JP2010181750A - 電気泳動装置、同装置を備えた電子機器、及び同装置の駆動方法 - Google Patents

電気泳動装置、同装置を備えた電子機器、及び同装置の駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実装容積を大きくすることなく、温度変化に合わせた最適な制御が可能な昇圧回路を備えた電気泳動装置、又は電気泳動装置の駆動方法を提供すること。
【解決手段】電気泳動表示部と、周波数信号を出力する発振回路と、前記周波数信号を用い、第1の電圧を昇圧して第2の電圧を出力する昇圧回路と、前記第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して前記電気泳動表示部に供給する駆動回路と、前記電気泳動表示部の温度を検出する温度センサーと、前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数コントローラーとを有する電気泳動装置を提供する。
【選択図】図10

Description

本発明は、電気泳動装置に係り、特に、腕時計等に組み込む電気泳動装置に適する構成であって、低消費電力でかつ安定した電圧で動作可能な電気泳動装置、及び電気泳動装置の駆動方法に関する。
電気泳動装置は、電極間に印加する電圧を制御して、荷電粒子の移動を制御することによって外観上の色調を変化させ、もって画像を表示する装置である。近年では、腕時計など、小型・携帯型装置に電気泳動装置を組み込む応用例が研究・開発されている。この電気泳動装置では画像表示に15[V]程度の駆動電圧を必要とする。このため、特に腕時計等の携帯型機器に電気泳動装置を組み込む場合、電源電圧が電池の直流3[V]程度と上記所望の電圧より低いため、電源電圧をこの所望の電圧まで昇圧することが必要とされる。このような電源電圧の昇圧に用いられる回路として、例えば、特開2007−195345号公報(特許文献1)には、電気泳動装置等に使用されるいわゆるスイッチドキャパシタ方式の昇圧回路に関する発明が記載されている。
また、電気泳動装置における荷電粒子の移動は溶媒の粘度に影響を受け、溶媒の粘度は温度依存性が高いため、温度に応じて最適な駆動電圧及び駆動波形で駆動することが必要とされる。例えば、特表2005−527001号公報(特許文献2)には、温度探索機(温度センサー)により溶媒温度を測定し、測定された溶媒温度に従って電気泳動素子の電極間の電位差を制御する発明が記載されている。
さらに、特開2008−3124、特開2004−85606にも類似の発明が開示されている。
特開2007−195345号公報 特表2005−527001号公報 特開2008−3124号公報 特開2004−85606号公報
従来の電気泳動装置では、上記のとおり温度依存性が高いため、温度が変化すると、溶媒の粘度変化などにより負荷電流(消費電流)が大きく変化して昇圧回路で昇圧される出力に電圧変動を起こす。この電圧変動によって、電気泳動装置の表示品質の低下を招くことがある。負荷変動に伴う出力電圧の変動を抑制するためには、一般には昇圧回路のコンデンサー(キャパシター)の容量を大きくすることが考えられる。しかしながら、腕時計のような小型電子機器は限られた実装容積の中で構成されるため、コンデンサーなどの外付けの部品のサイズを大きくすることや、新たな部品を追加することを避けたいという要望がある。
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的のひとつは、実装容積を大きくすることなく、温度変化に合わせた最適な出力電圧の制御が可能な電気泳動装置、又は電気泳動装置の駆動方法を提供することにある。
かかる課題を解決する為に、本発明の電気泳動装置は、電気泳動表示部と、周波数信号を出力する発振回路と、前記周波数信号を用い、第1の電圧を昇圧して第2の電圧を出力する昇圧回路と、前記第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して前記電気泳動表示部に供給する駆動回路と、前記電気泳動表示部の温度を検出する温度センサーと、前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数コントローラーとを有する。
また、本発明の電気泳動装置は、周波数信号を用いて第1の電圧から昇圧された第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して電気泳動表示部に供給する電気泳動装置であって、前記電気泳動表示部の温度を検出する温度センサーと、前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数コントローラーとを有する。
また、本発明は、電気泳動表示部を有する電気泳動装置の駆動方法であって、周波数信号を出力する発振ステップと、前記周波数信号を用い、第1の電圧を昇圧して第2の電圧を出力する昇圧ステップと、前記第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して前記電気泳動表示部に供給する駆動ステップと、前記電気泳動表示部の温度を検出する温度検出ステップと、前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数制御ステップと、を有する。
また、本発明は、周波数信号を用いて昇圧回路が第1の電圧から昇圧した第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して電気泳動表示部に供給する電気泳動装置の駆動方法であって、当該電気泳動表示部の温度を検出する温度検出ステップと、前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数制御ステップと、を有する。
かかる構成、又は方法によれば、温度センサー(温度検出ステップ)で検出した温度に基づいて昇圧回路(昇圧ステップ)で用いる周波数信号の周波数を変化させることができる。これにより、温度変化による電気泳動表示部の負荷電流の変化や、電気泳動表示部の溶媒の特性が変化しても、温度に応じた適切な周波数で昇圧回路(昇圧ステップ)を動作させることが可能になる。さらに、必要な限度で最も低い周波数を有する周波数信号で昇圧回路(昇圧ステップ)を動作させることが可能となり、低消費電力を実現することができる。
