JP2010250663A - 画像マッチング装置、およびカメラ - Google Patents

画像マッチング装置、およびカメラ Download PDF

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Abstract

【課題】精度高くテンプレートマッチングを行うこと。
【解決手段】制御装置104は、テンプレート画像とターゲット画像のそれぞれを複数のブロック(分割領域)に分割し、各ブロックごとにY成分の値の平均値とCb成分の値の平均値と、Cr成分の値の平均値を算出する。そして、制御装置104は、テンプレート画像とターゲット画像との各成分の類似度値を算出し、各成分の類似度値に無彩色度βに基づく重みを掛けて、テンプレート画像とターゲット画像との類似度値を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、テンプレートマッチングを行うための画像マッチング装置、および画像マッチング機能を備えたカメラに関する。
次のようなパターン・マッチング方法が知られている。このパターン・マッチング方法は、画像を複数の領域に分割し、各領域ごとにテンプレートマッチング処理を行って、最も類似度が高い領域をマッチング領域として抽出する(例えば、特許文献1)。
特開平5−81433号公報
しかしながら、従来のパターン・マッチング方法を用いた場合には、テンプレート画像とターゲット画像との間で画像の明るさが変化した場合には、その両画像間の輝度成分の値に違いが生じるため、テンプレートマッチングの精度が低下するという問題があった。
本発明による画像マッチング装置は、各画素が輝度成分と色差成分とを有するテンプレート画像と、各画素が輝度成分と色差成分とを有する入力画像内に設定した探索枠内のターゲット画像とに基づいて、テンプレート画像とターゲット画像との輝度成分に基づく輝度類似度と、テンプレート画像とターゲット画像との色差成分に基づく色差類似度とを算出する成分類似度算出手段と、テンプレート画像またはターゲット画像の色差成分の値に基づいて、テンプレート画像またはターゲット画像の無彩色度を示す値を算出する無彩色度算出手段と、無彩色度算出手段で算出した無彩色度を示す値を用いて、輝度類似度と色差類似度とに重み付けを行って、テンプレート画像とターゲット画像との類似度を算出する類似度算出手段と、類似度算出手段による類似度の算出結果に基づいて、入力画像内におけるテンプレート画像との類似度が最も高いターゲット画像の位置を特定することによりテンプレートマッチング処理を実行するマッチング手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、テンプレート画像とターゲット画像のそれぞれについて、輝度成分のエッジを抽出して輝度エッジ画像を生成するエッジ画像生成手段をさらに備え、成分類似度算出手段は、テンプレート画像の輝度エッジ画像とターゲット画像の輝度エッジ画像とに基づく類似度を輝度類似度として算出するようにしてもよい。
本発明による画像マッチング装置はまた、各画素が輝度成分と色差成分とを有するテンプレート画像と、各画素が輝度成分と色差成分とを有する入力画像内に設定した探索枠内のターゲット画像とに基づいて、テンプレート画像とターゲット画像のそれぞれについて、輝度成分のエッジを抽出して輝度エッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、テンプレート画像の輝度エッジ画像とターゲット画像の輝度エッジ画像とに基づく輝度類似度と、テンプレート画像とターゲット画像との色差成分に基づく色差類似度とを算出する成分類似度算出手段と、成分類似度算出手段によって算出された輝度類似度と色差類似度とに基づいて、テンプレート画像とターゲット画像との類似度を算出する類似度算出手段と、類似度算出手段による類似度の算出結果に基づいて、入力画像内におけるテンプレート画像との類似度が最も高いターゲット画像の位置を特定することによりテンプレートマッチング処理を実行するマッチング手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、無彩色度を示す値は、0から1の範囲をとる値であることが好ましい。
無彩色度を示す値は、微分可能であり、かつ入力値に対する出力値が0から1の範囲の値を連続的にとり、かつ出力値が一意に決まる関数により出力される値であってもよく、上記関数は、シグモイド関数であることが好ましい。
本発明によるカメラは、被写体像を撮像して画像を取得する撮像手段と、上記の画像マッチング装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、テンプレート画像とターゲット画像との間で画像の明るさが変化した場合でも、テンプレートマッチング処理の精度が低下することを防ぐことができる。
