よって、対象をよりよく表現するボリュームレンダリングを可能にするような仕方で画像に導出可能な属性を割り当てる方法を提供することが、本発明の目的である。
その目的を達成する本発明の方法によれば、各データ要素のデータ値に対する物理的性質の相対的な寄与が導出され、属性のデータ要素への割り当ては、前記データ要素のデータ値に対する物理的性質の相対的な寄与に基づいて行われる。
医療画像処理で用いられるボリュームレンダリングの現行の諸方法は、典型的には、実際の三次元空間の一部にある対象を表す、あるいはたとえば仮想三次元空間としてコンピュータ生成される体積要素の三次元的な配列から、二次元投影画像を生成する。実際の三次元空間内に位置する対象の場合、体積要素の三次元的な配列(三次元オブジェクトデータセット、あるいは単にオブジェクトデータセットともいう)中の各ボクセルは、この三次元空間中でのある性質の測定された分布を表す値を含んでいる。医療画像生成においては、ある性質のこの分布は、撮像装置によって測定され、その出力をなすものであり、該撮像装置の物理的動作機構に依存するものである。X線コンピュータ断層撮影機、いわゆるCT機を例にとれば、これは患者に照射されたX線ビーム中のエネルギー分布を測定するものであり、その出力の基礎をなす物理的性質は患者の体内組織の相対的な密度によって起こされるX線放射の減衰である。CT機によって生成される三次元オブジェクトデータセットはしたがって、真の意味で、放射線に対する対象内部の相対密度の三次元的な体積画像である。
コンピュータ生成される三次元仮想空間の内容についても同様このことが言える。この場合、可能な値の配列は、計算したり推定したり、あるいはそれ以外の方法によって人工的に生成したりできる。
デジタル医療画像は、撮像装置からの出力であれ人工的に生成されたのであれ、中間階調をもつ強度の、ある範囲のデジタルデータで表現される。CT機によって生成される体積画像セットの場合、中間階調強度の範囲は、撮像される対象内の組織が示す、放射線に対する相対密度の範囲を表す。
こうした相対密度は、観察者の目には、似通った視覚的な値をもついくつかのグループとして認識される。似通った値のグループは、物理的性質が異なる、体内の異なる下位構造を表している。たとえば、骨を表す体積要素全体は骨を表すのでない周囲の体積要素とは区別されて知覚されるであろう。これは、骨がもつある物理的性質が、放射線に対してある密度を骨に与えているからである。換言すれば、前記撮像装置の方法は体内の異なる組織や構造を見、区別することを可能にする。
こうした画像をわかりやすさと内容の正確さを兼ね備えた仕方でユーザーに提示するさまざまな方法が開発されてきた。そのような方法の一つがボリュームレンダリングである。ボリュームレンダリングは、全体積情報に含まれている構造情報を、重なり合う構造情報が完全に透明、あるいは少なくとも完全に不透明ではない画像の形で提示しようとするものである。
三次元オブジェクトデータセット中に含まれるデータは、データ点、すなわちボクセルの配列として保持されている。このボクセルの三次元配列の内容を画像表現する一つの一般的なステップは、各ボクセルに、その輝度値と関連して不透明度の値と色の値を割り当てることである。不透明度と色は、特定の組織の可視化のために選ばれる光学的な性質である。この三次元オブジェクトデータセットから次に作成される二次元投影画像は、ピクセル、すなわち画素の二次元的な配列を含んだものだが、これは観察者の目が立体に見える三次元オブジェクトを知覚できるに十分な色や不透明度を含む。
一般に、この二次元投影画像を生成する手続きは次のようなものである。二次元投影画像の各ピクセルについて、前記三次元オブジェクトデータセットのボクセル空間を通り抜ける射線が引かれる。射線の途上の位置では不透明度と色の値は決められているから、これらが合成されて各射線に対して一つの不透明度・色値が得られる。この合成は、所望の画像表現のタイプによっていくつかの異なる方法で行うことができる。たとえば、射線に沿っての最小値または最大値を計算する、色と不透明度のアルファブレンディングを適用する、閾値(iso−value)の計算、などである。これらの方法は当業者には既知のものである。
