JP2010200620A - 細胞培養膜、細胞培養キット、細胞培養膜の製造方法、及び細胞の立体培養方法 - Google Patents

細胞培養膜、細胞培養キット、細胞培養膜の製造方法、及び細胞の立体培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】天然資源であるデオキシリボ核酸を利用し、生体親和性のある細胞培養膜を提供する。
【解決手段】細胞培養膜が、多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は細胞培養技術に関し、特に細胞培養膜、細胞培養キット、細胞培養膜の製造方法、及び細胞の立体培養方法に関する。
生体に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)は極めて大きな分子量を有する。よってDNAは、溶媒キャスト法等によってフィルム化することが可能である。しかしDNAをキャスティングしただけのDNAフィルムは水溶性であり、用途が限定される。そのためDNAのナトリウム塩とアルキル型4級アンモニウムカチオン性脂質を混合し、不溶性のDNAフィルムを作製する方法が提案された(例えば、特許文献1参照。)。アルキル型4級アンモニウムカチオン性脂質を用いて作製されたDNAフィルムは偏光フィルムとして利用されている。
DNAは鮭の白子に約10%含まれている。鮭の白子は食材に用いられないためほとんど廃棄されており、環境問題となっている。したがって天然資源であるDNAを偏光フィルム以外の用途に利用することが望まれている。そのためDNAフィルムを細胞培養用の基底膜である細胞培養膜として利用することが検討された。しかし、アルキル型4級アンモニウムカチオン性脂質を用いて作製されたDNAフィルムは抗菌性及び防カビ性を有し、生体適合性がない。そのため従来のDNAフィルムを細胞培養膜として利用することは不可能であった。
特開平8-239398号公報
本発明は、天然資源であるDNAを利用し、生体親和性のある細胞培養膜、細胞培養キット、細胞培養膜の製造方法、及び細胞の立体培養方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜であることを要旨とする。
本発明の第2の特徴は、(イ)多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を含む細胞培養膜と、(ロ)細胞培養膜に接着している細胞とを備える細胞培養キットであることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、(イ)デオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、(ロ)1価のカチオンを多価の有機カチオンに交換し、デオキシリボ核酸を多価の有機カチオンでイオン架橋するステップとを含む細胞培養膜の製造方法であることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜上で細胞を立体培養する細胞の立体培養方法であることを要旨とする。
本発明によれば、天然資源であるDNAを利用し、生体親和性のある細胞培養膜、細胞培養キット、細胞培養膜の製造方法、及び細胞の立体培養方法を提供可能である。
本発明の実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法のフローチャートである。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るチューブの模式図である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るボトルの第1の模式図である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るボトルの第2の模式図である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るシャーレの第1の模式図である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るシャーレの第2の模式図である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るシャーレ及び細胞培養膜の模式図である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第1の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第2の実施例に係るアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第3の実施例に係る平均分子量が1000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第3の実施例に係る平均分子量が15000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第4の実施例に係る平均分子量が1000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第4の実施例に係る平均分子量が15000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス軟骨細胞(ATDC5)の写真である。 本発明の実施の形態の第5の実施例に係る平均分子量が1000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第5の実施例に係る平均分子量が15000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第6の実施例に係る平均分子量が1000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。 本発明の実施の形態の第6の実施例に係る平均分子量が15000のアリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜上のマウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)の写真である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