前記周波数コントローラーは、前記温度が予め決められた複数の温度域のいずれに該当するかを判定し、それぞれの温度域に応じて予め決められた周波数になるように前記周波数信号の周波数を変化させることが好ましい。
かかる特徴によれば、複数の温度域を設け、それぞれの温度域に応じた周波数が予め決められているので、数の限られた比較的簡単な判定により周波数を変化させることが可能となる。特に、温度域が数区間程度(例えば3〜5区間)である場合には、それほど精度が高くない安価な温度センサーを用いることが可能であり、コストの削減にもつながる。さらに、温度域が2区間である場合には、温度センサーを所定の閾値温度を有する比較器などにより構成することも可能である。これによって、安価な部品を利用することによるさらなるコスト削減が可能である。
前記周波数コントローラーは、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より高い温度域に含まれるときには前記周波数がより高く、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より低い温度域に含まれるときには前記周波数がより低くなるように変化させることが好ましい。
かかる特徴によれば、温度が高くなって負荷電流が増加したときには昇圧回路で用いられる周波数を高くすることで電圧降下を防ぐ一方、温度が低くなって負荷電流が減少したときには周波数を低くすることで消費電力を削減することができる。つまり、温度に合わせた適切な周波数にすることで、消費電力を必要最小限に抑えると同時に電圧降下を防止することができる。
なお、本発明における「昇圧回路」は、電池等の電源から供給される第1の電圧を、それより高い第2の電圧に変換する回路であり、特に、エネルギーの蓄積と放出とを交互に繰り返すことにより、出力電圧を上昇させるような構成の昇圧回路を指す。例えば、このような昇圧回路の一例として、複数のコンデンサーの並列接続と直列接続とを周波数信号(例えばスイッチングパルス)に基づいて切り替えることにより昇圧する、スイッチドキャパシタ方式の昇圧回路がある。このスイッチドキャパシタ方式に代表される昇圧回路においては、負荷電流の増加に関わらず安定した電圧を供給するためには、コンデンサーの容量、又は昇圧回路で用いられる周波数信号の周波数を可能な限り高くすることが好ましい。一方で、コンデンサーの容量を大きくすることは実装容積の増加やコスト増につながり、昇圧回路で用いられる周波数を高くすることは消費電力の増加につながる。つまり、最悪条件である動作保証温度範囲の最高温度でも十分な電圧供給能力を有するためには、最悪条件に合わせた、大容量のコンデンサーを用いること、又は周波数を高くすること、あるいはその双方が必要となる。この点、上記本発明によれば、コンデンサーの容量を大きくすることなく、かつ温度に最適な周波数の周波数信号を用いることができるので、消費電力を必要最小限に抑え、かつ電圧降下を防止するのみならず、コスト削減にもつなげることができる。
前記周波数コントローラーは、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より高い温度域に含まれるときには前記周波数がより低く、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より低い温度域に含まれるときには前記周波数がより高くなるように変化させることが好ましい。
通常、電気泳動表示部では、温度が高くなるほど駆動信号に対する応答速度が高くなり、コントラストの向上につながる。しかし、駆動信号の電圧が一定に保たれている場合、温度が一定以上に高くなると、逆にコントラストが悪くなる傾向が見られる。これは、高温になって分散媒内における電気泳動粒子の流動性が高まる結果、過剰な電界に起因して電気泳動粒子の移動により分散媒に対流が生じ、この対流によって、電気泳動粒子が好ましい位置(例えば電極側)から引き剥がされるためであると考えられる。この場合、駆動信号の電圧を下げることで改善が見られる。上記本発明によれば、温度が高くなったときに昇圧回路で用いられる周波数信号の周波数を低くすることで昇圧回路の電圧降下を意図的に大きくし、電気泳動表示部に供給される駆動信号の電圧を下げることができる。これによって、温度が高くなって電気泳動粒子の流動性が高くなったとしても、粒子の速度を低下させることによって電極でのはね返りを抑制し、電気泳動表示部のコントラストの悪化を防ぐことできる。
前記複数の温度域、及び各温度域に応じて決められた前記周波数は、前記第2の電圧の電圧降下が予め決められた範囲を超えないように決められていることが好ましい。
かかる特徴によれば、第2の電圧の電圧降下が、電気泳動表示部のコントラストが悪くならないよう、複数の温度域と、各温度域に応じて決められた周波数を定めているため、簡単な制御で電気泳動表示部のコントラストの悪化を防止することができる。
また本発明は、上記電気泳動装置を備えた電子機器でもある。
かかる構成によれば、上記それぞれの電気泳動装置の特徴を備えているので、例えば温度変化による負荷電流の変化や、電気泳動表示部の溶媒の特性変化が起こっても、温度に応じた適切な周波数で昇圧回路を動作させることができ、低消費電力を実現した電子機器を提供することができる。
なお、本明細書において「電子機器」は、電気泳動材料による表示を利用する表示部を備えるあらゆる機器を含むもので、ディスプレイ装置、テレビジョン装置、電子ペーパー、時計、電卓、携帯電話、携帯情報端末等を含む。また、「機器」という概念からはずれるもの、例えば可撓性のある紙状/フィルム状の物体、これら物体が貼り付けられた壁面等の不動産に属するもの、車両、飛行体、船舶等の移動体に属するものも含む。
また、本明細書において「昇圧回路」とは、前述のように、電池等の電源から供給される第1の電圧を、それより高い第2の電圧に第2の電圧に変換する回路であり、特に、エネルギーの蓄積と放出とを交互に繰り返すことにより、出力電圧を上昇させるような構成の昇圧回路を指す。例えば、複数のコンデンサーの並列接続と直列接続とを周波数信号(例えばスイッチングパルス)に基づいて切り替えることにより昇圧する、スイッチドキャパシタ方式の昇圧回路などである。
また、本明細書において「電気泳動表示部」とは、電気泳動表示パネル及び可透性基板に形成された柔軟性の高いフィルム状の表示部を含む電気光学表示装置であり、少なくとも1つ又は複数の電気泳動素子を有し、映像、画像、文字などを表示するものを指す。
