JP2010179233A - 固液分離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラリーの固液分離を簡単かつ迅速に行うことができる固液分離装置の提供。
【解決手段】 六角形断面の回転バスケット56を有する固液分離装置1において、回転軸32の先端側を後端側よりも低くし、回転バスケット56を支承する支承部40の腕44A、44B、44Cを回転軸32の先端側に傾斜させ、支承部40の腕44D、44E、44Fを回転軸32の後端側に傾斜させ、回転バスケット56の各側面58を、内側に向かって撓ませ、隣接する側面58同士の間の稜線64の方向と、回転軸32の軸方向と、とをずらす。
【選択図】図1

Description

本発明は、スラリーを固体と液体に分離する固液分離装置に関する。
我国では、近年の焼酎ブームによって多量の焼酎が生産されている。これに伴って多量の焼酎粕が焼酎の製造工程から発生している。これまで、焼酎粕を処理するために海洋投入の方法がとられていた。しかし、ロンドン条約によって焼酎粕の海洋投入が規制され、陸上で焼酎粕を処理しなければならなくなっている。陸上における焼酎粕の処理には、焼却処理、嫌気処理、生物処理等の方法がある。
ところで、焼酎粕はスラリーとなっており、液体中に固体が懸濁している。焼酎粕に焼却処理、嫌気処理、生物処理等を施す場合、あらかじめ、焼酎粕の固体と液体との分離(すなわち、固液分離)を行っておく必要がある。
焼酎粕の固液分離に関する技術として、例えば、以下に述べる焼酎粕分離装置が提唱されている(特許文献1を参照)。
図13に示すように、焼酎粕分離装置100は処理槽102を有し、処理槽102の中には濾過用土104が装填されている。装填された濾過用土104の中央部に凹部106が形成されている。処理槽102の底部に導水路108が設けられており、導水路108が分離液体槽110に接続されている。処理槽102の上方は屋根112によって覆われている。
処理槽102内の凹部106に焼酎粕を投入し、滞留させる。焼酎粕中の液体は濾過用土104によって濾過され、分離液体となる。分離液体は導水路108を通って分離液体槽110へ流れる。凹部106内には焼酎粕中の固体が残る。焼酎粕から分離された固体と液体はそれぞれ処理される。
特開2005−95715号公報
しかし、上述の焼酎粕分離装置100は以下に述べる問題を有する。
処理槽102内の凹部106に投入された焼酎粕中の液体は、重力によって濾過用土104の中に徐々にしみこみ、濾過される。このような重力による濾過は時間がかかり、短時間のうちに多量の焼酎粕の固液分離を行うことは困難である。
また、焼酎粕を処理槽102内の凹部106に滞留させる必要がある。多量の焼酎粕を処理する場合、大容量の処理槽102や凹部106を準備しなければならない。このため、処理する焼酎粕の量に応じて、焼酎粕分離装置100が大型化し、相当な広さの設置場所が必要である。
したがって、焼酎粕分離装置100は、多量に発生する焼酎粕の処理に適しているとは言えない。
本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、焼酎粕をはじめとするスラリーの固液分離を、多量に簡単かつ迅速に行うことができ、スラリーから分離された分離液体の生物化学的酸素要求量(BOD)やサスペンデッド・ソリッド(SS)の値を容易に小さく抑制できる固液分離装置を提供することである。
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係る固液分離装置は、スラリーを固体と液体とに分離する固液分離装置であって、周方向に連続する6枚の側面に囲まれ、六角形断面を有して、回転軸の回りを回転する筒形の回転バスケットと、前記回転バスケットを収納するケーシングと、を備え、前記回転バスケットの後端側には、スラリーの供給部が形成されており、前記回転バスケットの先端側には、分離された固体の排出部が形成されており、前記側面は、分離された液体が通過する金属製のメッシュを有し、前記回転軸は傾斜し、前記回転バスケットの後端側が、前記回転バスケットの先端側よりも高い位置にあり、前記回転軸には、前記回転バスケットの内周面側からこの回転バスケットを支承する支承部が形成されており、前記支承部は、前記回転軸の周方向に間隔をあけて配置された6本の腕を有し、当該腕の各先端が、前記六角形断面の頂点に前記内周面側からそれぞれ接続されており、6本の前記腕のうち、前記回転軸の周方向に隣接して並ぶ3本の腕が、前記回転バスケットの後端側に向かって傾斜し、これら3本の腕のうちの中央の腕が、その両隣の腕よりも大きな角度をなして傾斜しており、6本の前記腕のうち、残りの3本の腕が、前記回転バスケットの先端側に向かって傾斜し、これら3本の腕のうちの中央の腕が、その両隣の腕よりも大きな角度をなして傾斜しており、複数の前記支承部が、互いに間隔をあけて、前記回転軸の軸方向に並んで配置されている。
回転軸が回転すると、回転バスケット及び支承部が一緒に回転する。スラリーが供給部から回転バスケットの中に供給される。回転バスケットが回転して、遠心力と重力とがスラリーに働く。スラリーは遠心力によって回転バスケットの内周面に押し付けられてへばりつく。液体が内周面にへばりついたスラリーから遠心力によって分離される。以下、スラリーから分離された液体のことを「分離液体」という。分離液体は、回転バスケットの側面のメッシュを通り、回転バスケットの外に流れ出る。
回転バスケットの回転速度を調節し、スラリーに働く重力を、スラリーに働く遠心力よりも大きくする。回転バスケットの内周面にへばりついたスラリーは、回転バスケットの回転によって、そのまま、回転バスケットの中を上方に向かって移動する。スラリーに働く重力は、スラリーに働く遠心力よりも大きいので、スラリーは内周面にへばりついていることができなくなり、内周面から剥がれ落ちる。回転バスケットの後端側が先端側よりも高い位置にあり、回転軸と回転バスケットが傾斜しているので、内周面から剥がれ落ちたスラリーの落下位置は、それまでへばりついていた位置よりも、回転バスケットの先端側に近い位置である。
回転バスケットの中で、スラリーは内周面へのへばりつきと内周面からの剥がれ落ちとを繰り返し、徐々に回転バスケットの先端側に向かって移動する。回転バスケットの中を移動するスラリーの軌跡は螺旋状をなす。
支承部の6本の腕が、回転バスケットの中で回転軸のまわりを回転し、回転バスケットの中のスラリーを回転バスケットの先端側に向かって押す。スラリーは、支承部から受ける力によっても、回転バスケットの先端側に向かって移動する。
回転バスケットの中でのスラリーの移動速度は、回転バスケットの回転速度、回転軸及び回転バスケットの傾斜角度、支承部の6本の腕の傾斜角度によって変化する。これらの大きさをそれぞれ調節することによって、スラリーの移動速度がコントロールされる。
支承部の6本の腕を回転軸の周方向に等間隔で配置すれば、回転時のバランスを取りやすい。
スラリーが回転バスケットの先端側に向かって移動している間、スラリーの中の液体が連続して分離される。スラリーの中の固体が、回転バスケットの先端側まで移動し、個体
の排出部から固液分離装置の外に排出される。以下、排出部から排出される固体のことを「排出固体」という。排出固体中の液体の量は、回転バスケットの長さ、回転バスケットの回転速度、スラリーの移動速度を調節することによってコントロールされる。
スラリーは回転バスケットの中を先端側に向かって移動し続けるので、供給部からスラリーを連続供給でき、多量のスラリーを連続して処理できる。回転バスケットの中のスラリーの移動速度を速くすることによって、スラリーの処理量を増やすことができる。
回転バスケットの中では、スラリーが常に動き、かつ、移動しているので、回転バスケットの中でスラリーが詰まることが防止される。
本発明者が試行錯誤して得た知見によれば、支承部の腕が5本以下であり、回転バスケットの断面が五角形以下の多角形である場合、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。また、支承部の腕が7本以上であり、回転バスケットの断面が七角形以上の多角形である場合も、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。したがって、支承部の腕は6本でなければならず、回転バスケットの断面は六角形でなければならない。
固液分離装置によって処理されるスラリーは、特にその種類を限定されない。固液分離装置によって処理されるスラリーとして、例えば、家畜の糞尿、焼酎粕、養魚場の水槽の沈殿物、池や湖の底にたまった汚泥、家畜の糞尿から固形物を除去した後に残る廃液を曝気する曝気槽に沈殿した汚泥等を挙げることができる。
請求項2の発明に係る固液分離装置は、請求項1に記載の固液分離装置であって、前記回転軸の軸方向が、水平方向に対して、1.8〜4.8°の角度をなして傾斜している。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
回転軸の軸方向が、水平方向に対して、1.8°未満の角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が遅くなりすぎ、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
回転軸の軸方向が、水平方向に対して、4.8°を超える角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が速くなりすぎ、スラリーから液体を分離することが困難である。本発明者が行った試験によれば、スラリーが含む水分のうちの5%以下が、分離液体として分離されるだけである。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
回転軸の軸方向が、水平方向に対して、1.8〜4.8°の角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中において、スラリーが適切な速度でスムーズに移動し、回転バスケットの中でスラリーが詰まりにくく、スラリーから液体が効率よく分離される。また、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
