JP2010204294A - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被写体の状況に応じた適切な焦点検出を可能とする。
【解決手段】撮像装置は、画像生成用の第1の信号を出力する第1の光電変換セルと、撮影レンズの分割された瞳領域からの被写体像を光電変換して位相差検出用の第2の信号を出力する第2の光電変換セルとを有する撮像素子102と、第1の信号を受けてコントラスト方式の焦点検出を行い、第1の評価値を出力する第1の焦点検出部112と、第2の信号を受けて位相差方式の焦点検出を行い、第2の評価値を出力する第2の焦点検出部115と、撮像素子の画面を複数の分割領域に分割し、分割領域ごとに第1の評価値と第2の評価値とに基づいて、第2の焦点検出部の焦点検出の信頼性を評価する評価部108と、評価部による評価結果に基づいて、第1の評価値と第2の評価値のどちらを用いて撮影レンズ101を駆動するかを決定する選択部109とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、被写体の状況に応じて適切な焦点検出を行う技術に関するものである。
撮影レンズを透過して入射する被写体からの光を受光してピントのずれ量を検出し、カメラから被写体までの距離に応じて撮影レンズの焦点位置を自動調節する焦点調節装置を備えたカメラが普及している。その焦点調節を行う手段として、一般に以下の2つの方法が知られている。1つは、撮影レンズを通して撮像した画像信号のコントラストに基づいて焦点検出を行うコントラストAF方式(山登りAF方式、TV−AF方式)である。また、もう1つは、撮影レンズの異なる瞳領域を通過した複数の焦点検出用光束による像のズレ量に基づいて焦点検出を行う位相差AF方式(瞳分割方式、自己相関方式)である。
ところで、被写体からの光を受光して焦点検出を行う上記の各焦点検出方式においては、被写体からの光だけではなく背景からの光も入射するため、検出されるピントのずれ量は背景の影響を受けることになる。被写体に比べ背景のコントラストが低いときには、ピントのずれ量検出に寄与する背景の影響は小さく、被写体のピントのずれを正しく検出することができる。しかし、コントラストの高い背景があるときにはピントのずれ量検出への背景の寄与が大きくなって、被写体のピントのずれ量を正しく検出することができない場合がある。言い換えると、遠近競合が発生してしまう場合がある。遠近競合が生じた場合、検出したピントのずれ量に基づいて撮影レンズ位置を設定すると、被写体とコントラストの高い背景との中間にピントが合う状態となって、ピントを合わせる目標である被写体に対して正しくピントが合わなくなる。
このような問題を解決する方法として、以下のような方法が提案されている。
特許文献1では、ずれ量検出用のラインセンサを設け、撮影レンズを透過した光からラインセンサ上に左右像を結像させ、ラインセンサの左像の映像信号を複数の画素ブロックに分割する。そして、各画素ブロックと右像の映像信号との相関演算を行ってピントのずれ量を検出する。更にそのピントのずれ量検出において遠近競合発生の有無を調べ、遠近競合時には画素ブロックをより少ない画素数のブロックに更に分割して、各分割ブロックについて相関演算を行ってピントのずれ量を検出する。
特許文献2では、撮像素子の出力信号から高周波成分と低周波成分をフィルタにより抽出して、それによって得られた処理データを焦点検出演算の単位となるブロックに分割する。その分割されたブロック単位でデフォーカス量を算出して、デフォーカス量の信頼性を判定する。複数の領域のそれぞれの領域ごとに、領域の中に含まれるブロックのうち少なくとも一つについて信頼性が高いと判定されると、その領域を焦点検出可能と判断する。
特開平08−248303号公報 特開平08−075997号公報
特許文献1では、遠近競合の発生の有無の判断を一対の像の不一致度に基づいて行っている。しかし、像の不一致度を求める際にコントラストの影響は考慮しているが、像の周期性が考慮されていない。そのため、信頼性の低い像のずれ量をもとに焦点検出を行う可能性があり、高精度な焦点検出が行えるとは言い難い。また、撮像素子以外にずれ量を検出するためのラインセンサを設けているために、誤差要因が多くなり高精度な焦点検出を行うのが困難である。詳しくは、撮像素子への光学系とラインセンサへの光学系の経路の差、またそれぞれの光学系を構成するモールド部材等の製造誤差、温度による膨張などの要因による誤差など、誤差要因が多い。