また、本明細書において、「回路」とは電気的な回路によるもののみを指すものではなく、当該回路の機能を果たす物理的手段、又はソフトウェアなどをも含む。また、1つの回路が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の回路の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
電気泳動装置の電気的な全体構成を示すブロック図。 電気泳動表示部の画素の構造図。 スイッチドキャパシタ方式の昇圧回路の第1図。 スイッチドキャパシタ方式の昇圧回路の第2図。 スイッチドキャパシタ方式の昇圧回路の第3図。 スイッチドキャパシタ方式の昇圧回路の第4図。 電気泳動表示部における負荷電流の温度特性を示す片対数グラフ。 電気泳動表示部における駆動電圧の負荷電流特性を示す第1のグラフ。 電気泳動表示部における駆動電圧の負荷電流特性を示す第2のグラフ。 第1の実施形態の電気泳動装置の構成を示す図。 第1の実施形態の電気泳動装置の駆動方法を示すフローチャート。 第1の実施形態の電気泳動装置の温度特性を示す第1のグラフ。 第1の実施形態の電気泳動装置の周波数変化についての第1の表。 第1の実施形態の電気泳動装置の温度特性を示す第2のグラフ。 第1の実施形態の電気泳動装置の周波数変化についての第2の表。 第2の実施形態の電気泳動装置の温度特性を示すグラフ。 第2の実施形態の電気泳動装置の周波数変化についての図。 電気泳動装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図。
本発明に係る実施形態について、以下、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下の実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付している。
(第1の実施形態)
はじめに、図1乃至図9を参照して本発明の電気泳動装置の構成、特性について説明する。
図1は、電気泳動装置の電気的な全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電気泳動装置は、電気泳動表示部Aとコントローラー300とを備えている。
本実施形態の電気泳動表示部Aは複数の画素から構成されており、これらの画素は、後述するスイッチング素子としてのTFT103や、このTFT103に接続された画素電極104を含んで構成されている。一方、素子基板100の周辺領域には、走査線駆動回路130やデータ線駆動回路140が形成されている。また、素子基板100の電気泳動表示部Aには、図示のX方向に沿って平行に複数本の走査線101が形成されている。また、これと直交するY方向に沿って平行に複数本のデータ線102が形成されている。そして、各画素は走査線101とデータ線102との交差に対応してマトリクス状に配列されている。
電気泳動装置の周辺回路には、コントローラー300が設けられている。このコントローラー300は画像信号処理回路及びタイミングジェネレーターを含んでいる。ここで、画像信号処理回路は、画像データ及び対向電極制御信号を生成し、それぞれ及びデータ線駆動回路140及び対向電極変調回路150に入力する。対向電極変調回路150は画素の共通電極及び保持容量の対向電極にそれぞれバイアス信号Vcom及び電源電圧Vsを供給する。例えば、正又は負の高レベルのバイアス信号Vcom(リセット信号)によって画像のリセットが設定される。リセット信号は、データ線駆動回路140が画像データを出力する前の所定期間に出力される。リセット信号は、分散媒中を泳動している電気泳動粒子を画素電極又は共通電極に引き寄せ、空間的な状態を初期化するために用いられる。また、タイミングジェネレーターは、リセット設定や画像データが画像信号処理回路から出力されるときに、走査線駆動回路130やデータ線駆動回路140を制御するための各種タイミング信号を生成する。
図2は、上記画素の構造の一例を示している。i行、j列目の画素(i,j)はTFT103、画素電極104及び保持容量Csを含んで構成されている。TFT103のゲート端子が走査線101に接続され、そのソース端子がデータ線102に接続されている。さらに、TFT103のドレイン端子が画素電極104及び保持容量Csに接続されている。保持容量CsはTFT103によって画素電極104に印加された電圧を保持する。画素は、画素電極104と共通電極Comとの間に電気泳動層を挟持して構成されているので、電極面積、電極間の距離、及び電気泳動層の誘電率に応じた画素容量Cepdを形成している。上述のように、共通電極Comは配線201を介して対向電極変調回路150に接続されている。また、保持容量Csの他方は保持容量線106に接続されている。保持容量線106は対向電極変調回路150で電源Vsに接続されている。
このような電気泳動表示部Aにおいて、まず、リセットタイミングで全走査線信号がアクティブになると、j番目の走査線101に接続されたTFT103もオン状態になる。リセット動作では、全データ信号が白あるいは黒のレベルに設定され、共通電極Comに対向電極変調回路150からリセット信号が印加されて全電気泳動素子が白又は黒表示に設定される(2値表示の場合)。その後、走査線101が順次に選択されて画像の書込みが行われる。j番目の走査線101に接続されたTFT103がオン状態になると、走査線選択に同期してデータ線駆動回路140から供給されるデータ信号Xi(画像信号)が画素電極104に書き込まれる。このとき、データ信号Xiの電圧レベルで保持容量Csも充電され、TFT103の遮断後も画素(画素電極と共通電極)の電荷保持を図り、電気泳動粒子による画像の維持を図る。各画素がデータ信号の電圧レベルに応じた表示を行うことによって画像が表示される。
図3乃至図6は入力直流電圧の昇圧を行うスイッチドキャパシタ方式の昇圧回路(DC−DCコンバーター)の一例の構成及び機能を説明する図である。昇圧回路は、電池電圧等(本発明の第1の電圧に相当し、例えば3[V])に基づいて、電気泳動表示部を駆動するための所望の電圧(本発明の第2の電圧に相当し、例えば15[V])を得るために用いられるもので、いわば電気泳動表示部Aのための電源回路として機能する回路である。昇圧回路は、図1におけるコントローラー300の中に含まれている(具体的な接続関係は後述する)。
