JP2010192227A - 導電性複合金属材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】長さ方向に渡って均一で、安定した導電性、機械的強度を備えた導電性複合金属材料を提供する。
【解決手段】本発明の導電性複合金属材料は、銅またはアルミニウムからなるマトリックス1と、前記マトリックス1よりも高強度の金属材で形成され、長さ方向に連続し、マトリックス1と相互に拡散することなく埋入された複数のフィラメント2を備える。そして、線材横断面におけるマトリックス1と全フィラメントの面積割合は1:0.01〜1:0.5とされる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の導電性複合金属材料は、銅またはアルミニウムからなるマトリックス1と、前記マトリックス1よりも高強度の金属材で形成され、長さ方向に連続し、マトリックス1と相互に拡散することなく埋入された複数のフィラメント2を備える。そして、線材横断面におけるマトリックス1と全フィラメントの面積割合は1:0.01〜1:0.5とされる。
【選択図】図1
Description
本発明は、長さ方向に沿って安定した高導電性と高強度とを兼備した導電性複合金属材料に関する。
銅は導電性、熱伝導性に優れ、適度な強度を持つことから、電線、導電性ケーブルなどの線材の素材として好適に用いられる。また、自動車など、軽量化が重要視される分野では、銅の代わりにアルミニウムが用いられることがある。
近年、自動車部品のみならず、各種電気機器、電機部品において軽量化、小型化、薄型化が指向されるに伴い、これらに用いられる導電性線材に対しても、機械的強度の向上が望まれている。
従来、自動車部品などの分野では、異種材料を複合化して、機械的特性を向上させる試みが種々なされている。例えば、特開昭62−193823号公報(特許文献1)には、チタンやチタン合金で線材の中心部を形成し、外周を鋼で被覆した複合金属材が記載されている。また、特開平2−258937号公報(特許文献2)には、外周がAlをマトリックスとした繊維強化金属からなり、内部がAlからなる複合金属材が記載されている。しかし、これらの複合構造は、断面構造が2層に区分されており、細長い導電性線材の強化構造としては適切ではない。
一方、線材の素材である銅やアルミニウム自体を強化する試みも種々なされている。このような非鉄金属の強化の手法としては、合金化(固溶強化)、析出強化などの手法が主に用いられる。合金化による場合、合金元素の添加量に応じて、線材を強化することができるが、線材を長さ方向に渡って、銅やアルミニウムの導電性を過度に犠牲にすることなく、機械的強度を安定的に向上させるには、比較的少量の固溶強化元素を材料中に均一に分散させることが必要となる。しかし、強化元素をマトリックス中に均一に分散させることは難しく、線材の長さ方向に沿って安定した特性が得られ難い。また、析出強化の場合も、マトリックス中に析出強化元素を均一に分散させることが難しい上に、析出物の析出には熱処理が非常に大きな影響を及ぼすため、析出物をマトリックス中に均一に析出させるには厳密な温度管理や時間管理が必要となり、やはり長さ方向に安定した特性が得られ難いという問題がある。
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、長さ方向に渡って均一で、安定した導電性、機械的強度を備えた導電性複合金属材料を提供することを目的とする。
本発明に係る導電性複合金属材料は、銅またはアルミニウムからなるマトリックスと、前記マトリックスよりも高強度の金属材で形成され、長さ方向に連続し、マトリックスと相互に拡散することなく埋入された複数のフィラメントを備え、横断面におけるマトリックスと全フィラメントの面積割合が1:0.01〜1:0.5とされたものである。
