JP2010222646A - ナノ粒子堆積装置 - Google Patents

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考次 古市
Kimitsugu Saito
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Abstract

【課題】ナノ粒子を高いスループットにて堆積させるとともに、ナノ粒子の飛行方向を揃えることができるナノ粒子堆積装置を提供する。
【解決手段】真空チャンバー10には、基板保持部30に保持された基板Wの直下にKセル40が配置されている。Kセル40のるつぼ41にはナノ粒子の原材料となるコバルトが投入される。るつぼ41の開口部はガス噴出治具50に覆われて蒸気発生空間45が形成される。ガス噴出治具50の上端に設けられたガス噴出板52には、アスペクト比が10以上の複数の噴出孔56が穿設されている。るつぼ41を加熱してコバルトの蒸気が発生している蒸気発生空間45にガス供給部60からヘリウムガスを供給するとコバルトのナノ粒子が生成される。アスペクト比が10以上の噴出孔56を通過することによってナノ粒子の飛行方向が同一方向に揃えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウェハーなどの基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置に関する。
近年、LSIのBEOL(Back-End-of-Line)配線材としてカーボンナノチューブを用いようとする試みに急速に関心が高まりつつある。従来の配線材には銅(Cu)が一般的に用いられてきていたが、高性能化のためのパターン微細化に伴って配線部の電流密度が増大してきており、近い将来、銅では耐えられないほどの大きな電流密度が要求されるものと予測される。カーボンナノチューブは、グラファイトのシート(グラフェンシート)を円筒状に巻いた形状を有しており、その直径は数nm〜数十nmである。カーボンナノチューブは電気的にも機械的にも非常に優れた特性を有することが見出されており、銅に比較して1000倍近くもの大きな電流密度に耐え得るポテンシャルを有する材料である。それ故、配線材としてのカーボンナノチューブに関心が高まっているのである。
基板上にカーボンナノチューブを形成するプロセスとしては、まず下地となる基板上に触媒となるコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)などのナノ粒子を形成する必要がある。次いで、ナノ粒子の金属触媒上にカーボンナノチューブを成長させる。LSI用途のカーボンナノチューブの成長手法としては、比較的量産に向いている化学気相蒸着(CVD)法が主に検討されている。
ナノ粒子とは、大きさが0.数nm〜数十nm程度の微小サイズの粒子である。基板上にカーボンナノチューブの触媒となるナノ粒子を形成する技術としては、例えば特許文献1に開示されるようなものが提案されている。特許文献1に開示される技術では、減圧ヘリウム(He)ガス雰囲気とされたナノ粒子生成室にコバルトターゲットを配置し、それにレーザ光を照射する。そうするとレーザアブレーションによって飛散したコバルト蒸気がヘリウムガスによって冷却されつつコバルトのクラスター(ナノ粒子)が生成される。
生成されたコバルトのクラスターはインパクターによってサイズ分級され、所望サイズのクラスターが選別される。その後、サイズ分級されたクラスターが複数段の差動排気室を経て基板上に到達し、ナノ粒子として基板上に堆積される。
また、特許文献2には、ガスデポジション法によって基板上に触媒金属の微粒子を分散させる技術が開示されている。
特開2008−31529号公報 特開2004−51432号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術においては、生成されたクラスターのロスが大きく、最終的に基板に到達するコバルトのクラスターが非常に少なくなるという問題あった。その理由は、まず第1に、レーザアブレーションでは四方八方にコバルト蒸気が飛散するのであるが、特許文献1開示の技術においては特定の方向(インパクターの方向)に飛散したコバルト蒸気のみが利用されることとなり、他の方向に飛散したコバルト蒸気が無駄になるためである。次に第2の理由は、特許文献1開示の技術では、インパクターによってサイズ分級して所望サイズのクラスターを選別するようにしているが、実際には所望サイズのクラスターも相当量インパクターによって捕集されるというものである。さらに第3の理由は、サイズ分級されたクラスターが複数段の差動排気室を通過するときに、特に粘性流から中間流の領域では雰囲気ガスとともにクラスターも一緒に排気されてしまうというものである。
これらの理由によって、クラスターのロスが非常に多くなって最終的に基板に到達するコバルトのクラスターは少なくなり、その結果ナノ粒子の堆積速度が非常に遅くなってスループットが産業応用の実用には供さない程度にまで低くなるという問題が生じていたのである。
また、カーボンナノチューブによってLSIのビア配線を形成する場合には、より高密度化して抵抗を下げるために、ビアホールの底部からカーボンナノチューブを真っ直ぐに成長させることが好ましい。このためには、ビアホールの側壁面への触媒ナノ粒子付着を回避しつつ、ビアホール底面のみに選択的にナノ粒子を堆積させる必要がある。ビアホールの底面のみにナノ粒子を堆積させるためには、基板に到達する全てのナノ粒子の飛行方向がビアホールの深さ方向に平行でなければならない。しかし、従来においては、ナノ粒子の飛行方向を揃えるための特段の工夫がなされておらず、ビアホールの深さ方向に対して所定の角度を有して飛行したナノ粒子がビアホール側壁面に付着するという問題が生じていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ナノ粒子を高いスループットにて堆積させるとともに、ナノ粒子の飛行方向を揃えることができるナノ粒子堆積装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、前記チャンバー内を排気する排気手段と、前記保持手段に保持される基板に対向して前記チャンバー内に配置され、原材料を収納するるつぼと、前記るつぼを加熱するるつぼ加熱手段と、前記るつぼの開口部周辺を覆うガス噴出治具と、前記るつぼの開口部周辺が前記ガス噴出治具によって覆われて形成された蒸気発生空間に気体を供給する気体供給手段と、を備え、前記るつぼを加熱するとともに前記蒸気発生空間に気体が供給されて生成されたナノ粒子に前記保持手段に保持される基板へと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子を前記ガス噴出治具から放出する噴出板を前記ガス噴出治具に設けることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記噴出板には、幅方向の長さに対する深さ方向の長さが10以上となる少なくとも1以上の小孔が穿設されることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記ガス噴出治具と前記保持手段との間に、前記噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記ガス噴出治具の壁面を加熱する治具加熱手段をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置において、基板を収容する第1チャンバーと、前記第1チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、前記第1チャンバー内を排気する第1排気手段と、前記保持手段に保持される基板に対向して第2チャンバー内に配置され、原材料を収納するるつぼと、前記るつぼを加熱するるつぼ加熱手段と、前記第2チャンバー内を排気する第2排気手段と、前記第2チャンバー内に気体を供給する気体供給手段と、を備え、前記るつぼを加熱するとともに前記第2チャンバー内に気体が供給されて生成されたナノ粒子に前記保持手段に保持される基板へと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子を前記第2チャンバーから前記第1チャンバーに放出する噴出板を前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの連通部分に設けることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記噴出板には、幅方向の長さに対する深さ方向の長さが10以上となる少なくとも1以上の小孔が穿設されることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記噴出板と前記保持手段との間に、前記噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項5から請求項7のいずれかの発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記第2チャンバーの壁面を加熱するチャンバー壁加熱手段をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置において、基板を保持する保持手段と、前記保持手段に保持される基板に対向して配置され、原材料を収納するるつぼと、前記るつぼを加熱するるつぼ加熱手段と、前記るつぼの開口部周辺に気体を供給する気体供給手段と、前記保持手段と前記るつぼとの間に設けられ、前記るつぼを加熱するとともに前記るつぼの開口部周辺に気体が供給されて生成されたナノ粒子を前記保持手段に保持される基板に向けて放出する少なくとも1以上の小孔が設けられた噴出板と、前記噴出板と前記保持手段との間に設けられ、前記噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板と、を備えることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれかの発明に係るナノ粒子堆積装置において、前記原材料は、コバルト、ニッケルおよび鉄からなる群から選択された少なくとも一種の金属を含むことを特徴とする。
