JP2010250076A - 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010250076A
JP2010250076A JP2009099437A JP2009099437A JP2010250076A JP 2010250076 A JP2010250076 A JP 2010250076A JP 2009099437 A JP2009099437 A JP 2009099437A JP 2009099437 A JP2009099437 A JP 2009099437A JP 2010250076 A JP2010250076 A JP 2010250076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
atom
nitrogen
carbon atoms
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009099437A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5486836B2 (ja
Inventor
Daisuke Kondo
大介 近藤
Hiroshi Saegusa
浩 三枝
Kaoru Iwato
薫 岩戸
Shuji Hirano
修史 平野
Yusuke Iizuka
裕介 飯塚
Shuhei Yamaguchi
修平 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2009099437A priority Critical patent/JP5486836B2/ja
Publication of JP2010250076A publication Critical patent/JP2010250076A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5486836B2 publication Critical patent/JP5486836B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

【課題】コーナー・プロキシミティ(Corner proximity)が良好で、現像欠陥が少ないパターンを形成することが可能で、液浸液への酸の溶出が少なく、液浸液に対する追随性が良好である感活性光線又は感放射線樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、(C)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する極性変換基を有する繰り返し単位を含有し、かつ、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを含有する樹脂、および、(D)下記一般式(1)で表される含窒素ヘテロ環を有する含窒素有機化合物を含有することを特徴とする感活性光線または感放射線樹脂組成物。(一般式(1)の各符号は明細書に記載の意味を有する。)
【化1】
Figure 2010250076

【選択図】 なし

Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用される感活性光線性または感放射線性樹脂組成物、およびそれを用いたパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、250nm以下、好ましくは220nm以下の遠紫外線および電子線を露光光源とする場合に好適で、且つ微細加工技術に適した感活性光線性または感放射線性樹脂組成物およびそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
なお、本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
化学増幅レジスト組成物は、遠紫外光等の活性光線又は放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性光線又は放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
一方、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。
更に、上記脂環炭化水素構造を有する樹脂に界面活性剤を含有させることで性能が向上することが見出されている。例えば、特許文献1などに記載されているように、ポジ型フォトレジスト組成物にフッ素系界面活性剤を添加することにより放射状むら(ストリエーション)を防止することが行われている。
半導体素子の微細化に伴い露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、更なる波長の短波化による高解像力化を目指して、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法が知られている。液浸法はあらゆるパターン形状に対して有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることが可能である。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うためにレジストの画像形成方法として化学増幅という画像形成方法が用いられている。ポジ型の化学増幅の画像形成方法を例に挙げ説明すると、露光で露光部の酸発生剤が分解し酸を生成させ、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)でその発生酸を反応触媒として利用してアルカリ不溶の基をアルカリ可溶基に変化させ、アルカリ現像により露光部を除去する画像形成方法である。
この化学増幅機構を用いたArFエキシマレーザー用(193nm)レジストは、現在主流になりつつあるが、液浸露光した場合には、形成したラインパターンが倒れてしまい、デバイス製造時の欠陥となってしまうパターン倒れの問題や、パターン側壁の荒れるLWR(ラインウィズスラフネス)においてはいまだ不十分であった。
また、化学増幅レジストを液浸露光に適用すると、露光時にレジスト層が液浸液と接触することになるため、レジスト層が変質することや、レジスト層から液浸液に悪影響を及ぼす成分が滲出することが指摘されている。これに対し、特許文献2〜5では、シリコン原子やフッ素原子を含有する樹脂を添加することで滲出を抑制する例が記載されている。
また、液浸露光プロセスにおいて、スキャン式の液浸露光機を用いて露光する場合には、レンズの移動に追随して液浸液も移動しないと露光スピードが低下するため、生産性に影響を与えることが懸念される。液浸液が水である場合においては、レジスト膜は疎水的であるほうが水追随性が良好であり望ましい。
また、化学増幅型レジスト組成物の主要構成成分である塩基性化合物についても種々の化合物が見出されており、アニリン類,イミダゾール類,ピリジン類,アンモニアを塩基性化合物として含有する感光性組成物が開示されている。
しかしながら、レジストとしての総合性能の観点から、使用される樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤、溶剤等の適切な組み合わせを見い出すことが極めて困難であるのが実情であり、更には、解像性能、Corner proximityと現像欠陥性能の両立が強く求められていた。
特開平10−307385号公報 特開平5−127369号公報 特開平6−266111号公報 特開2007−182488号公報 特開2007−153982号公報
本発明の目的は、Corner proximityが良好で、現像欠陥が少ないパターンを形成することが可能で、液浸液への酸の溶出が少なく、液浸液に対する追随性が良好である感活性光線又は感放射線樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記に示す本発明を完成するに至った。
(1) (A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、(C)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する極性変換基を有する繰り返し単位を含有し、かつ、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを含有する樹脂、および、(D)下記一般式(1)で表される含窒素ヘテロ環を有する含窒素有機化合物を含有することを特徴とする感活性光線または感放射線樹脂組成物。
Figure 2010250076
(式中、R1は両端で結合する窒素原子と共に含窒素へテロ脂肪族環又は含窒素ヘテロ芳香族環を形成する炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の置換基を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はハロゲン原子を含んでもよい。R2は炭素数2〜10のカルボニル基を含んでもよい直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R3は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基ステロイド骨格、シアノ基またはこれらの2以上の組み合わせを含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はアシル基を表す。)
(2) 樹脂(C)が、2つ以上の極性変換基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする、(1)に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
(3) 樹脂(C)が、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかと、極性変換基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
(4) 含窒素有機化合物(D)として、下記一般式(2)〜(10)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、(1)から(3)のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
Figure 2010250076
(式中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表す。R6は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R8は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R9は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。)
(5) 含窒素有機化合物(D)として、下記一般式(2’)〜(10’)で表される含窒素へテロ環及びステロイド骨格を有する含窒素有機化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
Figure 2010250076
(式中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表す。R6'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R8は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R9'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。)
(6) 樹脂(A)が、ラクトン構造を含む繰り返し単位を含有することを特徴とする、(1)から(5)のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
(7) 樹脂(A)が、単環式または多環式の酸分解性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする、(1)から(6)のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
(8) (1)から(7)のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物を用いて膜を形成し、該塗膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
(9) 液浸液を介して塗膜を露光することを特徴とする、(8)に記載のパターン形成方法。
本発明により、Corner proximityが良好で、現像欠陥が少ないパターンを形成することが可能で、液浸液への酸の溶出が少なく、液浸液に対する追随性が良好である感活性光線又は感放射線樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法の提供が可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明の感活性光線又は感放射線樹脂組成物は、塩基性化合物として、(D)含窒素ヘテロ環を有する含窒素有機化合物の1種又は2種以上をクエンチャーとして含有し、更に、
(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂、及び、
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、及び、
(C)極性変換基を有する繰り返し単位を含有し、かつ、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを含有する樹脂、を含有する。
(D)含窒素有機化合物
本発明の組成物は、塩基性化合物として含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物を含有する。
含窒素有機化合物としては、下記一般式(1)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物、好ましくは、下記一般式(2)〜(10)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物、または下記一般式(2’)〜(10’)で表される含窒素へテロ環を有し、ステロイド骨格を有する含窒素有機化合物を挙げることができる。更に本発明の組成物は、水液浸時の水へのアミン化合物の溶出が少ないため、液浸露光にも好適に用いることができる。
ここで、本発明の感活性光線または感放射線樹脂組成物に配合される含窒素有機化合物は、上述したように、下記一般式(1)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物である。好ましくは、分子量380以上の下記一般式(1)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物である。
Figure 2010250076
式中、R1は両端で結合する窒素原子と共に含窒素へテロ脂肪族環又は含窒素ヘテロ芳香族環を形成する炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の置換基を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はハロゲン原子を含んでもよい。R2は炭素数2〜10のカルボニル基を含んでもよい直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R3は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基、ステロイド骨格又はこれらの2以上の組み合わせを含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はアシル基を表す。
一般式(1)中、R1は両端で結合する窒素原子と共に含窒素へテロ脂肪族環又は含窒素ヘテロ芳香族環を形成する炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の置換基を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はハロゲン原子を含んでもよい。R1が両端で結合する窒素原子と共に形成する含窒素へテロ脂肪族環として具体的には、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、2−イミダゾリジン、2−ピロリン、ピラゾリジン、ピペラジン、3−ピラゾリン、モルホリン、チオモルホリン、及びこれらのアルキル又はアリール置換体を例示でき、R1が両端で結合する窒素原子と共に形成する含窒素へテロ芳香族環として具体的には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、1H−インダゾール、プリン、ペリミジン、フェノキサジン、フェノチアジン、及びこれらの鎖状又は環状アルキル、アリール又はアラルキル置換体を例示できるが、これらに限定されない。
一般式(1)中、R2は炭素数2〜10のカルボニル基を含んでもよい直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、具体的にはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、及びこれらのオキソ置換体を例示できるが、これらに限定されない。
一般式(1)中、R3は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基、ステロイド骨格又はこれらの2以上の組み合わせを含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はアシル基を表し、より具体的には、一般式−CO−R6、−CH2−OR6又はR9、−CO−R6'、−CH2−OR6'又はR9'で表すことができ、式中のR6、R9、R6'、R9'については後述する。