特許文献2では、デフォーカス量を用いてデフォーカス量の信頼性を判定しているので、被写体に周期性がある時などのように、もともとデフォーカス量自身に信頼性がない場合は、高精度な焦点検出が行えずに、無駄な信頼性判定演算を行うことになる。また完全に周期的な被写体に対して焦点検出を行いたい場合は、一旦、周期的な被写体と同程度の距離の被写体に対して合焦させるか、或いは手動でおおまかに撮影レンズを合焦位置近傍へ移動する手間を撮影者に強いることになってしまう。
以上説明したように、上記の従来の焦点検出方式では、被写体によって遠近競合を低減できない場合があったり、信頼性の高い焦点検出が行えないことがあった。
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被写体の状況に応じた適切な焦点検出を可能とすることである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、撮影レンズにより結像される被写体像を光電変換して画像生成用の第1の信号を出力する第1の光電変換セルと、前記撮影レンズの瞳領域を分割して、分割された瞳領域からの被写体像を光電変換して位相差検出用の第2の信号を出力する第2の光電変換セルとを有する撮像素子と、少なくとも前記第1の信号を受けてコントラスト方式の焦点検出を行い、焦点調節のための第1の評価値を出力する第1の焦点検出手段と、前記第2の信号を受けて位相差方式の焦点検出を行い、焦点調節のための第2の評価値を出力する第2の焦点検出手段と、前記撮像素子の画面を複数の分割領域に分割し、該分割領域ごとに前記第1の評価値と前記第2の評価値とに基づいて、前記第2の焦点検出手段の焦点検出の信頼性を評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果に基づいて、前記第1の焦点検出手段による第1の評価値と前記第2の焦点検出手段による第2の評価値のどちらを用いて前記撮影レンズを駆動するかを決定する選択手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、被写体の状況に応じた適切な焦点検出が可能となる。
本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。 一実施形態において位相差検出用画素を備えた撮像素子の画素配置を示す図である。 一実施形態において撮像素子の第1の位相の検知のための画素の構造図である。 一実施形態において撮像素子の第2の位相の検知のための画素の構造図である。 一実施形態において焦点検出の概念を示す図である。 一実施形態において焦点検出の概念を示す図である。 一実施形態において像のずれを示す図である。 一実施形態においてコントラスト方式における、撮影レンズ位置とコントラスト評価値の関係(撮影レンズ駆動例)を説明する図である。 一実施形態において被写体判定ブロックの詳細な構成を示す図である。 一実施形態における焦点調節動作を示すフローチャートである。 一実施形態において位相差方式の信頼性判定条件と判定結果を示す図である。 一実施形態において周期性を持つ被写体の像のずれを示す図 一実施形態において撮像素子に結像した被写体を示す図である。 一実施形態において顔枠が分割領域よりも小さく設定された様子を示す図である。 一実施形態において顔枠が分割領域よりも大きく設定された様子を示す図である。 一実施形態において顔枠が分割領域と同等の大きさに設定された様子を示す図である。 一実施形態において顔枠と分割領域の境界が適合するように領域を再分割した様子を示す図である。
以下、本発明の好適な一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる撮像装置の構成を示すブロック図である。
図1において、撮影レンズ101を通過した被写体光束は、被写体像として結像され撮像素子102へ入射する。撮像素子102は離散的に位相差検出用画素が組み込まれた、電荷蓄積型のセンサであり、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサによって構成される。撮像素子102は、被写体光を、画像生成用の第1の信号に変換して出力する第1の光電変換セルと、位相差検出用の第2の信号に変換して出力する第2の光電変換セルを有している。A/D変換部103は撮像素子102から入力される電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。ここで、画像生成用の第1の信号とは第1の光電変換セル(以下、撮像画素と称する)が出力する信号をA/D変換部103で変換した信号のことである。また、位相差検出用の第2の信号とは第2の光電変換セル(以下、位相差検出用画素と称する)が出力する信号をA/D変換部103で変換した信号のことである。
