JP2010207743A - クリプトスポリジウムの除去方法および除去装置 - Google Patents

クリプトスポリジウムの除去方法および除去装置 Download PDF

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Abstract

【課題】劣化して頻繁に交換が必要になる部材を格別に必要とせず、大量の浄水を処理して確実にクリプトスポリジウムを除去でき、安全な浄水を安価に得ることができる、クリプトスポリジウムの除去方法を提供する。
【解決手段】緩速ろ過池または急速ろ過池(R)でろ過され、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されて所定の有効塩素濃度に調整された浄水(12)を処理する。浄水(12)を送水ポンプ(11)で圧力容器(2)に圧送して、粒径1〜50μmの粒子の層(27、28)からなるろ過材(3)でろ過する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水道水として配水される浄水の処理方法および処理装置に関し、さらに具体的には浄水からクリプトスポリジウムを除去する方法と、この方法の実施に直接使用されるクリプトスポリジウムの除去装置に関するものである。
生活用水、飲用水等に利用される水道水、いわゆる浄水は、河川、湖沼、ダム等から取水された原水から浄化処理して得られる。原水には、微生物やごみがコロイド状に浮遊する懸濁物質が含まれているのでそのままでは飲用には不適である。従って、原水は、緩速ろ過法、急速ろ過法、膜ろ過法等によって浄化されている。そして、有効塩素換算濃度が約1ppmになるように塩素が注入され、いわゆる浄水が得られる。浄水は、家庭、工場、学校等に水道水として配水される。
近年、クリプトスポリジウムによる水道水の汚染が問題になっている。クリプトスポリジウムは約5μmの大きさの原虫であり、主に家畜や野生動物の腸内に棲息している。これらの動物の排泄物が河川に流入すると原水がクリプトスポリジウムに汚染される。クリプトスポリジウムは塩素に対して耐性を有するので、一旦浄水に混入してしまうと塩素が注入されても死滅しない。クリプトスポリジウムがわずかでも浄水に混入して飲用されると、集団的な下痢が発生する。
緩速ろ過法は、バクテリア、微生物等の生物の作用によって水を浄化する方法である。緩速ろ過法では、まず原水が沈砂池に導かれて水中に浮遊している砂やごみが沈められ、その後、いわゆる緩速ろ過池に導かれる。緩速ろ過池には平均粒径0.8〜1.0mmの砂の層が設けられている。緩速ろ過法においては殺菌用の次亜塩素酸ナトリウムは注入されないので、微生物は死滅しない。従って、緩速ろ過池の砂の層には、砂と該砂に付着して繁殖したバクテリアとからなる薄い層、いわゆる生物膜が形成されることになる。水が生物膜を通るとき、水中の有機物が分解されると共に水中に浮遊している微細なごみも十分に捕捉される。従って、クリプトスポリジウムは生物膜によってほぼ完全に除去することができ、安全な浄水を得ることができる。しかしながら、緩速ろ過法は都市部において採用し難いという欠点も認められる。例えば、緩速ろ過池において栄養分の高い原水を処理すると微生物が繁殖し過ぎて砂の層が目詰まりする、いわゆるろ過閉塞が頻繁に発生してろ過ができなくなってしまう。そうすると、緩速ろ過池から一旦水を抜いて目詰まりしてしまった砂の表面の層を人力で掻き出さなければならず、この作業は熟練を要し多大な人件費がかかる。さらには、生物膜で処理して浄化するので、砂の層を通る水の速度、いわゆるろ過速度は最大でも8m/日にしかすることができず、大量の浄水を得るには広大な面積の緩速ろ過池が必要になる。すなわち、処理効率は高くない。取水源となる周辺の河川の栄養分が比較的高く、需要の多い大都市に浄水を供給する場合、緩速ろ過法は最適とは言えない。
