JP2010190908A - 固型物・成形物用硬度測定装置及びその測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬度の低い柔らかい固型物・成形物でも簡単な操作で精度良く、再現性良く、しかも短時間で、その硬度を測定できる装置及びその測定方法を提供する。
【解決手段】側面に多数の穴と、内部に少なくとも一枚の掻き上げ翼を有する円筒体もしくは多角筒体1と、該円筒体もしくは多角筒体1を水平回転させるモーター2から構成される固型物・成形物用硬度測定装置に固形物、成型物5を入れて回転し、側面の穴から落下する粉化粒子重量を計量して、所定の粉化率に達するまでの時間を測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は固型物・成形物用硬度測定装置及びそれを用いた硬度の測定方法に関するものである。造粒物、成形物の硬度測定は、それらを製造する際の工程管理上、品質管理上重要な材料試験項目となっている。また、造粒物、成形物の硬度を測定することは、造粒物、成形物の輸送、供給、貯蔵時における取扱い性や包装容器を選定したり、粉塵爆発などの災害を防止する上で重要な情報を提供するものである。更には粉体の固結性を把握する為の重要な試験項目となっている。この様に、固型物、造粒物や成形物等の硬度を測定することは、産業上有用となっている。
従来、固体の硬度測定装置としては、圧壊硬度試験装置、押し込み硬度試験装置、衝撃硬度試験装置、摩耗硬度試験装置、等がある。
これら公知(既知)の硬度試験装置は、硬度の高い即ち壊れにくい成形物に対して、その硬度を精度再現性良く測定することが出来る。しかし、硬度の低い即ち壊れやすく柔らかい成形物の硬度測定には適切な試験方法(評価方法)でなく適用し難い。また、適用できたとしても精度及び再現性が問題となる。
例えば、壊れやすく柔らかい成形物の硬度測定の場合、木屋式硬度計では、低硬度用機種を用い、多数回測定し、その値を平均化する。また、多量の成形体を所定の高さから所定の回数落下させ、次にそれを篩分分析して破壊された量を測定するJIS規格M8711、ASTM規格D440−49の方法等がある。また、この落下法を工夫、改善したものにJIS規格M8712回転破砕試験法がある。該方法は、一定の成形物を掻き上げ板付き回転ドラムに入れ、一定の回転速度でドラムを回転させ、そして所定の時間に達したらドラムを止めて内部の成形物の篩分分析を行い、その粉化量を測定するというものである。
木屋式硬度計を用い壊れやすく柔らかい成形物の硬度を測定する場合は、成形物を多数回測定して値を平均化しなければならず、操作が煩雑で、測定に長時間を必要とし多大の労力を要する。成形物の種類によっては、この様に測定に時間と手間をかけても定量的評価ができない場合が多い。都合良く測定できたとしてもその精度及び再現性には問題がある。
また、落下試験装置を用いた落下試験法及び回転破砕装置を用いた回転破砕試験法においても、破壊操作、試料の取り出し、篩分、の三つの作業を繰り返すため操作が煩雑となる。更には各作業間の材料の運搬、移動により測定値に大きなズレやバラつきが生じるという問題があった。
本発明は以上のような各種の既存の試験装置や操作方法等の問題点に鑑みて鋭意検討を進めた。その目的は、硬度の低い柔らかい固型物・成形物でも簡単な操作で精度良く、再現性良く、しかも短時間で、その硬度を測定できる装置及びその測定方法を提供することにある。
本発明者らは、前記した問題点を解決するために硬度の測定装置及び方法について鋭意検討した。その結果、工夫された構造を有する回転体(円筒体又は多角筒体)を備えた新たな装置及びその装置を用いた方法を見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、側面に多数の穴と、内部に少なくとも一枚の掻き上げ翼を有する円筒体もしくは多角筒体と、該円筒体もしくは多角筒体を一定速度で水平回転させるモーターを備えることを特徴とする固型物・成形物用硬度測定装置及び、それを用いた固型物・成形物の硬度測定方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、側面に多数の穴を設けた円筒体もしくは多角筒体とは、金属、プラスチック、セラミックスのパイプに規則的又は不規則に多数の穴を設けたものや、金属板に所定の形状の穴を規則的又は不規則に多数あけたものを円筒状又は多角筒状に成形したものであり、その材質の種類、厚み、穴の形状、穴配置、等は成形体の落下衝撃に耐えるもの、そして粉化した粒子が穴から容易に落下するものであれば、特に限定されるものではない。
