JP2010254649A - 薬剤耐性ウイルスに対する抗ウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トリシン[5,7,4’−トリヒドロキシ−3’,5’−ジメトキシフラボン(4',5,7-trihydroxy-3',5'-dimethoxyflavone)(tricin)]を有効成分とする耐性ウイルスに対する抗ウイルス剤。該耐性ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
ヒトサイトメガロウイルスは、種特異性が強く、ヒト由来の細胞以外では増殖しない。
増殖にはヒト胎児皮膚・筋・包皮・肺などの各初代培養細胞、MRC-5,WI-38などの樹立細胞系が用いられる。感染細胞には核内封入体(塩基性)および細胞質内封入体が認められる。経胎盤感染(垂直感染)し、死産・早産の原因となり、また先天性感染症(CID)を起こす。後天性の感染症も認められ、この場合は一般に不顕性感染で経過した後、潜伏感染しているウイルスが免疫抑制治療・ステロイドホルモンの使用およびエイズ患者やがん患者などの易感染性宿主で活性化され、肺炎・網膜炎・大腸炎などの重篤な日和見感染症を引き起こす。
これらのウイルスによる疾患の予防治療用の抗ウイルス剤が種々開発されている。例えば、ガンシクロビル(Gancicrovir(GCV))、シドフォビル(Cidofovir(CDV))、フォスカーネット(Foscarnet(PFA))、フォミビルセン(Fomivirsen))等が知られている。中でもGCVが汎用されているが、近年GCV耐性ウイルスが問題となっている。また副作用(細胞毒性)が強いという問題もあり、副作用がなくかつ耐性ウイルスにも有効な抗ウイルス活性を有する薬剤が求められている。
また一部のインフルエンザウイルスは、ニワトリなどの家禽類に感染して、致死的な伝染病であり法定伝染病でもある高病原性鳥インフルエンザ(家禽ペスト)を起こすため、養鶏産業にも大きな被害を与える。2006年現在、実用化されている抗インフルエンザ薬はアマンタジン(Amantadine)、ザナミビル、オセルタミビル(Oseltamivir)(商品名タミフル)の3種類である。これらの抗インフルエンザウイルス薬は、高頻度に使用されるため耐性ウイルス株の出現が臨床上大きな問題となっている。実際、これらの薬剤に対する耐性を獲得した、アマンタジン耐性インフルエンザウイルス、ザナミビル(オセルタミビル)耐性インフルエンザウイルス、ザナミビルとオセルタミビルの両薬剤に耐性を持つウイルスの出現もすでに報告されている。
しかし、既知の抗ウイルス剤に対する耐性を獲得した耐性ウイルスに対して、どのような抗ウイルス剤が確実な抗ウイルス作用を有するかどうかは全く予測できない。
従って、副作用がなくかつ耐性ウイルスにも有効な抗ウイルス活性を有する薬剤に対する強い要望がある。
本発明の抗ウイルス剤が対象とする耐性ウイルスとしては、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス株、アマンタジン耐性インフルエンザウイルス株、ガンシクロビル耐性ヒトサイトメガロウイルス等が挙げられる。
本発明は、以下に示す抗ウイルス剤を提供するものである。
(1)トリシンを有効成分とする耐性ウイルスに対する抗ウイルス剤。
(2)ウイルスが、インフルエンザウイルスである上記1記載の抗ウイルス剤。
(3)ウイルスが、インフルエンザウイルスA又はBである上記1記載の抗ウイルス剤。
(4)ウイルスが、サイトメガロウイルスである上記1記載の抗ウイルス剤。
(5)ウイルスが、ヒトサイトメガロウイルスである上記1記載の抗ウイルス剤。
(6)ウイルスが、トリインフルエンザウイルスである上記1記載の抗ウイルス剤。
(7)ウイルスが、ヘルペスウイルスである上記1記載の抗ウイルス剤。
(8)耐性ウイルスが、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス、アマンタジン耐性インフルエンザウイルス、又はガンシクロビル耐性ヒトサイトメガロウイルスである上記1記載の抗ウイルス剤。
本発明の抗ウイルス剤が特に有効なウイルスとしては、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスが挙げられ、とりわけ、サイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルス、サルサイトメガロウイルス、マウスサイトメガロウイルス等のサイトメガロウイルス;インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC等のヒトインフルエンザウイルスやトリインフルエンザウイルス等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は細胞毒性が低いという優れた利点に加え、耐性ウイルスに対しても優れた抗ウイルス活性を有する。
本発明の有効成分である、トリシンは隈笹等の植物から抽出されるが、合成品や他の源から採取されたものでも良いことはいうまでもない。例えば、隈笹以外の植物、特に、イネ科に属する多くの植物、例えば、イネ(米)、コムギ(小麦)、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、サトウキビ、タケ、ススキ、パンパスグラス、アシ(葦、ヨシともいう)等のカヤ類の葉や茎類にもトリシン(トリシン)が多量に含まれており抽出することができる。具体的な植物名は以下のとおりである。
イネ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、キビ、アワ、ヒエ、トウモロコシ、シコクビエ、モロコシ、タケ、マコモ、サトウキビ、ハトムギ、ヨシ、ススキ、ササ、ダンチク、シロガネヨシ、シバ。
本発明の抗ウイルス剤は、種々の形態で使用できる。例えば、粘膜保護組成物、ウイルス感染予防及び/又は治療用組成物、防腐剤、濾過装置等の抗ウイルス剤として好適である。
