JP2010230441A - Memsセンサー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 静電容量を含むMEMSセンサーにおいて、可動電極部の面積、可動電極部のダンピング係数、可動錘部の質量、バネ特性の設計に関して、MEMSセンサーの設計の自由度を向上させること。
【解決手段】 基板上に形成される多層の積層構造体を加工して製造されるMEMSセンサーにおいて、可動錘部120は、積層構造体からなる第1可動錘部120Aの下方に位置し、基板の材料にて形成される第2可動錘部120Bを含み、可動電極部140は、積層構造体からなる第1可動電極部140Aの下方に位置し、基板の材料にて形成される第2可動電極部140Bを含み、弾性変形部130は、積層構造体からなる第1弾性変形部130Aの下方に位置し、基板の材料にて形成される第2弾性変形部130Bを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、MEMSセンサー(Micro Electro Mechanical Sensor:マイクロエレクトロメカニカルセンサー)及びその製造方法等に関する。
この種のMEMSセンサーは、例えばCMOS集積回路一体型シリコンMEMS加速度センサーとして、小型・低コスト化が急激に進んでいる。MEMSセンサーの応用アプリケーションと市場は拡大している。主流となっているデバイス形態は、物理量を電気信号に変換・出力処理するICチップを、ウエハプロセス以降の実装プロセスで1パッケージ化しているものがほとんどである。究極の小型化・低コスト化には、ウエハプロセスでセンサーチップとICチップを一体形成する技術が必要とされている(特許文献1参照)。
また、可動電極部と固定電極部によって構成されるコンデンサーの容量値の変化によって、加速度や圧力等の物理量を検出する容量型のMEMSセンサー(容量型MEMS物理量センサー)においては、可動電極部は、可動錘部に一体化されており、可動錘部の変位に伴って可動電極部も変位し、可動電極部と固定電極部との間のギャップあるいは対向面積が変化し、これに伴って電荷の移動が生じる。この電荷の移動を、例えば、チャージアンプを含むC/V変換回路によって電気信号(電圧信号)に変換することによって、物理量が検出される。可動錘部に可動電極部が一体化された一般的なMEMSセンサーでは、可動電極部と可動錘部の高さは同一である(特許文献2の図4、図5参照)
特開2006−263902号公報 特開2005−140972号公報
容量型MEMS加速度センサーの検出感度の向上のためには、可動錘部の質量(M)を増大させることが有効である。半導体装置のプロセス技術を使用して容量型MEMS加速度センサーを形成する場合、可動錘部、可動電極部および固定電極部を含む構造体は、複数層の膜(絶縁膜や導電性材料膜等)を積層して構成される積層構造体からなる。よって、可動錘部の質量(M)を増大させようとすると、必然的に積層構造体の高さ(h)が増大し、したがって、可動電極部の高さ(h)も同様に増大する。
一方、可動電極部の高さ(h)が増すと、可動電極部の面積が増え、これに伴って、ダンピング係数(D)が増大する。ダンピングの主な要因としてスクイーズ・フィルム・ダンピング(squeeze film damping)があり(以降、単にダンピングと呼ぶ)、このダンピングとは、可動電極部が振動する際に、可動電極部と固定電極部とに挟まれた空間にある気体が、例えば上下に動き、その際に、気体の粘性によって生じる、可動電極の動きを止めようとする働きのことである。具体的には、ダンピング係数(D)は、可動電極部の高さ(h)の3乗で大きくなる。
このダンピング係数(D)は、構造体の機械的な固有の特性である(共振の)Q値に関係し、また、MEMSセンサーのS/Nの低下の原因となるブラウンノイズに関係する。つまり、各電極部間の気体のブラウン運動によって可動構造体に力が働き、これが例えば加速度等価ブラウンノイズとなる。
上述のとおり、ダンピング係数(D)は、可動電極部の高さ(h)の3乗で大きくなるため、可動錘部の質量(M)を増大させるために積層構造体の高さ(h)を増やすと、同時に、可動電極部の高さ(h)も増え、この結果として、例えば、Q値が極端に低下して所望の共振特性が得られなくなり、また、ブラウンノイズの増大によるS/Nの低下を招くというという問題が生じる。
つまり、MEMSセンサーでは、例えば、積層構造体の高さ(h)を高くして、可動錘部の質量(M)を増大させることによって得られる正の効果と、可動電極部におけるダンピング係数(D)が大きくなってQ値が低下し、かつブラウンノイズが増えるという負の効果とは、同時に生じる。つまり、MEMSセンサーの設計の自由度が少なく、可動構造体(可動錘部および可動電極部を含む)の平面的なサイズ、共振周波数、Q値の各々を所望の設計値に固定したとすると、あとは、調整可能ないくつかの寸法パラメータ(具体的には、例えば、可動電極部の高さ、可動電極部の横幅、可動電極部と固定電極部との間の距離(ギャップ)等)を妥協的に調整することしか、構造体設計上の対応策がないのが実情である。
また、MEMSセンサーでは、弾性変形部(バネ部)のバネ特性を適正な範囲に調整することも必要となる。バネ特性は、機械的なバネ特性の他、コンデンサーのクーロン力による電気的なバネ特性も考慮して設計する必要がある。
本発明のいくつかの態様によれば、可動電極部の面積、可動電極部のダンピング係数、可動錘部の質量、バネ特性の設計に関して、MEMSセンサーの設計の自由度を向上させることができる。
(1)本発明のMEMSセンサーの一態様は、基板上に形成される多層の積層構造体を加工して製造されるMEMSセンサーであって、前記基板に形成された固定枠部と、弾性変形部を介して前記固定枠部に連結され、周囲に空洞部が形成された可動錘部と、前記固定枠部より前記空洞部に向けて突出形成された固定電極部と、前記可動錘部と一体的に移動し、前記固定電極部と対向する可動電極部と、を有し、前記可動錘部は、前記多層の積層構造体により形成される第1可動錘部と、前記第1可動錘部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動錘部と、を含み、前記可動電極部は、前記多層の積層構造体により形成される第1可動電極部と、前記第1可動電極部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動電極部と、を含み、前記弾性変形部は、前記多層の積層構造体により形成される第1弾性変形部と、前記第1弾性変形部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2弾性変形部と、を含む。
本態様では、可動錘部が、積層構造体からなる第1可動錘部と基板材料からなる第2可動錘部とにより構成され、可動電極部が、積層構造体からなる第1可動電極部と基板材料からなる第2可動電極部とにより構成され、かつ、弾性変形部(バネ部)が、積層構造体からなる第1弾性変形部と基板材料からなる第2弾性変形部とにより構成される。第2可動錘部、第2可動電極部および第2弾性変形部の各々は、例えば、積層構造体を形成するためのベース(土台)となるシリコン等の基板を加工して構成される。MEMSセンサーの各部において基板材料からなる部材が追加されることによって、本態様においては、容量電極部(導電体)の高さとは切り離して、可動錘部の全体の高さを調整して質量(重み)を効率的に増大させることができ、また、可動電極部の全体の高さを調整することによってダンピング係数を調整することができ、また、弾性変形部の特性の調整(例えば、機械的なバネ定数の調整や、バネの不要な方向への変位の抑制等)を実現することも可能となり、設計の自由度が向上する。
可動錘部においては、基板材料からなる第2可動錘部を設けることによって、可動錘部の全体の高さを高くすることができ、可動錘部の質量を効果的に増大させることができる。
また、コンデンサーの全容量(C0)は、加わった加速度を静電容量の変化に変換する際の効率(加速度/容量の変換係数)に関係する。したがって、容量電極部(可動電極部および固定電極部)においては、コンデンサーの全容量を考慮して最適な電極(導電体部分)の高さを決定しつつ、一方、第2可動電極部(基板材料からなる部分)の高さ(厚み)を調整して可動電極部の全体の高さを高くして、可動電極部のダンピング係数を適正な値に調整するというような設計が可能となる。例えば、ダンピング係数が小さすぎると、可動電極部に生じた振動が長い時間にわたって継続し、例えば、MEMSセンサーの落下等によって共振周波数付近の振動が生じたときに、可動電極部の破壊が生じやすくなる場合もある。その一方、可動電極部のダンピング係数が大きすぎると、共振振動体のQ値が極端に低下して所望の値を実現できないという問題が生じ、あるいは、MEMSセンサーの感度に関して、ブラウンノイズが増大してS/Nが低下するという問題も生じる。よって、可動電極部のダンピング係数は適正な範囲に設定する必要がある。本態様では、容量電極部(可動電極部)のダンピング係数を適正な範囲に調整することを容易化する効果も得ることができる。
