JP2010175824A - 液晶表示素子、液晶表示装置およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作上の信頼性を確保することが可能な液晶表示素子を提供する。
【解決手段】TFT基板20とCF基板30との間に液晶層40が封止されている。液晶層40には、TFT基板20を覆う配向膜22の表面に設けられた高分子化合物42Aによって保持される液晶分子41Aと、CF基板30を覆う配向膜32の表面に設けられた高分子化合物42Bによって保持される液晶分子41Bと、液晶層40の厚み方向における中間領域に位置する液晶分子41Cとが含まれている。高分子化合物42A,42Bは、液晶分子41を含有する液晶とは符号が異なる誘電率異方性を有する重合性化合物を重合して生成される。液晶層40中に未反応の重合性化合物が残留し、駆動中に残留した重合性化合物が重合反応しても、その際生成される高分子化合物による液晶分子41A,41Bのプレチルトは変動しにくくなる。
【選択図】図1
【解決手段】TFT基板20とCF基板30との間に液晶層40が封止されている。液晶層40には、TFT基板20を覆う配向膜22の表面に設けられた高分子化合物42Aによって保持される液晶分子41Aと、CF基板30を覆う配向膜32の表面に設けられた高分子化合物42Bによって保持される液晶分子41Bと、液晶層40の厚み方向における中間領域に位置する液晶分子41Cとが含まれている。高分子化合物42A,42Bは、液晶分子41を含有する液晶とは符号が異なる誘電率異方性を有する重合性化合物を重合して生成される。液晶層40中に未反応の重合性化合物が残留し、駆動中に残留した重合性化合物が重合反応しても、その際生成される高分子化合物による液晶分子41A,41Bのプレチルトは変動しにくくなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、一対の基板の間に液晶層が封止された液晶表示素子およびそれを備えた液晶表示装置、ならびにそれらの製造方法に関する。
近年、液晶テレビやノート型パソコン、カーナビゲーション等の表示モニタとして、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)が多く用いられている。この液晶ディスプレイは、液晶層中に含まれる液晶分子の分子配列(配向)によって様々な表示モード(方式)に分類される。この表示モードとしては、例えば、電圧をかけない状態で、液晶分子がねじれて配向しているTN(Twisted Nematic;ねじれネマティック)モードがよく知られている。TNモードでは、液晶分子が正の誘電率異方性、すなわち液晶分子の長軸方向の誘電率が短軸方向に比べて大きい性質を有している。このため、液晶分子は、基板面に対して平行な面内において、その配向方位を順次回転させつつ、基板面に垂直な方向に整列させた構造となっている。
この一方で、電圧をかけない状態で、液晶分子が基板面に対して垂直に配向しているVA(Vertical Alignment)モードに対する注目が高まっている。このVAモードでは、液晶分子が負の誘電率異方性、すなわち液晶分子の長軸方向の誘電率が短軸方向に比べて小さい性質を有しており、TNモードに比べて広視野角を実現できる。
このようなVAモードの液晶ディスプレイでは、電圧が印加されると、基板に垂直に配向していた液晶分子が、負の誘電率異方性により、基板に対して平行な方向に倒れる(起き上がる)ように応答することによって、光を透過させる構成となっている。ところが、基板に対して垂直方向に配向した液晶分子の倒れる方向は任意であるため、電圧印加により液晶分子の配向が乱れ、電圧に対する応答特性を悪化させる要因となっていた。
このため、VAモードでは、電圧に応答して倒れる方向を規制する、いわゆるプレチルトを付与する技術が検討されている。具体的には、以下の技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。すなわち、液晶分子と共に、液晶性を有する光重合性の単官能性あるいは多官能性のモノマーを混合した液晶層を基板間に封止し、そのモノマーを光重合させて基板の対向面側に所定の構造を有するポリマーを形成してプレチルトを付与する。このような構成により、電圧印加時の液晶分子の倒れる方向を予め定めておくことができ、電圧に対する応答特性が向上する。
しかしながら、上記した特許文献1〜3の技術では、ポリマー形成後に液晶層中に未反応のモノマーが残留しやすく、これにより応答性の低下や焼き付きなどが生じ、動作上の信頼性が低下しやすいという問題がある。具体的には、液晶層中の残留モノマーが駆動時において重合反応することにより、新たに生成されたポリマーが液晶分子のプレチルトを変動させるおそれがある。この液晶分子のプレチルトの変動が焼き付きとして視認されたり、応答性の低下を生じさせたりする。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、動作上の信頼性を確保することが可能な液晶表示素子、液晶表示装置およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明の液晶表示素子は、対向配置された一対の基板と、一対の基板の間に設けられた液晶層とを備え、液晶層は、液晶分子を含有する液晶と、液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成された高分子化合物とを含むものである。また、本発明の液晶表示装置は、上記と同様の液晶表示素子を備えている。「誘電率異方性」とは、分子の長軸方向の誘電率(ε1)と分子の単軸方向の誘電率(ε2)との差、すなわち、誘電率異方性Δε=ε1−ε2で求められるものをいう。「液晶の誘電率異方性」とは、誘電率異方性を有する液晶分子を含有する液晶全体としての誘電率異方性のことをいう。
