JP2010223609A - 皮膚内成分量の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚内部の特定の部位における皮膚内成分量がどのように変化したかを正確に評価することができる、皮膚内成分量の評価方法を提供する。
【解決手段】a) 測定対象の皮膚に対して皮膚内成分量を測定する工程と、
b) 工程a)で得たデータから皮膚の深さ方向に関する皮膚内成分量の情報を得る工程と、
c) 皮膚の角層の厚さを乾燥状態の厚さに近似することによって、測定対象の皮膚における角層の皮膚表面からの深さを補正する工程と、
d) 工程b)で得た情報を工程c)で補正された深さに対する皮膚内成分量の情報として補正する工程と、
を含む、皮膚内成分量の評価方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚内成分量の測定方法に関する。
皮膚は、水分、蛋白質、脂質、水溶性保水成分(アミノ酸類、有機酸類、無機塩類等)である天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)等で構成されている。環境中の湿度変化や洗顔・入浴などにより、皮膚角層中の水分量、NMF量は大きく変動する。このような変化を的確に把握することは、医薬品・化粧品・身体洗浄剤・入浴剤・食器洗浄剤・各種洗浄剤・空調設備機器・機能性衣料・機能性寝具・エステティック機器・エステティック手法等の開発を行う上で非常に有用である。
また皮膚に付与した医薬品や化粧品の有効成分が、皮膚にどのように浸透するか把握することも、医薬品・化粧品・身体洗浄剤・入浴剤・食器洗浄剤・各種洗浄剤・空調設備機器・機能性衣料・機能性寝具・エステティック機器・エステティック手法等の開発を行う上で非常に有用である。
皮膚の水分量、NMF量等の測定方法としては、高周波電気伝導度法(例えば、スキコン(商品名、アイ・ビー・エス社製)を用いた方法)、高周波電気容量法(例えば、コルネオメーター(商品名、インテグラル社製)を用いた方法)、時間領域反射法(TDR法)、減衰全反射赤外吸収法(IR−ATR法)、近赤外拡散反射法、テープ剥離法等が従来用いられてきた。
さらに近年、共焦点顕微ラマン分光法により、皮膚内部の水分量、NMF量、薬剤浸透量等の深さ方向での分布が計測できるようになった(例えば、特許文献1〜2参照)。
特開2008−188302号公報 国際公開第2007/026325号パンフレット
しかし、角層の厚さは角層の水分が増えると厚くなり、角層の水分が減ると薄くなる。例えば湿度10%R.H.において厚さ15μmの角層が、湿度90%R.H.にて厚さ20μmに変化した場合、湿度10%R.H.での皮膚表面から深さ10μmでの計測データと、湿度90%R.H.での皮膚表面から深さ10μmでの計測データを比較しても、角層の同じ部位(同じ角層細胞の近傍)で水分量、NMF量、薬剤浸透量がどのように増減したかを正確に評価することはできない。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、環境に依存して変化する角層の厚さに影響されることなく皮膚内部の特定の部位における皮膚内成分量がどのように変化したかを正確に評価することができる、皮膚内成分量の評価方法を提供することを課題とする。また、本発明は、環境に依存して変化する角層の厚さに影響されることなく皮膚内部の特定の部位における皮膚内成分量を正確に表示することができる、皮膚内成分量の表示方法及び皮膚内成分量表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、皮膚内成分量の評価方法において、角層の厚さを角層乾燥時の厚さに補正して皮膚内成分量を表示することで、環境に依存して変化する角層の厚さに影響されることなく皮膚内成分量がどのように変化したかを正確に評価することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づきなされるに至ったものである。
