JP2010253385A - 揮発性有機物処理装置及び揮発性有機物処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】揮発性有機物の触媒分解処理を静的環境で行うことができ、触媒活性の低下が抑制される揮発性有機物処理装置及び揮発性有機物処理方法を提供する。
【解決手段】揮発性有機物処理装置100は吸着部10と分解部30を備える。吸着部10は、筒状体31、開口部13からの通気を制御する開閉手段27、筒状体の内側に軸方向に沿って環状に充填された吸着材21、及び、吸着材を加熱して揮発性有機物を脱着させる加熱手段23を備える。分解部30は、吸着部に通じるとともに吸着材から脱着した揮発性有機物を含むガスを導入する導入口33及び減圧手段40に通じる排気口34を有する分解槽32、及び、分解槽の内部に配置され、該分解槽内に導入された揮発性有機物を分解する触媒36を備える。
【選択図】図1
Description
<1> 揮発性有機物を含むガスを通過させることにより前記揮発性有機物を吸着して捕集する吸着部と、該吸着部に接続し、該吸着部から脱着した前記揮発性有機物を分解する分解部とを有し、前記吸着部は、両端に開口部を有するとともに、側面に複数の通気孔を有する筒状体と、前記開口部の少なくとも一方に設けられ、該開口部からの通気を制御する開閉手段と、前記筒状体の内側に軸方向に沿って環状に充填され、前記開口部又は前記通気孔から前記筒状体の内側に導入された揮発性有機物を吸着する吸着材と、前記吸着材を加熱し、該吸着材に吸着されている前記揮発性有機物を脱着させる加熱手段と、を備え、前記分解部は、前記吸着部に通じるとともに前記吸着材から脱着した前記揮発性有機物を含むガスを導入する導入口及び減圧手段に通じる排気口を有する分解槽と、前記分解槽の内部に配置され、該分解槽内に導入された前記揮発性有機物を分解する触媒と、を備えている揮発性有機物処理装置。
<2> 前記吸着部における前記開閉手段が、逆止弁を含む<1>に記載の揮発性有機物処理装置。
<3> 前記吸着部における前記筒状体の外周に、前記通気孔からの通気を制御する開閉手段をさらに備えている<1>又は<2>に記載の揮発性有機物処理装置。
<4> 前記吸着部が、着脱式のカートリッジとして搭載されている<1>〜<3>のいずれかに記載の揮発性有機物処理装置。
<5> 前記吸着材が、活性炭、ゼオライト、シリカライト、粘土鉱物、疎水性シリカゲル、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、多孔質高分子、及び多孔質金属錯体からなる群から1つ以上選択される<1>〜<4>のいずれかに記載の揮発性有機物処理装置。
<6> 前記活性炭が、長繊維状の活性炭素繊維であるとともに、前記筒状体の内壁に沿って多層に巻き付けられて配置されている<5>の揮発性有機物処理装置。
<7> 前記触媒が、酸化チタン、白金、金、コバルト、タングステン、銅、及びこれらの複合体からなる群から選択される1種以上を含む<1>〜<6>のいずれかに記載の揮発性有機物処理装置。
<8> 吸着材を備えた吸着部に、揮発性有機物を含むガスを通過させることにより前記揮発性有機物を吸着して捕集する工程と、前記吸着部に接続し、前記揮発性有機物を分解する触媒を備えた分解部を、前記吸着部と遮断して減圧状態にする工程と、前記吸着部から前記揮発性有機物を脱着させるとともに、該吸着部と前記減圧状態の分解部との間を開放することにより、前記揮発性有機物を前記分解部に移動させて前記触媒により分解させる工程と、を含む揮発性有機物の処理方法。
図1は、本発明に係る揮発性有機物処理装置の一例(第1実施形態)を概略的に示している。本実施形態に係る揮発性有機物処理装置100は、主に、揮発性有機物(VOC)を含む雰囲気ガス(VOCガス)からVOCを選択的に吸着して捕集する吸着装置10と、吸着装置10に接続し、吸着装置10から脱着したVOCを分解する分解装置30から構成されている。
吸着装置10は、ガス導入口12、拡散槽14、プレフィルター16、VOC吸着カートリッジ20、接続パイプ18、排風機22、ガス排出口24などから構成されている。
固定発生源から発生したVOCを含む雰囲気(VOCガス)は、排出ポンプ(不図示)により、導入口12を通じて拡散槽14に導入される。VOCガスは拡散槽14にて均一に拡散され、プレフィルター16により固形物が除去される。続いて、吸着材21が充填されているVOC吸着カートリッジ20でVOCを吸着して捕集した後、排出口24から清浄空気として大気中に放出される。
