JP2010219443A - テラヘルツ受信素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率でテラヘルツ波を受信することが可能であるテラヘルツ受信素子を提供する。
【解決手段】本発明のテラヘルツ受信素子Aは、高抵抗基板1と、前記高抵抗基板1の第1の主面上に形成されているグランド面10と、前記高抵抗基板1の前記第1の主面に対向する第2の主面上に形成され、ヘテロ接合により形成されるチャネル層3を含む半導体層と、前記半導体層に形成され、前記チャネル層3とともに電界効果型トランジスタを形成するソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6とを備え、前記半導体層は、前記ゲート電極9とショットキー接合されたストライプ状の凸部7を有し、前記ストライプ状の凸部7に含まれる複数の凸部それぞれは、前記ゲート電極9の下方において前記ソース電極5、前記ゲート電極9及び前記ドレイン電極6の並び方向に直交する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のテラヘルツ受信素子Aは、高抵抗基板1と、前記高抵抗基板1の第1の主面上に形成されているグランド面10と、前記高抵抗基板1の前記第1の主面に対向する第2の主面上に形成され、ヘテロ接合により形成されるチャネル層3を含む半導体層と、前記半導体層に形成され、前記チャネル層3とともに電界効果型トランジスタを形成するソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6とを備え、前記半導体層は、前記ゲート電極9とショットキー接合されたストライプ状の凸部7を有し、前記ストライプ状の凸部7に含まれる複数の凸部それぞれは、前記ゲート電極9の下方において前記ソース電極5、前記ゲート電極9及び前記ドレイン電極6の並び方向に直交する。
【選択図】図1
Description
本発明はテラヘルツ帯の高周波を受信するテラヘルツ受信素子に関するものである。
テラヘルツ電磁波は近年注目されている新しい電磁波領域であり、多岐にわたる応用の可能性が提案されている。現在、テラヘルツ波の室温受信は、テラヘルツ時間領域分光法(THz−TDS:Terahertz Time Domain Spectroscopy)を用いることによりテラヘルツ波の高感度受信を行うことが一般的である。
しかし、このテラヘルツ時間領域分光法は、高精度な光学系の調整を必要とするだけでなく大規模な設備構成にならざるを得ず、現状では様々な分野への技術応用、商品展開は困難である。また、設備を小型化し、簡便で高感度なテラヘルツ波受信技術として、電子デバイスを用いたテラヘルツ波の受信が新たに検討されており、電界効果型トランジスタを用いチャネル電子のプラズマ共鳴を利用したテラヘルツ波の室温受信が報告されている。これは、108cm/sオーダーの電子速度を持つプラズマ波を利用することにより、室温でのテラヘルツ受信を可能とするものである。
中でも2次元電子システムを有する高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)において、2次元電子プラズマ共鳴を利用したデバイスをM. Shurらが提案している(非特許文献1、2)。この共鳴周波数はゲートに印加される電圧によって定まる電子濃度の平方根に比例するため、ゲート電圧により周波数可変なテラヘルツ光源、或いは広帯域なテラヘルツ受信機の実現が期待できる。
このように、トランジスタを用いたテラヘルツ帯の電磁波を検波することが可能であることから、テラヘルツ光源を必要としないイメージングが可能となりテラヘルツイメージングシステム等の小型化、低コスト化が可能となるなどのメリットがある。
また、TaukらはSiMOSFET(Silicon Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)においても、テラヘルツ波の受信が可能であることを報告している(非特許文献3)。この報告ではテラヘルツ波はゲートワイヤにて受信されるとしており、ゲートワイヤで受信したテラヘルツ帯の変調信号を、ゲートワイヤを通じてゲート直下のチャネルへ伝送され、プラズマ共鳴により発生したプラズマ波によってテラヘルツ波を室温受信していることになる。その構造を図5に示す。同図のテラヘルツ受信素子800では、電界効果型トランジスタに接続されたゲートバイアス給電用のゲートワイヤ804を線状アンテナとして利用している。このように電界効果型トランジスタにおいて、アンテナを用いることによりテラヘルツ帯の高周波を受信することが可能である。
