JP2010223792A - 透過物体の欠陥検査方法、透過物体欠陥検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査対象が光のビーム径程度に薄く、曲がることが起こりうる場合および検査対象の厚みのばらつきが大きい場合においても安定した検査を行うことができる透明物体の欠陥検査方法および透明物体欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】光を透過可能な透過物体の欠陥を検査する透過物体の欠陥検査方法であって、透過物体の側面からなる平面に対し、透過物体の上面側から下面側にかけ複数の照射位置で、面垂直方向に光を照射し、平面に対し入射された複数の照射位置における各光が塵埃または欠陥により散乱された散乱光を受光し、複数の照射位置における各散乱光を信号にそれぞれ変換し、それぞれ変換した各信号における所定の値が第1閾値以上である各信号の数に基づいて、透過物体に欠陥があるか否かを判断する。
【選択図】図4
【解決手段】光を透過可能な透過物体の欠陥を検査する透過物体の欠陥検査方法であって、透過物体の側面からなる平面に対し、透過物体の上面側から下面側にかけ複数の照射位置で、面垂直方向に光を照射し、平面に対し入射された複数の照射位置における各光が塵埃または欠陥により散乱された散乱光を受光し、複数の照射位置における各散乱光を信号にそれぞれ変換し、それぞれ変換した各信号における所定の値が第1閾値以上である各信号の数に基づいて、透過物体に欠陥があるか否かを判断する。
【選択図】図4
Description
本発明は、光を透過可能な透過物体の欠陥を検査可能な透過物体の欠陥検査方法および透過物体欠陥検査装置に関するものである。
従来、透明なシート状の検査対象において欠陥検査を行う場合、光学的に検査する方法が採用されている。例えば、検査対象の表面に対し一方から光を照射し、他方の表面側に配置された受光部で透過光を受光する方法がある。検査対象に欠陥がある場合、照射された光が欠陥により散乱するため、受光部が受光する透過光の受光量が減少する。この現象に基づいて欠陥を検出する方法である。しかし、この方法は、検査対象の内部欠陥と表面に付着した埃との区別が難しいという問題があった。これを解決する方法として、図18に示すような、検査対象901の側面に対し一方から照明部902により光を照射し、検査対象901の表面側に配置された受光部903で欠陥により散乱した散乱光904aを受光する方法がある。検査対象901の側面から光を照射させると、検査対象901の内部においては繰り返し光が反射する。検査対象901の内部において欠陥がある場合、光は欠陥により散乱され散乱光904aとなる。この方法は、この散乱光904aを検査対象901の表面側から検出することで欠陥を検出する方法である。この方法によれば、表面に付着した埃での散乱光は欠陥による散乱光に対して十分弱く、欠陥と埃を区別できる。しかし、図19に示すような検査対象901と照明部902との側面の位置がずれる場合および図20に示すように検査対象901の厚さが照明部905に対して薄い場合には、光が正確に側面に入射できないという問題がある。光が正確に側面に入射できない場合、埃に対しても光が照射され、埃により散乱した散乱光904bと散乱光904aとを受光することとなり、埃と欠陥との区別が困難となる。この問題に対し、図21に示すような側面のずれ量を側面の位置の検出器906によって検出する方法がある。この方法は、検出したずれ量に応じて、照明部907をアクチュエータ908によって移動させ、光を側面に正確に入射させた後に検査対象901の表面側に配置された受光部903で欠陥により散乱した散乱光904aを受光する方法である。
しかしながら、上述した側面の位置の検出器906を用いる方法は、検査対象901が入射する光に対して十分厚いガラス製品等の場合にのみ、上述した問題に対し有効である。この方法は、高速な検査が必要な場合や検査対象がフィルム等の軟らかく検査時に曲がることが起きうる検査対象である場合には、高精度な側面の位置の検出が難しく、安定した検査を行うことが困難である。また、検査対象の側面に入射する光のビーム径程度に検査対象が薄く、検査対象の厚みのばらつきが大きい場合においても、高精度な側面の位置の検出が難しく、安定した検査を行うことが困難である。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、検査対象が光のビーム径程度に薄く、曲がることが起こりうる場合および検査対象の厚みのばらつきが大きい場合においても安定した検査を行うことができる透過物体欠陥検査装置及び透過物体欠陥検査方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、透過物体の欠陥検査方法は、光を透過可能な透過物体の欠陥を検査する透過物体の欠陥検査方法であって、前記透過物体の側面からなる平面に対し、前記透過物体の上面側から下面側にかけ複数の照射位置で、面垂直方向に光を照射する光照射ステップと、前記光照射ステップにより前記平面に対し入射された前記複数の照射位置における各光が塵埃または欠陥により散乱された散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を信号にそれぞれ変換する信号変換ステップと、前記信号変換ステップがそれぞれ変換した前記各信号における所定の値が第1閾値以上である各信号の数(サンプリングによって例えば画素などの点数として計数できる)に基づいて、前記透過物体に前記欠陥があるか否かを判断する欠陥判断ステップとを行う。
また、透過物体欠陥検査装置は、光を透過可能な透過物体の欠陥を検査する透過物体欠陥検査装置であって、前記透過物体の側面からなる平面に対し、前記透過物体の上面側から下面側にかけ複数の照射位置で、面垂直方向に光を照射する光照射部と、前記光照射部により前記平面に対し入射された前記複数の照射位置における各光が塵埃または欠陥により散乱された散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を信号にそれぞれ変換する信号変換部と、前記信号変換部がそれぞれ変換した前記各信号における所定の値が第1閾値以上である各信号の数に基づいて、前記透過物体に前記欠陥があるか否かを判断する欠陥判断部とを有する。