まず、図3を参照しながら、昇圧回路の構成について説明する。図3に示すように、本発明のスイッチドキャパシタ方式の昇圧回路は、入力端INと出力端OUTの間に5段の単位昇圧回路が直列に接続されている。入力端INには、電池(図示せず)の低電圧LVDD(例えば3[V])が印加され、出力端OUTには昇圧された直流の高電圧HVDD(例えば18[V])が出力される。各単位昇圧回路は、3つのスイッチ素子と1つのコンデンサー(キャパシター)によって構成される。例えば、図中に点線で示されるように、第1の単位昇圧回路はスイッチ素子SW1a、SW2a、SW2a’、及びコンデンサーCaによって構成される。
第1の単位昇圧回路の回路構成は、その入力端と出力端との間にスイッチ素子SW1aが接続される。単位昇圧回路の入力端と基準電位(例えば接地電位)との間にスイッチ素子SW2a及びSW2a’が直列に接続される。スイッチ素子SW2a及びSW2a’相互の接続点と単位昇圧回路の出力端との間にコンデンサーCaが接続されている。スイッチ素子SW2aとSW2a’とは相補的に動作するスイッチであり、スイッチ素子SW1a及びSW2aは同種のスイッチ素子であり、スイッチ素子SW1aとスイッチ素子SW2A’が導通しているときはスイッチ素子SW2aが非導通になっており、スイッチ素子SW1aとスイッチ素子SW2A’が非導通のときはスイッチ素子SW2aが導通する。
第2乃至第5の単位昇圧回路も、スイッチ素子SW1b〜SW1e、スイッチ素子SW2b〜SW2e、スイッチ素子SW2b’〜SW2e’、及びコンデンサーCb〜Ceによって、第1の単位昇圧回路と同様に構成される。第5の単位昇圧回路の出力端と回路出力端OUTとの間には、逆流を防止するスイッチ素子SW1fが設けられる。
このスイッチドキャパシタ方式の昇圧回路は、上述のとおり直流電源を入力電圧とし、この直流電源に対してコンデンサーを並列に接続して充電する充電動作と、直流電源に対してコンデンサーを直列接続して放電する放電動作とを交互に行うことにより入力電圧(本発明の「第1の電圧」に相当)を昇圧し、入力電圧より高い電圧(本発明の「第2の電圧」に相当)に変換して出力する。この充電動作と放電動作とは、所定のスイッチング周波数を有するスイッチングパルス(本発明では「周波数信号」という)により切り替えながら行われる。具体的には、以下のとおり図3、及び図4で充電動作を、図5、及び図6で放電動作を行う。
図3に示すように、本発明の昇圧回路において、充電動作は、スイッチ素子SW1a〜SW1eを導通に、スイッチ素子SW1fを非道通も、スイッチ素子SW2a〜SW2eを非道通に、スイッチ素子SW2a’〜SW2e’を導通に、それぞれ周波数信号で切り替えることにより行われる。
この結果、図4に示すように、直流電源LVDDと基準電位との間に各コンデンサーCa〜Ceが互いに並列に接続され、それぞれ充電される。
図5は、昇圧回路の放電動作を示している。放電動作は、スイッチ素子SW1a〜SW1eを非導通に、スイッチ素子SW1fを導通に、スイッチ素子SW2a〜SW2eを導通に、スイッチ素子SW2a’〜SW2e’を非導通に、それぞれ周波数信号で切り替えることによって行われる。
この結果、図6に示すように、直流電源LVDDと出力端OUTとの間に各コンデンサーCa〜Ceが互いに直列に接続され、それぞれ放電する。コンデンサーCa〜Ceにチャージされた電荷による電圧をVa〜Veとすれば、出力端OUTの電圧は、LVDD+Va+Vb+Vc+Vd+Ve[V]となる。ここで、コンデンサーCa〜Ceは同一のLVDDに並列に接続されて充電されているのでVa=Vb=Vc=Vd=Ve=LVDDとなり、出力端OUTの電圧は、LVDD×6[V]、すなわち、LVDDを3[V]とすれば、HVDDとして18[V]の直流電圧が得られる。
上記説明では5段の単位昇圧回路を直列に接続し、3[V]の電圧を6倍の18[V]に昇圧して出力したが、単位昇圧回路の段数を変更することにより当然に出力する電圧を変えることができる。すなわち、所望の電圧が15[V]であったならば、4段の単位昇圧回路を直列に接続することにより実現可能である。
次に上記昇圧回路で生じうる問題点について説明する。
図7は電気泳動表示部における負荷電流の温度特性を示す片対数グラフである。本グラフは横軸を温度とし、縦軸は対数表示にした昇圧回路の負荷電流としている。ここでいう負荷電流とは、昇圧回路の出力に接続された負荷(本発明では電気泳動表示部)の駆動の際に必要となる電流を指している。図7に示されるように、電気泳動表示部は温度依存性が高く、温度の上昇に伴い昇圧回路の負荷電流(電気泳動表示部の駆動電流)が指数関数的に増加していく。負荷電流が増加すると、エネルギーの蓄積量よりエネルギーの放出量が大きくなる結果、昇圧回路で昇圧した出力電圧が降下する。電圧が降下すると電気泳動装置の表示品質(コントラスト)の低下につながる。よって、電圧降下を許容範囲に抑える必要がある。
図8及び図9は、電気泳動表示部における駆動電圧の負荷電流特性を示すグラフである。ここでいう駆動電圧とは、電気泳動表示部を駆動する電圧を指しており、ここでは昇圧回路からの出力電圧と同じものを指す。負荷電流がIa〜Idの範囲は、動作上とりうる負荷電流の範囲を示している。図8及び図9に示すように、昇圧回路の負荷電流が大きくなるにつれて、駆動電圧が下がっていく。図8は、昇圧回路のスイッチ素子を動作させる周波数であるスイッチング周波数をBkHzとし、コンデンサー容量をAμF、BμF、又はCμF(A>B>C)としたときのグラフであるが、コンデンサー容量が大きいほど、負荷電流が大きくなっても駆動電圧が下がらずに安定した電圧を供給可能なことが分かる。図9は、コンデンサー容量をBμFとし、スイッチング周波数をAkHz、BkHz、又はCkHz(A>B>C)としたときのグラフであるが、スイッチング周波数が高いほど、負荷電流が大きくなっても駆動電圧が下がらずに安定した電圧を供給可能なことが分かる。