本発明の抗ウイルス剤の剤型は、液体状、固体状、気体状、ジェル状、ゲル状、エアゾール、いずれでも良い。本発明の抗ウイルス剤は、経口、非経口投与いずれの投与形態で投与してもよい。経口投与形態としては錠剤、丸剤、粉剤、液剤、チューインガム、飴、チョコレート、パン、クッキー、そば、うどん等の麺類、各種ドリンク剤等の食品や、飲料水、調味料等の形態が、非経口投与形態としては、注射剤、局所投与剤(クリーム、軟膏等)、座薬、膣内投与形態(タンポン等)等が挙げられる。局所投与剤の剤型の例としては、本発明の抗ウイルス剤を、天然繊維又は合成繊維製のガーゼ等の担体に含浸させたもの、口紅等の化粧品や他の形態の化粧品(ローション、オイル、石けん、化粧水、化粧クリーム等)や浴用剤に含有させたもの、美容液、シャンプー、ボディーソープ、洗顔フォーム等の半固体又は液体の形態としたもの等が挙げられる。点眼剤、うがい剤等の形態としてもよい。創傷部位治療用噴霧剤、咽頭部炎症治療用噴霧剤等の形態も挙げられる。
抗ウイルス剤に使用する水は、水道水、天然水、精製水等、特に限定されないが、一般にイオン交換水等の高純度の水が好ましい。
油性成分としては、スクワラン、牛脂、豚脂、馬油、ラノリン、蜜蝋等の動物性油、オリーブ油、グレープシード油、パーム油、ホホバ油、胚芽油(例えば、米胚芽油)、ゴマ油、菜種油、ベニバナ油、サラダ油等の植物性油、流動パラフィン、高級脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル)、シリコーン油等の合成油、半合成油が挙げられる。
油性成分は、皮膚の保護、エモリエント性付与効果(皮膚表面を薄膜で覆い、乾燥を防ぐと共に、柔軟性、弾力性を与える効果)、さっぱり感等の要求性能に合わせて適宜組み合わせて用いられる。スクワラン、オリーブ油及びミリスチン酸オクチルドデシルの組合せは好ましい例の一つである。
抗ウイルス剤の硬さ、流動性を調節するために、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ベヘニン酸、セタノール、ワセリン等の固体油が用いられ、好ましくはステアリン酸とセタノールが組み合わせて用いられる。
本発明の抗ウイルス剤は、他の抗ウイルス剤と併用してもよい。
本発明の抗ウイルス剤には、さらに必要に応じて安定化剤、保湿剤、創傷治癒剤、防腐剤、界面活性剤等を含有させることができる。
安定化剤としては、カルボキシビニルポリマーと水酸化カリウムの組合せ、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。特に、セスキステアリン酸ポリエチレングリコール(ジステアリン酸ポリエチレングリコールとモノステアリン酸ポリエチレングリコールの1:1混合物)(ポリエチレングリコールの分子量は1000〜2万)は、安定性が高く、水と油に分離することがなく、また、クリーム組成物として皮膚に塗布する際の硬さを効果的に調節することができるので好ましい。
保湿剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、アロエエキス(特に、木立アロエ由来のアロエエキス(2)が好ましい)、尿素、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、トレハロース、ソルビトール、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
創傷治癒剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、カンゾウエキス、ヨモギエキス等が挙げられる。
例えば、安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸低級アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル又はブチルエステル等のパラベンと称されるもの)、プロピオン酸ナトリウム、混合脂肪酸エステル(カプリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル−2、ラウリン酸ポリグリセリル−10の混合物)、フェノキシエタノール、感光素201号(黄色色素)、1,2−ペンタンジオール等が挙げられるが、パラベン、混合脂肪酸エステル、1,2−ペンタンジオールが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等が挙げられる。
さらに必要により、香り成分、例えば、オレンジオイル、レモンオイル、トウヒ油、香料等を含有させてもよい。
この明細書中「保護布」には、便宜上、布の他、繊維自体、糸、紙等も含むものとする。
具体的な形態としては、ガーゼ、マスク、眼帯、生理帯、生理用ナプキン、包帯、トイレットペーパー、痔疾処置用ガーゼ、耳栓、水絆創膏等の衛生用品に分類される粘膜や皮膚に直接接触する保護布の他、白衣等の衣類、手袋、帽子、靴下、足袋等の衣料品小物、シーツ、布団カバー、枕カバー、ベッド用品等の寝具類、カーテン、壁紙、カーペット等の室内装飾品及び内装材料、手術用縫合糸等の医療材料等、皮膚に直接又は間接に接触する物品も挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、ヒトに対して使用する場合には、大人1日当たり、1〜5000mg、好ましくは5〜2000mg、さらに好ましくは10〜1000mgを症状、年齢、体重等を考慮し、1回又は2〜6回程度に分けて投与すれば良い。
本発明の化合物を、例えば、グミ、ゼリー、トローチ、キャンディー、チューインガム、チョコレート、錠剤、丸剤(例えば、笹丹)、洗口剤、嗽剤、歯磨き、粘膜貼付フイルム、等の口腔組成物に含有させるには、口腔組成物製造のいずれかの段階で、口腔組成物原料に対して、上記の投与量となるように適宜添加する。例えば、本発明の化合物の固形分で好ましくは2〜20×(10分の1〜10万分の1)質量%、さらに好ましくは6〜15×(10分の1〜10万分の1)質量%、最も好ましくは8〜12×(10分の1〜10万分の1)質量%程度添加するのが適当である。
