JP2010203594A - 免震構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気ばねを常時の内圧の負担から解放し、強制的な空気の漏れと強度低下を回避する形態で使用する。
【解決手段】互いに分離した上部構造1と下部構造2が鉛直方向に対向する空間に、下部構造2に対する上部構造1の水平方向の相対移動を許容する水平免震装置3を設置し、上部構造1と下部構造2が水平方向に対向する2方向の空間に、下部構造2に対する上部構造1の水平方向の相対移動を制限する空気ばね4を設置する。
上部構造1と下部構造2との間に介在する各空気ばね4に、外気を取り込む吸込み口10が接続された連通管6を接続する。
連通管6に空気ばね4内部の空気の漏れを阻止する逆止弁11を接続する。
【選択図】図1

Description

本発明は免震支持された上部構造の下部構造に対する相対移動を制限するために空気ばねを利用した免震構造物に関するものである。
空気ばねはゴム製の袋(容器)内に空気を注入して使用されることで、取り扱いが容易であることから、上部構造を長周期化するための免震装置としての利用可能性が増している(特許文献1〜3参照)。
但し、空気ばねが鉛直方向の免震装置として使用される場合、空気ばねは常に上部構造の鉛直荷重を負担した状態に置かれるため、荷重支持能力を発揮し続けるには内部の空気圧が一定値以上に維持されることが必要である。
鉛直方向の免震装置としての空気ばねは上部構造の鉛直荷重を負担しながら、鉛直方向の振動を遮断するために使用されるが、外部から圧力を受けた状態では内部の空気が時間の経過と共に徐々に漏れていく特性があるため、上部構造の鉛直荷重を常時、負担した状態では内部の空気圧の監視が不可欠であり、空気圧の低下が生じたときには補給を必要とする。
またゴムの内部に注入される加圧空気によりゴムが長時間、伸長状態に置かれたときにはクリープによってゴムの強度が低下する可能性があるため、外部からの加圧状態が継続することは空気ばねの性能を低下させる原因になり、強度低下が著しい場合には空気ばね自体の交換を必要とする。
特開2001−271869号公報(段落0018、図1) 特開2004−69067号公報(段落0012〜0014、0026〜0028、00153〜0154、図21、図31) 特開2008−121328号公報(請求項1、段落0013〜0025、図1)
従って空気ばねを上部構造の振動を吸収する免震装置としての機能を有効に発揮させるには、空気ばねが常時、鉛直荷重を負担した状態にならないように使用されることが適切である。
しかしながら、上記特許文献を含め、従来は空気ばねを常時、鉛直荷重を負担する状態で使用し、空気ばねに高い内圧を与えているため、空気ばねは常に空気の漏れが生じると同時に、内圧の負担によりクリープによる強度低下が進行する状態に置かれている。
本発明は上記背景より、空気ばねを常時の内圧の負担から解放し、強制的な空気の漏れと強度低下を回避する使用形態の免震構造物を提案するものである。
請求項1に記載の発明の免震構造物は、互いに分離した上部構造と下部構造が鉛直方向に対向する空間に、前記下部構造に対する前記上部構造の水平方向の相対移動を許容する水平免震装置が設置され、前記上部構造と前記下部構造が水平方向に対向する2方向の空間に、前記下部構造に対する前記上部構造の水平方向の相対移動を制限する空気ばねが設置されていることを構成要件とする。
空気ばねが、上部構造と下部構造が水平方向に対向する空間に設置され、鉛直方向に対向する空間に設置されないことで、地震が発生するまでの平常時、すなわち上部構造が下部構造に対して水平方向に相対移動を生ずるまでの間(待機期間中)、空気ばねが上部構造の荷重を内圧として負担することがないため、空気ばねが常に上部構造の鉛直荷重を負担することによる内圧の低下がなくなる。内圧の低下は空気の自然な漏れによってのみ発生することになる。
従って待機期間中には自然な空気の漏れによる内圧の低下の有無を定期的に監視すればよいため、常時の空気圧の監視が不要になり、空気の補給は内圧の低下が認められたときに行われれば足りる。また空気ばねが常時、内圧を維持することに起因するクリープによる強度低下もなくなるため、待機期間中には空気ばねの交換の必要性が発生せず、空気ばねに対する維持管理が簡略化(軽減)される。
