JP2010210865A - 光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法 - Google Patents

光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法 Download PDF

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賢治 三島
Shinji Inagaki
真治 稲垣
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Katsumi Maejima
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Abstract

【課題】本発明の目的は、光学軸をフィルム面法線方向から圧延処理によって傾斜させることにより、階調反転、黒つぶれ、白抜けがなく、視野角特性に優れたTN型液晶装置用のセルロースエステルフィルムである光学補償フィルムを提供することにある。
【解決手段】光学補償フィルムがセルロースエステルフィルムであり、特定の範囲のリターデーション値を有する圧延処理前のセルロースエステルフィルムを、1対のカレンダーローラを用いて、特定のフィルムの搬送張力、該カレンダーローラでニップする際の線圧、該カレンダーローラの2つのローラの周速比でフィルムに剪断力をかけ、特定のフィルムの搬送張力で圧延処理した後、カレンダーローラから特定の剥離張力で剥離することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法に関する。
ツイストテッドネマティック(Twisted Nematic:ねじれネマティック:以下「TN」と称す。)型液晶表示装置用光学補償フィルムは、優れた視野拡大のために光学軸がフィルム面方向から傾斜している部分がフィルム面内に必要であることが知られている。このため、支持体フィルム上に液晶化合物をコーティングし、ラビング処理することで液晶分子の方向をフィルム面方向から傾斜させ、光学軸をフィルム面方向から傾斜させたものが一般に市場に提供されている。
しかしながら、当該TN型液晶表示装置用光学補償フィルムは、その構成及び製造方法が複雑であり、生産性が悪く、高コストであるという問題がある。
このため、樹脂フィルムの光学軸をフィルム面方向から傾斜させた生産性に優れる光学補償フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
これらは、フィルムを周速が異なる2本のローラ間に挟んで、当該フィルムの面方向に剪断力を加えることによって、フィルムに歪み変形を与え、光学軸をフィルム面方向から傾斜させる手法である。
しかしながら、提案されているポリカーボネートフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルムは所望の光学軸の傾斜を得ることはできるが、光弾性係数が高いために剪断力のムラが生じやすく、リターデーションムラや配向角ムラを著しく発生させるという問題を抱えていた。剪断力のムラを抑える手段の一つに、搬送張力を強める方法がある。しかし、一般に樹脂フィルムをガラス転移点付近まで熱して剪断力を掛けて光学軸をフィルム表面から傾斜させる際に、搬送方向にフィルムを引張り過ぎると、塑性変形が起こり傾斜角度が低下してしまう傾向にあり光学軸を傾斜させるには限界があった。さらに、ローラ間に当該フィルムを挟んだ後、ローラからフィルムを剥離する際の剥離張力が強すぎると、剪断力によって傾斜させることができた光学軸の傾斜角が低下してしまうという問題があった。
また、ポリカーボネートフィルムは、波長が長いほど位相差が小さくなる特性を有しており、可視光領域の全波長に対して理想的な位相差特性を付与することは困難であり、更にポリカーボネートフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルムは鹸化処理適性に劣る為、偏光板保護フィルムとして直接偏光膜に貼合することができず厚膜になるという欠点もあった。
一方、セルロースエステルフィルムの場合は、剪断力のムラを抑え、かつ傾斜角度が低下しない搬送張力の範囲を選ぶことが出来、前記位相差の波長依存性も小さい。また、鹸化処理適性も高いため、偏光膜に直接貼合でき薄膜な偏光板を得ることもできる。
しかしながら、セルロースエステルフィルムはポリカーボネートフィルムに対しリターデーション発現性が低いため、従来の剪断処理条件を適応した場合、リターデーションムラ、光学軸の傾斜角共に不十分になり、該セルロースエステルフィルムを光学補償フィルムとして偏光板、液晶表示装置に使用した場合、階調反転、黒つぶれ、白抜け等の視認性不良が生じ易く、視野角特性も不十分になることが分かった。
特開平6−222213号公報 特開2003−25414号公報 特開2007−38646号公報
従って本発明の目的は、鹸化処理適性の高いセルロースエステルフィルムを用いて、光学軸をフィルム面法線方向から傾斜させることにより、階調反転、黒つぶれ、白抜け等の視認性不良がなく、視野角特性に優れた光学補償フィルム、及び該光学補償フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.圧延処理工程と剥離工程を有する光学補償フィルムの製造方法であって、
該光学補償フィルムがセルロースエステルフィルムであり、
前記圧延処理工程では、圧延処理前の該セルロースエステルフィルムの屈折率をnx、ny、nzとしたとき、
(x:フィルムの幅方向、y:フィルムの搬送方向、z:フィルムの厚さ方向、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)を表す)
下記式で表されるリターデーション値が、
Ro2=(nx−ny)×dが0〜90nm、
Rth2=((nx+ny)−nz)/2×dが0.01〜30nm、
Nz2=(nx−nz)/(nx−ny)が0.5〜3
であるセルロースエステルフィルムを、
少なくとも1対のカレンダーローラを用いて、
フィルムの搬送張力(T)を0.4<T<20MPaで搬送しながら、
該カレンダーローラでニップする際の線圧pを150〜1000[kN/m]、
該カレンダーローラの2つのローラの周速比nが、0.01〜0.6、
(但し、n=(V1−V2)/V1 V1、V2:1対のローラの周速、V1>V2)でフィルムに剪断力をかけ、
フィルムの搬送張力TをNz2係数で除した値Q=T/Nz2が、0.2<Q<40の範囲に調整しながら圧延処理し、
前記剥離工程では、前記圧延処理工程後の前記セルロースエステルフィルムをカレンダーロールから剥離する際の剥離張力を30〜100N/m幅で剥離することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
2.前記1に記載の光学補償フィルムの製造方法によって製造された光学補償フィルムであって、該光学補償フィルムの3方向の屈折率をna、nb、ncとしたときに、
na≧nb>ncであり、
該光学補償フィルムの屈折率楕円体のNz1係数=(na−nc)/(na−nb)が5〜8であり、
該光学補償フィルムの下記式で表されるリターデーション値が、
Ro1=(na−nb)×dが5〜30nm、
Rth1=((na+nb)−nc)/2×dが50〜180nmの範囲にあり、
且つ、前記屈折率ncのフィルム面法線方向からの角度αが5〜50°傾斜していることを特徴とする光学補償フィルム。
(但し、屈折率na、nb、ncは、フィルムを傾斜させながらその測定面の2成分方向の位相差を測定していったとき、その位相差が最小となる測定面の垂直方向の屈折率をncとし、その測定面上での互いに直交する2成分方向の屈折率をna、nbとする。各々の屈折率は波長が590nmの光に対する値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。)
3.前記光学補償フィルムの屈折率ncのフィルム法線方向からの角度αのばらつき△αが±0.01°以下、前記リターデーション値Ro1のばらつき△Ro1が0.0008nm以下であることを特徴とする前記2に記載の光学補償フィルム。
本発明によれば、鹸化処理適性の高いセルロースエステルフィルムを用いて、光学軸をフィルム面法線方向から傾斜させることにより、階調反転、黒つぶれ、白抜け等の視認性不良がなく、視野角特性に優れた光学補償フィルム、及び該光学補償フィルムの製造方法を提供することができる。