急速ろ過法においては、原水は、まずポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸バンド等の凝集剤が添加され沈殿池に導かれる。そうすると、マイナスの電荷に帯電しているコロイド状の懸濁物質の大部分がフロック状に凝集して沈殿する。沈殿池で処理された水は、次亜塩素酸ナトリウムが注入されて殺菌され、いわゆる急速ろ過池に導かれる。急速ろ過池には、平均粒径1〜2mmの砂の層が設けられ、水が砂の層を通る間に残存している懸濁物質のほとんどが濾し取られることになる。従って、クリプトスポリジウムもある程度除去することができる。急速ろ過池は塩素が溶存している水をろ過するので、生物膜がほとんど形成されない。従って、ろ過速度を120〜150m/日にすることができ、大量の浄水を効率よく得ることができる。また、沈殿池において大部分の懸濁物質が沈殿するので、急速ろ過池はろ過閉塞し難い。そして、ろ過閉塞してしまっても、急速ろ過池の砂の層の下方から浄水を噴出させる、いわゆる逆洗を実施すればろ過閉塞を容易に解消することができるので、メンテナンス性に優れている。
膜ろ過法は、微細な穴が多数空いている膜に原水を通して浄水を得る方法であり、地下水、沢水等の有機物や懸濁物質の少ない原水の処理に適している。クリプトスポリジウムは、膜によって完全に除去されるので、安全な浄水を得ることができる。さらに、膜ろ過装置は小型であり、ろ過池等の大規模な設備が不要になるので、比較的需要の少ない地域に浄水を供給する場合、設備を設置することが容易である。
特開2005−211804号公報
特許文献1には、直列に接続された前段と後段とからなる2段のろ過池と、それらのろ過池によって原水を処理して浄水を得る浄化方法が記載されている。それぞれのろ過池には、粒径が50μm〜300μmの砂の層が設けられ、原水には薬品は注入されないので、各ろ過池の砂の層には生物膜が形成されることになる。原水は、最初に、前段のろ過池においてろ過速度が30〜200m/日になるようにろ過されて、濁質の大半と有機物の50%程度が除去され、後段のろ過池においてろ過速度が10〜75m/日になるようにろ過されて、残存している濁質と有機物が除去される。そして、これらのろ過池は所定の周期で逆洗されてろ過閉塞が防止されている。
緩速ろ過法によると、クリプトスポリジウムをほぼ完全に除去することができるので、安全な浄水を提供することができる。しかしながら、砂の層を掻き出すメンテナンスを実施すると、生物膜が十分に形成されるまでの間、クリプトスポリジウムが流出してしまう恐れがある。また、効率が比較的低いので都市部において適用するのは難しいし、栄養分や懸濁物質が多い原水には適用し難い。さらには、ろ過閉塞し易くメンテナンス性が劣るという問題もある。膜ろ過法は、クリプトスポリジウムを完全に除去できるので、安全な浄水を提供することができる。しかしながら、緩速ろ過法と同様に、処理効率が低く栄養分や懸濁物質が比較的多い原水には適用し難いという問題があるし、使用される膜が高価であり、膜は劣化して定期的に交換しなければならないので、費用が嵩むという問題もある。一方、急速ろ過法は、栄養分や懸濁物質が比較的多くても処理できるし、処理効率が高いので面積の小さな急速ろ過池で大量の浄水を得ることができ、都市部において有利である。しかしながら、急速ろ過池においては、生物膜のない、比較的大きい粒径の砂の層でろ過するので、クリプトスポリジウムを完全に除去することができない。この対応策として、粒径の小さい砂をろ過材として採用することが考えられる。しかしながら、日本水道協会規格JWWA A 103−1:2006において急速ろ過池用のろ過砂の最小粒径として規定されている、粒径0.3mmよりも細かい砂を使用すると頻繁にろ過閉塞してしまう。逆洗にも問題がある。逆洗を実施すると、しばらく急速ろ過池の処理が安定しないが、逆洗直後のろ過水を捨てる、いわゆる捨水を適切に実施しないと、クリプトスポリジウムが流出する事故が発生してしまう。急速ろ過池でろ過した水を所定の設備に導いてオゾンに晒し、水中に残存している有機物を酸化して水道水のカビ臭を除去する、いわゆる高度処理が実施される浄水場もある。オゾンで処理すると、クリプトスポリジウムが浄水に混入していても完全に死滅させることができるが、高度処理を実施する設備は高価であり、オゾンを生成させるのに大量の電力を必要とするので費用が嵩んでしまう。