請求項3の発明に係る固液分離装置は、請求項1又は請求項2に記載の固液分離装置であって、前記回転軸の軸方向が水平方向に対してなす傾斜角度が、変更可能である。
回転軸の軸方向が水平方向に対してなす傾斜角度を変更することによって、回転バスケットの中におけるスラリーの移動速度を調節できる。
請求項4の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記回転軸の回転速度が、20〜80rpmである。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
回転軸の回転速度が、20rpm未満であると、回転バスケットの中でスラリーに働く遠心力が小さすぎる。このため、スラリーは回転バスケットの内周面にへばりつかず、スラリーが回転バスケットの内側で回転バスケットとともに回転しない。スラリーに含まれる水分は重力によって分離されるだけであり、遠心力によっては分離されない。分離液体の量も非常に少なくなり、スラリーからの液体の分離が困難である。本発明者が行った試験によれば、スラリーが含む水分のうちの5%以下が、分離液体として分離されるだけである。
回転軸の回転速度が、80rpmを超えると、回転バスケットの中でスラリーに働く遠心力が大きくなりすぎる。このため、スラリーは回転バスケットの内周面にへばりついたままとなり、スラリーは回転バスケットの先端側まで移動しにくい。このことはスラリーが回転バスケットの中で詰まる原因になる。また、回転バスケットの内周面にへばりついたスラリーは、メッシュの目詰まりの原因ともなる。さらに、回転バスケットの内周面にへばりついたままのスラリーには、遠心力が働き続ける。このため、スラリー中の粒径の小さな固体が分離液体の中に入りやすくなり、分離液体のBODやSSの値が増加すしやすい。また、回転軸の回転速度が80rpmを超えると、回転バスケットの中でスラリーに働く遠心力がスラリーの中の固体を破砕し、破砕された固体が分離液体の中に入り、分離液体のBODやSSの値が増加しやすい。
回転軸の回転速度が、20〜80rpmである場合、回転バスケットの中をスラリーが適切な速度でスムーズに移動し、回転バスケットの中でスラリーが詰まりにくく、スラリーの中の固体は遠心力によって破砕されず、スラリーから液体が効率よく分離される。また、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
請求項5の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記メッシュの線径が0.06〜0.50mmであり、前記メッシュの開き目が0.11〜0.77mmである。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
メッシュの線径が0.06mm未満であり、メッシュの開き目が0.11mm未満であると、メッシュが目詰まりしやすく、分離液体の量が少なくなる。そして、排出固体に含まれる水分が高くなりやすく、また、固液分離装置の運転効率が低くなる。
メッシュの線径が0.50mmを越え、メッシュの開き目が0.77mmを超えると、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
メッシュの線径が0.06〜0.50mmであり、メッシュの開き目が0.11〜0.77mmである場合、メッシュの目詰まりが生じにくく、スラリーから液体が効率よく分離される。また、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
スラリーの種類や性状に応じて、メッシュの線径や開き目を選定すれば、分離液体のBODやSSの値の抑制が一層容易化される。なお、スラリーの性状とは、粘度、液体と固体の存在比、固体の粒度分布等の物理的性状のことをいう。
請求項6の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記回転バスケットの外周面において、隣接する前記側面同士の間の稜線の方向が、前記回転軸の軸方向に対して、1.0〜4.0°の角度をなして傾斜している。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
回転バスケットの外周面において、隣接する側面同士の間には稜線が走っている。この稜線の方向が、回転バスケットの中で螺旋を描きつつ移動するスラリーの動きに影響する。回転軸の軸方向に対して傾斜していることによって、回転バスケットの各側面には捻りが加わる。各側面に捻りを加えることによって、回転バスケットの中で螺旋を描きつつ移動するスラリーの動きが助長される。
回転バスケットの外周面の稜線の方向が、回転軸の軸方向に対して、1.0°未満の角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が速くなりすぎ、液体の分離が困難である。本発明者が行った試験によれば、スラリーが含む水分のうちの5%以下が、分離液体として分離されるだけである。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
回転バスケットの外周面の稜線の方向が、回転軸の軸方向に対して、4.0°を越える角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が遅くなりすぎる。また、スラリーが回転バスケットの内周面から剥がれ落ちにくくなり、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。そして、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
回転バスケットの外周面の稜線の方向が、回転軸の軸方向に対して、1.0〜4.0°の角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中で、スラリーが回転バスケットの内周面から剥がれ落ちやすい。そして、スラリーは回転バスケットの先端側に向かってスムーズに移動し、回転バスケットの中でスラリーが詰まりにくい。また、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
請求項7の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記側面が、それぞれ前記回転バスケットの内側に向かって撓んでいる。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
回転バスケットの各側面が、撓みのない完全に平坦な面である場合や、回転バスケットの各側面が、回転バスケットの外側に向かって膨らんでいる場合には、回転バスケットの内周面にへばりついたスラリーは、回転バスケットの内周面から剥がれ落ちにくく、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
回転バスケットの各側面が、回転バスケットの内側に向かって撓んでいる場合、回転バスケットの内周面にへばりついたスラリーは、回転バスケットの回転にともなって、回転バスケットの内周面から剥がれ落ちやすく、回転バスケットの中でスラリーが詰まりにくい。また、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
側面の撓み具合は、スラリーの種類や性状に応じて調節すればよい。
請求項8の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項7のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記メッシュを形成する縦糸と横糸のうち、いずれか一方の糸が走る方向が、前記回転軸の軸方向に対して、1.0〜4.0°の角度をなして傾斜している。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
側面に張られたメッシュを形成する縦糸と横糸のうち、いずれか一方の糸が走る方向が、回転バスケットの中でスラリーの移動速度に影響する。これは、回転バスケットの内周面とスラリーとの間の動摩擦係数の変化が原因であると考えられる。
側面に張られたメッシュを形成する縦糸と横糸のうち、いずれか一方の糸が走る方向が、回転軸の軸方向に対して、1.0°未満の角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が速くなりすぎ、液体の分離が困難である。本発明者が行った試験によれば、スラリーが含む水分のうちの5%以下が、分離液体として分離されるだけである。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
側面に張られたメッシュを形成する縦糸と横糸のうち、いずれか一方の糸が走る方向が、回転軸の軸方向に対して、4.0°を越える角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が遅くなりすぎ、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
側面に張られたメッシュを形成する縦糸と横糸のうち、いずれか一方の糸が走る方向が、回転軸の軸方向に対して、1.0〜4.0°の角度をなして傾斜している場合、回転バスケットの中で、スラリーは回転バスケットの先端側に向かってスムーズに移動し、回転バスケットの中でスラリーが詰まりにくい。また、分離液体のBODやSSの値が小さく
抑制される。
請求項9の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項8のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記側面上において、前記メッシュを形成する糸が走る方向が、変更可能である。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
側面に張られたメッシュが、互いに交差する多数本の糸を編んで形成されている場合、これらの糸の走る方向が、回転バスケットの中におけるスラリーの移動速度に影響する。メッシュを形成する糸の走る方向を変えることによって、回転バスケットの中におけるスラリーの移動速度を調節できる。