具体的には、金属としては、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、ニッケル等、及びそれをメッキしたものが挙げられる。これらはいずれも強度的に強く、腐食性、価格、加工性の面から言えばステンレスが望ましい。ステンレスとしてはSUS304が好適に用いることができる。また、プラスチックとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂が挙げられる。プラスチック材質の場合、軽量化、価格の面では好ましいが、強度面、材質面では金属と比べやや劣る。セラミックスとしては、例えば、アルミナ系、アルミナ−シリカ系、シリカ系、ジルコニア系を挙げることができる。これらは耐熱性、耐食性の面では優れるが、価格面、加工性の面でやや難がある。本発明の円筒体もしくは多角筒体の材質は、特に限定されるものではなく、これら材質の厚みは、その種類によって異なるが、1〜3mmが望ましい。薄いと強度が低下し、厚いと加工性が低下したり、また重くなり、持ち運びに難が出る。
本発明において円筒体とは、筒の両端が円形の筒体をいい、多角筒体とは、筒の両端が多角形の筒体をいう。多角形には、例えば、六角形、七角形、八角形等が例示できる。
本発明において円筒体もしくは多角筒体の側面に多数の穴を設けるが、この穴の形状は、例えば、円、正方形、長方形、楕円、ひし形等が挙げられる。粉化粒子の通過性が良いこと、製作が容易であることから円形が望ましい。この穴の大きさは、固型物・成形物の大きさ、形、そして固型物・成形物を構成する粒子の大きさによって異なり、一義的に決めることはできないが、粉化粒子の通過性を増すこと、固型物・成形物の粗解砕物を通過させないことより、固型物・成形物を構成する粒子径の5倍以上、且つ固型物・成形物の最大寸法の1/10以下が望ましい。このような形状の穴を有する円筒体もしくは多角筒体を用いることにより精度良く、再現性良く測定することができる。
ここで、固型物・成形物を構成する粒子径とは、粒度分布曲線から80〜90%累積した位置の粒子径である。即ち最大粒子径に近い大きい粒子を対象とする。
穴の配置は、不規則型、60゜千鳥型、45゜千鳥型、平行型等があげられるが60゜千鳥型が粉化粒子の通過性が良く望ましい。開口率は、10%以上さらには40〜60%のものが望ましく粉化粒子の通過性が良くなる。
円筒体もしくは多角筒体の寸法も特に限定されるものではないが、その容積として固型物・成形物体積の5〜50倍の容積をもつことが望ましく、硬度測定の精度、再現性をより高くすることができる。また、円筒体もしくは多角筒体の直径は、固型物・成形物の大きさ、用いる数等によって異なるが、通常30〜300mmφが望ましく、その長さは30〜300mmLが望ましい。
小さいと測定精度、再現性が幾分低下し、また、大きいと固型物・成形物量を多く必要としたり装置重量が大きな物となり持ち運びが難しくなる。
また、円筒体もしくは多角筒体のモーターへの取付部は、密閉とし、その対面の固型物・成形物投入部には、リング状の板を取付け試料の流出を防止するのが望ましい。
円筒体もしくは多角筒体内部には少なくとも一枚の掻き上げ翼を設ける。これも本発明における装置の一つの特徴である。掻き上げ翼の大きさ、数も特に限定されないが、固型物・成形物を掻き上げるのに十分な大きさを有し、また回転により掻き上げられ、そして落下する時、別の掻き上げ翼に固型物・成形物が衝突しない数を配置することが望ましい。それは過度の粉化を抑制するためである。この点から数としては1又は2枚が、2枚の場合は180゜配置がそれぞれ望ましい。
この円筒体もしくは多角筒体にモーターを取り付けるが、そのモーターによる円筒体もしくは多角筒体の回転数も特に限定されるものではないが、5〜100RPMが望ましく、さらには10〜50RPMがより望ましく測定精度を高めることができる。また、回転速度を一定に保つことにより、より測定精度を高めることができる。