また、ゲートを格子状に配置したプラズモン格子デバイスによるテラヘルツ受信も報告されている(非特許文献4、5、6、特許文献1)。その構造を図6に示す。同図のプラズモン格子デバイス100は、高抵抗基板101に、バッファ層102、チャネル層103、電子供給層104が形成され、ソース電極105及びドレイン電極106間のチャネル領域には、格子状のゲート電極107及び108が形成されている。各ゲート電極107及び108それぞれに対し個別にバイアスすることにより、チャネル層103の2次元電子ガスに濃度変調が生じる。その結果、プラズマ波の伝搬特性の向上やテラヘルツ波に対する吸収係数の増加などの効果が見込める。
また、プラズモン格子デバイス100は、プラズモン格子状のゲート電極107及び108がアンテナとして機能することで、プラズモン格子のサイズに対応したテラヘルツ波を受信することを特徴とする。このように、プラズモン格子デバイス100は、テラヘルツ波受信感度の向上に効果的であることが期待される。
"Physical Review Letters"、1993年、Vol.71、pp.2465−2468 "IEEE TRANS. ON ELECTRON DEVICES"、1996年、Vol.43、NO.3、pp.380 "APPLIED PHYSICS LETTERS"、2006年、Vol.89、Articles 253511 "Physical Review B",1998年、Vol.58、pp.1517−1532 "Journal of Applied Physics"、1992年、Vol.71、No.12、pp.6049−6061 "APPLIED PHYSICS LETTERS"、2005年、Vol.87、Articles 193507 国際公開第2006/030608号
"Physical Review Letters"、1993年、Vol.71、pp.2465−2468 "IEEE TRANS. ON ELECTRON DEVICES"、1996年、Vol.43、NO.3、pp.380 "APPLIED PHYSICS LETTERS"、2006年、Vol.89、Articles 253511 "Physical Review B",1998年、Vol.58、pp.1517−1532 "Journal of Applied Physics"、1992年、Vol.71、No.12、pp.6049−6061 "APPLIED PHYSICS LETTERS"、2005年、Vol.87、Articles 193507
しかしながら、図5に示した従来のテラヘルツ受信素子800のように、アンテナと電界効果型トランジスタを分離した構成では、アンテナにおいて受信したテラヘルツ帯の電磁波をトランジスタに伝送する際に、配線による導体損が大きい。したがって、テラヘルツ波を高効率で受信することは非常に困難である。また、ワイヤのような線状アンテナでは、指向性が小さい、偏向依存性が大きいなどの理由からも、非特許文献3のような構成では、テラヘルツ波の高効率受信は困難である。よって、高効率なテラヘルツ波受信を実現するには、線状アンテナを用いず、更に伝送時の損失をできるだけ小さくする必要がある。
また、伝送線路を必要としないプラズモン格子デバイス100は、受信したテラヘルツ波の電界方向(チャネル層103と平行)と、プラズマ共鳴により発生したプラズマ波の電界方向(チャネル層103と垂直)とが直交するため、受信効率が悪いという問題がある。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて、高効率でテラヘルツ波を受信することが可能であるテラヘルツ受信素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のテラヘルツ受信素子は、半導体基板と、前記半導体基板の第1の主面上に形成されているグランド層と、前記半導体基板の前記第1の主面に対向する第2の主面上に形成され、ヘテロ接合により形成される2次元電子チャネル層を含む半導体層と、前記半導体層に形成され、前記2次元電子チャネル層とともに電界効果型トランジスタを形成するソース電極、ゲート電極及びドレイン電極とを備え、前記半導体層は、前記ゲート電極とショットキー接合されたストライプ状に配置された複数の凸部を有し、前記複数の凸部それぞれは、前記ゲート電極の下方において前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に直交する。
