JP2010247281A - 繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法、及び、該穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板と組付け部材との組付け方法 - Google Patents

繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法、及び、該穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板と組付け部材との組付け方法 Download PDF

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Shinichi Yamabe
真一 山辺
Michihide Hamada
通秀 濱田
Sadami Torao
禎巳 虎尾
Shin Watanabe
晋 渡邉
Keisuke Nakayama
慶介 中山
Sadayuki Omaki
禎幸 大牧
Yuta Sato
雄太 佐藤
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Abstract

【課題】繊維強化樹脂複合材積層板2に孔あけ用ドリル8を貫通させることで貫通孔1を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板2の穿孔方法において、貫通孔1のドリル出口側(ドリル8が突き抜ける側)の端部に層間剥離が生じるのを防止する。
【解決手段】貫通孔1を形成する前に予め、孔あけ用ドリル8が突き抜ける側の面11にテーパ穴部15を形成しておく前加工工程を備えるものとし、この前加工工程において、テーパ穴部15を、形成予定の貫通孔1に対して略同軸に且つ該テーパ穴部15の最大内径寸法Hが貫通孔1の孔径寸法dよりも大きくなるように形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化樹脂複合材積層板に対してその厚さ方向に孔あけ工具を貫通させることで貫通孔を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法、及び、該穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板と組付け部材との組付け方法に関する技術分野に属する。
一般に、FRP等の繊維強化樹脂複合材の積層板に対しては、ドリル等を用いて孔あけが行われるが、このドリルが孔を貫通する際にその突き抜け力によって、孔の出口部側(ドリルが突き抜ける側)の端部に層間剥離等の欠陥が生じる場合があり、現在までに、この層間剥離を防止する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1に示すものでは、ドリルの切れ刃を先端角の大きい先端切れ刃部と先端角の小さい外周側切れ刃部との二部分で構成して、各切れ刃部に、切屑分断用の複数のニックを設けるようにしている。
また、特許文献2に示すものでは、孔あけツールとしてボールエンドミル又はラジアルエンドミルを用いると共に、工具一刃当たりの送り量を0.03mmに設定する等、加工条件の最適化を図っている。
特開2007−136891号公報 特開2009−39810号公報
しかしながら、特許文献1に示すものでは、既存の孔あけ工具とは異なる特殊形状の工具を別途用意する必要があるため、工具コストが増大するという問題がある。
そこで、特許文献2に示すにように、加工条件の設定を最適化することで層間剥離等の欠陥の発生を抑制することも考えられるが、最適な加工条件(つまり上記欠陥を抑制可能な条件)は、工具の摩耗度等によっても変化するため、この加工条件の最適化のみで上記欠陥を完全に抑制することは困難である。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、孔あけ工具を用いた繊維強化複合材樹脂積層板の穿孔方法、及び該穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板と組付け用部材との組付け方法に工夫を凝らすことで、孔の出口側(工具が突き抜ける側)の端部に層間剥離等の欠陥が生じるのを確実に防止しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、繊維強化樹脂複合材積層板に対して孔あけ工具を貫通させる前に予め、積層板の一側面における貫通孔の形成予定箇所に、円錐状のテーパ穴部を形成しておく前加工工程を備えるものとし、この工程において、テーパ穴部を、形成予定の貫通孔に対して略同軸に且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるように形成するものとした。
