JP2010259392A - 植物原料糖化前処理方法及びエタノールの製造方法 - Google Patents

植物原料糖化前処理方法及びエタノールの製造方法 Download PDF

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【課題】酵素との反応効率が向上した酵素糖化を可能にし、且つ、液体や高温・高圧を必要としない植物原料の糖化前処理方法を提供する。
【解決手段】植物原料として単子葉植物を用い、植物原料を乾燥させる工程と、乾燥させた植物原料を粗粉砕する粉砕工程と、粗粉砕された植物原料をメカノケミカル処理する工程とを含む植物原料糖化前処理方法を提供する。これにより、前処理後の酵素糖化において反応効率が向上する。そのため、得られたD−グルコースを酵母で容易にエタノールへ変換できる。
【選択図】図1

Description

本発明は植物原料を糖化およびアルコール発酵させるに先だって行われる前処理方法に関する。また、本発明は、植物原料を前処理した後アルコール発酵させてエタノールを製造する方法に関する。
石油や石炭などの化石原料の枯渇、二酸化炭素などの排出による地球温暖化など、地球環境問題がクローズアップされており、化石燃料に代わる代替エネルギーの開発が急がれている。その中でもバイオマスエネルギーは有用な手段であり、かつカーボンニュートラルといわれていることから、エネルギー問題とともに地球温暖化への対策としても期待されている。しかしながら、現在主流のとうもろこしなどの穀物を原料としたバイオマスエネルギーは、穀物市場における食料とエネルギーの資源争奪を生み出し、穀物価格の高騰とそれによる貧困層の飢餓危機という新たな課題を生みだしている。
そのため、植物を原料としたバイオマスエネルギーの開発が望まれている。植物原料から得られるバイオマスエネルギーの1つにバイオエタノールがあり、化石燃料の代替エネルギーとして利用しようとしている。
植物は、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンから構成されており、セルロースはグルコース分子を構成単位とする多糖類であり、ヘミセルロースはキシロースやマンノースを構成単位とする多糖類である。また、リグニンは以下の式で表される構造を基本とする高分子である。
Figure 2010259392
植物中でセルロース分子は整然と配列し、その間にヘミセルロースやリグニンが充填して木材の強度を保っている。
植物からバイオエタノールを生産するためには、植物を酵母が代謝できるように糖化した後、酵母によるアルコール発酵を行う。
糖化の方法としては、植物原料を高濃度あるいは高温の硫酸で処理して、セルロースやヘミセルロースを加水分解・糖化する方法が一般的である。
その他に、植物原料を水熱分解や蒸煮、爆砕などの処理で加水分解・糖化する方法が多く提案されている。例えば、特許文献1では、植物原料を140〜230℃、飽和蒸気圧の1〜3倍の圧力の加圧熱水で処理してヘミセルロースを加水分解させて水溶性糖類を得る方法が提案されている。
しかしながら、セルロースやヘミセルロースを硫酸処理により加水分解・糖化する方法は、高濃度あるいは高温の酸を使用するため装置の耐久性に課題があり、人体への安全性や環境への負荷も懸念される。さらに酸の廃水処理などのための付帯設備が大きくなる。また、残存したリグニンも酸により変性を受けるため、リグニンの樹脂化などへの再利用が制限される。
また、特許文献1で提案された、植物原料を加圧熱水で処理して加水分解・糖化する方法では、高温高圧に耐える設備が必要であり、また、エネルギー消費量が大きい。
そのため、より穏和で人体及び環境にも優しい糖化方法として、酵素を用いた糖化がある。上記のように、植物構成成分のうち、糖に分解できる成分はセルロースとヘミセルロースであり、ヘミセルロースは5炭糖類を多く含む混合体であり、セルロースはグルコースのみから構成されている。そのため、セルロースを効率よく分解できれば、多くのグルコースを得られ、酵母などによりバイオエタノールへ変換できることとなる。
しかしながら、単純に木材をセルラーゼなどの酵素で処理しても、上述したようにセルロースがヘミセルロースやリグニンに覆われたネットワーク構造を有しているため、酵素がセルロースの反応点まで到達し難く、セルロースの分解は僅かである。そのため、酵素糖化を行うためには、その前処理が重要となる。