カメラ100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。 テンプレート画像A、画像I、およびターゲット画像Bの具体例を示す図である。 テンプレート画像Aとターゲット画像Bを9つのブロックに分割した場合の具体例を示す図である。 画像の明るさが変化した場合の具体例を示す図である。 シグモイド関数の具体例を示す図である。 テンプレート画像が無彩色の場合の具体例を示す図である。 ブロックごとの各成分の平均値の算出結果例を示す図である。 Yエッジ画像の生成例を示す図である。 Y画像とYエッジ画像の具体例を示す図である。 テンプレート画像とターゲット画像のそれぞれについて、ブロックごとの各成分の平均値の算出結果例を示した図である。 テンプレート画像とターゲット画像の類似度値の算出例を示す図である。 Yエッジ画像を生成した場合のテンプレート画像とターゲット画像のそれぞれについて、ブロックごとの各成分の平均値の算出結果例を示した図である。 Yエッジ画像を生成した場合のテンプレート画像とターゲット画像の類似度値の算出例を示す図である。
図1は、本実施の形態におけるカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、操作部材101と、レンズ102と、撮像素子103と、制御装置104と、メモリカードスロット105と、モニタ106とを備えている。操作部材101は、使用者によって操作される種々の入力部材、例えば電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタンなどを含んでいる。
レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では代表して1枚のレンズで表している。撮像素子103は、例えばCCDやCMOSなどのイメージセンサーであり、レンズ102により結像した被写体像を撮像する。そして、撮像によって得られた画像信号を制御装置104へ出力する。
制御装置104は、撮像素子103から入力された画像信号に基づいて所定の画像形式、例えばJPEG形式の画像データ(以下、「本画像データ」と呼ぶ)を生成する。また、制御装置104は、生成した画像データに基づいて、表示用画像データ、例えばサムネイル画像データを生成する。制御装置104は、生成した本画像データとサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイルを生成してメモリカードスロット105へ出力する。
メモリカードスロット105は、記憶媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットであり、制御装置104から出力された画像ファイルをメモリカードに書き込んで記録する。また、メモリカードスロット105は、制御装置104からの指示に基づいて、メモリカード内に記憶されている画像ファイルを読み込む。
モニタ106は、カメラ100の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタ)であり、当該モニタ106には、メモリカードに記憶されている画像やカメラ100を設定するための設定メニューなどが表示される。また、制御装置104は、使用者によってカメラ100のモードが撮影モードに設定されると、撮像素子103から時系列で取得した画像の表示用画像データをモニタ106に出力する。これによってモニタ106にはスルー画が表示される。
制御装置104は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路により構成され、カメラ100を制御する。なお、制御装置104を構成するメモリには、SDRAMやフラッシュメモリが含まれる。SDRAMは、揮発性のメモリであって、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御装置104が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。
本実施の形態では、制御装置104は、撮像素子103から入力されるスルー画の各フレームに対して、あらかじめ用意したテンプレート画像を用いたテンプレートマッチング処理を行うことによって、フレーム内からテンプレート画像と類似する画像領域を特定する。そして、制御装置104は、特定した領域をフレーム間で追跡することによって、被写体追跡処理を行う。
