JP2010197273A - 超音波を用いたボルトの締め付け状態評価システム - Google Patents

超音波を用いたボルトの締め付け状態評価システム Download PDF

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Abstract

【課題】短時間に精度良く行えるボルトの締め付け状態評価方法を提供する。
【解決手段】締め付けられたボルトの長手方向の一方の端部から該ボルトの他端に向けて超音波探触子によって有限振幅超音波を送波する送波工程、該有限振幅超音波が該他端で反射されて生じる反射波を受信子によって受波する受波工程、及び、該受信子が受波した該反射波に含まれる高調波の検出量を計測してボルトの締め付け状態を評価する評価工程を備える、ボルトの締め付け状態評価方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波を用いてボルトの締め付け状態を評価する方法、及び該方法に用いるシステムに関する。
ボルトの締め付けは機械的構造物の組み立てに用いられている。ボルトの締め付けが緩い場合にはボルトが脱落する虞があり、逆にボルトの締め付けが過剰な場合にはボルトが破損する虞がある。このようなボルトの緩みや破損は、時として重大な事故に繋がり得る。そのため、ボルトを締め付ける際や、締め付けた後に定期的にボルトの締め付け状態を確認することが非常に重要である。
しかしながら、ボルトの締め付け状態を確認する際に、多大な時間をかけることができない状況が多々考えられる。例えば、列車や航空機などの輸送機関では、正確にボルトの締め付け状態を点検する必要があるが、その点検に割ける時間は限られている。また、人件費などのコストを削減するという観点からも、短時間で点検できることが好ましい。したがって、ボルトの締め付け状態を確認する方法としては、短時間に精度良く行える方法が望まれている。
これまでに、ボルトを締め付ける際に締め付け状態を調整する器具や、ボルトを締め付けた後にその締め付け状態を確認する器具が考えられている。そのような器具の一例として、トルクレンチがある。しかしながら、トルクレンチの精度は高いとは言えず、ボルトの用途によっては問題が生じる虞があった。
また、従来のボルトの締め付け状態を評価できる方法としては、超音波法、ひずみゲージ法、ロードセル法などの方法によってボルトの軸力を測定する方法が知られている(例えば、非特許文献1)。
酒井 智次著、「ねじ締結概論」、増補第4版、養賢堂、2003年4月、p.108−114
上記したように、ボルトの締め付け状態を評価する方法としては、種々の方法が考えられているが、それぞれ問題があった。例えば、従来の超音波を用いる方法のほとんどでは、音響整合剤を用いるため、接触測定に伴う測定誤差が生じるという問題があった。また、ひずみゲージ法では、精度よく測定するためには、被測定材料や環境温度などの条件に合ったひずみゲージと接着剤を選択する必要があり、面倒であった。さらに、ロードセル法では、厚いロードワッシャを挟むために、ボルトや非締結体のばね定数が小さくなり、緩み特性が実際よりもはるかに有利になる欠点がある。つまり、ロードワッシャを挟んだ状態では不具合がなくとも、取り外して使用する場合では大丈夫とはいいきれない問題がある。
そこで、本発明は、短時間に精度良く行えるボルトの締め付け状態評価方法、及び該方法に用いるシステムを提供することを課題とする。
第1の本発明は、ボルトの長手方向の一方の端部から該ボルトの他端に向けて有限振幅超音波を送波する超音波探触子を含む送波手段、該有限振幅超音波が該他端で反射されて生じる反射波を受波する受信子を含む受波手段、及び、該受信子が受波した該反射波に含まれる高調波の検出量を計測してボルトの締め付け状態を評価する評価手段、を備える、ボルトの締め付け状態評価システムである。
本発明において、「ボルト」とは、ナットとの組み合わせによってある対象物を挟持して固定するものに限らず、ボルトが雄ネジを備えており、該雄ネジと対になる雌ネジとを螺合させて対象物を固定する部材であればよく、その螺合形態は特に限定されない。また、「システム」とは、送波手段、受波手段、及び評価手段を含む機器でも良いし、送波手段、受波手段、及び評価手段のうち一または二以上を含む機器の組み合わせからなるシステムでも良い。
上記第1の本発明のボルトの締め付け状態評価システムにおいて、超音波探触子及び受信子が同一の二層型圧電振動子であり、該二層型圧電振動子は2枚の同特性の圧電振動子を逆分極に貼り合わせたものであることが好ましい。