領域指示部120はA/D変換部103から入力される全画面分の信号に対して、分割領域固有の信号を付加することで、どの分割領域かを指示する。コントラスト焦点検出ブロック112は画像生成用の第1の信号と位相差検出用の第2の信号を受けて、その高周波成分を抽出し、高周波成分に対して積分処理を行う。これにより、被写体の合焦状態を判定し、撮影レンズ101の駆動方向と駆動量を決定する。なお、本実施形態では、上記の第1の信号および第2の信号をコントラスト焦点検出ブロック(コントラスト方式の第1の焦点検出を行うブロック)112へ入力しているが、第1の信号のみを抽出して入力しても良い。
104は被写体の高周波成分を抽出するためのハイパスフィルタ(HPF)であり、積分回路105は選択された領域の高周波成分を積分すると共に、個々の分割領域に割り振られたアドレスをメモリ122へ与える。これによって、分割領域ごとの積分結果の書き込み、或いは、読み出しを行う。そして、積分結果をコントラスト評価部114へ出力する。メモリ122は、指定されたアドレスに分割領域ごとの積分結果を書き込む、或いは読み出す。ピークホールド回路106は積分回路105と同時に同じコントラスト評価領域内におけるHPF104からの入力から信号レベルのピーク値を検出して保持する。コントラスト評価部114は領域指示部120で選択された領域に対して、積分回路105、ピークホールド回路106からコントラスト評価値、ピーク値を読み出す。そして、ピーク値に対するコントラスト評価値の大小関係から撮影レンズ101の駆動量と駆動方向を示す第1の評価値を算出する。さらに、この第1の評価値を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。コントラスト評価部114の具体的な動作は後述する。
位相差焦点検出ブロック(位相差方式の第2の焦点検出を行うブロック)115は、領域指示部120の出力信号から第2の信号を抽出し、それに基づいてデフォーカス量を算出することにより合焦位置までの撮影レンズ101の駆動方向と駆動量を決定するブロックである。位相差検出用信号抽出部113は、領域指示部120の出力信号から第2の信号を抽出して、デフォーカス量算出部107へ第2の信号を出力する。デフォーカス量算出部107は、第2の信号からデフォーカス量を算出すると共に、個々の分割領域に割り振られたアドレスをメモリ121へ与えることによって、分割領域ごとのデフォーカス量を書き込み、或いは、読み出しを行う。デフォーカス量を位相差評価部111とシーン評価部119へ出力する。メモリ121は、指定されたアドレスに分割領域ごとのデフォーカス量を書き込む、或いは読み出す。位相差評価部111は、デフォーカス量に基づいて合焦するまでの撮影レンズ101の駆動方向と駆動量を算出する。その算出結果に基づいた第2の評価値を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。
被写体判定ブロック108は、位相差検出用画素の配置によって決まる周波数fpから求まるカットオフ周波数fp/2を基準にして第1および第2の信号から被写体の周波数帯域分布を算出し、焦点検出を制御するブロックである。周波数fpの説明、被写体の判定方法、焦点検出方式の選択条件については後述する。周波数算出部117は、周波数fpから求まるカットオフ周波数fp/2を基準にして第1及び第2の信号の混在信号から算出した周波数を低周波帯域と高周波帯域に分離して、それぞれを積分する。この積分結果を周波数評価部118へ出力する。
周波数評価部118は、上記の積分結果をもとに被写体が持つ低周波帯域成分と高周波帯域成分の比率を評価する。それに加えて、低周波帯域成分と高周波帯域成分に対するコントラスト検出の可否を評価する。撮像素子102の分割領域ごとの評価結果をシーン評価部119へ出力する。
シーン評価部119は、上記の分割領域ごとの評価結果と、分割領域ごとのデフォーカス量から領域ごとに撮影画像の評価を行い、分割領域ごとに位相差検出の信頼性を評価する。そして、信頼性評価結果から焦点検出方式を選択する制御信号を生成して焦点検出方式切り替え部109へ出力する。
なお、本実施形態では、第1及び第2の信号を被写体判定ブロック108へ入力しているが、第1の信号のみを抽出して入力しても良い。
焦点検出方式切り替え部109はシーン評価部119から入力される制御信号に基づいてコントラスト評価部114から入力される第1の評価値と、位相差評価部111から入力される第2の評価値のいずれかを選択してモータ駆動制御部110に出力する。モータ駆動制御部110は焦点検出方式切り替え部109から入力される第1の評価値または第2の評価値に基づいてモータを駆動するモータ制御信号を生成し、モータ116へ出力する。モータ116はモータ制御信号に従って撮影レンズ101を駆動する(焦点調節を行う)。