上部構造と下部構造が水平方向に対向する空間に空気ばねが配置されることで、上部構造が下部構造に対して水平方向に相対移動を生じたときには、相対移動をした側に位置する空気ばねが圧縮力を負担することにより上部構造に生じている相対移動を停止させるように作用する。空気ばねは圧縮力を負担するときに、収縮しようとすることにより上部構造の下部構造に対する相対速度を低減させ、上部構造が逆向きに相対移動する以前に上部構造を静止させるように作用する。
また上部構造と下部構造との間に介在する各空気ばねに、外気を取り込む吸込み口が接続された連通管が接続されている場合には(請求項2)、空気ばね内部の圧力が例えば大気圧より低下した場合に吸込み口から空気ばね内部に外気を取り込み、自然な空気の漏れ分を補うことが可能になる。あるいは逆に、空気ばねが上部構造と下部構造間に挟み込まれ、圧縮力を受けることで、空気ばね内部の圧力が一定値を超えたときに空気ばねから空気を排出し、空気ばねを衝撃吸収のための緩衝部材として利用することも可能になる。
連通管に吸込み口が接続されている場合に(請求項2)、更に連通管に空気ばね内部の空気の漏れを阻止する逆止弁が接続されている場合には(請求項3)、例えば地震発生時に空気ばね内部に上部構造の相対移動を静止させるために十分な空気が注入されていない状況下でも、空気ばね内部に空気を自動的に取り込むことが可能である。すなわち上部構造が正負の向き(交互)に相対移動する度に、空気ばねの内部に空気を取り込み、地震を受けるまでの待機期間中に空気が漏れた分を補うこと、あるいは予め十分な空気が注入されていない状況下においても不足分を補うことが可能である。
外気を取り込むための吸込み口は連通管の端部に接続されるが、逆止弁は吸込み口から取り込まれた空気、及び空気ばね内部の空気を連通管から漏らさないために接続されるため、吸込み口の空気ばね寄りに接続される。連通管への逆止弁の接続によって空気ばね内部の圧力が大気圧を超えた場合でも空気ばね内部の空気が外部に漏れることはなくなる。
空気ばねが上部構造と下部構造との間に設置された状態で、地震を受けることなく時間が経過した場合、空気ばね内部の空気は時間の経過に伴い、空気ばねの容器である袋から次第に外部に漏れていき、大気圧と平衡しようとするため、実際に地震を受けたときに空気ばねの内部に十分な空気が残存していない(内圧が確保されていない)ことが想定される。このような場合でも、地震時の振動を利用して空気ばね内部に外気が取り込まれることで、事前に、あるいは常に空気ばね内部の圧力を一定値以上に維持しておく必要がなくなり、空気ばねに対するメインテナンスが不要になる。
地震を受けて上部構造がいずれか一方側へ相対移動したときに、その相対移動を生じた側に位置する空気ばねは大気圧より高い圧力の正圧の状態になり、反対側の空気ばねは大気圧より低い圧力の負圧の状態になる(図1、図2)。ここで、空気ばねに逆止弁が接続された場合には(請求項3)、相対移動を生じた側の空気ばね内部の圧力が大気圧より高くなるため、空気ばね内部に外気が取り込まれることはないが、反対側の空気ばね内部の圧力は大気圧より低くなるため、圧力差によって自然に空気ばね内部に外気が取り込まれる。このとき、正圧側の空気ばね内部の圧力は大気圧より高くなるが、吸込み口の空気ばね側に逆止弁が接続されていることで、前記のように空気ばね内部の空気が連通管を通じて外部に漏れることはない。
負圧側の空気ばねの内部に吸込み口から外気が取り込まれることで、上部構造が逆向きに相対移動したときに、その側の空気ばねは既に空気が注入された状態になっているため、上部構造と下部構造との間に挟み込まれたときに圧縮力を負担し、上部構造の移動を静止させることに備えることが可能になっている。
上部構造が上記のように一方側へ相対移動して静止した後に、他方側へ(逆向きに)相対移動したときには、その側の空気ばねが正圧になり、反対側の空気ばねが負圧になるため、その負圧側の空気ばね内部に外気が取り込まれる。このように上部構造が正負の向きに交互に相対移動を繰り返すことで、相対移動を生ずる方向にある両側の空気ばねの内部に自然に外気が取り込まれていく一方、空気ばね内部の圧力が正圧になっても空気が漏れることがないため、空気ばね内部には上部構造の相対移動によって次第に外気が注入され、圧力が上昇していくことになる。
上部構造が相対移動を開始することによって空気ばね内部の圧力が次第に上昇していくことで、上部構造が相対移動を開始する以前(地震を受ける前)の時点で、空気ばね内部の圧力が低下していても、空気ばねは上部構造の相対移動時の相対速度を低減させる機能を発揮することになる。