この構成にすることにより、照射されたテラヘルツ波をゲート電極で受信することによりテラヘルツ受信素子内に発生した電界方向と、プラズマ共鳴により発生したプラズマ波の電界方向とが一致するため、受信効率が向上する。また、ゲート電極とショットキー接合されたストライプ状に配置された複数の凸部では、凸部のそれぞれが電界効果型トランジスタのゲートとして機能する。その結果、ゲートの下の2次元電子チャネル層で発生したプラズマ波を隣接するゲートの下で発生したプラズマ波と重畳できるので、テラヘルツ波からプラズマ波への変換効率が向上する。また、ゲート電極のサイズにより決定される受信可能なテラヘルツ波の周波数と、ソース電極、ゲート電極及びドレイン電極の並び方向にゲート電極とショットキー接合している各凸部の長さにより決定されるプラズマ周波数とを一致させることで、より高効率にテラヘルツ波を受信できる。
さらに、ゲート電極にバイアス電圧を印加する場合、従来のようにプラズモン格子状のゲート電極を形成し、各ゲートバイアスを制御することなく、2次元電子チャネル層の2次元電子ガスに濃度変調を与えることができ、簡易な制御で受信感度の向上を図ることができる。
また、前記複数の凸部それぞれは、前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に前記ゲート電極とショットキー接合している箇所の長さが0.065〜2μmである前記複数の凸部それぞれは、前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に前記ゲート電極とショットキー接合している箇所の長さが0.065〜2μmであってもよい。
この構成にすることにより、半導体製造プロセスにより複数の凸部それぞれを形成することができる。
また、前記複数の凸部それぞれは、前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に周期的に形成されていてもよい。
この構成にすることにより、複数の凸部それぞれが形成されている周期を2次元電子プラズマ共鳴が起こるディメンションにした場合、より効率良くテラヘルツ波を受信することが可能となる。
また、前記ゲート電極の形状は、矩形、多角形及び円形の何れかであってもよい。
この構成にすることにより、感度及び広帯域など、用途によりアンテナの設計の自由度をあげることができる。
また、前記半導体層は、III−V族化合物半導体であってもよい。
この構成にすることにより、高い電子移動度を有する2次元電子チャネル層を構成することが可能となり、幅広いテラヘルツ電磁波周波数帯に対応した、高感度にテラヘルツ電磁波を受信可能な受信素子を実現することができる。
本発明によるテラヘルツ受信素子は、高効率でテラヘルツ波を受信することができる。すなわち、本発明によるテラヘルツ受信素子は、ゲート電極がアンテナとして作用するために、受信したテラヘルツ波の信号を効率よくゲート下の2次元電子チャネル層に伝送することができる。さらに、入れ子型のような複雑なバイアス制御を必要とすることなく、ゲート下の2次元電子の電子濃度を変調することができ、さらに、アンテナにより受信した電界方向とチャネルに生成されたプラズマ波の電界方向を一致させることができる。したがって、高効率でテラヘルツ波を受信することが可能となる。
よって、本発明により、テラヘルツ波を用いたセンシング、或いはイメージングに必要なテラヘルツ波に対して感度があり、正確にテラヘルツ信号を検出することが可能なテラヘルツ受信素子を提供することが可能になり、実用的価値は極めて高い。
以下、図面とともに本発明によるテラヘルツ受信素子の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