上記剤型の抗ウイルス剤を製造するための基剤成分としては、例えば、ぶどう糖、乳糖、蔗糖、水あめ、デキストリン、シクロデキストリン、澱粉等の賦形剤、アラビアガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、ガムベース等の結合剤、澱粉等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル等の滑沢剤、香料、クロロフィル、ハッカ、l−メントール等の清涼化剤、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル及びパルミチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル;ポリソルベート80及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の懸濁化剤;カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びヒアルロン酸ナトリウム等の高分子化合物;グリセリン、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール;ジイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素ナトリウム等のpH調節剤;リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びエデト酸ナトリウム等の安定化剤;メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウム等の防腐剤等が挙げられる。
病院等における院内感染防止のために本発明の抗ウイルス剤を保護布の形態で使用する場合、本発明の抗ウイルス剤の感染防止効果は長期間にわたり存続する。洗濯によりその効果が低減した場合には、適宜交換するか、本発明の化合物を再度含有させるための処理を行えば良い。
本発明の抗ウイルス剤は、ローションやオイルの形態で使用することもできる。本発明の化合物を固形分で2〜20×(10分の1〜10万分の1)質量%含有するローションやオイルを、皮膚等に塗布しておくことにより、極めて簡便に感染性細菌の感染を予防し、またその増殖を抑制することができる。
本発明はまた、本発明の化合物を有効成分として含有する空気の濾過装置を提供するものである。具体的な形態としては、換気扇、エアコン、カーエアコン、空気吸入口、空気排出口、網戸、空気清浄機等の空気が通過する部位に使用されるフィルターが挙げられる。フィルターの素材は特に限定されないが、シルク、綿、羊毛、麻等の天然繊維、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、半合成繊維、あるいはこれらの2種以上の混合物の織布、編布、不織布、紙等が挙げられる。これらのフィルターに本発明の化合物の水希釈液を、含浸、噴霧等の方法により含有させ、乾燥すればよい。フィルター中の本発明の化合物の含有量は、固形分で好ましくは2〜20×(10分の1〜10万分の1)質量%、さらに好ましくは6〜15×(10分の1〜10万分の1)質量%、最も好ましくは8〜12質量%程度とするのが適当である。
用いたウイルス:インフルエンザウイルス、A/Hiroshima/H3N2
用いた細胞:イヌ腎臓細胞、MDCK (Madin-Darby Canine Kidney) 細胞
(1)オセルタミビル耐性ウイルス
ウイルスを細胞にm.o.i.(multiplicity of infection)約3で感染後、オセルタミビルのEC50値である0.05μMを加え培養した。3日目にウイルス液を回収し、同様に感染、EC50値のオセルタミビルで処理した。
同様の操作を3回繰り返す。
オセルタミビルの濃度を3倍(0.15μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
オセルタミビルの濃度をさらに3倍(0.45μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
オセルタミビルの濃度をさらに3倍(1.35μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
このようにして最終的にEC50値の3の3乗倍の濃度に対して80%以上が耐性を示すウイルスを作成した。
ウイルスを細胞にm.o.i. 約3で感染後、アマンタジンのEC50値である0.64μMを加え培養した。3日目にウイルス液を回収し、同様に感染、EC50値のアマンタジンで処理した。
以下オセルタミビルの場合と同様に以下の操作を行った。
同様の操作を3回繰り返す。
アマンタジンの濃度を3倍(1.9μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで繰り返す。
アマンタジンの濃度をさらに3倍(5.7μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
アマンタジンの濃度をさらに3倍(17.1μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
アマンタジンの濃度を3倍(51.3μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
アマンタジンの濃度をさらに3倍(153.9μM)にして、同様の操作を行う。
80%以上のウイルスが生存するまで同様の操作を繰り返す。
最終的にEC50値の3の5乗倍の濃度に対して80%以上が耐性を示すウイルスを作成した。
(3)ガンシクロビル耐性ヒトサイトメガロウイルス
この耐性ウイルスは、サイトメガロウイルス脳炎の患者より分離されたウイルスであり、特徴などの詳細は下記の文献に示す通りである。
文献1. Sasaki T, Okayama A, Eizuru Y, et al. Progressive retinitis-encephalitis due to ganciclovir-resistant cytomegalovirus associated with aplastic anemia. Internal Medicine 36: 375-379, 1997.