具体的には、制御装置104は、テンプレートマッチング処理の基準となるテンプレート画像と、撮像素子103から時系列で入力される各フレームとのマッチング演算を行う。例えば、制御装置104は、図2に示すように、テンプレート画像Aを用いて画像I内における被写体位置を特定する。ここで用いるテンプレート画像Aは、あらかじめ使用者からの指示に基づいて取得される。例えば、使用者は、スルー画の最初のフレームがモニタ106に表示されたときに、操作部材101を操作して、最初のフレーム内で、フレーム間で追跡したい被写体を含む範囲を指定する。制御装置104は、使用者によって指定された範囲内の画像をテンプレート画像Aとして抽出して、SDRAMに記憶する。
制御装置104は、撮像素子103からのスルー画の入力が開始されると、各フレーム(コマ)を対象として、この画像I内の所定の位置にテンプレート画像と同じ大きさのターゲット枠を設定し、設定したターゲット枠内のターゲット画像Bをテンプレートマッチングの対象とする。すなわち、制御装置104は、ターゲット枠を画像I内で移動させながら、各ターゲット枠位置におけるターゲット画像Bと、テンプレート画像Aとのマッチング演算を行なう。マッチング演算の結果、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度が最も高い合致領域の画像I内における座標値を被写体位置として特定する。
なお、制御装置104は、画像Iの全体ではなく、画像内からテンプレート画像Aを抽出した位置を含む所定範囲内(探索対象領域内)を対象としてテンプレートマッチングを行うようにしてもよい。これによって、テンプレートマッチングを行う範囲を画像I内の被写体が存在している可能性が高い範囲に限定することができ、処理を高速化することができる。本実施の形態では、制御装置104は、画像I内に設定した探索対象領域内を対象としてテンプレートマッチングを行う例について説明する。
本実施の形態では、テンプレート画像A内の各画素は、テンプレート画像A内における横方向の画素位置を示すmと、縦方向の画素位置を示すnとを用いて、Amnと表すものとする。例えば、テンプレート画像Aにおける左上端の画素はA11と表される。また、ターゲット画像B内の各画素は、ターゲット画像B内における横方向の画素位置を示すmと、縦方向の画素位置を示すnとを用いて、Bmnと表すものとする。例えば、ターゲット画像Bにおける左上端の画素はB11と表される。
テンプレートマッチングの手法としては、一般的に、公知の残差逐次検定法などが用いられる。この残差逐次検定法では、次式(1)に示す残差和により類似度値rを算出し、算出した類似度値rに基づいてテンプレートマッチングを行う。この次式(1)により算出される類似度値rは、その値が小さいほどテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度が高いことを示し、その値が大きいほどテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度が低いことを示す。
Figure 2010250663
本実施の形態では、テンプレート画像Aとターゲット画像Bは、いずれも輝度Y、色差CbおよびCrのYCbCr表色系で表される画像データであるものとし、制御装置104は、式(1)を用いてY成分の値に基づく類似度値rを算出し、式(1)を用いてCb成分の値に基づく類似度値rを算出し、式(1)を用いてCr成分の値に基づく類似度値rを算出する。そして、算出したY成分の値に基づく類似度値rとCb成分の値に基づく類似度値rとCr成分の値に基づく類似度値rの合計値を、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値として算出する。
なお、式(1)では、テンプレート画像Aとターゲット画像Bの対応する画素の差分をとり、それを画像全体で合計することによって類似度値を算出しているが、本実施の形態では、これを画素ごとではなくブロックごとに行う。すなわち、本実施の形態では、制御装置104は、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとをそれぞれ複数のブロックに分割し、テンプレート画像Aとターゲット画像Bの対応するブロック(図3で後述するブロック番号が同じブロック)同士でY成分の値の平均値の差分、Cb成分の値の平均値の差分、およびCr成分の値の平均値の差分をとり、これを画像全体で合計することによって類似度値を算出する。
具体的には、制御装置104は、図3に示すように、テンプレート画像Aおよびターゲット画像Bを、複数のブロック(領域)に分割する。例えば、テンプレート画像Aの大きさとターゲット画像Bの大きさをそれぞれ9×9画素の大きさとし、1つのブロックの大きさが3×3画素となるようにテンプレート画像Aとターゲット画像Bとを9つのブロックに分割する。なお、本実施の形態では、各ブロックを図3に示す番号を用いて表すこととし、例えば、左上のブロックはブロック1と表記する。