側面に張られたメッシュを形成する糸の走る方向を変更するには、例えば、メッシュを張る位置をずらしたり、メッシュの面に剪断力を加えて変形させたりすればよい。
請求項10の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項9のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記支承部の6本の前記腕のうち、最大角度をなして前記回転バスケットの後端側に向かって傾斜している腕が、前記回転軸に垂直な方向に対して、0.5〜4.5°の角度をなして傾斜しており、かつ、最大角度をなして前記回転バスケットの先端側に向かって傾斜している腕が、前記回転軸に垂直な方向に対して、0.5〜3.0°の角度をなして傾斜している。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
支承部の6本の腕が回転軸に対して垂直である場合、6本の腕は、スラリーを回転バスケットの先端側に向かって押さない。このため、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。
支承部の6本の腕のうち、最大角度で回転バスケットの後端側に向かって傾斜している腕が、回転軸に垂直な方向に対して、4.5°を越える角度で傾斜し、また、最大角度で回転バスケットの先端側に向かって傾斜している腕が、回転軸に垂直な方向に対して、3.0°を越える角度で傾斜している場合、腕がスラリーを押す力が大きくなりすぎる。このため、回転バスケットの中でスラリーの移動速度が速くなりすぎ、液体の分離が困難である。本発明者が行った試験によれば、スラリーが含む水分のうちの5%以下が、分離液体として分離されるだけである。また、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。
支承部の6本の腕のうち、最大角度で回転バスケットの後端側に向かって傾斜している腕が、回転軸に垂直な方向に対して、0.5°未満の角度で傾斜し、また、最大角度で回転バスケットの先端側に向かって傾斜している腕が、回転軸に垂直な方向に対して、0.5°未満の角度で傾斜している場合、腕がスラリーをほとんど押さない。このため、しばらく連続運転すると、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。
支承部の6本の腕のうち、最大角度で回転バスケットの後端側に向かって傾斜している腕が、回転軸に垂直な方向に対して、0.5〜4.5°の角度で傾斜するとともに、最大角度で回転バスケットの先端側に向かって傾斜している腕が、回転軸に垂直な方向に対して、0.5〜3.0°の角度で傾斜していれば、スラリーは回転バスケットの先端側に向かってスムーズに移動し、回転バスケットの中でスラリーが詰まりにくい。また、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
請求項11の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項10のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、隣接する前記支承部同士において、一方の前記支承部の最大角度をなして前記回転バスケットの後端側に向かって傾斜する前記腕の先端が接続されている前記六角形断面の頂点と、他方の前記支承部の最大角度をなして前記回転バスケットの先端側に向かって傾斜する前記腕の先端が接続されている前記六角形断面の
頂点と、が、前記回転バスケットの内周面の同一の谷線上に位置している。
本発明者は、試行錯誤して以下の知見を得た。
回転軸の軸方向に隣接する2つの支承部を考える。一方の支承部において、最大角度で回転バスケットの先端側に向かって傾斜する腕の先端が接続されている回転バスケットの六角形断面の頂点と、他方の支承部において、最大角度で回転バスケットの後端側に向かって傾斜する腕の先端が接続されている回転バスケットの六角形断面の頂点と、が、回転バスケットの内周面の同一の谷線上に位置している場合、回転バスケットの中のスラリーを押す力が支承部の腕から満遍なく加わる。これにより、スラリーは回転バスケットの先端側に向かってスムーズに移動する。そして、分離液体のBODやSSの値が小さく抑制される。
上記以外の腕の配置にすると、回転バスケットの中でスラリーが詰まりやすい。そして、分離液体のBODやSSの値の抑制が困難である。また、回転バスケットのバランスが崩れて振動を生じやすい。
請求項12の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項11のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記ケーシングは、前記供給部側に位置する排水口と、前記排出部側に位置する排水口と、を有し、これらの排水口同士の間に、堰が形成されている。
スラリーの中には、側面に張られたメッシュを通過する粒径の固体が含まれている。側面に張られたメッシュを通過する固体の量は、供給部に近いほど多い。したがって、供給部側の排水口に流れる分離液体中の固体の量は、排出部側の排水口に流れる分離液体中の固体の量よりも多い。供給部側の排水口に流れる分離液体を、再度、供給部に供給すれば、分離液体のSSの値が小さく抑制される。
請求項13の発明に係る固液分離装置は、請求項1から請求項12のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置であって、前記ケーシングは、前記回転バスケットに向かって散水可能な散水部を有する。
散水部から回転バスケットに向かって散水することによって、回転バスケットの洗浄を行うことができ、固液分離装置のメンテナンスが容易化される。
上記のような固液分離装置であるので、焼酎粕をはじめとするスラリーの固液分離を、多量に簡単かつ迅速に行うことができ、スラリーから分離された分離液体のBODやSSの値を容易に小さく抑制できる。
上記のような固液分離装置を用いて、焼酎粕をはじめとするスラリーの固液分離を行うことによって、分離された固体や液体に対するその後の処理(たとえば、分離された固体や液体を系外に放出する際に行う好気性生物を用いての処理)における負担が大きく軽減される。
本発明に係る固液分離装置の縦断面図である。 ケーシングの縦断面図である。 回転バスケットの斜視図である。 回転バスケットの回転軸に平行な断面図である。 回転バスケットの回転軸に垂直な断面図である。 図5のI−I線断面図である。 図5のII−II線断面図である。 図5のIII−III線断面図である。 支承部の腕同士の位置関係の説明図ある。 回転バスケットに張られたメッシュの説明図である。 回転バスケットの中を移動するスラリーの軌跡の説明図である。 変形例に係るベルトの説明図である。 従来ある焼酎粕分離装置の構成図である。
本発明を実施するための最良の形態を図1〜図11を参照しつつ説明する。
なお、図1の角度α、β1、β3、図4の角度β1、β3、図6の角度β1、β3、γ、図7の角度β2、β4、γ、図8の角度β2、β4、γ、図9の角度γ、図10の角度δ、図11の角度αは、それぞれ誇張して図示されている。各図におけるこれらの角度の誇張の程度は、必ずしも一致していない。また、図9における支承部の各腕の長さは誇張されており、他の図中における支承部の各腕の長さと一致していない。
図1に示すように、固液分離装置1は、ケーシング10、回転軸32、回転バスケット56及びモータ34を備えている。回転軸32及び回転バスケット56が、ケーシング10の中に収納されている。ケーシング10が基台30Aの上に設置されている。モータ34がケーシング10の外にある基台30Bの上に設置されている。
回転軸32が回転バスケット56の中心を貫通している。回転軸32の先端側と回転バスケット56の先端側とが一致し、回転軸32の後端側と回転バスケット56の後端側とが一致している。
図1及び図2に示すように、ケーシング10は、筐体12と着脱自在のカバー28とを有する。筐体12が基台30A上に固定されており、カバー28が筐体12の上に装着されている。
軸受け36Fが筐体12の先端面14Fに設置されており、回転軸32の先端側部分を支承している。軸受け36Rが筐体12の後端面14Rに設置されており、回転軸32の後端側部分を支承している。回転軸32の先端側部分は、回転軸32の後端側部分よりも低い位置にあり、回転軸32は水平方向に対して角度αで傾斜している。角度αは1.8〜4.8°の間の大きさの角度である。
回転軸32の後端側部分は、筐体12の後端面14Rを貫通して外に突出し、モータ34のシャフトに接続されている。モータ34はその回転速度を20〜80rpmの間で調節可能に構成されている。
筐体12の内側の底面16上には、堰18が形成されている。堰18を境にして、底面16は、先端面14F側の底面16Fと後端面14R側の底面16Rとに二分されている。堰18の高さは、堰18が回転バスケット56に接触しない高さである。
底面16Fの先端面14F側の位置に、排水口20Fが形成されている。底面16Rの堰18側の位置に、排水口20Rが形成されている。
筐体12の先端面14Fの下部には、シュート22が排出固体の排出口として形成されている。筐体12の後端面14Rには、スラリーの供給配管24がつなぎこまれており、供給配管24がスラリーの供給部をなしている。
図2に示すように、筐体12の側面58の内側には、複数のノズル26が設置されている。これらのノズル26は外部の水源に接続されている。ノズル26が散水部をなし、ノズル26からケーシング10内の回転バスケット56に向かって水をスプレー状に散水可能に構成されている。
図1及び図4に示すように、回転軸32には、6個の支承部40が等間隔で取り付けられている。
図1及び図3〜図8に示すように、支承部40は、内リング42、6本の腕44A、44B、44C、44D、44E、44F、外リング46を有している。内リング42は支