この円筒体もしくは多角筒体内に固型物・成形物を入れ回転させながら粉化させ固型物・成形物の硬度を測定するが、回転数が大きい程、円筒体もしくは多角筒体直径が大きい程、硬度の高い固型物・成形物を精度再現性良く測定できる。また、回転数が小さい程、円筒体もしくは多角筒体直径が小さい程、硬度の低い固型物・成形物を精度再現性良く測定することができる。
本発明は、円筒体もしくは多角筒体側面穴より落下する粉化粒子重量を間欠的に計量もしくは連続計量するがその装置としては、短時間の内に重量を測定できるものであれば特に限定されるものではないが自動計量、連続記録ができる電子天秤が望ましい。
本発明において成形物とは、特定の形状に、有機及び/又は無機粉体を付着、焼結、凝集等により成形したものであり粉体を固結化させたものを含む。その形状は特に制限されない。本発明における固型物とは、有機及び/又は無機粉体が付着、焼結、凝集、固結等により不規則塊状となったものをいう。また、その固型物をナイフ等で切り出し、形を整えて成形物としても良い。固結度の評価試験を行う場合、規定した形の型を用いて成形物として測定に供しても良い。また、円柱状ペレット、球状、タブレット状いずれも適用できる。しかしながら固結度評価試験の様に型を設定できる場合は、測定精度を高めること、操作性を向上させること成形容易であること等によりタブレット状が好ましい。その大きさは通常直径10〜50mmφ、厚み5〜50mmが望ましい。
本発明における固型物・成形物用硬度測定装置の一例を図1に示した。
本発明による固型物・成形物の硬度は、所定時間の粉化粒子重量、粉化粒子重量の経時変化、所定の粉化粒子重量に達する時間、粉化率の経時変化、所定時間の粉化率、所定の粉化率に達する時間等を用いて数値化することができる。いずれを用いるかは適宣決めれば良い。ここで粉化率とは、固型物・成形物の全重量に対する粉化粒子重量の割合である。
本発明の装置を用いて本発明の方法で操作することにより、あらゆる固型物・成形物の硬度を簡便に且つ精度良く、再現性良く短時間に数値化し定量的に硬度を評価することができる。
以上のことから明らかなように、本発明の固型物・成形物用硬度測定装置を用いることにより、簡便で且つ精度良く再現性良く短時間の内に、高い硬度のものから低い硬度のものまで広範囲の硬度をもつ固型物・成形物の硬度を測定することができる。
このことはこれら成形物、粉体を製造する際の工程管理、品質管理にとって重要な試験方法を提供することになる。また造粒物、成形物の輸送・供給・貯蔵時における取扱い性や包装容器の設定及び粉塵爆発などの災害防止に重要な役割をになうことができる。また輸送・供給・貯蔵時における粉粒体の固結性を把握、評価する重要な方法となる。このように、本発明の産業に及ぼす効果は極めて大きいものである。
本発明による固型物・成形物用硬度測定装置を示すものである。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
日本たばこ産業(株)販売の食塩を400メッシュのステンレス製金網で製作した内径30mm、長さ50mmの円筒容器に充填し、円筒上部より2.5kg/cmにて加圧充填し、その状態で温度25℃×相対湿度40%の恒温恒湿器内に静置した。その後1時間かけて湿度を相対湿度80%まで温度を25℃に保ったまま昇湿した。相対湿度を80%にした後、その状態を10時間保持した。相対湿度80%を保持した後、1時間かけて湿度を相対湿度40%まで温度を25℃に保ったまま降湿した。以上を1サイクルとし恒温恒湿器内で2サイクルすなわち24時間暴露すると固結し成形物となった。これを図1に示す本発明を適用した固型物・成形物用硬度測定装置を用いて、成形物が80%粉化する時間を5回測定した。精度良く、再現性良く測定でき、その測定の平均値は91秒(標準偏差1.3、変動係数1.5%)であった。これらの結果を表1に示した。
Figure 2010190908
比較例1
日本たばこ産業(株)販売の食塩を実施例1と同様の操作で固結させ成形物とした後、これを木屋式硬度計にて硬度を5回測定した。測定の平均値は0.8kg/cmであったものの標準偏差0.5、変動係数50%であり、バラつきが大きく再現性の悪いものであった。これらの結果を表1に示した。
実施例2