そして、制御装置104は、テンプレート画像Aおよびターゲット画像Bのそれぞれについて、各ブロックごとに、Y成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、およびCr成分の値の平均値を算出する。すなわち、図3に示す左上のブロックであるブロック1〜ブロック9のそれぞれのブロックごとに、Y成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、Cr成分の値の平均値を算出する。
一般的なテンプレートマッチング処理においては、制御装置104は、このようにテンプレート画像Aおよびターゲット画像Bのそれぞれについて算出した、各ブロックごとのY成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、Cr成分の値の平均値に基づいて、式(1)を用いた各成分の類似度値rを算出し、その合計値をテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値として、テンプレートマッチングを行う。
このようにテンプレート画像Aおよびターゲット画像Bのそれぞれを対象として、各ブロックごとのY成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、Cr成分の値の平均値を算出し、これらに基づいてテンプレートマッチングを行った場合には、画像の明るさが変化すると、その影響はY成分の値の変動に影響を与えることとなり、テンプレートマッチングの精度が低下する可能性がある。
例えば、図4(a)に示すような日陰で撮影された暗い画像と、図4(b)に示すような日向で撮影された明るい画像とでは、図4(c)および(d)に示すように、Y成分の値の平均値が大きく異なる。なお、図4(c)は、図4(a)に示す暗い画像内における領域4aを対象として算出されたY成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、およびCr成分の値の平均値を示している。また、図4(d)は、図4(b)に示す明るい画像における領域4bを対象として算出されたY成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、およびCr成分の値の平均値を示している。
図4(c)と図4(d)とにおいて、同じブロック番号同士のY成分の値の平均値、Cb成分の値の平均値、およびCr成分の値の平均値を比較すると、Cb成分の値の平均値、およびCr成分の値の平均値に大きな差はないが、Y成分の値の平均値には大きな差が生じていることがわかる。これは、上述したように、図4(a)における領域4a内の画像と図4(b)における領域4b内の画像とで画像の明るさが異なっていることに起因する。
このため、例えば、図4(a)における領域4aをテンプレート画像Aとし、図4(b)における領域4bをターゲット画像Bとし、上述したように、制御装置104は、式(1)により算出した各成分の類似度値の合計値をテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値として算出すると、算出される類似度値はY成分の影響を受けて大きい値となってしまう。すなわち、実際には、テンプレート画像A内の被写体とターゲット画像B内の被写体との類似度が高い場合でも、画像の明るさの変化の影響を受けて類似度は低いと判定されてしまう。
すなわち、画像の明るさが変化した場合には、次式(2)によりテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値として算出すると、マッチング精度が低下してしまうことになる。
Figure 2010250663
なお、式(2)において、Yはテンプレート画像Aの各ブロックのY成分の値の平均値、Cbはテンプレート画像Aの各ブロックのCb成分の値の平均値、Crはテンプレート画像Aの各ブロックのCr成分の値の平均値を表す。また、Yはターゲット画像Bの各ブロックのY成分の値の平均値、Cbはターゲット画像Bの各ブロックのCb成分の値の平均値、Crはターゲット画像Bの各ブロックのCr成分の値の平均値を表す。これらは、後に示す他の式においても同様である。
本実施の形態では、以下に示す方法で類似度値を算出してテンプレートマッチングを行うことにより、上記問題を解消する。まず、制御装置104は、テンプレート画像Aが無彩色であるか有彩色であるかを示す指標である無彩色度βを次式(3)により算出する。無彩色度βは、その値が0に近いほど画像は無彩色に近く(無彩色度が高く)、0の場合には画像が完全無彩色であることを示す。また、その値が1に近いほど画像は有彩色に近く(無彩色度が低く)、1の場合には画像が完全有彩色であることを示す。
Figure 2010250663