承部40の中央に位置し、回転軸32が内リング42を貫通している。内リング42は、回転軸32にビス止めされている。内リング42の外周には、6本の腕44A〜44Fが、回転軸32の周方向に等間隔で順番に並んで植設されている。図5に示すように、回転軸32の軸方向から支承部40を見ると、腕44A〜44Fが、内リング42の径方向にそれぞれ伸びており、腕44A〜44Fは、それぞれ同じ長さに見える。
腕44A、44B、44Cが、回転軸32の後端側に向かって傾斜している。図6に示すように、腕44Bが、回転軸32に垂直な方向に対して、角度β1をなして傾斜している。図7及び図8に示すように、腕44A、44Cが、回転軸32に垂直な方向に対して、角度β2をなして傾斜している。角度β1と角度β2は、次式(1)〜(3)を満足している。
4.5°≧β1>0.5° ・・・(1)
4.5°>β2≧0.5° ・・・(2)
β1>β2 ・・・(3)
腕44D、44E、44Fが、回転軸32の先端側に向かって傾斜している。図6に示すように、腕44Eが、回転軸32に垂直な方向に対して、角度β3をなして傾斜している。図7及び図8に示すように、腕44D、44Fが、回転軸32に垂直な方向に対して、角度β4をなして傾斜している。角度β3と角度β4は、次式(4)〜(6)を満足している。
3.0°≧β3>0.5° ・・・(4)
3.0°>β4≧0.5° ・・・(5)
β3>β4 ・・・(6)
図5に示すように、外リング46は、6枚の細長い長方形の板状体48A、48B、48C、48D、48E、48Fからなる。板状体48A〜48Fが順番に回転軸32の周方向に並んで六角形を形成している。板状体48A〜48Fは、それぞれ六角形の内側に向かって撓んでいるとともに、それぞれ捻りを加えられている。
図5に示すように、外リング46がなす六角形の内側において、この六角形の各頂点に、腕44A〜44Fの各先端が接続されている。板状体48Aと板状体48Bとの接合部に腕44Aの先端が接続され、板状体48Bと板状体48Cとの接合部に腕44Bの先端が接続され、板状体48Cと板状体48Dとの接合部に腕44Cの先端が接続され、板状体48Dと板状体48Eとの接合部に腕44Dの先端が接続され、板状体48Eと板状体48Fとの接合部に腕44Eの先端が接続され、板状体48Fと板状体48Aとの接合部に腕44Fの先端が接続されている。
回転軸32の先端側から後端側の方向を見ると、隣接する支承部40同士間において、回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Aは、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Dに対して、回転軸32の周方向に角度εだけ反時計回りに回転した位置にある。
同様に、回転軸32の先端側から後端側の方向を見ると、隣接する支承部40同士間において、以下の位置関係がある。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Bは、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Eに対して、回転軸32の周方向に角度εだけ反時計回りに回転した位置にある。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Cは、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Fに対して、回転軸32の周方向に角度εだけ反時計回りに回転した位置にある。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Dは、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Aに対して、回転軸32の周方向に角度εだけ反時計回りに回転した位置にある。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Eは、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Bに対して、回転軸32の周方向に角度εだけ反時計回りに回転した位置にある。回転軸32の先端側にある支承部40
の腕44Fは、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Cに対して、回転軸32の周方向に角度εだけ反時計回りに回転した位置にある。なお、本実施の形態において、角度εは非常に小さな角度であり、角度εの図示は省略されている。
図9に示すように、隣接する支承部40同士間において、回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Aの先端と、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Dの先端と、が、仮想線L1によって結ばれている。
同様に、隣接する支承部40同士間において、以下の関係がある。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Bの先端と、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Eの先端とが、仮想線L2によって結ばれている。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Cの先端と、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Fの先端とが、仮想線L3によって結ばれている。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Dの先端と、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Aの先端とが、仮想線L4によって結ばれている。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Eの先端と、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Bの先端とが、仮想線L5によって結ばれている。回転軸32の先端側にある支承部40の腕44Fの先端と、回転軸32の後端側にある支承部40の腕44Cの先端とが、仮想線L6によって結ばれている。
仮想線L1〜L6は、回転軸32の軸方向に対して、それぞれ角度γをなして傾斜している。角度γは、1.0〜4.0°である。仮想線L1〜L6は、それぞれ回転軸32の後端側から先端側にむかって緩やかな螺旋を描いている。なお、仮想線L1〜L6がそれぞれ描く螺旋は、非常に緩やかな螺旋であるので、図中において、仮想線L1〜L6は、ほとんど直線として図示されている。
回転軸32の後端側に最も近い支承部40と、回転軸32の先端側に最も近い支承部40と、においては、板状体48A〜48Fの回転軸32の軸方向の幅が、他の支承部40の板状体48A〜48Fの回転軸32の軸方向の幅よりも、大きい(図1及び図4を参照)。
図1及び図3〜図7に示すように、6個の支承部40の外リング46の外側を覆うようにして、一枚の金属製のメッシュ68がたるみなく巻きつけられている。巻きつけられたメッシュ68は、六角形断面を有する筒状体をなし、この筒状体が回転バスケット56を形成している。すなわち、回転バスケット56の周方向に連続する6枚の側面58は、メッシュ68が張られた状態になっている。
メッシュ68の線径は0.06〜0.50mmであり、メッシュ68の開き目は0.11〜0.77mmである。
回転軸32と同様に、回転バスケット56は水平方向に対して角度αで傾斜している。回転バスケット56の先端側部分は、回転バスケット56の後端側部分よりも低い位置にある。
図5に示すように、押さえ板50が、板状体48A上のメッシュ68を外側から押さえつけている。押さえ板50は、回転軸32の軸方向と同じ方向に伸びる1本の細長い板状体である。同様に、板状体48B上のメッシュ68、板状体48C上のメッシュ68、板状体48D上のメッシュ68、板状体48E上のメッシュ68、及び、板状体48F上のメッシュ68は、押さえ板50によって外側から押さえられている(図3を参照)。
各支承部40の外リング46がある位置において、メッシュ68と各押さえ板50の外側に、1本のバンド51が環状に巻かれている。ボルト52とナット54によって、バンド51は板状体48A〜48Fの上にボルト止めされている。メッシュ68は、バンド51と各押さえ板50によって固定されている。バンド51が、各押さえ板50をメッシュ68に押圧し、各側面58のメッシュ68は板状体48A〜48Fの各形状に従って撓ん
でいる。すなわち、回転バスケット56の各側面58は、回転バスケット56の内側に向かって撓んでいる。また、支承部40の板状体48A〜48Fには、捻りが加えられているので、側面58も捻られた状態になっている。
回転バスケット56の外周面60において、隣接する側面58同士の間に、6本の稜線64が走っている。各稜線64は、仮想線L1〜L6に重なっている。各稜線64の方向は、回転軸32の軸方向に対して、角度γで傾斜している。各稜線64は、仮想線L1〜L6と同じ緩やかな螺旋を描いている。
回転バスケット56の内周面62において、回転バスケット56の六角形断面の各頂点が回転軸32の軸方向に連続し、6本の谷線66が形成されている。谷線66は仮想線L1〜L6に重なっており、各谷線66の方向は、回転軸32の軸方向に対して、角度γで傾斜している(図6〜図8を参照)。各谷線66は、仮想線L1〜L6と同じ緩やかな螺旋を描いている。
なお、図中において、各稜線64と各谷線66は、ほとんど直線として図示されている。
図1及び図4に示すように、ある支承部40の腕44Bの先端と、隣接する支承部40の腕44Eの先端とは、同一の谷線66上に位置している。
メッシュ68は、金属糸である縦糸70と横糸72とを織って形成されている。図10に示すように、回転バスケット56の周方向に一周した横糸72Aの先端72Tと末端72Eとが、縦糸70の走る方向に距離Dだけずれている。また、縦糸70の走る方向は、回転軸32の軸方向に対して、角度δで傾斜している。そして、縦糸70の走る方向が稜線64及び谷線66の方向と一致しており、γ=δとなっている。