本発明のテラヘルツ受信素子は、半導体基板と、前記半導体基板の第1の主面上に形成されているグランド層と、前記半導体基板の前記第1の主面に対向する第2の主面上に形成され、ヘテロ接合により形成される2次元電子チャネル層を含む半導体層と、前記半導体層に形成され、前記2次元電子チャネル層とともに電界効果型トランジスタを形成するソース電極、ゲート電極及びドレイン電極とを備え、前記半導体層は、前記ゲート電極とショットキー接合されたストライプ状に配置された複数の凸部を有し、前記複数の凸部それぞれは、前記ゲート電極の下方において前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に直交する。これにより、伝送等による損失を大幅に低減すると共に効率良くゲート電極下の2次元電子チャネル層の2次元電子ガスを励振させることを可能とする。更に、受信するテラヘルツ波の周波数と、凸部のゲート電極とショットキー接合している箇所のソース電極、ゲート電極及びドレイン電極の並び方向の長さにより決定されるプラズマ周波数とを一致するように凸部の長さを決定することにより、高効率でテラヘルツ波を受信することを可能とする。
図1は、本発明のテラヘルツ受信素子の構成を示す図である。
このテラヘルツ受信素子Aは、主に電界効果型トランジスタで構成される。同図で用いた電界効果型トランジスタは高電子移動度トランジスタであり、高抵抗基板1上に、バッファ層2、チャネル層3及び電子供給層4が形成されている。具体的には、バッファ層2としてIn0.15Ga0.85As、電子供給層4としてAl0.25Ga0.75Asを用いることにより、バッファ層2と電子供給層4との界面に2次元電子ガスのチャネル層3が形成される。
ソース電極5及びドレイン電極6間のチャネル領域には、電子供給層4の上部にストライプ状の凸部7(例えば、周期数100)が形成されている。このストライプ状の凸部7は、ゲート電極9下の電子供給層4において、ソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6の並び方向と直交、かつ電子供給層4の主面と平行に形成されている複数の凸部を含む。これら凸部それぞれは、ゲート電極9下の電子供給層4においてソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6の並び方向と直交する方向に連続的に形成されている。また、複数の凸部それぞれは、ソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6の並び方向に周期的に形成されている。
ソース電極5及びドレイン電極6間に、ゲート電極9が形成されている。ゲート電極9はテラヘルツ帯の電磁波を受信するサイズ及び形状を有する。また、ゲート電極9は、ワイヤ又はパターンを介して直流バイアス電圧が印加される。このゲート電極9は、ストライプ状の凸部7とショットキー接合されている。ゲート電極9とショットキー接合されているストライプ状の凸部7のうち、それぞれの凸部が電界効果型トランジスタのゲートとして機能する。つまり、テラヘルツ受信素子Aは、マルチゲートの構成となっている。また、ゲート電極9と、ストライプ状の凸部7とにより空洞が形成されている。また、ゲート電極9は、ストライプ状の凸部7以外の電子供給層4とは絶縁層8を介して形成されている。
高抵抗基板1の下、つまりバッファ層2が形成されている面と対向する面にはグランド面10が形成されている。このグランド面10は、ゲート電極9とともにパッチアンテナを構成する。
次に、チャネル層3で発生するプラズマ波について説明する。
チャネル層3の2次元電子ガスの電子濃度は以下の式で与えられる。2次元電子ガス濃度n、ゲート−チャネル間の電圧Ugc、電子供給層4の誘電率ε、膜厚dとすると、n=ε(Ugc)/ed。この2次元電子ガスの電子濃度nはゲート−チャネル間に実効的に印加される電位差Ugcに比例する。このUgcはゲート−ソース間電圧Ugsから2次元電子チャネルのon/offの境界値となる閾値電圧Vthを引いた値で決定される。ここまでの理論が定常状態(無変調状態)での説明である。