この導電性複合金属材料によると、銅またはアルミニウムからなるマトリックス中に、マトリックスよりも高強度の金属材で形成され、長さ方向に連続する複数のフィラメントが埋入されるので、材料の長さ方向に沿って安定した機械的、電気的特性が得られる。特に、前記フィラメントはマトリックスと相互に拡散することなくマトリックス中に埋入されるため、マトリックスやフィラメントが変質せず、マトリックスの導電性低下やフィラメントの弱化を防止することができ、さらに両者の境界に脆い金属間化合物が生成することがないので、フィラメントによる強化がより安定したものとなる。さらに、横断面におけるマトリックスと全フィラメントの面積割合が1:0.01〜1:0.5とされるので、マトリックスの導電性を過度に劣化させることなく、フィラメントによって材料を有効に強化することができる。
前記複合金属材料において、フィラメントをマトリックスと相互に拡散しない拡散抑制層を介してマトリックス中に埋入することができる。前記拡散抑制層を用いることで、フィラメントを構成する金属材とマトリックスの金属材との拡散反応性を考慮する必要がなくなる。このため、フィラメントとして用いる金属材を広範囲の材料から選択することができる。
また、前記複合金属材料において、複数のフィラメントはマトリックス中に分散配置されることが好ましい。フィラメントが材料の中心周りに連続的に配置されると、マトリックスがフィラメントを境として内外に分断されるので、特に横断面における機械的、電気的性質の均一性が損なわれるようになるが、複数のフィラメントを分散配置することにより、材料の長さ方向のみならず、横断面においても、特性をより均一化、安定化することができる。
前記複合金属材料において、1本のフィラメントの横断面サイズは、円相当径(以下、単に「径」と記す。)で0.1μm 以下にすることが好ましい。前記円相当径とは、フィラメントの横断面積と面積が等しい円の直径をいう。フィラメント径を0.1μm 以下とすることにより、全フィラメントの合計断面積が同じでも、多数のフィラメントによって材料を強化することができるので、分散配置が容易になり、また材料の製造の際にマトリックスに導入される転位とフィラメントとの相互作用が発現し、優れた強化効果が得られるようになる。このため、長さ方向や横断面における特性をより均質化、安定化することができ、より優れた強化効果を得ることができる。
本発明の導電性複合金属材料によると、材料の長さ方向に沿って安定した導電性、機械的強度が得られ、特にフィラメントはマトリックスと相互に拡散することなくマトリックス中に埋入されるため、マトリックスやフィラメントが変質せず、マトリックスの導電性やフィラメントの強化能の低下を防止することができる。さらに、横断面におけるマトリックスとフィラメントの面積割合が1:0.01〜1:0.5とされるので、マトリックスの導電性を過度に劣化させることなく、フィラメントによって材料を有効に強化することができる。
本発明の実施形態に係る導電性複合金属線材は、図1の横断面に示すように、高導電性金属の銅あるいはアルミニウムからなるマトリックス1中に、多数のフィラメント2が線材の横断面において分散し、かつ長さ方向に沿って連続的に埋入された複合構造を有している。
前記マトリックス1としては、高導電率を有する銅あるいはアルミニウムが好適に用いられる。前記銅としては、Cu純度が98mass%(質量%、以下、単に「%」と記す。)以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上の純銅を用いることが好ましい。例えば、タフピッチ銅や無酸素銅を好適に用いることができる。また、アルミニウムとしては、Al純度が99%以上、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.9%以上の純アルミニウムを好適に用いることができる。
前記フィラメント2は、前記マトリックス1を形成する金属材より高強度であり、加工性に優れ、線材の製造過程で施される熱処理(例えば焼鈍処理)によってマトリックス金属材と拡散反応しない金属材で形成される。例えば、マトリックスを銅で形成する場合、フィラメントをNb,Taで形成することができ、マトリックスをアルミニウムで形成する場合、Nbで形成することができる。
