JP2010194507A - 水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた排水の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 6価のクロム酸イオンを含有する排水処理に好適に使用できる水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた前記クロム酸イオン含有水の浄化方法の提供。
【解決手段】 その吸着剤の製造方法は、電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
【解決手段】 その吸着剤の製造方法は、電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめることを特徴とするものである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、クロムの酸素酸イオンを含有する水処理に好適に使用できる水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた前記排水の浄化方法に関する。
より詳しくは、6価のクロム酸イオンを含有する排水処理に好適に使用できる水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた前記クロム酸イオン含有排水の浄化方法に関する。
より詳しくは、6価のクロム酸イオンを含有する排水処理に好適に使用できる水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた前記クロム酸イオン含有排水の浄化方法に関する。
科学技術の進歩に伴って、ますます各種各様の化学物質が製造・使用され、その製造過程あるいは使用過程において、それら化学物質が大気、河川、海洋等の環境中に放出することを完全に回避することは困難であり、このような化学物質の人体、生態系に与える悪影響が懸念される。
そのようなことから、我が国では平成5年3月に水質基準が改訂されて、要監視項目が追加され、重金属として、砒素、モリブデン、アンチモン等が新たに指定された。
そのようなことから、我が国では平成5年3月に水質基準が改訂されて、要監視項目が追加され、重金属として、砒素、モリブデン、アンチモン等が新たに指定された。
この砒素、モリブデン、アンチモン等の重金属イオンを水質系から分離除去する実用可能な手法は従前においては皆無であったとし、これを分離・除去できるとする、鉄イオン溶液を中和して得られる水酸化第2鉄系沈殿生成物からなる吸着剤が最近開発されている(特許文献1)。
この吸着剤は、鉄イオン溶液にアルカリ液を加えることにより得られる非晶質の水酸化第2鉄系の沈殿物からなるものである。
この吸着剤は、鉄イオン溶液にアルカリ液を加えることにより得られる非晶質の水酸化第2鉄系の沈殿物からなるものである。
これらの重金属の中で、環境問題が益々厳しくなった今日においては、環境中で広く汚染が認められる元素として砒素が特に注目されている。
また、休廃止鉱山内で湧水し流出する坑内水、硫黄鉱山に染み込んだ雨水が地下水となって流れ込む河川、温泉の噴出水、またはその利用後の排水が流入する河川等においても砒素が少量含有されているものがあり、その場合において、水のpHが4未満にまで達する強度に酸性化していることがあり、その場合には、砒素の除去は特に難しいものとなっている。
また、休廃止鉱山内で湧水し流出する坑内水、硫黄鉱山に染み込んだ雨水が地下水となって流れ込む河川、温泉の噴出水、またはその利用後の排水が流入する河川等においても砒素が少量含有されているものがあり、その場合において、水のpHが4未満にまで達する強度に酸性化していることがあり、その場合には、砒素の除去は特に難しいものとなっている。
そのような中で、この水酸化第2鉄系沈殿生成物からなる吸着剤は、従前のように重金属のオキソ酸イオンが含有される汚染水を中和沈澱処理するのではなく、直接汚染イオンである砒素のオキソ酸イオンを吸着分離することができることから、本出願人企業は着目し、これを用いて強酸性の水中に鉄イオンと共に含有されるヒ酸イオンに対し分離することを試みたところ意外にも良好に吸着・分離できることを見出した(特許文献2)。
そして、その吸着性能を活用すべく研究を進め、取り扱い性に優れた幾つかの吸着剤の開発に成功した(特許文献3)。その第1は水酸化第2鉄系沈殿生成物を乾燥させて得られる微結晶の水酸化第2鉄系物質を、合成樹脂粉末を加熱・焼結することに得られる連通多孔性成形体に担持することにより製造するものであり(特許文献2)、第2は水酸化第2鉄系沈殿生成物を乾燥させて得られる微結晶の水酸化第2鉄系物質と合成樹脂粉末との混合物を加熱・焼結させることにより製造するものである(特許文献3)。
