JP2010247607A - 搭乗物保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】搭乗物に作用する衝撃を良好に緩和することができる搭乗物保護装置を得る。
【解決手段】車両用シート10は、車体に支持された車体側シート12と、車体側シート12の車両前方に配置され搭乗物Pを車両下側及び後側から支持する可動側シート14と、可動側シート14の車両上部と車体側シート12との間に介在された上側エネルギ吸収材16と、可動側シート14の車両下部と車体側シート12との間に介在された下側エネルギ吸収材18とを備える。上側エネルギ吸収材16と下側エネルギ吸収材18とは、可動側シート14を車体側シート12に近接させる方向においては、上側エネルギ吸収材16の方が変形されやすく、可動側シート14を車体側シート12から離間させる方向においては、下側エネルギ吸収材18の方が変形されやすい。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の乗物に適用される搭乗物保護装置に関する。
シートを車幅方向に沿った軸廻りに回転させつつ衝撃を緩和する技術が知られている(例えば、特許文献1〜8参照)。
特開2000−296732号公報 特開2004−299660号公報 特開2002−52966号公報 米国特許第3953068号明細書 米国特許第4215900号明細書 米国特許第6634708B2号明細書 米国特許第4154472号明細書 米国特許第6189946B1号明細書
しかしながら、可動側のシートがピン(ヒンジ)結合された構成(特許文献1、4〜6)では、ピン構造を作ることで、コスト高や重量増をまねき、また、衝突エネルギそのものを効率的に吸収しきれずに、大きなピーク荷重を発せさせたりする問題がある。また、円弧状のガイドを用いる構成(特許文献2、3)では、コスト高や重量増をまねき、また、重心位置より低い位置にガイドレールが有るため、特に衝突初期に搭乗物上部の運動エネルギを吸収することが困難である。同様にシートクッション後部を下降させる構成(特許文献7)では、シートを下降させる構造が複雑となり、また、重心より下のみの作用の上、衝突エネルギそのものを吸収しきることが困難である。さらに、シートと台車との相対変位によって該シートを回転と移動とをさせながらエネルギを吸収する構成(特許文献8)では、衝突初期に動かないためのストッパーの動作安定性や外部取り付け非線形バネ・ダンパシステムのスペース確保やコスト低減が困難である。
本発明は、搭乗物に作用する衝撃を良好に緩和することができる搭乗物保護装置を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る搭乗物保護装置は、乗物本体に支持された基部と、前記基部に対する前記乗物の前記後方向の前側に配置され、搭乗物を前記乗物上下方向の下側及び該乗物の前記後方向の後側から支持する搭乗物支持体と、前記搭乗物支持体における前記乗物の上下方向の上側部分と前記基部との間に介在され、該搭乗物支持体が前記基部から離間する方向よりも該搭乗物支持体が該基部に近接する方向に変形されやすい上側緩衝構造と、前記搭乗物支持体における前記乗物の上下方向の下側部分と前記基部との間に介在され、該搭乗物支持体が前記基部に近接する方向には前記上側緩衝構造よりも変形されにくく、該搭乗物支持体が該基部から離間する方向には前記上側緩衝構造よりも変形されやすい下側緩衝構造と、を備えている。
例えば乗物の前面衝突などの場合には、搭乗物に乗物の前方への加速度が作用する。すると、請求項1記載の搭乗物保護装置では、基部と搭乗物支持体とが離間される方向に上側緩衝構造が変形されるよりも大きく、基部と搭乗物支持体とが離間される方向に下側緩衝構造が変形される。この下側緩衝構造の変形に伴って衝撃が吸収されつつ、上部に対し下部で大きく基部から離間した搭乗物支持体は後傾姿勢となる。これにより、本搭乗物保護装置では、衝撃を吸収しつつ搭乗物の乗物前方への移動を抑制することができる。