請求項1から請求項4の発明によれば、るつぼを加熱するとともに蒸気発生空間に気体が供給されて生成されたナノ粒子に基板へと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子をガス噴出治具から放出する噴出板をガス噴出治具に設けるため、原材料の蒸気のロスが少なくなり、その分だけ原材料の蒸気の利用効率が高まってナノ粒子を高いスループットにて堆積させることができるとともに、ナノ粒子に指向性を与えてナノ粒子の飛行方向を同一方向に揃えることができる。
特に、請求項2の発明によれば、噴出板に幅方向の長さに対する深さ方向の長さが10以上となる少なくとも1以上の小孔を穿設しているため、その小孔を通過させることによってナノ粒子の飛行方向を同一方向に揃えることができる。
特に、請求項3の発明によれば、ガス噴出治具と保持手段との間に、噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板をさらに備えるため、ナノ粒子の飛行方向をより高い精度にて同一方向に揃えることができる。
特に、請求項4の発明によれば、ガス噴出治具の壁面を加熱する治具加熱手段をさらに備えるため、ガス噴出治具の壁面へのナノ粒子の付着を防止することができる。
また、請求項5から請求項8の発明によれば、るつぼを加熱するとともに第2チャンバー内に気体が供給されて生成されたナノ粒子に基板へと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子を第2チャンバーから第1チャンバーに放出する噴出板を第1チャンバーと第2チャンバーとの連通部分に設けるため、原材料の蒸気のロスが少なくなり、その分だけ原材料の蒸気の利用効率が高まってナノ粒子を高いスループットにて堆積させることができるとともに、ナノ粒子に指向性を与えてナノ粒子の飛行方向を同一方向に揃えることができる。
特に、請求項6の発明によれば、噴出板に幅方向の長さに対する深さ方向の長さが10以上となる少なくとも1以上の小孔を穿設しているため、その小孔を通過させることによってナノ粒子の飛行方向を同一方向に揃えることができる。
特に、請求項7の発明によれば、噴出板と保持手段との間に、噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板をさらに備えるため、ナノ粒子の飛行方向をより高い精度にて同一方向に揃えることができる。
特に、請求項8の発明によれば、第2チャンバーの壁面を加熱するチャンバー壁加熱手段をさらに備えるため、第2チャンバーの壁面へのナノ粒子の付着を防止することができる。
また、請求項9および請求項10の発明によれば、るつぼを加熱するとともにるつぼの開口部周辺に気体が供給されて生成されたナノ粒子を基板に向けて放出する少なくとも1以上の小孔が設けられた噴出板を保持手段とるつぼとの間に設け、噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板を噴出板と保持手段との間に設けるため、原材料の蒸気のロスが少なくなってナノ粒子を高いスループットにて堆積させることができるとともに、ナノ粒子の飛行方向を同一方向に揃えることができる。
本発明の第1実施形態のナノ粒子堆積装置の全体概略構成を示す図である。 Kセルおよびガス噴出治具を部分的に拡大した図である。 第1実施形態のナノ粒子堆積装置の動作手順を示すフローチャートである。 第2実施形態のナノ粒子堆積装置の全体概略構成を示す図である。 第2実施形態のナノ粒子堆積装置の動作手順を示すフローチャートである。 第3実施形態のナノ粒子堆積装置の全体概略構成を示す図である。 ガス噴出板とアパーチャ板とを示す斜視図である。 ガス噴出板とアパーチャ板とを模式的に示した側面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態のナノ粒子堆積装置1の全体概略構成を示す図である。なお、図1には説明の便宜のためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
本発明に係るナノ粒子堆積装置1は、基板上にナノ粒子を堆積させる装置である。基板としては液晶用ガラス基板の表面にシリコン膜などを形成したものや半導体ウェハーを用いることができる。本発明に係るナノ粒子堆積装置1は、カーボンナノチューブの触媒として機能するナノ粒子を基板上に堆積させるのに好適である。第1実施形態のナノ粒子堆積装置1は、真空チャンバー10に、主として真空排気系20、基板保持部30、Kセル40、ガス噴出治具50およびガス供給部60を付設して構成されている。また、ナノ粒子堆積装置1は、装置に設けられた各動作機構を制御してナノ粒子の堆積処理を実行させる制御部90を備える。
真空チャンバー10は、金属製(例えば、ステンレススチール製)の筐体であり、その内部は外部空間から完全にシールされた密閉空間とされている。真空排気系20は、可変コンダクタンスバルブ(VCV)22、ターボ分子ポンプ(TMP)23およびロータリーポンプ(RP)24を備えて構成され、真空チャンバー10内を排気して所定の圧力に維持する。ターボ分子ポンプ23およびロータリーポンプ24は可変コンダクタンスバルブ22を介して真空チャンバー10に接続されている。
ロータリーポンプ24は、真空チャンバー10内が大気圧であっても作動させることが可能であり、真空排気工程における初期の粗引きに使用される。ターボ分子ポンプ23は、タービン翼を高速回転させることによって気体分子を強制的に排出する真空ポンプである。ターボ分子ポンプ23は、ロータリーポンプ24のみでは到達不可能な比較的高い真空度に真空チャンバー10内を維持することができる。但し、ターボ分子ポンプ23は大気圧に近い低真空では作動させることができないため、ターボ分子ポンプ23の後背側にロータリーポンプ24を設けている。
可変コンダクタンスバルブ22は、コンダクタンス(配管抵抗の逆数)を変化させて真空チャンバー10から排出される気体の流量を制御することができる。ロータリーポンプ24およびターボ分子ポンプ23を作動させつつ可変コンダクタンスバルブ22のコンダクタンスを変化させることによって真空チャンバー10内を所定の真空度に維持することができる。即ち、可変コンダクタンスバルブ22は、コンダクタンスを変化させて真空チャンバー10内の圧力を調整するための排気コンダクタンス調整手段として機能する。
基板保持部30は、基板ステージ31およびステージ駆動部32を備えて構成され、真空チャンバー10の内部において処理対象となる基板W(本実施形態では半導体ウェハー)を保持する。基板ステージ31は、図示を省略する複数の爪によって基板Wの端縁部を掛止或いは拘止することによって基板Wを保持する。基板ステージ31は、表面(ナノ粒子を堆積させる側の面)を下側に向けた水平姿勢にて基板Wを保持する。ステージ駆動部32は、真空チャンバー10の天井部に固設されており、基板ステージ31を水平面内にてX軸方向およびY軸方向に沿って二次元移動させる。ステージ駆動部32としては、ボールネジを使用したネジ送り機構やベルトとプーリとを使用したベルト送り機構などの公知の種々のXY駆動機構を採用することができる。なお、ステージ駆動部32は、基板ステージ31を水平面内にて回転させる回転駆動機構を備えていても良い。
また、基板保持部30には、保持する基板Wを冷却する冷却機構が設けられている。すなわち、基板保持部30には、冷却媒体を流すための冷却配管35が設けられている。冷却配管35は、基板ステージ31の内部を巡るように配設されている。基板ステージ31の内部において、少なくとも基板保持部30に保持される基板Wに対向する領域には冷却配管35が蛇行して或いは渦巻き状に配設される。冷却配管35の両端はステージ駆動部32を貫通して真空チャンバー10の外側に設けられる。冷却配管35の一端側から供給された冷却媒体は基板ステージ31の内部を流れて冷却配管35の他端側から排出される。第1実施形態では冷却媒体として液体窒素を使用する。
Kセル(Knudsen cell:クヌーセンセル)40は、ナノ粒子の原材料となる金属(本実施形態ではコバルト)を加熱してその蒸気を発生させる。図2は、Kセル40およびガス噴出治具50を部分的に拡大した図である。Kセル40は、所定容量のるつぼ41およびるつぼ加熱ヒーター42を備える。原材料を収納するるつぼ41は、耐熱性および耐食性に優れた素材にて形成されており、本実施形態ではアルミナ(Al23)にて形成されている。また、るつぼ加熱ヒーター42としては例えばタンタルヒーターを用いることができる。
Kセル40は、真空チャンバー10内において、基板ステージ31の直下(Z軸方向に沿った下方)に配置されている。そして、るつぼ41は、その開口部が直上(Z軸方向に沿った上方)を向くように、つまり開口部が基板ステージ31に対向するように設置されている。よって、基板保持部30はるつぼ41の上方に基板Wを保持し、その基板Wの表面にるつぼ41の開口部が対向することとなる。
ガス噴出治具50は、本体部51、ガス噴出板52、連通経路53、ガス溜め部54および側壁加熱ヒーター55を備えて構成される。本体部51、ガス噴出板52、連通経路53およびガス溜め部54は、耐熱性に優れた金属またはセラミックスにて形成され、一体形成されるものであっても良いし、別部品を組み立てたものであっても良い。
ガス噴出治具50の本体部51は、円筒形状を有している。本体部51の上端には円板形状のガス噴出板52が設けられている。ガス噴出板52には、アスペクト比が10以上の複数の噴出孔56が穿設されている。複数の噴出孔56のそれぞれは円筒形状を有している。本明細書において、「アスペクト比」とは噴出孔56の幅方向の長さに対する深さ方向の長さの比である。第1実施形態においては、噴出孔56が円筒形状であるため、その円筒の直径に対する高さの比が噴出孔56のアスペクト比となる。なお、噴出孔56の形状は円筒形状に限定されるものではなく、楕円柱形状や多角柱形状であっても良い。また、第1実施形態においては、複数の噴出孔56のそれぞれの深さ方向が鉛直方向(Z軸方向)に沿うように構成されている。
