以下、本発明の露光装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は露光装置EXの一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関する各種情報を記憶した記憶装置MRYが接続されている。また、制御装置CONTには、露光処理に関する情報を報知する報知装置INFが接続されている。報知装置INFは、ディスプレイ装置(表示装置)、音又は光を使って警報(警告)を発する警報装置等を含んで構成されている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成するための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20と、投影光学系PLの像面側近傍に配置されたノズル部材70とを備えている。ノズル部材70の下面70Aには、液体供給機構10の一部を構成する液体供給口12と、液体回収機構20の一部を構成する液体回収口22とが設けられている。また、露光装置EXは、液体回収機構20で回収した液体LQの酸性度を計測する計測装置60を備えている。また、液体供給機構10は、液浸領域AR2を形成するための液体LQとは別の所定の機能を有する機能液を供給可能な機能液供給装置90を含んで構成されている。
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、液浸機構1を使って、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面(被露光面)との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向(所定方向)における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向、所定方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ等の基材上に感光材(レジスト)を塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等を含んで構成されるマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上には移動鏡31が設けられている。また、移動鏡31に対向する位置にはレーザ干渉計32が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計32によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計32の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQは光学素子2に接触する。
基板ステージPSTは、基板Pを基板ホルダPHを介して保持するZステージ52と、Zステージ52を支持するXYステージ53とを備えている。XYステージ53はベースBP上に支持されている。基板ステージPSTはリニアモータ等を含んで構成される基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。Zステージ52は基板ホルダPHに保持されている基板PをZ軸方向、及びθX、θY方向(傾斜方向)に移動可能である。XYステージ53は基板ホルダPHに保持されている基板PをZステージ52を介してXY方向(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向)、及びθZ方向に移動可能である。なお、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
Zステージ52(基板ステージPST)上には凹部50が設けられており、基板ホルダPHは凹部50に配置されている。また、Zステージ52は、基板ホルダPHに保持された基板Pの周囲に配置された上面51を有している。Zステージ52(基板ステージPST)の上面51は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)となる平坦面となっている。基板Pのエッジ部とその基板Pの周囲に設けられた上面51との間には0.1〜1mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが流れ込むことはほとんどない。
Zステージ52(基板ステージPST)の側面には移動鏡33が設けられている。また、移動鏡33に対向する位置にはレーザ干渉計34が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計34によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計34の計測結果に基づいて、レーザ干渉計34で規定される2次元座標系内で基板ステージ駆動装置PSTDを介してXYステージ53を駆動することで基板ホルダPHに保持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、露光装置EXは、不図示ではあるが、例えば特開平8−37149号公報に開示されているような、斜入射方式のフォーカス検出系を備えている。