図1に示すように、回転バスケット56の後端側から回転バスケット56の内側に、スラリーの供給配管24の先端が挿入されている。供給配管24の先端が回転軸32の下側に位置している。
図1に示すように、回転バスケット56の先端はシュート22の上方に位置している。
次に、作用について説明する。
まず、モータ34を起動し、回転軸32を20〜80rpmの回転速度Vで回転させる。回転軸32とともに支承部40及び回転バスケット56が回転速度Vで回転する。モータ34によって回転速度Vを調節し、回転バスケット56の中で、スラリーに働く重力が、スラリーに働く遠心力よりも大きくなるようにする。
次いで、供給配管24から回転バスケット56の後端側にスラリーを供給する。
回転バスケット56の中に入ったスラリーは、遠心力によって回転バスケット56の内周面62にへばりつく。図11に示すように、内周面62上の位置X1にへばりついたスラリーは、そのまま、回転バスケット56と一緒に回転し、回転バスケット56の中を上方に向かって移動する。スラリーに働く重力は、スラリーに働く遠心力よりも大きいので、スラリーはいつまでも位置X1にへばりついていることができず、内周面62から剥がれて位置X2に落ちる。位置X2に落ちたスラリーは、位置X2で内周面62上にへばりつき、回転バスケット56の中を上方に向かって移動し、また剥がれて下方に落ちる。
回転バスケット56の先端側が下側に向かって角度αで傾斜しているので、位置X2は位置X1よりも回転バスケット56の先端側に近い。これに加えて、支承部40の腕44A〜44Fがスクリューのように回転し、位置X1から位置X2に剥がれ落ちるスラリーを回転バスケット56の先端側に向かって満遍なく押すので、位置X2は位置X1よりも回転バスケット56の先端側により近くなる。
回転バスケット56の中で、スラリーは内周面62へのへばりつきと落下とを繰り返し
、螺旋状の軌跡を描きながら回転バスケット56の先端側に向かって移動していく。
回転バスケット56の側面58が回転バスケット56の内側に向かって撓んでいるので、内周面62にへばりついたスラリーは、内周面62から剥がれ落ちやすい。側面58の内側への撓みが、内周面62にスラリーがへばりついたままとなることを防止し、スラリーが回転バスケット56の中で詰まることを防止する。
また、稜線64と谷線66とが、回転軸32の軸方向に対して角度γで傾斜して緩やかな螺旋を描いており、側面58が捻られた状態になっているので、回転バスケット56の中のスラリーは、螺旋状の動きを助長されながら、詰まることなく移動する。
スラリーが回転バスケット56の中を先端側に向かって移動していく間、遠心力と重力がスラリーに働き、スラリーから液体が分離される。この分離された液体がメッシュ68を通過して分離液体となり、回転バスケット56の外に落下する。回転バスケット56の後端側部分から落下する分離液体は、筐体12の底面16Rに入り、排水口20Rから排水される。回転バスケット56の先端側部分から落下する分離液体は、筐体12の底面16Aに入り、排水口20Fから排水される。
排水口20Rから排水される分離液体の中には、粒径の小さな固体の粒子が混入している。排水口20Rから排水される分離液体は、供給配管24に戻される。分離液体を供給配管24に戻して再び処理することによって、分離液体のBODとSSが小さくなる。
排水口20Fから排水される分離液体のBODとSSは、排水口20Rから排水される分離液体のBODとSSよりも小さい。排水口20Fから排水される分離液体のBODとSSが所定の値よりも大きな場合、この分離液体を供給配管24に送る。排水口20Fから排水される分離液体のBODとSSが所定の値以下になったら、河川等に放流できる。必要に応じて、河川等に放流する前に、他の処理を施すことができる。
固液分離装置1を直列に複数基設置してもよい。上流側の固液分離装置1から排水される分離液体を下流側の固液分離装置1の供給配管24に送れば、最下流の固液分離装置1から排水される分離液体のBODとSSが小さくなる。
スラリーが、回転バスケット56の中を先端側に向かって移動する間に、スラリーから徐々に液体が分離される。そして、液体を分離した後に固体が残る。この残った固体が、回転バスケット56の先端に達し、シュート22に落下し、排出固体としてケーシング10の外に排出される。排出固体は、肥料の原料、家畜の飼料、魚の餌等として有効利用できる。
角度α、β1、β2、β3、β4、γ、δ、εの各大きさ、回転バスケット56の側面58の撓み具合、回転速度V、メッシュ68の線径と開き目、メッシュ68の縦糸70と横糸72が走る方向、距離D、隣接する支承部40同士間の距離を、スラリーの種類と性状に応じて適宜調節すれば、回転バスケット56の中でのスラリーの動きやすさ、回転バスケット56の内周面62からのスラリーの剥がれ落ちやすさ、回転バスケット56の中でのスラリーの移動速度をコントロールできる。
スラリーは回転バスケット56の中を先端側に向かって常に移動しているので、その移動速度に応じて、スラリーを回転バスケット56の中に連続供給でき、多量のスラリーを処理できる。
スラリーの処理が終わったら、ノズル26から回転バスケット56にスプレー状に水を散水する。散水された水が、回転バスケット56、回転軸32、支承部40、ケーシング10の内面に付着している汚れを洗い流す。
メッシュ68の縦糸70と横糸72が走る各方向は、メッシュ68の張り方を変えることによって変更可能である。メッシュ68の面に剪断力を加えて変形させることによっても変更可能である。縦糸70と横糸72が走る方向を変えることによって、角度δや距離
Dが変わる。また、縦糸70又は横糸72が走る方向が、稜線64及び谷線66の方向からずれていてもよい。
本実施の形態において、各支承部40の外リング46の位置にバンド51が巻かれているが、替わりに、図12の変形例に示すバンド51aを巻いてもよい。外リング46と同様に、バンド51aは6枚の細長い板状体74A、74B、74C、74D、74E、74Fによって形成されており、六角形をなしている。板状体74A〜74Fは、それぞれ、六角形の内側に向かって撓んでいる。
各支承部40の外リング46の位置において、メッシュ68の外側に、直接、バンド51aが巻かれている。メッシュ68は、バンド51aと外リング46との間に挟まれる。各側面58をなすメッシュ68は、バンド51aと外リング46の形に従って回転バスケット56の内側に向かって撓む。
本実施の形態において、回転軸32及び回転バスケット56の傾斜角度αを調節可能に構成してもよい。例えば、基台30Aの脚の長さをそれぞれ可変に構成したり、先端面14Fにおける軸受け36Fの設置位置を可変に構成したり、先端面14Rにおける軸受け36Rの設置位置を可変に構成すれば、傾斜角度αが可変となり、傾斜角度αの調節が容易化される。なお、傾斜角度αを調節したときは、同時にモータ34のシャフトの方向を調節し、回転軸32の方向とモータ34のシャフトの方向とを一致させる。
本実施の形態において、メッシュ68の縦糸70の走る方向が稜線64及び谷線66の方向と一致していなくてもよい。この場合には、角度δの範囲を1.0〜4.0°とする。
次に、本発明者が、本実施の形態で説明した固液分離装置1を用いて、スラリーを処理した試験結果について説明する。
以下に示す試験1、4、7、10、13、16及び19では、処理したスラリーが家畜の糞尿である。処理前家畜の糞尿は、BODが19000g/m、処理前のSSが20000g/mであった。試験2、5、8、11、14、17及び20では、処理したスラリーが焼酎粕である。処理前の焼酎粕は、BODが55000g/m、SSが39000g/mであった。試験3、6、9、12、15、18及び21では、処理したスラリーが汚泥である。この汚泥は、家畜の糞尿から固形物を除去した後に残る廃液を曝気する曝気槽に沈殿した汚泥である。処理前の汚泥は、BODとSSがともに7200g/mであった。
試験1〜試験3では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度αを変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表1〜表3に示す。
なお、試験1〜試験3では、回転軸32の回転速度V、メッシュ68の線径と開き目、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γ、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δ、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を、表1〜表3に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表1〜表3から次のことがわかる。傾斜角度αが1.8°未満であると、回転バスケット56内でスラリーが詰まる。そして、詰まったスラリーが回転バスケット56から溢れ、溢れたスラリーが分離液体の中に混入し、分離液体のBODとSSは処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
傾斜角度αが4.8°を超えると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
傾斜角度αが1.8〜4.8°であれば、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表1から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度αが1.8〜3.8°であれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また、傾斜角度αが2.6〜3.4°であれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度αが1.8〜4.8°であればよく
、1.8〜3.8°であればより好ましく、2.6〜3.4°であればより一層好ましい。