ガス噴出板52に穿設される噴出孔56の数は特に限定されるものでは無く、1個であっても良いし、複数個であっても良い。すなわち、ガス噴出板52には、少なくとも1以上の噴出孔56が穿設されていれば良い。もっとも、アスペクト比を10以上とするためには、1個の噴出孔56であると高さが相当に高く、つまりガス噴出板52の厚さを相当厚くする必要があるため、本実施形態のように複数の噴出孔56を設ける方が好ましい。複数の噴出孔56を設ける場合には、各噴出孔56の深さ方向は互いに平行となるようにする。また、ガス噴出板52に設ける噴出孔56の総面積(ガス噴出板52を上方から見たときの複数の噴出孔56の合計面積)は3mm2以下とする。
ガス噴出治具50がKセル40に装着されると、円筒状の本体部51およびガス噴出板52がるつぼ41の開口部周辺を覆い、るつぼ41の開口部と本体部51およびガス噴出板52とで囲まれた蒸気発生空間45が形成される。蒸気発生空間45は、非開放空間(半密閉空間)である。すなわち、蒸気発生空間45に連通するガス流出入口はガス供給部60からのガス流入口たる連通経路53およびガス流出口たる噴出孔56のみであり、それら以外から蒸気発生空間45に気体が流出入することは無い。
ガス噴出治具50がKセル40に装着された状態において、るつぼ41の開口部からガス噴出板52の下端までの距離、すなわち蒸気発生空間45の高さは5cm〜20cmとされる。蒸気発生空間45は、ナノ粒子が形成される空間であり、その高さが5cmより短いとナノ粒子が形成されにくく、逆に20cmを超えると粒子サイズが大きくなりすぎる。また、ガス噴出治具50がKセル40に装着されると、ガス噴出板52が基板ステージ31の直下に位置することとなる。
連通経路53は、本体部51の下端全周に沿って円錐台形状に設けられている。連通経路53の上端側は蒸気発生空間45の周囲に全周にわたって開口する。ガス溜め部54は連通経路53の下端全周に沿って円環状に設けられている。連通経路53の下端側はガス溜め部54に接続される。よって、連通経路53はガス溜め部54と蒸気発生空間45とを連通接続する。円環状のガス溜め部54の外周側面の相対向する位置に2つのガス導入口(図示省略)が設けられている。これらガス導入口を介してガス供給部60からガス噴出治具50にガス供給がなされる。
ガス溜め部54に比較して連通経路53の配管抵抗は大きく、気体が通過する際の圧力損失はガス溜め部54よりも連通経路53の方が大きい。つまり、連通経路53は狭く、ガス溜め部54よりも連通経路53の方が気体が通過しにくい。このため、ガス供給部60から送給された気体は連通経路53を流れるよりも先に一旦ガス溜め部54内を充満するように流れる。そして、その後に連通経路53を通過して蒸気発生空間45へと流れ込む。すなわち、ガス溜め部54はガス供給に際してのバッファ空間として機能し、一時的にガス溜め部54に溜められた気体が連通経路53を通過して蒸気発生空間45に流入することとなるため、蒸気発生空間45の周辺から均一に気体が流れ込むこととなる。
また、上端にガス噴出板52が設けられた本体部51の下端に連通経路53が接続され、さらに連通経路53の下端にガス溜め部54が接続されている。従って、ガス供給部60から供給された気体はガス噴出治具50の下方から上方へと向かう気流を形成して複数の噴出孔56から上方に向けて噴出されることとなる。
ガス噴出治具50の本体部51の外壁には側壁加熱ヒーター55が付設されている。側壁加熱ヒーター55は、本体部51の壁面を加熱する。
Kセル40は、真空チャンバー10内に設けられたセルステージ47に設置されている。セルステージ47は、真空チャンバー10の底部に立設されたガイド部材48により摺動自在に案内されて上下方向に移動可能とされる。セルステージ47はセル昇降部43によって昇降される。セル昇降部43としては、エアシリンダなどの公知の種々の昇降機構を用いることができる。また、セルステージ47と真空チャンバー10の底部との間には伸縮自在の蛇腹49が設けられている。蛇腹49の上端はセルステージ47の下側に接続され、蛇腹49の下端は真空チャンバー10の底部に接続される。
セル昇降部43がKセル40を上昇させるときには、セルステージ47がガイド部材48に案内されて上昇するとともに、蛇腹49が伸張する。また、セル昇降部43がKセル40を下降させるときには、セルステージ47がガイド部材48に案内されて下降するとともに、蛇腹49が収縮する。よって、Kセル40が昇降する際にも、蛇腹49が伸縮することによって真空チャンバー10内の気密状態が維持される。また、Kセル40が昇降することによってガス噴出板52の上端から基板保持部30に保持される基板Wまでの距離も変化するが、その距離は1cm〜40cmの範囲内とされる。
ガス供給部60は、ガス流量制御部61、ガスバルブ62およびガス加熱ヒーター63を備え、ガス噴出治具50のガス溜め部54に所定の気体(本実施形態ではヘリウムガス(He))を送給する。ガス流量制御部61は、図示を省略するガス供給源から導かれた気体の流量を調整する。ガス流量制御部61としては、例えばマスフローコントローラー(MFC)を用いることができる。ガス加熱ヒーター63は、ガス流量制御部61を通過してガス噴出治具50に送給される気体を加熱する。ガスバルブ62は、ガス流量制御部61とガス加熱ヒーター63との間に設けられ、ガス噴出治具50へのガス送給の有無を切り替える。
ガス流量制御部61、ガスバルブ62およびガス加熱ヒーター63は真空チャンバー10の外部に設けられている。そして、ガス加熱ヒーター63とガス溜め部54とが真空チャンバー10のチャンバー壁を貫通するガス配管によって連通接続されている。なお、Kセル40が昇降するため、ガス溜め部54に接続されるガス配管は可撓性のチューブなどを用いることが好ましい。
ガス供給部60からガス噴出治具50に気体を送給することによって、ガス噴出治具50の下方から上方へと向かう気流が形成され、複数の噴出孔56から上方に向けて噴出される。この気流はるつぼ41の開口部周辺の蒸気発生空間45から基板保持部30に保持された基板Wへと向かうものである。すなわち、ガス噴出治具50およびガス供給部60によってるつぼ41の開口部の直近位置から基板保持部30に保持された基板Wへと向かう気流が形成されることとなる。
また、基板ステージ31とガス噴出治具50のガス噴出板52との間はシャッター39によって遮蔽可能とされている。シャッター39は、図示を省略する駆動機構によって移動される。シャッター39が基板ステージ31とガス噴出板52との間の遮蔽位置(図1の位置)に移動すると、複数の噴出孔56から基板ステージ31に保持される基板Wへと向かう気流が遮断される。一方、シャッター39が待避位置に移動すると、複数の噴出孔56からの気流が基板Wに到達する。
また、制御部90は、ナノ粒子堆積装置1に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。
上述した構成以外にも、ナノ粒子堆積装置1には、真空装置としての公知の種々の機構が設けられている。例えば、真空チャンバー10には、内部空間の真空度(圧力)を計測するための圧力計15が付設されている。圧力計15によって計測された真空チャンバー10内の真空度は制御部90に伝達される。なお、圧力計15としては、真空チャンバー10内の圧力に応じて異なる種類のものを使い分けるようにしても良い。その他にも、真空チャンバー10には、基板Wを搬出入するための搬送開口部、Kセル40から発生する熱による温度上昇を防止するための冷却機構および内部空間を大気開放するためのリークバルブ(いずれも図示省略)などが形設されている。
次に、上記構成を有するナノ粒子堆積装置1における動作手順について説明する。図3は、ナノ粒子堆積装置1の動作手順を示すフローチャートである。以下に示す動作手順は、制御部90がナノ粒子堆積装置1の各動作機構を制御することによって実行される。
まず、処理対象となる基板Wが真空チャンバー10に搬入されて基板保持部30に保持される(ステップS11)。本実施形態にて処理対象となる基板Wの表面には鉛直方向に沿ってビアホールが形成されている。基板Wはその表面を下側に向けて水平姿勢で基板ステージ31に保持される。真空チャンバー10内の真空度維持のため、真空チャンバー10にロードロックチャンバーを付設し、そのロードロックチャンバーを介して基板Wの搬出入を行うようにしても良い。
次に、Kセル40のるつぼ41にナノ粒子の原材料となる金属(本実施形態ではコバルト)が投入される(ステップS12)。原材料が投入されると、ガス噴出治具50のガス噴出板52と基板保持部30に保持された基板Wとの間の距離がセル昇降部43によって1cm〜40cmの範囲で調整される。基板Wに堆積されるナノ粒子のサイズはこの距離にも依存する。
続いて、真空チャンバー10内が密閉空間とされ、真空チャンバー10の真空排気が行われる(ステップS13)。真空チャンバー10内の真空排気は、真空排気系20によって実行される。真空チャンバー10内が大気圧の状態から真空排気を行う場合には、可変コンダクタンスバルブ22を全開にしつつロータリーポンプ24を作動させて粗引きを行った後、所定の圧力となってからターボ分子ポンプ23を作動させ、処理を開始する前の状態として真空チャンバー10内の真空度を概ね10-4Pa以下にまで到達させる。上述したロードロックチャンバーを介して基板Wの搬出入を行う場合には、真空チャンバー10内がある程度の真空度となっているため、ステップS13の初期段階からロータリーポンプ24およびターボ分子ポンプ23の双方を作動させて真空チャンバー10内の真空度を10-4Pa以下にしても良い。
