以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.従来技術の課題]
まず、図14A、14Bを参照しながら、本発明の前提となる従来技術の課題について説明する。図14A、14Bは、従来技術に係る特徴区間判定方法を示す図である。図14A、14Bには、緩慢なパン動作および急激なパン動作に基づく特徴区間を判定する場合が示されている。
図14Aに示すように、一定のパン動作が動作区間L1で緩慢に生ずると、動作区間L1内における画像の動き量apが小さく算定される。また、動作区間L1の前後では、パン動作が緩慢であるため、パン動作に伴って小さな動き量apのノイズ成分が算定される(緩慢な動作では、慎重なカメラ操作が行われることが想定される。)。このため、特徴区間を判定するための閾値Tapが動き量apより大きく設定されていると、動作区間L1が特徴区間として判定されなくなってしまう。
一方、図14Bに示すように、一定のパン動作が動作区間L2で急速に生ずると、動作区間L2内における画像の動き量apが大きく算定される。また、動作区間L2の前後では、パン動作が急速であるため、パン動作に伴って比較的大きな動き量apのノイズ成分が算定される。このため、特徴区間を判定するための閾値Tapがノイズ成分より小さく設定されていると、動作区間L2の代わりに、動作区間の前後を含む動作区間L2´が特徴区間として判定されてしまう。
[2.特徴区間判定方法の概要]
次に、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る特徴区間判定方法の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る特徴区間判定方法の処理手順を示すフロー図である。
図1に示すように、特徴区間判定方法では、画像における所定の分割領域の時系列データから画像の動き量aを算定し(ステップS11)、画像の時系列データから画像の特徴区間を判定するための判定区間Laを設定し(S13)、判定区間Laの特性に応じて、画像の特徴区間を判定するための判定基準Taを適応的に設定する(S15)。そして、判定区間La内における画像の動き量aを判定基準Taと比較し、判定区間Laが画像の特徴区間であるかを判定する(S17)。これにより、判定区間Laの特性に応じて判定基準Taを適応的に設定し、画像の動き量aと比較して判定区間Laが特徴区間であるかを判定するので、カメラ動作の速度に依存せずに、画像の特徴区間を適切に判定することができる。
<第1の実施形態>
[3−1.特徴区間判定装置の機能構成]
図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る特徴区間判定装置の主要な機能構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る特徴区間判定装置の機能構成例を示すブロック図である。
特徴区間判定装置は、記録画像(映像)のダイジェスト再生機能や編集処理機能等を有する、ビデオレコーダ100、ビデオカメラ、テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等である。以下では、放送コンテンツのダイジェスト再生機能を有するビデオレコーダ100を想定して、特徴区間判定装置の主要な機能構成について説明する。
図2に示すように、ビデオレコーダ100は、チューナ部101、データ生成部103、特徴量抽出部105、動きベクトル検出部107、動きベクトル判定部109、動き量算定部111、判定区間設定部113、判定基準設定部115、特徴区間判定部117、特徴区間補正部119、データ記録部121、データ再生部123、出力部125、操作I/F部127、制御部129を含んで構成される。また、ビデオレコーダ100は、特徴量情報保持部131、動きベクトル情報保持部133、動き量情報保持部135、特徴区間情報保持部137を含んで構成される。
チューナ部101は、アンテナ139等を通じて、所定の放送チャンネル上で放送されているコンテンツの画像・音声信号を選択的に受信し、所定の信号処理を施した上で、データ生成部103に供給する。
データ生成部103は、チューナ部101から供給される画像・音声信号に所定の変換処理を施し、フレーム単位の画像・音声データを生成する。なお、以下では、フレーム単位の画像データおよび音声データを、単に画像データおよび音声データとも称する。データ生成部103は、時間的に連続する第1、第2、…の画像データを、画像データを識別可能な画像データIDとともに、特徴量抽出部105およびデータ記録部121に供給する。また、データ生成部103は、時間的に連続する第1、第2、…の音声データを、音声データを識別可能な音声データIDとともに、データ記録部121に供給する。
特徴量抽出部105は、画像データを複数の分割領域に区分し、各分割領域の特徴量を抽出する。特徴量抽出部105は、連続する画像データについて、画像データが表す輝度、色差、テクスチャ等から各分割領域の特徴量を抽出し、画像データIDおよび分割領域IDと併せて、特徴量情報として特徴量情報保持部131に供給する。
動きベクトル検出部107は、各分割領域の特徴量に基づいて、例えば各分割領域のマッチング処理を行うことで、各分割領域の動きベクトルvを検出する。動きベクトル検出部107は、連続する画像データの間において、各分割領域の特徴量情報を特徴量情報保持部131から読み出し、分割領域のマッチング処理を行う。そして、動きベクトル検出部107は、マッチング処理結果に基づいて、各分割領域の動きベクトルvを検出し、画像データIDおよび分割領域IDと併せて、動きベクトル情報として動きベクトル情報保持部133に供給する。
動きベクトル検出部107は、例えば第1の画像データの各分割領域上に基準点を求め、マッチング処理により第2の画像データの各分割領域上において当該基準点を特定する。動きベクトル検出部107は、各分割領域の基準点の位置変化から、第1の画像データと第2の画像データとの間において、各分割領域の動きベクトルvを検出する。
動きベクトル判定部109は、連続する画像データについて、画像上に設定される直交座標系上における動きベクトルvの位置とベクトル成分の向きとの間における所定の関係を判定する。なお、動きベクトル判定処理の詳細については、後述する。
動き量算定部111は、動きベクトル判定部109による判定結果に基づいて、所定の関係を満たす1以上の動きベクトルvから画像の動き量aを算定する。ここで、画像の動き量aは、連続する画像データ間における画像の大局的な動きを表している。動き量算定部111は、連続する画像データについて、動き量aを算定し、画像データIDと併せて、動き量aの時系列データとして動き量情報保持部135に供給する。動き量算定部111は、例えば第1の画像データと第2の画像データとの間において、1以上の分割領域の動きベクトルvに、例えば重回帰分析等の統計処理を施して動き量aを算定する。なお、動き量aの算定時には、ズーム動作に基づく動き量a等を適切に検出するために、画像データ上における各分割領域の位置も考慮される。