東ソー(株)製の平均粒径250μmのトリエチレンジアミン(TEDA)を400メッシュのステンレス製金網で製作した内径30mm、長さ50mmの円筒容器内に粗充填し密閉容器内に静置した状態で、60℃の恒温器内に挿入し18時間暴露すると固結し成形物となった。これを図1に示す本発明を適用した固型物・成形物用硬度測定装置を用いて成形物が80%粉化する時間を5回測定した。精度良く、再現性良く測定でき、測定の平均値は32秒(標準偏差2.4、変動係数7.4%)であった。これらの結果を表1に示した。
比較例2
東ソー(株)製の平均粒径250μmのトリエチレンジアミン(TEDA)を実施例2と同様の操作で固結させ成形物とした後、これを木屋式硬度計にて硬度を5回測定した。測定の平均値は0.4kg/cmであったものの標準偏差0.4、変動係数80%であり、バラつきが大きく再現性の悪いものであった。これらの結果を表1に示した。
実施例3
東ソー(株)製の平均粒径125μmの重曹を400メッシュのステンレス製金網で製作した内径30mm、長さ50mmの円筒容器内に粗充填し、温度30℃×相対湿度80%の恒温恒湿器内で2.5時間暴露すると僅かに固結し壊れやすい成形物となった。これを図1に示す本発明を適用した固型物・成形物用硬度測定装置を用いて固結体が80%粉化する時間を5回測定した。精度良く、再現性良く測定でき、測定の平均値は15秒(標準偏差2.5、変動係数16%)であった。これらの結果を表1に示した。
比較例3
東ソー(株)製の平均粒径125μmの重曹を実施例3と同様の操作で固結させ成形物とした後、これを木屋式硬度計にて硬度を5回測定した。測定は不可能であった。これらの結果を表1に示した。
1 回転円筒体(ステンレス製、直径80mm、長さ80mm、穴3mmリフター2枚:180°配置、幅10mm、長さ80mm成形体投入口:40mmφ)
2 定速モーター(20rpm)
3 自動記録計
4 天秤
5 固型物・成形物

Claims (3)

  1. 木屋式硬度計での硬度が1.5kg/cm以下である固型物・成形物の硬度を変動係数16%以下で測定する装置であって、側面に固型物・成形物を構成する粒子径の5倍以上、且つ固型物・成形物の最大寸法の1/10以下の大きさの多数の穴と、内部に固型物・成形物が回転により掻き上げられ、そして落下する時、別の掻き上げ翼に固型物・成形物が衝突しない少なくとも一枚の掻き上げ翼を有する、固型物・成形物体積の5〜50倍の容積であり、直径が30〜80mmφ、長さが30〜80mmLの円筒体もしくは多角筒体と、該円筒体もしくは多角筒体を5〜100RPMから選ばれる速度で一定に保ち水平回転させるモーター、及び該円筒体もしくは多角筒体側面穴から落下する粉化粒子重量を間欠的に計量もしくは連続的に計量する装置から構成され、所定の粉化率に達するまでの時間を測定する手段を有することを特徴とする固型物・成形物用硬度測定装置。
  2. 側面に固型物・成形物を構成する粒子径の5倍以上、且つ固型物・成形物の最大寸法の1/10以下の大きさの多数の穴と、内部に固型物・成形物が回転により掻き上げられ、そして落下する時、別の掻き上げ翼に固型物・成形物が衝突しない少なくとも一枚の掻き上げ翼を有する、固型物・成形物体積の5〜50倍の容積であり、直径が30〜80mmφ、長さが30〜80mmLの円筒体もしくは多角筒体に固型物・成形物を入れ、次いで該円筒体もしくは多角筒体を5〜100RPMから選ばれる一定の回転速度で軸方向に水平回転させることにより、固型物・成形物をかき上げては円筒体もしくは多角筒体低部へ自然落下させる衝撃を繰り返し与え、該固型物・成形物を破壊して粉化し、円筒体もしくは多角筒体側面の穴から落下する粉化粒子重量を間欠的に計量もしくは連続的に計量し、所定の粉化率に達するまでの時間を測定することにより、木屋式硬度計での硬度が1.5kg/cm以下である固型物・成形物の硬度を変動係数16%以下で測定することを特徴とする請求項1に記載の固型物・成形物用硬度測定装置を用いた硬度の測定方法。
  3. 木屋式硬度計での硬度が1.5kg/cm以下である固型物・成形物が、食塩、トリエチレンジアミン又は重曹であることを特徴とする請求項2に記載の硬度の測定方法。
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