また、本発明の構成要素、または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明に含む。
開示の透過物体欠陥検査装置、透過物体欠陥検査方法によれば、検査対象が光のビーム径程度に薄く、曲がることが起こりうる場合および検査対象の厚みのばらつきが大きい場合においても安定した検査を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態1における透過物体欠陥検査装置の構成について以下に説明する。
本実施の形態1における透過物体欠陥検査装置の構成について以下に説明する。
図1は、本実施の形態1における透過物体欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。この透過物体欠陥検査装置1は、制御部(欠陥判断部,欠陥候補検出部,欠陥箇所判断部)11と、光源部(光照射部,照明部)12と、ミラー(光照射部,光偏向部)13と、ミラー駆動部(光照射部,光偏向部)14と、レンズ(光照射部)15と、ラインセンサカメラ(信号変換部)16と、カメラコントローラ(信号変換部)17と、ローラ駆動部18と、ロール181を有する。図1に示すシート2は、検査対象である。なお、図1に示す矢印は光軸を示し、点線矢印はミラー13の角度変更が行われた場合の光軸を示す。
制御部11は、光源部12、ミラー駆動部14、カメラコントローラ17およびローラ駆動部18の制御を行い、欠陥検査処理を行う。欠陥検査処理については後述する。
光源部12は、シート2へ入射させる光をミラー13に照射する。光源部12としては、シート2の側面に入射可能な光を照射できるものであれば何を用いてもよいが、レーザ状の光を照射するものが望ましい。また、ビーム径はシート2の厚み以下が望ましい。本実施の形態1における光源部12は、シート2の側面の厚さと同じビーム径の光を照射する。
ミラー13は、角度が変更可能な機構を有しており、角度変更されることにより、光源部12が照射した光を偏向する。例えば、ミラー13はガルバノミラー、AOD(Acusto Optical Deflector)およびポリゴンミラーである。本実施の形態1においては、ミラー13はガルバノミラーとする。
ミラー駆動部14は、ミラー13の角度変更を行う。ミラー駆動部14により、ミラー13の角度が変更されることにより、シート2の側面および側面が形成する平面(以後、端面と称する)に対し光が複数の照射位置で入射可能となる。このとき、各光の照射位置は一直線状に複数となる。ミラー駆動部14は、光がシート2の端面の厚さ方向に対し一定間隔で移動するよう角度変更を行う。光を移動させる一定間隔は適宜であるが、本実施の形態1においてはシート2の厚さと同等の間隔とする。図1に示されるP(0)は、ミラー駆動部14が、ミラー13を初期角度に設定した状態における光の照射位置である。このP(0)の位置を初期位置とする。初期位置P(0)は適宜であるが、本実施の形態1においては、シート2の側面に入射しない程度にシート2上面(ラインセンサカメラ16と対向する面)より上方の位置に設定する。ミラー駆動部14によりミラー13の角度変更が行われると、P(0)から下方へ一定間隔移動した状態の光の照射位置P(1)となる。本実施の形態1においては、ミラー駆動部14にミラー13の角度変更をN回繰り返させるとし、N回繰り返した後の光の照射位置をP(N)とする。
レンズ15は、ミラー13とシート2との間に配置され、ミラー13により偏向された光が入射されると、シート2の端面に対し、面垂直方向に光を入射させる。例えば、レンズ15はfθレンズであり、特にテレセントリックfθレンズが望ましい。
ラインセンサカメラ16は、シート2の端面に対し入射された光が埃21および欠陥22により散乱された散乱光を受光する1次元光センサアレイである。ミラー駆動部14による光の一定間隔の移動毎にシート2の撮像を行うことで信号として画像データを取得する。ラインセンサカメラ16は、シート2の幅方向全域を撮像できるものが望ましい。また、本実施の形態1におけるラインセンサカメラ16の画素数は(K)とする。なお、ラインセンサカメラ16を使用するとしているが、これに限定するものではなく、シート2の幅方向全域を撮像できるものであれば何を用いてもよい。
カメラコントローラ17は、ラインセンサカメラ16に対しシート2を撮像するよう制御し、信号として取得した画像データを制御部11へ伝送する。
シート2は、2本のロール181間に巻き掛けられ、ローラ駆動部18がこれら2本のロール181を回転駆動させることで、シート2の移動を行う。ローラ駆動部18は、制御部11がラインセンサカメラ16における撮像範囲である検査領域の欠陥検査を終えると、シート2を次の検査領域へ移動させる。この移動距離は、ラインセンサカメラ16の分解能以下の距離が望ましい。
シート2は、光を透過可能なシート状の検査対象であり、本実施の形態1においては、シート2の上面に埃21が付着しており、内部に欠陥22がある。
図2は、実施の形態1に係る制御部の機能ブロックを示す図である。図2に示されるように、制御部11は、照射部101と、駆動部102と、取得部103と、判断部104と、信号処理部105とを有する。
照射部101は、光源部12に対し光の照射を行わせる。駆動部102は、ミラー駆動部14によりミラー13の角度変更を行わせる。また、駆動部102は、ローラ駆動部18によりシート2の移動を行わせる。取得部103は、カメラコントローラ17によりラインセンサカメラ16を制御させ、ラインセンサカメラ16が撮像した画像データを、カメラコントローラ17を介して取得する。判断部104は、一つの検査領域において、光の照射位置P(N)までの撮像が全て終わったか否かの判断およびシート2の全検査領域の欠陥検査が終わったか否かの判断をする。信号処理部105は、取得部103が取得した画像データに基づいて後述する信号処理を行う。
図3は、実施の形態1に係る制御部のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)111と、メモリ112とを有する。CPU111は、制御部11の動作の制御を行う。メモリ112は、CPU111により使用され、データの読み出し、書き込み等が行われる。上述した各機能ブロックは、メモリ112に格納されているプログラムをCPU111が読み出し、実行することで実現される。