本発明は、
a) 測定対象の皮膚に対して皮膚内成分量を測定する工程と、
b) 工程a)で得たデータから皮膚の深さ方向に関する皮膚内成分量の情報を得る工程と、
c) 皮膚の角層の厚さを乾燥状態の厚さに近似することによって、測定対象の皮膚における角層の皮膚表面からの深さを補正する工程と、
d) 工程b)で得た情報を工程c)で補正された深さに対する皮膚内成分量の情報として補正する工程と、
を含む、皮膚内成分量の評価方法に関する。
また、本発明は、前記評価方法で得られた、補正された角層深さに対する補正された皮膚内成分量の関係を表示する工程を含む、皮膚内成分量の表示方法に関する。
さらに、本発明は、前記評価方法で得られた、補正された角層深さに対する補正された皮膚内成分量の関係を表示する手段を備える、皮膚内成分量表示装置に関する。
本発明の皮膚内成分量の評価方法によれば、環境に依存して変化する角層の厚さに影響されることなく皮膚内部の特定の部位における皮膚内成分量がどのように変化したかを正確に評価することができる。また、本発明の皮膚内成分量の表示方法及び皮膚内成分量表示装置によれば、環境に依存して変化する角層の厚さに影響されることなく皮膚内部の特定の部位における皮膚内成分量を正確に表示することができる。
実施例1において、共焦点ラマン分光法により得られた水分分布のデータを角層乾燥時の厚さに補正した結果を示す図である。 実施例1において、共焦点ラマン分光法により通常の方法で表示した水分分布を示す図である。 図3(a)は、実施例2において、共焦点ラマン分光法により得られた重水分布のデータを角層乾燥時の厚さに補正した結果を示す図である。図3(b)は、実施例2において、共焦点ラマン分光法により得られた軽水分布のデータを角層乾燥時の厚さに補正した結果を示す図である。 図4(a)は、実施例2において、共焦点ラマン分光法により通常の方法で表示した重水分布を示す図である。図4(b)は、実施例2において、共焦点ラマン分光法により通常の方法で表示した軽水分布を示す図である。
本発明について、その好ましい実施態様に基づき詳細に説明する。
本発明皮膚内成分量の評価方法は、
a) 測定対象の皮膚に対して皮膚内成分量を測定する工程と、
b) 工程a)で得たデータから皮膚の深さ方向に関する皮膚内成分量の情報を得る工程と、
c) 皮膚の角層の厚さを乾燥状態の厚さに近似することによって、測定対象の皮膚における角層の皮膚表面からの深さを補正する工程と、
d) 工程b)で得た情報を工程c)で補正された深さに対する皮膚内成分量の情報として補正する工程と、
を含む、皮膚内成分量の評価方法である。
皮膚の角層の厚さは、角層に存在する水分の影響により変化する。このような角層の厚さの変化の影響を排除するため、本発明の皮膚内成分量の評価方法では、皮膚の角層の厚さを乾燥状態の厚さに補正する。具体的には、角層の厚さを、角層に水分を全く含まない乾燥状態の角層の厚さに補正する。このように補正した乾燥状態の角層厚さを用いることにより、皮膚内部の特定の部位における皮膚内成分量がどのように変化したかを正確に評価することができる。
ここで、本発明における「皮膚内成分」とは、本来的に皮膚を構成する成分及び外部から皮膚に付与された成分をいう。本来的に皮膚を構成する成分としては水分、NMF、細胞間脂質、皮脂のような皮膚そのものの構成成分が挙げられる。外部から皮膚に付与された成分としては、尿素、ポリオール、脂質、油剤、高分子類、色素、紫外線吸収剤、保湿剤、柔軟化剤、バリヤー向上剤、浸透促進剤、可溶美白剤、角化制御剤、抗酸化剤、消炎剤、血行促進剤、鎮痛剤、ステロイド剤、抗菌剤、抗ヒスタミン剤等の薬剤が挙げられる。