また例えば、乗物の後面衝突などの場合には、搭乗物に乗物の後方への加速度が作用する。すると、請求項1記載の搭乗物保護装置では、基部と搭乗物支持体とが近接される方向に下側緩衝構造が変形されるよりも大きく、基部と搭乗物支持体とが近接される方向に上側緩衝構造が変形される。この上側緩衝構造の変形に伴って衝撃が吸収されつつ、下部に対し上部で大きく基部に近接した搭乗物支持体は後傾姿勢となる。これにより、本搭乗物保護装置では、衝撃を吸収しつつ搭乗物の乗物後方への移動を抑制することができる
このように、請求項1記載の搭乗物保護装置では、例えば乗物に前面衝突や後面衝突が生じた場合に、搭乗物に作用する衝撃を良好に緩和することができる。なお、上側干渉構造、下側緩衝構造の変形は、これら(の一方)が単一部材からなる場合の単純な変形のほか、これら(の一方)が相対変位可能な複数の部材の組み合わせからなる場合の該複数の部材の相対変位(姿勢変化)に伴う緩衝構造全体としての変形を含むものである。
請求項2記載の発明に係る搭乗物保護装置は、請求項1記載の搭乗物保護装置において、前記搭乗物支持体が前記基部に対し前記乗物の上下方向の下方へ相対変位することを規制するガイド構造をさらに備えた。
請求項2記載の搭乗物保護装置では、搭乗物支持体ガイドによって搭乗物支持体が基部に対し相対変位(後傾姿勢への姿勢変化)する際の下方への相対変位が規制されるので、搭乗物支持体は上記した後傾姿勢への変位に伴い搭乗物の重心位置を上方に移動させる。このため、衝撃エネルギの一部を位置エネルギに変換して消費(吸収)することができる。
請求項3記載の発明に係る搭乗物保護装置は、請求項1又は請求項2記載の搭乗物保護装置において、前記上側緩衝構造及び下側緩衝構造の少なくとも一方は、所定値以上の荷重によって変形された場合に変形された状態が維持されるように構成されている。
請求項3記載の搭乗物保護装置では、上記した前面衝突の場合、及び後面衝突の場合の少なくとも一方で、搭乗物支持体が基部に対し後傾した後、その後傾姿勢が維持される。これにより、搭乗物が搭乗物支持体に対して乗物の前後方向に移動されることが抑制される。
請求項4記載の発明に係る搭乗物保護装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の搭乗物保護装置において、前記上側緩衝構造は、径方向に沿った引張方向よりも径方向に沿った圧縮方向に変形されやすい円筒状部材であり、前記乗物の前後方向の後側で前記基部に連結されると共に、前記乗物の前後方向の前側で前記搭乗物支持体に連結されている。
請求項4記載の搭乗物保護装置では、上側緩衝構造は、例えば前面衝突の際には、引張りを受けるものの変形が小さく、搭乗物支持体が基部から離間される方向に大きく変形される下側緩衝構造との協働によって該搭乗物支持体が後傾姿勢とされることに寄与する。一方、例えば後面衝突の際に上側緩衝構造は、圧縮を受けて大きく変形され、相対的に変形の小さい下側緩衝構造との協働によって該搭乗物支持体が後傾姿勢とされることに寄与する。
請求項5記載の発明に係る搭乗物保護装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の搭乗物保護装置において、前記下側緩衝構造は、径方向に沿った引張方向よりも径方向に沿った圧縮方向に変形されやすい円筒状部材であり、前記乗物の前後方向の前側で前記基部に連結されると共に、前記乗物の前後方向の後側で前記搭乗物支持体に連結されている。
請求項5記載の搭乗物保護装置では、下側緩衝構造は、例えば前面衝突の際には、圧縮を受けて大きく変形され、相対的に変形の小さい上側緩衝構造との協働によって該搭乗物支持体が後傾姿勢とされることに寄与する。一方、例えば後面衝突の際に下側緩衝構造は、引張りを受けるものの変形が小さく、搭乗物支持体が基部に近接される方向に大きく変形される上側緩衝構造との協働によって、該搭乗物支持体が後傾姿勢とされることに寄与する。
以上説明したように本発明に係る搭乗物保護装置は、搭乗物に作用する衝撃を良好に緩和することができるという優れた効果を有する。