本実施の形態1における透過物体欠陥検査装置の動作について以下に説明する。
図4は、本実施の形態1に係る透過物体欠陥検査装置1における欠陥検査処理の動作を示すフローチャートである。まず、欠陥検査処理の開始の指示を受けると、照射部101は、光源部12に対し光の照射を行わせる(S101,光照射ステップ,照明ステップ)。光の照射後、駆動部102は、ミラー駆動部14によりミラー13の角度を変更させ、光の照射位置を初期位置P(0)へ設定させる(S102,光照射ステップ)。設定後、取得部103は、カメラコントローラ17によりラインセンサカメラ16でシート2を撮像させ、その画像データを取得し、取得した画像データを信号としてメモリ112に格納する(S103,信号変換ステップ)。この時、格納する画像データが、どの光の照射位置で撮像されたものかを判断可能とする。本実施の形態1においては、取得した画像データに対し、画像番号(n)が対応付けられる。光の照射位置が初期位置P(0)の場合、撮像された画像データには画像番号(0)が対応付けられる。本実施の形態1においては、ミラー駆動部14にミラー13の角度変更をN回繰り返させるため、N回繰り返した後の状態における画像データには画像番号(N)が対応付けられる。
画像データ格納後、判断部104は、検査領域における各光の照射位置の画像データを取り込み終えたか否かを、メモリ112に格納されている画像データの画像番号が(n)=(N)であるか否かにより判断する(S104)。(n)=(N)である場合(S104,YES)、信号処理部105は、信号処理を行う(S105,欠陥判断ステップ,欠陥候補検出ステップ,欠陥箇所判断ステップ)。信号処理については後述する。信号処理後、判断部104は、シート2の全ての検査領域に対し欠陥検査を行ったか否かを判断する(S106)。シート2の全ての検査領域を検査している場合(S106,YES)、本フローは終了となる。
一方、ステップS104において、(n)=(N)でない場合(S104,NO)、駆動部102は、ミラー駆動部14によりミラー13の角度を変更させ、光の照射位置を変更させる(S107)。光の照射位置変更後、再度ステップS103におけるシート2の撮像が行なわれる。ステップS106において、シート2の全ての領域を検査していない場合(S106,NO)、駆動部102は、ローラ駆動部18によりシート2を次の検査領域まで移動させ(S108)、再度ステップS102における光の照射位置の初期位置P(0)への設定が行われる。
次に、信号処理について説明する。図5は、本実施の形態1に係る透過物体欠陥検査装置における1つの検査領域で取得された画像データを説明するための図である。図5に示すように、信号として取得された画像データ4は、縦に光の照射位置、横に画素番号(k)をとり、各光の照射位置および画素番号(k)における信号の所定の値における強さで示される。所定の値は、例えば階調値である。以後、信号の所定の値の強さを信号強度と称する。画素番号(k)は、(0)からラインセンサカメラの画素数である(K)まであり、それぞれがシート2の検査領域における一部の領域(以後、単位領域と称する)を示すものである。画素番号(0)から(K)までを合せると、シート2の検査領域となる。なお、レンズ15に最も近い位置にあるシート2の単位領域は画素番号(0)であり、最も遠い位置にあるシート2の単位領域は画素番号(K)である。
図5に示す41は、埃21及び欠陥22が無いシート2の単位領域を示す画素番号の画像データである。42は、埃21が付着しているシート2の単位領域を示す画素番号の画像データである。43は、欠陥22があるシート2の単位領域を示す画素番号の画像データである。44は、埃21に対し光が照射された照射位置を示す。45は、シート2の側面に対し光が照射された照射位置を示す。46は、最も高い信号強度を示し、47は、46より低い信号強度を示す。48は、47より低い信号強度を示し、49は48より低い信号強度を示す。信号強度46、47、48および49以外の部分については、信号強度49より低い信号強度を示す。
図5に示されるように、埃21および欠陥22がない画像データ41については一様に低い信号強度を示すが、埃21および欠陥22がある画像データ42および43については一様に高い信号強度を示す。欠陥22は、光がシート2の側面に入射した場合に散乱光が生じる。このことから、画像データ43に示すように、光の照射位置45においては信号強度46を示す。なお、画像データ43では、光の照射位置45以外の照射位置においても信号強度47および48が示されているが、これはレーザ状の光においても光は広がり、低い信号強度の散乱光が検出されるためである。一方、埃21は、光がシート2の側面に入射しない場合に散乱光が生じる。このことから、画像データ42に示すように、光の照射位置44においては信号強度46を示し、光の照射位置45においては信号強度49を示す。また、埃21はシート2の上面に付着しているため、光の照射位置44より上(初期位置P(0)の方向)における光の照射位置においては信号強度47となり、光の照射位置45より下における光の照射位置においては信号強度48となる。
上述した埃21および欠陥22の特徴に基づき、本実施の形態1における信号処理においては、信号強度に対し閾値SL1および閾値SL2を設定する。閾値SL1および閾値SL2が設定されることにより、埃21および欠陥22がある画像番号(k)が判断でき、埃21と欠陥22の区別を行うことが可能となる。以下に、図を用いて閾値SL1および閾値SL2を説明する。
図6(a)は、画像データ41の信号強度と照射位置の関係を説明するための図である。図6(b)は、画像データ42の信号強度と照射位置の関係を説明するための図である。図6(c)は、画像データ43の信号強度と照射位置の関係を説明するための図である。図6(a),6(b)および6(c)に示す6は、シート2の側面に対する光の照射位置を示す。画像データ41は、図6(a)に示すように、埃21および欠陥22による散乱光が無いため、信号強度は閾値SL1より一様に低い。画像データ42は、図6(b)に示すように、初期位置P(0)付近においては埃21があるため、閾値SL1より高い信号強度を示す光の照射位置が多い。また、画像データ42は、シート2の側面における光の照射位置6では信号強度が低くなり、光の照射位置P(N)に近くなるにつれ信号強度が高くなる。画像データ43は、図6(c)に示すように、光の照射位置6においてのみ信号強度が高くなる。このように、埃21および欠陥22がある画像データにおいては、信号強度が高くなる。このことから、閾値SL1を設定することにより、埃21および欠陥22がある画像番号を判断することができる。
