。
ここで、好中球の劣化時定数が溶媒や、LG Levelにて左右される事実から、
環境因子ζをマルサス係数と同様なディメンションで扱い、
この段階にて通常免疫応答か、アレルギー応答かを係数にて判別できる。( 数6、数14Fig5, Supp.Notes 2) この係数値により治療が著しく違ってくるのは言うまでもない。
一方、
細菌などの抗原も対数増幅期として同様な微分式や解を有する事が
モノーにより示されている。
(このγgは、Infection FieldのInfection Sourceのγgとリンクできる事を意味している。)図1
(図4、12、13Supp.Fig 6)I.F. I.S. I.C. D.F. S.F. Rc.F. Rs.F.
ゆえに抗原の式を挿入可能であり、
そして抗原との関係を挿入すると抗原、抗体の微分連立方程式が定まる。( 数6、数14 Fig5)
つまり白血球画像は、抗原情報も含んでおりLG level 0となった時は、感染も収束している事がいえる。(ただし、この場合からずしもNg = 0 でない事に注意。なぜならば、Ngが小さくなれば、上皮のgateであるB.P.が閉ざされてしまうからである。これは、数理論的にも同様な曲線図が描かれる事と一致する。 逆にLG A>0でも感染でなくアレルギーということもあるという事に注意。)( 数6、数14 Fig5)
さらに抗体の式を元の形で整理すると、
LG methodによる病気の診断(歯周炎と歯周病の対応)
以上のLG methodを使用して、歯周病である86人(初診時に顕微鏡検査をおこなった症例)の患者の調査を行った。その内歯周病が停止できずに抜歯をおこなわなくてはならなかった患者は、1人のみであった。(アタッチメントロスの変化が一番大きな症例であるので、変化率が大きい。)
図78 Fig において、歯周病の本態であるアタッチメントロス(A.L.)(ここでは主な治療が終わった後のポケット深さ)とLG methodで使用する各パラメータとを比較した。すると臨床的A.L.と近似であるポケット深さ(変動分)とLG A level値に対応があった。具体的にはLGA4が抜歯時期に、その約1ヶ月前にNL3、GNLまたはGLNが多数(LGAは、発見できずであるがLGmethod予測値A2〜A3〜である。)観察されている。
すなわちポケット深さが大きく増加した症例において特にLGA4(A4は、規格画面をオーバーフローしているため、さらに外周を計測する必要がある。)が、観察された。このことは、炎症が存在し、それによる炎症の5大症状のひとつである組織障害が存在する。炎症の程度が大きいと組織障害も大きいというごく自然な結果を示している。
図89Table2 Table3 Table4 においてOLと緩やかなポケット増大が共に増加傾向を示した。またA4を記録し、急激なポケット変動を伴った症例と、A4処置後ポケット増加が停止した症例があった。後者は、トレース機能を有した顕微鏡を使用してCNLを計測する事が必要である事を示唆している。図79のごとく、ポケットの変化が見られず、OL+2変動なしの状態からOL+1へ減少してポケットも減少した症例があった。さらにOLが著しく減少し、それとともにポケットも著しく減少した症例があった。図80
そして緩やかなポケット増加傾向に対してOLが増加傾向を示し対応していた。OLは、過去の炎症を示すので、処置に対しては手遅れという事であるので、注意したい
以上はリンデの教科書内容(動物実験)と一致する。従来における患者での計測refでは、歯周病をとらえていないのは、LG methodでの計測ができていないためである。
トレース機能が重要なポイントになる。
グラフ中でNLが変動しているのは、主に処置の影響である。
さらにLG method、その後の培養検査による新しい検査基準において処置を行った前述の臨床(集計)結果において、歯周病が停止しなかったのは、1人であり、当医院は低抜歯率を維持している。それは、ポケット深さなどの臨床的指標よりLG内NLなど、時系列分析にもとづく現在の炎症状態の方が診断、そして処置にたいする確かな指標であるという臨床結果でもあろう。今回は、大まかな臨床の流れに言及したのみであるので、LG methodの一部の臨床を開示したにすぎない。折あれば、さらに詳細な臨床効果について述べたい。

Results and Discussion
以上の結果、LG内のNL(完全な時系列連続性を有するNL)や LG level4により、より検査時刻に近い、または検査時刻における大きなアタッチメントロス(A.L.)が検査診断できた。このことは、クラスター化したNew Leukocyteの大きさ(CNL)がアタッチメントの破壊程度を示していると考えるのが自然である。長期的なゆるやかなアタッチメントロスをみるには、OLの振幅と振幅の相対値を観測すればよいということであった。もちろんOLは、過去の炎症を示すので、処置に対しては手遅れという事であるので、注意したい。つまり(組織の特性を考慮に入れた)検査時刻に近い、または検査時刻における組織障害は、LGの時系列的な大きさα係数により示されるLG内でのNLクラスターであるCNL(Core New Leukocyte)の大きさによりその組織傷害を検査し確定できるということである。(一方NLの数は、炎症の程度に対応している。)今回の規格画像でのA4は、CNLを完全に計測できていないので、トレース機能を有した顕微鏡を使用してCNLを計測する事が必要と思われた。トレース機能が重要なポイントLGA3、LGA4などは、外周が見えないので、さらに視野を広げる必要があるのは言うまでもない。
1回の検査で過去、現在、未来が把握できるので、検査期間を比較的長期に連続的に行ったのと等価な検査ができる。それにより病態の変動を正確に把握しやすい。通院に制限のある当医院のような町の一開業医でも病態の精度の高い統計に基づく診断や処置を行える特徴がある。これは、医学、生物学の進歩を大学などの研究期間以外でも十分に行える事を示唆している。
さらに 今回の結果から、従来の歯周病の軽症部位と重症部位との炎症計測においての矛盾点が説明できる。従来は、時系列連続体が破壊されていたので、現在の炎症に過去の炎症が重畳(積分)されていたので、軽症部位でも重症部位より細胞数が多く観測されることがあったのが判明する。
そして、従来の死滅法においては、時系列やLGが破壊されており、病気の本態、本態の位置、重症度、過去、現在、未来の状態が全て失われる。また混合法によっても、例えLeukocyteが死滅していなくとも病気の本態、本態の位置は全て失われ、混合の程度により重症度、過去、現在、未来の状態の一部または全部が失われる。