一般式(1)で表される含窒素有機化合物として具体的には、後述の一般式(2)〜(10)、(2’)〜(10’)で表される含窒素有機化合物の具体例に加え、以下のものを例示できるが、これらに限定されない。
Figure 2010250076
本発明の組成物に配合される含窒素有機化合物は、一態様において、上述したように、下記一般式(2)〜(10)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物である。好ましくは、含窒素へテロ環を有する分子量430以上の含窒素有機化合物である
Figure 2010250076
式中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表す。R6は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R8は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R9は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。
一般式(2)、(3)、(5)、(6)、(8)、(9)中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表し、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、デシル基、アダマンチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基を例示でき、特に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基であることが好ましい。
一般式(2)〜(7)中、R5は水素原子又はメチル基を表す。
一般式(2)〜(7)中、R6は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表し、具体的には、下記のものを例示できる。下記式中、破線は結合位置を示し、以下同様である。
Figure 2010250076
一般式(4)、(7)、(10)中、R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、酸素原子であることがより好ましい。
一般式(8)、(9)、(10)中、R9は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表し、具体的には、下記のものを例示できる。
Figure 2010250076
一般式(2)〜(10)で表される含窒素有機化合物として具体的には、以下のものを例示できるが、これらに限定されない。下記式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示し、以下同様である。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
本発明の組成物に配合される含窒素有機化合物は、一態様において、上述したように、下記一般式(2’)〜(10’)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物である。好ましくは、下記一般式(2’)〜(10’)で表される含窒素へテロ環を有する分子量430以上の含窒素有機化合物である。
Figure 2010250076
式中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表す。R6'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R8は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R9'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。
一般式(2’)〜(10’)中、R4、R5、R7、R8は上記と同様である。
一般式(2’)〜(7’)中、R6'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表し、具体的には下記の構造を例示できるが、これらに限定されない。下記式中、Acはアセチル基を示し、以下同様である。
Figure 2010250076
一般式(8’)〜(10’)中、R9'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表し、具体的には下記の構造を例示できるが、これらに限定されない。
Figure 2010250076
一般式(2’)〜(10’)で表される含窒素有機化合物として、具体的には、以下のものを例示できるが、これらに限定されない。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
本発明によれば、これらの含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物において、含窒素へテロ環構造及び近傍に位置するエーテル、エステル、アセタールなどの官能基は酸との親和性が高く、光酸発生剤からの発生酸の速やかな捕捉を実現せしめ、一方で一般式(1)中のR3で表される高炭素数の側鎖部分は、含窒素有機化合物の感活性光線または感放射線樹脂組成物膜中での分布、拡散、揮発及び水溶性等に多大な影響を及ぼしていると予想され、これらの結果として本発明の含窒素有機化合物を添加したフォトレジストにおける高解像性とマスク被覆率依存性の低減を達成、加えて液浸露光への適用も可能とするものと考えられる。また、本発明の含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物の可能な構造の中から適切なものを選ぶことにより、本発明の含窒素有機化合物の塩基性度、酸の捕捉速度、レジスト中での拡散速度、水溶性などを、用いるレジストポリマー、酸発生剤、露光方法などに応じて適当に調節することができ、ひいてはパターン形状などの感活性光線または感放射線樹脂組成物の性能を最適に調整することができるものである。
上記式(1)〜(10)及び(2’)〜(10’)で示される含窒素有機化合物は、化合物の構造に応じた最適な方法を選択して製造される。具体的には窒素原子上に水素原子を有する含窒素ヘテロ環化合物のN−アルキル化反応を用いる方法、もしくはN上にヒドロキシアルキル置換基をもつ含窒素ヘテロ環化合物のO−アシル化もしくはO−アルキル化反応を用いる方法を例示できるが、これらの方法に限定されない。以下、詳しく説明する。
まず、第1の方法として、窒素原子上に水素原子を有する含窒素ヘテロ環化合物のN−アルキル化反応による製造法が挙げられ、この方法は基本的には一般式(1)〜(10)及び(2’)〜(10’)のすべてについて適用が可能である。
Figure 2010250076
式中、R1は両端で結合する窒素原子と共に含窒素へテロ脂肪族環又は含窒素ヘテロ芳香族環を形成する炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の置換基を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はハロゲン原子を含んでもよい。R2は炭素数2〜10のカルボニル基を含んでもよい直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R3は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基、ステロイド骨格又はこれらの2以上の組み合わせを含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はアシル基を表す。Xはハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、水酸基などの脱離基を表す。
本反応のアルキル化剤である化合物(12)の使用量は、含窒素ヘテロ環化合物(11)1モルに対し、0.1〜10モル、特に0.3〜2モルとすることが望ましい。反応は無溶媒又は溶媒中で行う。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒類、ギ酸、酢酸などのカルボン酸類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類、水の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。反応温度は反応速度に応じて0℃から溶媒の還流温度までの範囲で選択する。必要に応じて反応に塩基を添加してもよく、その場合の塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾールなどのアミン類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物類、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物類、ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロミドなどの有機金属類、リチウムジイソプロピルアミドなどの金属アミド類の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。あるいは原料となる含窒素ヘテロ環化合物そのものを塩基として用いることも可能である。塩基の使用量は含窒素ヘテロ環化合物(11)1モルに対し、0.1〜10モル、特に0.5〜5モルとすることが望ましい。
反応には反応速度向上のために触媒としてヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどのヨウ化物、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化テトラブチルアンモニウムなどの臭化物を加えてもよい。触媒を加える場合の添加量は、含窒素ヘテロ環化合物(11)1モルに対し、0.001〜2モル、特に0.005〜0.5モルとすることが望ましい。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜100時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的物である(1)を得る。必要があれば化合物(1)は蒸留、クロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することができる。あるいは水系後処理(aqueous work−up)を行わず、反応で生じた塩を濾別後又は反応液を直接精製にかけることが可能な場合もある。
目的物の構造によっては、この他、オキシラン、オキセタンなどの環状エーテル類;アクリル酸エステル、ビニルケトンなどのα,β−不飽和カルボニル化合物;環状カーボネート類への含窒素ヘテロ環化合物の付加反応によっても目的物(1)を得ることが可能な場合がある。
第2の方法として、N上にヒドロキシアルキル置換基をもつ含窒素ヘテロ環化合物のO−アシル化もしくはO−アルキル化反応を用いる製造法を挙げることができる。この方法は特に一般式(2)〜(7)及び(2’)〜(7’)で示される含窒素有機化合物の製造に効果的である。
Figure 2010250076
式中、R1は両端で結合する窒素原子と共に含窒素へテロ脂肪族環又は含窒素ヘテロ芳香族環を形成する炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の置換基を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はハロゲン原子を含んでもよい。R2は炭素数2〜10のカルボニル基を含んでもよい直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R3は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基、ステロイド骨格又はこれらの2以上の組み合わせを含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はアシル基を表す。Yはハロゲン原子、アルキル又はアリールスルホニルオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、フェノキシ基、アルコキシ基などの脱離基を表す。
反応は前述の方法等により製造可能なN−(ヒドロキシアルキル)含窒素ヘテロ環化合物(13)に対してアルキル化剤もしくはアシル化剤である化合物(14)を作用させることにより目的化合物(1)を得る。R3がアルキル基の場合、化合物(14)はアルキル化剤、R3がアシル基の場合、化合物(14)はアシル化剤である。化合物(14)の使用量はN−(ヒドロキシアルキル)含窒素ヘテロ環化合物(13)1モルに対し、0.1〜5.0モル、特に0.3〜2.0モルとすることが望ましい。反応は無溶媒又は溶媒中で行う。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン極性溶媒類、ギ酸、酢酸などのカルボン酸類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、水の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。
反応を促進するために塩基性化合物を加えてもよく、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム,炭酸ナトリウム、重曹、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、カリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシドなどのアルカリ又はアルカリ土類金属の塩類、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ブロモマグネシウムジイソプロピルアミドなどの有機金属類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどの有機アミン類を例示できるが、これらに限定されない。塩基性化合物は単独あるいは2種類以上を混合して用いることができ、使用量は化合物(14)1モルに対し、0.8〜10モル、特に0.9〜3.0モル用いることが好ましい。反応温度は−70℃から溶媒の還流温度までの範囲で選択できるが、特に0〜50℃の範囲で行うことが好ましい。R3=アシル基、Y=アルコキシ基である場合は化合物(14)はカルボン酸エステル化合物であり、本反応はエステル交換反応である。この場合、反応触媒として上記塩基性化合物を化合物(14)1モルに対し、0.001〜5.0モル、特に0.005〜0.5モル用い、反応により生成するアルコール(Y−H)を留去しながら反応することが好ましい。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.2〜20時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的物(1)を得る。必要があれば化合物(1)は蒸留、クロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することができる。あるいは水系後処理(aqueous work−up)を行わず、反応で生じた塩を濾別後又は反応液を直接精製にかけることが可能な場合もある。
(D)成分の一般式(1)で表される含窒素有機化合物は単独でもしくは2種以上併用してもよく、以下に説明するように、他の塩基性化合物と併用してもよい。
他の塩基性化合物
本発明の含窒素有機化合物以外に、塩基性化合物として従来から用いられている含窒素有機化合物等のクエンチャーを1種あるいは2種以上併用することもできる。
該塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
Figure 2010250076
一般式(A)及び(E)中、
200 、R201及びR202 は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。R203 、R204、R205及びR206 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、または炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカー7−エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタンー1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
前記フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合していることが好ましい。また、前記アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でも−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−の構造が好ましい。
前記フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物の具体例としては、US2007/0224539Aの[0066]に例示されている化合物(C1-1)〜(C3-3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(D)成分である一般式(1)で表される含窒素有機化合物の配合率は、後述する(A)成分のベース樹脂100部(質量部、以下同様)に対し0.01〜10部が好ましく、特に0.05〜5部であることが好ましい。また、他の塩基性化合物を併用する場合、塩基性化合物の合計の配合率は、(A)成分のベース樹脂100部に対し0.01〜10部が好ましく、特に0.05〜5部であることが好ましい。少なすぎると、配合効果がなく、多すぎると、感度が低下しすぎる場合がある。
酸発生剤と全塩基性化合物の組成物中の使用割合は、酸発生剤/塩基性化合物の合計(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/塩基性化合物(モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