本発明の液晶表示素子の製造方法は、一対の対向配置させた基板の間に、液晶分子を含有する液晶と、液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物とを含む液晶層を形成する工程と、液晶層中の重合性化合物を重合させて高分子化合物を生成する工程とを含むものである。また、本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記した製造方法と同様の方法を用いている。
本発明の液晶表示素子、液晶表示装置およびそれらの製造方法では、液晶層中の高分子化合物がその近傍の液晶分子の配向を規制する。この高分子化合物は、液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成されたものである。このため、液晶層中に未反応の重合性化合物が残留したとしても、残留した重合性化合物は、その長軸方向が液晶分子の長軸方向とは異なる姿勢をとろうとする。これにより、駆動中に残留した重合性化合物が重合反応したとしても、その重合性化合物が駆動電圧に応じた液晶分子の配向とは異なる配向をとろうとしながら、高分子化合物が生成されるため、初期に高分子化合物が規制する液晶分子の配向は、変動しにくくなる。よって、液晶分子の配向が変動することによって生じる応答性の低下や焼き付きが生じにくくなる。
本発明の液晶表示素子、液晶表示装置、またはそれらの製造方法によれば、液晶層が高分子化合物を含み、この高分子化合物が液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成されたものとした。これにより、液晶層が、誘電率異方性をもたない重合性化合物、あるいは液晶と同じ符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成された高分子化合物を含む場合と比較して、動作上の信頼性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.液晶表示素子(VAモードの例)
2.液晶表示装置(VAモードの例)
3.変形例(正の誘電率異方性を有する液晶を用いた液晶表示素子の例)
1.液晶表示素子(VAモードの例)
2.液晶表示装置(VAモードの例)
3.変形例(正の誘電率異方性を有する液晶を用いた液晶表示素子の例)
[1.液晶表示素子(VAモードの例)]
図1は、本発明の一実施の形態に係る液晶表示素子の断面構成を模式的に表している。この液晶表示素子は、複数の画素10(10A,10B,10C・・・)を有している。また、この液晶表示素子は、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板20とCF(Color Filter;カラーフィルタ)基板30との間に、配向膜22,32を介して液晶分子41を含む液晶層40が設けられたものである。この液晶表示素子はいわゆる透過型であり、その表示モードは垂直配向(VA)モードである。図1では、駆動電圧が印加されていない非駆動状態を表している。
図1は、本発明の一実施の形態に係る液晶表示素子の断面構成を模式的に表している。この液晶表示素子は、複数の画素10(10A,10B,10C・・・)を有している。また、この液晶表示素子は、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板20とCF(Color Filter;カラーフィルタ)基板30との間に、配向膜22,32を介して液晶分子41を含む液晶層40が設けられたものである。この液晶表示素子はいわゆる透過型であり、その表示モードは垂直配向(VA)モードである。図1では、駆動電圧が印加されていない非駆動状態を表している。
TFT基板20は、ガラス基板20AのCF基板30と対向する側の表面に、例えば、マトリクス状に複数の画素電極20Bが配置されたものである。さらに、複数の画素電極20Bを、それぞれ駆動する半導体素子であるゲート・ソース・ドレイン等を備えたTFTスイッチング素子や、これらTFTスイッチング素子に接続されるゲート線およびソース線等(図示せず)が設けられて構成されている。画素電極20Bは、ガラス基板20A上で画素分離部50によって電気的に分離された画素ごとに設けられ、例えばITO(インジウム錫酸化物)等の透明性を有する材料により構成されている。画素電極20Bには、各画素内で、例えば、ストライプ状やV字状のパターンを有するスリット部21(電極の形成されない部分)が設けられている。
CF基板30は、ガラス基板30AのTFT基板20と対向する側の表面に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のフィルタがストライプ状に設けられたカラーフィルタ(図示せず)と、有効表示領域のほぼ全面に亘って対向電極30Bとが配置されたものである。対向電極30Bは、画素電極20Bと同様に、例えばITO等の透明性を有する材料により構成されている。なお、各画素内で、上記画素電極20Bと同様のパターンで、スリット部31が設けられている。この場合、画素電極20Bおよび対向電極30Bのスリット部21,31は、基板間で対向しないように配置される。これにより、駆動電圧が印加されると、液晶分子の長軸に対して斜めの電場が付与されることで、電圧に対する応答速度が向上すると共に、画素内に配向方向の異なる領域が形成(配向分割)されるため、視野角特性が向上する。
配向膜22は、TFT基板20の上に、画素電極20Bおよびスリット部21を覆うように設けられている。配向膜32は、CF基板30の上に、対向電極30Aならびにスリット部31を覆うように設けられている。配向膜22,32は、液晶分子41を基板面に対して垂直方向に配向させる垂直配向膜であり、例えば、ポリイミドやポリシロキサンなどを含んで構成されている。
液晶層40は、液晶分子41(41A,41B,41C)を含んで構成された液晶と、高分子化合物42(42A,42B)とを含む液晶材料により構成されている。液晶分子41は、負の誘電率異方性を有するものであり、例えば、互いに直交する長軸および短軸をそれぞれ中心軸として回転対称な形状となっている。ここでは、この液晶分子41を含有する液晶も負の誘電率異方性を有している。