また、図8及び図9における点線は、電気泳動表示部を駆動する際の電圧の許容範囲を指す。つまり、図8ではコンデンサー容量がAμFであれば、温度上昇に従って負荷電流が増加しても電圧降下は許容範囲に収まるが、コンデンサー容量がBμF、及びCμFのときは温度が一定以上になって図7に従う駆動電流が一定値(BμFでIc、CμFでIb)を越えると電圧降下が許容範囲を超えてしまい、電気泳動表示部の表示品質に影響を与えてしまう。図9に示されるスイッチング周波数に関しても同様で、スイッチング周波数がAkHzであればどのような温度であっても電圧降下が許容範囲に収まるが、BkHz、CkHzのときは温度が一定以上になって図7に従う駆動電流が一定値(BkHzでIf、CkHzでIe)を超えると電圧降下が許容範囲を超えてしまう。したがって、動作保証温度範囲(−20℃〜60℃)での最高温度でも電気泳動表示部の表示品質に影響を与えないように電圧を維持しようとすると、単純に考えれば、コンデンサー容量を大きくするか、スイッチング周波数を高くすることが必要となる。
ここで、昇圧回路におけるコンデンサーは比較的大きな部品であるため、これを大きくすることは、実装容積を大きくし、コスト増につながるため、できるだけ避けたい。コンデンサーの大型化以外の方法としては、スイッチング周波数を高くする方法が考えられるが、スイッチング周波数を高くすると消費電力も大きくなってしまい、特に電池で動作する機器の場合は電池寿命も縮んでしまうため、スイッチング周波数を高くすることは避けたいという要請もある。そこで、本発明では以下の構成、及び特徴を採用し、上記問題を解決している。
図10は、本発明の電気泳動装置の構成を示す図である。図10の電気泳動装置は、温度センサー1010、周波数コントローラー1020、発振器1030、分周器1040、昇圧回路1050、駆動回路1060、及び電気泳動表示部Aからなる。温度センサー1010、周波数コントローラー1020、発振器1030、分周器1040、昇圧回路1050、及び駆動回路1060は、図1におけるコントローラー300に含まれている。
(温度センサー1010)
温度センサー1010は、電気泳動表示部Aの温度を検出するよう構成されている。この温度センサー1010は、駆動回路1060が電気泳動素子に与える駆動信号の波形についての温度補正に使用するものと兼用させることが可能である。このように温度センサー1010を兼用させることで、新たな温度センサー追加によるコスト増を避けることができる。
(周波数コントローラー1020)
周波数コントローラー1020は、温度センサー1010で検出した温度に基づいて、分周器1040における分周比を変化させることで昇圧回路1050に入力される周波数信号の周波数を、所望の周波数に変化させるよう構成されている。分周比を変化させる方法には様々な方法がある。その一例としては、当該周波数コントローラー1020が温度に対応した分周比を指定するルックアップテーブル(所定のメモリに格納される)を参照することにより、分周比を決定する方法がある。つまり、ルックアップテーブルには、温度に対応した分周比の関係が格納されている。そして、周波数コントローラー1020は、温度センサー1010から取得した温度を示す情報をルックアップテーブルと比較し、当該温度に対応した分周比の情報を読み出し、読み出した分周比で発振器1030からの発振信号を分周させるように分周器1040を制御する。なお、分周器1040の代わりに任意の周波数で発振可能な発振回路が用いられる場合には、周波数コントローラー1020は周波数を指定する周波数情報を発振回路に出力して周波数信号の周波数を直接的に変化させる。
(発振器1030)
発振器1030は水晶振動子などで構成され、分周器1040に対して所定の周波数を有する発振信号を出力するよう構成されている。この発振器1030は、分周器1040と一体となることで、所望の周波数を有する周波数信号を出力可能な発振回路として機能する。なお、発振器1030は水晶振動子に限定されるものではなく、発振可能な他の部品であってもよい。
(分周器1040)
分周器1040は、発振器1030から入力される所定の周波数を有する発振信号を周波数コントローラー1020が指定する分周比に基づいて分周し、昇圧回路1050に対して所定の周波数を有する周波数信号を出力するよう構成されている。ここで、分周比は周波数コントローラー1020からの指示に基づいて決定される。
(昇圧回路1050)
昇圧回路1050は、発振回路の一部である分周器1040から周波数信号を受け取り、この周波数信号を当該昇圧回路1050内のスイッチのスイッチング周波数として用いて、入力電圧を昇圧して、昇圧された電圧を駆動回路1060に出力するよう構成されている。昇圧回路1050の具体的な構成は、図3乃至図6にて前述した構成と同様である。
(駆動回路1060)
駆動回路1060は、昇圧回路1050からの電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して、電気泳動表示部Aに供給するよう構成されている。駆動信号は、昇圧回路1050で昇圧後の電圧を振幅とした信号であって、駆動パラメーターとして所定のパルス幅及びパルス数などを有する信号である。ここで用いられる所定のパルス幅及びパルス数などの制御は、従来の技術を用いることにより実現される。
ここで、上記の構成による動作の一例を簡単に説明する。まず、温度センサー1010は電気泳動表示部Aの温度を検出し、この温度がX℃だったとする。周波数コントローラー1020は、X℃での動作に最適な分周比を、ルックアップテーブルを参照することにより、例えば10分周と決定する。発振器1030は一定の発振周波数として20kHzを分周器1040に対して出力しており、分周器1040は周波数コントローラー1020の指示に基づいて、発振周波数20kHzを10分周した2kHzの周波数信号を昇圧回路1050に対して出力する。
ここで、温度変化が起こって温度がY℃に変化した場合を想定する。温度センサー1010は、電気泳動表示部Aの温度をY℃と検出する。周波数コントローラー1020は、Y℃での動作に最適な分周比を、ルックアップテーブルを参照することにより、例えば20分周と決定する。分周器1040は周波数コントローラー1020の指示に基づいて、発振器1030から供給される周波数信号の分周比を10分周から20分周に変更し、発振周波数20kHzを20分周した1kHzの周波数信号を昇圧回路1050に対して出力する。