(C)極性変換基を有する繰り返し単位を含有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂
本発明の感活性光線又は感放射線樹脂組成物は、極性変換基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(c)を含有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂(C)を含有する。樹脂(C)は疎水性を有するものであるが、樹脂(C)の添加は、特に現像欠陥の低減の点で好ましい。
ここで、極性変換基とは、アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基である。例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSOO−)、スルホン酸エステル基(−SOO−)などが挙げられる。
なお、アクリレートなどにおけるような、繰り返し単位の主鎖に直結のエステル基は、アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する機能が劣るため、本発明における極性変換基には含まれない。
繰り返し単位(c)として、例えば、式(K0)で示される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2010250076
式中、Rk1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
k2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
但し、Rk1、Rk2の少なくとも一方は、極性変換基を有する。
なお、一般式(K0)に示されている繰り返し単位の主鎖に直結しているエステル基は、前述したように、本発明における極性変換基には含まれない。
極性変換基としては、一般式(KA−1)または(KB−1)で表される部分構造におけるXで表される基であることが好ましい。
Figure 2010250076
一般式(KA−1)または(KB−1)におけるXは、カルボン酸エステル基:−COO−、酸無水物基:−C(O)OC(O)−、酸イミド基:−NHCONH−、カルボン酸チオエステル基:−COS−、炭酸エステル基:−OC(O)O−、硫酸エステル基:−OSOO−、スルホン酸エステル基:−SOO−を表す。
及びYは、それぞれ同一でも異なっても良く、電子求引性基を表す。
なお、繰り返し単位(c)は、一般式(KA−1)または(KB−1)で表される部分構造を有する基を有することで、好ましい極性変換基を有するが、一般式(KA−1)で表される部分構造、Y及びYが1価である場合の(KB−1)で表される部分構造の場合のように、該部分構造が結合手を有しない場合は、該部分構造を有する基とは、該部分構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。一般式(KA−1)または(KB−1)で表される部分構造は、任意の位置で置換基を介して樹脂(C)の主鎖に連結している。
一般式(KA−1)で表される部分構造は、Xとしての基とともに環構造を形成する構造である。
一般式(KA−1)におけるXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(即ち、KA−1としてラクトン環構造を形成する場合)、および酸無水物基、炭酸エステル基である。より好ましくはカルボン酸エステル基である。
一般式(KA−1)で表される環構造は、置換基を有していてもよく、例えば、置換基Zka1をnka個有していてもよい。
ka1は、複数ある場合はそれぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、または電子求引性基を表す。
ka1同士が連結して環を形成しても良い。Zka1同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。好ましくは0〜8の整数、より好ましくは0〜5の整数、さらに好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1〜3の整数である。
ka1としての電子求引性基は、後述のY及びYとしての電子求引性基と同様である。
尚、上記電子求引性基は、別の電子求引性基で置換されていてもよい。
ka1は好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、または電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基または電子求引性基である。尚、エーテル基としては、アルキル基またはシクロアルキル基等で置換されたもの、すなわち、アルキルエーテル基等が好ましい。電子求引性基は前記と同義である。
ka1としてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ka1としてのアルキル基は置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、さらに好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デカノイル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
ka1としてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、有橋式であってもよい。例えば、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基あるいは下記構造等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
Figure 2010250076
上記脂環部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基である。
これらの脂環式構造の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。上記アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等を挙げることができる。
また、上記基が有していてもよい更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フエネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(KA−1)におけるXがカルボン酸エステル基であり、一般式(KA−1)が示す部分構造がラクトン環であることが好ましく、5〜7員環ラクトン環であることが好ましい。
なお、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)におけるように、一般式(KA−1)で表される部分構造としての5〜7員環ラクトン環に、ビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましい。
一般式(KA−1)で表される環構造が結合してもよい周辺の環構造については、例えば、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)におけるもの、またはこれに準じたものを挙げることができる。
一般式(KA−1)が示すラクトン環構造を含有する構造として、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)のいずれかで表される構造がより好ましい。なお、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、(KA−1−1)、(KA−1−4)、(KA−1−5)、(KA−1−6)、(KA−1−13)、(KA−1−14)、(KA−1−17)である。
Figure 2010250076
上記ラクトン環構造を含有する構造は、置換基を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基としては、上記一般式(KA−1)が示す環構造が有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
ラクトン構造は光学活性体が存在するものもあるが、いずれの光学活性体を用いてもよい。また、1種の光学活性体を単独で用いても、複数の光学活性体を混合して用いてもよい。1種の光学活性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上、最も好ましくは98以上である。
一般式(KB−1)のXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(−COO−)を挙げることができる。
一般式(KB−1)におけるY及びYは、それぞれ独立に、電子求引性基を表す。
電子求引性基は、下記式(EW)で示す部分構造である。式(EW)における*は(KA−1)に直結している結合手、または(KB−1)中のXに直結している結合手を表す。
Figure 2010250076
式(EW)中、
ewは−C(Rew1)(Rew2)−で表される連結基の繰り返し数であり、0または1の整数を表す。newが0の場合は単結合を表し、直接Yew1が結合していることを示す。
ew1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基、ハロアリール基、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、およびこれらの組み合わせをあげることができ、電子求引性基は例えば下記構造であってもよい。尚、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアルキル基およびシクロアルキル基を表す。Rew3、Rew4は、各々独立して任意の構造を表す。Rew3、Rew4はどのような構造でも式(EW)で表される部分構造は電子求引性を有し、例えば樹脂の主鎖に連結していてもよいが、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、フッ化アルキル基である。
Figure 2010250076
ew1が2価以上の基である場合、残る結合手は、任意の原子または置換基との結合を形成するものである。Yew1、Rew1、Rew2の少なくとも何れかの基が更なる置換基を介して樹脂(C)の主鎖に連結していてもよい。
ew1は、好ましくはハロゲン原子、または、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基またはハロアリール基である。
ew1、Rew2、各々独立して任意の置換基を表し、例えば水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。
ew1、Rew2およびYew1の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
ここでRf1はハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーハロシクロアルキル基、またはパーハロアリール基を表し、より好ましくはフッ素原子、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロシクロアルキル基、更に好ましくはフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
f2、Rf3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表し、Rf2とRf3とが連結して環を形成してもよい。有機基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等を表す。Rf2、はRf1と同様の基を表すか、またはRf3と連結して環を形成していることがより好ましい。
f1〜Rf3とは連結して環を形成してもよく、形成する環としては、(ハロ)シクロアルキル環、(ハロ)アリール環等が挙げられる。
f1〜Rf3における(ハロ)アルキル基としては、例えば前述したZka1におけるアルキル基、およびこれがハロゲン化した構造が挙げられる。
f1〜Rf3における、または、Rf2とRf3とが連結して形成する環における(パー)ハロシクロアルキル基及び(パー)ハロアリール基としては、例えば前述したZka1におけるシクロアルキル基がハロゲン化した構造、より好ましくは−C(n)(2n-2)Hで表されるフルオロアルキル基、及び、−C(n)(n-1)で表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで炭素数nは特に限定されないが、5〜13のものが好ましく、6がより好ましい。
ew1、Rew2およびYew1の少なくとも2つが互いに連結して形成してもよい環としては、好ましくはシクロアルキル基またはヘテロ環基が挙げられ、ヘテロ環基としてはラクトン環基が好ましい。ラクトン環としては、例えば上記式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表される構造が挙げられる。
なお、繰り返し単位中(c)中に、一般式(KA−1)で表される部分構造を複数、一般式(KB−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KA−1)の部分構造と一般式(KB−1)の両方を有していてもよい。
なお、一般式(KA−1)の部分構造の一部又は全部が、一般式(KB−1)におけるYまたはYとしての電子求引性基を兼ねてもよい。例えば、一般式(KA−1)のXがカルボン酸エステル基である場合、そのカルボン酸エステル基は一般式(KB−1)におけるYまたはYとしての電子求引性基として機能することもあり得る。
繰り返し単位(c)が、1つの側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかと、極性変換基とを有する繰り返し単位(c’)であっても、極性変換基を有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子を有さない繰り返し単位(c*)であっても、1つの側鎖上に極性変換基を有し、かつ、同一繰り返し単位内の前記側鎖と異なる側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(c”)であってもよいが、樹脂(C)は繰り返し単位(c)として繰り返し単位(c’)を有することがより好ましい。
尚、樹脂(C)が、繰り返し単位(c*)を有する場合、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(後述する繰り返し単位(c1))とのコポリマーであることが好ましい。また、繰り返し単位(c”)における、極性変換基を有する側鎖とフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する側鎖とは、主鎖中の同一の炭素原子に結合している、すなわち下記式(4)のような位置関係にあることが好ましい。式中、B1は極性変換基を有する部分構造、B2はフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する部分構造を表す。
Figure 2010250076
また、繰り返し単位(c*)及び繰り返し単位(c”)においては、極性変換基が、一般式(KA−1)で示す構造における−COO−で表される部分構造であることがより好ましい。
極性変換基がアルカリ現像液の作用により分解し極性変換がなされることによって、アルカリ現像後の樹脂組成物膜の水との後退接触角を下げることが出来る。
アルカリ現像後の樹脂組成物膜の水との後退接触角は、露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において50°以下であることが好ましく、より好ましくは40°以下、さらに好ましくは35°以下、最も好ましくは30°以下である。
後退接触角とは、液滴−基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだときの、液滴の界面が後退するときの接触角として定義でき、一般に拡張収縮法と呼ばれる接触角の測定方法を用いて測定することができる。
樹脂(C)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は0.001nm/sec以上であることが好ましく、0.01nm/sec以上であることがより好ましく、0.1nm/sec以上であることがさらに好ましく、1nm/sec以上であることが最も好ましい。
ここで樹脂(C)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は23℃のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)(2.38質量%)に対して、樹脂(C)のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
本発明の樹脂(C)は、少なくとも2つ以上の極性変換基を有する繰り返し単位(c)を含有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂(C1)であることが好ましい。
繰り返し単位(c)が少なくとも2つの極性変化基を有する場合、下記一般式(KY−1)で示す、2つの極性変化基を有する部分構造を有する基を有することが好ましい。なお、一般式(KY−1)で表される構造が、結合手を有さない場合は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
Figure 2010250076
一般式(KY−1)において、
ky1、Rky4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、またはアリール基を表す。或いは、Rky1、Rky4が同一の原子と結合して二重結合を形成していてもよく、例えばRky1、Rky4が同一の酸素原子と結合してカルボニル基の一部(=O)を形成してもよい。
