JP2010207572A - 障害のコンピュータ支援検出 - Google Patents

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Abstract

【課題】障害、異常及び他の重要な解剖学的構造のコンピュータ支援検出。
【解決手段】三次元デジタルの医療用画像におけるポイントを特徴付けるコンピュータで実現される方法において、画像内の一又は複数のポイントにおける画像の三次導関数を決定する(100)ことを備えている。一又は複数のポイントの夫々で、該ポイントにおける局部の幾何学的構造を特徴付ける一又は複数の不変量特徴又は半不変量特徴が、三次導関数を用いて決定される(102)。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用の画像化及び分析に関する。特には、本発明は、医療用画像内の障害、異常又は他の解剖学的構造を検出する方法及び装置に関する。
医療用の画像化は、診断及び患者の治療が改善される鍵として一般的に認識されている。医療用の画像化は、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、核磁気共鳴映像法(MRI) 及び陽電子放射断層撮影法(PET) のような画像診断法により最近数年間に亘って爆発的に発展してきた。従来、医療用画像は、障害のような重要な解剖学的構造を識別するために、高度に訓練された医師によって視覚的に検査されてきた。しかしながら、このような処理は、単調で退屈であり、時間がかかり、十分注意して行なわれる必要がある。
コンピュータ断層撮影コロノグラフィ(CTC) は、結腸癌の検出及び検査のために用いられる医療用画像化の形態である。CTC の目的は、CTスキャンを計算的に処理することにより結腸の壁におけるポリープを発見して識別することにある。ポリープは、粘膜における成長異常であり、良性であるかもしれず、又は悪性(癌性)であるかもしれない。CTC の有効性は、CTC スキャンによって生成される大量のデータ、人間である専門家間のばらつき及び分類の複雑さによって妨げられている。典型的な最新のCTC スキャンでは、一組の仰臥データ及び腹臥データのために約千の軸方向のCT画像(スライス)が生成される。これらの問題に取り組むために、CTC を用いてポリープを検出するためのコンピュータ支援検出(CAD) 機構が数多く提案されている。
エイチ.ヨシダ(H. Yoshida)、ワイ.マスタニ(Y. Masutani )、ピー.マセニアニー(P. Maceneaney )、ディー.ティー.ルービン(D. T. Rubin )及びエー.エイチ.ダッチマン(A. H. Dachman )著、容積特徴に基づくコロノグラフィにおける結腸ポリープのコンピュータ化された検出:試験的研究(Computerized detection of colonic polyps at ct colonography on the basis of volumetric features: Pilot study)、放射線医学、222(2):327‐336頁、2002年
既存のCAD アルゴリズムは、ポリープの形状によって曲率を直接的又は間接的に評価することによりポリープを検出し、曲率に基づいて特徴を定義して、検出及び分類段階で特徴を用いる。例えば、ヨシダ(Yoshida )等[1,2] は、ポリープを正常な結腸組織と区別すべく、従来の結腸の壁のラベル分割から形状指数、湾曲、濃度勾配及び濃度勾配の方向を含む幾つかの特徴を示している。しかしながら、ヨシダ(Yoshida )等の方法は、ポリープを結腸の壁と適切に区別していない場合がある。
従って、医療用画像における障害、異常又は他の解剖学的構造のコンピュータ支援検出方法の改善が必要である。ポリープを周囲の組織と更に確実に区別することが可能であり、特にコンピュータ断層撮影コロノグラフィに用いるためのポリープを検出して分類する自動化システムの改善が、特に必要である。
本発明の好ましい目的は、医療用画像における障害、異常及び他の解剖学的構造のコンピュータ支援検出のための公知の方法の欠点を克服又は軽減することである。
本発明の第1態様は、三次元デジタルの医療用画像におけるポイントを特徴付けるコンピュータで実現される方法において、前記画像内の一又は複数のポイントでの前記画像の三次導関数を決定するステップ、及び前記一又は複数のポイントの夫々で、該ポイントにおける局部の幾何学的構造を、前記三次導関数を用いて特徴付ける一又は複数の不変量の特徴を決定するステップを備えることを特徴とする方法を提供することである。
三次分析を行うことにより、障害、異常及び他の解剖学的構造の検出が更に確実に行われ得る。これは、三次分析により、障害又は異常における曲率の非常に軽微な変化が取り込まれて量子化され得るためである。
不変量の特徴は、医療用画像内の(ポリープのような)障害を(正常な組織、空気及びタギング流体(tagging fluid )のような)他の特徴から区別するために非常に効果的である。これは、障害のコンピュータ支援検出に特に有用である。更に、同様に障害の効果的な検出を達成するためには、(形状指数及び曲率のような)はるかに多くの従来の示性数が必要とされるのに対し、障害の効果的なコンピュータ支援検出は、ここに開示された6つの不変量の特徴のみを用いて達成され得る。これは、障害のコンピュータ支援検出に必要な時間及び演算資源を低減するために役立つ。
CTコロノグラフィの観点では、不変量の特徴は、ポリープを結腸の壁又は膨起した襞と区別するために特に有用である。CTスキャンによって生成された三次元の容積データでは、襞が細長く隆起した構造として現われ、結腸の壁がほとんど平坦な凸面構造として現われるのに対し、ポリープは結腸の壁に付着した凹状の成分として現われる。従って、不変量の特徴は、ボクセルにおける等表面の曲率の局所的な変化を取り込み、ポリープ、襞及び結腸の壁を効果的に区別することが可能である。
ここで用いられている「ポイント」という用語は、「ボクセル」という用語と同義であると理解されることが好ましい。「画像の導関数」という用語は、画像内の強度値の空間導関数(すなわち、特定方向に関する導関数)を参照していると理解されることが好ましい。不変量の特徴は、該当するポイントにおける局所的な曲率の変化を特徴付けることが好ましい。
本方法は、画像の導関数を用いて共変微分を計算するステップを更に備えることが好ましい。不変量の特徴は、共変微分を用いて決定されることが好ましい。
本発明の更なる態様は、三次元デジタルの医療用画像におけるポイントを特徴付けるコンピュータで実現される方法において、前記画像内の一又は複数のポイントでの前記画像の三次導関数を決定するステップ、及び前記一又は複数のポイントの夫々で、該ポイントにおける局部の幾何学的構造を、前記三次導関数を用いて特徴付ける一又は複数の半不変量の特徴を決定するステップを備えることを特徴とする方法を提供することである。