また、弾性変形部(バネ部)においては、基板材料からなる第2弾性変形部が設けられることによってねじれ等の不要な変形が抑制される。また、機械的バネ定数が増大することによって、電気的バネ定数(クーロン力に起因するバネ定数)は相対的に小さくなって無視できるようになるため、弾性変形部(バネ部)の設計が容易化されるという効果を得ることもできる。
よって、従来、電極の横幅を極端に長くせざるを得ないというような不都合な事態が生じるような場合でも、基板材料からなる第2可動錘部、第2可動電極部、第2弾性変形部の少なくとも一つの高さを現実的な範囲で調整することによって、所望のサイズで所望の感度をもつMEMSセンサーを設計できるようになる。よって、設計の自由度が向上する。したがって、小型で高性能であり、かつICプロセスを用いて製造可能なMEMSセンサーを効率的に設計することが可能となる。
(2)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部の各々の高さは同じである。
本態様では、各部毎に、基板材料からなる部分の高さ調整をする必要がなく、基板の加工が容易であるという利点がある。
(3)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部の各々の高さが異なる。
本態様では、各部毎に、基板材料からなる部分の高さを異ならせることによって、各部を最適に設計することができるという効果がある。
(4)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部のいずれか二つの高さが第1の高さであり、残りの一つの高さが、前記第1の高さとは異なる第2の高さである。
本態様では、3つの部分のうちの2つの部分における基板材料からなる部分の高さが同じ(第1の高さ)であり、残りの一つの部分における基板材料からなる部分の高さは第1の高さとは異なる第2の高さに設定される。上記(3)の態様に比べて、基板の高さ調整のための加工が少なくてすむという利点がある。
(5)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記可動電極部を形成する前記積層構造体は、層が異なる複数の導電層と、少なくとも一層の層間絶縁層と、前記少なくとも一層の層間絶縁層における、一層以上の層間絶縁層の各々に貫通形成された所定の埋め込み溝パターンに充填されるプラグと、を含む。
これにより、導電材料および絶縁材料を含む多層の、密構造をもつ積層構造体が形成される。よって、可動錘部の質量(M)を効果的に増大させることができる。また、積層構造体中に電極部を確保することもできる。さらに、この積層構造体は、半導体装置の製造プロセス(例えば、CMOSプロセスやバイポーラCMOS混在ICプロセス等)にて形成できるので、同一基板上にてMEMSセンサーを集積回路部と共存させることが容易である。
(6)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記各層に形成されたプラグは、前記可動電極部が突出形成される長手方向に沿って壁状に形成された壁部を含むことができる。
電気的導通をとるための一般的なプラグは、例えば円形のスルーホールに埋め込まれるが、本態様では、可動電極部の突出方向(長手方向)に沿って延在するスルーホールパターンにプラグ材料が埋め込まれ、これによって、壁状のプラグ(壁部)が形成される。したがって、所望の対向面積をもつコンデンサーの可動電極部を、積層されたプラグで実現することができる。
また、プラグ材料(導電性の材料であり、一般にはタングステン等の金属である)は、絶縁層の材料に比べて比重が重い。したがって、可動錘部において、壁状のプラグ構造を形成することによって、プラグ材料の総量を増やすことができ、したがって、可動錘部の質量(M)を、容易に増大させることができる。また、壁状のプラグ構造を形成することによって、プラグの壁部を、所定の対向面積をもつコンデンサーの電極面として機能させることもできる。なお、電気的に孤立した壁状の電極部(質量を調整する働きのみをもつ)を、上記の長手方向とは異なる方向(例えば、長手方向と垂直の方向にも延在させることによって、可動錘部の質量をさらに効率的に増加させることができ、質量の調整も容易となる。
(7)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記可動電極部に形成される前記壁部は、電気的に独立している第1の壁部と第2の壁部とを有する。
この構造を使用すると、電気的に独立している2つのコンデンサー(C1,C2)を無理なく、かつ省スペースで構成することができる。例えば、一つの可動電極部の一方の側面側に設けられる第1の壁部を第1の固定電極部と対向させ、上記の一つの可動電極部の他方の側面側に設けられる第2の壁部を、第2の固定電極部と対向させることによって、上記の2つのコンデンサー(C1,C2)をコンパクトに形成することができる。
(8)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記基板の裏面には、凹所が形成されている。
本態様では、積層構造体を形成する前に、基板の裏面に凹所を形成しておく。その凹所の深さを調整すると、可動錘部に残存される第2可動錘部の厚さを調整でき、結果として可動錘部の質量を調整できる。また、凹所を形成しておくことで、基板には段差ができので、可動錘部の下方に空間を確保でき、可動錘部が設置面に接触することを防止することもできる。
(9)本発明のMEMSセンサーの他の態様では、前記基板上に形成される前記積層構造体と隣接して、前記基板に形成される集積回路部をさらに有し、前記積層構造体の前記複数の導電層、前記少なくとも1層の層間絶縁層及び前記1層以上の層間絶縁層の各々に貫通形成される各層のプラグは、前記集積回路部の製造プロセスを用いて製造される。
上述した通り、可動錘部の積層構造体はCMOSプロセス等に適合しているので、MEMSセンサーを集積回路部と共に同一基板上に搭載できる。こうすると、それぞれを別プロセスで製造し組み立てた場合に比べ製造コストの削減ができる。さらには、CMOS集積回路部とMEMS構造体をモノリシックに構成することで、配線距離を短くすることが可能になる。このため、配線の引き回しに起因する損失成分の低減や外来ノイズ耐性向上が期待できる。
(10)本発明のMEMSセンサーの製造方法の一態様は、基板上に、多層の積層構造体を形成する工程と、前記積層構造体を異方性エッチングによってパターニングして、前記基板の表面が露出する開口部となる第1空洞部を形成し、前記第1空洞部によって、固定枠部と、弾性変形部と、前記弾性変形部を介して前記固定枠部に連結された可動錘部と、前記可動錘部より前記第1空洞部に向けて突出する可動電極部と、前記固定枠部より前記第1空洞部に向けて突出して前記可動電極部と対向する固定電極部を区画形成する工程と、前記基板を選択的に加工して、前記第1空洞部に連通する第2空洞部を形成する工程と、を含む。
本態様の製造方法によれば、積層構造体の異方性エッチング(積層構造体のパターニング)と、基板の異方性エッチング(基板のパターニング)とを組み合わせることで、弾性変形部を介して固定枠部に連結され、周囲に空洞部が形成された可動錘部を有するMEMSセンサーを、半導体製造技術を用いて効率的に製造することができる。積層構造体の異方性エッチングの方法としては、例えば、CF,CHF等の混合ガスを用いてドライエッチングを行う方法がある。また、基板の異方性エッチング(基板のパターニング)を行う方法としては、例えば、側壁保護膜を形成しながらエッチングを行う方法を用いることができる。以上の加工例は一例であり、この方法に限定されるものではない。例えば、基板の加工には、アルカリエッチング等のウエットエッチングを用いることもでき、機械的な掘削を用いることもでき、あるいは、基板の貼り合わせ技術を利用した凹部の形成技術等を利用することもできる。
(11)本発明のMEMSセンサーの製造方法の他の態様では、前記基板を選択的に加工して第2空洞部を形成するに際して、前記第1空洞部を介して異方性エッチング用のエッチャントを導入して前記基板に貫通孔を形成し、前記貫通孔を前記第2空洞部とする。