なお、βは、式(3)に示すように微分可能なシグモイド関数によって算出され、このシグモイド関数は、図5に示すように、入力値xの値に応じて0から1の範囲の値βを連続的に一意に出力するS字型関数であり、係数aとbとの値により傾きと出力値が1に漸近する位置が決まる。図5に示す例では、a=6、b=6とした場合のシグモイド関数の具体例を示しており、本実施の形態では、無彩色度βは、a=6、b=6として算出されるものとする。
また、入力値xは、次式(4)に算出される。なお、式(4)における正規化係数はあらかじめ実験に基づいて設定されており、本実施の形態では、例えば正規化係数=310とする。
Figure 2010250663
制御装置104は、式(3)により算出された無彩色度βを用いて、次式(5)によりテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出する。
Figure 2010250663
これにより、テンプレート画像Aが完全有彩色または有彩色に近い場合(以下、まとめて「有彩色の場合」と呼ぶ)には、上述したように無彩色度βの値は大きい(1に近い)ため、Y成分の類似度値に1−βをかけることで、明るさ変化の影響を受けるY成分の類似度値に掛ける重みを小さくすることができ、テンプレートマッチングの精度を向上することができる。
例えば、図4(c)をテンプレート画像Aの各ブロックごとに算出された各成分の類似度値の平均値とし、図4(d)をターゲット画像Bの各ブロックごとに算出された各成分の類似度値の平均値とし、上述したように正規化関数を310とした場合には、式(4)により入力値x=1.4となる。この入力値xを用いて式(3)により無彩色度βを算出した場合には、β=0.9となる。よって、式(5)において、Y成分の類似度に掛ける重みは0.1となり、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値の算出結果におけるY成分の類似度値の寄与率を10%に抑えることができる。
これに対して、テンプレート画像Aが完全無彩色または無彩色に近い場合(以下、まとめて「無彩色の場合」と呼ぶ)には、各画素のCb成分の値、およびCr成分の値は、無彩色を示す128に近い値となることから、各ブロックごとに算出されるCb成分の類似度値の平均値と、Cr成分の類似度値の平均値も128に近い値となる。例えば、図6(a)に示す画像内の領域6a内の無彩色に近い画像をテンプレート画像Aとした場合には、各ブロックにおける各成分の類似度値の平均値は、図6(c)に示すように算出され、各ブロックのCb成分の類似度値の平均値と、Cr成分の類似度値の平均値は、128に近い値となる。
このテンプレート画像Aを用いて図6(b)に示す画像を対象としてテンプレートマッチングを行った場合について考える。この場合、領域6b内の無彩色に近い画像をターゲット画像Bとした場合の各ブロックにおける各成分の類似度値の平均値は図6(d)に示すようになり、領域6c内の無彩色に近い画像をターゲット画像Bとした場合の各ブロックにおける各成分の類似度値の平均値は図6(e)に示すようになり、いずれのターゲット画像Bについても各ブロックのCb成分の類似度値の平均値とCr成分の類似度値の平均値とは128に近い値となる。
図7(a)に図6(c)に示した算出結果と図6(d)に示した算出結果の各ブロック後との差分の絶対値を示す。この場合のY成分の類似度値の平均値の合計値は88、Cb成分の類似度値の平均値の合計値は8、Cr成分の類似度値の平均値の合計値は9となる。また、図7(b)に図6(c)に示した算出結果と図6(e)に示した算出結果の各ブロック後との差分の絶対値を示す。この場合のY成分の類似度値の平均値の合計値は148、Cb成分の類似度値の平均値の合計値は10、Cr成分の類似度値の平均値の合計値は12となる。
この図7(a)と図7(b)に示す結果より、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値の算出において、Cr成分の類似度値の寄与率とCb成分の類似度値の寄与率とを大きくしてしまうと、領域6bと領域6cとは、いずれもテンプレート画像Aとの類似度が高いと判定されてしまう可能性が高く、テンプレートマッチングの精度を低下させてしまう。よって、式(5)を用いることにより、上述したように無彩色度βの値は小さい(0に近い)ため、Cr,Cbの両成分の類似度値にβをかけることで、Cr,Cbの両成分の類似度値に掛ける重みを小さくすることができ、テンプレートマッチングの精度が低下するのを防ぐことができる。
例えば、図6(c)に示すように、この場合のテンプレート画像Aについて算出される無彩色度βは0.01であるため、式(5)において、これをCr,Cbの両成分の類似度値に掛ければ、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値の算出においてCr成分の類似度値およびCb成分の類似度値をほぼ無視することができる。