半不変量の特徴は、不変量の特徴と同一の利点を備えている。半不変量の特徴の更なる利点は、半不変量の特徴の計算が、不変量の特徴の計算より速く容易であるということである。半不変量の特徴は、該当するポイントにおける局所的な曲率の変化を特徴付けることが好ましい。半不変量の特徴は、デカルト座標における画像の導関数を用いて決定されることが好ましい。
局部の幾何学的構造は、陰の等表面を用いて決定されることが好ましい。陰の等表面を用いた三次導関数及び不変量/半不変量特徴の計算は、表面のための解析的式を決定して三次導関数及び不変量/半不変量特徴を計算するより計算が少なくてすむ。
不変量の特徴又は半不変量の特徴は、画像の一次導関数、二次導関数及び三次導関数を用いて計算されることが好ましい。
いずれの方法も、画像内の解剖学的構造を識別するためにこれらの特徴を用いるステップを更に備えることが好ましい。いずれの方法も、画像内の障害を識別するために、不変量特徴又は半不変量特徴を用いるステップを更に備えることが好ましい。不変量特徴又は半不変量特徴は、画像内の障害を識別するとき、偽陽性を低減するために用いられることが好ましい。医療用画像は、臓器の少なくとも一部の画像を備えることが好ましい。いずれの方法も、画像を前処理するステップを更に備えることが好ましい。いずれの方法も、ノイズを低減するために画像を前処理するステップを更に備えることが好ましい。いずれの方法も、画像を複数のラベルに区分するために特徴を用いるステップを更に備えることが好ましい。いずれの方法も、画像を一又は複数の別の画像と並べるための空間変換を導き出すために特徴を用いるステップを更に備えることが好ましく、いずれの方法も、画像を一又は複数の別の画像と並べるために空間変換を画像に適用するステップを更に備えることが更に好ましい。医療用画像は、CT画像、MR画像、PET 画像又は超音波画像であることが好ましい。
本発明の更なる態様は、適切なコンピュータによって実行されるとき、ここに述べられた方法を前記コンピュータに実行させる指示を備えるコンピュータで読取り可能な媒体を提供する。本発明の更なる様態は、適切なプロセッサによって実行されるとき、ここに述べられた方法を行なうためのプログラムコードを備えるコンピュータプログラムを提供する。本発明の更なる態様は、ここに述べられたコンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品を提供する。
本発明の更なる態様は、前記方法のいずれかを行なうべく備えられた装置を提供する。該装置は、前記画像内の一又は複数のポイントでの前記画像の三次導関数を決定する手段、及び、前記一又は複数のポイントの夫々で、該ポイントにおける局部の幾何学的構造を、前記三次導関数を用いて特徴付ける一又は複数の不変量の特徴(或いは一又は複数の半不変量の特徴)を決定する手段を備えてもよい。
本発明の好ましい特徴を、添付図面を参照して単に一例として説明する。
本発明に係る医療用画像を処理する方法を示す概略図である。 結腸の壁に付着したポリープの処理済医療用画像及び未処理の医療用画像を示す図である。 結腸の壁に付着したポリープの処理済医療用画像及び未処理の医療用画像を示す図である。 浸漬されたポリープの処理済医療用画像及び未処理の医療用画像を示す図である。 浸漬されたポリープの処理済医療用画像及び未処理の医療用画像を示す図である。 襞に付着したポリープの処理済医療用画像及び未処理の医療用画像を示す図である。 襞に付着したポリープの処理済医療用画像及び未処理の医療用画像を示す図である。 医療用画像装置と、医療用画像装置からの画像データを処理するための遠隔コンピュータとを示す概略図である。 図5に示された遠隔コンピュータを更に詳細に示す図である。
本発明の理解に役立てるために、本発明の基礎的な理論をまず説明する。その後、医療用画像における障害、異常又は他の解剖学的構造の検出及び分類へのこの理論の実際の適用を説明する。
本発明の理論
表面S を正規のパラメータ表示S(u,v)で検討する。表面の距離関数が、以下の式(1) に示す第1基本形式の成分と等しい係数を有する対称共変の2階テンソルである。
E=g11=Su・Su
F=g12=g21=Su・Sv
G=g22=Sv・Sv (1)
計量テンソルの逆数は、ggαji jによって定義される係数gij を有する反変2階テンソルであり、ここでは、δi jは、クロネッカーデルタシンボルであり、i=j である場合は1であり、そうでない場合は0である。マトリックス[gij]=[gij]-1 として明瞭であり、従って、以下の式(2) が明瞭である。
以下の式(3) に示す第2基本形式の成分と等しい係数を有する対称共変の2階テンソルをB とする。
b11=L=Suu・N=−Su・Nu
b12=b21=M=Suv・N=−Su・Nv=−Sv・Nu
b22=N=Svv・N=−Sv・Nv (3)
以下の式(4) に示す単位法線ベクトル場は、マップM →S2、いわゆるガウスマップとみなされ得る。
接平面TpM 及びTN(p)S2 は三次元空間R3における平行面であり、従って、ガウスマップの微分がTpM のそれ自体への線形マップである。双一次形式B は、B(v,w)=−dN(v)・wと表記され得る。この表記における平均及びガウス曲率は、H=1/2tr(−dN) 及びK=det(−dN) により与えられる。2つの基本的な二次不変量H 及びK は、以下の式(5) 及び(6) に示す第1及び第2基本形式の成分における有理式である。
主曲率κ1 及びκ2 は、以下の式(8),(10)に示す解を有する以下の式(7) の二次方程式を解くことにより計算され得る。
ポリープの検出のための既存の技術では、ヨシダ(Yoshida )等[1,2] は、ポリープの隆起した球状領域を検出するために用いられる形状指数SI及び湾曲CVと呼ばれる以下の式(11)及び(12)の2つの形状記述子を定義している。
本発明者は、三次導関数の利用に基づく方法が、CTC スキャンでポリープ候補を分割し、検出して分類するために十分利用可能であることを発見した。本発明者は、容積データのみを用いて、しかも容積データから等表面を明示的に生成することなく、三次導関数に基づく式を公式化する新規な方法を更に考案した。本発明者は、グラヴェセン(Gravesen)及びアングストラップ(Ungstrup)[7] によって提案された基本的な不変測度のための強度に基づく唯一の式を更に導き出した。
三次不変量の式を得るために、共変微分が用いられる。第1基本形式の共変微分は零になり、従って、三次不変量は、第1及び第2基本形式と共に第2基本形式の共変微分から代数的に構成される。共変微分∇B は、コダッチ(Codazzi )の式[3,4] により与えられる係数bij,k を有する対称共変の3階テンソルである。
