JP2010208593A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θCに従う座標系である。制御角θCとロータ角θMとの差は負荷角θLである。この負荷角θLに応じたアシストトルクTAが発生する。一方、操舵トルクTがフィードバックされ、指示操舵トルクT*に操舵トルクTを近づけるように、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に加算されることにより、制御角θCの今回値θC(n)が求められる。加算角αは、加算角リミッタ24による制限を受ける。手放し状態であると判定されたときには、リミッタゲイン設定部43およびゲイン乗算部44により、目標ヨーレートの絶対値|YR*|に基づいて、加算角リミッタ24の制限値が制御される。
【選択図】図1
Description
通常の制限値(制限基準値)=最大ロータ角速度×演算周期
たとえば、モータの回転を所定の減速比の減速機構を介して車両用操舵装置の操舵軸に伝達している場合には、最大ロータ角速度は、最大操舵角速度(操舵軸の最大回転角速度)×減速比×極対数で与えられる。「極対数」とは、ロータが有する磁極対(N極とS極との対)の数である。
前記車両挙動指標値が車両の目標横加速度の絶対値である場合には、前記制限値設定手段は、たとえば、車両を操向するための操作部材の戻り状態を検出する戻り状態検出手段(42)と、前記検出手段により前記操作部材の戻り状態が検出されているときには、車両の目標横加速度の絶対値の増加に従い増加する、1未満の係数を、通常の制限値(制限基準値Ω)に乗算することにより、前記制限値(ωmax)を設定する手段とを含む、ものであってもよい。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度Vを検出する車速センサ6とを備えている。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、目標ヨーレート演算部(車両挙動指標値演算手段)41と、手放し判定部(戻り状態検出手段)42と、リミッタゲイン設定部43と、ゲイン乗算部44と、指示電流値生成部31と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36とが含まれている。
LL=−ωmax …(3)
制限値ωmaxは、所定の基準値Ω(以下、制限基準値という。たとえばΩ=45度)に、リミッタゲインGを乗算することによって求められる。この所定の制限基準値Ωは、たとえば、最大操舵角速度に基づいて定められる。最大操舵角速度とは、ステアリングホイール10の操舵角速度として想定され得る最大値であり、たとえば、800deg/sec程度である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(4)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(5)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(5)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限基準値Ω(>0)とすればよい。
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θCの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
目標ヨーレート演算部41は、車速センサ6によって検出される車速V、舵角センサ4によって検出される操舵角にギヤレシオを乗算して求められる車輪の転舵角ηおよび車両に固有の値に基づいて、目標ヨーレートYR*を演算する。より具体的には、目標ヨーレート演算部41は、次式(6)に基づいて目標ヨーレートYR*を演算する。
ただし、Kはスタビリティファクタであり、Lはホイールベースである。スタビリティファクタKおよびホイールベースLは、車両に固有の値である。
手放し判定部42は、車速センサ6によって検出される車速Vおよびトルクセンサ1によって検出される操舵トルクTに基づいて、手放し状態(ステアリングホイール10の戻り状態)であるか否かを判定する。具体的には、車速Vが所定のしきい値Vth以上で、かつ操舵トルクTが所定のしきい値Tth以下のときに、手放し状態(戻り状態)であると判定する。
図5は、手放し状態が検出されている場合のリミッタゲインGの特性を示している。リミッタゲインGは、目標ヨーレートYR*の絶対値|YR*|が零付近の範囲では、下限値(0<下限値<1)に固定され、目標ヨーレートYR*の絶対値|YR*|が所定値を越えると、上限値(=1)に固定される。リミッタゲインGは、目標ヨーレートYR*の絶対値|YR*|が中間範囲内の値であるときには、絶対値|YR*|に応じて下限値から上限値まで単調に(この実施形態ではリニアに)増加する特性に従って設定される。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
図7は、目標ヨーレート演算部41、手放し判定部42、リミッタゲイン設定部43およびゲイン乗算部44によって実行される制限値設定処理の手順を示すフローチャートである。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
また、目標ヨーレートYR*は、ヨーレートセンサによって検出される実ヨーレートに比べて実際の操舵角に対する遅れが小さいので、実ヨーレートに基づいて制限値を設定する場合に比べて、手放し直後から滑らかなダンピング制御を実現することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、リミッタゲイン設定部43は、手放し判定部42によって手放し状態が検出されているときには、車両の目標ヨーレートYR*の絶対値|YR*|に基づいてリミッタゲインG(G<1)を設定しているが、車両の目標横加速度GY*の絶対値|GY*|に基づいてリミッタゲインG(G<1)を決定するようにしてもよい。目標横加速度GY*の絶対値|GY*|に対するリミッタゲインGの特性としては、図5に示す目標ヨーレートYR*の絶対値|YR*|に対するリミッタゲインGの特性と同様なものを用いることができる。
GY* = η・V2/{(1+K・V2)L} …(7)
また、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値生成部31において、操舵トルクおよび車速に応じて、所定のアシスト特性に従ってδ軸指示電流値Iδ *を発生させるようにすればよい。
Claims (4)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータによって車両の舵取り機構に駆動力を付与する車両用操舵装置であって、
制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
所定の演算周期毎に、制御角の前回値に加算角を加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
前記加算角の絶対値を制限値以下に制限する加算角制限手段と、
車両挙動の大小を表す車両挙動指標値を演算する車両挙動指標値演算手段と、
前記車両挙動指標値演算手段によって演算される車両挙動指標値に応じて前記加算角制限手段の制限値を設定する制限値設定手段とを含む、車両用操舵装置。 - 前記制限値設定手段は、車両を操向するための操作部材の舵角中点方向への戻り状態を検出する検出手段を含み、前記検出手段により前記操作部材の戻り状態が検出されているときには、加算角制限手段の制限値を、通常の制限値未満であって、かつ前記車両挙動指標値演算手段によって演算される車両挙動指標値が小さいほど小さな値となるように設定するものである、請求項1記載の車両用操舵装置。
- 前記車両挙動指標値が車両の目標ヨーレートの絶対値である、請求項1または2記載の車両用操舵装置。
- 前記車両挙動指標値が車両の目標横加速度の絶対値である、請求項1または2記載の車両用操舵装置。
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