本発明において「同特性の圧電振動子」とは、共振周波数が略同一である圧電振動子を意味する。2枚の同特性の圧電振動子を逆分極に貼り合わせた二層型圧電振動子を用いることによって、後に詳述するように、該二層型圧電振動子で基本波を送波するとともに、反射波に含まれる2次高調波を感度良く受波することができる。
上記第1の本発明のボルトの締め付け状態評価システムにおいて、評価手段が反射波に含まれる2次高調波の検出量を計測してボルトの締め付け状態を評価する手段であることが好ましい。高調波の中でも特に2次高調波の検出量を計測することによって、ボルトの締め付け状態を高精度に評価することができる。
第2の本発明は、ボルトの長手方向の一方の端部から該ボルトの他端に向けて超音波探触子によって有限振幅超音波を送波する送波工程、該有限振幅超音波が該他端で反射されて生じる反射波を受信子によって受波する受波工程、及び、該受信子が受波した該反射波に含まれる高調波の検出量を計測してボルトの締め付け状態を評価する評価工程、を備える、ボルトの締め付け状態評価方法である。
上記第2の本発明のボルトの締め付け状態評価方法において、超音波探触子及び受信子が同一の二層型圧電振動子であり、該二層型圧電振動子は2枚の同特性の圧電振動子を逆分極に貼り合わせたものであることが好ましい。2枚の同特性の圧電振動子を逆分極に貼り合わせた二層型圧電振動子を用いることによって、後に詳述するように、該二層型圧電振動子で基本波を送波するとともに、反射波に含まれる2次高調波を感度良く受波することができる。
上記第2の本発明のボルトの締め付け状態評価方法において、評価工程が反射波に含まれる2次高調波の検出量を計測してボルトの締め付け状態を評価する工程であることが好ましい。高調波の中でも特に2次高調波の検出量を計測することによって、ボルトの締め付け状態を高精度に評価することができる。
第1の本発明によれば、反射波に含まれる高調波の検出量を計測するだけでボルトの締め付け状態を評価することができるシステムを提供することができる。すなわち、短時間に精度良くボルトの締め付け状態を評価できるシステムを提供することができる。また、第2の本発明によれば、第1の本発明のボルトの締め付け状態評価システムを用いて、短時間に精度良くボルトの締め付け状態を評価できる方法を提供することができる。
本発明のボルトの締め付け状態評価システムの一例を概略的に示す図である。 二層型圧電振動子の結線方法を概略的に示す図である。 二層型圧電振動子の電気的接続方法を並列接続にした場合と直列接続にした場合の周波数−アドミタンス特性を示すグラフである。 ボルト締め付け前後での受波波形及びスペクトルを示すグラフである。 ボルト締め付け前後での受波波形及びスペクトルについてパルスインバージョンを行った結果を示すグラフである。
本発者は、有限振幅超音波をボルトに伝播させて得られる反射波に含まれる高調波の検出量を計測することで、ボルトの締め付け状態を評価できることを見出した。すなわち、ボルトを締め付ける前に比べて締め付けた後では、該ボルトに有限振幅超音波を伝播させて得られる反射波に含まれる高調波の検出量が増加することを見出し、本発明を完成させた。なお、高調波を利用した技術としては、使用中に塑性変形が起こることで破損する虞がある金属材料について、高調波を用いた非破壊検査を行う方法がある(例えば、特開2008−107101号公報)。しかしながら、該方法はあくまで金属材料に生じた塑性変形の有無を判別するためのものである。
ボルトを締め付ける前と後とで反射波に含まれる高調波の検出量が変化する原因としては、以下のことが考えられる。すなわち、ボルトが締め付けられたことで、ボルトの軸部が伸ばされて該軸部に局部的な塑性変形や閉じた亀裂が生じ、それらが原因となって高調波が生じると考えられる。また、ボルトが締め付けられたことで、ボルトと非締結体の間、あるいは、ボルトとナットのネジ山間において、有限振幅超音波が送波されることによって固体同士が接触し、その部分から高調波が発生する「CAN(Contact Acoustic Nonlinearity:接触型音響非線形)」と呼ばれる現象が生じ、それが原因となって高調波が生じることも考えられる。
以下、図1及び適宜示す図を参照しつつ、本発明について詳細に説明する。なお、図1は本発明のボルトの締め付け状態評価システムの一例を概略的に示す図である。
<ボルトの締め付け状態評価システム>
ボルトの締め付け状態評価システム100は、ボルト20に有限振幅超音波を送波する送波手段、該超音波の反射波を受波する受波手段、該反射波を解析する評価手段を備えている。以下、本発明のボルトの締め付け状態評価システム100の各構成について詳細に説明する。
(送波手段)
