以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部21とを有する。
外枠11は、板材12〜15を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を構成する板材12〜15は、左右の板材12,13がアルミなどの金属製となっており、上下の板材14,15が木製となっている。パチンコ機10は、外枠11の上下の板材14,15を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。上記のように左右の板材12,13を金属製とするとともに上下の板材14,15を木製とすることで、島設備への固定を可能としつつ外枠11の補強を行うことができる。なお、外枠11の構成は上記のものに限定されることはなく、全ての板材12〜15を木製としてもよく、全ての板材12〜15を金属製としてもよい。また、板材12〜15の全部又は一部を合成樹脂製としてもよい。また、パチンコ機10が外枠11を備える構成としたが、パチンコ機10は外枠11を備えずに遊技機主部21のみを備える構成としてもよい。
外枠11の左側の板材12には、その上下の各端部に支持金具17,18が取り付けられている。これら支持金具17,18に支持させるようにして、図2及び図3に示すように、遊技機主部21が外枠11に対して回動可能に取り付けられている。
遊技機主部21は、遊技機ベースユニット(本体枠又は内枠)22と、その遊技機ベースユニット22の前方に配置される遊技機前面ユニット(前面扉又は前枠)23と、遊技機ベースユニット22の後方に配置される裏パックユニット24とを備えている。遊技機主部21のうち遊技機ベースユニット22が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として遊技機ベースユニット22が前方へ回動可能(開閉可能)とされている。
遊技機ベースユニット22は、図2及び図3に示すように、外枠11の開口全体を覆う大きさを有しており、その背面側であって回動先端側には施錠装置31が取り付けられている。施錠装置31は長尺状の連動杆32を備えており、当該連動杆32には上下一対の鉤金具33が設けられている。外枠11に対して遊技機ベースユニット22を閉鎖した際には、鉤金具33が外枠11の右側の板材13に設けられた受け金具34に係止され、施錠装置31により施錠状態とされるようになっている。また、遊技機ベースユニット22にはシリンダ錠35が設けられており、シリンダ錠35の操作によって連動杆32を上方向又は下方向のうち予め定められた方向に移動させると、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の施錠状態が解除される。
遊技機ベースユニット22には、図2に示すように、遊技機前面ユニット23が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として前方へ回動可能(開閉可能)とされている。また、遊技機ベースユニット22には、図3に示すように、裏パックユニット24が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として後方へ回動可能(開閉可能)とされている。
次に、遊技機ベースユニット22、遊技機前面ユニット23及び裏パックユニット24のそれぞれについて詳細に説明する。
<遊技機ベースユニット22>
先ず、遊技機ベースユニット22の構成について詳細に説明する。図5は遊技機ベースユニット22の正面図、図6は遊技機ベースユニット22に搭載された遊技盤61の正面図、図7は遊技機ベースユニット22の背面図である。なお、図5では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
遊技機ベースユニット22は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース41を主体に構成されている。樹脂ベース41の中央部には略楕円形状の窓孔51が形成されている。樹脂ベース41にはその後方から遊技盤61が着脱可能に取り付けられている。詳細には、樹脂ベース41の裏面には、図7に示すように、複数(本実施の形態では4箇所)の固定金具52〜56が設けられており、これら固定金具52〜56によって遊技盤61は後方へ脱落しないように固定されている。固定金具52〜56は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。
遊技盤61は合板よりなり、遊技盤61の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース41の窓孔51を通じて遊技機ベースユニット22の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤61の構成を図6に基づいて説明する。遊技盤61には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口62,可変入賞装置63,上作動口64,下作動口65,スルーゲート66及び可変表示ユニット67等がそれぞれ設けられている。このうち、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65及び可変表示ユニット67は、遊技盤61の左右方向の中央において上下方向に並べて設けられており、上から可変表示ユニット67、上作動口64、下作動口65及び可変入賞装置63の順となっている。また、一般入賞口62は、遊技盤61の下部において、左側に2個及び右側に2個の合計4個設けられている。ちなみに、遊技盤61の左側は遊技機前面ユニット23の回動基端側に相当し、遊技盤61の右側は遊技機前面ユニット23の回動先端側に相当する。
一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64及び下作動口65に遊技球が入球すると、それが検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。具体的には、一般入賞口62に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として10個の遊技球が払い出され、可変入賞装置63に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として15個の遊技球が払い出され、上作動口64に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として3個の遊技球が払い出され、下作動口65に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として4個の遊技球が払い出される。
その他に、遊技盤61の最下部にはアウト口68が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤61には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘69が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット67には、いずれかの作動口64,65への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置71が設けられている。また、可変表示ユニット67には、図柄表示装置71を囲むようにしてセンターフレーム72が配設されている。センターフレーム72の上部には、第1特定ランプ部73及び第2特定ランプ部74が設けられている。また、センターフレーム72の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部75,76が設けられている。下側の保留ランプ部75は、図柄表示装置71及び第1特定ランプ部73に対応しており、遊技球が作動口64,65を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部75の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部76は、第2特定ランプ部74に対応しており、遊技球がスルーゲート66を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部76の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置71は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置71には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。なお、図柄表示装置71は、CRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
第1特定ランプ部73では、作動口64への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部74では、遊技球のスルーゲート66の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には下作動口65に付随する電動役物65aが所定時間だけ開放状態となる。
ちなみに、下作動口65は、開閉手段としての電動役物65aが開放状態の場合に入球が可能となり、閉鎖状態の場合に入球が不可となる。なお、これに限定されることはなく、電動役物65aが開放状態の場合に入球し易くなり、閉鎖状態の場合に入球しがたくなる構成としてもよい。
可変入賞装置63は、開閉手段としての開閉扉63aが通常は遊技球が入球できない又は入球しがたい閉鎖状態になっており、大当たりの際に遊技球が入球しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置63の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置63が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤61には、内レール部77と外レール部78とが取り付けられており、これら内レール部77と外レール部78とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。ちなみに、図5に示すように、樹脂ベース41の窓孔51の右上部には返しゴム79が設けられており、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム79に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。この場合、返しゴム79はその遊技球が当たる面が遊技領域の中央側に向けて傾斜させて形成されているため、遊技領域の中央に向けた遊技球の跳ね返しが良好に行われるようになっている。
遊技球発射機構80は、図5に示すように、樹脂ベース41における窓孔51の下方に取り付けられている。遊技球発射機構80は、電磁式のソレノイド81と、発射レール82と、球送り機構83とからなり、ソレノイド81への電気的な信号の入力により当該ソレノイド81の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構83によって発射レール82上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。ソレノイド81への電気的な信号の入力は、遊技機前面ユニット23の下部に設けられた遊技球発射ハンドル84(図1等参照)が操作されることに基づいて発生する。
樹脂ベース41の前面における回動基端側にはその上端部及び下端部に支持金具42,43が取り付けられており、これら支持金具42,43に対して遊技機前面ユニット23が支持されていることで当該遊技機前面ユニット23が遊技機ベースユニット22に対して前方に回動可能となっている。また、樹脂ベース41の前面における回動先端側には、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた鉤金具44(図2参照)を挿入するための挿入孔45が上下方向に離間させて複数設けられている。遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態では、遊技機前面ユニット23の鉤金具44が挿入孔45内に入り込み、当該鉤金具44は上述した施錠装置31に係止される。これにより、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23が施錠された状態となる。この施錠状態はシリンダ錠35の操作によって施錠装置31の連動杆32を、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の解錠を行う場合とは反対側に移動させることで解除される。
<遊技機前面ユニット23>
ここで、遊技機前面ユニット23の構成について説明する。図8は遊技機前面ユニット23の背面図である。
遊技機前面ユニット23は遊技機ベースユニット22の前面側全体を覆うようにして設けられている。遊技機前面ユニット23には、図1に示すように、上記遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円形状の窓パネル部91が設けられている。窓パネル部91の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓パネル部91の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部92が設けられている。環状電飾部92では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部92の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部93が設けられている。また、窓パネル部91の左上方及び右上方には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部94が設けられている。
遊技機前面ユニット23における窓パネル部91の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部95と下側膨出部96とが上下に並設されている。上側膨出部95内側には上方に開口した上皿95aが設けられており、下側膨出部96内側には同じく上方に開口した下皿96aが設けられている。上皿95aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿96aは、上皿95a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。なお、下側膨出部96の右方には、上述した遊技球発射ハンドル84が設けられている。
遊技機前面ユニット23の背面における回動基端側(図8の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸97,98が設けられている。これら突起軸97,98は遊技機ベースユニット22に対する組付機構を構成する。また、遊技機前面ユニット23の背面における回動先端側(図8の左側)には、上述した鉤金具44が上下方向に複数並設されている。
また、遊技機前面ユニット23の背面には、図8に示すように、前面側通路ユニット271が取り付けられている。前面側通路ユニット271は、合成樹脂により成形されており、上皿95aに通じる前扉側上皿通路と、下皿96aに通じる前扉側下皿通路とが形成されている。
<遊技機ベースユニット22の背面構成>
次に、遊技機ベースユニット22の背面構成について図7を用いて詳細に説明する。
樹脂ベース41の背面における回動先端側には既に説明した施錠装置31が設けられている。また、樹脂ベース41の中央には上記のとおり遊技盤61が取り付けられている。
遊技盤61の中央に配置された可変表示ユニット67には、図3及び図7に示すように、センターフレーム72を後方から覆う合成樹脂製のフレームカバー100が後方に突出させて設けられており、フレームカバー100に対して後側から上述した図柄表示装置71が取り付けられているとともに、その図柄表示装置71を駆動するための表示制御装置101が取り付けられている。これら図柄表示装置71及び表示制御装置101は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置71が前、表示制御装置101が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット102が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット102は、音声ランプ制御装置103と、取付台104とを具備する構成となっており、取付台104上に音声ランプ制御装置103が装着されている。
音声ランプ制御装置103は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。
遊技盤61の背面であって可変表示ユニット67の下方には、主制御装置ユニット105が搭載されている。主制御装置ユニット105は、合成樹脂製の取付台106を有し、取付台106に主制御装置107が搭載されている。主制御装置107は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス108に収容されて構成されている。なお、当該基板ボックス108には、当該基板ボックスの開放痕跡手段としてカシメ構造や図示しない封印シールが設けられているとともに、取付台106に対する主制御装置107の離脱痕跡手段としてカシメ構造が設けられている。
遊技盤61の背面における主制御装置ユニット105により覆われた領域には、図示しない集合板ユニットが設けられている。集合板ユニットには、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知センサなどが設けられている。遊技球回収機構にて回収された遊技球は後述する排出通路を介してパチンコ機10外部に排出される。また、入賞検知センサは主制御装置107と電気的に接続されており、遊技球の入賞を検知した場合の検知信号は主制御装置107にて入力される。
<裏パックユニット24>
次に、図4,図7,図9及び図10に基づき裏パックユニット24の構成について詳細に説明する。図9は裏パックユニット24の正面図、図10は裏パックユニット24の分解斜視図である。
裏パックユニット24は、遊技機ベースユニット22を背面側から覆う裏パック120と、同裏パック120に搭載されているとともに遊技状況等に応じて遊技球を払い出す払出機構部130と、同じく裏パック120に搭載されているとともに各種制御装置が一体化された制御装置集合ユニット140とを備えている。
図10に示すように、裏パック120は、骨格をなすベース部121とパチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部122とを有している。これらベース部121及び保護カバー部122は、それぞれ別体で形成されて、締結具(例えばネジ)を用いて一体化されている。なお、これらベース部121及び保護カバー部122を一体成形することも可能である。
ベース部121は、中央に開口が形成された略矩形枠状をなしており、上述した可変表示ユニット67や主制御装置ユニット105等との干渉が回避されている。ベース部121において遊技機主部21の回動基端側と同一側となる左側枠部121a(図9における右側の枠部)には、軸金具123,124が上下に離間して取り付けられている。これら軸金具123,124が樹脂ベース41の背面(詳しくは遊技機主部21の回動基端側の端部)に取り付けられた軸受け金具111,112によってそれぞれ個別に支持されていることで、裏パックユニット24が、遊技機ベースユニット22に対して回動可能となっている。なお、軸金具の数は任意であり、例えば3個以上であってもよい。
ベース部121には、樹脂ベース41の背面に設けられた固定レバー114,115(図7参照)を挿通させる挿通部125,126が形成されている。挿通部125,126はベース部121の厚さ方向両側に開放されており、図4に示すように同挿通部125,126を介して固定レバー114,115の一部がパチンコ機10の後方に突出している。固定レバー114,115は、挿通部125,126から突出している部分を回動させることで、裏パックユニット24を遊技機ベースユニット22に固定する固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切換可能な構成となっている。また、図7に示すように、樹脂ベース41の背面には締結孔部116が形成されており、当該締結孔部116に対して裏パックユニット24に設けられた締結具117(図9参照)を締結させることによっても裏パックユニット24が遊技機ベースユニット22に固定される。
再び図9を参照して説明すれば、ベース部121の上側枠部121cにおいて軸金具123の上方となる位置には外部端子板131が設けられている。外部端子板131には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に各種信号が出力される。
ベース部121の中央開口の少なくとも一部を覆うようにして、上記保護カバー部122が配置されている。保護カバー部122は遊技機ベースユニット22の背面と対向する対向板部と、中央開口の周縁に沿って形成された起立壁部とを有してなる。より具体的には、保護カバー部122は、上側枠部121c及び左右の枠部121a,121bに連なっており、左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放されている。また、保護カバー部122は、少なくとも可変表示ユニット67の全部及び主制御装置ユニット105の一部を囲むのに十分な大きさを有している。このように、保護カバー部122によって可変表示ユニット67を囲むことで同可変表示ユニット67が保護されている。また、裏パックユニット24を開放させない限り可変表示ユニット67及び主制御装置ユニット105を樹脂ベース41から取り外すことができないようになっている。
なお、ベース部121及び保護カバー部122は、透明性を有する合成樹脂材料(詳しくはポリカーボネート樹脂)を用いて形成されている。これにより、裏パック120を遊技機ベースユニット22に取り付けた状態であっても、遊技盤61の背面側(例えば主制御装置ユニット105等)が視認可能となっている
ベース部121には、保護カバー部122を迂回するようにして上記払出機構部130が配設されている。払出機構部130は、タンク132,タンクレール133,上下通路ユニット134を備えている。タンク132は上方に開放されており、裏パック120の最上部に設けられている。タンク132には遊技ホールの島設備から遊技球が逐次補給される。タンクレール133は、タンク132の下方において当該タンク132に連結されており、裏パック120の回動先端側から回動基端側に向けて緩やかに下っている。当該タンクレール133の下流部に連結させて上下通路ユニット134が設けられている。上下通路ユニット134は上下方向に延びており、その途中位置に遊技球の払い出しを行う払出装置135が設けられている。
また、上下通路ユニット134よりも下流側には、上下通路ユニット134を通過した遊技球を受ける球受け部,同球受け部を通過した遊技球を遊技機ベースユニット22に導く裏パック側通路部,同裏パック側通路部を通過した遊技球を遊技機前面ユニット23に導く本体側通路部,当該本体側通路部を通過した遊技球を上皿95a及び下皿96aに導く前面側通路部が設けられている。つまり、タンク132と、上皿95a及び下皿96aの球受け皿との間には、タンクレール133,上下通路ユニット134,球受け部,裏パック側通路部,本体側通路部及び前面側通路部からなる誘導通路部が設けられており、タンク132に貯留されている遊技球は当該誘導通路部を通じて上皿95a又は下皿96aに払い出される。