真空チャンバー10内の真空度が10-4Pa以下に到達した後、ガスバルブ62を開放してガス供給部60からガス噴出治具50への気体送給を行う。本実施形態ではガス噴出治具50にヘリウムガスが送給される。真空チャンバー10内の真空度が10-4Pa以下に到達したとしても、ガス噴出板52には高アスペクト比の噴出孔56が設けられているため、蒸気発生空間45の真空度はそこまで到達しておらず、蒸気発生空間45には空気が残留している。ガス供給部60からガス噴出治具50にヘリウムガスを送給することによって、ガス噴出治具50内の蒸気発生空間45がヘリウムガスでパージされる(ステップS14)。このときには、ガス供給部60は、蒸気発生空間45の容積の3倍〜10倍程度の量のヘリウムガスを供給する。所定量のヘリウムガス送給を終えた時点でガスバルブ62を閉止してガス供給部60からの気体送給を停止する。
続いて、Kセル40のるつぼ41をるつぼ加熱ヒーター42によって所定の温度にまで加熱する(ステップS15)。るつぼ41の加熱温度は原材料となる金属の融点よりも若干低い温度である。例えば、本実施形態においては原材料としてコバルト(融点1495℃)を用いているため、るつぼ41を約1450℃にまで加熱する。また、Kセル40の加熱と並行してガス加熱ヒーター63の加熱を行うとともに、冷却配管35に液体窒素を流して基板Wを冷却する。さらに、側壁加熱ヒーター55も所定の温度にまで加熱する。側壁加熱ヒーター55の加熱温度は300℃〜1500℃である。そして、この状態にてるつぼ41の温度が所定の温度に到達するまで待機する(ステップS16)。
るつぼ41が加熱されて昇温するのにともなってるつぼ41に投入された原材料の温度も上昇する。るつぼ41が目標温度である1450℃に到達したときには、原材料であるコバルトも1450℃にまで昇温している。この温度は融点より低いためコバルトは固体のままではあるが、減圧雰囲気で融点直下まで加熱されているため昇華によって固体から直接コバルトの蒸気が発生する。よって、ステップS16にてるつぼ41の温度が1450℃に到達した時点では、蒸気発生空間45にコバルトの蒸気が存在することとなる。
るつぼ41の温度が上記所定温度に到達した時点でガスバルブ62を再度開放してガス供給部60からガス噴出治具50への気体送給を開始する(ステップS17)。ガス供給部60はガス噴出治具50にヘリウムガスを送給する。送給するヘリウムガスの流量はガス流量制御部61によって20cc/分〜200cc/分の範囲に調整される。ガス供給部60から送給されたヘリウムガスは一旦ガス溜め部54に満たされてから連通経路53を通過して蒸気発生空間45に流入する。蒸気発生空間45内のコバルト蒸気はヘリウムガスによって冷却されつつ気相中にコバルトのクラスターを生成する(図2参照)。このコバルトのクラスターがナノ粒子である。
ここで、るつぼ41は、その開口部が上方を向くように設置されている。よって、コバルトの蒸気の蒸発方向は下方から上方へと向かう方向となる。一方、ガス供給部60から供給されたヘリウムガスもガス噴出治具50の下方から上方へと向かう気流を形成する。すなわち、コバルトの蒸気の蒸発方向に沿ってガス供給部60およびガス噴出治具50がヘリウムガスの気流を形成する。このため、ヘリウムガスの気流によるコバルトのナノ粒子生成および生成されたナノ粒子の運搬が円滑に行われる。
また、るつぼ41の開口部はガス噴出治具50によって覆われ、蒸気発生空間45は半密閉空間とされている。るつぼ41を加熱してコバルトの蒸気が発生している半密閉空間たる蒸気発生空間45に下方の連通経路53からヘリウムガスを供給すれば、そのヘリウムガスは上方の噴出孔56に向かって円滑に流れる。このため、コバルトの蒸気を無駄なくヘリウムガスの気流に乗せて運ぶことができる。
また、ガス噴出治具50に送給されるヘリウムガスはガス加熱ヒーター63によって加熱されている。ガス加熱ヒーター63によるヘリウムガスの加熱温度は、基板保持部30に保持された基板Wの温度以上であってるつぼ41の加熱温度以下である。本実施形態では、るつぼ41が1450℃に加熱されており、ガス加熱ヒーター63はガス噴出治具50に送給するヘリウムガスを1200℃に加熱している。
本願発明者等は、コバルトの蒸気に加熱された雰囲気ガスを供給すると、生成されるコバルトのクラスターのサイズ分布が狭小化することを見出した。すなわち、コバルトの蒸気が発生している蒸気発生空間45に加熱されたヘリウムガスを供給すると、生成されるコバルトのナノ粒子のサイズ分布が狭くなり、サイズのバラツキが小さくなるのである。
蒸気発生空間45に流入したヘリウムガスはコバルトのナノ粒子とともにガス噴出板52の複数の噴出孔56から上方に向けて噴出される。その結果、真空チャンバー10内の圧力は急激に上昇するのであるが、その圧力が所定範囲内に収まるように真空排気系20によって排気が継続して実行される。具体的には、圧力計15によって計測される真空チャンバー10内の圧力が0.1Pa以下となるように制御部90がロータリーポンプ24およびターボ分子ポンプ23を作動させつつ可変コンダクタンスバルブ22のコンダクタンスを制御する。
真空チャンバー10内の圧力が安定した後、シャッター39が待避位置に移動するとともに、ステージ駆動部32が基板ステージ31を水平面内にて二次元走査させる(ステップS18)。シャッター39が待避位置に移動することによってガス噴出板52と基板Wとの間が開放され、複数の噴出孔56から噴出された気流が基板Wに到達する。このときに、蒸気発生空間45内にて生成されたコバルトのナノ粒子もヘリウムガスの気流によって基板ステージ31に保持された基板Wにまで運搬される。
第1実施形態においては、ガス噴出板52に設けられた噴出孔56のアスペクト比は10以上である。すなわち、噴出孔56は非常に細長い円筒状孔である。このため、図2に示すように、噴出孔56の深さ方向とは異なる方向に飛行するコバルトのナノ粒子は噴出孔56を通過することができない。換言すれば、噴出孔56を通過するナノ粒子は飛行方向が噴出孔56の深さ方向に一致するものだけである。従って、ガス噴出板52から放出されるコバルトのナノ粒子の飛行方向は噴出孔56の深さ方向(つまり、鉛直方向)に揃っており、そのようなナノ粒子がヘリウムガスに気流とともに基板保持部30に保持された基板Wに向かって直進する。
基板Wにまで到達したコバルトのナノ粒子は基板Wの表面に堆積する。但し、ナノ粒子が到達するエリアは基板Wの面積に比較して小さい。このため、ステージ駆動部32によって基板ステージ31を二次元走査させることにより、ガス噴出板52に対して基板Wを平行に相対移動させて基板Wの全面にコバルトのナノ粒子が堆積されるようにしている。
また、ナノ粒子の堆積処理を行うときには、冷却配管35に沸点が−196℃の液体窒素を流して基板Wを冷却している。一方、噴出孔56から噴出されるヘリウムガスはガス加熱ヒーター63によって加熱されており、ヘリウムガスの温度は基板Wの近傍であっても基板Wの温度よりも高い。このため、基板Wの表面近傍では温度勾配が生じ、それによってコバルトのナノ粒子に熱泳動力が作用する。熱泳動力とは、温度勾配のある場に存在する微粒子が高温側から低温側へと移動するように受ける力である。従って、複数の噴出孔56からヘリウムガスとともに噴出されて基板Wの表面近傍にまで到達したコバルトのナノ粒子は基板Wの表面へと向かう力を受けることとなり、ナノ粒子の堆積効率が高まることとなる。
所定時間が経過し、基板Wの全面に必要なコバルトのナノ粒子の堆積量が得られたら、シャッター39が遮蔽位置に移動するとともに、ステージ駆動部32が基板ステージ31を原点位置に復帰させる。そして、ガスバルブ62を閉止してガス供給部60からのヘリウムガスの流入を停止するとともに、可変コンダクタンスバルブ22を全開にして真空チャンバー10内を再度真空排気する。また、それと同時に、ガス加熱ヒーター63、側壁加熱ヒーター55およびKセル40の加熱も停止する。続いて、可変コンダクタンスバルブ22を閉止して真空排気を停止するとともに、ガス供給部60から不活性ガスを供給して真空チャンバー10内を大気圧に復帰させる。そして、処理後の基板Wを真空チャンバー10から搬出してナノ粒子の堆積処理が完了する(ステップS19)。
本実施形態のナノ粒子堆積装置1は、上端に複数の噴出孔56を設けたガス噴出治具50によってるつぼ41の開口部を覆い、ガス噴出治具50の内側面とるつぼ41の開口部とで囲まれた半密閉空間である蒸気発生空間45を形成している。そして、蒸気発生空間45にガス供給部60からヘリウムガスを供給することによってガス噴出治具50から基板保持部30に保持された基板Wへと向かう気流を形成している。一方、減圧雰囲気に置かれたるつぼ41にて融点直下まで加熱された原材料からは昇華によって固体から直接コバルトの蒸気が緩やかに発生する。従って、発生したコバルトの蒸気の相当部分がヘリウムガスによって冷却されてクラスターを形成しつつ、ヘリウムガスの気流によって基板Wまで運搬されることとなる。よって、発生したコバルトの蒸気のロスが少なくなり、その分だけ基板Wに到達するコバルトのナノ粒子が増加し、基板Wにナノ粒子を高いスループットにて堆積させることができる。
また、本実施形態のナノ粒子堆積装置1は、サイズ分級のためのインパクターを備えていない。このため、インパクターによって捕集されるナノ粒子は無く、発生したコバルトの蒸気のロスはさらに少なくなる。その結果、ナノ粒子をより高いスループットにて基板Wに堆積させることができる。
ナノ粒子堆積装置1は、インパクターを備えていないものの、ガス加熱ヒーター63によって加熱したヘリウムガスをコバルトの蒸気が発生している蒸気発生空間45に供給している。ヘリウムガスの加熱温度を最適化すれば、生成されるコバルトのクラスターのサイズ分布を相当程度にまで狭小化することができる。すなわち、ナノ粒子堆積装置1は、インパクターを備えていないものの、供給するヘリウムガスを加熱することによってナノ粒子のサイズのバラツキを小さくしてインパクターを用いるのと同様の効果を得ることができるのである。
また、ナノ粒子堆積装置1は、ガス噴出治具50と基板Wとの間に差動排気室を設けていない。このため、差動排気によってヘリウムガスとともに排気されるナノ粒子は存在せず、発生したコバルトの蒸気のロスはさらに少なくなる。その結果、ナノ粒子をより高いスループットにて基板Wに堆積させることができる。