本実施形態に係る車両用シートの概略全体構成を模式的に側面図である。 本実施形態に係る車両用シートの概略全体構成を模式的に斜視図である。 本実施形態に係る車両用シートを示す図であって、(A)は定常状態の側面図、(B)は前面衝突時の側面図である。 本実施形態に係る車両用シートを示す図であって、(A)は定常状態の側面図、(B)は後面衝突時の側面図である。 本実施形態に係る車両用シートを構成するシートガイド機構を示す図であって、(A)は前面衝突時のシートガイド機構の機能状況を示す側面図、(B)は後面衝突時のシートガイド機構の機能状況を示す側面図である。 本実施形態に係る車両用シートを構成する上下のエネルギ吸収材の荷重−経に特性を示す線図である。 本実施形態に係る車両用シートの前面衝突時の衝撃緩和効果を比較例との比較で説明するための線図である。 (A)は、図7の解析のための本実施形態の解析モデルを示す側面図、(B)は比較例の解析モデルを示す側面図である。 本実施形態の変形例に係る車両用シートの概略全体構成を模式的に側面図である。 本実施形態の変形例に係る車両用シートを示す図であって、(A)は前面衝突時の側面図、(B)は後面衝突時の側面図である。
本発明の実施形態に係る搭乗物保護装置が適用された乗物用シートとしての車両用シート10について、図1〜図8に基づいて説明する。なお、各図に適宜示す矢印FR、矢印UP、及び矢印Wは、車両用シート10が搭載された図示しない自動車の前方向(前進方向)、上方向、及び車幅方向をそれぞれ示すものとする。
図1には、車両用シート10の概略構成が模式的な側面図にて示されており、図2には、車両用シート10の概略構成が模式的な斜視図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用シート10は、基部としての車体側シート12と、該車体側シート12に対する車両前側に配置された本発明における搭乗物支持体としての可動側シート14とを有する。車体側シート12は、図示しない車体に対し、固定されるか、又は調整した位置で固定可能に支持されている。
可動側シート14は、搭乗物Pを車両下側から支持する座部としてのシートクッション14Aと、搭乗物Pを車両後側から支持する背部としてのシートバック14Bとを有する。この可動側シート14は、上側緩衝構造としての上側エネルギ吸収材16及び下側緩衝構造としての下側エネルギ吸収材18を介して、車体側シート12に支持されている。 なお、図2に示される如く、上側エネルギ吸収材16、下側エネルギ吸収材18は、それぞれ複数(2つずつ)設けられているが、以下の説明における荷重特性などは、2つの上側エネルギ吸収材16、下側エネルギ吸収材18を合わせたものとして把握されるものとする。
上側エネルギ吸収材16、下側エネルギ吸収材18は、それぞれ円筒状(リング状)に形成されており、所定値以上の荷重によって拡径方向である引張方向よりも縮径方向である圧縮方向に変形されやすい構成とされている。具体的には図6に示される如く、上側エネルギ吸収材16及び下側エネルギ吸収材18は、圧縮方向には所定値以上の略一定の荷重で変位(圧縮変形)が進行するのに対し、引張方向へは所定値以上の荷重範囲において変位が増すほど荷重が増す同じ特性を呈する。
この実施形態における上側エネルギ吸収材16及び下側エネルギ吸収材18は、圧縮方向への所定量以上の変形によって座屈し、永久変形を生じる構成とされている。すなわち、上側エネルギ吸収材16、及び下側エネルギ吸収材18は、所定値以上の荷重で圧縮されると、復原されることなく変形状態が維持されるようになっている。このような上側エネルギ吸収材16、下側エネルギ吸収材18は、例えば金属材や樹脂材にて構成することができる。
そして、上側エネルギ吸収材16は、車両後端16Aが車体側シート12の車両上部に連結され、車両前端16Bが可動側シート14の車両上部を成すシートバック14Bの車両上端近傍に連結されている。これにより、上側エネルギ吸収材16は、可動側シート14に車体側シート12から離間させる方向(車両前方)の荷重を作用させると引張りを受け、可動側シート14に車体側シート12へ近接させる方向(車両後方)の荷重を作用させると圧縮を受けるようになっている。