画像の動き量aは、例えば式1に示すようなアフィンモデルを用いて、パン動作、チルト動作、ズーム動作に基づくアフィン係数である、パン係数ap、チルト係数at、ズーム係数azとして算定される。ここで、θが十分に小さいと仮定すると、式1の最終式が得られる。なお、以下では、説明の便宜上、パン係数ap、チルト係数at、ズーム係数azとして算定される動き量aを総括して画像の動き量aとも称する。
判定区間設定部113は、画像の動き量aが所定の基準Tcを満たす区間を判定区間Laとして設定する。判定区間設定部113は、動き量情報保持部135から動き量aの時系列データを読出し、時系列データから動き量aが基準Tcを満たす区間Lを特定し、特定された区間Lの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、判定区間Laとして設定する。ここで、基準Tcおよび基準区間長Lcは、予め実験等により設定される。
判定基準設定部115は、判定区間Laの区間長に応じて判定基準Taを適応的に設定する。判定基準設定部115は、予め設定されている判定基準パラメータに基づいて、判定区間Laの区間長に応じて判定基準Taを適応的に設定する。ここで、判定基準設定部115は、判定区間Laの区間長が相対的に長いほど、判定基準Taを相対的に小さな絶対値の動き量aとして設定する。
一般に、緩慢なカメラ動作の動作区間は、急速なカメラ動作の動作区間よりも長くなる傾向にある。そして、緩慢なカメラ動作による画像の動き量aは、急速なカメラ動作による画像の動き量aよりも小さくなる傾向にある。また、急速なカメラ動作の動作区間の前後では、比較的大きな動き量aのノイズ成分が算定され易くなる。このため、判定基準Taは、動作区間が相対的に長くなる緩慢なカメラ動作時に、相対的に小さな絶対値の動き量aとして設定され、動作区間が相対的に短くなる急速なカメラ動作時に、相対的に大きな絶対値の動き量aとして設定される。
特徴区間判定部117は、判定区間La内における画像の動き量aの特性値Paを判定基準Taと比較し、特性値Paが判定基準Taを満たす場合に、判定区間Laを画像の特徴区間であると判定する。特徴区間判定部117は、動き量情報保持部135から動き量aの時系列データを読出し、判定区間La内の動き量aに、例えば算術平均等の統計処理を施して動き量aの特性値Paを算定し、判定基準Taと比較する。特徴区間判定部117は、特性値Paが判定基準Taを満たす場合に、判定区間Laを特徴区間であると判定する。特徴区間判定部117は、判定区間Laを特徴区間であると判定すると、特徴区間に含まれる1以上の画像データを特定可能な画像データIDを、特徴区間情報として特徴区間情報保持部137に供給する。
特徴区間補正部119は、特徴区間判定部117により判定された画像の特徴区間を必要に応じて補正する。特徴区間補正部119は、動き量aの時系列データのうちパン係数apの特徴区間とチルト係数atの特徴区間が時間的に重複する重複区間について、パン係数apまたはチルト係数atの特徴区間のいずれかを補正する。なお、特徴区間補正処理の詳細については、後述する。
データ記録部121は、データ生成部103から供給される画像・音声データを画像・音声データIDに関連付けて記録する。
データ再生部123は、操作I/F部127を通じて入力される操作情報に応じて、コンテンツの画像・音声データを再生処理する。データ再生部123は、特に、特徴区間の画像・音声データをコンテンツのダイジェストとして再生処理する。データ再生部123は、特徴区間情報保持部137から特徴区間情報を読出し、特徴区間に対応する画像・音声データをデータ記録部121から読み出して再生処理し、再生処理結果を出力部125に供給する。
出力部125は、コンテンツの画像・音声データに対応する画像・音声情報を画像(映像)表示装置、音声出力装置等に出力する。出力部125は、特に、ダイジェスト再生される特徴区間の画像・音声データに対応する画像・音声情報を画像(映像)表示装置、音声出力装置等に出力する。
操作I/F部127は、放送チャンネルの選局処理、コンテンツの記録・再生処理等に関する操作情報をユーザから取得する。操作I/F部127は、ビデオレコーダ100本体に設けられた操作ボタン・操作キー等でもよく、不図示のコントローラから操作信号を受信する操作信号受信部でもよい。また、操作I/F部127は、ビデオレコーダ100の動作状態等を出力するインジケータを含んでもよい。
制御部129は、CPU、ROM、RAM等を含み、ビデオレコーダ100の動作に必要な処理および各構成要素の制御を行う。CPUは、特徴区間判定処理等を実行するためのプログラムをROMから読出し、RAM上に展開して実行する。RAMは、判定基準パラメータ等、特徴区間判定処理プログラム等の実行に必要なパラメータを保持する。また、RAMは、特徴量情報保持部131、動きベクトル情報保持部133、動き量情報保持部135、特徴区間情報保持部137のうち少なくともいずれかとして機能してもよい。
なお、ビデオレコーダ100の各構成要素は、汎用的な部材・回路により構成されてもよく、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されてもよい。また、各構成要素の機能のうち少なくとも一部は、CPU上で実行されるプログラムにより実現されてもよい。
[3−2.特徴区間判定方法]
次に、図3〜図8を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る特徴区間判定方法について説明する。図3は、第1の実施形態に係る特徴区間判定方法の処理手順を示すフロー図である。図4A、4Bおよび図5は、動きベクトル判定処理の処理方法を示す図である。図6、図7A、7B、図8A〜8Dは、第1の実施形態に係る特徴区間判定処理の処理方法を示す図である。図9および図10は、特徴区間補正処理の処理方法を示す図である。
図3に示すように、データ生成部103は、チューナ部101から供給される画像・音声信号から画像・音声データを生成する(ステップS101)。データ生成部103は、連続する画像データを、画像データIDとともに特徴量抽出部105およびデータ記録部121に供給し、連続する音声データを、音声データIDとともにデータ記録部121に供給する。また、データ記録部121は、画像・音声データを画像・音声データIDとともに記録する。
特徴量抽出部105は、連続する画像データについて、画像データを複数の分割領域に区分し、各分割領域の特徴量を抽出する(S103)。特徴量抽出部105は、各分割領域の特徴量を、画像データIDおよび分割領域IDと併せて、特徴量情報として特徴量情報保持部131に供給する。
動きベクトル検出部107は、連続する画像データの間において、分割領域の特徴量に基づいて、各分割領域の動きベクトルvを検出する(S105)。動きベクトル検出部107は、各分割領域の動きベクトルvを、画像データIDおよび分割領域IDと併せて、動きベクトル情報保持部133に供給する。