Conclusion
従来の混合死滅試料では得られなかった情報がLGでは得られる。その結果において炎症免疫応答の正確な計測が可能となる。また歯周ポケットは、炎症の純粋な形態を示しており、無侵襲な炎症免疫実験場として最適である。
このLG methodという炎症計測、そして歯周ポケットという計測場の使用により病気の本態であるアタッチメントロスを確定した。
それゆえミクロ的病理所見が第1にあり、その従属因子として病気が診断されるという体系が実現され、炎症や炎症を従属する病気の検査、診断、処置が飛躍的に向上する。
すなわち従来からの〜炎(〜itis)という病気が、その本来の姿である炎症性細胞浸潤で判定できることになる。LG methodは、炎症が本態の病気の検査を確定し、診断において誤診を大きくなくし、そしてその処置精度を大きく向上するであろう。そして、ある種の腫瘍のように炎症を従属した病気の本態や部位の特定に希望をあたえるであろう。さらに歯周ポケットが無侵襲性の炎症免疫応答の実験場として非常にすぐれていることもLG methodは、示しており、医学、生物学での炎症免疫実験をさらに向上させるであろう。
それらの成果により、LG methodによる病理による病気の検査、診断は、人類の健康と生命に大きく寄与すると思われる。


S4−Methods
第3実施例 Supplementary NotesS4、
第4実施例 Supplementary NotesS4
第5実施例 Supplementary NotesS5
第7実施例 Supplementary NotesS2
任意の歯周ポケット最深部より単円探針または連円探針により試料を採取し、その試料をスライドグラスに塗布する。そしてピンセットにて水を一滴おとしカバーグラスをのせて圧接する。
そして前記試料を規格化位相差顕微鏡ペリオスコープにて観察する。
使用機械
単円探針
連円探針
規格化位相差顕微鏡ペリオスコープI
(Supplementary Data)
OLの特性
OLは、ポケット内に拡散し蓄積してゆく、これは統計学的サンプリングである混合死滅法に、時間が経てば経つほど、近づいていく事を意味している。そして十分な時間後には、等価である事を意味している。
よってリンデの炎症と白血球浸潤の表など従来の炎症と症状のデータと同じ傾向のデータが見られる。

従来のランダムスキャンでは、OLの源であるLG(NL)を補足できなかったケースとして、
1 採取試料のスキャンが不足していた。 (採取試料の抽出不足)
2 採取試料がB.P.を捉えていなかった。 (採取部位の抽出不足)
などが考えられる。
このLG法は、以上の1種類2原因のシステマティックエラーを考慮に入れてサンプリングし、検鏡しなければならない事が理解できる。 最も良い方法は、全サンプリング、全スキャンである。これは、将来より良いベクトルサンプラーとより良い顕微鏡が必要である事を示唆している。
さらにOLが見られ、NLが見られない場合、単発感染を考慮して再検査したり、上記2つのシステマティックエラーを考慮して再サンプリングしたり、試料の見落としが無いか再走査したりして、さらにLGの確認を行う必要がある。そして前回検査のOLより値が上昇している時(OLの速度が上昇している場合)には、さらに検査回数(検査間隔)と検査部位の増加を行う必要がある事を示している。


第8実施例 Supplementary
Supplementary Notes
S1−Material
単円探針
連円探針
LG機能付き規格化位相差顕微鏡
LG機能、Index Tracer付きコンピュータシステム

S2−時系列誤差の解消
1 時系列誤差の解消
f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどで、この段階においては、厳密にはt-Δtからtなどの時区間において、というべきであろう。)ここでは、実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。(詳細は第2報以降にて開示する)
2つの時刻t1、t2(t1<t2)において
f(t2)−f(t1)
が炎症の速度であり、従来の計測論において実際に計測ができる物理量である。一例としては、参考文献におけるFig5-8などから算出できる。しかし臨床では、これすら計測ができなかった。(本文参照)
ここで、実際の臨床では、
f(t2)+f(t1)を計測していたのである。
厳密には∫f(t)dtを計測していたのである。非常に大きな積分誤差を生じているのが解る。
これをLG観察法にて行うと、
f(τ2)−f(τ1)が容易に実現できる事が解る。
これにて時系列誤差の解消が可能となっていることが明確に理解できる。
さらに具体例も含めた詳細には、現在執筆中の論文に記載してある。