払出機構部130には、裏パック基板136が設置されている。裏パック基板136には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ(図示略)の切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部121において保護カバー部122よりも下側となる部位、すなわち下側枠部121dには、制御装置集合ユニット140を設置する制御装置設置部127が設けられている。制御装置集合ユニット140が、その制御装置設置部127に対してパチンコ機10の後方から設置された状態でベース部121に固定されることで、裏パック120と制御装置集合ユニット140が一体化されている。
なお、裏パック120と制御装置集合ユニット140とを遊技機ベースユニット22に対して個別に取り付ける構成としてもよい。また、このような変更を行う場合には、併せて制御装置集合ユニット140と裏パック120とを遊技機ベースユニット22に対して個別に開閉可能な構成とすることも可能である。
制御装置集合ユニット140は、横長形状をなす払出制御装置141と電源・発射制御装置142とが、前者が後側、後者が前側となるように前後に重ねた状態で一体化されてなる。
払出制御装置141は、基板ボックス143内に払出装置135を制御する払出制御基板が収容されてなる。なお、払出制御装置141から払出装置135への払出指令の信号は上述した裏パック基板136により中継される。また、払出制御装置141には状態復帰スイッチ143aが設けられている。例えば、払出装置135における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ143aが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置142は、基板ボックス144内に電源・発射制御基板が収容されてなり、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置142にはRAM消去スイッチ144aが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ144aを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
ベース部121の下側枠部121dにおいて上記制御装置設置部127と反対側、すなわち遊技機ベースユニット22と対向する側には、排出通路盤148が固定されている。
排出通路盤148において制御装置集合ユニット140と対向する面には、後方に開放された排出通路149が形成されており、当該排出通路149の開放部が制御装置集合ユニット140によって塞がれている。排出通路149は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路149に導出された遊技球は当該排出通路149を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
<上下通路ユニット134>
以下、上下通路ユニット134の構成について詳細に説明する。図11は上下通路ユニット134の斜視図、図12及び図13は上下通路ユニット134の分解斜視図、図14(a)は図11のA−A線部分断面図、図14(b)は図11のB−B線部分断面図である。
既に説明したように、上下通路ユニット134の途中位置には払出装置135が設けられている。図11に示すように、上下通路ユニット134は、払出装置135と、同払出装置135よりも上流側の上流側通路部151と、同払出装置135よりも下流側の下流側通路部152とが一体化されてなり、遊技機前面ユニット23の上皿95a及び下皿96aへ通じる誘導通路部の一部を構成している。また、上流側通路部151及び下流側通路部152によって、タンク132に貯留されている遊技球を島設備に排出するための排出通路部の一部が構成されている。
上流側通路部151は、複数のハウジングが組み合わせられた状態で通路ユニット設置部128に設置されることによって形成されている。具体的には、上流側通路部151は、図12及び図13に示すように裏パック120のベース部121側に位置する第1ハウジング170と、当該第1ハウジング170に対してパチンコ機10の後方から重なる第2ハウジング180とが組み合わせられた状態にて、通路ユニット設置部128に設置されることによって形成されている。なお、これら各ハウジング170,180の組み合わせ方向は任意であり、例えば各ハウジングの組み合わせ方向を左右方向とすることも可能である。また、上流側通路部151を構成するハウジングの数は2つに限定されるものではなく、例えば上流側通路部を3つ以上のハウジングによって構成してもよい。
第1ハウジング170は払出装置135を跨いで上下両側に延びており、その上部、詳しくは払出装置135よりも上方となる部位には、通路ユニット設置部128に対して遊技球の直径よりも僅かに大きな隙間を隔てて対向する上側平板部171と、その上側平板部171から通路ユニット設置部128側に起立する上側通路壁部172とが形成されている。上側通路壁部172は、所定の隙間(遊技球の直径よりも僅かに大きい隙間)を隔てて相対向する左右一対の壁部によって構成されており、それら上側平板部171と上側通路壁部172とによって通路ユニット設置部128側に開放された溝が形成されている。その溝の開放部分が通路ユニット設置部128によって塞がれることで一条の通路部(以下、第1ケースレール部154と称する)が構成されている。
第2ハウジング180は、払出装置135の上方に配されている。また、第2ハウジングは、第1ハウジング170の上側平板部171に対して遊技球の直径よりも僅かに大きな隙間を隔てて対向する対向板部181と、同対向板部181から上側平板部171に向けて起立する通路壁部182とを有している。通路壁部182は、所定の隙間(遊技球の直径よりも僅かに大きい隙間)を隔てて相対向する左右一対の壁部によって構成されており、それら対向板部181及び通路壁部182によって、第1ハウジング170側に開放された溝が形成されている。その開放部分が上側平板部171によって塞がれることで一条の通路部(以下、第2ケースレール部155)が構成されている。
これら第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155は、共に上記誘導通路部の一部を構成している。第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155は前後に並設されており、上下方向の途中位置に湾曲部位を有するようにそれぞれ蛇行させて形成されている。より具体的には、第1ケースレール部154と第2ケースレール部155部とは互いに平行となるように形成されており、両ケースレール部154,155の並設方向(パチンコ機10の背面視)において、それらケースレール部154,155同士がほぼ全域で重なる構成となっている。つまり、両ケースレール部154,155の取り回し、詳しくは各ケースレール部154,155の入口部分,出口部分,湾曲部位の位置及びそれら各部分を繋ぐルートが一致する構成となっている。
上流側通路部151(詳しくは各ケースレール部154,155)の途中位置には、タンク132の球無状態を検知する球無検知センサ200が設けられている。球無検知センサ200は、各ケースレール部154,155に対応する検知部201a,201bを個別に有しており、それら各検知部201a,201bによって各ケースレール部154,155内に存在している遊技球が個々に検知される。なお、本パチンコ機10では、球無検知センサ200として、検知部201a,201bに設けられた突出片が遊技球に押圧されていない場合に球無検知信号を出力するセンサを用いているが、どのようなセンサを用いるかは任意である。球無検知センサ200の検知結果は払出制御装置141に出力され、払出制御装置141では球無検知センサ200の検知結果に基づいて球無状態か否かの特定を行う。
上流側通路部151には、図14等に示すように、第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155の他に、上側排出通路部156,157が設けられている。上側排出通路部156,157は、第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155の両方に対してそれらの途中位置、具体的には上記球無検知センサ200よりも下流側となる部位から分岐しており、それら各ケースレール部154,155よりも裏パック120の回動基端側となる位置に配置されている。
上流側通路部151における各ケースレール部154,155と上側排出通路部156,157との分岐箇所、すなわち上側排出通路部156,157の入口部分には、切替部材210が設けられている。詳しくは、上流側通路部151には両ケースレール部154,155及び上側排出通路部156,157に跨って形成された切替部材収容部158が形成されており、この切替部材収容部158に切替部材210が収容された状態となっている。
切替部材210は、当該切替部材210よりも上流側の遊技球を各ケースレール部154,155内をそのまま流下させる払出誘導状態と、同切替部材210よりも上流側の遊技球を上側排出通路部156,157側に導く排出誘導状態とに切替可能に設けられている。なお、この切替部材210及びそれに関連する構成についての詳細は後述する。
次に、払出装置135について説明する。図15は払出装置135の分解斜視図である。なお、当該払出装置135の説明では、図12〜図14を適宜参照する。
払出装置135は、図11に示すように、上流側通路部151と下流側通路部152との間、詳しくは、第1ハウジング170の下方に配されており、同第1ハウジング170及び第2ハウジング180に対して固定されている。図12及び図13に示すように払出装置135は、複数の部材が組み合わされてなるハウジング241を備えており、ハウジング241内には遊技球通路242が形成されている(図14参照)。遊技球通路242は、誘導通路部の一部を構成しており、一対の入口側通路部243a,243bと、単一の出口側通路部244とを備えている。入口側通路部243a,243bは、ケースレール部154、155の出口部分と同様に前後に並設されており、いずれもハウジング241の上面にて開放されている。図14に示すように、これら入口側通路部243a,243bのうち、一方が第1ケースレール部154と連通しており、他方が第2ケースレール部155と連通している。入口側通路部243a,243bは、その最下流部にて出口側通路部244に合流している。出口側通路部244は、ハウジング241の下面にて開放されている。
図14及び図15に示すように、払出装置135には、入口側通路部243a,243bから出口側通路部244へ流れる遊技球を入口側通路部243a,243b側にて一旦停止させるための球止め手段として、回転体245が設けられている。回転体245は、図15に示すように、各入口側通路部243a,243bに対応させて一対の球誘導板246,247を備えており、各球誘導板246,247が対応する入口側通路部243a,243bの下流部に収容されるようにして回転体245が配置されている。回転体245はその中心が払出モータ248の出力軸248aに固定されている。
払出モータ248は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸248aは所定方向に回転駆動される。これにより、回転体245は、その所定方向に回転し、それに伴って各球誘導板246,247が各入口側通路部243a,243b内にて回転する。出力軸248aは、1パルスの駆動信号を与えることにより1step進み、360パルスの駆動信号を与えることにより1回転するように設定されている。なお、払出モータ248はハウジング241内に収容されている。
図14に示すように、各球誘導板246,247の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部246a,247aが形成されている。但し、一対の入口側通路部243a,243b間では、凹部246a,247aの位置が相互に90°ずらして形成されている。回転体245が回転していない場合には、一対の入口側通路部243a,243bの両方において遊技球の流下が一旦停止される。また、回転体245が回転している場合には、凹部246a,247a上に入り込んだ遊技球のみが出口側通路部244に導出される。
遊技球の払出しが停止し、払出装置135内に遊技球が待機している状態では、入口側通と部243a,243b内にて最下流に位置する遊技球が、球誘導板246,247の外周部、詳しくは凹部246a,247aを除いた部位に当接した状態となる。
出口側通路部244には、図15に示すように、略平板状をした払出検知センサ249が設置されている。払出検知センサ249は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、貫通孔を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。この払出検知センサ249により、払出装置135を介して払い出された遊技球の数が確認できるようになっている。
次に、下流側通路部152について説明する。
下流側通路部152は、図11に示すように、上記第1ハウジング170と、当該第1ハウジング170に対してパチンコ機10の後方から重なる第3ハウジング190とが組み合わせられることで形成されている。
図12に示すように、第1ハウジング170の下部、詳しくは払出装置135よりも下方となる部位には、通路ユニット設置部128に対して対向する下側平板部173が形成されている。下側平板部173は通路ユニット設置部128に対して面接触しており、同通路ユニット設置部128と接触している側とは反対側を向く板面には、第3ハウジング190側に起立する下側通路壁部174が形成されている。下側通路壁部174は、遊技球の直径よりも大きな隙間を隔てて相対向する左右一対の壁部によって構成されており、それら下側平板部173及び下側通路壁部174によって通路ユニット設置部128側とは反対側(すなわち第3ハウジング190側)に開放された溝が形成されている。
第3ハウジング190には、下側平板部173と対向し、上記溝の開放部分を塞ぐ対向板部191が設けられており(図14参照)、同溝の開放部分が対向板部191によって塞がれることで誘導通路部の一部を構成する通路部(以下、払出通路部165と称する)が形成されている。
払出通路部165は、上下方向に延びており、その上流側の開口が払出装置135の出口側通路部244に連通している。払出装置135から払い出された遊技球は同開口を通じて払出通路部165内に流入することとなる。払出通路部165の途中位置から下流側にかけては、当該払出通路部165を2列に分岐させる仕切壁部175が設けられている。当該仕切壁部175によって分岐された2列の通路のうち、一方により遊技球が上皿95aへ誘導され、他方により遊技球が下皿96aへ誘導される。
下流側通路部152には、払出通路部165以外にも下側排出通路部166が形成されている。下側排出通路部166は上下方向に延びており、払出通路部165に対して裏パック120の回動基端側に位置している。また、払出通路部165よりも上方に延長させて形成されており、上流側通路部151の上側排出通路部156,157に連通している。これにより、上側排出通路部156,157へ誘導された遊技球は、下側排出通路部166を通過することとなる。
下流側通路部152(詳しくは第3ハウジング190)には、既に説明した裏パック基板136が搭載されている。ここで、裏パック基板136には、図12に示すように、球抜きボタン137が設けられている。本パチンコ機10では、上記のとおり球無検知センサ200が設けられており、球無検知センサ200にて球無状態が検知されている状況では払出装置135の払出動作が停止される。この場合に、球抜きボタン137が操作されることにより、上記動作停止状態が解除され、払出装置135の払出動作が可能となる。
以上のとおり、上下通路ユニット134には、上流側通路部151の第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155と、払出装置135の遊技球通路242と、下流側通路部152の払出通路部165とが設けられている。そして、タンクレール133から流下してきた遊技球は基本的に、これら通路部154,155,165,242を通じて上皿95a又は下皿96aに向けて誘導される。また、上下通路ユニット134には、上流側通路部151の上側排出通路部156,157と、下流側通路部152の下側排出通路部166とが設けられている。そして、切替部材210を排出誘導状態とすることにより、同切替部材210よりも上流側にある遊技球が、これら上側排出通路部156,157及び下側排出通路部166を通じてパチンコ機10外の島設備に向けて誘導される。
なお、以上詳述した上下通路ユニット134を構成する各ハウジング170,180,190は、透明性を有する合成樹脂材料(詳しくはポリカーボネート樹脂材料)を用いて形成されており、上記各通路部内の様子、例えば遊技球の存在等が上下通路ユニット134の外部から確認可能となっている。
<切替部材210及び同切替部材210に関連する構成>
上記のとおり切替部材210を排出誘導状態とすることで遊技球が排出通路部156,157,166側へ誘導されることとなるが、この切替に基づいて全ての遊技球が排出されるわけではない。つまり、切替部材210は、既に説明したように上側排出通路部156,157の入口部分に設置されており、この位置は第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155の途中位置となっている。また、払出装置135において回転体245により遊技球が一旦停止される位置は、遊技球通路242の途中位置となっている。したがって、切替部材210を排出誘導状態としたとしても、切替部材210の直下流側から回転体245の位置にはある程度の遊技球が残ることとなる。
本実施の形態においては特に、切替部材210の切り替えがなされた場合に各ケースレール部154,155に残存する遊技球の数が相違する構成となっている。以下、図11〜14及び図16を参照し、切替部材210及びそれに付随する構成について説明する。図16(a)は切替部材210を第2ケースレール部155側(パチンコ機10の後方)から見た斜視図、図16(b)は切替部材210を第1ケースレール部154側(パチンコ機10の前方)から見た斜視図である。
図14に示すように、各ケースレール部154,155において球無検知センサ200よりも下流側には、既に説明したように蛇行している部位(以下便宜上、蛇行通路部159,160と称する)が設けられており、同蛇行通路部159,160の下流側には上下通路部161,162が設けられている。より詳しくは、ケースレール部154,155の途中位置に形成された陥欠部163,164によって各ケースレール部154,155が上流・下流に2分されており、同陥欠部163,164よりも上流側には蛇行通路部159,160が、同陥欠部163,164よりも下流側には上下通路部161,162がそれぞれ設けられている。
蛇行通路部159,160は、上下通路部161,162よりも裏パックユニット24の回動基端側に寄りに配置されている。また、蛇行通路部159,160は、裏パックユニット24の回動基端側から回動先端側に向けて遊技球を誘導する上流領域159a,160aと、同上流領域159a,160aの下端に連なり上下に延びる中間領域159b,160bと、同中間領域159b,160bの下端に連なり裏パックユニット24の回動先端側から回動基端側に向けて遊技球を誘導する下流領域159c,160cとを有している。なお、図14においては、各領域159a〜159c,160a〜160cをそれぞれ別種のドットハッチングを用いて示している。
タンク132→タンクレール133→上下通路ユニット134に連なる遊技球は、それら各領域159a,160a,159b,160bにて蛇行通路部159,160の内壁面に押し付けられる。これにより、遊技球列を介して伝わる球圧を分散させ、タンク132から連なる遊技球の球圧が同蛇行通路部159,160よりも下流側に及ぶことを抑制している。
蛇行通路部159,160の下流領域159c,160cは、上記陥欠部163,164側に開放されており、その開放されている部分が蛇行通路部159,160の出口部分を構成している。より具体的には、蛇行通路部159,160の出口部分は、裏パック120の回動基端側、すなわち上記上側排出通路部156,157側に開放されており、同出口部分を含んだ下流領域159c,160cの通路方向が、裏パックユニット24の回動基端側を向いている。詳しくは、蛇行通路部159,160の出口部分を含んだ下流領域159c,160cは、裏パックユニット24の回動基端側に向けて緩やかに下っている。
蛇行通路部159,160の出口部分の下方、且つ同出口部分よりも裏パックユニット24の回動基端寄りには、上記上下通路部161,162が配されている。上下通路部161,162は鉛直方向に延びており、同上下通路部161,162よりも下流側、すなわち、上下通路部161,162と払出装置135との間には、上記蛇行通路部と類似の蛇行通路部が形成されている。これにより、払出装置135の回転体245に対して加わる球圧を軽減している。特に、上下通路部161,162を有することで、遊技球の球圧がそれら上下通路部161,162の直下流にて大きくなると想定されるが、この球圧が払出装置135におよびにくくすることで、同払出装置135の保護を図っている。
上下通路部161,162には、上記陥欠部163,164側に開放された入口部分が形成されている。つまり、上下通路部161,162の入口部分は、上方、すなわち上記蛇行通路部159,160側に開放されている。
ここで、図14に基づき、陥欠部163,164について説明する。第1ハウジング170の上側通路壁部172と、第2ハウジング180の通路壁部182とにはそれら各通路壁部172,182を上流・下流に分断するようにして通路内外に開放された開放部が形成されている。それら開放部は、蛇行通路部159,160の出口部分の延長上に位置する外側開放部176a,183aと、それら外側開放部176a,183aに対して通路を挟んだ反対側に位置する内側開放部176b,183bとからなり、これら開放部176a,176b,183a,183bによって、上記陥欠部163,164が構成されている。特に外側開放部176a,183aについては、遊技球の通過を許容する大きさを有しており、ケースレール部154,155を流下する遊技球が上側排出通路部156,157に流入する場合の流入口としての機能を有している。
各陥欠部163,164は、第1ハウジング170の上側平板部171に形成された開口部177を介して前後に繋がっており(すなわち両ケースレール部154,155に繋がっており)、それら陥欠部163,164及び開口部177によって両ハウジング170,180内に切替部材210を収容する領域(上記切替部材収容部158)が形成されている。
切替部材210は、上記第1ハウジング170及び第2ハウジング180によって、ケースレール部154及び上側排出通路部156の並設方向(すなわちケースレール部155及び上側排出通路部157の並設方向)にスライド移動可能な状態で保持され、上記切替部材収容部158によってその動作領域が確保されている。切替部材210をスライド操作することで、上記払出誘導状態及び排出誘導状態の切り替えがなされる。