前記のように空気ばねは上部構造と下部構造が水平方向に対向する空間に介在することで、圧縮力を負担するときに収縮しようとするため、上部構造の下部構造に対する相対速度を低減させ、上部構造が逆向きに相対移動する以前に上部構造を静止させるように作用する。但し、例えば空気ばねが高い気密性を有し、圧縮力を受けたときにも内部の空気が漏れない構造をしている場合には、空気ばねが上部構造から圧縮力を負担したときに、内部圧力が上昇し、復元力を発揮する状態になることが想定され、復元力の発揮により圧縮力の負担後、上部構造を逆向きに押すことが想定される。
そこで、下部構造に対する上部構造の水平方向の相対移動時に、その相対移動を生じた側に位置する空気ばねが圧縮力を負担しながら、内部の空気を排出することにすれば(請求項4)、空気ばねは圧縮力を負担したときに空気ばね内部の過剰な空気が排出され、復元力を発揮することがなくなるため、圧縮時に上部構造を逆向きに押し出す事態が回避される。空気ばねが圧縮力を負担したときに空気ばね内部の過剰な空気が排出されることは、空気ばねに、あるいは吸込み口に流量制御弁や圧力制御弁等が接続されることで可能になる。この場合、空気ばね内部の圧力が一定値を超えたときに内部の空気が流量制御弁等から外部に排出される。
空気ばねが圧縮力を負担しながら、内部の空気を排出することはこの他、空気ばねが上部構造を挟んで両側に配置され、この上部構造を挟んで両側に位置する空気ばねが互いに連通していることによっても可能になる(請求項5)。具体的には上部構造を挟んで一方側に位置し、上部構造の相対移動時に圧縮力を負担した空気ばね内部の空気が他方側に位置する空気ばねに送られることにより(請求項6)、空気ばねが圧縮力を負担したときに過剰な空気を排出することが可能になる。
この場合、上部構造を挟んで両側に位置する空気ばねの内、一方の空気ばねが圧縮力を受け、内部圧力が上昇したときに、余剰の空気が上部構造を挟んだ他方の空気ばねに流入することで、一方の空気ばねでは上部構造の移動を静止させるように作用する。このとき、他方の空気ばねでは内部に空気が充填されることで、一方側へ上部構造が移動した後に逆向きに移動するときの上部構造を静止させるために備える態勢が整うことになる。
上部構造と下部構造が水平方向に対向する2方向の空間に、下部構造に対する上部構造の水平方向の相対移動を制限する空気ばねを設置し、平常時に空気ばねが上部構造の荷重を内圧として負担することがない状態に維持するため、常時、鉛直荷重を負担することに起因して空気ばねの内圧が低下する事態を解消することができる。また空気ばねが常時、内圧を維持することに起因するクリープによる強度低下もなくなるため、待機期間中には空気ばねに対するメインテナンス及び交換の必要性が発生しない。
上部構造と下部構造、及び空気ばねとの関係を示した立面図であり、上部構造が下部構造に対して右側へ相対移動したときの様子を示している。 上部構造が下部構造に対して左側へ相対移動し、左右の空気ばねの圧力が反転したときの様子を示した立面図である。 上部構造とその周囲に配置される空気ばねの配置関係を示した平面図である。 (a)は上部構造に生じた振動の時間の経過に伴う振幅の変化を示したグラフ、(b)は上部構造の振動に連動した空気ばね内部の圧力上昇の様子を示したグラフである。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は互いに分離した上部構造1と下部構造2が鉛直方向に対向する空間に、下部構造2に対する上部構造1の水平方向の相対移動を許容する水平免震装置3が設置され、上部構造1と下部構造2が水平方向に対向する2方向の空間に、下部構造2に対する上部構造1の水平方向の相対移動を制限する空気ばね4が設置されている免震構造物の一例を示す。
水平免震装置3には積層ゴム支承、転がり支承、滑り支承等の免震装置が使用可能であるが、図面では上部構造1の下部構造2に対する相対移動を鉛直方向の相対移動(回転振動(ロッキング振動))を伴わないように発生させるために、滑り支承、もしくは転がり支承を使用している。水平免震装置3は全体で上部構造1を均等に支持するために上部構造1の下面と下部構造2との間に複数、分散して配置される。
空気ばね4は上部構造1が下部構造2に対して水平方向に相対移動を生じたときに、圧縮力を負担することにより相対移動を制限する働きをすることから、上部構造1の周囲と下部構造2との間に空気ばね4を設置するための空間(ピット5)が確保され、このピット5に空気ばね4が設置され、上部構造1と下部構造2の双方に接続される。