図11は、本発明の第1の実施形態の電気泳動装置の駆動方法を示すフローチャートである。当該駆動方法が開始されると(S1110)、まず、温度センサー1010が電気泳動表示部Aの温度を検出する(S1120)。次に周波数コントローラー1020が、検出した温度に基づいて発振器1030の出力する発振信号の分周比を判定する。具体的には、周波数コントローラー1020は、検出した温度について、ルックアップテーブルの該当する箇所を検索する。ここで、ルックアップテーブルには、温度に対応した昇圧回路1050のスイッチング周波数として適切な周波数とするための発振周波数の分周比の関係が格納されている。周波数コントローラー1020は温度に対応した発振周波数の分周比を取得することができる。分周器1040は周波数コントローラー1020から指示された分周比で発振器1030から供給された発振信号を分周し、適切な周波数を有する周波数信号を昇圧回路1050に対して出力する(S1140)。昇圧回路1050はこの周波数信号をスイッチング周波数として用いて、昇圧回路1050の入力電圧を所定の電圧に昇圧して出力する(S1150)。そして、駆動回路1060が、昇圧された電圧を電源電圧とする駆動信号を生成し、電気泳動表示部Aに供給する(S1160)ことで処理を終える(S1170)。
なお、図10に示すコントローラー300では、発振器1030からの発振信号の分周比を周波数コントローラー1020が制御する構成であったが、これに限られない。例えば、発振器1030と分周器1040とを任意の周波数で発振可能なプログラマブル発振回路で構成する場合には、検出された温度と適切な周波数信号の周波数との関係を規定するテーブルデータを所定のメモリにルックアップテーブルとして格納しておき、周波数コントローラー1020が、ルックアップテーブルから取得した周波数情報をプログラマブル発振回路に供給することで、直接的に周波数信号の周波数を変化させるように構成してもよい。
上記のような構成及び方法によれば、温度センサー1010で検出した温度に基づいて昇圧回路1050で用いる周波数信号の周波数を変化させることができる。これにより、温度変化による負荷電流の変化や、電気泳動表示部Aの溶媒などの特性変化が起こっても、温度に応じた適切なスイッチング周波数で昇圧回路1050を動作させることが可能になる。さらに、必要な限度で最も低いスイッチング周波数を有する周波数信号で昇圧回路1050を動作させることが可能となり、低消費電力を実現することもできる。
(実施例1)
ここで、図12乃至図15を参照しながら2つの具体的な実施例を挙げて、本実施形態での周波数コントローラー1020によるスイッチング周波数の変化と、温度域との関係について説明する。
図12及び図13は、実施例1の電気泳動装置における、それぞれ温度特性を示す第1のグラフ及び周波数変化についての第1の表である。図13に示す第1の表は、周波数コントローラー1020が温度に対応した所定の周波数又は分周比の情報を読み出すためのルックアップテーブルの一例でもある。この例では、図12に記載のように、動作保証温度範囲が−20℃〜60℃であって、−20℃以上40℃未満が第1の温度域、40℃以上60℃以下が第2の温度域としてそれぞれ予め決められている。ここで、周波数コントローラー1020は、温度センサー1010で検出した温度が予め決められた2つの温度域(図12における領域a、及び領域b)のうちのいずれに該当するかを判定し、図13に示すスイッチング周波数の割り当てを読み出して、この2つの温度域に応じて予め決められた周波数になるように、前記昇圧回路1050で用いられる周波数信号のスイッチング周波数を変化させる。
具体的には、図13の表に記載のように、−20℃以上40℃未満のときにはスイッチング周波数をBkHzに、40℃以上60℃以下のときにはスイッチング周波数をAkHzになるように制御する(A>B)。また、本実施例では、従来技術に記載の方法を用いて、温度に応じて、駆動回路1060で制御されるパルス幅、パルス数を含む駆動パラメーターをさらに変更することも可能である。なお、この例ではコンデンサー容量はBμFで一定である。
(実施例2)
次に、図14、及び図15は、実施例1の変形例としての、電気泳動装置におけるそれぞれ温度特性を示す第2のグラフ及び周波数変化についての第2の表である。この例では、図14に記載のように、動作保証温度範囲が−20℃〜60℃であって、−20℃以上0℃未満が第1の温度域、0℃以上20℃以未満が第2の温度域、20℃以上40℃未満が第3の温度域、40℃以上60℃未満が第4の温度域としてそれぞれ予め決められている。
具体的には、図15の表に記載のように、スイッチング周波数を、−20℃以上0℃未満のときにはDkHzに、0℃以上20℃未満のときにはCkHzに、20℃以上40℃未満のときにはBkHzに、40℃以上60℃以下のときにはAkHzになるように制御する(A>B>C>D)。また、上記のように、温度に応じて駆動回路1060で制御されるパルス幅、パルス数を含む駆動パラメーターを変更することも可能である。なお、このではコンデンサー容量はCμFで一定である。
つまり、本実施例の周波数コントローラー1020は、温度センサー1010で検出した温度が、複数の温度域のうち、より高い温度域に含まれるときには周波数がより高く、より低い温度域に含まれるときには周波数がより低くなるように変化させるものである。
本実施例によれば、このように複数の温度域を設け、それぞれの温度域に応じた周波数が予め決められていることにより、比較的簡単な制御により電圧降下を抑えることが可能となる。特に、温度域が数区間程度(例えば3〜5区間)である場合には、それほど精度が高くない安価な温度センサーを用いることが可能であり、コストの削減にもつながる。さらに、温度域が2区間である場合には、温度センサーは所定の閾値温度を有するより安価な比較器などにより構成することも可能であり、さらなるコスト削減につながる。
さらに本実施形態によれば、温度が高くなって負荷電流が増加したときには昇圧回路1050で用いられる周波数を高くすることで電圧降下を防ぐ一方、温度が低くなって負荷電流が減少したときには周波数を低くすることで消費電力を削減することができる。つまり、温度に合わせた適切な周波数にすることで、消費電力を必要最小限に抑えると同時に電圧降下を防止することが可能である。これは、温度域をより多くの区間に分割したときにより細かな周波数制御が可能となり、さらなる消費電力の削減が可能となる。つまり、消費電力の観点からすれば、3区間以上の温度域であって、より多くの温度域に分割することが好ましい。
なお、上記記載からも明らかなように、温度域は2以上の任意の複数区間にすることができる。