特許文献1に記載の浄化方法によると、比較的ろ過速度を大きくすることができるので、緩速ろ過法に比べると効率が高い。そして、原水は細砂の層と生物膜をろ過されるので、特許文献1には記載されていないがクリプトスポリジウムはほぼ除去することができると考えられる。しかしながら、問題点も見受けられる。例えば、特許文献1に記載のろ過池は、生物膜によってろ過するように構成されているので、ろ過速度には限界があり、急速ろ過池よりもろ過速度が小さくなってしまう。また、ろ過池は2段必要になるので、設備全体が大きくなってしまう。さらには、都市部近郊の栄養分や懸濁物質が多い原水を処理すると、頻繁にろ過閉塞が発生してしまい、効率が落ちてしまう問題もある。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、格別に広いスペースを必要とせず、ろ過閉塞することがなく安定して大量の浄水を処理でき、劣化して頻繁に交換が必要になる部材も格別に必要とせず、確実にクリプトスポリジウムを除去して安全な浄水を安価に得ることができる、クリプトスポリジウムの除去方法と、この方法の実施に使用されるクリプトスポリジウムの除去装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、緩速ろ過池または急速ろ過池でろ過されたろ過水または汲み上げられた地下水に、所定の水圧をかけて粒径1〜50μmの粒子の層からなるろ過材でろ過して、クリプトスポリジウムを除去するように構成する。または、ろ過水または地下水に、塩素または次亜塩素酸ナトリウムを注入して、所定の水圧をかけて粒径1〜50μmの粒子の層からなるろ過材でろ過してクリプトスポリジウムを除去するように構成する。このような方法を実施するためのクリプトスポリジウムの除去装置は、所定の容量の圧力容器と、該圧力容器内に設けられている粒径1〜50μmの粒子の層からなるろ過材とから構成し、圧力容器内に所定圧の浄水を供給するように構成される。
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、緩速ろ過池または急速ろ過池でろ過されたろ過水、地下水等の浄水を、粒径が1〜50μmの粒子からなり、その層厚が5.0mm以上のろ過材に、0.05MP以上の圧力をかけてろ過するように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除去方法において、前記浄水に塩素または次亜塩素酸ナトリウムを注入してから、ろ過するように構成される。請求項3に記載の発明は、水道水を、粒径が1〜50μmの粒子からなり、その層厚が5.0mm以上のろ過材に、0.05MP以上の圧力をかけてろ過するように構成される。
請求項4に記載の発明は、緩速ろ過池または急速ろ過池でろ過されたろ過水、地下水等の浄水を処理する装置であって、該装置は前記浄水が供給され、そしてろ過されて排出されるようになっている圧力容器と、該圧力容器内に設けられているろ過材とからなり、前記ろ過材は、粒径が1〜50μmの粒子の層から、その層厚が5.0mm以上になるように設けられていると共に、前記浄水は0.05MP以上の圧力で前記ろ過材によりろ過されるようになっている。請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の装置において、前記浄水はポンプにより0.05MP以上の圧力に加圧されて前記圧力容器内に供給されるようになっている。請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の装置において、前記粒子は、けい砂、ガラス粉、粉砕されたセラミックスの粒子、または金属粉からなり、そして請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかの項に記載の装置において、前記圧力容器の上流側には塩素または次亜塩素酸を注入する注入装置が設けられ、前記浄水は前記注入装置から注入される塩素または次亜塩素酸によって、所定の有効塩素濃度に調整されて前記圧力容器に供給されるようになっている。また、請求項8に記載の発明は、水道水を処理して、クリプトスポリジウムまたは微細懸濁粒子を除去して低濁度水を得る装置であって、該装置は前記水道水が供給され、そしてろ過されて排出されるようになっている圧力容器と、該圧力容器内に設けられているろ過材とからなり、前記ろ過材は、粒径が1〜50μmの粒子の層から、その層厚が5.0mm以上になるように設けられていると共に、前記水道水は0.05MP以上の圧力で前記ろ過材によりろ過されるように構成される。
