JP2010215960A - 機械部品の製造方法及び機械部品 - Google Patents

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Masahiko Chiba
晶彦 千葉
Akira Iwabuchi
明 岩渕
Keiji Yanagihara
圭司 柳原
Shuji Hirako
秀嗣 平子
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Abstract

【課題】 Co−Cr−Mo合金を用い、より一層の耐食性・耐摩耗性の向上を図る。
【解決手段】 Co−Cr−Mo合金で形成され、この合金を高温鍛造処理に付すことにより、合金結晶の平均粒径を、(1)少なくとも20μm以下、(2)少なくとも15μm以下、(3)少なくとも13μm以下、(4)少なくとも11μm以下、(5)少なくとも9μm以下、(6)少なくとも7μm以下、(7)少なくとも5μm以下、(8)少なくとも4μm以下、(9)少なくとも3.5μm以下、(10)少なくとも3μm以下、(11)少なくとも2.5μm以下、(12)少なくとも2μm以下、(13)少なくとも1.5μm以下及び(14)少なくとも1μm以下からなる群から選択されたものにし、該合金の結晶粒径を微細化する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラスチック成形機,金属射出成形機,セラミックス粉末射出成形機等の産業機械あるいは旋盤等の工作機械等に使われる機械部品の製造方法及び機械部品に関し、特に、射出成形機のシリンダ、スクリューあるいは金型等、耐食・耐摩耗を必要とする機械部品の製造方法及び機械部品に関する。
一般に、Co−Cr−Mo合金は、耐食性・耐摩耗性に優れ、従来から機械部品として使用されてきている。このCo−Cr−Mo合金を用いた機械部品としては、例えば、特開平5−320796号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。
これは、Co−Cr−Mo合金で形成され、具体的には、化学組成が重量%で、Cr:15〜29%、Mo:15〜25%、Ni:5〜20%、Si:1〜4%、Cu:0.5〜2%、Fe:5%以下、C:0.2%以下、B:1.5〜4%、残部が実質的にCoからなり、CrとMoの量比が0.7〜1.3である合金を用いて形成されている。Cr及びMoがCoマトリックス中に一部固溶し、耐食性・耐摩耗性を発揮する。
特開平5−320796号公報
ところで、上記従来の機械部品においては、ある程度の耐食性・耐摩耗性を発揮するが、必ずしも十分ではなく、より一層、耐食性・耐摩耗性の向上が望まれる。本発明はこのような点に鑑みて為されたもので、Co−Cr−Mo合金を用い、より一層の耐食性・耐摩耗性の向上を図った機械部品の製造方法及び機械部品を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の機械部品の製造方法は、Co−Cr−Mo合金で形成される機械部品の製造方法において、上記合金の結晶粒径を微細化する構成としている。
本願発明者らは、上記問題を解決すべく、広範な探索を行い、鋭意研究を行った。その結果、例えばCo−Cr−Mo合金に対して、高温鍛造などの高温加工を施すことにより、組織を微細化させたところ、Co−Cr−Mo合金の耐摩耗特性を改善できることを見出し、これに基づき本発明を完成せしめた。Co−Cr−Mo合金の結晶粒径を微細化せしめると、例えば、結晶粒径を20μm程度に微細化すると、炭化物を含有しなくとも耐摩耗特性を飛躍的に向上させることが可能であることを見出した。
より具体的には、本発明の機械部品の製造方法は、Co−Cr−Mo合金で形成される機械部品の製造方法において、上記合金を高温鍛造処理に付すことにより該合金の結晶粒径を微細化する構成としている。
そして、必要に応じ、上記合金結晶の平均粒径を、(1)少なくとも20μm以下、(2)少なくとも15μm以下、(3)少なくとも13μm以下、(4)少なくとも11μm以下、(5)少なくとも9μm以下、(6)少なくとも7μm以下、(7)少なくとも5μm以下、(8)少なくとも4μm以下、(9)少なくとも3.5μm以下、(10)少なくとも3μm以下、(11)少なくとも2.5μm以下、(12)少なくとも2μm以下、(13)少なくとも1.5μm以下及び(14)少なくとも1μm以下からなる群から選択されたものにしている。