一方、下側エネルギ吸収材18は、車両前端18Aが車体側シート12の車両下部に連結され、車両後端18Bが可動側シート14の下部を成すシートバック14Bの下端(シートクッション14Aの後端)近傍に連結されている。これにより、下側エネルギ吸収材18は、可動側シート14に車体側シート12から離間させる方向(車両前方)の荷重を作用させると圧縮を受け、可動側シート14に車体側シート12へ近接させる方向(車両後方)の荷重を作用させると引張りを受けるようになっている。
以上により、車両用シート10では、図3(A)に示される如く可動側シート14上の搭乗物Pに所定値以上の荷重Ffが車両前向きに作用すると、図3(B)に示される如く圧縮を受ける下側エネルギ吸収材18が主に変形されるようになっている。すなわち、可動側シート14は、上側エネルギ吸収材16の車両前端16B近傍を支点C1として回転運動され、図3(A)に示す初期姿勢に対し後傾姿勢とされるようになっている。
また、車両用シート10では、図4(A)に示される如く可動側シート14上の搭乗物Pに所定値以上の荷重Frが車両後向きに作用すると、図4(B)に示される如く圧縮を受ける上側エネルギ吸収材16が主に変形されるようになっている。すなわち、可動側シート14は、下側エネルギ吸収材18の車両後端18B近傍を支点C2として回転運動され、図4(A)に示す初期姿勢に対し後傾姿勢とされるようになっている。この運動は、相対的には前突の場合と同様に、支点C1(上側エネルギ吸収材16における車両後方に変位される車両前端16B)廻りの回転運動と捉えることができる。
さらに、車両用シート10は、可動側シート14が車体側シート12に対し後傾姿勢とされるのに伴って、該車体側シート12に対する可動側シート14が車両下方に変位することを規制するガイド構造としてのシートガイド構造20を備える。図5(A)及び図5(B)に示される如く、シートガイド構造20は、車体側シート12におけるシートクッション14Aの車両下方に位置する車両上向きのガイド面20Aと、可動側シート14の車両下端部における支点C1よりも車両後方に位置する部分である被ガイド部20Bとで構成されている。なお、図5(A)及び図5(B)では、下側エネルギ吸収材18の図示を省略している。
すなわち、図5(A)又は図5(B)に示される如く、可動側シート14が車体側シート12に対し振り子運動により後傾姿勢とされる際に、該支点C1よりも車両後方に位置する被ガイド部20Bは車両下向きに変位され、ガイド面20Aに干渉(当接後は摺動しつつガイド)する。被ガイド部20Bは、前突の際に下側エネルギ吸収材18が永久されるまでの可動側シート14の支点C1廻りの回転角範囲、後突の際に上側エネルギ吸収材16が永久されるまでの可動側シート14の支点C1廻りの回転角範囲内で、車両上方への変位が生じない(支点C1を超えて車両前方に突出しない)ように設けられている。
これにより、それ以上の被ガイド部20Bの車両下向きの変位が規制され、可動側シート14は、車両上方に変位しつつ後傾姿勢とされるようになっている。このように車体側シート12に対する車両下方への相対変位が抑制されながらの支点C1(支点C2)廻りの回転運動は、重力に抗した振り子運動として捉えることができ、以下、単に振り子運動という場合がある。なお、この実施形態におけるシートガイド構造20は、シート幅方向中央部(左右の下側エネルギ吸収材18間)に1つ又は複数設けられている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の車両用シート10では、適用された自動車の前面衝突の際には、搭乗物Pには車両前向きの荷重Ff(加速度)が作用する。すると、この荷重を受けた可動側シート14は、その下部が下側エネルギ吸収材18を圧縮変形させつつ車体側シート12から離間する側(車両前方)に変位される一方、その上部は上側エネルギ吸収材16が引張りを受けることで変形量が相対的に小さい。この際、シートガイド構造20における可動側シート14側の被ガイド部20Bが車体側シート12側のガイド面20Aにより摺動しつつガイドされることで、車体側シート12に対する可動側シート14の車両下方への変位は規制される。