b11,1=P=Lu+2Suu・Nu=Suuu・N+3Suu・Nu (13)
b11,2=Q=Lv+2Suv・Nu=Suuv・N+Suu・Nv+2Suv・Nu
=b12,1=b21,1=Mu+Suu・Nv+Suv・Nu (14)
b22,1=S=Nu+2Suv・Nv=Suvv・N+Svv・Nu+2Suv・Nv
=b12,2=b21,2=Mv+Svv・Nu+Suv・Nv (15)
b22,2=T=Nv+2Svv・Nv=Svvv・N+3Svv・Nv (16)
6つの三次不変量は、以下の式(18)乃至(23)を用いて任意のパラメータ表示で直接計算され得る。
Θ1=gggbij,kbαβ,γ (18)
Θ2=gijgαβgbij,kbαβ,γ (19)
Θ3=gggklgδγbbij,kbαβ,γ (20)
Θ4=gijgαβgklgδγbbij,kbαβ,γ (21)
Θ5=gilgαδgjmgβζgbbbij,kbαβ,γ (22)
Θ6=gilgαδgjmgβζgkngγηbbbbij,kbαβ,γ (23)
主方向で計算された6つの三次不変量は、以下の式(24)乃至(29)を導く。
Θ1=P2+3Q2+3S2+T2 (24)
Θ2=(P+S)2+(Q+T)2 (25)
Θ31(P2+2Q2+S2)+κ2(Q2+2S2+T2) (26)
Θ41(P+S)22(Q+T)2 (27)
Θ51 2(P2+Q2)+2κ1κ2(Q2+S2)+κ2 2(S2+T2) (28)
Θ61 3P2+3κ1 2κ2Q2+3κ1κ2 2S22 3T2 (29)
厳密に言えば、式(24)乃至(29)が不変量の特徴を計算するために用いられる場合、P,Q,S,T が主方向(つまり、表面の曲率が最大又は最小である法平面の方向)に計算される必要がある。しかしながら、そのためには計算に費用がかかる。本発明者は、計算が更に容易で速いデカルト座標の方向を用いてP,Q,S,T が計算された場合であっても、式(24)乃至(29)が同様の結果を与えることを発見した。この単純化により、速く実際的な半不変量の特徴が得られる。
表面の三次導関数の計算
f(x,y,z)を、滑らかな三次元画像の夫々のポイントにおける強度とみなす。すなわち、画像が、空間導関数が定義されていない不連続なポイントを有していないという意味で、その画像は「滑らか」である。画像は、公知のガウスフィルタアルゴリズムのようなフィルタアルゴリズムで画像を処理することにより平滑化され得る。陰の等強度表面のための式は以下の式(31)である。
f(x,y,z)=I (31)
ここでは、I は固定された同値である。陰関数定理を用いると、(x=u,y=v,z=o(u,v),f(u,v,o(u,v))=I のような関数o が局所的に存在する。
u に対して式(31)の導関数を求めると以下の式(32)乃至(34)が与えられる。
同様に、以下の式(35)が与えられる。
第1基本形式は、三次元ユークリッド空間における表面の接空間の内積であり、係数E,F,G で表示可能であり、係数E,F,G は、表面S(u,v)=[uv,o(u,v)]Tから以下の式(36)乃至(38)として定義される。
表面の法線N が、以下の式(39)として与えられる。
第2基本形式は、三次元ユークリッド空間における滑らかな曲面の接平面上の二次形式であり、係数L,M,N で表示可能である。第2基本形式は、第1基本形式と共に、表面の外在的な不変量、表面の主曲率を定義する役目を果たす。
第2基本形式の係数を決定するために、u 及びv に関するfx,fy,fzの導関数を導き出すことが有用である。例えば、我々は、以下の式(40)を導き出し得る。
同様に、以下の式(41)乃至(45)を導き出し得る。
u 及びv に関する表面S の二次導関数は、以下の式(46)乃至(48)で与えられる。
式(46)乃至(48)は、以下の式(49)及び(54)を用いて導き出され得る。
得られたこれらの導関数を用いて、第2基本形式の係数が以下の式(55)乃至(57)として記述され得る。
この段階では、主曲率、形状指数及び湾曲は、式(8),(10),(11),(12)から夫々計算され得る。
次に、P,Q,S 及びT のための式が、主曲率κ1 及びκ2 と組み合わせて導かれて、式(18)乃至(23)で定義された三次不変量の式に用いられる。
この作業のために、以下の式(58)の三次式を導くことが有用である。
同様に、以下の式(60)乃至(70)の三次式を導くことが有用である。
u 及びv の関数として表面S(u,v)の三次導関数が、この画像の導関数として以下の式(71)で表現され得る。
同様に、以下の式(72)乃至(74)で表現され得る。
u 及びv に関する表面の法線N の導関数は、以下の式(75)乃至(79)から導かれる。
不変測度の計算
既に計算された導関数を用いて、対称共変の3階テンソルの係数が以下の式(80)乃至(83)で計算される。
P=Suuu・N+3Suu・Nu (80)
Q=Suuv・N+Suu・Nv+2Suv・Nu (81)
S=Suvv・N+Svv・Nu+2Suv・Nv (82)
T=Svvv・N+3Svv・Nv (83)
最後に、次の三次微分不変量Θ1乃至Θ6が、以下の式(84)の画像濃度の関数として計算される。
Θ1=gggbij,kbαβ,γ
Θ2=gijgαβgbij,kbαβ,γ
Θ3=gggklgδγbbij,kbαβ,γ
Θ4=gijgαβgklgδγbbij,kbαβ,γ
Θ5=gilgαδgjmgβζgbbbij,kbαβ,γ
Θ6=gilgαδgjmgβζgkngγηbbbbij,kbαβ,γ
(84)
又は、以下の式(85)を用いて計算される。
Θ1=P2+3Q2+3S2+T2
Θ2=(P+S)2+(Q+T)2
Θ31(P2+2Q2+S2)+κ2(Q2+2S2+T2)
Θ41(P+S)22(Q+T)2
Θ51 2(P2+Q2)+2κ1κ2(Q2+S2)+κ2 2(S2+T2)
Θ61 3P2+3κ1 2κ2Q2+3κ1κ2 2S22 3T2 (85)
理論の実際の適用
図1は、三次元の医療用画像を処理する方法を示す。本方法は、障害を周囲の組織と区別することにより、(結腸のポリープ、肺小結節、肝臓障害、乳腺腫瑠又は脳障害を含む)障害を検出するために用いられ得る。本方法は、簡単に言えば、医療用画像における等強度表面の幾何学的構造(及び、特には曲率の変化)を特徴付けるために、三次元の医療用画像における強度値の三次導関数を用いることにより機能する。障害及び他の異常が周囲の正常な組織とは異なる曲率を有するので、障害は、ここに開示された三次不変測度及び半不変測度によって曲率の軽微な変化を調べることにより自動的に検出され得る。