この場合、必要に応じ、上記合金は、該合金組成中のCo、Cr及びMo元素以外の元素の含有量が、少なくとも1mass%以下の合金であることが有効である。
また、上記課題を解決するため本発明の機械部品は、上記いずれかに記載の機械部品の製造方法によって製造された機械部品である。
この場合、機械部品としては、必要に応じ、上記いずれかに記載の機械部品の製造方法によって製造された射出成型機用のシリンダ及びスクリューで構成される。
また、この場合、機械部品としては、必要に応じ、上記いずれかに記載の機械部品の製造方法によって製造された射出成型機用の金型で構成される。
本発明によれば、Co−Cr−Mo合金の耐食性・耐摩耗特性が改善せしめられ、より安全で使用寿命の長い機械部品を提供できる。本発明では、炭化物強化によらない手法、すなわち、結晶粒微細化法により、硬さの向上が図られている。これにより、同種材の組み合わせで問題となる、相手材に対する攻撃性を抑制することが出来るといった、従来技術にはない優れた点を有し、同種材の接触表面における摩耗粉の発生量を飛躍的に低減させ、また、腐食性の液体やガスに対して耐食性が向上し、使用寿命の一層の長期化を可能にする。
本発明の実施例に係る合金の成分量を比較例1,2とともに示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の物性を比較例1,2とともに示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐摩耗試験)に係り、試料の形状を示す斜視図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐摩耗試験)に係り、試験装置を示す図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐摩耗試験)に係り、試験装置の条件を示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐摩耗試験)に係り、試験装置の条件を示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐摩耗試験)に係り、試験片の摩耗深さの測定部位(a)及び摩耗深さの測定結果(b)を示す図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐摩耗試験)に係り、試験片の摩耗量の測定結果を示す図である。 本発明の実施例に係る合金の成分量を比較例3乃至7(a材〜e材)とともに示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の物性を比較例3乃至7(a材〜e材)とともに示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐腐食試験)に係り、試験装置を示す図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐腐食試験)に係り、試験装置の条件を示す表図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐腐食試験)に係り、試験片の質量減少量の測定結果を示す図である。 本発明の実施例に係る合金の試験例(耐腐食試験)に係り、試験片の表面及び断面の状態を示す図面代用顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態に係る機械部品の製造方法及び機械部品について詳細に説明する。
本発明において、「Co−Cr−Mo合金」としては、実質的な割合のクロム(Cr)及びモリブデン(Mo)を含有するコバルト(Co)を基体としている合金であって、当該分野で「超合金(super alloy)」として知られている群に含まれるものが挙げられる。
本Co−Cr−Mo合金は、合金組成(重量%(wt%))は、次のようなものである。Mo:5.0〜7.0wt%、Cr:26.0〜30.0wt%、C:≦0.35wt%、Ni:≦1.0wt%、Fe:≦0.75wt%、Mn:≦1.0wt%、Si:≦1.0wt%、N2:≦0.25wt%、そして、残部が、Coである。
ここで、Niは、原料に不可避的に混在していることに起因して、少なくとも0.2〜1.0wt%程度は、通常、含まれており、残部のCoとは、痕跡量で付随してくる不純物を除いたCo量を意味している。