また、前記フィラメント2は、マトリックス金属材と拡散反応を起こす金属材で形成することもできる。もっとも、この場合、マトリックス1に埋設するに際しては、マトリックス金属材と拡散反応を起こさない金属材で形成された拡散抑制層を介してフィラメントを埋設することが必要である。前記拡散抑制層をフィラメントに被覆することによって、マトリックスとフィラメントとの拡散反応を防止することができる。例えば、マトリックスを銅で形成した場合、フィラメントとしてCuと拡散反応を起こすTiによっても形成することができるが、この場合、NbやTaで形成された拡散抑制層をフィラメントに被覆するようにして、フィラメントをマトリックス中に埋設する。また、マトリックスをアルミニウムで形成した場合、フィラメントとしてAlと拡散反応を起こすTiによっても形成することができ、この場合、Nbで形成された拡散抑制層をフィラメントに被覆すればよい。なお、前記拡散抑制層の層厚(被覆厚)は、0.001〜0.01μm 程度で十分である。
前記フィラメント2の横断面形状としては、典型的には丸、六角形等の多角形が好ましいが、S字形、W字形、波形などの形状としてもよい。そのサイズは、円相当径に換算して、0.05〜130μm 程度が好ましい。細径ほど製造に手間がかかるが、線材の横断面における分散性、均一性は向上する。フィラメント径(円相当径)の上限は、好ましくは20μm 程度、より好ましくは10μm 程度、さらに好ましくは1μm 程度に止めるのがよい。フィラメントは小径の方が線材横断面において均一に分散させることができ、線材の横断面、長さ方向における均一性を向上させることができる。なお、線材の外径(円相当径)は、小型の電気機器では0.2〜数mm程度のものが用いられる。
線材の横断面におけるマトリックスと全フィラメントの面積割合は、マトリックスを1としたとき、1:0.01〜1:0.5とするのがよい。フィラメントの面積割合がマトリックス面積の0.01倍以下では、強化が十分でなく、また横断面内を均一に強化するにはフィラメントを超微細化する必要が生じて、生産性が低下する。また、0.5倍を越えると、マトリックスが少なくなり、導電性の低下が著しくなる。
特に、線材の外径が数mm程度以下、特に1mm程度以下と小さく、マトリックスに対する全フィラメントの断面割合が小さい場合、例えばマトリックスを1としたとき、1:0.01〜1:0.1程度の場合、円相当径で0.01〜0.5μm 程度の微細径のフィラメントが好ましい。このサイズまでフィラメントを加工した場合、製造過程でマトリックスの変形の際に導入される転位と相互作用が生じて、強化作用がより向上する。
次に、上記導電性複合線材の製造方法について説明する。この製造方法は、一次線材製造工程と、二次線材製造工程を備える。以下、マトリックスとして銅、フィラメントとして銅と拡散反応しない金属を用いる場合について説明する。マトリックスをアルミニウム、フィラメントをアルミニウムと拡散反応しない金属で形成する場合も同様である。
前記一次線材製造工程では、銅パイプに銅と拡散反応を起こさない金属、例えばNbで形成された軸状芯材が挿入された一次組立体、あるいは銅棒の軸方向に平行に、横断面において分散して開設された複数の縦穴にそれぞれ軸状芯材が挿入された一次組立体を製作し、これを加工率2〜4程度で熱間押出(あるいは抽伸)し、得られた一次押出材をさらに冷間伸線(あるいは冷間圧延)によって減面加工して、銅材中にフィラメント金属材が一体的に埋設された一次線材を製造する。
前記減面工程において、一次押出材を適当な線径に冷間伸線して丸形断面の一次線材を製作することができるが、好ましくは最終伸線として、断面形状が六角穴形のダイスに通して横断面を六角形の一次線材とすることが好ましい。線材断面形状を六角形にすることにより、後述する二次組立体を製作する際に、一次線材が密に束ね易くなる。一次線材のサイズは、例えば、丸形線では直径1〜9mm、六角断面線では対辺長(六角形の一辺の長さ)を2〜5mm程度とすればよい。なお、加工率Rとは、下記式で表される値である。
R=ln(加工前の線材の横断面積/加工後の線材の横断面積)
R=ln(加工前の線材の横断面積/加工後の線材の横断面積)