本態様では、積層構造体を形成した後、積層構造体を選択的にパターニングして第1空洞部を形成し、この第1空洞部から異方性エッチング用のエッチャントを導入して基板を異方性エッチングして第1空洞部に連通する貫通孔を形成し、この貫通孔を第2空洞部とすることができる。
(12)本発明のMEMSセンサーの製造方法の他の態様では、前記基板を選択的に加工して第2空洞部を形成する工程は、前記基板の裏面側から異方性エッチングを行う工程を含む。
本態様では、例えば、基板の裏面から選択的なエッチング(例えば、KOH等を用いたアルカリエッチングによるウエットの異方性エッチングや、異方性エッチングガスによるドライの異方性エッチング、双方の併用も可能)を施して基板の一部を除去し、基板に第2空洞部を形成する方法を採用することができる。
(13)本発明のMEMSセンサーの製造方法の他の態様では、前記基板の裏面に、凹所を形成する工程をさらに有し、前記第2空洞部が前記凹所と連通される。
こうすると、基板の厚さが厚くても、凹所の深さによって、例えば、第2可動錘部の高さを調整して所望の質量とすることが容易となり、他の部分における基板の高さ(厚み)の調整も容易となる。
(14)本発明のMEMSセンサーの製造方法の他の態様では、前記可動錘部は、前記多層の積層構造体により形成される第1可動錘部と、前記第1可動錘部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動錘部と、を含み、前記可動電極部は、前記多層の積層構造体により形成される第1可動電極部と、前記第1可動電極部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動電極部と、を含み、前記弾性変形部は、前記多層の積層構造体により形成される第1弾性変形部と、前記第1弾性変形部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2弾性変形部と、を含み、前記基板の裏面側から選択的なエッチングを行って、前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部の少なくとも一つの高さを調整する工程を、さらに含む。
本態様では、各部の基板材料からなる部分の高さ調整をおこなうためのエッチング工程(例えば、アルカリエッチングを用いたウエットによる基板裏面からの異方性エッチングや、基板裏面からの異方性エッチングガスを用いたドライエッチング)をさらに含む。本態様でも、半導体製造方法で使用される方法を採用することができ、また、基板の裏面エッチングは、基板の表面側に形成されたCMOS回路等には影響しないため、CMOS回路等を含むMEMSセンサーモジュールを、共通のプロセスで製造することができる。
本発明のMEMSセンサーの一例(シリコン基板の一部からなる第2可動錘部、第2可動電極部および第2弾性変形部を有する容量型MEMS加速度センサー)の平面形状および断面構造を示す図である。 図2(A)〜図2(C)は、第2可動錘部、第2可動電極部および第2弾性変形部の高さの調整例(高さが異なる例)を示す図 本実施形態の加速度センサーモジュールのブロック図 図4(A)〜図4(C)は、C/V変換回路の構成と動作について説明するための図 本発明のMEMSセンサーを適用した実施形態に係る加速度センサーが搭載された加速度センサーモジュールの概略図 容量型MEMS加速度センサーの平面形状を示す図 図6に示される容量型MEMS加速度センサーのA−A線に沿う断面図 図6に示される容量型MEMS加速度センサーのB−B線に沿う断面図 集積回路部の断面構造を示す図 図10(A)および図10(B)は、加速度センサーモジュールの製造方法の第1製造工程を示す図 図11(A)および図11(B)は、加速度センサーモジュールの製造方法の第2製造工程を示す図 図12は、加速度センサーモジュールの製造方法の第3製造工程を示す図 導電層とプラグの断面図 図14(A)および図14(B)は、第2弾性変形部の効果の一例を説明するための図 図15(A)〜図15(C)は、可動電極部において、2つの壁状電極部の各々に、独立した電位を与えるための構造例を示す図 ダンピング係数やブラウンノイズ等に関係する可動電極部と固定電極部の寸法を説明するための図 図17(A)〜図17(D)は、MEMSセンサーの製造方法の他の例を示す図
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
本実施形態では、静電容量型MEMS加速度センサーの一例の構造等について説明する。
(MEMS加速度センサーの平面形状と断面構造、ならびに特徴点の一例)
図1は、本発明のMEMSセンサーの一例(シリコン基板の一部からなる第2可動錘部、第2可動電極部および第2弾性変形部を有する容量型MEMS加速度センサー)の平面形状および断面構造を示す図である。
図1の上側の示されるように、容量型MEMS加速度センサーは、半導体製造プロセスを用いて形成される積層構造体(複数層の絶縁層と、所定方向に延在する壁部をもつプラグPLGとを有する)を含む可動錘部120と、弾性変形部(バネ部)130と、シリコン基板からなる固定枠部110と、導電性材料からなる所定面積の壁部をもつ可動電極部140と、導電性材料からなる所定面積の壁部をもつ固定電極部150と、を有する。可動電極部140と固定電極部150は対向して配置され、各電極部によってコンデンサー(平行平板型の静電容量)が構成される。可動電極部140は、可動錘部120と一体的に構成されており、可動電極部120が加速度による力を受けて振動すると、同様に振動する。これによって、コンデンサーのギャップ(d)が変化し、コンデンサーの容量値が変化し、これに伴って電荷の移動が生じる。この電荷の移動による微小な電流をチャージアンプによって増幅することによって、可動錘部120に加わった加速度の値を検出することができる。
図1の下側には、図1の上側に示される容量型MEMS加速度センサーの、各領域に対応した断面構造が示されている。この断面構造において、説明の便宜上、積層構造体により構成される部分には「第1」という序数を付加し、基板で構成される部分には、「第2」という序数を付加する(他の図面に関しても同様である)。
図中、Z1は可動錘部領域であり、Z2aは可動容量電極部領域であり、Z2bは固定容量電極部領域であり、Z3は弾性変形部領域であり、Z4は固定枠部領域である。シリコン基板BS上に積層構造体が形成されている。積層構造体(図1の下側において、太線で囲んで示されている)は、層が異なる複数の絶縁層INS1〜INS4と、第1層目メタルM1と、第2層目メタルM2と、第3層目メタルM3と、1層目ポリシリコンPoly1と、を含む。積層構造体を、例えば異方性エッチングによってパターニングして第1空洞部ET1を形成することによって、弾性変形部130を介して固定枠部110に連結され、第1空洞部ET1が形成された可動錘部120と、固定枠部110より第1空洞部ET1に向けて突出形成された固定電極部150および可動錘部120と一体的に移動し、固定電極部150と対向する可動電極部140と、が形成される。
可動錘部領域Z1においては、積層構造体の下側には、同じ高さ(h2)のシリコン基板の一部からなる部材が存在する。すなわち、第2可動錘部120B(質量調整部)と、第2可動電極部140B(ダンピング係数調整部)と、第2固定電極部150Bと、第2弾性変形部(バネ特性調整部)130Bと、が存在する。また、図1の場合、シリコン基板BSの裏面には、エッチングによって凹所102が形成されている。この凹所102によって、例えば、シリコン基板BSの厚みを予め調整することができる。また、壁部をもつプラグPLGと多層の絶縁層が密に積層されて構成される積層構造体によって、第1可動錘部120Aが構成される。
また、可動電極部140においては、第1可動電極部140Aにおいて、壁状の導電構造が形成されることによって、所定の対向面積をもつ可動電極(導電材料からなる導電性の壁部あるいは壁状のプラグ)が形成される。固定電極部150においても、第1固定電極部140Bにおいて、壁状の導電構造が形成することによって、所定の対向面積をもつ固定電極(導電体)が形成される。これによって、所定の対向面積をもつ(つまり、所望の容量値をもつ)コンデンサーが形成される。コンデンサーの容量は、積層構造体の高さh1と、コンデンサーの横幅とによって決まる。通常、電気的導通をとるための一般的なプラグは、例えば円形のスルーホールに埋め込まれるが、本実施形態では、長手方向に沿って延在するスルーホールパターンにプラグ材料が埋め込まれ、これによって、壁状のプラグが形成される。
一方、第2可動電極部140B(ダンピング係数調整部:高さh2)が設けられることから、可動電極部140の全体の高さ(h1+h2)を調整することができ、よって、可動電極部のダンピング係数を適切な範囲に調整することが容易化される。