次に、図2を用いて撮像素子102の位相差検出用画素の配置と、それによって決まる周波数fpについて説明する。
図2は、撮像素子102の一部を拡大した図である。図中、201(その他の白抜きの画素も含む)は通常の撮像画素、202,203(その他の斜線が施された画素も含む)は位相差検出用画素を示している。位相差検出用画素は隣接した2画素1組のペア構成になっており、撮像素子102内に離散的に配置されている。また、撮像画素の間隔をdとする。図2では説明の簡略化のために位相差検出用画素数を全画素数の2%の割合で記載している。更に、隣接している位相差検出用画素ペア同士の間隔を10*dとして記載している。
図2に示した通りに位相差検出用画素を配置した場合、この撮像素子102の撮像画素の配置で決まる周波数は1/d(=fsとする)なので、サンプリング定理を満足する帯域は0〜fs/2と表せる。また位相差検出用画素ペア同士の配置で決まる周波数は1/10d(=fs/10=fpとする)なので、サンプリング定理を満足する帯域は0〜fs/20(=fp/2)と表せる。
図3に位相差検出用画素S1(対になっている位相差検出用画素のうち、例えば202とする)の詳細図を示す。これは、原理的には特開2000−156823号公報に開示されている構造と同一である。
図3(a)は位相差検出用画素S1を上部から見た図であり、図3(b)は図3(a)のB−B’断面である。この画素はカラーフィルタ層はもたず、最上部にマイクロレンズ301が形成されている。302はマイクロレンズを形成するための平面を構成するための平滑層、303は遮光膜である。そして遮光膜303に開口部303aが形成されている。また、304は平滑層、305は絶縁層である。
図4は位相差検出用画素S2(対になっている位相差検出用画素のうち、例えば203とする)の詳細図である。S1画素とは反対方向に画素中心から同距離のところに開口部303aをもつ。
次に、位相差方式による像のずれ検出について以下に説明する。
100万画素を越えるエリアセンサにおいては、図2の配列で、S1とS2では近似の像がマイクロレンズ上に結像される。いま撮像素子102に像を結ぶ撮影レンズ101が撮像素子102上でピントがあっているのであれば、S1からの像信号と、S2からの像信号は一致する。もし、ピントを結ぶ点が撮像素子102のイメージ面よりも前方か後方にあるならば、S1の像信号と、S2の像信号に位相差が生じる。そして、結像点が前の場合と後の場合では位相のずれ方向が逆になる。
図5、図6に位相差方式による焦点検出の概念図を示す。ここでは説明の簡略化のためにS1及びS2を同一の平面上に表す。図中、S1とS2のペアが同一のマイクロレンズで覆われているが、S1とS2が別々のマイクロレンズで覆われていても原理は同じである。
被写体の特定点からの光はS1にとっての瞳領域を通ってS1に入射する光束(L1)と、S2にとっての瞳領域を通ってS2に入射する光束(L2)に分けられる。この二つの光束は、カメラのピントが合っているときには、図5に示すようにマイクロレンズ表面上の一点に集光する。そしてS1及びS2には同一の像が露光される。これにより、S1から読み出した画像信号と、S2から読み出した画像信号は同一のものとなる。
一方、カメラのピントが合っていないときには、図6に示すように、L1とL2はマイクロレンズ表面とは異なる位置で交差する。マイクロレンズ表面と二つの光束の交点との距離すなわちデフォーカス量がxであったとする。また、この時に発生したS1の像とS2の像のずれ量がn画素分であり、センサピッチがd、二つの瞳の重心間の距離がDaf、撮影レンズの主点から焦点までの距離がuであったとする。この時デフォーカス量xは、
x=n×d×u/Daf …(1)
で求められる。さらに、uは撮影レンズの焦点距離fにほぼ等しいと考えられるので、
x=n×d×f/Daf …(2)
で求めればよい。
図7に撮像素子102上のS1から読み出した画像信号の様子とS2から読み出した画像信号の様子を示す。S1から読み出した画像信号とS2から読み出した画像信号には像のずれn×dが発生する。この二つの画像信号のずれ量を求め、これよりデフォーカス量xを求め、さらに撮影レンズ101をx移動すればオートフォーカスを達成することが可能となる。
ところで、上記のような像のずれを発生させるためには、レンズに入射する光のうち二つの異なる瞳を通った光束L1及びL2を分離する必要がある。本実施形態の方法は撮像素子102上に瞳分割の機能を持つフォーカス検出用セルを生成することにより、瞳分割を行う。これにより、光軸を中心として対称となる二つの瞳位置からの光束によりセンサ上に結像した像のうち、一方がS1によって光電変換され、もう一方がS2によって光電変換され、瞳位置の異なる二つの像が得られる。
