JP2010227937A - 臭気発生防止法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 汚泥濃縮槽以降の汚泥処理プロセス全体の臭気発生を防止する方法に関し、さらに詳しくは、下水処理場等の汚泥スラリーの発生(汚泥濃縮槽出口)から汚泥貯留槽、汚泥脱水機、及び脱水ケーキ搬送・貯留設備に至る各プロセスで発生する硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭問題、及び硫化水素による電気設備腐食、硫化水素の生物酸化によって生成する硫酸による機器腐食を効果的に防止する臭気発生防止方法を提案する。
【解決手段】 汚泥貯留槽の汚泥に亜硝酸塩を添加して汚泥からの臭気の発生を防止する方法であって、亜硝酸塩の添加を、1日に数回の頻度で集中的に添加するように亜硝酸塩の添加量を変化させ、各集中添加終了時から1時間経過後の汚泥貯留槽の汚泥の残留亜硝酸イオン濃度を20mg/L以上に保持する。
【選択図】図1

Description

本発明は、汚泥濃縮槽以降の汚泥処理プロセス全体の臭気発生を防止する方法に関し、さらに詳しくは、下水処理場等の汚泥スラリーの発生(汚泥濃縮槽出口)から汚泥貯留槽、汚泥脱水機、及び脱水ケーキ搬送・貯留設備に至る各プロセスで発生する硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭問題、及び硫化水素による電気設備腐食、硫化水素が生物酸化されて生成する硫酸による機器腐食を効果的に防止することができる臭気発生防止方法に関する。
下水処理場、し尿処理場や食品・紙パルプ工場等の有機性排水の処理に際しては、各種の汚泥が発生し、これら汚泥の処理プロセスでは以下に示すような臭気発生に起因するトラブルが生じている。
汚泥濃縮槽出口から汚泥貯留槽、汚泥脱水機に至る各プロセスでは、汚泥中に存在する硫化水素を主とする悪臭物質が揮散(放散)し、作業環境の悪化をきたしている。同時に、揮散した硫化水素による電気関係設備の腐食、硫化水素が生物酸化されて生ずる硫酸による機器腐食も生ずる。
さらに、脱水ケーキ搬送・貯留設備に至るプロセスでは、貯留、保管中に腐敗が進み、含イオウ蛋白質の分解によりメチルメルカプタンを主とする悪臭物質が発生する。
そこで、本出願人(等)は、微生物の生育環境に亜硝酸イオンを存在させることにより、微生物に基づく硫化水素の発生を防止する方法(特開昭57−187099号公報)を基にして汚泥処理の臭気防止として活用する方法を見出し、さらにpH調整等を行うことにより、効果を著しく高めた方法(特願平12−215640号公報)などの各種の技術提案をなしている。
特開昭57−187099号公報 特願平12−215640号公報
前述の各提案の多くは汚泥貯留槽に亜硝酸塩を添加して、貯留槽内及びその汚泥の脱水工程での硫化水素、メチルメルカプタンなどの臭気発生を防止する方法であって、これを実設備に適用し、好成績を得ることができたが、亜硝酸塩を継続使用する間にその効果が次第に低下してしまうという課題に直面した。このため、臭気発生防止効果を維持するためには、亜硝酸塩の添加量を亜硝酸塩の適用を開始した初期の2倍以上に増やさねばならない場合も生じ、それでも臭気発生防止効果が不十分な場合があった。
本発明者らは、これまでの一般的且つ当然とされる薬剤添加方法である「汚泥の流入量に併せて比例的に又は連続的に薬剤を添加する」方法を根本的に見直し、薬剤の添加を、1日に数回の頻度で集中的に添加することにより、薬剤として用いる亜硝酸塩の汚泥による分解速度の上昇が防止され、さらには減少し、結果として臭気発生防止効果が極めて優れ、薬剤使用量も削減できる効果的な添加方法を発見するに至った。