表2から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、傾斜角度αが1.8〜4.0°でれば、分離液体のBODが45000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、傾斜角度αが2.2〜3.2°であれば、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、傾斜角度αが1.8〜4.8°であればよく、1.8〜4.0°であればより好ましく、2.2〜3.2°であればより一層好ましい。
表3から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、傾斜角度αが2.0〜4.0°であれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、傾斜角度αが2.1〜3.7°であれば、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、傾斜角度αが1.8〜4.8°であればよく、2.0〜4.0°であればより好ましく、2.1〜3.7°であればより一層好ましい。
試験1〜試験3の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、傾斜角度αが1.8〜4.8°であればよく、2.0〜3.8°であればより好ましく、2.6〜3.2°であればより一層好ましい。
試験4〜試験6では、回転軸32の回転速度Vを変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表4〜表6に示す。
なお、試験4〜試験6では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度α、メッシュ68の線径と開き目、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γ、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δ、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を、表4〜表6に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表4〜表6から次のことがわかる。回転速度Vが20rpm未満であると、回転バスケット56内でスラリーが詰まる。そして、詰まったスラリーが回転バスケット56から溢れ、溢れたスラリーが分離液体の中に混入し、分離液体のBODとSSは処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
回転速度Vが80rpmを超えると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
回転速度Vが20〜80rpmであれば、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表4から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、回転速度Vが30〜60rpmであれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また、回転速度Vが45〜50rpmであれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、回転速度Vが20〜80rpmであればよく、30〜60rpmであればより好ましく、45〜50rpmであればより一層好ましい。
表5から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、回転速度Vが30〜55rpmで
あれば、分離液体のBODが、45000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、回転速度Vが40〜50rpmであれば、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、回転速度Vが20〜80rpmであればよく、30〜55rpmであればより好ましく、40〜50rpmであればより一層好ましい。
表6から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、回転速度Vが40〜60rpmであれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、回転速度Vが45〜50rpmであれば、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、回転速度Vが20〜80rpmであればよく、40〜60rpmであればより好ましく、45〜50rpmであればより一層好ましい。
試験4〜試験6の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、回転速度Vが20〜80rpmであればよく、40〜55rpmであればより好ましく、45〜50rpmであればより一層好ましい。
試験7〜試験9では、メッシュ68の線径と開き目を変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表7〜表9に示す。
なお、試験7〜試験9では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度α、回転軸32の回転速度V、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γ、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δ、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を、表7〜表9に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表7〜表9から次のことがわかる。メッシュ68の線径が0.06mm未満、開き目が0.11mm未満であると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
メッシュ68の線径が0.50mmを超え、開き目が0.77mmを超えると、分離液体のBODとSSは処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
メッシュ68の線径が0.06〜0.50mm、かつ、開き目が0.11〜0.77mmであれば、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表7から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、メッシュ68の線径が0.06〜0.29mm、かつ、開き目が0.11〜0.35mmであれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また、メッシュ68の線径が0.10〜0.18mm、かつ、開き目が0.18〜0.24mmであれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、メッシュ68の線径が0.06〜0.50mm、かつ、開き目が0.11〜0.77mmであればよい。また、メッシュ68の線径が0.06〜0.29mm、かつ、開き目が0.11〜0.35mmであればより好ましく、メッシュ68の線径が0.10〜0.18mm、かつ、開き目が0.18〜0.24mmであればより一層好ましい。
表8から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、メッシュ68の線径が0.10〜0.50mm、かつ、開き目が0.18〜0.77mmであれば、分離液体のBODが4
5000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、メッシュ68の線径が0.14〜0.22mm、かつ、開き目が0.18〜0.42mmの範囲であると、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、メッシュ68の線径が0.06〜0.50mm、かつ、開き目が0.11〜0.77mmであればよい。また、メッシュ68の線径が0.10〜0.50mm、かつ、開き目が0.18〜0.77mmであればより好ましく、メッシュ68の線径が0.14〜0.22mm、かつ、開き目が0.18〜0.42mmであればより一層好ましい。
表9から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、メッシュ68の線径が0.11〜0.22mm、かつ、開き目が0.14〜0.42mmであれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、メッシュ68の線径が0.14mm、かつ、開き目が0.18mmであると、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、メッシュ68の線径が0.06〜0.50mm、かつ、開き目が0.11〜0.77mmであればよい。また、メッシュ68の線径が0.11〜0.22mm、かつ、開き目が0.14〜0.42mmであればより好ましく、メッシュ68の線径が0.14mm、かつ、開き目が0.18mmであればより一層好ましい。
試験7〜試験9の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、メッシュ68の線径が0.06〜0.50mm、かつ、開き目が0.11〜0.77mmであればよく、メッシュ68の線径が0.11〜0.22mm、かつ、開き目が0.14〜0.35mmであればより好ましく、メッシュ68の線径が0.14mm、かつ、開き目が0.18mmであればより一層好ましい。
試験10〜試験12では、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γを変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表10〜表12に示す。