現行の方法では、ボクセルの値から不透明度・色への対応付けは、一次元の探索表(LUT:lookup table)を使って行われる。これは個々のボクセルの輝度値を与えると不透明度と色が読み取れるようなものである。しかし、不透明度と色は二つの別個の変数であり、単一の一次元探索表に収めることは容易ではない。医療分野での応用では特に、異なる解剖学的構造や組織を異なる色および異なる不透明度を用いて可視化することが目標であり、このことは本来的に、ボクセルの値がそのボクセルによって表される三次元位置における組織に特徴的なものであるということを想定していることになる。もちろんそんなことはない。医療画像生成の分野において生じる特有の問題は、部分体積効果である。
部分体積効果とは、単一のボクセル内に、ある物理的性質の値の二つ以上の範囲からの寄与が存在することである。言い換えると、単一のボクセル内に、二つ以上の組織が存在すること、あるいは別の言い方をすれば、当該ボクセルが二つ以上の組織を含む空間を表しているということである。部分体積効果は、三次元オブジェクトデータセット中で、組織間の境界または組織と空気の境界を表すデータセット部分において起こりやすい。この場合、異なる組織を表す、あるいは組織と空気を表す値の混合に当たる値を含むようなボクセルが生じる可能性が高い。それ以外の種類の境界を含む対象部分を記述するボクセルについても同様のことが言える。たとえば、組織と補綴物の間、あるいは組織と造影液との間、あるいは組織と体液との間の境界である。
ボクセル値から不透明度や色への一次元的な対応付けを使った現行技術の深刻な欠点は、混合が比較的似通った輝度値の組織間でしか起こらないと想定されていることである。しかし、部分体積効果のため、実際にはこれは正しくないことがありうる。造影剤と空気の組織混合がちょうどボクセルに当たり、そのボクセルに与えられる輝度値が空気と造影剤を表すのに使われる両極端な二つの値の平均値になってしまうことも全くありえる話なのである。この平均はしばしば、組織を表現するのに使われる輝度値の標準的な範囲内にあるかのように見える。よって、この値は不正確な情報を与えることになる。観察者には組織を含んでいるかのようなボクセルが見えるが、実際には空気と造影剤を含んでいるからである。この値は、当該ボクセルが純粋な組織を表しているのか、異なる組織の混合を表しているのかを判定する十分な情報を与えてくれない。したがって、ボクセル値を一次元的な探索表を使って組織に関係する不透明度および色に対応付けることは、誤った不正確な可視化の結果につながるのである。
この問題は、単なる輝度値だけではなくより多くの情報を色および不透明度に対応付ける本発明の方法によって解決される。当業者には、本発明が単に色および不透明度だけでなく、もっとほかの属性にも適用できることが理解できるであろう。たとえば、本発明はまた、陰影付けの方法や画像ラベルの大きさへの対応付けにも用いられうる。当業者であれば他の可能性があることも理解できるであろう。
ボクセルと属性の間の対応付けを実行するためにより多くの情報を使うとは、すなわち、ボクセルから出発してそれに特定の色と不透明度を対応付けるために、一言で言うと、二次元以上の探索表を使うことになる。すなわち、探索表をボクセルの輝度値の一次元空間内ではなく、対応付けを実行するのに使おうとしている情報の値の数に相当する多次元空間内で定義する。それに使う追加情報は、組織混合によって提供される。
組織混合は、各ボクセルへのそれぞれの特定の種類の組織の寄与と考えられ、部分体積効果を示すボクセルを考えるときに特に有用である。空気と組織の境界にまたがり、空気と組織の相対量の平均である単一の輝度値を含むボクセルは、たとえば40%空気、60%組織の混合組織を含んでいるかもしれない。他方、50%空気、50%組織を含んでいるかもしれないし、あるいは輝度値がより暗い異なる種類の組織を表しているのかもしれない。もともとの画像生成過程において情報内容をたとえばデジタル化された三次元のボクセル配列に還元することによって、もとの調査対象についての情報は事実上失われてしまうが、時にはその配列内に、これらの混合を計算し、この追加情報を利用するのに十分な情報が存在することがある。