S3−時系列誤差の次の階層における時間変動誤差の解消
f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどで、この段階においては、厳密にはt-Δtからtなどの時区間において、というべきであろう。)ここでは、実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。(詳細は第2報以降にて開示する)
そして誤差成分をε(t)とする。ε(t)は、時間に対して変動する誤差である。
と、2つの時刻t1、t2(t1<t2)、誤差成分ε(t)において
f(t1)+ε(t1) と f(t2)+ε(t2)
であり、ここで炎症や免疫の変動成分(または速度、酷さ)であるf(t2)−f(t1)を求めるために、その誤差成分ε(t)をキャンセルする事が必要であり、その一つの答えが同一時刻に計測すればよいことがわかる。しかし同一時刻(tn)では、f(tn)−f(tn)=0となってしまう。
これを解決するには、
f(t2)−f(t1)と同じかまたは、それ以上の情報を有する関係を見つければ良いのである。
ここで、本論で採用した時系列連続体のタイムスケールであるτを採用する。すると、
時系列連続体の観測時刻をtとし、時間の流れt1,t2を各々タイムスケールτ1,τ2で置き換えて上記の式を書き換えれると、
{ f(τ2)+ε(t) } - { f(τ1)+ε(t) } = f(τ2)- f(τ1)
となり誤差ε項は、消去される。
これは、時間によって変動する誤差である時系列誤差における時間変動誤差の解消、それによる溶媒の影響がない濃度誤差の解消、計測空間のズレといった空間誤差の解消をも意味している。
この2つ以上のグループの好中球の数(スカラー)の差が、t2 − t1 時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。 さらに重要な事は、前記相対値ばかりでなく、このようなτ時系列連続体からなる性質の群における個々の要素f(τn)、τnなどは、その絶対値f(τn)、τnにも有用な意味を持つと言うことである。すなわち母集団が明確な集団の1個とみなせるので、LGのLeukocyte数f(τn)などは、炎症の程度を精度良く表現できる絶対的な値をなすのである。
具体的にこの結果は、顕微鏡を使用した観察手段を採用した場合、溶媒が0であるので試料の厚みの影響を受けないことがわかる。 すなわち毎回の顕微鏡検査において試料厚みを計測しなくても定量計測が可能という事をも示している。など数多くの利点を有している事が理解できる。
劣化時定数について
前述のごとく、この計測のシステムにおいては、必ず劣化時定数などのタイムスケールを計測する必要がある事が理解できる。このタイムスケールτは、
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
などやそれらの代謝、反応、劣化などから計測、算出できるであろう事が予測されるが、
ここでは、前述1の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数をτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数をτ2とした。さらに細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールにてτ3を挿入して、さらに精度を上げても良い。

S4−差分式から差分方程式、そして部分方程式へと、そしてその解



上記のごとく解が求められる。ここで、t=τという関係は、解でも成り立つ事が重要である。

S5−ロジスティックオプション
S3の微分方程式から、好中球が閉鎖空間にて飽和するためのロジスティック方程式は、S3のマルサス方程式から導くと周知のごとくに以下の形式を成す。
Mは、飽和好中球数
このように閉鎖空間では、好中球が飽和してしまい本来の炎症を形成できない。


Supplementary Data

LG機能搭載機器シリーズHome Page


以上第8実施例 Supplementary

第9実施例 変形例

Supplementary Notes
S1−Material
単円探針
連円探針
LG機能付き規格化位相差顕微鏡
LG機能、Index Tracer付きコンピュータシステム、

S2−計測原理の誤り と 訂正
1 time space errorの解消に先立ち、計測原理の訂正を行う。
f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどで、time-space continuumにおいては、厳密にはt-Δtからtなどの時区間において、というべきであろう。)ここでは、実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。ε(t)も同様である。(詳細は第2報以降にて開示する)
2つの時刻t1、t2(t1<t2)において
f(t2)−f(t1)
が炎症の速度であり、従来の計測論において実際に計測ができる物理量である。一例としては、参考文献におけるFig5-8などからおおまかに算出できる。しかし臨床では、これすら計測ができなかった。(本文参照)
ここで、実際の臨床では、
f(t2)+f(t1)を計測していたのである。 根本的に計測原理をあやまっていたのである。
さらに厳密には∫f(t)dtを計測していたのである。非常に大きな積分誤差を生じているのが解る。(以上time-space continuumの構造要素、構成要素である物質を定常現象の解析方法であるn-sampling (time space) identificationの統計学的サンプリング法において計測すると生じる誤り。)
これをLG観察法にて行うと、(τspace continuumにて解くと)
f(τ2)−f(τ1)が容易に実現できる事が解る。
これにて、正しい計測原理となっている。ことが明確に理解できる。
さらに具体例も含めた詳細には、現在執筆中の論文に記載してある。
(この解析方法は、定常現象、過度現象いづれでも計測可能である。)

S3−time-space continuumにおける時空間誤差time space errorの解消
(炎症の程度の誤差について)
f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどで、この段階においては、厳密にはt-Δtからtなどの時区間において、というべきであろう。)ここでは、実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。ε(t)も同様である。(詳細は第2報以降にて開示する)
そして誤差成分をε(t)とする。ε(t)は、時間に従属するf(t)の誤差である。
と、2つの時刻t1、t2(t1<t2)、誤差成分ε(t)において
f(t1)+ε(t1) と f(t2)+ε(t2)
であり、ここで炎症や免疫の変動成分(または速度、酷さ)であるf(t2)−f(t1)を求めるために、その誤差成分ε(t){正しくはε(t2)- ε(t1)である速度誤差 time space errorでありtime-space continuumでは誤差もやはり速度でしか観測できない。}をキャンセルする事が必要であり、その一つの答えが同一時刻に計測すればよいことがわかる。しかし同一時刻(tn)では、f(tn)−f(tn)=0となってしまう。
これを解決するには、(τspace continuumによる解)
f(t2)−f(t1)と同じかまたは、それ以上の情報を有する関係を見つければ良いのである。
ここで、本論で採用した時空間連続体のタイムスケールを空間で表現できるτ連続体を採用する。すると、
時空間列連続体の観測時刻をtとし、時間の流れt1,t2を各々τスケールであるτ1,τ2で置き換えて上記の式を書き換えれると、(今回は、τスケールの歪みは論じない。次報以降)
{ f(τ2)+ε(t) } - { f(τ1)+ε(t) } = f(τ2)- f(τ1)
となり誤差ε項は、消去される。これは、見方を変えるとtime-space continuumにおいては、time space errorすなわち速度誤差しか計測ができないが、τ-space continuumにおいては、time-space continuumの時間において一つの時間しか持たないので、ε(t2)- ε(t1)である速度誤差 time space errorは、存在しない。(τスケールへの誤差の変換は、前述、後述のごとくである。)