高分子化合物42は、その近傍の液晶分子41の配向を規制するものであり、配向膜22,32のうちの少なくとも一方の近傍に存在することが好ましく、配向膜22,32のうちの少なくとも一方の表面に、固定あるいは固着するように設けられているのが好ましい。ここでは、高分子化合物42は、配向膜22,32の表面に設けられている。
高分子化合物42は、液晶とは符号が異なる誘電率異方性を有する重合性化合物のうちの1種あるいは2種以上が重合して生成されたものである。すなわち、ここでは、高分子化合物42は、正の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成されたものであり、その重合性化合物の構造を繰り返し単位の少なくとも1つとして含むポリマーである。これにより、液晶層40中に未反応の重合性化合物が残留し、駆動中に残留した重合性化合物が重合反応したとしても、応答性の低下や焼き付きが生じにくくなるため、動作上の信頼性が確保される。
高分子化合物42を生成する重合性化合物は、液晶とは符号が異なる誘電率異方性(正)を有すると共に、熱重合性あるいは光重合性などの重合性を有していれば任意であり、いわゆるモノマーや、オリゴマーや、ポリマーであってもよい。この重合性化合物は、誘電率異方性を有することから、例えば、互いに直交する長軸および短軸をそれぞれ中心軸として回転対称な形状となっている。よって、重合性化合物は、正の誘電率異方性を有しているため、長軸方向の誘電率のほうが短軸方向の誘電率よりも大きくなっている。重合性化合物の誘電率異方性の値は、以下の理由により、液晶の誘電率異方性の値に応じて設定されるのが好ましい。重合性化合物の誘電率異方性の値と液晶の誘電率異方性の値との差が大きすぎると、後述する高分子化合物42を形成する際にその近傍の液晶分子41に対して配向を規制しにくくなるからである。その一方で、重合性化合物の誘電率異方性の値と液晶の誘電率異方性の値との差が小さすぎると、未反応の重合性化合物が液晶層40中に残留した場合に、応答性の低下や焼き付きが生じるおそれがあるからである。
重合性化合物は、構成元素としてフッ素を2つ以上有しているものが好ましい。フッ素を構成元素として含んでいると分子の極性が高まり、フッ素を2つ以上有していると十分な誘電率異方性が確保されるからである。また、重合性化合物は、ベンゼン環を有しているのが好ましい。液晶分子は、通常、ベンゼン環などの環状構造を有しているため、重合性化合物がベンゼン環を有することにより、液晶との相溶性が向上し、高分子化合物42がTFT基板20およびCF基板30の面内方向においてより均一に形成されるからである。さらに、重合性化合物は、多官能であるのが好ましい。これにより、単官能の重合性化合物よりも、重合反応性が高く、3次元的な結合を有する網目構造の高分子化合物42を形成することが可能になる。よって、液晶層40中における未反応の重合性化合物の残留量が低減されると共に、近傍の液晶分子41に対する高分子化合物42の配向規制能が高くなる。その上、高分子化合物42の耐久性も高まり、その配向規制能が良好に維持される。重合性化合物が有する重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基、あるいはエポキシ基などが挙げられる。また、この重合性化合物は、光重合性を有しているものが好ましい。これにより、後述するように、液晶層40に電圧を印加した状態のまま、高分子化合物42を生成できるため、その近傍の液晶分子41の配向を容易に所望のものとすることができる。
このような重合性化合物としては、例えば、式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種が好ましい。高分子化合物42に高い配向規制能を付与すると共に、焼き付きがより生じにくくなるからである。なお、本実施の形態では、式(1)〜式(5)に示した化合物は、いずれも正の誘電率異方性を有するように、2つ以上のフッ素基が環状構造を有する骨格に導入されたものである。よって、分子全体として正の誘電率異方性を有していれば、式(1)中で説明したR1〜R6は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。このことは、式(2)〜式(5)中で説明したR9〜R17、R20〜R31、R34〜R45、およびR48〜R53についても同様である。
式(1)〜式(5)に示した化合物は、いずれも誘電率異方性を付与する環状構造を含む骨格部分と、その両端側にアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有する多官能性の重合性化合物である。式(1)中で説明したR7およびR8は互いに同一でもあってもよいし異なっていてもよい。このことは、式(1)中のn1,m1、式(2)中のR18,R19およびn2,m2、ならびに式(3)中のR32,R33およびn3,m3についても同様である。また、式(4)中のR46,R47およびn4,m4、ならびに式(5)中のR56,R57、n5,m5およびR54,R55についても同様である。式(1)に示した化合物としては、例えば、式(1−1)〜式(1−6)で表される化合物などが挙げられる。式(2)に示した化合物としては、例えば、式(2−1)〜式(2−4)で表される化合物などが挙げられる。式(3)に示した化合物としては、例えば、式(3−1)〜式(3−6)に示した化合物などが挙げられる。式(4)に示した化合物としては、例えば、式(4−1)〜式(4−4)で表される化合物などが挙げられる。式(5)に示した化合物としては、例えば、式(5−1)〜式(5−4)で表される化合物が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。