また、弾性変形部(バネ部)130においては、第2弾性変形部(バネ部)130Bによって、ねじれのような不要な動きを規制することができ、また、機械的バネ定数を、電気的バネ定数に比べて十分に大きくして所望のバネ特性を実現することができる。
また、本実施形態では、積層構造体は、層が異なる複数の導電層と、少なくとも一層の層間絶縁層(INS2〜INS4)と、少なくとも一層の層間絶縁層(INS2〜INS3)における、一層以上の層間絶縁層の各々に貫通形成された所定の埋め込み溝パターンに充填されるプラグ(PLG)と、を含む。これにより、導電材料および絶縁材料を含む多層の、密構造をもつ積層構造体が形成される。よって、可動錘部120の質量(M)を効果的に増大させることができる。また、上述のとおり、積層構造体中に、所定の対向面積をもつ、コンデンサーの電極部を確保することもできる。さらに、この積層構造体は、半導体装置の製造プロセス(例えば、CMOSプロセスやバイポーラCMOS混在ICプロセス等)にて形成できるので、同一基板上にてMEMSセンサーを集積回路部と共存させることが容易である。
また、上述のとおり、基板BSの裏面には、予め凹所102を設けて、基板の厚みを調整することができる。この場合、凹所の深さを調整することによって、基板部分の厚みを予め調整することができる。また、凹所102を形成しておくことで、基板には段差ができるので、可動錘部の下方に空間を確保でき、可動錘部が設置面に接触することを防止することもできる。
なお、図1の上側に示されるように、可動錘部領域Z1における積層構造体において、
長手方向に直交する方向(縦方向)にもプラグを延在させて、プラグを十字状に配置することによって、可動錘部120の質量(M)を、さらに、効果的に増大させることができる。壁状のプラグ材料(導電性の材料であり、一般にはタングステン等の金属である)は、絶縁層INS1〜INS4の材料に比べて比重が重いため、壁状のプラグ構造を形成することによって、プラグ材料の総量を増やすことができ、したがって、可動錘部120の質量(M)を、容易に増大させることができる(但し、これに限定されるものではない。可動錘部における積層構造体は、多層の絶縁層のみで構成することも可能である)。
(第2可動錘部、第2可動電極部および第2弾性変形部の高さの調整例)
図1では、第2可動錘部120B、第2可動電極部140Bおよび第2弾性変形部130Bの高さは、どれもh2で同じである。この例では、各部毎に、基板材料からなる部分の高さ調整をする必要がなく、基板の加工が容易であるという利点がある。
図2(A)〜図2(C)は、第2可動錘部、第2可動電極部および第2弾性変形部の高さの調整例(高さが異なる例)を示す図である。
図2(A)では、第2可動錘部120Bの高さはh2であり、第2可動電極部140Bの高さはh4であり、第2弾性変形部130Bの高さはh3であり、各部の高さは異なる。この例では、各部毎に、基板材料からなる部分の高さを異ならせることによって、各部を最適に設計することができるという効果が得られる。
図2(B),図2(C)の例では、第2可動錘部120B、第2可動電極部140Bおよび第2弾性変形部130Bのいずれか二つの高さが第1の高さであり、残りの一つの高さが、前記第1の高さとは異なる第2の高さである。図2(B)の場合、第2可動錘部120Bおよび第2可動電極部140Bの高さがh2(第1の高さ)であり、第2弾性変形部130Bの高さがh3(第2の高さ)である。図2(C)の場合、第2可動錘部120Bおよび第2弾性変形部130Bの高さがh2(第1の高さ)であり、第2可動電極部140Bの高さがh4(第2の高さ)である。これらの例では、図2(A)の例に比べて、基板の高さ調整のための加工が少なくてすむという利点がある。
(加速度センサーモジュールとC/V変換回路の構成例)
図3は、本実施形態の加速度センサーモジュール10のブロック図である。加速度センサー100は、少なくとも2対の可動・固定電極ペアを有する。図3では、可動電極部140Q1、可動電極部140Q2、固定電極部150Q1及び固定電極部150Q2を有する。可動電極部140Q1と第1固定電極部150Q1によってコンデンサーC1が構成される。可動電極部140Q2と固定電極部150Q2によってコンデンサーC2が構成される。コンデンサーC1,C2の各々における一極(例えば、固定電極部)の電位は、基準電位(例えば接地電位)に固定されている。なお、可動電極部の電位を接地電位に固定してもよい。
例えばCMOSプロセスによって形成される集積回路部20は、例えば、C/V変換回路24と、アナログ校正およびA/D変換回路ユニット26と、中央演算ユニット(CPU)28及びインターフェース(I/F)回路30と、を含んでいる。但し、この構成は一例であり、この構成に限定されるものではない。例えば、CPU28は制御ロジックに置き換えることができ、また、A/D変換回路は、C/V変換回路24の出力段に設けることも可能である。なお、アナログ-デジタル変換回路、中央演算ユニット、は場合によっては集積回路部20とは異なる集積回路を用いても良い。
可動錘部120が止まっている状態から可動錘部120に加速度が作用すると、可動錘部120には加速度による力が作用して、可動・固定電極ペアの各ギャップが変化する。図3の矢印方向に可動錘部120が移動したとすると、第1可動電極部140Aと第1固定電極部150Aとの間のギャップが大きくなり、第2可動電極部140Bと固定電極部150Bとの間のギャップが小さくなる。ギャップと静電容量とは反比例の関係にあるので、可動電極部140Q1と固定電極部150Q1とで形成されるコンデンサーC1の静電容量値C1は小さくなり、可動電極部140Q2と固定電極部150Q2とで形成されるコンデンサーC2の静電容量値C2は大きくなる。
コンデンサーC1,C2の容量値の変化に伴って電荷の移動が生じる。C/V変換回路24は、例えばスイッチトキャパシタを用いたチャージアンプを有しており、チャージアンプは、サンプリング動作および積分(増幅)動作によって、電荷の移動によって生じる微小な電流信号を電圧信号に変換する。C/V変換回路24から出力される電圧信号(すなわち、物理量サンサによって検出された物理量信号)は、アナログ校正およびA/D変換回路ユニット26によって、キャリブレーション処理(例えば位相や信号振幅の調整等,さらにローパスフィルタ処理が行われてもよい)を受けた後、アナログ信号からデジタル信号に変換される。
ここで、図4(A)〜図4(C)を用いて、C/V変換回路24の構成と動作について説明する。図4(A)は、スイッチトキャパシタを用いたチャージアンプの基本構成を示す図であり、図4(B)は、図4(A)に示されるチャージアンプの各部の電圧波形を示す図である。
図4(A)に示すように、基本的なC/V変換回路は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2(可変容量C1(またはC2)と共に入力部のスイッチトキャパシタを構成する)と、オペアンプ(OPA)1と、帰還容量(積分容量)Ccと、帰還容量Ccをリセットするための第3スイッチSW3と、オペアンプ(OPA)1の出力電圧Vcをサンプリングするための第4スイッチSW4と、ホールディング容量Chと、を有する。
図4(B)に示すように、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3は同相の第1クロックでオン/オフが制御され、第2スイッチSW2は、第1クロックとは逆相の第2クロックでオン/オフが制御される。第4スイッチSW4は、第2スイッチSW2がオンしている期間の最後において短くオンする。第1スイッチSW1がオンすると、可変容量C1(C2)の両端には、所定の電圧Vdが印加されて、可変容量C1(C2)に電荷が蓄積される。このとき、帰還容量Ccは、第3スイッチがオン状態であることから、リセット状態(両端がショートされた状態)である。次に、第1スイッチSW1および第3スイッチSW3がオフし、第2スイッチSW2がオンすると、可変容量C1(C2)の両端は共に接地電位となるため、可変容量C1(C2)に蓄積されていた電荷が、オペアンプ(OPA)1に向けて移動する。このとき、電荷量が保存されるため、Vd・C1(C2)=Vc・Ccが成立し、よって、オペアンプ(OPA)1の出力電圧Vcは、(C1/Cc)・Vdとなる。すなわち、チャージアンプのゲインは、可変容量C1(あるいはC2)の容量値と帰還容量Ccの容量値との比によって決定される。次に、第4スイッチ(サンプリングスイッチ)SW4がオンすると、オペアンプ(OPA)1の出力電圧Vcが、ホールディング容量Chによって保持される。保持された電圧がVoであり、このVoがチャージアンプの出力電圧となる。