酵素糖化の前処理方法として、粉砕と他の処理を組み合わせた方法が提案されている。例えば、特許文献2では植物原料を水蒸気蒸留して水溶性成分と精油を除去した後、粉砕してセルロースの結晶性を低下させ、次いで酵素糖化して糖化液を得る方法、特許文献3では植物原料を加圧熱水で処理した後、機械的粉砕を行い、その粉砕物を酵素糖化する方法、特許文献4では植物原料を直径10mm以下に粉砕し、次いで水、水溶性有機溶剤および有機酸を含む薬液に浸漬して蒸煮して、残存した不溶成分を酵素糖化する方法、特許文献5では植物原料を高温高圧流体の存在下でメカノケミカル反応により分解する方法が提案されている。
また、特許文献6では植物原料に水とシリカ粉末を加えて加温、撹拌した後、酵素を添加して撹拌することでグルコースを製造する方法が提案されている。
特開2005−23041号公報 特開2008―104404号公報 特開2006−136263号公報 特開2008−271962号公報 特開2006−263570号公報 特開平10−66594号公報
上述した水蒸気蒸留、加圧熱水、薬液、高温高圧流体、あるいはシリカ水溶液を利用した前処理方法は、廃液処理や、液体を使用することによる生成物と液体との分離が必要である。また、加熱や加圧をする場合には、高温や高圧に耐える装置が必要となり、また、処理エネルギーも大きくなる。
本発明は、酵素との反応効率が向上し且つセルロースの多くを単糖類であるD−グルコースまで分解できる酵素糖化を可能にする植物原料の糖化前処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、液体や加熱・加圧を必要とせず、人体や環境に優しい植物原料の糖化前処理方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような前処理を含み、D−グルコースを酵母で容易にエタノールへ変換できるエタノールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の植物原料糖化前処理方法は、植物原料を糖化およびアルコール発酵するに先立って行う植物原料の糖化前処理方法であって、前記植物原料が単子葉植物であり、前記植物原料を乾燥させる工程と、乾燥させた植物原料を粗粉砕する工程と、粗粉砕された植物原料をメカノケミカル処理する工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明のエタノールの製造方法は、上記の本発明の前処理を行う工程と、前記前処理された原料をアルコール発酵させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、原料としての単子葉植物にメカノケミカル処理を行うので、その後に行う糖化工程において酵素との反応性が向上し且つセルロースの多くを単糖類であるD−グルコースまで分解することが可能となる。したがって、得られたD−グルコースを酵母で容易にエタノールへ変換できる。
また、本発明の糖化前処理方法は、従来一般的に行われていた液体を用いた湿式処理や、加熱、加圧を必要としない。液体を用いないので、処理後に液体を分離除去したり、廃液を処理したりする必要がない。また、加熱、加圧が不要であるので、設備が簡単となり、また、エネルギー消費量を低減できる。更に、酸などの薬品を使用しないので、人体や環境に優しく、安全性に優れる。
したがって、本発明により、簡素化された設備で、安全且つ低コストで糖化前処理を行うことができ、またエタノールを効率良く製造することができる。
図1は、本発明のエタノールの製造方法の一例を工程順に示した図である。 図2は、本発明の実施例1におけるアブラヤシのメカノケミカル処理物の糖化率を示した図である。 図3は、本発明の実施例1および比較例におけるアブラヤシおよびスギのメカノケミカル処理物の糖化率を比較して示した図である。 図4は、本発明の実施例1および比較例におけるアブラヤシおよびスギのメカノケミカル処理物のD−グルコース糖化率を比較して示した図である。