このように、制御装置104は、式(5)を用いてテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出することにより、テンプレート画像Aが有彩色の場合には画像の明るさの変化に対応して精度の高いテンプレートマッチングを可能とするとともに、テンプレート画像Aが無彩色の場合にもテンプレートマッチングの精度が低下するのを防ぐことができる。しかしながら、式(5)により類似度値を算出する場合、テンプレート画像Aが無彩色の場合には、Y成分の類似度に掛ける重みが大きくなることから、画像の明るさ変化に対応することができない。
本実施の形態では、次のようにエッジ画像を用いて類似度値を算出することにより、テンプレート画像が無彩色の場合にも明るさの変化に対応してテンプレートマッチングの精度を向上させる方法について説明する。上述したように、画像の明るさが変化した場合には、画像のY成分の値に影響するため、本実施の形態では、テンプレート画像Aとターゲット画像Bについて、Y成分のエッジを抽出したエッジ画像(以下、「Yエッジ画像」と呼ぶ)を生成してテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出する。
ここで、図8を用いてYエッジ画像の生成方法の一例について説明する。図8(a)は、テンプレート画像Aの各画素のY成分の値を示した図である。制御装置104は、このようなテンプレート画像Aの各画素のY成分の値を右下に1画素ずつずらして、図8(b)に示す画像A´を生成する。例えば、テンプレート画像A内の画素8aのY成分の値は、画像A´では元の位置の左下の画素8a´のY成分の値となり、テンプレート画像A内の画素8bのY成分の値は、画像A´では元の位置の左下の画素8b´のY成分の値となる。
また、テンプレート画像Aの右端の各画素のY成分の値は、画像A´の左端の一画素下に移動させる。例えば、テンプレート画像A内の右端の上から2番目の画素8cのY成分の値は、画像A´では左端の上から3番目の画素8c´のY成分の値となる。また、テンプレート画像Aの下端の各画素のY成分の値は、画像A´の上端の一画素右に移動させる。例えば、テンプレート画像A内の下端の左から4番目の画素8dのY成分の値は、画像A´では上端の左から5番目の画素8d´のY成分の値となる。
そして、制御装置104は、図8(c)に示すように、テンプレート画像Aの各画素のY成分の値と生成した画像A´の各画素のY成分の値との差分の絶対値をYエッジ画像として生成する。制御装置104は、同様の処理をターゲット画像Bに対しても行って、ターゲット画像BのYエッジ画像を生成する。これによって、例えば、図9(a)に示すY画像から図9(b)に示すようなYエッジ画像が生成される。
制御装置104は、このように生成したテンプレート画像AのYエッジ画像を、上述したように3画素×3画素を1フロックとした9つのブロックに分割し、各ブロックごとにYエッジ成分の値の平均値Yedge_Aを算出する。また、同様にターゲット画像BのYエッジ画像を9つのブロックに分割し、各ブロックごとにYエッジ成分の値の平均値Yedge_Bを算出する。そして、制御装置104は、次式(6)によりテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出する。
Figure 2010250663
例えば、図10(a)に示す無彩色のテンプレート画像Aと、図10(b)に示すターゲット画像B1と、図10(c)に示すターゲット画像B2と、図10(d)に示すターゲット画像B4とがある場合、実際にはテンプレート画像Aはターゲット画像B2と最も類似度が高いものとする。この場合に、テンプレート画像Aと、ターゲット画像B1、ターゲット画像B2、ターゲット画像B4のそれぞれとの類似度値を式(2)を用いて算出した場合には、図11に示す結果となる。
すなわち、テンプレート画像Aとターゲット画像B1の類似度値は427、テンプレート画像Aとターゲット画像B2の類似度値は487、テンプレート画像Aとターゲット画像B3の類似度値は284となる。この場合、上述したように、テンプレート画像Aはターゲット画像B2と最も類似度が高いにもかかわらず、テンプレート画像Aが無彩色であったためにテンプレートマッチングの精度が低下して、テンプレート画像Aと最も類似度が高いのはターゲット画像B3であると判定されることになる。
これに対して、テンプレート画像Aとターゲット画像B1,B2、B3とについてYエッジ画像を生成した場合には、テンプレート画像Aとターゲット画像B1,B2、B3との各ブロックのYエッジ成分、Cb成分、およびCr成分のそれぞれの値の平均値は図12に示すようになる。