以上のように、本発明によると、緩速ろ過池または急速ろ過池でろ過されたろ過水、地下水等の浄水を粒径が1〜50μmの粒子からなり、その層厚が5.0mm以上のろ過材に、0.05MP以上の圧力をかけてろ過するように構成されているので、これらの水にクリプトスポリジウムが混入していても、確実にこれを除去することができる。すなわち、粒径1〜50μmの粒子の層の隙間は微小であるので、約5μmの大きさのクリプトスポリジウムは粒子の層を通り抜けられない。これに対して、浄水は0.05MP以上に加圧するので粒子の層の隙間が微小であっても容易に通過することができる。すなわち、大量の水を効率よく処理することができる。そして、ろ過材として粒径が1〜50μmの粒子の層を使用し、このような粒子として、けい砂、ガラス粉、粉砕されたセラミックスの粒子、または金属粉を採用することができるので、ろ過材を安価に入手でき、その結果安全な浄水を安価に得ることができる。さらには、ろ過水や地下水には、懸濁物質がほとんど含まれていないのでろ過閉塞は起こらないし、有機物がほとんど含まれていないので粒子の層には生物膜はほとんど形成されない。従って、長期間ろ過を続けてもろ過の性能は劣化しないという効果が得られる。他の発明によると、ろ過水または地下水に塩素または次亜塩素酸ナトリウムを注入するので、さらに粒子の層には生物膜が形成され難く、ろ過の性能が長期間維持される効果が得られる。また、他の発明によると、水道水を粒径が1〜50μmの粒子からなり、その層厚が5.0mm以上のろ過材に、0.05MP以上の圧力をかけてろ過するように構成されているので、高い安全性が要求されている病院、保育施設等において、配水される水道水を処理すれば、飲用水の安全性を確保することができる。また、濁度の低い水を必要とする実験室、精密機器製造工場等において、水道水を処理するだけで、微細懸濁粒子が除去された低濁度の水を得ることができる。
本発明の実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置を示す側面断面図である。 本発明の他の実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置を示す側面断面図である。
初めに、本実施の形態に係るクリプトスポリジウムの除去装置について説明する。浄水場においては、河川、湖沼、ダム等から取水された原水は所定の処理が施された後に急速ろ過池、緩速ろ過池等のろ過池Rでろ過される。そして、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム、塩素等が注入されて、法令で定められた有効塩素濃度になるように調整される。通常、家庭、工場、学校等には、このようにして浄化された水、すなわち浄水が水道水として配水されている。
本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1は、図1に示されているように、ろ過池Rの下流に設けられ、浄水を処理するようになっている。クリプトスポリジウム除去装置1は、所定の形状の中空の圧力容器2、この圧力容器2内に設けられ浄水をろ過するろ過材3等から構成されている。圧力容器2は、所定の肉厚の鋼板からなり、円筒状の胴部5と、この胴部5の上部に液密的に取り付けられているドーム状を呈するヘッド部6と、同様に胴部5の下部に液密的に取り付けられているドーム状のボトム部7とから構成されている。胴部5の上部の所定の位置には流入管9が設けられ、圧力容器2内に浄水を供給できるようになっている。本実施の形態においては、流入管9の上流部には送水ポンプ11、いわゆる浄水池Jに水没した状態で設置されている水中ポンプ11が接続されている。浄水池Jには、ろ過池Rでろ過された浄水12が貯められているので、送水ポンプ11を駆動すると、所定の水圧に加圧された浄水12が、流入管9を経て圧力容器2に圧送されることになる。流入管9には圧力計13が設けられ、圧力容器2に供給する水圧を監視するようになっている。流入管9は、先端の所定の長さが圧力容器2内に引き込まれ、先端に皿状を呈し噴出方向に拡径している噴出部15が設けられている。この噴出部15は上方に開口している。従って、圧送される浄水12は、水流が速くても噴出部15において減速し、上方に向かって緩やかに流出することになる。このため、圧力容器2内には速い水流は発生しないし、細かい砂からなるろ過材3が水中で舞い上がるようなこともない。圧力容器2のボトム部7には、ろ過された水を外部に送水する流出管16が設けられ、この流出管16は、図1には示されていないが、配水池に接続されている。また、圧力容器2のヘッド部6の頂部には空気抜き弁18が設けられ、フロート19によって、圧力容器2内の浄水の水位の低下が検出されると、自動的に弁が開いて、圧力容器2の上部に溜まった空気が排気されるようになっている。