図1に本発明のエタノールの製造方法の一例を工程順に示す。まず、植物原料としての単子葉植物を乾燥する(ステップS1)。次に、乾燥させた原料を粗粉砕機によって数mm程度に粗粉砕する(ステップS2)。さらに、粗粉砕された原料にメカノケミカル処理を行う(ステップS3)。次いで、メカノケミカル処理された原料を酵素を用いて糖化させ、原料中のセルロースをグルコースに分解・分離する(ステップS4)。更に、そのグルコースを使用して、酵母によるアルコール発酵を行わせ、エタノールを製造する(ステップS5)。
図1は例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。例えば、糖化(ステップS4)とアルコール発酵(ステップS5)とを同時に行ってもよい。また、ヘミセルラーゼも酵素分解してもかまわない。
本発明の乾燥工程は、その後の粗粉砕やメカノケミカル処理を効率的に行うために必要な工程である。乾燥の程度は特に限定はないが、原料中の水分含有率が5%以下になるまで乾燥することが好ましい。水分含有率が多いと、粗粉砕で得られる粉砕物が大きくなったり、メカノケミカル処理で原料に加えられる衝撃エネルギーが弱くなったりする。乾燥を効率的に行うために、乾燥工程の前に原料を適度な大きさに切断しておくことが好ましい。乾燥の方法は特に制限はなく、一般的な乾燥方法でかまわない。例えば、加熱系プロセスである対流、輻射、伝導などによる伝熱乾燥、マイクロ波などによる内部発熱乾燥、非加熱系プロセスである真空乾燥(減圧乾燥含む)、遠心乾燥、吸引乾燥、吸収剤による乾燥、加圧乾燥、超音波乾燥などが挙げられる。これらを組み合わせた乾燥でも、勿論かまわない。また、水溶性の揮発性溶剤による洗浄などを組み合わせてもかまわない。
粗粉砕工程は、その後のメカノケミカル処理を効率的に行うために必要な工程である。粗粉砕の程度は特に限定はなく、メカノケミカル処理を行える程度であればよく、例えば数百μm〜数mm程度にまで粉砕することが好ましい。粗粉砕工程では、一般的に使用される粗粉砕機を使用することができ、例えば、ジョークラッシャ、コーンクラッシャ、ロールクラッシャ、インパクトクラッシャ、ハンマクラッシャ、粗砕カッタなどが挙げられる。一つの粗粉砕機で十分な粉砕ができない場合は、更に別の粉砕機を用いて再度粉砕してもかまわない。
メカノケミカル処理とは、被処理物を粉砕する過程において、被処理物に衝撃、圧縮、剪断、ずり応力、摩擦などの機械的エネルギーを加えることで、被処理物の活性又は反応性を高める処理をいう。メカノケミカル処理を行うのに好適な装置としては、特に制限はないが、例えば、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、遊星型ボールミル、パンミル、ロールミル、インパクトミル、撹拌磨砕ミル、ディスクミルなどが挙げられるが、中でもより高い機械的エネルギーを与えられることから、遊星型ボールミル、振動ボールミル、ディスクミルが好ましい。メカノケミカル処理の処理時間や得られる粉砕物の粒度は、原料である単子葉植物によって決められるが、例えば1時間以内の処理時間で数十〜数百μm程度にまで粉砕できることが好ましい。
糖化工程では、セルロースやヘミセルロースを加水分解して糖化する。その方法は特に制限はなく、公知の方法を適宜用いることができるが、セルロース等を含む懸濁液中に酵素を投入して酵素糖化反応を起こさせる方法が好ましい。この場合、使用される酵素としては、セルロースを加水分解することができる酵素であれば特に制限はないが、例えばセルラーゼを使用することができる。加水分解の条件は適宜設定することができる。
アルコール発酵工程では、酵母を糖化液に投入して、糖化液中のグルコースを発酵させてエタノールを得る。酵母としては、グルコースからエタノールを生成させることができる酵母であれば特に制限はないが、例えばパン酵母を使用することができる。一種類の酵母のみを用いても良いし、複数種類の酵母を組み合わせて用いても良い。アルコール発酵の条件は適宜設定することができる。
本発明では、植物原料として単子葉植物を用いる。従来、木質系原料をメカノケミカル処理することで、微細に粉砕されると共にセルロースの結晶性が低下するなどの効果により、酵素による糖化が促進されることは報告されていた。しかしながら、セルロースのグルコースへの十分な糖化率を得るためには、メカノケミカル処理を長時間行う必要があるなどの課題があった。本発明者らは、木質原料のメカノケミカル処理を鋭意検討した結果、原料となる木材の種類により、その効果に大きな差が生じることを発見し、その差が原料の構造に起因していることを突き止め、本発明を完成するに至った。