ゲート電極9にテラヘルツ波が照射されると、ゲート電極9が当該テラヘルツ波を受信する。このとき、ゲート電極9で受信されたテラヘルツ波をストライプ状の凸部7を介してゲート電極9下のチャネル層3に伝達することにより、チャネル層3の2次元電子ガスが励振され、電子濃度が変調される(変調状態)。この変調された電子濃度、つまり2次元電子ガスの粗密波がプラズマ波である。
次に、ゲート電極9にバイアス電圧を印加し、テラヘルツ波を受信したときの動作状態を説明する。図2(a)は従来のプラズモン格子デバイス100、図2(b)は本発明のテラヘルツ受信素子Aの断面図である。なお、図2(a)には入射するテラヘルツ波の進行方向及び電界と、プラズマ波の進行方向及び電界も示され、図2(b)にはさらに、テラヘルツ波をアンテナ(ゲート電極9)で受信した際に発生する電界も示されている。
図2(a)に示すプラズモン格子デバイス100では、照射されたテラヘルツ波k_tを格子状のゲート電極107及び108がグレーティングカプラの効果により受信する。その受信されたテラヘルツ波をゲート領域のチャネル層103に伝達することにより、2次元電子ガスが励振され、プラズマ共鳴が発生する。このとき、プラズマ共鳴により発生するプラズマ波の電界方向110と、入射してくるテラヘルツ波の電界方向109とが直交しているため、カップリングロスが発生し、テラヘルツ波k_tからプラズマ波k’_tへの変換効率が低い。その結果、受信感度の低下を招いている。
一方、図2(b)に示す本発明のテラヘルツ受信素子Aにおいては、照射されたテラヘルツ波k_tをパッチアンテナのアンテナ面として機能するゲート電極9が受信する。その受信されたテラヘルツ波をストライプ状の凸部7を介してチャネル層3に伝達することにより、2次元電子ガスが励振されプラズマ共鳴が発生する。
このとき、パッチアンテナの特性として、ゲート電極9の主面に対して垂直方向にゲート電極9及びグランド面10間に電界が発生する。具体的には、パッチアンテナに発生する電界方向11は、ゲート電極9の最もソース電極5側及びドレイン電極6側で最大となり、中央になるにつれ小さい電界となる。また、中央では電界が実質0となり、中央を境としてソース電極5側とドレイン電極6側とで電界方向が反転する。
このようにパッチアンテナの電界がテラヘルツ受信素子A内部で発生することで、チャネル層3の2次元電子ガスは、プラズモン格子デバイス100と比較して、より励振される。また、プラズマ波の電界方向12と、パッチアンテナに発生する電界方向11とが一致するので、テラヘルツ波k_tからプラズマ波k_pへの変換効率も高い。これによりプラズモン格子デバイス100のプラズマ波k’_pによって発生した電界E1ejωtと、テラヘルツ受信素子Aのプラズマ波k_pによって発生した電界E0ejωtとを比較すると、それらの絶対値E1及びE0はE0の方が大きくなる。その結果、受信感度が向上する。
つまり、ゲート電極9がパッチアンテナとして作用することにより効率よくテラヘルツ波を受信できるだけでなく、パッチアンテナとして機能したときに発生するパッチアンテナに発生する電界方向11とプラズマ波の電界方向12とが一致するためにカップリングロスを小さくできるので、効率の良い受信が可能となる。
またさらに、テラヘルツ波の受信感度向上のためには、ゲート電極9をアンテナ面とするパッチアンテナの受信帯域と、ゲート長によって決定されるプラズマ共鳴周波数とが一致するように、ゲート電極9のサイズと、ゲート長とを構造設計する必要がある。ここで、ゲート長とは、ソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6の並び方向にゲート電極9とショットキー接合している各凸部の長さである。ゲート電極9のサイズとゲート長との一例を以下に記す。
まず、パッチアンテナとして作用するゲート電極9であるが、矩形パッチアンテナの共振周波数fは以下の関係で与えられる。光の速度をc、ゲート電極9の1辺の長さをa、ゲート電極9とグランド面10間の材料の比誘電率をεrとすると、f=c/(2aεr 1/2)で与えられる。例えば、1THzのテラヘルツ波に対して受信感度が高い(指向性利得が大きい)設計とするには60×60μmの矩形形状を選択する。
次に、プラズマ共鳴周波数を決定するゲート長について説明する。ゲート長の一例として、図3にInGaAsP系材料により構成される電界効果型トランジスタにおけるプラズマ共鳴周波数の計算結果を示す(ゲートに−1Vを印加、閾値電圧は−1.2V)。