具体的には、この発明では、繊維強化樹脂複合材積層板に対してその厚さ方向に孔あけ工具を貫通させることで貫通孔を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法を対象とする。
そして、上記繊維強化樹脂複合材積層板の厚さ方向の一側の面における上記貫通孔の形成予定箇所に予め、該一側から他側に向かって縮径する円錐状のテーパ穴部を、上記形成予定の貫通孔に対して略同軸に且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が該貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるように形成しておく前加工工程と、上記前加工工程後に、上記繊維強化樹脂複合材積層板における上記貫通孔の形成予定箇所に上記他側から上記一側に向かって上記孔あけ工具を貫通させることで、上記貫通孔を形成するメイン加工工程と、を備えているものとする。
この方法によれば、孔あけ工具の先端部が、テーパ穴部の傾斜した内壁面を突き抜ける(貫通する)こととなるため、孔あけ工具が積層板を突き抜ける際の突き抜け力を、積層板の表面層よりも内側(内層側)の繊維層に作用させることができる。したがって、この突き抜け力が、他の繊維層による押さえが効かない表面層に作用するのを防止することができ、これによって、貫通孔の孔あけ工具が突き抜ける側の端部(以下、貫通孔の出口側の端部という)に、層間剥離等の欠陥が生じるのを防止することができる。
請求項2の発明では、繊維強化樹脂複合材積層板に対してその厚さ方向に孔あけ工具を貫通させることで貫通孔を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法を対象とする。
そして、上記繊維強化樹脂複合材積層板の厚さ方向の一側の面における上記貫通孔の形成予定箇所に予め、該一側から他側に向かって縮径する円錐台状のテーパ穴部を、上記形成予定の貫通孔に対して略同軸に、且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が上記貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるとともに最小内径寸法が上記貫通孔の孔径寸法よりも小さくなるように形成しておく前加工工程と、上記前加工工程後に、上記繊維強化樹脂複合材積層板の厚さ方向の上記他側から上記一側に向かって上記孔あけ工具を貫通させることで、上記貫通孔を形成するメイン加工工程と、を備えているものとする。
この方法によれば、請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項3の発明では、請求項1又は2記載の穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板の上記一側の面に、締結部材が挿通される挿通孔を有する組付け用部材を該締結軸部材を介して組み付ける組付け方法を対象とする。
そして、上記繊維強化樹脂複合材積層板における上記テーパ穴部の内壁面のうち上記貫通孔の形成後に残った面取り面部と、該貫通孔の内壁面の延長面とに挟まれる空間に環状の空間充填部材をセットする充填部材セット工程と、上記繊維強化樹脂複合材積層板の上記一側の面に上記組付け用部材を当接させてセットする組付け用部材セット工程と、上記貫通孔及び上記組付け用部材の挿通孔に上記締結軸部材を挿通して、該締結軸部材により上記組付け用部材を上記繊維強化樹脂複合材積層板の上記一側の面に組付け固定する固定工程とを含み、上記空間充填部材は、上記固定工程終了後の状態において、上記締結軸部材の外周面と上記組付け用部材と上記面取り面部とで囲まれる隙間空間を埋めるように形成されたものとする。
この方法によれば、上記繊維強化樹脂複合材積層板に組付け用部材を組み付ける場合に、積層板に残ったテーパ穴部の内壁面(面取り面部)と、締結軸部材の外周面と、組付け用部材とで囲まれた隙間空間を、空間充填部材により埋めることができる。
これにより、貫通孔の加工に際して、仮に、該貫通孔の出口側の端部の周辺(つまり面取り面部)に、層間剥離にまでは至らない微小なマイクロクラックが発生していたとしても、このクラックが進行して欠陥化するのを確実に防止することができる。