空気ばね4は上部構造1の水平2方向の振動に対して上部構造1の速度を低減する働きをするよう、上部構造1と下部構造2が水平方向に対向する2方向の空間(ピット5)に配置される。すなわち、空気ばね4は図1、図3に示すように上部構造1の周囲に、上部構造1を2方向から包囲し、上部構造1の下部構造2に対する相対移動時に圧縮力を受ける(正圧となる)空気ばね4と引張力を受ける(負圧となる)空気ばね4が対になるように配置される。
空気ばね4は軸が水平方向を向いた状態で上部構造1と下部構造2との間に配置され、上部構造1の相対移動時に軸方向圧縮力を負担することにより上部構造1の相対移動時の速度を低減させる働きをする。下部構造2は上部構造1と鉛直方向に対向しながら、上部構造1の周囲を包囲し、上部構造1との間にピット5を形成した状態で構築される。
図面ではまた、上部構造1の両側に位置し、対となる各空気ばね4に、上部構造1の下部構造2に対する相対移動時に負圧となる側の空気ばね4内に空気を取り込むための、外気に連通した連通管6が接続された場合を示しているが、各空気ばね4に接続された連通管6、6は互いに連通することもある。
免震構造物は上部構造1の下部構造2に対する平面上の位置調整が完了した状態で使用に供されるが、上部構造1の位置調整は各連通管6に左右位置調整バルブ7を介してコンプレッサー8を接続し、左右位置調整バルブ7の位置を切り換えた状態で、各連通管6に個別に、モータ9等の動力によりコンプレッサー8から圧縮空気を供給することが行われる。
左右位置調整バルブ7は対となる空気ばね4、4のいずれか一方にコンプレッサー8から空気を供給するために切り換えられる。左右位置調整バルブ7が図1に示す中立位置から右側に移動した状態ではコンプレッサー8からの空気は上部構造1の左側の空気ばね4に供給され、左側に移動した状態では右側の空気ばね4に供給される。上部構造1の両側に位置し、対となる両空気ばね4、4への空気の供給によりそれぞれの空気ばね4内部の圧力が調整され、上部構造1の下部構造2に対する平面上の位置が調整される。
上部構造1の平面上の中心が下部構造2の平面上の中心に位置するように両空気ばね4の圧力の調整が終了した時点で、左右位置調整バルブ7を中立位置(閉鎖状態)に戻し、圧縮空気の供給が停止させられる。左右位置調整バルブ7が中立位置に切り換えられた状態では、コンプレッサー8からの空気の供給は行われない。
各空気ばね4に接続された連通管6には、空気ばね4内部に外気を取り込むための吸込み口10が接続される。図面では吸込み口10からは外気の取り込みのみが行われ、空気ばね4内部の空気が漏れ出さないよう、吸込み口10に逆止弁11を接続しているが、逆止弁11は必ずしも接続される必要はない。免震構造物が使用に供される前の段階では、吸込み口10からは左右位置調整バルブ7が中立位置に切り換えられた状態で、連通管8を通じて空気ばね4内部に外気が取り込まれる。逆止弁11は吸込み口10の空気ばね4寄りに位置し、吸込み口10とは直列に接続される。
吸込み口10は大気圧下に置かれ、空気ばね4内部の圧力が大気圧(0.1MPa)より低下した(負圧になった)ときに自然に吸込み口10から外気が連通管8内に流入する。空気ばね4内部の圧力が大気圧より上昇した(正圧になった)ときには、逆止弁11が連通管8からの空気の流出を阻止するため、空気ばね4からの空気の漏れは生じない。
免震構造物が使用に供された状態で、上部構造1が図1に示すように地震により下部構造2に対して水平方向(右側)に相対移動したとき、相対移動した側(図1中、右側)に位置する空気ばね4は上部構造1と下部構造2に挟み込まれ、圧縮力を受けることで、正圧の状態になり、上部構造1を挟んで反対側(図1中、左側)に位置する空気ばね4は引張力を受けることで、負圧の状態になる。
このとき、正圧となる側の空気ばね4内部の空気は圧縮力を受けることで、外部に漏れ出そうとするが、この空気ばね4に接続された連通管6に接続されている逆止弁11によって空気の漏れ出しが阻止されるため、正圧側の空気ばね4内部の空気はその空気ばね4に留まる。一方、負圧側の空気ばね4には前記のようにその空気ばね4内部の圧力が大気圧より低下することで、吸込み口10から外気が流入し、空気ばね4の内部に空気が充填(補給)される。