本方法では、三次元の医療用画像データが入力される。三次元の医療用画像データは、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって生成され得るか、核磁気共鳴映像(MRI) スキャン、陽電子放射断層撮影(PET) スキャン又は超音波スキャンから生成され得るか、或いはX線画像から生成され得る。他の適切な医療用画像化方法も用いられ得ることは十分理解される。
例えば、医療用画像データがCTスキャンによって生成されるとき、三次元の医療用画像データは、人間又は動物の患者の一領域のCTスキャンから得られた一連のCT画像スライスを含む。各スライスは、スキャンされた領域のX線吸収の二次元デジタルグレースケール画像である。スライスの特性は、用いられるCTスキャナによって決まる。例えば、高解像度のマルチスライス型CTスキャナは、x方向及びy方向(つまり、スライスの面)に0.5 乃至1.0 mm/画素の解像度で画像を生成してもよい。各画素は16ビットのグレースケールで表示されてもよい。各画素の強度値はハウンスフィールド単位(HU)で表現されてもよい。連続するスライスは、z方向(つまり走査分離軸)に沿った一定の距離、例えば、0.5 乃至2.5 mm間の距離によって分離されてもよい。従って、複数のスライスによって形成されたスキャン画像は、スキャンされた領域及びスライスの数によって決まる全体サイズを有する三次元(3D)グレースケール画像であってもよい。従って、各画素は、三次元空間におけるボクセル(又は容積画素)であるとみなされてもよい。
図1に示された方法の第1ステップ100 では、画像の三次導関数が決定される。本発明者の好ましい画像の三次導関数の計算方法は、ガウス核の導関数で画像の畳み込み演算を行うことであり、その結果が、一次導関数(fx,fy,fz)、二次導関数(fxx,fxy,fxz,fyy 等)及び三次導関数(fxyz,fxyy,fzzz,fyxz 等)になる。このように画像の導関数を計算する利点は、ガウス核の導関数で画像の畳み込み演算を行うことにより画像が本質的に平滑化されることであり、従って、導関数を計算する前に画像を平滑化する必要性が省かれ、従って、計算が少なくてすむ。
説明のため、画像強度関数I は、基礎的な連続データをサンプリングすることにより得られた一組の離散的なノイズデータである。微分がノイズを増幅するので、導関数を計算する前に強度関数を平滑化することが通常必要であり、このような平滑化は、ガウス核で画像強度関数I の畳み込み演算を行うことにより一般的に行われている。しかしながら、畳み込み及び微分が両方とも線形操作であるので、画像を平滑化し、平滑化した画像を微分する代わりに、(ガウス核自体で画像の畳み込み演算を行うのではなく)平滑化するガウス核の導関数で画像の畳み込み演算を行うことが更に便利である。この技術は、参考文献[5],[6] に述べられている。離散的なガウス核及びその導関数は、それらの連続的なガウス核及びその導関数から直接それらをサンプリングすることにより計算され得る。画像データの偏導関数が近似のガウス核及びその導関数での畳み込み演算によって計算されると、不変/半不変測度が、以下に述べられるように容易に計算され得る。
或いは、画像の導関数は、公知の数値微分法によって計算され得る。例えば、中心差分法が、重要なボクセルに隣接するボクセルの強度値に基づき、画像の導関数を計算するために用いられ得る。画像の導関数が数値微分法によって計算される場合、ノイズをフィルタするため、及び/又は画像を平滑化するために画像を前処理する必要があるかもしれない。
医療用画像又は医療用画像データを受け付けるステップの後に、ステップ100 が行われてもよい。医療用画像は、医療用スキャナ、別のコンピュータ又は記憶媒体から受け付けられてもよい。
医療用画像データを前処理するステップの後に、ステップ100 が行われてもよい。例えば、医療用画像データが、画像のノイズを減らすために前処理されてもよく、公知の異方性拡散アルゴリズムがこの目的に適切である。しかしながら、導関数が、上述されたガウス核の導関数で画像の畳み込み演算を行うことにより計算される場合、有利なことにノイズを減らすための前処理が不必要な場合がある。行われてもよい前処理の別の例として、公知の「電子腸洗浄」(electronic bowel cleansing)アルゴリズムが、画像におけるタギング流体(tagging fluid )の出現を除去又は低減するために用いられてもよい。タギング流体は、X線を吸収するために、CTスキャンの前に結腸に置かれる薬剤である。
本方法の第2ステップ102 では、三次導関数が不変量又は半不変量の特徴を計算するために用いられる。すなわち、ステップ100 で計算された導関数が、Θ1乃至Θn(ここではn は1以上である)の値を計算するために用いられる。不変量又は半不変量の特徴Θ1乃至Θnは、ステップ100 で等強度表面の導関数が計算されたポイントで局部の幾何学的構造を特徴付ける。
導関数(従って、P,Q,S,T の値)が主方向で計算されるとき、その結果の値Θ1乃至Θnが「不変量」、「不変測度」又は「不変量の特徴」としてここに交換可能に言及される。これらの値は「不変量」であると言われる。なぜなら、これらの値が表面のパラメータ表示に関して不変量であり、すなわち、不変量は、等強度表面S を定義するために用いられるパラメータにかかわらず同値を有するからである。
他方、導関数(従って、P,Q,S,T の値)がデカルト座標の方向を用いて計算されるとき、その結果の値Θ1乃至Θnが「半不変量」、「半不変測度」又は「半不変量の特徴」としてここに交換可能に言及される。これらの値は半不変量であると言われる。なぜなら、これらの値が不変量の特徴の優れた近似を与えるからであり、更に厳密に言うと、これらの値は、主方向で計算された導関数に基づいていないので、「不変量」ではない。本発明者は、所与のポイントのために計算された不変量の特徴が、そのポイントのために計算された半不変量の特徴と同様の値を一般的に有しているが、半不変量の特徴の計算が更に容易で速いことを発見した。従って、医療用画像データの処理に必要な時間及び演算資源が、不変量の特徴に優先して半不変量の特徴を計算することにより削減され得る。
ステップ102 では、値Θ1乃至Θ6が、式(85)と、ステップ100 で計算された画像の導関数の値とを用いて計算される。式(85)を解くために、以下の計算が任意の適切な順番で行われる。Suuu、Svvv、Suuv、Suvvの値が、式(71),(72),(73),(74) を夫々用いて計算されて、Suuu・N、Suu・Nuの値が、式(78),(79) を夫々用いて計算されて、P,Q,S,T の値が、既に計算されたSuuu、Svvv、Suuv、Suvv、Suuu・N,Suu・Nuの値を用いて式(80),(81),(82),(83) から夫々計算されて、E,F,G の値が式(36)乃至(38)から夫々計算されて、L,M,N の値が式(55)乃至(57)から夫々計算されて、H,K の値が、E,F,G,L,M,N の既に計算された値を用いて、式(5),(6) から夫々計算されて、主曲率、κ1 、κ2 が、H,K の既に計算された値を用いて、式(8),(10) から計算されて、最後に、Θ1乃至Θ6の値が、既に計算されたP,Q,S,T,κ12 の値を用いて式(85)から計算される。