吸着材21としては、通過するVOCと化学反応せずにVOCを吸着し、かつ、加熱、吸引などによって脱着させることができるものであれば特に限定されず、回収するVOCの種類に応じて選択すればよい。例えば、ミクロ孔、メソ孔、又は、マクロ孔を有する多孔質状であることが好ましい。具体的には、活性炭、ゼオライト、シリカライト、粘土鉱物、疎水性シリカゲル、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、多孔質高分子、及び多孔質金属錯体が挙げられ、これらの中から選択した1種を用いることができ、2種類以上を併用してもよい。例えば、活性炭が、長繊維状の活性炭素繊維であるとともに、筒状体31の内壁に沿って多層に巻き付けられて配置されている形態とすることができる。
分解装置30は、VOCの分解部となる分解槽32及び触媒36のほか、分解槽32に通じる減圧手段(真空ポンプ)を備えている。
分解槽32は、吸着装置10の吸着カートリッジ20に通じるとともに吸着材21から脱着したVOCを含むガスを導入する導入口33と、減圧手段(真空ポンプ)40に通じる排気口34を有する。
太陽光、蛍光灯などのクリーンエネルギーを用いてVOCを分解処理することができる点で光触媒が好ましく、酸化チタン(TiO2)が好ましい。光触媒を用いる場合は、例えば、分解槽32をガラス等の透明な材料で形成し、太陽光が当たる場所に設置するか、蛍光灯などの光照射手段を設ければよい。
VOCを分解する触媒36としては、光触媒に限らず、例えば熱触媒を用いてもよい。熱触媒を用いる場合は、触媒を加熱する加熱手段を設ければよい。
吸着カートリッジ20に吸着させたVOCを分解槽32へ移動させる手段としては、内部が減圧状態にされた分解槽32が開放された時に流入する空気の移動をドライビングフォースとして用いることが好ましい。例えば、吸着カートリッジ20でVOCの吸着処理を停止した後、加熱手段23により吸着材21を加熱してVOCを脱着させるとともに、予め真空下にした触媒分解槽32と吸着カートリッジ20を接続しているバルブ(不図示)を開放する。これにより、脱着したVOCを接続パイプ18を通じて触媒分解槽32に移動させることができる。高濃度高温VOCは、触媒36と接触することにより熱分解、酸化分解を起こし、二酸化炭素と水に分解される。分解物は、分解槽32を減圧する際に、大気中に放出される。
図6は、本発明に係るVOC処理装置の他の例(第2実施形態)を示している。本実施形態に係るVOC処理装置200は、VOC吸着部50とVOC分解部70とが一体的に連結されたカートリッジとなっている。
分解槽32の下部(上流側)では、VOC吸着部50の逆止弁52がVOCの導入口を兼ねており、上部(下流側)には、減圧手段(真空ポンプ)に通じる開閉手段53が設けられている。
例えば、以下の手順でVOCの吸着、脱着、分解を行うことができる。
分解槽32の内部は真空ポンプ(不図示)によって予め減圧しておく。そして、VOCの吸着時には、図6に示すように、各開閉手段51,52,53によって、第1の開口部41は開放し、第2の開口部42及び第3の開口部43は閉鎖する。吸着部50(筒状体31)の側面から入ったVOCガスは、吸着材21の充填部を通って中央の空洞部分に抜けることでVOCが吸着され、第1の開口部41から清浄空気として大気中に放出される。
吸着処理を停止し、図7に示すように、加熱手段23により吸着材21を加熱してVOCを脱着させるともに、第1の開口部41及び第3の開口部43は閉鎖し、第2の開口部42は開放する。触媒分解槽32内は予め減圧されているため、吸着材21から脱着したVOCを含んだガスは、第2の開口部42の開放により圧力の高い吸着部側から分解部側に移動する。
分解槽32に移動したVOCは、分解槽32において触媒36によって静的環境下で分解される。一方、吸着部50では、VOCが脱着したことにより吸着材21が再生し、再度VOCを吸着できる状態となる。
分解部70でVOCが分解された後、図8に示すように、第2の開口部42を閉鎖し、第1の開口部41及び第3の開口部43を閉鎖する。
分解部70では、VOCが分解された清浄空気が真空ポンプを介して大気中に放出されるとともに、減圧される。一方、吸着部50では、側面の通気孔から再度VOCガスが取り込まれる。VOCは再生された吸着材21に吸着され、第1の開口部41からは清浄な空気が放出される。
第1実施形態の吸着装置10において、吸着カートリッジ20に代えて、第2実施形態のカートリッジ200を設けても良い。この場合、吸着材21から脱着したVOCは、吸着部と一体的に連結されている第1の分解部70と、分解装置(第2の分解部)30によって2段階で分解されるため、より確実に分解することができる。
−温度の違いによる活性炭トルエン吸着等温線の変化−
顆粒状活性炭0.5g を30mL バイアルに入れTFライナー付きブチルゴム栓とアルミキャップで密栓し、トルエンを液体の状態で2μL〜400μL添加し、よく撹拌してから35、50、75、100、150℃の各吸着温度に設定されたヘッドスペースサンプラー中に24時間静置した。吸着平衡に達したらガスクロマトグラフィーで気相濃度を測定し、添加したトルエン量と気相存在量のマスバランスから吸着量を算出した。