測定対象の皮膚の皮膚内成分量の測定(工程a))は、皮膚から角層を採取して測定する方法(侵襲法)や、皮膚から直接測定する方法(非侵襲法)等が挙げられるが、直接肌の状態を測定できる非侵襲法が好ましい。非侵襲法としては、共焦点顕微ラマン分光法、共焦点顕微蛍光法、光音響法などが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。本発明の評価方法において、皮膚内成分として水分を測定する場合、共焦点顕微ラマン分光法にて測定することが好ましい。
本発明の評価方法は、皮膚の深さ方向に関する皮膚内成分量の情報を得る工程を含む(工程b))。皮膚の深さ方向に関する皮膚内成分量の情報を得るのに特に制限はない。本発明において、例えば、共焦点顕微ラマン分光法により皮膚内水分量を評価する場合、レーザー光焦点部位可動手段を備える共焦点ラマン分光測定装置を用いても良いし、皮膚の深さ方向に移動可能な試料台可動手段を備える共焦点ラマン分光測定装置を用いても良い。
本発明において、皮膚の角層の厚さを乾燥状態の厚さに近似し、この近似した値に基づき、前記工程a)で皮膚内成分量を測定した皮膚の角層の皮膚表面からの深さを補正する(工程c))。
皮膚の角層の厚さを補正する際に、前提となる条件を以下に示す。
(1)皮膚の組成を、水と蛋白質からなる二成分系で近似する。
(2)水と蛋白質の混合において、体積変化は無い(理想混合が成立)ものとする。
上記(1)及び(2)の条件が成立する場合、皮膚表面からの深さx(μm)の部位の密度d(x)(g/cm3)は下記式(1−1)のように与えられる。ここでCw(x)は皮膚表面から深さx(μm)の部位の水分量(水の重量分率)、dpは皮膚を構成する蛋白質の密度、dwは水の密度である。
Figure 2010223609
厚さΔt(μm)、密度d(x)(g/cm3)、水分Cw(x)の皮膚の角層が完全に乾燥し体積の収縮が皮膚表面からの深さ方向のみで生じたと仮定した場合、乾燥後の角層の厚さΔtDryは下記式(1−2)のように与えられる。
Figure 2010223609
皮膚表面から深さf(μm)の位置にある角質細胞は、完全に角層を乾燥させたときには皮膚表面からの深さxdry,f(μm)に存在するとする。このときxdry,fは、下記式(1)のように与えられる。
Figure 2010223609
また、前記工程b)により得た実測した皮膚の深さ方向に関する水分分布データ(通常2μm間隔)を、補間処理により皮膚表面(x=0μm)より1μm刻みの水分データ列Cw,0、Cw,1、Cw,2・・・Cw,iに変換し、下記式(1’)に従い積算処理により算出することもできる。ここで、xdry,iは、角層の厚さを乾燥角層厚さに換算した際に、換算前に皮膚表面から深さi(μm)の位置にある部位に対して、乾燥換算・補正された角層皮膚表面からの深さとして得られる値である。
Figure 2010223609
式(1)、(1’)において、xdryは皮膚表面からの補正された角層の深さ、Cw,Jは皮膚表面からの深さJ(μm)における皮膚内局所での水分(水の重量分率)を示す。
次いで、工程b)で得た情報を工程c)で補正された深さに対する皮膚内成分量の情報として補正する(工程d))。角層内の深さ方向における特定成分の濃度(重量分率)分布C(x)を通常の方法によりプロット(横軸を表面からの深さ(μm)、縦軸を濃度(重量分率))する場合、水分の変動に伴う皮膚の密度変化を1.0と近似する(実際には0.998〜1.32の範囲で変動)と、成分濃度分布曲線下の面積は、その深さ領域での単位皮膚表面積当たりの特定成分量に対応する。しかし前記の方法により角層の厚さを乾燥時の角層厚さに換算すると、成分濃度分布曲線下の面積は成分量に対応しなくなる。従って、本発明においては、皮膚内での特定成分の成分動態を考察する上で皮膚内成分濃度を乾燥角層重量当たりの成分重量に補正することが好ましい。