本発明者らの鋭意検討の末に得られた知見によると、前述の課題は以下の現象に基づくものであることが判明した。
汚泥に亜硝酸塩を添加した場合、亜硝酸塩は汚泥中で亜硝酸イオンとなり、まず、汚泥中の還元性物質と亜硝酸イオンが反応し、亜硝酸イオンは急速に消費される。この反応に伴い、汚泥中の還元性物質も消費され、およそ1時間程度で還元性物質はほぼ完全に消費される。この後、亜硝酸イオンは微生物によって徐々に分解される。汚泥の種類によっても異なるが、還元性物質による亜硝酸イオンの消費速度はおよそ50mg/L・hr程度で、初期の1時間以後は殆ど消費されない。また、微生物活動による亜硝酸イオンの消費速度は10〜20mg/L・hr程度である。ところが、微量の亜硝酸塩を連続的に供給すると、汚泥の亜硝酸イオン分解能力が経時的に増加し、所謂馴化現象を生ずる。これは、汚泥中の微生物が亜硝酸イオンに対する耐性を増し、或いは特に亜硝酸イオン分解能に優れ、耐性も大きな微生物種が増殖したためと推察される。このような馴化現象により、微生物による亜硝酸イオンの消費速度は徐々に増大し、30mg/L・hr以上に、場合によっては50mg/L・hrを越える場合もでてくる。このような亜硝酸イオンの消費速度の増大は、汚泥の平均滞留時間が24hr程度と長い場合に顕著に起き、6hr程度以下の短い場合は不明瞭であることも、前述の推察を示唆する。
そこで、前述のように亜硝酸塩を、1日に数回の頻度で集中的に添加すると、汚泥中の微生物は一時的に高濃度の亜硝酸イオンに曝されるので、微生物はダメージを受け、亜硝酸イオンの分解速度を大幅に低下させることができる。この後は、亜硝酸塩の添加を中止、またはその添加量を少なくしても、その分解量が少ないため、汚泥中に亜硝酸イオンが残留し易くなり、臭気防止処理にとって好循環の状態にできる。したがって、亜硝酸イオンの亜硝酸塩添加終了後1時間以後の消費速度が低いレベル(10mg/L・hr未満、好ましくは2〜8mg/L・hr未満)になるように集中添加時の亜硝酸塩の添加を調整する必要があり、これは、各集中添加終了時から1時間経過後の汚泥貯留槽の汚泥の残留亜硝酸イオン濃度が高いレベル(20mg/L以上)に保持されていることを管理することによって達成される。
すなわち、本発明は、汚泥貯留槽の汚泥に亜硝酸塩を添加して汚泥からの臭気の発生を防止する方法であって、微生物活動による亜硝酸イオンの消費速度を10mg/L・hr以下に維持するために、添加終了時から1時間経過後の汚泥貯留槽の汚泥の残留亜硝酸イオン濃度が20mg/L以上となるように、汚泥への亜硝酸塩の集中添加を1日当たり2回以上断続的に行うことを特徴とする臭気発生防止方法、
を提供するものである。
なお、汚泥貯留槽の汚泥に亜硝酸塩を添加して汚泥からの臭気の発生を防止する方法であって、汚泥への亜硝酸塩の添加を高添加量で行う高添加工程と、汚泥への亜硝酸塩の添加を低添加量で行う低添加工程との二つの工程とを備え、前記高添加工程と前記低添加工程とを交互に繰り返すとともに、前記高添加工程が終了してから1時間経過後の汚泥の残留亜硝酸イオン濃度が20mg/L以上であることを特徴とする臭気発生防止方法、
を提供するものでもあるし、
これを実施するための好ましい態様として、
高添加工程の1日当たりの亜硝酸塩の添加量の和と、1日当たりの総亜硝酸塩の添加量との比が2/3〜1であることを特徴とする臭気発生防止方法、
としてもよい。
更に亜硝酸イオンによって馴化された汚泥の臭気発生防止方法として、
汚泥貯留槽の汚泥の平均滞留時間の1/2以上、亜硝酸塩の添加を休止した後に、上記のいずれかを実施することを特徴とする臭気発生防止方法、