組織混合の計算は一連の確率(p1,p2,…pN)によって表現できる。ここで、p1はある組織が問題のボクセルに寄与している確率である。そのような確率の値は、配列内の各ボクセルのどれについてでも、任意の数の確率を計算することができる。その数は組織モデルの複雑さ、すなわち、各ボクセルに寄与する組織をいくつと想定するかによる。
色および不透明度に対応付けられるのは、各ボクセルについてのこの確率値である。当業者であれば、組織混合の他のいかなる分布または数学的表現でも、色、不透明度、あるいは実は他のいかなる属性にでも対応付けすることができることが理解できることであろう。
言い換えれば、混合組織上で定義される多次元空間を使って色および不透明度の対応付けをする。N個の組織の混合はN−1次元空間内に表現できる。よって、3つの組織は二次元中の三角形内に表現できる、4つの組織は三次元中の四面体内に表現できる、といった具合である。
混合組織上で不透明度関数を定義することによって、点広がり関数ならびに取得および表現過程の離散性のために組織混合を含むボクセルをより正確に分類できるようになる。この改善された分類が今度は、より正確でより有用な可視化の結果につながる。それはさらに、組織の表示のオン・オフやノイズ低減といった追加的な機能にも道を開く。
これらのことを含む本発明の特徴について、図面を使いながら説明する。
図1は、ボクセルに色および不透明度を割り当てるのに使われる、典型的な一次元的な探索表の表現である。輝度値は横軸で表され、不透明度は縦軸に沿って目盛られている。異なる組織はボクセル輝度値の異なる範囲によって表され、ボリュームレンダリングされた画像中でこれらを使いやすいように表現するため、これらは通例異なる色を割り当てられる。このことは図を見れば明らかであろう。個々の色のグラフが別個の伝達関数であることは、当業者には既知のことである。ボリュームレンダリング技法には、異なる組織を視覚的にはっきり区別されて見えるよう表現できるような伝達関数を生成すること、そしてその次にそれぞれのボリューム可視化の意図に従った正しい伝達関数を選択することが含まれる。しかし、図をさらによく見れば、一次元的な探索表に基づく伝達関数には次の問題があることがわかる。組織2と示された組織を表すボクセルは、輝度値の範囲の中ほどのボクセル輝度値をもつ。しかし、そのほかにも組織1および組織3からの寄与の結果である輝度値をもつボクセルもやはりその範囲の中ほどの輝度値をもつ。観察者はこれら二つの場合を区別することはできないであろう。
図2は、二次元画像を使って部分体積効果の問題を図式的に示すものである。第一の画像201は画像中での3つの組織の混合の理想化された場合である。第二の画像202は、点広がり関数とサンプリングに起因する組織境界での部分体積効果を示している。第三の画像203は、一次元的な探索表しか使わなかったときに起こる、ピクセルの誤った分類を示している。203からは、画像の左側の灰色の組織と、画像の右側の明暗領域の境界に線状に並んだ同じような輝度のピクセルとは、視覚上、何の違いもないことが見て取れる。
図3は本発明の図式的な表現である。3つの組織からなる系の中の任意のボクセルについて、組織1、2、3がそのボクセルに寄与する確率を(p1,p2,p3)と書くことができる。これはN個の組織からなるより複雑な系(p1,p2,p3,…,pN)へと拡張したり、2つの別個の組織しか含まないより単純な系(p1,p2)に還元したりすることができる。多くの医療画像で示される解剖学的な複雑さを考えても、2つまたは3つの組織からなる系は、全体的な画像の中の局所的な領域、たとえば2つまたは3つの組織種類が接して境界をなす領域を考慮する際にとりわけ有用である。当業者には、3組織系は、発明の全般的な説明をするのにとりわけ有用な例をなすことが理解されるであろう。
確率値すべての合計は1である。3つの組織種類がある系の場合、これらの値をグラフ上にプロットするならば、グラフ内の可能な点の範囲は、三次元空間中の面300をなす。わかりやすいよう、この面は紙面と同一面として表されている。
この面が、新しい多次元探索表の基礎をなす。この探索表に対して新しい多次元伝達関数をあてはめるのである。今の場合三つの異なる組織種類の寄与の相対的な確率は、この表には一つの点としてプロットされる。この新しい点から、多次元伝達関数の値が読み取れるのである。