その際には、水酸化第2鉄系沈殿は中和により生成せしめるが、その中和には各種アルカリ性物質が使用できることが知られてはいるものの、事実上水酸化ナトリウム水溶液が使用されている。
本出願人企業の社員である本発明者らは、その後も第2鉄化合物の水溶液を中和して得られる水酸化第2鉄系吸着剤の特性に着目し、中和性能に優れ、かつ豊富に存在して安定的に供給でき、しかもエネルギー使用量の少ない中和原料を用いることができる製造方法を開発すべく鋭意研究開発に努めた。
本出願人企業の社員である本発明者らは、その後も第2鉄化合物の水溶液を中和して得られる水酸化第2鉄系吸着剤の特性に着目し、中和性能に優れ、かつ豊富に存在して安定的に供給でき、しかもエネルギー使用量の少ない中和原料を用いることができる製造方法を開発すべく鋭意研究開発に努めた。
その中和に代表的に用いられる水酸化ナトリウムの製造には、電解のために多量の電気エネルギーを必要とすることから、そのようなエネルギーを必要としない国内に豊富に存在する資源である消石灰又は炭酸カルシウムの過飽和スラリーを中和に用いることを試みたところ、意外にも水酸化ナトリウムを用いた場合に比し吸着性能が優れていることがわかった。
また、その原因を究明すべく鋭意検討したところ、中和により生成した水酸化第2鉄系沈殿物を固液分離し洗浄した場合に比し、固液分離したままの状態の沈殿物を乾燥した場合の方が吸着性能が優れていることが判明した。
また、その原因を究明すべく鋭意検討したところ、中和により生成した水酸化第2鉄系沈殿物を固液分離し洗浄した場合に比し、固液分離したままの状態の沈殿物を乾燥した場合の方が吸着性能が優れていることが判明した。
その理由を究明すべく更に検討したところ、洗浄しない場合にはカルシウムが残留しており、その残留量が多い方が吸着能が優れていることも判明し、この事実を踏まえて、中和に消石灰等の過飽和スラリーを用いた場合において、As等の吸着性能に優れた吸着剤の開発に成功し、特許出願した(特願2008−81475)。その吸着剤の製造方法は、第2鉄塩水溶液を消石灰又は炭酸カルシウムの過飽和スラリーで中和し、中和後得られたカルシウムが残留する水酸化第2鉄系沈殿物を乾燥することを特徴とするものである。
また、水酸化第2鉄系沈殿生成物を乾燥させて得られる微結晶の水酸化第2鉄系物質を500℃前後の高温で焼成することにより酸化鉄系の吸着剤を開発することに成功し、それを用いることによりモリブデンの酸素酸イオンが好適に吸着できることも見出し特許出願した(特願2008−193109)。
このように、本出願人企業の社員である本発明者らは、水酸化第2鉄系吸着剤及び酸化鉄系の吸着剤の研究開発に努め、多くの成果を収めているが、その処理対象はいずれも平成5年3月に水質基準が改訂されて要監視項目に追加された、砒素、モリブデン、アンチモン等の重金属の酸素酸イオンであった。
このように、本出願人企業の社員である本発明者らは、水酸化第2鉄系吸着剤及び酸化鉄系の吸着剤の研究開発に努め、多くの成果を収めているが、その処理対象はいずれも平成5年3月に水質基準が改訂されて要監視項目に追加された、砒素、モリブデン、アンチモン等の重金属の酸素酸イオンであった。
本発明者らは、前記したとおり水酸化第2鉄系吸着剤及び酸化鉄系の吸着剤の研究開発に成功し、河川等の水中に微量に含有されている砒素等の重金属の酸素酸イオンの浄化に貢献しているが、その捕捉(分離)対象物は、前記したとおりもっぱら平成5年3月に水質基準が改訂されて要監視項目に追加された物質であった。
そのため、これらの吸着剤については、古くから毒性が問題にされ、規制対象となっている、クロム、鉛、水銀あるいはカドミウムに対する吸着性能に関しては、本発明者らは、これまで具体的な検討は行ってこなかった。
そのため、これらの吸着剤については、古くから毒性が問題にされ、規制対象となっている、クロム、鉛、水銀あるいはカドミウムに対する吸着性能に関しては、本発明者らは、これまで具体的な検討は行ってこなかった。
これらの古くから規制対象となっている物質の中でもクロム化合物、特に6価のクロム化合物による土壌汚染は社会問題ともなり、水質汚染、土壌汚染規制のきっかけとなった物質である。また、未だ多くのメッキ工場、自動車製造工場、電子機器製造、電気機器製造工場等の各種工場でクロム化合物が使用され、排出されている。
さらに、希薄濃度となっている6価のクロム化合物含有溶液、特にクロム酸イオンを含有溶液から、クロム酸イオンを分離することができる吸着剤は現状では充分満足できるものとは言い難い。