を提供することもできる。
亜硝酸塩の添加を従来の一般的な薬剤添加方法である「汚泥の流入量に合わせて、比例的又は連続的に添加する」方式で行うことは、当初は所定の効果が得られるものの、次第に必要な亜硝酸塩の量が増大し、不適切になるが、本発明の臭気発生防止方法は、亜硝酸塩の添加を連続でなく断続的に行うか、或いは段差的に行い、その1時間経過後の残留亜硝酸イオン濃度を管理することにより、亜硝酸塩の総添加量は当初のままか或いは削減しても、硫化水素とメチルメルカプタンの発生防止効果を安定に発揮でき、これらに起因する悪臭問題、及び硫化水素による電気設備腐食、硫化水素の生物酸化によって生成する硫酸による機器腐食を効果的に防止することができる。
また、亜硝酸塩の必要量が増大し、臭気発生防止効果も低下した汚泥処理系においては、汚泥貯留槽の汚泥の滞留時間の1/2以上、亜硝酸塩の添加を休止した後、亜硝酸塩の添加を実施することにより、臭気発生防止効果を速やかに回復させることができる。
(a)本発明における亜硝酸塩の添加パターンを模式的に示すものであって、本発明における断続注入の一例を示すグラフ、(b)本発明における段差注入の一例を示すグラフである。 (a)実施例における室内試験1の比較例1〜3の実験フロー、(b)実施例1〜3の実験フローである。 実施例における室内試験2の実験装置を示す概略図である。
亜硝酸塩の具体的な注入パターンとしては、一般的な薬注の常識である連続的に添加する方法、或いは被処理物である汚泥の流入量に対して比例的に添加する方法ではなく、本発明のように1日の総添加量を例えば1〜12回にわけて断続注入するか、或いは高添加工程(集中添加)と低添加工程とを交互に繰り返す段差注入を行う。
断続注入は、例えば図1(a)に示すように集中添加時の添加速度Aの状態と停止時の添加速度0の状態とが交互に繰り返される方法である。
段差注入は、例えば図1(b)に示すように高添加工程時の添加速度Aの状態と低添加工程時の添加速度B(0<B)の状態とが交互に繰り返される方法である。
図1では、集中添加時の添加速度Aや間隔は一定であるが、これは変化しても良い。但し、制御、管理の点から定期的に行うことが望ましく、このような制御はタイマーを用いることによって簡単に実施することができる。
集中添加を行う回数(1日当たり)は亜硝酸塩の特性からは少ない程良いが、回数が少ないと亜硝酸イオンがなくなり臭気が発生する時間帯が生ずるため、対象の処理特性等に併せて設定する。
実際には、亜硝酸塩が添加される汚泥貯留槽の平均滞留時間が長い場合には添加回数を少なくし、平均滞留時間が短い場合には添加回数を増やすことが好ましい。但し、添加回数を過剰にすることは、その分1回の添加量が小さくなるから、従来の方法(連続的且つ比例的添加)と近似の結果になり不適切である。
具体的な1日当たりの集中添加を行う回数は、1〜12回であり、より望ましくは汚泥貯留槽の平均滞留時間、薬注ポンプ能力、汚泥の性状、汚泥流入、汚泥引き抜きパターンなどにより異なるが、平均滞留時間24時間で汚泥引き抜きが24時間連続の場合には2〜5回程度が好ましい。平均滞留時間が12時間の場合には1日当たり2〜10回が好ましい。
亜硝酸塩の1回の集中添加量(添加速度×時間)は、添加終了時間から1時間経過後の時点で汚泥貯留槽内に残留亜硝酸イオン濃度として20mg/L以上保持できる添加量とすることが重要である。これにより、汚泥、正確には汚泥微生物がダメージを受け、亜硝酸イオンの分解速度が低下し、結果として硫化水素、メチルメルカプタンの発生が確実に防止できる。