これらにより、可動側シート14は、図3(A)に示される定常の姿勢から、振り子運動によって定常姿勢よりも車両上方に変位しつつ車両前方に変位され、図3(B)に示される如き後傾姿勢に至る。そして、下側エネルギ吸収材18は、座屈による永久変形状態となり、可動側シート14の車体側シート12に対する後傾姿勢は維持される。
一方、車両用シート10では、適用された自動車の後面衝突の際には、搭乗物Pには車両後向きの荷重Fr(加速度)が作用する。すると、この荷重を受けた可動側シート14は、その上部が上側エネルギ吸収材16を圧縮変形させつつ車体側シート12側に変位される一方、その下部は下側エネルギ吸収材18が引張りを受けることで変形量が相対的に小さい。この際、シートガイド構造20における可動側シート14側の被ガイド部20Bが車体側シート12側のガイド面20Aにより摺動しつつガイドされることで、車体側シート12に対する可動側シート14の車両下方への変位は規制される。
これらにより、可動側シート14は、図4(A)に示される定常の姿勢から、振り子運動によって定常姿勢よりも車両上方に持ち上げられるように車両後方に向け変位され、図4(B)に示される如き後傾姿勢に至る。そして、上側エネルギ吸収材16は、座屈による永久変形状態となり、可動側シート14の車体側シート12に対する後傾姿勢は維持される。
ここで、車両用シート10では、上記の通り、上側エネルギ吸収材16及び下側エネルギ吸収材18の一方を圧縮変形させて衝撃を吸収しつつ該変形側で可動側シート14の車体側シート12に対する変位が許容される。このため、車両用シート10では、搭乗物P、該搭乗物Pを支持する可動側シート14を慣性によって水平方向に変位させることなく、振り子運動させることができる。
すなわち、車両用シート10では、衝撃を吸収しながら、この衝撃吸収に伴う車体側シート12と可動側シート14との相対変位を利用して、振り子運動を実現することができる。しかも、可動側シート14が上側エネルギ吸収材16及び下側エネルギ吸収材18を介して車体側シート12に支持されているため、前面衝突の場合、後面衝突の場合にそれぞれ可動側シート14の振り子運動を生じさせることができる。
このように可動側シート14の振り子運動を生じさせることで車両用シート10では、適用された自動車の衝突に伴う衝撃を各部に分散させることができる。特に、車両用シート10では、シートガイド構造20によって、可動側シート14の車体側シート12に対する車両下側への相対変位を規制しながらの振り子運動が実現されるため、該振り子運動によって図3(B)及び図4(B)に示される如く搭乗物Pの重心位置Gが車両上方に移動する。これにより、衝突に伴う搭乗物Pの水平方向の運動エネルギの一部を位置エネルギに変換して消費(分配)することができる。
また、車両用シート10では、可動側シート14を車体側シート12に対し後傾させる方向に振り子運動が生じるので、該振り子運動に伴って搭乗物Pにはシートクッション14A側(車両下側)への荷重(遠心力)が作用する。これにより、車両用シート10では、搭乗物Pとシートクッション14Aとの摩擦力(直接的には摩擦抗力)が増し、シートクッション14Aに対する搭乗物Pの車両前後方向の相対変位が抑制される。すなわち、前面衝突の際には、搭乗物Pが可動側シート14に対し前後に変位されることが抑制され、後面衝突の際には、搭乗物Pが衝突中期から後期にかけてシートバック14Bからの反動によってシートクッション14Aから滑り落ちることが防止又は効果的に抑制される。
さらに、車両用シート10では、上記の通り、前面衝突の際に振り子運動に伴って搭乗物Pにはシートクッション14A側への荷重が作用するため、搭乗物Pが車両前方へ移動しようとする荷重の一部が該搭乗物Pと傾斜されたシートクッション14Aとの接触部位により支持される。すなわち、摩擦力だけではなく、シートクッション14Aが堰の如く機能して搭乗物Pが車両前方へ移動しようとする荷重の一部が支持される。このため、例えば前面衝突の際に搭乗物Pの車両前方への移動を拘束する装置(例えばシートベルト装置やエアバッグ装置等)備えた車両において、該拘束装置による搭乗物Pの拘束荷重を低減することができる。