請求項4の発明では、請求項3の発明において、上記空間充填部材は、上記繊維強化樹脂複合材の母材と同じ樹脂材料、又は、該母材に対して接着性を有する該母材とは異なる樹脂材料からなり、上記充填部材セット工程は、上記環状の空間充填部材を、上記面取り面部と、上記貫通孔の内壁面の延長面とに挟まれる空間にセットして接着材でもって該面取り面部に接着固定する工程であるものとする。
このように、空間充填部材を、繊維強化樹脂複合材の母材又は母材接着性樹脂材で構成することで、空間充填部材を接着材等により上記隙間に確実に固着させることができる。したがって、請求項2の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることができる。
請求項5の発明では、請求項3の発明において、上記環状の空間充填部材は、上記固定工程終了後の状態において、上記組付け用部材より作用する押圧力によって変形して、上記隙間空間を構成する空間壁面の全面に密着することで該隙間空間を埋めるように構成されているものとする。
これによれば、空間充填部材として例えばゴム性のOリングを採用することで、隙間空間への空間充填部材の充填作業を容易化することができるとともに、この隙間でのシール性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明の繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法によると、繊維強化樹脂複合材積層板に対して孔あけ工具を貫通させる前に予め、孔あけ工具を押し付ける側とは反対側の面(他側面)にテーパ穴部を形成しておく前加工工程を含むものとし、この工程において、テーパ穴部を、形成予定の貫通孔に対して略同軸に且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるように形成するものとしたことで、貫通孔の出口側の端部及びその周辺に、層間剥離等の欠陥が生じるのを確実に防止することができる。
また、本発明の別の穿孔方法によると、繊維強化樹脂複合材積層板に対して孔あけ工具を貫通させる前に予め、孔あけ工具を押し付ける側とは反対側の面に円錐台上のテーパ穴部を形成しておく前加工工程を含むものとし、この工程において、テーパ穴部を、形成予定の貫通孔に対して略同軸に、且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるとともに最小内径寸法が該貫通孔の孔径寸法よりも小さくなるように形成するものとしたことで、貫通孔の出口側の端部及びその周辺に、層間剥離等の欠陥が生じるのを確実に防止することができる。
本発明の繊維強化樹脂複合材積層板の組付け方法によると、繊維強化樹脂複合材積層板におけるテーパ穴部の内壁面のうち貫通孔の形成後に残った面取り面部と、該貫通孔の内壁面の延長面とに挟まれる空間に環状の空間充填部材をセットするようにしたことで、貫通孔の出口側の端部に、仮に、微小なマイクロクラックが発生していたとしても、クラックが進行して欠陥化することを防止することができる。
本発明の実施形態に係る穿孔方向及び組付け方法が適用された2枚の繊維強化樹脂複合材積層板を接合してなる航空機部品の接合部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る穿孔方法(粗加工工程)を説明するための説明図であって、(a)は前加工工程、(b)はメイン加工工程、(c)は粗完成工程を示す。 仕上げ加工工程を説明するための説明図である。 充填部材を示す概略図である。 メイン加工工程において孔あけ用ドリルがテーパ穴部の周壁面を突き抜けたときの状態を示す拡大断面図である。 他の実施例に係るテーパ穴部の形状を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る穿孔方法により貫通孔1が形成された一対の繊維強化樹脂複合材積層板2(以下、積層板2という)を接合した航空機部品Aの接合部を示し、この積層板2は、母材に熱可塑性プラスチック(樹脂)を使用し且つ強化材にガラス繊維を使用した繊維強化プラスチック(FRP)を積層したものである。尚、この積層板2を適用する部品Aとしては、航空機部品に限らず、例えば、船舶用部品や自動車用部品等であってもよい。