また、一つの具体的な態様では、該Co−Cr−Mo合金は、Mo:おおよそ5.0〜6.0wt%、好ましくは5.0〜5.5wt%、より好ましくは5.5wt%、Cr:おおよそ26.0〜29.5wt%、好ましくは27.0〜29.0wt%、より好ましくは29.0wt%、C:≦おおよそ0.35wt%、好ましくは≦おおよそ0.07wt%、Ni:≦おおよそ1.0wt%、Fe:≦おおよそ1.5wt%、好ましくは≦おおよそ0.75wt%、Mn:≦おおよそ1.0wt%、Si:≦おおよそ1.0wt%、好ましくは≦おおよそ0.4wt%、N2:≦おおよそ0.25wt%、そして残部が、Coである(ここで、Niは、原料に不可避的に混在していることに起因して、少なくとも0.002wt%程度、最低でも、50ppmのオーダーより多くが存在しており、残部のCoとは、痕跡量で付随してくる不純物を除いたCo量を示している)というものであってよい。不可避的にC,Fe,Si,N2,その他の微量元素が含まれていてよいものである。
本発明では、上記Co−Cr−Mo合金(特には、ASTM規格のF75相当品)を構成する組成を与える原料に、増量分Mo元素を添加し、得られた当該合金用配合物を通常の合金調製法に付してそれを行うことができる。
添加元素の合金組成における配合量は、所望のσ相の分散析出強化が得られるように増減することができ、所要の目的が得られ且つ得られる合金の特性に実質的に悪影響を及ぼさない範囲でその配合量を設定できる。例えば、合金中に(1)少なくとも6mass%以上又はそれを超える量、(2)少なくとも6.5mass%以上、(3)少なくとも7mass%以上、(4)少なくとも7.5mass%以上、(5)少なくとも8mass%以上、(6)少なくとも8.5mass%以上、(7)少なくとも9mass%以上、(8)少なくとも9.5mass%以上、(9)少なくとも10mass%以上、(10)少なくとも11mass%以上及び(11)少なくとも12mass%以上からなる群から選択されたものとなるように添加されてよい。しかし、これには限定されず、所要の目的が得られ且つ得られる合金の特性に実質的に悪影響を及ぼさない範囲でその配合量を変えることができる。
Moの増量に伴い、結晶粒が微細になることや、σ相が微細に析出する結果を得ることが可能と考えられ、合金の耐摩耗特性を改善することができる。つまり、Mo添加量増加に伴いCo−Cr−Mo合金の摩耗率を減少せしめることが可能であるとの結果が得られる。
本発明では、通常の合金組成の原料(特には公知規格の合金組成の原料)あるいはMo富化した合金原料はそれを一緒にし、必要に応じて、混合後、加熱して溶融せしめ、溶融合金とする。溶融化は、真空誘導溶融法(vacuum induction melting;VIM)のほか、さまざまな公知の方法を適用できる。溶融処理工程の間、VIM炉にはアルゴンガスなどの不活性ガスの分圧をかけておくこともできる。また、別の手法としては、VIM炉に不活性ガスや窒素ガスを含有している被覆用ガスを流しておくこともできる。当該不活性ガスや被覆用ガスの存在下、溶融された合金は、適宜、所定の組成が得られる所定の温度にまで加熱されたり、あるいは所定の温度で保持される。次に、溶融している合金は、インゴットあるいは所要の形状物体に鋳造することができ、そのまま冷却せしめてもよいし、必要に応じて、焼入れすることができる。焼入れ法としては、水焼入れ、氷水での焼入れ、油焼入れ、熱浴焼入れ、塩浴焼入れ、電解焼入れ、真空焼入れ、空気焼入れ、噴射焼入れ、噴霧焼入れ、段階焼入れ、時間焼入れ、プレスクエンチ、部分焼入れ、鍛造焼入れなどが挙げられるが、適宜、それぞれに適したものが適用される。代表的な場合では、水焼入れ、氷水での焼入れが挙げられる。インゴットは、熱間押出し、熱間圧延、熱間線引き等を行うことにより所望の形状に加工することもできる。
更に、合金溶融物は、溶湯急冷法により、薄帯、細線などの所望の形状にすることができる。該溶湯急冷法には、液体紡糸法、回転液中紡糸法、キャベッシュ法、双ロール法、片ロール法などが含まれてよい。溶湯急冷法では、一般的には、冷却されている金属ロールあるいは冷媒流体中に溶融金属を噴出せしめてこの溶融金属を凝固させる。該冷却されている金属ロールは、通常、高速で回転せしめられている。該冷媒流体としては、各種のものを使用でき、所望の結果が得られる限り限定されないが、例えば、シリコーンオイル類を含む流体を使用できる。また、これらのシリコーンオイル類は単独で用いることも、数種組み合わせて用いることもできる。また、通常のシリコーンオイル類に含まれる低沸点溶媒あるいは溶解した空気などのガスを除くために、使用するシリコーンオイル類をあらかじめ減圧下で加熱してそれらを除去しておくことが好ましい場合もある。また、溶融金属をシリコーンオイル類中で急冷凝固して直接金属細線を作製するためには溶融金属ジェット流に加わる擾乱をできるだけ抑えることが好ましい。このため、溶融金属ジェットとシリコーンオイル類の間には微妙なバランスを取ることが望ましい。具体的には、溶融金属ジェットとシリコーンオイル類の速度差、粘度の違い、表面張力の違いなど制御することが望まれる。特に、本発明においてはシリコーンオイル類の粘度を規定することは有効である。