実施の形態に係る細胞培養膜は、多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸(DNA)からなる。多価の有機カチオンとは、例えば2価以上の有機単分子カチオン又は2価以上の有機ポリマーカチオンである。例えば2価以上の有機単分子カチオンとは、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等のジアミン類、メラミン及びトリメチレントリアミン等の多価アミン類、リジン及びアルギニン等の塩基性アミノ酸類等である。また多価の有機ポリマーカチオンとは、アリルアミン重合体であるポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンジアミン)、ポリ(アルギニン)、ポリ(α-又はε-リジン)、及びキトサン等の塩基性ポリアミンである。
例えばアリルアミン重合体の平均分子量は2000未満であり、好ましくは1000である。平均分子量1000のアリルアミン重合体としては、日東紡のPAA-01が使用可能である。平均分子量が2000以上のアリルアミン重合体で架橋されたDNAからなる細胞培養膜上では、一部の細胞が死滅する場合がある。これに対し、平均分子量が1000のアリルアミン重合体で架橋されたDNAからなる細胞培養膜上では、細胞は死滅することなく、長期間増殖を続ける。アリルアミンの構造を化学式(1)に、アリルアミン重合体の構造を化学式(2)に示す。
多価の有機カチオンは、2価の有機単分子カチオン、2価の有機ポリマーカチオン、3価の有機単分子カチオン、及び3価の有機ポリマーカチオンに限定されない。
実施の形態に係る細胞培養膜は透明であり、光学顕微鏡による観察に適している。さらに実施の形態に係る細胞培養膜上で、細胞は多層を形成する。したがって実施の形態に係る細胞培養膜は、細胞の立体培養に適している。
多価の有機カチオンが多価の有機単分子カチオン又は多価の有機ポリマーカチオンである場合、実施の形態に係る細胞培養膜は、細胞培養液中で少なくとも2日間溶解せず、形態を維持することが可能である。特に2価の有機ポリマーカチオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を使用すると、長期間細胞を培養することが可能である。
多価の有機単分子カチオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜は、細胞培養液中で2日間以上経過すると、徐々に溶解していく。したがって細胞を短期間培養し、その後、細胞を細胞培養膜ごと動物等の体内に移植する場合、2価の有機単分子カチオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜を使用するとよい。生体内に移植後、細胞培養膜は溶解するため、細胞培養膜を取り出す手術をする必要がなくなる。
次に、図1に示すフローチャートを用いて実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法について説明する。
(a) ステップS100で鮭の白子又はホタテ貝のウロ等をホモジナイザーで均質化する。次に、均質化された鮭の白子又はホタテ貝のウロをろ過し、第1のろ過液を得る。ステップS101で第1のろ過液にプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素を加え、第1のろ過液に含まれるタンパク質を分解する。その後、ステップS102で第1のろ過液のpHを調整し、ステップS103で第1のろ過液に含まれるタンパク質を除去する。ステップS104で第1のろ過液をカーボン処理する。
(b) ステップS105で第1のろ過液をろ過し、第2のろ過液を得る。ステップS106で第2のろ過液にエタノールを添加し、精製されたDNAと1価のカチオンの塩であるDNAのナトリウム塩を析出させる。その後DNAのナトリウム塩を乾燥させる。なおDNAは、1本鎖でも2本鎖でもよい。DNAの分子量は、例えば100kDaから10,000kDaである。なお、以下の実施例においては、平均分子量が6,600kDaのDNAを使用した。
(c) ステップS200でDNAのナトリウム塩を超純水に溶解し、濃度が7.5g/lのDNA水溶液を調整する。ステップS201でDNA水溶液を直径が100mmのシャーレの底面等の平面上に滴下し、DNA水溶液を乾燥させることにより、シャーレの底面にDNAのナトリウム塩からなる水溶性フィルムを形成する。ステップS202で、多価の有機カチオンとして平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、製品名PAA-01)を準備する。次にアリルアミン重合体の水溶液を塩酸(HCl)でpH5に調整し、水溶液中におけるアリルアミン重合体の濃度を10wt%にする。
(d) ステップS203で、アリルアミン重合体の水溶液中に、DNAのナトリウム塩からなる水溶性フィルムを3時間以上浸す。水溶性フィルムをアリルアミン重合体の水溶液中に浸すことにより、ナトリウムイオンがポリカチオンに交換され、アリルアミン重合体でDNAがイオン架橋される。イオン架橋されたゲル状のDNAを細胞培養膜として回収し、実施の形態に係る細胞培養膜の製造方法を終了する。