計測原理の誤り と 訂正 space errorに関して
(time-space continuumでは、space error単体での計測は不可能であり、時空間誤差に含まれる。)
(次元の違う引き算は、不可能なのでルール違反となり、論外である誤り。)

ここで、space errorはというと、space errorは、time-space continuumにおいて各空間要素(直交座標ならx、y、z)における次元dimensionの違う引き算は、御法度なので影響小の範囲内での空間誤差内(一例としてサンプリングの位置ズレ内)などでの計測が大前提となっている。(時間tの違いは、引き算可能であることは言うまでもない。)
もしこのルールを超えたサンプリングなどを行っていたとすると先の+と−の取り違え問題と同等又はそれ以上のルール違反(計測原理の取り違え)を行っていたことになり、何を計測していたのかわからない程度の誤差を含んでいたことになる。(誤差を計測していたのである。)
(τspace continuumの場合)
一方、τspace continuumにおいては、一回のサンプリングで良いので、空間誤差はB.P.を外しているか否かのみである。この誤差も誤差解消ベクトルにより判明する場合があるのがτ空間τspace continuumの良いところであろう。



劣化時定数について
前述のごとく、この計測のシステムにおいては、必ず劣化時定数などのタイムスケールを計測する必要がある事が理解できる。このタイムスケールτは、
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
9 同位体元素
などやそれらの代謝、反応、劣化、崩壊率などから計測、算出できるであろう事が予測されるが、ここでは、前述1の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数をτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数をτ2とした。さらに細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールにてτ3を挿入して、さらに精度を上げても良いし、顆粒の速度や加速度を計測して細かにτを設定しても良い。

S4−差分式から差分方程式、そして部分方程式へと、そしてその解
上記のごとく解が求められる。ここで、t=τという関係は、解でも成り立つ事が非常に重要である。
そして物理学的に重要な事実は、time space continuum が好中球の連続体により完全に表現できたと言う事である。すなわち前述の式における極限値化であるlim h→0 を、LGの好中球連続体は、完全に実現しているのである。従来は、現実世界での現象は、この関係すなわち連続体をなしておらず、近似式として使用していたにすぎない。しかしLGの好中球連続体は、完全に微分可能な状態を提供(表現)するのである。すなわち、time space continuumが現実に発見されたと言うことである。さらにこのtime space continuumを完全に観測可能なτspace continuumの発見、それによる時間、空間、時空間の分離した計測は、time-space continuumでは不可能であった計測を可能としてゆく。
これは、弱い結合を有する同一遺伝子の同一細胞群により実現される事が理解されよう。同一遺伝子の連続体は、時空間においても同一である事の証明のひとつでもあると言い換えられる。この事は、生物と物理の橋渡し、接点でもあり、物理、生物、(生)化学を始めとする科学の統一場の発見とも言えよう。
また前述の結果は、Supplementary NotesS3と相まって溶媒の影響がない濃度誤差の解消、計測空間のズレといった空間誤差の解消をも意味している。
さらに重要な事は、差分方程式における前記相対値ばかりでなく、このようなτ空間連続体からなる性質の群における個々の要素f(τn)、τnなどは、その絶対値f(τn)、τnにも有用な意味を持つと言うことである。すなわち母集団であるLGにおける速度ベクトルが明確である集団の1個とみなせるので、LGのLeukocyte数f(τn)などは、炎症の程度を精度良く表現できる絶対的な値をなすのである。また前記lim h→0においてから明確なように細胞内速度(ベクトル)、LG内速度(ベクトル)も明確である。
さらにこの結果は、顕微鏡を使用した観察手段を採用した場合、溶媒が0であるので試料の厚みの影響を受けないことがわかる。 すなわち毎回の顕微鏡検査において試料厚みを計測しなくても定量計測が可能という事をも示している。など数多くの利点を有している事が理解できる。


S5−ロジスティックオプション
S3の微分方程式から、好中球が閉鎖空間にて飽和するためのロジスティック方程式は、S3のマルサス方程式から導くと周知のごとくに以下の形式を成す。

Mは、飽和好中球数
このように閉鎖空間では、好中球が飽和してしまい本来の炎症を形成できない。

以上、第9実施例 変形例

[他の変形例]
OLの特性

CCDのCharge Couple Deviceと同じように、旧好中球が歯周ポケットに蓄積してゆく。
死滅混合法に近似、または等価 である。
よって
OLの速度が一様増加の場合、ポケットは、一様増加 (傾向)
OLの速度が一様減少の場合、ポケットは、一様減少 (傾向)
OLの速度が一定の場合、 ポケットは、一様不変 (傾向)
というポケット深さとOLは、相関が見られる。(ここでの速度は個数/時間である個数速度)
すなわちOL、過去の炎症の速度に機能障害であるアタッチメントロスが比例(対応)しているという事である。上皮組織の修復能力は、速度までであり、組織障害が加速度を生じた場合は、組織傷害が修復能力を超え、修復できなく、損傷(A.L.)を残すという結果を示唆している。
(または、OLがB.P.に存在していると組織修復ができず組織障害が残るという事を示しているのかである。)
これはありえない、一定量のOL観察でロスなしであるから。