液晶層40では、液晶分子41は、配向膜22との界面近傍において高分子化合物42Aによって保持される液晶分子41Aと、配向膜32との界面近傍において高分子化合物42Bによって保持される液晶分子41Bと、それ以外の液晶分子41Cとに分類できる。液晶分子41Cは、液晶層40の厚さ方向における中間領域に位置し、駆動電圧がオフの状態において、液晶分子41Cの長軸方向(ダイレクタ)がガラス基板20A,30Aに対してほぼ垂直になるように配列している。その一方で、駆動電圧がオンになると、液晶分子41Cの長軸がガラス基板20A,30Aに対して平行になるように傾いて配向する。このような挙動は、液晶分子41Cにおいて、ダイレクタの誘電率が短軸方向よりも大きいという性質を有することに起因している。液晶分子41A,41Bも同様の性質を有することから、駆動電圧のオン・オフの状態変化に応じて基本的には液晶分子41Cと同様の挙動を示す。但し、駆動電圧がオフの状態において、液晶分子41Aは高分子化合物42Aの存在によってプレチルトθ1が付与され、その長軸がガラス基板20A,30Aの法線方向から傾斜した姿勢となる。同様に、液晶分子41Bは高分子化合物42Bの存在によってプレチルトθ2が付与され、その長軸がガラス基板20A,30Aの法線方向から傾斜した姿勢となる。なお、プレチルトθ(θ1,θ2)とは、図2に示したように、駆動電圧を印加しない状態におけるXY平面に対する液晶分子41(41A〜41C)の長軸方向Dの傾斜角度をいう。この場合、ガラス基板20A,30Aの表面をXY平面とし、そのXY平面に垂直な方向(法線方向)をZ軸方向とする。
この液晶層40では、プレチルトθ1,θ2の双方が90°よりも小さい値を有している。この液晶層40では、プレチルトθ1,θ2は、同じ角度(θ1=θ2)であってもよい。中でも、TFT基板20側の液晶分子41Aに付与されるプレチルトθ1がCF基板30側の液晶分子41Bに付与されるプレチルトθ2よりも小さくなるように構成されているのが好ましい。すなわち、プレチルトθ1,θ2は、90°>θ2>θ1の関係を満たしているのが好ましい。特に、プレチルトθ1は、86°以上89°以下であることが望ましい。そのような範囲であれば、プレチルトθ1,θ2の双方が90°である場合よりも駆動電圧の印加に対する応答速度が向上すると共に、プレチルトθ1,θ2の双方が90°である場合とほぼ同等のコントラストを得ることができるからである。すなわち、黒表示の際の光の透過量を低減することができ、コントラストを向上させることができる。
この液晶表示素子は、例えば、以下のようにして製造することができる。ここでは、上記した液晶表示素子の製造方法の一例について、図3に表したフローチャートと共に、図4,図5に表した断面模式図を参照して説明する。なお、図4,図5では、簡略化のため、一画素分についてのみ示す。
最初に、図4に示したように、TFT基板20とCF基板30とを対向配置させ、それらの間に、液晶分子41を含む液晶層40を封止する(ステップS101)。図4は、TFT基板20およびCF基板30の間に封止された液晶層40の断面構成を表している。
具体的には、ガラス基板20A上に、所定のスリット部21を有する画素電極20Bを例えばマトリクス状に形成することによりTFT基板20を作製する。同様に、ガラス基板30A上に、所定のスリット部31を有する対向電極30Bを例えばマトリクス状に形成することによりCF基板30を作製する。
続いて、TFT基板20およびCF基板30の画素電極20Bおよび対向電極30Bが形成された面に、垂直配向剤を塗布して焼成することにより配向膜22,32を形成する。こののち、配向膜22,32には、必要に応じて、ラビングなどの処理を施してもよい。
続いて、TFT基板20あるいはCF基板30のどちらか一方の、配向膜22,32の形成されている面に対して、セルギャップを確保するためのスペーサ突起物、例えばプラスチックビーズ等を散布すると共に、例えばスクリーン印刷法によりエポキシ接着剤等を用いて、シール部を印刷する。
こののち、TFT基板20とCF基板30とを、配向膜22,32を対向させるように、スペーサ突起物およびシール部を介して貼り合わせると共に液晶材料を注入する。この液晶材料は、液晶分子41を含有する液晶と共に上記した正の誘電異方性を有する重合性化合物などの重合性化合物42Zを含むものである。その後、加熱するなどしてシール部の硬化を行い、TFT基板20とCF基板30との間に液晶層40を封止する。ここでの液晶層40では、液晶分子41は、そのダイレクタがガラス基板20A,30Aに対してほぼ垂直になるように配向することになる。その一方で、重合性化合物42Zは、液晶分子41とは異なる符号の誘電率異方性を有するため、液晶層40中における存在比率が多い液晶分子41の配向に影響されながらも、その長軸方向が液晶分子41のダイレクタに対して傾いた状態で存在している。
次に、図5(A)に示したように、画素電極20Bと対向電極30Bとの間に、電圧印加手段1を用いて、直流電圧V1を印加する(ステップS102)。これにより、ガラス基板20A,30Aの表面に対して所定の角度をなす方向の電場が生じ、液晶分子41がガラス基板20A,30Aの法線方向から所定方向に傾いて配向することとなる。その一方で、重合性化合物42Zは、液晶分子41の配向に影響されつつ、その長軸方向が液晶分子41のダイレクタに対して傾いた状態となる。このときの電圧V1の大きさを適宜調節することにより、液晶分子41A,41Bのプレチルトθ1,θ2の大きさを制御することが可能である。この電圧V1は、重合性化合物42Zの代わりに、誘電率異方性を示さない重合性化合物あるいは液晶と同じ符号の誘電率異方性を有する重合性化合物を用いた場合よりも大きい、30V〜35V程度印加するようにする。ここでの液晶層40を構成する液晶材料の誘電率異方性の値は、誘電率異方性をもたない重合性化合物あるいは液晶と同じ符号の誘電率異方性を有する重合性化合物を用いた場合よりも小さくなっているからである。