さらに、希薄濃度となっている6価のクロム化合物含有溶液、特にクロム酸イオンを含有溶液から、クロム酸イオンを分離することができる吸着剤は現状では充分満足できるものとは言い難い。
そのようなことから、希薄濃度のクロム酸イオンの捕捉を念頭において、前記水酸化第2鉄系吸着剤の製造方法について更なる検討を行った。
その際には、原料となる第2鉄化合物については高純度のものではなく、廃棄物の再利用、有効活用、低減等の観点から、鉄鋼酸洗廃液、又はリードフレーム、シャドウマスク等の電子部品のエッチング廃液等から回収された第2鉄化合物を用いることを試みた。
また、リードフレーム又はシャドウマスク等の銅製又は銅合金製の電子部品を塩化第2鉄エッチング液でエッチングした後に排出される劣化エッチング液を再生し再利用する際に排出されるところの鉄含有固形物についても吸着剤としての利用可能性を試みた。すなわち再生時に中和することにより得られる鉄含有固形物について吸着剤としての利用可能性を試みた。
その際には、原料となる第2鉄化合物については高純度のものではなく、廃棄物の再利用、有効活用、低減等の観点から、鉄鋼酸洗廃液、又はリードフレーム、シャドウマスク等の電子部品のエッチング廃液等から回収された第2鉄化合物を用いることを試みた。
また、リードフレーム又はシャドウマスク等の銅製又は銅合金製の電子部品を塩化第2鉄エッチング液でエッチングした後に排出される劣化エッチング液を再生し再利用する際に排出されるところの鉄含有固形物についても吸着剤としての利用可能性を試みた。すなわち再生時に中和することにより得られる鉄含有固形物について吸着剤としての利用可能性を試みた。
その結果、後者の中和生成物である鉄含有固形物については、砒素の酸素酸イオンに対する吸着性能は高いものの、反面クロムの酸素酸イオン、特に6価クロムの酸素酸イオン、すなわちクロム酸イオンに対する吸着性能は低いことが判った。
そこで、本発明者らは、この吸着性能を向上させるべく各種のことを試み解決に鋭意努めた。その結果、意外にも前記した中和生成物の鉄含有固形物に酸を添加し、pHを低下させたところ、クロム酸イオンに対する吸着性能が向上することが判った。
そこで、本発明者らは、この吸着性能を向上させるべく各種のことを試み解決に鋭意努めた。その結果、意外にも前記した中和生成物の鉄含有固形物に酸を添加し、pHを低下させたところ、クロム酸イオンに対する吸着性能が向上することが判った。
したがって、本発明は、これらの知見に基づいて開発されたものであり、それは6価のクロム酸イオンを含有する排水処理に好適に使用できる、リードフレーム又はシャドウマスク等の銅製又は銅合金製の電子部品を塩化第2鉄エッチング液でエッチングした後の劣化エッチング廃液を再生する際に排出されるところの鉄含有固形物を用いて、6価のクロム酸イオンの捕捉性能を向上せしめた水酸化鉄系吸着剤を製造する方法を提供することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。また、それを用いて6価のクロム酸イオンを含有する排水を浄化する方法を提供することも合わせて発明の解決すべき課題とするものである。
本発明は前記課題を達成するための6価クロム酸イオン捕捉用の水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた水の浄化方法を提供するものであり、その吸着剤の製造方法は、電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめることを特徴とするものである。
前記した本発明においては、以下のことが好ましい。すなわち
(1)鉄イオン以外の金属イオンの分離が電気分解、又は金属鉄による還元反応及び固液分離であること。
(2)中和時のpHが7.5〜10.0であること。
(3)酸性化後のpHが3.5〜6.5であること。
より好ましくは4.0〜6.2であること。
(4)銅製又は銅合金製の電子部品が印刷基板、リードフレーム又はシャドウマスクであること。
(5)鉄以外の金属イオンが銅又はニッケルのイオンであること。
(1)鉄イオン以外の金属イオンの分離が電気分解、又は金属鉄による還元反応及び固液分離であること。
(2)中和時のpHが7.5〜10.0であること。
(3)酸性化後のpHが3.5〜6.5であること。
より好ましくは4.0〜6.2であること。
(4)銅製又は銅合金製の電子部品が印刷基板、リードフレーム又はシャドウマスクであること。
(5)鉄以外の金属イオンが銅又はニッケルのイオンであること。