図14に示すように、切替部材210には、上記各陥欠部163,164に合わせて形成され、それら各陥欠部163,164を個々に埋めることで各ケースレール部154,155の一部を構成する通路形成部が設けられている。通路形成部は、仕切部としてのベース板部211によって両ケースレール部154,155の並設方向にて2分されている。より詳しくは、ベース板部211は、上述した第1ハウジング170の開口部177を塞いでおり、各ケースレール部154、155を仕切っている。これにより、切替部材210の通路形成部において第1ケースレール部154に対応する部分と、第2ケースレール部155に対応する部分とが明確に区別されている(図16参照)。以下便宜上、第1ケースレール部154側の通路形成部を「第1通路形成部221」、第2ケースレール部155側の通路形成部を「第2通路形成部231」と称する。なお、これら各通路形成部221,231は一部類似の構成を有しているため、先ず、第1通路形成部221について説明し、その後、第2通路形成部231について簡単に説明する。
第1通路形成部221は、上記外側開放部176aを塞ぐ位置に配された、すなわち蛇行通路部159の出口部分の延長上に配置された外側誘導部222を有している。外側誘導部222はベース板部211から第1ケースレール部154側に起立する壁状をなしている。外側誘導部222は、その上部においては蛇行通路部159の出口部分の延長方向から下方に湾曲し、その下部においては上下に延びることで上記第1ケースレール部154の一部を構成している。
蛇行通路部159の出口部分から第1通路形成部221に移った遊技球は、外側誘導部222に沿って移動することでその流下方向が水平に近い状態から垂直に近い状態に変化することとなる。また、蛇行通路部159から流出した遊技球が第1通路形成部221に移る際にそれら遊技球は外側開放部176aに向けて移動しようとするが、同外側開放部176aが外側誘導部222によって塞がれており、外側開放部176a(陥欠部163)を通じた上記上側排出通路部156への移動は阻止されることとなる。
第1ケースレール部154内にタンク132から払出装置135に連なる1条の遊技球列が形成されている状態では、蛇行通路部159の出口部分側から外側誘導部222に対して遊技球が当接する。外側誘導部222において遊技球と当接する面(内壁面)は下方、水平方向又はそれら両方向の間となる方向を向いているため、すなわち上側を向いていないため、少なくとも遊技球が外側誘導部222上に載ることなく、同外側誘導部222に対して遊技球の自重が加わることを抑制できる。つまり、下流領域159cに連なる遊技球の自重は、蛇行通路部159と外側誘導部222にて分散して受けることができる。これにより、外側誘導部222に加わる負担を低減し、切替部材210を保護している。なお、外側誘導部222において遊技球と当接する面(内壁面)は上側を向く成分を有していないともいえる。
第1通路形成部221において、外側誘導部222に対して通路を挟んだ反対側には、上記ベース板部211から起立する内側誘導部223が形成されている。内側誘導部223は、蛇行通路部159の下方に位置しており、上記開放部176bからの突出が抑えられている。内側誘導部223には、上方を向く天壁部224,外側誘導部222側を向く側壁部225,下方を向く底部226が形成されている。
天壁部224は、蛇行通路部159の下流領域159cの通路方向と同一方向に延びる平面状をなしている。詳しくは、第1ケースレール部154側から上側排出通路部156側に下り傾斜している。また、天壁部224は、第1ハウジング170の上側通路壁部172において下流領域159cの底部を構成している部位に対して下方から対向し、同部位寄りに配置されている。
側壁部225は、天壁部224の下流側の端部から下方に延びるとともに、外側誘導部222と対向している。より詳しくは、その上下幅が、外側誘導部222よりも小さく設定されている。
側壁部225の下端には、外側誘導部222とは反対側に起立するようにして前記底部226が一体成形されている。底部226は上下通路部161の通路方向と交差する方向に広がる板状をなし、上下通路部161を覆うことができる大きさを有している。
第2通路形成部231についても第1通路形成部221と同様に、外側誘導部232と内側誘導部233とを備えており、内側誘導部223については、天壁部234,側壁部235,底部236を有している。
外側誘導部232と内側誘導部233(詳しくは側壁部235)は、遊技球の通過領域を挟んで対向しており、外側誘導部232は、内側誘導部223の側壁部235よりも上方(上流側)及び下方(下流側)に延びている。
また、両蛇行通路部159,160の出口部分の高さ位置は同一であることから、これに合わせて天壁部234の高さ位置は、第1通路形成部221の天壁部224の高さ位置と同一となっており、側壁部235の上端の高さ位置についても、第1通路形成部221の側壁部225の上端の高さ位置と同一となっている。一方、各上下通路部161,162の入口部分の高さ位置は相違している。この相違に合わせて、外側誘導部232は、第1通路形成部221の外側誘導部222よりも下方に延出し、内側誘導部233の側壁部235は、第1通路形成部221の側壁部225よりも下方に延出している。
更には、図16に示すように、外側誘導部232には、操作片237が一体成形されている。操作片237は、第2ハウジング180の対向板部181に形成されたスリット184を介して、ハウジング170,180外、詳しくはパチンコ機10の後方に突出している(図11参照)。同図11に示すように、スリット184は切替部材210のスライド方向に延びており、この操作片237を指等で摘んで同スリット184に沿ってスライドさせることで、上述した払出誘導状態と排出誘導状態との切り替えが可能となっている。
なお、スリット184の開口縁には、操作片237を払出誘導位置にて保持する保持部185が形成されている。この保持部185は爪状をなしており、操作片237に対して引っ掛かることで、例えば外側誘導部222,232が遊技球によって押された場合に切替部材210がその球圧等によって排出誘導状態に切り替わることを回避している。なお、切替部材210のスライド操作(払出誘導状態→排出誘導状態への切替操作)を行う場合には、保持部185と操作片237との引っ掛かりを解除するとよい。
ここで、図17及び図18に基づき、切替部材210の切替操作について説明する。図17は切替操作に基づく第1ケースレール部154側での遊技球の動きを示す説明図、図18は切替操作に基づく第2ケースレール部155側での遊技球の動きを示す説明図である。なお、第1ケースレール部154側では切替操作に基づいて図17(a)→図17(b)→図17(c)の順に遊技球が移動し、第2ケースレール部155側では切替操作に基づいて図18(a)→図18(b)→図18(c)の順に遊技球が移動する。
切替部材210が払出誘導状態である場合には、タンク132から遊技球が供給されることで、図17(a)及び図18(a)に示すように、払出装置135の球誘導板246,247に当接している遊技球を先頭として、払出装置135の入口側通路部243a,243bからケースレール部154,155を介してタンク132に連なる2条の遊技球列が形成される。この場合、切替部材210が第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155の通路壁の一部を構成しているため、上記各遊技球列は切替部材210の通路形成部221,231を経由する。詳しくは、各ケースレール部154,155の開放部176a,183aが外側誘導部222,232によって塞がれているとともに開放部176b,183bの一部が内側誘導部223,233によって塞がれている。このため、切替部材210よりも上流側に待機している遊技球は、それら開放部176a,176b,183a,183bを介して流出することなく、遊技球の払い出しに基づいて第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155をそのまま流下していく。
なお、この払出誘導状態においては、開放部176b,183bからの内側誘導部223,233の突出が抑えられているため、同内側誘導部223,233によって遊技球の流下が妨げられることはない。
図17(b)及び図18(b)に示すように、切替部材210をスライド操作し、払出誘導状態から排出誘導状態への切り替えを行うと、外側誘導部222,232と内側誘導部223,233との間に待機中の遊技球が、切替部材210の内側誘導部223,233(詳しくは側壁部225,235)によって同切替部材210のスライド方向に押される。つまり、切替部材210の操作力が遊技球を開放部176a,183aに向けて押すように作用することとなる。なお、このスライド操作がなされた場合、内側誘導部223,233の移動に合わせて、外側誘導部222,232も同内側誘導部223,233と同じ方向に移動する。このため、内側誘導部223,233に押された遊技球がそれら内側誘導部223,233と外側誘導部222,232との間につかえることはない。
また、上記スライド操作に基づいて、内側誘導部223,233の天壁部224,234が蛇行通路部159,160の出口部分に沿って延出する。これにより、さながら蛇行通路部159,160が延長された状態となる。つまり、蛇行通路部159,160を延長しつつ通路の切替えがなされることとなる。このように上流側の遊技球の球圧に基づいて遊技球の移動が容易となる方向へ通路を延長することで、遊技球の球圧に抗することなく遊技球を誘導できる。これにより、遊技球の円滑な誘導と、スライド操作の容易化が実現されている。
図17(c)及び図18(c)に示すように、切替部材210の切替操作が完了し排出誘導状態に切り替ると、切替部材210が各ケースレール部154,155の通路壁を構成していない状態となる。言い換えれば、切替部材210の各通路形成部221,231が排出通路部156,157の一部を構成する状態となる。この状態では、各通路形成部221,231が上側排出通路部156,157と連なり、上述した開放部176a,183aを通じての上側排出通路部156,157内への遊技球の流入が許容される。つまり、蛇行通路部159,160が切替部材210の通路形成部221,231を介して上側排出通路部156,157と連通し、同切替部材210よりも上流側に待機していた遊技球が上側排出通路部156,157に導かれることとなる。
より具体的には、内側誘導部223,233がケースレール部154,155の通過領域に対して突出し、同内側誘導部223,233の天壁部224,234が蛇行通路部159,160の下流領域159c,260c(詳しくは底部)に沿って同蛇行通路部159,160の出口部分から開放部176a,183aにまで延出する。これにより、蛇行通路部159,160から流出した遊技球は、天壁部224,234に沿って移動し、開放部176a,183aを通過することなる。故に、切替部材210よりも上流側の遊技球が上側排出通路部156,157へと円滑に誘導されることとなる。
また、ケースレール部154,155の通過領域に対して突出した内側誘導部223,233の底部226,236によって、上下通路部161,162の入口部分が上方から覆われることとなる。これにより、上下通路部161,162内への遊技球の流入が阻止されるとともに、上下通路部161,162内に残存する遊技球が排出通路部156,157へ流出することが回避される。
ここで、図19に基づき各ケースレール部154,155に残存する遊技球の数(以下便宜上、残存遊技球数と称する)を相違させる構成について説明する。図19(a)は第2ケースレール部155に遊技球が残存している状態を示す概略図、図19(b)は第1ケースレール部154に遊技球が残存している状態を示す概略図である。なお、図19(a),(b)については説明の便宜上、上下位置及び尺度を揃えてある。
図19に示すように、各ケースレール部154,155においては上記両蛇行通路部159,160の形状が同一となっているのに対して、両上下通路部161,162の形状が相違している。具体的には、第1ケースレール部154の上下通路部161の出口部分と、第2ケースレール部155の上下通路部162の出口部分とが同一高さに配置されているのに対して、第1ケースレール部154の上下通路部161の入口部分は、第2ケースレール部155の上下通路部162の入口部分よりも上側(誘導通路の上流側)に位置している。これにより、両上下通路部161,162の通路長が相違する構成となっている。これら上下通路部161,162における入口部分の高低差は、上下通路部161内に待機可能な遊技球の数が上下通路部162内に待機可能な遊技球の数よりも1個多くなるように設定されている。
上流側通路部151の通路長について補足すれば、払出装置135の入口側通路部243aの通路長と入口側通路部243bの通路長とは同一であり、更に第1ケースレール部154の出口部分から上下通路部161までの通路長と、第2ケースレール部155の出口部分から上下通路部162までの通路長とは同一となっている。このため、払出装置135の回転体245(詳しくは球誘導板246)から上下通路部161の入口部分までに待機可能な遊技球の数は、払出装置135の回転体245(詳しくは球誘導板247)から上下通路部162の入口部分までに待機可能な遊技球の数よりも1個多くなる。
なお、各上下通路部161,162の入口部からそれら上下通路部161,162内で最上流に位置する遊技球の一部が上流側に突出する構成となっている。つまり、上下通路部161,162の通路長と払出装置135の入口側通路部243a,243bの通路長との和は、回転体245から連なる遊技球列において上下通路部161,162の入口部分に位置する遊技球が、同入口部分から突出するように規定されている。そして、上記切替部材210の内側誘導部223、233はそれら突出している遊技球よりも更に上位に位置する構成となっている。つまり、それら内側誘導部223,233は、上下通路部161,162の入口部よりも上側に遊技球の突出量よりも大きな隙間を隔てた位置に配置されている。このため、内側誘導部223,233によって切替部材210内の遊技球が押される場合であっても、それら遊技球が上下通路部161,162と切替部材210との間に挟まるといった不都合が生じにくくなっている。
<残存遊技球数について>
本パチンコ機10では、上記残存遊技球数が特徴的な数となっている。そこで、図19に基づき当該残存遊技球数について説明する。
上述の如く払出装置135の回転体245(詳しくは球誘導板246)から上下通路部161の入口部までの通路長は、払出装置135の回転体245(詳しくは球誘導板247)から上下通路部162の入口部までの通路長よりも短く設定されている。このように通路長が異なるように形成されていることにより、第2ケースレール部155及び入口側通路部243bにおいて切替部材210から回転体245までの間に残存する残存遊技球数は、第1ケースレール部154及び入口側通路部243aにおいて切替部材210から回転体245までの位置に残存する残存遊技球数よりも遊技球1個分少ない数となる。具体的には、第2ケースレール部155及び入口側通路部243bにおける上記残存遊技球数は8個であるのに対して、第1ケースレール部154及び入口側通路部243aにおける上記残存遊技球数は9個である。
上記のとおり本パチンコ機10では、切替部材210を排出誘導状態とした場合に、切替部材210から回転体245までの位置に残る残存遊技球数は8個と9個との和で、17個である。この数は、素数であり、遊技領域に設けられた入賞口に一の遊技球が入球した場合に払い出されることとなる単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数となっている。
つまり、遊技領域には入賞口として、一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64及び下作動口65が設けられている。このうち、一般入賞口62に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は10個であり、可変入賞装置63に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は15個であり、上作動口64に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は3個であり、下作動口65に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は4個である。そうすると、17個は、いずれの単位遊技球数の整数倍とも一致しない。
また、残存遊技球数について補足すれば、同残存遊技球数は、単位遊技球数のうち最大単位遊技球数である15個よりも大きく且つ最も近い素数に設定されている。
ここで、本パチンコ機10における上記残存遊技球の抜き出し方法は以下のとおりである。上記残存遊技球を抜き出す場合、先ず遊技機前面ユニット23を開放状態とし、遊技領域をパチンコ機10前方に露出させる。その後、遊技領域に設けられた入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させる。入賞口に複数の遊技球を入球させることで、その入球結果が主制御装置107にて特定される。主制御装置107は入賞口への入球を特定することで、後述するように、払出制御装置141に賞球コマンドを出力する。払出制御装置141では、その賞球コマンドに対応した賞球数の情報を記憶し、本来なら、その記憶した情報に対応した賞球数の遊技球が払い出されるように払出装置135を駆動制御する。但し、この状態では、球無検知センサ200にて球無状態が検知されているため、上記駆動制御は開始されず、払出装置135の払出動作は開始されない。この場合に、球抜きボタン137を操作することで、球無状態であっても上記駆動制御が開始され、払出装置135の払出動作が開始される。これにより、上記残存遊技球が上皿95a又は下皿96aに排出されることとなる。
なお、球抜きボタン137を操作することで、入賞口への遊技球の入球に関わらず払出装置135を動作させる構成も考えられるが、この場合、球抜きボタン137が不正に操作された場合には不正に遊技球が払い出されることとなってしまうため、本パチンコ機10における上記構成とすることが好ましい。
上記のように残存遊技球の抜き出しが行われる構成において残存遊技球数は17個であるため、いずれか一の入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させて全ての残存遊技球を排出させようとすると、その際に払出制御装置141に記憶される賞球数は上記残存遊技球数を超えることとなる。つまり、一般入賞口62を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには2個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は17個より3個多い20個となる。また、可変入賞装置63を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには2個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は17個より13個多い30個となる。また、上作動口64を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには6個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は17個より1個多い18個となる。また、下作動口65を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには5個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は17個より3個多い20個となる。これら残存遊技球数を超えた賞球数は払出制御装置141に記憶保持されることとなる。この場合に、後述するように払出制御装置141には電源・発射制御装置142からバックアップ電力が供給されるため、パチンコ機10の電源が遮断されたとしても、上記残存遊技球数を超えた賞球数の情報は記憶保持される。
以上説明したような遊技球の抜き出しは、例えば、パチンコ機10を中古で流通させる場合に行われる。遊技球には遊技ホール毎に固有の模様などが付されており、中古での流通に際してパチンコ機10内の遊技球を全て抜き出すことで、遊技ホール間で異なる遊技球が混ざらないようにすることができる。その一方、パチンコ機10を中古で流通する場合、その流通過程で払出制御装置141などが不正な制御装置に交換されてしまうことが懸念される。この場合、流通先の遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。また、これを抑制すべく、払出制御装置141の不正交換を防止するために複雑な構成を付加すると、パチンコ機10のコストが高くなってしまう。
これに対して、本パチンコ機10では上記のとおり、残存遊技球数が17個となっており、いずれか一の入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させて当該残存遊技球を全て排出させようとすると、自ずと払出制御装置141に賞球数の情報が残ることとなる。そして、この賞球数の情報は、バックアップ電力が供給されることにより、パチンコ機10の電源が遮断されたとしても記憶保持される。これにより、パチンコ機10を中古で流通させる場合、流通先にて払出制御装置141に上記賞球数の情報が記憶保持されていることを確認することで、流通過程において払出制御装置141の不正交換が行われたか否かを確認することができる。この確認としては、例えば、島設備にパチンコ機10を設置し、タンク132に遊技球を補充した後に電源を立ち上げた場合に、遊技球が上皿95aに排出されるか否かを確認することで行うことができる。
特に、本パチンコ機10では、残存遊技球数が17個に設定されているため、いずれか一の入賞口に対して上記手入れでの遊技球の入球動作を行うことで、確実に払出制御装置141に賞球数の情報が残ることとなる。よって、流通過程において払出制御装置141の不正交換が行われたか否かの確認作業を確実に行うことができる。
また、実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、単位遊技球数が最も多い可変入賞装置63を用いることが考えられる。この場合、可変入賞装置63に遊技球を2個入球させることで、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報が30個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報が30個の場合には、残存遊技球の排出後に残る賞球数は13個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置141に記憶保持される賞球数の情報は13個となる。