この点につき、図8に示す解析モデルを用いた数値解析結果である図7を参照しつつ補足する。図7は、前面衝突時に搭乗物Pに作用する加速度(ウエビングWによる拘束荷重)を示すものであり、細線が図8(B)に示す比較例モデル100の解析結果、太線が図8(A)に示す本実施形態モデル10の解析結果を示している。比較例モデルは、上側エネルギ吸収材16及び下側エネルギ吸収材18に代えてが同寸法の剛体リング102が設けられている点で実施形態モデル10とは異なる。また、両モデルともシートベルト装置のウエビングWにて搭乗物Pを拘束する場合の解析例とされている。この図7の結果から、実施形態モデルでは比較例モデルと比較して搭乗物Pに作用する加速度が大幅に低減されることが判る。
また、上記した摩擦力及び傾斜されたシートクッション14Aの堰としての作用によって、車両用シート10では、搭乗物Pの車両前方への移動量(例えばシートベルト装置のウエビングW引き出し量)が小さく抑えられる。しかも、車両用シート10では、車両の前面衝突の際には、搭乗物Pの上部の車両前方への移動を抑えつつ該搭乗物Pの下部を車両前方に移動させる振り子運動を生じさせる。このため、搭乗物Pの上部を適用された自動車の車室内部材や該自動車への衝突体から離間した位置に保持することができる。すなわち、搭乗物Pの2次衝突を抑制することができる。
なお、上記した実施形態では、本発明における上側緩衝構造、下側緩衝構造として円筒状の上側エネルギ吸収材16、下側エネルギ吸収材18を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されず、一方側への変位に伴う荷重が他方側の変位に伴う荷重に対し大きくなる各種の上側緩衝構造、下側緩衝構造を採用することができる。したがって例えば、図9に示される如き変形例とすることも可能である。
この比較例に係る車両用シート30について補足する。車両用シート30は、上側エネルギ吸収材16に代えて上側エネルギ吸収ダンパ32を備え、下側エネルギ吸収材18に代えて下側エネルギ吸収ダンパ34を備えている。上側エネルギ吸収ダンパ32は、粘性流体が充填されたシリンダ32Aと、シリンダ32A内にスライド可能に設けられたピストン32Bと、一端がピストン32Bに固定されると共に他端がシリンダ32A外に突出されたロッド32Cと、ピストン32Bを貫通するオリフィス32Dをロッド32C側から開閉するバタフライ弁32Eとを主要部として構成されている。上側エネルギ吸収ダンパ32は、ロッド32Cをシリンダ32A内に押し込む方向(以下、圧縮方向という)の変位に対しては、バタフライ弁32Eが流体圧でオリフィス32Dを開放するので、該オリフィス32Dの絞りに応じた減衰力を生じつつ、シリンダ32Aに対するロッド32Cの相対変位が許容される。一方、上側エネルギ吸収ダンパ32は、ロッド32Cをシリンダ32Aから引き出す方向(以下、引張方向という)の変位に対しては、バタフライ弁32Eが流体圧でオリフィス32Dを閉止するので、圧縮方向の変位よりも大きな荷重(減衰力)が発生する。
下側エネルギ吸収ダンパ34は、粘性流体が充填されたシリンダ34Aと、シリンダ34A内にスライド可能に設けられたピストン34Bと、一端がピストン34Bに固定されると共に他端がシリンダ34A外に突出されたロッド34Cと、ピストン34Bを貫通するオリフィス34Dを反ロッド34C側から開閉するバタフライ弁34Eとを主要部として構成されている。下側エネルギ吸収ダンパ34は、バタフライ弁34Eの設置側が上側エネルギ吸収ダンパ32とは逆であるため、引張方向の変位に対して開放されたオリフィス34Dの絞りに応じた減衰力を生じ、圧縮方向の変位に対しては引張方向の変位よりも大きな荷重(減衰力)が発生する。
上側エネルギ吸収ダンパ32は、シリンダ32Aがシートバック14Bの車両上部に連結されると共に、ロッド32Cが車体側シート12の車両上部に連結されている。また、下側エネルギ吸収ダンパ34は、シリンダ34Aがシートバック14Bの車両下部に連結されると共にロッド34Cが車体側シート12の車両下部に連結されている。これにより、車両用シート30においても、車両用シート10と同様に、可動側シート14は、その車両上部が車体側シート12から離間する荷重に対し車両下部が車体側シート12から離間する荷重が小さく、その車両下部が車体側シート12に近接する荷重に対し車両上部が車体側シート12に近接する荷重が小さい設定とされている。