上記一対の積層板2は、互いの貫通孔1の軸心1a(図2参照)が一致するように重ね合わせた状態で、両貫通孔1に挿通されたボルト3(締結軸部材)とナット4とを螺合させることで接合されている。ボルト3は、その座面にワッシャ5を挟んで一方の積層板2に締結されており、ナット4は、ワッシャ6及びバネワッシャ7を挟んで他方の積層板2に締結されている。
各積層板2への貫通孔1の加工は、大別すると、孔あけ用ドリル8(及び面取りドリル9)により各積層板2に孔1を貫通させるための粗加工工程と、この粗加工工程にて形成された貫通孔1の内壁面をリーマ10により仕上げる仕上げ加工工程と、の2つの工程からなる。各工程は、ワーク(積層板)の段取り替えを行うことなくその表裏両面の加工が可能なNC加工機(図示省略)によって実行される。具体的には、作業者が、NC加工機に、積層板2をセットして所定操作指令を行うことで、NC加工機が各工程を実行する。尚、ドリル8,9やリーマ10は、機械加工において一般に使用される汎用ツールを使用すればよい。
上記粗加工工程は、積層板2の厚さ方向の一側の面11に、予め面取りドリル9によりテーパ穴部15を形成しておく前加工工程(図2(a)参照)と、該前加工工程後に、積層板2に対してその厚さ方向の他側から一側に向かって孔あけ用ドリル8を貫通させるメイン加工工程(図2(b)参照)と、該メイン加工工程後に、貫通孔1の軸方向他側の周縁部に面取り加工を行う粗完成工程と、からなる。
NC加工機にて上記前加工工程が実行されると、先ず、形成予定の貫通孔1に対して、上記一側に配設された面取りドリル9の位置決めが行われる(図2(a)参照)。この位置決めは、面取りドリル9の軸心9aと形成予定の貫通孔1の軸心1aとが略同軸になるように行われる。そして、該位置決め終了後に、面取りドリル9が回転駆動しながら前進して、積層板2に対して所定の送り速度で接近する。この結果、面取りドリル9の先端部が一側面11に押し付けられて上記他側に向かって加圧される。このことで、積層板2の一側面11には、面取りドリル9の先端部の形状(本実施形態では、先端角略90°の円錐形状)に対応した円錐状のテーパ穴部15が形成される。面取りドリル9は、その切り込み量が予め設定した設定量Wになったときに後退して元の位置に退避する。この設定量Wは、テーパ穴部15の一側面11での外径(テーパ穴部15の最大内径寸法H)が、上記貫通孔1の孔径寸法dよりも大きくなるように設定されている。したがって、前加工工程は、上記繊維強化樹脂複合材積層板2の厚さ方向の一側の面11における上記貫通孔1の形成予定箇所に予め、該一側から他側に向かって縮径する円錐状のテーパ穴部15を、上記形成予定の貫通孔1に対して略同軸に且つ該テーパ穴部15の最大内径寸法Hが該貫通孔1の孔径寸法dよりも大きくなるように形成しておく工程であると言える。
NC加工機にて、前加工工程終了後にメイン加工工程が実行されると、先ず、上記形成予定の貫通孔1に対して、上記他側に配設された孔あけ用ドリル8の位置決めが行われる(図2(b)参照)。この位置決めは、孔あけ用ドリル8の軸心8bと貫通孔1の軸心1aとが略同軸になるように行われる。そして、該位置決め終了後に、孔あけ用ドリル8が回転駆動しながら前進して、積層板2に対して所定の送り速度で接近する。この結果、孔あけ用ドリル8の先端部が、積層板2の他側面12に押し付けられて一側に向かって加圧される。孔あけ用ドリル8は、そのストレート部8aが、テーパ穴部15の内壁面15aを完全に突き抜ける所定位置まで前進した後に後退して元の位置に退避する。こうして、メイン加工工程が終了した後の積層板2の貫通孔1の軸方向一側の周縁部には、テーパ穴部15の内壁面の一部が、傾斜角略45°の面取り面部16として残る。
NC加工機にて、メイン加工工程終了後に粗完成工程が実行されると、既に形成された貫通孔1に対して、上記他側に配設された面取りドリル14の位置決めが行われる(図2(c)参照)。この位置決めは、面取りドリル14の軸心14aと貫通孔1の軸心1aとが略同軸になるように行われる。そして、該位置決め終了後に、面取りドリル14が回転駆動しながら前進して、積層板2(貫通孔1の軸方向他側の端部)に対して所定の送り速度で接近する。面取りドリル14は、その先端部を、貫通孔1の軸方向他側の周縁部に押し付けて面取りを行った後に後退して元の位置に退避する。こうして、粗完成工程が終了することで、貫通孔1の軸方向他側の周縁部には面取り面部17が形成される。この面取り面部17の面取り寸法と、上記メイン加工工程にて形成される面取り面部16の面取り寸法とは略等しい。
