JP2010176571A - タッチパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】指先に対する反応を向上させた投影型静電容量方式のタッチパネルを実現する。
【解決手段】投影型静電容量方式のタッチパネル1は、平行に並べられた複数の上部電極7と、上部電極7と直行する方向に平行に並べられた複数の下部電極8とを備えている。下部電極8は、タッチパネル1のタッチ入力面から上部電極7よりも離れて配置されている。上部電極7は菱形が連鎖した形状であり、下部電極8は六角形が連鎖した形状である。この構成によれば、指先に対する下部電極8の反応が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、投影型静電容量方式のタッチパネルに関するものである。
タッチパネルには、すでに各種の方式が実用化されているが、近年、静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。静電容量方式タッチパネルでは、指先(導電体)がタッチ入力面に接触すると、指先と導電膜との間が静電容量結合し、コンデンサを形成する。このため、静電容量方式タッチパネルは、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることによって、その座標を検出している。
特に、投影型静電容量方式のタッチパネルは、指先の多点検出が可能なため、複雑な指示を行うことができるという良好な操作性を備える。その操作性の良さから、投影型静電容量方式のタッチパネルは、携帯電話や携帯型音楽プレーヤなどの小型の表示装置を有する機器における表示面上の入力装置として利用が進んでいる。
一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標を表現するために、複数のX電極と、当該X電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成している。このようなタッチパネルに指先がタッチすると、例えば、指先とX電極が静電容量結合してX軸座標が検出され、ほぼ同時に、指先とY電極が静電容量結合してY軸座標が検出される。これによって、投影型静電容量方式のタッチパネルは、指先がタッチした箇所の二次元座標を検出することができる。
また、投影型静電容量方式のタッチパネルにおける電極の形状には、タッチパネルを上から見たとき、多数の正方形が連続的に配された形状が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電極の形状を図7に示す。図7は、X電極101およびY電極102の形状を示す上面図である。図7に示すように、X電極101およびY電極102として配される正方形は等しい形状を有しており、X電極101およびY電極102は、タッチパネルを上から見たときの隙間が僅かであるように規則的に配置されている。
特表2006−511879号公報(2006年4月6日公表)
しかしながら、投影型静電容量方式のタッチパネルが、図7に示すような形状の電極を有する場合、以下のような問題が存在する。
まず、一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルのX電極およびY電極は、それぞれ支持体に形成され、接着剤を間に挟んで重ね合わせられることによって、二層構造を成している。ここで、例えば図7に示すように、Y電極がX電極よりも下側に配置されているとする。このようなタッチパネルでは、タッチ入力面に指先(導電体)が接触したとき、指先とY電極との間に、X電極、X電極の支持体、および接着剤が存在する。このため、Y電極は、これらの厚みを介して、指先との間にコンデンサを形成することになる。
投影型静電容量方式のタッチパネルにおいて、電極と指先との間に形成されるコンデンサの容量は、共有する面積に正比例し、電極と指先との距離に反比例する。このため、図7に示すように、一定区画におけるX電極の面積とY電極の面積とが等しいとき、Y電極と指先との間に形成されるコンデンサの容量は、指先からY電極までの距離の分だけ、X電極よりも小さくなってしまう。
さらに、Y電極と指先との間に形成されるコンデンサは、間にX電極を挟んでいるため、電荷の一部がX電極に移動してしまい、コンデンサとしての静電容量値が小さくなってしまう。