位相差方式で焦点検出を行うときは、図1において撮像素子102からA/D変換部103を介して画像生成用の第1の信号および位相差検出用の第2の信号が位相差検出用信号抽出部113へ入力される。位相差検出用信号抽出部113では位相差検出用画素S1及びS2からの信号が抽出される。これによって得たS1及びS2の位相差検出用信号をデフォーカス量算出部107へ出力する。デフォーカス量算出部107では位相差検出用信号からS1による像とS2による像をそれぞれ生成し、二つの像の相関を演算することによって像のデフォーカス量を算出する。更に、算出したデフォーカス量をメモリ121に書き込む。デフォーカス量算出部107によって特定の領域のデフォーカス量をメモリ121から読み出した後、位相差評価部111へ出力する。位相差評価部111では、特定の領域のデフォーカス量に基づいて撮影レンズ101の駆動量、駆動方向を制御する第2の評価値を出力する。
次にコントラスト焦点検出ブロック112の具体的な動作について説明する。コントラスト焦点検出ブロック112は領域指示部120で選択された領域に対して、ピークホールド回路106からの読み出し値よりも積分回路105からのコントラスト評価値が大きくなる方向へ撮影レンズ101を駆動することによりコントラスト評価値の極大値を探索する。このときのコントラスト評価部114によるコントラスト評価値に応じた撮影レンズ101の駆動例を図8に示す。図8において、横軸はモータ駆動制御部110からモータ116に出力されるモータ制御信号に含まれる駆動パルス数、すなわち撮影レンズ101の移動位置を示す。縦軸は駆動パルス数に応じた各撮影レンズ位置において、第1および第2の信号から算出されるコントラスト評価値である。
コントラスト方式により撮影レンズ101を、例えば無限遠位置から至近方向に移動させていくと、ピークホールド回路106からの読み出し値より積分回路105からのコントラスト評価値が大きいという状態が続き合焦位置に近づいて行く。そして被写体に合焦する位置でコントラスト評価値は極大値を示す。現在の駆動方向に駆動するための制御信号を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。更に撮影レンズ101を駆動していくと、ピークホールド回路106からの読み出し値より積分回路105からのコントラスト評価値が小さくなる。この二つの評価値の逆転により合焦位置を検出する。従って、コントラスト評価部114は二つの評価値の大小関係を評価しながらモータ駆動制御部110を介してモータ116を駆動するように制御する。図8の矢印にて示すようにコントラスト評価値が一旦極大値に達しこれを過ぎることにより、ピークホールド回路106からの読み出し値に対して積分回路105からのコントラスト評価値が小さくなる。ピークホールド回路106からの読み出し値に対して積分回路105からのコントラスト評価値が所定値だけ下降したところで撮影レンズ101が合焦位置を通過したと判断する。従って、コントラスト評価値がピークホールド回路106からの読み出し値と等しくなる位置まで撮影レンズ101を逆方向に駆動させるための制御信号を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。そして積分回路105からのコントラスト評価値がピークホールド回路106からの読み出し値と等しくなると、撮影レンズ101を停止させるための制御信号を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。
次に図9を用いて周波数算出部117と周波数評価部118で行われる評価内容について説明する。
901は、カットオフ周波数がfp/2(=fs/20)のハイパスフィルタ(HPF)であり、A/D変換部103から受ける第1及び第2の信号の高周波帯域成分を抽出する。903は、HPF901で抽出された高周波成分を積分するための積分回路である。積分回路903の演算結果Hは、被写体が持つ高周波帯域の量を示す値である。
902はカットオフ周波数がfp/2のローパスフィルタ(LPF)であり、A/D変換部103から受ける第1及び第2の信号の低周波帯域成分を抽出する。904は、LPF902で抽出された低周波成分を積分するための積分回路である。積分回路904の演算結果Lは、被写体が持つ低周波帯域の量を示す値である。前述した位相差検出用画素の配置によって決まる周波数fpは不図示のCPU等から与えられる設定値である。これは固定値でも良いし、可変としても良い。