同図には、異なるゲート長において、受信テラヘルツ波の周波数に対するソース−ドレイン電圧の変調状態と無変調状態との差分ΔUdsが示されている。このΔUdsが高いほど、テラヘルツ波に対して感度が高いことを意味する。つまり、あるゲート長において受信テラヘルツ波の周波数に対してΔUdsが極大点となる周波数がプラズマ共鳴周波数である。
図3から、ゲート長によりプラズマ共鳴周波数が異なることがわかる。ここで、プラズマ共鳴周波数が1THzとなるようにゲート長として0.2μmを選択する。
これにより、パッチアンテナの受信帯域と、プラズマ共鳴周波数とが一致するので、高効率なテラヘルツ波受信が実現する。
以上説明してきたように、本発明のテラヘルツ受信素子Aは、高抵抗基板1と、前記高抵抗基板1の第1の主面上に形成されているグランド面10と、前記高抵抗基板1の第1の主面に対向する第2の主面上に形成され、ヘテロ接合により形成されるチャネル層3を含む半導体層と、前記半導体層に形成され、前記チャネル層3とともに電界効果型トランジスタを形成するソース電極5、ゲート電極9及びドレイン電極6とを備え、前記半導体層は、前記ゲート電極9とショットキー接合されたストライプ状の凸部7を有し、前記ストライプ状の凸部7に含まれる複数の凸部それぞれは、前記ゲート電極9の下方において前記ソース電極5、前記ゲート電極9及び前記ドレイン電極6の並び方向に直交する。なお、バッファ層2、チャネル層3及び電子供給層4は、半導体層として機能する。
これにより、照射されたテラヘルツ波k_tをゲート電極9で受信することにより発生した電界方向、つまりパッチアンテナに発生する電界方向11と、プラズマ共鳴により発生したプラズマ波の電界方向12とが一致するため、受信効率が向上する。また、ゲート電極9とショットキー接合されたストライプ状の凸部7では、ストライプ状の凸部7に含まれる複数の凸部それぞれが電界効果型トランジスタのゲートとして機能する。その結果、ゲートの下のチャネル層3で発生したプラズマ波を隣接するゲートの下で発生したプラズマ波と重畳できるので、テラヘルツ波からプラズマ波への変換効率が向上する。
また、ゲート電極9のサイズにより決定される受信可能なテラヘルツ波の周波数と、ゲート長により決定されるプラズマ周波数とを一致させることで、より高効率にテラヘルツ波を受信できる。さらに、ゲート電極にバイアスを印加する場合、従来のようにプラズモン格子状のゲート電極107及び108を形成し、各ゲートバイアスを制御することなく、チャネル層3の2次元電子ガスに濃度変調を与えることができ、簡易な制御で受信感度の向上を図ることができる。
また、ゲート長を0.065〜2μmとすることで、半導体製造プロセスによりストライプ状の凸部7を形成することができる。
また、ストライプ状の凸部に含まれる複数の凸部が形成されている周期を2次元電子プラズマ共鳴が起こるディメンションにした場合、より効率良くテラヘルツ波を受信することが可能となる。
また、バッファ層2及び電子供給層4をIII−V族化合物半導体とすることで、高い電子移動度を有するチャネル層3を構成することが可能となり、幅広いテラヘルツ電磁波周波数帯に対応した、高感度にテラヘルツ電磁波を受信できる。
以上、本発明のテラヘルツ受信素子Aについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施形態においては、電界効果型トランジスタを構成する材料として、InGaAsP系材料を取り上げたが、AlGaAs系材料やGaN系材料においても同様の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、ゲート電極9の形状として矩形を選択したが、矩形以外の多角形及び円形の形状を選択しても問題は無い。これにより、感度及び広帯域など、用途によりアンテナの設計の自由度をあげることができる。また、円偏波のテラヘルツ波も受信できる。また、ゲート電極9の形状として、中央にスリットを設けたスロット形状を選択しても問題は無い。図4は、ゲート電極9の変形例を示す図である。図4(a)はスロットアンテナを示す。スロットアンテナの場合、ゲート電極9の中央部にスリットが設けられているので、中央のスリット部からは下の電子供給層4に設けられたストライプ状の凸部7が見える。図4(b)は六角形を採用した例を示す。図4(b)に示す形状は、上記実施の形態に示した矩形形状のゲート電極9の対角をわずかに落とした形状である。