この場合に、テンプレート画像Aと、ターゲット画像B1、ターゲット画像B2、ターゲット画像B4のそれぞれとの類似度値を式(6)を用いて算出した場合には、図13に示す結果となる。すなわち、テンプレート画像Aとターゲット画像B1の類似度値は58、テンプレート画像Aとターゲット画像B2の類似度値は30、テンプレート画像Aとターゲット画像B3の類似度値は61となる。その結果、実際の類似度が最も高いテンプレート画像Aとターゲット画像B2との類似度値が最小となり、テンプレートマッチングの結果、正確に被写体位置を特定して追尾を行うことが可能になる。
なお、制御装置104は、式(5)と式(6)とを組み合わせた次式(7)を用いてテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度を算出することにより、テンプレート画像Aが有彩色の場合、無彩色の場合を問わず、画像の明るさ変化に対応してテンプレートマッチングの精度をさらに向上させることができる。
Figure 2010250663
上記式(5)〜式(7)の各算出式を用いた類似度値の算出方法は、式(7)を用いた場合が最もテンプレートマッチングの精度を向上することができ、式(6)を用いた場合、式(5)を用いた場合の順に精度が低下していく。しかし、処理速度は、式(5)を用いた場合が最も早く、式(6)を用いた場合、式(7)を用いた場合の順に低下していく。よって、テンプレートマッチングの精度と処理速度のいずれを重視するかにより、式(5)〜式(7)のいずれの算出式を用いて類似度を算出するかを決定する必要がある。いずれの算出式を使用するかは、使用者が任意に選択してもよく、カメラ100の設定としていずれかの算出式を固定で用いてもよい。
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置104は、テンプレート画像Aとターゲット画像Bのそれぞれを複数のブロック(分割領域)に分割し、各ブロックごとにY成分の値の平均値と、Cb成分の値の平均値と、Cr成分の値の平均値を算出する。そして、制御装置104は、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの各成分の類似度値を算出し、各成分の類似度値に無彩色度βに基づく重みを掛けて、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出するようにした。これによって、テンプレート画像Aが有彩色の場合には画像の明るさの変化に対応して精度の高いテンプレートマッチングを可能とするとともに、テンプレート画像Aが無彩色の場合にもテンプレートマッチングの精度が低下するのを防ぐことができる。
(2)制御装置104は、テンプレート画像Aとターゲット画像Bのそれぞれについて、Y成分のエッジを抽出してYエッジ画像を生成し、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値をYエッジ成分、Cb成分、およびCr成分に基づいて算出するようにした。これによって、テンプレート画像Aが無彩色の場合にも、画像の明るさの変化に対応してさらに精度の高いテンプレートマッチングを可能とすることができる。
―変形例―
なお、上述した実施の形態のカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、制御装置104は、テンプレート画像Aとターゲット画像Bとをそれぞれ9つの領域に分割し、各領域ごとに各成分の値の平均値を算出して、この平均値を用いて各成分の類似度値を算出する例について説明した。しかしながら、制御装置104は、分割するブロック数を9つ以外のブロック数としてもよい。また、テンプレート画像Aとターゲット画像Bと複数のブロックに分割せず、各画素における各成分の値を用いて類似度値を算出するようにしてもよい。
(2)上述した実施の形態では、制御装置104は、式(3)を用いて、テンプレート画像Aが無彩色であるか有彩色であるかを示す指標である無彩色度βを算出し、算出した無彩色度βを式(5)や式(7)で用いてテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出する例について説明した。しかしながら、制御装置104は、式(3)を用いて、ターゲット画像Bが無彩色であるか有彩色であるかを示す指標である無彩色度βを算出して、この算出結果を用いてテンプレート画像Aとターゲット画像Bとの類似度値を算出するようにしてもよい。
(3)上述した実施の形態では、制御装置104は、図8(a)に示すテンプレート画像Aの各画素のY成分の値を右下に1画素ずつずらして、図8(b)に示す画像A´を生成し、図8(c)に示すように、テンプレート画像Aの各画素のY成分の値と生成した画像A´の各画素のY成分の値との差分の絶対値をYエッジ画像として生成する例について説明した。しかしながら、制御装置104は、テンプレート画像Aの各画素のY成分の値を右下以外の方向に1画素ずつずらして、図8(b)に示す画像A´を生成するようにしてもよい。