更に、実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、手入れでの入球作業を最も行いやすい入賞口を用いることが考えられる。本パチンコ機10では、当該入賞口は、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に位置する一般入賞口62である。この場合、一般入賞口62に遊技球を2個入球させることで、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報が20個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報が20個の場合には、残存遊技球数の排出後に残る賞球数は3個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置141に記憶保持される賞球数の情報は3個となる。これにより、流通先でパチンコ機10の電源を立ち上げた場合に払い出される遊技球の数は3個となり、流通先での遊技ホールにおいて不正の有無の確認後における片付け作業に際してはその3個の遊技球を取り出すだけで済む。よって、当該片付け作業の作業効率を向上させることができる。つまり、本構成によれば、球抜き作業の作業効率及び片付け作業の作業効率の両方を向上させることができる。
一方、残存遊技球数の17個は、例えば、一般入賞口62の単位遊技球数と、上作動口64の単位遊技球数と、下作動口65の単位遊技球数との和と一致する数である。したがって、例えば、遊技ホールにおけるメンテナンス時や、製造メーカからの出荷時といった、中古品を流通させる必要がない場合には、一般入賞口62、上作動口64及び下作動口65のそれぞれに1個ずつ遊技球を入球させることで、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報は上記残存遊技球数と一致し、当該賞球数の情報が払出制御装置141に残らないようにすることができる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図20のブロック図に基づいて説明する。図20では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置107に設けられた主制御基板311には、主制御回路312と停電監視回路313とが内蔵されている。主制御回路312には、MPU321が搭載されている。MPU321には、当該MPU321により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM(不揮発性記憶手段)322と、そのROM322内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM(揮発性記憶手段)323と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM323は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御装置142に設けられた電源・発射制御基板331からバックアップ電力(データ記憶保持用電力)が供給されてデータが保持される構成となっている。
MPU321には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路312の入力側には、主制御基板311に設けられた停電監視回路313、払出制御装置141に設けられた払出制御基板332及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路313には電源・発射制御基板331が接続されており、主制御回路312には停電監視回路313を介して電力が供給される。
ちなみに、主制御回路312の入力側に接続されるスイッチ群としては、入賞検知センサ325〜328がある。入賞検知センサ325〜328としては、一般入賞口62に入球した遊技球を検知する一般入賞口センサ325と、可変入賞装置63に入球した遊技球を検知するカウントセンサ326と、上作動口64に入球した遊技球を検知する上作動口センサ327と、下作動口65に入球した遊技球を検知する下作動口センサ328とがある。なお、一般入賞口センサ325は、一般入賞口62に対して1対1で対応させて設けられている。これら入賞検知センサ325〜328からの検知結果に基づいて、主制御回路312のMPU321において、各種入賞口62〜65への遊技球の入球の有無が特定される。
一方、主制御回路312の出力側には、停電監視回路313、払出制御基板332及び中継端子板333が接続されている。払出制御基板332には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板333を介して主制御回路312から音声ランプ制御装置103に設けられた音声ランプ制御基板334に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路313は、主制御回路312と電源・発射制御基板331とを中継し、また電源・発射制御基板331から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板332は、払出装置135により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU341は、そのMPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM(不揮発性記憶手段)342と、ワークメモリ等として使用されるRAM(揮発性記憶手段)343とを備えている。
払出制御基板332のRAM343は、主制御回路312のRAM323と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御基板331からバックアップ電力(データ記憶保持用電力)が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板332のMPU341には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板332の入力側には、主制御回路312、電源・発射制御基板331、及び裏パック基板136が接続されている。ちなみに、裏パック基板136を通じて、球無検知センサ200の検知結果及び球抜きボタン137の操作の有無が払出制御基板332に入力される。また、払出制御基板332の出力側には、主制御回路312及び裏パック基板136が接続されている。
電源・発射制御基板331は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路312や払出制御基板332等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作にしたがって遊技球発射機構80の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構80は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源・発射制御基板331には、バックアップ電源部331aが設けられている。バックアップ電源部331aはコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)に充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、バックアップ電源部331aから放電され主制御回路312のRAM323及び払出制御基板332のRAM343に対してバックアップ電力が供給される。よって、かかる状況であっても、バックアップ電源部331aからバックアップ電力が供給されている間は、各RAM323,343に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
ちなみに、バックアップ電源部331aの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前に各RAM323,343に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、バックアップ電源部331aは、コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
音声ランプ制御基板334は、電飾部92,エラー表示ランプ部93,スピーカ部94及び表示制御装置101を制御するものである。演算装置であるMPU351は、そのMPU351により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM352と、ワークメモリ等として使用されるRAM353とを備えている。
音声ランプ制御基板334のMPU351にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板334の入力側には中継端子板333に中継されて主制御回路312が接続されており、主制御回路312から出力される各種コマンドに基づいて、各電飾部92,93、スピーカ部94及び表示制御装置101を制御する。表示制御装置101は、音声ランプ制御基板334から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置71を制御する。
次に、主制御回路312のMPU321により実行される各制御処理を図21〜図24のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるMPU321の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図21は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路313からMPU321のNMI端子に出力され、MPU321は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM323に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図22のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、各種スイッチや払出制御基板332などからの信号読み込み処理を実行する。ここで、信号読み込み処理では、一般入賞口センサ325、カウントセンサ326、上作動口センサ327及び下作動口センサ328から遊技球を検知している旨の検知結果を入力しているか否かを特定し、その特定結果に基づいて賞球コマンドのセットを行う処理を実行する。具体的には、一般入賞口センサ325の検知結果に基づいて一般入賞口62への遊技球の入球を特定した場合には10個賞球コマンドをセットする。また、カウントセンサ326の検知結果に基づいて可変入賞装置63への遊技球の入球を特定した場合には15個賞球コマンドをセットする。また、上作動口センサ327の検知結果に基づいて上作動口64への遊技球の入球を特定した場合には3個賞球コマンドをセットする。また、下作動口センサ328の検知結果に基づいて下作動口65への遊技球の入球を特定した場合には4個賞球コマンドをセットする。ここで、セットされた賞球コマンドは、後述する外部出力処理にて払出制御基板332に出力される。
その後、ステップS202では、始動入賞処理を実行する。始動入賞処理では、上作動口センサ327及び下作動口センサ328から入力した検知結果に基づいて、遊技球が上作動口64又は下作動口65に入球したか否かを判定する。そして、遊技球が上作動口64又は下作動口65に入球している場合には、第1特定ランプ部73及び図柄表示装置71の作動保留球数が上限値未満であることを条件として、その入球に対して大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値のRAM323への格納処理を実行する。当該カウンタ値が大当たりの発生に対応した値である場合には、その入球に対応した遊技回において大当たりが発生することとなる。つまり、始動入賞処理において、大当たりといった特別遊技状態への移行抽選機能(移行判定手段)が果たされる。
始動入賞処理の後、MPU321は本タイマ割込み処理を一旦終了する。なお、タイマ割込み処理において、大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値を更新する処理なども実行するようにしてもよい。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図23のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板332等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS302では、RAM323のアクセスを許可する。
その後、ステップS303では、電源・発射制御装置142に設けたRAM消去スイッチ144aがオンされているか否かを判定し、続くステップS304ではRAM323の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS305ではRAM判定値を算出し、続くステップS306では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM323の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM323の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ144aを押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ144aが押されていれば、ステップS309〜S311の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS309〜S311の処理に移行する。
ステップS309では、従側の制御基板となる払出制御基板332等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS310ではRAM323の使用領域を0にクリアし、ステップS311ではRAM323の初期化処理を実行する。その後、ステップS312にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ144aが押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS307に進む。ステップS307では、停電フラグ格納バッファに格納されている停電フラグをクリアし、ステップS308にて従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS312にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図24のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。
通常処理において、ステップS401では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、上述した信号読み込み処理にてセットされた賞球コマンドを払出制御基板332に対して出力する。また、図柄表示装置71による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御基板334に出力する。
続くステップS402では、第1特定ランプ部73に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部73に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。そして、第1特定ランプ制御処理では、始動入賞処理にて格納されたカウンタ値に基づいて大当たりを発生させると判定した場合、遊技状態を大当たり状態に移行させる。つまり、第1特定ランプ制御処理において、特別遊技状態への移行機能(移行手段)が果たされる。なお、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置71による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS403にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置63の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、上述した大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。つまり、大入賞口開閉処理において、特別遊技状態の進行機能(進行手段)が果たされる。
その後、ステップS404では、第2特定ランプ部74に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部74における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。そして、下作動口65に付随する電動役物65aを所定時間開放する場合には、第2特定ランプ部74において所定の色の停止表示が行われる。
ステップS404の後は、ステップS405にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御基板331の発射制御部から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構80のソレノイド81を励磁する。これにより、発射レール82上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
続くステップS406では、RAM323内に設けられた停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS406に戻り、所定時間が経過している場合には、ステップS401に戻る。
一方、ステップ406にて、停電フラグが格納されている場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS408以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS408では、タイマ割込み処理の発生を禁止する。続くステップS409では、電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板に対して出力する。そして、ステップS410にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS411にてRAM323のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源・発射制御基板331のバックアップ電源部331aからバックアップ電力が供給されるため、電源遮断前にRAM323に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、払出制御基板332のMPU341により実行される各制御処理を図25〜図28のフローチャートを参照しながら説明する。かかるMPU341の処理としては大別して、主制御回路312のMPU321からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめに入力時割込み処理を説明し、その後、メイン処理、タイマ割込み処理の順で説明する。
入力時割込み処理は、主制御回路312のMPU321からコマンドを入力した場合に後述する他の処理を中断して実行される。入力時割込み処理では、図25のフローチャートに示すように、ステップS501にて主制御回路312のMPU321からのコマンドをRAM343のコマンド格納バッファに記憶し、その後、ステップS502にてRAM343に設けられたコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグを格納し、本処理を終了する。
次に、払出制御基板332のMPU341に実行されるメイン処理を、図26のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS601では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS602に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS603で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS604では、RAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS605ではRAM判定値を算出し、続くステップS606では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM343の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM343の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
停電フラグが格納されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM343の初期化処理(ステップS611〜S613)に移行する。つまり、ステップS611ではRAM343の全領域を0にクリアし、続くステップS612ではRAM343の初期化処理を実行する。また、ステップS613ではMPU周辺デバイスの初期設定を行う。
一方、停電フラグが格納されており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS607にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS608にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS609ではMPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM343の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
ステップS609又はステップS613の処理の後は、ステップS610にて割込みを許可し、ステップS614にてRAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定し、停電フラグが格納されていなければ、停電フラグが格納されるまで待機する。
一方、停電フラグが格納されている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS615移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS615にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS616にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS617にてRAM343のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源・発射制御基板331からRAM343のデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM343に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
ここで、本メイン処理では、ステップS601〜ステップS613の通常時における一連の処理の終了後に、停電フラグが格納されているか否か(電源遮断が発生したか否か)を判定しているので、各処理の途中の状態で停電時処理が実行されることがない。これにより、電源遮断発生時においてRAM343に記憶するデータ量を極力少なくすることができ、さらには電源遮断前の状態に復帰する場合には、処理の途中から開始する必要はなく、払出制御基板332の処理の負担を軽減することができる。