フィルムに対する駆動ローラと追随回転ローラの作用効果を示す概念図である。 本発明に係る駆動ローラと追随回転ローラの配置例を示す模式図である。 本発明で好ましい予熱ローラを用いた圧延処理装置の模式図である。 TN型液晶表示に本発明の光学補償フィルムを用いた構成例である。 偏光板の液晶のツイスト角、ラビング軸および透過軸との関係を示す概念図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の光学補償フィルムは、セルロースエステルフィルムであり、該光学補償フィルムの3方向の屈折率をna、nb、ncとしたときに、na≧nb>ncであり、該光学補償フィルムの屈折率楕円体のNz1係数=(na−nc)/(na−nb)が5〜8であり、該光学補償フィルムの下記式で表されるリターデーション値が、
Ro1=(na−nb)×dが5〜30nm、
Rth1=((na+nb)−nc)/2×dが50〜180nmの範囲にあり、
且つ、前記屈折率ncのフィルム面法線方向からの角度αが5〜50°傾斜していることを特徴とする。かかる構成において、階調反転、黒つぶれ、白抜け等の視認性不良がなく、視野角特性に優れた光学補償フィルムが得られるという本発明の効果を発現するものである。
ここで、フィルムの3方向の屈折率をna、nb、ncとは、フィルムを傾斜させながらその測定面の2成分方向の位相差を測定していったとき、その位相差が最小となる測定面の垂直方向の屈折率をncとし、その測定面上での互いに直交する2成分方向の屈折率をna、nbとする。屈折率ncのフィルム法線からの角度αも含め、これらは自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用い23℃、55%RHの環境下で波長590nmで測定することができる。
具体的には、Ro1が5nm未満だと、TN型液晶表示装置に本発明の光学補償フィルムを図4のように組み込んだときの、上記表示装置を真正面から見たときのコントラスト(以後、正面CRと呼称)が低下してしまい、またRo1が30nmを超えると、上記表示装置を下方向から見たときの視野角が低下してしまう。
ここで、正面CRとは、測定機(EZ−Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて測定した、液晶表示装置の白表示時の輝度と、黒表示時の輝度の表示装置の面法線方向の輝度比のことである。
さらに、Rth1が50nm未満だと、上記表示装置を横方向から見たときの視野角が低下してしまい、またRth1が180nmを超えると、上下方向から見たときの視野角が低下してしまう。
且つ、前記屈折率ncのフィルムの面法線方向からの角度αが5°未満だと、上記表示装置の上、下、斜め45°方向の視野角が低下してしまい、50°を超えても同様の視野角低下の現象が起こる。
また、フィルムの3方向の屈折率をna、nb、ncとしたときに、na≧nb>ncであり、該単一層位相差フィルムの屈折率楕円体のNz1係数=(na−nc)/(na−nb)が5〜8でなければ、TN型液晶表示装置に対して光学補償が十分になされず、結果として正面CRの低下、また上、下、斜め45°方向からTN型液晶表示装置を見たときの視野角が低下してしまうことになる。
故に従来はポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムを用いて、上記の位相差値、屈折率を実現してきたが、例えばポリカーボネートフィルムは、光弾性係数が高いために剪断力のムラが生じやすく、リターデーションムラや配向角ムラを著しく発生させる。また、波長が長いほど位相差が小さくなる特性を有しており、可視光領域の全波長に対して理想的な位相差特性を付与することは困難であり、更に鹸化処理適性に劣る為、偏光板保護フィルムとして直接偏光膜に貼合することができず厚膜になることから実用化は困難であった。
本発明の光学補償フィルムは、請求項1の実施形態のように、特定のリターデーション値を有する圧延処理前のセルロースエステルフィルムを、少なくとも1対のカレンダーローラを用いて、特定の、搬送張力、圧延処理(ニップともいう)する際の線圧、及びカレンダーローラの周速比を調整し圧延処理し、更に特定の搬送張力で該カレンダーローラから剥離することで、リターデーション発現性が低いセルロースエステルフィルムでも、光学軸が傾斜し所望の光学特性を有する光学補償フィルムを形成することが可能となるものである。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
<本発明の光学補償フィルムの製造方法の特徴>
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、光学軸をフィルム面法線方向から傾斜させるものであり、圧延処理によってセルロースエステルフィルム内に剪断応力を発生させ歪み変形を与えることにより形成する方法である。
より具体的には、フィルムの処理温度をTg(樹脂フィルムのガラス転移温度)―50℃〜Tg+150℃の範囲で、フィルムの片面に駆動ローラを接触させ、当該フィルムの反対面に回転負荷を有する追随回転ローラを接触させて、当該フィルムを搬送することで、当該フィルムに歪み変形を与え、光学軸を傾斜させる方法が好ましい。
ここで、「回転負荷を有する追随回転ローラ」とは、図1に示すように、搬送されるフィルムとの接触圧力によって自由回転又は強制回転する回転ローラであって、駆動ローラによってフィルムを搬送させる力が掛るフィルム面と反対のフィルム面でブレーキが掛るように反対方向に力を作用させるために使用する回転ローラをいう。これら駆動ローラ、及び回転負荷を有する追随回転ローラを一対のカレンダーローラともいう。
回転に要する負荷は、各種のブレーキを使用することができる。ポイントとしては、負荷トルクが変動しない構造とすることが重要であり、駆動ローラを含めて、一定のトルクとなるような制御が必要である。
また、「フィルムに歪み変形を与える」とは、ローラとの接触圧力またはローラニップ圧等による剪断力をフィルムに加え、当該フィルム内の屈折率等の光学的物性(「光学特性」ともいう。)の変化をもたらすような歪み変形を生じさせることをいう。
また、カレンダーローラでニップした後、フィルムを剥離張力30〜100N/m幅で剥離できるようにする。なぜならば、100N/m幅以上の剥離張力でフィルムから剥離すると、請求項2に記載の屈折率ncのフィルム面法線方向からの角度が低下してしまうからである。そのためには、駆動ローラによる張力制御を行う方法以外にも、セルロースエステルフィルム自身の残留溶媒量を高くしたり、セルロースエステルフィルムに微粒子を添加する手段等が挙げられる。
微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子が挙げられる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを上げずに、表面の摩擦係数を制御できる為好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものの使用は更にヘイズを低下できる為好ましい。
またシランカップリング剤を添加する手段も挙げられる。シランカップリング剤としてはビニルシラン、エポキシシラン、アミノシランが挙げられるが、中でもエポキシシランは、セルロースに添加しても凝集しにくいため、剥離張力を請求項1に記載の領域で制御しやすく好ましい。
微粒子の具体例としては、日本アエロジル(株)製 アエロジル200V、アエロジルR972Vが光学補償フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明の光学補償フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、前記フィルムが、前記駆動ローラと追随回転ローラの2種のローラの接触部分との間でスリップしない様にする態様であることが好ましい。このため、当該駆動ローラと追随回転ローラが、当該フィルムを挟むニップローラ対を構成する態様であることが好ましい。これにより、当該フィルムが、駆動ローラと追随回転ローラの外周面上で、スリップすることが抑えられるため、フィルム表面に擦り傷がつかない。また、当該駆動ローラと追随回転ローラからフィルムに伝達される応力が安定しており、フィルム内の歪み変形量のバラツキが小さい。