また、本発明のクロム酸イオン含有水の浄化処理方法は、電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめた6価クロムイオン捕捉用水酸化鉄系吸着剤を用いてクロム酸イオン含有水を処理することを特徴とするものである。
本発明の6価クロム酸イオン捕捉用酸化鉄系吸着剤の製造方法は、前記したとおり鉄化合物原料に、印刷回路、リードフレーム又はシャドウマスク等の電子部品を塩化第2鉄エッチング液でエッチングした後に排出される劣化エッチング液を再生し再利用する際に排出されるところの鉄含有固形物を利用するものである。
そのため、この固形物にはエッチングにより溶解された電子部品の金属素材が完璧に分離除去されているわけではないので、一部残留していることになる。
そのため、この固形物にはエッチングにより溶解された電子部品の金属素材が完璧に分離除去されているわけではないので、一部残留していることになる。
この鉄含有固形物は、これまでは処分料金を支払って専門業者に引き渡し、専門業者が適切な処理等を行った後に廃棄処理等がなされていた。
本発明は、このような廃棄処理を不要とするものであるから、処分料が不要となり極めて有効な廃棄物の活用方法である。
その結果、本発明では、河川、湖水、海洋等の水質汚染を回避でき、また土壌汚染の回避もできるので、本発明は地球環境保全上極めて優れたものである。
本発明は、このような廃棄処理を不要とするものであるから、処分料が不要となり極めて有効な廃棄物の活用方法である。
その結果、本発明では、河川、湖水、海洋等の水質汚染を回避でき、また土壌汚染の回避もできるので、本発明は地球環境保全上極めて優れたものである。
以下において、本発明について発明を実施するための形態に関し詳述するが、本発明は、この実施の形態によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
本発明は、6価クロム酸イオン捕捉用の水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いたクロム酸イオン含有水の浄化処理方法であり、前者の製造方法は、電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめることを特徴とするものである。
また、後者のクロム酸イオン含有水の浄化処理方法は、前記水酸化鉄系吸着剤を用いてクロム酸イオン含有水を処理するものである。
また、後者のクロム酸イオン含有水の浄化処理方法は、前記水酸化鉄系吸着剤を用いてクロム酸イオン含有水を処理するものである。
本発明の6価クロム酸イオン捕捉用の水酸化鉄系吸着剤の製造方法に用いる鉄原料化合物は、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液を用いて、リードフレーム、シャドウマスクあるいは印刷回路等の電子部品をエッチングした後に排出される劣化したエッチング液を再生した際に得られる鉄含有固形物である。
その再生時には、エッチングにより溶解した電子部品の金属材料を分離・除去するが、その分離・除去は完璧なものではなく、溶解金属の一部は再生後のエッチング液中に残留することになる。
その再生時には、エッチングにより溶解した電子部品の金属材料を分離・除去するが、その分離・除去は完璧なものではなく、溶解金属の一部は再生後のエッチング液中に残留することになる。
その電子部品は、それぞれ下記のとおりの金属素材を用いるものであるから、再生後のエッチング液中にも、それら金属素材が一部残留することになる。
リードフレーム:鉄(Fe)・銅(Cu)合金
シャドウマスク:鉄(Fe)・ニッケル(Ni)合金
印 刷 回 路:銅(Cu)
リードフレーム:鉄(Fe)・銅(Cu)合金
シャドウマスク:鉄(Fe)・ニッケル(Ni)合金
印 刷 回 路:銅(Cu)
このエッチング工程を有する工場では、通常エッチングした後に排出される劣化したエッチング液を再生して再利用しており、その再生時にはエッチングにより電子部品から溶解された銅、ニッケル等は還元され、金属銅あるいはニッケルとして回収され、その還元には、電気分解あるいは金属鉄、すなわち鉄粉による還元反応が通常用いられており、それらが好ましい。
劣化したエッチング液中に含有されている銅あるいはニッケル等は分離・除去されて、エッチング液は再生され、電子部品のエッチングに再利用される。
なお、鉄粉による還元反応の場合には反応後生成した銅あるいはニッケル等は固液分離によりエッチング液中から分離される。
劣化したエッチング液中に含有されている銅あるいはニッケル等は分離・除去されて、エッチング液は再生され、電子部品のエッチングに再利用される。