なお、試験10〜試験12では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度α、回転軸32の回転速度V、メッシュ68の線径と開き目、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δ、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を、表10〜表12に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表10〜表12から次のことがわかる。傾斜角度γが1.0°未満であると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
また、傾斜角度γが4.0°を超えると、回転バスケット56内でスラリーが詰まる。そして、詰まったスラリーが回転バスケット56から溢れ、溢れたスラリーが分離液体の中に混入し、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
傾斜角度γが1.0〜4.0°であれば、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表10から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度γが1.6〜3.8°であれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また、傾斜角度γが2.2〜2.9°であれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度γが1.0〜4.0°であればよく、1.6〜3.8°であればより好ましく、2.2〜2.9°であればより一層好ましい。
表11から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、傾斜角度γが1.2〜3.0°であれば、分離液体のBODが45000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、傾斜角度γが2.2〜2.6°であれば、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、傾斜角度γが1.0〜4.0°であればよく、1.2〜3.0°であればより好ましく、2.2〜2.6°であればより一層好ましい。
表12から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、傾斜角度γが2.1〜2.5°であれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、傾斜角度γが2.4°であれば、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、傾斜角度γが、1.0〜4.0°であればよく、2.1〜2.5°であればより好ましく、2.4°であればより一層好ましい。
試験10〜試験12の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、傾斜角度γが1.0〜4.0°であればよく、2.1〜2.5°であればより好ましく、2.4°であればより一層好ましい。
試験13〜試験15では、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δを変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表13〜表15に示す。
なお、試験13〜試験15では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度α、回転軸32の回転速度V、メッシュ68の線径と開き目、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γ、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を、表13〜表15に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表13〜表15から次のことがわかる。傾斜角度δが1.0°未満であると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
傾斜角度δが4.0°を超えると、回転バスケット56内でスラリーが詰まる。そして、詰まったスラリーが回転バスケット56から溢れ、溢れたスラリーが分離液体の中に混入し、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
傾斜角度δが1.0〜4.0°であると、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表13から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度δが1.8〜3.3°であれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また、傾斜角度δが2.3〜2.7°であれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度δが1.0〜4.0°であればよく、1.8〜3.3°であればより好ましく、2.3〜2.7°であればより一層好ましい。
表14から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、傾斜角度δが1.8〜3.1°であれば、分離液体のBODが45000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、傾斜角度δが2.2〜2.7°であれば、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、傾斜角度δが1.0〜4.0°であればよく、1.8〜3.1°であればより好ましく、2.2〜2.7°であればより一層好ましい。
表15から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、傾斜角度δが2.0〜2.9°であれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、傾斜角度δが2.4〜2.5°であれば、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、傾斜角度δが1.0〜4.0°であればよく、2.0〜2.9°であればより好ましく、2.4〜2.5°であればより一層好ましい。
試験13〜試験15の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、傾斜角度δが1.0〜4.0°であればよく、2.0〜2.9°であればより好ましく、2.4〜2.5°であればより一層好ましい。
試験16〜試験18では、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1を変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表16〜表18に示す。
なお、試験16〜試験18では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度α、回転軸32の回転速度V、メッシュ68の線径と開き目、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γ、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δ、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を、表16〜表18に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表16〜表18から次のことがわかる。傾斜角度β1が0.5°未満であると、回転バスケット56内でスラリーが詰まる。そして、詰まったスラリーが回転バスケット56から溢れ、溢れたスラリーが分離液体の中に混入し、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
傾斜角度β1が4.5°を超えると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
傾斜角度β1が0.5〜4.5°であると、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表16から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度β1が0.5〜4.5°であれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また
、傾斜角度β1が1.3〜3.3°であれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度β1が0.5〜4.5°であればよく、1.3〜3.3°であればより好ましい。
表17から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、傾斜角度β1が0.5〜3.6°であれば、分離液体のBODが45000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、傾斜角度β1が2.0〜2.8°であれば、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、傾斜角度β1が0.5〜4.5°であればよく、0.5〜3.6°であればより好ましく、2.0〜2.8°であればより一層好ましい。
表18から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、傾斜角度β1が1.7〜2.7°であれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、傾斜角度β1が2.0〜2.4°であれば、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、傾斜角度β1が0.5〜4.5°であればよく、1.7〜2.7°であればより好ましく、2.0〜2.4°であればより一層好ましい。