乾燥角層換算での皮膚表面からの深さxdry(μm)に、乾燥角層の密度d(例えば1.32g/cm)を乗じると、皮膚表面からの深さxdry(μm)における皮膚単位面積当たりの乾燥角層重量になる。従って乾燥角層重量当たりの皮膚内の特定成分の重量を用いると、成分分布曲線下の面積は、その深さ領域での皮膚単位皮膚表面積当たりの成分重量に比例した値を与える。
皮膚内の特定成分として水を取り扱う場合、または取り扱う特定成分の濃度(重量分率)が角層の重量分率に対して十分に小さい場合、深さxにおける乾燥角層重量当たりの皮膚内の特定成分重量R(x)は、皮膚表面からの深さx(μm)における角層の水分(重量分率)Cw(x)、および深さx(μm)における皮膚内の特定成分の濃度(重量分率)C(x)より、下記式(2)以下のように与えられる。
Figure 2010223609
本発明の皮膚内成分量の表示方法は、前記皮膚内成分量の評価方法で得られた、補正された角層深さに対する補正された皮膚内成分量の関係を表示する工程を含む。本発明の表示方法において、皮膚の深さ方向の一方向のみの関係を表示してもよいし、二次元又は三次元方向の皮膚内成分量を測定する手段を備える装置を用いて皮膚内成分量の情報を得ることにより深さ方向に加え皮膚表面の水平方向の皮膚内成分量を表示することもできる。
本発明の皮膚内成分量表示装置は、前記皮膚内成分量の評価方法で得られた、補正された角層深さに対する補正された皮膚内成分量の関係を表示する手段を備える。本発明の表示装置としては、ディスプレイやプリンタなどが挙げられる。また、本発明の表示装置は、表示手段の他に、皮膚内成分量測定手段、角層厚さ補正手段、補正された角層の深さに対応する皮膚内成分量の補正手段等を備えていてもよく、皮膚内成分量等の情報を任意の記録媒体から読み込むドライブを備えていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 皮膚への水付加後の乾燥過程
健常男性1名の前腕内側部に、円筒状のガラス器具(内径25mm)を取り付け、ガラス器具内にイオン交換水5mLを注入することにより、皮膚表面に水を負荷させた。本水付加処理を30分間行った後に、水をガラス容器内よりスポイトで排出してから、このガラス容器を前腕より取り外した。その後、皮膚表面に残っている水を紙タオルで軽くふき取った後に、皮膚を自然乾燥させた。自然乾燥過程(4分後、8分後、12分後、16分後)での水分分布の変化を、共焦点ラマン分光法により測定した。その結果を図2に示す。
共焦点ラマン分光法による測定条件は以下の通りである。
装置:ナノファインダー30(商品名、東京インスツルメンツ製)
レーザー:633nm(メレスグリオ)、8mW(皮膚上)
回折格子:150gr/mm
ピンホール:150μm
積算時間:3秒/1スペクトル
深さ方向スキャン条件:2μm間隔、21点/1部位
また、上記の測定方法により得られたデータを式(1’)及び式(2)に適用し、角層の皮膚表面からの深さを補正し、水分分布を補正された角層の皮膚表面からの深さに対する水分分布の情報として補正した。この時、乾燥角層の密度dとしてはケラチンの密度の文献値である1.32g/cm、水の密度dとしては30℃の密度である0.996g/cmを用いた。その結果を図1に示す。
図2の結果からは、経時的に表層部(0〜10μm)の水分量が減少し、それに伴い水分量が70%程度の一定値を示すプラトー領域(顆粒層以下の生きている領域)がより表層側(皮膚表面から約12μm)まで伸びてきていることがわかる。乾燥挙動全体としては、これらの変化は表層部が乾燥し角層厚が薄くなっていくことを意味すると考えられる。