低周波帯域評価部905は、Lに重み付けのための補正係数kを乗じた積kLと、帯域判断基準値Aとを大小比較することによって、被写体が持つ低周波帯域成分を評価する。ここで帯域判断基準値Aとは、入力された被写体のコントラスト検出が可能かどうかを判定する基準値である。撮像素子102の感度などによりAの値が決定される。分布評価部906は、kLとHとを大小比較することによって、被写体が持つ周波数の分布を評価する。高周波帯域評価部907は、HとAを大小比較することによって、被写体が持つ高周波帯域成分を評価する。
シーン評価部119へは領域指示部120によって選択された領域に対する、低周波帯域評価部905、分布評価部906、高周波帯域評価部907からの評価結果が出力される。
次に、シーン評価部119で行われる被写体の判定と焦点検出方式の決定について図9、図11、図12を用いて説明する。
シーン評価部119は、領域ごとに入力される被写体の低周波帯域がコントラスト検出が可能かどうかを示す低周波帯域評価部905の評価値と、被写体の高周波帯域がコントラスト検出が可能かどうかを示す高周波帯域評価部907の評価値と、被写体がもつ周波数分布に対して精度の良い位相差方式による焦点検出が可能かどうかを示す分布評価部906の評価値に基づいて、領域ごとにシーン評価を行い、そのシーン評価結果を記憶しておく。また、シーン評価結果から焦点検出方式の判断を行い、焦点検出方式を選択する制御信号を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。シーン評価、シーン評価結果については後述する。
図9ではLにkを乗じた積kLを判定に用いる評価値としているが、本実施形態では理解を容易にするため係数k=1とする。
次に図11を用いて、位相差方式の信頼性を判定する条件について説明する。
図11−1は被写体を周波数分布で分類する条件を示した表である。A、kL、Hの大小関係によりa〜cに分類される。
図11−2は、第1及び第2の信号が表す撮影画像の周波数分布を、横軸を周波数、縦軸を撮影画像を積分回路903、904で積分した出力(以下、Powerと称する)とした平面上に示した図である。周波数fsによるサンプリングで折り返しが生じない周波数分布を示している。
周波数がfp/2以下の低周波帯域成分をL(横線を施した領域)、周波数がfp/2以上の高周波帯域成分をH(縦線を施した領域)としている。また、図11−3の斜線部は図9に示したAを前述の平面上に面積換算して示した図形である。この領域の境界線を図11−2から図11−9では破線で示している。
以下、図11−1に示したa〜cに分類される被写体について説明する。
(1)図11−1でaに分類される被写体
図11−1でaに分類されるのは、基準値Aと低周波帯域成分kLよりも高周波帯域成分Hが多い被写体である。aに判定されるとき、撮影レンズ101は合焦点付近にあると判断できる。このとき撮影画像が示す周波数特性の例としてA<kL<Hの場合を図11−4、kL<A<Hの場合を図11−6に示す。
(2)図11−1でbに分類される被写体
bに判定されるような高周波帯域成分が少ない周波数特性の例としてA<H<kLの場合を図11−5、H<A<kLの場合を図11−7、H<kL<Aの場合を図11−9に示す。これらは、高周波帯域成分Hが低周波帯域成分kLよりも小さいという特徴がある。
図11−1におけるbの分類を更に細分化すると、
(b1)被写体自体に高周波帯域成分が少ないため、デフォーカス量が所定値以内であっても高周波成分Hが少なく算出される場合
(b2)デフォーカス量が所定値より大きいため、被写体によらず高周波成分Hが少なく算出される場合
(b3)高周波成分Hが少ないと判定されたが、位相差方式による焦点検出の信頼性が低い場合
となる。
(b1)、(b2)に分類される被写体は低周波帯域成分Lに対して高周波帯域成分Hが少ないため、折り返しによる影響が小さいと考えられるので位相差方式による焦点検出が可能である。(b1)と判定されるのはデフォーカス量が所定値以内と算出された被写体である。(b2)と判定されるのは所定値より大きいデフォーカス量が算出された被写体である。このとき、撮影レンズ101の位置は合焦位置から離れていると判断できる。(b3)と判定されるのは位相差方式による焦点検出が困難な被写体の場合で、周期性を持つ被写体などが当てはまる。その例として周期性を持った被写体の像のずれを図12に示す。S1の像のある点P0に対して、S2の像の点P1,P2,P3,P4,P5,…では、像のずれ量がそれぞれN,3N,5N,7N,9N…と多数算出されて一意に求まらない。
(3)cに分類される被写体
cに分類されるのは低照度、低コントラストの被写体である。この被写体は、高周波帯域成分Hと低周波帯域成分kLのPowerが小さい。被写体が示す周波数特性の例としてkL<H<Aの場合を図11−8、H<kL<Aの場合を図11−9に示す。この被写体は精度の良い焦点検出を高速で行うのは困難である。従って後述する非合焦時の処理を行う。