フォーカス検出系は、基板Pの表面の面位置情報を検出するものであって、投影光学系PL及び液体LQを介した像面に対する基板Pの表面のZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及び基板Pの傾斜方向(θX、θY方向)の姿勢を求める。制御装置CONTは基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTのZステージ52を駆動することにより、Zステージ52に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。Zステージ52は、フォーカス検出系の検出結果に基づく制御装置CONTからの指令に基づいて動作し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面(露光面)を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込む。
次に、図2を参照しながら液浸機構1について説明する。液浸機構1の液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、液体LQ中に含まれる気泡や異物を取り除くフィルタユニット、及び供給する液体LQの温度を調整する温調装置等を備えている。
また本実施形態においては、液体供給部11は純水製造装置を含んで構成されている。
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、真空系26と、真空系26にその一端部を接続する回収管23とを備えている。回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプ等を設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。また、回収管23の途中には気液分離器25が設けられており、気液分離器25には、第2回収管27を介して液体回収部21が接続されている。液体回収部21は、回収された液体LQを収容するタンク等を備えている。
ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。ノズル部材70の下面70Aは、基板Pの表面(基板ステージPSTの上面51)と対向している。
ノズル部材70の下面70Aには、基板P上(基板ステージPST上)に液体LQを供給する液体供給口12が設けられている。液体供給口12はノズル部材70の下面70Aに複数設けられている。また、ノズル部材70の内部には、供給管13と液体供給口12のそれぞれとを接続する供給流路14が形成されている。供給流路14の一端部は継手13Tを介して供給管13の他端部に接続されており、他端部は複数の液体供給口12のそれぞれに接続可能なように途中から分岐している。
更に、ノズル部材70の下面70Aには、基板P上(基板ステージPST上)の液体LQを回収する液体回収口22が設けられている。液体回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、複数の液体供給口12を囲むように、光学素子2に対して外側に環状に設けられている。また、液体回収口22には多孔体22Pが設けられている。また、ノズル部材70の内部には、回収管23と液体回収口22とを接続する回収流路24が形成されている。回収流路24の一端部は継手23Tを介して回収管23の他端部に接続されており、他端部は環状の液体回収口22に対応するように形成されている。すなわち、回収流路24は、液体回収口22に対応するように環状に形成された環状流路24Kと、環状流路24Kの一部と回収管23の他端部とを接続するマニホールド流路24Mとを備えた構成となっている。
液体供給機構10及び液体回収機構20の動作は制御装置CONTに制御される。基板P上に液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給機構10の液体供給部11を駆動して液体LQを送出し、供給管13、及びノズル部材70の供給流路14を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12より基板P上に液体LQを供給する。ここで、上述したように、液体供給部11は純水製造装置を含んで構成されており、純水製造装置でクリーン化した液体LQを基板P上に供給する。上記純水製造装置は、例えば水道水や液体回収機構20より戻された液体LQをクリーン化する。なお純水製造装置として、露光装置EXに純水製造装置を設けずに、露光装置EXが配置される工場の純水製造装置を用いるようにしてもよい。
また、基板P上の液体LQを回収する際、制御装置CONTは、液体回収機構20の真空系26を駆動する。真空系26が駆動することにより、基板P上の液体LQは液体回収口22を介して回収され、回収流路24及び回収管23を流れる。回収管23の途中には気液分離器25が設けられており、気液分離器25で分離された気体成分は真空系26に吸引され、液体成分は第2回収管27を介して液体回収部21に回収される。このように、気液分離器25を設けたことにより、真空系26に液体成分が流入する不都合を防止できる。また、液体回収部21に回収された液体LQは、配管28を介して、例えば廃棄されたり、液体供給機構10(液体供給部11の純水製造装置)に戻されて再利用される。