(動きベクトル判定処理)
動きベクトル判定部109は、連続する画像データについて、各分割領域の動きベクトルvについて、画像上に設定される直交座標系上の位置とベクトル成分の向きとの間における所定の関係を判定する(S107)。
図4A、4Bには、直交座標系上における動きベクトルvの位置と動きベクトルvのX成分およびY成分の向きとの間における所定の関係が示されている。ここで、直交座標系には、右方向を正として左右方向にX軸が設定され、上方向を正として上下方向にY軸が設定される。直交座標系上において、X座標およびY座標が正となる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正となる領域を第2象限、X座標およびY座標が負となる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負となる領域を第4象限として設定する。画像データの各分割領域は、画像上に設定される直交座標系上の位置に応じて、第1〜第4象限のいずれかに区分されるものとする。
図4Aに示すように、左パン動作の場合、画像が右方向に移動されるので、動きベクトルvのX成分vxは、第1〜第4象限のいずれでも右向きとなる。同様に、右パン動作の場合、画像が左方向に移動されるので、動きベクトルvのX成分vxは、第1〜第4象限のいずれでも左向きとなる。次に、ズームイン動作の場合、画像の中心を基準として放射状に画像が伸張されるので、動きベクトルvのX成分vxは、第1および第4象限で右向きとなり、第2および第3象限で左向きとなる。同様に、ズームアウト動作の場合、画像の中心方向に画像が収縮されるので、動きベクトルvのX成分vxは、第1および第4象限で左向きとなり、第2および第3象限で右向きとなる。
図4Bに示すように、下チルト動作の場合、画像が上方向に移動されるので、動きベクトルvのY成分vyは、第1〜第4象限のいずれでも上向きとなる。同様に、上チルト動作の場合、画像が下方向に移動されるので、動きベクトルvのY成分vyは、第1〜第4象限のいずれでも下向きとなる。次に、ズームイン動作の場合、画像の中心を基準として放射状に画像が伸張されるので、動きベクトルvのY成分vyは、第1および第2象限で上向きとなり、第3および第4象限で下向きとなる。同様に、ズームアウト動作の場合、画像の中心方向に画像が収縮されるので、動きベクトルvのY成分vyは、第1および第2象限で下向きとなり、第3および第4象限で上向きとなる。
よって、各分割領域の動きベクトルvには、以下のような所定の関係が存在する。
・第1象限と第4象限または第2象限と第3象限では、動きベクトルvのX成分vxの向きが同一である。
・第1象限と第2象限または第3象限と第4象限では、動きベクトルvのY成分vyの向きが同一である。
図5A、5Bには、動きベクトルvの判定結果が示されている。図5A、5Bでは、画像データが分割領域(i、j)(i=1〜8、j=1〜8)に区分されている。
図5Aに示すように、左パン動作の場合に、分割領域(1、1)〜(8、8)の動きベクトルvは、例外的な分割領域(3、6)〜(6、6)、(3、7)〜(6、7)の動きベクトルv´を除いて、右方向のベクトルとして検出されている。ここで、第1および第4象限または第2および第3象限の分割領域の動きベクトルvには、X成分の向きが同一になるという関係が存在するはずである。そして、例外的な分割領域を除く分割領域では、これらの関係が満たされている。このため、動きベクトル判定部109は、例外的な分割領域の動きベクトルv´が画像の大局的な動きと一致していないと判定する。
ここで、各画像データにおいて、画像データに含まれる各分割領域で検出された動きベクトルvをベクトルの方向別に集計し、最も多くの分割領域で検出された動きベクトルvを画像の大局的な動きと一致するベクトルと判断するとよい。
同様に、図5Bに示すように、下チルト動作の場合に、分割領域(1、1)〜(8、8)の動きベクトルvは、例外的な分割領域(3、6)〜(6、6)、(3、7)〜(6、7)の動きベクトルv´を除いて、上方向のベクトルとして検出されている。ここで、第1および第2象限または第3および第4象限の分割領域の動きベクトルvには、X成分の向きが同一になるという関係が存在するはずである。そして、例外的な分割領域を除く分割領域では、これらの関係が満たされている。このため、動きベクトル判定部109は、例外的な分割領域の動きベクトルv´が画像の大局的な動きと一致していないと判定する。
例えば、画像データ中に、画像の移動方向と異なる方向へ移動中の物体が捉えられている場合等には、各分割領域の動きベクトルvが所定の関係を満たさなくなってしまう。このため、各分割領域の動きベクトルvが所定の関係を満たすかを判定し、所定の関係を満たす1以上の分割領域の動きベクトルvに、統計処理を施して動き量aを算定することで、画像の大局的な動きを表す動き量aの算定精度を向上させることができる。
動き量算定部111は、連続する画像データ間において、所定の関係を満たす1以上の動きベクトルvから画像の動き量aを算定する(S109)。動き量aは、パン、チルト、ズームのカメラ動作に基づく動き量aを表すパン係数ap、チルト係数at、ズーム係数azのうち少なくとも1つとして算定される。なお、以下では、説明の便宜上、動き量aがパン係数apおよびチルト係数atとして算定される場合を想定する。動き量算定部111は、パン係数ap、チルト係数atとして算定される動き量aを、画像データIDと併せて、動き量aの時系列データとして動き量情報保持部135に供給する。
(特徴区間判定処理)
判定区間設定部113は、画像の動き量aが所定の基準Tcを満たす区間を判定区間Laとして設定する(S111)。判定区間設定部113は、動き量aの時系列データから動き量aが所定の基準Tcを満たす区間Lを特定する。第1の判定基準となる所定の基準Tcは、パン係数apおよびチルト係数atの基準TcpおよびTctとして設定される。判定区間設定部113は、パン係数apの区間Lp、およびチルト係数atの区間Ltを特定する。判定区間設定部113は、特定された区間Lの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、区間Lを判定区間Laとして設定する。所定の基準区間長Lcは、パン係数apおよびチルト係数atの基準LcpおよびLctとして設定される。判定区間設定部113は、基準区間長Lcp、Lctに基づいて、区間Lp、Ltを判定区間Lap、Latとして設定する。
判定基準設定部115は、判定区間Laの区間長に応じて判定基準Taを適応的に設定する(S113)。判定基準設定部115は、判定区間Lap、Latの区間長に応じた判定基準Tap、Tatを設定する。