次に、払出制御基板332のMPU341により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図27のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS701では、主制御回路312のMPU321から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図28に示すように、ステップS801にて、RAM343のコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグが格納されているか否かを判定する。コマンド入力フラグが格納されていない場合は、新たなコマンドが主制御回路312のMPU321から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグが格納されていた場合は、ステップS802にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM343のコマンドバッファから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS803、ステップS805、ステップS810及びステップS811の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS803では、停電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS804にてRAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグを格納して、本処理を終了する。
ステップS805では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御回路312のMPU321からRAM343の初期化が指示されていることになるので、ステップS806〜ステップS809の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS806では、RAM343に設けられた払出許可フラグ格納バッファに払出許可フラグが格納されているか否かを判定し、当該フラグが格納されていない場合は、ステップS807にてRAM343の作業領域を0にクリアし、さらにステップS808にてRAM343の初期値を設定する。その後、ステップS809にて払出許可フラグを格納することで、賞球の払出が許可される。
なお、ステップS806において払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS807及びステップS808の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ144aが押されていないにも関わらずノイズなどの原因で払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
ステップS810では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、払出制御基板332が停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS809にて払出許可フラグを格納した後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
ステップS811では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS812にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS809にて払出許可フラグを格納し本処理を終了する。
タイマ割込み処理(図27)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS702にて払出許可フラグが格納されているか否かを判定する。払出許可フラグが格納されていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS703にて状態復帰スイッチ143aをチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
また、ステップS704では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、球無検知センサ200の検知結果によりタンク132の球無状態を判定し、球無状態であると判定した場合には球無状態の設定を実行し、球無状態でなくなった場合には球無状態の設定を解除する。
本パチンコ機10では、払出制御装置141のRAM343に期間計測手段としてカウンタエリアが設けられており、球無検知センサ200から球無状態である旨の検知結果を入力している場合、カウンタエリアにてその入力継続期間が計測される。そして、入力継続期間が1secに達した時点で払出装置135の払出速度をそれまでよりも遅い低速周期に変更する。例えば、通常周期は60msecに1個の遊技球を払い出す周期であり、低速周期は1.2secに1個の遊技球を払い出す周期である。また、低速周期で遊技球の払出を実行している状況であって、上記入力継続期間が10secに達した場合には払出装置135が停止されるとともにその状態が維持されるように規制される。ステップS704では、上記入力継続期間が1secに達した時点で、RAM343に低速設定フラグを格納するとともに、上記入力継続期間が10secに達した時点で、賞球の払出不可状態の設定を行う。なお、期間計測手段としてカウンタエリアに代えて、リアルタイマを設けてもよい。
また、払出装置135の払出速度が低速周期である状況及び遊技球の払出が停止されている状況において球無状態である旨の検知結果が途切れることで、これら球無状態の設定が解除される。これにより、上記低速状態及び上記賞球の払出不許可状態が解除される。
ここで、球無状態となったことに基づいて払出装置135の払出動作を停止させることで、球無状態であるにも関わらず、払出装置135が払出動作を続けてしまうことが防止される。
また、払出装置135の払出動作を停止させる前段階で払出速度を低速周期に変更させたことにより、以下の効果が得られる。つまり、大当たり状態などのように多数の遊技球が短時間で払い出される場合、タンク132から上下通路ユニット134側への遊技球の流入が遅れることがある。この場合に、払出速度を低速周期に変更させない構成を想定すると、球無検知センサ200よりも下流側にある遊技球の払出が即座に完了してしまい、実際には大当たり状態に対する賞球数の情報が未だ残っているにも関わらず、遊技球の払出が停止されてしまう。そうすると、遊技者は大当たり状態における遊技球の払出が完了したと勘違いし、パチンコ機10から離れてしまう可能性がある。これに対して、上記のように払出速度を低速周期に変更させることで、上記状況となった場合には球無検知センサ200よりも下流側にある遊技球がゆっくりと払い出され、その間にタンク132から上下通路ユニット134側へ遊技球が流入する可能性が高まる。よって、上記のような不都合が発生する可能性が低減される。
タイマ割込み処理(図27)の説明に戻り、ステップS704の後は、ステップS705にて、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置141に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS706〜S709では、賞球払出の処理を実行する。先ずステップS706では、球抜きボタン137が操作されているか否かを判定する。球抜きボタン137が操作されていない場合には、ステップS707にて賞球の払出不可状態であるか否かを判定する。賞球の払出不可状態である場合にはRAM343に賞球数の情報が記憶されているか否かに関係なく、賞球払出の処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ248の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
球抜きボタン137が操作されておりステップS706にて肯定判定をした場合又は賞球の払出不許可状態ではなくステップS707にて否定判定をした場合には、ステップS708にてRAM343に賞球数の情報が記憶されているか否かを判定する。賞球数の情報が記憶されている場合には、ステップS709に進み、賞球制御処理を開始する。
賞球制御処理では、払出装置135を駆動制御の開始又は払出速度の設定を実行する。賞球数の情報が記憶されていない場合には、賞球の払出処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ248の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
賞球の払出処理を終了した後は、ステップS710〜S712の貸球払出の処理に移行する。貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つ貸球払出要求を入力していれば(ステップS710がNO、S711がYES)、ステップS712に進み、貸球制御処理を開始する。貸球制御処理では、払出装置135を駆動制御し、貸球払出要求に対応した数の遊技球を払い出す。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS710がYES又はS711がNO)、ステップS713に進む。
なお、ステップS709及びS712においては、払出装置135の払出モータ248の停止時に、回転体245(詳しくは球誘導板246,247)の外周部のうち凹部246a,247aを除いた部分が同払出装置135の入口側通路部243a,243bによって誘導される遊技球の落下位置に位置するように同払出モータ248を駆動制御する。これにより、既に説明したように、払出装置135内に待機している遊技球のうち球誘導板246,247に当接している遊技球は、同球誘導板246,247の外周部のうち凹部246a,247aを除いた部位によって下側から支持されることとなる。
ステップS713では、球詰まり状態であることを条件にタンク132に設けられたバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
パチンコ機10からの遊技球の抜き出しは、例えば、パチンコ機10を中古で流通させる場合に行われる。遊技球には遊技ホール毎に固有の模様などが付されており、中古での流通に際してパチンコ機10内の遊技球を全て抜き出すことで、遊技ホール間で異なる遊技球が混ざらないようにすることができる。その一方、パチンコ機10を中古で流通する場合、その流通過程で払出制御装置141などが不正な制御装置に交換されてしまうことが懸念される。この場合、流通先の遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。また、これを抑制すべく、払出制御装置141の不正交換を防止するために複雑な構成を付加すると、パチンコ機10のコストが高くなってしまう。
これに対して、上下通路ユニット134の切替部材210を排出誘導状態としても、切替部材210から払出装置135の回転体245までの位置に遊技球が残存する構成とし、その残存遊技球数を17個とした。この17個は、入賞口62〜65の一の入球に対して払出を行うべき遊技球の数として予め設定された単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数として設定されている。これにより、任意の一の入賞口を選択し、その選択した入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させて当該残存遊技球を全て排出させようとすると、自ずと払出制御装置141に賞球数の情報が残ることとなる。そして、この賞球数の情報は、バックアップ電力が供給されることにより、パチンコ機10の電源が遮断されたとしても記憶保持される。これにより、パチンコ機10を中古で流通させる場合、流通先にて払出制御装置141に上記賞球数の情報が記憶保持されていることを確認することで、流通過程において払出制御装置141の不正交換が行われたか否かを確認することができる。この確認としては、例えば、島設備にパチンコ機10を設置し、タンク132に遊技球を補充した後に電源を立ち上げた場合に、遊技球が上皿95aに排出されるか否かを確認することで行うことができる。
特に、本パチンコ機10では、残存遊技球数が17個に設定されているため、いずれか一の入賞口に対して上記手入れでの遊技球の入球動作を行うことで、確実に払出制御装置141に賞球数の情報が残ることとなる。よって、流通過程において払出制御装置141の不正交換が行われたか否かの確認作業を確実に行うことができる。
ちなみに、残存遊技球数は最大単位遊技球数よりも大きい数であって素数となっている。これにより、パチンコ機10の設計変更として、各単位遊技球数の遊技球数を変更する場合に、2以上であって残存遊技球数の範囲内であれば、任意の数を選択することができ、当該設計変更を容易に行うことができる。
一方、残存遊技球数の29個は、例えば、一般入賞口62の単位遊技球数と、上作動口64の単位遊技球数と、下作動口65の単位遊技球数との和と一致する数である。したがって、例えば、遊技ホールにおけるメンテナンス時や、製造メーカからの出荷時といった、中古品を流通させる必要がない場合には、一般入賞口62、上作動口64及び下作動口65のそれぞれに1個ずつ遊技球を入球させることで、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報は上記残存遊技球数と一致し、当該賞球数の情報が払出制御装置141に残らないようにすることができる。
また、パチンコ機10が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出装置135や上下通路ユニット134が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。
当該事情において、本パチンコ機10では、残存遊技球数の排出に際して、払出制御装置141に記憶されている賞球数の情報に対応した数の遊技球を払い出すように、払出装置135の回転体245を回転動作させることにより行われる。この場合に、上記のとおり残存遊技球数はいずれの単位遊技球数の整数倍とも一致しないため、残存遊技球の排出に際しては残存遊技球数よりも多い数に対応した賞球数の情報が記憶され、残存遊技球が全て排出された後も回転体245の回転動作が継続されることとなる。これに対して、不正用ユニットに交換されて残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致した場合には、残存遊技球数が全て排出されたタイミングで、回転体245の回転動作が停止されることとなる。したがって、遊技ホールの管理者等にとっては、残存遊技球数が全て排出されたタイミングで回転体245の回転動作が停止するか否かを確認することで、上記不正用ユニットの交換が行われているか否かを確認することができる。
残存遊技球数を幾つに設定したとしても、少なくとも同残存遊技球数が予め設定された単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数であれば払出制御装置141の不正交換が行われたか否かの確認作業を可能とし一定の防犯機能を享受することはできる。しかしながら、このような防犯機能を享受するための予備的作業に要する時間は、残存遊技球数によって左右され、同時間が増加することは作業の迅速化の観点から好ましくない。例えば遊技機1台あたりの作業時間の増加が僅かであっても、作業対象となる遊技機が多数存在する場合には、作業時間が累積することで作業の迅速な遂行が妨げられやすいと想定される。この点、本実施の形態においては、残存遊技球数を最大単位遊技球数よりも大きく且つ同最大単位遊技球数に最も近い素数に設定したことで、上述した防犯機能を発揮させる際の作業時間(遊技球の払い出しを待つ時間)を減縮することができる。これにより、防犯機能の向上と作業効率の向上とに貢献することができる。特に、残存遊技球数を素数としておくことで、払出機構部130のリユース性を高めることもできる。単位遊技球数は、各機種で固有となり得るため、残存遊技球数を素数としておくことで、実用上好ましい構成を実現できる。
また、第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155と、それら各ケースレール部154,155に対して個別に対応する球誘導板246,247とを設けたことで、遊技球の払い出しの迅速化を実現している。このように2条の払出用通路(待機通路)を有する構成においては、例えば各払出用通路の取り回しを相違させて通路長に差違を設けることで、各払出通路に残存する遊技球数の総和を少なくとも同残存遊技球数が予め設定された単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数(例えば素数)にすることが可能である。しかしながら、上述の如くなるべく少ない数の残存遊技球数を採用しようとした場合、必然的に各ケースレール部154,155の全長が短くなりやすく、通路の取り回し対する制限が強まると懸念される。特に、遊技球列を介して伝わる球圧を分散させるには、ある程度通路を蛇行させる等することが好ましいが、これにより通路の取り回しに対する制限が更に強まると想定される。この点、本実施の形態においては、切替部材210による通路の切替位置をずらすことで各払出用通路に残存する遊技球の数を相違させることが可能となっている。これにより、払出用通路の取り回しを煩雑化することなく、防犯性を向上させている。
第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155を有する構成とし、それら両者にて遊技球が残存する構成とした。これにより、1のケースレール部に遊技球を残存させる構成と比較して、遊技球の払い出しの迅速化に貢献できる。特に、球抜き作業を行う際に、残存遊技球の払い出しに要する期間を短縮可能となり、上述した防犯機能を享受するための準備時間の短縮に貢献できる。更には、各ケースレール部154,155に残存する遊技球の数の差を「1個」とすることで、上記準備時間の更なる短縮に貢献している。
また、切替部材210によって各通路に残存する遊技球を相違させることで、払出用通路(詳しくは各ケースレール部154,155)の取り回しを揃えることができる。本実施の形態においては特に、これら各ケースレール部154,155を並行させることで、払出機構部130(詳しくは上下通路ユニット134)の占有スペースの拡がりを抑え、保護カバー部122を隔てて並んでいる可変表示ユニット67等と好適に共存することが可能となっている。
蛇行通路部159,160の下流領域159c,160cを傾斜させ、その傾斜の先側に上側排出通路部156,157の入口部分(例えば開放部176a,183a)を配している。これにより、蛇行通路部159,160を流下した遊技球を上側排出通路部156,157の入口部分に向けて誘導しやすくしている。排出誘導状態においては、内側誘導部223,233の天壁部224,234が遊技球を下方から支える位置に移動することで、蛇行通路部159,160に待機している遊技球が排出通路部156,157側に誘導される。上述の如く蛇行通路部159,160に待機している遊技球はもともと上側排出通路部156,157の入口部分に向かいやすくなっており、それら遊技球の移動を天壁部224,234でバックアップすることで、排出誘導状態における上側排出通路部156,157への遊技球の誘導が好適なものとなっている。なお、上述の如く内側誘導部223,233により遊技球の流れに沿った誘導を行うことでて、誘導時に同内側誘導部223,233に加わる負荷を低減できる。
本実施の形態においては特に、上側排出通路部156,157への遊技球の流入を阻止する状態(払出誘導状態)にて外側誘導部222,232及び内側誘導部223,233に生じる負荷を低減することができる。
詳しくは、外側誘導部222,232は蛇行通路部159,160等に待機中の遊技球を下方から支えないようにして上下通路部161,162へ誘導するため、同第1誘導部に加わる球圧(例えば当該外側誘導部222,232に対して当接している遊技球の自重等)が低減される。故に、外側誘導部によって遊技球を下方から支えながら上下通路部に誘導する構成と比較して、外側誘導部222,232に加わる負荷を低減することができる。
また、同払出誘導状態においては、外側誘導部222,232によって蛇行通路部159,160から上下通路部161,162へ遊技球が誘導される。つまり、内側誘導部223,233については、排出誘導状態となる場合に遊技球を下方から支える構成であれば足り、必ずしも払出誘導状態にて遊技球を支える必要がない。このように払出誘導状態での遊技球の誘導に内側誘導部223,233が関与しにくい構成とすることで、少なくとも同払出誘導状態においては内側誘導部223,233に球圧が加わることを抑制できる。故に、各誘導部222,223,232,233を保護し、それら各誘導部222,223,232,233の誘導機能の低下を抑えることができる。
切替部材210の内側誘導部223,233が天壁部224,234及び側壁部225,235を有し、それら天壁部224,234及び側壁部225,235によって、蛇行通路部159,160に待機している遊技球を上側排出通路部156,157に誘導する位置と、ケースレール部154,155に残存させる遊技球及び残存させない遊技球の仕切位置とを分けている。これにより、各ケースレール部154,155に残存させる遊技球の数を相違させつつ、蛇行通路部159,160の出口部分と天壁部224,234との段差を抑えることで天壁部224,234に遊技球が載った際の衝撃の発生を抑えている。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記実施の形態では、残存遊技球数が17個となるように、上下通路ユニット134の切替部材210から払出装置135の回転体245までの通路長を設定したが、残存遊技球数は17個に限定されることはなく、単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数であれば具体的な数は任意である。例えば、上記実施の形態における単位遊技球数の設定において、残存遊技球数を19個、23個等としてもよい。但し、残存遊技球数を増加させると球抜きに要する時間が増すこととなり、上述した防犯性を享受できる反面、作業の迅速化が妨げられやすくなると想定される。故に、望ましくは単位遊技球数の最大数よりも大きく且つ同最大数に近い数を選択するとよい。
(2)入賞口62〜65に対する単位遊技球数の設定は、上記実施の形態のものに限定されることはなく、任意である。但し、単位遊技球数の設定を変更した場合には、それら単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないように残存遊技球数を変更する必要がある。
実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、手入れでの入球作業を最も行い易い入賞口を用いることが考えられる。本パチンコ機10では、当該入賞口は、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に位置する一般入賞口62が考えられる。例えば、一般入賞口62に対する単位遊技球数を10個に代えて、9個としてもよい。この場合、一般入賞口62に遊技球を2個入球させることで、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報が18個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置141に記憶される賞球数の情報が18個の場合には、残存遊技球数の排出後に残る賞球数は1個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置141に記憶保持される賞球数の情報は1個となる。これにより、流通先でパチンコ機10の電源を立ち上げた場合に払い出される遊技球の数は1個となり、流通先での遊技ホールにおいて不正の有無の確認後における片付け作業に際してはその1個の遊技球を取り出すだけで済む。よって、当該片付け作業の作業効率を向上させることができる。つまり、本構成によれば、球抜き作業の作業効率及び片付け作業の作業効率の両方を向上させることができる。