図3に示されるとおり、実際のC/V変換回路24は、2つのコンデンサーC1,C2の各々からの差動信号を受ける。この場合には、C/V変換回路24として、例えば、図3(C)に示されるような、差動構成のチャージアンプを使用することができる。図3(C)に示されるチャージアンプでは、入力段において、可変容量C1からの信号を増幅するための第1のスイッチトキャパシタアンプ(SW1a,SW2a,OPA1a,Cca,SW3a)と、可変容量C2からの信号を増幅するための第2のスイッチトキャパシタアンプ(SW1b,SW2b,OPA1b,Ccb,SW3b)と、が設けられる。そして、オペアンプ(OPA)1aおよび1bの各出力信号(差動信号)は、出力段に設けられた差動アンプ(OPA2,抵抗R1〜R4)に入力される。この結果、増幅された出力信号Voが、オペアンプ(OPA)2から出力される。差動アンプを用いることによりベースノイズを除去できるという効果が得られる。
なお、以上説明したC/V変換回路の構成例は一例であり、この構成に限定されるものではない。また、図3においては、説明の便宜上、2対の可動・固定電極ペアのみ図示しているが、この形態に限ったものではなく、必要とされる容量値に応じて電極ペアの数は増やすことができる。実際には、例えば、数十から数百の電極ペアが設けられる。また、上記の例では、コンデンサーC1,C2において、電極間のギャップが変化して各コンデンサーの容量が変化しているが、これに限定されるものではなく、一つの基準電極に対する2つの可動電極の各々の対向面積が変化し、2つのコンデンサーC1,C2の容量が変化する構成も採用することができる(この構成は、例えば、Z軸方向(基板に垂直な方向)に作用する加速度を検出する場合に有効である)。
また、図3の構成を採用する場合、可動電極部140Q1,140Q2の各々から、電気的に独立した信号を取り出す必要がある(つまり、2つの可動電極部140Q1,140Q2の各々の電位が独立している必要がある)。この構成は、例えば、図15(A)〜図15(C)にせ示される構造を採用することによって実現可能である。
図15(A)〜図15(C)は、可動電極部において、2つの壁状電極部の各々に、独立した電位を与えるための構造例を示す図である。図15(A)は、可動電極部140における壁状の電極構造(壁部の電極構造)を示している、図15(B)は、図15(A)に示される壁状の電極構造を、図15(A)の視点に直交する視点からみた場合の構造を示している。図15(B)に示すように、可動電極部140には、2つの壁状電極部DA,DBが構成されており、各々、電気的に独立している(つまり、相互に接続されていない)。したがって、例えば、図15(C)のように可動電極部140と固定電極部150を配置すれば、電気的に独立している2つのコンデンサーC1,C2を無理なく、かつ省スペースで構成することができる。なお、VAおよびVBは、2つのコンデンサーC1,C2の各々の電位を示している。
(第2の実施形態)
本実施形態では、容量型MEMS加速度センサーの構造について具体的に説明する。本実施形態では、ウエハプロセスでセンサーチップとICチップを一体形成する。図5は、本発明のMEMSセンサーを適用した実施形態に係る加速度センサー100が搭載された加速度センサーモジュール10の概略図である。図6は、容量型MEMS加速度センサーの平面形状を示す図、図7は、図6に示される容量型MEMS加速度センサーのA−A線に沿う断面図、図8は、図6に示される容量型MEMS加速度センサーのB−B線に沿う断面図である。この加速度センサーモジュール10には、図5に示すように、基板例えばシリコン基板101上に加速度センサー100と共に集積回路部20が搭載され、加速度センサー100は集積回路部20の製造プロセス工程を兼用して形成される。
シリコン基板101の裏面は、例えば図6の破線で示す領域に亘って、かつ、図6のA−A断面である図7に示すように深さDに亘って凹所102が形成されている。加速度センサー100は、シリコン基板101の凹所102と対向する領域に配置される。
図5に示すように、加速度センサー100は、シリコン基板101に形成された固定枠部110と、弾性変形部(バネ部)130を介して固定枠部110に連結され、周囲に空洞部111(第1空洞部)が形成された可動錘部120と、固定枠部110より空洞部111に向けて突出形成された固定電極部150と、可動錘部120と一体的に移動し、固定電極部150と対向する可動電極部140と、を有する。図5では、2つのコンデンサーC1,C2が形成されている。加速度が可動錘部120に作用すると、一方のコンデンサーの電極間のギャップは縮小されてコンデンサーの容量値が増大し、他方のコンデンサーの電極間のギャップは拡大されてコンデンサーの容量値が減少する。
また、図5では、固定電極部150は、基準電位(例えば接地電位)に接続される。また、可動電極部140の電圧VQ1およびVQ2は、引き出し配線L1,L2を経由して、集積回路部20に伝達される。集積回路部20には、チャージアンプを含むC/V変換回路が設けられている。なお、可動電極部140を基準電位に接続し、固定電極部150の電圧を、集積回路部20に伝達するようにすることもできる。なお、加速度が加わることによって、対向する電極の対向面積が変化するコンデンサーを用いることもできる。
図6に示すように、可動電極部140と固定電極部150の幅は共にWであり、その幅Wは例えば3μm程度であり、長さLは100μm程度であり、静止時の電極間ギャップGは1μm程度である。また、図5においては、弾性変形部130の幅もWに設定されている。)
固定枠部110の内側の空洞部111内で移動可能な可動錘部120は所定の質量を有し、例えば可動錘部120が止まっている状態から可動錘部120に加速度が作用すると、可動錘部120には加速度による力が作用して可動錘部120が移動する。
この可動錘部120は、図7に示すように、基板101の材料つまりシリコンにて形成される第2可動錘部120Bと、この第2可動錘部120B上に、集積回路部20の製造プロセスを兼用して形成される積層構造体である第1可動錘部120Aとを有する。なお、この積層構造体は、可動電極部140に形成されるだけでなく、固定電極部150、固定枠部110及び弾性変形部130にも同様に、集積回路部20の製造プロセスを兼用して形成されている。
この可動錘部120から空洞部111に向けて幅W(図6参照)で突出する例えば2つの可動電極部140や固定電極部150においても同様に、図7に示すように、基板材料で形成される部分(図1や図2に示される第2可動電極部140Bおよび第2固定電極部150B)が形成されている。図7において、参照符号111は、積層構造体を異方性エッチングして形成される第1空洞部であり(また、図6の参照符号113も第1空洞部である)、また、参照符号112は、基板101を異方性エッチング等によって選択的に加工して形成される第2空洞部であり、参照符号102は、基板101の裏面に予め形成された凹所である。凹所102の深さはDである。第1空洞部111と第2空洞部112は連通し、また第2空洞部112は凹所102に連通する。2空洞部112に連通する。
図6において、側方には空洞部111,112が、下方には凹所102が確保される領域にて可動錘部120を移動可能に支持するために、弾性変形部130が設けられている。この弾性変形部130は、固定枠部110と可動錘部120との間に介在して配置される。弾性変形部(バネ部)130は、図5の錘可動方向に可動錘部120が移動することを許容するように弾性変形可能である。弾性変形部130は、図5や図6に示すように、平面視にてほぼ一定の線幅(例えばW)となるようにループ状に形成されて固定枠部110と連結されている。この弾性変形部130は、第1空洞部111および113が周囲に形成されていることから、空中における弾性変形性が担保される。
弾性変形部130は、図6のB−B断面である図8に示すように、可動錘部120と同様にして、集積回路部20の形成プロセスを兼用して形成される積層構造体にて形成される部分(第1弾性変形部130A)と、基板材料で形成される部分(第2弾性変形部130B)と、により構成される。図8から明らかなように、第1空洞部111および113は、第2空洞部112および凹所102に連通している。
第1弾性変形部130Aは、図8に示すように、最上層の導電層121D以外は、全て絶縁層となっている。但し、この構成は一例である。弾性変形部130において、層の異なる導電層同士をプラグで接続する構造を採用することもできる。バネ定数(K)を所望の設計値に調整するためには、導電層やプラグの配置、数を変えることが有効である。また、可動電極部140の電圧を集積回路部20に伝達するための引き出し配線(図5のL1,L2)を、弾性変形部130において配設する必要がある。図8の例では、導電層121Dが、配線L1(L2)に相当する。但し、配線L1(L2)は、最上層の導電層である必要はなく、他の層の導電層を配線として使用することもできる。