特徴区間判定部117は、判定区間La内における画像の動き量aの特性値Paを判定基準Taと比較し(S115)、特性値Paが判定基準Taを満たす場合に、判定区間Laを画像の特徴区間であると判定する(S117〜S121)。特徴区間判定部117は、例えば判定区間La内における動き量aの算術平均値等として、特性値Paを算定する。特徴区間判定部117は、判定区間Lapにおけるパン係数apの特性値Pap、および判定区間Latにおけるチルト係数atの特性値Patを算定する。特徴区間判定部117は、特性値Pap、Patを判定基準Tap、Tatと比較し、比較結果に応じて、判定区間Lap、Latを特徴区間であると判定する。特徴区間判定部117は、判定区間Laを特徴区間であると判定すると、特徴区間情報として特徴区間情報保持部137に供給する。特徴区間判定部117は、判定結果に応じて、判定区間Lap、Latを、パン係数ap、チルト係数atの特徴区間情報として供給する。
図6〜図8には、第1の実施形態に係る特徴区間判定処理の処理方法が示されている。なお、図6〜図8では、パン係数apの特徴区間を判定する場合を示すが、チルト係数atまたはズーム係数az(azxまたはazy)の特徴区間を判定する場合についても同様に説明することができる。
図6には、判定区間Laの区間長に応じて設定される第2の判定基準となる判定基準Taの一例として、パン係数apの判定基準Tapが示されている。判定基準Tapは、判定区間Lapの関数として表される。なお、関数グラフの特性を表すパラメータは、判定基準パラメータとして、パン係数apおよびチルト係数at毎に設定される。また、図6には、判定基準Tapが一次関数として表されているが、高次関数として表されてもよい。
図6に示すように、判定基準Tapは、緩慢なパン動作時、つまり、判定区間Lapが相対的に長くなる場合に、相対的に小さな絶対値のパン係数apとして設定され、急速なパン動作時、つまり、判定区間Lapが相対的に短くなる場合に、相対的に大きな絶対値のパン係数apとして設定される。よって、緩慢なパン動作時には、相対的に小さなパン係数apが検出された場合にも特徴区間として判定され、急速なパン動作時には、相対的に大きなパン係数apが検出されない場合には特徴区間として判定されない。
なお、チルト係数atおよびズーム係数az(azx、azy)の判定基準Tat、Taz(Tazx、Tazy)も、パン係数apの判定基準Tapと同様に、判定区間Lat、Laz(Lazx、Lazy)の区間長に応じて適応的に設定される。
以上のように、緩慢なカメラ動作時と急激なカメラ動作時では、第1の判定基準Tcにより特定される判定区間Laの区間長が異なるので、判定区間Laの区間長に応じて、特徴区間を判定するための第2の判定基準Taを適応的に設定することができる。よって、第1の判定基準Tcにより特定された判定区間Laの特性値Paと、判定区間Laの区間長に応じて設定される第2の判定基準Taとを比較し、判定区間Laの特性値Paが判定基準Taを満たす場合に、判定区間Laを特徴区間であると判定する。これにより、第1の判定基準Tcおよび第2の判定基準Taを用いて、特徴区間を判定することで、特徴区間の判定精度を向上させることができる。
以下では、図7および図8を参照しながら、特徴区間判定処理の具体例について説明する。図7A、7Bには、緩慢なパン動作時および急激なパン動作時における特徴区間判定処理の処理結果例が示されている。図7Aに示すように、動作区間L1で緩慢なパン動作が生じると、動作区間L1内における画像のパン係数apが算定される。動作区間L1の前後では、緩慢なパン動作に伴って小さなパン係数apのノイズ成分が算定される。
判定区間設定部113は、パン係数apの時系列データからパン係数apが基準Tcpを満たす区間Lp1を特定する。ここで、所定の基準Tcpは、緩慢なパン動作に伴って算定されるパン係数apのノイズ成分に相当する動き量aとして予め設定されている。これにより、緩慢なパン動作に伴う小さなパン係数apのノイズ成分が算定された区間が区間Lp(例えばLp1)として特定されずにすむ。判定区間設定部113は、区間Lp1の区間長が所定の基準区間長Lcpより長い場合に、区間Lp1を判定区間Lap1として設定する。ここで、基準区間長Lcpは、急激なパン動作の特徴区間よりも短い区間長として予め設定されている。これにより、基準Tcpを満たすが、瞬間的な大きなパン係数apのノイズ成分等が算定された区間が判定区間Lap(例えばLap1)として設定されずにすむ。
判定基準設定部115は、判定区間Lap1の区間長に応じて判定基準Tap1を適応的に設定する。判定基準Tap1は、図6に示す判定区間Lapの関数として設定される。ここで、判定基準Tap1は、緩慢なパン動作時、つまり、相対的に長い判定区間Lap1に応じて、相対的に小さな絶対値のパン係数apとして設定されている。
特徴区間判定部117は、判定区間Lap1内におけるパン係数apの算術平均値として、特性値Pap1を算定し、特性値Pap1を判定基準Tap1と比較する。図7Aに示す例では、特性値Pap1が判定基準Tap1を満たすので、特徴区間判定部117は、判定区間Lap1をパン係数apの特徴区間であると判定する。
図7Bに示すように、動作区間L2で急激なパン動作が生じると、動作区間L2内における画像のパン係数apが算定される。動作区間L2の前後では、急激なパン動作に伴って比較的大きなパン係数apのノイズ成分が算定される。
判定区間設定部113は、パン係数apの時系列データからパン係数apが基準Tcpを満たす区間Lp2を特定する。これにより、小さなパン係数apのノイズ成分が算定された区間が区間Lp(例えばLp2)として特定されずにすむ。判定区間設定部113は、区間Lp2の区間長が所定の基準区間長Lcpより長い場合に、区間Lp2を判定区間Lap2として設定する。これにより、基準Tcpを満たすが、瞬間的な大きなパン係数apのノイズ成分等が算定された区間が判定区間Lap(例えばLap2)として設定されずにすむ。
判定基準設定部115は、判定区間Lap2の区間長に応じて判定基準Tap2を適応的に設定する。ここで、判定基準Tap2は、急激なパン動作時、つまり、相対的に短い判定区間Lap2に応じて、相対的に大きな絶対値のパン係数apとして設定されている。
特徴区間判定部117は、判定区間Lap2内におけるパン係数apの算術平均値として、特性値Pap2を算定し、特性値Pap2を判定基準Tap2と比較する。これにより、判定基準Tap(例えばTap2)を満たすが、瞬間的な大きなパン係数apのノイズ成分等が算定された判定区間Lap(例えばLap2)が特徴区間であるとして判定されずにすむ。図7Bに示す例では、特性値Pap2が判定基準Tap2を満たすので、特徴区間判定部117は、判定区間Lap2をパン係数apの特徴区間であると判定する。
図8A、8Bには、急激なパン動作時における特徴区間判定処理の変形例が示されている。図8Aに示すように、動作区間L3で急激なパン動作が生じると、動作区間L3内における画像のパン係数apが算定される。動作区間L3の前後では、急激なパン動作に伴ってかなり大きなパン係数apのノイズ成分が算定される。ここで、動作区間L3およびその前後の区間を動作区間L3´と称する。