また、周波数コントローラー1020は、図13又は図15のような、温度に対応した所定の周波数を指定するルックアップテーブルを参照することで、発振回路の発振周波数、より具体的には分周器1040の分周比を決定することが可能である。このようにルックアップテーブルを用いれば、比較的簡単な制御による周波数制御が可能である。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に図1乃至図9に示される電気泳動装置の構成、特性を有している。但し、本実施形態では、第1の実施形態では考慮しなかった、電気泳動装置の別の特性を考慮に入れ、別の特徴を有する周波数コントローラー1020によって周波数を制御する。すなわち、電気泳動表示部Aでは、ある程度の温度までは温度が高くなるほど駆動信号に対する応答速度が高くなり、コントラストが向上するが、温度が一定以上に高くなると、逆にコントラストが悪くなる傾向が見られる。これは、高温になって分散媒内における電気泳動粒子の流動性が高まる結果、過剰な電界に起因して電気泳動粒子の移動により分散媒に対流が生じ、この対流によって、電気泳動粒子が好ましい位置(例えば電極側)から引き剥がされるためであると考えられる。本実施形態では、第1の実施形態における構成(図10及び図11)と同様の構成を有する。但し、上記電気泳動装置の特性に対応するため、周波数コントローラー1020及び周波数制御ステップ(S1130)における、周波数信号の周波数を変化させる方法が第1の実施形態とは異なる。以下、具体例を挙げながら第1の実施形態と異なる点を説明する。
まず、本実施形態での周波数コントローラー1020で変化させられるスイッチング周波数と温度域との関係について説明する。
図16及び図17は、第2の実施形態の電気泳動装置における、それぞれ温度特性を示す第1のグラフ及び周波数変化についての第1の表である。この例では、図16に記載のように、動作保証温度範囲が−20℃〜60℃であって、−20℃以上40℃未満が第1の温度域、40℃以上60℃以下が第2の温度域としてそれぞれ予め決められている。ここで、周波数コントローラー1020は、温度センサー1010で検出した温度が予め決められた2つの温度域のうちのいずれに該当するかを判定し、この2つの温度域に応じて予め決められた周波数になるように、前記昇圧回路1050で用いられる周波数信号のスイッチング周波数を変化させる。
具体的には、図16の表にも記載のように、−20℃以上40℃未満のときにはスイッチング周波数をBkHzに、40℃以上60℃以下のときにはスイッチング周波数をCkHzになるように制御する(B>C)。また、本実施形態では従来技術に記載の方法により、温度に応じて、駆動回路1060で制御されるパルス幅、パルス数を含む駆動パラメーターを変更することも可能である。なお、この例ではコンデンサー容量はBμFで一定である。
つまり、本実施形態では、温度が高くなったときに昇圧回路で用いられる周波数信号の周波数を低くすることで昇圧回路の電圧降下を意図的に大きくし、電気泳動表示部に供給される駆動信号の電圧を下げる。より具体的には、本実施形態の周波数コントローラー1020は、温度センサー1010で検出した温度が、複数の温度域のうち、より高い温度域に含まれるときには周波数がより低く、より低い温度域に含まれるときには周波数がより高くなるように変化させるよう構成される。
本実施形態によれば、このように複数の温度域を設け、それぞれの温度域に応じた周波数が予め決められていることにより、比較的簡単な制御による周波数の制御が可能となる。特に、温度域が数区間程度(例えば3〜5区間)である場合には、それほど精度が高くない安価な温度センサーを用いることが可能であり、コストの削減にもつながる。さらに、温度域が2区間である場合には、温度センサーは所定の閾値温度を有するより安価な比較器などにより構成することも可能であり、さらなるコスト削減につながる。
さらに本実施形態によれば、温度が高くなったときに昇圧回路1050で用いられる周波数信号の周波数をあえて低くすることで昇圧回路1050からの出力電圧に対して電圧降下を発生させ、電気泳動表示部Aに供給される駆動信号の電圧を下げることができる。これによって、温度が高くなりすぎたことにより電気泳動粒子の流動性が高くなったとしても、粒子の速度を低下させることによって、電気泳動粒子が対流により電極側から引き剥がされるのを抑制することで、電気泳動表示部Aのコントラストの悪化を防ぐこと可能となる。駆動信号の電圧を下げる代わりに、駆動回路1060によって駆動信号のパルス幅、パルス数を含む駆動パラメーターを変化させる方法もあるが、本実施形態によれば、電気泳動装置全体としての制御を容易にすることが可能である。
なお、第1の実施形態と第2の実施形態とは、矛盾を生じない範囲で組み合わせて構成することも可能である。すなわち、第1の実施形態では、温度が高くなるに連れて電気泳動表示部の駆動電流が大きくなる結果、昇圧回路の出力電圧が低下していく現象を抑制するために、温度が高くなるほど周波数信号の周波数を上げていった。第2の実施形態では、温度が高くなるに連れて電気泳動粒子が電極側から引き剥がされやすくなる結果、コントラストが悪化していく現象を抑制するため、温度が高くなるほど周波数信号の周波数を下げていった。両実施形態における現象は同時に起こり得るものであり、電気泳動表示部の仕様や電源電圧の大きさに応じてそれぞれの現象が現れる程度が変化する。よって、設定した複数の温度域のそれぞれにおいて上記2つの現象のどちらが優勢に出現するかに応じて、周波数信号の周波数を上げるのか、下げるのか、または両現象がバランスしたため周波数の変更をしないで済ませるのか、を適宜決定していけばよい。例えば、温度域を低温、中温、及び高温の3区間に分け、低温ではAkHz、中温ではCkHz、高温ではBkHz(A>B>C)の周波数信号を用いるなど、温度に基づいて最適な周波数を有する周波数信号になるよう、周波数コントローラーが周波数信号の周波数を変化させることも可能である。
(応用例)