図14は、シリコン材料で構成される第2弾性変形部130Bの効果を説明するための図である。弾性変形部130において、基板材料からなる第2弾性変形部130Bを設けることによって、例えば、弾性変形部(バネ部)の縦方向(基板に垂直な方向)の動きが規制される。図14(A)は、第2弾性変形部130Bが設けられない場合の弾性変形の一例を示している。図14(A)において、矢印の方向に、加速度による力が加わると、可動錘部120に、縦方向(水平面に垂直な方向)の変形が生じる場合があり、これによって、ねじれ等の不要な動きが生じる場合がある。
図14(B)は、第2弾性変形部130Bが設けられる場合の弾性変形の一例を示している。剛性の強いシリコン基板部材(第2弾性変形部130B)が裏面に形成されていることから、積層構造体からなる第1弾性変形部130Aの、不要な方向(例えば縦方向)の動きが規制される。よって、ねじれ等の不要な動きが生じる可能性が低減されるという効果が得られる。弾性変形部(バネ部)130における不要な変形が抑制されることによって、MEMSセンサーの検出感度がさらに向上する。
(集積回路部の構成)
上述のとおり、本実施形態は静電容量型加速度センサーであり、加速度の作用によって対向電極間ギャップが変化する可動電極部140及び固定電極部150を有する。可動電極部140は可動錘部120と一体化され、固定電極部150は固定枠部110に一体化されている。可動電極部140及び固定電極部150も、可動錘部120と同様にして、集積回路部20Aの形成プロセスを兼用して形成される。
図9は、集積回路部20の断面構造を示す図である。図8に示すCMOS集積回路部20は公知のプロセスにより製造される。基板例えばシリコン基板101に、シリコン基板101とは異極性のウェル40が形成され、ウェル40内にはソースS、ドレインD及びチャネルCが形成される。チャネルC上にはゲート酸化膜(図示省略)を介してゲート電極Gが形成される。なお、ゲートGと同層を導電層121Aとする。素子分離のためのフィールド領域と加速度センサー100の領域には、フィールド酸化膜として熱酸化膜42が形成されている。このようにして、トランジスタTがシリコン基板101上に形成され、このトランジスタTに配線することで、CMOS集積回路部20が完成される。
このために、本実施形態では、ゲートGと同層も含めた全4層の導電層121A〜121Dと、層間絶縁層122A〜122Cと、プラグ123A〜123Cにより、トランジスタTのソースS、ドレインD及びゲートGに配線することができる(ゲートGの配線は図示省略)。
(積層構造体の構造例)
図9に示されるように、CMOS集積回路部20Aの形成に必要な複数の導電層121A〜121Dと、複数の層間絶縁層122A〜122Cと、複数のプラグ123A〜123Cと、絶縁層124(熱酸化膜42を含む)及び保護層125を用いて、加速度センサー100の積層構造体を形成することができる。
まず、可動錘部120の積層構造体(第1可動錘部120A)は、図6のA−A断面図である図7に示すように、基本的には多層の絶縁層のみ(つまり、シリコン基板の表面に設けられた絶縁層(表面保護層)124と、層間絶縁層122A〜122Cと、保護層125)のみで構成することができる。ただし、可動電極部140は、集積回路部20に電気的に接続される必要があることから、導電材料層を用いた配線(立体的な断面をもつ配線でもよい)を、可動錘部120及び弾性変形部130を経由して固定枠部110側に至る経路に配設する必要がある。したがって、現実には、可動錘部120の少なくとも一部には導電層を配置する必要がある。また、可動錘部120の質量を増加させるために、電気的にフローティングとなる導電層及びプラグ(つまり、他の配線から独立した、可動錘部120の質量Mを重くするためだけに用いられる導電材料層)を配置(上述のとおり、例えば、十字状に配置)することもできる。
一方、可動電極部140及び固定電極部150には主体的に導電層及びプラグを配置して、電極としての機能を担保する必要がある。このため、可動電極部140及び固定電極部150には、図7及び図8に示すように、複数の導電層121A〜121Dと、複数の導電層121A〜121D間に配置された複数の層間絶縁層122A〜122Cと、複数の層間絶縁層122A〜122Cの各層に貫通形成された所定の埋め込み溝パターンに充填されプラグ123A〜123Cとが配置されている。
(第3の実施形態)
本実施形態では、容量型MEMS加速度センサーの製造方法の一例について説明する。以下、図5に示す加速度センサーモジュール10の製造方法の概略について、図10(A),図10(B)〜図12を参照して説明する。図10(B)に示されるように、まず、シリコン基板101単体の状態で、凹所102を、シリコン基板101の裏面に形成し、次に、シリコン基板101に積層構造体200を形成する。
なお、シリコン基板101の裏面に形成される凹所102は必ずしも必要ではない。シリコン基板101の厚さが当初から適切な厚みであれば、凹所102は不要である。ただし、シリコン基板101の厚さを加速度センサーの設計値に応じて調整することは現実には困難である場合が多いため、凹所102を設けるのが好ましい。また、凹所102が存在すると、図7に示すように、凹所102の深さDの分だけ段差のある脚部を形成することができる。よって、可動錘部120が設置面に接触することがない点で好ましい。
集積回路部20の製造プロセスを利用して加速度センサー100を製造するプロセス部分のうち、導電層121A〜121Cとプラグ123A〜123Cの形成プロセスについて簡単に説明する。第1の導電層121Aは図8に示すゲートGの形成工程と同時に実施される。本実施形態では、ポリシリコン層(Poly-Si)をCVD(Chemical Vapor Deposition)により100〜5000Å(オングストローム、以下同様とする)の膜厚で形成し、フォトリソグラフィ工程によりパターンエッチングして、第1の導電層121Aを形成している。第1導電層121Aは、ポリシリコンの他、シリサイド、高融点金属などにて形成できる。
第1のプラグ123Aの形成工程は、集積回路部20でのゲートコンタクト工程と同時に実施される。本実施形態では、例えばNSG、BPSG,SOG、TEOS等の材料をCVDにより10000〜20000Åの膜厚で形成することで、第1の層間絶縁層122Aを形成している。その後、第1の層間絶縁層122Aを、フォトリソグラフィ工程を用いてパターンエッチングして、第1のプラグ123Aが埋め込み形成される所定の埋め込み溝パターンを形成する。そして、この埋め込み溝パターンに、W、TiW、TiN等の材料をスパッタまたはCVD等により埋め込む。その後、エッチングバック等により第1の層間絶縁層122A上の導電層材料を除去することで、第1のプラグ123Aが完成する。
図13は、導電層とプラグの断面構造を示す図である。図13に示すように、第1のプラグ123Aは、幅L1(例えばL1=2μm)の第1の導電層121Aに対して、幅L2(例えばL2=0.5μm)の2つの第1のプラグ123Aが、間隔L3(例えばL3=0.5μm)を隔てて配置されている。
図13では第1のプラグ123Aの材質の一例も示されており、コンタクトプラグ123A1として例えば材料W、Cu、Alなどを、コンタクトプラグ123A1の周囲を覆うバリア層123A2として例えば材料TiまたはTiNを用いることができる。コンタクトプラグ123A1は、スパッタまたCVDで5000〜10000Åの膜厚で形成できる。バリア層123A2もスパッタまたCVDで100〜1000Åで形成できる。
第2の導電層121Bは集積回路部20の第1金属配線層の形成工程と同時に実施される。第2の導電層121Bは、バリア層121B1としてTi、TiN、TiW、TaN、WN、VN、ZrN、NbN等を、メタル層121B2としてAl、Cu、Al合金、Mo、Ti、Pt等を、反射防止層121B3としてTiN、Ti、非晶質Si等を用いた複数層構造とすることができる。なお、第3,4の導電層121C,121Dの形成材料についても、第2の導電層121Bと同様にすることができる。バリア層122B1はスパッタにより100〜1000Åの膜厚で、メタル層121B2はスパッタ、真空蒸着またはCVDで5000〜10000Åの膜厚で、反射防止層121B3はスパッタまたはCVDにより100〜1000Åの膜厚で形成できる。
また、PSiN、SiN、SiO等がCVDで5000〜20000Åの膜厚で膜付けされることで、保護層125が全面に形成される。