また、各入賞口62〜65のうち開閉手段(開閉扉63aや電動役物65a)を有さない、一般入賞口62及び上作動口64の単位遊技球数を以下のように変更してもよい。すなわち、一般入賞口62の単位遊技球数の整数倍と、上作動口64の単位遊技球数の整数倍との和が、上記残存遊技球数(17個)と一致する構成としてもよい。例えば、一般入賞口62の単位遊技球数を10個から11個に変更した場合、一般入賞口62の単位遊技球数11個の1倍と、上作動口64の単位遊技球数3個の2倍との和が17個となり、上記残存遊技球数17個と一致させることができる。このように、遊技球の入球を不可又は難しくする開閉手段が設けられていない入賞口においては、手入れでの入球作業に際して開閉手段の開放操作等を要しない。よって、賞球数の情報が払出制御装置141に残らないようにしながら残存遊技球の抜き出しを行う場合に、その作業効率を向上させることができる。
また、一般入賞口62の一部は、上記のとおり、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に配置されている。また、上作動口64は、遊技盤61において左右方向の中央側に配置されている。この点、手入れでの入球作業に際して、これら一般入賞口62及び上作動口64に遊技球を入球させることで、賞球数の情報が払出制御装置141に残らないようにしながら残存遊技球の抜き出しを行う場合に、その作業効率を飛躍的に向上させることができる。
(3)上記実施の形態では、単位遊技球数が異なる入賞口の種類を4種類としたが、これに限定されることはなく、1種類、2種類、3種類又は5種類以上であってもよい。この場合であっても、残存遊技球数を単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないようにすることで、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(4)上記実施の形態では、上下通路ユニット134において上流側通路部151には第1ケースレール部154と第2ケースレール部155との2列のケースレール部を形成したが、3列以上のケースレール部が形成された構成としてもよい。この場合通路長を一致させると残存遊技球数がケースレールの数の倍数となってしまい、各入賞口に対応する単位遊技球数が制限を受けやすくなると想定される。そこで、複数のケースレール部のうち1つの通路長を他のケースレール部の通路長よりも長くし、残存する遊技球の数が他のケースレール部と比較して多くなる構成とするとよい。残存遊技球数を単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないようにすることで、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、3列のケースレール部を有する構成を採用した場合、上記残存遊技球数を決定する際に、それら3つケースレール部のうち2つの通路長を他の1つのケースレール部の通路長よりも長くすることも可能である。例えば、3の倍数よりも2大きい「19」等を残存遊技球数として設定する場合には、1つのケースレール部の長さを遊技球2個分長くすることで対応できる。更には、2つのケースレール部においてそれぞれ1個ずつ残存する遊技球の数を増す構成とすれば、切替部材をコンパクトなものとし、実用上好ましい構成を実現できる。
(5)大当たり状態でない状況において、可変入賞装置63へ遊技球を入球させたとしても、その入球が無効化されるパチンコ機に対して本発明を適用してもよい。この場合、残存遊技球数を、可変入賞装置63の単位遊技球数の整数倍と一致する構成としてもよい。
(6)上記実施の形態では、主制御基板311のRAM323及び払出制御基板332のRAM343の両方にバックアップ電力が供給される構成としたが、これに代えて、主制御基板311のRAM323のみにバックアップ電力が供給される構成としてもよい。但し、本構成においては、パチンコ機10の電源が遮断される場合に、その時点で払出制御基板332のRAM343に記憶されている賞球数情報を主制御基板311に出力し、その賞球数情報を主制御基板311のRAM323にて記憶保持する構成としてもよい。
(7)上記実施の形態において、払出制御基板332のRAM343に賞球数の情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が払出装置135の回転体245よりも上流側に存在しない場合には、予め定められた球不足報知を実行するようにしてもよい。具体的には、球無状態であるか否かに関係なく、RAM343に賞球数の情報が記憶されている状況において回転体245を回転させた後に、所定期間に亘って払出検知センサ249にて遊技球を検知しない場合に上記球不足報知を実行する構成が考えられる。この球不足報知としては、例えば、パチンコ機10の前面のランプ部を発光させる構成や払出制御装置141に設置された7セグメントの表示器で所定の表示を行う構成が考えられる。これにより、中古品の流通先などにおいては、タンク132への遊技球の補充を行わない状況であっても、不正行為の有無の確認を行うことができる。
また、パチンコ機10の前面のランプ部にて報知を行う構成においては、電源立ち上げ時においてRAM343に賞球数の情報が記憶されている場合に、上記報知を行う構成としてもよい。この場合、複数台の中古品が納入された遊技ホールにおいては、それらを島設備に取り付け各パチンコ機の電源を投入した場合に、前面のランプ部が点灯するか否かを確認するだけで、流通過程での不正行為の有無を容易に確認することができる。
(8)上記実施の形態では、球無検知センサ200にて遊技球の球無状態が検知された場合、払出装置135の払出速度を低速周期に変更した後に払出動作を停止させるようにしたが、これに代えて、低速周期に変更させない構成としてもよい。また、低速周期が2段階以上設定された構成としてもよい。
また、低速周期への変更を行う場合であっても、低速周期に変更させるまでの期間及び払出動作を停止させるまでの期間は上記実施の形態のものに限定されることはなく、任意である。但し、残存遊技球数との関係において、払出動作を停止させた時点で球無検知センサ200と払出装置135の回転体245との間に遊技球が残っているように、上記各期間を設定することが好ましい。
また、払出装置135の通常周期及び低速周期は上記実施の形態のものに限定されることはなく、任意である。但し、残存遊技球数との関係において、払出動作を停止させた時点で球無検知センサ200と払出装置135の回転体245との間に遊技球が残っているように、上記各周期を設定することが好ましい。
(9)上記実施の形態では、球抜きボタン137を裏パック基板136に設けたが、これに代えて、主制御装置107や払出制御装置141等に設けてもよい。また、音声ランプ制御装置103などのように、裏パックユニット24により覆われた領域に設けてもよい。また、球抜きボタン137を不具備とし、当該球抜きボタン137の機能を他のスイッチに兼用させてもよい。例えば、状態復帰スイッチ143aやRAM消去スイッチ144aにその機能を兼用させてもよい。さらには、球抜きボタン137を不具備とし、所定の球抜き開始操作(解除操作)が行われた場合に、球無状態が特定されている場合であっても残存遊技球の排出が行われる構成としてもよい。例えば、所定の球検知センサ(例えば、スルーゲート66に設けられた球検知センサ)に通常の遊技では検知しないような期間に亘って遊技球を検知させることを、上記球抜き開始操作としてもよい。
(10)上記実施の形態では、残存遊技球数を、球無検知センサ200にて球無状態が検知され、払出装置135の払出動作が停止されるまでに払い出される遊技球の数よりも多い数に設定したが、これに代えて、少ない数に設定してもよい。但し、球無検知センサ200から切替部材210までに待機可能な遊技球数と残存遊技球数との和の数を、払出装置135の払出動作が停止されるまでに払い出される遊技球の数よりも多い数となるように設定することが好ましい。当該構成とすることにより、上記実施の形態と同様に、球無状態において払出装置135の払出動作が停止された場合に、回転体245よりも上流側に遊技球が残るようにすることができる。
(11)球無検知センサ200を、払出装置135よりも上流側であって切替部材210よりも下流側に設置してもよい。当該構成であっても、球無検知センサ200から回転体245までに待機可能な遊技球の数を、払出装置135の払出動作が停止されるまでに払い出される遊技球の数よりも多い数となるように設定することが好ましい。これにより、上記実施の形態と同様に、球無状態において払出装置135の払出動作が停止された場合に、回転体245よりも上流側に遊技球が残るようにすることができる。
(12)上記実施の形態では、第1ケースレール部154と第2ケースレール部155との取り回しを揃える(一致させる)構成としたが、これに限定されるものではない、これら両ケースレール部の取り回しを相違させてもよい。例えば、第1ケースレール部を左側に凸となるように湾曲させるとともに、第2ケースレール部を右側に凸となるように湾曲させることも可能である。しかしながら、各ケースレール部の取り回しを相違させた場合、上下通路ユニットの大型化が懸念される。上下通路ユニットは、保護カバー部122を挟んで可変表示ユニット67等と対峙している点に着目すれば、上下通路ユニットの大型化はそれら各種構成の共存を難しくする要因となり得るため好ましくない。故に、上記実施の形態に示したように、各ケースレール部の取り回しを一致させ、上下通路ユニットの占有領域の拡がりを抑えることが好ましい。
(13)上記実施の形態では、第1ケースレール部154及び第2ケースレール部155を前後に並べて設けたが、それらケースレール部を左右に並べて設けることも可能である。但し、この場合、上下通路ユニットの横幅が大きくなり、上述した可変表示ユニット67等との共存が難しくなると想定される。故に、望ましくは、各ケースレール部は前後に並べて設けるとよい。
(14)上記実施の形態では、第1ケースレール部154に残存する遊技球の数が、第2ケースレール部155に残存する遊技球の数よりも「1個」多くなる構成としたが、これを変更し、「2個」多くなる構成としてもよいし、「3個」以上多くなる構成としてもよい。しかしながら、遊技球の差を拡大すると、球抜き時に残存遊技球の払い出しのための待ち時間が長くなると想定される。これは、球抜き作業の迅速化の妨げとなり得るため好ましくない。故に、望ましくは、複数のケースレール部を有する構成においては、それら各ケースレール部での残存遊技球数の差が「1個」となるようにするとよい。なお、このような変更を行う場合、残存遊技球数又は最大単位遊技球数を上記のものとは異なる数とする必要がある。
ケースレール部を複数有する構成を採用した場合、各ケースレール部における残存遊技球数の差が1であることが好ましいが、残存遊技球数の比較対象は1のケースレール部に固定されない。例えばケースレール部を3列有する構成おいては、第1のケースレール部における残存遊技球数が「8個」である場合、第2のケースレール部の残存遊技球数を第1のケースレール部の残存遊技球数よりも「1個」多い「9個」とし、第3のケースレール部の残存遊技球数を第2のケースレール部の残存遊技球数よりも「1個」多い「10個」としてもよい。
(15)上記実施の形態では、切替部材210をスライド式としたが、これを回動式とすることも可能である。但し、切替部材を回動式とした場合には、ケースレール部の取り回しを揃えて切替位置を上下にずらすことが難しくなると想定される。具体的には、払出装置135側への遊技球の移動を阻止するストッパと、回動中心軸線との距離に応じて切替に必要な操作量が相違する。このため、切替部材の動作領域の確保が難しくなり、排出通路等との共存が難しくなるだけでなく、上下通路ユニットの大型化を招くと想定される。故に、望ましくは切替部材をスライド式とするとよい。
(16)上記実施の形態では、払出誘導状態から排出誘導状態への切替時に、ケースレール部154,155における蛇行通路部159,160の出口部分が向いている側に切替部材210がスライド移動する構成とした、すなわち払出誘導状態から排出誘導状態への切替時に切替部材210によって蛇行通路部159,160がその出口部分の向きに延長される構成としたが、これに限定されるものではなく、切替部材のスライド方向は任意である。
(17)上記実施の形態では、ケースレール部154,155において通路方向が変化している部分、すなわち蛇行通路部159と上下通路部161との間に切替部材210(詳しくは第1通路形成部221)を配したが、これに限定されるものではなく、切替部材210をどの位置に配置するかは任意である。例えば、上下通路部の途中位置(通路方向の変化が抑えられている部分)に切替部材を配することも可能である。このように、上下通路部の途中位置に切替部材を配した場合には、切替部材の外側誘導部及び内側誘導部が上下通路部と同一方向に拡がる構成とすることで、払出誘導状態にて各誘導部に加わる球圧を更に低減することができる。なお、蛇行通路部160及び上下通路部162に対して同様の変更を適用することも可能である。
(18)上記実施の形態では、各通路形成部221,231が外側誘導部222,232及び内側誘導部223,233を有する構成としたが、少なくとも払出誘導状態から排出誘導状態への切替時に払出装置135側への遊技球の移動を阻止できればよく、例えば外側誘導部222,232を省略することも可能である。但し、このような変更を上記実施の形態に単に適用した場合には、蛇行通路部159,160の出口方向を通過した遊技球が、誤って排出通路部156、157側に流入する可能性が高まる。故に、望ましくは、(17)の変形例に示した構成(上下通路部161,162の中間位置に切替部材を配置する構成)と併用することが望ましい。
(19)上記実施の形態では、遊技球の払い出しが行われていない状態では、上流側通路部151に待機中の遊技球のうち最下流に位置する遊技球が、払出装置135の回転体245の外周部における凹部246a,247a以外の部位にて支持される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、最下流に位置する遊技球が回転体245の凹部246a,247aに嵌った状態にて支持される構成としてもよい。また、回転体245の凹部246a,247aに嵌る状態と、回転体245の外周部において凹部246a,247a以外の部位に載る状態とが混在してもよい。なお、このような変更を行った場合、残存する遊技球の数は、いずれの状態でも同一とすることが好ましい。
このように、回転体245の停止位置によって遊技球列の状態が変化する構成を採用した場合であっても、遊技球列の最上流に位置すると想定される遊技球よりも上流側に切替部材の内側誘導部を配置する構成とすることが望ましい。これにより、切替部材を操作した際に内側誘導部と通路壁等との間に遊技球が挟まることを抑制できる。
(20)上記実施の形態では、切替部材210によって払出通路と排出通路との通路の切り替えを行う構成としたが、切替部材210を他の通路に適用することも可能である。例えば、上皿95aに遊技球を払い出す上皿用払出通路と、下皿96aに遊技球を払い出す下皿用払出通路とを有する場合、切替部材によってそれら各通路の切り替えることで払出先を変更する構成としてもよい。
(21)上記実施の形態では、「下流側通路部」の「上流側領域」を構成する上下通路部161,162が上下方向(鉛直方向)に延びる構成としたが、これを変更し、「上流側通路部」の「下流側領域」を構成する下流領域159c,160cよりも急傾斜となる構成としてもよい。
なお、上流側通路部は必ずしも蛇行している必要なない。少なくとも蛇行通路部159,160の下流領域159c,160cに相当する構成を有していればよく、上流領域159a,160aや中間領域159b,160bを省略することも可能である。但し、切替部材210に近い上流位置にて減圧を行うことで、同切替部材210に加わる負荷(球圧)を低減できる点に着目すれば、上述の如く上流側通路部を蛇行させ、その下流側領域を傾斜させることが好ましい。
(22)上記実施の形態では、「第2誘導部」としての内側誘導部223,233によって待機中の遊技球を開放部176a,183a側(すなわち上側排出通路部156,157側)に押す構成としたが、これに限定されるものではない。例えば内側誘導部223,233の側壁部225、235及び底部226,236を省略するとともに、天壁部224,234を薄型化し、同天壁部224,234を遊技球列に挿し込むことで遊技球を開放部176a,183a側に押さない構成とすることも可能である。
(23)上記実施の形態では、第1ケースレール部154に対応する第1通路形成部221と、第2ケースレール部155に対応する第2通路形成部231とを一体成形したが、これら各通路形成部を別体で形成してもよい。
また、第1通路形成部221の外側誘導部222及び内側誘導部223を一体成形したが、それら両誘導部を別部材としてもよい。特に、各誘導部222,223を一体的に設けることで、両者の動作を揃える(同期させる)構成としたが、必ずしもそれら各誘導部の動きを揃える必要はない。例えば、上述の如く両誘導部を別体で形成した場合、いずれか一方の誘導部が他方よりも先んじて動作を開始する構成とすることも可能である。なお、第2通路形成部231の外側誘導部232及び内側誘導部233に同様の変更を適用してもよい。
(24)上記実施の形態では、図柄表示装置71を備えたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、それ以外のタイプのパチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機や、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。また、球受け皿として上皿95a及び下皿96aが設けられているのではなく、単一の球受け皿が設けられたパチンコ機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴A1.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、当該流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口62,可変入賞装置63,上作動口64,下作動口65)と、
遊技機内部にて遊技球を貯留する内側貯留部(タンク132)と、
遊技機前面部にて遊技球を貯留する外側貯留部(上皿95aや下皿96a)と、
前記内側貯留部に貯留されている遊技球を前記外側貯留部に誘導する誘導通路部(第1ケースレール部154,第2ケースレール部155,遊技球通路242,払出通路部165等)と、
当該誘導通路部の途中位置に設けられ、上流側から流下してきた遊技球を一旦停止させる球止め手段(回転体245)を有し、前記一旦停止させられている遊技球を前記球止め手段の払出動作により下流側へ払い出す払出手段(払出装置135)と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて払出を実行すべき遊技球数に対応した情報として賞球数情報を記憶するとともに、当該賞球数情報に対応した数の遊技球が前記外側貯留部に払い出されるように前記払出手段に前記払出動作を実行させる制御手段(主制御装置107や払出制御装置141)と、
前記払出手段よりも上流側の位置にて前記誘導通路部の一部を構成し、前記払出手段側へ遊技球を誘導する払出誘導状態と前記誘導通路部の外部へ遊技球を排出する排出通路部(上側排出通路部156,157)側へ遊技球を誘導する排出誘導状態とに切替可能に設けられた切替手段(切替部材210)と
を備えており、
さらに、前記入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように、前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において前記制御手段にバックアップ電力を供給する電力供給手段(バックアップ電源部331a)を備えているとともに、
前記切替手段が前記排出誘導状態に切り替えられ当該切替手段よりも上流側の遊技球が排出された場合に、当該切替手段から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの間に残存する残存遊技球数が前記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、前記切替手段から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
特徴A1の遊技機では、入球部に遊技球が入球したことに基づいて制御手段により駆動制御されて払出手段が動作し、内側貯留部に貯留されている遊技球は誘導通路部を通じて外側貯留部に払い出される。また、例えば、遊技機が中古品で流通される場合には、内側貯留部及び誘導通路部に待機している遊技球が排出されることがある。この場合、切替手段が払出誘導状態から排出誘導状態に切り替えられることで、内側貯留部に貯留されている遊技球及び誘導通路部において内側貯留部側から切替手段の位置までに待機している遊技球が排出通路部側へ誘導される。但し、この状態では、切替手段の位置から払出手段の停止位置までに遊技球が残存することとなる。当該残存遊技球は、例えば遊技領域を遊技機前方に開放させて入球部に手入れで遊技球を入球させ払出手段の球止め手段に払出動作を実行させることで排出される。
上記構成において、入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように設定されており、さらには当該残存遊技球数が上記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、切替手段から球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されている。これにより、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残ることとなる。この場合に、外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において制御手段にバックアップ電力が供給され、賞球数情報が記憶保持されるようにすることで、例えば中古品の流通過程において制御手段が不正なものに交換されたか否かの確認を、流通先において行うことが可能となる。
つまり、流通先において上記未払出の賞球数情報が依然として残っているか否かを確認することで、流通過程において上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。この確認としては、例えば、遊技機を島設備に設置し、内側貯留部への遊技球の補充を行った後に遊技機の電源を立ち上げた際に、外側貯留部に遊技球が払出されるか否かを確認する態様が考えられる。そして、上記のとおり残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残るため、制御手段にバックアップ電力が供給されるのであれば、確実に上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。以上より、中古品での流通などを良好に行うことが可能となる。