回転液中紡糸法とは、一般的には、回転するドラムの内側に遠心力により液層を形成し、溶融金属あるいは溶融合金をノズル孔より噴出して、液層中にて凝固させ金属細線を製造する方法で、例えば、冷媒として水を用いて、合金を溶融状態から回転する水冷媒中に噴出して金属細線を得るといった技術である。キャベッシュ法とは、溶融物を溶融フィラメント状に押出し、制御されたガス状界面領域を経て液状急冷領域へ通すもので、該液状急冷領域ではフィラメントと液状媒体とが並流しているといった技術であり、そこで用いる冷媒としては、流体の媒体であって、純粋な液体、溶液、エマルジョン、または固液分散物であることができ、該流体の媒体は、溶融物と反応して安定化表面スキンを形成でき、あるいは溶融噴出物と化学的に非反応性であることができるもので、さらに急冷媒体の選択にあたっては、溶融噴出物の熱容量に関係して行なわれ、溶融噴出物の熱容量が大きくなればなるほど、急冷流体をより冷たく及び/又はその比熱、密度、蒸発熱、および熱伝導率をより高いものとするのが好ましいとされる。さらには、流体の急冷媒体の他の好ましい性質は、一般的には、溶融噴出物の分裂を最小にする低粘度、非粘性、非毒性、光学的透明度を有するもので、低価格のものである。また、実際には、水、−20℃の23重量%の塩化ナトリウム水溶液、−33℃の21.6重量%の塩化マグネシウム水溶液、−62℃の51重量%の塩化亜鉛水溶液の流体がそれぞれ好ましいことが、さらに0〜100℃で50センチストークス粘度級のダウ・コーニング510流体のようなシリコーン急冷流体などを用いることができる。
また、冷却された合金は、適宜、それを加工せしめることができる。また該合金は、偏析などを取り除くなどのため、さらに均質化熱処理にかけることができる。均質化熱処理は、熱処理と焼入れ処理とからなるものであることができる。熱処理は、当該分野で公知の方法から選んでそれを適用でき、例えば、電気炉などを使用したりすることができる。代表的な場合、減圧あるいは真空下に加熱されることができる。典型的な場合では、例えば、5〜30時間、好ましくは8〜24時間、より好ましくは10〜20時間加熱する。一つの具体例では、12〜15時間加熱する。加熱温度としては、例えば、1400℃以下、代表的には900〜1350℃、好ましくは1000〜1300℃、より好ましくは1050〜1250℃であるが、所要の目的が達成されるならばこれらに限定されるものではない。一つの具体例では、1100〜1200℃である。均質化熱処理では、上記加熱処理の後、焼入れすることができる。焼入れ法については上記と同様である。
本発明のCo−Cr−Mo合金においては、熱履歴を調整することにより、内部欠陥を解消せしめてあるものを得ることも可能である。該熱履歴調整処理は、鍛造合金に生じているヒケ巣、気泡などは、鍛造で圧潰され、デンドライト組織も破壊され、後続する再結晶焼き鈍しにより均一な組織としようとするものである。組織調整では、水冷式の銅製鋳型を用いて急冷鋳造することにより析出物の成長を抑えることが期待できる。高温鍛造等の塑性加工により、析出物、金属間化合物等の第二相を微細分散させることが期待できる。鋳造時の急冷が析出物の成長抑制に及ぼす影響は、鋳込み温度から400℃までの温度域を1000℃/分以上の冷却速度で冷却するとき顕著になる。また、高温鍛造により、鋳造組織が破壊され、40μm以下に微細化された等軸結晶粒からなるマトリックスが形成される。マトリックスの微細化は、耐摩耗性の向上にも有効である。
本発明では、熱処理方法及び加工温度の選定によって合金の結晶粒径を微細化したり、σ相の分散析出の助長あるいは強化をすることも可能である。具体的には、本発明系において高温鍛造温度を1100〜1400℃の範囲に設定することができる。高温鍛造した当該合金を室温に持ち来たす場合にも、水冷等の急冷を採用することによって、微細結晶粒径を保持したままそれをマトリックスに微細分散化することができる。