なお市販のDNAを使用する場合は、ステップS100乃至ステップS106を省略してもよい。また細胞培養膜を回収した後、細胞培養膜を超純水で洗浄し、乾燥してもよい。
(第1の実施例)
まず500mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM: Dulbecco Modified Eagle Medium)に、重量濃度が10%となるようにウシ胎児血清(FBS: Fetal Bovine Serum)を添加し、さらに重量濃度が1%となるようにペニシリン−ストレプトマイシン(Penicillin Streptomycin)を添加して、細胞培養液を調整した。次に図2に示す凍結保存用チューブ61中のマウス軟骨細胞(ATDC5)を含む-80℃で凍結された細胞凍結保存液62を解凍した。解凍された細胞凍結保存液62を図3に示すボトル63に滴下し、さらに細胞培養液をボトル63に滴下した。その後、マウス軟骨細胞を細胞培養液で懸濁し、第1の懸濁液64を得た。
ボトル63を回転速度2000rpmで5分間回転させ、図4に示すように第1の懸濁液64に含まれていたマウス軟骨細胞65を沈殿させた。次に沈殿したマウス軟骨細胞65を細胞培養液で懸濁し、第2の懸濁液を得た。その後、図5に示すように直径100mmのシャーレ66に第2の懸濁液67を滴下し、37℃、5%の二酸化炭素(CO2)濃度でマウス軟骨細胞を培養した。シャーレ66の底面でマウス軟骨細胞がコンフルエントになった後、シャーレ66中の細胞培養液を吸引除去した。次にマウス軟骨細胞をリン酸バッファ(PBS)で洗浄し、洗浄後リン酸バッファを吸引除去した。その後、5mlのトリプシン−EDTAをシャーレ66に滴下し、37℃で5分間インキュベートした。トリプシン−EDTAによってシャーレ66の底面から剥離したマウス軟骨細胞を遠心分離し、細胞培養液で懸濁した。
次に図6に示すように、6個のウェル111A, 111B, 111C, 111D, 111E, 111Fが設けられたシャーレ101を用意した。さらに図7に示すように、ウェル111Aの底面にカルシウムイオンでイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10Aを配置し、ウェル111C, 111Dの底面に茶褐色で平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-01)でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10C, 10Dをそれぞれ配置した。細胞培養膜10C, 10Dのそれぞれは正方形である。また細胞培養膜10Cの膜厚は10μmであり、細胞培養膜10Dの膜厚は20μmである。なおウェル111A〜111Dの底面に配置される前に、細胞培養膜10A, 10C, 10Dを体積濃度が70%のエタノールで30分間滅菌した。その後、ウェル111A〜111Fのそれぞれを細胞培養液で満たし、マウス軟骨細胞をまいた。
カルシウムイオンで架橋されたDNAからなる細胞培養膜10Aは、ウェル111Aに細胞培養液を満たしてから3日後に、細胞培養液に溶けてなくなった。ただしマウス軟骨細胞は、細胞培養膜10Aが細胞培養液に溶けてなくなるまで細胞培養膜10Aに接着していた。これに対し、アリルアミン重合体でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜10C, 10Dは、ウェル111C, 111Dに細胞培養液を満たしてから3日後も、図8に示すように、細胞培養液中に溶けることなく、形態を維持していた。またマウス軟骨細胞は細胞培養膜10C, 10Dに定着し、増殖を続けた。
ウェル111C, 111Dに細胞培養液を満たしてから4乃至8日後も、図9に示すように、細胞培養膜10C, 10Dは細胞培養液に溶けることなく形態を維持し、マウス軟骨細胞は増殖を続けた。ただし、矢印で示す部分において、一部死滅した細胞が観察された。ウェル111C, 111Dに細胞培養液を満たしてから9乃至11日後、図10に示すように、膜厚10μmの細胞培養膜10C上のマウス軟骨細胞の方が、膜厚20μmの細胞培養膜10D上のマウス軟骨細胞よりも著しく増殖した。
ウェル111C, 111Dに細胞培養液を満たしてから15乃至18日後、一部の細胞が死滅したものの、図11に示すように、マウス軟骨細胞は細胞培養膜10C, 10D上で増殖を続け、単層から多層を形成するようになった。ウェル111C, 111Dに細胞培養液を満たしてから22日後、図12に示すように、膜厚10μmの細胞培養膜10C上のマウス軟骨細胞が凝集した。23日後、一部のマウス軟骨細胞が細胞培養膜10Cから剥がれた。
ウェル111C, 111Dに細胞培養液を満たしてから25乃至29日後も、図13に示すように、細胞培養膜10C, 10D上でマウス軟骨細胞は増殖を続けた。さらに36日経過した後も、図14に示すように、細胞培養膜10C, 10Dは細胞培養液に溶けることなく形態を維持し、細胞培養膜10C, 10D上でマウス軟骨細胞は増殖を続けた。
(第2の実施例)
第1の実施例と同様の手順で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞(C3H10T1/2)を培養した。ウェルに細胞培養液を満たしてから2乃至4日後、図15に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は、平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-01)でイオン架橋されたDNAからなる細胞培養膜に定着し、増殖を続けた。