三次元画像における等強度表面に関連した三次導関数及び不変量の特徴が、表面を明示的に抽出することなく、(つまり、等強度表面のための解析的式を計算することなく)計算されることが上記の説明から理解され得る。従って、導関数が等表面の陰の表示に基づいていると言える。等強度表面を明示的に抽出する必要性を回避することにより、導関数の計算に必要な計算量が低減され得る。
等強度表面が、同値を有する三次元医療用画像におけるポイント(又はボクセル)の軌跡であることを、当業者は理解する。例えば、医療用画像がX線画像化によって生成される場合、等強度表面は、X線吸収の同一レベルを有するボクセルの軌跡である。従って、等強度表面の形状が、医療用画像を生成するためにスキャンされた組織の形状を反映する。
三次導関数及び不変/半不変測度は、三次元画像内の全てのポイントで計算可能であり、又は、特に重要なあるポイントでのみ計算可能である。例えば、結腸のCTスライスでは、三次導関数及び不変/半不変測度は、ポリープが生じる可能性が高い結腸の壁の近傍におけるボクセルでのみ計算されてもよく、このため、ポリープが生じる可能性が低い画像の残りの部分全体に亘る不必要な計算を回避することが可能である。
三次導関数及び三次不変量(又は半不変量)の特徴を用いて医療用画像を分析する利点は、図2乃至4に示されている。
図2(a) は、結腸の壁に付着したポリープのグレースケールCTスライスを示す。図2(a) の解釈に役立てるために、図2(j) に、結腸内の結腸の壁、ポリープ、正常な組織及び空気の位置を示す図2(a) の線画図を示す。図2(d) 乃至2(i) は、三次不変測度Θ1乃至Θ6のためのマップを夫々示す。図2(d) 乃至2(i) に示されるマップは、夫々、図2(a) に示されたCTスライスのボクセルの夫々の三次不変測度を計算することにより生成される。図2(d) 乃至2(i) から、三次不変測度がポリープと結腸の壁とを明確に区別していることが理解され得る。特に、ポリープが、図2(d) 乃至2(g) 及び図2(i) の中心にあるライトスポット、及び図2(h) の中心にあるダークスポットとしてどのように見えるか注目すべきである。全ての場合において、三次不変測度が、ポリープと周囲の組織との良好な対照を与えており、従って、ポリープが更に容易に検出され得る。対照的に、図2(b) 及び2(c) は、公知の方法によって作成された形状指数マップと湾曲マップとを夫々示す。図2(b) 及び2(c) から、形状指数及び湾曲が良好な検出を提供しておらず、つまり、ポリープを結腸の壁と明確に区別しておらず、その結果、偽陽性を生成するか、又は真陽性を見落とす危険性が生じることが理解され得る。従って、三次不変測度及び三次半不変測度は、ポリープ、障害及び他の重要な解剖学的構造を検出する改善された方法を提供する。更なる利点は、ここに開示された6つの三次不変測度及び三次半不変測度が、ポリープ、障害及び他の解剖学的構造の検出に解剖学的構造を定量化するためのはるかに多数の公知の測度と同様に(より効果的とは言えないまでも)効果的であり得ることである。従って、三次不変量及び三次半不変量は、ポリープ、障害及び他の解剖学的構造を検出するために必要とされる時間及び演算資源を低減することが可能である。
図3(a) は、浸漬されたポリープのグレースケールCTスライスを示す。図3(a) の解釈に役立てるために、図3(j) に、結腸内のポリープ、タギング流体、正常な組織及び空気の位置を示す図3(a) の線画図を示す。浸漬されたポリープはタギング流体により覆われているポリープである。ポリープ及びタギング流体の両方がCTスキャンにおいて同様の強度を有するので、タギング流体によるポリープの浸漬によりポリープの検出が困難になり、この問題は、ポリープがタギング流体と区別不可能な図3(a) に示されている。図3(d) 乃至3(i) は、図2(d) 乃至2(i) に対応する方法で生成された三次不変測度Θ1乃至Θ6のためのマップを夫々示す。図3(d) 乃至3(i) から、三次不変測度がポリープと結腸の壁とを明確に区別していることが理解され得る。ポリープが、図3(d) 及び3(e) の中心にあるライトスポット、及び図3(f) 乃至3(i) の中心にあるダークスポットとしてどのように見えるか注目すべきである。対照的に、図3(b) 及び3(c) は、公知の方法により生成された形状指数マップ及び湾曲マップを夫々示す。この場合も、形状指数及び湾曲は良好な検出を提供しておらず、特に、形状指数マップはポリープを明瞭に取り込んでいない。対照的に、三次不変量は、ポリープの検出を可能にしており、タギング流体に浸漬されたポリープを区別する問題を克服している。
図4(a) は、膨起した襞に付着したポリープのグレースケールCTスライスを示す。説明として、結腸は結腸膨起と呼ばれる多数の嚢状の物体から構成されており、膨起した襞は、1つの結腸膨起が別の結腸膨起に接触して形成された突起物である。膨起した襞は、ポリープの検出を困難にする。図4(a) の解釈に役立てるために、図4(j) に、結腸内のポリープ、襞、正常な組織及び空気の位置を示す図4(a) の線画図を示す。図4(d) 乃至4(i) は、図2(d) 乃至2(i) に対応する方法で生成された三次不変測度Θ1乃至Θ6のためのマップを夫々示す。図4(d) 乃至4(i) から、三次不変測度が、ポリープと襞とを明瞭に区別していることが理解され得る。確かに、三次不変測度は、ポリープを検出するだけでなく、襞からポリープを分離する。ポリープが、図4(d) 乃至4(g) 及び図4(i) の中心にあるライトスポット、及び図4(h) の中心にあるダークスポットとしてどのように見えるか注目すべきである。対照的に、図4(b) 及び4(c) は、公知の方法により生成された形状指数マップ及び湾曲マップを夫々示す。ここでもまた、形状指数及び湾曲は良好な検出を提供していない。
図2乃至4が結腸のポリープを検出するためにここに開示された方法を用いた結果を示しているので、ここに開示された方法が、肺小結節、肝臓障害、乳腺腫瘤、脳障害、及び適切な幾何学的特性を有する他の種類の障害、腫瘍又は異常を検出するために用いられるとき、同様に有利な結果を更に提供可能であることが十分理解される。
図1に戻り、三次導関数及び/又は不変(又は半不変)測度の更なる処理が、任意に行われ得る。行われ得る更なる処理の一例として、不変測度又は半不変測度が分類器で特徴として用いられ得る。既に示されたように、三次不変測度及び三次半不変測度が重要な解剖学的構造を周囲の組織と区別するために非常に優れているので、三次不変量及び半不変量が、(ポリープ、浸漬されたポリープ、肺小結節又は障害のような)解剖学的構造のコンピュータ支援検出のための特に効果的な手段を提供することを、本発明者は発見した。