さらに、図5(B)に示したように、電圧V1を印加した状態のまま、紫外光UVを例えばTFT基板20の外側から液晶層40に照射することにより、液晶層40中の重合性化合物42Zが重合されて高分子化合物42を生成する(ステップS103)。これにより、配向膜22,32の表面に高分子化合物42A,42Bが形成され、液晶層40における配向膜22,32との界面近傍に位置する液晶分子41A,41Bにプレチルトθ1,θ2が付与される。なお、ここでは紫外光UVをTFT基板20の外側から照射したが、CF基板30の外側から照射してもよく、TFT基板20およびCF基板30の双方の基板の外側から照射してもよい。
以上の工程により、図1に示した液晶表示素子が完成する。
[2.液晶表示装置(VAモードの例)]
次に、図6を参照して、上記した液晶表示素子を備えた液晶表示装置の構成について説明する。図6は、図1に示した液晶表示素子を備えた液晶表示装置の回路構成を表している。
次に、図6を参照して、上記した液晶表示素子を備えた液晶表示装置の構成について説明する。図6は、図1に示した液晶表示素子を備えた液晶表示装置の回路構成を表している。
この液晶表示装置は、例えば、図6に示したように、表示領域60と、表示領域60内に設けられた複数の画素10を有する液晶表示素子とを含んで構成されている。また、液晶表示装置は、その表示領域60の周囲に設けられたソースドライバ61およびゲートドライバ62と、ソースドライバ61およびゲートドライバ62を制御するタイミングコントローラ63と、ソースドライバ61およびゲートドライバ62に電力を供給する電源回路64とを含んで構成されている。
表示領域60は、映像が表示される領域であり、複数の画素10がマトリックス状に配列されることにより映像を表示可能に構成された領域である。なお、図6では、複数の画素10を含む表示領域60を示している他、4つの画素10に対応する領域を別途拡大して示している。
この表示領域60では、行方向に複数のソース線71が配列されていると共に列方向に複数のゲート線72が配列されており、それらのソース線71およびゲート線72が互いに交差する位置に画素10がそれぞれ配置されている。各画素10は、上記した液晶表示素子の画素10に相当し、画素電極20Bおよび液晶層40と共にトランジスタ121およびキャパシタ122を含んで構成されている。各トランジスタ121では、ソース電極がソース線71に接続され、ゲート電極がゲート線72に接続され、ドレイン電極がキャパシタ122および画素電極20Bに接続されている。各ソース線71は、ソースドライバ61に接続されており、そのソースドライバ61から画像信号が供給されるようになっていると共に、各ゲート線72は、ゲートドライバ62に接続されており、そのゲートドライバ62から走査信号が順次供給されるようになっている。
ソースドライバ61およびゲートドライバ62は、複数の画素10の中から特定の画素10を選択するものである。
タイミングコントローラ63は、例えば、画像信号(例えば、赤、緑、青に対応するRGBの各映像信号)と、ソースドライバ61の動作を制御するためのソースドライバ制御信号とをソースドライバ61に出力する。また、タイミングコントローラ63は、例えば、ゲートドライバ62の動作を制御するためのゲートドライバ制御信号をゲートドライバ62に出力する。ソースドライバ制御信号としては、例えば、水平同期信号、スタートパルス信号あるいはソースドライバ用のクロック信号などが挙げられる。ゲートドライバ制御信号としては、例えば、垂直同期信号や、ゲートドライバ用のクロック信号などが挙げられる。
この液晶表示装置では、以下の要領で画素電極20Bと対向電極30Bとの間に駆動電圧を印加することにより、映像が表示される。具体的には、ソースドライバ61が、タイミングコントローラ63からのソースドライバ制御信号の入力により、同じくタイミングコントローラ63から入力された画像信号に基づいて所定のソース線71に個別の画像信号を供給する。これと共に、ゲートドライバ62が、タイミングコントローラ63からのゲートドライバ制御信号の入力により所定のタイミングでゲート線72に走査信号を順次供給する。これにより、画像信号が供給されたソース線71と走査信号が供給されたゲート線72との交差点に位置する画素10が選択され、その画素10に駆動電圧が印加されることとなる。
選択された画素10では、駆動電圧が印加されると、液晶層40に含まれる液晶分子41の配向状態が、画素電極20Bと対向電極30Bとの間の電位差に応じて変化する。具体的には、液晶層40では、図1に示した駆動電圧の印加前の状態から、駆動電圧が印加されることにより、配向膜22,32の表面の高分子化合物42A,42B近傍に位置する液晶分子41A,41Bが自らの傾き方向に倒れ、かつ、その動作がその他の液晶分子41Cに伝播することとなる。その結果、液晶分子41がTFT基板20およびCF基板30に対してほぼ水平(平行)となる姿勢をとるように応答する。これにより、液晶層40の光学的特性が変化し、液晶表示素子への入射光が変調された射出光となり、その射出光に基づいて階調表現されることで、映像が表示される。
このように本実施の形態の液晶表示素子および液晶表示装置では、液晶層40において、液晶分子41A,41Bが、所定のプレチルトθ1,θ2を有している。これにより、プレチルト処理が全く施されていない液晶表示素子およびそれを備えた液晶表示装置と比較して、駆動電圧に対する応答速度を大幅に向上させることができる。
ここで、図8を参照して従来の液晶表示素子について説明する。図8は従来の液晶表示素子の断面構成を模式的に表しており、図8(A)は駆動電圧が印加されている状態、図8(B)は駆動電圧が印加されていない状態(黒表示)をそれぞれ表している。この従来の液晶表示素子は、TFT基板110とCF基板120との間に、配向膜112,122を介して液晶分子131および高分子化合物132(132A,132B,132D)を含む液晶層130が設けられたものである。TFT基板110には、ガラス基板110AのCF基板120と対向する側の表面に複数の画素電極110Bが配置され、CF基板120には、ガラス基板120AのTFT基板110と対向する側の表面に対向電極120Bとが配置されている。