1回の集中添加終了時点から1時間経過後の残留亜硝酸イオン濃度が20mg/Lを十分上回れば、亜硝酸塩の1回の添加量を下げることもでき、全体の使用量(総添加量)も削減できる。但し、添加量を下げすぎると、今度は亜硝酸イオンの分解速度が上昇してしまい、当該残留亜硝酸イオン濃度が20mg/Lを下回り、さらにその濃度は順次低下することもある。したがって、この傾向を確認し、当該残留亜硝酸イオン濃度が20mg/Lを下回らないように1回の添加量を調整することが必要である。
また、段差注入では、高添加工程と低添加工程とを交互に繰り返し行うが、高添加工程の1日当たりの添加量の和と、1日当たりの亜硝酸塩の総添加量との比が2/3〜1とすることが好ましい。
本発明における亜硝酸塩の断続注入又は段差注入を、自動的に、また汚泥処理状況及び臭気処理効果に合わせて変更・調整を実施するには、どのような添加装置及び制御機構を組み合わせて使用しても良いが、最も簡易な装置及び機構としては、例えばタイマーを使用して薬注ポンプをON,OFFする方法があげられる。
また、本発明における亜硝酸塩の添加場所は、汚泥貯留槽に直接注入するのが一般的であるが、汚泥貯留槽への送泥ポンプ配管など、汚泥貯留槽以前の工程であれば良く、特に限定されるものではない。また、添加手段は薬注ポンプで行っても良いし、人手による一括投入、及びポンプと人手投入の組み合わせでも良く、特に限定されるものではない。さらに、添加又は添加停止の間隔は、処理系の運転に合わせた間隔とするが、簡易的には等間隔とすることができる。
以上の本発明により、亜硝酸塩の使用量も削減し、臭気発生防止効果を安定させることができるが、対象の汚泥微生物の状況は変化し易く、また汚泥処理状況も常に一定とすることは難しいため、時として、汚泥貯留槽内に亜硝酸塩に対する耐性及び分解能力の高い微生物が増加すること(馴化現象)がある。
このような場合、亜硝酸塩の1回の添加量を増やす方式でも対応できるものの、最も効果的な方法は、汚泥の平均滞留時間の1/2以上、好ましくは平均滞留時間の1〜3倍の期間、亜硝酸塩の添加を停止し、汚泥貯留槽の馴化した汚泥を亜硝酸イオン耐性のない汚泥に入れ替えてから亜硝酸塩の断続注入又は段差注入を実施することにより、速やかに臭気発生防止効果を回復させることができる。
また、本発明は、公知のどのような臭気発生防止方法を併用しても良い。例えば汚泥のpH調整を行うようにしても良いし、亜硝酸塩とともに亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩又はソルビン酸、或いは有機系静菌剤などを併用するようにしても良い。
1)室内試験1
1−1)汚泥
A下水処理場の初沈重力濃縮汚泥、及び余剰遠心濃縮汚泥(平均滞留時間24hr)を別途に採取し、全固形物濃度(TS)測定の後、厚木市市水により正確にTS2.5%に調整し、これを50:50に混合して供試汚泥とした。試験は14日間実施したので、2.5%に調整した各汚泥は5℃の冷蔵庫に7日間保管して使用し、後半の7日間は新たな汚泥を採取し、同様に調整した。
1−2)試験方法
汚泥10Lを撹拌機付き容器に採り、図2(a)に示す実験フローのように比較例1〜3は亜硝酸塩を連続的に添加(連続注入)し、図2(b)に示す実験フローのように実施例1,2はバッチ添加(断続注入)し、実施例3はバッチ添加と連続注入を併用して添加(段差注入)した。開始12時間後に汚泥の半量5Lを新しい汚泥に入れ替え、この繰り返しを14日間行った。亜硝酸塩としては亜硝酸ナトリウムを用い、詳細な添加方法は表1に示した。
1−3)評価方法
評価は3,7,14日目に行った。
試験項目は以下の4項目である。
1)汚泥入れ替え後(断続注入では汚泥入れ替え後に亜硝酸塩をバッチ添加してから)1時間経過した後の容器内汚泥中の残留亜硝酸イオン(NO2 -)濃度を測定した。測定結果を「+1hrNO2 -」として表1に記載した。