また、ナノ粒子堆積装置1は、基板Wを冷却しつつナノ粒子の堆積処理を行っている。これにより、ガス噴出板52からヘリウムガスとともに噴出されて基板Wの表面近傍にまで到達したコバルトのナノ粒子は基板Wの表面へと向かう熱泳動力を受けることとなり、ナノ粒子の堆積効率が高まる。その結果、ナノ粒子をより高いスループットにて基板Wに堆積させることができる。
また、ナノ粒子堆積装置1は、ガス噴出板52にアスペクト比が10以上となる複数の噴出孔56を穿設し、それら噴出孔56からコバルトのナノ粒子を放出するようにしている。噴出孔56を通過することができるナノ粒子は飛行方向が噴出孔56の深さ方向に一致するものだけであり、ガス噴出板52から放出されるコバルトのナノ粒子の飛行方向は噴出孔56の深さ方向に揃ったものとなる。すなわち、ガス噴出板52は、るつぼ41を加熱するとともに蒸気発生空間45に気体が供給されて生成されたナノ粒子に基板保持部30に保持される基板Wへと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子をガス噴出治具50から放出するのである。
複数の噴出孔56のそれぞれのアスペクト比が10以上であることに加えて、それらの総面積は3mm2以下である。従って、複数の噴出孔56の全体としてのコンダクタンスは十分に小さく、蒸気発生空間45内はクラスタリングに最適な1〜100Paに維持される一方、真空チャンバー10の内部であってガス噴出治具50の外部の圧力は、十分な容量の真空排気系20を備えておけば、0.1Pa以下の分子流領域に維持することができる。このため、ガス噴出板52から放出されたコバルトのナノ粒子は互いにほとんど衝突することなく、噴出孔56によって揃えられた飛行方向のまま基板Wに到達することとなる。すなわち、ナノ粒子のビーム化が可能となる。
るつぼ41およびガス噴出板52は基板保持部30に保持される基板Wの鉛直方向直下(Z軸方向の直下)に設けられている。ガス噴出板52から放出されたコバルトのナノ粒子の飛行方向が鉛直方向の上向きに揃えられ、しかもそれがほとんど変更されることないため、大半のナノ粒子は基板Wの主面に対して垂直に飛来することとなる。その結果、基板Wのビアホールの側壁面へのナノ粒子付着を極力低減しつつ、ビアホールの底面のみに選択的にナノ粒子を堆積させることができる。
さらに、ガス噴出治具50の本体部51の外壁には側壁加熱ヒーター55が付設されている。側壁加熱ヒーター55が本体部51の壁面を加熱することによって、蒸気発生空間45にて生成されたコバルトのナノ粒子が本体部51の壁面内側に付着するのを防止することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態のナノ粒子堆積装置2の全体概略構成を示す図である。図4において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。図4にも説明の便宜のためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
第2実施形態のナノ粒子堆積装置2は、第1実施形態と同様に基板Wにナノ粒子を堆積させる装置であるが、基板Wとるつぼ41を同一チャンバーに収容するのではなく、基板Wを収容する堆積チャンバー11とるつぼ41を収容するるつぼチャンバー111とを区分けしている点が第1実施形態と相違する。基板Wとしては液晶用ガラス基板の表面にシリコン膜などを形成したものや半導体ウェハーを用いることができる。第2実施形態のナノ粒子堆積装置2も、カーボンナノチューブの触媒として機能するナノ粒子を基板上に堆積させるのに好適である。
第2実施形態のナノ粒子堆積装置2は、基板Wを収容する堆積チャンバー11と、るつぼ41を収容するるつぼチャンバー111と、を備える。るつぼチャンバー111の上側の一部が堆積チャンバー11に嵌入しており、堆積チャンバー11とるつぼチャンバー111との連通部分にはガス噴出板152が設けられている。堆積チャンバー11には、主として真空排気系20および基板保持部30が設けられている。一方、るつぼチャンバー111には、主として真空排気系120とKセル40が設けられている。
堆積チャンバー11は、金属製(例えば、ステンレススチール製)の筐体であり、その内部は外部空間から完全にシールされた密閉空間とされている。真空排気系20は、可変コンダクタンスバルブ22、ターボ分子ポンプ23およびロータリーポンプ24を備えて構成され、その機能は第1実施形態と同様であり、堆積チャンバー11内を排気して所定の圧力に維持する。
基板保持部30は、基板ステージ31およびステージ駆動部32を備えて構成され、堆積チャンバー11の内部において処理対象となる基板Wを保持する。基板ステージ31は、表面を下側に向けた水平姿勢にて基板Wを保持する。ステージ駆動部32は、堆積チャンバー11の天井部に固設されており、基板ステージ31を水平面内にてX軸方向およびY軸方向に沿って二次元移動させる。第1実施形態と同様に、基板保持部30には、保持する基板Wを冷却する冷却機構(冷却媒体を流すための冷却配管35)が設けられている。第2実施形態では冷却媒体として液体窒素を使用する。
るつぼチャンバー111は、金属製(例えば、ステンレススチール製)の円筒形状を有する筐体であり、その内部は外部空間から完全にシールされた密閉空間とされている。るつぼチャンバー111の大きさは堆積チャンバー11よりも小さく、るつぼチャンバー111の上側の一部は堆積チャンバー11に嵌入している。るつぼチャンバー111と堆積チャンバー11とは一体に形成するようにしても良いし、別部品として組み合わせるものであっても良い。
真空排気系120は、可変コンダクタンスバルブ122、ターボ分子ポンプ123およびロータリーポンプ124を備えて構成され、るつぼチャンバー111内を排気して所定の圧力に維持する。すなわち、真空排気系120は真空排気系20を同様の構成を備えて同様の動作を行う。もっとも、るつぼチャンバー111は堆積チャンバー11よりも容積が小さいため、真空排気系120の容量は真空排気系20よりも小さくて良い。
るつぼチャンバー111に設置されたKセル40は、ナノ粒子の原材料となる金属(第2実施形態ではコバルト)を加熱してその蒸気を発生させる。Kセル40は、所定容量のるつぼ41およびるつぼ加熱ヒーター42を備える。Kセル40は、基板ステージ31の直下に配置されている。すなわち、るつぼチャンバー111自体が基板ステージ31の直下に設置されており、それに収容されたKセル40も基板ステージ31の直下に設けられることとなる。また、るつぼ41は、その開口部が直上を向くようにるつぼチャンバー111内に設けられている。よって、基板保持部30はるつぼ41の上方に基板Wを保持し、その基板Wの表面にるつぼ41の開口部が対向することとなる。また、堆積チャンバー11の底面はるつぼ41の上端よりも下方となる。
第2実施形態においては、るつぼチャンバー111の上端、つまりるつぼチャンバー111と堆積チャンバー11との連通部分に円板形状のガス噴出板152が設けられている。ガス噴出板152には、アスペクト比が10以上の複数の噴出孔156が穿設されている。複数の噴出孔56のそれぞれは円筒形状を有している。「アスペクト比」の意義は第1実施形態と同じであり、噴出孔156の幅方向の長さに対する深さ方向の長さの比である。第2実施形態においては、噴出孔156が円筒形状であるため、その円筒の直径に対する高さの比が噴出孔156のアスペクト比となる。なお、噴出孔156の形状は円筒形状に限定されるものではなく、楕円柱形状や多角柱形状であっても良い。また、第2実施形態においては、複数の噴出孔156のそれぞれの深さ方向が鉛直方向(Z軸方向)に沿うように構成されている。
ガス噴出板152に穿設される噴出孔156の数は特に限定されるものでは無く、1個であっても良いし、複数個であっても良い。すなわち、ガス噴出板152には、少なくとも1以上の噴出孔156が穿設されていれば良い。もっとも、アスペクト比を10以上とするためには、1個の噴出孔156であると高さが相当に高く、つまりガス噴出板152の厚さを相当厚くする必要があるため、第2実施形態のように複数の噴出孔156を設ける方が好ましい。複数の噴出孔156を設ける場合には、各噴出孔156の深さ方向は互いに平行となるようにする。また、ガス噴出板152に設ける噴出孔156の総面積(ガス噴出板152を上方から見たときの複数の噴出孔156の合計面積)は3mm2以下とする。
るつぼチャンバー111の内部においては、ガス噴出板152とるつぼ41の開口部との間の空間が蒸気発生空間145とされる。蒸気発生空間145は、非開放空間(半密閉空間)である。すなわち、蒸気発生空間145に連通するガス流出入口はガス供給部60からのガス流入口および噴出孔156のみであり、それら以外から蒸気発生空間145に気体が流出入することは無い。
るつぼチャンバー111内にKセル40が設置された状態において、るつぼ41の開口部からガス噴出板152の下端までの距離、すなわち蒸気発生空間145の高さは5cm〜20cmとされる。また、ガス噴出板152は基板ステージ31の直下に位置おり、ガス噴出板152の上端から基板保持部30に保持される基板Wまでの距離は1cm〜40cmとされる。
また、るつぼチャンバー111の外壁のうち、蒸気発生空間145の測方には側壁加熱ヒーター155が付設されている。側壁加熱ヒーター155は、るつぼチャンバー111の壁面のうち蒸気発生空間145に接する部分を加熱する。
ガス供給部60は、ガス流量制御部61、ガスバルブ62およびガス加熱ヒーター63を備え、るつぼチャンバー111の内部に所定の気体(第2実施形態ではヘリウムガス(He))を送給する。ガス流量制御部61は、図示を省略するガス供給源から導かれた気体の流量を調整する。ガス加熱ヒーター63は、ガス流量制御部61を通過してるつぼチャンバー111に送給される気体を加熱する。ガスバルブ62は、ガス流量制御部61とガス加熱ヒーター63との間に設けられ、ガス噴出治具50へのガス送給の有無を切り替える。