しかしながら、閾値SL1の設定のみでは埃21と欠陥22とを区別することは不可能である。このため、本実施の形態1における信号処理においては、閾値SL1に加え閾値SL2を設定する。図6(b)に示すように、画像データ42の信号強度は、閾値SL1以上における領域の幅(照射位置の範囲)は広い。一方、図6(c)に示すように、画像データ43の信号強度は、閾値SL1以上における領域の幅は狭い。このことから、信号強度の高い領域の幅の広さの違いによって埃21と欠陥22とを区別することが可能である。この区別を行う閾値が閾値SL2である。
以上のことから、本実施の形態1における信号処理は、閾値SL1および閾値SL2を設定し、1つの画素番号(k)において、閾値SL1以上である光の照射位置の個数を算出し、その個数が閾値SL2以下であり且つ0以外である場合、1つの画素番号(k)を欠陥とする処理である。この信号処理により、図7に示すような、画像データ43のみを抽出することができ、埃21と欠陥22とを区別して欠陥検査を行うことができる。
信号処理の動作を、フローを用いて説明する。本実施の形態1においては、信号強度を階調値の強さとし、閾値SL1を階調値の閾値として説明を行う。なお、信号強度を階調値の強さに限定するものではなく、散乱光の強弱が判断できるものであれば何を用いてもよい。図8は、本実施の形態1に係る透過物体欠陥検査装置1における信号処理の動作を示すフローチャートである。まず、信号処理部105は、閾値SL1および閾値SL2を設定する(S201)。この閾値SL1およびSL2は、予めメモリ112に記憶されている値であり、シート2の材料等により適宜設定の変更が可能である。なお、ステップS201にて、図示しないキーボード等の入力装置により別途入力してもよい。閾値設定後、信号処理部105は、取得部103が取得した画像番号(n)における画素番号(k)の信号(n,k)の階調値I(n,k)が閾値SL1以上であるか否かを判断する、所謂二値化処理を行う(S202)。
階調値I(n,k)が閾値SL1以上である場合(S202,YES)、信号処理部105は、信号(n,k)を欠陥候補とし、1を付加することで二値化処理結果J(n,k)とする(S203)。付加後、信号処理部105は、全ての画像番号(n)の比較が完了したか否かを(n)=(N)であるか否かにより判断する(S204)。(n)=(N)である場合(S204,YES)、信号処理部105は、(N)個分ある二値化処理結果J(n,k)における欠陥候補の数の合計ΣJ(n,k)が閾値SL2以下であり且つ0以外であるか否かの判断をする(S205)。
ΣJ(n,k)が閾値SL2以下であり且つ0以外で無い場合(S205,NO)、信号処理部105は、閾値SL2による判断結果R(k)を正常とし、R(k)に対し0(ゼロ)を付加してメモリ112にこの情報を格納する(S206)。格納後、信号処理部105は、ラインセンサカメラ16の全ての画素番号(k)の比較が完了したか否かを(k)=(K)であるか否かにより判断をする(S207)。(k)=(K)である場合(S207,YES)、本フローは終了となる。
一方、ステップS202において、階調値I(n,k)が閾値SL1未満である場合(S202,NO)、信号処理部105は、信号(n,k)に対し0を付加し、二値化処理結果J(n,k)とする(S208)。付加後、信号処理部105は、ステップS204の全ての画像番号(N)の比較が完了したか否かを判断する。ステップS204において、(n)=(N)でない場合(S204,NO)、信号処理部105は、画像番号(n)の次の画像番号(n+1)を画像番号(n)とし(S209)、再度ステップS202の階調値I(n,k)が閾値SL1以上であるか否かを判断する。
ステップS205において、ΣJ(n,k)が閾値SL2以下であり且つ0以外である場合(S205,YES)、信号処理部105は、閾値SL2による判断結果R(k)を欠陥とし、R(k)に対し1を付加してメモリ112にこの情報を格納する(S210)。格納後、信号処理部105は、ステップS207のラインセンサカメラ16の全ての画素番号(k)の比較が完了したか否かを判断する。ステップS207において、(k)=(K)でない場合(S207,NO)、信号処理部105は、画素番号(k)の次の画素番号(k+1)を画素番号(k)とするとともに画像番号(n)を(0)としたものを画像番号(n)とし(S211)、再度ステップS202の階調値I(n,k)が閾値SL1以上であるか否かを判断する。
本実施の形態1においては、駆動部102は、ローラ駆動部18により光が入射される検査領域の欠陥検査後にシート2を次の検査領域へ移動させた。しかしながら、ミラー駆動部14による光の一定間隔の移動における速度(以後、光の偏向速度と称する)に対して十分遅い速度でシート2を移動させ続けてもよい。この場合、十分遅い速度はラインセンサカメラ16の分解能に沿った設定を行うことが望ましく、未検査領域がないように欠陥検査を行うことができる速度がよい。また、駆動部102が、ミラー駆動部14によりミラー13の角度変更を連続的に行い、光がシート2の厚み程度を通過する速度とラインセンサカメラの1ライン分の撮像時間(ラインレート)を合わせるように撮像を行ってもよい。この場合、光の偏向速度はラインセンサカメラ16で撮像可能な速度とする。
また、本実施の形態1において、光源部12は、制御部11により制御されることとしたが、制御部11によらず、検査時に作業者によりON/OFFされることとしてもよい。また、光源部12、ミラー13、ミラー駆動部14およびレンズ15の代わりに図9に示すような光源部121を用いてもよい。光源部121は、例えばLD(Laser Diode)アレイまたはLED(Light Emitting Diode)アレイである。光源部121は、縦方向にLDまたはLEDが配置されており、図示しない制御部により光の照射位置を変更することが可能である。この光源部121を用いることで、光源部12、ミラー13、ミラー駆動部14およびレンズ15を用いずとも光の照射位置を変更することが可能となる。