判定区間設定部113は、動作区間L3´が基準Tcpを満たすので、区間Lp3として特定する。判定区間設定部113は、区間Lp3の区間長が所定の基準区間長Lcpより長いので、区間Lp3を判定区間Lap3として設定する。判定基準設定部115は、判定区間Lap3の区間長に応じて判定基準Tap3を適応的に設定する。ここで、判定基準Tap3は、相対的に長い判定区間Lap3に応じて、相対的に小さな絶対値のパン係数apとして設定されてしまう。そして、図8Aに示す例では、特性値Pap3が判定基準Tap3を満たすので、特徴区間判定部117は、判定区間Lap3(=動作区間L3´)をパン係数apの特徴区間であると誤って判定してしまう。ここで、判定基準Tap(例えばTap3)は、パン係数apの特性値Pa(例えばPap3)の下限値を判定するものであるが、上限値を判定することができないため、上記のような誤判定が生じてしまう。
よって、図8Bに示すように、パン係数apの上限値を判定するために、判定基準Tapを下限値Taplおよび上限値Tapuとして設定する。ここで、下限値Taplは、判定基準Tapのパン係数apに相当し、上限値Tapuは、下限値Taplよりも大きな絶対値のパン係数apを与える判定区間Lapの関数として表される。そして、特徴区間判定部117は、パン係数apの特性値Papが判定基準Tapを満たす場合(特性値Papが下限値Taplと上限値Tapuとの間にある場合)に、判定区間Lapを特徴区間であると判定する。
判定基準設定部115は、判定区間Lap3の区間長に応じて判定基準Tap3を適応的に設定する。ここで、判定基準Tap3の下限値Tapl3および上限値Tapu3は、相対的に長い判定区間Lap3に応じて、相対的に小さな絶対値のパン係数apとして設定される。
図8Cに示す例では、パン係数apの区間平均値である特性値Pap3が下限値Tapl3を満たすが、上限値Tapu3を満たさないので、特徴区間判定部117は、判定区間Lap3(=動作区間L3´)をパン係数apの特徴区間ではないと判定する。これにより、パン係数apの特性値Pap(例えばPap3)を下限値Taplおよび上限値Tapu(例えばTapu3、Tapl3)からなる判定基準Tap(例えばTap3)により判定することで、誤判定を防止することができる。
さらに、図8Dに示すように、動作区間L3を特徴区間として適切に判定することができる。判定区間設定部113は、基準Tcpの絶対値を所定の量ΔTcpで増加させ、Tcp+ΔTcpを基準Tcp´として再設定する。判定区間設定部113は、判定区間Lap3内において、基準Tcp´を満たす区間Lp3´を特定し、区間Lp3よりも短い区間長を有する区間Lp3´を判定区間Lap3´として再設定する。判定基準設定部115は、図8Bに示すように、判定区間Lap3´の区間長に応じて、判定基準Tap3´を適応的に再設定する。そして、図8Dに示す例では、判定区間Lap3´の特性値Pap3´が判定基準Tap3´の上限値Tapu3´を満たさないので、特徴区間判定部117は、判定区間Lap3´をパン係数apの特徴区間ではないと判定する。
このため、判定区間設定部113は、基準Tcp´の絶対値を所定の量ΔTcpでさらに増加させ、Tcp´+ΔTcpを基準Tcp´´として再設定する。判定区間設定部113は、判定区間Lap3´内において、基準Tcp´´を満たす区間Lp3´´を特定し、区間Lp3´よりも短い区間長を有する区間Lp3´´を判定区間Lap3´´として再設定する。ここで、区間Lp3´´は、急速なパン動作の動作区間L3に相当する。判定基準設定部115は、判定区間Lap3´´の区間長に応じて、判定基準Tap3´´を適応的に設定する。そして、図8Dに示す例では、判定区間Lap3´の特性値Pap3´´が判定基準Tap3´´を満たすので、特徴区間判定部117は、判定区間Lap3´´をパン係数apの特徴区間であると判定する。これにより、判定区間Lap内において判定区間Lapを短く再設定し、再設定された判定区間Lapの区間長に応じて判定基準Tapを適応的に再設定して、判定区間Lapが特徴区間であるかを判定することで、特徴区間を適切に判定することができる。
以上、特徴区間判定処理の変形例として、図8Bに示す判定基準Tapを用いて、急激なカメラ動作時における特徴区間を判定する場合について説明した。しかし、図8Bに示す判定基準Tapは、以下で説明するように、緩慢なカメラ動作時における特徴区間を判定する場合にも適用することができる。図8Bに示す判定基準Tapは、緩慢なカメラ動作時における特徴区間を判定する場合に、例えば、検出区間内で検出されるノイズの多寡に応じて、上限値Tapuおよび下限値Taplを切替えて判定基準Tapを設定する場合にも適用することができる。
前述した特徴区間判定処理では、例えば、緩慢なカメラ動作時に判定基準Tapが小さく設定されるので、ノイズが少ない状態では特徴区間を適切に判定できるが、ノイズが多い状態ではノイズ区間を特徴区間として誤判定してしまう場合がある。このため、例えばパン係数ap等の動き量aの変動に応じて、上限値Tapuおよび下限値Taplを切替えて判定基準Tapを適応的に設定してもよい。検出区間内に検出される動き量aの分散値が所定の閾値を超える場合に、ノイズが多い状態であると判定し、図8Bに示す上限値Tapuに基づいて判定基準Tapを設定する。一方、動き量aの分散値が所定の閾値未満である場合に、ノイズが少ない状態であると判定し、図8Bに示す下限値Taplに基づいて判定基準Tapを設定する。これにより、例えば、緩慢なカメラ動作時にノイズが多い状態でも、特徴区間の誤判定を抑制することができる。
(特徴区間補正処理)
特徴区間補正部119は、特徴区間判定部117により判定された画像の特徴区間を必要に応じて補正する。特徴区間補正部119は、パン係数apの時系列データのうちパン係数apの特徴区間とチルト係数atの特徴区間が時間的に重複する重複区間について、パン係数apまたはチルト係数atの特徴区間のいずれかを補正する(S123、S125)。
特徴区間補正部119は、特徴区間情報を特徴区間情報保持部137から読出す。特徴区間補正部119は、パン係数apおよびチルト係数atの特徴区間情報に基づいて、パン係数apの特徴区間とチルト係数atの特徴区間が重複する重複区間を特定する。
特徴区間補正部119は、重複区間に含まれるパン係数apおよびチルト係数atの時系列データを動き量情報保持部135から読み出す。特徴区間補正部119は、重複区間内のパン係数apに、例えば算術平均等の統計処理を施し、パン係数apの特性値Gapを算定し、重複区間内のチルト係数atに、例えば算術平均等の統計処理を施し、チルト係数atの特性値Gatを算定する。特徴区間補正部119は、重複区間におけるパン係数apおよびチルト係数atの特性値Gap、Gatを、式2によりベクトル合成した特性値Gのベクトル角θを算定する。