本発明においては、前記駆動ローラまたは追随回転ローラが、少なくとも一対あればよいが、複数設けられフィルム搬送経路の複数個所で前記接触を行う態様であることも好ましい。
複数回に分けて一定量の歪み変形を形成することが、1回で歪み変形を形成するよりも安定してバラツキ量を小さく出来る点で優れている。また、複数回に分けて歪み変形を与える時に、フィルムの膜厚方向で加熱する領域を部分限定して複数回の加熱位置を変更することで、フィルム厚み方向で歪み変形量が異なる様にすることができ好ましい。
従って、本発明の光学補償フィルムの製造方法の実施に用いられる製造装置としては、基本的には、フィルムの片面に接触する駆動ローラと当該フィルムの反対面に接触し回転負荷を有する追随回転ローラとを備え、これら2種のローラが当該フィルムを搬送する手段となりかつ当該フィルム内に歪み変形を与える手段となる態様の光学補償フィルムの製造装置であることが好ましい。
本発明に係る光学補償フィルム内の歪み変形については、下記(1)〜(7)に示す手段によって、フィルム内の変形量のコントロールが容易であり、かつフィルムの連続搬送による生産安定性が良好である。
(1)追随回転ローラの回転負荷の負荷量を調整する。
(2)剪断力が掛かる部分(接触部およびその前後)のフィルム温度を調整する。
(3)上記(2)でフィルムの面方向の温度状態の調整をする。例えば、片面より加熱することで加熱しない(冷却)側と温度差を事前加熱時間も含めて調整する。
(4)駆動ローラと回転負荷を有する追随回転ローラをローラニップ対として使用し、前記ローラニップ対を使用する数を調整する。
(5)上記(4)で複数のローラニップ対で、追随回転ローラの回転負荷量を徐々に重くしたり、軽くしたりと調整する。
(6)上記(4)及び(5)の複数のローラニップ対で、ローラ温度を変化させ、複数の接触部分の加熱するフィルム温度を調整する。
(7)ローラ材質(金属、各種ゴム)の選定によりローラ変形量を調整する。
(8)フィルム片面に加熱手段を設け、反対面に冷却手段を設ける。
以下、本発明の光学補償フィルムの製造方法の好ましい態様例の技術的特徴について、図2(a)〜(c)を参照して、更に詳しく説明する。
図2(a)〜(c)は、本発明に係る駆動ローラと追随回転ローラの配置例(位置的相互関係例)を示す概念図である。
図2(a)に示す例の場合、追随回転ローラの回転負荷に、ローラの質量を使用出来、ローラ幅方向のバラツキが減少する。ローラニップ圧力によりスリップ限界を高く出来、1箇所のローラ対で強い力が伝達可能であり、1対のローラ対でのフィルム内変形量を大きくすることが出来る。
図2(b)に示す例の場合、1個のローラに対して複数ローラを対とすることで製造工程を小さく出来る。駆動ローラを冷却ローラとして、追随回転ローラを加熱ローラとして、フィルム片側表面のフィルム内を変形することが出来る。図2(c)で、前半と後半で逆のローラ配置とすることで、フィルムの両面よりフィルム内を変形させることで、フィルムの厚さ方向での変形量などを調整出来る。
なお、本発明では、フィルムは、駆動ローラと追随回転ローラに直接に接触することが好ましいが、図2(c)に示す様にフィルムとローラの間にフィルムやシートやベルトを介して、フィルム内に歪み変形を与える方法も、本発明に含まれる形態である。
更に、本発明の光学補償フィルムの製造方法は、
特定のリターデーションを有するセルロースエステルフィルムを、
少なくとも1対のカレンダーローラを用いて、
フィルムの搬送張力(T)を0.4<T<20MPaで搬送しながら、
前記カレンダーローラでニップする際の線圧pを150〜1000[kN/m]、
前記カレンダーローラの2つのローラの周速比nが、0.01〜0.6、
(但し、n=(V1−V2)/V1 V1、V2:1対のローラの周速、V1>V2)でフィルムに剪断力をかけ、
フィルムの搬送張力TをNz2係数で除した値Q=T/Nz2が、0.2<Q<40の範囲に調整しながら、圧延処理する。
〈圧延処理前のセルロースエステルフィルム〉
本発明では、圧延処理前のセルロースエステルフィルムの屈折率をnx、ny、nzとしたとき、
(x:フィルムの幅方向、y:フィルムの搬送方向、z:フィルムの厚さ方向)
リターデーション値が、(dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)を表す)
Ro2=(nx−ny)×dが0〜90nm、
Rth2=((nx+ny)−nz)/2×dが0.01〜30nm、
Nz2=(nx−nz)/(nx−ny)が0.5〜3、
であるような特定のリターデーション値を有するセルロースエステルフィルムであることが、圧延処理後のリターデーション値を所望の値の範囲に制御する上で必要である。
これは例えば自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用い23℃、55%RHの環境下で波長590nmで測定することができる。
このような光学特性を有するセルロースエステルフィルムは、後述するセルロースエステルフィルムを構成する材料、製造方法、特にフィルムを延伸処理することで得ることができる。
〈ローラ構成材料〉
本発明に係るローラを構成する材料としては、通常知られている各種材料が使用出来る。具体的には、金属性、樹脂製もしくは弾性金属もしくはゴム被覆金属ローラもしくは金属被覆されたゴムローラなど、表面硬度か弾性率の異なるローラを組み合わせることが好ましい。
その場合、硬い側のローラの表面材質としては、ハードクロムメッキされたもの、ニッケルメッキなどを施されたもの、セラミックスの超硬材料である、タングステン−カーバイドなどが溶射されたものなどで、剥離性がよく、かつ鏡面に研磨できる材質であることが好ましい。
表面粗度は、0.2s以下で、特に好ましくは、0.1s以下である。
〈圧延処理ゾーン〉
剪断処理を安定に行おうとする場合、圧延処理のゾーンの長さが重要である。圧延処理のゾーンとは、フィルムに剪断力がかかっているゾーンのことである。処理ゾーンの長さは0.5mm〜5000mmが好ましく、3mm〜3000mmがより好ましく、10mmから3000mmがさらに好ましい。0.5mm未満では、剪断処理を均一に行うことが難しく、5000mmより大きいと、設備が大きくなり好ましくない。
〈ローラ周速〉
前記カレンダーローラの2つのローラの周速比nは、0.01〜0.6の範囲である。ここでn=(V1−V2)/V1、V1、V2:1対のローラの周速、V1>V2である。
nが0.01未満であると、光軸の傾斜角度が必要な範囲から外れ、かつローラ間ですべりが発生するなどして、加工されるフィルムやシートにこすれによる傷が発生しやすくなり好ましくなく、一方、nが0.6を超えると、光軸を傾斜させることが不可能になり好ましくない。
〈ローラ間距離〉
カレンダーローラの2つの間隔は、光学軸を傾斜するのに必要な圧延処理ができれば特に制限はないが、製造するフィルム厚みをt(μm)、ローラ間隔をd(μm)、使用する金属ベルトなどの基材厚みをl(μm)とするとき、(t−l−150)≦d≦(t−20)で表される範囲内にすることが好ましい。ローラ間隔が、(t−l−150)未満であると、フィルムに面内の位相差が不安定になり好ましくなく、一方、(t−20)よりも大きな間隔を開けると、本発明の光軸を傾斜させることができないために好ましくない。
〈ローラ線圧〉
前記カレンダーローラでニップする際の線圧pは、150〜1000[kN/m]の範囲である。
150[kN/m]未満の圧着圧力であると、フィルムを十分に圧着できないため、本発明の光軸を傾斜させることができず、一方、1000[kN/m]を超える圧着圧力で圧着させると、フィルム表面に傷がつきやすくなるために好ましくない。
〈フィルムの搬送張力〉
ここでフィルムの搬送張力とは、後述の図3で示す圧延処理装置の場合は、予熱ロールから第一、第二ロールまでの搬送中のフィルムに掛かるフィルムの断面積あたりの張力、及び、第一、第二ロールから巻き取りロールまでに掛かるフィルムの断面積当たりの張力をいう。
フィルムは、搬送張力(T)を0.4<T<20MPaで搬送しながら圧延処理する。好ましくは2<T<15Mp、更に好ましくは3<T<13MPaである。