このことは図3においてさらに示される。組織1を表すボクセルは、たとえば当該面の隅301にプロットされる。この領域は組織1について高確率の値を表し、それに相応して組織2、3については低い確率である。主として領域302にプロットされるボクセルが表す組織2および主として領域303にプロットされるボクセルが表す組織3についても同様のことが言える。組織1、2、3のいずれも、現実の組織、あるいはたとえば空気、液、造影剤、外来物質などを表しうることは、当業者には理解されることであろう。
本発明の実力が明らかになるのはここである。部分体積効果の結果である値をもつボクセルは、該ボクセル内での組織混合の計算のため、もはや探索表で、部分体積効果によって生成される値とたまたま似通ったボクセル値をもつ組織と同じ部分にプロットされることはない。たとえば、組織1が空気、組織2が軟組織、組織3が造影剤注入液であるとすると、空気と造影剤注入液の間、すなわち組織1と組織3の間の境界上のボクセルは領域304、すなわち探索表の縁に沿った部分にプロットされ、もはや領域302にプロットされるのではない。図1の状況と比べてみれば、このことが、画像中でのボクセルの区別において抜本的な進展を生むことがわかるであろう。
これで、さまざまな組織を区別し、部分体積効果も考慮に入れた、高次元探索表空間における伝達関数が定義できる。
図4はちょうどそのような伝達関数の組を示している。これらは3つの異なる組織1、2、3に異なる色および不透明度を割り当て、そうする際、部分体積効果の問題のあるボクセルはみなそのボクセルに寄与する組織のうちの一つに割り当てる。そのボクセルに寄与する複数の組織の平均輝度値に相当する組織に割り当てるのではない。
したがって、本発明によれば、オブジェクトデータセット内のボクセルに属性を割り当てるきわめて強力な新しい方法が提供されることを見て取ることができる。ボリューム可視化を助ける本発明の方法を使って、オブジェクトデータセットによって記述される物理的性質の相対的な寄与そのものも計算すなわち導出されており、データ値すなわち属性をそれらのデータ値に割り当てるのに使われる。言い換えると、オブジェクトデータセット中の各ボクセルは、該ボクセルによって表される空間内における撮像技法によって使われた物理的性質の特定の組み合わせを記述するのに必要な輝度値を含んでおり、物理的性質のその組み合わせの相対的な寄与が属性をボクセルに割り当てるのに使われる。
これは、オブジェクトデータセット内に含まれるデータのきわめて強力な利用法であり、本発明は、上述したような組織の選択的可視化を含む、医療画像法におけるさまざまな問題に適用できる。
たとえば注腸二重造影検査では、結腸内に空気と造影物質の両方が存在し、空気と組織、空気と造影剤、組織と造影剤の間で部分体積効果が生じる。検査では通例、空気−腸壁(黒−灰色)および造影剤−腸壁(白−灰色)の境界を可視化することが意図されており、空気−造影剤(白−黒)境界は目的外である。上述したように輝度値は3種の組織遷移部の間の区別ができないので、この意図を達成するのは輝度値の情報だけを使う、たとえば等輝度面(iso−surface)レンダリングを使うのでは不可能である。しかし、組織混合がわかれば、伝達関数を定義して、腸壁と空気だけを可視化して造影剤は非表示とすることができる。
この発明が実用上どのように使われうるかのさらなる例は、画像中のノイズの扱いにある。本発明の方法を使って、ノイズを組織としてモデル化し、ノイズ混合度の高いボクセルを非表示にすることによって、よりノイズに強い画像表示を作成することができる。別の言い方をすれば、ノイズを透明にできるのである。
組織混合の計算が本発明の方法にとって根本的である。組織混合は当業界では既知のもので、たとえば“Partial Volume Tissue Segmentation using Grey−Level Gradient,”D.C.Williamson,N.A.Thacker,S.R.Williams and M.Pokric,presented at MIUA 2002ではその計算法が開示されている。残念ながら、この方法はあまりノイズに強くない。