特徴区間補正部119は、特性値Gのベクトル角θを所定の判定基準と比較し、パン係数apまたはチルト係数atの特徴区間のいずれかを補正する。特徴区間補正部119は、重複区間をパン係数apまたはチルト係数atの特徴区間と判定した場合に、チルト係数atまたはパン係数apの特徴区間に含まれる重複区間をチルト係数atまたはパン係数apの特徴区間から除く補正をする。特徴区間補正部119は、補正結果に基づいて、特徴区間情報を補正し、特徴区間情報保持部137に供給する。
図9および図10には、特徴区間補正処理の処理方法が示されている。図9には、特性値Gのベクトル角θの判定基準の一例が示されている。図9に示す判定基準は、例えば、−60°<θ≦+60°、+120°<θ≦+180°、−180°<θ≦−120°となる重複区間をパン係数apの特徴区間と設定し、+60°<θ≦+120°、−120°<θ≦−60°となる重複区間をチルト係数atの特徴区間と設定している。
ここで、図9に示す判定基準は、一般的なカメラ操作では、パン操作の頻度がチルト操作の頻度よりも高く、また、カメラが正確にパン操作されずに無意識のうちにチルト操作される可能性が高いと考えて設定されている。なお、判定基準は、例えば、−45°<θ≦+45°、+135°<θ≦+180°、−180°<θ≦−135°となる重複区間をパン係数apの特徴区間と設定し、+45°<θ≦+135°、−135°<θ≦−45°となる重複区間をチルト係数atの特徴区間と設定してもよい。
図10に示す例では、判定区間Lap1、Lap2がパン係数apの特徴区間として判定され、判定区間Lat1、Lat2がチルト係数atの特徴区間として判定されている。判定区間Lap1では、パン係数apの特性値Gp1として表される右パン動作が生じており、判定区間Lap2では、パン係数apの特性値Gp2として表される左パン動作が生じている。また、判定区間Lat1では、チルト係数atの特性値Gt1として表される上チルト動作が生じており、判定区間Lat2では、チルト係数atの特性値Gt2として表される下チルト動作が生じている。そして、判定区間Lap1と判定区間Lat1には、部分的な重複区間Lap1´、Lat1´が存在する。また、判定区間Lap2と判定区間Lat2にも、部分的な重複区間Lap2´、Lat2´が存在する。
図10には、パン係数apの特性値Gpおよびチルト係数atの特性値Gtをベクトル合成した特性値Gのベクトル角θが示されている。重複区間Lap1´を除く判定区間Lap1では、右パン動作が生じているので、θap1=±0°として右パン動作が表されている。重複区間Lat1´を除く判定区間Lat1では、上チルト動作が生じているので、θat1=+90°として上チルト動作が表されている。
重複区間La1´(=Lap1´、Lat1´)では、右パン動作および上チルト動作が同時に生じており、パン係数apの特性値Gp1の絶対値がチルト係数atの特性値Gt1の絶対値よりも大きいので、特性値G1のベクトル角θa1´=+20°として右パン動作および上チルト動作が表されている。特徴区間補正部119は、−60°<θa1´=+20°≦+60°であるので、重複区間La1´をパン係数apの特徴区間と判定する。そして、特徴区間補正部119は、チルト係数atの特徴区間であると判定された判定区間Lat1から重複区間Lat1´を除く補正をする。
また、重複区間Lap2´を除く判定区間Lap2では、左パン動作が生じているので、θap2=±180°として左パン動作が表されている。重複区間Lat2´を除く判定区間Lat2では、下チルト動作が生じているので、θat2=−90°として下チルト動作が表されている。
重複区間La2´(=Lap2´、Lat2´)では、左パン動作および下チルト動作が同時に生じており、パン係数apの特性値Gp2の絶対値がチルト係数atの特性値Gt2の絶対値よりも小さいので、特性値G2のベクトル角θa2´=−70°として左パン動作および下チルト動作が表されている。特徴区間補正部119は、−120°<θa2´=−70°≦−60°であるので、重複区間La2´をチルト係数atの特徴区間と判定する。そして、特徴区間補正部119は、パン係数apの特徴区間であると判定された判定区間Lap2から重複区間Lap2´を除く補正をする。
これにより、パン動作およびチルト動作の特徴区間として判定された重複区間について、動き量aの特性値Gp、Gtに基づいて特徴区間が補正される。よって、動き量aの絶対値と併せて動き量aの角度を用いて、判定区間Lap、Latが特徴区間であるかを判定するので、各カメラ動作の特徴区間の判定精度を向上させることができる。
なお、上記説明では、特徴区間補正処理を特徴区間判定処理後に行う場合について説明したが、特徴区間補正処理を特徴区間判定処理時に併せて行うようにしてもよい。
データ再生部123は、特徴区間判定処理および特徴区間補正処理の完了後に操作I/F部127を通じて入力される操作情報に応じて、特徴区間の画像・音声データをコンテンツのダイジェストとして再生する。データ再生部123は、特徴区間情報保持部137から特徴区間情報を読出し、特徴区間に対応する画像・音声データをデータ記録部121から読み出して再生処理し、再生処理結果を出力部125に供給する。データ再生部123は、パン係数ap、チルト係数atの特徴区間に対応する画像・音声データを再生処理してもよく、操作情報または設定情報に応じて選択される特定の特徴区間に対応する画像・音声データを再生処理してもよい。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る特徴区間判定方法によれば、画像の動き量aが所定の基準Tcを満たす判定区間Laの区間長に応じて、判定基準Taを適応的に設定し、判定区間La内における動き量aの特性値Paと比較し、判定区間Laが特徴区間であるかを判定するので、カメラ動作の速度に依存せずに、画像の特徴区間を適切に判定することができる。
<第2の実施形態>
[4−1.特徴区間判定装置の機能構成]
本発明の第2の実施形態に係る特徴区間判定装置の主要な機能構成について説明する。ここで、第2の実施形態に係る特徴区間判定装置は、判定区間設定部113、判定基準設定部115、特徴区間判定部117を除いて、第1の実施形態に係る特徴区間判定装置と同様な機能構成を有する。このため、以下では、特に、判定区間設定部113、判定基準設定部115、特徴区間判定部117の機能について説明する。
判定区間設定部113は、所定の区間長を有する任意の区間を判定区間Laとして設定する。判定区間設定部113は、まず、動き量aの時系列データのうち、例えば時系列データの始点から所定の区間長を有する区間を第1の判定区間Laとして設定する。そして、第1の判定区間Laについて特徴区間の判定が終了すると、第1の判定区間Laに後続し、所定の区間長を有する区間を第2の判定区間Laとして設定し、同様に、第3、第4、…第nの判定区間Laを設定する。連続する判定区間La同士は、互いに時間的に重複する重複区間を有するように設定されてもよく、重複区間を有しないように設定されてもよい。ここで、判定区間Laの区間長は、予め実験等により設定されるが、例えば、画像データのフレームレートが毎秒60フレーム程度であれば、1〜60フレーム程度として設定される。