本実施形態においては、液体回収機構20の液体回収部21と液体供給機構10の液体供給部11とは配管28によって接続されており、液体回収部21に回収された液体LQは、配管28を流れて液体供給部11の純水製造装置に戻される。
ところで、液体回収機構20は、ノズル部材70の液体回収口22を介して基板Pに接触した液体LQを回収するが、図2に示すように、基板Pを構成する基材Pbの上面には感光材Pgが被覆されている。そのため、液体回収機構20は感光材Pgに接触した液体LQを回収することとなる。液体LQと感光材Pgとが接触することにより、その液体LQ中に感光材Pgの一部が溶出する可能性がある。感光材Pgには硫酸やカルボン酸をはじめとする酸が含有されているため、液体LQと感光材Pgとが接触することにより、その液体LQ中に酸が含まれる可能性がある。そのため、基板Pに接触し、酸を含んだ液体LQが液体回収機構20に回収されると、液体回収機構20のうち、例えば回収管23の内壁面など、回収された液体LQに接触する液体接触面が酸によって腐食する可能性がある。
本実施形態においては、図3に示すように、基板Pに接触した液体LQと接触する内壁面23Aを有する回収管23は、液体LQに対して耐腐食性を有する材料Sで形成されている。耐腐食性を有する材料Sとしては、例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂、あるいはステンレス鋼等が挙げられる。具体的には、回収管23は、例えばフッ素系樹脂製のチューブ、あるいはステンレス製の管部材によって構成可能である。回収管23をフッ素系樹脂あるいはステンレス鋼を含む材料Sで形成することにより、酸を含んだ液体LQと回収管23の内壁面23Aとが接触しても、回収管23が腐食したり錆びたりする不都合を防止できる。したがって、回収管23の耐腐食性を向上でき、長寿命化を図ることができる。
あるいは、図4に示すように、回収管23を構成する母材の内壁面23A’に、上記材料Sを被覆するようにしてもよい。こうすることによっても、回収管23が腐食する不都合を防止できる。
図2に戻って、回収管23の途中から分岐した分岐管23Kには、液体LQの酸性度を計測可能な計測装置60が接続されている。計測装置60は、例えばpH(ペーハー)モニタを含んで構成されている。液体回収口22から回収された液体LQは、回収管23を流れ、その殆どは液体回収部21に回収されるが、残りの一部は分岐管23Kを介して計測装置60に流入する。計測装置60は、液体回収口22より回収されて回収管23及び分岐管23Kを流れた液体LQの酸性度を計測する。
本実施形態においては、計測装置60は、回収管23の途中から分岐する分岐管23Kを流れる液体LQの酸性度を計測するようになっている。このような計測を採用することにより、計測装置60には液体LQが常時供給されるため、計測装置60は液体LQの酸性度を露光中及び露光前後において常時計測することが可能な構成となっている。すなわち、計測装置60は、基板Pに対する液浸露光動作と並行して、液体LQを計測可能である。計測装置60の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、計測装置60の計測結果に基づいて、基板P上より液体回収口22を介して回収された液体LQの酸性度を常時モニタ可能である。計測装置60の計測結果は報知装置INFで報知(表示)される。なお、計測装置60の設置位置としては、例えば液体回収口22の近傍であってもよい。
機能液供給装置90は、液浸領域AR2を形成するための液体LQとは別の所定の機能を有する機能液LKを供給するものであって、供給管15を介して液体供給部11に接続されている。本実施形態においては、機能液供給装置90は、液体LQが流れる配管系の内壁の酸性度(pH)を調整可能な(中和可能な)機能を有するアルカリ性の液体(機能液)LKを供給する。供給管15には、その供給管15の流路を開閉するバルブ15Bが設けられている。制御装置CONTは、計測装置60の計測結果に基づいて、機能液供給装置90の動作を制御する。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する手順について説明する。
露光処理対象である基板Pが基板ステージPSTにロードされると、制御装置CONTは液浸機構1を駆動し、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成する。制御装置CONTは、照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明し、その露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を投影光学系PL及び液体LQを介して基板P上に形成する。
液体回収口22を介して回収された液体LQは回収管23を流れるが、図3や図4を参照して説明したように、回収管23のうち液体LQと接触する内壁面23Aは、液体LQに対して耐腐食性を有する材料Sで形成されているので、液体LQに酸が含有している場合であっても、回収管23の腐食を防止することができる。
また、液体回収機構20を構成する配管系のうち、回収管23の他に、分岐管23Kや第2回収管27を材料Sで形成したり、あるいは分岐管23Kや第2回収管27の内壁面に材料Sを被覆することができる。あるいは、液体回収機構20と液体回収機構10とを接続する配管28を材料Sで形成したり、その内壁面を材料Sで被覆することができる。