この従来の液晶表示素子では、誘電率異方性をもたないモノマー132Zが重合して生成された高分子化合物132A,132Bが、液晶層130中の液晶分子131A,131Bに対してプレチルトを付与するために用いられている。高分子化合物132(132A,132B)は、液晶分子131と共に液晶性を有する光重合性の単官能性あるいは多官能性のモノマー132Zを混合した液晶層130を基板間に封止し、そのモノマー132Zを光重合させて生成される。このため、液晶層130中には、未反応のモノマー132Zが残留しやすくなる。図8(A)に示したように、残留モノマー132Zは、誘電率異方性がない(長軸方向の誘電率≒短軸方向の誘電率)ため、液晶分子131のダイレクタとモノマー132Zの長軸方向が概ね同一方向となるように存在することになる。これにより、図8(B)に示したように、駆動電圧が印加された状態で残留モノマー132Zが重合反応すると、その駆動電圧に対応した液晶分子131の配向に応じて配向膜112,122の表面に高分子化合物132Dが形成される。この残留モノマー132Zが重合して生成された高分子化合物132Dによって、初期に定めた液晶分子131A,131Bのプレチルトが変動し、液晶分子131の配向に乱れが生じる。このため、応答性が低下すると共に、液晶分子131の配向の乱れが焼き付きとして視認されることなり、動作上の信頼性が低下する。このような信頼性低下の原因となる残留モノマー132Zの残留量を低減させるには、プレチルト設定時の光照射時間を長くすればよいが、これによって製造にかかる時間(タクト時間)が長くなる。その上、光照射時間が長くなると、液晶分子131などの液晶材料が光分解しやすくなり、この光分解物も焼き付きが生じる要因となる。
これに対して、本実施の形態の液晶表示素子およびその製造方法では、液晶層40中の高分子化合物42(42A,42B)がその近傍の液晶分子41A,41Bの配向を規制して、その液晶分子41A,41Bに対してプレチルトθ1,θ2を付与する。この高分子化合物42は、液晶とは符号が異なる正の誘電率異方性を有する重合性化合物42Zが重合して生成される。このため、図7(A)に示したように、液晶層40中に未反応の重合性化合物42Zが残留したとしても、残留した重合性化合物42Zは、その長軸方向が液晶分子41のダイレクタとは異なる姿勢をとろうとする。これにより、駆動電圧が印加された状態において、残留した重合性化合物42Zが重合反応しても、重合性化合物42Zが駆動電圧に対応した液晶分子41の配向とは異なる配向をとろうとしながら、高分子化合物42が生成される。このため、図7(B)に示したように初期に高分子化合物42が付与する液晶分子41A,41Bのプレチルトθ(θ1,θ2)は、変動しにくくなる。
すなわち、本実施の形態における液晶表示素子および液晶表示装置ならびにそれらの製造方法では、液晶層40が、液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物42Zが重合して生成された高分子化合物42を含むようにした。これにより、液晶層40が、4,4−ジアクリロイルオキシビフェニルなどの誘電率異方性をもたない重合性化合物が重合して生成された高分子化合物を含む場合と比較して、応答性の低下や焼き付きが生じにくくなるため、動作上の信頼性を確保することができる。もちろん、液晶層が、液晶と同じ符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成された高分子化合物を含む場合と比較しても、動作上の信頼性を確保することができる。また、この場合、高分子化合物42を生成する工程ののちに、残留した重合性化合物42Zを反応させて残留量を低減させるための更なる紫外線照射(二次照射)工程を行わなくても、動作上の信頼性が確保されるため、タクト時間を短縮することができる。さらに、この二次照射工程による液晶層40の劣化も生じにくくなる。
[3.変形例(正の誘電率異方性を有する液晶を用いた液晶表示素子の例)]
なお、上記した実施の形態では、液晶層40が負の誘電率異方性を有する液晶と共に、正の誘電率異方性を有する重合性化合物(重合性化合物42Z)が重合して生成された高分子化合物42を含む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、液晶層が、正の誘電率異方性を有する液晶と負の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成される高分子化合物とを含むようにしてもよい。この場合においても、同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記した実施の形態では、液晶層40が負の誘電率異方性を有する液晶と共に、正の誘電率異方性を有する重合性化合物(重合性化合物42Z)が重合して生成された高分子化合物42を含む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、液晶層が、正の誘電率異方性を有する液晶と負の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成される高分子化合物とを含むようにしてもよい。この場合においても、同様の作用効果を得ることができる。