更に、圧延処理時のセルロースエステルフィルムに対し、フィルムの搬送張力Tを前記Nz2係数で除した値Q=T/Nz2が、0.2<Q<40の範囲に制御する。圧延処理をする前のフィルムの光学値Nz2と、フィルムに掛けられる搬送張力Tの許容範囲には相関があり、それを示すのが上記の値Qである。即ち、フィルムに掛けられる搬送張力の上限許容範囲は、Nz2が小さいほど小さくしなければならない。なぜならば、Nz2が小さいフィルムに過度の搬送張力を掛けると、搬送方向に屈折率が大きくなり、圧延処理による、前記屈折率ncのフィルム面法線方向からの傾斜を困難にさせてしまい、傾斜角度を低下させてしまうからである。
圧延処理後のカレンダーローラから剥離する際の剥離張力は、前述したように30〜100N/m幅に調整することが必要である。
〈処理温度〉
本発明においては、前記フィルムと前記2種のローラが接触する箇所(「接触部」という。)及びその接触部の前後において、当該フィルムを加熱または冷却する態様が好ましい。歪み変形は、フィルムのガラス転移温度の上下50℃の範囲の温度条件が生じ易く、加熱は、接触部の前で実施し、フィルム温度をガラス転移温度付近とするためであり、歪み変形量を大きくするために有効である。冷却は、接触部を通過後に実施し、フィルムに生じた歪み変形を維持固定化して変化するのを防止するために有効である。
尚、ガラス転移温度以上の温度状態を接触部以外の搬送部分などで長時間維持することは、発生した歪み変形が変化(消失の現象も含む)するため好ましくない。また、歪み変形を付与した後、フィルムを巻き取る前工程で、短時間(1〜20分間)の間、ガラス転移温度以上の高温とする熱安定化処理は、歪み変形が長期間変動し難くなり、好ましい態様である。
尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
前記加熱は、電熱ヒーター、遠赤外線ヒーター、熱媒体による加熱など一般に知られる各種の加熱手段が利用出来、フィルムの直接加熱(接触と非接触)、駆動ローラ及び追随回転ローラを加熱することができる。
前記冷却は、熱媒体による冷却、空気冷却、冷凍機使用など一般に知られる各種の冷却手段が使用出来、フィルムの直接冷却(接触と非接触)、駆動ローラ、追随回転ローラを冷却することができる。
加熱温度は、目的により異なるがフィルムのガラス転移温度の±100℃が好ましい。より好ましくは、±50℃である。冷却温度は取り扱い性から、室温〜軟化点温度の範囲が好ましい。
図3に本発明で好ましい予熱ローラを用いた圧延処理装置の模式図を示す。
右図において送りだしローラは駆動系を持たず、次いでニップローラ兼余熱ローラがある。第一、第二ローラはそれぞれに駆動系を有するローラであり、周速差を任意に制御できるローラである。また、油圧によって第一、第二の間の圧力を制御できる構造になっている。巻き取りローラは駆動系を有するローラであり、テンションコントローラで巻取り速度、搬送張力を制御している。予熱ローラと第一、第二ローラはローラ内部にヒーターを内臓し、ローラ表面に温度センサーが取り付けられており、センサー温度をヒーターにフィードバックしPID制御によって±1度の精度で温度コントロールする。
〈圧延処理後のセルロースエステルフィルム〉
本発明では、前述のように、圧延処理前のセルロースエステルフィルムのリターデーション値を特定範囲にし、更に前記特定の圧延処理を行うことで、本発明に係る圧延処理後のセルロースエステルフィルム、即ち、本発明に係る光学補償フィルムの光学特性を制御するものである。
本発明に係る光学補償フィルムの3方向の屈折率をna、nb、ncとしたときに、na≧nb>ncであり、該光学補償フィルムの屈折率楕円体のNz1係数=(na−nc)/(na−nb)が5〜8、好ましくは5〜7の範囲である。
該光学補償フィルムのリターデーション値は、(dは位相差フィルムの厚み(nm)を表す)
Ro1=(na−nb)×dが5〜30nm、
Rth1=((na+nb)−nc)/2×dが50〜180nm、好ましくは130nm<Rth<180nm、更に好ましくは140nm<Rth<170nmの範囲である。
且つ、該光学補償フィルムの前記屈折率ncのフィルム面法線方向からの傾斜角度αは5〜50°である。傾斜角度αは好ましくは10〜45°、更に好ましくは20〜40°の範囲である。
上記リターデーション値Rth1、Rth2、傾斜角度αは前記自動複屈折率計を用いて測定することができる。
更に、光学補償フィルムの前記屈折率ncのフィルム法線方向からの角度αのばらつき△αが±0.01°以下であることが好ましい。これは作製した光学補償フィルムから15cm×60cmのサイズを切り出し、そこから均等に36点傾斜角αを測定したときの、その最大値と最小値の差を表す。
また、前記リターデーション値Ro1のばらつき△Ro1が0.0008nm以下であることが好ましい。△Roは、距離1cm間のリターデーション値の変化量をいう。
<セルロースエステルフィルム>
本発明の光学補償フィルムは、セルロースエステル樹脂を含有するフィルム(セルロースエステルフィルム)であり、従って鹸化処理適性に優れることにより偏光膜に直接貼合し偏光板保護フィルムの機能を併せ持つこと可能である。
本発明の光学補償フィルムは、長尺のフィルムとして取り扱うことが好ましく、ローラ状に巻き取られた形態のフィルムを繰り出して、本発明の製造方法を適用した後に再び巻き取る形態や、長尺フィルムの生産の乾燥途中や乾燥後の巻き取り前の段階で、本発明の製造方法を適用することが好ましい。一方カットシートフィルムに対して本発明の製造方法を適用することも可能であるが、長尺フィルムを連続処理する方法が生産効率の面で好ましい。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明に係るセルロースエステル樹脂(以下セルロースエステルともいう)は、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、更に好ましいセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロース樹脂であることが好ましい。
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 1.0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
更に、本発明に係るセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、更に好ましくは2.5〜5.0であり、更に好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明に係るセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明に係るセルロースエステルは、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。pHが6未満の場合、残留有機酸が加熱溶融時にセルロースの劣化を促進させる恐れがあり、pHが7より高い場合、加水分解が促進する恐れがある。また、電気伝導度が100μS/cm以上の場合、残留イオンが比較的多く存在するため、加熱溶融時にセルロースを劣化させる要因になると考えられる。
(その他添加剤)
本発明に係る光学補償フィルムには、目的に応じて種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、マット剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
可塑剤は単に可塑化効果のみならず、波長分散を適切に調整する機能を有しても良い。また、光弾性係数の絶対値を低下させる材料も好ましい。可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。更に正の複屈折樹脂層の位相差をコントロールするために、位相差を正の複屈折性を発現する材料や、波長分散を調整する材料、光弾性係数をゼロに近づける材料などを含んでいてもよい。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは前述した圧延処理前のリターデーションを特定の範囲に調整するために、特開2003−12859号公報記載のアクリルポリマーなどを含有させることも、リターデーションやヘイズの調整をする上で好ましい。
重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリルポリマーを含有することが好ましく、該アクリルポリマーは芳香環を側鎖に有するアクリルポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリルポリマーであることが好ましい。