前記二次線材製造工程では、まず、前記一次線材と、必要に応じて銅のみからなる銅線材とを密に束ねて銅パイプに挿入して二次組立体を製作する。この際、前記一次線材を均一に分散させて配置するようにする。また、線材のマトリックスと全フィラメントの横断面積割合が目標値となるように一次線材、銅線材の本数を設定する。この二次組立体を加工率2〜4程度で熱間押出(あるいは抽伸)し、さらに冷間伸線(あるいは冷間圧延)によって減面加工する。これにより、二次線材が得られる。この二次線材は複合金属線材となるものであるが、より細径のフィラメントが埋設された複合金属線材を製造するには、さらに前記二次線材および必要に応じて銅線材を密に束ねて銅パイプに入れ、熱間押出、冷間伸線する工程を繰り返せばよい。なお、要求仕様によっては前記一次線材も複合金属線材とすることができる。また、二次線材を圧延して、帯板状やテープ状にしてもよい。
上記製造実施形態では、フィラメントとしてマトリックス金属材と拡散しない金属材を用いた例を示したが、フィラメントとして、マトリックス金属材と拡散反応する金属材、例えばマトリックス金属材として銅、フィラメント金属材としてTiを用いる場合は、前記一次線材製造工程において、Ti材にマトリックス金属材と反応しない金属材、例えばNbを被覆した複合軸状芯材を銅パイプや穴付き銅棒に挿入すればよい。このNb材は最終的にはフィラメントを被覆する拡散抑制層を形成する。なお、複合軸状芯材は、Nb製の薄肉パイプにTi芯材を嵌合したり、Ti芯材にNb製のテープを巻き付けることによって容易に製作することができる。
上記のようにして製作された線材は、そのマトリックスが加工により硬化したものになっている。そこで、最終伸線後の複合線材にマトリックスに対する軟化焼鈍を施すことによって、マトリックスの歪を除去し、マトリックスの導電率を向上させることができる。このような焼鈍は、二次線材製造工程における冷間加工の途中に施すようにしてもよい。本発明の複合金属線材において、フィラメントを形成する金属は、通常、マトリックスを形成する銅やアルミニウムよりも高融点金属、例えばNb、Ta、Tiが用いられるので、前記焼鈍を施しても、線材自体の強度は低下しない。前記焼鈍は、通常、マトリックスが銅の場合、300〜600℃程度の温度で、アルミニウムの場合、200〜400℃程度の温度で、30〜120min 程度保持することによって行われる。なお、単に加工強化した高導電率材料の線材では、焼鈍により材料の導電率が向上するものの、材料が軟化してしまい、線材の強度と導電率を両立させることは困難である。
次に、本発明の導電性複合金属線材について具体的実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈されるものではない。
試料No. 1およびNo. 2の複合金属線材(実施例)、試料No. 3およびNo. 4の複合金属線材(比較例)を以下のようにして製造した。
試料No. 1(実施例)
無酸素銅(Cu:99.997mass%,O:0.0002mass%。以下、「銅」という場合はすべてこの無酸素銅を意味する。)からなる銅パイプ(外径65mm、内径55.2mm)の内側にNb製の軸状芯材(外径55mm)を挿入後、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行った。その後、一次押出材を冷間で伸線加工し、最終伸線の際に六角穴形ダイスに通して、対辺長4mmの一次線材を製作した。また、別途、同一六角断面形状の銅線材を外径65mmの銅材(中実材)を用いて同様の方法で製作した。
上記一次線材、銅線材を矯正し、所定長さに切断して、一次線材19本と銅線材18本を均一に分布するように束ね、銅パイプ(外径32.8mm、内径29mm)内に挿入し、冷間で伸線加工し、外径1mmの複合金属線材を得た。また、最終加工後に導電率を向上させるため、線材を300℃、1hr加熱保持する焼鈍熱処理を行った。この複合金属線材(100m)の両端部の横断面における、銅マトリックスと全Nbフィラメントとの面積割合(平均値)は、1:0.45であり、1本のフィラメントの直径(平均値)は128μm であった。なお、フィラメントの直径や面積比は、線材の横断面を顕微鏡観察し、観察写真を画像処理ソフトを用いて計測した。他の試料においても同様である。