OLの速度が増している場合は、兎に角LGを探し出してB.P.を特定し、さらにdN/dtを計算し負の値に戻すように処置を行う必要が有る事を示している。

tからτへ
これらのことは、時間の流れの中における止めることのできない物理量である値tが、固定された物理量であるタイムスケール(ここでは劣化時定数)τで置き換える事ができる事を意味しており、それは即ち時間の止まった空間を実現する事を意味し、実用面においては時系列誤差の解消を意味する。このことは従来からの速度論を始めとした計測論を、劇的にさらに大きく前進させる。


速度論における具体的な進化としては、現実世界では速度しか観測できないという制約が速度論には常につきまとっていた。しかし時系列連続体においては、時間が停止しているため、次元Lといった量も直接計測ができる。


自動車の移動量、人口動態などは、時系列断続体であり、その軌跡をあらかじめ計測しておかないと、たとえ過去から現在までの状態であっても計測はできない。 時系列連続体の発見は、このような努力をする必要がない事を意味している。これはすなわち系列連続体自身に時間の流れ(t)が(τとして)刻印されている事を意味している。


時空間定規
LGのCNLは、時空間定規、時空間体積計、時空間速度計とも言える。
組織障害を計測できる究極の(ポケット)プローブでもある。


アタッチメントロスは物理量

アタッチメントロスは、次元L長さという物理量で表現される。
傷口(穴)があく。
その大きさを計測するには、浸潤細胞の単位時間に通過した細胞の大きさ、すなわち速度ベクトルを有したLGの大きさで判断できる。
歯周病がアタッチメントロスにて確定診断されるなら、
長さを直接に計測するのに、他の次元の計測器を使用するのは無意味な事である。
他の物理量にて直接に計測する事は不可能である。
少なくとも最後において、同次元の尺度に変換できていなければならない。
化学物質でアタッチメントロスを計測するには、ある種の変換が必要である。
これが計測論的に困難であることは容易に推測できるのである。
好中球による計測は、ミクロの定規という事であり、同次元での直接計測を表現する。



長期的なアタッチメントロス
OLが相対的に増加傾向の場合は、緩やかで長期的なアタッチメントロスが見られる。
これは、リンデのFig5-8と同じ結果が臨床で得られた事になる。

短期的なアタッチメントロス
小さな傷口からは、小さな塊(CNL)しか分泌されない、大きな塊(CNL)は、大きな傷口からしか分泌されない。この定理によりより大きなCNLの観測がより大きく急激なアタッチメントロスを起こしている事を示している。
ただ、組織修復という作用も考慮すれば、CNL大きさによりその時刻でのアタッチメントロスは、対応関係であろう


現在時刻での炎症の最重症部位の程度を表すのは、最大LG内のNL数
現在時刻での炎症の広がりを加味した炎症の程度を表すのは、NL

LGの最大値の存在部位は、病気の本態(部位)
LGの核であるCNL(Core New Leukocyte)の大きさは、機能障害の大きさを表す。
ゆえにCNLの大きさは、アタッチメントロスの大きさ(深さ)を表す。
よってCNLの大きさで歯周病の確定診断ができる。

過去の炎症の最重症部位の程度 最大LGR
過去の炎症の広がりを加味した炎症の程度 OL

LGの外郭を示す GNL、GOL、GNL、GLN
LGのlevelの大きな方向は、重症部位の方向
NL密度大の方向は、重症部位の方向
LGの逆時系列方向は、B.P.などの傷害部位の方向、(病気の本態(部位)の方向)
dN/dtは、炎症の速度(リスク)を表す。
時系列断続体は、歯周病の確定診断所見であり、長期継続を示す。
アレルギーまたは通常応答を表すのは、αc、ζ、βの関係である。
炎症による組織障害と感染微生物、傷などの外来因子による組織障害の区別を図81に示す。このように病態を整理して分離しないと診断に誤差が含まれる。
上記実施例または変形例は単独で実施しても良いし、また組み合わせて実施しても良い。また他の用途に使用しても良い。また上記手段に関しても、術者や製造者が取捨選択し使用、製造するなど単独あるいはどのような組み合わせの構成をなしてもよい。
一例として、歯種フレーム手段である図65,図66、図67、図68のいづれかひとつまたはその組み合わせを採用するなどである。これにより感染菌の空間、位相、時間などの分析がコンピュータ上にて容易に可能となる。
さらに一例として発明者が野々村友佑の各出願または論文に記載の各手段を組み合わせて実施しても良いなどである。
さらなる一例として、内視鏡、CT,MRIなどに組み込んだりして相乗効果を上げても良い。
さらに上記各手段のいづれかまたは、その組み合わせにての手段を感染症や炎症、免疫などの実験場として使用した場合、それを実験場手段としてもよい。
さらに上記実施例または変形例は、コンピュータにて実現するのが最も合理的であり、その構築方法は、多くの特許、論文、書籍を参考にしていただいて実施を行っても良く、くどくどと列挙しない。また本特許における式のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータにプログラミングして使用しても良い。これもまた当業者なら容易なので、くどくど列挙しない。 など当業者が文を読めば実現できるものには、くどくどその構成、動作を列挙しない。
感染、免疫炎症、病気が科学的に分類、診断、計測、検査、できるので、全世界で多くの患者の健康、生命が守られる。さらに無侵襲免疫炎症研究の飛躍的進歩をもたらす。
全世界の人類の生命、健康が守られるなど基本的人権の遵守に基づく特許となる。