2)汚泥入れ替え前の汚泥から発生する臭気を、汚泥50mLを600ccの容器に採り、1分間十分浸透した後の気相の硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(MM)をガス検知管にて測定した。測定結果を「臭気」として表1に記載した。
3)汚泥入れ替え前の汚泥中の残留NO2 -濃度を測定した。測定結果を「残留NO2 -」として表1に記載した。
4)3)の汚泥の残留NO2 -濃度が30mg/Lに満たない試料には、亜硝酸塩を30mg/Lになるように追加し、1時間スターラ撹拌後の残留NO2 -濃度を測定し、それらより1時間のNO2 -消費量を算出した。結果を「消費速度」として表1に記載した。
1−4)結果
Figure 2010227937
表1より、亜硝酸塩を断続注入又は段差注入した実施例1,2,3では、臭気はH2S、MMとも0ppmであり、14日目のNO2 -の消費速度はそれぞれ3,5及び5mg/L・hrと小さいことが確認された。
これに対し比較例1,2では、14日目のNO2 -の消費速度が30以上、及び20mg/L・hrと実施例1〜3の4〜10倍以上となり、馴化が進んでいることが確認された。そして、比較例1ではH2S、MMが各200,80ppm発生し、比較例2では実施例1の2倍の亜硝酸塩添加量にもかかわらず、H2S、MMが各5,2ppm発生した。
このように断続注入又は段差注入である実施例1〜3と連続注入である比較例1,2との明確な相違は、実施例1〜3ではNO2 -の消費速度が経時で変わらない、若しくは漸減するのに対して、比較例1,2でははっきりと増加することであり、このため臭気発生量も経時的に増加する。
また、比較例3は断続注入ではあるが、亜硝酸塩を添加してから1時間経過後の残留NO2 -が最大(7日目)で12mg/Lであって、本発明における規定濃度20mg/L以上とならず、添加する亜硝酸塩の絶対量が不足しているため、所定の効果が得られなかった。
なお、明らかに馴化が進んでNO2 -の効果低下が発生した比較例1の14日試験終了後の汚泥の1/2を新規汚泥に交換し、半日放置後、実施例1と全く同じ亜硝酸塩注入方法(断続注入)で再度処理した(実施例4)。結果を表2に示した。
Figure 2010227937
表2より、1日目終了後のNO2 -の消費速度は16mg/L・hrで、まだ高く、臭気もあったが、2日目には、ほぼ実施例1のNO2 -の消費速度に近い5mg/L・hrになり、臭気も0ppmになった。
2)室内試験2
2−1)汚泥
A下水処理場の初沈重力濃縮汚泥、及び余剰遠心濃縮汚泥を別途に採取し、全固形物濃度(TS)測定の後、厚木市市水により正確にTS2.5%に調整し、これを50:50に混合して前記室内試験1と同様にして使用した。
2−2)試験方法
断続注入における亜硝酸塩添加時間、添加停止期間をどのように設定することが好ましいかの判定を実施した。
汚泥10Lを撹拌機付き容器に採り、図3に示すように新規汚泥は1時間ごとにタイマーを用いて3L/hrで20分投入した。1回の新規汚泥の投入量は1Lで、1日24Lの新規汚泥が投入されるので、容器容量10Lに対して平均滞留時間は10時間になる。
比較例4は、新規汚泥の投入量と時間に併せて新規汚泥に対して120mg/Lの濃度で同時間(20分)亜硝酸塩を添加した。比較例5は、新規汚泥の投入に対し、2回はそれに併せて180mg/Lの濃度で同時間(20分)亜硝酸塩を添加し、それに続く1回は亜硝酸塩を添加しないようにしてそのサイクルを繰り返した。実施例5〜7は、新規汚泥投入8回、4回、及び2回に1回に亜硝酸塩を960,480,240mg/Lで20分間添加した。尚、実施例5〜7、比較例4,5とも、1日の亜硝酸塩の総添加量は2880mgである。亜硝酸塩としては亜硝酸ナトリウムを用いた。