粗加工工程終了後(粗完成工程終了後)に、上記仕上げ加工工程を行う際には、作業者が、上記両積層板2を、各積層板2の貫通孔1が同軸になるように重ね合わせた後に、NC加工機にセットして所定操作指令を行う。これにより、NC加工機が仕上げ加工工程を実行する。尚、本実施形態では、図3に示すように、両積層板2の他側面12同士を当接させて両積層板2を重ね合わせるようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、一側面11同士を当接させるようにしてもよいし、他側面12と一側面11とを当接させるようにしてもよい。
NC加工機にて仕上げ加工工程が実行されると、両積層板2の貫通孔1の軸心1aとリーマ10の軸心10aとが略同軸になるように、リーマ10の位置決めが行われる。そして、該位置決め終了後に、リーマ10が、回転駆動しながら前進して各貫通孔1の内壁面を削ることで仕上げ加工を行う。
そうして、仕上げ加工工程が終了した両積層板2をボルト3で締結することで、上記航空機部品Aが組み立てられる。組み立て手順としては、先ず、NC加工機にセットされた仕上げ加工終了後の両積層板2を、その状態(重ね合わせた状態)のまま取り外す。次いで、各積層板2の面取り面部16(又は17)に起因して生じる凹部21乃至23(つまり、面取り面部16(又は17)と、貫通孔1の延長面18とに挟まれる空間、図4参照)に、該各凹部21乃至23の形状と同形状の環状の充填部材41乃至43をセットして接着材により固定する。充填部材としては、上記繊維強化樹脂複合材の母材と同じ樹脂材料を使用してもよいし、母材に対して接着性を有する、該母材とは異なる樹脂材料を使用するようにしてもよい。
こうして、上記各凹部21乃至23にそれぞれ充填部材41乃至43を接着固定した後に、ワッシャ5を、貫通孔1に対して略同軸になるように上記一方の積層板2の上記一側面11にセットしてその状態でボルト3を該ワッシャ5及び貫通孔1に挿通し、その後、ボルト3の先端部に、ワッシャ6及びバネワッシャ7を順に挿通してナット4を螺合させることで、両積層板2の接合が完了する。
このように上記実施形態では、積層板2に貫通孔1を形成する前の前加工工程において、積層板2の一側面11に、上記一側から他側に向かって縮径するテーパ穴部15を、形成予定の貫通孔1に対して略同軸に且つ該一側面11での穴径寸法Hが該貫通孔1の孔径寸法dよりも大きくなるように形成したことで、メイン加工工程における貫通孔1形成に際して、貫通孔1における孔あけ用ドリル8が突き抜ける側の端部(以下、ドリル出口側の端部という)に、層間剥離が生じるのを確実に防止することができる。
すなわち、上記のようにテーパ穴部15を形成しておくことで、メイン加工工程において、孔あけ用ドリル8が、テーパ穴部15の内壁面15aに突き抜けることとなる(図5参照)。このため、孔あけ用ドリル8が積層板2を突き抜ける際の突き抜け力を、表面層2aよりも内側(上記他側)に位置する繊維層2bに作用させることができる。したがって、他の繊維層による押さえが効かない表面層2aに対して孔あけ用ドリル8の突き抜け力が直接作用するのを防止し、延いては、貫通孔1のドリル出口側の端部に層間剥離が生じるのを確実に防止することができる。
また、上記実施形態では、穴部15を、円筒状のストレート穴ではなく、円錐状のテーパ穴としたことで、上記表面層2aよりも内側の繊維層2bにおけるドリル8が突き抜ける部分を、その上側の繊維層2cでもって押さえつけることができる。したがって、貫通孔1のドリル出口側の端部の層間剥離をより一層確実に抑制することができる。
また、上記実施形態では、粗完成工程において、貫通孔1の軸方向他側の周縁部にも面取り面部17を形成するようにしたことで、仕上げ加工工程において、両積層板2をどのように重ね合わせたとしても(上記実施形態では、両積層板2の他側面12同士を当接させて重ね合わせるようにしている)、リーマ加工を行う下孔35(リーマ10による仕上げ加工前の貫通孔1が直列に並んでなる孔、図3参照)の軸方向両端部に面取り面部16(又は17)を形成することができる。したがって、下孔35におけるリーマ10が突き抜ける側の端部(以下、リーマ出口側の端部という)には必ず、面取り面部16(又は17)が位置することとなる。したがって、テーパ穴部15の形成により貫通孔1のドリル出口側の端部の層間剥離を抑制したのと同じ原理で、リーマ10の突き抜け力が積層板2の表面層に直接作用するのを防止して、下孔35(貫通孔1)のリーマ出口側の端部における層間剥離を確実に抑制することが可能となる。