感染炎症免疫応答計測診断装置の一例。 全実施例共通 必要に応じて各手段を選択製造する。 必要に応じて表示手段や印刷手段などのサポート手段を採用する。 第7実施例 Fig10 抗原(感染系)と炎症免疫応答(炎症免疫系)との関係を含んだ感染炎症免疫応答計測診断装置の一例。(感染炎症免疫応答計測診断装置は、感染系手段炎症免疫系手段を備える。 I.S.手段の一例。図3のここから図42までが感染系手段 Infection Chainの要素。特に3つの関数によりすべての感染が表現できる。 第6実施例 Fig1 各フィールドの説明(口腔内セグメント)一例。舌の線の印刷が薄いが記載あり。 第1実施例Fig1、第2実施例Fig2、第6実施例Fig2 Infection Chain 感染連鎖の一例。増幅Segmenntは、γ≧0コロニー(特にγ>0)を有する組織で、CAの場合は、う蝕歯牙にみられる。 第1実施例Fig2、第2実施例Fig1、第6実施例Fig3 菌計測手段とサンプリング手段の一例。ここでは、クロモアガー培地(プレート培地がB.D.社製とバイアル培地が日研製)歯種培地手段は、特許願と意匠において、野々村友佑で検索。 第1実施例Fig3、第2実施例Fig4、第6実施例 Fig4 症例の一例。 I.S.が2個しかない単純な一例。除菌できている。 第1実施例Fig4、第2実施例Fig5、第6実施例Fig5 症例の一例。 I.S.が多数ある複雑な一例。除菌できている。 第1実施例Fig5、第6実施例Fig6 同一口腔内におけるLactobacillusの歯種培地計測結果とCandidaの歯種培地計測結果の一例。RsFieldとRcFieldが判明する。う蝕位相の違いもわかる。 第1実施例Fig6 増幅係数γの説明と関係。 第1実施例Fig7、第2実施例Fig6 この式のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータにプログラミングして使用しても良い。 すると容易に微生物の増殖予測ができる。 用語の説明 第2実施例Fig3 Infection Chain の各要素と、その根拠 Table1からTable3図14のここから図43までは第1実施例、第2実施例、第6実施例兼用。 Table4、Table5 Table6,Table7(C3Perの横は、C3処置健全歯、非隣在真健全歯、非隣在処置健全歯、隣在真健全歯、隣在処置健全歯、Dumy(Po))Dummy(Po)は、ダミー歯の略である。Poは、ポンテック歯の略である。 Table8a, Table8b Table9、Table10 Table11a, Table11b Table12, Table13 Table14 Supplementary Table S1, S2, S3, S4 Supplementary Table S5, S6, S7, S8 Supplementary Table S9, S10, S11 Supplementary Table S12, S13, S14 Supplementary Table S15, S16 Supplementary Table S17 Supplementary Table S18 Supplementary Table S19 Supplementary Table S20 Supplementary Table S21 Table11a,Table11bのコロニー濃度 Supplementary Table S22 Supplementary Table S23、図中のS22は、誤記。S23とする。 Supplementary Fig1 Supplementary Fig2 Supplementary Fig3 Supplementary Fig4 Supplementary Fig5 Supplementary Fig6,Fig7 Supplementary Fig8 Supplementary Fig9 Supplementary Fig10,Fig11,Fig12, Fig13 Supplementary Fig14 ここで、Supplementary Fig11は、Supplementary Fig12のまちがい、 Supplementary Fig12 Fchart 挿入は消去。 図14からこの図43までは第1実施例、第2実施例、第6実施例兼用。 ここから炎症免疫系手段、第3実施例以降第3実施例Fig1、第4実施例Fig3、第7実施例 Fig3歯周ポケットの模式図とFIFOモデルとで説明した時系列ストリーム 第3実施例Fig2、第4実施例Fig2、第5実施例Fig2、第7実施例Fig2実測例 a LG1の一例b LG2の一例 c LG2の一例 d LG2の一例 e LG2の一例 f LG3の一例 g LG3の一例 h LG4の一例 i LG4の一例 LGは、原則歯垢なしLNは、原則歯垢あり 第3実施例Fig3、第7実施例 Fig13 Leukocyte Chart :白血球(好中球)の観察の仕方。 向かって左が活動期の各ステージ、右が休止期の各ステージ 計測された顕微鏡画像をこのChartに従い歯周病手段(組織診断手段)が検査する。 第3実施例Supplementary Table S1 第3実施例Supplementary Table S2 好中球のサイズ計測一例 第3実施例Supplementary Fig1、第4実施例Fig5LG手段の図 第3実施例Supplementary Fig2、第4実施例Fig4、第7実施例 Fig4 第5実施例Supplementary Fig2 歯周ポケット内でのとりうる拘束条件。(ストリーム範囲、連続体範囲) 第3実施例Supplementary Fig4、第4実施例Fig6、第7実施例 Fig14 第5実施例Supplementary Fig6 時系列ストリーム特性、連続体特性(ストリーム特性)、時系列特性の説明図。LG 時系列連続体特性を有する白血球(この例は、好中球)LN 時系列連続体特性を持たない新白血球(この例は、好中球)LO 時系列連続体特性を持たない旧白血球(この例は、好中球)楕円の中の文字は、好中球。 好中球での一例図。 第4実施例Fig1 、第5実施例Fig3、第7実施例Fig15実測一例 第3実施例Supplementary Fig3、第4実施例Supplementary Fig1 第5実施例Supplementary Fig1 第4実施例Supplementary Fig2 第4実施例Supplementary Fig3、第5実施例Supplementary Fig3、第7実施例Fig9 第4実施例Supplementary Fig4、第5実施例Supplementary Fig4、第7実施例Fig8 第4実施例Supplementary Fig5、第5実施例Supplementary Fig5、第7実施例Fig11 第4実施例Supplementary Fig6、第5実施例Supplementary Fig7、第7実施例Fig12 第4実施例Supplementary Fig7, 第5実施例Supplementary Fig8、第7実施例Fig6 第4実施例Supplementary Fig8, 第5実施例Supplementary Fig9、第7実施例Fig7 第8実施例Fig6 第5実施例Fig1 生命と病気の関係 LG method 診断項目の一例。 この診断項目のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータにプログラミングして使用しても良い。 すると容易にLGによる検査、診断ができる。 第7実施例Fig1a,b,c,d,e,f 偏りの無い一例と偏りのある一例。 a スピロヘータなどの運動性細菌が均一に分布している。b スピロヘータなどの運動性細菌が均一に分布している反面、 歯垢や上皮細胞が島のように偏りを見せている。c 歯垢などは、島のように偏りを見せて分布している。d 抗原に走化し、抗原を取り囲んで密集している偏りを示す白血球群。e 抗原とは、無関係に集まった白血球群。