ky2、Rky3はそれぞれ独立して電子求引性基であるか、又はRky1とRky2が連結してラクトン環を形成するとともにRky3が電子求引性基である。形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY、Yと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、または、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基またはハロアリール基である。好ましくはRky3がハロゲン原子、または、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基またはハロアリール基であり、Rky2はRky1と連結してラクトン環を形成するか、ハロゲン原子を有さない電子求引性基である。
ky1、Rky2、Rky4はそれぞれ互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
ky1、Rky4は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
ky1とRky2が連結して形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY、Yと同様のものが挙げられる。
一般式(KY−1)で表される構造としては、下記一般式(KY−2)で示す構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−2)で表される構造は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
Figure 2010250076
式(KY−2)中、
ky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、またはアリール基を表す。
ky6〜Rky10は、2つ以上が互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
ky5は電子求引性基を表す。電子求引性基は前記Y、Yにおけるものと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、または、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基またはハロアリール基である。
ky5〜Rky10は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
式(KY−2)で表される構造は、下記一般式(KY−3)で示す部分構造であることがより好ましい。
Figure 2010250076
式(KY−3)中、
ka1、nkaは各々前記一般式(KA−1)と同義である。Rky5は前記式(KY−2)と同義である。
kyはアルキレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Lkyは酸素原子またはメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがさらに好ましい。
繰り返し単位(c)は、付加重合、縮合重合、付加縮合、等、重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素−炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。例として、アクリレート系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、マレイン酸誘導体(マレイン酸無水物やその誘導体、マレイミド、等)の繰り返し単位、等を挙げることが出来、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位が最も好ましい。
繰り返し単位(c)のより具体的な構造としては、以下に示す部分構造を有する繰り返し単位が好ましい。
Figure 2010250076
一般式(ca−2)および(cb−2)において、
は、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
は、それぞれ独立に、鎖状もしくは環状アルキレン基を表す。
Ta及びTbは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基または電子求引性基(前記一般式(KB−1)におけるY及びYとしての電子求引性基と同義である)を表す。Taが複数個ある場合には、Ta同士が結合して、環を形成しても良い。
Tcは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基または電子求引性基(前記一般式(KB−1)におけるY及びYとしての電子求引性基と同義である)を表す。
Lは、それぞれ独立に、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はエーテル基を表す。
*は、樹脂の主鎖への結合手を表す。
mは、1〜28の整数を表す。
nは、0〜11の整数を表す。
pは、0〜5の整数を表す。
qは、0〜5の整数を表す。
rは、0〜5の整数を表す。
Figure 2010250076
一般式(2)に於いて、
2は、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
3は、構成炭素上の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換され、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。
4は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、またはR−C(=O)−もしくはR−C(=O) O−で表される基(Rは、アルキル基もしくはシクロアルキル基を表す。)を表す。R4が複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよく、また、2つ以上のR4が結合し、環を形成していても良い。
Xは、アルキレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合またはウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
*は、樹脂の主鎖への結合手を表す。
nは、繰り返し数を表し、0〜5の整数を表す。
mは、置換基数であって、0〜7の整数を表す。
−R−Z−の構造として好ましくは、−(CH)−COO−で表される構造が好ましい(lは1〜5の整数を表す)。
極性変換基を有する繰り返し単位(c)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
また、樹脂(C)は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位を含有する。
これにより、感活性光線又は感放射線樹脂膜表層に樹脂(C)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、感活性光線又は感放射線樹脂膜とした際の水に対するレジスト膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。
感活性光線又は感放射線樹脂膜の後退接触角は露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°以上、更に好ましくは70°以上、特に好ましくは75°以上である。
樹脂(C)は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
樹脂(C)として、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有することで、レジスト表面の疎水性(水追従性)が向上し、現像残渣(スカム)が低減する。
フッ素原子を有する繰り返し単位の部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基を有する繰り返し単位であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環または多環のシクロアルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)のいずれかで表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2010250076
一般式(F2)〜(F4)中、
57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖もしくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ及びR65〜R68の少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、フルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CF32OH、−C(C252OH、−C(CF3)(CH3)OH、−CH(CF3)OH等が挙げられ、−C(CF32OHが好ましい。
フッ素を含む部分構造は、直接結合しても良く、さらに、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、またはウレイレン基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを介して結合しても良い。
フッ素原子を有する繰り返し単位としては、以下に示すものが好適に挙げられる。
Figure 2010250076
式中、R10、R11は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基であり、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる)を表す。
〜Wは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
また、これら以外にも、下記に示すような単位を有する樹脂も適用可能である。
Figure 2010250076
式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基であり、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる)を表す。 ただし、R〜Rの少なくとも1つはフッ素原子を表す。RとRもしくはRとRは環を形成していてもよい。
は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−N(R)−(式中、Rは水素原子またはアルキル基を表す)、−NHSO−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を示す。
繰り返し単位中の珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、または環状シロキサン構造を有する樹脂であることが好ましい。
アルキルシリル構造、または環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
Figure 2010250076
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
12〜R26は、各々独立に、直鎖もしくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)またはシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、またはウレイレン基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。
樹脂(C)に於ける、繰り返し単位(c)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜100mol%が好ましく、より好ましくは20〜100mol%、更に好ましくは30〜100mol%、もっとも好ましくは40〜100mol%である。
繰り返し単位(c’)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜100mol%が好ましく、より好ましくは20〜100mol%、更に好ましくは30〜100mol%、もっとも好ましくは40〜100mol%である。
繰り返し単位(c*)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは15〜85mol%、更に好ましくは20〜80mol%、もっとも好ましくは25〜75mol%である。繰り返し単位(c*)と共に用いられる、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは15〜85mol%、更に好ましくは20〜80mol%、もっとも好ましくは25〜75mol%である。
繰り返し単位(c”)の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜100mol%が好ましく、より好ましくは20〜100mol%、更に好ましくは30〜100mol%、もっとも好ましくは40〜100mol%である。
樹脂(C)に於けるフッ素原子又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
樹脂(C)は、さらに、繰り返し単位(c’)、(c”)とは異なる、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(c1)を含有しても良い。
フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位におけるフッ素原子又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
繰り返し単位(c1)におけるフッ素原子を有する部分構造は、前記と同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。
繰り返し単位(c1)における珪素原子を有する部分構造は、前記と同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
繰り返し単位(c1)は(メタ)アクリレート系繰り返し単位であることが好ましい。
以下、繰り返し単位(c1)の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表し、X2は、−F又は−CF3を表す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
更に、樹脂(C)は、下記(x)、(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)アルカリ可溶性基、
(z)酸の作用により分解する基。
(x)アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜30mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、RxはH,CH,CHOH,またはCFを表す。
Figure 2010250076
樹脂(C)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、前述した(A)成分の樹脂で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(CAI)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2010250076
一般式(CAI)に於いて、
Xa1は、水素原子、メチル基又は−CH2−R9で表される基を表す。R9は、水酸基または1価の有機基を表し、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。Xa1は好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH23−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1がメチル基またはエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している様態が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
樹脂(C)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜80mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、更に好ましくは20〜60mol%である。(z)酸の作用により分解する基を有することで、LWRを向上させることができる。
樹脂(C)は、更に、その他の繰り返し単位を有していてもよい。その他の繰り返し単位の好ましい態様としては以下が挙げられる。
(cy1)フッ素原子及び/又は珪素原子を有し、且つ酸に対して安定であり、且つアルカリ現像液に対して難溶もしくは不溶である繰り返し単位。
(cy2)フッ素原子、珪素原子を有さず、且つ酸に対して安定であり、且つアルカリ現像液に対して難溶もしくは不溶である繰り返し単位。
(cy3)フッ素原子及び/又は珪素原子を有し、且つ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
(cy4)フッ素原子、珪素原子を有さず、且つ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