また、光源部12、ミラー13、ミラー駆動部14およびレンズ15の代わりに図10(a)および(b)に示すような光源部122を用いてもよい。図10(a)は光源部122を側面よりみた斜視図、図10(b)は光源部122の正面図である。光源部122は、光ファイバ123と、光ファイバ出射口124と、光ファイバ出射口124の前面に配置された回転板125とを有する。回転板125にはスリット126が設けられている。この光源部122を用いることで、光ファイバ123から伝送される光を光ファイバ出射口124によりライン状に照射し、回転板125を図示しない駆動部により回転させることで光の照射位置を変更するようにしてもよい。
本実施の形態1によれば、シート2の端面に対し、光を複数の照射位置から面垂直方向に入射させることができるため、シート2が光のビーム径程度に薄く、曲がることが起こりうる場合および検査対象の厚みのばらつきが大きい場合においても安定して欠陥検査を行うことが可能となる。また、シート2の端面に対し、光を複数の照射位置から面垂直方向に入射させる構成に加え、閾値SL1および閾値SL2を用いた信号処理を行うことにより、埃21および欠陥22の区別を行うことができ、正確な欠陥検査を行うことができる。また、シート2の端面の位置の検出器等を用いる必要が無いため、この検出器を用いる場合と比べ、高速に欠陥検査を行うことが可能となる。
<実施の形態2>
上述した実施の形態1における透過物体欠陥検査装置1は、ミラー13およびミラー駆動部14により光を偏向させることでシート2の端面に対し、複数の照射位置で順に光の照射を行った。これに対し、本実施の形態2における透過物体欠陥検査装置は、回折格子を用いて光を分光し、各波長に分光された光をシート2の端面に対して一度に複数の照射位置で入射させる。このことにより、埃21および欠陥22に対し異なる波長の光が照射されるため、埃21および欠陥22により散乱された散乱光における波長の違いから埃21および欠陥22を判断する。
上述した実施の形態1における透過物体欠陥検査装置1は、ミラー13およびミラー駆動部14により光を偏向させることでシート2の端面に対し、複数の照射位置で順に光の照射を行った。これに対し、本実施の形態2における透過物体欠陥検査装置は、回折格子を用いて光を分光し、各波長に分光された光をシート2の端面に対して一度に複数の照射位置で入射させる。このことにより、埃21および欠陥22に対し異なる波長の光が照射されるため、埃21および欠陥22により散乱された散乱光における波長の違いから埃21および欠陥22を判断する。
まず、本実施の形態2における透過物体欠陥検査装置の構成について説明する。図11は、本実施の形態2における透過物体欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。この透過物体欠陥検査装置7は、制御部(欠陥判断部,欠陥候補検出部,欠陥箇所判断部)71と、光源部(光照射部,照明部)72と、回折格子(光照射部,第1分光部,第2分光部)73aおよび73bと、レンズ(光照射部)15と、結像レンズ74と、CCD(Charge Coupled Device:信号変換部)75と、ローラ駆動部18と、ロール181とを有する。なお、図11に示す矢印は光の軌道を示す。また、本実施の形態2における各図において、実施の形態1の各図と同一符号のものは、同一又は同等のものを示しており、重複する説明は省略する。
制御部71は、光源部72、CCD75およびローラ駆動部18の制御を行い、欠陥検査処理を行う。本実施の形態2における欠陥検査処理については後述する。
光源部72は、シート2へ入射させる光を回折格子73に照射する。光源部72としては、シート2の側面に入射可能な光を照射できるものであれば何を用いてもよいが、白色レーザ光等を照射可能な白色光源を用いることが望ましい。
回折格子73aは、光源部72から照射される光をシート2の厚さ方向に対し複数の波長の光に分光し、分光された光(以後、第1回折光と称する)をレンズ15に入射させる。本実施の形態2においては、複数の波長に分光された各第1回折光が実施の形態1における光の照射位置P(0)からP(N)に対応するようにする。図11に示すλ(0)がシート2の上面方向における最も上方に位置する光の波長であり、λ(Y)がシート2の下面方向における最も下方に位置する光の波長である。回折格子73bは、結像レンズ74にて結像されたシート2の検査領域における散乱光を複数の波長の光に分光し、分光された光(以後、第2回折光と称する)をCCD75の縦方向yに対し入射させる。
結像レンズ74は、シート2と回折格子73bとの間に設置され、シート2の検査領域における散乱光を回折格子73bへ結像させる。結像レンズ74の倍率については後述する。
CCD75は、第2回折光を受光し、信号として画像データを取得する2次元光センサアレイである。CCD75は、横方向xでシート2の検査領域に対応する第2回折光を取得し、縦方向yで各波長別の第2回折光を取得する。本実施の形態2におけるCCD75横方向xにおける画素数は(X)とし、縦方向yにおける画素数は(Y)とする。CCD75は、信号として取得した第2回折光に対し波長感度曲線による補正を行う。なお、本実施の形態2においては、CCD75を使用するとしているが、これに限定するものではなく、波長感度曲線による補正が可能であり、後述する欠陥検査処理を行える信号を取得できる2次元光センサアレイであれば何を用いてもよい。
図12は、実施の形態2に係る制御部の機能ブロックを示す図である。図12に示されるように、制御部71は、照射部701と、取得部702と、信号処理部703と、判断部704と、駆動部705とを有する。
照射部701は、光源部72に対し光の照射を行わせる。取得部702は、CCD75から画像データを取得する。また、取得部702は、CCD75に対し、波長感度曲線を用いて受光した第2回折光を補正させる。信号処理部703は、取得部702が取得した画像データに基づいて後述する信号処理を行う。判断部704は、シート2の全検査領域の欠陥検査が終わったか否かの判断をする。駆動部705は、ローラ駆動部18によりシート2の移動を行わせる。実施の形態2に係る制御部71のハードウェア構成は実施の形態1における制御部11と同様であるため、説明は省略する。