例えば、不変測度又は半不変測度は、重要な特定の解剖学的構造を認識すべく人工ニュートラルネットワーク(ANN) を訓練するために、ANN に与えられる特徴ベクトルに含まれ得る。同様に、不変測度又は半不変測度は、ANN が重要な特定の解剖学的構造の存在を検出可能であるように、適切に訓練されたANN に与えられる特徴ベクトルに含まれ得る。考え得る不変測度又は半不変測度の全てが特徴ベクトルに含まれる必要があるとは限らない。例えば、一組の特徴が、三次不変測度Θ1乃至Θ6のいずれか1つ又は複数を含んでもよい。特徴ベクトルは、形状指数及び/又は曲率のような医療用画像データにおける解剖学的構造を特徴付ける他の適切なパラメータを更に含んでもよい。不変測度及び半不変測度が、重要な解剖学的構造を検出するために、他の適切な人工知能、パターン認識又は機械学習アルゴリズムと共に用いられ得ることが更に十分に理解される。
不変測度又は半不変測度を用いて行われ得る更なる処理の別の例として、(「候補領域」として公知である)重要な領域に亘る測度の内のいずれか1つ又は複数の統計的分布が計算され得る。例えば、候補領域に亘る不変測度又は半不変測度の内のいずれか1つ又は複数の平均、変化、歪、尖度、エントロピ、最小値及び/又は最大値が計算されてもよい。その後、不変測度又は半不変測度の統計的分布は、(ANN のような)分類器を訓練し、適切に訓練された分類器を用いて候補領域の特定の解剖学的構造の存在を検出するために一組の特徴として用いられ得る。(不変測度又は半不変測度で直接操作するのではなく)、候補領域に亘る不変測度又は半不変測度の統計的分布で操作することにより、候補領域を分析するために必要な計算量が低減され得る。不変測度及び半不変測度がボクセル単位で計算されるので、多数の不変測度又は半不変測度が、相対的に少数のボクセルを含む候補領域から生成されることが可能であり、かなりの演算資源が、その結果生じる測度を夫々分析するために必要とされる場合がある。候補領域全体の統計を計算することにより、分析されるべきデータ量の低減が可能であり、意外にも統計は、障害、ポリープ及び他の重要な解剖学的構造を検出するために非常に効果的であり得る。
ポリープを検出するための従来のCAD システムは2つのステップを備えている。第1ステップでは、画像処理技術が、ポリープ候補(ここでは、「ポリープ候補」は、ポリープであるかもしれないが、ポリープであることが未だ確認されていない解剖学的構造を述べるために用いられる用語である)を得るために集中的に用いられる。このステップでは、(例えば、強度、形状及び表面組織に基づく)多くの特徴が、ポリープ候補を特徴付けるために用いられ得る。一般的に、多数の偽陽性(FP)が、第1ステップによって生成されており、真陽性(TP)をはるかに上回る。そのため、第2ステップの目的は、FPを最大限に低減する一方、可能な限り多くのTPを維持することである。第1ステップで得られた特徴は、TPとFPとを区別するために用いられ得る。このようなCAD システムは、2ステップのCAD 処理の内の第1ステップ、第2ステップ又は両方のステップでここに開示された不変測度及び半不変測度を用いることにより改善され得る。例えば、不変/半不変測度(又は、既に述べられた不変/半不変測度に基づく統計)は、更なる分析のための候補領域になる、より小さな領域を識別するために、医療用画像データの大きな領域に亘って計算され得る。不変/半不変測度(又は、不変/半不変測度に基づく統計)は、ポリープ候補を識別するために候補領域に亘って計算され得る。不変/半不変測度(又は、不変/半不変測度に基づく統計)は、ポリープ候補を分類するため(例えば、ポリープ候補を良性又は悪性であると分類するため、又はポリープ候補を特定のタイプのポリープであると分類するため)に、ポリープ候補に関して計算され得る。
従って、上記に述べられた方法は、障害のコンピュータ支援検出のための改善された方法を提供するために、三次導関数、及び三次導関数に基づく不変量特徴又は半不変量特徴を用いる。導関数及び不変量/半不変量特徴は、更に以下の目的で用いられ得る。
・コンピュータ支援による障害の分類
例えば、不変量/半不変量特徴の値に基づいて、障害が良性であるか又は悪性であるか自動的に分類され得る。別の実施例として、不変量/半不変量特徴の値を用いて、結腸ポリープがポリープの特定のタイプであることを自動的に類別され得る。
・画像の分割
不変量/半不変量特徴が、画像を様々な部分に分割(又は「区分」)するために用いられ得る。例えば、図2乃至4に示されているように、不変量/半不変量特徴は、医療用画像からポリープを区分するために用いられ得る。不変量/半不変量特徴は、画像を複数のラベルに区分するために用いられ得る。例えば、不変量/半不変量特徴は、結腸のCTスキャンをポリープ、空気、正常な組織及び/又はタギング流体に区分するために用いられ得る。
・画像の位置合わせ
不変量/半不変量特徴は、2つの画像を並べる(又は「位置合わせする」)ために用いられ得る。例えば、不変量/半不変量特徴は、2以上の画像が互いに対してどのように並べられる必要があるかを決定するために、目印として又は目的関数の一部として用いられ得る。不変量/半不変量特徴は、2以上の画像を互いに対して並べる空間変換を導き出すために用いられ得る。空間変換は、平行移動、回転、拡大縮小、剪断加工及び/又は他の任意の適切な線形又は非線形変換技術を包含し得る。
f(x,y,z)が、滑らかな三次元画像の各ポイントで強度関数として定義されていたことが想起される。等強度表面のための式は、f(x,y,z)=Iであり、ここではI は、固定された同値である(式(31)参照)。(「本発明の理論」という表題で)上記で導かれた三次導関数及び三次不変測度のための式は、(x=u,y=v,z=o(u,v),f(u,v,o(u,v))=I のような関数o を定義するために、陰関数定理の使用に基づいていた。本発明は、更に、(x=o(u,v),y=u,z=v,f(o(u,v),u,v))=I及び(x=u,y=o(u,v),z=v,f(u,o(u,v),v))=Iのような関数o の代替定義を包含する。関数o のこれらの代替定義が、三次導関数、三次不変測度及び三次半不変測度のための異なる式を生じさせて、本発明は、これらの代替式を更に包含することが十分理解される。