また、上記実施形態では、両積層板2をボルト3で締結して部品Aを組み立てる際に、各面取り面部16(又は17)に起因して生じる各凹部21乃至23にそれぞれ充填部材41乃至43をセットして接着固定するようにしたことで、組み立て完了後に、この面取り面部16の内壁面と、ワッシャ5,6の座面と、ボルト3の周壁面とで囲まれる隙間31及び33(図4参照)を充填部材41及び43で埋めることができ、また、両積層板2の面取り面部17の内壁面と、ボルト3の周壁面とで囲まれる隙間32を充填部材42により埋めることができる。
したがって、貫通孔1の加工に際して、仮に、孔1の出口側の端部周辺に、層間剥離には至らないまでも微小なマイクロクラック(NDI検査でも検出できないような微小なクラック)が発生していたとしても、その後にクラックが進行するのを確実に防止することができる。また、隙間31乃至33を充填部材41乃至43で埋めることで、各隙間31乃至33でのシール性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、各工程が、特殊ツールを使用することなく、孔あけ用ドリル8、面取りドリル9,14、及びリーマ10といった汎用工具を使用して実現可能になっており、このため、既存の設備を流用して、孔あけに要するコストを低減することができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、上記テーパ穴部15を、円錐状に形成するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、図6(a)に示すように、上記積層板2の厚さ方向の両側に開放する円錐台状に形成するようにしてもよい。この場合、テーパ穴部15は、例えば、図示の如く、面取りドリル9の先端部を積層板2の他側面12まで貫通させることで形成することができる。また、図6(b)に示すように、テーパ穴部15を、積層板2の厚さ方向の一側に開放する有底の円錐台状に形成するようにしてもよい。この場合、テーパ穴部15は、例えば、図示の如く先端部が円錐台状をなす回転切削工具13を用いて形成することができる。そして、この各場合において、テーパ穴部15の最大内径寸法Hが貫通孔1の孔径寸法dよりも大きくなるように且つテーパ穴部15の最小内径寸法hが貫通孔1の孔径寸法dよりも小さくなるようにすればよい。
また、上記実施形態では、上記充填部材41乃至43を、上記各凹部21乃至23の形状に対応する形状を有する母材樹脂材又は母材接着性樹脂材で構成するようにしているが、これに限ったものではなく、断面略円形状のOリングを使用するようにしてもよい。この場合、各隙間31乃至33に充填されるOリングを、各凹部21乃至23からはみ出すように大きめに形成しておけばよい。こうすることで、充填部材41乃至43を予め、各隙間31乃至33(凹部21乃至23)の形状に対応した形状に成形しなくとも、Oリングの変形により各隙間31乃至33を確実に埋めることができる。したがって、充填部材41乃至43の充填作業の容易化を図りながら、各隙間31乃至33のシール性をより一層向上させることができる。
また、上記実施形態では、貫通孔1の軸方向他側の周縁部の面取り加工を、メイン加工工程後の粗完成工程にて行うようにしているが、メイン加工工程よりも前に行うようにしてもよい。また、この面取り加工を行わなくともよい。この場合、仕上げ加工工程におけるリーマ加工時の層間剥離を防止しようとすれば、上記下孔35のリーマ出口側の端部に面取り面部16が位置するように、両積層板2をNC加工機にセットすればよい。
また、上記実施形態では、積層板2に孔1を貫通させる際に、回転工具である孔あけ用ドリル8を使用するようにしているが、これに限ったものではなく、例えばプレス金型による打ち抜き加工用のパンチを使用するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、上記各工程を、NC加工機によって実行するようしているが、これに限ったものではなく、例えば、ボール盤等により実行するようにしてもよい。この場合、ドリル8,9やリーマ10の位置決めは作業者が手動で行えばよい。
本発明は、繊維強化樹脂複合材積層板に対してその厚さ方向に孔あけ工具を貫通させることで貫通孔を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法、及び、該穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板と組付け部材との組付け方法に有用であり、特に、高い強度が要求される航空機部品に使用される繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法及び組付け方法に有用である。