(4)上述した実施の形態では、制御装置104は、スルー画を対象として被写体追尾を行う例について説明した。しかしながら、カメラ100が動画撮影機能を備えている場合には、制御装置104は、スルー画ではなく、撮影済みの動画のフレーム間で被写体追尾を行うようにしてもよい。
(5)上述し実施の形態では、カメラ100が供える制御装置104がテンプレートマッチング処理を行って被写体追尾を行う例について説明した。しかしながら、テンプレートマッチング処理を実行するためのプログラムをパソコンなどその他の端末に記録して、それらの端末上で処理を実行することも可能である。この場合、カメラで撮影した動画像データを端末側に取り込んで、これを対象に処理を行うようにすれば、動画のフレーム間で被写体追尾を行うことが可能となる。また、本発明はカメラ付き携帯電話などに適用することも可能である。
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
100 カメラ、101 操作部材、102 レンズ、103 撮像素子、104 制御装置、105 メモリカードスロット、106 モニタ

Claims (7)

  1. 各画素が輝度成分と色差成分とを有するテンプレート画像と、各画素が輝度成分と色差成分とを有する入力画像内に設定した探索枠内のターゲット画像とに基づいて、前記テンプレート画像と前記ターゲット画像との前記輝度成分に基づく輝度類似度と、前記テンプレート画像と前記ターゲット画像との前記色差成分に基づく色差類似度とを算出する成分類似度算出手段と、
    前記テンプレート画像または前記ターゲット画像の色差成分の値に基づいて、前記テンプレート画像または前記ターゲット画像の無彩色度を示す値を算出する無彩色度算出手段と、
    前記無彩色度算出手段で算出した前記無彩色度を示す値を用いて、前記輝度類似度と前記色差類似度とに重み付けを行って、前記テンプレート画像と前記ターゲット画像との類似度を算出する類似度算出手段と、
    前記類似度算出手段による前記類似度の算出結果に基づいて、前記入力画像内における前記テンプレート画像との類似度が最も高い前記ターゲット画像の位置を特定することによりテンプレートマッチング処理を実行するマッチング手段とを備えることを特徴とする画像マッチング装置。
  2. 請求項1に記載の画像マッチング装置において、
    前記テンプレート画像と前記ターゲット画像のそれぞれについて、前記輝度成分のエッジを抽出して輝度エッジ画像を生成するエッジ画像生成手段をさらに備え、
    前記成分類似度算出手段は、前記テンプレート画像の輝度エッジ画像と前記ターゲット画像の輝度エッジ画像とに基づく類似度を前記輝度類似度として算出することを特徴とする画像マッチング装置。
  3. 各画素が輝度成分と色差成分とを有するテンプレート画像と、各画素が輝度成分と色差成分とを有する入力画像内に設定した探索枠内のターゲット画像とに基づいて、前記テンプレート画像と前記ターゲット画像のそれぞれについて、前記輝度成分のエッジを抽出して輝度エッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、
    前記テンプレート画像の輝度エッジ画像と前記ターゲット画像の輝度エッジ画像とに基づく輝度類似度と、前記テンプレート画像と前記ターゲット画像との前記色差成分に基づく色差類似度とを算出する成分類似度算出手段と、
    前記成分類似度算出手段によって算出された前記輝度類似度と前記色差類似度とに基づいて、前記テンプレート画像と前記ターゲット画像との類似度を算出する類似度算出手段と、
    前記類似度算出手段による前記類似度の算出結果に基づいて、前記入力画像内における前記テンプレート画像との類似度が最も高い前記ターゲット画像の位置を特定することによりテンプレートマッチング処理を実行するマッチング手段とを備えることを特徴とする画像マッチング装置。
  4. 請求項1または2に記載の画像マッチング装置において、
    前記無彩色度を示す値は、0から1の範囲をとる値であることを特徴とする画像マッチング装置。
  5. 請求項4に記載の画像マッチング装置において、
    前記無彩色度を示す値は、微分可能であり、かつ入力値に対する出力値が0から1の範囲の値を連続的にとり、かつ出力値が一意に決まる関数により出力される値であることを特徴とする画像マッチング装置。
  6. 請求項5に記載の画像マッチング装置において、
    前記関数は、シグモイド関数であることを特徴とする画像マッチング装置。
  7. 被写体像を撮像して画像を取得する撮像手段と、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像マッチング装置とを備えることを特徴とするカメラ。
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