この液晶表示素子は、正の誘電率異方性を有する液晶と共に、高分子化合物を生成する重合性化合物として、負の誘電率異方性を有するものを用いたことを除き、上記した液晶表示素子と同様に製造することができる。ここで用いる重合性化合物としては、誘電率異方性の符号が負であることを除き、上記した重合性化合物と同様のものが挙げられる。すなわち、負の誘電率異方性を有する重合性化合物も、構成元素としてフッ素を2つ以上有しているものが好ましく、ベンゼン環を有しているのが好ましく、多官能であるのが好ましく、光重合性を有しているものが好ましい。また、このような負の誘電率異方性を有する重合性化合物としては、例えば、上記した式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種が好ましい。いずれも上記した正の誘電率異方性を有する重合性化合物について説明した理由と同様の理由からである。この場合において、式(1)に示した化合物としては、例えば、式(1−7)〜式(1−12)で表される化合物などが挙げられる。式(2)に示した化合物としては、例えば、式(2−5)〜式(2−8)で表される化合物などが挙げられる。式(3)に示した化合物としては、例えば、式(3−7)〜式(3−12)に示した化合物などが挙げられる。式(4)に示した化合物としては、例えば、式(4−5)あるいは式(4−6)で表される化合物などが挙げられる。式(5)に示した化合物としては、例えば、式(5−5)〜式(5−8)で表される化合物が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。
また、上記した実施の形態では、配向膜22,32の表面に設けられた高分子化合物42A,42Bの近傍に位置する液晶分子41A,41Bのプレチルトθ1,θ2がほぼ同一となるように形成した液晶表示素子について説明したが、プレチルトθ1とプレチルトθ2とを異なるようにしてもよい。このような構成とする場合には、まず、液晶層40中に、例えば、紫外線吸収剤を含ませて封止する。続いて、画素電極20Bと対向電極30Bとの間に所定の電場を印加してTFT基板20の外側から紫外線を照射して液晶層40中の重合性化合物42Zを重合させる。この際、液晶層40中に、紫外線吸収剤が含まれていることにより、TFT基板20側から入射した紫外線は、液晶層40中の紫外線吸収剤に吸収され、CF基板30側にはほとんど到達しないこととなる。このため、配向膜22側に存在する重合性化合物42Zが重合され高分子化合物42Aとなる。続いて、上記の所定の電圧とは、異なる電圧を画素電極20Bと対向電極30Bとの間に印加し、CF基板30の外側から紫外線を照射して液晶層40中の重合性化合物42Zをさせ、高分子化合物42Bを形成する。これにより、TFT基板20の外側から紫外線を照射する際に印加する電圧と、CF基板30の外側から紫外線を照射する際に印加する電圧とに応じて、配向膜22,32の近傍に位置する液晶分子41A,41Bのプレチルトθ1,θ2を設定可能となる。よって、プレチルトθ1とプレチルトθ2とを異なるようにすることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実験例1)
図3に示したフローチャートの手順に従って、図1に示した液晶表示素子を作製した。
図3に示したフローチャートの手順に従って、図1に示した液晶表示素子を作製した。
まず、スペーサ突起物(高さ4.0μm)を形成したTFT基板20と、カラーフィルタにITO電極を配置したCF基板30とを用意した。ITOには斜めに電場がかかるように、スリットパターンが形成してあり、線幅25μm、線間10μmとした。続いて、TFT基板20およびCF基板30のそれぞれに、ポリイミドを含む垂直配向材料をスピンコート法により塗布した。そののち、塗布膜を200℃で加熱することにより、配向膜22,32を形成した。続いて、CF基板30上にシールを形成し、これに囲まれた部分に、負の誘電率異方性を有する液晶(MJ961213;メルクジャパン株式会社製)と、重合性化合物42Zとして式(1−1)に示した化合物とを含む液晶材料を滴下注入した。この際、液晶材料中における式(1−1)に示した化合物の含有量を0.3重量%とした。こののち、TFT基板20およびCF基板30を貼り合わせシールを硬化させて液晶層40を形成し、液晶パネルを作製した。続いて、この液晶パネルに対して画素電極20Bに30Vの交流電場を付与した状態で液晶パネルの法線方向から紫外光(8J/cm2 )を照射し、式(1−1)に示した化合物を重合させて高分子化合物42A,42Bを形成した。これにより、TFT基板20およびCF基板30側の液晶分子41A,41Bがプレチルトをなす液晶表示素子を得た。
(実験例2)
重合性化合物42Zとして式(1−1)に示した化合物に代えて、式(3−1)に示した化合物を用いると共に、液晶パネルに対して画素電極20Bに35Vの交流電圧を印加した状態で紫外光を照射したことを除き、実験例1と同様の手順を経た。
重合性化合物42Zとして式(1−1)に示した化合物に代えて、式(3−1)に示した化合物を用いると共に、液晶パネルに対して画素電極20Bに35Vの交流電圧を印加した状態で紫外光を照射したことを除き、実験例1と同様の手順を経た。
(実験例3)
重合性化合物42Zとして式(1−1)に示した化合物に代えて、誘電率異方性がない4,4−ジアクリロイルオキシビフェニルを用いると共に、20Vの交流電圧を印加した状態で紫外光を照射したことを除き、実験例と同様の手順を経た。
重合性化合物42Zとして式(1−1)に示した化合物に代えて、誘電率異方性がない4,4−ジアクリロイルオキシビフェニルを用いると共に、20Vの交流電圧を印加した状態で紫外光を照射したことを除き、実験例と同様の手順を経た。
これらの実験例1〜3の液晶表示素子について、初期のプレチルトθと白色光を照射しながら100時間駆動した後のプレチルトθの角度変動量Δθを調べたところ、表1に示した結果が得られた。
プレチルトθの角度変動量Δθを調べる際には、まず、液晶分子41の初期のプレチルトθをプレチルト角測定システム(PAS−301型;株式会社東陽テクニカ製)を用いて測定した。続いて、透明基板20Aの外側から白色光を液晶層40に照射しながら、画素電極20Bに駆動電圧として10Vの交流電圧を印加して100時間連続して液晶表示素子を駆動させた。こののち、100時間駆動後のプレチルトθを初期のプレチルトθと同様にして測定した。この初期のプレチルトθと、100時間後のプレチルトθとの差の絶対値から角度変動量Δθを算出した。