2−3)評価方法
評価は14日間行い、3日、7日、14日目に、亜硝酸塩投入直前の汚泥を採取し、H2S、MMの臭気(表3)の測定を行った。
また、終了後1時間経過後の残留NO2 -濃度(表4)の測定を行った。
さらに、新規汚泥投入直前の汚泥についてのNO2 -消費速度(表5)の測定も行った。測定方法は、前記室内試験1と同様である。
2−4)結果
Figure 2010227937
Figure 2010227937
Figure 2010227937
表3より明らかなように亜硝酸塩が添加される直前において、実施例5,6では、H2S、MMとも0ppmであった。また、実施例7では、7日、14日目で0ppmとなった。
これに対し、比較例4,5では、全てH2S、MMが発生し、日を追う毎にその値が増加した。
また、表4より明らかなように実施例5〜7では、亜硝酸塩添加終了後1時間経過時の亜硝酸濃度は20mg/L以上(実施例7では7日、14日目)であり、比較例4,5(亜硝酸塩添加間隔から新規汚泥投入終了後40分経過時)では6mg/L以下であった。
さらに、表5より明らかなように14日目のNO2 -の消費速度は、実施例5〜7の5mg/L・hr程度以下に対して、比較例4,5は20mg/L・hr程度以上であって4倍以上の差があった。
3)実設備確認試験
B下水処理場では、亜硝酸ナトリウムを汚泥貯留槽の臭気発生防止、及び貯留槽から汚泥が供給される脱水機での臭気発生防止に適用し、当初は良好な処理結果が得られていたが、適用開始半月程度を経過した頃から効果の低下が見られたため、徐々に亜硝酸ナトリウムの添加率を増加し、当初の亜硝酸ナトリウムの平均添加率100mg/Lの2.5倍の250mg/Lの添加率としているが、まだH2S、MMの発生防止は不十分であった。
そこで、本処理場で、実施例の断続注入法を試験した。
3−1)従来の連続注入法
B下水処理場の汚泥貯留槽は常時300m3の汚泥が貯留され、ここから1日に引き抜いて脱水機(ベルトプレス)に供給される汚泥量は300m3で平均滞留時間は24時間である。汚泥貯留槽の貯留汚泥量は水位制御されており、約1時間に1回、12.5m3の濃縮汚泥が約60m3/hrの速度で、約12分間投入される。
本発明実証前は、汚泥貯留槽に、24時間連続で亜硝酸ナトリウム溶液を亜硝酸塩として、3.2kg/hrの添加速度で連続添加していた。1日当たりの総添加量は76.8kg/日で汚泥300m3に対する亜硝酸の平均添加量は256mg/Lであった。
3−2)本発明の断続注入法
まず、平均滞留時間の2/3である16時間(0日目16:00〜1日目8:00)亜硝酸塩の添加を中止し、1日目は8:00〜12:00の間、これまでの4倍の添加速度12.8kg/hrで亜硝酸塩を添加し、亜硝酸塩濃度が56mg/L(12:00)まで高まったことを確認し、後は添加を停止した。
2日目、3日目は、8:00〜11:00の3時間、及び20:00〜23:00の3時間の計6時間、従来の4倍の添加速度の12.8kg/hrで亜硝酸塩を添加した。この時の1日当たりの亜硝酸塩の総添加量は76.8kg/日で従前と同量である。
さらに、4〜15日目は、亜硝酸塩の添加を8:00〜10:00と20:00〜22:00の計4時間とした。この時の1日の亜硝酸塩の総添加量は51.2kg/日で従前の2/3である。
3−3)評価方法