したがって、投影型静電容量方式タッチパネルでは、二層構造を形成するX電極およびY電極に等しい電圧が加えられているとき、下層に配置される電極は、上層に配置される電極よりも指先に対する反応が悪くなってしまう。
また、投影型静電容量方式タッチパネルでは、近接する電極と電極との間においても微弱なコンデンサが形成される(干渉効果)。特に、上層の電極と下層の電極との間よりも、同じ平面内で隣り合う電極同士(X電極同士、Y電極同士)の間で干渉効果が大きく、余分な電荷の移動が生じてしまう。これによって、指先がタッチ入力面に接触したときの電荷の変化量が相対的に少なくなり、タッチパネルの座標検出の精度が低下してしまう。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二層構造の電極における指先に対する反応を適正に確保し、さらには座標検出の精度を向上させることができる投影型静電容量方式のタッチパネルを実現することにある。
本発明に係る投影型静電容量方式のタッチパネルは、上記課題を解決するために、投影型静電容量方式のタッチパネルであって、上記タッチパネルのタッチ入力面から一定の距離を隔てた第1の平面に、複数の帯状電極が平行に並べられた第1電極群と、上記タッチ入力面から上記第1の平面よりも距離を隔てた第2の平面に、複数の帯状電極が上記第1電極群と直交する方向に平行に並べられた第2電極群とを備えており、上記第1電極群および上記第2電極群の上記タッチ入力面に対向する面において、上記第2電極群の面積は、上記第1電極群の面積よりも大きいことを特徴としている。
上記構成におけるタッチ入力面とは、指先(導電体)が情報を入力するために接触するタッチパネルの面である。本発明では、例えば、第1電極群を支持する支持板の外側面をタッチ入力面として利用することが出来る。また、第1電極群の帯状電極の各々を第1電極と称し、第2電極群の帯状電極の各々を第2電極と称する。
一般に、指先がタッチ入力面に接触したとき、電極と指先との間に形成されるコンデンサの容量は、当該電極と指先とが共有する面積に正比例し、上記電極と指先との距離に反比例する。
上記構成によれば、タッチ入力面と第2電極群との距離は、タッチ入力面と第1電極群との距離よりも長い。また、第1電極群および第2電極群の上記タッチ入力面に対向する面において、第2電極群の面積は第1電極群の面積よりも大きい。このため、本発明におけるタッチパネルのタッチ入力面に指先が接触したとき、指先に近接する第2電極と指先との間に形成されるコンデンサの容量は従来のものよりも大きくなる。
したがって、第1電極群および第2電極群に対して等しい電圧が加えられているときであっても、指先が上記タッチ入力面に接触したとき、指先に近接する第1電極および第2電極のそれぞれによって望ましい反応を得ることができ、指先の接触した座標を精度よく検出することができる。
また、上記タッチパネルにおいて、上記第1電極群と上記第2電極群との上記面積の和に対して、上記第2電極群の上記面積は50%より大きく、70%以下であることが好ましい。
上記構成によれば、指先が上記タッチ入力面に接触したとき、第2電極と指先とが共有する面積を十分に確保することができる。よって、第1電極および第2電極のそれぞれによる望ましい反応を適切に得ることができる。
また、上記タッチパネルにおいて、上記第1電極群の上記帯状電極および上記第2電極群の上記帯状電極の各々は、当該帯状電極の長手方向に沿って一定の周期で異なる幅を有しており、上記第1電極群の隣り合う上記帯状電極の間の最短距離と、当該帯状電極の最大の幅との比は、3:2以上、4.5:0.5以下であることが好ましい。
上記構成によれば、タッチ入力面に指先が接触したとき、第2電極と指先とが共有する面積を確保するように、第1電極群および第2電極群の望ましい面積比を首尾よく実現することができる。
また、上記構成によれば、第1電極群について隣り合う第1電極間の距離を十分に確保することができるため、隣り合う第1電極間における干渉効果を抑えることができる。よって、指先が接触した座標をより精度よく検出することができる。
また、上記タッチパネルにおいて、上記第1電極群の上記帯状電極は、複数の菱形が連続して配され、かつ、当該菱形の対向する2つの角が一列に並べられた構成であり、上記第2電極群の上記帯状電極は、複数の六角形が連続して配され、かつ、当該六角形の対向する2つの角が一列に並べられた構成であることが好ましい。
上記構成によれば、第1電極群と第2電極群との上記面積比を実現しつつ、かつ、タッチパネルをタッチ面の正面から見たときに、第1電極群および第2電極群が、余分な隙間を有さず当該タッチ面を覆うように規則正しく配置される。よって、第1電極群および第2電極群をタッチ入力面に対して効率よく配置することができる。