送波手段は、ボルト20の頭部側の端部21から該ボルトの軸部側の先端22に向けて有限振幅超音波を送波する超音波探触子10を含む。より具体的には、任意の周波数の交流信号を発振することができる発振器1、発振器1からの交流信号を増幅させる高周波数電力増幅器2、インピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路3、及び、電圧をかけられることで超音波を発生させる超音波探触子10を備えている。
ボルトの締め付け状態評価システム100を使用する際には、ボルト20の頭部側の端部21に超音波探触子10を設置し、高調波の発生に十分な大振幅の交流信号を発振器1から発振させるとともに、発振器1からトリガー信号を後述するオシロスコープ5に送る。発振器1から発振された交流信号は、ボルト20(音響媒質)中で非線形効果を生じる電力に高周波数電力増幅器2で増幅された後、インピーダンス整合回路3を介して超音波探触子10に印加される。そして、超音波探触子10によって、ボルト20の頭部側の端部21からボルト20の軸部側の先端22に向けて有限振幅超音波が送波される。
本発明において、超音波探触子10は、同特性の2枚の圧電振動子11、12を逆分極に貼り合わせて構成した圧電振動子(以下、「二層型圧電振動子10」という。)であることが好ましい。かかる形態とすることによって、後述するように、1つの二層型圧電振動子10によって、基本波を送波するとともに反射波に含まれる2次高調波を高感度に受波することができる。
圧電振動子11、12の接着には、導電性ペーストを用いる。導電性ペーストで圧電振動子11、12を接着させることにより、二層型圧電振動子10の両側の電極だけでなく、圧電振動子11、12の接着面からもリードが取れる構造となる。二層型圧電振動子10の接続方法には、並列接続と直列接続があり、それぞれ図2に示すように結線される。図2(a)は並列接続時の結線を示しており、図2(b)は直列接続時の結線を示している。すなわち、並列接続では二層型圧電振動子10の両側の電極がアースとなり、直列接続では二層型圧電振動子10の一方の電極がアースとなる。
逆分極に貼り合わせて二層型圧電振動子10とする前の圧電振動子11、12単体の共振周波数をfとすると、二層型圧電振動子10には、並列接続では共振周波数が半分のf/2となり、直列接続ではfのまま変わらないという特徴がある。共振周波数がf=2MHzである2枚の圧電振動子11、12を逆分極に貼り合せて作った二層型圧電振動子10の並列接続及び直列接続における周波数−アドミスタンス特性を測定した結果を図3に示す。図3(a)が並列接続の場合であり、図3(b)が直列接続の場合である。図3において、実線はアドミタンスの絶対値を示しており、破線はアドミタンスの位相を示している。図3に示すように、共振周波数は、並列接続した場合に1MHz(f/2)となり、直列接続した場合に2MHz(f)となっている。
二層型圧電振動子10がこのような特徴を有していることによって、高調波の発生に十分な大振幅の基本波(例えば、1MHz)を並列接続で送波し、ボルト20を伝播中に発生する2次高調波(例えば、2MHz)に対しては直列接続で感度良く受波することができる。したがって、後述する受波手段に備えられる受信子にも二層型圧電振動子10を用いることができる。すなわち、基本波の送波と2次高調波の受波を1つの二層型圧電振動子10によって行うことができる。
二層型圧電振動子10の並列接続及び直列接続の電気的接続の切り替えは、図1に示すように、一般的に用いられるアナログスイッチ4を上部電極と送波回路側のグランドとの間に挿入することで実現できる。スイッチ4がONのとき、二層型圧電振動子10の両側の電極がアースとなり、電気的に並列接続となる。一方、スイッチ4がOFFのとき、圧電振動子11側の電極がアースから切り離され、電気的に直列接続となる。
(受波手段)
受波手段は、二層型圧電振動子10から送波された有限振幅超音波がボルト20の先端22で反射されて生じる反射波を受波する受信子を含む。上記したように、該受信子は、送波手段に含まれる二層型圧電振動子10と共通のものとすることができる。
ボルトの締め付け状態評価システム100を使用する際には、2次高調波を含む反射波が二層型圧電振動子10に戻ってくる前にスイッチ4をOFFとし、二層型圧電振動子10を電気的に直列接続にして受波することで、2次高調波を感度良く受波することができる。
(評価手段)
評価手段は、二層型圧電振動子10が受波した反射波に含まれる高調波の検出量を計測してボルト20の締め付け状態を評価する手段である。より具体的には、二層型圧電振動子10からの信号を受けるオシロスコープ5、及びオシロスコープ5とGPIBを介して接続されたパーソナルコンピュータ(PC)6を備えている。ボルトの締め付け状態評価システム100を使用する際には、二層型圧電振動子10で受波した反射波をオシロスコープ5で観測し、オシロスコープ5からGPIBを介してデータをパーソナルコンピュータ(PC)6に転送して解析する。