また、ストライプ状の凸部7においても、所望のプラズマ共鳴周波数に応じた設計が可能であり、上記実施形態ではその一例を示しただけである。例えば、ストライプ状の凸部7は周期的に形成された複数の凸部を含まなくてもよい。具体的には、ゲート電極9下の電子供給層4のうち、最もソース電極5側とドレイン電極6側にのみ凸部が形成され、それら凸部の間は1つも凸部が形成されず、電子供給層4とゲート電極9との間に隙間がある状態でもよい。また、ゲート電極9下の電子供給層4のうち、ソース電極5側からゲート電極9の中心まで凸部が形成され、ゲート電極9の中心からドレイン電極6側までは電子供給層4とゲート電極9との間に隙間がある状態でもよい。これにより、設計自由度を上げることができる。
また、上記実施形態においては、ストライプ状の凸部7とゲート電極9とにより空洞が構成されるとしたが、ここに誘電体が形成されていてもよい。
また、図1において、ソース電極5及びドレイン電極6は、電子供給層4の上に形成されていたが、高抵抗基板1上にバッファ層2、チャネル層3及び電子供給層4を形成後に、電子供給層4と、チャネル層3と、バッファ層2の一部とを掘ることで形成された凹部に形成されていてもよい。
本発明は、テラヘルツ波を受信する受信装置に利用でき、特に非破壊検査装置、イメージング装置、通信装置などに利用することができる。
1、101 高抵抗基板
2、102 バッファ層
3、103 チャネル層
4、104 電子供給層
5、105 ソース電極
6、106 ドレイン電極
7 ストライプ状の凸部
8 絶縁層
9、107、108 ゲート電極
10 グランド面
11 パッチアンテナに発生する電界方向
12、110 プラズマ波の電界方向
100 プラズモン格子デバイス
109 テラヘルツ波の電界方向
800、A テラヘルツ受信素子
804 ゲートワイヤ
2、102 バッファ層
3、103 チャネル層
4、104 電子供給層
5、105 ソース電極
6、106 ドレイン電極
7 ストライプ状の凸部
8 絶縁層
9、107、108 ゲート電極
10 グランド面
11 パッチアンテナに発生する電界方向
12、110 プラズマ波の電界方向
100 プラズモン格子デバイス
109 テラヘルツ波の電界方向
800、A テラヘルツ受信素子
804 ゲートワイヤ
Claims (5)
- 半導体基板と、
前記半導体基板の第1の主面上に形成されているグランド層と、
前記半導体基板の前記第1の主面に対向する第2の主面上に形成され、ヘテロ接合により形成される2次元電子チャネル層を含む半導体層と、
前記半導体層に形成され、前記2次元電子チャネル層とともに電界効果型トランジスタを形成するソース電極、ゲート電極及びドレイン電極とを備え、
前記半導体層は、前記ゲート電極とショットキー接合されたストライプ状に配置された複数の凸部を有し、
前記複数の凸部それぞれは、前記ゲート電極の下方において前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に直交する
テラヘルツ受信素子。 - 前記複数の凸部それぞれは、前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に前記ゲート電極とショットキー接合している箇所の長さが0.065〜2μmである
請求項1記載のテラヘルツ受信素子。 - 前記複数の凸部それぞれは、前記ソース電極、前記ゲート電極及び前記ドレイン電極の並び方向に周期的に形成されている
請求項1記載のテラヘルツ受信素子。 - 前記ゲート電極の形状は、矩形、多角形及び円形の何れかである
請求項1記載のテラヘルツ受信素子。 - 前記半導体層は、III−V族化合物半導体である
請求項1記載のテラヘルツ受信素子。
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2009
- 2009-03-18 JP JP2009067014A patent/JP2010219443A/ja active Pending
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