(cy1)、(cy2)の繰り返し単位における、アルカリ現像液に難溶もしくは不溶とは、(cy1)、(cy2)がアルカリ可溶性基や、酸やアルカリ現像液の作用によりアルカリ可溶性基を生じる基(例えば酸分解性基や極性変換基)を含まないことを示す。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)は極性基を持たない脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
以下に繰り返し単位(cy1)〜(cy4)の好ましい態様を示す。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2010250076
一般式(CIII)に於いて、
c31は、水素原子、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子で置換されていても良い。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(CIII)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
c32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、エステル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(C4)又は(C5)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2010250076
一般式(C4)中、Rc5は少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Racは水素原子、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Racは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c5が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基である。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれる。架橋環式炭化水素環として、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環(例えば、5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環)も含まれる。好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基はさらに置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基を挙げることができる。
保護基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
一般式(C5)中、Rc6はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子で置換されていても良い。
c6のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
アルキルカルボニルオキシ基は、炭素数2〜20のアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。
nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のRc6は同一でも異なっていても良い。
c6は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、t−ブチル基が特に好ましい。
(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(CII−AB)で表される繰り返し単位であることも好ましい。
Figure 2010250076
式(CII-AB)中、
c11'及びRc12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc'は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
また、上記一般式(CII-AB)は、下記一般式(CII−AB1)又は一般式(CII−AB2)であることが更に好ましい。
Figure 2010250076
式(CII−AB1)及び(CII−AB2)中、
Rc13'〜Rc16'は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。
また、Rcl3'〜Rc16'のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。
nは0又は1を表す。
以下に(cy1)、(cy2)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。
Figure 2010250076
(cy3)、(cy4)としては、極性基として水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位であることが好ましい。これにより現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルニル基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、モノヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、モノヒドロキシジアマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、シアノ基で置換されたノルボルニル基等が挙げられる。
上記原子団を有する繰り返し単位としては、下記一般式(CAIIa)〜(CAIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2010250076
一般式(CAIIa)〜(CAIId)に於いて、
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(CAIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
(cy3)、(cy4)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010250076
(cy1)〜(cy4)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
樹脂(C)は(cy1)〜(cy4)で表される繰り返し単位を複数有していてもよい。
樹脂(C)がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有率は、樹脂(C)の分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
樹脂(C)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有率は、樹脂(C)の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、樹脂(C)の全繰り返し単位に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
樹脂(C)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
感活性光線又は感放射線樹脂組成物中の樹脂(C)の含有率は、感活性光線又は感放射線樹脂膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線又は感放射線樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜9質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%である。
樹脂(C)は、後述する(A)成分の樹脂同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジストが得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
樹脂(C)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感活性光線又は感放射線樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。反応の濃度は、通常5〜50質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外濾過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。たとえば、上記樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)または水を含む溶媒が好ましい。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、さらに好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
尚、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶あるいは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
樹脂(C)の具体例を示す。また、後掲の表に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を示す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
樹脂(C)は1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂(C)とは異なる、フッ素原子又は珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂(CP)と組み合わせて使用することが好ましい。
(CP)フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有する樹脂
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は、上記樹脂(C)とは別に、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有する樹脂(CP)を更に含有してもよい。前記樹脂(C)・樹脂(CP)を含有することにより、膜表層に樹脂(C)・樹脂(CP)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、膜とした際の水に対するレジスト膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。膜の後退接触角は60°〜90°が好ましく、更に好ましくは70°以上である。樹脂(CP)の含有率は、膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%であり、さらに好ましくは0.01〜4質量%、特に好ましくは0.01〜3質量%である。 樹脂(CP)は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂(CP)に於けるフッ素原子又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
樹脂(CP)は、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環または多環のシクロアルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、前記樹脂(C)における一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明において、一般式(F2)〜(F4)で表される基は(メタ)アクリレート系繰り返し単位に含まれることが好ましい。
以下、フッ素原子を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
2は、−F又は−CF3を表す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
樹脂(CP)は、珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、または環状シロキサン構造を有する樹脂であることが好ましい。
アルキルシリル構造、または環状シロキサン構造としては、具体的には、前記樹脂(C)における一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
更に、樹脂(CP)は、更に下記(x)及び(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)アルカリ可溶性基、
(z)酸の作用により分解する基。
これらの基は具体的には上記樹脂(C)におけるものと同様の基が挙げられる。
樹脂(CP)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、前述した(A)成分の樹脂で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。樹脂(CP)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(CP)中の全繰り返し単位に対し、1〜80mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、更に好ましくは20〜60mol%である。
樹脂(CP)は、更に、前記樹脂(C)における一般式(CIII)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(CP)がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有率は、樹脂(CP)の分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、樹脂(CP)中の全繰り返し単位に対し、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
樹脂(CP)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有率は、樹脂(CP)の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、樹脂(CP)の全繰り返し単位に対し、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
樹脂(CP)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
樹脂(CP)は、(A)成分の樹脂同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のない感活性光線性または感放射線性樹脂組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
樹脂(CP)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。具体的には、前記樹脂(C)と同様に合成することができる。
以下にフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂(CP)の具体例を示す。また、後掲の表に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を示す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物から形成された膜について、活性光線又は放射線の照射時に、膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
また、さらに屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。その添加剤としては水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト膜上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を高めるような添加剤を水に加えたり、水の代わりに重水(D2O)を用いてもよい。
本発明の組成物による膜と液浸液との間には、膜を直接、液浸液に接触させないために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト上層部への塗布適正、放射線、特に193nmに対する透明性、液浸液難溶性である。トップコートは、レジストと混合せず、さらにレジスト上層に均一に塗布できることが好ましい。
トップコートは、193nm透明性という観点からは、芳香族を豊富に含有しないポリマーが好ましく、具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。前述の疎水性樹脂(C)および(CP)はトップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染するという観点からは、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は少ない方が好ましい。
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程が膜の現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性が好ましいが、膜との非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には屈折率の差がない方が、解像力が向上する。ArFエキシマレーザー(波長:193nm)において、液浸液として水を用いる場合には、ArF液浸露光用トップコートは、液浸液の屈折率に近いことが好ましい。屈折率を液浸液に近くするという観点からは、トップコート中にフッ素原子を有することが好ましい。また、透明性・屈折率の観点から薄膜の方が好ましい。