次に、本実施の形態2における回折格子73aおよび73b、レンズ15およびCCD75の位置関係および構成についてシート2の厚さを含めて説明を行う。
まず、回折格子73aの位置について説明する。光源部72から回折格子73aへの光の入射角度をα1とし、波長λの第1回折光が回折格子73aの法線となす回折角をβ1とすると、次式の関係となる。
sinα1+sinβ1=N1mλ・・・・(1)
ここで、N1は、回折格子73aの1mmあたりの溝の本数であり、mは、回折次数を示す。ここで、回折次数は、m=1が望ましい。このことから、本実施の形態2においては、回折格子73aに対してm=1つまり+1次光の方向にレンズ15を配置する。以下に回折次数m=1の定義を説明する。
回折格子73aおよび73bにおいて光を分光するといくつものスペクトルができる。この複数のスペクトルにおける1つのスペクトルを回折次数mで表し、m次光と称する。このm次光と隣接するm次光とが重ならない領域を本実施の形態2においては使用する。1つのm次光における波長λaを短い波長側の端とすると、波長λaを有するm次光と隣接するm次光においてλaと重ならない長い波長側の端における波長λbは次式で示すことができる。
λa=(λb/m)+λa・・・(2)
この式に基づき、波長の変化量を最も広くとれる回折次数の値が1であると判断できる。なお、m=2以上の場合、m次光同士の波長が重なる。
シート2の端面上において、シート2の厚さ方向における距離に対する波長の別れ具合を波長変化率とする。回折格子73aの位置は、この波長変化率を考慮する必要がある。まず、回折格子73aとレンズ15との距離は、レンズ15の焦点距離fに設定する。なお、レンズ15を用いるため、第1回折光がレンズ15に到達した時の波長変化率が、第1回折光がレンズ15の通過後にシート2の端面に入射する時においても維持される。シート2の端面に対し入射される第1回折光の位置をh1とし、第1回折光の波長をλで表わすと、波長変化率(単位長さあたりの波長の変化量)をdλ/dh1で示すことができる。この波長変化率は、回折格子73aの仕様(N)、回折角(β)および回折格子73aからレンズ15との距離fおよび使用する回折次数mにより、次式の関係となる。
dλ/dh1=cosβ1/N1mf・・・・(3)
ここで、シート2の厚さをtとし、シート2の厚さに相当する厚さ方向における波長の変化量をΔλ1とすると、Δλ1は次式のようになる。
Δλ1=dλt/dh1=cosβ1t/N1mf・・・・(4)
本実施の形態2にいては、シート2の側面に入射される光の波長と側面以外の端面に入射される光の波長とが異なっていることが望ましい。これは、シート2の表面に付着している埃21とシート2が有する欠陥22とで異なる波長の第1回折光を照射する必要があるためである。従って、Δλ1をシート2の厚さに相当させる必要がある。第2回折光が結像される位置に配置したCCD75上の縦方向yにおける1つの画素サイズをΔyとする。なお、Δyは分解能に相当する。回折格子73aおよび73b、レンズ15およびCCD75は、Δλ1がΔy程度のサイズとなるよう配置することが望ましい。
次に、回折格子73bの位置について説明する。結像レンズ74から回折格子73bへの入射角度をα2とし、波長λの回折光が回折格子73bの法線となす回折角をβ2とすると、次式の関係となる。
sinα2+sinβ2=N2mλ・・・・(5)
ここで、N2は、回折格子73bの1mmあたりの溝の本数であり、mは、回折次数を示す。回折次数mは、回折格子73aと同様、m=1が望ましい。このことから、本実施の形態2においては、回折格子73bに対して+1次光の方向にCCD75を配置する。回折格子73bとCCD75との距離をLとし、Δyに相当する波長の変化量をΔλ2とすると、Δλ2は次式のようになる。
Δλ2=dλΔy/dh2=cosβ2Δy/N2m2L・・・・(6)
この波長範囲Δλ2がシート2の厚さtとなるよう回折格子73bを配置する。
ここで、結像レンズ74の倍率について説明する。CCD75上の横方向xにおける1つの画素サイズをΔxとする。なお、Δxは分解能に相当する。CCD75上に結像された第2回折光(以後、像と称する)の結像サイズを決定する結像レンズ74の倍率は、Δxをシート2のそのままのサイズに相当させるか否かにより決定する。所謂シート2をどの程度の分解能で検査を行うかにより、どの倍率の結像レンズ74を用いるかを決定する。この倍率の値については、検出を行う欠陥22のサイズにより決定することが望ましい。欠陥22の形状を検査する場合においては、Δxが、欠陥22のサイズより小さいサイズになるような倍率となる光学系を構成する。一方、欠陥22の形状を検査しない場合においては、Δxが、欠陥22のサイズより大きいサイズになるような倍率となる光学系を構成する。
CCD75に結像される像は、縦方向yについても結像レンズ74の倍率により影響を受ける。単一波長を受光した場合には、シート2上におけるCCD75の分解能に対応する例えば正方形の領域が、Δxを一辺とする正方形の領域に結像される。波長毎に縦方向yにCCD75の結像位置がずれる場合、波長が連続であるため、CCD75の縦方向yにおける隣の画素に影響を与えることになる。この影響の度合いは、CCD75の1つの画素の形状にも影響を受ける。1つの画素の形状としては、正方素子および長方形の素子(以後、長方素子と称する)がある。
本実施の形態2においては、CCD75は正方素子を有し、シートの厚さtに相当するΔλ1とΔyに相当するΔλ2との関係を式(7)Δλ1=Δλ2とすることが望ましい。このことから、式(8)が求められる。
Δλ1=Δλ2・・・・(7)
cosβ1t/N1m1f=cosβ2Δy/N2m2L・・・・(8)
以上のことから、本実施の形態2における回折格子73aおよび73b、レンズ15およびCCD75は、式(7)および式(8)を満足する位置関係および構成とする。
また、CCD75には正方素子を有するものが望ましいとしたが、縦方向yに長い長方素子を用いたとしても、欠陥22が1つの波長の光でのみ散乱光を生じさせるわけではないため、後述する欠陥検査処理を行うことは可能である。
本実施の形態2における透過物体欠陥検査装置の動作について以下に説明する。