また、本実施形態においては、基板ステージPSTは、基板ステージPST(基板ホルダPH)に保持された基板Pの周囲に、基板P表面とほぼ面一となる平坦面(上面)51を有している。また、ノズル部材70の下面70A及び光学素子2の下面2Aのそれぞれはほぼ平坦面であって、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、ノズル部材70の下面70A及び光学素子2の下面2Aと、基板P(基板ステージPST)との間の所望の範囲内で液浸領域AR2を良好に形成することができる。そして、これらノズル部材70の下面70Aや基板ステージPSTの上面51、あるいはノズル部材70のうち液体回収口22に接続する回収流路24の内壁面にも、基板Pに接触した液体LQが接触するが、ノズル部材70をステンレス鋼で形成したり、あるいは基板ステージPSTの上面51にフッ素系樹脂を被覆することで、これらノズル部材70の下面70Aや回収流路24の内壁面、基板ステージPSTの上面51も液体LQに対して耐腐食性にすることができる。なお本実施形態においては、ノズル部材70Aの下面70Aは平坦面であって光学素子2の下面2Aとほぼ面一であるが、液浸領域AR2が良好に形成できれば、ノズル部材70の下面70Aに段差が存在してもよいし、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとの間に段差が存在してもよい。
なお、液体回収機構20のうち、上述したような液体LQに接触する液体接触面に材料Sを被覆するための処理としては、例えば材料Sを液体接触面に塗布する処理や、材料Sからなる薄膜を貼付する処理等が挙げられる。
以上説明したように、液体回収機構20のうち、回収された液体LQに接触する液体接触面を液体LQに対して耐腐食性することで、酸を含んだ液体LQによる腐食を防止して耐久性を向上し、装置寿命を向上することができる。
なお、上述した実施形態においては、液体回収機構20の液体接触面を材料Sで形成しているが、液体供給機構10の液体接触面を材料Sで形成してもよい。
なお、上述した実施形態においては、感光材Pgからは液体LQ中に酸が溶出するように説明したが、上述した酸以外の物質(例えばアミン系物質)が液体中に溶出する可能性もあり、その物質が液体回収機構20の液体接触面に影響を及ぼす可能性もある。そのような場合には、液体回収機構20の液体接触面を形成する材料Sを、感光材Pgに応じて(感光材Pgから液体LQ中に溶出する材料に応じて)適宜選定すればよい。
また、上述した実施形態において、基材Pb上に被覆された感光材Pgを更に覆うように感光材Pgとは別の材料からなる膜(トップコート膜)を設け、感光材Pgと液体LQとの接触を防止するようにしてもよい。そのような場合には、液体回収機構20の液体接触面を形成する材料Sを、前記トップコート膜に応じて適宜選定すればよい。
上述した実施形態においては、基板Pの上方から液体LQを回収する液体回収機構20の液体接触面を液体LQに対して耐腐食性にしているが、図5に示すような、基板Pの下方において液体LQを回収する第2、第3液体回収機構40、80の液体接触面を、液体LQに対して耐腐食性にしてもよい。ここで、第2、第3液体回収機構40、80は、上記液体回収機構20同様、基板Pに接触した液体LQを回収する。
図5において、基板ホルダPHは、基材49と、その基材49上に設けられ、基板Pの裏面Pcのエッジ領域に対向するように環状に形成された上面42Aを有する周壁部42と、基材49上において周壁部42の内側に配置された複数のピン状部材からなる支持部43とを備えている。また、基材49上において周壁部42の内側には、基材49と周壁部42と基板Pとで囲まれた空間41の気体を吸引する複数の吸引口44が設けられている。吸引口44のそれぞれは流路48を介して真空系46に接続されている。真空系46が駆動することにより、吸引口44を介して空間41の気体が吸引され、その空間41が負圧化され、これにより基板Pが支持部43に吸着保持される。すなわち、基板ホルダPHは所謂ピンチャック機構を有した構成となっている。
そして、第2液体回収機構40は、流路48を介して吸引口44に接続された上記真空系46と、流路45の途中に設けられた気液分離器45と、気液分離器45に接続された液体回収部47とを含んで構成されている。
例えば基板P上のエッジ領域などを液浸露光するとき、液体LQの液浸領域AR2が、基板ホルダPHに保持された基板P表面のエッジ部とその周囲の基板ステージPST(Zステージ52)の上面51との間に形成されたギャップA上に配置される場合がある。その場合、ギャップAから浸入した液体LQが、基板Pの裏面Pcと周壁部42の上面42Aとの間のギャップを介して、基板Pの裏面Pc側に回り込む可能性がある。第2液体回収機構40は、そのギャップAから浸入し、基板Pの裏面Pc側に回り込んだ液体LQを回収するものであって、基板Pの裏面側に回り込んだ液体LQは、吸引口44より回収され、流路48を流れて気液分離器45に流入する。気液分離器45で分離された気体成分は真空系46に吸引され、液体成分は液体回収部47に回収される。