以上に説明した焦点検出装置で行われる焦点検出処理の流れについて図10のフローチャートと図13A〜13Eを用いて説明する。
図13Aは撮像素子102に結像した被写体を示したものであり、人物の背景に樹木がある風景を示している。図13Bは、顔枠が分割領域よりも小さく設定された様子を示している。図中、太点線は分割領域の境界線、太実線の枠は顔枠を表している。この場合、顔枠の周辺に結像している樹木も顔枠と同一の分割領域に含まれてしまうので、分割領域内で遠近競合が発生する可能性がある。そこで本実施形態では、分割領域をさらに小さく分割する。図13Cは、顔枠が分割領域よりも大きく設定された様子を示している。図中、外側の太実線の枠は顔枠、太点線は分割領域の境界線を表している。この場合、シーン評価部119は顔枠に含まれる太実線で表した分割領域(図では18個の領域)に対してシーン評価や焦点検出を行う。図13Dは、顔枠が分割領域と同等の大きさに設定された様子を示している。この場合、分割領域の位置と顔枠の位置が適合していないと図13Dのように分割領域の中に背景が入ってしまう可能性があるので、分割領域の面積は変えずに、分割領域と顔枠の位置が合うように図13Eのように再分割する
焦点検出が開始されると、ステップS1001では図13Aに示した被写体に対して撮像素子102の領域を分割する。ステップS1002では、撮像素子102からの信号をもとに分割領域ごとに積分回路105が第1の信号を積分した後に領域ごとの積分結果をメモリ122へ書き込む。また、第2の信号をもとにデフォーカス量算出部107で分割領域ごとにデフォーカス量を算出してメモリ121へ書き込む。また、シーン評価部119にて分割領域ごとにシーン評価を行い、シーン評価結果を記憶しておく。積分の対象となる分割領域は領域指示部120が指定する。その後ステップS1003へ進む。
ステップS1003では、顔検出部(不図示)によって設定された顔枠とステップS1001にて分割した領域の面積を比較する。顔枠が分割領域よりも大きいと判定された場合(分割領域<顔枠)ステップS1007へ進む。顔枠が分割領域よりも小さいと判定された場合(分割領域>顔枠)ステップS1006へ進む。顔枠と分割領域が同程度と判定された場合(分割領域≒顔枠)ステップSS1004へ進む。
ステップS1004では、分割領域の面積を変えずに、領域の境界が顔枠の位置に近づくように領域を分割しなおしてからステップS1005へ進む。ステップS1005では、撮像素子102からの信号をもとに分割領域ごとに積分回路105が第1の信号を積分した後に領域ごとの積分結果をメモリ122へ書き込む。また、第2の信号をもとにデフォーカス量算出部107で分割領域ごとにデフォーカス量を算出してメモリ121へ書き込む。また、シーン評価部119にて分割領域ごとにシーン評価を行い、シーン評価結果を記憶しておく。積分の対象となる分割領域は領域指示部120が指定する。その後、ステップS1007へ進む。
ステップS1006では、分割領域の面積を更に小さくするように分割しなおしてからステップS1002へ進む。
ステップS1007では、顔枠に含まれる分割領域に対してシーン評価部119からシーン評価結果を読み出す。顔枠に含まれる全ての分割領域のシーン評価結果の中で、図11−1のa〜cのどの判定結果が多数を占める(以下、支配的と称する)かを判定する。顔枠に含まれる分割領域のシーン評価結果の中でaが支配的である場合は、設定された顔枠に対して周波数がfpの位相差検出用画素ではこれ以上の精度で焦点検出を行うことは困難である。そのため、顔枠に含まれるaと判定された分割領域に対してコントラスト方式で焦点検出を行うためにステップS1008へ進む。顔枠に含まれる分割領域のシーン評価結果の中でbが支配的である場合は、位相差方式による焦点検出を行うためにステップS1009へ進む。顔枠に含まれる分割領域のシーン評価結果の中でcが支配的である場合は、非合焦時の処理を行うためにステップS1013へ進む。
ステップS1008では、顔枠に含まれる分割領域のうち、シーン評価結果がaである分割領域に対して撮影レンズ101の駆動によるコントラスト方式で焦点検出を行う。図8に示すコントラスト評価値のピークはそれぞれの分割領域で異なる可能性があるので、例えば分割領域の多数決によってピーク位置を決定する。
ステップS1009では、顔枠に含まれる分割領域のうち、シーン評価結果がbである分割領域のデフォーカス量をメモリ121から読み出す。その後、ステップS1010へ進む。