さらに、上記構成によれば、隣接する第1電極同士の間の距離を干渉効果が抑えられる程度に長くすることを、首尾よく実現できる。
また、上記タッチパネルにおいて、上記第1電極群と上記第2電極群とは、接着層を介して貼り合わされており、上記第1電極群および上記第2電極群の誘電率をε1とし、上記タッチ入力面から上記第1の平面までの距離をlとし、上記第1の平面から上記第2の平面までの距離をmとし、上記第1電極群と上記第2電極群との間に存在する上記接着層の誘電率をε2とし、上記第1電極群の上記面積をS1とし、上記第2電極群の上記面積をS2とするとき、次の式(1);
S1:S2=l:m×ε1/ε2+l・・・(式1)
が成立することが好ましい。
上記構成によれば、第1電極群、第2電極群、および、それらの間に存在する接着層について、誘電率とタッチ入力面からの距離とを考慮した上で、指先が上記タッチ入力面に接触したとき、第2電極と指先とが共有するのに望ましい面積を十分に確保することができる。よって、第1電極および第2電極のそれぞれによる望ましい反応をより適切に得ることができる。
また、上記タッチパネルにおいて、上記第1電極群の上記帯状電極は、上記タッチ入力面の使用方向に対して直交する方向に伸びるように配置されており、上記第2電極群の上記帯状電極は、上記タッチ入力面の使用方向に平行な方向に伸びるように配置されていることが好ましい。
タッチパネルのタッチ入力面に対向する面において、第2電極群の面積を第1電極群の面積よりも大きくした場合、そのままでは、タッチ入力面に指先が接触したときの、第1電極と指先との近接機会が相対的に減少してしまう。
そこで、上記構成では、使用者がタッチパネルに正対したとき、第1電極の形状が使用者に対して横方向に伸びるように配置にされている。使用者がタッチパネルに接触する時、使用者の指先がタッチ面に触れる形状は、通常、縦長の楕円形である。このため、使用者に対して縦方向に伸びる電極よりも横方向に伸びる電極の方が、指先との近接機会が高くなる。したがって、上記構成によれば、第1電極と指先との近接機会が減少する傾向を軽減することができる。
なお、使用方向に対して「直交」および「平行」とは、完全に直交することまたは完全に平行であることに限られず、実質的に同様の作用効果を得られるものであればよい。
本発明に係るタッチパネルは、以上のように、第1電極と、当該第1電極の面積よりも面積の大きい第2電極とを有しているので、第1電極および第2電極における指先に対する反応を適正に確保した投影型静電容量方式のタッチパネルを実現することができる。
本発明の一実施形態に係るタッチパネルの上部電極および下部電極を示す図である。 上部電極および下部電極の形状を説明する模式図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルを示す上面図であり、(b)はその側面図である。 (a)(b)は、実施例2による信号強度を示すグラフである。 (a)(b)は、実施例3による信号強度を示すグラフである。 (a)(b)は、比較例2による信号強度を示すグラフである。 従来の上部電極および下部電極の形状を説明する模式図である。
本発明の一実施形態について図1から図5に基づいて説明すると、以下の通りである。
図3(a)は、本発明の一実施の形態に係るタッチパネル1の構成を示す上面図であり、図3(b)は、その断面図である。
タッチパネル1は投影型静電容量方式のタッチパネルである。図3(b)に示すように、タッチパネル1は、対向して配される2枚の透明な支持板2,3を有している。支持板2,3には、後述にて説明する電極がそれぞれ形成されており、支持板2,3は、上記電極の形成された面を内側にして、接着剤4によって張り合わされている。支持板2,3には、比較的誘導率の高い透明な材料が用いられることが好ましく、例えば、ガラスやポリカーボネート等の板状や、PET(polyethylene terephthalate)等のフィルム状の材料からなる。接着剤4には、支持板2,3の半分程度の誘電率を有する透明な材料が用いられることが好ましい。
本実施形態では、支持板2の外側の面がタッチパネル1のタッチ入力面として機能する。このため、本明細書では、以下、支持板2側をタッチパネル1の上方とし、支持板3側をその下方として説明する。