−活性炭飽和吸着トルエンの脱着試験(開放環境)−
加熱乾燥した顆粒状活性炭1gを飽和トルエン蒸気中に24時間静置し、活性炭にトルエンを飽和吸着させた。活性炭の重量は、トルエンを吸着することにより、1.42gに増えており、0.42gのトルエンを吸着していることを示している。
ガス洗浄瓶2を150℃、30分間加熱し、活性炭1中のトルエンを脱着させた。コック7A,7Bの開放に伴い、ガス洗浄瓶2の流入口から空気が流入し、トルエンガスを濃縮槽6に移動させた。
−活性炭飽和吸着トルエンの脱着試験(密閉環境)−
加熱乾燥した顆粒状活性炭1gを飽和トルエン蒸気中に24時間静置し、活性炭にトルエンを飽和吸着させた。活性炭の重量は、トルエンを吸着することにより、1.4gに増えており、0.4gのトルエンを吸着していることを示している。
ガス洗浄瓶2を150℃、30分間加熱し、活性炭1中のトルエンを脱着させた。コック7Bの開放に伴い、ガス洗浄瓶2とセパラブルフラスコ6の気圧が一定になるまで、洗浄瓶2側からセパラブルフラスコ6にトルエンガスを含む空気が移動した。
2 ガス洗浄瓶
3 逆止弁
4 逆止弁
5 オイルバス
6 セパラブルフラスコ(濃縮槽)
7A,7B,7C,7D コック
10 吸着装置(吸着手段)
11 開口部
12 ガス導入口
13 開口部
14 拡散槽
16 プレフィルター
18 接続口
20 吸着カートリッジ
21 吸着材
22 排風機
23 加熱手段
24 ガス排出口
25 開閉手段(シャッター)
27 開閉手段(逆止弁)
29 空洞
31 筒状体
32 分解槽
33 導入口
34 排気口
35 棚段
36 触媒
40 減圧手段(真空ポンプ)
41,42,43 開口部
50 吸着部
51,52,53 開閉手段
70 分解部
100 VOC処理装置
200 VOC処理装置(カートリッジ)
Claims (8)
- 揮発性有機物を含むガスを通過させることにより前記揮発性有機物を吸着して捕集する吸着部と、該吸着部に接続し、該吸着部から脱着した前記揮発性有機物を分解する分解部とを有し、
前記吸着部は、
両端に開口部を有するとともに、側面に複数の通気孔を有する筒状体と、
前記開口部の少なくとも一方に設けられ、該開口部からの通気を制御する開閉手段と、
前記筒状体の内側に軸方向に沿って環状に充填され、前記開口部又は前記通気孔から前記筒状体の内側に導入された揮発性有機物を吸着する吸着材と、
前記吸着材を加熱し、該吸着材に吸着されている前記揮発性有機物を脱着させる加熱手段と、を備え、
前記分解部は、
前記吸着部に通じるとともに前記吸着材から脱着した前記揮発性有機物を含むガスを導入する導入口及び減圧手段に通じる排気口を有する分解槽と、
前記分解槽の内部に配置され、該分解槽内に導入された前記揮発性有機物を分解する触媒と、を備えている揮発性有機物処理装置。 - 前記吸着部における前記開閉手段が、逆止弁を含む請求項1に記載の揮発性有機物処理装置。
- 前記吸着部における前記筒状体の外周に、前記通気孔からの通気を制御する開閉手段をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載の揮発性有機物処理装置。
- 前記吸着部が、着脱式のカートリッジとして搭載されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の揮発性有機物処理装置。
- 前記吸着材が、活性炭、ゼオライト、シリカライト、粘土鉱物、疎水性シリカゲル、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、多孔質高分子、及び多孔質金属錯体からなる群から1つ以上選択される請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の揮発性有機物処理装置。
- 前記活性炭が、長繊維状の活性炭素繊維であるとともに、前記筒状体の内壁に沿って多層に巻き付けられて配置されている請求項5の揮発性有機物処理装置。
- 前記触媒が、酸化チタン、白金、金、コバルト、タングステン、銅、及びこれらの複合体からなる群から選択される1種以上を含む請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の揮発性有機物処理装置。
- 吸着材を備えた吸着部に、揮発性有機物を含むガスを通過させることにより前記揮発性有機物を吸着して捕集する工程と、
前記吸着部に接続し、前記揮発性有機物を分解する触媒を備えた分解部を、前記吸着部と遮断して減圧状態にする工程と、
前記吸着部から前記揮発性有機物を脱着させるとともに、該吸着部と前記減圧状態の分解部との間を開放することにより、前記揮発性有機物を前記分解部に移動させて前記触媒により分解させる工程と、
を含む揮発性有機物の処理方法。
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