該ポリマーの重量平均分子量が500以上30000以下のもので該ポリマーの組成を制御することで、セルロースエステルと該ポリマーとの相溶性を良好にすることができる。
特に、アクリルポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリルポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリルポリマーについて、好ましくは重量平均分子量が500以上10000以下のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、セルロースエステルフィルムとして優れた性能を示す。
そのようなポリマーの重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、或いは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができる。
更に、セルロースエステルフィルムは、分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーXと、より好ましくは芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYとを含有しても良い。好ましくは、Xaは分子内に芳香環と親水性基を有しないアクリルまたはメタクリルモノマー、Xbは分子内に芳香環を有せず親水性基を有するアクリルまたはメタクリルモノマーである。
ポリマーXとポリマーYのセルロースエステルフィルム中での含有量は、下記式(i)、式(ii)を満足する範囲であることが好ましい。ポリマーXの含有量をXg(質量%=ポリマーXの質量/セルロースエステルの質量×100)、ポリマーYの含有量をYg(質量%)とすると、
式(i) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
式(ii) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
式(i)の好ましい範囲は、10〜25質量%である。
ポリマーXとポリマーYは総量として5質量%以上であれば、リターデーション値Rtの低減に十分な作用をする。また、総量として35質量%以下であれば、偏光子PVAとの接着性が良好である。
ポリマーXとポリマーYは後述するドープ液を構成する材料として直接添加、溶解するか、もしくはセルロースエステルを溶解する有機溶媒に予め溶解した後ドープ液に添加することができる。
また、リターデーションの調整に、フラノース構造もしくはピラノース構造を少なくとも1個有し、該フラノース構造もしくはピラノース構造が1〜12個結合した化合物中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物を用いることも好ましい。かかる化合物としては、例えば、特開2007−304376号公報、特開2008−112127号公報、特開2009−1696号公報記載の化合物が挙げられる。
セルロースエステルフィルム中の上記可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
紫外線吸収剤としては、着色がなく、透明性に優れるなどの、光学補償フィルムに適性のある材料が好ましい。例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。又、特開2002−169020、特開2006−113175号等に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
また、光学異方性制御剤を含有することも好ましく、特にリターデーション上昇剤は、光学的に複屈折性を本願目的の平面から斜め方向に発現し易くするため好ましい。リターデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物が好ましい。芳香族化合物は、樹脂の100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。そして、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。これらについては、特開2004−109410号、特開2003−344655号、特開2000−275434号、特開2000−111914号、特開平12−275434号公報などに詳細が記載されている。
(セルロースエステルフィルムの製造方法)
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法は、溶融流延法であっても、溶液流延法であってもよい。
溶融流延法においては、従来、溶液流延法において使用されてきた溶媒(例えば塩化メチレン等)を用いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる偏光板保護フィルムを得るためには、溶融押出し法が優れている。
溶液流延法の製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。回収溶剤中に、セルロースエステルに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、光学補償フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明に係るセルロースエステルフィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
近年の液晶ディスプレイの大型化を鑑みると、TN液晶用視野拡大の目的での本発明に係るセルロースエステルフィルムとしては、フィルムの幅は1m以上が好ましい。他方で、4mを超えると装置が大型化し、また搬送が困難となるため、セルロースエステルフィルムの幅は1〜4mが好ましく、特に好ましくは1.4〜2.5mである。
本発明に係るセルロースエステルフィルムの厚みは、通常、1〜500μm(1,000〜500,000nm)、好ましくは1〜300μm(1,000〜300,000nm)、さらに好ましくは10〜200μm(10,000〜200,000)、最も好ましくは40〜100μm(40,000〜100,000nm)である。この厚みが1μm未満である場合には、当該セルロースエステルフィルムを実質的にハンドリングすることが困難となる。一方、この厚みが500μmを超える場合には、当該加工前フィルムをローラ状に巻き取った際に、いわゆる「巻きぐせ」がついてしまい、後加工などにおける取扱いが困難になる場合がある。
セルロースエステルフィルムの厚み分布は、平均値に対して、通常、±10%以内、好ましくは±5%以内、さらに好ましくは±1%以内、特に好ましくは±0.5%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は1%以下、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.01%以下、特に好ましくは0.005%以下であることが望ましい。セルロースエステルフィルムの厚み分布を上記の範囲内に制御することにより、延伸加工処理を行う際に、位相差ムラや光学軸の配向ムラが発生することを防止することができる。
〈フィルム面に平行方向の延伸工程〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、従来のフィルム面に平行方向の延伸処理を行うことが出来る。延伸処理の目的は、フィルム平面性の向上、フィルム強度アップ、リターデーション値の調整の目的で行うことが出来る。特に、本発明では、圧延処理前のセルロースエステルフィルムとして、前記リターデーション値を制御する上で延伸処理を行うことが好ましい。
延伸方向としては、長手方向(MD)、幅手方向(TD)が一般的であるが、長手方向に対して、斜め方向の延伸であっても良い。
最初に、長手方向(MD)の延伸方法について説明する。
長手方向に一段または多段MD延伸してもよい。延伸する際は、フィルムのガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg−20)〜(Tg+80)℃の範囲内で加熱して搬送方向(長手方向;MD)或いは幅手方向(TD)に延伸することが好ましい。(Tg−20)〜(Tg+20)℃の温度範囲内で横延伸し次いで熱固定することが好ましい。また延伸工程の後、緩和処理を行うことも好ましい。