また、遊技機が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出手段や、誘導通路部における払出手段よりも上流側を構成する通路部分が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。当該事情において、制御手段に未払出の賞球数情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が球止め手段よりも上流側にない場合、その事実を報知などにより把握可能な構成とすることで、上記不正用ユニットへの交換を遊技ホールにおいて把握することが可能となる。
なお、「制御手段」には単一の制御基板だけでなく、物理的に分離された複数の制御基板により構成されたものも含まれ、そのうちの一部の制御基板にバックアップ電力が供給される構成としてもよい。
特徴A2.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、当該流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口62,可変入賞装置63,上作動口64,下作動口65)と、
遊技機内部にて遊技球を貯留する内側貯留部(タンク132)と、
遊技機前面部にて遊技球を貯留する外側貯留部(上皿95aや下皿96a)と、
前記内側貯留部に貯留されている遊技球を前記外側貯留部に誘導する誘導通路部(第1ケースレール部154,第2ケースレール部155,遊技球通路242,払出通路部165等)と、
当該誘導通路部の途中位置に設けられ、上流側から流下してきた遊技球を一旦停止させる球止め手段(回転体245)を有し、前記一旦停止させられている遊技球を前記球止め手段の払出動作により下流側へ払い出す払出手段(払出装置135)と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて払出を実行すべき遊技球数に対応した情報として賞球数情報を記憶するとともに、当該賞球数情報に対応した数の遊技球が前記外側貯留部に払い出されるように前記払出手段に前記払出動作を実行させる制御手段(主制御装置107や払出制御装置141)と、
前記払出手段よりも上流側の位置にて前記誘導通路部の一部を構成し、前記払出手段側へ遊技球を誘導する払出誘導状態と前記誘導通路部の外部へ遊技球を排出する排出通路部(上側排出通路部156,157)側へ遊技球を誘導する排出誘導状態とに切替可能に設けられた切替手段(切替部材210)と、
を備えており、
さらに、前記入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように、前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において前記制御手段にバックアップ電力を供給する電力供給手段(バックアップ電源部331a)を備え、
前記誘導通路部は、当該誘導通路部の少なくとも途中位置から前記球止め手段にて一旦停止される位置まで続く待機領域(第1ケースレール部154及び入口側通路部243aや第2ケースレール部155及び入口側通路部243b)を複数備え、
前記切替手段は、前記排出誘導状態に切り替えられた場合に前記排出通路部側へ遊技球を誘導する球誘導部(第1通路形成部221,第2通路形成部231)を、前記各待機領域に1対1で対応させて備えており、
前記各球誘導部は、
前記排出誘導状態に切り替えられ前記各球誘導部により前記排出通路部側へ遊技球が排出された場合に、前記各待機領域のそれぞれにおいて前記各球誘導部から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの間に遊技球を残存させる位置に配置されているとともに、
前記排出誘導状態に切り替えられた場合に各待機領域に残存する残存遊技球数の和の数が前記単位遊技球数の整数倍と一致しないようにする位置に配置されていることを特徴とする遊技機。
特徴A2の遊技機では、入球部に遊技球が入球したことに基づいて制御手段により駆動制御されて払出手段が動作し、内側貯留部に貯留されている遊技球は誘導通路部を通じて外側貯留部に払い出される。また、例えば、遊技機が中古品で流通される場合には、内側貯留部及び誘導通路部に待機している遊技球が排出されることがある。この場合、切替手段が払出誘導状態から排出誘導状態に切り替えられることで、内側貯留部に貯留されている遊技球及び誘導通路部において内側貯留部側から切替手段の位置までに待機している遊技球が排出通路部側へ誘導される。但し、この状態では、切替手段の位置から払出手段の停止位置までに遊技球が残存することとなる。当該残存遊技球は、例えば遊技領域を遊技機前方に開放させて入球部に手入れで遊技球を入球させ払出手段の球止め手段に払出動作を実行させることで排出される。
上記構成において、入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように設定されており、さらには当該残存遊技球数が上記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、切替手段から球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されている。これにより、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残ることとなる。この場合に、外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において制御手段にバックアップ電力が供給され、賞球数情報が記憶保持されるようにすることで、例えば中古品の流通過程において制御手段が不正なものに交換されたか否かの確認を、流通先において行うことが可能となる。
つまり、流通先において上記未払出の賞球数情報が依然として残っているか否かを確認することで、流通過程において上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。この確認としては、例えば、遊技機を島設備に設置し、内側貯留部への遊技球の補充を行った後に遊技機の電源を立ち上げた際に、外側貯留部に遊技球が払出されるか否かを確認する態様が考えられる。そして、上記のとおり残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残るため、制御手段にバックアップ電力が供給されるのであれば、確実に上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。以上より、中古品での流通などを良好に行うことが可能となる。
また、遊技機が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出手段や、誘導通路部における払出手段よりも上流側を構成する通路部分が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。当該事情において、制御手段に未払出の賞球数情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が球止め手段よりも上流側にない場合、その事実を報知などにより把握可能な構成とすることで、上記不正用ユニットへの交換を遊技ホールにおいて把握することが可能となる。
更に、上述した防犯機能を享受するには遊技球の抜き取り等の予備的な作業が必要である。本特徴によれば、待機領域を複数設けることで残存遊技球数を確保しつつ、個々の通路長を短縮することが可能となる。これにより、上記抜き取り作業の迅速化に貢献できる。
なお、「制御手段」には単一の制御基板だけでなく、物理的に分離された複数の制御基板により構成されたものも含まれ、そのうちの一部の制御基板にバックアップ電力が供給される構成としてもよい。
特徴A3.前記各球誘導部は、前記残存遊技球数の和の数が素数となるように、前記各待機領域に残存させる遊技球と前記排出通路部へ誘導する遊技球との仕切位置が前記誘導通路部の通路方向にずらして設定されていることを特徴とするA2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、残存遊技球数を素数とすることで、誘導通路部や払出手段等のリユース性の向上に貢献できる。具体的には、遊技球の払い出しに関する構成は、遊技性等に関連するものではないため、各機種間での共用を図ることが可能である。しかしながら、残存遊技球数の和の数が単位遊技球数の整数倍と一致しないように設定したとしても、その和の数が素数でない場合には、払い出しに関する構成のリユースによって単位遊技球数の設定自由度が低下すると考えられる。単位遊技球数については機種ごとに固有の数を設定可能としておくことが望ましく、同単位遊技球数に上述したような制限が生じることは好ましくない。この点、残存遊技球数を素数としておくことで、単位遊技球数の設定自由度を高めつつ、上述した防犯機能を享受することができる。
複数の待機領域を有する構成において残存遊技球の和の数を素数とするには、各待機領域での残存遊技球数を相違させる必要がある。例えば、待機領域の取り回しを相違させて残存遊技球数に差を生じさせることが可能ではあるが、これは各待機領域の取り回し自由度を低下させる要因となり得るため好ましくない。この点、本特徴に示すように仕切り位置を相違させる構成とすえれば、待機領域の取り回し自由度を高めつつ、残存遊技球数を相違させることができる。
特徴A4.前記複数の待機領域は、一部の待機領域が他の待機領域よりも前記残存遊技球数が1つ多くなるように形成されているとともに、当該残存遊技球数の相違によって前記残存遊技球数の和の数が素数となるように形成されていることを特徴とするA2又はA3に記載の遊技機。
特徴A4によれば、残存遊技球数を素数とすることで、誘導通路部や払出手段等のリユース性の向上に貢献できる。具体的には、遊技球の払い出しに関する構成は、遊技性等に関連するものではないため、各機種間での共用を図ることが可能である。しかしながら、残存遊技球数の和の数が単位遊技球数の整数倍と一致しないように設定したとしても、その和の数が素数でない場合には、払い出しに関する構成のリユースによって単位遊技球数の設定自由度が低下すると考えられる。単位遊技球数については機種ごとに固有の数を設定可能としておくことが望ましく、同単位遊技球数に上述したような制限が生じることは好ましくない。この点、残存遊技球数を素数としておくことで、単位遊技球数の設定自由度を高めつつ、上述した防犯機能を享受することができる。
また、複数の待機領域を有する構成にて残存する遊技球数の和の数を素数にしようとすれば、各待機領域に待機する遊技球の数を相違させる必要があるが、各待機領域に残存する遊技球の数の差によって遊技球の払い出しに要する時間(以下便宜上、払出時間と称する)に差が生じ得る。このような各待機領域における払出時間の差は、作業効率の向上を妨げる要因となり得るため好ましくない。この点、本特徴に示すように、待機領域間での残存遊技球数の差を1つとすることで、球抜き作業の迅速化に貢献できる。
特徴A5.前記排出通路部は、前記待機領域の途中位置から分岐しており、
前記各待機領域は、前記排出通路部の分岐部分よりも上流側に位置する上流側通路領域(例えば蛇行通路部159,160)と、それよりも下流側に位置する下流側通路領域(例えば上下通路部161,162及び入口側通路部243a,243b)とを有し、
前記各上流側通路領域は、各上流側通路領域それぞれの出口部分を含んだ各下流領域(下流領域159c,160c)が前記下流側通路領域に向けて下り傾斜となるように形成され、
前記各下流側通路領域は、各下流側通路領域それぞれの入口部分を含んだ各上流領域(上下通路部161,162)が前記下流領域よりも急傾斜となるように又は上下方向に延びるように形成され、
前記排出通路部の入口部分は前記下流領域の傾斜先側に位置するとともに、水平方向に並べて設けられており、
前記各球誘導部は、
前記排出誘導状態に切り替えられた場合に、前記下流側通路領域の入口部分よりも上流側において遊技球を下方から支える位置に移動し、前記上流側通路領域に待機している遊技球を前記下流側通路領域に流入させないようにしながら前記排出通路部側に誘導する支持部(天壁部224,234)と、
前記支持部よりも下流側に向けて延び、前記排出誘導状態に切り替えられた場合に、前記支持部と前記下流側通路領域の入口部分との間に待機している遊技球を前記排出通路部側へ誘導する壁部(側壁部225,235)と
を備え、
前記各支持部による遊技球の誘導位置は、前記排出通路部の入口部分の並設方向に揃えて設定されており、
前記各壁部は、前記排出通路部側に誘導され前記各待機領域に残存しない遊技球と前記各待機領域に残存する遊技球との仕切位置が、前記誘導通路部の通路方向に相違するように形成されていることを特徴とするA3又はA4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、上流側通路領域の下流領域を傾斜させ、その傾斜の先側に排出通路部の入口部分を配している。これにより、上流側通路領域を流下した遊技球を排出通路部の入口部分に向けて誘導しやすくしている。排出誘導状態においては、誘導部の支持部が遊技球を下方から支える位置に移動することで、上流側通路領域に待機している遊技球が払出通路部側に誘導される。上述の如く上流側通路領域に待機している遊技球はもともと排出通路部の入口部分に向かいやすくなっており、その遊技球の移動を支持部によってバックアップすることで、排出誘導状態における排出通路部への遊技球の誘導を好適なものとしている。
また、待機領域を並設することで、誘導通路部の占有スペースの拡がりを抑えている。そして、各支持部の誘導位置を待機領域の並設方向に揃えて設定し、各壁部による仕切位置を誘導通路部の通路方向にずらして設定することで、排出誘導状態にて支持部に加わる負荷(例えば遊技球が衝突することによる衝撃)が1の支持部にて増大することを抑制しつつ、各待機領域(詳しくは下流側通路領域)に残存する遊技球の数を相違させることが可能となる。すなわち、誘導位置と仕切位置とをずらすことで、誘導部の保護を図りつつ、特徴A3及び特徴A4に示した構成を好適に実現できる。
特徴A6.前記遊技領域には前記単位遊技球数が異なる入球部が複数設けられており、
それら入球部の前記単位遊技球数がいずれも複数の遊技球数となるように、前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
前記残存遊技球数が、当該残存遊技球の排出を行う状況であっても入球が有効となる入球部に対応した単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A6によれば、それぞれ異なる単位遊技球数が設定された入球部が複数設けられている場合であっても、残存遊技球数が、当該残存遊技球の排出を行う状況であっても入球が有効となる入球部に対応した単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないように、上記待機通路長が設定されている。これにより、複数の入球部が設けられた構成において、いずれか一の入球部を任意に選択して、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行ったとしても、上記特徴A1等にて説明した効果を得ることができる。
特徴A7.前記単位遊技球数として、他の単位遊技球数に比べ最大の遊技球数に対応した最大単位遊技球数と、他の単位遊技球数に比べ最小の遊技球数に対応した最小単位遊技球数と、が設定されており、
前記残存遊技球数が前記最大単位遊技球数よりも大きい数であり、且つ前記残存遊技球数に対する前記最大単位遊技球数の商を計算した場合の余りが前記最小単位遊技球数未満となるように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
それぞれ異なる単位遊技球数が設定された入球部が複数設けられた構成においては、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行う場合、最大単位遊技球数が設定された入球部に対して入球操作を行うことで、当該入球操作の作業効率が高められる。この場合に、本特徴によれば、残存遊技球数に対する最大単位遊技球数の商を計算した場合にその余りが最小単位遊技球数未満となるように上記待機通路長が設定されている。これにより、流通先などにおいて、流通過程で上記不正行為が行われたか否かの確認を行うべく外側貯留部に遊技球が払い出されるか否かの確認を行った場合において、その払い出される遊技球の数を極力少なくすることが可能となる。よって、確認作業に際して多数の遊技球が払い出される構成に比べ、その確認後の片付け作業を効率良く行うことが可能となる。
特徴A8.前記残存遊技球数が、複数種類の前記単位遊技球数のうち2種類以上の各単位遊技球数をそれぞれ整数倍したものの和の数と一致するように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする特徴A6又は特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8によれば、例えば遊技ホールでのメンテナンス時や製造メーカの出荷前検査後といったように、中古品を流通させる場合ではない状況において、残存遊技球の排出を行う場合、制御手段に賞球数情報が残らないようにしつつ残存遊技球の排出を行うことができる。
特徴A9.前記入球部として、入球可能又は入球し易い状態と入球不可又は入球しがたい状態とに開閉される開閉手段(開閉扉63a、電動役物65a)を有する開閉入球部(可変入賞装置63、下作動口65)と、当該開閉手段を不具備である開放入球部(一般入賞口62、上作動口64)と、を備えており、
さらに、前記単位遊技球数が異なる開放入球部が複数設けられており、
前記残存遊技球数が、前記開放入球部における複数種類の単位遊技球数のうち2種類以上の各単位遊技球数をそれぞれ整数倍したものの和の数と一致するように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
上記特徴A8の構成を備えていることにより、制御手段に賞球数情報が残らないようにしつつ残存遊技球の排出を行うことができる。但し、この場合、複数の入球部に対して入球操作を行う必要が生じる。これに対して、本特徴によれば、開閉入球部ではなく、開放入球部に対して入球操作を行えばよいため、当該入球操作の作業効率を向上させることができる。
特徴A10.遊技機本体(遊技機ベースユニット22)に搭載され、前面に前記遊技領域が形成された遊技盤(遊技盤61)と、
前記遊技機本体の左右の一方を開閉基端側とし他方を開閉先端側として当該遊技機本体に対して開閉可能に設けられ、遊技機前方から前記遊技領域を視認可能とする表示部(窓パネル部91)を有する遊技機前面体(遊技機前面ユニット23)と、
を備えており、
前記遊技領域には、前記入球部が、前記遊技領域の左右方向の中央部分、当該中央部分よりも前記開閉基端側、及び当該中央部分よりも前記開閉先端側にそれぞれ設置されており、
前記残存遊技球数が、前記中央部分又は前記開閉先端側に設けられた入球部における複数種類の単位遊技球数のうち2種類以上の各単位遊技球数をそれぞれ整数倍したものの和の数と一致するように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする特徴A8又は特徴A9に記載の遊技機。
上記特徴A8の構成を備えていることにより、制御手段に賞球数情報が残らないようにしつつ残存遊技球の排出を行うことができる。但し、この場合、複数の入球部に対して入球操作を行う必要が生じる。これに対して、本特徴によれば、開閉基端側の入球部ではなく、遊技領域の左右方向の中央部分にある入球部又は開閉先端側の入球部に対して入球操作を行えばよいため、当該入球操作の作業効率を向上させることができる。
特徴A11.前記誘導通路部における前記払出手段よりも上流側の位置を流れる遊技球を検知するように設けられた球無検知手段(球無検知センサ200)を備え、
前記制御手段は、
前記球無検知手段の検知結果に基づいて前記内側貯留部に貯留されている遊技球が球無状態であることを特定した場合に、前記球止め手段の前記払出動作が停止されるように規制する停止規制手段(払出制御装置141のMPU341におけるステップS704の処理を実行する機能)を備えているとともに、
遊技機内部又は遊技機背面部に設けられた解除操作部が操作されたことに基づいて、前記球無状態であったとしても、記憶している賞球数情報に対応した数を上限として前記払出手段に前記払出動作を実行させるものであることを特徴とする特徴A1乃至特徴A10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A11によれば、球無検知手段にて球無状態が検知されている場合には球止め手段の払出動作が停止されるように規制されるため、球無状態であるにも関わらず球止め手段の払出動作が継続されてしまうことはない。一方、球無状態であったとしても解除操作部が操作されたことに基づいて上記規制状態が解除されるため、上記特徴A1等の効果を得ることが可能となる。
特に、残存遊技球の排出に際しては、制御手段に記憶されている賞球数情報に対応した数を上限としたことにより、不正に遊技球の払出を受けようとする行為を阻止することができる。つまり、解除操作部の操作に応じて球止め手段の払出動作が開始され外側貯留部に遊技球が排出される構成において、解除操作部が操作されただけで球止め手段の払出動作が開始される構成を想定すると、不正に解除操作部を操作し、不正に遊技球の払出を受けようとする行為が想定される。これに対して、残存遊技球の排出条件を上記のように設定したことにより、上記不正行為を阻止することが可能となる。
特徴A12.前記停止規制手段は、前記球無検知手段から球無状態であることを示す検知結果を入力している期間が予め設定された第1期間以上となった場合、前記球無状態であることを特定するとともに、前記球止め手段の前記払出動作が停止されるように規制し、
さらに、前記制御手段は、前記球無検知手段から球無状態であることを示す検知結果を入力している期間が前記第1期間よりも短い第2期間以上となった場合、前記球止め手段における前記払出動作の周期を、それまでの周期よりも遅い周期に変更する周期変更手段を備えていることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
大当たり状態などのように多数の遊技球が短時間で払い出される場合、内側貯留部から誘導通路部側への遊技球の流入が遅れることがある。この場合に、球無検知手段よりも下流側にある遊技球の払出が即座に完了してしまうと、実際には大当たり状態に対する賞球数情報が未だ残っているにも関わらず、遊技球の払出が停止されてしまう。そうすると、遊技者は大当たり状態における遊技球の払出が完了したと勘違いし、遊技機から離れてしまう可能性がある。これに対して、本特徴によれば、球止め手段の払出動作が停止される前段階として、払出動作の周期がそれまでよりも遅い周期に変更されるため、上記状況となった場合には球無検知手段よりも下流側にある遊技球がゆっくりと払い出され、その間に内側貯留部から誘導通路部側へ遊技球が流入する可能性が高まる。よって、上記のような不都合が発生する可能性が低減される。
特徴A13.前記球止め手段から前記球無検知手段までの通路長は、当該通路部分に待機可能な遊技球の数が、前記停止規制手段により前記払出動作が停止されるまでに、前記遅い周期により前記払出動作が実行されて払い出される遊技球の数よりも少なくなるように設定されていることを特徴とする特徴A12に記載の遊技機。