そして、図5に示した実施形態においては、基板Pに接触した液体LQに接触する基板ステージPSTの凹部50の内側の内壁面56や、周壁部42の上面42A、支持部43の表面、基材49の上面、吸引口44近傍、流路48の内壁面などが、液体LQに対して耐腐食性を有している。
また、図5においては、基板ステージPSTの上面51よりも外側に流出した液体LQを保持するための保持部材81が、基板ステージPST(Zステージ52)の側面に設けられている。保持部材81はZステージ52の周りを囲むように形成された樋部材である。また、その保持部材81には吸引口84が形成されており、その吸引口84は流路88を介して真空系86が接続されている。
第3液体回収機構80は、上記保持部材81、この保持部材81に形成された吸引口84に流路88を介して接続された真空系86、流路88の途中に設けられた気液分離器85、及び気液分離器85に接続された液体回収部87等を含んで構成されており、基板ステージPSTの外側に流出した液体LQを回収する。基板ステージPSTの外側に流出し、重力作用によって保持部材81に捕集された液体LQは、真空系86の駆動により、吸引口84を介して回収される。吸引口84を介して回収された液体LQは流路88を流れて気液分離器85に流入する。気液分離器85で分離された気体成分は真空系86に吸引され、液体成分は液体回収部87に回収される。
そして、図5に示した実施形態においては、液体LQに接触する基板ステージPSTの上面51や、保持部材81の吸引口84近傍を含む液体接触面、流路88の内壁面などが、液体LQに対して耐腐食性を有している。
ところで、上述したように、露光装置EXは、液体回収口22を介して回収された液体LQの酸性度を計測する計測装置60を備えており、計測装置60は、基板Pの露光中及び露光前後において液体LQの酸性度を常時モニタ可能である。そこで、計測装置60の計測値が予め定められた許容値以上になったときに、制御装置CONTは、液体供給機構10による液浸露光用の液体LQの供給を停止し、バルブ28Bを駆動して配管28の流路を閉じるとともに、バルブ15Bを駆動して供給管15の流路を開け、機能液供給装置90より機能液LKを供給する。上記許容値に関する情報は記憶装置MRYに予め記憶されており、制御装置CONTは、計測装置60の計測結果と、記憶装置MRYに記憶されている許容値に関する情報とに基づいて、機能液供給装置90を制御する。
本実施形態においては、回収管23の内壁面23Aなど液体回収機構20の液体LQとの接触面の酸性度を低下して中和するために、機能液供給装置90は、アルカリ性の液体からなる機能液LKを供給する。
制御装置CONTは、機能液LKを供給するために、機能液供給装置90と液体供給部11とを接続する供給管15に設けられたバルブ15Bを駆動して供給管15の流路を開けるとともに、配管28の流路をバルブ28Bを使って閉じる。こうすることにより、機能液供給装置90から液体供給部11に対して機能液LKが供給される。機能液供給装置90から供給された機能液LKは、液体供給部11を介して供給管13に供給され、ノズル部材70の供給流路14を流れた後、液体供給口12より投影光学系PLの像面側に供給される。
なお、機能液供給装置90が機能液LKを投影光学系PLの像面側に供給しているときには、基板ステージPST(基板ホルダPH)上には、ダミー基板を保持しておくことが好ましい。ダミー基板は、デバイス製造のための基板Pとほぼ同じ大きさ及び形状を有している。機能液供給装置90から送出された機能液LKは、液体供給口12よりダミー基板上に供給され、投影光学系PLの像面側に液浸領域を形成する。また、機能液供給装置90から機能液LKが供給されているとき、液浸露光動作時と同様、液体回収機構20は液体回収動作を行っている。したがって、投影光学系PLの像面側に形成された液浸領域の機能液LKは、液体回収口22を介して回収され、回収流路24及び回収管23、第2回収管27を流れた後、液体回収部21に回収される。回収流路24や回収管23などを機能液LKが流れることにより、回収管23の内壁面23Aなどの酸性度を調整(中和)することができる。したがって、酸に起因する回収管23の腐食を更に確実に防止することができる。また、機能液LKの液浸領域を形成しているときに、基板ステージPSTをXY方向に移動し、機能液LKと基板ステージPSTの上面51とを接触させることにより、上面51の酸性度も調整(中和)することができる。また、機能液LKとノズル部材70の下面70Aとが接触することにより、その下面70Aの酸性度も調整(中和)することができる。そして、上述した実施形態においては、液浸露光動作時と同様の手順で、機能液LKの液浸領域形成動作を行っているので、液体回収機構20の液体接触面の酸性度を効率良く調整することができる。
また、機能液LKを流すことによる中和処理が完了した後、計測装置60を使って液体LQを計測することで、中和処理が良好に行われたか否かを確認することができる。
なお、上述した実施形態においては、計測装置60の計測結果に基づいて、機能液供給装置90を含む液体供給機構10の動作を制御して中和処理を行うように説明したが、計測装置60の計測結果によらずに、例えば所定時間間隔毎(例えば1ヶ月毎、1年毎)に中和処理を行う構成とすることももちろん可能である。