本発明に従えば、鋳造合金は合金の結晶粒径を微細化する処理に付されることができる。こうすることにより、耐食性・耐摩耗特性向上が図られる。合金の結晶粒径の微細化は、実施の形態では、鋳造合金を高温鍛造処理に付すことにより達成できる。該鍛造処理では、高温状態の金属塊をたたく(鍛錬)処理が含まれていてよく、また金属塊に含まれる泡・ガス(気孔)を圧着せしめる処理が含まれていてよい。典型的には、結晶粒を微細化する処理が含まれるものである。該鍛造処理は、圧縮加重を加えるものであってよく、機械鍛造、自由鍛造を含むものであってよく、金属材料を高温状態として、プレス又はハンマーを用いて、上下金敷間などで力を加える処理をなすものであってよく、鍛伸すえ込み、穴あけ、穴広げ、展伸、せぎりなど及びそれらの組み合わせを含むものであってよい。好適には、該鍛造処理は、型鍛造、密閉鍛造、ハンマーによる鍛造、プレス鍛造などであってよく、鍛造機械を使用して行うことができ、ドロップハンマー、バネハンマー、カウンタブローハンマー、エアーハンマー、蒸気ハンマーや液圧プレス(油圧プレス)、ナックルジョイントプレス、摩擦プレス、クランクプレスなどのプレスにより鍛造できる。型鍛造の型は、あらかじめ加熱しておくのが好ましい。こうすればインゴットの熱が奪われないので好ましい。該高温鍛造は、合金結晶の平均粒径を、少なくとも40μm以下にするように実施できるし、ある場合には更に少なくとも30μm以下にしたり、少なくとも20μm以下にしたり、少なくとも15μm以下にしたり、より好ましくは少なくとも13μm以下にしたり、少なくとも11μm以下にしたり、少なくとも9μm以下にしたり、あるいは少なくとも7μm以下にしたりできるし、そうなるまで鍛造を行うことができる。本発明では、該高温鍛造は、合金結晶の平均粒径を、さらに少なくとも5μm以下にしたり、少なくとも4μm以下にしたり、少なくとも3.5μm以下にしたり、少なくとも3μm以下にしたり、少なくとも2.5μm以下にしたり、少なくとも2μm以下にしたり、少なくとも1.5μm以下にしたり、あるいは少なくとも1μm以下にしたりできるし、そうなるまで鍛造を行うことができる。所望の耐摩耗特性が得られるまで行うことができる。該高温鍛造は、1000〜1300℃の温度で行うことができ、好適には1000〜1200℃の温度で行うことができるが、これには限定されず、例えば、600℃〜1350℃の温度で行ったり、ある場合には650℃〜1300℃の温度で行ったり、700℃〜1250℃の温度で行ったり、750℃〜1200℃の温度で行ったり、800℃〜1150℃の温度で行ったり、850℃〜1100℃の温度で行ったり、875℃〜1060℃の温度で行ったり、900℃〜1050℃の温度で行ったりできる。所望の耐摩耗特性が得られる条件を適宜選択してよい。鍛造時の加重は、鍛造機を使用する場合ハンマーの重さを変えて調節でき、所望の耐摩耗特性が得られるように適宜適切に選択できるが、例えば、1〜3トンのハンマー、代表例では、1.5トンのハンマーを用いて、上記温度に加熱しておいた材に対してたたきを始め、材料温度が所望の温度以下になるまでハンマーでたたくことをし、必要に応じて、その後再加熱して材料が所望の温度に達してからたたきを再開するというようにして鍛造を行うことができる。あるいはまた、例えば、所定温度に加熱した材料を、200トンのクランクプレス機によってたたいて行い、温度が低下したら材料を再度加熱して繰り返し行うようにして鍛造を行うことができる。
そして、このように鍛造された合金は、冷間圧延、機械加工などされて、機械部品に加工される。
本発明のCo−Cr−Mo合金で形成される機械部品としては、プラスチックの射出成型機用のシリンダ及びスクリューあるいはプラスチックの射出成型機用の金型として適用できる。
プラスチックの射出成型機用のシリンダ及びスクリューにおいては、例えば、専用加工機により、切削加工する。
また、プラスチックの射出成型機用の金型においては、例えば、切削加工や放電加工により、所望の形状に加工する。
また、プラスチック射出成形機に限らず、例えば、金属射出成型機、押出機、混練機のシリンダ及びスクリューのほか、金属粉末、セラミックス粉末射出成形機及びこれらの押出混練機のシリンダ、スクリューなどあらゆる産業機械,工作機械,その他の機械類に適用できる。本発明では、特に、耐食性・耐摩耗性が問題となっている機械部品においてその課題解決技術を提供している。本明細書で、耐摩耗性が優れるとか、結晶粒径がより微細化されているとか、Mo含有量を富化せしめたとか、σ相の分散析出をより強化せしめてあるとかは、例えばCo−29Cr−6Mo合金の鋳造品との比較でそれを意味してもよい。