本発明に係るセルロースエステルフィルムのTgは、フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率によって制御することができる。フィルムの乾燥時のTgは110℃以上が好ましく、更に120℃以上が好ましい。これは液晶表示装置に本発明に係るセルロースエステルフィルムを用いた場合、当該フィルムのTgが上記よりも低いと、使用環境の温度や湿度、バックライトの熱による影響によって、フィルム内部に固定された分子の配向状態に影響を与え、リターデーション値及びフィルムとしての寸法安定性や形状に大きな変化を与える可能性が高くなる。また、フィルムの形状を保持できなくなることがある。逆に当該フィルムのTgが高過ぎると、フィルム構成材料の分解温度に近づくため製造しにくくなり、フィルム化するときに用いる材料自身の分解によって揮発成分の存在や着色を呈することがある。従ってガラス転移温度は180℃以下、より好ましくは150℃以下であることが好ましい。このとき、フィルムのTgはJIS K7121に記載の方法などによって求めることができる。
次に、幅手方向(TD)の延伸方法について説明する。
TD延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸すると幅方向の物性の分布が低減でき好ましい。更に横延伸後、フィルムをその最終TD延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると幅方向の物性の分布が更に低減でき好ましい。
熱固定は、その最終TD延伸温度より高温で、Tg−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差が1〜100℃となる範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/または縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。尚、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとした時、(T1−Tg)/tで求めた値である。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するセルロースエステルや可塑剤等の添加剤種により異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すればよい。
<偏光板>
本発明に係る光学補償フィルムを偏光板保護フィルムの機能を併せ持つ光学補償フィルムとして使用することができる。偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学補償フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて本発明に係る光学補償フィルムを貼合する。偏光子の反対面には、下記の、従来の偏光板保護フィルムとして、コニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC12UR、KC8UXW−H、KC8UYW−HA、KC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)等のセルロースエステルフィルムが用いることができる。
また、上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
<表示装置>
本発明の光学補償フィルムの製造方法により製造された光学補償フィルムを用いることにより、種々の視認性に優れた表示装置を作製することができる。本発明に係る光学補償フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDに用いられ、特にTN型液晶表示装置に好ましく用いられる。
〈TN型液晶表示装置〉
本発明に係る光学補償フィルムが特に好適に用いられるTN型液晶表示装置について説明する。
当該TN型液晶表示装置としては、特に制限されない。また、さらに光源を有してもよく、光源としては、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
光学補償フィルムが特に好適に用いられるTN型液晶表示装置の例を、図4及び図5を使用して説明する。第1の偏光板13及び第2の偏光板15は、それぞれ、偏光膜2、10を2枚の偏光板保護フィルムにより挟む構造を有する(偏光膜2は第1偏光板保護フィルム1及び第2偏光板保護フィルム3により挟み、偏光膜10は第3偏光板保護フィルム9および第4偏光板保護フィルム11により挟む。)。
TN方式液晶セル14は、2枚のガラスセル基板4,8により挟まれた空間に液晶層6を有する。液晶層6の平均厚さが液晶セルギャップである。
ガラスセル基板4、8には液晶を配向するための配向層5、7が設けられており、配向層にはラビング処理が施されている。そして液晶のツイスト角は対向するラビング処理の方向つまりラビング軸の成す角度と一致し、配向層5のラビング軸(基準0°とする。)と配向層7のラビング軸の成す角度が115±22°である。
第1の偏光板13の透過軸(偏光膜2の透過軸と等しい。)と液晶配向層5のラビング軸の成す角度が3.5±3°であり、第2の偏光板15の透過軸(偏光膜10の透過軸と等しい。)と液晶配向層7のラビング軸の成す角度が、3.5±3°である。
なお、第1の偏光板と第2の偏光板は、クロスニコル(互いの透過軸が90°を成す。)になるように配置される。
本発明の光学補償フィルムは、光学補償機能と偏光板保護機能を有する、第2偏光板保護フィルム3と第3偏光板保護フィルム9として使用することが好ましい。
また、図示しないが、第2偏光板保護フィルム3と第3偏光板保護フィルム9には、偏光板保護機能を有するセルロースエステルフィルムを使用し、本発明の光学補償フィルムは、図4の第2偏光板保護フィルム3とガラスセル基板4の間と、2偏光板保護フィルム9とガラスセル基板8の間の2箇所(液晶セルの両側)に設置することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
実施例で用いたセルロースエステル、(メタ)アクリル系重合体、可塑剤、紫外線吸収剤を表1に示す。
Figure 2010210865
(メタ)アクリル系重合体A:攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管および温度計の付いたガラスフラスコに、表1記載の種類及び比率のモノマー混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸3.0gおよびトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、表1記載の種類及び質量比率のモノマー混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを3時間かけて滴下した。その後更に、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、更に2時間反応を継続させ、(メタ)アクリル系重合体Aを得た。
該(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量は下記測定法により表1に示した。
(分子量測定)
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
〈セルロースエステルフィルム101の作製〉
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈インライン添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルAを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。
濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、インライン添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルA 4質量部