ウェルに細胞培養液を満たしてから7乃至9日後も、図16に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は増殖を続けた。ただし、矢印で示す部分において、一部死滅した細胞が観察された。ウェルに細胞培養液を満たしてから10乃至15日後も、図17に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞はさらに増殖を続けた。
ウェルに細胞培養液を満たしてから17乃至22日後、図18に示すように、膜厚が10μmの細胞培養膜上で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は2層に増殖していることが、位相差顕微鏡で観察された。ウェルに細胞培養液を満たしてから23乃至25日後、図19に示すように、膜厚が10μmの細胞培養膜上で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞はスフェロイド状に凝集した。なお一部の細胞が、膜厚が10μmの細胞培養膜から剥がれた。
ウェルに細胞培養液を満たしてから28乃至30日後も、図20に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は増殖を続けた。さらに36日経過した後も、図21に示すように、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は増殖を続けた。
(第3の実施例)
茶褐色で平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-01)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が10μmの細胞培養膜と、淡黄色で平均分子量が15000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-15)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が10μmの細胞培養膜を用意した。その後、PAA-01でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜と、PAA-15でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜の両方の上で、マウス軟骨細胞を培養した。
図22に示すように、PAA-01でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜上で、マウス軟骨細胞は培養開始から15日経過後も増殖し続けた。これに対し、図23に示すように、PAA-15でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜上では、マウス軟骨細胞が培養開始から1日後に死滅し始めた。ただし、培養開始から15日経過後に生存している細胞もあった。
(第4の実施例)
平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-01)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が20μmの細胞培養膜と、平均分子量が15000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-15)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が20μmの細胞培養膜を用意した。その後、PAA-01でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜と、PAA-15でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜の両方の上で、マウス軟骨細胞を培養した。
図24に示すように、PAA-01でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜上で、マウス軟骨細胞は培養開始から15日経過後も増殖し続けた。これに対し、図25に示すように、PAA-15でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜上では、マウス軟骨細胞は培養開始から1日経過後に死滅し始め、一部が浮遊した。
(第5の実施例)
平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-01)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が10μmの細胞培養膜と、平均分子量が15000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-15)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が10μmの細胞培養膜を用意した。その後、PAA-01でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜と、PAA-15でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜の両方の上で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞を培養した。
図26に示すように、PAA-01でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜上で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は培養開始から15日経過後も増殖し続けた。これに対し、図27に示すように、PAA-15でイオン架橋された膜厚が10μmの細胞培養膜上では、マウス軟骨細胞が培養開始から1日後に死滅し始めた。ただし、培養開始から15日経過後に生存している細胞もあった。