圧力容器2の底部には、ろ過材3を支持する床、すなわちろ床21が設けられている。ろ床21は、上面が平面状を呈しており、ろ床21の内部には流路が設けられている。そして、上面には内部の流路に連通する小径の孔が多数明けられている。従って、ろ過された浄水が流出管16に集水されることになる。ろ床21の上面の孔の径は、ろ過材3を構成しているろ過砂利よりも小径であるので、流出管16からろ過砂利は流出しない。
本実施の形態によると、ろ過材3は複数の層22〜28からなっいる。ろ過材3の最下層を構成している所定の厚さのろ過砂利層22は、直接ろ床21の上に設けられ、上層のろ過砂を支持する支持層になっている。ろ過砂利層22を構成している砂利は、粒径が2〜4mmである。ろ過砂利層22の上には、複数の層からなる所定の厚さのろ過砂層24、25が設けられている。ろ過砂層24、25は、図1においては2層から構成されているように示されているが、実際には、3層以上の複数の層から構成されている。例えば、下層から上層に向かって、粒径1.0〜1.1mmのろ過砂の層、粒径0.55〜0.65mmのろ過砂の層、粒径0.20〜0.30mmのろ過砂の層のように構成されている。
本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1においては、従来のろ過池においてはろ過閉塞し易く、ろ過材として不適切とされ、使用されていなかった小さな粒径の粒子の層が設けられている。すなわち、第1の細粒層27は、粒径が40〜50μmの粒子の、10mm以上の厚さの層からなり、ろ過砂層24、25の上に設けられれる。あるいは上流側に設けられる。第2の細粒層28は、粒径が1〜50μmの粒子の層からなり、10mm以上の厚さに形成されている。このような小さな粒径の粒子は、比重が1よりも大きく水中で沈むと共に水に対する溶解度が低い物質であればよく、従来周知のけい砂を粉砕して得ることもできるし、ガラスや陶器、磁器等のセラミックスを粉砕して得ることもできる。さらには、チタン、不銹鋼等の金属からなる金属粉を適用することもできる。第1、2の細粒層27、28の粒子は非常に細かいので、これらの粒子が水中で舞い上がらないように、第2の細粒層28の上に所定メッシュの網30が被せられている。
次に、本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1の作用を説明する。河川、湖沼、ダム等から取水された原水を、従来周知のように緩速ろ過法または急速ろ過法で処理して浄水を得る。具体的には、緩速ろ過法の場合、原水を沈砂池に導いてごみや砂を沈殿させ、緩速ろ過池Rにおいてろ過する。ろ過水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液、または塩素を注入して、法令で定められた有効塩素濃度になるように調整する。これにより、浄水12が得られる。急速ろ過法の場合、原水に、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸バンド等の凝集剤を注入して沈殿池に導いて、原水中の懸濁物質を凝集させて沈殿させる。次いで、沈殿池の上澄み水に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、または塩素を注入して急速ろ過池Rに導いてろ過する。ろ過水の有効塩素濃度が法定で定められた濃度より低い場合、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または塩素を注入する。すなわち、浄水12が得られる。浄水12を浄水池Jに送水する。