無酸素銅(Cu:99.997mass%,O:0.0002mass%。以下、「銅」という場合はすべてこの無酸素銅を意味する。)からなる銅パイプ(外径65mm、内径55.2mm)の内側にNb製の軸状芯材(外径55mm)を挿入後、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行った。その後、一次押出材を冷間で伸線加工し、最終伸線の際に六角穴形ダイスに通して、対辺長4mmの一次線材を製作した。また、別途、同一六角断面形状の銅線材を外径65mmの銅材(中実材)を用いて同様の方法で製作した。
上記一次線材、銅線材を矯正し、所定長さに切断して、一次線材19本と銅線材18本を均一に分布するように束ね、銅パイプ(外径32.8mm、内径29mm)内に挿入し、冷間で伸線加工し、外径1mmの複合金属線材を得た。また、最終加工後に導電率を向上させるため、線材を300℃、1hr加熱保持する焼鈍熱処理を行った。この複合金属線材(100m)の両端部の横断面における、銅マトリックスと全Nbフィラメントとの面積割合(平均値)は、1:0.45であり、1本のフィラメントの直径(平均値)は128μm であった。なお、フィラメントの直径や面積比は、線材の横断面を顕微鏡観察し、観察写真を画像処理ソフトを用いて計測した。他の試料においても同様である。
試料No. 2(実施例)
上記試料No. 1の場合と同様、同サイズの銅パイプに、外径55mmのNb軸状芯材を挿入した後、両端を封止し、加工率2で熱間押し出しを行い、得られた一次押出材を冷間伸線して、外径(直径)0.8mmの一次線材を製作した。別途、直径5mmの銅線材を準備した。
この銅線材91本と一次線材150本を銅パイプ(外径65mm、内径60mm)内に均一に分布するように組み込み、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行い、得られた二次押出材を再度冷間伸線し、対辺長2.2mmの六角断面形状の二次線材を得た。
さらに、この六角断面形状の二次線材を矯正、切断し、547本を束ねて銅パイプ(外径65mm、内径60mm)内に組み込み、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行った。得られた三次押出材を再度冷間伸線し、対辺長2.2mmの六角断面形状の三次線材を得た。この三次線材を矯正、切断し、再び547本を束ねて銅パイプ(外径65mm、内径60mm)内に組み込み、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行い、さらに冷間伸線を行うことにより、外径1mmの複合金属線材を得た。また、最終伸線加工後に導電率向上のため、300℃で1時間の焼鈍熱処理を行った。この複合金属線材(100m)の両端部の横断面における、マトリックスと全Nbフィラメントとの面積割合(平均値)は1:0.01であり、1本のフィラメントの直径(平均値)は約0.02μm (面積約0.0003μm2 )であった
上記試料No. 1の場合と同様、同サイズの銅パイプに、外径55mmのNb軸状芯材を挿入した後、両端を封止し、加工率2で熱間押し出しを行い、得られた一次押出材を冷間伸線して、外径(直径)0.8mmの一次線材を製作した。別途、直径5mmの銅線材を準備した。
この銅線材91本と一次線材150本を銅パイプ(外径65mm、内径60mm)内に均一に分布するように組み込み、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行い、得られた二次押出材を再度冷間伸線し、対辺長2.2mmの六角断面形状の二次線材を得た。
さらに、この六角断面形状の二次線材を矯正、切断し、547本を束ねて銅パイプ(外径65mm、内径60mm)内に組み込み、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行った。得られた三次押出材を再度冷間伸線し、対辺長2.2mmの六角断面形状の三次線材を得た。この三次線材を矯正、切断し、再び547本を束ねて銅パイプ(外径65mm、内径60mm)内に組み込み、両端を封止し、加工率2で熱間押出を行い、さらに冷間伸線を行うことにより、外径1mmの複合金属線材を得た。また、最終伸線加工後に導電率向上のため、300℃で1時間の焼鈍熱処理を行った。この複合金属線材(100m)の両端部の横断面における、マトリックスと全Nbフィラメントとの面積割合(平均値)は1:0.01であり、1本のフィラメントの直径(平均値)は約0.02μm (面積約0.0003μm2 )であった