Leukocyte Group LG2f 抗原とは、無関係に集まった白血球群。Leukocyte Group LG4 d,e,fは、白血球の偏りを示している。 第7実施例Fig16 第8実施例Fig3 Mφ、リンパ球、単球、肥満細胞、類上皮細胞などのタイムスケールの一例 歯種と情報(歯種情報は1つ以上)を階層保持する階層手段を採用した一例。 階層手段の使用例 内部拡散の分析一例。 空間位相分析手段の一例。 図45Fig2の各LG画像における計測値一例。 LG計測手段とLG分析手段の一例。 さらにそれに接続される各手段の一例。 インデックストレース機能手段を有する顕微鏡。 スライドグラス座標手段の一例。図のごとくに構成される。このような実際に計測する歯牙の展開図をスライドグラスに貼付して使用すれば、どの部位が、どの程度に炎症を起こしているかが判明する。 歯牙展開図付きスライドグラス座標手段の一例。図の様に構成される。このような実際に計測する歯牙の展開図をスライドグラスに貼付して使用すれば、どの部位が、どの程度に炎症を起こしているかが判明する。 抗原抗体連立方程式の詳細と解、そしてロジスティックオプション付きこれらの式のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータに入力し使用しても良い。すると抗原と抗体の過去、現在、未来が判明する。 抗原抗体連立方程式の解の一例。これらの式のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータに入力し使用しても良い。すると抗原と抗体の過去、現在、未来が判明する。 抗原抗体連立方程式の解の一例。これらの式のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータに入力し使用しても良い。すると抗原と抗体の過去、現在、未来が判明する。 抗原抗体連立方程式の解の一例。( εbg・Nb + εgb・Ng)の求め方。これらの式のいづれかまたはその組み合わせをコンピュータに入力し使用しても良い。すると抗原と抗体の過去、現在、未来が判明する。 一例として図63dより求める。 メインテナンス時にポケットが増加傾向、病状悪化し停止せず。 LGA3からそしてLGA4へ悪化傾向し止まらず、 LGR増加傾向、OL増加傾向 メインテナンス時にポケットが変化しなかった症例。 OLも一定傾向。OL+2程度一定。 ただし、17ヶ月付近に変動あり。その後にポケットも深くなる。 メインテナンス時にポケットが浅くなった症例。 OL減少傾向である。 組織障害と組織場と炎症免疫の関係一例 第8実施例Fig2組織障害と組織と炎症(免疫)の関係図。 歯周ポケット浸潤液(GCF)の顕微鏡画像. (a) 液層に均一分布する運動性細菌, (b) 運動性細菌と偏在する歯垢や上皮細胞, (c) 島のように偏在する歯垢, (d) 単体で遊離するNL, (e) 抗原を取り囲んで密集し、偏在するNLの群, NL(好中球)が抗原を取り囲みマイクロカプセル化し、さらにその周囲を赤血球が取り囲み抗原抗体複合カプセルを形成している。このカプセルがGCFの流れにのりポケット外へ廃棄される。どんな抗原でも廃棄が可能な強力な抗原抗体複合体である。(この抗原抗体群は、時系列断続体のひとつである。これにより抗原抗体連立方程式の解の重要な情報が得られる。)(これにより好中球単独では抗原を死滅できなくともマイクロカプセル内の閉鎖空間に高濃度な活性酸素や酵素を集中し抗原を撃滅できる。白血球が破壊出来ない抗原種でも、破壊できない抗原の量でも破壊または隔離ができる。さらに核が抗原に偏在しており、核のバーストは、核酸などの核内物質を抗原に高濃度にて投与できる。これにより抗原のDNAなどの情報崩壊をおこさせたり、酸などでのさらなる攻撃などができる。) (f) 抗原とは無関係に密集し、偏在するNL, {LG内速度(ベクトル)と細胞内速度(ベクトル)を有している。} (g) OLのみの群, (h) NLとOLが混在する群.{LG内速度(ベクトル)と細胞内速度(ベクトル)を有している。} 第8実施例Fig4好中球同士の(弱い)結合 (a)2個の好中球が弱く結合している。{ 細胞内速度(ベクトル)が観察可能。(この場合は、方向が2つのうちのいづれかのベクトル量をとる。)細胞内一様連続性を有する。 }(0分)、 (b) 15分後、離開寸前の状態、 (c)105分後結合が切れた直後、上の好中球は結合に供していたと見られる突起(偽足と思われる)がみられる。{ 細胞内速度(ベクトル)の消失、隠された変数となる。} (d) 260分後、上の好中球は、突起が引っ込み細胞全体が丸くなっている。 第8実施例Fig1単円探針と連円探針 第8実施例Fig5炎症性細胞浸潤の概念図. 図中のblankは浸潤直後の 炎症性細胞の塊, grayは前回浸潤した炎症性細胞の層, Blackは前々 回浸潤した炎症性細胞の層である. (a) 空間に制限がない場合の炎症 性細胞浸潤がスフィアで表現、ポケット近似して薄い断面となる。 (b) 歯周ポケット内での炎症性細胞浸潤. 用語説明の一例。 点、線、空間などの定義図一例。われわれが住んでいる現実空間としての time-space continuumとその上位空間であるτspace continuumの関係など。 n個のサンプリング同一体からなる計測空間。とくに従来の統計学的計測手法 が良く理解できる空間である。n sampling time-space element (identification)による時間誤差 time errorの軽減手法。空間誤差space errorは回避されない。 OLと緩やかなポケット増大が共に増加傾向を示したグラフ LG内&Cell内 Velocity LG内&Cell内 Velocity AntiBody&Antigen 引力と斥力 BHとの関係 Burst Holeと Burst Point 歯肉溝白血球と歯肉溝滲出液 と 炎症の関係Attstrom, R. and J. Egelberg Presence of leukocytes within the gingival crevices duringdeveloping gingivitis in dogs J. periodont. 6,110-114(1971) のFig1 であり、Lindhe, J. et al. Chapter5 in Periodontal Disease Clinical Periodontology and Implant Dentistry. Blackwell Munksgaard,aBlackwell. 4, 153-192 (2003) の日本語版 Fig5−8 time-space continuum とτspace continuumにおけるLGの特性 図95から抗原抗体連立方程式を導く。 定常空間と過渡空間の特性 Burst HoleとANLC(Active Neutrophil Leukocyte Core)の関係 time-space continuum とτspace continuumにおけるLGの特性 最大LG検出や、顕微鏡画像の位置認識のため顕微鏡ステージに貼ったり、描画したりする指標。この例では、00から99までの数字と、その脇にドットを設けた例。この図は、白黒であるが、カラーでも良い。カラーだと同じ数字の読み間違いがない。例えば、向かって右の数字列は、赤、真ん中の数字列は緑、左は青にするなどである。もちろんドットも色分けしても良い。その方が位置間違いが少なくなる。これらをCCDカメラなどの撮像手段で撮影し、その画像を見て手動または自動にて位置決めする。この場合、位置決めを公知の光点追跡手段などにて行っても良いし、また公知の文字認識手段にて位置決めを行ってもよい。 Burst Holeが歯根面に水平に広がり裂けて、Burst Crevasseを作る様子。 撮像手段からの映像に指標高精度計測手段の画像を電子合成した例。この指標高精度計測手段によりステージに印刷などされた指標をさらに高精度に読み取る事ができる。