なお、鉄粉による還元反応の場合には反応後生成した銅あるいはニッケル等は固液分離によりエッチング液中から分離される。
その再生処理工程においては、劣化したエッチング液から不純物を分離するが、その再生設備は適切な再生を行うべく、その再生設備、具体的には反応槽あるいは固液分離槽等が定期的に洗浄されており、その際には反応槽あるいは固液分離槽等から完全にエッチング液を排出することは事実上難しく、エッチング液が残留し、その結果洗浄水と混合し希釈されることになる。
この希釈液はアルカリ液と混合して中和され生成した固形物が分離され、この固形物については、従前は処分料金を支払って専門業者に引き渡し、専門業者が適切な処理等を行った後に廃棄処理等がなされていた。
この希釈液はアルカリ液と混合して中和され生成した固形物が分離され、この固形物については、従前は処分料金を支払って専門業者に引き渡し、専門業者が適切な処理等を行った後に廃棄処理等がなされていた。
この希釈液は前記したとおりの工程で得られるものであるから、主成分は第2鉄ではあるものの、それには電子部品から溶解された銅あるいはニッケル等が残留していることが予測でき、そのため中和時には中性のpH7を超え、それらが固形物を形成し易いアルカリ領域のpH7.5以上、好ましく8.5以上、場合によっては10.0前後にまで上昇するように希釈液にアルカリ液が添加されている。
本発明では、この中和により得られた固形物、すなわち鉄含有固形物を水酸化鉄系吸着剤製造の鉄原料として利用するものである。
なお、本発明の鉄原料として用いるには、中和後のpHがpH7を超えたpH7.5〜10.0がよい。
本発明では、この中和により得られた固形物、すなわち鉄含有固形物を水酸化鉄系吸着剤製造の鉄原料として利用するものである。
なお、本発明の鉄原料として用いるには、中和後のpHがpH7を超えたpH7.5〜10.0がよい。
本発明における鉄原料については、希釈液をアルカリ液を用いて中和することにより得られた固形物、すなわち鉄含有固形物に限定されるわけではない。
すなわち、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液を用いて電子部品をエッチングした後にできる劣化したエッチング液を再生する際に中和により生成する鉄含有固形物であれば特に制限されることなく使用できる。
例えば、エッチング処理は常時一定量で行われるわけではなく、エッチング処理量が低下すると再生したエッチング液も余剰となることがある。
そのような場合には再生エッチング液も中和して廃棄されることになり、その際の中和により生成する鉄含有固形物も、本発明における鉄原料として勿論利用できる。
すなわち、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液を用いて電子部品をエッチングした後にできる劣化したエッチング液を再生する際に中和により生成する鉄含有固形物であれば特に制限されることなく使用できる。
例えば、エッチング処理は常時一定量で行われるわけではなく、エッチング処理量が低下すると再生したエッチング液も余剰となることがある。
そのような場合には再生エッチング液も中和して廃棄されることになり、その際の中和により生成する鉄含有固形物も、本発明における鉄原料として勿論利用できる。
劣化したエッチング液は、リードフレーム、シャドウマスクあるいは印刷回路等の各種電子部品をエッチングしたものであるから、エッチングにより溶解した金属を含有することになるが、その際にはエッチング対象の電子部品により、それを形成する金属素材も異なるので、溶解した後に劣化エッチング液中に含有される金属もエッチング対象の電子部品により異なることになる。
その劣化エッチング液は再生後再利用することを考慮すると個別に再生するのが好ましいが、エッチング対象電子部品の異なる劣化エッチングを混合した後に再生しても良く、その場合において、再生時に中和により生成する鉄含有固形物も本発明における鉄原料として勿論利用できる。
なお、電子部品の生産量の変動により、多くの余剰の劣化エッチング液が発生する場合があるが、そのような場合には再生前の劣化エッチング液の一部を再生エッチング液に混入することもあり、これを中和して得られる鉄含有固形物であっても本発明における鉄原料として利用可能である。
なお、電子部品の生産量の変動により、多くの余剰の劣化エッチング液が発生する場合があるが、そのような場合には再生前の劣化エッチング液の一部を再生エッチング液に混入することもあり、これを中和して得られる鉄含有固形物であっても本発明における鉄原料として利用可能である。