亜硝酸塩添加終了後1時間経過後の汚泥、及び7:30、16:00の汚泥を採取し、それぞれ1)H2S、MMの発生量、2)残留NO2 -濃度、3)NO2 -の消費速度の測定を行った。評価方法は前記室内試験1と同様である。また、同時刻にベルトプレス脱水機の凝集汚泥供給部上のH2S、MMの濃度を測定した。測定結果は、表6に示した。
3−4)結果
Figure 2010227937
表6より明らかなように、0日目の従来の連続注入法では、貯留槽汚泥、ベルトプレス脱水機とも常時、H2S、MMが発生しており、貯留槽汚泥には平均256mg/Lの亜硝酸塩を添加しているにもかかわらず、残留NO2 -濃度の測定値は0mg/Lであった。また、NO2 -の消費速度は50mg/L・hr以上と非常に大きかった。
1日目は、従来の4倍速度で亜硝酸塩を4時間添加することで、前述のようにその添加終了時(12:00)に残留NO2 -濃度56mg/Lまで高まり、その1時間経過後(13:00)には残留NO2 -濃度32mg/Lが検出された。また、一時的ではあるが、貯留槽汚泥及び脱水機におけるH2S、MMを0ppmとすることができた。しかし、NO2 -の消費速度はまだ20mg/L程度と大きく、4時間ほど(16:00)で残留NO2 -も消失した。
2日目は、1日目と同じ亜硝酸塩の添加速度であったが、残留NO2 -濃度は早期に上昇し、3時間添加で、その添加終了時(11:00)には1日目を上回る残留NO2 -濃度84mg/Lが検出され、その1時間経過後(12:00)には残留NO2 -濃度72mg/Lが検出された。その消費速度も10mg/L・hr未満になった。この結果、日中のH2S、MMを0ppmとできたと同時に、最も残留NO2 -濃度が低下する翌3日目の7:30においても、H2S、MMの発生が僅かになった。
3日目は2日目よりさらに効果が向上し、翌4日目の7:30において初めて残留NO2 -が検出(16mg/L)され、24時間の全てに亘って、完全にH2S、MMの発生を防止できたと判断された。
4日目以降は、亜硝酸塩の添加時間を2時間とし、添加時間も総添加量も2日、3日目の2/3に減少させたが、15日目までの測定で、24時間の間、H2S、MMを0ppmとできたと判断される結果を得た。
以上説明したように亜硝酸塩の添加を従来の一般的な薬剤添加方法である「汚泥の流入量に合わせて、比例的又は連続的に添加する」方式で行うことは、当初は所定の効果が得られるものの、次第に必要な亜硝酸塩の量が増大し、不適切になるが、本発明の臭気発生防止方法は、亜硝酸塩の添加を連続でなく断続的に行うか、或いは段差的に行い、その1時間経過後の残留亜硝酸イオン濃度を管理することにより、亜硝酸塩の総添加量は当初のままか或いは削減しても、硫化水素とメチルメルカプタンの発生防止効果を安定に発揮でき、これらに起因する悪臭問題、及び硫化水素による電気設備腐食、硫化水素の生物酸化によって生成する硫酸による機器腐食を効果的に防止することができる。
また、亜硝酸塩の必要量が増大し、臭気発生防止効果も低下した汚泥処理系においては、汚泥貯留槽の汚泥の滞留時間の1/2以上、亜硝酸塩の添加を休止した後、亜硝酸塩の添加を実施することにより、臭気発生防止効果を速やかに回復させることができる。

Claims (1)

  1. 汚泥貯留槽の汚泥に亜硝酸塩を添加して汚泥からの臭気の発生を防止する方法であって、微生物活動による亜硝酸イオンの消費速度を10mg/L・hr以下に維持するために、添加終了時から1時間経過後の汚泥貯留槽の汚泥の残留亜硝酸イオン濃度が20mg/L以上となるように、汚泥への亜硝酸塩の集中添加を1日当たり2回以上断続的に行うことを特徴とする臭気発生防止方法。
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