送水ポンプ11を駆動して、浄水12を流入管9から圧力容器2に供給する。このとき、圧力容器2内の浄水12の水圧が、所定の水圧、例えば0.1MP以上になるように送水ポンプ11を制御する。既に説明したように、浄水12は噴出部15から緩やかに流出する。第1、2の細粒層27、28の粒子の粒径は50μm以下であるので、粒子の間に形成されている隙間は非常に小さい。従って、約5μmの大きさのクリプトスポリジウムは、第1、2の細粒層27、28を通り抜けることはできない。一方、浄水12は所定の水圧に加圧されているので、第1、2の細粒層27、28を通り抜けることができる。すなわち、浄水12中に混入しているクリプトスポリジウムを除去することができる。また、浄水12には所定の有効塩素濃度の塩素が溶存しているので、バクテリアは繁殖しない。従って、第1、2の細粒層27、28には生物膜が形成されないので、長期間連続で運転してもろ過の性能は低下しない。ろ過された浄水12は、ろ過砂層24、25、ろ過砂利層22を通って、ろ床21において集水される。集水された浄水12を、流出管16によって配水池に送水される。あるいは浄水を水道水として直接、家庭、工場、学校等に配水する。
図2によって、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1’は、横型の装置で、浄水を送水する送水管に介装されるラインフイルタ形式の小型のフィルタ装置になっている。第2の実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1’は、前記実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1と同様に、圧力容器2’、この圧力容器2’内に設けられたろ過材3’等から構成されている。圧力容器2’は円筒部と鏡板31、32で密閉された形状になっており、左右の鏡板31、32には、それぞれ流入管9’と流出管16’が設けられている。従って、図2には示されていないが、送水管に流入管9’と流出管16’を接続すると、クリプトスポリジウム除去装置1’を送水管に容易に介装することができる。ろ過材3’は、粒径1〜50μmの粒子の層、すなわち細粒層28’からなり、細粒層28’は多孔質のセラミックス板34、34によって挟まれている。そして、セラミックス板34、34は、多数の貫通孔が明けられた所定の厚さの不銹鋼板35、35によって挟まれ、不銹鋼板33、33は左右の鏡板31、32によって押さえられている。従って、細粒層28’の粒子は圧力容器2’から外部に流出しない。このように構成されている、第2の実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置1’によっても、クリプトスポリジウムを除去することができる。
クリプトスポリジウムの除去の効果を調べるために、次の条件でテストした。
A.実験装置:
(ア) 圧力容器の容量;半径4cm
(イ) ろ過層:以下の第1〜6の層からなるろ過材を、第1の層が最下層に、第6の層が最上層になるように順に設けた。
第1の層:層の厚さ10mm:粒径2〜4mmのけい砂
第2の層:層の厚さ10mm:粒径1〜1.1mmのけい砂
第3の層:層の厚さ10mm:粒径0.55〜0.65mmのけい砂
第4の層:層の厚さ10mm:粒径0.2〜0.3mmのけい砂
第5の層:層の厚さ 5mm:粒径40〜50μmのセラミックス粒子
第6の層:層の厚さ10mm:粒径1〜50μmのセラミックス粒子
なお、セラミックス粒子には、有限会社竹折砿業所の商品セラミックサンドを使用した。第6の層を構成しているセラミックス粒子の粒度分布は、メッシュにより測定したところ、1〜20μmは26%、20〜30μmは19%、30〜40μmは36%、40〜50μmは19%であった。また、クリプトスポリジウムの径は約5μmであるが、粒径が50μm以上の大径のセラミックス粒子が混在すると、クリプトスポリジウムはこれらの大径の粒子間を通り抜ける可能性もあるので、セラミックス粒子の径は50μm以下に決定した。
B 操作:実験用の水槽に水道水を入れ、クリプトスポリジウムの疑似粒子を所定量添加して十分に攪拌した。次いで、水槽の水をポンプにより0.1MPに加圧して圧力容器に圧送し、ろ過した。