上記したように二層型圧電振動子10は、2次高調波を感度良く受波できる。しかしながら、ボルト20を伝播中に生じた2次高調波は基本波に比べて非常に小さく、基本波が支配的な波形となるため、オシロスコープ5のアベレージング機能を用いて2次高調波を容易に観測できるようにパルスインバージョンを利用することが好ましい。
パルスインバージョンは互いに逆位相となる基本波パルスを交互に送波し、それらの受波波形を足し合わせることで基本波を打ち消す方法である。例えば、パルスインバージョンを行うための駆動信号であるバースト正弦波を発振器1より発振して二層型圧電振動子10を駆動し、超音波を送波する。十分な時間間隔Tの後、逆位相となる波形を二層型圧電振動子10に印加する。その間隔Tで受波波形を加算平均することにより、互いに逆位相で受波される基本波や3次高調波などの奇数次高調波成分がキャンセルされ、同位相で発生する2次高調波などの偶数次高調波を抽出して実時間でオシロスコープ5に表示することができる。
<ボルトの締め付け状態評価方法>
本発明のボルトの締め付け状態評価方法は、上記ボルトの締め付け状態評価システム100を用いて行う。本発明のボルトの締め付け状態評価方法は、ボルト20に有限振幅超音波を送波する送波工程、該超音波の反射波を受波する受波工程、該反射波を解析する評価工程を備えている。以下、本発明のボルトの締め付け状態評価方法の各工程について詳細に説明する。
(送波工程)
送波工程は、ボルト20の頭部側の端部21からボルト20の軸部側の先端22に向けて超音波探触子10によって有限振幅超音波を送波する工程である。以下、送波工程についてより詳細に説明する。
送波工程では、まず、高調波の発生に十分な大振幅の交流信号が発振器1から発振されるとともに、発振器1からトリガー信号がオシロスコープ5に送られる。発振器1から発振された交流信号は、ボルト20中で非線形効果を生じる電力に高周波数電力増幅器2で増幅された後、インピーダンス整合回路3を介して超音波探触子10に印加される。そして、超音波探触子10によって、ボルト20の頭部側の端部21からボルト20の軸部側の先端22に向けて有限振幅超音波が送波される。
上記したように、本発明において、超音波探触子10は、二層型圧電振動子10であることが好ましい。かかる形態とすることによって、1つの二層型圧電振動子10によって、基本波を送波するとともに反射波に含まれる2次高調波を高感度に受波することができるため、後述する受波工程で用いる受信子にも二層型圧電振動子10を用いることができる。
(受波工程)
受波工程は、上記送波工程で送波された有限振幅超音波がボルト20の先端22で反射されて生じる反射波を二層型圧電振動子10(受信子)によって受波する工程である。2次高調波を含む反射波が二層型圧電振動子10に戻ってくる前にスイッチ4をOFFとし、二層型圧電振動子10を電気的に直列接続にして受波することで、2次高調波を感度良く受波することができる。
(評価工程)
評価工程は、受波工程で二層型圧電振動子10が受波した反射波に含まれる高調波の検出量を計測してボルト20の締め付け状態を評価する工程である。ボルト20を締め付ける前と後とでの反射波に含まれる高調波の検出量が変化するため、反射波に含まれる高調波の検出量を計測することで、ボルト20の締め付け状態を評価することができる。二層型圧電振動子10で受波された反射波はオシロスコープ5で観測することができる。また、オシロスコープ5から得られるデータはGPIBを介してパーソナルコンピュータ(PC)6に転送して解析することができる。上記したように2次高調波の検出量を計測する際には、オシロスコープ5のアベレージング機能を用いてパルスインバージョンを利用することが好ましい。
これまでの本発明の説明では、ボルト20の頭部側の端部21から軸部側の先端22に向けて有限振幅超音波を送波させる形態について説明したが、本発明はかかる形態に限定されない。本発明のボルトの締め付け状態評価システム、及びボルトの締め付け状態評価方法では、有限振幅超音波をボルトの長手方向に伝播させられれば良く、軸部側の先端から頭部側の端部に向けて超音波を送波する形態であっても良い。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。実施例は図1に示すシステムと同様のシステムを用いて行った。二層型圧電振動子10は、2枚のPbTiO(チタン酸鉛系磁器)の平板型圧電振動子(共振周波数:2MHz)11、12を逆分極に貼り合わせて作製した。