試験16〜試験18の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、傾斜角度β1が0.5〜4.5°であればよく、1.7〜2.7°であればより好ましく、2.0〜2.4°であればより一層好ましい。
試験19〜試験21では、腕44Eが回転バスケット56の先端側に向かって傾斜する角度β3を変化させて、分離液体のBODとSSを調べた。その結果を表19〜表21に示す。
なお、試験19〜試験21では、回転軸32が水平方向に対して傾斜する角度α、回転軸32の回転速度V、メッシュ68の線径と開き目、稜線64の方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度γ、メッシュ68の縦糸70の走る方向が回転軸32の軸方向に対して傾斜する角度δ、腕44Bが回転バスケット56の後端側に向かって傾斜する角度β1を、表19〜表21に示す値に固定した。
Figure 2010179233
Figure 2010179233
Figure 2010179233
表19〜表21から次のことがわかる。傾斜角度β3が0.5°未満であると、回転バスケット56内でスラリーが詰まる。そして、詰まったスラリーが回転バスケット56から溢れ、溢れたスラリーが分離液体の中に混入し、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSと同じ値になる。
傾斜角度β3が3.0°を超えると、分離液体の量がスラリーの水分の5%以下でしかなく、水分の分離が不十分である。
傾斜角度β3が、0.5〜3.0°であると、スラリーからの水分の分離が行われ、分離液体のBODとSSが、処理前のスラリーのBODとSSよりも低くなる。
表19から次のことがわかる。家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度β3が0.6〜3.0°であれば、分離液体のBODとSSがともに10000g/m以下になる。また、傾斜角度β3が0.7〜2.8°であれば、分離液体のBODとSSがともに5000g/m以下になる。
したがって、家畜の糞尿を処理する場合、傾斜角度β3が0.5〜3.0°であればよく、0.6〜3.0°であればより好ましく、0.7〜2.8°であればより一層好ましい。
表20から次のことがわかる。焼酎粕を処理する場合、傾斜角度β3が1.0〜2.9°であれば、分離液体のBODが45000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが30000g/m以下になる。また、傾斜角度β3が2.1〜2.4°であれば、分離液体のBODが40000g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが25000g/m以下になる。
したがって、焼酎粕を処理する場合、傾斜角度β3が0.5〜3.0°であればよく、1.0〜2.9°であればより好ましく、2.1〜2.4°であればより一層好ましい。
表21から次のことがわかる。汚泥を処理する場合、傾斜角度β3が1.0〜2.8°であれば、分離液体のBODとSSがともに4000g/m以下になる。また、傾斜角度β3が1.6〜2.3°であれば、分離液体のBODが2500g/m以下になり、かつ、分離液体のSSが3000g/m以下になる。
したがって、汚泥を処理する場合、傾斜角度β3が0.5〜3.0°であればよく、1.0〜2.8°であればより好ましく、1.6〜2.3°であればより一層好ましい。
試験19〜試験21の結果をまとめると次のことがわかる。家畜の糞尿、焼酎粕、汚泥を処理する場合、傾斜角度β3が0.5〜3.0°であればよく、1.0〜2.8°であればより好ましく、2.1〜2.3°であればより一層好ましい。
1 固液分離装置
10 ケーシング
12 筐体
14F 筐体の先端面
14R 筐体の後端面
16、16F、16R 筐体の内側の底面
18 堰
20F、20R 排水口
22 シュート
24 供給配管
26 ノズル
28 カバー
30A、30B 基台
32 回転軸
34 モータ
36F、36R 軸受け
40 支承部
42 内リング
44A、44B、44C、44D、44E、44F 腕
46 外リング
48A、48B、48C、48D、48E、48F、74A、74B、74C、74D、74E、74F 板状体
50 押さえ板
51、51a バンド
52 ボルト
54 ナット
56 回転バスケット
58 回転バスケットの側面
60 回転バスケットの外周面
62 回転バスケットの内周面
64 回転バスケットの外周面の稜線
66 回転バスケットの内周面の谷線
68 メッシュ
70 メッシュの縦糸
72、72A メッシュの横糸
72T メッシュの横糸の先端
72E メッシュの横糸の末端
L1、L2、L3、L4、L5、L6 仮想線

Claims (13)

  1. スラリーを固体と液体とに分離する固液分離装置であって、
    周方向に連続する6枚の側面に囲まれ、六角形断面を有して、回転軸の回りを回転する筒形の回転バスケットと、
    前記回転バスケットを収納するケーシングと、を備え、
    前記回転バスケットの後端側には、スラリーの供給部が形成されており、
    前記回転バスケットの先端側には、分離された固体の排出部が形成されており、
    前記側面は、分離された液体が通過する金属製のメッシュを有し、
    前記回転軸は傾斜し、前記回転バスケットの後端側が、前記回転バスケットの先端側よりも高い位置にあり、
    前記回転軸には、前記回転バスケットの内周面側からこの回転バスケットを支承する支承部が形成されており、
    前記支承部は、前記回転軸の周方向に間隔をあけて配置された6本の腕を有し、当該腕の各先端が、前記六角形断面の頂点に前記内周面側からそれぞれ接続されており、
    6本の前記腕のうち、前記回転軸の周方向に隣接して並ぶ3本の腕が、前記回転バスケットの後端側に向かって傾斜し、これら3本の腕のうちの中央の腕が、その両隣の腕よりも大きな角度をなして傾斜しており、
    6本の前記腕のうち、残りの3本の腕が、前記回転バスケットの先端側に向かって傾斜し、これら3本の腕のうちの中央の腕が、その両隣の腕よりも大きな角度をなして傾斜しており、
    複数の前記支承部が、互いに間隔をあけて、前記回転軸の軸方向に並んで配置されていることを特徴とする固液分離装置。
  2. 前記回転軸の軸方向が、水平方向に対して、1.8〜4.8°の角度をなして傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
  3. 前記回転軸の軸方向が水平方向に対してなす傾斜角度が、変更可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固液分離装置。
  4. 前記回転軸の回転速度が、20〜80rpmであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  5. 前記メッシュの線径が0.06〜0.50mmであり、前記メッシュの開き目が0.11〜0.77mmであることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  6. 前記回転バスケットの外周面において、隣接する前記側面同士の間の稜線の方向が、前記回転軸の軸方向に対して、1.0〜4.0°の角度をなして傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  7. 前記側面が、それぞれ前記回転バスケットの内側に向かって撓んでいることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  8. 前記メッシュを形成する縦糸と横糸のうち、いずれか一方の糸が走る方向が、前記回転軸の軸方向に対して、1.0〜4.0°の角度をなして傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  9. 前記側面上において、前記メッシュを形成する糸が走る方向が、変更可能であることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  10. 前記支承部の6本の前記腕のうち、最大角度をなして前記回転バスケットの後端側に向かって傾斜している腕が、前記回転軸に垂直な方向に対して、0.5〜4.5°の角度をなして傾斜しており、かつ、
    最大角度をなして前記回転バスケットの先端側に向かって傾斜している腕が、前記回転軸に垂直な方向に対して、0.5〜3.0°の角度をなして傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  11. 隣接する前記支承部同士において、一方の前記支承部の最大角度をなして前記回転バスケットの後端側に向かって傾斜する前記腕の先端が接続されている前記六角形断面の頂点と、他方の前記支承部の最大角度をなして前記回転バスケットの先端側に向かって傾斜する前記腕の先端が接続されている前記六角形断面の頂点と、が、前記回転バスケットの内周面の同一の谷線上に位置していることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  12. 前記ケーシングは、前記供給部側に位置する排水口と、前記排出部側に位置する排水口と、を有し、これらの排水口同士の間に、堰が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項11のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
  13. 前記ケーシングは、前記回転バスケットに向かって散水可能な散水部を有することを特徴とする請求項1から請求項12のうちのいずれかの請求項に記載の固液分離装置。
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