トップコートは、膜と混合せず、さらに液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。さらに、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂(A)を含有する。
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)は、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する。
樹脂(A)は好ましくはアルカリ現像液に不溶又は難溶性である。
酸分解性基は、アルカリ可溶性基を、酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
アルカリ可溶性基としては、アルカリ現像液中で解離してイオンになる基であれば特に限定されないが、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(A)が含有し得る、酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2010250076
一般式(AI)に於いて、
Xa1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−R9で表わされる基を表す。R9は、水酸基又は1価の有機基を表し、1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。Xa1は好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH23−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rx1がメチル基またはエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の合計としての含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、20〜70mol%が好ましく、より好ましくは30〜50mol%である。
好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xa1は、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。pは0または正の整数を表す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
樹脂(A)は、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、一般式(AI−1)で表される繰り返し単位及び一般式(AI−2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する樹脂であることがより好ましい。
Figure 2010250076
式(AI−1)および(AI−2)中、
1、R3は、一般式(AI)におけるXa1と同義であり、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−R9(R9は水酸基又は1価の有機基を示す。)で表わされる基を表す。
2は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
4、R5、R6は、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
1は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
2におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
2におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。
2におけるアリール基は、置換基を有していてもよい。
2は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは1〜5のものであり、例えばメチル基、エチル基が挙げられる。
Rは、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。Rが形成する脂環構造としては、好ましくは、単環または多環の脂環構造であり、その炭素数は好ましくは3〜7、より好ましくは5または6である。
3は好ましくは水素原子またはメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
4、R5、R6におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
4、R5、R6におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(AI−1)で表される繰り返し単位が、以下の一般式(AI−3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2010250076
式中、R11は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基を示す。R12は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R13〜R18、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、R19、R20は水素原子を示す。あるいは、R13とR14、R15とR17、又はR16とR18は互いに結合して環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またR15とR17は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。
以下に(AI−3)で表されるユニットの具体例を示すがこれに限定されるものではない。
Figure 2010250076
(R,Rは上記と同様の置換基を表す。)
樹脂(A)が酸分解繰り返し単位を併用する場合の、好ましい組み合わせとしては、以下に挙げるものが好ましい。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
樹脂(A)は、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有していることが好ましい。
ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特定のラクトン構造を用いることでLWR、現像欠陥が良好になる。
Figure 2010250076
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
樹脂(A)は、下記一般式(5)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
Figure 2010250076
式(5)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表わされる基)またはアミド結合(−CONH−で表わされる基)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合を表し、エーテル結合またはエステル結合であることが好ましい。
8は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、式(5)で表わされる繰り返し単位内における−R−Z−で表わされる構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表す。nは1であることが好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。Rにおけるアルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基、アセトキシ基が挙げられる。Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
における好ましい鎖状アルキレン基としては炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレンとしては、炭素数3〜20のシクロアルキレンであり、例えば、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、ノルボルニレン、アダマンチレン等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましいく、メチレン基であることが更に好ましい。
8で表されるラクトン構造を有する置換基は、ラクトン構造を有していれば限定されるものではなく、具体例として上述した一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表わされる構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−17)におけるn2は2以下のものがより好ましい。
また、R8は無置換のラクトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
以下に一般式(5)で表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、置換基を有するアルキル基であるヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基を表す。
Figure 2010250076
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(5−1)で表される繰り返し単位がより好ましい。
Figure 2010250076
一般式(5−1)に於いて、
、A、R、Z、及びnは、上記一般式(5)と同義である。
10は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アシルオキシ基、−CO2、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのR10が結合し、環を形成していてもよい。Rは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、またはシクロアルキル基を示す。
Xは、アルキレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
mは、置換基数であって、0〜5の整数を表す。mは0〜1であることが好ましい。
10のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、がより好ましく、メチル基が最も好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基を挙げることができる。アシルオキシ基としては、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ、トリフルオロアセトキシ、ペンタフルオロプロピオニルオキシ、ヘプタフルオロブチリルオキシ等が挙げられる。−CO2としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n - プロポキシ、イソプロポキシ、n - ブトキシ、イソブトキシ、s - ブトキシ、t - ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ヘキサフルオロイソプロピルオキシ基等が挙げられる。R10としてのこれらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。R10としては、−COが好ましく、特にメトキシカルボニル基であることが好ましい。
また、mが1以上の場合、R10のうち少なくとも1つはラクトンのカルボニル基のα位またはβ位にあることが好ましく、特にα位にあることが好ましい。
Xのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Xはメチレン基又は酸素原子であることが好ましい。
一般式(5−1)で表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基を表す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
一般式(5)で表わされる繰り返し単位の含有率は、複数種類含有する場合は合計して樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜60mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
樹脂(A)は、一般式(5)で表わされる単位以外にも、ラクトン基を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
一般式(5)で表わされる単位以外のラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII’)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2010250076
一般式(AII’)中、
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
一般式(5)で表わされる単位以外のラクトン基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。具体例中、RxはH,CH,CHOH,またはCFを表す。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。
Figure 2010250076
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
一般式(5)で表わされる繰り返し単位以外のラクトンを有する繰り返し単位の含有率は、複数種類含有する場合は合計して樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜50mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
本発明の効果を高めるために、上述した一般式(5)から選ばれる2種以上のラクトン繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には一般式(5)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位から2種以上を選択し併用することが好ましい。また、一般式(AII’)から選ばれるラクトン繰り返し単位と一般式(5)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位を併用することも好ましい。
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する、上述した一般式で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有することが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、また酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
Figure 2010250076
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、
2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2010250076
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R2c〜R4cと同義である。
水酸基又はシアノ基 を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010250076
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有してもよい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環または多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の好ましい一形態として、下記一般式(6)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2010250076
一般式(6)において、R13は水素原子又は置換基を有してもよいメチル基を示す。nは1又は2を示す。
n=1の場合、Xは単結合、−O−、−C(=O)−O−R14−又は−C(=O)−NH−R14−であり、R14は単結合、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。
n=2の場合、X
Figure 2010250076
であり、R14aは、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキレン基、又はシクロアルキレン基から水素原子が1個脱離した基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。
11は単結合、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はシクロアルキレン基であり、R12は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基、又はR11と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の環(但し、芳香環は除く)を形成してもよく、環の中にエーテル基、又はフッ素で置換されたアルキレン基を有していてもよい。