また、制御装置CONTは、計測装置60の計測値が予め定められた許容値を超えたとき、その旨を報知装置INFで報知するようにしてもよい。報知装置INFの報知によって、オペレータが、例えば回収管23を含む配管系の中和作業を行ったり、あるいは配管系の交換作業を行うことができる。
なお、上述した実施形態においては、機能液LKを流す処理(中和処理)と、液浸露光処理とは別々に行われているが、機能液LKが、液浸露光用の液体として使用可能であれば、液浸露光するための液浸領域AR2を機能液LKで形成してもよい。この場合、中和処理と液浸露光処理とは一緒に行われる構成となる。
また、上述した実施形態においては、機能液供給装置90は液体供給部11にも機能液LKを流す構成であるが、供給管13の途中と機能液供給装置90とを接続し、その接続部よりも下流に機能液LKを供給する構成とすることもできる。
図6は別の実施形態を示す図である。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図6において、液体回収機構20は、回収した液体LQに含まれる所定物質を低減又は除去する除去装置を構成するフィルタ部材29を備えている。フィルタ部材29は、液体回収口22より回収された液体LQが流れる流路の所定位置に設けられている。図6の実施形態では、フィルタ部材29は、液体回収口22より回収された液体LQが流れる回収管23の途中に設けられているが、例えばノズル部材70の回収流路24の途中や、液体回収口22の近傍に設けられていてもよい。
上述したように、基板P(感光材Pg)に接触した液体LQ中には酸が含まれている可能性があるが、フィルタ部材29は、その液体LQ中に含まれる酸を除去可能(捕集可能)なケミカルフィルタによって構成されている。これにより、回収された液体LQ中に酸等の腐食性物質が含まれていても、その物質を除去することができる。したがって、フィルタ部材29よりも下流側における回収管23や第2回収管27等を含む配管系は、酸の影響を受けることがない。そして、フィルタ部材29で液体LQ中の酸を除去又は低減できるので、そのフィルタ部材29よりも下流側の配管系の液体接触面を、耐腐食性を有する材料Sで形成しなくてもよいので、配管系として使用できる材料の選択の自由度が増し、それに起因して装置を設計する上での設計の自由度が向上し、装置コストの低減も図ることができる。また、液体回収機構20に対して酸を含んだ液体LQが与える影響を抑えることができるので、液体回収機構20の寿命を向上することができる。したがって、腐食(錆び)等に起因して配管系を頻繁に交換しなければならない等といった不都合を防止することできる。
また、上述したように、液体回収機構20(液体回収部21)で回収した液体LQを配管29を介して液体供給機構10(液体供給部11)に戻す場合、フィルタ部材29によって酸性度を低下させた液体LQを液体供給機構10に戻すことができる。したがって、液体供給機構10においては、液体回収機構20から戻された液体LQをクリーン化して再利用する場合、クリーン化するための処理の負荷が低減される。
本実施形態においては、回収管23のうち、分岐管23Kはフィルタ部材29よりも下流側に設けられている。すなわち、計測装置60は、フィルタ部材29を通過した液体LQの酸性度を計測するようになっている。したがって、計測装置60の計測結果に基づいて、制御装置CONTは、フィルタ部材29の性能、及び経時的な劣化を求めることができる。すなわち、フィルタ部材29の性能(酸を除去する性能)が低かったり、あるいはフィルタ部材29が経時的に劣化したときには、液体回収口22から回収された液体LQ中に含まれる酸は十分に除去されない。したがって、制御装置CONTは、フィルタ部材29を通過した液体LQを計測装置60で計測したときの計測結果に基づいて、フィルタ部材29の性能、及び経時的な劣化を求めることができる。そして、制御装置CONTは、計測装置60の計測結果を報知装置INFで報知したり、あるいは計測装置60の計測結果に基づいてフィルタ部材29が劣化した旨やフィルタ部材29の交換を促す旨を報知装置INFで報知することができる。これにより、例えばオペレータは、報知装置INFの報知結果に基づいて、フィルタ部材29を新たなものと交換することができる。
また、計測装置60の計測値やフィルタ部材29の交換周期などをログ情報として記憶装置MRYに記憶しておくことにより、制御装置CONTは、そのログ情報に基づいて、例えば報知装置INFを使って、フィルタ部材29の交換時期を報知することができる。
なお、フィルタ部材29を、図5を参照して説明した第2、第3液体回収機構40、80のうち、液体LQが流れる流路の所定位置に設けることももちろん可能である。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイボール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイボール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイボール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイボールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図7に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。