図1に示す状態から上部構造1が下部構造2に対して逆向き(左側)にある程度、相対移動したときには、図2中、左側に位置する空気ばね4が正圧になり、右側に位置する空気ばね4が負圧になるため、左側の空気ばね4内部の空気は漏れることはなく、右側の空気ばね4内部には外気が流入し、空気が補給される。結局、上部構造1の正負の相対移動が繰り返されることで、上部構造1の両側に位置する空気ばね4、4内部には順次、空気が補給され、空気ばね4の内圧が上昇していくことになる。
このように上部構造1が地震を受けて正負の向きに交互に相対移動を繰り返すことで、相対移動の方向にある空気ばね4、4の内部に空気が補給されていくため、地震を受ける以前に空気ばね4内部の空気が自然に漏れ出している場合にも、上部構造1が相対移動を開始することで、空気ばね4が上部構造1と下部構造2の衝突を回避しながら、相対移動時の速度を低下させる働きをすることが可能になっている。従って免震構造物が使用に供される時点で、空気ばね4の内部に十分な空気が充填(注入)されていない状況でも、上部構造1の相対移動の開始により空気ばね4は上部構造1の速度を低減させる機能を発揮可能な状態に移行することができる。
図4−(b)は上部構造1に図4−(a)に示す一定の振幅の振動が生じたときの、振動に伴う空気ばね4内部の圧力上昇の様子を示している。(a)、(b)共、横軸が時間(s)を示している。(a)では縦軸に上部構造1の変位量(cm)を、(b)では空気ばね4内部の圧力(MPa)を示している。図4−(a)、(b)より上部構造1が5回、振動を繰り返した時点で(5秒後)、空気ばね4内部の圧力が最大値(約0.95MPa)に到達していることが分かる。
図1に示すように逆止弁11が接続された連通管6が空気ばね4に接続された場合、上部構造1が下部構造2に対していずれかの向きに相対移動し、その側の空気ばね4が圧縮力を受けたとき、空気ばね4から空気が漏れることがないから、空気ばね4は上部構造1の振動を積極的に減衰させるエネルギ吸収の機能を持たない。このため、図面では上部構造1と下部構造2との間に振動減衰装置(エネルギ吸収装置)12を架設し、上部構造1が相対移動を生ずる毎に上部構造1の振動を減衰させている。
上部構造1と下部構造2との間に架設される振動減衰装置12には軸方向の相対移動を利用したオイルダンパー、摩擦ダンパー等が使用されるが、振動減衰装置12は粘性ダンパー等、ダンパーの形態によっては水平免震装置3内に組み込まれることもある。
1……上部構造、2……下部構造、
3……水平免震装置、4……空気ばね、5……ピット、
6……連通管、7……左右位置調整バルブ、
8……コンプレッサー、9……モータ、
10……吸込み口、11……逆止弁、
12……振動減衰装置。

Claims (6)

  1. 互いに分離した上部構造と下部構造が鉛直方向に対向する空間に、前記下部構造に対する前記上部構造の水平方向の相対移動を許容する水平免震装置が設置され、前記上部構造と前記下部構造が水平方向に対向する2方向の空間に、前記下部構造に対する前記上部構造の水平方向の相対移動を制限する空気ばねが設置されていることを特徴とする免震構造物。
  2. 前記上部構造と前記下部構造との間に介在する各空気ばねに、外気を取り込む吸込み口が接続された連通管が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の免震構造物。
  3. 前記連通管に前記空気ばね内部の空気の漏れを阻止する逆止弁が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の免震構造物。
  4. 前記下部構造に対する前記上部構造の水平方向の相対移動時に、その相対移動を生じた側に位置する空気ばねが圧縮力を負担しながら、内部の空気を排出することを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の免震構造物。
  5. 前記空気ばねは前記上部構造を挟んで両側に配置され、この上部構造を挟んで両側に位置する前記空気ばねは互いに連通していることを特徴とする請求項4に記載の免震構造物。
  6. 前記上部構造を挟んで一方側に位置し、前記上部構造の相対移動時に圧縮力を負担した空気ばね内部の空気は他方側に位置する空気ばねに送られることを特徴とする請求項5に記載の免震構造物。

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