14、R14a、R11におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。シクロアルキレンとしては、好ましくは炭素数3〜20の環状アルキレンであり、例えば、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、ノルボルニレン、アダマンチレン等が挙げられる。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2010250076
さらに、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位に対応する単量体の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
Figure 2010250076
本発明の樹脂(A)は、更に極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(7)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2010250076
一般式(7)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3から12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3から12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基はさらに置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基を挙げることができる。
保護基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0〜40モル%が好ましく、より好ましくは0〜20モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
Figure 2010250076
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)は芳香族基を有さないことが好ましい。
また、本発明の樹脂(A)は、前述した疎水性樹脂(C)との相溶性の観点から、フッ素原子及び珪素原子を含有しないことが好ましい。
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。より好ましくは、酸分解性基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位20〜50モル%、ラクトン基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位20〜50モル%、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位5〜30モル%、更にその他の(メタ)アクリレート系繰り返し単位を0〜20モル%含む共重合ポリマーである。
本発明の樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
本発明の樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1〜3であり、好ましくは1〜2.6、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物の樹脂(A)の組成物全体中の配合量は、全固形分中50〜99質量%が好ましく、より好ましくは60〜98質量%である。
また、本発明の樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
酸発生剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010250076
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
-としては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他のZとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
-としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
201、R202及びR203の有機基としては、アリール基(炭素数6〜15が好ましい)、直鎖又は分岐のアルキル基(炭素数1〜10が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数3〜15が好ましい)などが挙げられる。
201、R202及びR203としてのアルキル基又はシクロアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。アルキル基及びシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、その置換基としては、以下に示すアリール基が有してもよい置換基と同様の基が挙げられる。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。これらアリール基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R201、R202及びR203から選ばれる2つが、単結合又は連結基を介して結合していてもよい。連結基としてはアルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)、−O−,−S−,−CO−,−SO−などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0047,0048、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、US2003/0224288A1号明細書に式(I-1)〜(I-70)として例示されている化合物、US2003/0077540A1号明細書に式(IA-1)〜(IA-54)、式(IB-1)〜(IB-24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物も挙げられる。
Figure 2010250076
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の組成物中の含有率は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜25質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
これらに該当する界面活性剤としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、US 2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、組成物の全固形分に対し、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
溶剤
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル、乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、アルコキシ酢酸アルキル(エトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、US2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートおよびアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
その他成分
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤などを適宜含有することができる。
<パターン形成方法>
本発明の感活性光線又は感放射線樹脂組成物は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜200nmで使用されることが好ましい。感活性光線又は感放射線樹脂組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
感活性光線又は感放射線樹脂組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%、より好ましくは1〜8.0質量%、さらに好ましくは1.0〜6.0質量%である。
本発明の感活性光線又は感放射線樹脂組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
例えば、感活性光線又は感放射線樹脂組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成する。
当該レジスト膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像、リンスする。これにより良好なパターンを得ることができる。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等であり、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、
EUV(13nm)が好ましい。
尚、本発明においては、紫外光やX線などの電磁波も、放射線に含むものとする。
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。ポジ型レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理または、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
[合成例]
本発明の含窒素有機化合物を以下に示す方法で合成した。
[合成例1]ベヘン酸[2−(1H−イミダゾール−1−イル)−1−メチルエチル](quencher 1)の合成
Figure 2010250076
1−(1H−イミダゾール−1−イル)−2−プロパノール(15)12.6g、ジメチルホルムアミド50gの混合物に氷冷、撹拌下、ベヘン酸クロリド(16)35.9gを添加し、その後、室温で2時間撹拌した。トルエン添加、中和に続き、通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、41.3gのベヘン酸[2−(1H−イミダゾール−1−イル)−1−メチルエチル](quencher 1)を得た。
[合成例2]ベヘン酸(2−モルホリノエチル)(quencher 2)の合成
Figure 2010250076
ベヘン酸メチル35.5g(18)、2−モルホリノエタノール19.7g(17)、ナトリウムメトキシド270mg、トルエン150gの混合物を、反応により生成するメタノールを留去しながら6時間加熱還流した。冷却後、通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った後、トルエンを留去し、ベヘン酸(2−モルホリノエチル)(quencher 2)41.3gを得た。
[合成例3、5、6]
quencher3、5、6についても同様の手法を用いて合成した。
Figure 2010250076
[合成例4]コール酸トリホルマート(2−モルホリノエチル)エステル(quencher 4)の合成
コール酸トリホルマート(22)49.3g、シュウ酸クロリド12.7g、トルエン500gの混合物を50℃で3時間撹拌後、氷冷し、2−モルホリノエタノール(21)28.9gを滴下、その後、室温で3時間撹拌した。通常の水系後処理(aqueous work−up)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、コール酸トリホルマート(2−モルホリノエチル)エステル(quencher 4)43.0gを得た。
Figure 2010250076
[合成例7]サルササポゲニン[3−(チオモルホリノ)プロピオナート](quencher 7)の合成
Figure 2010250076
サルササポゲニンアクリラート(28)47.1gとテトラヒドロフラン200gの混合物にチオモルホリン(27)10.3gを滴下し、室温で3時間撹拌した。テトラヒドロフランを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、サルササポゲニン[3−(チオモルホリノ)プロピオナート](quencher 7)56.2gを得た。
樹脂(A)の合成
<樹脂(RA−1)の合成>
窒素気流下シクロヘキサノン60.32gを3つ口フラスコに入れこれを80℃に加熱した。これにモノマーAを12.37g、モノマーBを14.01g、モノマーCを2.95g、モノマーDを1.08gおよび開始剤V−601 1.44g(モノマーに対し5.0mol%、和光純薬製)をシクロヘキサノン112.02gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後、メタノール900ml/水100mlの混合液に20分かけて滴下し、析出した粉体をろ取、乾燥すると樹脂(RA−1)が18g得られた。得られた樹脂の重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で10700、分散度(Mw/Mn)は1.81であった。
Figure 2010250076
<樹脂(RA−2)〜(RA−9)の合成>
他の樹脂(RA−2)〜(RA−9)についても同様の手法を用いて合成した。重量平均分子量は開始剤の量を変更することで調製した。
以下に各樹脂における繰り返し単位(モル比)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を示す。
Figure 2010250076
Figure 2010250076
<レジスト調製>
下記表3に示す成分を溶剤に溶解させ固形分濃度5質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価し、結果を同表に示した。
<レジスト評価>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、130℃で、60秒間ベークを行い、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハーをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C-Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、65nm 1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を使用した。その後130℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
〔コーナー・プロキシミティ(Corner proximity)〕
現像済みウエハーを上空SEM(走査型電子顕微鏡)により観察して、暗領域(dark field、高マスク被覆率の領域)にて、65nmの1:1密集ライン・アンド・スペース・パターンを解像する露光量(最適露光量)において、評価パターン中心部と評価パターン端部での、ライン寸法を測長した。中心部と端部での寸法差が3nm未満であるものを二重丸、3nm以上6nm未満のものを○、6nm以上のものを×とした。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔現像欠陥〕
ケー・エル・エー・テンコール社製の欠陥検査装置KLA2360(商品名)を用い、欠陥検査装置のピクセルサイズを0.16mに、また閾値を20に設定して、ランダムモードで測定し、比較イメージとピクセル単位の重ね合わせによって生じる差異から抽出される現像欠陥を検出して、単位面積あたりの現像欠陥数を算出した。値が0.5未満のものを○、0.5以上0.8未満のものを△、0.8以上のものを×とした。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
Figure 2010250076
<その他性能試験>
〔発生酸溶出量〕
8インチシリコンウエハー上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークを行い、膜厚160nmのレジスト膜を形成した。次いで、ArFエキシマレーザー露光機(ASML社製、PAS5500/1100)を用いて8インチウエハ全面を30mJ/cm2で露光を行った。超純水製造装置(日本ミリポア製、Milli−Q)を用いて脱イオン処理した純水100mLを加えた石英容器に、上記ウエハーを浸して水への溶出物採取を行った。この水溶液への酸の溶出量をLC−MSで定量した。
LC装置:Waters社製2695
MS装置:Brucker Daltonics社製esquire 3000
上記LC−MS装置にて質量299(ノナフレートアニオンに相当)のイオン種の検出強度を測定し、ノナフルオロブタンスルホン酸の溶出量を算出した。同様にしてその他のアニオンについても溶出量を算出した。溶出量が1.0×10-10mol/cm/sec以上を×、1.0×10-10mol/cm/sec〜1.0×10-12mol/cm/sec未満を△、1.0×10-13mol/cm/sec以下を○とした。
〔後退接触角〕
シリコンウエハー上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークを行い、膜厚160nmのレジスト膜を形成した。室温23±3℃、湿度45±5%において動的接触角計(協和界面科学社製)の拡張縮小法により、水滴の後退接触角を測定した。初期液滴サイズ35μLを6L/秒の速度にて5秒間吸引し、吸引中の動的接触角が安定した値を後退接触角とした。この後退接触角の数値が大きいほど、より高速なスキャンスピードに対して水が追随可能である。
使用した各成分は、以下の通りである。
〔光酸発生剤〕
下記に示すPAG1及びPAG2を使用した。
Figure 2010250076
〔樹脂(A)〕
樹脂(RA−1)〜(RA−9)は、上記で調製したものである。
〔疎水性樹脂(C)〕