なお、クリプトスポリジウムの疑似粒子には、日本光研工業株式会社および財団法人水道技術研究センターの商品「クリプトレーサー」(登録商標)を使用した。
C.結果:
(ア)ろ過された水を調べたところ、クリプトスポリジウムの疑似粒子は発見されなかった。クリプトスポリジウムを完全に除去できることが確認できた。
(イ)このとき、6分間で7,573cm ろ過した。圧力容器の半径は4cmであったので、6分間のろ過速度は7,573cm /3.14×4 cm =150cmで、毎時間当たり、あるいは毎日当たりに換算すると、ろ過速度は次の通りであった。
150cm/6分=15m/h=360m/日
ろ過速度が360m/日であると、小規模浄水装置としては充分すぎるほどであるので、ろ過圧力を実施例1の半分の0.05MPにして、他は実施例1と同じ条件でテストした。
C.結果:
(ア)クリプトスポリジウムの疑似粒子は発見されなかった。
(イ)毎時間当たり、あるいは毎日当たりのろ過速度は次の通りであった。
70cm/6分=7m/h=168m/日
(ウ)この程度の水圧で小規模浄水装置には実施できると思われる。
ろ過層の厚さを20mmに変更し、他は実施例1と同じ条件でテストした。
C 結果:
(ア)クリプトスポリジウムの疑似粒子は発見されなかった。
(イ)毎時間当たり、あるいは毎日当たりのろ過速度は次の通りであった。
60cm/6分=6m/h=144m/日
(ウ)ろ過層の層厚が2倍になったので、ろ過速度は半分に減速した。
圧力容器内の水圧を0.2MPし、他は実施例3と同じ条件でテストした。
C 結果:
(ア)クリプトスポリジウムの疑似粒子は発見されなかった。
(イ)毎時間当たり、あるいは毎日当たりのろ過速度は次の通りであった。
107cm/6分=10.7m/h=257m/日
(ウ)水圧が2倍になると、ろ過速度も約2倍になることが分かった。
ろ過層の厚さを、実施例1の半分の5mmにして、圧力は実施例2と同じ0.05MPで他は同じ条件でテストした。
C 結果:
(ア)ろ過水中にはクリプトスポリジウムの疑似粒子は発見されなかった。
(イ)毎時間当たり、あるいは毎日当たりのろ過速度は次の通りであった。
160cm/6分=16m/h=384m/日
(ウ)ろ過層が5mmのように薄かったので、圧力は0.05MPのように低かったが、ろ過速度は大きかった。
上記実施例1〜5から次のようなことが推論できる、あるいは判明した。
(ア)ろ過層は、粒径が1〜50μmのセラミックス粒子からなる第6層のみでクリプトスポリジウムを捕捉できる。セラミックス粒子に代えて、ケイ砂の細かい砂よっても同様な効果が得られる。
(イ)ろ過層の厚さは、5mm以下でもクリプトスポリジウムを除去できる、という初期の目的は達成されると思われるが、安全を見込んで、層厚は5mm以上が望ましい。
(ウ)圧力容器に加える圧力は、コストの面を考慮すると低い方が望ましいが、ろ過層が5mmのときでも、処理能力を考えると、0.05PMP以上が望ましい。
本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置は、色々な変形が可能である。例えば、クリプトスポリジウム除去装置で処理されるのは、ろ過池でろ過され、所定の有効塩素濃度の塩素が溶存している浄水であるように説明されているが、汲み上げられた地下水を処理してもよい。地下水には有機物がほとんど含まれていない。従って、地下水に塩素を注入しないでクリプトスポリジウム除去装置で処理しても、第1、2の細粒層27、28に生物膜はほとんど形成されない。つまり、クリプトスポリジウム除去装置は性能が劣化することなく、長期間運転することができる。
本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置の流入管には、送水ポンプが設けられている旨説明されているが、圧力容器内に所定の水圧の浄水が供給されるのであれば送水ポンプは無くてもよい。例えば、浄水池と圧力容器の高低差が5mあれば、浄水池から送水される浄水の水圧は0.05MPになるので、送水ポンプは格別に必要としない。
ろ過材についても変形が可能であり、第1、2の細粒層、ろ過砂層、ろ過砂利層の厚さは任意の厚さに設けることができるし、ろ過砂層、ろ過砂利層を構成する砂の粒径も上記実施例に限定されず、他の粒径の砂を採用することができる。さらには、第1、2の細粒層の上に網が設けられているように説明されているが、砂が水中に舞い上がる恐れが無ければ網を設ける必要はない。