ガス流量制御部61、ガスバルブ62およびガス加熱ヒーター63は、堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111の外部に設けられている。そして、ガス加熱ヒーター63とるつぼチャンバー111とがガス配管によって連通接続されている。そのガス配管はるつぼチャンバー111の壁面のうち、るつぼ41の上端よりも下方に接続される。なお、第2実施形態のるつぼチャンバー111は固定であるため、ガス配管が可撓性を有する必要は無い。
ガス供給部60からるつぼチャンバー111に気体を送給することによって、るつぼチャンバー111に内部にて下方から上方へと向かう気流が形成され、複数の噴出孔156から上方に向けて噴出される。この気流はるつぼ41の開口部周辺の蒸気発生空間145から基板保持部30に保持された基板Wへと向かうものである。
また、堆積チャンバー11の基板ステージ31とるつぼチャンバー111のガス噴出板152との間はシャッター39によって遮蔽可能とされている。シャッター39は、図示を省略する駆動機構によって移動される。シャッター39が基板ステージ31とガス噴出板152との間の遮蔽位置(図4の位置)に移動すると、複数の噴出孔156から基板ステージ31に保持される基板Wへと向かう気流が遮断される。一方、シャッター39が待避位置に移動すると、複数の噴出孔156からの気流が基板Wに到達する。
また、制御部90は、ナノ粒子堆積装置2に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。
上述した構成以外にも、ナノ粒子堆積装置2には、真空装置としての公知の種々の機構が設けられている。例えば、堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111には、内部空間の真空度(圧力)を計測するための圧力計15および圧力計115がそれぞれ付設されている。圧力計15,115によって計測された堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111内の真空度は制御部90に伝達される。その他にも、堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111には、基板Wや原材料を搬出入するための開口部、Kセル40から発生する熱による温度上昇を防止するための冷却機構および内部空間を大気開放するためのリークバルブ(いずれも図示省略)などが形設されている。
次に、上記構成を有するナノ粒子堆積装置2における動作手順について説明する。図5は、ナノ粒子堆積装置2の動作手順を示すフローチャートである。以下に示す動作手順は、制御部90がナノ粒子堆積装置2の各動作機構を制御することによって実行される。
まず、処理対象となる基板Wが堆積チャンバー11に搬入されて基板保持部30に保持される(ステップS21)。基板Wはその表面を下側に向けて基板ステージ31に保持される。次に、るつぼチャンバー111に設置されたKセル40のるつぼ41にナノ粒子の原材料となる金属(本実施形態ではコバルト)が投入される(ステップS22)。
続いて、堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111内が密閉空間とされ、両チャンバーの真空排気が行われる(ステップS23)。堆積チャンバー11内の真空排気は、真空排気系20によって実行される。堆積チャンバー11内が大気圧の状態から真空排気を行う場合には、可変コンダクタンスバルブ22を全開にしつつロータリーポンプ24を作動させて粗引きを行った後、所定の圧力となってからターボ分子ポンプ23を作動させ、処理を開始する前の状態として堆積チャンバー11内の真空度を概ね10-4Pa以下にまで到達させる。同様に、るつぼチャンバー111内の真空排気は、真空排気系120によって実行される。るつぼチャンバー111内が大気圧の状態から真空排気を行う場合には、可変コンダクタンスバルブ122を全開にしつつロータリーポンプ124を作動させて粗引きを行った後、所定の圧力となってからターボ分子ポンプ123を作動させ、処理を開始する前の状態としてるつぼチャンバー111内の真空度を概ね10-4Pa以下にまで到達させる。
堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111内の真空度が10-4Pa以下に到達した後、Kセル40のるつぼ41をるつぼ加熱ヒーター42によって所定の温度にまで加熱する(ステップS24)。なお、第2実施形態においては、堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111を個別に真空排気しているため、第1実施形態のようなパージ工程(ステップS14)は不要である。
るつぼ41の加熱温度は原材料となる金属の融点よりも若干低い温度である。例えば、第2実施形態においては原材料としてコバルト(融点1495℃)を用いているため、るつぼ41を約1450℃にまで加熱する。また、Kセル40の加熱と並行してガス加熱ヒーター63の加熱を行うとともに、冷却配管35に液体窒素を流して基板Wを冷却する。さらに、側壁加熱ヒーター155も所定の温度にまで加熱する。側壁加熱ヒーター155の加熱温度は300℃〜1500℃である。そして、この状態にてるつぼ41の温度が所定の温度に到達するまで待機する(ステップS25)。
るつぼ41が加熱されて昇温するのにともなってるつぼ41に投入された原材料の温度も上昇する。るつぼ41が目標温度である1450℃に到達したときには、原材料であるコバルトも1450℃にまで昇温している。この温度は融点より低いためコバルトは固体のままではあるが、減圧雰囲気で融点直下まで加熱されているため昇華によって固体から直接コバルトの蒸気が発生する。よって、ステップS25にてるつぼ41の温度が1450℃に到達した時点では、るつぼチャンバー111内の蒸気発生空間145にコバルトの蒸気が存在することとなる。
るつぼ41の温度が上記所定温度に到達した時点でガスバルブ62を開放してガス供給部60からるつぼチャンバー111内への気体送給を開始する(ステップS26)。ガス供給部60はるつぼチャンバー111にヘリウムガスを送給する。送給するヘリウムガスの流量はガス流量制御部61によって調整される。ガス供給部60から送給されたヘリウムガスはるつぼチャンバー111内の蒸気発生空間145に流入する。蒸気発生空間145内のコバルト蒸気はヘリウムガスによって冷却されつつ気相中にコバルトのクラスターを生成する。このコバルトのクラスターがナノ粒子である。
蒸気発生空間145は半密閉空間とされている。るつぼ41を加熱してコバルトの蒸気が発生している半密閉空間たる蒸気発生空間145にガス供給部60からヘリウムガスを供給すれば、そのヘリウムガスは噴出孔156に向かって円滑に流れる。このため、コバルトの蒸気を無駄なくヘリウムガスの気流に乗せて運ぶことができる。
また、るつぼチャンバー111に送給されるヘリウムガスはガス加熱ヒーター63によって加熱されている。ガス加熱ヒーター63によるヘリウムガスの加熱温度は、基板保持部30に保持された基板Wの温度以上であってるつぼ41の加熱温度以下である。第2実施形態では、るつぼ41が1450℃に加熱されており、ガス加熱ヒーター63はるつぼチャンバー111に送給するヘリウムガスを1200℃に加熱している。上述した通り、コバルトの蒸気が発生している蒸気発生空間145に加熱されたヘリウムガスを供給すると、生成されるコバルトのナノ粒子のサイズ分布が狭くなり、サイズのバラツキが小さくなる。
蒸気発生空間145に流入したヘリウムガスはコバルトのナノ粒子とともにガス噴出板152の複数の噴出孔156から上方に向けて噴出される。その結果、堆積チャンバー11内の圧力は急激に上昇するのであるが、その圧力が所定範囲内に収まるように真空排気系20によって排気が継続して実行される。具体的には、圧力計15によって計測される真空チャンバー10内の圧力が0.1Pa以下となるように制御部90がロータリーポンプ24およびターボ分子ポンプ23を作動させつつ可変コンダクタンスバルブ22のコンダクタンスを制御する。一方、るつぼチャンバー111内の圧力は真空排気系120によって調整される。具体的には、圧力計115によって計測されるるつぼチャンバー111内の圧力が1Pa〜100Paの範囲内となるように制御部90がロータリーポンプ124およびターボ分子ポンプ123を作動させつつ可変コンダクタンスバルブ122のコンダクタンスを制御する。
堆積チャンバー11内の圧力が安定した後、シャッター39が待避位置に移動するとともに、ステージ駆動部32が基板ステージ31を水平面内にて二次元走査させる(ステップS27)。シャッター39が待避位置に移動することによってガス噴出板152と基板Wとの間が開放され、複数の噴出孔156から噴出された気流が基板Wに到達する。このときに、蒸気発生空間145内にて生成されたコバルトのナノ粒子もヘリウムガスの気流によって基板ステージ31に保持された基板Wにまで運搬される。
第2実施形態においては、ガス噴出板152に設けられた噴出孔156のアスペクト比は10以上である。このため、第1実施形態と同様に、噴出孔156の深さ方向とは異なる方向に飛行するコバルトのナノ粒子は噴出孔156を通過することができない。換言すれば、噴出孔156を通過するナノ粒子は飛行方向が噴出孔156の深さ方向に一致するものだけである。従って、ガス噴出板152から放出されるコバルトのナノ粒子の飛行方向は噴出孔156の深さ方向(つまり、鉛直方向)に揃っており、そのようなナノ粒子がヘリウムガスに気流とともに基板保持部30に保持された基板Wに向かって直進する。
基板Wにまで到達したコバルトのナノ粒子は基板Wの表面に堆積する。但し、ナノ粒子が到達するエリアは基板Wの面積に比較して小さい。このため、ステージ駆動部32によって基板ステージ31を二次元走査させることにより、ガス噴出板152に対して基板Wを平行に相対移動させて基板Wの全面にコバルトのナノ粒子が堆積されるようにしている。