ステップS1010では、メモリ121から読み出したデフォーカス量に基づいてシーン評価部119で被写体の焦点状態が判定される。位相差方式による焦点検出の信頼性が高いと判定されたとき、即ち、像のずれ量を一意に絞り込むことができたときは、上記のデフォーカス量に基づいて被写体判定を行うためにステップS1011へ進む。これに該当する被写体は上記の(b1)、(b2)である。位相差方式による焦点検出の信頼性が低いと判定されたとき、即ち、被写体に周期性があるために像のずれ量を一意に絞り込めないときは、コントラスト方式で焦点検出を行うためにステップS1008へ進む。これに該当する被写体は上記の(b3)である。
ステップS1011では、算出したデフォーカス量と所定値の比較により焦点状態を判定する。デフォーカス量が所定値以内のときは、現状の位相差検出用画素の配置間隔ではこれ以上精度の良い位相差焦点検出は困難なので、コントラスト方式で焦点検出を行うためにステップS1008へ進む。ここで上記の(b1)の被写体が識別される。デフォーカス量が所定値より大きいときは、まだ位相差方式で精度の良い焦点検出を行うことが可能なのでステップS1012へ進む。これは上記の(b2)に該当する。上記の所定値とは、位相差検出用画素の配置によって決まる周波数fpに依存する。
ステップS1012では、分割領域ごとにデフォーカス量が異なる可能性があるので、分割領域ごとのデフォーカス量による多数決や平均を求めることによってデフォーカス量の代表値を決定する。決定したデフォーカス量から撮影レンズ101の駆動量と駆動方向を算出する。このとき、その算出結果に基づいた第2の評価値を焦点検出方式切り替え部109へ出力する。焦点検出方式切り替え部109は、撮影レンズの駆動量と駆動方向に基づいた第2の評価値をモータ駆動制御部110へ伝送する。モータ駆動制御部110は、入力された評価値からモータ制御信号を生成し、モータ116へ供給することにより撮影レンズ101を駆動する。その後ステップS1007へ進む。
ステップS1013では、撮像レンズ101を現在位置に停止させることにより焦点検出が困難な被写体の焦点検出を中断する。モータ駆動制御部110はモータ116に対して停止させる制御信号を出力する。処理後、焦点検出を終了する。
以上の構成により、前述した従来の課題に対しては以下の効果がある。
特開平08−248303号公報で開示されている焦点検出装置に対しては、位相差検出の信頼性を評価する際に、周期性がある被写体などといった位相差方式では苦手な被写体に対してはコントラスト方式で焦点検出を行っているので、高精度な焦点検出が可能となる。
特開平08−075997号公報で開示されている焦点検出装置に対しては、撮像画素からの信号をもとに位相差方式の信頼性を評価しているので、無駄な信頼性判定演算を行うことは無い。また周期性のある被写体に対しては、コントラスト方式で焦点検出を行っているので、高精度な焦点検出が可能となる。
以上より、本実施形態は、撮像素子102を複数の領域に分割することで、より高精度に被写体に対して焦点検出を行うことができ、遠近競合による誤合焦を低減することができる。

Claims (2)

  1. 撮影レンズにより結像される被写体像を光電変換して画像生成用の第1の信号を出力する第1の光電変換セルと、前記撮影レンズの瞳領域を分割して、分割された瞳領域からの被写体像を光電変換して位相差検出用の第2の信号を出力する第2の光電変換セルとを有する撮像素子と、
    少なくとも前記第1の信号を受けてコントラスト方式の焦点検出を行い、焦点調節のための第1の評価値を出力する第1の焦点検出手段と、
    前記第2の信号を受けて位相差方式の焦点検出を行い、焦点調節のための第2の評価値を出力する第2の焦点検出手段と、
    前記撮像素子の画面を複数の分割領域に分割し、該分割領域ごとに前記第1の評価値と前記第2の評価値とに基づいて、前記第2の焦点検出手段の焦点検出の信頼性を評価する評価手段と、
    前記評価手段による評価結果に基づいて、前記第1の焦点検出手段による第1の評価値と前記第2の焦点検出手段による第2の評価値のどちらを用いて前記撮影レンズを駆動するかを決定する選択手段と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記評価手段は、被写体の顔を検出する顔検出手段をさらに備え、該顔検出手段により設定された顔枠と前記分割領域の大きさを比較し、前記顔枠の方が前記分割領域よりも小さい場合に、該分割領域をさらに小さい領域に再分割することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
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