判定基準設定部115は、判定区間La内における画像の動き量aの特性値Paに応じて、判定基準Taを適応的に設定する。判定基準設定部115は、まず、動き量情報保持部135から動き量aの時系列データを読出し、時系列データに含まれる判定区間La内の動き量aに、例えば算術平均等の統計処理を施して動き量aの特性値Paを算定する。次に、判定基準設定部115は、特性値Paおよび所定のパラメータに基づいて、例えば特性値Paの50%を、判定基準Taとして設定する。ここで、判定基準Taの算定パラメータは、予め実験等により設定される。
特徴区間判定部117は、判定区間La内における画像の動き量aを判定基準Taと比較し、判定区間Laのうち画像の動き量aが判定基準Taを満たす連続区間Lの区間長を所定の基準区間長Lcと比較し、連続区間Lの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、判定区間Laを画像の特徴区間であると判定する。
特徴区間判定部117は、まず、判定区間La内における動き量aの特性値Paが所定の基準Tcを満たすかを判定する。ここで、基準Tcは、予め実験等により設定される。そして、特性値Paが基準Tcを満たす場合に、特徴区間判定部117は、動き量aの時系列データに基づいて、判定区間Laのうち動き量aが判定基準Taを満たす連続区間Lの区間長を特定する。次に、特徴区間判定部117は、連続区間Lの区間長を所定の基準区間長Lcと比較し、連続区間Lの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、判定区間Laを画像の特徴区間であると判定する。特徴区間判定部117は、判定区間Laを特徴区間であると判定すると、特徴区間に含まれる1以上の画像データを特定可能な画像データIDを、特徴区間情報として特徴区間情報保持部137に供給する。ここで、基準区間長Lcは、予め実験等により設定されるが、画像データのフレームレートが毎秒60フレーム程度であれば、5フレーム程度として設定される。
[4−2.特徴区間判定方法]
次に、図11〜図13を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る特徴区間判定方法について説明する。図11は、第2の実施形態に係る特徴区間判定方法の処理手順を示すフロー図である。図12A、12Bおよび図13A、13Bは、第2の実施形態に係る特徴区間判定処理の処理方法を示す図である。第2の実施形態に係る特徴区間判定方法は、ステップS211〜S225の処理を除いて、第1の実施形態に係る特徴区間判定方法と同様な処理手順を有する。このため、以下では、特に、ステップS211〜S225の処理について説明する。
(特徴区間判定処理)
判定区間設定部113は、所定の区間長を有する任意の区間を判定区間Laとして設定する(S201)。判定区間設定部113は、動き量aの時系列データから、所定の区間長を有する任意の区間を判定区間Laとして設定する。
判定基準設定部115は、判定区間La内における画像の動き量aの特性値Paに応じて、判定基準Taを適応的に設定する(S203)。判定基準設定部115は、まず、動き量aの時系列データに基づいて、判定区間La内の動き量aの特性値Paを算定する。判定基準設定部115は、パン係数ap、チルト係数atの時系列データに基づいて、パン係数ap、チルト係数atの特性値Pap、Patを算定する。
次に、判定基準設定部115は、特性値Paおよび所定のパラメータに基づいて、判定基準Taを設定する。判定基準設定部115は、パン係数apの特性値Papおよびパラメータ、チルト係数atの特性値Patおよびパラメータに基づいて、パン係数apの判定基準Tap、チルト係数atの判定基準Tatを設定する。ここで、判定基準Tap、Tatを算定するためのパラメータは、互いに異なるパラメータとして設定されてもよく、同一のパラメータとして設定されてもよい。
特徴区間判定部117は、判定区間La内における画像の動き量aを判定基準Taと比較し、判定区間Laのうち画像の動き量aが判定基準Taを満たす連続区間Lの区間長を所定の基準区間長Lcと比較し、連続区間Lの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、判定区間Laを画像の特徴区間であると判定する(S205〜S215)。
特徴区間判定部117は、判定区間La内における動き量aの特性値Paが所定の基準Tcを満たすかを判定する(S205)。そして、特性値Paが基準Tcを満たす場合に、動き量aの時系列データに基づいて、判定区間Laのうち動き量aが判定基準Taを満たす連続区間Lの区間長を特定する(S207)。特徴区間判定部117は、パン係数apが判定基準Tapを満たす連続区間Lpの区間長、チルト係数atが判定基準Tatを満たす連続区間Ltの区間長を特定する。
次に、特徴区間判定部117は、連続区間Lの区間長を所定の基準区間長Lcと比較し(S209)、連続区間Lの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、判定区間Laを画像の特徴区間であると判定する(S211〜S215)。特徴区間判定部117は、パン係数apの連続区間Lpの区間長に応じて、判定区間Lapを特徴区間であると判定し、チルト係数atの連続区間Ltの区間長に応じて、判定区間Latを特徴区間であると判定する。ここで、パン係数apおよびチルト係数atの基準区間長Lcは、同一の区間長として設定されてもよく、互いに異なる区間長として設定されてもよい。
特徴区間判定部117は、判定区間Laを特徴区間であると判定すると、特徴区間に含まれる1以上の画像データを特定可能な画像データIDを、特徴区間情報として特徴区間情報保持部137に供給する。特徴区間判定部117は、判定結果に応じて、判定区間Lap、Latを、パン係数ap、チルト係数atの特徴区間情報として供給する。
図12A、12Bおよび図13A、13Bには、第2の実施形態に係る特徴区間判定処理の処理方法が示されている。図12A、12Bには、図7A、7Bと同様に、緩慢なパン動作時および急激なパン動作時における特徴区間判定処理の処理結果例が示されている。
図12Aに示すように、判定区間設定部113は、パン係数apの時系列データから、例えば時系列データの始点から所定の区間長を有する区間を判定区間Lapとして設定する。判定基準設定部115は、まず、パン係数apの時系列データに基づいて、判定区間Lap内のパン係数apの特性値Pap、例えば平均値Papを算定する。判定基準設定部115は、特性値Papおよび所定のパラメータに基づいて、例えば0.5Papとして判定基準Tapを設定する。