本発明の実施例は、Co−Cr−Mo合金を高温鍛造処理に付すことにより該合金の結晶粒径を微細化したものである。実施例に係るCo−Cr−Mo合金試料の組成を図1に示す。具体的には、合金の鍛造を、約1000〜1200℃の温度にした材料を、200トンのクランクプレス機によってたたいて行い、温度が低下したら材料を再度加熱して上記温度にして行うというようにして実施した。所望の結晶粒径が得られるまで操作を行った。さらに、棒形状の加工は約1000〜1200℃の温度で熱間スエージ加工により行い、用途に応じ、直径20〜30mmの丸棒とした。このとき、結晶粒径の大きさは熱間スエージ加工の中間加熱の温度(1200℃)と時間(5〜10分)に制御することにより、10〜20μmに調整することができた。
この実施例について、図1に示す比較例1,2とともに耐摩耗試験(耐アブレシブ性試験)を行った。図2及び図3に示す試験片を作成した。試験片の対象面としては、切削加工したものと放電加工したものの2種類用意した。図4に示す実験装置により、水道水にガラス繊維を混合した混合物を作動流体として、これを、図5及び図6に示す条件により、高圧ポンプで試験片に連続噴射し、試験片の摩耗量の評価を行った。
(1)摩耗深さ
摩耗深さの試験においては、試験片の対象面として切削加工し、且つ、研磨により鏡面仕上げしたものを用いた。図7(a)に示すように、試験片のラインプロファイル変化から、摩耗深さを求めた。結果を図7(b)に示す。
(2)摩耗量
試験片のエリアラインプロファイル変化から、摩耗量として算出した。結果を図8に示す。
この結果から、実施例に係る合金は、一般材に比較して耐アブレシブが高いことが分かった。
また、この実施例について、図9及び図10に示す比較例3乃至7(a材〜e材)とともに耐腐食試験を行った。この試験は、射出成型機で樹脂溶融の際にスクリュー及びシリンダが晒される環境を物理的にシュミレートし、試験片の摩耗量を測定した。試験片としては、8mm×6mm×18mmのものを作成した。実験装置としては、図11に示すように、密閉空間において、溶融樹脂(PPS)に対して試験片を回転させながら接触させるものを作成した。この実験装置を用い、図12に示す条件で試験片を処理し、その後、ドライアイスブラスト処理後、質量減少量を測定した。結果を図13に示す。この結果、実施例に係る合金は、質量減少量が極めて低く、摩耗が少なく、耐食性に優れていることが分かった。尚、図13中実施例の質量減少量がマイナスになっているのは、表面に付着した残留樹脂の影響である。
また、各試験片についてその表面及び切断面の状態も見た。図14に、図面代用顕微鏡写真を示す。
この結果からも、実施例に係る合金は、質量減少量が極めて低く、摩耗が少なく、耐食性に優れていることが分かった。

Claims (7)

  1. Co−Cr−Mo合金で形成される機械部品の製造方法において、上記合金の結晶粒径を微細化することを特徴とする機械部品の製造方法。
  2. Co−Cr−Mo合金で形成される機械部品の製造方法において、上記合金を高温鍛造処理に付すことにより該合金の結晶粒径を微細化することを特徴とする機械部品の製造方法。
  3. 上記合金結晶の平均粒径を、(1)少なくとも20μm以下、(2)少なくとも15μm以下、(3)少なくとも13μm以下、(4)少なくとも11μm以下、(5)少なくとも9μm以下、(6)少なくとも7μm以下、(7)少なくとも5μm以下、(8)少なくとも4μm以下、(9)少なくとも3.5μm以下、(10)少なくとも3μm以下、(11)少なくとも2.5μm以下、(12)少なくとも2μm以下、(13)少なくとも1.5μm以下及び(14)少なくとも1μm以下からなる群から選択されたものにすることを特徴とする請求項1または2記載の機械部品の製造方法。
  4. 上記合金は、該合金組成中のCo、Cr及びMo元素以外の元素の含有量が、少なくとも1mass%以下の合金であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の機械部品の製造方法。
  5. 上記請求項1乃至4いずれかに記載の機械部品の製造方法によって製造されたことを特徴とする機械部品。
  6. 上記請求項1乃至4いずれかに記載の機械部品の製造方法によって製造されたことを特徴とする射出成型機用のシリンダ及びスクリュー。
  7. 上記請求項1乃至4いずれかに記載の機械部品の製造方法によって製造されたことを特徴とする射出成型機用の金型。
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