Claims (11)

  1. LG計測装置は、
    少なくとも新好中球(NL)または旧好中球(OL)のいづれかまたはその組み合わせを計測する事を特徴とするLG計測手段
    備える事を特徴とするLG計測装置。
  2. LG計測装置は、
    少なくとも新好中球(NL)または旧好中球(OL)のいづれかまたはその組み合わせを分析する事を特徴とするLGmethodによるLG分析手段
    備える事を特徴とするLG計測装置。
  3. 請求項1または請求項2のいづれかのLG計測装置は、
    前記NL核(Core New Leukocyte)の大きさまたは
    CNL中のNLの数のいづれか一方またはその両方を
    計測するCNL計測手段を
    備える事を特徴とするLG計測装置。
  4. 請求項3のLG計測装置は、
    前記大きさと対応する組織障害の大きさを判定する組織障害判定手段を
    備えることを特徴とするLG計測装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかのLG計測装置は、
    (死滅率β値やその一因子であるζ値もふくむ)劣化時定数を計測する劣化時定数計測手段を
    備えることを特徴とするLG計測装置。
  6. 請求項1または請求項5のいづれかのLG計測装置は、
    病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値またはLGR値のいづれか一方またはその両方を計測するLGAR計測手段を
    備える事を特徴とするLG計測装置。
  7. 請求項1から請求項6のいづれかのLG計測装置は、
    LG内のベクトル場(LG内でのOLからLG内のNLにより形成される時空間連続体である時系列連続体としてのベクトル場)により、
    時系列連続体の逆時系列方向を検出することにより病気の本態の位置を検出する病態位置検出手段
    または/と
    LG A値の大きな方向を示す又はNL値の大きな方向を示す病気の重傷度部位を検出する重症部位検出手段、
    または/と
    過去の炎症の状態を計測する過去炎症状態計測手段
    または/と
    現在の炎症の状態を計測する現在炎症状態計測手段
    または/と
    将来の炎症の状態予測を行うdN/dt値、その解または抗原抗体連立方程式の解のいづれかまたは、その組み合わせによるリスク炎症状態予測計測手段
    におけるいづれかまたはその組み合わせを有するLG計測装置。
  8. 請求項1から請求項7のいづれかのLG計測装置は、
    アレルギーまたは通常状態を判定するアレルギー状態判定手段
    を備える事を特徴とする請求項1のLG計測装置。
  9. 請求項3から請求項8のいづれかのLG計測装置は、
    前記NL核(Nuclear New Leukocyte)の大きさを検出するNNL検出手段
    または、
    組織障害の大きさを判定する組織障害判定手段
    または、
    病気の本態であるマクロ的臨床所見、症状を求めるLGA値を計測するLGAR計測手段
    のいづれかまたはその組み合わせ
    により歯周病を確定診断できる歯周病確定診断手段
    を備えるLG計測装置。
  10. 請求項1から請求項8のいづれかのLG計測装置は、
    NLを検出することによる歯周炎確定手段
    を備えるLG計測装置。
  11. 請求項1から請求項10におけるいづれかのLG計測装置は、
    歯周ポケットを実験場手段として使用する事
    を特徴とするLG計測装置。
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