組織混合の計算のための改良された方法を提示する。単一のボクセル内における異なる組織の寄与を計算するために、データを取る体積に対してさらなる測定を加える。これらの測定は、ボクセル内および当該ボクセル近傍内の輝度値の勾配の大きさや、当該ボクセルのまわりの大きさの違う複数の近傍における平均輝度値(マルチスケール法)を含み、測定された輝度値および勾配のさまざまな値をある種類の組織遷移部に期待される振る舞いのモデルにあてはめ、最適モデルおよびあてはめの適合度を測度として使う。
このことは、例として高輝度から低輝度までの輝度値の範囲を提供する3つの組織種類区分を使ってさらに説明できる。簡明のため、3つの組織種類として空気、軟組織、造影剤注入便を選んでおく。当業者には周知のように、組織混合を計算する方法はすべて,オブジェクトデータセットに含まれる情報についての何らかの想定をすることから始まる。ここでは、二つの組織種類の間のエッジ、あるいは境界は、二つのそれぞれ一定の輝度値をもつ物質の間の段差をガウス関数によってなめらかにしたもののように見えるものと想定する。
組織遷移部については、輝度値と輝度値の微分(当業者には勾配の大きさとして知られている)が勾配の方向にエッジをまたぐときにどのように変わるかを表すモデルがつくられる。これは、最大勾配の方向に沿って輝度値と勾配値の両方の標本値を抽出していき、それらをプロットして輝度値−勾配の大きさ関係のグラフを作成することによって行われる。このモデルによって異なる遷移部付近での測定値の期待される振る舞いが与えられ、ある組織種類と別の組織種類の間にあるボクセルにおけるどのような遷移部をもノイズに左右されずに決定する上で大いに助けになるであろう。このようなプロットは、画像中ですべての組織遷移部について行うことができる。
3つの組織種類がある区画の場合、3つの異なる組織種類の間の任意の2つの間には3つの異なる遷移部が可能である。組織種類1と2の間の境界、組織種類2と3の間の境界、組織種類1と3の間の境界である。画像中で各境界をまたぐ勾配方向に沿って輝度値の標本が抽出される。この勾配方向は区切り面に直交する方向である。当業者には、より洗練された想定から出発すればより複雑なモデルが得られるが、組織混合を計算するこの方法の基本的発想を変えるものでないことは明らかであろう。この方法はさらに、3つの組織の間の接合点、あるいは4つ以上の組織の間の遷移部にも一般化できる。
これで、上述したモデルを使って、3つの遷移部のうちの一つに属するいかなるボクセルも分類できる。画像中の全ボクセルについて、勾配の方向を決定し、その方向に沿って輝度値と勾配の大きさの標本を抽出する。当該ボクセル付近での標本値に最もよく適合するモデルのパラメータを決定するのであるが、その過程において、いかなるボクセルも、その周辺のボクセルとともに、異なる組織種類境界に対する前記の輝度値−勾配の大きさ関係のプロットのうちの正しい部分の上に位置づけることができる。
さらにまた、これにより、そのボクセル内での特定の組織混合に従ってボクセルを分離することができる。
遷移部のモデルを使うことによって、撹乱要因に対する高い堅牢性が得られる。さらに、必要なのは当該ボクセル直近の標本だけである。一様な組織領域に達するまで標本抽出を続けることは必要でない。これは格別な利点となる。組織混合を計算する当業界で既知の他の諸方法は別の標本抽出技法を使っており、それは一口で言うと網を広げすぎて組織境界にすぐ隣接していない画像領域からのボクセルまで引っ張り込んでいる。このことには、そうした遠方のボクセルに、調査対象であるもともとのボクセルに寄与しない組織種類の輝度値が含まれうるという難点がある。
あてはめによる最適モデルによって、もとのボクセルがどの種類の遷移部に位置していたか、あるいは一様組織の内部に位置していたかの情報が得られる。輝度値と勾配の大きさのモデル曲線上でのボクセル点の正確な位置が決まれば、どの2つの(今の場合)組織が当該ボクセルに寄与しているかを同定できるばかりでなく、それらの相対的な寄与がどのくらいかも知ることができる。
ここでは3つの組織の場合について記述したが、当業者には、この方法が、応用の複雑さに従って組織種類の数がいくつであっても適用できることは明らかであろう。