微粒子分散液1 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルA 100質量部
(メタ)アクリル系重合体A 5.5質量部
可塑剤A 5.5質量部
紫外線吸収剤A 2.0質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液を濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液を濾過した。濾過したドープ液を100質量部に対し、濾過したインライン添加液を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを50℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に、温度130℃、延伸倍率1.15で延伸した。120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、平均膜厚が100μmのセルロースエステルフィルム101を作製した。巻き取り長は5000mとした。
得られたサンプルについて、以下の要領でリターデーション値を測定した結果、Ro2=30nm、Rth2=0.1nm、NZ2=0.5であった。
(リターデーションRo2、Rth2の測定)
得られたフィルムから試料35mm×35mmを切り出し、25℃,55%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))で、590nmでリターデーションを測定した。
Ro2=(nx−ny)×d
Rth2=((nx+ny)−nz)/2×d
Nz2=(nx−nz)/(nx−ny)
(セルロースエステルフィルムの屈折率をnx、ny、nz(x:フィルムの幅方向、y:フィルムの搬送方向、z:フィルムの厚さ方向)、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)を表す)
〈セルロースエステルフィルム102〜119の作製〉
次いで、Ro2、Rth2、Nz2を表2のように変化させるために、(メタ)アクリル系重合体量、可塑剤量、TD方向の延伸倍率を変化させた以外は同様にしてセルロースエステルフィルム102〜119を作製した。リターデーション値は表2に示した。
〈ポリカーボネートフィルム1の作製〉
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水152400部、25%水酸化ナトリウム水溶液84320部を入れ、HPLC分析で純度99.8%の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“ビスクレゾールフルオレン”と略称することがある)34848部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン9008部(以下“ビスフェノールA”と略称することがある)及びハイドロサルファイト88部を溶解した後、塩化メチレン178400部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン18248部を60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール177.8部を塩化メチレン2640部に溶解した溶液及び25%水酸化ナトリウム水溶液10560部を加え、乳化後、トリエチルアミン32部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、塩化メチレン相を濃縮、脱水してポリカーボネート濃度が20%の溶液を得た。この溶液から溶媒を除去して得たポリカーボネート(共重合体A)はビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの構成単位の比がモル比で70:30であった(ポリマー収率97%)。また、このポリマーの極限粘度は0.674、Tgは226℃であった。
エタノールを4質量部含む、メチレンクロライドとエタノール混合溶媒75質量部に対して、前記ポリカーボネート25質量部を25℃で攪拌しながら溶解して、透明で粘ちょうなドープを得た。このドープを、乾燥空気を送風して露点を12℃以下に制御した100mステンレスベルト上に流延し、剥離した。その時の残留溶媒濃度は35%だった。剥離性は良好であり帯電も少ないことより目視観察ではフィルム表面に剥離段や剥離筋等は見られなかった。その後、残留溶媒濃度が2%のとき、幅保持をして乾燥させた。その後、残留溶媒濃度が1%以下になるまで乾燥し芳香族ポリカーボネートフィルム1を得た。Ro2=30nm、Rth=0.1nm、Nz2=0.5であった。膜厚は100μmであった。
〈シクロオレフィンポリマーフィルム1の作製〉
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン1.2部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140部、及び8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、更に水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100部あたり0.1部)。次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であ
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを、リップ幅1.6mのコートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して厚み100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム1を製造した。押出成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。得られたシクロオレフィンポリマーフィルム1は両耳をスリットし、幅1.5mに加工した。また、巻き取る際にプロテクトフィルムとしてポリエステルフィルムを一緒に巻き取った。
シクロオレフィンポリマーフィルム1は、Ro2=30nm、Rth=0.1nm、Nz2=0.5であった。
<光学補償フィルム101の作製>
次に、上記で得たセルロースエステルフィルム101を、特開平6−222213号公報に開示されている方法に従って、図3に示す周速の異なるローラR及びローラRに挟み込んでフィルムをロール形状に50m作製し光学補償フィルム101を作製した。
図3において、ローラRは送り出しローラ、R、Rは駆動系を持たないニップローラ兼余熱ローラである。RとRはそれぞれに駆動系を有するローラであり、周速差を任意に制御できるローラである。また、油圧によってR、Rの間の圧力を制御できる構造になっている。Rは駆動系を有する巻取りローラであり、テンションコントローラで巻取り速度を制御している。R〜Rのローラには内部にヒーターを内蔵し、ローラ表面に温度センサーが取り付けられており、温度センサーからの温度をそのヒーターにフィードバックし、PID制御によって±1℃の精度で温度コントロールしている。
圧延処理の条件は以下の通りである。
予熱ローラR、Rの径:150mm
予熱ローラR、Rの速度:2.00m/min
予熱ローラR、Rの温度:150℃
ローラR、ローラRの径:150mm
ローラR、ローラRの表面粗さRa:0.05S
ローラR、ローラRの周速:2.02m/min、0.32m/min
ローラR、ローラRの周速比:0.16
ローラR、ローラRの表面温度:140℃
ローラR、ローラRに挟まれたフィルムに加わる線圧:500[kN/m]
フィルムの搬送張力T:8.0MPa
Q=T/Nz2:15.9
ローラR、ローラRからの剥離張力:50.0[N/m幅]
得られたフィルムについて、以下の傾斜角度α、及びリターデーションを測定した。
屈折率ncのフィルム法線方向からの傾斜角度αは40°であり、
Ro1=(na−nb)×dは20nm、
Rth1=((na+nb)−nc)/2×dは130.0nm、
Nz1=(na−nc)/(na−nb)は7.0であった。