H 最大内径寸法
h 最小内径寸法
d 貫通孔の孔径寸法
1 貫通孔
2 繊維強化樹脂複合材積層板
3 締結軸部材
5 ワッシャ(組付け用部材)
6 ワッシャ(組付け用部材)
8 孔あけ用ドリル(孔あけ工具)
15 テーパ穴部
16 面取り面部
18 延長面
31 隙間
33 隙間
41 充填部材(空間充填部材)
43 充填部材(空間充填部材)

Claims (5)

  1. 繊維強化樹脂複合材積層板に対してその厚さ方向に孔あけ工具を貫通させることで貫通孔を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法であって、
    上記繊維強化樹脂複合材積層板の厚さ方向の一側の面における上記貫通孔の形成予定箇所に予め、該一側から他側に向かって縮径する円錐状のテーパ穴部を、上記形成予定の貫通孔に対して略同軸に且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が該貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるように形成しておく前加工工程と、
    上記前加工工程後に、上記繊維強化樹脂複合材積層板における上記貫通孔の形成予定箇所に上記他側から上記一側に向かって上記孔あけ工具を貫通させることで、上記貫通孔を形成するメイン加工工程と、を備えていることを特徴とする繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法。
  2. 繊維強化樹脂複合材積層板に対してその厚さ方向に孔あけ工具を貫通させることで貫通孔を形成する、繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法であって、
    上記繊維強化樹脂複合材積層板の厚さ方向の一側の面における上記貫通孔の形成予定箇所に予め、該一側から他側に向かって縮径する円錐台状のテーパ穴部を、上記形成予定の貫通孔に対して略同軸に、且つ該テーパ穴部の最大内径寸法が上記貫通孔の孔径寸法よりも大きくなるとともに最小内径寸法が上記貫通孔の孔径寸法よりも小さくなるように形成しておく前加工工程と、
    上記前加工工程後に、上記繊維強化樹脂複合材積層板の厚さ方向の上記他側から上記一側に向かって上記孔あけ工具を貫通させることで、上記貫通孔を形成するメイン加工工程と、を備えていることを特徴とする繊維強化樹脂複合材積層板の穿孔方法。
  3. 請求項1又は2記載の穿孔方法を使用して形成された貫通孔を有する繊維強化樹脂複合材積層板の上記一側の面に、締結部材が挿通される挿通孔を有する組付け用部材を該締結軸部材を介して組み付ける組付け方法であって、
    上記繊維強化樹脂複合材積層板における上記テーパ穴部の内壁面のうち上記貫通孔の形成後に残った面取り面部と、該貫通孔の内壁面の延長面とに挟まれる空間に環状の空間充填部材をセットする充填部材セット工程と、
    上記繊維強化樹脂複合材積層板の上記一側の面に上記組付け用部材を当接させてセットする組付け用部材セット工程と、
    上記貫通孔及び上記組付け用部材の挿通孔に上記締結軸部材を挿通して、該締結軸部材により上記組付け用部材を上記繊維強化樹脂複合材積層板の上記一側の面に組付け固定する固定工程とを含み、
    上記空間充填部材は、上記固定工程終了後の状態において、上記締結軸部材の外周面と上記組付け用部材と上記面取り面部とで囲まれる隙間空間を埋めるように形成されたものであることを特徴とする組付け方法。
  4. 請求項3記載の組付け方法において、
    上記空間充填部材は、上記繊維強化樹脂複合材の母材と同じ樹脂材料、又は、該母材に対して接着性を有する該母材とは異なる樹脂材料からなり、
    上記充填部材セット工程は、上記環状の空間充填部材を、上記面取り面部と、上記貫通孔の内壁面の延長面とに挟まれる空間にセットして接着材でもって該面取り面部に接着固定する工程であることを特徴とする組付け方法。
  5. 請求項3記載の組付け方法において、
    上記環状の空間充填部材は、上記固定工程終了後の状態において、上記組付け用部材より作用する押圧力によって変形して、上記隙間空間を構成する空間壁面の全面に密着することで該隙間空間を埋めるように構成されていることを特徴とする組付け方法。
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