本発明を実行するために用いられる装置の一例を、図5及び6を参照して述べる。図5に示されているように、スキャン画像がコンピュータ504 によって生成されてもよく、コンピュータ504 は、スキャナ502 からスキャンデータを受け付けてスキャン画像を構築する。スキャン画像は、電子ファイル又は一連のファイルとして蓄積されて、固定式又は着脱可能式のディスクのような記憶媒体506 に記憶される。スキャン画像は、スキャン画像に関連したメタデータを含んでもよい。スキャン画像は、コンピュータ504 によって分析されてもよく、又は、上述された方法を行なうために、スキャン画像を処理するソフトウェアを実行する別のコンピュータ508 に転送されてもよい。ソフトウェアは、着脱可能式ディスク又は固体記憶装置のようなキャリアに記憶されてもよく、又はローカルエリアネットワーク(LAN) 、ワイドエリアネットワーク(WAN) 、インターネットのようなネットワークを介してダウンロードされてもよい。
ここに述べられたコンピュータは、図6に示されているコンピュータシステム600 であってもよい。本発明の実施形態は、コンピュータシステム600 によって実行するためのプログラム可能なコードとして実施されてもよい。本発明の様々な実施形態は、本例におけるコンピュータシステム600 に関連して述べられている。この説明を読めば、他のコンピュータシステム及び/又はコンピュータ構築を用いて本発明を実行する方法は、当業者にとって明瞭である。
コンピュータシステム600 は、プロセッサ604 のような一又は複数のプロセッサを含んでいる。プロセッサ604 は、特殊目的のデジタルシグナルプロセッサ又は汎用のデジタルシグナルプロセッサを含むが、これらに限定されずに、任意のタイプのプロセッサであってもよい。プロセッサ604 は、通信基盤606 (例えば、バス又はネットワーク)に接続されている。様々なソフトウェアの実行は、この典型的なコンピュータシステムに関連して述べられている。この説明を読めば、他のコンピュータシステム及び/又はコンピュータ構築を用いて本発明を実行する方法が、当業者にとって明瞭である。
コンピュータシステム600 は、好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM) である主記憶装置608 を更に含んでおり、補助記憶装置610 を更に含んでもよい。補助記憶装置610 は、例えば、ハードディスクドライブ612 、及び/又は、フレキシブルディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ等を表す着脱可能な記憶ドライブ614 を含んでもよい。着脱可能な記憶ドライブ614 は、公知の方法で、着脱可能な記憶部618 に対して読み書きする。着脱可能な記憶部618 は、着脱可能な記憶ドライブ614 によって読み書きされるフレキシブルディスク、磁気テープ、光ディスク等を表す。十分に理解されるように、着脱可能な記憶部618 は、コンピュータソフトウェア及び/又はデータが記憶されたコンピュータで使用可能な記憶媒体を含んでいる。
他の実施様態では、補助記憶装置610 は、コンピュータプログラム又は他の指示をコンピュータシステム600 にロードさせる他の同様の手段を含んでもよい。このような手段は、例えば、着脱可能な記憶部622 及びインターフェース620 を含んでもよい。このような手段の例として、(ビデオゲーム装置で既に見られるような)プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェースと、(EPROM 、PROM又はフラッシュメモリのような)着脱可能なメモリチップ及び関連するソケットと、他の着脱可能な記憶部622 及び着脱可能な記憶部622 からコンピュータシステム600 にソフトウェア及びデータを転送させるインターフェース620 とが含まれてもよい。代わりに、コンピュータシステム600 のプロセッサ604 を用いて、着脱可能な記憶部622 からアクセスされたプログラム及び/又はデータが実行されてもよい。
コンピュータシステム600 は、通信インターフェース624 を更に含んでもよい。通信インターフェース624 により、ソフトウェア及びデータがコンピュータシステム600 と外部装置との間で転送され得る。通信インターフェース624 の例として、モデム、(イーサネット(登録商標)カードのような)ネットワークインタフェース、通信ポート、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(PCMCIA)スロット及びカード等が含まれてもよい。通信インターフェース624 を介して転送されたソフトウェア及びデータは、信号628 の形態であり、通信インターフェース624 によって受信可能な電子信号、電磁信号、光信号又は他の信号であってもよい。これらの信号628 は、通信経路626 を介して通信インターフェース624 に与えられる。通信経路626 は、信号628 を伝送し、ワイヤ又はケーブル、光ファイバ、電話線、無線リンク、携帯電話リンク、無線周波数リンク或いは任意の他の適切な通信チャネルを用いて実施されてもよい。例えば、通信経路626 はチャネルの組み合わせを用いて実施されてもよい。
「コンピュータプログラム媒体」及び「コンピュータで使用可能な媒体」という用語は、着脱可能な記憶ドライブ614 、ハードディスクドライブ612 に装着されたハードディスク及び信号628 のような媒体に言及するために一般的に用いられている。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム600 にソフトウェアを与えるための手段である。しかしながら、これらの用語は、ここに開示されたコンピュータプログラムを具現化する(電気信号、光信号又は電磁信号のような)信号を含んでもよい。
(コンピュータ制御ロジックとも呼ばれる)コンピュータプログラムは、主記憶装置608 及び/又は補助記憶装置610 に記憶されている。コンピュータプログラムは、通信インターフェース624 を介して受信されてもよい。このようなコンピュータプログラムにより、実行されるとき、コンピュータシステム600 がここに説明されている本発明を実行することが可能になる。従って、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム600 の制御部を表わす。本発明がソフトウェアを用いて実行されるとき、ソフトウェアは、幾つかの実施例を提供するために、コンピュータプログラム製品に記憶されて、着脱可能な記憶ドライブ614 、ハードディスクドライブ612 又は通信インターフェース624 を用いてコンピュータシステム600 にロードされてもよい。
他の実施形態では、本発明は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで制御ロジックとして実行され得る。