図13は、本実施の形態2に係る透過物体欠陥検査装置における欠陥検査処理の動作を示すフローチャートである。まず、欠陥検査処理の開始の指示を受けると、照射部701は、光源部72に対し光の照射を行わせる(S301,光照射ステップ,照明ステップ,第1分光ステップ,第2分光ステップ)。光の照射後、取得部702は、CCD75に第2回折光を画像データとして取得させ(S302,信号変換ステップ)、CCD75に対し波長感度曲線を用いて取得した画像データを補正させる(S303,信号変換ステップ)。補正後、取得部702は、CCD75から画像データを取得し、取得した画像データを信号としてメモリ112に格納する(S304,信号変換ステップ)。
画像データ格納後、信号処理部703は、信号処理を行う(S305,欠陥判断ステップ,欠陥候補検出ステップ,欠陥箇所判断ステップ)。信号処理については後述する。信号処理後、判断部704は、シート2の全ての検査領域に対し欠陥検査を行ったか否かを判断する(S306)。シート2の全ての検査領域を検査している場合(S306,YES)、本フローは終了となる。一方、ステップS306において、シート2の全ての領域を検査していない場合(S306,NO)、駆動部705は、ローラ駆動部18によりシート2を次の検査領域まで移動させ(S307)、再度ステップS302における第2回折光の取得が行われる。
図14は、本実施の形態2に係る透過物体欠陥検査装置における1つの検査領域で取得された画像データを説明するための図である。図14に示すように、信号として取得された画像データ8は、縦に縦方向yの画素番号(y)、横に横方向xの画素番号(x)をとり、各画素番号(y)および画素番号(x)における信号の所定の値における強さで示される。所定の値は、例えば階調値である。以後、信号の所定の値における強さを信号強度と称する。画素番号(x)は、(0)からCCD75の横方向xの画素数である(X)まであり、それぞれがシート2の検査領域における単位領域を示すものである。画素番号(0)から(X)までを合せると、シート2の検査領域となる。なお、レンズ15に最も近い位置にあるシート2の単位領域は画素番号(0)であり、最も遠い位置にあるシート2の単位領域は画素番号(X)である。画素番号(y)は、(0)からCCD75の縦方向yの画素数である(Y)まであり、それぞれがシート2の端面に対し入射された各波長を示すものである。画素番号(y)における(0)が第1回折光の波長λ(0)、(Y)が第1回折光の波長λ(Y)に対応している。
図14に示す81は、埃21及び欠陥22が無いシート2の単位領域を示す画素番号(x)の画像データである。82は、埃21が付着しているシート2の単位領域を示す画素番号(x)の画像データである。83は、欠陥22があるシート2の単位領域を示す画素番号(x)の画像データである。84は、埃21に対し照射された第1回折光の波長を示す。85は、シート2の側面に対し照射された第1回折光の波長を示す。
図14に示すように、本実施の形態2においても実施の形態1と同様、埃21および欠陥22がない画像データ81については一様に低い信号強度を示すが、埃21および欠陥22がある画像データ82および83については一様に高い信号強度を示す。また、画像データ81および82において、信号強度の違いが生じるため、図15(a)、図15(b)および図15(c)に示すように、本実施の形態2においても閾値SL1を設定することで埃21および欠陥22がある画素番号(x)を判断できる。また、図15(b)および(c)に示すように、埃21および欠陥22の閾値SL1以上における領域の幅(照射位置の範囲)に違いが生じるため、本実施の形態2においても閾値SL2を設定することで埃21と欠陥22とを区別できる。閾値SL1および閾値SL2を設定することにより、図16に示すような、画像データ83のみを抽出することができ、埃21と欠陥22とを区別して欠陥検査ができる。
信号処理の動作を、フローを用いて説明する。本実施の形態2においては、信号強度を階調値の強さとし、閾値SL1を階調値の閾値として説明を行う。なお、信号強度を階調値の強さに限定するものではなく、散乱光の強弱が判断できるものであれば何を用いてもよい。図17は、本実施の形態2に係る透過物体欠陥検査装置における信号処理の動作を示すフローチャートである。まず、信号処理部703は、閾値SL1および閾値SL2を設定する(S401)。この閾値SL1およびSL2は、予めメモリ112に記憶されている値であり、シート2の材料等により適宜設定の変更が可能である。なお、ステップS401にて、図示しないキーボード等の入力装置により別途入力してもよい。閾値設定後、信号処理部703は、取得部702が取得した画素番号(y)における画素番号(x)の信号(x,y)の階調値I(x,y)が閾値SL1以上であるか否かを判断する、所謂二値化処理を行う(S402)。
階調値I(x,y)が閾値SL1以上である場合(S402,YES)、信号処理部703は、信号(x,y)を欠陥候補とし、1を付加することで二値化処理結果J(x,y)とする(S403)。付加後、信号処理部703は、縦方向yにおける全ての画素番号(y)の比較が完了したか否かを(y)=(Y)であるか否かにより判断する(S404)。(y)=(Y)である場合(S404,YES)、信号処理部703は、(Y)個分ある二値化処理結果J(x,y)における欠陥候補の数の合計ΣJ(x,y)が閾値SL2以下であり且つ0以外であるか否かの判断をする(S405)。
ΣJ(x,y)が閾値SL2以下であり且つ0以外で無い場合(S405,NO)、信号処理部703は、閾値SL2による判断結果R(x)を正常とし、R(x)に対し0(ゼロ)を付加してメモリ112にこの情報を格納する(S406)。格納後、横方向xにおける全ての画素番号(x)の比較が完了したか否かを(x)=(X)であるか否かにより判断する(S407)。(x)=(X)である場合(S407,YES)、本フローは終了となる。
一方、ステップS402において、階調値I(x,y)が閾値SL1未満である場合(S402,NO)、信号処理部703は、信号(x,y)に対し0を付加し、二値化処理結果J(x,y)とする(S408)。付加後、信号処理部703は、ステップS404の横方向yにおける全ての画素番号(Y)の比較が完了したか否かを判断する。ステップS204において、(y)=(Y)でない場合(S404,NO)、信号処理部703は、画素番号(y)の次の画素番号(y+1)を画素番号(y)とし(S409)、再度ステップS402の階調値I(x,y)が閾値SL1以上であるか否かを判断する。