したがって、変形例に係る車両用シート30によっても、前面衝突の際には図10(A)に示される如く主に下側エネルギ吸収ダンパ34を伸長させることで可動側シート14の振り子運動を生じ、後面衝突の際には図10(B)に示される如く主に上側エネルギ吸収ダンパ32が圧縮されて可動側シート14の振り子運動を生じる。このように、変形例に係る車両用シート30によっても、上記実施形態と基本的に同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
また、車両用シート30では、バタフライ弁32E、34Eにて引張り、圧縮の荷重差を設定する例を示したが、例えばシリンダ32A、34Aとピストン32B、34Bとの間に形成した斜面とコロより成るワンウェイクラッチにて荷重差を設定する構成としても良い。また、実施形態の如く変形(永久変形)される単一部材で上下の緩衝構造を構成する場合において、該緩衝構造の材質や形状は各種変更可能であることは言うまでもない。例えば、車両前後方向に開口する筒状部材を上下の緩衝構造として採用することができる。また、上側緩衝構造と下側緩衝構造は、同様に構成されるものには限られず、例えば上側エネルギ吸収材16と下側エネルギ吸収ダンパ34との組み合わせなども可能である。
さらに、上記した実施形態及び変形例では、本発明が車両用シート10、30に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、本発明に係る搭乗物保護装置は、各種の乗物用シート等に適用可能である。
10 車両用シート(搭乗物保護装置)
12 車体側シート(基部)
14 可動側シート(搭乗物支持体)
16 上側エネルギ吸収材(上側緩衝構造)
18 下側エネルギ吸収材(下側緩衝構造)
20 シートガイド構造(ガイド構造)
30 車両用シート
32 上側エネルギ吸収ダンパ(上側緩衝構造)
34 下側エネルギ吸収ダンパ(下側緩衝構造)
P 搭乗物

Claims (5)

  1. 乗物本体に支持された基部と、
    前記基部に対する前記乗物の前記後方向の前側に配置され、搭乗物を前記乗物上下方向の下側及び該乗物の前記後方向の後側から支持する搭乗物支持体と、
    前記搭乗物支持体における前記乗物の上下方向の上側部分と前記基部との間に介在され、該搭乗物支持体が前記基部から離間する方向よりも該搭乗物支持体が該基部に近接する方向に変形されやすい上側緩衝構造と、
    前記搭乗物支持体における前記乗物の上下方向の下側部分と前記基部との間に介在され、該搭乗物支持体が前記基部に近接する方向には前記上側緩衝構造よりも変形されにくく、該搭乗物支持体が該基部から離間する方向には前記上側緩衝構造よりも変形されやすい下側緩衝構造と、
    を備えた搭乗物保護装置。
  2. 前記搭乗物支持体が前記基部に対し前記乗物の上下方向の下方へ相対変位することを規制するガイド構造をさらに備えた請求項1記載の搭乗物保護装置。
  3. 前記上側緩衝構造及び下側緩衝構造の少なくとも一方は、所定値以上の荷重によって変形された場合に変形された状態が維持されるように構成されている請求項1又は請求項2記載の搭乗物保護装置。
  4. 前記上側緩衝構造は、径方向に沿った引張方向よりも径方向に沿った圧縮方向に変形されやすい円筒状部材であり、前記乗物の前後方向の後側で前記基部に連結されると共に、前記乗物の前後方向の前側で前記搭乗物支持体に連結されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の搭乗物保護装置。
  5. 前記下側緩衝構造は、径方向に沿った引張方向よりも径方向に沿った圧縮方向に変形されやすい円筒状部材であり、前記乗物の前後方向の前側で前記基部に連結されると共に、前記乗物の前後方向の後側で前記搭乗物支持体に連結されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の搭乗物保護装置。
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