本発明者らは、この鉄含有固形物が砒素の酸素酸イオン、すなわち亜砒酸イオンに対しては高い吸着性能を示すことを確認した。それは下記のとおりである。
100mLの4個のポリ瓶に、それぞれ下記表1に示す砒素濃度の亜砒酸イオン溶液を入れ、酸処理していない、すなわち酸性化処理していない鉄含有固形物を0.2g添加して3日間160rpm(すなわち毎分160回転)で振盪させて吸着処理を行った。3日後に濾過して、濾液を分析した。
100mLの4個のポリ瓶に、それぞれ下記表1に示す砒素濃度の亜砒酸イオン溶液を入れ、酸処理していない、すなわち酸性化処理していない鉄含有固形物を0.2g添加して3日間160rpm(すなわち毎分160回転)で振盪させて吸着処理を行った。3日後に濾過して、濾液を分析した。
その結果は表1に示すとおりであり、それによれば、亜砒酸イオン濃度(原液濃度)が110mg/L〜0.92mg/Lの広範囲の濃度で90%以上で除去されており、亜砒酸イオンに対して優れた吸着性能を示すことがわかる。
前記のとおりではあるものの、特に土壌汚染が社会問題となり、水質、土壌汚染規制のきっかけとなった物質であるクロムの酸素酸イオン、特に6価のクロム酸イオンに対しては吸着性能は残念ながら低いものであることがわかった。
前記のとおりではあるものの、特に土壌汚染が社会問題となり、水質、土壌汚染規制のきっかけとなった物質であるクロムの酸素酸イオン、特に6価のクロム酸イオンに対しては吸着性能は残念ながら低いものであることがわかった。
これらの事実を踏まえて、前記鉄含有固形物の6価のクロム酸イオンに対する吸着性能を高めるべく各種検討を行った。その検討の過程において、酸を添加して前記鉄含有固形物を酸性化することにより、6価のクロム酸イオンの吸着性能が向上することを見出した。
すなわち、本発明においては、前記鉄含有固形物に酸を添加して該固形物を酸性化することにより、具体的にはpHを3.5〜6.5に維持することにより、6価のクロム酸イオンの吸着性能を向上させたものである。
すなわち、本発明においては、前記鉄含有固形物に酸を添加して該固形物を酸性化することにより、具体的にはpHを3.5〜6.5に維持することにより、6価のクロム酸イオンの吸着性能を向上させたものである。
なお、鉄含有固形物のpHあるいは酸を添加した後の該固形物のpHは以下のとおりのものである。すなわち、鉄含有固形物のpHとは、鉄含有固形物にpH計の測定部が水に浸かる程度の量のイオン交換水を添加し、添加後測定値が安定するまで放置し、その後に測定した数値である。さらに、酸を添加後の該固形物のpHとは、予めpH計の測定部が水に浸かる程度の量のイオン交換水を添加し、その後酸を添加して測定値が安定するまで放置し、その後に測定した数値である。
また、この添加に使用する酸は特に制限されることはなく、各種無機酸が使用でき、それには硝酸、塩酸あるいは硫酸等が例示できる。
また、この添加に使用する酸は特に制限されることはなく、各種無機酸が使用でき、それには硝酸、塩酸あるいは硫酸等が例示できる。
以下においては、本発明について、2種の実施例に基づいて更に詳述する。なお、本発明は、これら両実施例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
実施例1では、100mLの6個の各ポリ瓶に3.96ppmの6価のクロム酸イオン溶液60mLを入れ、それらに前記した鉄含有固形物を塩酸処理した、図1に図示するpHの吸着剤をそれぞれ0.2g添加して、3日間160rpmで振盪させて、吸着処理を行った。その後濾過して、濾液のクロム酸イオン濃度を分析した。
実施例1では、100mLの6個の各ポリ瓶に3.96ppmの6価のクロム酸イオン溶液60mLを入れ、それらに前記した鉄含有固形物を塩酸処理した、図1に図示するpHの吸着剤をそれぞれ0.2g添加して、3日間160rpmで振盪させて、吸着処理を行った。その後濾過して、濾液のクロム酸イオン濃度を分析した。
その結果は表2及び図1に示すとおりである。その結果から、塩酸処理後のpHが6.8の場合には、未処理の場合よりも残留する6価のクロム酸イオンの量が低下しており、すなわち吸着性能は増加しているものの、その増加はさほど大きなものではなかった。
それに対して、前記した鉄含有固形物を塩酸処理してpHを6.2、6.0、5.1及び4.0としたものは、未処理のものに比し6価のクロム酸イオンの吸着性能が格段に向上していることがわかる。
それに対して、前記した鉄含有固形物を塩酸処理してpHを6.2、6.0、5.1及び4.0としたものは、未処理のものに比し6価のクロム酸イオンの吸着性能が格段に向上していることがわかる。