実施例中の樹脂Cは下記に示すものを使用した。なお、繰り返し単位のモル比は上記表1に記載の通りである。
Figure 2010250076
〔塩基性化合物(D)〕
Quencher-1〜Quencher-7は、先に例示したものである。
Quencher-8〜Qunecher-10は、下記に示すものを使用した。
Figure 2010250076
〔界面活性剤〕
W−1::トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S2:シクロヘキサノン

Claims (9)

  1. (A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、(C)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する極性変換基を有する繰り返し単位を含有し、かつ、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを含有する樹脂、および、(D)下記一般式(1)で表される含窒素ヘテロ環を有する含窒素有機化合物を含有することを特徴とする感活性光線または感放射線樹脂組成物。
    Figure 2010250076
    (式中、R1は両端で結合する窒素原子と共に含窒素へテロ脂肪族環又は含窒素ヘテロ芳香族環を形成する炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の置換基を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はハロゲン原子を含んでもよい。R2は炭素数2〜10のカルボニル基を含んでもよい直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R3は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基、ステロイド骨格又はこれらの2以上の組み合わせを含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基又はアシル基を表す。)
  2. 樹脂(C)が、2つ以上の極性変換基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする、請求項1に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
  3. 樹脂(C)が、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかと、極性変換基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
  4. 含窒素有機化合物(D)として、下記一般式(2)〜(10)で表される含窒素へテロ環を有する含窒素有機化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
    Figure 2010250076
    (式中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表す。R6は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R8は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R9は水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。)
  5. 含窒素有機化合物(D)として、下記一般式(2’)〜(10’)で表される含窒素へテロ環及びステロイド骨格を有する含窒素有機化合物の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
    Figure 2010250076
    (式中、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表す。R6'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、シアノ基又はアセタール基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。R7は単結合、又はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。R8は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。R9'はステロイド骨格を有する水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はシアノ基を含んでもよい飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表す。)
  6. 樹脂(A)が、ラクトン構造を含む繰り返し単位を含有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
  7. 樹脂(A)が、単環式または多環式の酸分解性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の感活性光線または感放射線樹脂組成物を用いて膜を形成し、該塗膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  9. 液浸液を介して塗膜を露光することを特徴とする、請求項8に記載のパターン形成方法。
JP2009099437A 2009-04-15 2009-04-15 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法 Active JP5486836B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009099437A JP5486836B2 (ja) 2009-04-15 2009-04-15 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009099437A JP5486836B2 (ja) 2009-04-15 2009-04-15 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010250076A true JP2010250076A (ja) 2010-11-04
JP5486836B2 JP5486836B2 (ja) 2014-05-07

Family

ID=43312474

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009099437A Active JP5486836B2 (ja) 2009-04-15 2009-04-15 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5486836B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012185488A (ja) * 2011-02-15 2012-09-27 Sumitomo Chemical Co Ltd レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
JP2012226335A (ja) * 2011-04-07 2012-11-15 Sumitomo Chemical Co Ltd レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
WO2013172239A1 (ja) * 2012-05-17 2013-11-21 Jsr株式会社 酸拡散制御剤、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び化合物の製造方法
JP2016099546A (ja) * 2014-11-25 2016-05-30 信越化学工業株式会社 化学増幅レジスト材料及びパターン形成方法
JPWO2016027546A1 (ja) * 2014-08-22 2017-04-27 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法及び電子デバイス

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007304537A (ja) * 2005-07-26 2007-11-22 Fujifilm Corp ポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法
JP2008107513A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 含窒素有機化合物、レジスト材料及びパターン形成方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007304537A (ja) * 2005-07-26 2007-11-22 Fujifilm Corp ポジ型レジスト組成物およびそれを用いたパターン形成方法
JP2008107513A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 含窒素有機化合物、レジスト材料及びパターン形成方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012185488A (ja) * 2011-02-15 2012-09-27 Sumitomo Chemical Co Ltd レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
JP2012226335A (ja) * 2011-04-07 2012-11-15 Sumitomo Chemical Co Ltd レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
WO2013172239A1 (ja) * 2012-05-17 2013-11-21 Jsr株式会社 酸拡散制御剤、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び化合物の製造方法
JPWO2013172239A1 (ja) * 2012-05-17 2016-01-12 Jsr株式会社 酸拡散制御剤、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び化合物の製造方法
US9588423B2 (en) 2012-05-17 2017-03-07 Jsr Corporation Acid diffusion control agent, radiation-sensitive resin composition, resist pattern-forming method, compound, and production method
JP2017151448A (ja) * 2012-05-17 2017-08-31 Jsr株式会社 酸拡散制御剤、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び化合物の製造方法
US10088750B2 (en) 2012-05-17 2018-10-02 Jsr Corporation Acid diffusion control agent, radiation-sensitive resin composition, resist pattern-forming method, compound, and production method
JPWO2016027546A1 (ja) * 2014-08-22 2017-04-27 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法及び電子デバイス
US10649329B2 (en) 2014-08-22 2020-05-12 Fujifilm Corporation Active light sensitive or radiation sensitive resin composition, active light sensitive or radiation sensitive film, pattern forming method, method for manufacturing electronic device, and electronic device
JP2016099546A (ja) * 2014-11-25 2016-05-30 信越化学工業株式会社 化学増幅レジスト材料及びパターン形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5486836B2 (ja) 2014-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101744608B1 (ko) 감활성 광선성 또는 감방사선성 수지 조성물, 및 이 조성물을 이용한 감활성 광선성 또는 감방사선성 막 및 패턴 형성 방법
JP5525968B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、およびそれを用いたパターン形成方法
JP5624786B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法
JP5153934B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜及びパターン形成方法
US9454079B2 (en) Actinic ray- or radiation-sensitive resin composition, actinic ray- or radiation-sensitive film and method of forming pattern
JP5887300B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた感活性光線性又は感放射線性膜及びパターン形成方法、並びに電子デバイスの製造方法
JP5568354B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法
JP5544130B2 (ja) 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法
JP2012137686A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜及びパターン形成方法
JP5816543B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いたレジスト膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
JP5676021B2 (ja) 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法
JP5514608B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法
JP2011215414A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法
JP2011002805A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法
JP5401485B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物並びに該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法
JP2013020089A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法、並びに電子デバイスの製造方法及び電子デバイス
JP5486836B2 (ja) 感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法
JP2013178370A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた感活性光線性又は感放射線性膜及びパターン形成方法、並びに電子デバイスの製造方法及び電子デバイス
JP5469908B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法
JP2013182023A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた感活性光線性又は感放射線性膜及びパターン形成方法、並びに電子デバイスの製造方法及び電子デバイス
JP5572423B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法
JP5371868B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法
JP5525777B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びこれを用いたパターン形成方法
JP2012242657A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いたレジスト膜及びパターン形成方法、並びに電子デバイスの製造方法及び電子デバイス
JP2011257613A (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組組成物および該組成物を用いたパターン形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130508

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5486836

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250