文献2. Harada K, Eizuru Y, Isashiki Y, et al. Genetic analysis of a clinical isolate of human cytomegalovirus exhibiting resistance against both ganciclovir and cidofovir. Archives of Virology 142: 215-225, 1997.
トリシンは特願2007-337383に記載された方法により合成されたものを用いた。
細胞は、イヌの腎臓細胞であるMDCK (Madin-Darby Canine Kidney) 細胞を用いた。
ウイルスは、インフルエンザウイルスA/Solomon island/H1N1、A/Hiroshima/H3N2の2種類のワクチン株を用い、MDCK細胞で増殖させた後感染価を測定し、−80℃に保存したものをストックウイルスとし、用事融解して用いた。
ウイルスの定量は、プラーク法により行った。抗ウイルス作用を示すトリシン濃度を確認するために、ウイルス産生抑制試験(yield reduction assay)を行った。具体的には、感染細胞に段階希釈したトリシンを含む培養液を加え、感染8時間後に培養上清と細胞を回収し、ウイルス量を定量した。ウイルス複製過程におけるトリシンの作用時期を調べるために、時間依存性薬物添加試験(time of drug addition test)を行った。これは、感染前および感染後0〜12時間にトリシンを加え、感染14時間後に培養上清を回収し、プラークアッセイを行った。また、感染細胞内のウイルスタンパク質の発現をウエスタンブロット法で調べた。
ウイルス産生抑制試験(yield reduction assay)の結果、ウイルス感染8時間後、トリシンは1〜30μMの範囲で濃度依存的にウイルス産生を抑制した。図1にオセルタミビル耐性ウイルスの増殖抑制結果を示す。また図2にアマンタジン耐性ウイルスの増殖抑制結果を示す。
また、時間依存性薬物添加試験(time of drug addition)の実験から、ウイルス感染前および感染後3時間までにトリシンを添加した時に、ウイルス増殖抑制が観察された。
オセルタミビル耐性ウイルスおよびアマンタジン耐性ウイルスに対しても、感受性ウイルスと同様にトリシン濃度依存的にウイルス産生抑制効果が観察された。ウエスタンブロットによる検討から、HAタンパク質の合成を抑制することが確かめられた。以上の事から、トリシンの作用機序の一つとして、宿主受容体への結合を阻害することにより抗ウイルス効果を示す可能性が示唆された。このことが、薬剤耐性ウイルスに対する抗ウイルス効果の一因の可能性がある。
トリシン250mgをカプセルに入れて本発明の抗ウイルス剤を製造した。
製剤例2(錠剤)
トリシンを乳糖と混合し、成型して、1錠中にトリシン100mgを含む錠剤を製造した。
Claims (8)
- トリシンを有効成分とする耐性ウイルスに対する抗ウイルス剤。
- ウイルスが、インフルエンザウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- ウイルスが、インフルエンザウイルスA又はBである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- ウイルスが、サイトメガロウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- ウイルスが、ヒトサイトメガロウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- ウイルスが、トリインフルエンザウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- ウイルスが、ヘルペスウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- 耐性ウイルスが、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス、アマンタジン耐性インフルエンザウイルス、又はガンシクロビル耐性ヒトサイトメガロウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
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WO2018194172A1 (ja) | 2017-04-21 | 2018-10-25 | 土田 裕三 | 化合物又はその塩、抗ウイルス剤、医薬組成物 |
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WO2008123102A1 (ja) * | 2007-03-19 | 2008-10-16 | Yuuzou Tsuchida | 抗ウイルス剤 |
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