また、ナノ粒子の堆積処理を行うときには、冷却配管35に沸点が−196℃の液体窒素を流して基板Wを冷却している。一方、噴出孔156から噴出されるヘリウムガスはガス加熱ヒーター63によって加熱されており、ヘリウムガスの温度は基板Wの近傍であっても基板Wの温度よりも高い。このため、基板Wの表面近傍では温度勾配が生じ、それによってコバルトのナノ粒子に熱泳動力が作用する。従って、複数の噴出孔156からヘリウムガスとともに噴出されて基板Wの表面近傍にまで到達したコバルトのナノ粒子は基板Wの表面へと向かう力を受けることとなり、ナノ粒子の堆積効率が高まることとなる。
所定時間が経過し、基板Wの全面に必要なコバルトのナノ粒子の堆積量が得られたら、シャッター39が遮蔽位置に移動するとともに、ステージ駆動部32が基板ステージ31を原点位置に復帰させる。そして、ガスバルブ62を閉止してガス供給部60からのヘリウムガスの流入を停止するとともに、可変コンダクタンスバルブ22,122を全開にして堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111内を再度真空排気する。また、それと同時に、ガス加熱ヒーター63、側壁加熱ヒーター155およびKセル40の加熱も停止する。続いて、可変コンダクタンスバルブ22,122を閉止して真空排気を停止するとともに、ガス供給部60から不活性ガスを供給して堆積チャンバー11およびるつぼチャンバー111内を大気圧に復帰させる。そして、処理後の基板Wを堆積チャンバー11から搬出してナノ粒子の堆積処理が完了する(ステップS28)。
第2実施形態のナノ粒子堆積装置2においても、るつぼチャンバー111内に半密閉空間である蒸気発生空間145を形成している。そして、蒸気発生空間145にガス供給部60からヘリウムガスを供給することによってガス噴出板152から基板保持部30に保持された基板Wへと向かう気流を形成している。一方、るつぼ41にて融点直下まで加熱された原材料からは昇華によって固体から直接コバルトの蒸気が緩やかに発生する。従って、発生したコバルトの蒸気の相当部分がヘリウムガスによって冷却されてクラスターを形成しつつ、ヘリウムガスの気流によって基板Wまで運搬されることとなる。よって、発生したコバルトの蒸気のロスが少なくなり、その分だけ基板Wに到達するコバルトのナノ粒子が増加し、基板Wにナノ粒子を高いスループットにて堆積させることができる。
また、第1実施形態と同様に、第2実施形態のナノ粒子堆積装置2は、サイズ分級のためのインパクターを備えていないため、インパクターによって捕集されるナノ粒子が無く、発生したコバルトの蒸気のロスはさらに少なくなる。さらに、ナノ粒子堆積装置2は、ガス噴出板152と基板Wとの間に差動排気室を設けていないため、差動排気によってヘリウムガスとともに排気されるナノ粒子は存在せず、発生したコバルトの蒸気のロスはさらに少なくなる。その結果、ナノ粒子をより高いスループットにて基板Wに堆積させることができる。
また、ナノ粒子堆積装置1は、基板Wを冷却しつつナノ粒子の堆積処理を行っている。これにより、ガス噴出板152からヘリウムガスとともに噴出されて基板Wの表面近傍にまで到達したコバルトのナノ粒子は基板Wの表面へと向かう熱泳動力を受けることとなり、ナノ粒子の堆積効率が高まる。その結果、ナノ粒子をより高いスループットにて基板Wに堆積させることができる。
また、第2実施形態のナノ粒子堆積装置2は、ガス噴出板152にアスペクト比が10以上となる複数の噴出孔156を穿設し、それら噴出孔156からコバルトのナノ粒子を放出するようにしている。噴出孔156を通過することができるナノ粒子は飛行方向が噴出孔156の深さ方向に一致するものだけであり、ガス噴出板152から放出されるコバルトのナノ粒子の飛行方向は噴出孔156の深さ方向に揃ったものとなる。すなわち、ガス噴出板152は、るつぼ41を加熱するとともにるつぼチャンバー111内の蒸気発生空間45に気体が供給されて生成されたナノ粒子に基板保持部30に保持される基板Wへと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子をるつぼチャンバー111から堆積チャンバー11に放出するのである。
複数の噴出孔156のそれぞれのアスペクト比が10以上であることに加えて、それらの総面積は3mm2以下である。従って、複数の噴出孔156の全体としてのコンダクタンスは十分に小さく、るつぼチャンバー111内の圧力はクラスタリングに最適な1〜100Paに維持される一方、堆積チャンバー11内の圧力は、十分な容量の真空排気系20を備えておけば、0.1Pa以下の分子流領域に維持することができる。このため、ガス噴出板152から放出されたコバルトのナノ粒子は互いにほとんど衝突することなく、噴出孔156によって揃えられた飛行方向のまま基板Wに到達することとなる。すなわち、ナノ粒子のビーム化が可能となる。
るつぼ41およびガス噴出板152は基板保持部30に保持される基板Wの鉛直方向直下(Z軸方向の直下)に設けられている。ガス噴出板152から放出されたコバルトのナノ粒子の飛行方向が鉛直方向の上向きに揃えられ、しかもそれがほとんど変更されることないため、大半のナノ粒子は基板Wの主面に対して垂直に飛来することとなる。その結果、基板Wのビアホールの側壁面へのナノ粒子付着を極力低減しつつ、ビアホールの底面のみに選択的にナノ粒子を堆積させることができる。
さらに、るつぼチャンバー111の外壁には側壁加熱ヒーター155が付設されている。側壁加熱ヒーター155がるつぼチャンバー111の壁面を加熱することによって、蒸気発生空間145にて生成されたコバルトのナノ粒子がるつぼチャンバー111の壁面内側に付着するのを防止することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、第3実施形態のナノ粒子堆積装置3の全体概略構成を示す図である。図6において、第1実施形態および第2実施形態と同一の要素については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。図6にも説明の便宜のためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
第3実施形態のナノ粒子堆積装置3も第1実施形態および第2実施形態と同様に基板Wにナノ粒子を堆積させる装置である。第3実施形態のナノ粒子堆積装置3が第2実施形態と相違するのは、るつぼチャンバー111の上端に設けられたガス噴出板252の構成およびガス噴出板252と基板保持部30との間にアパーチャ板272を設けている点である。
第3実施形態においては、るつぼチャンバー111の上端、つまりるつぼチャンバー111と堆積チャンバー11との連通部分に円板形状のガス噴出板252が設けられている。ガス噴出板152には、複数の噴出孔256が穿設されている。但し、第3実施形態の噴出孔256のアスペクト比は特に限定されるものではない。ガス噴出板252に穿設される噴出孔256の数は特に限定されるものでは無く、1個であっても良いし、複数個であっても良い。すなわち、ガス噴出板252には、少なくとも1以上の噴出孔256が穿設されていれば良い。また、ガス噴出板252に設ける噴出孔256の総面積(ガス噴出板252を上方から見たときの複数の噴出孔256の合計面積)は3mm2以下とする。
また、第3実施形態においては、ガス噴出板252と基板保持部30との間に円板形状のアパーチャ板272が設けられている。アパーチャ板272はガス噴出板252と同一またはそれ以上の大きさを有する。アパーチャ板272には、複数の通過孔276が穿設されている。なお、通過孔276のアスペクト比も特に限定されるものではない。
図7は、ガス噴出板252とアパーチャ板272とを示す斜視図である。また、図8は、ガス噴出板252とアパーチャ板272とを模式的に示した側面図である。図7に示すように、ガス噴出板252における複数の噴出孔256の配置とアパーチャ板272における複数の通過孔276の配置とは全く同一である。具体的には、ガス噴出板252の複数の噴出孔256のそれぞれの真上(鉛直方向直上)に通過孔276が位置している。また、通過孔276の形状および大きさも噴出孔256と同じである。
るつぼチャンバー111のガス噴出板252は基板保持部30の鉛直方向直下に設けられている。従って、ガス噴出板252に設けられた複数の噴出孔256のそれぞれから基板保持部30に保持された基板Wに向けて直進するナノ粒子がアパーチャ板272に到達する位置に通過孔276は設けられている。
上述した点以外の残余の構成については、第3実施形態のナノ粒子堆積装置3は第2実施形態のナノ粒子堆積装置2と同様である。また、第3実施形態のナノ粒子堆積装置3における動作手順についても概ね第2実施形態と同じである。
第3実施形態においては、ガス噴出板252に設けられた噴出孔256のアスペクト比を特に限定しておらず、飛行方向が鉛直方向とは異なるナノ粒子であっても噴出孔256を通過することができる。すなわち、図8に示すように、ガス噴出板252から放出されるナノ粒子の飛行方向はランダムである。
ガス噴出板252と基板保持部30との間にはアパーチャ板272が設けられており、アパーチャ板272の複数の通過孔276はガス噴出板252の複数の噴出孔256の鉛直方向直上に設けられている。噴出孔256を通過してガス噴出板252から放出されたナノ粒子のうちアパーチャ板272の通過孔276を通過することができるのは飛行方向が鉛直方向に沿ったものだけである。従って、ガス噴出板252から放出されてアパーチャ板272を通過したコバルトのナノ粒子の飛行方向は鉛直方向に揃っている。このため、大半のナノ粒子は基板Wの主面に対して垂直に飛来することとなり、その結果、基板Wのビアホールの側壁面へのナノ粒子付着を極力低減しつつ、ビアホールの底面のみに選択的にナノ粒子を堆積させることができる。第3実施形態の残余の動作内容は第2実施形態と同じであり、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、ナノ粒子の原材料となる金属としてコバルトを用いていたが、これに限定されるものではなく、種々の金属を用いることができる。カーボンナノチューブ形成の触媒として機能するナノ粒子を基板W上に堆積させるのであれば、コバルト、ニッケル(融点1455℃)、鉄(融点1535℃)からなる群から選択された少なくとも一種の金属を原材料とするのが好適である。さらに、コバルト、ニッケル、鉄などの主成分に、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、アルミナ(Al23)を微量に添加するようにしても良い。