この実施例2では、実施例1と同様に100mLの必要個数のポリ瓶に、それぞれ4種の濃度(103ppm、20.3ppm、3.96ppm及び0.78)の6価のクロム酸イオン溶液60mLを入れ、それぞれに実施例1と同様に、前記した鉄含有固形物を塩酸処理した、3種のpHの吸着剤及び未処理吸着剤を0.2g添加して、3日間160ppmで振盪させ吸着処理を行って、平衡濃度を測定した。
その平衡濃度及び吸着処理に使用した6価のクロム酸イオン溶液の濃度(以下、原液濃度という)を用いて、吸着等温線を作成した。
その平衡濃度及び吸着処理に使用した6価のクロム酸イオン溶液の濃度(以下、原液濃度という)を用いて、吸着等温線を作成した。
この結果からも、本発明の製造方法により製造した水酸化鉄系吸着剤が6価のクロム酸イオン溶液に対し優れた吸着性能を発現することがわかる。特に、前記した鉄含有固形物を塩酸処理してpHを6.2、5.1及び4.0としたものが高い吸着性能を発現することがわかる。
なお、クロム吸着等温線を作成する際に必要となる「クロム吸着量」を算出した計算式は下記(式1)のとおりである。
クロム吸着量[mg/g]={(原液濃度[mg/L]−平衡濃度[mg/L])
×0.06[L]}/0.2[g] (式1)
なお、クロム吸着等温線を作成する際に必要となる「クロム吸着量」を算出した計算式は下記(式1)のとおりである。
クロム吸着量[mg/g]={(原液濃度[mg/L]−平衡濃度[mg/L])
×0.06[L]}/0.2[g] (式1)
本発明の製造方法により製造された6価クロム酸イオン捕捉用酸化鉄系吸着剤は、劣化エッチング液を再生し再利用する際に排出されるところの廃棄処理されていた鉄含有固形物を、水質汚染及び土壌汚染物資の原因物質である規制対象物の6価クロム酸イオンを捕捉するために有効活用するものであるから、廃棄処分費用を不要とするものである。
また、その結果、本発明では、従来廃棄処理するしか対処法がなかった固形物を有効利用するものであり、それにより、河川、湖水、海洋等の水質汚染、また土壌汚染を回避するものである。
また、その結果、本発明では、従来廃棄処理するしか対処法がなかった固形物を有効利用するものであり、それにより、河川、湖水、海洋等の水質汚染、また土壌汚染を回避するものである。
Claims (7)
- 電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめることを特徴とする6価クロムイオン捕捉用水酸化鉄系吸着剤の製造方法。
- 鉄以外の金属イオンの分離が電気分解、又は金属鉄による還元反応及び固液分離である請求項1に記載の6価クロムイオン捕捉用水酸化系吸着剤の製造方法。
- 中和時のpHが7.5〜10.0である請求項1又は2に記載の6価クロムイオン捕捉用水酸化系吸着剤の製造方法。
- 酸性化後のpHが3.5〜6.5である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の6価クロムイオン捕捉用水酸化系吸着剤の製造方法。
- 電子部品が印刷回路基板、リードフレーム又はシャドウマスクである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の6価クロムイオン捕捉用水酸化系吸着剤の製造方法。
- 鉄以外の金属イオンが銅又はニッケルのイオンである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の6価クロムイオン捕捉用水酸化鉄系吸着剤の製造方法。
- 電子部品をエッチング処理した後の劣化した塩化第2鉄を主成分とするエッチング液からエッチングにより溶解された鉄以外の金属イオンを分離して前記エッチング液を再生し、その再生により得られた再生液の一部又はその希釈液をアルカリ液で中和して生成した鉄含有固形物に酸を添加して酸性化せしめた6価クロムイオン捕捉用水酸化鉄系吸着剤を用いてクロム酸イオン含有水を処理することを特徴とするクロム酸イオン含有水の浄化方法。
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JP2009045206A JP2010194507A (ja) | 2009-02-27 | 2009-02-27 | 水酸化鉄系吸着剤の製造方法及びそれを用いた排水の浄化方法 |
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- 2009-02-27 JP JP2009045206A patent/JP2010194507A/ja active Pending
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