特徴A13によれば、球無状態となり球止め手段の払出動作が停止したとしても、球止め手段よりも上流側には遊技球が存在することとなる。例えば、球無状態となり球止め手段の払出動作が停止した場合に、球止め手段よりも上流側に遊技球が存在しない構成を想定すると、球止め手段の払出動作が停止した後に内側貯留部から誘導通路部側へ流入してくる遊技球は、内側貯留部の位置から球止め手段までの距離分加速されながら流下し、その勢いのまま球止め手段に衝突することとなる。そうすると球止め手段に大きな負荷がかかってしまう。これに対して、本手段における構成によれば、球無状態となり球止め手段の払出動作が停止したとしても、球止め手段よりも上流側に遊技球が存在するため、内側貯留部から誘導通路部側への遊技球の流入が再開された場合に球止め手段にかかる負荷が低減される。
特徴A14.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、当該流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65)と、
遊技機内部にて遊技球を貯留する内側貯留部(タンク132)と、
遊技機前面部にて遊技球を貯留する外側貯留部(上皿95a、下皿96a)と、
前記内側貯留部に貯留されている遊技球を前記外側貯留部に誘導する誘導通路部(第1ケースレール部154、第2ケースレール部155、遊技球通路242、払出通路部165等)と、
当該誘導通路部の途中位置に設けられ、上流側から流下してきた遊技球を一旦停止させる球止め手段(回転体245)を有し、前記一旦停止させられている遊技球を前記球止め手段の払出動作により下流側へ払い出す払出手段(払出装置135)と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて払出を実行すべき遊技球数に対応した情報として賞球数情報を記憶するとともに、当該賞球数情報に対応した数の遊技球が前記外側貯留部に払い出されるように前記払出手段に前記払出動作を実行させる制御手段(主制御装置107、払出制御装置141)と、
前記払出手段よりも上流側の位置にて前記誘導通路部の一部を構成し、前記払出手段側へ遊技球を誘導する払出誘導状態と前記誘導通路部の外部へ遊技球を排出する排出通路部(上側排出通路部156,157)側へ遊技球を誘導する排出誘導状態とに切替可能に設けられた切替手段(切替部材210)と、
前記誘導通路部における前記払出手段よりも上流側の位置を流れる遊技球を検知するように設けられた球無検知手段(球無検知センサ200)と、
を備えており、
前記制御手段は、
前記球無検知手段の検知結果に基づいて前記内側貯留部に貯留されている遊技球が球無状態であることを特定した場合に、前記球止め手段の前記払出動作が停止されるように規制する停止規制手段(払出制御装置141のMPU341におけるステップS704の処理を実行する機能)を備えているとともに、
遊技機内部又は遊技機背面部に設けられた解除操作部が操作されたことに基づいて、前記球無状態であったとしても記憶している賞球数情報に対応した数を上限として前記払出手段に前記払出動作を実行させるものであり、
さらに、前記入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において前記制御手段にバックアップ電力を供給する電力供給手段(バックアップ電源部331a)を備えているとともに、
前記切替手段が前記排出誘導状態に切り替えられ当該切替手段よりも上流側の遊技球が排出された場合に、当該切替手段から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの間に残存する残存遊技球数が前記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、前記切替手段から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
特徴A14の遊技機では、入球部に遊技球が入球したことに基づいて制御手段により駆動制御されて払出手段が動作し、内側貯留部に貯留されている遊技球は誘導通路部を通じて外側貯留部に払い出される。また、例えば、遊技機が中古品で流通される場合には、内側貯留部及び誘導通路部に待機している遊技球が排出されることがある。この場合、切替手段が払出誘導状態から排出誘導状態に切り替えられることで、内側貯留部に貯留されている遊技球及び誘導通路部において内側貯留部側から切替手段の位置までに待機している遊技球が排出通路部側へ誘導される。但し、この状態では、切替手段の位置から払出手段の停止位置までに遊技球が残存することとなる。当該残存遊技球は、例えば遊技領域を遊技機前方に開放させて入球部に手入れで遊技球を入球させ払出手段の球止め手段に払出動作を実行させることで排出される。
上記構成において、入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように設定されており、さらには当該残存遊技球数が上記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、切替手段から球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されている。これにより、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残ることとなる。この場合に、外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において制御手段にバックアップ電力が供給され、賞球数情報が記憶保持されるようにすることで、例えば中古品の流通過程において制御手段が不正なものに交換されたか否かの確認を、流通先において行うことが可能となる。
つまり、流通先において上記未払出の賞球数情報が依然として残っているか否かを確認することで、流通過程において上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。この確認としては、例えば、遊技機を島設備に設置し、内側貯留部への遊技球の補充を行った後に遊技機の電源を立ち上げた際に、外側貯留部に遊技球が払出されるか否かを確認する態様が考えられる。そして、上記のとおり残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残るため、制御手段にバックアップ電力が供給されるのであれば、確実に上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。以上より、中古品での流通などを良好に行うことが可能となる。
また、遊技機が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出手段や、誘導通路部における払出手段よりも上流側を構成する通路部分が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。当該事情において、制御手段に未払出の賞球数情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が球止め手段よりも上流側にない場合、その事実を報知などにより把握可能な構成とすることで、上記不正用ユニットへの交換を遊技ホールにおいて把握することが可能となる。
また、球無検知手段にて球無状態が検知されている場合には球止め手段の払出動作が停止されるように規制されるため、球無状態であるにも関わらず球止め手段の払出動作が継続されてしまうことはない。一方、球無状態であったとしても解除操作部が操作されたことに基づいて上記規制状態が解除されるため、上記効果を得ることが可能となる。
特に、残存遊技球の排出に際しては、制御手段に記憶されている賞球数情報に対応した数を上限としたことにより、不正に遊技球の払出を受けようとする行為を阻止することができる。つまり、解除操作部の操作に応じて球止め手段の払出動作が開始され外側貯留部に遊技球が排出される構成において、解除操作部が操作されただけで球止め手段の払出動作が開始される構成を想定すると、不正に解除操作部を操作し、不正に遊技球の払出を受けようとする行為が想定される。これに対して、残存遊技球の排出条件を上記のように設定したことにより、上記不正行為を阻止することが可能となる。
なお、「制御手段」には単一の制御基板だけでなく、物理的に分離された複数の制御基板により構成されたものも含まれ、そのうちの一部の制御基板にバックアップ電力が供給される構成としてもよい。
特徴B1.複数の遊技球が列をなして待機するように形成された待機通路(上流側通路部151のケースレール部154,155)と、
前記待機通路の途中位置から分岐する分岐通路(上側排出通路部156,157)と
を備え、
前記待機通路は、当該待機通路からの前記分岐通路の分岐部分よりも上流側に位置する上流側通路部(例えば蛇行通路部159,160)と、それよりも下流側に位置する下流側通路部(例えば上下通路部161,162及び入口側通路部243a,243b)とを有し、
前記上流側通路部は、当該上流側通路部の出口部分を含んだ下流側領域(下流領域159c,160c)が前記下流側通路部に向けて下り傾斜となるように形成され、
前記下流側通路部は、当該下流側通路部の入口部分を含んだ上流側領域(上下通路部161,162)が前記下流側領域よりも急傾斜となるように又は上下方向に延びるように形成され、
前記分岐通路の入口部分は前記下流側領域の傾斜先側に位置し、
さらに、前記下流側領域の延長上に位置するとともに、前記分岐通路の入口部分への遊技球の流入を阻止する阻止状態及び同入口部分への遊技球の流入を許容する許容状態に切替可能に設けられ、前記阻止状態では待機中の遊技球を下方から支えないようにしながら前記下流側通路部へ誘導する第1誘導部(外側誘導部222,232)と、
前記第1誘導部が前記許容状態に切り替えられる場合に、前記下流側通路部の入口部分又はそれよりも上流側において遊技球を下方から支える位置に移動し、前記上流側通路部に待機している遊技球を前記下流側通路部に流入させないようにしながら前記分岐通路部側に誘導する第2誘導部(内側誘導部223,233の天壁部224,234)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、上流側通路部の下流側領域を傾斜させ、その傾斜の先側に分岐通路の入口部分を配している。これにより、上流側通路部を流下した遊技球を分岐通路の入口部分に向けて誘導しやすくしている。許容状態においては、第2誘導部が遊技球を下方から支える位置に移動することで、上流側通路部に待機している遊技球が分岐通路部側に誘導される。上述の如く上流側通路に待機している遊技球はもともと排出通路の入口部分に向かいやすくなっており、その遊技球の移動を第2誘導部でバックアップすることで、許容状態における分岐通路への遊技球の誘導を好適なものとしている。
更に、本特徴によれば、分岐通路への遊技球の流入を阻止する阻止状態にて第1誘導部及び第2誘導部に生じる負荷を低減することができる。
詳しくは、第1誘導部は上流側通路部等に待機中の遊技球を下方から支えないようにして下流側通路部へ誘導するため、同第1誘導部に加わる球圧(例えば第1誘導部に対して当接している遊技球の自重等)が低減される。故に、例えば第1誘導部によって遊技球を下方から支える構成と比較して、第1誘導部に加わる負荷を低減することができる。
また、同阻止状態においては、第1誘導部によって上流側通路部から下流側通路部へ遊技球が誘導される。つまり、第2誘導部については、第1誘導部が許容状態となる場合に遊技球を下方から支える構成であれば足り、必ずしも阻止状態にて遊技球を支える必要がない。このように阻止状態での遊技球の誘導に第2誘導部が関与しない構成とすることで、少なくとも同阻止状態においては第2誘導部に球圧が加わることを抑制できる。故に、各誘導部を保護し、それら誘導部の誘導機能の低下を抑えることができる。
特徴B2.前記第2誘導部は、前記阻止状態から前記許容状態への切り替えに基づいて、前記下流側領域を前記分岐通路の入口部分側へ延長するように前記上流側通路部の出口部分から突出することを特徴とするB1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、遊技球が第2誘導部上に載った(例えば落下した)際の衝撃を抑え、第2誘導部の保護機能に貢献することができる。また、分岐通路への遊技球誘導の円滑化に貢献することができる。
特徴B3.前記下流側通路部よりも下流側に設けられ、遊技球を下流側から受け止めることでそれよりも下流側への遊技球の移動を規制する規制部(回転体245)を備え、
前記第2誘導部は、前記待機通路に前記規制部から上流側に延びる遊技球列が形成されている場合に、前記下流側通路部に待機している遊技球のうち最上流に位置する遊技球よりも上流側に配置されており、
前記分岐通路の入口部分は、前記阻止状態から前記許容状態への切り替えに基づいて前記第2誘導部が突出した場合に、当該第2誘導部によって押された遊技球の流入を許容するように形成されていることを特徴とするB2に記載の遊技機。
特徴B2に示したように阻止状態から許容状態への切り替えにもとづいて第2誘導部が突出する構成においては、待機中の遊技球が同第2誘導部の突出に伴って当該第2誘導部の突出する側に押されると想定される。このように第2誘導部によって遊技球が押された場合、仮に第2誘導部と待機通路の内壁等との間に遊技球が挟まると、第2誘導部の突出が妨げられ、同第2誘導部の誘導機能が発揮されなくなると懸念される。
この点、本特徴においては、下流側通路部に待機している遊技球のうち最上流のものよりも上流側に第2誘導部が配置されているため、同第2誘導部に押された遊技球が当該第2誘導部と下流側通路部の内壁等との間に挟まることを好適に抑制できる。そして、分岐通路の入口部分は、第2誘導部によって押された遊技球の流入を許容するように形成されているため、遊技球が第2誘導部と分岐通路との間に挟まることを抑制できる。故に、第2誘導部の突出が妨げられることを回避し、同第2誘導部の誘導機能を担保することができる。
特徴B4.前記分岐通路の入口部分は、前記許容状態での前記第2誘導部よりも上流側及び下流側の両側に拡っており、
前記第1誘導部は、前記阻止状態において前記分岐通路の入口部分を塞ぐとともに、前記待機通路の一部を構成する壁状をなし、前記許容状態に切り替えられた場合に同入口部分を開放することを特徴とするB2又はB3に記載の遊技機。
特徴B2等に示したように阻止状態から許容状態への切り替えに基づいて第2誘導部が突出する構成においては、待機中の遊技球が同第2誘導部の突出に伴って当該第2誘導部の突出する側に押されると想定される。このように第2誘導部によって遊技球が押された場合、仮に第2誘導部と待機通路の内壁等との間に遊技球が挟まると、第2誘導部の突出が妨げられ、同第2誘導部の誘導機能が発揮されなくなると懸念される。
本特徴においては、分岐通路の入口部分が許容状態での第2誘導部よりも上流側及び下流側の両側に拡がっており、その入口部分が第1誘導部によって塞がれている。阻止状態から許容状態への切り替えに基づいて分岐通路の入口部分が開放され、第2誘導部の突出先への遊技球の押し出しが許容されることとなる。つまり、第2誘導部が突出した際に遊技球が押された場合であっても、同遊技球は分岐通路へ誘導され、第2誘導部と通路壁等との間に遊技球が挟まることを好適に回避できる。故に、第2誘導部の突出が妨げられることを回避し、同第2誘導部の誘導機能を担保することができる。
特徴B5.前記第2誘導部は、
前記許容状態に切り替えられた場合に、遊技球を下方から支えるようにしながら前記待機通路に誘導する支持部(天壁部224,234)と、
前記支持部よりも下流側に向けて延び、前記許容状態に切り替えられた場合に当該支持部と下流側通路部の入口部分との間に待機している遊技球を前記分岐通路側へ誘導する壁部(側壁部225,235)と
を備えていることを特徴とするB2乃至B4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B5によれば、支持部及び壁部によって、上流側通路部に待機している遊技球を分岐通路に誘導する位置と、待機通路に残存させる遊技球及び残存させない遊技球の仕切位置とを分けることができる。これにより、支持部に遊技球が載った際の負荷の発生を抑えつつ、残存させる遊技球の数の設定自由度を高めることができる。
特徴B6.前記待機通路が複数並設され、
前記第2誘導部は、前記各待機通路に個別に対応させて設けられ、
前記第2誘導部の前記支持部による遊技球の誘導位置は、前記待機通路の並設方向に揃えて設定されており、
前記各第2誘導部の前記壁部は、前記分岐通路側に誘導され前記待機通路に残存しない遊技球と前記待機通路に残存する遊技球との仕切位置が、前記待機通路の通路方向に相違するように形成されていることを特徴とするB5に記載の遊技機。
複数の待機通路を有する構成にて、各支持部の誘導位置を待機通路の並設方向に揃えて設定し、各壁部による仕切位置を待機通路の通路方向にずらして設定することで、許容状態にて支持部に加わる負荷(例えば遊技球が衝突することによる衝撃)が1の支持部にて増大することを抑制しつつ、各下流側通路部に残存する遊技球の数を相違させることが可能となる。
特徴B7.前記第1誘導部及び前記第2誘導部は、両者の間隔を保ちながら一体的に移動することを特徴とするB2乃至B6のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B7によれば、各誘導部がそれら各誘導部の間隔を保ちながら一体的に移動することで、許容状態への切り替えに基づいて第2誘導部が突出した場合に、両誘導部の間に遊技球が挟まって第2誘導部の突出が妨げられることを抑制できる。故に、第2誘導部の誘導機能を好適に担保できる。
例えば、両誘導部が第2誘導部の突出方向に移動する構成とすればよい。両誘導部がそれら両者の間に待機している遊技球ごと分岐通路側へ移動することで、遊技球誘導の円滑化に貢献できる。
特徴B8.遊技機内部にて遊技球を貯留する内側貯留部(タンク132)と、
遊技機前面部にて遊技球を貯留する外側貯留部(上皿95aや下皿96a)と、
前記内側貯留部から供給された複数の遊技球が列をなして待機するように形成され、それら遊技球を前記外側貯留部に導く待機通路(例えばケースレール部154,155)と、
前記待機通路の途中位置に設けられ、上流側から流下してきた遊技球を一旦停止させる球止め手段(回転体245)を有し、前記一旦停止させられている遊技球を前記球止め手段の払出動作により下流側へ払い出す払出手段(払出装置135)と
前記払出手段よりも上流側にて前記待機通路から分岐し、遊技球を前記待機通路部の外部に排出する排出通路(上側排出通路部156,157)と
を備え、
前記待機通路は、当該待機通路からの前記排出通路の分岐部分よりも上流側に位置する上流側通路部(例えば蛇行通路部159,160)と、それよりも下流側に位置する下流側通路部(上下通路部161,162及び入口側通路部243a,243b)とを有し、
前記上流側通路部は、当該上流側通路部の出口部分を含んだ下流側領域(下流領域159c,160c)が前記下流側通路部に向けて下り傾斜となるように形成されており、
前記下流側通路部は、当該下流側通路部の入口部分を含んだ上流側領域(上下通路部161,162)が前記上流側通路部の下流側領域よりも急傾斜となるように又は上下方向に延びるように形成されており、
前記排出通路の入口部分は、前記下流側領域の傾斜先側に位置し、
さらに、前記下流側領域の延長上に位置するとともに、前記排出通路の入口部分への遊技球の流入を阻止する阻止状態及び同入口部分への遊技球の流入を許容する許容状態に切替可能に設けられ、前記阻止状態では待機中の遊技球を下方から支えないようにしながら前記下流側通路部へ誘導する誘導部(外側誘導部222,232)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B8によれば、内側貯留部から供給された遊技球は、球止め手段から内側貯留部に連なった状態で待機し、払出動作によって払出手段よりも下流側へ払い出される。払出手段から払い出された遊技球は、待機通路を通じて外側貯留部に誘導される。待機通路内に待機している遊技球の球抜き作業を行う際には、誘導部を許容状態に切り替えることで、待機通路(詳しくは誘導部よりも上流側)に待機している遊技球の排出通路への流入が許容される。排出通路の入口部分を通過した遊技球は、同排出通路を通じて待機通路部の外部(例えば遊技機外部)へ排出される。
本特徴においては特に、阻止状態において誘導部が自身よりも上流側に待機中の遊技球を下方から支えないようにして下流側通路部へ誘導するため、同誘導部に加わる球圧(例えば当該誘導部に対して当接している遊技球の自重等による球圧)が低減される。これにより、例えば遊技球を下方から支える構成と比較して、誘導部に加わる球圧を低減することができる。故に、誘導部を保護し、それら誘導部の誘導機能の低下を抑えることができる。
なお、特徴B1乃至特徴B8のいずれか1つに記載の技術的思想を、特徴A1乃至特徴A14のいずれか1つに適用することも可能である。
上記特徴B1乃至特徴B8は、以下の課題に対して適用すると効果的である。
パチンコ機等の遊技機においては、ホール等の島設備から供給された遊技球を貯留する貯留タンクが設けられているものがある。貯留タンクに貯留されている遊技球は、例えば遊技領域に設けられた入賞口へ遊技球が入賞した場合に、払出通路を通じて遊技機前面部の球受け皿へ払い出される。また、払出通路の途中位置には当該払出通路から分岐させて排出通路(分岐通路)が設けられており、払出通路に形成された排出通路への入口部分を通じて同排出通路に遊技球を導くことで遊技機に貯留された遊技球を抜き取ることが可能となっている。これによりメンテナンス作業の容易化等が実現されている。
このような遊技機においては、貯留タンクから供給された遊技球を払出通路に誘導する払出誘導状態と排出通路に誘導する排出誘導状態とで切替可能な誘導部を設け、上述した遊技球の抜き取り作業の効率化を図ったものが提案されている。誘導部及び同誘導部に関連する構成は以下のとおりである。払出通路において誘導部よりも上流側となる領域(上流側領域)は鉛直に延びており、誘導部よりも下流側となる領域(下流側領域)は斜めに傾斜している。誘導部は、払出誘導状態においては上流領域に待機している遊技球を下方から支えるようにしながら下流側領域に誘導する。排出誘導状態に切り替えられた場合には誘導部が排出通路の入口を塞ぐ位置から塞がない位置に移動することで、上流側領域に待機している遊技球が排出通路へ流入することとなる。このような構成においては、誘導部に接触している遊技球の自重や後続する遊技球から伝わる球圧を利用することで、排出誘導状態への切替え時の遊技球誘導の確実性を高めることが可能となる。
しかしながら、遊技球の自重や球圧等に依存して遊技球の誘導の確実性を高めようとした場合、誘導部に生じる負荷が大きくなると懸念される。これは、結果として誘導部の誘導機能を低下させる要因となり得る。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル84)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構80のソレノイド81)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(レール部77,78)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘69等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(作動口64,65等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
球使用回動式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。