図1の結果から、含水比(水分重量/乾燥角層重量)のプロファイルが大きく3つの領域に分かれることがわかる。すなわち乾燥角層換算深さが0〜4.5μmの領域I、4.5μm〜5.5μmの領域II、5.5μm〜深部の領域IIIである。領域Iは乾燥過程で大きく変動したが、領域IIとIIIは乾燥過程の全ての測定結果が同様なプロファイルを示した。
領域IIIでは含水比が2〜2.5の範囲(水分にして66〜71wt%)にある。この領域は図1のプロットのプラトー領域(顆粒層以下の生きている領域)に相当する。図2ではプラトー領域は乾燥によってその開始点が皮膚表面側へ延長されたが、図1では前記開始点がほぼ一定深さ(乾燥角層換算で5.5μm)に表示されることがわかる。
領域Iは水分が容易に増減できる角層領域を意味していると考えられる。それに対して領域IIは、30分間の水付与程度では水分が増減しにくい角層領域と考えられる。
このように、皮膚表面からの深さを乾燥角層換算深さに補正することで、従来の方法では不可能であった、皮膚の乾燥過程における皮膚内各層(角層上層部・下層部・顆粒層以下等)の応答性の違いを詳細に示し、評価することができる。
実施例2 皮膚への重水の浸透過程
健常男性1名の前腕内側部を市販皮膚洗浄料で洗浄後、温度23℃、湿度40%の部屋で30分間馴化させた。馴化終了後、前腕内測部の共焦点顕微ラマン測定を行い、深さ方向での水分(軽水)分布を測定した。なお本実施例でのラマン測定条件は、実施例1と同様である。
その後前腕内側部に円筒状のガラス器具(内径25mm)を取り付け、ガラス器具内に重水(ACROS、99.8%)5mLを注入し、10分間の皮膚重水処理(1回目)を行った。その後スポイトで重水を取り除き、ガラス器具を取り外し、皮膚表面に残っている重水を紙タオルで軽くふき取った後に、速やかに深さ方向での共焦点顕微ラマン測定を行い、深さ方向での重水および軽水の分布を測定した。なお重水濃度は、(1)重水のOD伸縮振動に基づく信号(2500cm−1付近に出現)の強度と、主に蛋白質に由来するCH伸縮振動の信号(2900cm−1付近に出現)の強度比、および(2)軽水のOH伸縮振動に基づく信号(3400cm−1付近に出現)の強度と、主に蛋白質に由来するCH伸縮振動の信号(2900cm−1付近に出現)の強度比に基づき、皮膚の構成成分を蛋白質と軽水と重水の3成分で近似することにより算出している。
重水処理(1回目)でのラマン測定終了後、速やかに1回目の重水処理部と同一部位に再度円筒状のガラス器具(内径25mm)を取り付け、ガラス器具内に重水(ACROS、99.8%)5mLを注入し、10分間の皮膚重水処理(2回目)を行った。その後スポイトで重水を取り除き、ガラス器具を取り外し、皮膚表面に残っている重水を紙タオルで軽くふき取った。その後、速やかに深さ方向での共焦点顕微ラマン測定を行い、深さ方向での重水および軽水の分布を測定した。このラマン測定結果を、重水20分負荷処理後の皮膚の測定結果とみなした。
皮膚に重水を10分間および20分間負荷した際の、重水および軽水の深さ方向の濃度分布をそれぞれ図4(a)及び図4(b)に示す。
また、上記の測定方法により得られたデータを式(1)及び式(2)に適用し、角層の皮膚表面からの深さを補正し、重水および軽水分布を補正された角層の皮膚表面からの深さに対する重水および軽水の分布の情報として補正した。この時、乾燥角層の密度dとしてはケラチンの密度の文献値である1.32g/cm、水の密度dとしては30℃の密度である0.996g/cmを用いた。その結果を図3(a)及び図3(b)に示す。
図4(a)の重水分布の結果からは、重水が経時的に角層内に浸透していく様子が観察できる。図4(b)の軽水分布の結果からは、重水の浸入に伴い角層が膨潤し、その結果もともと角層内に存在していた軽水の濃度分布が皮膚深部に移行していることがわかる。しかしこの結果からでは、角層のどの部位がどのような膨潤挙動を示したのか解釈することが困難である。