(第6の実施例)
平均分子量が1000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-01)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が20μmの細胞培養膜と、平均分子量が15000のアリルアミン重合体(日東紡、PAA-15)でイオン架橋されたDNAからなる膜厚が20μmの細胞培養膜を用意した。その後、PAA-01でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜と、PAA-15でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜の両方の上で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞を培養した。
図28に示すように、PAA-01でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜上で、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は培養開始から15日経過後も増殖し続けた。これに対し、図29に示すように、PAA-15でイオン架橋された膜厚が20μmの細胞培養膜上では、マウス骨髄由来未分化間葉系細胞は培養開始から1日経過後に死滅し始めた。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
例えば実施の形態においては、酵素を用いてDNAを精製する方法を示した。これに対し、図1のステップS100で得られた第1のろ過液に、塩化ナトリウム(NaCl)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS: Sodium Dodecyl Sulfate)を加えてもよい。その後、60℃から80℃で第1のろ過液を加熱し、第1のろ過液を遠心分離して上澄み液を得る。上澄み液にエタノールを加えることにより、DNAのナトリウム塩が析出する。
またアリルアミン重合体の水溶液は、以下のように準備してもよい。まずPAA-01(東紡)等のアリルアミン重合体の原液を塩酸でpH4.5に調整した後、アリルアミン重合体を乾燥させる。次に少量の水にアリルアミン重合体の乾燥物を溶かした後、多量のエタノールを加え、2500rpmで4分間遠心することを3回繰り返す。その後、上清を除去した後、アリルアミン重合体を再び乾燥させる。次にアリルアミン重合体の乾燥物を水に溶かし、pH5に調整して、アリルアミン重合体の水溶液としてもよい。
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
10A, 10C, 10D…細胞培養膜
61…凍結保存用チューブ
62…細胞凍結保存液
63…ボトル
64…第1の懸濁液
65…マウス軟骨細胞
66…シャーレ
67…第2の懸濁液
101…シャーレ
111A〜111F…ウェル

Claims (14)

  1. 多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備えることを特徴とする細胞培養膜。
  2. 前記多価の有機カチオンが、2価以上の有機カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養膜。
  3. 前記2価以上の有機カチオンが、ポリカチオンであることを特徴とする請求項2に記載の細胞培養膜。
  4. 前記2価以上の有機カチオンが、カチオン性ポリアミノ酸であることを特徴とする請求項2に記載の細胞培養膜。
  5. 前記多価の有機カチオンが、アリルアミン重合体であることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養膜。
  6. 前記多価の有機カチオンの平均分子量が、2000未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の細胞培養膜。
  7. 前記多価の有機カチオンの平均分子量が、1000であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の細胞培養膜。
  8. 多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を含む細胞培養膜と、
    前記細胞培養膜に接着している細胞
    とを備えることを特徴とする細胞培養キット。
  9. 前記多価の有機カチオンが、アリルアミン重合体であることを特徴とする請求項8に記載の細胞培養キット。
  10. 前記多価の有機カチオンの平均分子量が、2000未満であることを特徴とする請求項8又は9に記載の細胞培養キット。
  11. 前記多価の有機カチオンの平均分子量が、1000であることを特徴とする請求項8又は9に記載の細胞培養キット。
  12. デオキシリボ核酸と1価のカチオンの塩を含む水溶性フィルムを形成するステップと、
    前記1価のカチオンを多価の有機カチオンに交換し、前記デオキシリボ核酸を前記多価の有機カチオンでイオン架橋するステップ
    とを含むことを特徴とする細胞培養膜の製造方法。
  13. 前記1価のカチオンを前記多価の有機カチオンに交換することが、前記多価の有機カチオンを含む水溶液に前記水溶性フィルムを浸すことを含むことを特徴とする請求項12に記載の細胞培養膜の製造方法。
  14. 多価の有機カチオンでイオン架橋されたデオキシリボ核酸を備える細胞培養膜上で細胞を立体培養することを特徴とする細胞の立体培養方法。
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