表1に示したように、正の誘電率異方性を有する式(1−1)あるいは式(3−1)に示した化合物を用いて高分子化合物42を形成した実験例1,2では、それを用いなかった実験例3よりもプレチルトθの角度変動量が小さくなった。この結果から、以下のことが考えられる。すなわち、重合性化合物42Zは、液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有している。このため、液晶層40中に未反応の重合性化合物42Zが残留しても、残留した重合性化合物42Zは、駆動中の液晶分子41の配向に影響されながらも、その長軸方向が液晶分子41のダイレクタとは異なる姿勢をとろうとする。これにより、駆動中に未反応の重合性化合物42Zが重合反応しても、この際に生成された高分子化合物42は、その近傍の液晶分子41に対して、初期に生成した高分子化合物42とほぼ同様のプレチルトθを付与し、液晶分子41の配向を乱しにくくなる。
このことから、液晶層中に設けた高分子化合物により液晶分子にプレチルトを付与するVAモードの液晶表示素子では、以下のことが確認された。すなわち、液晶層40が負の誘電率異方性を有する液晶と共に正の誘電率異方性を有する重合性化合物42Zが重合して生成された高分子化合物42を含むようにすることにより、応答性の低下や焼き付きを生じにくくすることができる。よって、動作上の信頼性を確保することができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例ではVAモードの液晶表示素子について説明したが、本発明では必ずしもこれに限られず、TNモード、IPS(In Plane Switching )モード、FFS(Fringe Field Switching)モードあるいはOCB(Optically Compensated Bend)モードなどの他の表示モードにも適用可能である。
また、上記実施の形態および実施例では透過型の液晶表示素子およびそれを搭載した液晶表示装置について説明するようにしたが、本発明では必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、反射型のものとしてもよい。反射型とした場合には、画素電極がアルミニウムなどの光反射性を有する電極材料により構成される。
1…電圧印加手段、10(10A,10B,10C)…画素、20…TFT基板、30…CF基板、20A,30A…ガラス基板、20B…画素電極、30B…対向電極、21,31…スリット部、22,32…配向膜、40…液晶層、41(41A,41B,41C)…液晶分子、42(42A,42B)…高分子化合物、42Z…重合性化合物、60…表示領域、61…ソースドライバ、62…ゲートドライバ、63…タイミングコントローラ、64…電源回路、71…ソース線、72…ゲート線。
Claims (15)
- 対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に設けられた液晶層とを備え、
前記液晶層は、液晶分子を含有する液晶と、前記液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成された高分子化合物とを含む
液晶表示素子。 - 前記高分子化合物は、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の近傍に存在する
請求項1記載の液晶表示素子。 - 前記一対の基板と前記液晶層との間に配向膜を備え、
前記高分子化合物は、前記配向膜に固定されている
請求項1記載の液晶表示素子。 - 前記高分子化合物は、前記液晶分子の一部にプレチルトを付与する
請求項1記載の液晶表示素子。 - 前記重合性化合物は、2つ以上のフッ素原子を有する
請求項1記載の液晶表示素子。 - 前記重合性化合物は、1つ以上のベンゼン環を有する
請求項5記載の液晶表示素子。 - 前記重合性化合物は、式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種である
請求項6記載の液晶表示素子。
- 前記一対の基板は、一方が複数の画素電極を駆動する半導体素子を搭載した半導体素子搭載基板であり、他方がカラーフィルタを備えたカラーフィルタ搭載基板であり、
前記液晶は、負の誘電率異方性を有する
請求項1記載の液晶表示素子。 - 一対の対向配置させた基板の間に、液晶分子を含有する液晶と、前記液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物とを含む液晶層を形成する工程と、
前記液晶層中の前記重合性化合物を重合させて高分子化合物を生成する工程と
を含む液晶表示素子の製造方法。 - 前記液晶層に対して所定の電場を印加し、その状態のまま、前記重合性化合物を重合させて前記液晶分子の一部にプレチルトを付与する
請求項9記載の液晶表示素子の製造方法。 - 前記重合性化合物として、2つ以上のフッ素原子を有する化合物を用いる
請求項9記載の液晶表示素子の製造方法。 - 前記重合性化合物として、1つ以上のベンゼン環を有する化合物を用いる
請求項11記載の液晶表示素子の製造方法。 - 前記重合性化合物として、式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種を用いる
請求項12記載の液晶表示素子の製造方法。
- 対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に設けられた液晶層とを有する液晶表示素子を備え、
前記液晶層は、液晶分子を含有する液晶と、前記液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物が重合して生成された高分子化合物とを含む
液晶表示装置。 - 一対の対向配置させた基板の間に、液晶分子を含有する液晶と、前記液晶とは異なる符号の誘電率異方性を有する重合性化合物とを含む液晶層を形成する工程と、
前記液晶層中の前記重合性化合物を重合させて高分子化合物を生成する工程と
を含む液晶表示装置の製造方法。
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