双子葉植物や針葉樹は、維管束が筒状に並び、形成層の活動により茎は太り続ける。そのため、これらの茎や幹は緻密な構造になり、メカノケミカル処理で十分なセルロースミクロフィブリルを露出させるためには、処理時間を長くしたり、より大きな機械的エネルギーを加えたりする必要がある。また、維管束部分と他の部分や、新しい形成層と古い形成層などで、メカノケミカル処理のされやすさが異なり、処理効果にばらつきが生じやすい。
しかし、単子葉植物は、維管束が散在して不斉中心柱を形成しており、いわゆる形成層が発達しないため、茎の成長が終了した後は、それ以上太くならない。そのため、双子葉植物などに比べて、緻密さがなく、構造的に空間が多いため、メカノケミカル処理によって容易に微粉化されるとともにセルロースミクロフィブリルが露出するので、酵素で分解されやすくなる。また、維管束が散在しているため、どの部分でも大差なくメカノケミカル処理の効果が得られる。
このように単子葉植物は、双子葉植物や針葉樹などの裸子植物に比べて、メカノケミカル処理によってセルロースとリグニン及びヘミセルロースとのネットワーク構造が壊れやすく、セルロースのミクロフィブリルの一部を露出させることができるので、酵素との反応性をより向上できる。したがって、短時間のメカノケミカル処理で十分な糖化率を得られる。
また、メカノケミカル処理は常温常圧の乾式で行うことができ、水などの液体や加熱・加圧を必要としない。さらに、酸を含む薬液なども不要であるので、酵素糖化してセルロースを分解・分離した後に残存したリグニンは元の形態を保っており、樹脂化などにリサイクルしやすい。また、人体や環境に優しく安全性に優れ、装置を簡素化でき、処理エネルギーが少なくて済む。
本発明では植物原料が単子葉植物であればよく、その種類は問わないが、例えば、アブラヤシ、ココヤシ、ナツメヤシ、サゴヤシ、ロウヤシ、バルミラヤシ、ノコギリヤシ、ビンロウ、アサイ、シュロ、フェニックスなどのヤシ類および竹などの木本、稲やユリなどの草本が挙げられる。その中でも、世界的に生産量の多いヤシ類が最も好ましい。特にアブラヤシは、パームオイルを得るために主に東南アジアで大規模なプランテーションが行われており、その幹や茎葉、オイル搾取後の空果房などは、その殆どが廃棄されているため、再利用も兼ねて、原料として好ましい。
以下、具体的実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
植物原料としてアブラヤシの廃幹を用いた。200×300×50mmの板状に切り出した廃幹を、熱風乾燥機にて100℃で8h乾燥した。この廃幹をφ10mmのスクリーンを付けた槇野産業製カッターミルVM−22にて、長さ方向で数cm、径方向で数mm程度に粗粉砕し、さらに、その粗粉砕品を槇野産業製粉砕機DD−2−3.7により、粉砕を行った。なお、スクリーンはΦ1mmを用いた。その結果、平均300μm程度の粉体が得られた。
この粉体を、フリッチュ社製遊星型ボールミルP−6を用いてメカノケミカル処理を行った。なお、ボールとして直径10mmと5mmのジルコニアボールを2:1の割合で混合したボールを用いた。ディスク回転数は600r/mとした。メカノケミカル処理時間は、0、5、15、30minの4種類に変えた。
得られた各粉砕物50mgを100mM酢酸緩衝液(pH5.0)15mLに懸濁させ、これに同緩衝液で溶解させたセルラーゼ(メイセラーゼ、1mg/mL)2mLを加えた。
この懸濁液を50mL容量のねじ口蓋付試料管に入れ、120r/mで振とう、攪拌しながら45℃で加温した。
一定時間毎に試料0.5mLを採取し、100℃で10分間加温して酵素を失活させ反応を停止させた。反応液を遠心分離し、その上清中の還元糖量をソモギーネルソン法で定量した。還元糖量の推定には、D−グルコースを標準試料として用いてあらかじめ作成した検量線を使用した。
アブラヤシ中には約35%のセルロースが存在しているため、そのセルロース量に対する還元糖量(D−グルコース換算)の割合を糖化率として算出した。結果を図2に示す。