ステップS405において、ΣJ(x,y)が閾値SL2以下であり且つ0以外である場合(S405,YES)、信号処理部703は、閾値SL2による判断結果R(x)を欠陥とし、R(x)に対し1を付加してメモリ112にこの情報を格納する(S410)。格納後、信号処理部703は、ステップS407の横方向xにおける全ての画素番号(x)の比較が完了したか否かを判断する。ステップS407において、(x)=(X)でない場合(S407,NO)、信号処理部703は、画素番号(x)の次の画素番号(x+1)を画素番号(x)とするとともに画素番号(y)を(0)としたものを画素番号(y)とし(S411)、再度ステップS402の階調値I(x,y)が閾値SL1以上であるか否かを判断する。
なお、本実施の形態2において、光を分光する手段として回折格子83aおよび83bを用いて説明を行ったが、回折格子83aおよび83bに代わりプリズムを用いて分光を行うようにしてもよい。また、信号処理部703におけるステップS401の閾値の設定をステップS301の光の照射前に行うようにしてもよい。また、CCD75に、信号として取得した第2回折光に対し波長感度曲線による補正を行わせるとしたが、制御部71がこれを行うようにしてもよい。
本実施の形態2によれば、光を回折格子73aおよび73bを用いて分光させ、シート2の端面に対しシート2の厚さ方向に異なる波長の光が照射できる。このことにより、埃21および欠陥22により散乱された散乱光における波長の違いから埃21および欠陥22を判断でき、実施の形態1と同様、安定した欠陥検査を行うことができる。また、回折格子83aおよび83bを用いることで、光の照射位置を偏向する駆動機構を用いず、欠陥検査を行うことができる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
1 透過物体欠陥検査装置、2 シート、7 透過物体欠陥検査装置、11 制御部、12 光源部、13 ミラー、14 ミラー駆動部、15 レンズ、16 ラインセンサカメラ、17 カメラコントローラ、18 ローラ駆動部、71 制御部、72 光源部、73a,73b 回折格子、74 結像レンズ、75 CCD。
Claims (6)
- 光を透過可能な透過物体の欠陥を検査する透過物体の欠陥検査方法であって、
前記透過物体の側面からなる平面に対し、前記透過物体の上面側から下面側にかけ複数の照射位置で、面垂直方向に光を照射する光照射ステップと、
前記光照射ステップにより前記平面に対し入射された前記複数の照射位置における各光が塵埃または欠陥により散乱された散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を信号にそれぞれ変換する信号変換ステップと、
前記信号変換ステップがそれぞれ変換した前記各信号における所定の値が第1閾値以上である各信号の数に基づいて、前記透過物体に前記欠陥があるか否かを判断する欠陥判断ステップと、
を備える透過物体の欠陥検査方法。 - 請求項1に記載の透過物体の欠陥検査方法において、
前記欠陥判断ステップは、
前記所定の値が前記第1閾値以上である前記信号を欠陥候補とし、前記各信号分の欠陥候補を検出する欠陥候補検出ステップと、
前記欠陥候補検出ステップにより検出された前記各信号における欠陥候補の合計が第2閾値以下且つ0以外の場合、前記各散乱光が出射した前記透過物体の箇所が前記欠陥を有すると判断する欠陥箇所判断ステップと、
を備える透過物体の欠陥検査方法。 - 請求項1または請求項2に記載の透過物体の欠陥検査方法において、
前記光照射ステップは、
前記光を照射する照明ステップと、
前記複数の照射位置で前記光を照射できるよう、前記照明ステップにより照射された光を偏向し、前記光を前記透過物体の上面側から下面側または下面側から上面側にかけ垂直に移動させる光偏向ステップとを備え、
前記信号変換ステップは、前記光偏向ステップにより変更される前記複数の照射位置毎に前記散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を前記信号にそれぞれ変換する透過物体の欠陥検査方法。 - 請求項1または請求項2に記載の透過物体の欠陥検査方法において、
前記光照射ステップは、
光を照射する照明ステップと、
前記照明ステップにより照射された光を複数の波長の光に分光させ、前記分光した光を前記透過物体の上面側から下面側にかけてそれぞれ前記複数の照射位置で前記平面に対し、一度に面垂直方向に入射させる第1分光ステップと、
前記第1分光ステップにより前記平面に対し入射された前記複数の照射位置における前記散乱光を複数の波長の散乱光に分光させる第2分光ステップとを備え、
前記信号変換ステップは、前記第2分光ステップにより分光された前記複数の波長の散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を前記信号にそれぞれ変換する透過物体の欠陥検査方法。 - 請求項4に記載の透過物体の欠陥検査方法において、
前記信号変換ステップは、縦方向および横方向で複数の画素を有する2次元光センサアレイを用いて前記第2分光ステップにより分光された前記複数の波長の散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を前記信号にそれぞれ変換を行うステップであり、
前記2次元光センサアレイにおける縦方向の1つの画素のサイズと、前記透過物体の側面における縦方向の距離とを同等とする透過物体の欠陥検査方法。 - 光を透過可能な透過物体の欠陥を検査する透過物体欠陥検査装置であって、
前記透過物体の側面からなる平面に対し、前記透過物体の上面側から下面側にかけ複数の照射位置で、面垂直方向に光を照射する光照射部と、
前記光照射部により前記平面に対し入射された前記複数の照射位置における各光が塵埃または欠陥により散乱された散乱光を受光し、前記複数の照射位置における各散乱光を信号にそれぞれ変換する信号変換部と、
前記信号変換部がそれぞれ変換した前記各信号における所定の値が第1閾値以上である各信号の数に基づいて、前記透過物体に前記欠陥があるか否かを判断する欠陥判断部と、
を備える透過物体欠陥検査装置。
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