支持板2,3の内側の面には、それぞれ電極が形成されている。具体的には、支持板2の内側の面には、複数の上部電極(第1電極)7が互いに平行に並べられ、同一方向へ伸びるように形成されている。一方、支持板3の内側の面には、複数の下部電極(第2電極)8が、互いに平行に並べられ、上部電極7と直交する方向に伸びるように形成されている。上部電極7および下部電極8は二層構造となっており、上部電極7はタッチパネル1のタッチ入力面に近い側の電極であり、下部電極8は上記タッチ入力面から上部電極7よりも遠い側の電極である。上部電極7にはテール部5が接続されており、一方、下部電極8にはテール部6が接続されている。テール部5,6は制御回路や電極等(図示しない)に接続されている。
上部電極7および下部電極8の材料としては、ITO等の透明な材料を用いればよい。
本実施形態では、タッチパネル1のタッチ入力面をX軸Y軸の座標で表しており、上部電極7がX軸方向に、下部電極8がY軸方向に伸びている。タッチパネル1では、タッチ入力面に導電体(例えば指先)がタッチすると、上部電極7によってX軸の座標が検出され、下部電極8によってY軸の座標が検出される。なお、このX軸およびY軸はそれぞれ逆であってもよい。
なお、複数の上部電極7と複数の下部電極8とは、上記の構成以外に、1枚の支持板の両面にそれぞれ形成されていてもよい。この構成では、支持板の電極が形成される面がハードコート等によって保護されていればよい。
続いて、上部電極7および下部電極8の形状について、図1および図2を参照して説明する。図1は、タッチパネル1を上方から見たときの、上部電極7および下部電極8の形状を部分的に示す図であり、図2はその拡大図である。
図1に示すように、上部電極7は、その長手方向(X軸方向)に、菱形の対向する2つの角が並ぶように、多数の菱形が配された構成をなしている。一方、下部電極8は、その長手方向(Y軸方向)に、六角形の対向する2つの角が並ぶように、多数の六角形が配された構成をなしている。言い換えると、上部電極7および下部電極8の各々は、一定の面積を有する電極断片が一列に連なった形状をしており、上部電極7の電極断片が菱形であり、下部電極8の電極断片が六角形である。以下、簡単に「菱形」および「六角形」と記載するが、これは特に断りがない限り、上部電極7または下部電極8の内の1つの電極断片を示すものとする。
タッチパネル1を上方から見ると、上部電極7および下部電極8は、電極間に僅かな隙間をおいて、タッチパネル1のタッチ入力面を覆うように配されている。具体的には、複数の上部電極7は、隣接する2つの上部電極7の間に形成される領域に、下部電極8の六角形が位置するように配されている。一方、複数の下部電極8は、隣接する下部電極8の六角形同士の間に僅かな隙間をおくように配されており、隣接する2つの下部電極8の間に形成される領域には上部電極7の菱形が位置している。上部電極7の菱形同士の接続部分と、下部電極8の六角形同士の接続部分とは、タッチパネル1を上方から見るときに重なって見える。
上部電極7を菱形の連鎖として構成し、かつ下部電極8を六角形の連鎖として構成することによって、上部電極7および下部電極8が規則正しくタッチパネル1のタッチ入力面を覆うように配される。
次に、上部電極7および下部電極8の面積比について図2を参照して説明する。なお、本実施形態では、上部電極7の菱形と下部電極8の六角形との面積比について説明しているが、この面積比は、タッチパネル1における全体的な上部電極7と下部電極8との面積比についても同様である。
上部電極7の菱形および下部電極8の六角形の大きさとしては、下部電極8の六角形の面積が上部電極7の菱形の面積より大きくなればよい。本実施形態では、上部電極7の菱形の面積と下部電極8の六角形の面積との和に対して、下部電極8の六角形の面積が50%よりも大きく、かつ70%以下になるように設定することが好ましい。
さらに詳細に説明するために、上部電極7および下部電極8のパターンの最小単位である区画Aを図2に示す。図2において、区画AのY軸方向の長さをaとし、上部電極7の最大の幅をbとする。このとき、上部電極7の菱形と下部電極8の六角形との面積比は、a、bを用いて計算することができる。すなわち、下部電極8の六角形/上部電極7の菱形=(b/a)×100/200となる。
本実施形態において、上部電極7と下部電極8との好ましい面積比を実現するためには、aとbとの比は、5:2以上、5:0.5以下であることが好ましい。なお、この比によれば、隣り合う上部電極8間の最短距離と上部電極8の最大の幅との比は、3:2以上、4.5:0.5以下となる。