発振器1から1MHzのバースト正弦波を20波発振し、高周波数電力増幅器2によって150Vまで増幅した。二層型圧電振動子10を並列接続として駆動し、該二層型圧電振動子10によって、有限振幅超音波をボルト20の端部21からボルト20に送波した。該有限振幅超音波がボルト20の先端22で反射されて戻ってくる反射波は、二層型圧電振動子10を直列接続にして受波した。二層型圧電振動子10の電気的接続(並列接続と直列接続の切り替え)はスイッチ4により自動制御した。受波波形はオシロスコープ5で観測した。また、パルスインバージョンを自動で行うことで、実時間での2次高調波抽出を行った。なお、使用したボルト20は六角ボルトであり、ネジ径:12mm、長さ:100mm、締め付けトルク:40Nm(強度区分4.8の一般的なトルク)とした。40Nmのトルクでボルト20を締め付けたことによる軸力は、約10〜20kNと考えられる。
図4にボルト20の締め付け前後の受波波形とそのスペクトルを示す。図4(a)はボルト20の締め付け前の受波波形を示し、図4(b)にそのスペクトルを示す。図4(c)はボルト20の締め付け後の受波波形を示し、図4(d)にそのスペクトルを示す。上述したように、二層型圧電振動子10を直列接続にすると2次高調波に感度があるが、図4を見ると、受波波形中に含まれる基本波成分(1MHz)が2次高調波成分(2MHz)に比べて大きいため、2次高調波成分(2MHz)が埋もれてしまっている。そこで、パルスインバージョンを行った結果を図5に示す。図5(a)〜(d)は図4(a)〜(d)にそれぞれ対応している。
図5に示すように、パルスインバージョンを行った結果、基本波成分(1MHz)が打ち消され、2次高調波成分(2MHz)が明確に現れている。図5(b)と(d)を比較すると、締め付け前と比べて締め付け後では、2次高調波(2MHz)が約10dB程度増加していることがわかる。
上記結果から、反射波に含まれる2次高調波の検出量の変化に注目することで、ボルトの緩みや過剰締め付けなどの状態を評価することができると考えられる。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うボルトの締め付け状態評価システム、及びボルトの締め付け状態評価方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 発振器
2 高周波数電力増幅器
3 インピーダンス整合回路
4 スイッチ
5 オシロスコープ
6 パーソナルコンピュータ(PC)
10 二層型圧電振動子(超音波探触子、受信子)
11 圧電振動子
12 圧電振動子
20 ボルト
21 頭部側の端部
22 軸部側の先端
100 ボルトの締め付け状態評価システム

Claims (6)

  1. ボルトの長手方向の一方の端部から該ボルトの他端に向けて有限振幅超音波を送波する超音波探触子を含む送波手段、
    該有限振幅超音波が該他端で反射されて生じる反射波を受波する受信子を含む受波手段、及び、
    該受信子が受波した該反射波に含まれる高調波の検出量を計測して前記ボルトの締め付け状態を評価する評価手段、
    を備える、ボルトの締め付け状態評価システム。
  2. 前記超音波探触子及び前記受信子が同一の二層型圧電振動子であり、該二層型圧電振動子は2枚の同特性の圧電振動子を逆分極に貼り合わせたものである、請求項1に記載のボルトの締め付け状態評価システム。
  3. 前記評価手段が前記反射波に含まれる2次高調波の検出量を計測して前記ボルトの締め付け状態を評価する手段である、請求項1または2に記載のボルトの締め付け状態評価システム。
  4. ボルトの長手方向の一方の端部から該ボルトの他端に向けて超音波探触子によって有限振幅超音波を送波する送波工程、
    該有限振幅超音波が該他端で反射されて生じる反射波を受信子によって受波する受波工程、及び、
    該受信子が受波した該反射波に含まれる高調波の検出量を計測して前記ボルトの締め付け状態を評価する評価工程、
    を備える、ボルトの締め付け状態評価方法。
  5. 前記超音波探触子及び前記受信子が同一の二層型圧電振動子であり、該二層型圧電振動子は2枚の同特性の圧電振動子を逆分極に貼り合わせたものである、請求項4に記載のボルトの締め付け状態評価方法。
  6. 前記評価工程が前記反射波に含まれる2次高調波の検出量を計測して前記ボルトの締め付け状態を評価する工程である、請求項4または5に記載のボルトの締め付け状態評価方法。
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