本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置は、配水されている水道水に適用すれば微細濁質粒子を除去して低濁度水を得る製造装置としても利用できる。すなわち、工場、病院、家庭等に配水されている水道の配管の一部を本実施の形態に係るクリプトスポリジウム除去装置に接続すると、クリプトスポリジウムだけでなく、微細な濁質粒子も除去することができる。従って、病院、保育施設等においては、安全性の高い飲料水を提供でき、低濁度の水を必要とする工場、研究室等においては、微細懸濁粒子が除去された低濁度の水を提供することができる。
1 クリプトスポリジウム除去装置
2 圧力容器 3 ろ過材
9 流入管 11 送水ポンプ
12 浄水 16 流出管
21 ろ床 22 ろ過砂利層
27 第1の細粒層 28 第2の細粒層

Claims (8)

  1. 緩速ろ過池または急速ろ過池でろ過されたろ過水、地下水等の浄水を、粒径が1〜50μmの粒子からなり、その層厚が5.0mm以上のろ過材に、0.05MP以上の圧力をかけてろ過することを特徴とする、クリプトスポリジウムの除去方法。
  2. 請求項1に記載の除去方法において、前記浄水に塩素または次亜塩素酸ナトリウムを注入してから、ろ過することを特徴とする、クリプトスポリジウムの除去方法。
  3. 水道水を、粒径が1〜50μmの粒子からなり、その層厚が5.0mm以上のろ過材に、0.05MP以上の圧力をかけてろ過することを特徴とする、クリプトスポリジウムまたは微細懸濁粒子の除去方法。
  4. 緩速ろ過池または急速ろ過池でろ過されたろ過水、地下水等の浄水を処理する装置であって、
    該装置は前記浄水が供給され、そしてろ過されて排出されるようになっている圧力容器と、該圧力容器内に設けられているろ過材とからなり、
    前記ろ過材は、粒径が1〜50μmの粒子の層から、その層厚が5.0mm以上になるように設けられていると共に、前記浄水は0.05MP以上の圧力で前記ろ過材によりろ過されるようになっていることを特徴とする、クリプトスポリジウムの除去装置。
  5. 請求項4に記載の装置において、前記浄水はポンプにより0.05MP以上の圧力に加圧されて前記圧力容器内に供給されるようになっていることを特徴とする、クリプトスポリジウムの除去装置。
  6. 請求項4または5に記載の装置において、前記粒子は、けい砂、ガラス粉、粉砕されたセラミックスの粒子、または金属粉からなることを特徴とする、クリプトスポリジウムの除去装置。
  7. 請求項4〜6のいずれかの項に記載の装置において、前記圧力容器の上流側には塩素または次亜塩素酸を注入する注入装置が設けられ、前記浄水は前記注入装置から注入される塩素または次亜塩素酸によって、所定の有効塩素濃度に調整されて前記圧力容器に供給されるようになっていることを特徴とする、クリプトスポリジウムの除去装置。
  8. 水道水を処理して、クリプトスポリジウムまたは微細懸濁粒子を除去して低濁度水を得る装置であって、
    該装置は前記水道水が供給され、そしてろ過されて排出されるようになっている圧力容器と、該圧力容器内に設けられているろ過材とからなり、
    前記ろ過材は、粒径が1〜50μmの粒子の層から、その層厚が5.0mm以上になるように設けられていると共に、前記水道水は0.05MP以上の圧力で前記ろ過材によりろ過されるようになっていることを特徴とする、クリプトスポリジウムまたは微細懸濁粒子の除去装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014087789A (ja) * 2012-10-10 2014-05-15 IFP Energies Nouvelles 重質閉塞性仕込原料処理用の気体および液体の下降並流を有する固定床反応器に供給するためのろ過分配プレート
CN104436842A (zh) * 2014-12-03 2015-03-25 中国农业科学院农田灌溉研究所 砂石筛网一体式反清洗过滤装置

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