上述した面積比によれば、指先がタッチパネル1のタッチ入力面に接触するとき、下部電極8と指先との間で形成されるコンデンサの容量を十分な大きさにすることができる。したがって、上部電極7と下部電極8とに加えられる電圧が等しいものであっても、それぞれの電極における指先に対する反応を適正な値とすることができる。
上部電極7および下部電極8のパターンについて、その菱形および六角形の1つ1つは、タッチパネル1に接触する導電体(例えば指先)のタッチ面積に対して、十分に小さいことが好ましい。これによって、例えば指先がタッチパネル1に接触した時、指先は上部電極7および下部電極8の両方に同時に近接するため、タッチパネル1は接触箇所の2次元的な座標を検出することができる。例えば、区画AのX軸に平行な一辺の長さcは2.0〜9.5mm、区画AのY軸に平行な一辺の長さaは同様に2.0〜9.5mmとすることができる。
また、隣り合う電極同士間の距離については、上部電極7間の最短距離dを0.6〜2.0mmとし、下部電極8間の最短距離dを0.3〜0.6mmとすることが好ましい。これによって、特に上部電極7について、隣り合う上部電極7間の距離が従来よりも長くなるため、隣り合う上部電極7間の干渉効果が防止される。
次に、上部電極7の菱形と下部電極8の六角形とのさらに好ましい面積比について説明する。
本発明によれば、上部電極7、下部電極8、および接着剤4についての誘電率、ならびに、タッチパネル1のタッチ入力面から上部電極7および下部電極8の各々までの距離を考慮した上で、上部電極7の菱形と下部電極8の六角形との面積比を設定することができる。
ここで、上部電極7および下部電極8の誘電率をε1とし、タッチパネル1のタッチ入力面から上部電極7までの距離をlとし、上部電極7から下部電極8までの距離をmとし、接着剤4の誘電率をε2とする。このとき、上部電極7の菱形の面積S1と、下部電極8の六角形の面積S2との面積比は、以下の式1によって表されるように設定されることが好ましい。
S1 : S2 = l : m × ε1/ε2 + l・・・(式1)
式1によれば、各タッチパネルの条件に合わせた好ましい面積比を実現することが容易にできる。例えば、本実施形態のタッチパネル1において、上部電極7および下部電極8の誘電率ε1が7であり、接着剤4の誘電率ε2が3であるとする。また、タッチパネル1のタッチ入力面から上部電極7までの距離lを0.7mmとし、上部電極7から下部電極8までの距離mを0.15mmとする。このとき、S1:S2は以下の式2によって表される。
S1 : S2 =0.7:0.15×7/3+0.7
=4:6 ・・・(式2)
したがって、タッチパネル1では、下部電極8の面積が、上部電極7と下部電極8とを合わせた全体の面積の60%であることがより好ましい。
次に、上部電極7および下部電極8の伸びる方向について説明する。例えば、タッチパネル1に対してユーザーが正対したとき、人間の指先がタッチ入力面に触れる接触部は縦長の楕円形である。このため、ユーザーに対して横方向に伸びる電極の方が、縦方向に伸びる電極よりも指先との近接機会が高い。
よって、本実施形態では、タッチパネル1にタッチする導電体として人間の指先が想定されるとき、上部電極7は、ユーザーに対して横方向に伸びるように配置され、下部電極8は、ユーザーに対して縦方向に伸びるように配置されることが好ましい。なお、ユーザーに対して横方向とは、図1におけるX軸(タッチパネル使用方向に対して直交する方向)であり、ユーザーに対して縦方向とは図1におけるY軸(タッチパネル使用方向に対して平行な方向)である。上記構成によれば、上部電極7が下部電極8よりも面積が小さいことに起因して上部電極7と指先との近接機会が減少することを、軽減することができる。
また、このとき、上部電極7の菱形は、そのX軸方向の対角線がY軸方向の対角線よりも長いことが好ましい。これによって、上部電極7と指先との近接機会が減少することを、より軽減することができる。
なお、本実施形態において、タッチパネル1における上部電極7および下部電極8は、菱形または六角形が連なる構造を有しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、上部電極7および下部電極8の各々の連鎖する電極断片について、その1つの面積を比較したとき、下部電極8の面積が、上部電極7の面積よりも大きければ、本実施形態とは異なる形状であってもよい。例えば、上部電極7の菱形は、平行四辺形や正方形であってもよく、下部電極8の六角形は正六角形以外の変形した六角形であってもよい。