次に、図11(A),図11(B)の工程では、保護層125の表面からシリコン基板101の表面まで貫通する孔が形成される。こうして、第1空洞部111および113が形成される。このために、層間絶縁層122A〜122C、絶縁層124及び保護層125がエッチングされる。このエッチング工程は、開口径D(例えば1μm)に対するエッチング深さ(例えば4〜6μm)の比(H/D)が高アスペクト比となる絶縁膜異方性エッチングとなる。このエッチングにより、固定枠部110、可動錘部120及び弾性変形部130に分離することができる。この異方性エッチングには、好適には通常のCMOS配線層間の層間絶縁膜をエッチングする条件を用いて行われる。例えばCF,CHF等の混合ガスを用いてドライエッチングを行うことで加工は可能である。
図12は、シリコン基板の異方性エッチング工程を説明するための図である。図12においては、図11(A),図11(B)の工程において設けられた第1空洞部111および113を介してエッチャントをシリコン基板の表面に到達させ、シリコン基板の異方性エッチングを行う。エッチングの深さがシリコン基板101の裏面に到達すると、シリコン基板に貫通孔、すなわち第2空洞部112が形成される。
上述したシリコン基板101の異方性エッチング方法としては、例えば、側壁保護膜を形成しながらエッチングを行う方法を用いることができる。一例として、特表2003−505869のICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)を用いたエッチング方法を採用することができる。この方法では、パッシブ化ステップ(側壁保護膜形成)とエッチングステップとが繰り返し実施され、エッチングにより形成された孔の側壁に保護膜を形成し、保護膜により等方性エッチングを防止しながら深さ方向にのみ異方性エッチングするものである。パッシブ化ステップでのエッチング条件としては、5μ〜20μbarのプロセス圧と、300〜1000Wの平均入力結合プラズマ電力下にて、エッチングガスとしてCまたはC等を用いると良い。エッチングステップでのエッチング条件としては、30μ〜50μbarのプロセス圧と、1000〜5000Wの平均入力結合プラズマ電力下にて、エッチングガスとしてSFまたはClF等を用いると良い。この他、側壁保護膜の形成を行うRIE(Reactive Ion Etching)を用いることもできる。この結果、図12に示されるような平面構造および断面構造が得られる。
(製造方法の変形例)
図17(A)〜図17(D)は、MEMSセンサーの製造方法の他の例を示す図である。図17(A)では、積層構造体ZQが形成されているシリコン基板101の裏面の結晶面が(110)面となっている。
図17(B)では、異方性ドライエッチングによって、積層構造体ZQに第1空洞部111(113)が形成される。図17(C)では、シリコン基板101の裏面からの異方性エッチングによって、第2空洞部112が形成される。シリコン基板101の異方性エッチングには、例えば、KOHを用いたアルカリエッチング(ウエットエッチング)を採用することができ、また、ドライエッチングを用いることもでき、また、双方を併用することもできる。但し、ウエットエッチング時の水分によって、櫛歯電極部の両電極(コンデンサーの両電極)がくっついてしまうスティッキングが生じる場合があるため、実際には、少なくとも最終段階の基板の加工においては、ドライエッチングを使用するのが好ましい。
図17(D)では、シリコン基板101の裏面からの異方性ドライエッチングによって、凹所102が形成される。
(実施形態の効果)
以上説明したいくつかの実施形態によれば、設計の自由度が向上し、物理量の検出感度も向上する。以下、具体的に説明する。MEMSセンサーの感度Sは、電極コンデンサーの全容量をC0、弾性変形部130のばね定数をK、電極間ギャップをd0とすると、S=C0/d0・(M/K)[F/(m/sec)]となる。つまり、可動錘部120の質量が大きければ感度は向上する。
また、図16に示すように、相対向する可動電極部300と固定電極部310は、高さをh、横方向の長さをr、電極間ギャップをd0とする。このとき、可動電極部が動くことによって、容量のギャップ(可動電極部と固定電極部との間の距離)が変化するとき、電極間の気体が上下に動き、その際に、気体(空気)の粘性によって可動電極部の移動に関してダンピング(可動電極部の振動を止めようとする働き)が生じる。ダンピングの大きさを示すダンピング係数(D)は、電極ペア数をn、気体の粘性係数をμとすると、D=n・μ・r(h/d0)[N・sec/m]となる。つまり、ダンピング係数Dは、電極部の高さ(h)の3乗に比例して増大する。気体のブラウン運動によって可動電極部に力が働き、それが加速度透過ブラウンノイズとなる。このブラウンノイズ(BNEA)は、BNEA=(√(4kTD))/M[(m/sec)/√Hz]となり、この式の分子は可動電極部の高さ(h)の三乗に比例するダンピング係数(D)の平方根に比例するので、質量Mが増大しても結果的にブラウンノイズが増大してしまう。
これを解決した本実施形態では、可動錘部120の質量Mと可動電極部140の高さhとを独立に制御できるようにした。これにより、設計の自由度が広がり、低ノイズの加速度センサーを実現することができる。
また、容量型MEMSセンサーは、粘性減衰のある自由振動の運動方程式(例えば、下記(1)式参照)で表現される構造体であるため、構造体のQ値および共振周波数(固有振動数)は、好ましい値に設計される必要がある。粘性減衰のある自由振動を行う構造体の共振周波数(固有振動数)ωは、可動錘部の質量Mと、可動錘部を支持するバネ(弾性変形部)のバネ定数Kから一義的に決まり(例えば、下記(2)式参照)、また、共振の鋭さを表すQ値は、さらにダンピング定数Dを加えた計算式から決まる(例えば、下記(3)式参照)。なお、(3)式において、ξは臨界減衰係数である。
Figure 2010230441
(3)式から明らかなように、可動錘部の質量Mを大きくすればQ値が大きくなり、また、ダンピング係数Dが増大すれば、Q値が小さくなる。質量Mを大きくするために、積層構造体の高さ(つまり、可動電極部の高さ)を単調に増大させると、可動電極部の高さの3乗でダンピング係数Dが増大するため、Q値を所望の値に保つことが困難となる。上述の本発明の実施形態によれば、可動錘部の質量Mと、可動電極部におけるダンピング係数Dとを切り離して、独立に制御することが可能である。よって、Q値を適正な値に保ちつつ、可動電極部のダンピング係数Dも適正値に設定することが容易に行える。
また、基板材料からなる第2弾性変形部を形成することによって、積層構造体からなる第1弾性変形部の、不要な方向(例えば縦方向)の動きが規制され、よって、ねじれ等の不要な動きが生じる可能性が低減される。弾性変形部(バネ部)における不要な変形が抑制されることによって、MEMSセンサーの検出感度がさらに向上する。
ここで、一例として、可動錘部(四角形状)の寸法を800μm×500μmとし、電極間ギャップdを2μmとし、電極部(導電体)の高さhを5μmとし、設計値として、共振周波数を3kHzおよびQ値=1を実現するために、本発明の構造を使用しないで、電極部の横幅(横方向の長さ)Laだけで調整しようとすると、Laの値は、800μm程度と非常に長くなってしまう。また、同時に、電気的バネ特性<<機械的バネ特性という関係を満たすことができず、したがって、加速度センサーとして現実に使用することがむずかしくなる。
振動部における所望の共振特性を確保するためには、弾性変形部(バネ部)におけるバネ定数の値を適正な範囲に収める必要があるが、実効的なバネ定数は、弾性変形部(バネ部)の機械的なバネ定数だけで定まるのではなく、容量電極部における固定電極と可動電極との間に作用する静電気力(クーロン力)に起因する電気的なバネ定数も考慮して総合的に決定される。すなわち、実効的なバネ定数は、(機械的バネ定数−電気的バネ定数)によって決定される。電気的なバネ定数は距離(変位量)に対して非線形な値を取る。よって、電気的バネ定数が、機械的バネ定数に比べて十分に小さくなるように設計しないと、F=kX(Fは力、kはバネ定数、Xは変位量)で表わされる線形のバネ特性の式が成立しなくなり、この点が、設計上の制約になる。
これに対して、本発明の構造(シリコン基板材料を積極的に利用して、各部の特性を最適化する構造)を採用すると、電極部の横幅(横方向の長さ)Laの値を、例えば、130μm程度に抑えることができ、実現可能な長さ(一般的な設計で使用できる適切な範囲内)に収まる。また、同時に、第2弾性変形部130Bの剛性によって、電気的バネ特性<<機械的バネ特性の関係を満たすことができ、電気的バネ特性の影響は無視することが可能である。