図18は、電気泳動装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。図18(A)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1800は、ブック形状のフレーム1801と、このフレーム1801に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1802と、操作部1803と、本実施形態に係る電気泳動装置によって構成された表示部1804と、を備えている。図18(B)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1810は、本実施形態に係る電気泳動装置によって構成された表示部1811を備えている。図18(C)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー1820は、紙と同様の質感及び柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1821と、本実施形態に係る電気泳動装置によって構成された表示部1822と、を備えている。なお、電気泳動装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。例えば、上記のような装置の他、電気泳動フィルムが貼り合わせられた壁面等の不動産に属するもの、車両、飛行体、船舶等の移動体に属するものも該当する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々に変形して適用することが可能である。例えば、本発明の実施形態では、発振回路として発振器1030と分周器1040を組み合わせたものを説明したが、周波数信号の周波数を変更する方法はこれに限定されるわけではなく他の方法を適用可能である。
A 電気泳動表示部、100 素子基板、101 走査線、102 データ線、103 TFT、104 画素電極、106 保持容量線、130 走査線駆動回路、140 データ線駆動回路、150 対向電極変調回路、201 配線、300 コントローラー、Ca〜Ce コンデンサー、HVDD 高電圧、IN 入力端、OUT 出力端、LVDD 直流電源、SW1a〜SW1f、SW2A’〜SW2E’、SW2a〜SW2e、SW2a’〜SW2e’ スイッチ素子、1010 温度センサー、1020 周波数コントローラー、1030 発振器、1040 分周器、1050 昇圧回路、1060 駆動回路、1800 電子ブック、1801 フレーム、1802 カバー、1803 操作部、1804 表示部、1810 腕時計、1811 表示部、1820 電子ペーパー、1821 本体部、1822 表示部

Claims (9)

  1. 電気泳動表示部と、
    周波数信号を出力する発振回路と、
    前記周波数信号を用い、第1の電圧を昇圧して第2の電圧を出力する昇圧回路と、
    前記第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して前記電気泳動表示部に供給する駆動回路と、
    前記電気泳動表示部の温度を検出する温度センサーと、
    前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数コントローラーと、
    を有する電気泳動装置。
  2. 周波数信号を用いて第1の電圧から昇圧された第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して電気泳動表示部に供給する電気泳動装置であって、
    前記電気泳動表示部の温度を検出する温度センサーと、
    前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数コントローラーと、
    を有する電気泳動装置。
  3. 前記周波数コントローラーは、前記温度が予め決められた複数の温度域のいずれに該当するかを判定し、それぞれの温度域に応じて予め決められた周波数になるように前記周波数信号の周波数を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動装置。
  4. 前記周波数コントローラーは、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より高い温度域に含まれるときには前記周波数がより高く、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より低い温度域に含まれるときには前記周波数がより低くなるように変化させることを特徴とする、請求項3に記載の電気泳動装置。
  5. 前記周波数コントローラーは、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より高い温度域に含まれるときには前記周波数がより低く、前記温度が、前記複数の温度域のうち、より低い温度域に含まれるときには前記周波数がより高くなるように変化させることを特徴とする、請求項3に記載の電気泳動装置。
  6. 前記複数の温度域、及び各温度域に応じて決められた前記周波数は、前記第2の電圧の電圧降下が予め決められた範囲を超えないように決められていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電気泳動装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気泳動装置を備えた電子機器。
  8. 電気泳動表示部を有する電気泳動装置の駆動方法であって、
    周波数信号を出力する発振ステップと、
    前記周波数信号を用い、第1の電圧を昇圧して第2の電圧を出力する昇圧ステップと、
    前記第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して前記電気泳動表示部に供給する駆動ステップと、
    前記電気泳動表示部の温度を検出する温度検出ステップと、
    前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数制御ステップと、
    を有する電気泳動装置の駆動方法。
  9. 周波数信号を用いて昇圧回路が第1の電圧から昇圧した第2の電圧を電源電圧とする駆動信号を生成して電気泳動表示部に供給する電気泳動装置の駆動方法であって、
    当該電気泳動表示部の温度を検出する温度検出ステップと、
    前記温度に基づいて前記周波数信号の周波数を変化させる周波数制御ステップと、
    を有する電気泳動装置の駆動方法。
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