また、第3実施形態においては、第2実施形態の装置にアスペクト比を特に限定しない噴出孔を穿設したガス噴出板を備えてその上にアパーチャ板272を設けるようにしていたが、第1実施形態のガス噴出治具50にアスペクト比を特に限定しない噴出孔を穿設したガス噴出板を備えてその上にアパーチャ板272を設けるようにしても良い。すなわち、基板保持部30とるつぼ41との間にナノ粒子を基板Wに向けて放出する少なくとも1以上の噴出孔が設けられたガス噴出板を備え、さらにそのガス噴出板と基板保持部30との間にアパーチャ板272を設ける構成であれば良い。このようにすれば、第3実施形態と同様に、ガス噴出板から放出されてアパーチャ板を通過したナノ粒子の飛行方向は同一方向に揃うこととなる。
また、アパーチャ板272の枚数は1枚に限定されるものではなく、複数枚であっても良い。この場合、全てのアパーチャ板272に設けられた通過孔276はガス噴出板252の噴出孔256と重なるようにする。アパーチャ板272の枚数が増えるにしたがって、ナノ粒子の飛行方向がより高い精度にて同一方向に揃うこととなる。
また、第3実施形態においては、ガス噴出板252における複数の噴出孔256の配置とアパーチャ板272における複数の通過孔276の配置とを全く同一とし、通過孔276の形状および大きさも噴出孔256と同じとしていたが、通過孔276の数は噴出孔256より少なくても良い。また、通過孔276の大きさは噴出孔256より小さくても良い。
また、第1実施形態のナノ粒子堆積装置1に第3実施形態のアパーチャ板272を設けるようにしても良く、第2実施形態のナノ粒子堆積装置2に第3実施形態のアパーチャ板272を設けるようにしても良い。すなわち、アスペクト比が10以上の噴出孔を穿設したガス噴出板にさらにアパーチャ板272を組み合わせるようにしても良い。この場合であっても、ガス噴出板に設けられた複数の噴出孔のそれぞれから基板保持部30に保持された基板Wに向けて直進するナノ粒子がアパーチャ板272に到達する位置に通過孔276が設けられる。このようにすれば、ガス噴出板を通過してなおも飛行方向が若干ずれているナノ粒子をアパーチャ板272によって遮ることができ、基板Wにまで到達するナノ粒子の飛行方向をより高い精度にて同一方向に揃えることができる。
また、上記各実施形態においては、ガス供給部60からヘリウムガスを送給するようにしていたが、これに限定されるものではなく、アルゴンガス(Ar)、キセノンガス(Xe)、窒素ガス(N2)などの不活性ガスであれば良い。
また、上記各実施形態においては、冷却配管35に液体窒素を流して基板Wを冷却するようにしていたが、これに代えて冷却水などのその他の冷媒を流して基板Wを冷却するようにしても良い。或いは、ペルチェ素子によって基板Wを冷却するようにしても良い。
また、上記各実施形態においては、真空排気系20,120をターボ分子ポンプおよびロータリーポンプの組み合わせによって構成していたが、これに限定されるものではなく、チャンバー内を10-4Pa以下にまで減圧できるものであれば、例えば拡散ポンプ(DP)とロータリーポンプとの組み合わせによって構成するようにしても良い。
また、第1実施形態のガス噴出治具50および第2実施形態のるつぼチャンバー111の形状は円筒形状に限定されるものではなく、四角柱形状や六角柱形状などの多角柱形状であっても良い。この場合、ガス噴出板52,152の形状も四角形や六角形などの多角形とすれば良い。
1,2,3 ナノ粒子堆積装置
10 真空チャンバー
11 堆積チャンバー
20,120 真空排気系
30 基板保持部
35 冷却配管
40 Kセル
41 るつぼ
42 るつぼ加熱ヒーター
45,145 蒸気発生空間
50 ガス噴出治具
51 本体部
52,152,252 ガス噴出板
55,155 側壁加熱ヒーター
56,156,256 噴出孔
60 ガス供給部
90 制御部
111 るつぼチャンバー
272 アパーチャ板
276 通過孔

Claims (10)

  1. 基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、
    前記チャンバー内を排気する排気手段と、
    前記保持手段に保持される基板に対向して前記チャンバー内に配置され、原材料を収納するるつぼと、
    前記るつぼを加熱するるつぼ加熱手段と、
    前記るつぼの開口部周辺を覆うガス噴出治具と、
    前記るつぼの開口部周辺が前記ガス噴出治具によって覆われて形成された蒸気発生空間に気体を供給する気体供給手段と、
    を備え、
    前記るつぼを加熱するとともに前記蒸気発生空間に気体が供給されて生成されたナノ粒子に前記保持手段に保持される基板へと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子を前記ガス噴出治具から放出する噴出板を前記ガス噴出治具に設けることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  2. 請求項1記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記噴出板には、幅方向の長さに対する深さ方向の長さが10以上となる少なくとも1以上の小孔が穿設されることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  3. 請求項2記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記ガス噴出治具と前記保持手段との間に、前記噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板をさらに備えることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記ガス噴出治具の壁面を加熱する治具加熱手段をさらに備えることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  5. 基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置であって、
    基板を収容する第1チャンバーと、
    前記第1チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、
    前記第1チャンバー内を排気する第1排気手段と、
    前記保持手段に保持される基板に対向して第2チャンバー内に配置され、原材料を収納するるつぼと、
    前記るつぼを加熱するるつぼ加熱手段と、
    前記第2チャンバー内を排気する第2排気手段と、
    前記第2チャンバー内に気体を供給する気体供給手段と、
    を備え、
    前記るつぼを加熱するとともに前記第2チャンバー内に気体が供給されて生成されたナノ粒子に前記保持手段に保持される基板へと向かう指向性を付与しつつ、当該ナノ粒子を前記第2チャンバーから前記第1チャンバーに放出する噴出板を前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの連通部分に設けることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  6. 請求項5記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記噴出板には、幅方向の長さに対する深さ方向の長さが10以上となる少なくとも1以上の小孔が穿設されることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  7. 請求項6記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記噴出板と前記保持手段との間に、前記噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板をさらに備えることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  8. 請求項5から請求項7のいずれかに記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記第2チャンバーの壁面を加熱するチャンバー壁加熱手段をさらに備えることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  9. 基板上にナノ粒子を堆積させるナノ粒子堆積装置であって、
    基板を保持する保持手段と、
    前記保持手段に保持される基板に対向して配置され、原材料を収納するるつぼと、
    前記るつぼを加熱するるつぼ加熱手段と、
    前記るつぼの開口部周辺に気体を供給する気体供給手段と、
    前記保持手段と前記るつぼとの間に設けられ、前記るつぼを加熱するとともに前記るつぼの開口部周辺に気体が供給されて生成されたナノ粒子を前記保持手段に保持される基板に向けて放出する少なくとも1以上の小孔が設けられた噴出板と、
    前記噴出板と前記保持手段との間に設けられ、前記噴出板に設けられた少なくとも1以上の小孔のそれぞれから基板に向けて直進するナノ粒子が到達する位置に通過孔を設けたアパーチャ板と、
    を備えることを特徴とするナノ粒子堆積装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載のナノ粒子堆積装置において、
    前記原材料は、コバルト、ニッケルおよび鉄からなる群から選択された少なくとも一種の金属を含むことを特徴とするナノ粒子堆積装置。
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