特徴区間判定部117は、まず、判定区間Lapにおける特性値Papが所定の基準Tcpを満たすかを判定する。ここで、所定の基準Tcpは、緩慢なパン動作に伴って算定されるパン係数apのノイズ成分に相当するパン係数apとして予め設定されている。これにより、緩慢なパン動作に伴う、小さなパン係数apのノイズ成分が算定された判定区間Lapは、特徴区間であると判定されない。
特徴区間判定部117は、判定区間Lapのうちパン係数apが判定基準Tapを満たす連続区間Lpの区間長を特定する。特徴区間判定部117は、連続区間Lpの区間長を所定の基準区間長Lcと比較し、連続区間Lpの区間長が所定の基準区間長Lcより長い場合に、判定区間Lapを画像の特徴区間であると判定する。これにより、基準Tcpを満たすが、瞬間的な大きなパン係数apのノイズ成分等が算定された判定区間Lapは、特徴区間であると判定されない。
図12Aに示すように、動作区間L1の前後では、例えば判定区間Lap1、Lap10が設定される。ここで、各判定区間Lap1、Lap10では、特性値Pap1、Pap10が基準Tcpを満たさない。よって、特徴区間判定部117は、動作区間L1の前後に相当する判定区間Lap1、Lap10をパン係数apの特徴区間ではないと判定する。なお、図12および図13では、各判定区間Lap1〜Lap10に対応するように、「×」印により特性値Pap1〜Pap10が示され、「○」印により判定基準Tap1〜Tap10が示されている。
一方、動作区間L1内では、例えば判定区間Lap2〜Lap9が設定される。ここで、各判定区間Lap2〜Lap9では、特性値Pap2〜Pap9が基準Tcpを満たし、判定基準Tap2〜Tap9を満たす連続区間Lp2〜Lp9の各区間長が基準区間長Lcを満たしている。よって、特徴区間判定部117は、動作区間L1に相当する判定区間Lap2〜Lap9をパン係数apの特徴区間であると判定する。
また、図12Bに示すように、動作区間L2の前後では、例えば判定区間Lap1〜Lap4、Lap7〜Lap10が設定される。ここで、各判定区間Lap1〜Lap4、Lap7〜Lap10では、パン係数apの区間平均値である特性値Pap1〜Pap4、Pap7〜Pap10が基準Tcpを満たしている。しかし、動作区間L2の前後では、大きな変動を伴うパン係数apのノイズ成分が算定されるので、判定基準Tap1〜Tap4、Tap7〜Tap10を満たす連続区間Lp1〜Lp4、Lp7〜Lp10の各区間長が基準区間長Lcを満たさない。よって、特徴区間判定部117は、動作区間L2の前後に相当する判定区間Lap1〜Lap4、Lap7〜Lap10をパン係数apの特徴区間ではないと判定する。
一方、動作区間L2内では、例えば判定区間Lap5、Lap6が設定される。ここで、各判定区間Lap5、Lap6では、特性値Pap5、Pap6が基準Tcpを満たし、判定基準Tap5、Tap6を満たす連続区間Lp5、Lp6の各区間長が基準区間長Lcを満たしている。よって、特徴区間判定部117は、動作区間L2に相当する判定区間Lap5、Lap6をパン係数apの特徴区間であると判定する。
図13A、13Bには、図8A、8Bと同様に、急激なパン動作時における特徴区間判定処理の変形例が示されている。図13Aに示すように、動作区間L3´の前後では、例えば判定区間Lap1、Lap10が設定される。各判定区間Lap1、Lap10では、特性値Pap1、Pap10が基準Tcpを満たさない。よって、特徴区間判定部117は、動作区間L3´の前後に相当する判定区間Lap1、Lap10をパン係数apの特徴区間ではないと判定する。
一方、動作区間L3´では、Lap2〜Lap9が設定され、さらに動作区間L3では、判定区間Lap5、Lap6が設定される。ここで、各判定区間Lap2〜Lap9では、特性値Pap2〜Pap9が基準Tcpを満たしている。また、動作区間L3´のうち動作区間L3の前後では、かなり大きなパン係数apのノイズ成分が算定されるので、判定基準Tap2〜Tap9を満たす連続区間Lp2〜Lp9の各区間長が基準区間長Lcを満たしている。よって、特徴区間判定部117は、動作区間L3´に相当する判定区間Lap2〜Lap9をパン係数apの特徴区間であると誤って判定してしまう。
このような場合、以下で示すように、連続する判定区間Lap同士における特性値Papの変動特性に応じて、特徴区間を適切に判定することができる。特徴区間判定部117は、連続する判定区間Lap同士における特性値Papの変動ΔPapの絶対値が所定の基準ΔLapcより大きい場合に、特徴区間の開始区間または終了区間であると判定する。
図13Bに示す例では、各判定区間Lap3〜Lap8に対応するように、「Δ」印により特性値Pap2〜Pap3の変動ΔPap3、特性値Pap3〜Pap4の変動ΔPap4、…、特性値Pap8〜Pap9の変動ΔPap9が示されている。ここで、判定区間Lap2〜Lap4同士では、特性値Pap2〜Pap4の変動ΔPap3〜ΔPap4が所定の基準ΔPapcより小さいが、判定区間Lap4、Lap5同士では、特性値Pap4〜Pap5の変動ΔPap5が増加方向であり、変動ΔPap5の絶対値が基準ΔPapcより大きくなる。また、判定区間Lap5、Lap6同士では、特性値Pap5〜Pap6の変動ΔPap6が所定の基準ΔPapcより小さい。そして、判定区間Lap6、Lap7同士では、特性値Pap6〜Pap7の変動ΔPap7が減少方向であり、変動ΔPap7の絶対値が基準ΔPapcより大きく、判定区間Lap7〜Lap9同士では、特性値Pap7〜Pap9の変動ΔPap8〜ΔPap9が基準ΔPapcより小さくなる。
このため、特徴区間判定部117は、判定区間Lap5を特徴区間の開始区間であると判定し、判定区間Lap6を特徴区間の終了区間であると判定する。これにより、連続する判定区間Lap同士における特性値Papの変動特性に応じて、特徴区間の開始区間および終了区間を判定することで、特徴区間を適切に判定することができる。
なお、上記説明では、動き量aの時系列データから判定基準Taを設定し、動き量aの時系列データと判定基準Taを比較して特徴区間を判定する場合について説明した。しかし、動き量aの時系列データに、算術平均、移動平均等の統計処理を施し、統計処理後の動き量aの時系列データに基づいて、判定基準Taを設定し、特徴区間を判定してもよい。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係る特徴区間判定方法によれば、所定の区間長を有する判定区間La内における画像の動き量aの特性値Paに応じて、判定基準Taを適応的に設定し、判定区間La内における動き量aと比較し、判定区間Laのうち動き量aが判定基準Taを満たす連続区間Lの区間長を所定の基準区間長Lcと比較し、判定区間Laが特徴区間であるかを判定するので、カメラ動作の速度に依存せずに、画像の特徴区間を適切に判定することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。