但し、屈折率na、nb、ncは、フィルムを傾斜させながらその測定面の2成分方向の位相差を測定していったとき、その位相差が最小となる測定面の垂直方向の屈折率をncとし、その測定面上での互いに直交する2成分方向の屈折率をna、nbとする。dはフィルムの厚さ(nm)である。測定は、25℃,55%RHの環境下、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))で、590nmで実施した。
更に、角度αのばらつき△α(作製した光学補償フィルムから15cm×60cmのサイズを切り出し、そこから均等に36点傾斜角度αを測定したときの、その最大値と最小値の差)は、0.00°であった。
また、前記リターデーション値Ro1のばらつき△Ro1(光学補償フィルムの距離1cm間のリターデーション値Ro1変化量)は、0.0006であった。
<光学補償フィルム102〜119の作製>
セルロースエステルフィルム102〜119を各々用いて、光学補償フィルム101と同様に圧延処理して光学補償フィルム102〜117を作製した。圧延処理条件、及び圧延処理後のリターデーション値は表2に示した。
<光学補償フィルム120、121の作製>
ポリカーボネートフィルム1、シクロオレフィンポリマーフィルム1を各々用いて、光学補償フィルム101と同様に圧延処理して光学補償フィルム120、121を作製した。圧延処理条件、及び圧延処理後のリターデーション値は表2に示した。
Figure 2010210865
<偏光板の作製>
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1部、ヨウ化カリウム2部、ホウ酸4部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光膜を得た。次に、上記作製した光学補償フィルム101〜119、及び偏光膜の反対面に貼合するコニカミノルタタックKC8UXを2mol/リットルの水酸化ナトリウム溶液に60℃で1分間浸漬し、更に水洗、乾燥させ、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤で、前記偏光膜の各々両面に光学補償フィルムとコニカミノルタタックKC8UXとを対になるように貼り合わせて偏光板を製作した。
光学補償フィルム120と121は、偏光膜の両面にコニカミノルタタックKC8UXを貼合した偏光板の片側の面に、アクリル系接着剤を用いて貼合した。
〈液晶表示装置による評価〉
NEC製15インチディスプレイMulti Sync LCD1525Jの予め貼合されていた光学補償フィルム及び偏光板を剥がしたものを使用した。
上記偏光板を液晶セルの両面に、偏光板の吸収軸の向きを剥がす前と同じ方向になるように、かつ光学補償フィルムが液晶セル側になるように配置した。
《評価》
作製した偏光板、液晶表示装置によって以下の評価を実施した。
(視野角)
パネルを正面から上、下、横方向に傾斜させたときに、それぞれ上20°、下40°でコントラストが10以上であることを満たすこと。
○:満たす
×:満たさない
(黒つぶれ)
パネルに8段階の階調表示をさせた状態で、パネルの正面から徐々に視野角を倒していったときに、ある傾斜角度で階調がなくなり、3つの連続した階調がすべて7か8(黒表示)になること。
○:満たす
×:満たさない
(白抜け)
パネルに8段階の階調表示をさせた状態で、パネルの正面から徐々に視野角を倒していったときに、ある傾斜角度で階調がなくなり、5つの連続した階調がすべて1か2(白表示)になること。
○:満たす
×:満たさない
(階調反転)
パネルに8段階の階調表示をさせた状態で、パネルの正面から徐々に視野角を倒していったときに、ある傾斜角度で階調が極大値を示すこと。
○:満たす
×:満たさない
(色ムラ)
目視により色ムラを評価した。
○:色ムラが観察されない
△:色ムラが、全面的に弱いものが観察される
×:色ムラがはっきりと全体に観察される
(PVA偏光膜への直接貼合性)
○:貼合性有り
×:貼合性なし
以上の評価結果を表3に示す。
Figure 2010210865
表3より、本発明の光学補償フィルムは、鹸化処理適性の高いことによりPVA偏光膜と直接貼合でき、視野角、黒つぶれ、白抜け、階調反転、色ムラに優れる光学補償フィルムであることがわかった。
1R 駆動ローラ
2R 追随回転ローラ
B ベルト
F セルロースエステルフィルム
1 第1偏光板保護フィルム
2 第1偏光膜(透過軸を有する3.5±3°)
3 第2偏光板保護フィルム
4 視認側ガラスセル基板
5 視認側液晶配向層(ラビング軸基準0°を有する。)
6 液晶層(d:液晶セルギャップ)
7 バックライト側液晶配向層(ラビング軸115±22°を有する。)
8 バックライト側ガラスセル基板
9 第3偏光板保護フィルム
10 第2偏光膜(透過軸93.5±3°を有する。)
11 第4偏光板保護フィルム
13 第1の偏光板
14 TN方式液晶セル
15 第2の偏光板
16 第1の偏光板の透過軸(3.5±3°)
17 視認側液晶配向層のラビング軸(基準0°)
18 バックライト側液晶配向層のラビング軸(115±22°)
19 第2の偏光板の透過軸(93.5±3°)
送り出しローラ
予熱ローラ1
予熱ローラ2
第一ローラ
第二ローラ
巻き取りローラ

Claims (3)

  1. 圧延処理工程と剥離工程を有する光学補償フィルムの製造方法であって、
    該光学補償フィルムがセルロースエステルフィルムであり、
    前記圧延処理工程では、圧延処理前の該セルロースエステルフィルムの屈折率をnx、ny、nzとしたとき、
    (x:フィルムの幅方向、y:フィルムの搬送方向、z:フィルムの厚さ方向、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)を表す)
    下記式で表されるリターデーション値が、
    Ro2=(nx−ny)×dが0〜90nm、
    Rth2=((nx+ny)−nz)/2×dが0.01〜30nm、
    Nz2=(nx−nz)/(nx−ny)が0.5〜3
    であるセルロースエステルフィルムを、
    少なくとも1対のカレンダーローラを用いて、
    フィルムの搬送張力(T)を0.4<T<20MPaで搬送しながら、
    該カレンダーローラでニップする際の線圧pを150〜1000[kN/m]、
    該カレンダーローラの2つのローラの周速比nが、0.01〜0.6、
    (但し、n=(V1−V2)/V1 V1、V2:1対のローラの周速、V1>V2)でフィルムに剪断力をかけ、
    フィルムの搬送張力TをNz2係数で除した値Q=T/Nz2が、0.2<Q<40の範囲に調整しながら圧延処理し、
    前記剥離工程では、前記圧延処理工程後の前記セルロースエステルフィルムをカレンダーロールから剥離する際の剥離張力を30〜100N/m幅で剥離することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学補償フィルムの製造方法によって製造された光学補償フィルムであって、該光学補償フィルムの3方向の屈折率をna、nb、ncとしたときに、
    na≧nb>ncであり、
    該光学補償フィルムの屈折率楕円体のNz1係数=(na−nc)/(na−nb)が5〜8であり、
    該光学補償フィルムの下記式で表されるリターデーション値が、
    Ro1=(na−nb)×dが5〜30nm、
    Rth1=((na+nb)−nc)/2×dが50〜180nmの範囲にあり、
    且つ、前記屈折率ncのフィルム面法線方向からの角度αが5〜50°傾斜していることを特徴とする光学補償フィルム。
    (但し、屈折率na、nb、ncは、フィルムを傾斜させながらその測定面の2成分方向の位相差を測定していったとき、その位相差が最小となる測定面の垂直方向の屈折率をncとし、その測定面上での互いに直交する2成分方向の屈折率をna、nbとする。各々の屈折率は波長が590nmの光に対する値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。)
  3. 前記光学補償フィルムの屈折率ncのフィルム法線方向からの角度αのばらつき△αが±0.01°以下、前記リターデーション値Ro1のばらつき△Ro1が0.0008nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の光学補償フィルム。
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