本発明の実施例1と従来の構成を有する比較例1とを用いて、タッチパネルに導電体が接触したときの電荷の変化を比較した。
本発明の実施例1として、本実施形態に記載のように、菱形が連鎖した上部電極と正六角形が連鎖した下部電極とが形成されたタッチパネルを用いた。実施例における上部電極および下部電極の寸法については以下の通りである。
上部電極について、最長の幅(菱形の対角線)を5.29mmとした。菱形同士の接続部の幅を0.7mmとした。隣り合う上部電極7間の距離を0.3mmとした。一方、下部電極について、最長の幅を8.58mmとした。六角形同士の接続部の幅を0.7mmとし、長さを1.35mmとした。隣り合う下部電極8間の距離を3.38mmとした。実施例における上部電極と下部電極の面積比は、上部電極の面積/下部電極の面積=30.5%となった。また、上部電極と下部電極との間の距離は、0.2mm〜0.3mmとした。
比較例1として、上部電極および下部電極ともに同様の四角形が連鎖している従来のタッチパネルを用いた。電極の長さ方向に平行である四角形の対角線は8.67mmとし、電極の幅方向に略平行である四角形の対角線は8.58mmとした。四角形同士の接続部は縦横共に0.7mmとした。隣り合う上部電極間の距離は0.2mmとし、隣り合う上部電極間の距離も同様に0.2mmとした。比較例における上部電極と下部電極の面積比は、上部電極の面積/下部電極の面積=100%となった。電極の形状以外の条件については、実施例1と同様とした。
その結果、実施例1のタッチパネルでは、上部電極および下部電極の両者ともから、比較例1よりも大きな電荷の変化を検出することができた。
〔接触ポイント毎の比較〕
次に、本発明の実施例2、3と比較例2とを用いて、タッチパネルにおける異なる位置に導電体が接触したときの電荷の変化を比較した。
実施例2、3としては、それぞれ、本実施形態に記載のように、菱形が連鎖した上部電極(Y)と正六角形が連鎖した下部電極(X)とが形成されたタッチパネルを用いた。そのうち、実施例2では、上部電極(Y)と下部電極(X)との面積比を3:7とした。一方、実施例3では、上部電極(Y)と下部電極(X)との面積比を4:6とした。
比較例2としては、上部電極(Y)および下部電極(X)ともに同様の四角形が連鎖した従来のタッチパネルを用いた。比較例2の上部電極(Y)と下部電極(X)との面積比は1:1であった。電極の形状以外の条件は、実施例2および実施例と同様にした。
全てのタッチパネルについて、タッチ入力面を導電体で1回押す毎に、隣り合う2本の電極(X13〜14軸、またはY13〜14軸)からそれぞれ反応を得られるよう設計した。また、タッチパネル毎に異なる特性をできるだけ同じにして測定条件を揃えるために、基準値およびRb抵抗などのパラメータを調節した。
ここで、実施例2、実施例3、および比較例2の各タッチパネルを、9つの交点ができるように縦横それぞれ等間隔で分割し、これらの交点をポイント1〜9として順番に押した。押す順番としては、テール部(回路接続部)に近いポイントから遠いポイントに向かう順番とした。なお、一般に、タッチパネルでは、回路接続部に近い方が反応は強く、回路接続部から遠い方が反応は弱い。
実施例2、実施例3、および比較例2における信号強度の結果を、それぞれ、図4〜6に示している。図4(a)は実施例2の上部電極(Y)による信号強度を示すグラフであり、図4(b)はその下部電極(X)による信号強度を示すグラフである。図5(a)は実施例3の上部電極(Y)による信号強度を示すグラフであり、図5(b)はその下部電極(X)による信号強度を示すグラフである。図6(a)は比較例2の上部電極(Y)による信号強度を示すグラフであり、図6(b)はその下部電極(X)による信号強度を示すグラフである。
図4〜6において、Y軸は「カウンター(Counter)」であり、静電容量の強さ(信号強度)を相対的に表している。X軸は時間軸である。各グラフでは、1群のピーク中に9つのピークが存在し、この9つのピークは、ポイント1〜9を順に押したときの信号の強さに対応する。また、各グラフでは、隣り合う2本の電極(X13〜14軸、またはY13〜14軸)から得られた信号強さをそれぞれ示している。
これらのグラフを比較すると、比較例2では、上部電極(Y)の信号強度(図6(a)参照)に比べて、下部電極(X)の信号強度(図6(b)参照)が極端に弱くなった。これに対して、実施例2および実施例3では、下部電極(X)の信号強度(図4(b)および図5(b)参照)の信号強度が強く示され、下部電極(X)の信号強度(図4(a)および図5(a)参照)と同等のバランスを保っていることが分かった。