図3(a)の重水分布の結果からは、図4(a)と同様に、重水が経時的に角層内に浸透していく様子が観察できる。しかし図4(a)と異なり図3(a)では、重水は一定領域のみ(乾燥角層換算で深さ0〜5μmの領域)で検出されており、経時的な重水濃度の増大はこの領域(乾燥角層換算で深さ0〜5μmの領域)のみで生じている現象であることがわかる。
また図3(b)の軽水分布の結果からは、重水の浸透による体積変化の因子を排除すると、角層内の軽水の分布はほとんど変化しないことが読み取れる。
以上の図3(a)及び図3(b)の重水及び軽水の結果を総合すると、重水付与に伴う角層の体積変化は角層上層部(乾燥角層換算で深さ0〜5μmの領域)のみで生じていることがわかる。
このように、皮膚表面からの深さを乾燥角層換算深さに補正することで、従来の方法では不可能であった、皮膚の膨潤過程における皮膚内各層の応答性の違いを詳細に示し、評価することができる。

Claims (8)

  1. a) 測定対象の皮膚に対して皮膚内成分量を測定する工程と、
    b) 工程a)で得たデータから皮膚の深さ方向に関する皮膚内成分量の情報を得る工程と、
    c) 皮膚の角層の厚さを乾燥状態の厚さに近似することによって、測定対象の皮膚における角層の皮膚表面からの深さを補正する工程と、
    d) 工程b)で得た情報を工程c)で補正された深さに対する皮膚内成分量の情報として補正する工程と、
    を含む、皮膚内成分量の評価方法。
  2. 工程c)の補正が以下の式(1)に従ってなされる、請求項1記載の評価方法。
    Figure 2010223609
    (式中xdry,fは、角層の厚さを乾燥角層厚さに換算した際に、換算前に皮膚表面から深さf(μm)の位置にある部位に対して、乾燥換算・補正された角層皮膚表面からの深さとして得られる値を表し、Cw(x)は皮膚表面から深さx(μm)の部位の水分(水の重量分率)を表し、dpは皮膚を構成する蛋白質の密度を表し、dwは水の密度を表す。)
  3. 工程c)の補正が以下の式(1’)に従ってなされる、請求項1記載の評価方法。
    Figure 2010223609
    (式中xdry,iは、角層の厚さを乾燥角層厚さに換算した際に、換算前に皮膚表面から深さi(μm)の位置にある部位に対して、乾燥換算・補正された角層の皮膚表面からの深さとして得られる値を表し、Cw,Jは皮膚表面からの深さJ(μm)における皮膚内局所での水分(水の重量分率)を表し、dpは皮膚を構成する蛋白質の密度を表し、dwは水の密度を表す。)
  4. 工程d)での補正が、以下の式(2)に従ってなされる、請求項1〜3のいずれか記載の評価方法。
    Figure 2010223609
    (式中、R(x)は深さxにおける乾燥角層重量当たりの皮膚内の特定成分重量を表し、Cw(x)は皮膚表面からの深さx(μm)における局所の水分(重量分率)を表し、C(x)は皮膚表面からの深さx(μm)における特定成分の濃度(重量分率)を表す。)
  5. 皮膚内成分が水分であり、皮膚内成分量の測定を共焦点ラマン分光法により行う、請求項1〜4いずれか記載の評価方法。
  6. 請求項5記載の評価方法において、所定量の水分を付与した処理前後の皮膚を用い、各々の補正された皮膚内水分量を比較することにより、皮膚内に浸透した水分量を評価する、請求項5記載の評価方法。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の評価方法で得られた、補正された角層深さに対する補正された皮膚内成分量の関係を表示する工程を含む、皮膚内成分量の表示方法。
  8. 請求項1〜6いずれか記載の評価方法で得られた、補正された角層深さに対する補正された皮膚内成分量の関係を表示する手段を備える、皮膚内成分量表示装置。
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