前述の記述が、結腸ポリープを強調するためにCTC 検査における三次不変量の計算に重点を置いているが、不変量は、身体の異なる部分における他の障害、例えば、肺小結節、肝臓障害、乳腺腫瘤、脳障害及び腫瘍の存在を検出するために用いられ得る。更に、不変量は、MRI 、PET 及び超音波を含む他の形態からの医療用画像で計算され得る。不変量の特徴は、医療用の画像処理の分野以外で適用されてもよく、非医療用画像における対象物を識別するために非医療用画像を処理するために用いられてもよい。
本発明は、単に一例として上記に説明されており、その詳細の変更が、本発明の範囲内でなされ得ることは理解される。
参考文献
以下の文献が、参考として文献の全体がここに組み込まれる。
[1] エイチ.ヨシダ(H. Yoshida)、ワイ.マスタニ(Y. Masutani )、ピー.マセニアニー(P. Maceneaney )、ディー.ティー.ルービン(D. T. Rubin )及びエー.エイチ.ダッチマン(A. H. Dachman )著、容積特徴に基づくコロノグラフィにおける結腸ポリープのコンピュータ化された検出:試験的研究(Computerized detection of colonic polyps at ct colonography on the basis of volumetric features: Pilot study)、放射線医学、222(2):327‐336頁、2002年
[2] エイチ.ヨシダ(H. Yoshida)及びジェイ.ナッピ(J. Nappi)著、結腸ポリープの検出のための三次元のコンピュータ支援診断機構(Three-dimensional computer-aided diagnosis scheme for detection of colonic polyps)、医療用画像化に関する電気電子技術者協会の報告書(IEEE Transactions on Medical Imaging)、20(12):1261‐1274頁、2001年
[3] エム.ドゥ カルモ(M. do Carmo)著、リーマン幾何学(Riemannian geometry)、バークハウザー(Birkhuser)、ボストン、1992年
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[5] オー.モンガ(O. Monga)及びエス.ベナヨウン(S. Benayoun)著、典型的な表面特徴を抽出するための3d画像の偏導関数の利用(Using partial derivatives of 3d images to extract typical surface features)、認識、計画及び行動の統合第3年次会議の議事録(Proceedings of the Third Annual Conference of Integrating Perception, Planning and Action)、225‐236頁、1992年
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[7] ジェイ.グラヴェセン(J. Gravesen)及びエム.アングストラップ(M. Ungstrup)著、表面のための不変公平測度の構成(Constructing invariant fairness measures for surfaces)、計算数学における進歩(Advances in Computational Mathematics)、17(1-2):67‐88頁、2002年

Claims (15)

  1. 三次元デジタルの医療用画像におけるポイントを特徴付けるコンピュータで実現される方法において、
    前記画像内の一又は複数のポイントでの前記画像の三次導関数を決定するステップ、及び
    前記一又は複数のポイントの夫々で、該ポイントにおける局部の幾何学的構造を、前記三次導関数を用いて特徴付ける一又は複数の不変量の特徴を決定するステップ
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記画像の前記導関数を用いて共変微分を計算するステップを更に備えることを特徴とする請求項1に係る方法。
  3. 前記不変量の特徴は、前記共変微分を用いて決定されることを特徴とする請求項2に係る方法。
  4. 三次元デジタルの医療用画像におけるポイントを特徴付けるコンピュータで実現される方法において、
    前記画像内の一又は複数のポイントでの前記画像の三次導関数を決定するステップ、及び
    前記一又は複数のポイントの夫々で、該ポイントにおける局部の幾何学的構造を、前記三次導関数を用いて特徴付ける一又は複数の半不変量の特徴を決定するステップ
    を備えることを特徴とする方法。
  5. 前記半不変量の特徴は、デカルト座標における前記画像の導関数を用いて決定されることを特徴とする請求項4に係る方法。
  6. 局部の幾何学的構造が、陰の等表面を用いて決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに係る方法。
  7. 前記特徴は、前記画像の一次導関数、二次導関数及び三次導関数を用いて計算されることを特徴とする請求項1乃至6のいずかに係る方法。
  8. 前記画像内の解剖学的構造を識別するために、前記特徴を用いるステップを更に備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに係る方法。
  9. 前記画像内の障害を識別するために、前記特徴を用いるステップを更に備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに係る方法。
  10. 前記画像内の障害を識別するとき、前記特徴は、偽陽性を低減するために用いられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに係る方法。
  11. 前記画像を複数のラベルに区分するために、前記特徴を用いるステップを更に備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記画像を一又は複数の別の画像と並べるための空間変換を導き出すために、前記特徴を用いるステップを更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記画像を前記一又は複数の別の画像と並べるために、前記空間変換を前記画像に適用するステップを更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 適切なコンピュータによって実行されるとき、請求項1乃至13のいずれかに係る方法を前記コンピュータに実行させる指示を備えるコンピュータで読取り可能な媒体。
  15. 請求項1乃至13のいずれかの方法を行なうべく備えられた装置。
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