上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
例えば、本発明に係るMEMSセンサーは、必ずしも静電容量型加速度センサーに適用されるものに限らず、ピエゾ抵抗型の加速度センサーにも適用することが可能である。また、可動錘部の移動により静電容量の変化を検出する物理センサーであれば適用が可能である。たとえばジャイロセンサー、圧力センサー等に適用が可能である。
また、本発明の一態様に係るMEMSセンサーでは、距離が可変である対向電極とすることで、少なくとも物理量の大きさを検出できる。ただし、物理量が作用する方向は検出できない。そこで、少なくとも一つの固定電極部と、可動錘部と一体で少なくとも一軸方向に移動して、少なくとも一つの固定電極部との間の距離が増減する複数の可動電極部とを有すれば良い。
物理量検出原理は、少なくとも一つの固定電極部に対して、可動錘部と共に複数の可動電極部が移動した時、2つの電極間距離の一方が増大し他方が減少することで、電極間距離に依存した静電容量の大きさと増減の関係から、物理量の大きさと向きが検出できるからである。また、物理量の検出軸は上述した一軸や二軸に限らず、三軸以上の多軸とすることができる。また、コンデンサーの電極間の対向面積の変化によって、物理量を検出する方法を採用することもできる。
10 加速度センサーモジュール、20 集積回路部、24 C/V変換回路、
26 アナログ校正およびA/D変換回路、28 CPU、
30 インターフェース回路、40 ウェル、42 熱酸化膜、
100 加速度センサー(MEMSセンサー)、110 固定枠部、
111 空洞部(第1空洞部、開口部)、112 空洞部(第2空洞部)、
113 空洞部(第1空洞部、開口部)、120 可動錘部、
121A〜121D 導電層、121B1 バリア層、121B2 メタル層、
121B3 反射防止層、122A〜122C 層間絶縁層、
123A〜123C プラグ、123A1 コンタクトプラグ、
123A2 バリア層、125 保護層、130 弾性変形部(バネ部)、
131 配線パターン、140 可動電極部、150 固定電極部、
152 配線パターン、200 積層構造体

Claims (14)

  1. 基板上に形成される多層の積層構造体を加工して製造されるMEMSセンサーであって、
    前記基板に形成された固定枠部と、
    弾性変形部を介して前記固定枠部に連結され、周囲に空洞部が形成された可動錘部と、
    前記固定枠部より前記空洞部に向けて突出形成された固定電極部と、
    前記可動錘部と一体的に移動し、前記固定電極部と対向する可動電極部と、
    を有し、
    前記可動錘部は、
    前記多層の積層構造体により形成される第1可動錘部と、前記第1可動錘部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動錘部と、を含み、
    前記可動電極部は、
    前記多層の積層構造体により形成される第1可動電極部と、前記第1可動電極部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動電極部と、を含み、
    前記弾性変形部は、
    前記多層の積層構造体により形成される第1弾性変形部と、前記第1弾性変形部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2弾性変形部と、を含む、
    ことを特徴とするMEMSセンサー。
  2. 請求項1記載のMEMSセンサーであって、
    前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部の各々の高さは同じであることを特徴とするMEMSセンサー。
  3. 請求項1記載のMEMSセンサーであって、
    前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部の各々の高さが異なることを特徴とするMEMSセンサー。
  4. 請求項1記載のMEMSセンサーであって、
    前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部のいずれか二つの高さが第1の高さであり、残りの一つの高さが、前記第1の高さとは異なる第2の高さであることを特徴とするMEMSセンサー。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のMEMSセンサーであって、
    前記可動電極部を形成する前記積層構造体は、
    層が異なる複数の導電層と、
    少なくとも一層の層間絶縁層と、
    前記少なくとも一層の層間絶縁層における、一層以上の層間絶縁層の各々に貫通形成された所定の埋め込み溝パターンに充填されるプラグと、
    を含むことを特徴とするMEMSセンサー。
  6. 請求項5記載のMEMSセンサーであって、
    前記プラグは、前記可動電極部が突出形成される長手方向に沿って壁状に形成された壁部を含むことを特徴とするMEMSセンサー。
  7. 請求項6記載のMEMSセンサーであって、
    前記可動電極部に形成される前記壁部は、電気的に独立している第1の壁部と第2の壁部とを有することを特徴とするMEMSセンサー。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載のMEMSセンサーであって、
    前記基板の裏面には、凹所が形成されていることを特徴とするMEMSセンサー。
  9. 請求項5乃至7のいずれかに記載のMEMSセンサーであって、
    前記基板上に形成される前記積層構造体と隣接して、前記基板に形成される集積回路部をさらに有し、
    前記積層構造体の前記複数の導電層、前記少なくとも1層の層間絶縁層及び前記1層以上の層間絶縁層の各々に貫通形成される各層のプラグは、前記集積回路部の製造プロセスを用いて製造されることを特徴とするMEMSセンサー。
  10. 基板上に、多層の積層構造体を形成する工程と、
    前記積層構造体を異方性エッチングによってパターニングして、前記基板の表面が露出する開口部となる第1空洞部を形成し、前記第1空洞部によって、固定枠部と、弾性変形部と、前記弾性変形部を介して前記固定枠部に連結された可動錘部と、前記可動錘部より前記第1空洞部に向けて突出する可動電極部と、前記固定枠部より前記第1空洞部に向けて突出して前記可動電極部と対向する固定電極部を区画形成する工程と、
    前記基板を選択的に加工して、前記第1空洞部に連通する第2空洞部を形成する工程と、を含むことを特徴とするMEMSセンサーの製造方法。
  11. 請求項10記載のMEMSセンサーの製造方法であって、
    前記基板を選択的に加工して第2空洞部を形成するに際して、前記第1空洞部を介して異方性エッチング用のエッチャントを導入して前記基板に貫通孔を形成し、前記貫通孔を前記第2空洞部とすることを特徴とするMEMSセンサーの製造方法。
  12. 請求項10記載のMEMSセンサーの製造方法であって、
    前記基板を選択的に加工して第2空洞部を形成する工程は、前記基板の裏面側から異方性エッチングを行う工程を含むことを特徴とするMEMSセンサーの製造方法。
  13. 請求項10〜請求項12のいずれかに記載のMEMSセンサーの製造方法であって、
    前記基板の裏面に、凹所を形成する工程をさらに有し、前記第2空洞部が前記凹所と連通されることを特徴とするMEMSセンサーの製造方法。
  14. 請求項10〜請求項13のいずれかに記載のMEMSセンサーの製造方法であって、
    前記可動錘部は、前記多層の積層構造体により形成される第1可動錘部と、前記第1可動錘部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動錘部と、を含み、前記可動電極部は、前記多層の積層構造体により形成される第1可動電極部と、前記第1可動電極部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2可動電極部と、を含み、前記弾性変形部は、前記多層の積層構造体により形成される第1弾性変形部と、前記第1弾性変形部の下方に位置し、前記基板の材料にて形成される第2弾性変形部と、を含み、
    前記基板の裏面側から選択的なエッチングを行って、前記第2可動錘部、前記第2可動電極部および前記第2弾性変形部の少なくとも一つの高さを調整する工程を、さらに含むことを特徴とするMEMSセンサーの製造方法。
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