図2より、メカノケミカル処理を行わない場合は還元糖量の割合は小さく20%にも満たないが、メカノケミカル処理時間が長くなるほど、早く糖化が進み、最終還元糖量の割合も高くなり、メカノケミカル処理時間30minで、ほぼ100%糖化している。このようにメカノケミカル処理することによって酵素による糖化性を向上できることが判った。
次に、比較例として、針葉樹であるスギを原料として同様の検討を行った。実施例1と同様に乾燥させたスギを平均粒径150μm程度の粉体に粉砕した。この粉体を実施例1と同様の条件でメカノケミカル処理を行い、得られた粉砕物を実施例1と同様の条件で糖化処理を行った。メカノケミカル処理時間は0、30minの2種類に変えた。
このスギにも約35%のセルロースが存在しているため、そのセルロース量に対する還元糖量(D−グルコース換算)の割合を糖化率として算出した。結果を図3に示す。図3に、実施例1のアブラヤシを原料としメカノケミカル処理時間を0min、30minとした場合の結果も併せて示す。図3より、スギでもメカノケミカル処理により糖化率は向上するが、30minのメカノケミカル処理では最大糖化率は70%程度であり、アブラヤシのような100%の糖化率には及ばなかった。これは上述したようにアブラヤシとスギの構造の違いによると考えられる。
また、アブラヤシおよびスギにメカノケミカル処理を0min、30min行い、糖化処理したサンプルのD−グルコース量をグルコースオキシダーゼ法により定量した。セルロース量に対するD−グルコースの割合を糖化率として算出した。結果を図4に示す。
図4より、アブラヤシのメカノケミカル処理30minでは、100%のD−グルコース糖化率が得られた。これは、単にセルロースがある程度分解され、その一部がグルコースにまで分解されたという程度ではなく、還元糖の殆どが単糖類であるD−グルコースにまで分解されたことを意味する。
そのため、このD−グルコースを用いて酵母でアルコール発酵を行うことで、容易にエタノールを得ることが可能である。
原料として実施例1と同様のアブラヤシを用いて、メカノケミカル処理の条件をレッチュ社製振動ディスクミルRS−200を用いて回転数1500r/mで15min粉砕することに変更する以外は実施例1と同様の条件で粉砕、糖化処理した。
その結果、還元糖量のD−グルコース換算糖化率は93%であった。このように振動ディスクミルによるメカノケミカル処理でも効果的な糖化前処理が可能であることが判った。
本発明は上記の実施例1,2に限定されない。
例えば、上記の実施例1,2では、単子葉植物としてアブラヤシを用いているが、他のヤシ類や竹、あるいは草本でももちろんかまわない。
また、メカノケミカル処理に遊星型ボ−ルミル及び振動ディスクミルを用いたが、ある程度の高衝撃、高剪断などの機械的エネルギーを与えることができれば他の粉砕機を用いることはもちろん可能である。
本発明の利用分野は特に制限はないが、常温常圧で乾式で植物原料の糖化前処理をすることができるので、特にバイオエタノールの製造において好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 植物原料を糖化およびアルコール発酵するに先立って行う植物原料の糖化前処理方法であって、
    前記植物原料が単子葉植物であり、
    前記植物原料を乾燥させる工程と、乾燥させた植物原料を粗粉砕する工程と、粗粉砕された植物原料をメカノケミカル処理する工程とを含むことを特徴とする植物原料糖化前処理方法。
  2. 前記メカノケミカル処理が、遊星型ボールミル、振動ボールミル、ディスクミルから選ばれる少なくとも1種を用いて行われる請求項1に記載の植物原料糖化前処理方法。
  3. 前記単子葉植物がヤシ類であり、その幹、茎葉、空果房から選ばれる少なくとも1種を前記植物原料とする請求項1又は2に記載の植物原料糖化前処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の前処理を行う工程と、前記前処理された植物原料をアルコール発酵させる工程とを含むエタノールの製造方法。
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