試料No. 3(フィラメントを含まない比較例)
上記試料1で準備した対辺長4mmの六角形断面の銅線材を37本束ね、銅パイプ(外径32.8mm、内径29mm)に挿入し、冷間伸線により外径1mmの銅線材を得た。また、最終加工後の線材を300℃、1hr加熱保持する焼鈍熱処理を行った。
上記試料1で準備した対辺長4mmの六角形断面の銅線材を37本束ね、銅パイプ(外径32.8mm、内径29mm)に挿入し、冷間伸線により外径1mmの銅線材を得た。また、最終加工後の線材を300℃、1hr加熱保持する焼鈍熱処理を行った。
試料No. 4(フィラメントが過多の比較例)
上記試料No. 1で準備した対辺長4mmの六角断面の一次線材31本と銅線材6本を束ね、銅パイプ(外径32.8mm、内径29mm)に挿入し、冷間伸線により外径1mmの二次線材を得た。また、最終加工後に線材を300℃、1hr加熱保持する焼鈍熱処理を行った。この複合金属線材(100m)の両端部の横断面におけるマトリックスと全フィラメントとの面積比(平均値)は1:1であった。
上記試料No. 1で準備した対辺長4mmの六角断面の一次線材31本と銅線材6本を束ね、銅パイプ(外径32.8mm、内径29mm)に挿入し、冷間伸線により外径1mmの二次線材を得た。また、最終加工後に線材を300℃、1hr加熱保持する焼鈍熱処理を行った。この複合金属線材(100m)の両端部の横断面におけるマトリックスと全フィラメントとの面積比(平均値)は1:1であった。
上記試料No. 1〜4の複合金属線材(100m)を用いて、両端部と中央部から長さ300mmの試験片を採取し、各試料についてJIS準拠により引張試験および導電率測定を行った。それらの測定結果を下記表1に示す。なお、導電率は%IACSで示した。%IACSは、焼鈍した軟鋼の20℃における抵抗値(1.7241μΩm)を100%lACS(International Annealed Copper Standard)とし、材料の導電率をこれと比較して百分率で表したものである。
表1より、実施例の試料No. 1では、マトリックスの面積割合が相対的に減少しているため、線材の導電率が面積減少分だけ減少した。勿論、強化用のフィラメントを有しない比較例の試料No. 3に比して著しい強度の改善がみられた。また、実施例のNo. 2では、全フィラメントは極わずかな面積割合であるので、導電率の低下はほとんど生じなかったが、フィラメントが少ない面積割合に拘わらず、著しい強度の向上が認められた。また、試料No. 1,2とも、線材の長さ方向において、特性のバラツキはほとんど認められず、長さ方向に安定した特性が得られた。
1 マトリックス
2 フィラメント
2 フィラメント
Claims (4)
- 銅またはアルミニウムからなるマトリックスと、前記マトリックスよりも高強度の金属材で形成され、長さ方向に連続し、マトリックスと相互に拡散することなく埋入された複数のフィラメントを備え、横断面におけるマトリックスと全フィラメントの面積割合が1:0.01〜1:0.5とされた、導電性複合金属材料。
- 前記フィラメントは、マトリックスと相互に拡散しない拡散抑制層を介して埋入された、導電性複合金属材料。
- 複数のフィラメントがマトリックス中に分散配置された、請求項1または2に記載した、導電性複合金属材料。
- 1本のフィラメントの円相当径が0.1μm 以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載した、導電性複合金属材料。
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Legal Events
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Effective date: 20120709 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |