JP2010252510A - 燃料電池車両用冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池車両の衝突時の冷却液による絶縁抵抗低下を防止する技術を提供する。
【解決手段】冷却液循環路12は、車両に搭載されたFCスタック10を冷却する冷却液の循環路である。遮断手段20a,20bは、冷却液循環路12を電気的に遮断可能である。ECU40は、車両に設けられた各種のセンサから取得した検出値に基づいて、車両が衝突することを予測した場合に、遮断手段20a,20bにより冷却液循環路12を電気的に遮断する制御を行う。
【選択図】図1
【解決手段】冷却液循環路12は、車両に搭載されたFCスタック10を冷却する冷却液の循環路である。遮断手段20a,20bは、冷却液循環路12を電気的に遮断可能である。ECU40は、車両に設けられた各種のセンサから取得した検出値に基づいて、車両が衝突することを予測した場合に、遮断手段20a,20bにより冷却液循環路12を電気的に遮断する制御を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池車両用冷却装置に関する。
燃料電池(Fuel Cell, FC)の冷却装置は、燃料電池を冷却する冷却液を循環させ、冷却液の循環路上に設けられたラジエータにより燃料電池からの熱を外部に放出する。燃料電池の冷却装置における冷却液は、燃料電池の発電に伴い帯電することがある。燃料電池の安全な動作のため、燃料電池の冷却装置において、帯電した冷却液の絶縁性を向上させる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、燃料電池の冷却装置において、冷却液の通路となる冷却チューブを絶縁材料であるセラミック材料で形成することで冷却装置の絶縁性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、燃料電池の冷却水が通る配管、燃料電池に供給される水素を循環させる配管、及び、空気を燃料電池へ供給あるいは燃料電池から排出する配管の少なくとも1つである流体循環手段をハウジングに収容した燃料電池システムが開示されている。特許文献2に記載の技術では、電気的絶縁性を有する樹脂材料で上述のハウジングを構成することで流体循環手段の絶縁性を確保する。
また例えば、特許文献3には、燃料電池の冷却システムにおいて、熱媒体が通過する熱媒体経路の任意の箇所に絶縁バルブを設け、この絶縁バルブにより熱媒体経路を閉塞することで熱媒体経路を電気的に遮断可能に構成する技術が開示されている。特許文献3には、さらに、燃料電池の冷却システムを搭載した車両において、車両の衝突を検出する衝突検出センサにより衝突が検出された場合に絶縁バルブにより熱媒体経路を閉塞する技術が開示されている。
特許文献4には、ガス発生剤を着火することにより発生された膨張ガスによって膨張するガスバックの体積膨張を利用して流路を遮断する緊急遮断弁が開示されている。特許文献2に記載の技術では、車両に搭載される燃料電池の冷却装置において上述の緊急遮断弁を冷却水経路に設け、車両の衝突を検出する衝突検出センサが車両の衝突を検出したときに、緊急遮断弁を動作させて冷却水経路を遮断し、緊急遮断弁の前後間を電気的に絶縁する。
燃料電池及びその冷却装置を搭載した車両が衝突した場合、例えば、冷却液の循環路となる配管が車体に接触したり、配管が破損して冷却液が漏れ出したりして、冷却液による絶縁抵抗低下が生じ得る。よって、車両に搭載される燃料電池の冷却装置においては、車両の衝突時に、冷却装置の絶縁を確実に確保することが求められる。
本発明は、衝突検出センサにより車両の衝突が検出された後に冷却液の循環路を電気的に遮断する技術と比較して、より確実に車両の衝突時の絶縁抵抗低下を防止する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、車両に搭載された燃料電池を冷却する冷却液の循環路を電気的に遮断可能な遮断手段と、前記車両に設けられたセンサから取得した検出値に基づいて、前記車両が衝突すると予測した場合に、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする燃料電池車両用冷却装置である。
ここで、前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御を行うときに、前記循環路に前記冷却液を循環させるポンプを停止する制御をさらに行ってもよい。
また、前記循環路の少なくとも一部及び前記燃料電池は、絶縁性を有する材料からなるケースに収容され、前記遮断手段は、前記循環路において前記ケースに収容された部分に設けられるものであってよい。
前記制御手段は、前記車両が衝突すると予測した場合に、さらに、前記車両に設けられたセンサから取得した検出値を用いて前記車両の衝突速度を推定し、推定した衝突速度が予め設定された閾値を超えたときに、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御を行ってもよい。
また、本発明の一態様において、前記遮断手段は、移動可能な絶縁材を保持する絶縁材容器と、前記絶縁材容器から前記循環路へ前記絶縁材を導く経路と、当該経路に設けられた弁と、を備え、前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御において、前記循環路の電気的遮断を指示する制御信号を前記遮断手段に対して出力し、前記制御信号を取得した前記遮断手段は、前記弁を開いて前記絶縁材容器から前記循環路へ前記絶縁材を挿入することで、前記循環路を電気的に遮断するものであってよい。
また、本発明の他の一態様では、前記循環路の少なくとも一部は変形可能な部材により構成され、前記遮断手段は、前記循環路における前記変形可能な部材に力を加えて当該部材を変形させる変形手段を有し、前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御において、前記循環路の電気的遮断を指示する制御信号を前記遮断手段に対して出力し、前記制御信号を取得した前記遮断手段は、前記変形手段により前記変形可能な部材を変形させて前記循環路の断面積を低減することで前記循環路の電気抵抗を増大させる。
本発明のさらに他の一態様では、前記遮断手段は、絶縁材からなる弁体であって、前記循環路を流れる前記冷却液の流量が所定量よりも少ないときに前記循環路を閉塞し、前記冷却液の流量が多い程より開度が大きくなるように前記循環路の内部に設けられた弁体を備え、前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御において、前記循環路に前記冷却液を循環させるポンプを停止する制御を行う。
本発明によると、燃料電池を搭載した車両の衝突時において冷却液による絶縁抵抗低下を防止する技術を提供できる。
図1は、本発明の1つの実施形態の燃料電池車両用冷却装置を含む燃料電池システムの概略構成の例を示す図である。図1に例示する燃料電池システム1は、車両に搭載される。図1を参照し、燃料電池システム1は、FCスタック10、冷却液循環路12、冷却液ポンプ14、ラジエータ16、遮断手段20、FCスタックケース30、及びECU(Electronic Control Unit)40を備える。
なお、図1には、燃料電池システム1が備える構成要素のうち冷却装置に関連する要素を示し、他の構成要素については図示を省略している。例えば、図1には示していないが、燃料電池システム1は、FCスタック10へ空気を供給する空気供給装置及びFCスタック10へ水素を供給する水素供給装置、FCスタック10から電力の供給を受けるインバータ及び二次電池等をさらに備える。
FCスタック10は、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池である。FCスタック10は、図示しない空気供給装置及び水素供給装置のそれぞれから空気及び水素の供給を受けて電力を発生し、発生した電力をインバータ及び二次電池等の装置に供給する。
FCスタック10の作動中の温度を所定の温度範囲に保つため、FCスタック10は、冷却液循環路12、冷却液ポンプ14、及びラジエータ16を含む冷却装置により冷却される。
冷却液循環路12は、FCスタック10を冷却する冷却液が循環する経路である。冷却液循環路12には、冷却液ポンプ14及びラジエータ16が設けられる。冷却液ポンプ14は、冷却液を冷却液循環路12に循環させるためのポンプであり、後述のECU40からの制御信号に従って作動あるいは停止する。ラジエータ16は、冷却液循環路12を通る冷却液の熱を放出させて冷却液を冷却する熱交換装置である。
図1の例において、冷却液は、冷却液循環路12中に示す実線矢印の方向に循環する。FCスタック10から熱を奪って温められた冷却液は、冷却液ポンプ14によりラジエータ16に送られ、ラジエータ16で熱を放出して冷却された後、再びFCスタック10に送られてFCスタック10の熱を奪う。導電性の冷却液(例えば、エチレングリコールなどの不凍液)は、FCスタック10の作動中にFCスタック10を通ると帯電する。このとき、冷却液循環路12は、帯電した冷却液により電気回路を形成する。
遮断手段20a,20bは、冷却液循環路12を電気的に遮断可能な機構である。図1の例では、遮断手段20aは、冷却液循環路12においてFCスタック10への冷却液の流入口付近に設けられ、遮断手段20bは、冷却液循環路12においてFCスタック10からの冷却液の流出口付近に設けられる。遮断手段20a,20bは、それぞれ、絶縁材容器22a,22b及びバルブ24a,24bを備える。絶縁材容器22a,22bは、発泡樹脂材などの絶縁材を保持する容器である。絶縁材容器22a,22bには、絶縁材容器22a,22b内から冷却液循環路12内へ移動可能な絶縁材が保持される。バルブ24a,24bは、絶縁材容器22a,22bと冷却液循環路12とを接続する経路上に設けられる。バルブ24a,24bは、後述のECU40からの制御信号に従って開閉可能に構成される。バルブ24a,24bは、FCスタック10及び冷却装置の通常の動作中は閉じられる。バルブ24a,24bが開かれると、絶縁材容器22a,22bに保持された絶縁材が上述の経路を通って冷却液循環路12に流入し、冷却液循環路12において遮断手段20a,20bが設けられた部分の前後を電気的に遮断する。
FCスタックケース30は、FCスタック10及びFCスタック10に接続された電気機器などを収容する容器である。FCスタックケース30は、絶縁性を有する材料により形成される。図1の例では、FCスタックケース30内には、FCスタック10とともに、冷却液循環路12の一部及びそれに設けられた遮断手段20a,20bが収容される。遮断手段20a,20bをFCスタックケース30内に収容しておくと、遮断手段20a,20bにより冷却液循環路12が電気的に遮断されたときに、FCスタックケース30の外部にある冷却液循環路12の部分とFCスタック10との間の絶縁が確保される。
ECU40は、燃料電池システム1及びこれを搭載した車両を制御する制御装置である。ECU40の機能の一部が冷却装置の制御手段として機能する。ECU40は、マイクロコンピュータなどにより実現される。ECU40は、燃料電池システム1を搭載した車両に設けられる各種のセンサからの検出値を用いて、燃料電池システム1が備える構成要素及び燃料電池システム1を搭載した車両が備える各種の装置を制御する。図1には、ECU40に検出値を提供する各種のセンサの例として、測距センサ50及び車速センサ52を示す。測距センサ50は、車両のボデーの外側に設けられ、当該車両と検出対象物(例えば、他の車両又は建物の壁など)との間の距離を検出するセンサである。測距センサ50は、例えば、ミリ波レーダなどにより実現される。車速センサ52は、車両の速度を検出するセンサである。なお、図1に示すセンサはECU40が用いるセンサの一例に過ぎない。ECU40は、燃料電池システム及び車両の制御において、図1に図示しない他のセンサから取得した検出値を用いることもある。
ECU40は、例えば、測距センサ50から取得した他の車両との間の距離及び車速センサ52から取得した車速に基づいて、車両が衝突するか否かを予測する。そして、車両が衝突することを予測した場合に、遮断手段20a,20bにより冷却液循環路12を電気的に遮断する制御を行う。冷却液循環路12を電気的に遮断する制御において、ECU40は、例えば、冷却液循環路12の電気的遮断を指示する制御信号を遮断手段20a,20bに対して出力する。この制御信号を受けた遮断手段20a,20bにおいて、バルブ24a,24bが開かれ、絶縁材容器22a,22b内の絶縁材が冷却液循環路12内へ流入することで冷却液循環路12が電気的に遮断される。また例えば、ECU40は、車両の衝突を予測した場合に、冷却液ポンプ14に対して停止することを指示する制御信号を出力し、冷却液ポンプ14を停止させて冷却液の循環を止める制御をさらに行うこともある。
図2は、図1に例示するFCスタック10及び冷却液循環路12により形成される電気回路の例を示す図である。図2において、図1に例示する各要素に対応する要素には、図1と同様の符号を付す。例えば、図2の例の回路において、破線で囲んだ電源部分10は図1のFCスタック10に対応し、要素20は図1の遮断手段20a,20bに対応する。なお、図2に示す高圧負荷は、FCスタック10から電力供給を受ける装置(例えば、図1に示さないインバータ等)に対応する。
図2を参照し、FCスタック10は、遮断手段20、冷却液抵抗R、及び冷却系部品抵抗Yを介して車両ボデーに接続されている(つまり、接地されている)。冷却液抵抗Rは、冷却液の導電率、冷却液循環路12を形成する配管の内径、及び当該配管の長さに基づいて定まる電気抵抗である。また、冷却系部品抵抗Yは、冷却液ポンプ14及びラジエータ16など、冷却装置が備える部品の電気抵抗である。
燃料電池システムの通常運転時には、遮断手段20は作動せず、冷却液循環路12は電気的に遮断されないため、図2の例の回路において、遮断手段20の部分は短絡しているとみなすことができる。一方、ECU40が車両の衝突を予測した場合に遮断手段20を作動させて冷却液循環路12を電気的に遮断すると、図2の例の回路において、遮断手段20の部分は開放状態とみなすことができる。言い換えると、図2の例の回路における遮断手段20と冷却液抵抗Rとの間の部分に電気抵抗が生じる。遮断手段20の部分が開放状態であれば、例えば車両の衝突により冷却液循環路12を形成する配管が車両ボデーに接触したり、配管が損傷して冷却液が漏れて車両ボデーに接触したりすることで冷却液抵抗R≒0Ωとなったとしても、電気的に遮断することが可能である。
以下、ECU40が冷却装置を制御する処理の手順の例を説明する。
図3は、ECU40が行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。ECU40は、例えば、図示しないスタートスイッチがユーザによりONにされたことを示すスタート信号を取得した場合に、図3の例の手順の処理を開始する。
図3を参照し、まずステップS10で、ECU40は、車両に設けられた各種のセンサの検出値を取得する。例えば、ECU40は、測距センサ50及び車速センサ52から、それぞれ、検出対象物と自車両との間の距離、及び車速の検出値を取得する。なお、測距センサ50の検出可能範囲に他の車両などの検出対象物が存在しない場合、測距センサ50は、検出可能範囲に検出対象物が存在しない旨を表す値を検出値としてECU40に渡す。
ステップS20で、ECU40は、ステップS10で取得した検出値を用いて車両が衝突するか否かを予測し、衝突すると予測した場合、処理はステップS30に進み、衝突しないと予測した場合はステップS10に戻る。ステップS20では、例えば、ECU40は、測距センサ50から取得した検出対象物と自車両との間の距離及び車速センサ52から取得した車速を用いて車両が衝突するか否かを予測する。あるいは、例えば、ECU40は、検出対象物と自車両との間の距離の値の変化を用いて検出対象物に対する自車両の相対速度を算出し、算出した相対速度と、現在の検出対象物と自車両との間の距離と、を用いて車両の衝突を予測してもよい。この例の場合、ECU40は、ステップS10で所定期間内に一定の時間間隔で測距センサ50の検出値を取得しておき、取得した検出値の時系列データを用いて、ステップS20で上述のように相対速度の算出及び衝突の予測を行う。なお、この例の場合、車両の衝突の予測に車速を用いないため、ステップS10で車速センサ52から車速を取得しなくてよい。
ステップS30では、ECU40は、冷却液ポンプ14の停止を指示する制御信号を冷却液ポンプ14に対して出力する。この制御信号を受けると冷却液ポンプ14は停止する。冷却液ポンプ14の停止により、冷却液循環路12中の冷却液の循環は停止する。
次に、ECU40は、ステップS40で、冷却液循環路12の電気的遮断を指示する制御信号を遮断手段20a,20bに対して出力する。この制御信号を受けると、遮断手段20a,20bにおいて、バルブ24a,24bが開かれ、絶縁材容器22a,22b内の絶縁材が冷却液循環路12内へ流入し、冷却液循環路12が電気的に遮断される。
ステップS40の後、図3の例の手順の処理は終了する。
図3の例の手順の処理によると、車両が衝突すると予測された時点で、冷却液ポンプ14の停止により冷却液の循環を停止させ、冷却液循環路12を電気的に遮断する制御が行われる。
図4は、ECU40が行う処理の手順の他の一例を示すフローチャートである。図4において、図3の例の手順と同様の処理ステップには図3と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図4の例の手順の処理は、衝突予測処理(ステップS20)において車両が衝突することを予測した場合に、冷却液ポンプ停止処理(ステップS30)の実行前に、衝突速度推定処理(ステップS22)及び推定速度の閾値判定処理(ステップS24)を行う点で図3の例の手順の処理と異なる。
図4を参照し、センサ検出値取得処理(ステップS10)及び衝突予測処理(ステップS20)は、図3のステップS10及びステップS20を参照して説明したのと同様の処理が行われる。
車両が衝突することを予測した場合(ステップS20でYES)、ECU40は、ステップS22で、各種のセンサの検出値を用いて衝突速度を推定する。例えば、測距センサ50から取得した検出対象物と自車両との間の距離、車速センサ52から取得した車速、及び図示しない加速度センサから取得した車両の加速度を予め設定された計算式に代入することで推定衝突速度を求める。あるいは、図3のステップS20を参照して上記で説明したように測距センサ50の検出値の時系列データから検出対象物に対する自車両の相対速度を求め、求めた相対速度を用いて衝突速度を推定してもよい。例えば、相対速度、検出対象物との間の距離、及び加速度を用いて衝突速度を推定する。なお、ステップS22では、ステップS10で取得した各種のセンサの検出値を用いてもよいし、衝突速度推定処理の前に各種のセンサから検出値を新たに取得して用いてもよい。
衝突速度を推定すると、推定した衝突速度が予め設定された閾値を超えるか否かの判定をステップS24で行う。この閾値は、例えば、車両が衝突したとしても冷却装置の破損が生じないことが判明している衝突速度の値に設定される。例えば、20km/時に設定される。
推定衝突速度が閾値を超えた場合(ステップS24でYES)、ECU40は、冷却液ポンプ停止処理(ステップS30)及び循環路遮断処理(ステップS40)を行い、図4の例の手順の処理は終了する。
推定衝突速度が閾値以下である場合(ステップS24でNO)、処理はステップS10に戻る。
図4の例の手順の処理によると、車両が衝突することが予測され、かつ、衝突時の推定速度が予め設定された閾値を超えた場合に、冷却液ポンプ14の停止及び冷却液循環路12の電気的遮断が行われる。
図5は、他の1つの実施形態の燃料電池車両用冷却装置を含む燃料電池システムの概略構成の例を示すブロック図である。図5において、図1と同様の構成要素には図1と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図5の例の燃料電池システム1は、遮断手段20a,20bの代わりに遮断手段60a,60bを備える点で図1の例の燃料電池システム1と異なる。なお、図5の例の燃料電池システム1を電気回路として表すと、図2の例の電気回路と同様となる。
図5を参照し、冷却液循環路12において遮断手段60a,60bが設けられた部分の配管は、力を加えることで変形可能な部材(例えば、ゴムなど)により形成される。遮断手段60a,60bは、冷却液循環路12を形成する配管に対して力を加えて配管を変形させ、配管の断面積を小さくする。これにより、冷却液抵抗Rが増大し、冷却装置の絶縁が確保される。遮断手段60a,60bは、例えば、小型のモータの動力によって、配管に対し配管の外周から配管の断面の中心に向かう方向に力を加える機構であってよい。あるいは、例えば、遮断手段60a,60bは、圧縮用のガスを発生させる機構を備え、発生されたガスの圧力によって、配管に対し配管の外周から配管の断面の中心に向かう方向に力を加えるものであってもよい。
図5の例のシステムにおけるECU40は、図3又は図4を参照して上記で説明した手順の処理を行う。冷却液循環路12の電気的遮断を指示する制御信号がECU40から出力される(図3又は図4のステップS40)と、遮断手段60a,60bは、冷却液循環路12を形成する配管を変形させて配管の断面積を小さくする。
他の実施形態では、図5に例示する燃料電池システム1の遮断手段60a,60bが設けられた位置に、絶縁性を有する材料により形成されたシャット弁であってECU40からの制御信号に従って開閉可能なシャット弁を遮断手段として設けてもよい。本実施形態において、燃料電池システム1の通常運転時には当該シャット弁は開かれている。図3又は図4の例の手順の処理のステップS40でECU40が冷却液循環路12の電気的遮断を指示する制御信号を当該シャット弁に対して出力すると、当該シャット弁は閉じて冷却液循環路12は電気的に遮断される。
図6は、さらに他の実施形態の燃料電池用冷却装置における遮断手段の構成の例を示す図である。図6に例示する遮断手段70は、冷却液循環路12の内部に設けられ、絶縁性を有する材料により形成された弁体72を備える。また、図6に例示する構成の遮断手段70は、燃料電池システムにおいて、例えば、図5の例の燃料電池システム1の遮断手段60a,60bが設けられた位置に設けられる。図6(a)は、冷却液ポンプ14の作動中、すなわち、冷却液循環路12に冷却液が循環しているときの遮断手段70の状態の例を示す。図6(b)は、冷却液ポンプ14の停止中、すなわち、冷却液循環路12に冷却液が循環していないときの遮断手段70の状態の例を示す。
図6(a)及び図6(b)を参照し、弁体72の一方の端部74は冷却液循環路12の配管の内壁に固定され、弁体72は、端部74を中心軸として回転することで開閉可能である。図6(b)を参照し、冷却液が冷却液循環路12を循環していないとき、冷却液循環路12を閉塞する方向に弁体72を付勢するばね機構76の作用により、弁体72は冷却液循環路12を閉塞する。弁体72は絶縁性を有する材料により形成されるため、弁体72が冷却液循環路12を閉塞しているときは、冷却液循環路12は電気的に遮断される。図6(a)を参照し、所定の流量以上の冷却液が冷却液循環路12を循環しているときは、冷却液の流れが、ばね機構76(図6(a)には図示しない)の作用に逆らって弁体72を回転させ、冷却液循環路12は開放される。図6の例の遮断手段70は、冷却液循環路12における冷却液の流量が多い程より開度が大きくなるシャットバルブであると言える。
図6の例の遮断手段70を備える燃料電池システム1において、ECU40は、図3又は図4の例のフローチャートからステップS40(循環路遮断処理)を省略した処理を行う。図3又は図4の例の手順の処理において、ステップS30でECU40が冷却液ポンプ14を停止させる制御を行うと、冷却液循環路12における冷却液の流量が減少する。これにより、遮断手段70の弁体72が冷却液循環路12を閉塞し、冷却液循環路12は電気的に遮断される。したがって、図6の実施形態の例では、ECU40は、遮断手段70に対して制御信号を送ることなく、冷却液ポンプ14を停止する制御を行うだけで冷却液循環路12の電気的遮断を実現可能である。
なお、上述の各種の実施形態の例において、ECU40は、車両が衝突することを予測した場合だけでなく、図示しない衝突検出センサから車両の衝突を検出したことを表す検出値を取得した場合にも、冷却液循環路12を電気的に遮断する制御(及び冷却液ポンプ14を停止させる制御)を行ってよい。
1 燃料電池システム、10 FCスタック、12 冷却液循環路、14 冷却液ポンプ、16 ラジエータ、20a,20b,60a,60b,70 遮断手段、22a,22b 絶縁材容器、24a,24b バルブ、30 FCスタックケース、40 ECU。
Claims (7)
- 車両に搭載された燃料電池を冷却する冷却液の循環路を電気的に遮断可能な遮断手段と、
前記車両に設けられたセンサから取得した検出値に基づいて、前記車両が衝突すると予測した場合に、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池車両用冷却装置。 - 前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御を行うときに、前記循環路に前記冷却液を循環させるポンプを停止する制御をさらに行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両用冷却装置。 - 前記循環路の少なくとも一部及び前記燃料電池は、絶縁性を有する材料からなるケースに収容され、
前記遮断手段は、前記循環路において前記ケースに収容された部分に設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池車両用冷却装置。 - 前記制御手段は、前記車両が衝突すると予測した場合に、さらに、前記車両に設けられたセンサから取得した検出値を用いて前記車両の衝突速度を推定し、推定した衝突速度が予め設定された閾値を超えたときに、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御を行う、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池車両用冷却装置。 - 前記遮断手段は、移動可能な絶縁材を保持する絶縁材容器と、前記絶縁材容器から前記循環路へ前記絶縁材を導く経路と、当該経路に設けられた弁と、を備え、
前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御において、前記循環路の電気的遮断を指示する制御信号を前記遮断手段に対して出力し、
前記制御信号を取得した前記遮断手段は、前記弁を開いて前記絶縁材容器から前記循環路へ前記絶縁材を挿入することで、前記循環路を電気的に遮断する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池車両用冷却装置。 - 前記循環路の少なくとも一部は変形可能な部材により構成され、
前記遮断手段は、前記循環路における前記変形可能な部材に力を加えて当該部材を変形させる変形手段を有し、
前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御において、前記循環路の電気的遮断を指示する制御信号を前記遮断手段に対して出力し、
前記制御信号を取得した前記遮断手段は、前記変形手段により前記変形可能な部材を変形させて前記循環路の断面積を低減することで前記循環路の電気抵抗を増大させる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池車両用冷却装置。 - 前記遮断手段は、絶縁材からなる弁体であって、前記循環路を流れる前記冷却液の流量が所定量よりも少ないときに前記循環路を閉塞し、前記冷却液の流量が多い程より開度が大きくなるように前記循環路の内部に設けられた弁体を備え、
前記制御手段は、前記遮断手段により前記循環路を電気的に遮断する制御において、前記循環路に前記冷却液を循環させるポンプを停止する制御を行う、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池車両用冷却装置。
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