さらに、詳細に比較するために、各グラフにおいて、大きな信号を得られた方の電極による信号強さについて、表1にまとめた。
Figure 2010176571
なお、表1では、タッチパネルを押したときに生じるカウントの増加分を計測器で計算して出された値を示している。
表1に示す各ポイントにおける下部電極(X)と上部電極(Y)との信号強度の差について比較した。その結果、実施例2、3は、いずれのポイントにおいても、下部電極(X)と上部電極(Y)との信号強度の差が比較例2よりも少ないことが分かった。特に、表1のポイント4では、比較例2における信号強度の差は33であるが、実施例2では16であり、実施例3では0である。
また、下部電極(X)の信号強度について、実施例2、3と比較例2とを比較すると、実施例2、3の方が数10程度の高くなる違いを有しているが、これは、実際にタッチパネルを使用した際、体感できる程の違いである。
したがって、実施例2および実施例3では、下部電極(X)と上部電極(Y)と信号強度のバランスがよく、感度のよいタッチパネルが実現されていることが分かる。
本発明のタッチパネルは、投影型静電容量方式のタッチパネルとして好適に利用できる。
1 タッチパネル
2、3 支持板
4 接着剤
5、6 テール部
7 上部電極(第1電極)
8 下部電極(第2電極)

Claims (6)

  1. 投影型静電容量方式のタッチパネルであって、
    上記タッチパネルのタッチ入力面から一定の距離を隔てた第1の平面に、複数の帯状電極が平行に並べられた第1電極群と、
    上記タッチ入力面から上記第1の平面よりも距離を隔てた第2の平面に、複数の帯状電極が上記第1電極群と直交する方向に平行に並べられた第2電極群とを備えており、
    上記第1電極群および上記第2電極群の上記タッチ入力面に対向する面において、上記第2電極群の面積は、上記第1電極群の面積よりも大きいことを特徴とするタッチパネル。
  2. 上記第1電極群と上記第2電極群との上記面積の和に対して、上記第2電極群の上記面積は50%より大きく、70%以下であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
  3. 上記第1電極群の上記帯状電極および上記第2電極群の上記帯状電極の各々は、当該帯状電極の長手方向に沿って一定の周期で異なる幅を有しており、
    上記第1電極群の隣り合う上記帯状電極の間の最短距離と、当該帯状電極の最大の幅との比は、3:2以上、4.5:0.5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
  4. 上記第1電極群の上記帯状電極は、複数の菱形が連続して配され、かつ、当該菱形の対向する2つの角が一列に並べられた構成であり、
    上記第2電極群の上記帯状電極は、複数の六角形が連続して配され、かつ、当該六角形の対向する2つの角が一列に並べられた構成であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のタッチパネル。
  5. 上記第1電極群と上記第2電極群とは、接着層を介して貼り合わされており、
    上記第1電極群および上記第2電極群の誘電率をε1し、
    上記タッチ入力面から上記第1の平面までの距離をlとし、
    上記第1の平面から上記第2の平面までの距離をmとし、
    上記第1電極群と第2電極群の間に存在する上記接着層の誘電率をε2とし、
    上記第1電極群の上記面積をS1とし、
    上記第2電極群の上記面積をS2とするとき、次の式(1);
    S1:S2=l:m×ε1/ε2+l・・・(式1)
    が成立することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のタッチパネル。
  6. 上記第1電極群の上記帯状電極は、上記タッチ入力面の使用方向に対して直交する方向に伸びるように配置されており、
    上記第2電極群の上記帯状電極は、上記タッチ入力面の使用方向に平行な方向に伸びるように配置されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のタッチパネル。
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